本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、使用に伴う色度の変化を生じ難くすることを目的とする。
(課題を解決するための手段)
本発明に係る光学部材の製造方法は、表示パネルに対して光を供給する照明装置に用いられるとともに前記照明装置が有する光源からの光を透過する光学部材の製造方法であって、主発光波長が青色の波長領域に存する色度定常化光源から発せられる光を照射することで、透過光の色度を定常化させる色度定常化工程を含む。
仮に、光学部材を色度定常化工程を経ずに製造した場合には、製造された光学部材を表示パネルに対して光を照射する照明装置に組み込んで使用すると、その照明装置が有する光源からの青色の波長領域の光が光学部材に照射されるのに伴い、光学部材の光学特性が変化して透過光の白色の色度が徐々に青色寄りにシフトし、そのため表示画像の色味が経時的に変化し、結果として表示品位を悪化させるといった問題が生じるおそれがある。
これに対し、本発明では、光学部材を製造する際に色度定常化工程にて、色度定常化光源から主発光波長が青色の波長領域に存する光を照射することで、光学部材における光学特性を変化させて光学部材の透過光における色度を青色寄りにシフトさせることができる。つまり、照明装置に用いられる光学部材は、製造過程において予め透過光の白色の色度が青色寄りにシフトするよう光学特性の変化が促されることで、透過光の色度が定常化されるため、照明装置に組み込んで使用しても、色度の変化が生じ難くなっている。これにより、光学部材を照明装置に用いた場合に表示パネルにおける表示画像の色味が経時的に変化することがなく、もって優れた表示品位が得られる、といった効果を得ることができる。しかも、色度定常化光源からの光は、主発光波長が青色の波長領域に存するものとされているから、光学部材における光学特性の変化を効率的に促すことができ、色度定常化工程に係るタクトタイムを短くすることができるので、製造効率の上でも優れる。
本発明の実施態様として、次の構成が好ましい。
(1)前記色度定常化工程では、前記色度定常化光源における青色の波長領域の光の発光強度が、前記照明装置が有する前記光源における同発光強度よりも相対的に高くなるものとされる。このようにすれば、青色の波長領域の光の発光強度が高くなるほど、色度定常化工程において光学部材における透過光の色度を定常化させるのに必要な光の照射時間を短くすることができる。従って、仮に照明装置が有する光源と同じものを色度定常化光源として用いた場合に比べると、色度定常化工程に係るタクトタイムをより短縮化することができる。
(2)前記色度定常化工程では、前記色度定常化光源における主発光波長が、前記照明装置が有する前記光源における主発光波長と同一とされる。このようにすれば、色度定常化工程において光学部材における光学特性をより適切に変化させることができる。これにより、製造された光学部材を照明装置に組み込んで使用したとき、表示パネルにおける表示画像の色味がより適切なものとなって、極めて高い表示品位を得ることができる。
(3)前記色度定常化工程では、前記色度定常化光源が青色の略単色光を発するものとされる。このようにすれば、色度定常化工程において光学部材に対して青色の波長領域の光を極めて効率的に照射することができるので、色度定常化工程において光学部材における透過光の色度を定常化させるのに必要な光の照射時間を短くすることができる。これにより、色度定常化工程に係るタクトタイムをより短縮化することができる。
(4)前記色度定常化工程では、前記色度定常化光源が青色の略単色光を発するLED素子を有する色度定常化LEDからなる。このようにすれば、色度定常化工程において、色度定常化LEDのLED素子から色純度の極めて高い青色の略単色光が光学部材に照射される。これにより、色度定常化工程に係るタクトタイムを一層短縮化することができる。
(5)前記光学部材を構成する透光性基材を形成する基材形成工程を含んでおり、前記色度定常化工程では、少なくとも前記透光性基材に対して前記色度定常化光源からの光を照射するものとされる。このようにすれば、光学部材に生じる光学特性の変化が透光性基材に起因する場合に好適となる。
(6)前記基材形成工程では、前記透光性基材をポリエステル樹脂から形成している。このようにすれば、色度定常化工程を経ることで、ポリエステル樹脂からなる透光性基材における透過光の色度を定常化させることができる。
(7)前記基材形成工程では、前記透光性基材をPET(ポリエチレンテレフタレート)から形成している。このようにすれば、PETは、発色団としてカルボニル基を有しており、このカルボニル基が光学特性を変化させる一因となっている可能性があるものの、色度定常化工程を経ることで、PETからなる透光性基材における透過光の色度を定常化させることができる。
(8)前記基材形成工程では、前記透光性基材をAS樹脂(アクリロニトリル・スチレン共重合体)から形成している。このようにすれば、色度定常化工程を経ることで、AS樹脂からなる透光性基材における透過光の色度を定常化させることができる。
(9)前記透光性基材に対して透過光に光学作用を付与するための光学機能層を積層して形成する機能層形成工程を含んでいる。このようにすれば、透光性基材に対して光学機能層を積層して形成してなる光学部材の製造に好適となる。
(10)前記基材形成工程及び前記機能層形成工程を経てから前記色度定常化工程を経るものとされる。このようにすれば、例えば、基材形成工程と機能層形成工程とを連続的に行うようにした場合において、仮に色度定常化工程を機能層形成工程に先立って行うには、製造装置の大幅な改変が必要となる。その点、本発明では、上記した製造装置の大幅な改変を伴うことなく、当該光学部材の製造方法に色度定常化工程を含ませることができる。
(11)前記色度定常化工程では、前記色度定常化光源を、少なくとも前記透光性基材に対して対向状に配している。このようにすれば、色度定常化工程において透光性基材に対して色度定常化光源からの光を効率的に照射することができる。これにより、透光性基材における透過光の色度の定常化をより短時間で実現することができる。
(12)前記色度定常化工程では、前記色度定常化光源を、前記透光性基材及び前記光学機能層のうち前記透光性基材に対して対向状に配している。このようにすれば、色度定常化光源を光学部材における片側のみに対向状に配しているから、仮に両側に対向状に配した場合に比べると、光学部材の製造装置に係るコストを低減することができる。
(13)前記光学機能層は、透過光に集光作用を付与するプリズム層とされる。このようにすれば、プリズム層を有する光学部材では、透過光に集光作用が付与されるため、透過光の白色の色度が青色寄りにシフトするのがより目立つ傾向にある。その点、本発明では、色度定常化工程にて予め光学部材における透過光の色度を定常化させるようにしているので、プリズム層を有する光学部材の製造に極めて有用となる。
(14)前記プリズム層は、非ハロゲン化アクリル系樹脂からなる。このようにすれば、非ハロゲン化アクリル系樹脂からなるプリズム層を有する光学部材の製造に極めて有用となる。
(15)前記光学機能層は、透過光に拡散作用を付与する拡散層とされる。このようにすれば、透過光に拡散作用を付与する拡散層を有する光学部材の製造に好適となる。
(16)前記拡散層は、メタクリル酸アルキル・スチレン非重合体からなる。このようにすれば、メタクリル酸アルキル・スチレン非重合体からなる拡散層を有する光学部材の製造に好適となる。
(17)前記色度定常化工程では、前記光源を、青色の略単色光を発するLED素子と、前記LED素子からの光により励起されて発光する蛍光体とからなるLEDとした前記照明装置に用いられる前記光学部材に対して前記色度定常化光源からの光を照射している。このようにすれば、光源をLEDとした照明装置に光学部材を用いると、LED素子から発せられる極めて色純度の高い青色の略単色光により、光学部材の光学特性の変化に伴う透過光の色度シフトの問題が顕著となるおそれがある。このような照明装置に用いる光学部材について、色度定常化工程にて透過光の色度を定常化させることで、上記した色度シフトの問題を好適に解消することができる。
(18)前記色度定常化工程では、一対の基板間に電界印加によって光学特性が変化する物質が設けられるとともに前記一対の基板のいずれか一方に、それぞれ青色、緑色、赤色、黄色を呈する複数の着色部からなるカラーフィルタが形成されてなる前記表示パネルに対して光を供給する前記照明装置に用いられる前記光学部材に対して前記色度定常化光源からの光を照射している。表示パネルに含まれるカラーフィルタには、青色、緑色、赤色の各着色部に加えて黄色の着色部が含まれているから、表示パネルにおける表示画像が黄色味を帯び易くなる傾向とされる。これを回避するには、照明装置が有する光源の出射光の色度について、黄色の補色である青色寄りに設定するのが好ましいものの、そうすると照明装置の使用に伴って、光学部材における透過光の色度シフトの問題が顕著となるおそれがある。このような表示パネルに対して光を供給する照明装置に用いる光学部材について、色度定常化工程にて透過光の色度を定常化させることで、上記した色度シフトの問題を好適に解消することができる。
