JP5508936B2 - 多孔性高分子材料、及びその製造方法 - Google Patents

多孔性高分子材料、及びその製造方法 Download PDF

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Description

油中水型の高内部相エマルジョンから製造される多孔性高分子材料に関し、詳しくは親水性を有するとともに金属腐食性を抑制した多孔性高分子材料、及びその製造方法に関する。
内径が0.5〜100μmの空孔が3次元的に連続する空隙構造を有する多孔性高分子材料は、その優れた毛管引力によって濡れ性をもつ液体を内部の空隙構造内に吸い込むとともに、吸い込まれた液体を強固に保持することができるという特性を有する。また、上記多孔性高分子材料は、高吸収性ポリマー(SAP)と比較して、液体吸収時に膨潤しない、更には膨潤に伴う吸水速度の低下が現れないといった利点があることから、例えば、おむつやナプキン等の衛生生理用品用の部材として注目されている。
上記多孔性高分子材料としては、例えば、特許文献1及び特許文献2に開示される多孔性高分子材料が知られている。特許文献の多孔性高分子材料は、重合して高分子材料を形成する原料成分を主成分とする油相に対して水相を添加して油中水型の高内部相エマルジョン(High Internal Phase Emulsion:HIPE)を形成した状態にて、油相中の原料成分を重合して硬化させるとともに、水相を除去することにより得ることができる。
特開昭62−250002号公報 特表平11−503177号公報
ところで、特許文献の多孔性高分子材料は、その製造時において、高内部相エマルジョンの安定性を高めることを目的として、油相中に乳化剤が配合されるとともに水相中に水溶性のハロゲン化物が配合されている。こうした乳化剤やハロゲン化物は、通常の水相の除去処理では完全に除去されることはなく、水相の除去後も多孔性高分子材料の空孔を形成する骨格内や骨格表面に残存する。
そのため、多孔性高分子材料の保管時や使用時において、金属部材が周囲に存在すると、多孔性高分子材料内に残存するハロゲン化物が飛散して周囲の金属部材に付着することにより、周囲の金属部材に錆を生じさせるおそれがあった。また、多孔性高分子材料の製造時には、水相除去工程として、多孔性高分子材料を絞って含水量を減らすとともに熱風炉等にて乾燥させる処理を伴うが、その際に搬送装置や絞り装置がハロゲン化物の水溶液、又は飛散したハロゲン化物に接触して錆が生じるという問題があった。
なお、多孔性高分子材料が有する高い吸水性は、骨格表面に残存するハロゲン化物が骨格表面を親水化させていることが一つの要因と考えられる。そのため、多孔性高分子材料からハロゲン化物を単純に除去するという対処法は、多孔性高分子材料の吸水性保持の観点から好ましくはない。
この発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高い親水性を発現しつつも、金属腐食性が抑制されて周囲の金属部材に対する錆の発生を抑制することができる多孔性高分子材料、及びその製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために請求項1に記載の多孔性高分子材料は、微細な空孔が連続する空隙構造を有する多孔性高分子材料であって、前記多孔性高分子材料は、重合して高分子材料を形成する原料成分を含有する油相と、潮解性を有する電解質(但し、ハロゲン化物を除く)であるクエン酸、酢酸マグネシウム、次亜リン酸ナトリウム、硝酸カルシウム、サリチル酸リチウム、ギ酸カリウム、水酸化ナトリウム、硫化ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム、及び炭酸カリウムから選ばれる少なくとも一種を含有する水相とからなる油中水型の高内部相エマルジョンにおける前記油相中の原料成分を重合することによって形成され、前記空孔を形成する骨格の表面に、前記電解質を存在させたことを特徴とする。
請求項に記載の多孔性高分子材料の製造方法は、請求項1に記載の多孔性高分子材料の製造方法において、重合して高分子材料を形成する原料成分を含有する油相に、前記電解質を含有する水相を添加して油中水型の高内部相エマルジョンを形成するエマルジョン形成工程と、前記高内部相エマルジョンにおける油相中の原料成分を重合する重合工程と、該重合工程後に水分を除去する除去工程とを含むことを特徴とする。
