JP5511399B2 - ポンプ用羽根車及びそれを備えた水中ポンプ、及びポンプ用羽根車のバランス調整方法 - Google Patents

ポンプ用羽根車及びそれを備えた水中ポンプ、及びポンプ用羽根車のバランス調整方法 Download PDF

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Description

本発明は、汚水処理用の水中ポンプなどに用いて好適なポンプ用の羽根車に関し、特に、機械的及び水力的バランスを所望のバランスに調整できる構造の羽根車及びそれを備えた水中ポンプ、及びポンプ用羽根車のバランス調整方法に関する。
従来、マンホール内などに設置する汚水処理用の水中ポンプがある。このような水中ポンプとして、特許文献1に示すように、ノンクロッグ型の羽根車を備えた水中ポンプがある。ノンクロッグ型の羽根車は、通常、ステンレスなどの鋳物で構成されており、略円筒状の本体部の内部に軸方向から見て渦巻型に形成された流路を有する一枚翼形状を有している。そして、汚水を加圧中のポンプに異物を詰まらせないための構造として、流路の断面の寸法を略一定に形成することで、羽根車に異物が絡み難くなるようにしている。これらによって、ノンクロッグ型の羽根車は、回転軸に対して非対称な形状になっている。したがって、そのままでは、静止時の静的バランスや回転時の動的バランス(機械的バランス)がとれず、組付作業性の低下や回転時の振動を引き起こすおそれがある。
また、上記のような回転軸に対して非対称な形状の羽根車は、そのままでは、ポンプの運転で流体を移送する際、羽根車の回転バランス(水力的バランス)を保つことができない。すなわち、ポンプを運転すると、羽根車が回転することで、吸い込んだ汚水などの流体から羽根車が力を受ける。この場合、非軸対称形状の羽根車では、作用する流体力の分布が非軸対称となる。そのため、羽根車に作用する流体力が打ち消し合わない。
上記のような問題に対処するため、従来の羽根車では、特許文献1に示すように、羽根車の一部に肉厚の部分からなるバランスウェイト部を設けている。このバランスウェイト部によって、羽根車の機械的及び水力的バランスをとることが行われている。
特開2009−103078号公報
ところが、上記のような羽根車は、ステンレスなどで鋳造されているため、バランスウェイト部を含めた羽根車のバランスは、必ずしも設計通りにならず、製品ごとに若干のばらつきが生じる。また、鋳物の一部を切削して羽根車として加工する工程においても、羽根車が複雑な構造をしているため、加工基準の決定にずれが生じることもあり、結果、製品ごとに若干のばらつきが生じる。そこで、羽根車のバランスの不釣合を解消すべく、羽根車の一部を機械加工によって削り取る加工が行われる。具体的には、羽根車の主板および側板におけるバランスウェイト部などの一部を削除する。バランスウェイト部には、予め若干多めのウェイトを設計当初より設けてあるため、このウェイトを削ることによってバランスの修正を行う。
しかしながら、ボルテックス型のポンプ羽根車と異なり、流路口径一定の一枚羽根からなる羽根車は、形状が複雑である。そのため、上述の鋳造工程、加工工程におけるばらつきが出やすい。そして、本来予想していなかった箇所を削らなければならなかったり、削るべき箇所から最適なウェイトが無くなってしまったりするという問題がある。
また、羽根車自体を削り取ったりすることでバランスをとるには、羽根車の各部の厚み寸法などを正確に把握しておく必要がある。しかしながら、複雑な形状を有する流路口径一定の羽根車では、各部の厚み寸法などを正確に把握するのは困難である。そのため、削り取る分量がわかり難く、このようなバランスをとるための機械加工に手間と時間がかかり、正確なバランス調整が行い難いという問題があった。