(発明の効果)
本発明によれば、使用に伴う色度の変化を生じ難くすることができる。
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1から図13によって説明する。本実施形態では、液晶表示装置10に用いられる光学部材23(プリズムシート23c)の製造方法について例示する。以下では、先行して液晶表示装置10の構成について説明する。なお、各図面の一部にはX軸、Y軸及びZ軸を示しており、各軸方向が各図面で示した方向となるように描かれている。また、図7及び図8に示す上側を表側とし、同図下側を裏側とする。
本実施形態に係るテレビ受信装置TVは、図1に示すように、液晶表示装置10と、当該液晶表示装置10を挟むようにして収容する表裏両キャビネットCa,Cbと、電力供給のための電源回路基板Pと、テレビ画像信号を受信可能なチューナー(受信部)Tと、チューナーTから出力されたテレビ画像信号を当該液晶表示装置10用の画像信号に変換する画像変換回路基板VCと、スタンドSとを備えて構成される。液晶表示装置(表示装置)10は、全体として横長(長手)の方形状(矩形状)をなし、長辺方向を水平方向(X軸方向)と、短辺方向を垂直方向(Y軸方向、鉛直方向)とそれぞれほぼ一致させた状態で収容されている。この液晶表示装置10は、図2に示すように、表示パネルである液晶パネル11と、外部光源であるバックライト装置(照明装置)12とを備え、これらが枠状のベゼル13などにより一体的に保持されるようになっている。
液晶表示装置10における液晶パネル11の構成について詳しく説明する。液晶パネル11は、全体として横長(長手)の方形状(矩形状)をなしており、図3に示すように、一対の透明な(透光性を有する)ガラス製の基板11a,11bと、両基板11a,11b間に介在し、電界印加に伴って光学特性が変化する物質である液晶を含む液晶層11cとを備え、両基板11a,11bが液晶層の厚さ分のギャップを維持した状態で図示しないシール剤によって貼り合わせられている。また、両基板11a,11bの外面側には、それぞれ偏光板11d,11eが貼り付けられている。なお、液晶パネル11における長辺方向がX軸方向と一致し、短辺方向がY軸方向と一致している。
両基板11a,11bのうち表側(正面側)がCF基板11aとされ、裏側(背面側)がアレイ基板11bとされる。アレイ基板11bの内面、つまり液晶層11c側(CF基板11aとの対向面側)の面には、図4に示すように、スイッチング素子であるTFT(Thin Film Transistor)14及び画素電極15がマトリクス状に多数個並列して設けられるとともに、これらTFT14及び画素電極15の周りには、格子状をなすゲート配線16及びソース配線17が取り囲むようにして配設されている。画素電極15は、長辺方向をY軸方向に、短辺方向をX軸方向にそれぞれ一致させた縦長(長手)の方形状(矩形状)をなしており、ITO(Indium Tin Oxide)或いはZnO(Zinc Oxide)といった透明電極からなる。ゲート配線16とソース配線17とがそれぞれTFT14のゲート電極とソース電極とに接続され、画素電極15がTFT14のドレイン電極に接続されている。また、TFT14及び画素電極15の液晶層11c側には、液晶分子を配向するための配向膜18が設けられている。アレイ基板11bにおける端部には、ゲート配線16及びソース配線17から引き回された端子部が形成されており、この端子部には、図示しない液晶駆動用のドライバICが異方性導電膜(ACF:Anisotropic Conductive Film)を介して圧着接続され、さらにはその液晶駆動用のドライバICが各種配線基板などを介して図示しない表示制御回路基板に電気的に接続されている。この表示制御回路基板は、テレビ受信装置TVにおける画像変換回路基板VCに接続されるとともに同画像変換回路基板VCからの出力信号に基づいてドライバICを介して各配線16,17に駆動信号を供給するものとされる。
一方、CF基板11aの内面、つまり液晶層11c側(アレイ基板11bとの対向面側)の面には、図3及び図5に示すように、アレイ基板11b側の各画素に対応して多数個の着色部R,G,B,Yをマトリクス状に配列してなるカラーフィルタ19が設けられている。そして、本実施形態に係るカラーフィルタ19は、光の三原色である赤色の着色部R,緑色の着色部G,青色の着色部Bに加えて、黄色の着色部Yを有するものとされ、各着色部R,G,B,Yが対応した各色(各波長)の光を選択的に透過するものとされる。カラーフィルタ19は、図5に示す左側から赤色の着色部R、緑色の着色部G、黄色の着色部Y、青色の着色部Bの順でX軸方向に沿って並ぶ配列とされる。各着色部R,G,B,Yは、画素電極15と同様に長辺方向をY軸方向に、短辺方向をX軸方向にそれぞれ一致させた縦長(長手)の方形状(矩形状)をなしており、各色で全て面積が同一とされている。各着色部R,G,B,Y間には、混色を防ぐため、格子状の遮光層(ブラックマトリクス)BMが設けられている。CF基板11aにおけるカラーフィルタ19の液晶層11c側には、対向電極20及び配向膜21が順次積層して設けられている。
上記のように本実施形態に係る液晶表示装置10は、4色の着色部R,G,B,Yからなるカラーフィルタ19を備える液晶パネル11を用いていることから、テレビ受信装置TVにおいては専用の画像変換回路基板VCを備えるものとされる。すなわち、この画像変換回路基板VCは、チューナーTから出力されたテレビ画像信号を青色、緑色、赤色、黄色の各色の画像信号に変換し、生成された各色の画像信号を表示制御回路基板に出力することができる。この画像信号に基づいて表示制御回路基板は、液晶パネル11における各色の画素に対応したTFT14を駆動し、各色の着色部R,G,B,Yを透過する透過光量を適宜制御できるものとされる。
続いて、バックライト装置12の構成について説明する。バックライト装置12は、図2に示すように、光出射面側(液晶パネル11側)に開口部を有した略箱型をなすシャーシ22と、シャーシ22の開口部を覆うようにして配される光学部材23群と、シャーシ22の外縁部に沿って配され光学部材23群の外縁部をシャーシ22との間で挟んで保持するフレーム26とを備える。さらに、シャーシ22内には、光学部材23(液晶パネル11)の直下となる位置に対向状に配されるLED24と、LED24が実装されたLED基板25と、LED基板25においてLED24に対応した位置に取り付けられる拡散レンズ27とが備えられる。このように、本実施形態に係るバックライト装置12は、いわゆる直下型とされる。その上、シャーシ22内には、LED基板25をシャーシ22との間で保持することが可能な保持部材28と、シャーシ22内の光を光学部材23側に反射させる反射シート29とが備えられる。続いて、バックライト装置12の各構成部品について詳しく説明する。
シャーシ22は、金属製とされ、図6から図8に示すように、液晶パネル11と同様に横長な方形状(矩形状、長方形状)をなす底板22aと、底板22aの各辺(一対の長辺及び一対の短辺)の外端からそれぞれ表側(光出射側)に向けて立ち上がる側板22bと、各側板22bの立ち上がり端から外向きに張り出す受け板22cとからなり、全体としては表側に向けて開口した浅い略箱型(略浅皿状)をなしている。シャーシ22は、その長辺方向がX軸方向(水平方向)と一致し、短辺方向がY軸方向(鉛直方向)と一致している。シャーシ22における各受け板22cには、表側からフレーム26及び次述する光学部材23が載置可能とされる。各受け板22cには、フレーム26がねじ止めされている。シャーシ22の底板22aには、保持部材28を取り付けるための取付孔22dが開口して設けられている。取付孔22dは、底板22aにおいて保持部材28の取付位置に対応して複数分散配置されている。
光学部材23は、図2に示すように、液晶パネル11及びシャーシ22と同様に平面に視て横長の方形状をなしている。光学部材23は、図7及び図8に示すように、その外縁部が受け板22cに載せられることで、シャーシ22の開口部を覆うとともに、液晶パネル11とLED24(LED基板25)との間に介在して配される。光学部材23は、裏側(LED24側、光出射側とは反対側)に配される拡散板23aと、表側(液晶パネル11側、光出射側)に配される光学シート23b,23cとから構成される。拡散板23aは、所定の厚みを持つほぼ透明な樹脂製で板状をなす基材内に拡散粒子を多数分散して設けた構成とされ、透過する光を拡散させる機能を有する。光学シート23b,23cは、拡散板23aと比べると板厚が薄いシート状をなしており、2枚が積層して配されている。具体的な光学シート23b,23cの種類としては、例えば拡散シート、プリズムシート、反射型偏光シートなどがあるが、本実施形態では、これらの中から拡散シート23b及びプリズムシート(レンズシート)23cを使用している。これらの光学シート23b,23cは、拡散板23aに対して、裏側から拡散シート23b、プリズムシート23cの順で積層配置されている。このうち、拡散シート23bは、透過光を拡散させる、拡散作用を有するものとされる。
