JP5511291B2 - スズ含有廃棄物の精製方法及びガラスの澄泡剤 - Google Patents

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Description

本発明は、スズ(Sn)及びスズ酸化物(SnO等)を含有するスズ含有廃棄物からガラスの澄泡剤として有用な酸化スズ精製物を精製することができるスズ含有廃棄物の精製方法及び該スズ含有廃棄物の精製方法により精製された酸化スズ精製物に関する。
金属スズは、鉱石から製錬することで得られる。即ち、金属スズの原鉱は、錫石であり、該錫石の精鉱を、溶鉱炉、反射炉、電気炉等で乾式法によって処理し、得られた粗錫を電解することにより得られる。また、スズ酸化物は、ガラス製造時の澄泡剤として広く用いられている(特許文献1参照)。このようなスズ酸化物の製造方法としては、下記化学式で示すように、金属スズを硝酸に溶解し、生成したメタスズ酸沈殿物を回収し、これを焼成する方法が提案されている(特許文献2参照)。
しかし、この提案の製造方法では、得られるスズ酸化物が強固な結晶構造となり、電気導電性は向上するが、ガラス中での溶解性が悪くなり、清澄性能が低下してしまうという問題がある。
これに対し、本発明者らは、先に、スズ及びスズ酸化物を含有するスズ含有廃棄物を、水及び酸溶液の少なくともいずれかと混合してなるスラリー中のスズ及びスズ酸化物以外の成分を溶解する溶解工程と、スラリーを固液分離してスズ酸化物を精製する精製工程と、を含むスズ含有廃棄物の精製方法を提案している(特願2008−207574号参照)。この提案によれば、低エネルギー、低コストでのスズ酸化物の精製が可能であり、得られた酸化スズ精製物はガラスの澄泡剤として利用できる。
しかし、この提案の精製方法では、スズ含有廃棄物中にカルシウムが存在する場合、塩酸で溶解しているが、より多くのカルシウムを溶解させるために塩酸の使用量を増やすと、酸化スズ精製物中の塩素残留量の増加を招き、逆に、塩酸使用量を減らすと、酸化スズ精製物中のカルシウム残留量の増加が認められる。
このように酸化スズ精製物中のカルシウム残留量及び塩素残留量が多くなると、ガラス澄泡剤としての性能が低下してしまうという問題がある。
この場合、洗浄を繰り返すことにより塩素濃度を低下させることは可能であるが、粒子径が数マイクロメートルの細かいスズ含有廃棄物では、リパルプ工程、洗浄工程、及び脱水工程を複数回繰り返す必要がある。また、粒子が細かいと濾過性が悪くなり、膨大な時間がかかることから、生産性とコスト面で実用的なものではないという課題がある。
特開2004−075498号公報 特開2008−056514号公報
本発明は、従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、スズ及びスズ酸化物を含有するスズ含有廃棄物から酸化スズを精製し、塩素含有量、及びカルシウム含有量が少なく、ガラスの澄泡剤として再利用が可能な酸化スズ精製物を効率よく精製できるスズ含有廃棄物の精製方法及び酸化スズ精製物を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、リパルプ工程と、溶解工程とを少なくとも含むスズ含有廃棄物の精製方法における前記溶解工程において、廃棄物スラリーのpHを10〜14から1〜4.5まで30分間以内で低下させることにより、スズ含有廃棄物中のカルシウムの残存量と塩酸使用量の関係を、スズ含有廃棄物の精製方法におけるリパルプ工程、洗浄工程、及び脱水工程を複数回繰り返すことなく調整でき、同量の塩酸使用量でスズ含有廃棄物中のカルシウムをより多く除去できることを知見した。
また、局所的にpHが低下し、カルシウム化合物の粒子及びカルシウムと、スズ及びスズ酸化物とが混在した粒子が溶解することや、カルシウムの存在形態による溶解度の違いから、一時的なpH低下により酸化スズ精製物中のカルシウム含有量が増加することを知見した。
また、単にpHを低く調整しただけでは除去されないカルシウム成分を除去することができ、塩酸使用量を大きく増加させていないため、酸化スズ精製物中の塩素濃度も低く抑えられることを知見した。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> スズ及びスズ酸化物を含有するスズ含有廃棄物に、水及び酸溶液の少なくともいずれかを添加して廃棄物スラリーを調製するリパルプ工程と、