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な工程で、機械的及び水力的バランスを所望のバランスに調整することができるポンプ用羽根車及びそれを備えた水中ポンプ、及びポンプ用羽根車のバランス調整方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、軸方向の一端(11)の中央に取付部(12)を設けた略円筒状の本体部(10)と、本体部(10)の軸方向の他端(15)の中央に設けた吸込部(13)と、本体部(10)の側面(16)に開口する吐出部(14)と、本体部(10)の内部で軸方向から見て渦巻型に形成されて吸込部(13)から吐出部(14)に連通する流路(18)と、を備えるノンクロッグ型のポンプ用羽根車(1)であって、本体部(10)における軸方向の一端(11)の外周と他端(15)の外周との少なくともいずれかには、円周縁状のフランジ部(23又は25)が設けられており、該フランジ部(23又は25)の内周面には円周方向に延びる段部が形成されており、フランジ部(23又は25)の内周側に外側面が該フランジ部(23又は25)の内周面に沿う形状の円弧面を有し、該円弧面に円弧方向に延びる段部が形成された平板状部材からなるバランスブロック(40)をその段部をフランジ部(23又は25)の段部(24又は26)に嵌合させて取り付けたことを特徴とする。
本発明にかかるポンプ用の羽根車によれば、円筒状の本体部の端部外周に設けたフランジ部に取り付けたバランスブロックによって、羽根車のバランス調整を行うことができる。この場合、バランスブロックは、フランジ部の周方向における任意の位置に取り付けることが可能である。したがって、羽根車の本体部の鋳型形状を変更せずにバランス調整が行えるようになり、バランス調整の作業が行い易くなる。
また、羽根車のバランスの調整は、羽根車に取り付けたバランスブロックを削ったり穴を開けたりすることで行える。これにより、羽根車の本体部を削ったり穴を開けたりする場合と比較して、機械加工が容易になり、バランス調整に要する手間と時間を削減することができる。また、厚みなどの寸法を正確に把握できるバランスブロックを削ったり穴を開けたりしてバランス調整を行うので、削り取る分量や開ける穴の深さなどがわかり易く、正確なバランス調整が簡単に行えるようになる。
また、形状分布や質量が互いに異なる複数種類のバランスブロックを用意しておけば、羽根車に取り付けるバランスブロックを適宜に選択することで、羽根車の機械的及び水力的バランスを所望のバランスに調整できるようになる。なお、羽根車の本体部に取り付けるバランスブロックは、1個には限らず、複数個を取り付けることも可能である。また、バランスブロックは、羽根車における軸方向の一端のフランジ部と他端のフランジ部との両方に取り付けても良いし、いずれか一方にのみ取り付けてもよい。
また、上記構成のポンプ用羽根車では、バランスブロック(40)は、フランジ部(23又は25)の内周(23a又は25a)に沿う円弧型の端辺(40a)を有する平板状の部材からなるとよい。これによれば、同一形状のバランスブロックを、フランジ部の周方向における任意の位置に取り付けることが可能となる。したがって、用意するバランスブロックの種類が少なくて済み、羽根車の製造工程の簡素化を図ることができる。なお、この場合、円周型の端辺を有する平板状のバランスブロック原型を用意して、それを周方向で複数に分割すれば、円弧型の端辺を有する複数のバランスブロックを簡単に製作することができる。
また、上記構成のポンプ用羽根車では、本体部(10)の一端(11)又は他端(15)におけるフランジ部(23又は25)の内周側には、軸方向に窪んだ窪み(21又は22)が形成されており、バランスブロック(40)は、その面がフランジ部(23又は25)から本体部(10)の径方向の内側に延びており、窪み(21又は22)に張り出すように取り付けられていてよい。この構成によれば、バランスブロックが羽根車の内側で窪み内におさまるので、バランスブロックを取り付けても羽根車の外形寸法に変更を及ぼさずに済む。また、水中ポンプの運転で羽根車が回転する際、バランスブロックが流体の流れに与える影響を最小限に抑えることができる。