ここで、プリズムシート23cの構成について詳しく説明する。プリズムシートは、図12に示すように、透光性に優れた透光性基材30と、透光性基材30における主板面に積層して形成されるプリズム層(光学機能層)31とから構成されており、透過光に対して集光作用を付与することが可能とされる。プリズム層31は、透光性基材30に対して表側(光出射側、液晶パネル11側)に配されており、逆に透光性基材30は、プリズム層31に対して裏側(光出射側とは反対側、LED24側)に配されている。透光性基材30は、ほぼ透明な横長のシート状をなしており、表面が概ね平滑なものとされる。一方、プリズム層31は、断面略三角形状のプリズム31aを多数個並列配置してなり、各プリズム31aが透光性基材30の一辺に並行して延在する形態とされ、且つ各プリズム31aの並列方向が同プリズム31aの延在方向と略直交するものとされる。プリズムシート23cを透過する光は、プリズム層31をなす各プリズム31aにて適宜に屈折または反射されることで、より多くが正面方向へ向かうものとされる。透光性基材30は、例えば、ポリエチレン樹脂、より具体的にはPET(ポリエチレンテレフタレート:Poly-Ethylene-Terephthalate)からなる。プリズム層31は、非ハロゲン化アクリル系樹脂からなる。上記したプリズムシート23cとしては、例えば住友スリーエム株式会社製の商品名「BEF3」を用いるのが好ましい。なお、プリズムシート23cの詳しい製造方法については、後に詳しく説明するものとする。
フレーム26は、図2に示すように、液晶パネル11及び光学部材23の外周縁部に沿う枠状をなしている。このフレーム26と各受け板22cとの間で光学部材23における外縁部を挟持可能とされている(図7及び図8)。また、このフレーム26は、液晶パネル11における外縁部を裏側から受けることができ、表側に配されるベゼル13との間で液晶パネル11の外縁部を挟持可能とされる(図7及び図8)。
次に、LED24及びLED基板25について説明する。LED24は、図6〜図8に示すように、LED基板25上に実装されるとともにLED24に対する実装面とは反対側の面が発光面となる、いわゆるトップ型とされる。LED24は、LED基板25に固着される基板部上に、例えばInGaN系の材料からなるLEDチップ(LED素子、発光素子)を樹脂材により封止した構成とされる。基板部に実装されるLEDチップは、435nm〜480nmの範囲、つまり青色の波長領域に単一のピーク波長を有するものとされ、青色の単色光を発するものとされる。LEDチップの主発光波長は、440nm〜460nmの範囲とされるのがより好ましく、具体的には例えば451nmとされる。これにより、LEDチップからは色純度に優れた青色の単色光が発せられるものとされる。
その一方、LEDチップを封止する樹脂材には、LEDチップから発せられた青色の単色光により励起されることで緑色光を発する緑色蛍光体と、LEDチップから発せられた青色の単色光により励起されることで赤色光を発する赤色蛍光体とが所定の割合でもって分散配合されている。これらLEDチップから発せられる青色光(青色成分の光)と、緑色蛍光体から発せられる緑色光(緑色成分の光)と、赤色蛍光体から発せられる赤色光(赤色成分の光)とにより、LED24は、全体として所定の色、例えば白色や青色味を帯びた白色などの光を発することが可能とされる。そして、当該LED24における発光光の主発光波長、つまり発光強度が最大となるピーク波長は、LEDチップのピーク波長と一致しており、青色の波長領域に存するものとされる。なお、緑色蛍光体からの緑色成分の光と、赤色蛍光体からの赤色成分の光との合成により黄色光が得られることから、このLED24は、LEDチップからの青色成分の光と、黄色成分の光とを併せ持っている、とも言える。
LED基板25は、図6及び図7に示すように、平面に視て横長の方形状をなす基材を有しており、長辺方向がX軸方向と一致し、短辺方向がY軸方向と一致する状態でシャーシ22内において底板22aに沿って延在しつつ収容されている。このLED基板25の基材の板面のうち、表側を向いた面(光学部材23側を向いた面)には、LED24が表面実装されている。LED24は、その発光面が光学部材23(液晶パネル11)と対向状をなすとともに、その光軸がZ軸方向、つまり液晶パネル11の表示面と直交する方向と一致している。LED24は、LED基板25における長辺方向(X軸方向)に沿って複数が直線的に並列して配されるとともに、LED基板25に形成された配線パターンにより直列接続されている。各LED24の配列ピッチは、ほぼ一定となっており、つまり各LED24は、等間隔に配列されていると言える。また、LED基板25における長辺方向の両端部には、コネクタ部25aが設けられている。
上記した構成のLED基板25は、図6に示すように、シャーシ22内においてX軸方向及びY軸方向にそれぞれ複数ずつ、互いに長辺方向及び短辺方向を揃えた状態で並列して配置されている。つまり、LED基板25及びそこに実装されたLED24は、シャーシ22内において共にX軸方向(シャーシ22及びLED基板25の長辺方向)を行方向とし、Y軸方向(シャーシ22及びLED基板25の短辺方向)を列方向として行列状に配置(マトリクス状に配置、平面配置)されている。具体的には、LED基板25は、シャーシ22内においてX軸方向に3枚ずつ、Y軸方向に9枚ずつ、合計27枚が並列して配置されている。X軸方向に沿って並ぶことで1つの行をなす各LED基板25は、隣接するコネクタ部25a同士が嵌合接続されることで相互に電気的に接続されるとともに、シャーシ22におけるX軸方向の両端に対応したコネクタ部25aが図示しない外部の制御回路に対してそれぞれ電気的に接続される。これにより、1つの行をなす各LED基板25に配された各LED24が直列接続されるとともに、その1つの行に含まれる多数のLED24の点灯・消灯を1つの制御回路により一括して制御することができ、もって低コスト化を図ることが可能とされる。また、Y軸方向に沿って並ぶ各LED基板25の配列ピッチは、ほぼ等しいものとされている。従って、シャーシ22内において底板22aに沿って平面配置された各LED24は、X軸方向及びY軸方向についてそれぞれほぼ等間隔に配列されていると言える。
拡散レンズ27は、ほぼ透明で(高い透光性を有し)且つ屈折率が空気よりも高い合成樹脂材料(例えばポリカーボネートやアクリルなど)からなる。拡散レンズ27は、図6及び図7に示すように、所定の厚みを有するとともに、平面に視て略円形状に形成されており、LED基板25に対して各LED24を表側から個別に覆うよう、つまり平面に視て各LED24と重畳するようそれぞれ取り付けられている。そして、この拡散レンズ27は、LED24から発せられた指向性の強い光を拡散させつつ出射させることができる。つまり、LED24から発せられた光は、拡散レンズ27を介することにより指向性が緩和されるので、隣り合うLED24間の間隔を広くとってもその間の領域が暗部として視認され難くなる。これにより、LED24の設置個数を少なくすることが可能となっている。この拡散レンズ27は、平面に視てLED24とほぼ同心となる位置に配されている。
続いて、保持部材28について説明する。保持部材28は、ポリカーボネートなどの合成樹脂製とされており、表面が光の反射性に優れた白色を呈する。保持部材28は、図6から図8に示すように、LED基板25の板面に沿う本体部28aと、本体部28aから裏側、つまりシャーシ22側に向けて突出してシャーシ22に固定される固定部28bとを備える。本体部28aは、平面に視て略円形の板状をなすとともに、シャーシ22の底板22aとの間でLED基板25及び次述する反射シート29を共に挟持可能とされる。固定部28bは、LED基板25及びシャーシ22の底板22aにおける保持部材28の取付位置に対応してそれぞれ形成された挿通孔25b及び取付孔22dを貫通しつつ底板22aに対して係止可能とされる。この保持部材28は、図6に示すように、LED基板25の面内において多数個が行列状に並列配置されており、具体的にはX軸方向について隣り合う拡散レンズ27(LED24)の間の位置にそれぞれ配されている。
なお、保持部材28のうち、画面中央側に配された一対の保持部材28には、本体部28aから表側に突出する支持部28cが設けられており、この支持部28cによって光学部材23(直接的には拡散板23a)を裏側から支持することが可能とされ、それによりLED24と光学部材23とのZ軸方向の位置関係を一定に維持することができるとともに光学部材23の不用意な変形を規制することができる。