本発明の多孔性高分子材料によれば、高い親水性を発現しつつも、金属腐食性が抑制されて、周囲の金属部材に錆を発生させ難くなる。
以下、本発明を具体化した実施形態を詳細に説明する。
本実施形態の多孔性高分子材料の製造方法は、油中水型の高内部相エマルジョンを形成するエマルジョン形成工程と、高内部相エマルジョンの油相を重合する重合工程と、水分を除去する除去工程とを含む。
[エマルジョン形成工程]
エマルジョン形成工程は、油相中に水相を添加して油中水型の高内部相エマルジョン(High Internal Phase Emulsion:HIPE)を形成する工程である。
まず、油相について説明する。油相は重合して高分子材料を形成する原料成分として、例えばスチレン系モノマー、アクリル酸系モノマー、及び架橋剤を含有し、好ましくは界面活性剤をさらに含有する。
スチレン系モノマーとしては、例えばスチレン及びアルキルスチレンが挙げられる。アルキルスチレンとしては、例えばエチルスチレン、及びp−n−オクチルスチレンが挙げられる。これらのスチレン系モノマーのうち、一種のみが含有されていてもよいし、二種以上が含有されていてもよい。
アクリル酸系モノマーとしては、例えばアルキルアクリレート、アリルアクリレート、アルカリールアクリレート、アルキルメタクリレート、及びアクリルアミドが挙げられる。アルキルアクリレートとしては、例えばブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、イソデシルアクリレート、及びテトラデシルアクリレートが挙げられる。アリルアクリレートとしては、例えばベンジルアクリレートが挙げられる。アルカリールアクリレートとしては、例えばノニルフェニルアクリレートが挙げられる。アルキルメタクリレートとしては、例えばヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ノニルメタクリレート、デシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、及びテトラデシルメタクリレートが挙げられる。アクリルアミドとしては、例えばN−オクタデシルアクリルアミドが挙げられる。これらのアクリル酸系モノマーのうち、一種のみが含有されていてもよいし、二種以上が含有されていてもよい。
架橋剤としては、例えばジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、ジビニルナフタレン、ジビニルアルキルベンゼン、ジビニルフェナントレン、ジビニルビフェニル、ジビニルジフェニルメタン、ジビニルフェニルエーテル、ジビニルジフェニルスルフィド、ジビニルフラン、ジビニルスルフィド、ジエチレングリコールジメタクリレート、及び3−ブチレンジメタクリレートが挙げられる。これらの架橋剤のうち、一種のみが含有されていてもよいし、二種以上が含有されていてもよい。
なお、原料成分であるスチレン系モノマー、アクリル酸系モノマー、及び架橋剤の含有比率を調整することにより、形成される多孔性高分子材料の硬度を調整することができる。そして、上記含有比率は目的とする多孔性高分子材料の硬度に応じて適宜変更することができる。
界面活性剤は、高内部相エマルジョンの形成時におけるエマルジョンの安定性を向上させるために含有される。界面活性剤は、高内部相エマルジョンを形成可能なものであれば特に限定されないが、油溶性の非イオン界面活性剤、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸から誘導されるソルビタン脂肪酸エステル及びグリセリン脂肪酸エステルを好適に用いることができる。
また、油相中における界面活性剤の含有量は、好ましくは2〜15質量%であり、より好ましくは3〜10質量%である。この含有量が2質量%未満の場合には乳化力が不足してエマルジョンが不安定になるおそれがあり、15質量%を超える場合には過剰な界面活性剤が多孔性高分子材料の表面にブリードして、多孔性高分子材料に接触したものに付着してしまうおそれがある。
なお、必要に応じて油相中に他の成分、例えばスチレン系モノマー、アクリル酸系モノマー、及び架橋剤以外の共重合成分、触媒、難燃剤、及び着色剤が含有されていてもよい。また、上記原料成分以外の油相を構成する成分、例えばトルエン、キシレン、ベンゼン、エーテル類、エステル類、パラフィン類が含有されていてもよい。上記原料成分以外の油相を構成する成分は上記原料成分を重合させた後、揮発させることで除去することができる。