また、本発明にかかる水中ポンプは、上記構成のポンプ用羽根車(1)と、ポンプ用羽根車(1)を収容するポンプケーシング(32)と、ポンプ用羽根車(1)を駆動するモータ(52)とを備えたことを特徴とする。この水中ポンプでは、上記構成のバランスブロックを備えたポンプ用羽根車によって、運転時の水力的バランスを確保できるようになる。したがって、運転時の振動・騒音を効果的に抑制でき、耐久性に優れた水中ポンプとなる。
また、本発明は、軸方向の一端(11)の中央に取付部(12)を設けた略円筒状の本体部(10)と、本体部(10)の軸方向の他端(15)の中央に設けた吸込部(13)と、本体部(10)の側面(16)に開口する吐出部(14)と、本体部(10)の内部で軸方向から見て渦巻型に形成されて吸込部(13)から吐出部(14)に連通する流路(18)と、本体部(10)における軸方向の一端(11)の外周と他端(15)の外周との少なくともいずれかに設けた円周縁状のフランジ部(23又は25)と、を備えるノンクロッグ型のポンプ用羽根車(1)のバランス調整方法であって、円周縁状のフランジ部(23又は25)の内周面には円周方向に延びる段部(24又は26)が形成されており、フランジ部(23又は25)の内周側に外側面が該フランジ部(23又は25)の内周面に沿う形状の円弧面に形成され、該円弧面に円弧方向に段部(41)が形成された平板状部材からなるバランスブロック(40)をその段部をフランジ部(23又は25)の内周面の段部(24又は26)に嵌合させて取り付ける工程と、フランジ部(23又は25)に取り付けたバランスブロック(40)の一部を機械加工によって削除する工程と、を有することを特徴とする。
本発明にかかるポンプ用羽根車のバランス調整方法によれば、羽根車のフランジ部にバランスブロックを取り付けることで、羽根車のバランス調整を行うことができる。この場合、バランスブロックは、フランジ部の周方向における任意の位置に取り付けることが可能である。したがって、羽根車の本体部の鋳型形状を変更せずにバランス調整が行えるようになり、バランス調整の作業が行い易くなる。また、形状分布や質量が互いに異なる複数種類のバランスブロックを用意しておけば、羽根車に取り付けるバランスブロックを適宜に選択することで、羽根車の機械的及び水力的バランスを所望のバランスに調整できるようになる。
また、羽根車のバランスの調整は、フランジ部に取り付けたバランスブロックの一部を機械加工によって削除することによっても行える。具体的には、バランスブロックを削ったり穴を開けたりする機械加工を施す。これによれば、羽根車の本体部を削ったり穴を開けたりする場合と比較して、機械加工が容易になり、バランス調整に要する手間と時間を削減することができる。また、厚みなどの寸法を正確に把握できるバランスブロックを削ったり穴を開けたりしてバランス調整を行うので、削り取る分量や開ける穴の深さなどがわかり易く、正確なバランス調整が簡単に行えるようになる。
なお、上記の括弧内の符号は、後述する実施形態における対応する構成要素の符号を本発明の一例として示したものである。
本発明にかかるポンプ用羽根車のバランス調整方法によれば、簡単な工程で、機械的及び水力的バランスを所望のバランスに調整できる。特にフランジ部の内周面には円周方向に延びる段部にバランスブロックの円弧面に形成された段部を嵌め合わせることで、フランジ部に対するバランスブロックの位置決め及び仮固定がおこなえるので、バランスブロックを適正な位置に取り付ける取付作業が簡単に行え、そのうえで上記機械的及び水力的バランスを所望のバランスに調整できる。また、本発明にかかるポンプ用羽根車を備えた水中ポンプによれば、運転時の振動、騒音を効果的に抑制できる。