反射シート29は、合成樹脂製とされ、表面が光の反射性に優れた白色を呈するものとされる。反射シート29は、図6から図8に示すように、シャーシ22の内面のほぼ全域にわたって敷設される大きさを有しているので、シャーシ22内において行列状に配された全LED基板25を表側から一括して覆うことが可能とされる。この反射シート29によりシャーシ22内の光を光学部材23側に向けて反射させることができるようになっている。反射シート29は、シャーシ22の底板22aに沿って延在するとともに底板22aの大部分を覆う大きさの底部29aと、底部29aの各外端から表側に立ち上がるとともに底部29aに対して傾斜状をなす4つの立ち上がり部29bと、各立ち上がり部29bの外端から外向きに延出するとともにシャーシ22の受け板22cに載せられる延出部29cとから構成されている。この反射シート29の底部29aが各LED基板25における表側の面、つまりLED24の実装面に対して表側に重なるよう配される。また、反射シート29の底部29aには、各拡散レンズ27(各LED24)と平面視重畳する位置に各拡散レンズ27を挿通するレンズ挿通孔29dが開口して設けられている(図6参照)。
さて、既述した通り本実施形態に係る液晶パネル11のカラーフィルタ19は、図3及び図5に示すように、光の三原色である各着色部R,G,Bに加えて黄色の着色部Yを有しているので、透過光により表示される表示画像の色域が拡張されており、もって色再現性に優れた表示を実現できるものとされる。しかも、黄色の着色部Yを透過した光は、視感度のピークに近い波長を有することから、人間の目には少ないエネルギーでも明るく知覚される傾向とされる。これにより、バックライト装置12が有する光源であるLED24の出力を抑制しても十分な輝度を得ることができることとなり、光源の消費電力を低減でき、もって環境性能にも優れる、といった効果が得られる。
その一方、上記のような4色タイプの液晶パネル11を用いると、液晶パネル11の表示画像が全体として黄色味を帯び易くなる傾向とされる。これを回避するため、本実施形態に係るバックライト装置12では、LED24における色度が黄色の補色である青色気味に調整されており、それにより表示画像における色度を補正するようにしている。このこともあって、既述したようにバックライト装置12が有するLED24は、主発光波長が青色の波長領域に存するものとされ、青色の波長領域に存する光の発光強度が最も高いものとされている。ここで、バックライト装置12に組み込まれて使用される光学部材23は、上記のような青色の波長領域に存し且つ高い発光強度の光が照射され続けると、光学特性に変化が生じて透過光における白色の色度が青色寄りにシフトする場合がある。バックライト装置12並びに液晶表示装置10の使用に伴って、光学部材23の透過光における白色の色度が上記のように変化すると、液晶パネル11の表示画像の色味が使用時間の経過に伴って次第に青色気味に変化することになるため、表示品位が著しく損なわれる可能性がある。本実施形態では、光学部材23の中から特にプリズムシート23cについて取り上げるとともに、以下に示す比較実験を行った。
この比較実験では、プリズムシート23cにバックライト装置12に用いるLED24からの光を140時間にわたって照射し、20時間毎にプリズムシート23cの透過光における白色の色度がどのように変化するかを測定し、その結果を図9に示している。さらには、プリズムシート23cにLED24からの光を照射する前と、光を照射して100時間が経過した後とで、プリズムシート23cの透過光における白色の色度や透過光における各波長の透過率がどのように変化するかを測定し、その結果を図10及び図11に示している。なお、図9では、横軸をプリズムシート23cに対するLED24からの光の照射時間(単位は「H」)とし、縦軸を透過光の白色の色度であるx値及びy値としており、図9に示す実線が上記色度のx値を表し、同図に示す一点鎖線が上記色度のy値を表す。これらx値及びy値は、図10に示すCIE(Commission Internationale de l'Eclairage:国際照明委員会)1931色度図における色度座標の値である。図10は、横軸をx値、縦軸をy値としたCIE1931色度図であって、LED24からの光をプリズムシート23cに照射する前の色度座標を「○」にて示し、光を照射して100時間が経過した後の色度座標を「×」にて示すとともに、光の照射に伴って色度座標が変化する方向を矢線にて示している。図11では、横軸をプリズムシート23cの透過光における各波長(単位は「nm」)とし、縦軸をプリズムシート23cの透過光における透過率(単位は「%」)としており、光を照射して100時間が経過した後におけるプリズムシート23cの透過光の透過率から、照射前のプリズムシート23cの透過光の透過率を差し引いて得られる各波長毎の透過率の差を示している。従って、図11における透過率が+(プラス)であれば、100時間に及ぶ光の照射により透過率が高まったことを意味し、逆に透過率が−(マイナス)であれば、光の照射により透過率が低下したことを意味する。
上記した比較実験の結果について説明する。図9に示すグラフから、プリズムシート23cに対してLED24から光を照射すると、透過光の白色の色度を表すx値及びy値がいずれも照射時間の経過に伴って徐々に低下していくことが分かる。図10に示すCIE1931色度図において、白色の色度におけるx値及びy値が共に低下し、図10に示す矢線に示す方向にシフトすることは、白色の色度が青色寄りにシフトすることを意味する。そして、図9に示すグラフから、LED24からの光を照射して100時間以上が経過すると、プリズムシート23cにおける透過光の色度の変化がごく僅かなものとなって概ね一定の値に収束することが分かる。つまり、プリズムシート23cは、LED24から光を照射されると、経時的に透過光の白色の色度が青色寄りに変化し続けるものの、約100時間が経過すると、同色度が殆ど変化しなくなって定常化することが分かる。具体的には、LED24からの光を照射する前の上記色度と、照射から100時間以上が経過した後に定常化した色度との差をそれぞれΔx、Δyとしたとき、Δxは、0.0143とされるのに対し、Δyは、0.0258とされる。
さらには、図11に示すグラフからは、紫色の波長領域(380nm〜435nm)及び赤色の長波長側の領域(750nm〜780nm)を除いて、赤色の短波長側の領域(600nm〜750nm)、黄色の波長領域(580nm〜600nm)、緑色の波長領域(500nm〜560nm)、青色の波長領域(435nm〜480nm)のいずれにおいても、プリズムシート23cに対してLED24から光を照射することで、概ね透過率が高まるようプリズムシート23cの光学特性が変化することが分かる。詳しくは、青色の波長領域では、他の色(赤色、緑色、黄色など)に比べると、透過率が特に大きくなっており、このことは青色の波長領域の透過光の増加量が他の色の透過光の増加量に比べて多くなっていることを意味し、言い換えると青色の波長領域の光に対する吸収率が他の色の光に対する吸収率に比べて低くなることを意味している。青色の波長領域の透過光量が他の色の透過光量よりも多くなれば、透過光の白色の色度は、青色寄りにシフトすることになり、これは、図10に示された結果を裏付けていると言える。なお、この透過光の色度シフトは、不可逆的な変化とされる。
上記したようにプリズムシート23cにおける透過光の白色の色度が青色寄りにシフトする理由としては、LED24における青色の波長領域で且つ高い発光強度の光が長期間照射される、という使用環境や、プリズムシート23cの材質などに起因して生じるものと考えられる。詳しくは、青色の波長領域に存する光は、可視光線の中でも光エネルギーが特に高いものであるため、プリズムシート23cを構成する透光性基材30に含まれる発色団(より具体的にはPETに含まれるカルボニル基)に作用することで、各波長の光の吸収量(光の透過量)が変化するものと推考される。しかも、このプリズムシート23cは、透過光を集光する、集光作用を有していることから、他の光学部材23a,23bに比べると、透過光における色度の変化が相対的に目立つ傾向とされる。このため、プリズムシート23cに生じる色度シフトの問題を解決するのが、表示画像の適正化を図る上で重要であると言える。
そこで、本実施形態では、プリズムシート23cの製造工程に、透過光の色度を予め青色寄りに定常化させるべく、色度定常化工程を含ませるようにしている。以下、プリズムシート23cの製造方法について詳しく説明する。プリズムシート23cは、図12に示すように、透光性基材30を形成する基材形成工程と、透光性基材30に対して光学機能層であるプリズム層31を積層形成するプリズム層形成工程(機能層形成工程)と、透過光の色度を定常化させる色度定常化工程とを経て製造されるようになっている。基材形成工程では、透光性基材30の原材料であるPETを加熱・混錬したものを図示しない押出機から押し出すとともにローラー間にて挟み込んで厚さが均一になるよう成形するようにしている。プリズム層形成工程では、プリズム層31の原材料である非ハロゲン化アクリル系樹脂を、基材形成工程と同様に押し出し成形して平板状に形成した後、その片側の面に対して、プリズム形状を切削した金型(図示せず)を加圧することで、各プリズム31aを成形し、その後、透光性基材30に対してプリズム31a側とは反対側の面を図示しない貼合せ装置により貼合せるようにしている。