前記廃棄物スラリーと酸溶液を混合してスズ及びスズ酸化物以外の成分を溶解する溶解工程とを少なくとも含み、
前記溶解工程において、前記廃棄物スラリーのpHを10〜14から1〜4.5まで30分間以内で低下させることを特徴とするスズ含有廃棄物の精製方法である。
<2> 溶解工程において、廃棄物スラリーのpHを10〜14から1〜4.5まで1分間以内で低下させる前記<1>に記載のスズ含有廃棄物の精製方法である。
<3> 溶解工程において、廃棄物スラリーのpHを10〜14から、毎分pH1〜12の速度で低下させる前記<1>から<2>のいずれかに記載のスズ含有廃棄物の精製方法である。
<4> 溶解工程において、廃棄物スラリー中に酸溶液を添加し、攪拌する前記<1>から<3>のいずれかに記載のスズ含有廃棄物の精製方法である。
<5> 溶解工程において、酸溶液中に廃棄物スラリーを添加し、攪拌する前記<1>から<3>のいずれかに記載のスズ含有廃棄物の精製方法である。
<6> 溶解工程において、廃棄物スラリーと酸溶液を同一容器内で混合する前記<1>から<3>のいずれかに記載のスズ含有廃棄物の精製方法である。
<7> 溶解工程において、廃棄物スラリーと酸溶液を送液中で混合する前記<1>から<3>のいずれかに記載のスズ含有廃棄物の精製方法である。
<8> 酸溶液が塩酸である前記<1>から<7>のいずれかに記載のスズ含有廃棄物の精製方法である。
<9> スズ含有廃棄物中のカルシウム量と、塩酸とのモル比(Cl/Ca)が1.6〜2.2となるように、廃棄物スラリーに塩酸を30分間以内で添加する前記<8>に記載のスズ含有廃棄物の精製方法である。
<10> スズ含有廃棄物が、太陽電池基板を製造する際の酸化スズを蒸着する工程で発生する廃棄物である前記<1>から<9>のいずれかに記載のスズ含有廃棄物の精製方法である。
<11> スズ含有廃棄物が、太陽電池基板を製造する際の酸化スズの被覆工程、表面処理工程、真空蒸着工程、並びに薄膜スパッタリング工程で発生する廃棄物であり、かつ該廃棄物がアルカリ土類金属又はアルカリ金属を含有している前記<1>から<9>のいずれかに記載のスズ含有廃棄物の精製方法である。
<12> スズ含有廃棄物が、太陽電池基板を製造する際の酸化スズを蒸着する工程で排出される排ガスをアルカリ土類金属化合物又はアルカリ金属化合物によって中和して得られる粉状乃至スラリー状の廃棄物であり、かつ該廃棄物がカルシウムを5質量%〜60質量%含有している前記<1>から<9>のいずれかに記載のスズ含有廃棄物の精製方法である。
<13> 前記<1>から<12>のいずれかに記載のスズ含有廃棄物の精製方法により精製されたことを特徴とする酸化スズ精製物である。
<14> 酸化スズ精製物中のカルシウム含有量が、乾燥質量で1.5質量%以下である前記<13>に記載の酸化スズ精製物である。
<15> ガラスの澄泡剤として再利用される前記<13>から<14>のいずれかに記載の酸化スズ精製物である。
本発明によると、従来における問題を解決することができ、スズ及びスズ酸化物を含有するスズ含有廃棄物から酸化スズを精製し、塩素含有量、及びカルシウム含有量が少なく、ガラスの澄泡剤として再利用が可能な酸化スズ精製物を効率よく精製できるスズ含有廃棄物の精製方法及び酸化スズ精製物を提供することができる。
図1は、比較例1〜4及び実施例1〜3、参考例4の溶解工程のpHと酸化スズ精製物のCa含有量を示す図である。 図2は、ガラスの泡数の測定部位を示す模式図である。
(スズ含有廃棄物の精製方法)
本発明のスズ含有廃棄物の精製方法は、リパルプ工程と、溶解工程とを少なくとも含み、精製工程、洗浄工程、乾燥工程、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
<リパルプ工程>
前記リパルプ工程は、スズ及びスズ酸化物を含有するスズ含有廃棄物に、水及び酸溶液の少なくともいずれかを添加して廃棄物スラリーを調製する工程であり、処理量に見合った投入口と攪拌機を有するリパルプ装置を用いて行うことができる。
前記リパルプ工程においては、スズ及びスズ酸化物を含有するスズ含有廃棄物と水を混合してスズ含有廃棄物の塊をほぐし、スラリー状とすることが好ましい。
前記水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば水道水、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。
