以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。まず図1は、遊技機としてのパチンコ機2が複数列設される遊技機設置島1を示す正面図である。尚、以下において、図1の手前側を遊技機設置島1の前面側、奥側を後面側、左右側を左右面側として説明する。
遊技機設置島1(以下、遊技島と略称する)の長手方向の略中央位置上部、つまり各パチンコ機2の上方位置には、パチンコ機2の遊技に使用される遊技媒体であるパチンコ球が貯留される遊技媒体貯留部としての上部タンク3が設けられており、この上部タンク3内に貯留されたパチンコ球は、上部タンク3の下面から、遊技島1の長手方向両端部(左右側)に向けてそれぞれ下方に傾斜するように配設された左右一対の補給樋4,4に流入するようになっている。
補給樋4,4内に流入したパチンコ球は、流下方向に向けて所定間隔おきに複数設けられた支流樋5を介して、各パチンコ機2の背面に設けられた球タンク6にそれぞれ補給され、パチンコ機2の遊技に使用される(図1,2参照)。
また、左右のうち一方(本実施例では図1中右側)の補給樋4の下流側端部には、補給樋4内のパチンコ球を排出するための球抜き部30が設けられているとともに、該球抜き部30のさらに下流側には、球抜き部30から排出されたパチンコ球を下方の下部タンク9内に誘導する2本の球抜き管7が垂下されている。尚、補給樋4,4及び球抜き部30の詳細な説明は後述することとする。
各パチンコ機2は、遊技島1の前後面それぞれに長手方向に向けて設置された繕板13の上面に載置されており、該繕板13における各パチンコ機2の背面側には、パチンコ機2より排出されたアウト球を受けて下部タンク9内に排出する複数のアウト球タンク8が、各パチンコ機2に対応して設けられている。
各パチンコ機2の下方には、上部タンク3からオーバーフローしたパチンコ球及び後述するように他の遊技島1から移送されたパチンコ球が貯留される下部タンク9,9が、遊技島1の長手方向の略中央位置に配置された揚送研磨装置11の左右側にそれぞれ設けられている。左右の下部タンク9,9は、長手幅寸法は異なるが、内部構造は同一であるため、以下においては図1中右側の下部タンク9について説明し、図1中左側の下部タンク9の説明は省略する。図3に示されるように、下部タンク9は、上面が開口する横長箱状に形成されている。下部タンク9の内部は、前後幅方向に延びる仕切板22により長手方向に区画されており、該仕切板22よりも遊技島1の中央側の領域は、上部タンク3からオーバーフローしたパチンコ球及び他の遊技島1から移送されたパチンコ球が貯留される貯留室20とされ、仕切板22よりも遊技島1の端部側の領域は、各パチンコ機2から排出されたアウト球及び球抜き管7から排出されるパチンコ球が集合する集合室21とされている。
貯留室20の底板20aの上面は、遊技島1の長手方向中央に向けて下方に傾斜する傾斜面とされており、貯留室20内に貯留されたパチンコ球を、側壁に形成された下部タンク排出口24に向けて自然流下にて誘導するようになっている。また、下部タンク排出口24の上方には、該下部タンク排出口24を開閉可能な下部タンクシャッタ26及び該下部タンクシャッタ26を駆動するための下部タンクモータ27からなる下部タンクシャッタ装置28が設けられている。下部タンクシャッタ26は、通常時において下部タンク排出口24を閉鎖しており、開放要求があった場合に下部タンク排出口24から上方に退避して開放するようになっている。尚、貯留室20内における下部タンク排出口24の上方位置には、球圧を低減するための球圧低減板25が設けられている。
貯留室20の上部には、後述するオーバーフロー管12、オーバーフローホース12b、振分樋12cを介して誘導されるパチンコ球が流下する流下板18が、遊技島1の長手方向の中央側の側壁から仕切板22に向けて下方に傾斜するように延設されている。また、流下板18の前後側方には、各パチンコ機2から排出されるアウト球を回収して集合室21に誘導する回収樋17,17が、流下板18よりもやや上方位置において、遊技島1の長手方向の中央側の側壁から仕切板22に向けて下方に傾斜するように延設されている。
流下板18には、流下するパチンコ球を落下させる落下穴18aが流下方向に向けて所定間隔おきに複数形成されているとともに、流下板18と回収樋17,17との間には、パチンコ球が落下可能な隙間が形成されているため、落下穴18aまたは流下方向の両側端部から貯留室20内に落下して、長手方向に向けて略均等に貯留されるようになっている。一方、回収樋17,17を流下するパチンコ球は、流下途中で落下することなく全て集合室21に誘導されるようになっている。