そして、色度定常化工程では、図13に示すように、基材形成工程及びプリズム層形成工程を経て形成されたプリズムシート23cに対して、表裏の主板面のうちの片側から色度定常化LED32の光を照射するようにしている。ここで、色度定常化LED32について詳しく説明する。この色度定常化LED32は、プリズムシート23cの製造ラインのうち、プリズム層形成工程にて使用される貼合せ装置の下流側に配されている。この色度定常化LED32は、貼合せ装置から搬出されたプリズムシート23cを構成する透光性基材30及びプリズム層31のうち、透光性基材30に対してのみ対向状に配されている。従って、色度定常化LED32からの光は、プリズム層31よりも先に透光性基材30を透過するものとされる。
色度定常化LED32は、基板33上に多数個が行列状に表面実装されており、例えばInGaN系の材料からなるLEDチップ(LED素子、発光素子)を樹脂材により封止した構成とされる。色度定常化LED32のLEDチップは、435nm〜480nmの範囲、つまり青色の波長領域に単一のピーク波長を有するものとされ、青色の単色光を発するものとされる。色度定常化LED32のLEDチップの主発光波長は、440nm〜460nmの範囲とされるのがより好ましく、具体的には例えば451nm、つまりバックライト装置12のLED24におけるLEDチップと同一とされる。但し、色度定常化LED32は、バックライト装置12が有するLED24のように蛍光体を含有していない。従って、色度定常化LED32は、主発光波長がバックライト装置12が有するLED24と同一とされるとともに、色純度に優れた青色の単色光を発するものとされる。そして、色度定常化LED32における青色の波長領域の光の発光強度は、バックライト装置12が有するLED24の同発光強度よりも相対的に高いものとされる。
色度定常化工程では、基材形成工程及びプリズム層形成工程を経て形成されたプリズムシート23cに対して色度定常化LED32の光が所定時間にわたって照射されることで、その透過光の白色の色度が定常化されるようになっている。つまり、プリズムシート23cは、バックライト装置12に組み込まれて使用される前の段階において、予め透過光の白色の色度が青色寄りにシフトさせられていて、それ以上殆ど変化することがないよう定常化されている。従って、製造されたプリズムシート23cをバックライト装置12に組み込んで使用したとき、バックライト装置12のLED24からの光がプリズムシート23cに照射され続けても、プリズムシート23cの光学特性が変化することが殆どないので、液晶パネル11の表示画像の色味が経時的に変化することが殆どないものとされる。これにより、液晶表示装置10における表示品位を高いものとすることができる。しかも、色度定常化工程で用いる色度定常化LED32は、青色の単色光を発するものとされ、主発光波長が青色の波長領域に存するとともに、その青色の波長領域の光の発光強度がバックライト装置12のLED24よりも相対的に高くなっているので、LED24を用いた場合(100時間)よりも短い照射時間でもって、プリズムシート23cの透過光の白色の色度を定常化させることができる。これにより、色度定常化工程に係るタクトタイムを短縮化することができ、製造効率の上で優れる。また、色度定常化工程を経て製造されたプリズムシート23cは、図11に示すように、可視光線の各波長(赤色の短波長、黄色、緑色、青色)において概ね透過率が上がっているので、表示画像の輝度が向上するものとされる。これは、バックライト装置12のLED24の出力を絞っても表示画像の輝度が十分に得られることを意味することから、低消費電力化という効果をも得ることができる。
以上説明したように本実施形態の光学部材23であるプリズムシート23cの製造方法は、液晶パネル11に対して光を供給するバックライト装置12に用いられるとともにバックライト装置12が有する光源であるLED24からの光を透過するプリズムシート23cの製造方法であって、主発光波長が青色の波長領域に存する色度定常化光源である色度定常化LED32から発せられる光を照射することで、透過光の色度を定常化させる色度定常化工程を含む。
仮に、プリズムシート23cを色度定常化工程を経ずに製造した場合には、製造されたプリズムシート23cを液晶パネル11に対して光を照射するバックライト装置12に組み込んで使用すると、そのバックライト装置12が有するLED24からの青色の波長領域の光がプリズムシート23cに照射されるのに伴い、プリズムシート23cの光学特性が変化して透過光の白色の色度が徐々に青色寄りにシフトし、そのため表示画像の色味が経時的に変化し、結果として表示品位を悪化させるといった問題が生じるおそれがある。
これに対し、本実施形態では、プリズムシート23cを製造する際に色度定常化工程にて、色度定常化LED32から主発光波長が青色の波長領域に存する光を照射することで、プリズムシート23cにおける光学特性を変化させてプリズムシート23cの透過光における色度を青色寄りにシフトさせることができる。つまり、バックライト装置12に用いられるプリズムシート23cは、製造過程において予め透過光の白色の色度が青色寄りにシフトするよう光学特性の変化が促されることで、透過光の色度が定常化されるため、バックライト装置12に組み込んで使用しても、色度の変化が生じ難くなっている。これにより、プリズムシート23cをバックライト装置12に用いた場合に液晶パネル11における表示画像の色味が経時的に変化することがなく、もって優れた表示品位が得られる、といった効果を得ることができる。しかも、色度定常化LED32からの光は、主発光波長が青色の波長領域に存するものとされているから、プリズムシート23cにおける光学特性の変化を効率的に促すことができ、色度定常化工程に係るタクトタイムを短くすることができるので、製造効率の上でも優れる。このように、本実施形態によれば、使用に伴う色度の変化を生じ難くすることができる。
また、色度定常化工程では、色度定常化LED32における青色の波長領域の光の発光強度が、バックライト装置12が有するLED24における同発光強度よりも相対的に高くなるものとされる。このようにすれば、青色の波長領域の光の発光強度が高くなるほど、色度定常化工程においてプリズムシート23cにおける透過光の色度を定常化させるのに必要な光の照射時間を短くすることができる。従って、仮にバックライト装置12が有するLED24と同じものを色度定常化LED32として用いた場合に比べると、色度定常化工程に係るタクトタイムをより短縮化することができる。
また、色度定常化工程では、色度定常化LED32における主発光波長が、バックライト装置12が有するLED24における主発光波長と同一とされる。このようにすれば、色度定常化工程においてプリズムシート23cにおける光学特性をより適切に変化させることができる。これにより、製造されたプリズムシート23cをバックライト装置12に組み込んで使用したとき、液晶パネル11における表示画像の色味がより適切なものとなって、極めて高い表示品位を得ることができる。
また、色度定常化工程では、色度定常化LED32が青色の略単色光を発するものとされる。このようにすれば、色度定常化工程においてプリズムシート23cに対して青色の波長領域の光を極めて効率的に照射することができるので、色度定常化工程においてプリズムシート23cにおける透過光の色度を定常化させるのに必要な光の照射時間を短くすることができる。これにより、色度定常化工程に係るタクトタイムをより短縮化することができる。
また、色度定常化工程では、色度定常化光源が青色の略単色光を発するLED素子を有する色度定常化LED32からなる。このようにすれば、色度定常化工程において、色度定常化LED32のLED素子から色純度の極めて高い青色の略単色光がプリズムシート23cに照射される。これにより、色度定常化工程に係るタクトタイムを一層短縮化することができる。
また、プリズムシート23cを構成する透光性基材30を形成する基材形成工程を含んでおり、色度定常化工程では、少なくとも透光性基材30に対して色度定常化LED32からの光を照射するものとされる。このようにすれば、プリズムシート23cに生じる光学特性の変化が透光性基材30に起因する場合に好適となる。
また、基材形成工程では、透光性基材30をポリエステル樹脂から形成している。このようにすれば、色度定常化工程を経ることで、ポリエステル樹脂からなる透光性基材30における透過光の色度を定常化させることができる。
また、基材形成工程では、透光性基材30をPET(ポリエチレンテレフタレート)から形成している。このようにすれば、PETは、発色団としてカルボニル基を有しており、このカルボニル基が光学特性を変化させる一因となっている可能性があるものの、色度定常化工程を経ることで、PETからなる透光性基材30における透過光の色度を定常化させることができる。
また、透光性基材30に対して透過光に光学作用を付与するための光学機能層であるプリズム層31を積層して形成するプリズム層形成工程(機能層形成工程)を含んでいる。このようにすれば、透光性基材30に対してプリズム層31を積層して形成してなるプリズムシート23cの製造に好適となる。