前記リパルプ工程においては、前記スズ含有廃棄物の塊がもともとほぐし易い場合、又は処理系内の使用水量を制限したい場合は、スズ含有廃棄物に酸溶液を加え、酸溶液とスズ含有廃棄物との廃棄物スラリーとしてもよい。
前記酸溶液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば塩酸、硫酸、硝酸、などが挙げられる。これらの中でも、塩酸が特に好ましい。
−スズ含有廃棄物の組成−
前記スズ含有廃棄物は、スズ及びスズ酸化物を含有する廃棄物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば(1)太陽電池基板を製造する際の酸化スズを蒸着する工程で発生する廃棄物、(2)太陽電池基板を製造する際の酸化スズの被覆工程、表面処理工程、真空蒸着工程、並びに薄膜スパッタリング工程で発生する廃棄物であり、かつ該廃棄物がアルカリ土類金属又はアルカリ金属を含有しているもの、(3)酸化スズの蒸着工程から排出される排ガスをアルカリ土類金属化合物又はアルカリ金属化合物によって中和して得られた粉状乃至スラリー状の廃棄物であり、かつ該廃棄物がカルシウムを5質量%〜60質量%含有しているもの、などが挙げられる。前記スズ含有廃棄物は、アルカリ性であることが好ましい。
なお、前記スズ含有廃棄物の組成としては、精製目的であるスズ及びスズ酸化物以外の不純物の含有量は少ない方が好ましい。
<溶解工程>
前記溶解工程は、前記廃棄物スラリーと酸溶液を混合してスズ及びスズ酸化物以外の成分を溶解する工程である。
前記溶解工程においては、前記廃棄物スラリーのpHを10〜14から1〜4.5まで30分間以内で低下させることでスズ酸化物以外の成分を溶解させる。このpH低下は、実機操業などで処理量が膨大である場合、この速度で全体的なpH低下を起こせない場合があるが、速いほうがよく、pHを10〜14から1〜4.5まで10分間以内で低下させることが好ましく、pHを10〜14から1〜4.5まで1分間以内で低下させることがより好ましい。
また、pH低下の速度は、pH10〜14から、毎分1〜12の速度が好ましく、毎分2〜10の速度がより好ましい。
なお、廃棄物スラリーのpHが10〜14から一時的にpH1〜4.5に低下した後に、それ以上のpHとなる状態も含まれる。
前記溶解工程における廃棄物スラリーと酸溶液の混合方法としては、pHが10〜14の範囲である廃棄物スラリーと酸溶液の混合によってpH1〜4.5の範囲まで短時間で低下できればどのような混合方法であってもよく、例えば、(1)廃棄物スラリー中に酸溶液を添加し、攪拌する方法、(2)酸溶液中に廃棄物スラリーを添加し、攪拌する方法、(3)攪拌中の酸溶液中に廃棄物スラリーを添加する方法、(4)廃棄物スラリーと酸溶液を同一容器内で混合する方法、(5)廃棄物スラリーと酸溶液を送液中に混合する方法、などが挙げられる。
なお、ラインミキサー等で送液中に酸溶液とスズ含有廃棄物を混合することにより、処理量が多くても急激なpH低下を起こす方法をとってもよい。
前記酸溶液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば塩酸、硫酸、硝酸、などが挙げられる。これらの中でも、カルシウムを除去する点で塩酸が特に好ましい。また、排水処理の観点からも塩酸の使用が好ましい。
前記酸溶液の添加量は、スズ含有廃棄物中のカルシウム成分1gに対し0.5g〜3.0gが好ましく、1.4g〜2.0gがより好ましい。
スズ含有廃棄物中のカルシウム量と、塩酸とのモル比(Cl/Ca)が1.6〜2.2となるように、廃棄物スラリーに塩酸を30分間以内で添加することが好ましい。
前記スズ及びスズ酸化物以外の成分としては、例えばナトリウム、マグネシウム、カルシウム、リン酸、硫黄、フッ素、などが挙げられる。
前記溶解工程の酸添加後のpHは、7以下が好ましく、0.5〜4.5がより好ましい。前記pHが、0.5未満であると、排水の中和にコストがかかる上に、酸化スズ精製物中の塩素濃度が上昇することがある。一方、前記pHが7を超えると、スズ含有廃棄物中の酸化スズ以外の成分、特に消石灰などの溶解効率が極端に低下することがある。
前記溶解工程における反応時間は、長いほど好ましく、例えば0.5時間〜6時間である。
前記溶解工程は、反応温度による酸化スズ精製物の品位に大きな違いはないが、中和熱が発生するため、冷却設備を設けることが好ましい。