本発明の一実施形態にかかるポンプ用の羽根車を示す図で、(a)は、上面側(裏面側)から見た斜視図、(b)は、下面側(表面側)から見た斜視図である。 羽根車の内部形状を示す図で、軸方向に直交する面(図3(a)のE−E矢視断面)の断面図である。 羽根車の内部形状を示す図で、(a)乃至(d)はそれぞれ、図2のA−A,B−B,C−C,D−D矢視断面を示す図である。 バランスブロックの取付状態を示す図で、(a)は、図2のB−B矢視に対応する羽根車の断面図、(b)は、(a)のX部分拡大図、(c)は、(a)のY部分拡大図である。 本発明の一実施形態にかかるポンプ用羽根車を備えた水中ポンプの構成例を示す断面図である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかるポンプ用の羽根車の構成例を示す図で、同図(a)は、羽根車を軸方向の上面側(翼面の裏面側)から見た斜視図、同図(b)は、下面側(翼面の表面側)から見た斜視図である。また、図2及び図3は、羽根車の内部形状を示す図で、図2は、軸方向に直交する面(図3(a)のE−E矢視断面)の断面図であり、図3(a)乃至(d)はそれぞれ、図2のA−A,B−B,C−C,D−D矢視断面を示す図である。
各図に示すように、本実施形態の羽根車1は、径寸法が略一定の流路を有するノンクロッグ型の羽根車であって、ステンレスなどの鋳物で構成されている。この羽根車1は、略円筒状の本体部10を備え、該本体部10における軸方向の上端面(裏面)11の中心には、円柱状の突起からなるボス(取付部)12が形成されている。ボス12は、後述する水中ポンプ30の駆動軸55(図5参照)に取り付けられる。また、本体部10における軸方向の下端面(表面側の端面)15には、吸込部13が設けられており、本体部10の側面16には、吐出部14が設けられている。吸込部13は、下端面15の中央に形成された円筒状に突出する筒状部13aの内側に設けた略円形の開口からなる。吐出部14は、本体部10の側面16に設けた断面が略半円弧状の凹部として形成されており、本体部10の側面16の周方向に沿って、ほぼ全周に渡っている。本体部10の内部には、吸込部13から吐出部14に連通する流路18が設けられている。流路18は、軸方向から見て渦巻型であって、吸込部13から吐出部14に向かって中心軸からの距離が大きくなるように軸方向にのびる螺旋型に形成されている。流路18は、内部に異物が絡み難くなるように、その断面が径寸法略一定の略円形に形成されている。
本体部10の上端面11におけるボス12の外周側には、軸方向に窪んだ窪み21が形成されている。窪み21は、ボス12の周囲に形成した略円弧状の凹部であり、図3(a)〜(d)に示すように、流路18との間の本体部10の肉厚がほぼ均等になるように、流路18を避けた位置に窪んでいる。一方、本体部10の下端面15における吸込部13の外周側には、軸方向に窪んだ他の窪み22が形成されている。窪み22は、吸込部13の周囲に形成した環状の凹部であり、窪み21と同様、図3(a)〜(d)に示すように、流路18との間の本体部10の肉厚がほぼ均等になるように、流路18を避けた位置に窪んでいる。また、本体部10の上端面11の一部には、肉厚部27が設けられている。肉厚部27は、中心軸に対して非対称な形状を有する羽根車1の回転バランスを取るためのウェイトとして機能する部分で、ボス12の外周側の一部分に設けられている。
本体部10における上端面11の外周、すなわち窪み21の外周側には、上方に突出する円周縁状の上フランジ(フランジ部)23が形成されている。また、本体部10における下端面15の外周、すなわち窪み22の外周側には、下方に突出する円周縁状の下フランジ(フランジ部)25が形成されている。
そして、上フランジ23の上端の内周面23aには、板状のバランスブロック40が取り付けられている。図1に示すように、バランスブロック40は、円弧状に延びる帯型の外形を有する平板状の部材からなる。このバランスブロック40の長手方向における外側の端辺40aは、上フランジ23の内周面23aに沿う円弧型に形成されている。各図では、バランスブロック40は、下フランジ23の下端の内周面25aにも取り付けられている。