また、基材形成工程及びプリズム層形成工程を経てから色度定常化工程を経るものとされる。このようにすれば、例えば、基材形成工程とプリズム層形成工程とを連続的に行うようにした場合において、仮に色度定常化工程をプリズム層形成工程に先立って行うには、製造装置の大幅な改変が必要となる。その点、本実施形態では、上記した製造装置の大幅な改変を伴うことなく、当該プリズムシート23cの製造方法に色度定常化工程を含ませることができる。
また、色度定常化工程では、色度定常化LED32を、少なくとも透光性基材30に対して対向状に配している。このようにすれば、色度定常化工程において透光性基材30に対して色度定常化LED32からの光を効率的に照射することができる。これにより、透光性基材30における透過光の色度の定常化をより短時間で実現することができる。
また、色度定常化工程では、色度定常化LED32を、透光性基材30及びプリズム層31のうち透光性基材30に対して対向状に配している。このようにすれば、色度定常化LED32をプリズムシート23cにおける片側のみに対向状に配しているから、仮に両側に対向状に配した場合に比べると、プリズムシート23cの製造装置に係るコストを低減することができる。
また、光学機能層は、透過光に集光作用を付与するプリズム層31とされる。このようにすれば、プリズム層31を有するプリズムシート23cでは、透過光に集光作用が付与されるため、透過光の白色の色度が青色寄りにシフトするのがより目立つ傾向にある。その点、本実施形態では、色度定常化工程にて予めプリズムシート23cにおける透過光の色度を定常化させるようにしているので、プリズム層31を有するプリズムシート23cの製造に極めて有用となる。
また、プリズム層31は、非ハロゲン化アクリル系樹脂からなる。このようにすれば、非ハロゲン化アクリル系樹脂からなるプリズム層31を有するプリズムシート23cの製造に極めて有用となる。
また、色度定常化工程では、バックライト装置12が有する光源を、青色の略単色光を発するLED素子と、LED素子からの光により励起されて発光する蛍光体とからなるLED24としたバックライト装置12に用いられるプリズムシート23cに対して色度定常化LED32からの光を照射している。このようにすれば、光源をLED24としたバックライト装置12にプリズムシート23cを用いると、LED素子から発せられる極めて色純度の高い青色の略単色光により、プリズムシート23cの光学特性の変化に伴う透過光の色度シフトの問題が顕著となるおそれがある。このようなバックライト装置12に用いるプリズムシート23cについて、色度定常化工程にて透過光の色度を定常化させることで、上記した色度シフトの問題を好適に解消することができる。
また、色度定常化工程では、一対の基板11a,11b間に電界印加によって光学特性が変化する物質が設けられるとともに一対の基板11a,11bのいずれか一方に、それぞれ青色、緑色、赤色、黄色を呈する複数の着色部R,G,B,Yからなるカラーフィルタ19が形成されてなる液晶パネル11に対して光を供給するバックライト装置12に用いられるプリズムシート23cに対して色度定常化LED32からの光を照射している。液晶パネル11に含まれるカラーフィルタ19には、青色、緑色、赤色の各着色部R,G,Bに加えて黄色の着色部Yが含まれているから、液晶パネル11における表示画像が黄色味を帯び易くなる傾向とされる。これを回避するには、バックライト装置12が有するLED24の出射光の色度について、黄色の補色である青色寄りに設定するのが好ましいものの、そうするとバックライト装置12の使用に伴って、プリズムシート23cにおける透過光の色度シフトの問題が顕著となるおそれがある。このような液晶パネル11に対して光を供給するバックライト装置12に用いるプリズムシート23cについて、色度定常化工程にて透過光の色度を定常化させることで、上記した色度シフトの問題を好適に解消することができる。
<実施形態2>
本発明の実施形態2を図14または図15によって説明する。この実施形態2では、色度定常化工程を経て製造される光学部材23を拡散シート23bとした場合を示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
光学部材23のうち、プリズムシート23c以外に拡散シート23bについても、バックライト装置12内に組み込まれて使用されるのに伴って、透過光の白色の色度が青色寄りにシフトする可能性があり、その場合には、拡散シート23bの製造工程にも、色度定常化工程を含ませるのが好ましい。以下、拡散シート23bの構造及び製造方法について詳しく説明する。
拡散シート23bは、図14に示すように、透光性に優れた透光性基材34と、透光性基材34における主板面に積層して形成される拡散層(光学機能層)35とから構成されており、透過光に対して拡散作用を付与することが可能とされる。拡散層35は、透光性基材34に対して表側(光出射側)に配されており、逆に透光性基材34は、拡散層35に対して裏側(光出射側とは反対側)に配されている。透光性基材34は、ほぼ透明な横長のシート状をなしており、表面が概ね平滑なものとされる。一方、拡散層35は、球状をなす拡散ビーズ35aを多数個透光性基材の表面に分散配置してなる。拡散シート23bを透過する光は、拡散層35をなす各拡散ビーズ35aによって乱反射されることで、指向性を失って拡散されるようになっている。透光性基材34は、例えば、AS樹脂(アクリロニトリル・スチレン共重合体)からなる。拡散層35は、メタクリル酸アルキル・スチレン非重合体からなる。
上記した構成の拡散シート23bは、透光性基材34を形成する基材形成工程と、透光性基材34に対して光学機能層である拡散層35を積層形成する拡散層形成工程(機能層形成工程)と、透過光の色度を定常化させる色度定常化工程とを経て製造されるようになっている。基材形成工程は、上記した実施形態1のプリズムシート23cと同様である。拡散層形成工程では、多数個の拡散ビーズ35aを所定の溶液中に分散配合してなる拡散剤を、透光性基材34の表面に概ね均一な厚さに塗布することで、拡散層35が形成されるものとされる。そして、色度定常化工程では、図15に示すように、基材形成工程及び拡散層形成工程を経て形成された拡散シート23bにおける透光性基材34側から色度定常化LED32の光を照射するようにしている。この色度定常化LED32は、上記した実施形態1にて示したものと同様のものであり、重複する説明は省略する。
以上のような製造方法によって製造される拡散シート23bは、バックライト装置12に組み込まれて使用される前の段階において、予め透過光の白色の色度が青色寄りにシフトさせられていて、それ以上殆ど変化することがないよう定常化されている。従って、製造された拡散シート23bをバックライト装置12に組み込んで使用したとき、バックライト装置12のLED24からの光が拡散シート23bに照射され続けても、拡散シート23bの光学特性が変化することが殆どないので、液晶パネル11の表示画像の色味が経時的に変化することが殆どないものとされる。これにより、液晶表示装置10における表示品位を高いものとすることができる。
以上説明したように本実施形態によれば、機能層形成工程にて透光性基材34に形成される光学機能層は、透過光に拡散作用を付与する拡散層35とされる。このようにすれば、透過光に拡散作用を付与する拡散層35を有する拡散シート23bの製造に好適となる。
また、基材形成工程では、透光性基材34をAS樹脂(アクリロニトリル・スチレン共重合体)から形成している。このようにすれば、色度定常化工程を経ることで、AS樹脂からなる透光性基材34における透過光の色度を定常化させることができる。
また、上記した拡散層35は、メタクリル酸アルキル・スチレン非重合体からなる。このようにすれば、メタクリル酸アルキル・スチレン非重合体からなる拡散層35を有する拡散シート23bの製造に好適となる。
<実施形態3>
本発明の実施形態3を図16から図19によって説明する。この実施形態3では、拡散部材223が用いられるバックライト装置212をエッジライト型に変更した場合を示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
本実施形態に係る液晶表示装置210は、図16に示すように、液晶パネル211と、エッジライト型のバックライト装置212とをベゼル213などにより一体化した構成とされる。なお、液晶パネル211の構成は、上記した実施形態1と同様であるから、重複する説明は省略する。以下、エッジライト型のバックライト装置212の構成について説明する。