次に水相について説明する。水相は水、重合開始剤、及び潮解性を有する電解質(但し、ハロゲン化物を除く)を含有する。
重合開始剤は、光や加熱等により分解されて遊離ラジカル(遊離基)を発生させる化合物であり、油相中に含有される原料成分のラジカル重合を開始させる。重合開始剤は、ラジカル重合反応の重合開始剤として一般的に用いられる公知の物質を用いることができる。具体的には、例えば過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、過酢酸ナトリウム、及び過炭酸ナトリウム等の過酸化物が挙げられる。また、重合開始剤は、上記過酸化物等の酸化剤と、アスコルビン酸等の還元剤とを組み合わせたレドックス系の重合開始剤としてもよい。
水相中における重合開始剤の含有量は、好ましくは0.01〜5質量%であり、より好ましくは0.05〜1質量%である。この含有量が0.01質量%未満の場合にはラジカル重合反応の進行が著しく遅くなるおそれがあり、5質量%を超える場合には酸化剤である重合開始剤が多孔性高分子材料の表面に残留して多孔性高分子材料が酸化劣化するおそれがある。
潮解性を有する電解質(但し、ハロゲン化物を除く)は、水相にイオン強度を与えることによって高内部相エマルジョンの形成時におけるエマルジョンの安定性を向上させるとともに、得られる多孔性高分子材料に高い親水性を付与する。なお、上記ハロゲン化物としては、例えば、塩化マグネシウム、塩化カルシウム等の塩化物、及び臭化マグネシウム、臭化カルシウム等の臭化物が挙げられる。以下では、「潮解性を有する電解質(但し、ハロゲン化物を除く)」を、単に「潮解性を有する電解質」と記載する。
潮解性を有する電解質としては、例えばクエン酸、酢酸マグネシウム、次亜リン酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、三クエン酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、プロピオン酸アンモニウム、スルファミン酸アンモニウム、チオシアン酸アンモニウム、チオシアン酸バリウム、硝酸バリウム、ヨウ化セシウム、水酸化セシウム、炭酸セシウム、硝酸カルシウム、亜硝酸カルシウム、チオシアン酸カルシウム、二酢酸コバルト、フルオロ珪酸銅、二硝酸銅、サリチル酸リチウム、硫化リチウム、硝酸マグネシウム、ギ酸カリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムフェノラート、硫化水素ナトリウム、硫化ナトリウム、チオ炭酸ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸亜鉛、及び炭酸カリウムが挙げられる(これらの水和物を含む)。これらの電解質のうち、一種のみが用いられていてもよいし、二種以上が用いられていてもよい。
上記水相中における、潮解性を有する電解質の含有量は、好ましくは0.01〜0.5mol/lであり、より好ましくは0.02〜0.2mol/lである。この含有量が0.01mol/l未満の場合には高内部相エマルジョンが不安定となりエマルジョンが崩壊するおそれがある。また、0.5mol/lを超える場合には、水相の粘度が過度に大きくなることから、油相に対する水相の添加量が制限されてしまい、高内部相エマルジョンを形成することが困難になる。さらに、0.5mol/lを超えて配合しても、それ以上の効果は得られないことから不経済である。
なお、必要に応じて水相中に他の成分、例えば難燃剤、及び着色剤が含有されていてもよい。
そして、攪拌状態(例えば剪断攪拌)にある油相に対して水相を徐々に添加することによって、油中水型の高内部相エマルジョンが形成される。このとき、油相に対する水相の添加量は、油相1gに対して3〜250mlであることが好ましく、6〜100mlであることがより好ましい。この添加量が3ml未満の場合には、空孔が不連続である独立気泡構造の多孔性高分子材料となるおそれがあり、250mlを超える場合にはエマルジョン中における油相が3次元的につながらずに崩壊しまう等して、立体的な形状を形成できなくなるおそれがある。
[重合工程]