集合室21に誘導されたパチンコ球は、貯留室20の底板20a下面に長手方向に向けて傾斜状に配設された集合球流下通路23に流出され、該集合球流下通路23を遊技島1の中央側に向けて流下した後、揚送研磨装置11と下部タンク9とを接続する接続樋10を介して揚送研磨装置11に誘導される。また、下部タンク排出口24から排出されたパチンコ球は、この接続樋10に排出され、集合球流下通路23を流下してきたパチンコ球と合流して揚送研磨装置11に誘導される。
揚送研磨装置11は、特に詳細な図示はしないが、上下方向を向く箱状の本体内の上下に設けられたプーリに掛け渡されたベルトを、揚送モータ11b(図9参照)によりプーリを回転させることにより回転させることにより、接続樋10により誘導されて該揚送研磨装置11の下部に設けた流入口から流入したパチンコ球を、ベルトにより揚送溝に押し付けることで揚送するとともに、該揚送溝とパチンコ球との間に研磨布が敷設されていることで、パチンコ球を研磨しながら揚送する従来公知の装置である。また、揚送されたパチンコ球は、箱体の上部に形成された揚送球排出口11a(図11参照)から排出されるようになっている。
上部タンク3は、図4〜図6に示されるように、遊技島1の上部に固設され、前後幅寸法よりも左右幅寸法が長寸の横長箱状に形成され、該上部タンク3の上部に配置される揚送球排出口11aから排出されたパチンコ球が貯留されるようになっている。その容量は、下部タンク9,9よりも大であり、遊技島1に設置された各パチンコ機2へ補給するパチンコ球の大半(本実施例では約11万発)を貯留可能な大きさを有しており、下部タンク9,9の貯留室20内双方が満杯になったときの合計貯留量よりも多量のパチンコ球を貯留可能である。
具体的に説明すると、上部タンク3は、前面板50a、後面板50b、左右一対の側面板50c,50c、底面板50d、上板50eにより箱状に形成されており、前面板50aには、揚送研磨装置11の上部を収容して配置するための凹溝51が、上端から下端にかけて凹設されている。左右の側面板50c,50cそれぞれの上部には、後述する遊技媒体移送樋としての移送樋40を接続するための接続部材40aが接続される流出口52が形成されているとともに、それぞれの下部には、遊技媒体受給樋としての受給樋41を接続するための接続部材41aが接続される流入口53が形成されている。
底面板50dは、平面視略凹状に形成され、その略中央位置、つまり凹溝51の後面側には、貯留球流出口54が形成されているとともに、底面板50dの上面は、中央の貯留球流出口54に向けて下方に傾斜して設けられている。貯留球流出口54の下面側には、前述した補給樋4,4の上流側端部が接続される補給樋接続管65上端が接続されており、底面板50d上に貯留されたパチンコ球、つまり上部タンク3の貯留領域内に貯留される全てのパチンコ球は、貯留球流出口54から補給樋接続管65を介して補給樋4,4に流出するようになっている。尚、補給樋接続管65は、その前面が凹溝51の後面とほぼ面一になるように配設されている。
前面板50aにおける凹溝51の上端部には、揚送研磨装置11の揚送球排出口11aが対向配置される受入口55が形成され、揚送球排出口11aから排出されたパチンコ球を受入口55から上部タンク3内に受け入れるようになっている。
上部タンク3内上部における受入口55の下方位置には、揚送球排出口11aから排出して落下するパチンコ球を下方から受けて、左右の流出口52,52に向けて誘導する第1誘導板56が配設されている。第1誘導板56は、凹溝51と後面板50bとの間に配置され、左右方向の中央を中心に山折りに屈曲された金属板からなり、中央から左右側に向けて下方に傾斜する傾斜面を有しているため、揚送球排出口11aから排出されて第1誘導板56の頂部に落下したパチンコ球は、左右側に略均等に振り分けされる。また、第1誘導板56における後辺部中央位置には後切欠部56aが形成されるとともに、前辺部中央位置には前切欠部56bが形成されており、第1誘導板56上のパチンコ球の一部がこれら後切欠部56a,前切欠部56bから落下するようになっている。
第1誘導板56の下方左右側には、第1誘導板56の左右辺部下方から側面板50cに向けて下方に傾斜する左右一対の第2誘導板57,57がそれぞれ配設されているとともに、さらに第2誘導板57,57の下方には、左右方向の中央位置から側面板50cに向けて下方に傾斜する左右一対の第3誘導板58,58が、第2誘導板57,57の下方を覆うように配設されている。また、第2誘導板57,57には複数の落下穴57aが形成されている。