前記廃棄物スラリーと酸溶液を混合する際の廃棄物スラリーの濃度は、5質量%〜50質量%が好ましく、10質量%〜30質量%がより好ましい。前記廃棄物スラリーの濃度による酸化スズ精製物の品位に大きな違いはないが、前記廃棄物スラリーの濃度が、5質量%未満であると、生産効率が低下することがあり、50質量%を超えると、酸化スズ精製物の品位や攪拌操作、濾過操作に影響を与えることがある。また、必要に応じて反応槽へ廃棄物スラリーを直接投入して、廃棄物スラリー濃度を調整することも可能である。
<精製工程>
前記精製工程は、スズ及びスズ酸化物以外の成分を溶解した廃棄物スラリーを固液分離して酸化スズを精製する工程である。
前記固液分離としては、特に制限はなく、一般的な固形物の脱水、固液分離装置等を使用することができ、例えばフィルタープレス、ドラムフィルター、スクリュープレスなどが挙げられる。また、遠心分離による分離も可能である。これらの中でも、廃棄物スラリー中の酸化スズ粒子の粒径が細かいことから、フィルタープレスのような加圧式の濾過機が好適である。なお、この精製工程から排出される濾液(排水)は、塩化カルシウムが主体であり、高濃度であるため、中和剤としての再利用が可能である。
−洗浄工程−
前記洗浄工程は、固液分離された固形分を洗浄して酸化スズ精製物を得る工程である。
前記洗浄としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば濾過後にリパルプせずに通水のみによる洗浄を行っても、リパルプして洗浄を行い、再度脱水してもよい。通水のみの洗浄を行う場合、通水量の目安は脱水量の1〜3倍量の水量とする。それ以上洗浄しても、品位の大きな向上はみられない。
−乾燥工程−
前記乾燥工程は、前記洗浄工程で得られた酸化スズ精製物を乾燥する工程である。
前記酸化スズ精製物の乾燥方法としては、酸化スズ精製物を乾燥できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば一般的な乾燥機、乾燥炉、バンドドライヤ、ロータリードライヤ、ドラムドライヤ、スプレードライヤ等の使用が可能であり、熱風乾燥、真空乾燥、マイクロ波の利用、赤外線の利用等が適用可能である。
前記乾燥工程における温度は、水を蒸発させる程度の温度が好ましく、例えば105℃程度で乾燥させてもよく、又はそれ以上の温度をかけて乾燥時間を減らしてもよいが、200℃〜250℃の熱風乾燥が一般的である。
本発明のスズ含有廃棄物の精製方法によれば、酸化スズ精製物におけるカルシウム残留量の問題を解決することができ、スズ及びスズ酸化物を含有するスズ含有廃棄物からガラスの澄泡剤として再利用できる酸化スズ精製物を効率よく精製することができる。
(酸化スズ精製物)
本発明の酸化スズ精製物は、本発明の前記スズ含有廃棄物の精製方法により精製される。
前記酸化スズ精製物中のカルシウム含有量は、乾燥質量で1.5質量%以下であることが好ましく、1.25質量%以下であることがより好ましい。前記カルシウム含有量が1.5質量%を超えると、リサイクル品としての価値の低下や、ガラスの澄泡剤としての性能が低下することがある。
前記カルシウム含有量は、例えば高周波プラズマ発光分光分析装置などにより測定することができる。
−用途−
前記酸化スズ精製物は、例えばガラスの澄泡剤、はんだ、ブリキ、電線、伸銅品、瓦や陶磁器の顔料、導電材料、などに用いられる。これらの中でも、ガラスの澄泡剤が特に好ましい。
前記酸化スズ精製物をガラスの澄泡剤として再利用することがエネルギーの消費量を削減し、環境負荷を下げることができガラス製造における環境負荷を低減する点、資源の有効利用の点で好ましい。また、酸化スズ精製物を用いることはヒ素やアンチモン等のように有害でない点でも好ましい。
前記澄泡剤は、ガラス中の泡をなくすことができるので、例えば液晶ディスプレイ用ガラス基板、磁気ディスク用ガラス、CD、MD、DVD、その他各種光ディスクシステムの光ピックアップレンズ、ビデオカメラ、一般のカメラの撮影用レンズ等の光学レンズ;CCD、CMOS等の固体撮像素子等のカバーガラスなどに好適に用いられる。
前記ガラスの組成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばSiOが40質量%〜65質量%、Alが10質量%〜20質量%、Bが8質量%〜12質量%、MgOが2質量%〜6質量%、CaOが2質量%〜8質量%、SrOが6質量%〜10質量%であり、ガラスの澄泡剤として利用するSnOの濃度は0.01質量%〜1質量%が好ましい。