図4は、バランスブロック40の取付状態を示す図で、(a)は、図2のB−B矢視に対応する羽根車1の断面図、(b)は、(a)のX部分拡大図、(c)は、(a)のY部分拡大図である。同図に示すように、上フランジ23の上端の内周面23aには、周方向に延びる段部24が形成されている。また、バランスブロック40の端辺40a(端辺40aの側面)には、その長手方向に延びる段部41が形成されている。段部24と段部41は、互いに向き合うように配置された略L字型の断面形状を有しており、これら上フランジ23の段部24とバランスブロック40の段部41とが嵌合するようになっている。これら段部24,41によって、上フランジ23の内周面23aにバランスブロック40の端辺40aを嵌め合わせるための嵌合部50が構成されている。
すなわち、バランスブロック40は、端辺40aの段部41を上フランジ23の段部24に嵌め合わせることで、上フランジ23に対する位置決め及び仮固定がなされる。バランスブロック40は、上フランジ23に対して溶接(点溶接)などで本固定される。こうして、上フランジ23の内周面23aに取り付けられたバランスブロック40は、図1及び図4に示すように、その面がフランジ部23の内周面23aから本体部10の径方向の内側に延びており、窪み21に張り出した状態で設置されている。
また、図1及び図4に示すように、本体部10の下端面15側の下フランジ25にもバランスブロック40を取り付けることができる。この場合のバランスブロック40も円弧状の端辺40aを有する平板状の部材である。そして、下フランジ25の先端の内周面25aには、周方向に延びる段部26が形成されている。これにより、下フランジ25の段部26とバランスブロック40の段部と41が互いに嵌合する嵌合部50が構成されている。したがって、下フランジ25に取り付けられたバランスブロック40は、図1及び図4に示すように、その面がフランジ部25の内周面25aから本体部10の径方向の内側に延びており、窪み22に張り出した状態で設置されている。
また、上記工程で上フランジ23に取り付けたバランスブロック40の一部を機械加工によって削除することで、羽根車1のさらなるバランス調整が行える。具体的には、バランスブロック40の一部を削ったり穴を開けたりする機械加工を施して行う。
上記構成のバランスブロック40は、詳細な図示は省略するが、下記の要領で製作するとよい。すなわち、円形環状に形成された平板状のバランスブロック原型を用意して、それを長手方向(周方向)の複数箇所で径方向に切断して分割する。これにより、円弧型の端辺40aを有する複数個のバランスブロック40を容易に製作することができる。この場合、バランスブロック原型を分割する周方向の位置を適宜に設定することで、所望の大きさ及び質量のバランスブロック40を用意することができる。
なお、図1及び図4では、上フランジ23と下フランジ25の両方にバランスブロック40を取り付けた場合を示したが、バランスブロック40は、上フランジ23と下フランジ25のいずれか一方にのみ取り付けてもよい。また、図示は省略するが、上フランジ23又は下フランジ25に複数個のバランスブロック40を取り付けることも可能である。この場合、バランスブロック40は、上フランジ23の内周面23a又は下フランジ25の内周面25aの周方向に沿う複数箇所に取り付けるようにする。
本実施形態の羽根車1では、上フランジ23の内周面23aに取り付けたバランスブロック40(下フランジ25の内周面25aに取り付けたバランスブロック40を含む、以下同じ。)によって、羽根車1のバランス調整を行うことができる。この場合、バランスブロック40は、上フランジ23の内周面23aに沿う円弧状の端辺40aを有しているので、上フランジ23の内周面23aの周方向における任意の位置に取り付けることができる。したがって、羽根車1の本体部10の鋳型形状を変更せずにバランス調整が行えるようになり、バランス調整の作業が行い易くなる。