第3誘導板58,58の左右端辺部それぞれの前後には、前後一対の切欠部58a,58aが形成され、側面板50cの内面との間に空隙が形成されている。また、これら前後一対の切欠部58a,58aの間の中央片58bの先端は、図4(b)及び図5(b)に示されるように、流出口52内の上下方向の略中央位置にて、該流出口52から外側に若干突出するように配置されている。よって、第3誘導板58,58上を流下してきたパチンコ球を流出口52内に直接誘導できるとともに、上部タンク3内に貯留されたパチンコ球の貯留位置が上昇して流出口52の下端縁を超えた場合に、第3誘導板58,58により流出が阻害されることなく、流出口52における中央片58bの下方から流出されるようになっている。
さらに、第1誘導板56の下方には、後切欠部56aから落下したパチンコ球を受けて、左右の第3誘導板58,58に誘導する第4誘導板59が配設されている。第4誘導板59は、第1誘導板56の前後幅よりも小寸の前後幅を有する帯板状をなし、左右方向の中央を中心に山折りに屈曲された金属板からなり、中央から左右側に向けて下方に傾斜する傾斜面を有していることで、後切欠部56aから落下したパチンコ球を左右側に略均等に振り分けできるようになっている。
第1誘導板56と貯留球流出口54との間には、オーバーフロー管12が上下方向に配設されている。オーバーフロー管12の上端は開口され、オーバーフローしたパチンコ球が流出可能なオーバーフロー口12aとされている。オーバーフロー口12aは、第1誘導板56の前切欠部56bよりも小さな開口を有し(図5(a)参照)、該前切欠部56bの直下に近接して配置されている。オーバーフロー管12は、特に図6(b)に示されるように、前切欠部56bの下面側から、前面板50aにおける凹溝51の後面に沿って鉛直下方に垂下され、貯留球流出口54の上方位置において、補給樋4との干渉を避けるために後側に屈曲された後、底面板50dの後部を貫通して該底面板50dの下方まで延設されている。尚、オーバーフロー管12内における屈曲部よりも上方位置には、屈曲部内面に落下球が落下したときの衝撃を緩和するための衝撃緩和板12cが上下位置に設けられている。
底面板50dの下方に延出されたオーバーフロー管12の下端には、オーバーフローホース12bが接続されており、該オーバーフローホース12bは揚送研磨装置11に沿うように垂下されている(図1参照)。尚、このオーバーフローホース12bの下端は、図3(b)に示されるように、山折りに屈曲形成された振分樋12cの頂部上方位置に配置され、オーバーフローホース12bの下端開口から流出したパチンコ球は左右の下部タンク9,9に振り分けられるようになっている。
また、オーバーフロー管12の屈曲部の左右側面には、一端が流入口53,53に接続される流入球誘導管60,60の他端が接続される合流口61,61が、流入口53,53よりも若干下方位置に形成されている。これにより、流入口53,53から流入してきたパチンコ球は、左右方向を向く流入球誘導管60,60内を自然流下し、上部タンク3内に貯留されることなく、オーバーフロー管12の屈曲部の左右側面に形成された合流口61,61からオーバーフロー管12内に合流するようになっている。
このように、オーバーフロー口12aからオーバーフローしたパチンコ球及び流入口53,53から流入してきたパチンコ球は、オーバーフロー管12により上部タンク3の後側に誘導された後に下方に向けて落下し、オーバーフローホース12b、振分樋12cにより下部タンク9,9の流下板18に誘導された後、貯留室20に貯留されるようになっている(図11参照)。
尚、オーバーフロー管12の上部が貯留球流出口54の直上に配置されることで、貯留球流出口54に貯留球の球圧がかかることが防止されるため、貯留されているパチンコ球は、オーバーフロー管12の屈曲部下面と貯留球流出口54との間に形成された空隙から貯留球流出口54内にスムーズに流入される。
また、オーバーフロー口12aは、流出口52,52の上端縁よりも上方の高さ位置に配置されているため、上部タンク3に貯留されたパチンコ球の貯留位置が、流出口52,52からパチンコ球が自然流出されない貯留位置においてオーバーフローすることがない。すなわち、上部タンク3内に、流出口52,52からパチンコ球が自然流出可能な貯留位置までパチンコ球を貯留できるようになっている。
以上説明したように、揚送球排出口11aから排出されたパチンコ球は、前切欠部56bを超えてその後面側の第1誘導板56の左右方向の中央位置に落下し、その一部は左右側に振り分けられ、傾斜面上を流下するとともに、一部は後切欠部56aから第4誘導板59,59上に落下して左右の第3誘導樋58,58に誘導され、基本的に前切欠部56bから直接落下してオーバーフロー管12内に流入したり上部タンク3内に貯留されることはほぼない。