その他必要に応じて、清澄、着色、消色等の目的で清澄剤や着色剤等を前記ガラス組成に適量添加してもよい。
前記ガラスの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、各成分の原料として各々相当する酸化物、炭酸塩、硝酸塩、リン酸塩、正リン酸等を用い、所望の割合に秤量し、粉末又は液体で十分に混合して調合原料とする。この調合原料を、例えば所定の溶融温度に加熱された電気炉中の石英るつぼ又は白金坩堝に投入し、溶融清澄後、攪拌し、均質化して予め加熱しておいた鉄製の鋳型に鋳込み、徐冷して製造する。
前記溶融温度は、1,300℃〜1,700℃が好ましく、液晶ガラスにおいては、溶融温度は1,500℃〜1,700℃がより好ましい。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
−スズ含有廃棄物の精製−
精製に用いたスズ含有廃棄物中のSn、Ca、及びClの濃度を表1に示す。このスズ含有廃棄物は、太陽電池基板の製造方法における酸化スズの蒸着工程で生じたものである。
前記スズ含有廃棄物30gをイオン交換水270gに混合して、廃棄物スラリーを調製した(リパルプ工程)。この廃棄物スラリーのpHは12であった。塩酸(和光純薬株式会社製、一級塩酸、純度35%〜37%)27.6ml中に、前記廃棄物スラリーを一挙に添加し、攪拌し、60分間反応させた(溶解工程)。その時のpH低下速度は10.5pH低下/分であった。廃棄物スラリー添加後のpHは1.3であった。なお、pHは、以下に記載の方法により測定した。
次に、廃棄物スラリーをNo.5C濾紙により濾過し、その後、洗浄水を300ml通水し、洗浄した(洗浄工程)。得られた含水固形物を105℃で乾燥させて、酸化スズ精製物を得た。得られた酸化スズ精製物の組成を、以下のようにして分析した。分析の結果、酸化スズ精製物中のCa含有量は0.46質量%、Cl含有量は0.31質量%であった。結果を表2に示す。
<pHの測定>
廃棄物スラリーのpHはpH電極(GST−5311C、東亜DKK社製)により、直接ビーカ中のスラリーに電極を挿入して測定した。
<固形物中のカルシウムの分析>
カルシウムについては、0.5gのスズ含有廃棄物及び酸化スズ精製物を王水中で乾固直前まで加温溶解し、ろ過後、イオン交換水で100mlまでメスアップし、分析用溶液を得た。その溶液を高周波プラズマ発光分光分析装置(日本ジャーレル・アッシュ株式会社製、ICAP−575II)により分析し、その濃度から固形物中のカルシウム濃度を計算した。
<固形物中の塩素の分析>
塩素については、0.5gのスズ含有廃棄物及び酸化スズ精製物をイオン交換水(pH5.8〜6.3)100mlで6時間振とうし、振とう後の液をろ過して、イオンクロマト分析装置(日本ダイオネクス株式会社製、DX−120)により、塩素濃度を分析した。
<酸化スズの分析及びその他の成分の分析>
SnO及びその他の成分については、波長分散型X線装置(リガク社製、ZSX PrimusII)により分析した。
参考例2)
−スズ含有廃棄物の精製−
実施例1と同様のスズ含有廃棄物30g、及びイオン交換水270gを混合し、廃棄物スラリーを調製した。この廃棄物スラリーのpHは12であった。塩酸(和光純薬株式会社製、一級塩酸、純度35%〜37%)22ml中に、前記廃棄物スラリーを一挙に添加し、攪拌し、60分間反応させた。その時のpH低下速度は10pH低下/分であった。廃棄物スラリー添加後のpHは2.0であった。
次に、スラリーをNo.5C濾紙により濾過し、その後、洗浄水を300ml通水し、洗浄した。得られた含水固形物を105℃で乾燥させて、酸化スズ精製物を得た。
得られた酸化スズ精製物の組成を実施例1と同様にして分析した。得られた酸化スズ精製物中のCa含有量は1.55質量%、Cl含有量は0.03質量%であった。結果を表2に示す。
参考例3)
−スズ含有廃棄物の精製−
実施例1と同様のスズ含有廃棄物30g、及びイオン交換水270gを混合し、廃棄物スラリーを調製した。この廃棄物スラリーのpHは12であった。塩酸(和光純薬株式会社製、一級塩酸、純度35%〜37%)21.1ml中に、前記廃棄物スラリーを一挙に添加し、攪拌し、60分間反応させた。その時のpH低下速度は7.5pH低下/分であった。廃棄物スラリー添加後のpHは4.5であった。