重合工程では、高内部相エマルジョンを構成する油相中の原料成分を重合及び硬化させて高分子材料を形成する。原料成分の重合及び硬化は、重合開始剤を分解して遊離ラジカルを発生させるとともに、発生した遊離ラジカルにより原料成分中のスチレン系モノマー、アクリル酸系モノマー及び架橋剤をラジカル重合させることによって行われる。重合開始剤を分解して遊離ラジカルを発生させる方法としては、重合開始剤を分解して遊離ラジカルを発生させるために一般的に行われる手法、例えば加熱処理、特定波長の光照射処理、及び酸化還元反応を利用した方法を用いることができる。そして、原料成分中のスチレン系モノマー、アクリル酸系モノマー及び架橋剤がラジカル重合して共重合体を形成することによって、高内部相エマルジョンにおける油相部分を骨格とし、水相部分を空孔とする空隙構造を有する多孔性高分子材料が形成される。
[除去工程]
除去工程では、重合工程にて形成された多孔性高分子材料中に残存する水相由来の水分を除去する。多孔性高分子材料中の水分を除去する方法としては、例えばローラ式の脱水機を用いた圧搾処理、加熱乾燥処理、真空脱水処理、マイクロ波処理、及びこれらの処理の組み合わせが挙げられる。
そして、上記除去工程を経て、微細な空孔(気泡)が3次元的に連続する連続気泡の空隙構造を有するとともに、その骨格の表面に、潮解性を有する電解質が存在する多孔性高分子材料が製造される。なお、多孔性高分子材料の骨格表面に、潮解性を有する電解質を確実に残存させるために、上記除去工程後、過度な洗浄処理を行わないようにすることが好ましい。
次に、本実施形態の多孔性高分子材料について説明する。上述した製造方法により得られた多孔性高分子材料は、微細な空孔(気泡)が3次元的に連続する連続気泡の空隙構造を有するとともに、その骨格の表面に、潮解性を有する電解質が存在するように構成されている。
多孔性高分子材料に形成される空孔の平均内径は、毛管引力を好適に発揮するという観点から0.5〜100μmの範囲に設定される。また、多孔性高分子材料の空孔率は、吸水能力を高めるという観点から74%以上に設定されることが好ましい。上記空孔率の上限値は、微細な空孔を形成及び維持可能な骨格が存在する程度の値である。なお、上記空孔の平均内径は、エマルジョン形成工程において、油相に水相を添加する際の攪拌状態を変化させることにより適宜調整することができる。例えば、攪拌時の攪拌速度を高めるほど、空孔の平均内径は小さなものとなる。また、上記空孔率は、油相に対する水相の添加量を変化させることにより適宜調整することができる。
多孔性高分子材料の骨格の表面に存在する潮解性を有する電解質は、多孔性高分子材料に優れた親水性を付与する。多孔性高分子材料の骨格表面に潮解性を有する電解質が存在すると、同電解質は周囲の空気中の水分を取り込んで自発的に水溶液となり、多孔性高分子材料の骨格表面に液膜を形成する(潮解性を有する電解質の存在量が十分に多い場合には、多孔性高分子材料の骨格表面全体が液膜によって完全に覆われた状態となる。)。
これにより、多孔性高分子材料の骨格表面が濡れ性をもつ液体(水系の液体)に対して馴染みやすくなる。つまり、多孔性高分子材料の骨格表面に上記液体が接触した際の接触点の接触角が極めて小さいものとなる。したがって、多孔性高分子材料は接触した上記液体を吸収しやすい状態となる。よって、本実施形態の多孔性高分子材料は、内部の微細な空隙構造による毛管引力と骨格表面の高い親水性とが組み合わさって、接触した上記液体に対して極めて大きな吸水性を発揮する。なお、上記濡れ性をもつ液体(水系の液体)は、水、メタノールやエタノール等の水溶性有機溶媒、水と水溶性有機溶媒との混合物、及びこれらの液体を溶媒とする溶液を含む。
また、潮解性を有する電解質は、金属に対する腐食性が低い。そのため、多孔性高分子材料の保管時や使用時において、その周囲に金属部材が配置されていたとしても、その金属部材の腐食が抑制される。さらに、多孔性高分子材料の製造時においても、製造に使用される金属部品を備える装置の腐食が抑制される。
本実施形態の多孔性高分子材料は、例えば、濡れ性をもつ液体に対する吸水性が要求される物品に好適に適用することができる。吸水性が要求される物品としては、例えば、おむつやナプキン等の衛生生理用品用、創傷被覆材や創傷保護材等の医療用品、汗取りパッド等のパッド類、掃除用クリーナやメイク落とし用シート等のシート類が挙げられる。また、金属部材と共に使用される使用用途として、例えば、インクジェット方式のプリンタのプリンタヘッドに対応して取り付けられるインク吸収体に適用することもできる。
次に本実施形態における作用効果について、以下に記載する。