また、羽根車1のバランス調整は、羽根車1に取り付けたバランスブロック40を削ったり穴を開けたりすることでも行える。これによれば、羽根車1の本体部10を削ったり穴を開けたりする場合と比較して、機械加工が容易になり、バランス調整に要する手間と時間を削減できる。また、厚みなどの寸法を正確に把握できるバランスブロック40を削ったり穴を開けたりしてバランス調整を行うので、削り取る分量や開ける穴の深さなどがわかり易い。したがって、正確なバランス調整が簡単に行えるようになる。
また、形状分布や質量が互いに異なる複数種類のバランスブロック40を用意しておけば、羽根車1に取り付けるバランスブロック40を適宜に選択することで、羽根車1の機械的及び水力的バランスを所望のバランスに調整できる。
また、本実施形態では、上フランジ23の内周面23aに形成した周方向に延びる段部24と、バランスブロック40の端辺40aに形成した段部41とを嵌め合わせる構成の嵌合部50を備えている。したがって、嵌合部50を嵌め合わせることで、バランスブロック40の位置決め及び仮固定が行える。したがって、バランスブロック40の取付作業が簡単に行えるようになる。また、バランスブロック40を正確な位置に取り付けることができる。
また、本実施形態の羽根車1では、本体部10の上端面11には、軸方向に窪んだ窪み21が形成されている。そして、バランスブロック40は、その面が上フランジ23の内周面23aから径方向の内側に向かって(羽根車1の回転軸に対して垂直な方向に)延びており、窪み21内に張り出している。この構成により、バランスブロック40が羽根車1の内側におさまるので、バランスブロック40を取り付けたことによって、羽根車1の外形寸法に変更を及ぼさずに済む。また、後述する水中ポンプ30の運転において羽根車1が回転する際、バランスブロック40が流体の流れに与える影響を最小限に抑えることができる。
図5は、上記構成の羽根車1を備えた水中ポンプ30の構成例を示す断面図である。水中ポンプ30は、ポンプ部31とモータ部51とを備えている。ポンプ部31は、羽根車1と、羽根車1を覆うポンプケーシング32とで構成されており、モータ部51は、羽根車1を回転させる密閉型のモータ(水中モータ)52と、モータ52を覆うモータケーシング53とで構成されている。モータ52は、ステータおよびロータ(いずれも図示せず)からなり、ロータの中心部分には、上下方向に延びる駆動軸55が設置されている。駆動軸55は、軸受54によって回転自在に支持されている。駆動軸55の下端には、ポンプケーシング32内の羽根車1が固定されており、モータ52の回転駆動力が羽根車1に伝達されるようになっている。
ポンプケーシング32は、吸込口32aと吐出口32bとを有し、モータ部51の下端に設置した中間ケーシング56に対してボルト57で固定されている。ポンプケーシング32の吸込口32aには、下方に延びる吸込管33が接続されており、吐出口32bには、横向きに開口する吐出管(図示せず)が接続されている。また、吐出口32bの上部には、空気抜き弁37が設置されている。ポンプケーシング32の内部には、側壁32cで外周側を囲まれたポンプ室35が形成されている。ポンプ室35には、羽根車1が設置されている。羽根車1は、図1乃至図4に示す構造のもので、ボス12が駆動軸55の下端にボルト36で固定されている。
上記構成の水中ポンプ30では、モータ52によって駆動された駆動軸55が回転すると、ポンプケーシング32内の羽根車1が回転する。羽根車1の回転により、吸込管33を通してポンプケーシング32の吸込口32aから汚水が吸い込まれる。ポンプケーシング32内に吸い込まれた汚水は、回転する羽根車1の遠心力で、吸込部13から羽根車1の流路18を通って吐出部14に達する。吐出部14に達した汚水は、ポンプケーシング32の吐出口32bから吐出される。