次に、スラリーをNo.5C濾紙により濾過し、その後、洗浄水を300ml通水し、洗浄した。得られた含水固形物を105℃で乾燥させて、酸化スズ精製物を得た。得られた酸化スズ精製物の組成を実施例1と同様にして分析した。得られた酸化スズ精製物中のCa含有量は1.99質量%、Cl含有量は0.08質量%であった。結果を表2に示す。
(参考例4)
−スズ含有廃棄物の精製−
実施例1と同様のスズ含有廃棄物30g、及びイオン交換水270gを混合し、廃棄物スラリーを調製した。この廃棄物スラリーのpHは12であった。塩酸(和光純薬株式会社製、一級塩酸、純度35%〜37%)21ml中に、前記廃棄物スラリーを一挙に添加し、攪拌し、60分間反応させた。その時のpH低下速度は2.1pH低下/分であった。廃棄物スラリー添加後のpHは9.9であった。
次に、スラリーをNo.5C濾紙により濾過し、その後、洗浄水を300ml通水し、洗浄した。得られた含水固形物を105℃で乾燥させて、酸化スズ精製物を得た。得られた酸化スズ精製物の組成を実施例1と同様にして分析した。得られた酸化スズ精製物中のCa含有量は2.84質量%、Cl含有量は0.93質量%であった。結果を表2に示す。
(実施例5)
−スズ含有廃棄物の精製−
実施例1と同様のスズ含有廃棄物30g、及びイオン交換水270gを混合し、廃棄物スラリーを調製した。この廃棄物スラリーpHは12であった。前記廃棄物スラリーに塩酸(和光純薬株式会社製、一級塩酸、純度35%〜37%)27.6mlを一挙に添加し、攪拌し、60分間反応させた。その時のpH低下速度は10.9pH低下/分であった。塩酸添加後のpHは1.4であった。
次に、スラリーをNo.5C濾紙により濾過し、その後、洗浄水を300ml通水し、洗浄した。得られた含水固形物を105℃で乾燥させて、酸化スズ精製物を得た。得られた酸化スズ精製物の組成を実施例1と同様にして分析した。得られた酸化スズ精製物中のCa含有量は0.7質量%、Cl含有量は0.3質量%であった。結果を表2に示す。
参考例6)
−スズ含有廃棄物の精製−
実施例1と同様のスズ含有廃棄物30g、及びイオン交換水270gを混合し、廃棄物スラリーを調製した。この廃棄物スラリーのpHは12であった。前記廃棄物スラリーに塩酸(和光純薬株式会社製、一級塩酸、純度35%〜37%)20.9mlを一挙に添加し、攪拌し、60分間反応させた。その時のpH低下速度は7.6pH低下/分であった。塩酸添加後のpHは4.5であった。
次に、スラリーをNo.5C濾紙により濾過し、その後、洗浄水を300ml通水し、洗浄した。得られた含水固形物を105℃で乾燥させて、酸化スズ精製物を得た。得られた酸化スズ精製物の組成を実施例1と同様にして分析した。得られた酸化スズ精製物中のCa含有量は2.08質量%であった。結果を表2に示す。
(実施例7)
−スズ含有廃棄物の精製−
実施例1と同様のスズ含有廃棄物30g、及びイオン交換水270gを混合し、廃棄物スラリーを調製した。この廃棄物スラリーのpHは12であった。前記廃棄物スラリーと塩酸(和光純薬株式会社製、一級塩酸、純度35%〜37%)27.6mlを同一容器で攪拌しながら合流させ、60分間攪拌し、反応させた。その時のpH低下速度は10.7pH低下/分であった。塩酸添加後のpHは1.2であった。
次に、スラリーをNo.5C濾紙により濾過し、その後、洗浄水を300ml通水し、洗浄した。得られた含水固形物を105℃で乾燥させて、酸化スズ精製物を得た。得られた酸化スズ精製物の組成を実施例1と同様にして分析した。得られた酸化スズ精製物中のCa含有量は0.5質量%、Cl含有量は0.3質量%であった。結果を表2に示す。
参考例8)
−スズ含有廃棄物の精製−
実施例1と同様のスズ含有廃棄物30g、及びイオン交換水270gを混合し、廃棄物スラリーを調製した。この廃棄物スラリーのpHは12であった。前記廃棄物スラリーと塩酸(和光純薬株式会社製、一級塩酸、純度35%〜37%)21.3mlを同一容器で攪拌しながら合流させ、60分間攪拌し、反応させた。その時のpH低下速度は7.6pH低下/分であった。塩酸添加後のpHは4.5であった。
次に、スラリーをNo.5C濾紙により濾過し、その後、洗浄水を300ml通水し、洗浄した。得られた含水固形物を105℃で乾燥させて、酸化スズ精製物を得た。得られた酸化スズ精製物の組成を実施例1と同様にして分析した。得られた酸化スズ精製物中のCa含有量は1.84質量%であった。結果を表2に示す。