(1)本実施形態の多孔性高分子材料は、重合して高分子材料を形成する原料成分を含有する油相と、潮解性を有する電解質を含有する水相とからなる油中水型の高内部相エマルジョンにおける油相中の原料成分を重合することによって形成され、空孔を形成する骨格の表面に、潮解性を有する電解質を存在させている。上記構成によれば、空孔を形成する骨格の表面に存在する潮解性を有する電解質によって、多孔性高分子材料に優れた親水性が付与されて、多孔性高分子材料の吸水性が向上する。
また、多孔性高分子材料中に塩化カルシウム等のハロゲン化物を残存させていた従来の構成では、金属等の部品に当接させた状態で多孔性高分子材料を使用する場合に、その金属に錆を生じさせるおそれがあった。特に、電子機器内部等の通気性の低い環境下で使用する場合には、空気中の微量水分を集めてしまい、錆を生じさせるおそれが高い。さらには、金属としてステンレスを使用した場合にも、耐食性の高いステンレスを除いては、表面に存在する不動体酸化皮膜を破壊して深部まで達する孔食を引き起こす場合もあった。しかしながら、上記構成によれば、周囲の金属部品に対する錆や孔食の発生が抑制されるため、金属部材と共に使用される使用用途であっても、好適に用いることができる。
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 上記実施形態では、エマルジョン形成工程において、油相中に油溶性の界面活性剤を含有させていたが、水相中に水溶性の界面活性剤を含有させるようにしてもよい。
・ 上記実施形態では、原料成分として、スチレン系モノマー及びアクリル酸系モノマーといったモノマー成分を用いていたが、スチレン系モノマー同士、アクリル酸系モノマー同士、又はスチレン系モノマー及びアクリル酸系モノマーを複数個、予め重合させたマクロモノマーを用いてもよい。
・ 上記実施形態の多孔性高分子材料を形成する高分子材料は、スチレン系モノマー及びアクリル酸系モノマーを重合してなる高分子材料に限定されるものではない。高分子材料の原料となる原料成分が油相を構成し、且つ水相を添加した際に高内部相エマルジョンを形成し得るものであればよい。こうした高分子材料としては、例えば、スチレン系モノマーのみを原料成分とするポリスチレン樹脂、アクリル酸系モノマーのみを原料成分とするポリアクリル酸樹脂、エポキシ樹脂オリゴマーを原料成分とするエポキシ樹脂、ポリオールとポリイソシアネートとを原料成分とするポリウレタン樹脂が挙げられる。
・ 除去工程後の多孔性高分子材料に、水溶性の界面活性剤の水溶液を浸漬、スプレー、ロールコーティング等により塗布した後、多孔性高分子材料を乾燥させるようにしてもよい。この場合、多孔性高分子材料の骨格表面に界面活性剤が存在するようになり、多孔性高分子材料の親水性がさらに向上する。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ)前記高分子材料は、スチレン系モノマー、アクリル酸系モノマー及び架橋剤からなることを特徴とする前記多孔性高分子材料。
(ロ)液体の吸収を目的とする用途に使用されることを特徴とする前記多孔性高分子材料。
(ハ)金属部材と共に使用されることを特徴とする前記多孔性高分子材料。
次に、実施例及び比較例を挙げて上記実施形態を更に具体的に説明する。
[高内部相エマルジョンの形成]
まず、以下に示す油相及び水相をそれぞれ調製した。
油相:2−エチルヘキシルアクリレート(東亞合成社製)2.8g、スチレンモノマー(新日鐵化学社製)1.3g、ジビニルベンゼン(新日鐵化学社製)0.9g、ジグリセロールオレート(EMALEX MOG−2 日本エマルジョン社製)0.2g。
水相:蒸留水100g、表1に示す所定量の添加成分、過硫酸ナトリウム(アデカ社製)0.5g。
なお、表1に示す各添加成分のうち、クエン酸、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、硝酸カルシウム四水和物、酢酸マグネシウム二水和物、チオシアン酸ナトリウム、サリチル酸リチウム、硫化ナトリウム九水和物、次亜リン酸ナトリウム一水和物、ギ酸カリウム、尿素、及びグルタミン酸水素ナトリウム一水和物は関東化学社製のものを用い、塩化カルシウム二水和物はトクヤマ社製のものを用いた。
次に、300mlビーカーに上記油相(全量)を入れ、300rpmの攪拌速度で攪拌しながら、ビーカー内に上記水相(全量)を分液ロートにて約7分間かけて添加することにより、高内部相エマルジョンを形成した。