バックライト装置212は、図16に示すように、光出射面側(液晶パネル211側)に向けて開口する開口部を有した略箱型をなすシャーシ222と、シャーシ222の開口部を覆う形で配される複数の光学部材223とを備える。さらに、シャーシ222内には、光源であるLED224(Light Emitting Diode:発光ダイオード)と、LED224が実装されたLED基板225と、LED224からの光を導光して光学部材223(液晶パネル211)へと導く導光部材36と、導光部材36を表側から押さえるフレーム226とが備えられる。そして、このバックライト装置212は、その長辺側の両端部にLED224を有するLED基板225をそれぞれ備えるとともに、両LED基板225間に挟まれた中央側に導光部材36を配置してなる、いわゆるエッジライト型(サイドライト型)とされている。このように本実施形態に係るバックライト装置212は、エッジライト型であるから、実施形態1にて示した直下型のバックライト装置12で用いていた拡散レンズ27、保持部材28、第1反射シート30及び第2反射シート31などが備えられていない。続いて、バックライト装置212の各構成部品について詳しく説明する。
シャーシ222は、金属製とされ、図17及び図18に示すように、液晶パネル211と同様に横長の方形状をなす底板222aと、底板222aの各辺の外端からそれぞれ立ち上がる側板222bとからなり、全体としては表側に向けて開口した浅い略箱型をなしている。シャーシ222(底板222a)は、その長辺方向がX軸方向(水平方向)と一致し、短辺方向がY軸方向(鉛直方向)と一致している。また、側板222bには、フレーム226及びベゼル213がねじ止め可能とされる。
光学部材223は、図16に示すように、裏側(LED224側、光出射側とは反対側)に配される拡散板223aと、表側(液晶パネル211側、光出射側)に配される光学シート223b〜223dとから構成される。拡散板223aは、上記した実施形態1と同様であり、重複する説明は省略する。光学シート223b〜223dは、裏側(拡散板223a側)から、拡散シート223b、反射型偏光シート223d、プリズムシート223cの順で積層されてなる。このうち、拡散シート223b及びプリズムシート223cについては、上記した実施形態1及び実施形態2にて記載した通り、製造方法に色度定常化工程を含ませることで、バックライト装置212に組み込まれて使用する前の段階で、予め透過光の白色の色度を定常化させることができる。なお、反射型偏光シート223dに関しても、拡散シート223b及びプリズムシート223cと同様に製造方法に色度定常化工程を含ませることが可能とされる。
フレーム226は、導光部材36の外周端部に沿って延在する枠状(額縁状)に形成されており、導光部材36の外周端部をほぼ全周にわたって表側から押さえることが可能とされる。このフレーム226は、合成樹脂製とされるとともに、表面が例えば黒色を呈する形態とされることで、遮光性を有するものとされる。フレーム226のうち両長辺部分における裏側の面、つまり導光部材36及びLED基板225(LED224)との対向面には、図17に示すように、光を反射させる第1反射シート37がそれぞれ取り付けられている。第1反射シート37は、フレーム226の長辺部分におけるほぼ全長にわたって延在する大きさを有しており、導光部材36におけるLED224側の端部に直接当接されるとともに導光部材36の上記端部とLED基板225とを一括して表側から覆うものとされる。また、フレーム226は、液晶パネル211における外周端部を裏側から受けることができる。
LED224は、図16に示すように、LED基板225上に実装されるとともにLED225に対する実装面とは反対側の面が発光面となる、いわゆるトップ型とされる。このLED224における発光面側には、図17及び図19に示すように、光を広角に拡散させつつ出射させるためのレンズ部材38が設けられている。レンズ部材38は、LED24と導光部材36の光入射面36bとの間に介在するとともに導光部材36側に凸となるよう、その光出射面が球面状をなしている。また、このレンズ部材38の光出射面は、導光部材36の光入射面36bの長手方向に沿って湾曲しており、断面形状が略円弧状をなしている。なお、LED224の構成は、上記した実施形態1と同様であるから、重複する説明は省略する。
LED基板225は、図16に示すように、シャーシ222の長辺方向(X軸方向、導光部材36における光入射面36bの長手方向)に沿って延在する細長い板状をなすとともに、その主板面をX軸方向及びZ軸方向に並行した姿勢、つまり液晶パネル211及び導光部材36(光学部材223)の板面と直交させた姿勢でシャーシ222内に収容されている。LED基板225は、シャーシ222内における長辺側の両端部に対応して一対配されるとともに、長辺側の両側板222bにおける内面にそれぞれ取り付けられている。LED基板225の主板面であって内側、つまり導光部材36側を向いた面(導光部材36との対向面)には、上記した構成のLED224が表面実装されている。LED224は、LED基板225の実装面において、その長さ方向(X軸方向)に沿って複数が一列に(直線的に)並列配置されている。従って、LED224は、バックライト装置212における長辺側の両端部においてそれぞれ長辺方向に沿って複数ずつ並列配置されていると言える。一対のLED基板225は、LED224の実装面が互いに対向状をなす姿勢でシャーシ222内に収容されているので、両LED基板225にそれぞれ実装された各LED224の発光面が対向状をなすとともに、各LED224における光軸がY軸方向とほぼ一致する。
また、LED基板225の基材は、シャーシ222と同じアルミ系材料などの金属製とされ、その表面に絶縁層を介して銅箔などの金属膜からなる配線パターン(図示せず)が形成され、さらには最外表面には、光の反射性に優れた白色を呈する反射層(図示せず)が形成された構成とされる。この配線パターンによりLED基板225上に並列配置された各LED224同士が直列に接続されている。なお、LED基板225の基材に用いる材料としては、セラミックなどの絶縁材料を用いることも可能である。
続いて、導光部材36について詳しく説明する。導光部材36は、屈折率が空気よりも十分に高く且つほぼ透明な(透光性に優れた)合成樹脂材料(例えばアクリルなど)からなる。導光部材36は、図16に示すように、液晶パネル211及びシャーシ222と同様に平面に視て横長の方形状をなしており、その長辺方向がX軸方向と、短辺方向がY軸方向とそれぞれ一致している。導光部材36は、シャーシ222内において液晶パネル211及び光学部材223の直下位置に配されており、シャーシ222における長辺側の両端部に配された一対のLED基板225間にY軸方向について挟み込まれる形で配されている。従って、LED224(LED基板225)と導光部材36との並び方向がY軸方向と一致するのに対して、光学部材223(液晶パネル211)と導光部材36との並び方向がZ軸方向と一致しており、両並び方向が互いに直交するものとされる。そして、導光部材36は、LED224からY軸方向に向けて発せられた光を導入するとともに、その光を内部で伝播させつつ光学部材223側(Z軸方向)へ向くよう立ち上げて出射させる機能を有する。なお、導光部材36は、上記した光学部材223よりも一回り大きく形成されており、その外周端部が光学部材223の外周端面よりも外側に張り出すとともに既述したフレーム226により押さえられるものとされる(図17及び図18)。
導光部材36は、シャーシ222の底板222a及び光学部材223の各板面に沿って延在する略平板状をなしており、その主板面がX軸方向及びY軸方向に並行するものとされる。導光部材36の主板面のうち、表側を向いた面が内部の光を光学部材223及び液晶パネル211に向けて出射させる光出射面36aとなっている。導光部材36における主板面に対して隣り合う外周端面のうち、X軸方向に沿って長手状をなす長辺側の両端面は、それぞれLED224(LED基板225)と所定の間隔を空けて対向状をなしており、これらがLED224から発せられた光が入射される光入射面36bとなっている。光入射面36bは、X軸方向及びZ軸方向に沿って並行する面とされ、光出射面36aに対して略直交する面とされる。また、LED224と光入射面36bとの並び方向は、Y軸方向と一致しており、光出射面36aに並行している。導光部材36における光出射面36aとは反対側の面36cには、導光部材36内の光を反射して表側へ立ち上げることが可能な第2反射シート39がその全域を覆う形で設けられている。第2反射シート39は、平面に視てLED基板225(LED224)と重畳する範囲にまで拡張されるとともに、表側の第1反射シート37との間でLED基板225(LED224)を挟み込む形で配されている。これにより、LED224からの光を両反射シート37,39間で繰り返し反射することで、光入射面36bに対して効率的に入射させることができる。なお、導光部材36における光出射面36aまたはその反対側の面36cの少なくともいずれか一方には、内部の光を反射させる反射部(図示せず)または内部の光を散乱させる散乱部(図示せず)が所定の面内分布を持つようパターニングされており、それにより光出射面36aからの出射光が面内において均一な分布となるよう制御されている。