(比較例1)
−スズ含有廃棄物の精製−
実施例1と同様のスズ含有廃棄物30g、及びイオン交換水270gを混合し、廃棄物スラリーを調製した。この廃棄物スラリーのpHは12であった。廃棄物スラリー中に塩酸(和光純薬株式会社製、一級塩酸、純度35%〜37%)を27.6ml添加し、60分間攪拌させて反応させた。塩酸の添加によるpH調整は60分間かけて行い、その後反応時間として60分間反応させた。反応終了後のpHは1.3であった。
次に、スラリーをNo.5C濾紙により濾過し、その後、洗浄水を300ml通水した。得られた含水固形物を105℃で乾燥させて、酸化スズ精製物を得た。得られた酸化スズ精製物の組成を実施例1と同様にして分析した。得られた酸化スズ精製物中のCa含有量は0.83質量%、Cl含有量は0.29質量%であった。結果を表2に示す。
(比較例2)
−スズ含有廃棄物の精製−
実施例1と同様のスズ含有廃棄物30g、及びイオン交換水270gを混合し、廃棄物スラリーを調製した。この廃棄物スラリーのpHは12であった。廃棄物スラリー中に塩酸(和光純薬株式会社製、一級塩酸、純度35%〜37%)を21.4ml添加し、攪拌させて反応させた。塩酸の添加によるpH調整は60分間かけて行い、その後反応時間として60分間攪拌した。反応終了後のpHは1.9であった。
次に、スラリーをNo.5C濾紙により濾過し、その後、洗浄水を300ml通水した。得られた含水固形物を105℃で乾燥させて、酸化スズ精製物を得た。得られた酸化スズ精製物の組成を実施例1と同様にして分析した。得られた酸化スズ精製物中のCa含有量は1.84質量%、Cl含有量は0.05質量%であった。結果を表2に示す。
(比較例3)
−スズ含有廃棄物の精製−
実施例1と同様のスズ含有廃棄物30g、及びイオン交換水270gを混合し、廃棄物スラリーを調製した。この廃棄物スラリーのpHは12であった。廃棄物スラリー中に塩酸(和光純薬株式会社製、一級塩酸、純度35%〜37%)を21.2ml添加し、攪拌させて反応させた。塩酸の添加によるpH調整は60分間かけて行い、その後反応時間として60分間攪拌した。反応終了後のpHは4.5であった。
次に、スラリーをNo.5C濾紙により濾過し、その後、洗浄水を300ml通水した。得られた含水固形物を105℃で乾燥させて、酸化スズ精製物を得た。得られた酸化スズ精製物の組成を実施例1と同様にして分析した。得られた酸化スズ精製物中のCa含有量は2.36質量%、Cl含有量は0.05質量%であった。結果を表2に示す。
(比較例4)
−スズ含有廃棄物の精製−
実施例1と同様のスズ含有廃棄物30g、及びイオン交換水270gを混合し、廃棄物スラリーを調製した。この廃棄物スラリーのpHは12であった。廃棄物スラリー中に塩酸(和光純薬株式会社製、一級塩酸、純度35%〜37%)を20ml添加し、攪拌して反応させた。塩酸の添加によるpH調整は60分間かけて行い、その後反応時間として60分間攪拌した。反応終了後のpHは8.9であった。
次に、スラリーをNo.5C濾紙により濾過し、その後、洗浄水を300ml通水した。得られた含水固形物を105℃で乾燥させて、酸化スズ精製物を得た。得られた酸化スズ精製物の組成を実施例1と同様にして分析した。得られた酸化スズ精製物中のCa含有量は3.92質量%、Cl含有量は0.27質量%であった。結果を表2に示す。
また、比較例1〜4及び実施例1、参考例2〜3、参考例4の溶解工程におけるpHと、酸化スズ精製物のCa含有量との関係を図1に示す。
*表2中「反応pH」とは、廃棄物スラリーと酸を混合させ、pHが一定してから反応終了させるまでの60分間の平均pHを意味する。
*参考例4では、pH12から9.9へ1分間で低下し、その後pH4.5以下に到達していないが、表2中「pH4.5以下到達時間は1*」と記載している。
参考例9)
−ガラスの作製−
参考例3と同様の操作により、CaO含有量が2.0質量%、塩素含有量が0.6質量%、及び酸化スズ含有量が95質量%の酸化スズ精製物を得た(表3参照)。得られた酸化スズ精製物を用い、30分間手で混合して表4に示すガラス組成(酸化スズ0.1質量%含有)とし、1,600℃で4時間溶融して、図2に示す形状のガラスを作製した。
(比較例5)