[油層の重合・硬化及び水相の除去]
得られた高内部相エマルジョンを3mm厚のスペーサの間に流し込み、PETフィルムの間に挟んだ状態として75℃にて1時間加熱することにより、上記油相中の重合体原料を重合させて上記油層を硬化させた。次いで、ローラ式の脱水機にて圧搾した後、75℃にて1時間加熱して乾燥を行うことにより、多孔性高分子材料を得た。
次に、得られた多孔性高分子材料について、下記に示す方法に従い「吸水性」及び「金属腐食性」の評価を行った。
[吸水性の評価]
実施例及び比較例の多孔性高分子材料(50mm×50mm×3mm)の表面に、1mlの蒸留水をスポイトにて滴下して、多孔性高分子材料に完全に吸収されて見えなくなるまでの時間を吸水時間として測定した。その結果を表1に示す。
[金属腐食性の評価]
金属板(SUS304板:50mm×50mm×1mm)上に多孔性高分子材料(50mm×50mm×3mm)を載せ、この上にさらにアクリル板(50mm×50mm×1mm)を載せてアクリル板の重量を含めて50gを加重した状態とした状態で、60℃90%RH(相対湿度)の恒温恒湿槽内にて22時間処理した。次いで、恒温恒湿槽から金属板を取り出し、50倍の実体顕微鏡にて金属板表面における錆の発生の有無を観察した。その結果を表1に示す。
なお、上記金属板は、前処理としてアセトンに浸漬させることによる油分の除去処理、及び1N希硫酸水溶液に浸漬させることによる表面酸化層の除去処理を行ったものを用いた。
Figure 0005508936
表1に示すように、水相への添加成分として、潮解性を有する電解質(但し、ハロゲン化物を除く)を用いた各実施例では、吸水性の評価における吸水時間が1秒未満であり、吸水性が優れていることが分かる。これらのなかでも実施例4、5、7及び8は、吸水性の評価における浸透時間が0.5秒未満であり、吸水性が特に優れていることが分かる。
また、各実施例は金属腐食性の評価において錆の発生が観察されることはなく、金属腐食性がない、又は金属腐食性が非常に弱いことが分かる。なお、各実施例は高内部相エマルジョン形成時におけるエマルジョン安定性も良好であり、正常にエマルジョンが形成された。
一方、水相への添加成分としてハロゲン化物である塩化カルシウム二水和物を用いた比較例1は、金属腐食性の評価において、金属板の表面に茶色の錆の発生が観察され、金属腐食性を有していることが分かる。さらに、ハロゲン化物濃度を低下させた比較例2においても比較例1と同様に金属腐食性が確認された。
また、水相への添加成分として非電解質の尿素を用いた比較例3では、高内部相エマルジョン形成時において、油相に水相をすべて添加する前に水がエマルジョンから分離してエマルジョンが崩壊した。そのため、重合・硬化処理を行うことができず、多孔性高分子材料を得ることができなかった。さらに、水相への添加成分として、潮解性のないL−グルタミン酸水素ナトリウム一水和物を用いた比較例4では、吸水性の評価における吸水時間が60秒以上であり、吸水性に乏しいことが分かる。

Claims (2)

  1. 微細な空孔が連続する空隙構造を有する多孔性高分子材料であって、
    前記多孔性高分子材料は、重合して高分子材料を形成する原料成分を含有する油相と、潮解性を有する電解質(但し、ハロゲン化物を除く)であるクエン酸、酢酸マグネシウム、次亜リン酸ナトリウム、硝酸カルシウム、サリチル酸リチウム、ギ酸カリウム、水酸化ナトリウム、硫化ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム、及び炭酸カリウムから選ばれる少なくとも一種を含有する水相とからなる油中水型の高内部相エマルジョンにおける前記油相中の原料成分を重合することによって形成され、
    前記空孔を形成する骨格の表面に、前記電解質を存在させたことを特徴とする多孔性高分子材料。
  2. 請求項1に記載の多孔性高分子材料の製造方法において、
    重合して高分子材料を形成する原料成分を含有する油相に、前記電解質を含有する水相を添加して油中水型の高内部相エマルジョンを形成するエマルジョン形成工程と、前記高内部相エマルジョンにおける油相中の原料成分を重合する重合工程と、該重合工程後に水分を除去する除去工程とを含むことを特徴とする多孔性高分子材料の製造方法。
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