本実施形態の水中ポンプ30によれば、羽根車1に上記構成のバランスブロック40を取り付けていることで、羽根車1の水力的バランスを確保できる。したがって、運転時の振動、騒音を抑制することができ、耐久性に優れた水中ポンプ30となる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、上フランジ23の内周面23aとバランスブロック40の端辺40aとの間に設けた嵌合部50は、両者に形成した略L字型の断面を有する段部24,41が嵌合する構成である場合を示したが、嵌合部50は、他の形状であってもよい。例えば、図示は省略するが、上フランジ23の内周面23aとバランスブロック40の端辺40aとのいずれか一方に形成した溝状の段部と他方に形成した突起状の段部とが嵌合する構成であってもよい。
また、上記実施形態に示す羽根車1に取り付けたバランスブロック40の具体的な数、配置、形状はいずれも一例であり、バランスブロック40は、羽根車1の上フランジ23又は下フランジ25の内周側に取り付けたものであれば、上記実施形態に示す以外の数、配置、形状であってもよい。また、バランスブロック40の固定手段は、上記実施形態に示す溶接にはかぎらず、他の手段で固定されていてもよい。
1 羽根車
10 本体部
11 上端面
12 ボス(取付部)
13 吸込部
14 吐出部
15 下端面
16 側面
18 流路
21,22 窪み
23 上フランジ(フランジ部)
23a 内周面
24 段部
25 下フランジ(フランジ部)
25a 内周面
26 段部
27 肉厚部(ウェイト)
30 水中ポンプ
31 ポンプ部
32 ポンプケーシング
40 バランスブロック
40a 端辺
41 段部
50 嵌合部
51 モータ部
52 モータ
53 モータケーシング
54 軸受
55 駆動軸

Claims (4)

  1. 軸方向の一端の中央に取付部を設けた略円筒状の本体部と、前記本体部の軸方向の他端の中央に設けた吸込部と、前記本体部の側面に開口する吐出部と、前記本体部の内部で軸方向から見て渦巻型に形成されて前記吸込部から前記吐出部に連通する流路と、を備えるノンクロッグ型のポンプ用羽根車であって、
    前記本体部における軸方向の一端の外周と他端の外周との少なくともいずれかには、円周縁状のフランジ部が設けられており、該フランジ部の内周面には円周方向に延びる段部が形成されており、
    前記フランジ部の内周側に外側面が該フランジ部の内周面に沿う形状の円弧面を有し、該円弧面に円弧方向に延びる段部が形成された平板状部材からなるバランスブロックをその段部を前記フランジ部の段部に嵌合させて取り付けた
    ことを特徴とするポンプ用羽根車。
  2. 前記本体部の一端又は他端における前記フランジ部の内周側には、軸方向に窪んだ窪みが形成されており、
    前記バランスブロックは、その面が前記フランジ部から前記本体部の径方向の内側に延びており、前記窪みに張り出すように取り付けられている
    ことを特徴とする請求項1に記載のポンプ用羽根車。
  3. 請求項1又は2に記載のポンプ用羽根車と、前記ポンプ用羽根車を収容するポンプケーシングと、前記ポンプ羽根車を駆動するモータと、を備えたことを特徴とする水中ポンプ。
  4. 軸方向の一端の中央に取付部を設けた略円筒状の本体部と、前記本体部の軸方向の他端の中央に設けた吸込部と、前記本体部の側面に開口する吐出部と、前記本体部の内部で軸方向から見て渦巻型に形成されて前記吸込部から前記吐出部に連通する流路と、前記本体部における軸方向の一端の外周と他端の外周との少なくともいずれかに設けた円周縁状のフランジ部と、を備えるノンクロッグ型のポンプ用羽根車のバランス調整方法であって、
    前記円周縁状のフランジ部の内周面には円周方向に延びる段部が形成されており、
    前記フランジ部の内周側に外側面が該フランジ部の内周面に沿う形状の円弧面に形成され、該円弧面に円弧方向に段部が形成された平板状部材からなるバランスブロックをその段部を前記フランジ部の内周面の段部に嵌合させて取り付ける工程と、
    前記フランジ部に取り付けた前記バランスブロックの一部を機械加工によって削除する工程と、を有する、
    ことを特徴とするポンプ用羽根車のバランス調整方法。
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