比較例3と同様の操作により、スズ含有廃棄物1トン、及び工業用水2mを混合し、廃棄物スラリーを調製した。この廃棄スラリーのpHは11.8であった。塩酸(和光純薬株式会社製、一級塩酸、純度35%〜37%)を廃棄スラリー中にpH4.5になるように調整しながら添加した。その時の塩酸使用量は753リットルであった。pH4.5になるまでに60分間かかった。その後、攪拌しながら6時間反応させた。反応終了後のpHは4.5であった。
次に、スラリーをフィルタープレスにより濾過し、その後、洗浄水を10m通水し、洗浄した。得られた含水固形物を105℃で乾燥させて、酸化スズ精製物を得た。得られた酸化スズ精製物中のCa含有量は3.6質量%、Cl含有量は0.66質量%であった(表3参照)。
−ガラスの作製−
作製したカルシウム含有量が3.6質量%、塩素含有量が0.66質量%、及び酸化スズ含有量が88質量%の酸化スズ精製物を用い、実施例9と同様にして、図2に示す形状のガラスを作製した。
(参考例10)
−ガラスの作製−
表3に示す組成の市販品の酸化スズ(三津和化学株式会社製、酸化スズ純度99.9質量%)を用い、参考例9と同様にして、図2に示す形状のガラスを作製した。
次に、作製した参考例9、比較例5、及び参考例10のガラスの泡数を、以下のようにして計測した。結果を表5に示す。
<泡数の計測>
泡数の計測は、図2に示す縦4cm×横4cm×厚さ3cmの範囲について、単位体積当たりの泡数を実態顕微鏡(Nikon社製、SMZ−10)で計測した。測定は接眼レンズ倍率10倍、ズーム4倍で行った。
表5の結果から、参考例9は、比較例5に比べて酸化スズ精製物中のカルシウム含有量を低減することで、泡の数が少なくなり、清澄性が向上し、ガラスの澄泡剤としての特性が高くなることが分かった。
本発明のスズ含有廃棄物の精製方法は、スズ及び酸化スズを含有するスズ含有廃棄物から、塩素含有量、及びカルシウム含有量が少なく、ガラスの澄泡剤として再利用が可能な酸化スズ精製物を効率よく精製することができ、得られた酸化スズ精製物は、ガラスの澄泡剤として好適に用いられる。

Claims (10)

  1. 太陽電池基板を製造する際の酸化スズを蒸着する工程で排出される排ガスをアルカリ土類金属化合物又はアルカリ金属化合物によって中和して得られる粉状乃至スラリー状の廃棄物であり、かつ該廃棄物がカルシウムを5質量%〜60質量%含有し、スズ及びスズ酸化物を含有するスズ含有廃棄物に、水及び酸溶液の少なくともいずれかを添加して廃棄物スラリーを調製するリパルプ工程と、
    前記廃棄物スラリーと酸溶液を混合してスズ及びスズ酸化物以外の成分を溶解する溶解工程とを少なくとも含み、
    前記溶解工程において、前記廃棄物スラリーのpHを10〜14から1〜4.5まで30分間以内で低下させることを特徴とするスズ含有廃棄物の精製方法。
  2. 溶解工程において、廃棄物スラリーのpHを10〜14から1〜4.5まで1分間以内で低下させる請求項1に記載のスズ含有廃棄物の精製方法。
  3. 溶解工程において、廃棄物スラリーのpHを10〜14から、毎分pH1〜12の速度で低下させる請求項1から2のいずれかに記載のスズ含有廃棄物の精製方法。
  4. 溶解工程において、廃棄物スラリー中に酸溶液を添加し、攪拌する請求項1から3のいずれかに記載のスズ含有廃棄物の精製方法。
  5. 溶解工程において、酸溶液中に廃棄物スラリーを添加し、攪拌する請求項1から3のいずれかに記載のスズ含有廃棄物の精製方法。
  6. 溶解工程において、廃棄物スラリーと酸溶液を同一容器内で混合する請求項1から3のいずれかに記載のスズ含有廃棄物の精製方法。
  7. 溶解工程において、廃棄物スラリーと酸溶液を送液中で混合する請求項1から3のいずれかに記載のスズ含有廃棄物の精製方法。
  8. 酸溶液が塩酸である請求項1から7のいずれかに記載のスズ含有廃棄物の精製方法。
  9. スズ含有廃棄物中のカルシウム量と、塩酸とのモル比(Cl/Ca)が1.6〜2.2となるように、廃棄物スラリーに塩酸を30分間以内で添加する請求項8に記載のスズ含有廃棄物の精製方法。
  10. 請求項1から9のいずれかに記載のスズ含有廃棄物の精製方法により精製された酸化スズ精製物を含有してなり、
    カルシウム含有量が乾燥質量で1.5質量%以下であり、かつ塩素含有量が0.31質量%以下であることを特徴とするガラス澄泡剤
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