以上のようなエッジライト型のバックライト装置212に用いられる光学部材223の製造方法に、色度定常化工程を含ませることで、上記した実施形態1と同様に液晶パネル211の表示品位の向上を図ることができる。
<実施形態4>
本発明の実施形態4を図20または図21によって説明する。この実施形態4では、液晶パネル311におけるカラーフィルタ319を3色に変更した場合を示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
本実施形態に係る液晶パネル311を構成するCF基板311aには、図20及び図21に示すように、アレイ基板311b側の各画素に対応して多数個の着色部R,G,Bをマトリクス状に配列してなるカラーフィルタ319が設けられている。このカラーフィルタ319は、光の三原色である赤色の着色部R,緑色の着色部G,青色の着色部Bの3種類を有するものとされる。カラーフィルタ319は、図20に示す左側から赤色の着色部R、緑色の着色部G、青色の着色部Bの順でX軸方向に沿って繰り返し並ぶ配列とされる。各着色部R,G,Bは、長辺方向をY軸方向に、短辺方向をX軸方向にそれぞれ一致させた縦長(長手)の方形状(矩形状)をなしており、各色で全て面積が同一とされている。また、各着色部R,G,B間には、混色を防ぐため、格子状の遮光層(ブラックマトリクス)BMが設けられている。なお、上記以外の構成に関しては、上記した実施形態1と同様であるから、重複する説明は省略する。このような3原色タイプの液晶パネル311の背面に組み付けられるバックライト装置12に用いられる光学部材23の製造方法に、色度定常化工程を含ませることで、上記した実施形態1と同様に液晶パネル311の表示品位の向上を図ることができる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記した実施形態1以外にも、4原色タイプの液晶パネルにおけるカラーフィルタの着色部の並び順は、適宜変更可能である。例えば、図22に示すように、カラーフィルタ19′をなす各着色部R,G,B,Yが同図左側から赤色の着色部R、緑色の着色部G、青色の着色部B、黄色の着色部Yの順でX軸方向に沿って並ぶ配列としたものも本発明に含まれる。なお、実施形態4に記載した3原色タイプの液晶パネルについても各着色部R,G,Bの並び順を変更することが可能である。
(2)上記した(1)以外にも、例えば、図23に示すように、カラーフィルタ19′′をなす各着色部R,G,B,Yが同図左側から赤色の着色部R、黄色の着色部Y、緑色の着色部G、青色の着色部B、の順でX軸方向に沿って並ぶ配列としたものも本発明に含まれる。
(3)上記した各実施形態では、基材形成工程と機能層形成工程とを経た後に、色度定常化工程を実施する光学部材の製造方法を示したが、各工程の実施順について、例えば基材形成工程と色度定常化工程とを経てから、機能層形成工程を実施するようにしても構わない。すなわち、透光性基材を形成し、光学機能層を形成する前の段階で、透光性基材単体に対して色度定常化光源からの光を照射するようにしても構わない。
(4)上記した各実施形態では、色度定常化工程において、光学部材のうち透光性基材と対向するよう色度定常化LEDを配したものを示したが、光学部材のうち光学機能層と対向するよう色度定常化LEDを配するようにしたものも本発明に含まれる。
(5)上記した各実施形態では、色度定常化工程において、光学部材の片側に対してのみ色度定常化LEDを対向状に配したものを示したが、光学部材の両側にそれぞれ色度定常化LEDを一対配するようにしたものも本発明に含まれる。
(6)上記した各実施形態では、色度定常化工程にて用いられる色度定常化LEDが、バックライト装置が有するLEDと同一の主発光波長とされるものを示したが、色度定常化LEDにおける主発光波長を、バックライト装置が有するLEDの主発光波長とは異なる波長(435nm〜480nmの範囲において451nm以外の波長)としたものも本発明に含まれる。その場合でも、色度定常化LEDの主発光波長は、440nm〜460nmの範囲から選択されるのが好ましい。
(7)上記した(6)とは逆に、バックライト装置が有するLEDの主発光波長を、色度定常化LEDにおける主発光波長とは異なる波長とすることも可能である。
(8)上記した各実施形態では、色度定常化工程にて用いられる色度定常化光源として、色度定常化LEDを用いた場合を示したが、他の種類の光源(例えばキセノンランプなど)を色度定常化光源として用いるようにしたものも本発明に含まれる。
(9)上記した各実施形態では、色度定常化工程にて用いられる色度定常化LEDが、青色の単色光を発するものを示したが、例えば青色の波長領域に複数のピーク波長を有するものや、青色の波長領域以外の波長領域にもピーク波長を有するものを色度定常化LEDとして用いることも可能である。要は、色度定常化LEDが青色の波長領域に主発光波長を有する、つまり青色の波長領域に存する光の発光強度が最も高いものとされるのであれば、青色以外の波長領域に存する光が多少含まれていても構わない。
(10)上記した各実施形態では、色度定常化工程にて用いられる色度定常化LEDにおける青色の波長領域の光の発光強度が、バックライト装置が有するLEDの同発光強度よりも相対的に高くなるものを示したが、例えば上記した発光強度が互いに等しくなる設定とすることも可能である。
(11)上記した実施形態1では、プリズムシートにおける透光性基材とプリズム層とが別の材料からなるものを示したが、透光性基材とプリズム層とを同一の材料からなるものとすることも可能である。その場合、基材形成工程を経て得られた透光性基材の表面に、直接、プリズム形状を切削した金型を加圧して各プリズム層を形成することで、プリズム層形成工程を実施すればよい。
(12)プリズムシートを構成する透光性基材の材料は適宜に変更可能であり、例えば拡散シートと同じAS樹脂としたり、またアクリル樹脂、PS(ポリスチレン)、PP(ポリプロピレン)などを用いることも可能である。同様に、プリズム層の材料に関しても適宜に変更可能である。
(13)上記した実施形態2では、拡散シートにおける透光性基材の表面に拡散剤を塗布することで拡散層を形成した場合を示したが、例えば拡散層を透光性基材とは別の透明なフィルムの表面に形成しておき、そのフィルムを透光性基材に対して貼り合わせることで、拡散シートを製造するようにしても構わない。
(14)上記した(13)以外にも、例えば透光性基材に拡散ビーズを分散配合することで拡散シートを製造するようにしてもよい。
(15)拡散シートを構成する透光性基材の材料は適宜に変更可能であり、例えばプリズムシートと同じポリエステル樹脂(例えば、PET)としたり、またアクリル樹脂、PS(ポリスチレン)、PP(ポリプロピレン)などを用いることも可能である。同様に、拡散層の材料に関しても適宜に変更可能である。
(16)上記した各実施形態では、光学部材における光学シートの製造方法に、色度定常化工程を含ませるようにしたものを示したが、例えば拡散板や導光部材などの製造方法に色度定常化工程を含ませるようにしてもよく、そのようなものも本発明に含まれる。その場合でも、光学部材の材質は、ポリエステル樹脂(例えば、PET)である場合に特に高い効果が得られる。
(17)上記した実施形態1では、直下型のバックライト装置に用いられる光学シートが拡散シートとプリズムシートとの2枚とされる場合を示したが、これらに反射型偏光シートを加えて3枚とすることも勿論可能であり、さらに他の種類の光学シートを加えて4枚以上とすることも可能である。また、例えば拡散シートを2枚用いるなど、同じ種類の光学シートを複数枚用いることも可能である。
(18)上記した実施形態3では、エッジライト型のバックライト装置に用いられる光学シートが拡散シートとプリズムシートと反射型偏光シートの3枚とされる場合を示したが、これらの他の種類の光学シートを加えて4枚以上とすることも可能であり、逆にいずれかの光学シートを省略して2枚以下とすることも可能である。また、例えば拡散シートを2枚用いるなど、同じ種類の光学シートを複数枚用いることも可能である。
(19)上記した実施形態1では、LEDの光出射側に拡散レンズを配したものを示したが、このような拡散レンズを省略した直下型のバックライト装置にも本発明は適用可能である。
(20)上記した各実施形態では、液晶パネル及びシャーシがその短辺方向を鉛直方向と一致させた縦置き状態とされるものを例示したが、液晶パネル及びシャーシがその長辺方向を鉛直方向と一致させた縦置き状態とされるものも本発明に含まれる。
(21)上記した各実施形態では、液晶表示装置のスイッチング素子としてTFTを用いたが、TFT以外のスイッチング素子(例えば薄膜ダイオード(TFD))を用いた液晶表示装置にも適用可能であり、カラー表示する液晶表示装置以外にも、白黒表示する液晶表示装置にも適用可能である。
(22)上記した各実施形態では、表示パネルとして液晶パネルを用いた液晶表示装置を例示したが、他の種類の表示パネルを用いた表示装置にも本発明は適用可能である。
(23)上記した各実施形態では、チューナーを備えたテレビ受信装置を例示したが、チューナーを備えない表示装置にも本発明は適用可能である。