第1誘導板56により左右に誘導されたパチンコ球は、第2誘導板57,57上に落下して左右側に流下される。第2誘導板57,57上に落下したパチンコ球の一部は落下穴57aから直接落下して貯留されるが、大半のパチンコ球は、第2誘導板57,57の左右端辺部または落下穴57aから第3誘導板58,58上に落下され、第3誘導板58,58上を流下して流出口52,52に誘導された後、中央片58bにより流出口52,52から流出する。つまり、これら第1〜4誘導板56,57,58,59は、揚送球排出口11aから排出されたパチンコ球の大半を、上部タンク3内への貯留より優先して流出口52,52に誘導する本発明の誘導手段を構成している。
そして、移送樋40内にパチンコ球が少なく、流出口52,52が塞がっていない場合には、第3誘導板58,58により流出口52,52に誘導されたパチンコ球は、流出口52,52から流出される。一方、移送樋40内にパチンコ球が充満していて流出口52,52が塞がっている場合には、第3誘導板58,58の中央片58bに誘導されたパチンコ球は前後に振り分けられ、前後一対の切欠部58a,58a(図5(a)参照)から落下して上部タンク3内に貯留されるようになっている。
また、上部タンク3内に貯留されたパチンコ球の貯留位置が上昇して、流出口52の下端縁に達した場合、流出口52における第3誘導板58の中央片58bの下方位置から流出されていく。尚、切欠部58a,58aが流出口52が形成された側板50cの内面に近接して配置されていることで、オーバーフロー口12aが配置される貯留領域の中央部よりも端部の方に優先的にパチンコ球が貯留され、貯留位置が流出口52に到達しやすくなる。
また、上部タンク3内に貯留されたパチンコ球の貯留位置が上昇して、第1誘導板56の上方位置まで達した場合、後切欠部56aも塞がっている状態であるため、揚送球排出口11aから排出されるパチンコ球は、第1誘導板56上を流下することなく、前切欠部56bから落下してオーバーフロー口12a内に流出される(オーバーフロー)。
後面板50bの内面には、上部タンク3内に貯留されたパチンコ球の貯留位置が、流出口52,52からパチンコ球が流出可能な第1の位置である基準位置に達していることを検出する第1の位置検出手段としての基準センサ70と、上部タンク3内に貯留されたパチンコ球の貯留位置が、基準位置及び流出口52,52の開口下縁よりも下方の第2の位置である下限位置に達していることを検出する第2の位置検出手段としての下限センサ71と、が上下に設けられている。
具体的には、図5(b)及び図6(b)に示されるように、基準センサ70は、オーバーフロー口12aよりも若干上方の高さ位置に配置され、下限センサ71は、流出口52,52からパチンコ球が流出可能な基準位置、つまり流出口52,52の開口下縁よりも下方であり、底面板50dと基準位置との中間位置よりも若干下方位置に配置されている。
つまり基準センサ70は、上部タンク3内に貯留されたパチンコ球の貯留位置が、オーバーフロー口12aに達している、すなわち、上部タンク3の上限貯留位置に達していることを検出するためのセンサであり、下限センサ71は、上部タンク3内に貯留されたパチンコ球の貯留位置が半分以下になったこと、詳しくは、流出口52,52からパチンコ球が流出不可能であり、かつ、これを下回るとパチンコ機2への補給が途絶える危険性がある下限貯留位置であることを検出するためのセンサである。
尚、これら各センサ70,71の上方位置には、上方から落下してくるパチンコ球を検出してしまうことを防止するための庇片72がそれぞれ突設されているため、貯留されたパチンコ球が確実に検出される。
尚、本実施例では、基準センサ70は、オーバーフロー口12aの配置位置よりも若干上方位置に配置されていたが、流出口52,52の開口下縁よりも上方の流出位置以上の高さ位置であれば、オーバーフロー口12aの配置位置よりも下方に配置してもよいし、オーバーフロー口12aの配置位置よりも上方に配置してもよい。また、下限センサ71の配置位置は、遊技島1に設置されるパチンコ機2の数量、機種、上部タンク3の容量に応じた高さ位置であればよく、本実施例に記載の高さの位置に限定されるものではない。
次に、図1,2及び図7に示されるように、補給樋4,4は、縦断面略上向きコ字形をなし、その前後の側板4a,4aには、流下するパチンコ球を各パチンコ機2に補給するための補給部である補給口4bが、流下方向に向けて所定間隔おきに複数形成されている。これら補給口4bの外面には、下方に向けて垂下される支流樋5の上部が取り付けられており、各補給口4b内に流入したパチンコ球は、支流樋5を流下して各パチンコ機2の背面に設けられた球タンク6に補給される。
尚、補給樋4の底板4cは、図7(c)に示されるように、幅方向の中央から両端に向けて下方に僅かに傾斜する山折りに屈曲形成され、これにより底板4c上を流下するパチンコ球が前後の側板4a,4aに形成された補給口4bに誘導されるようになっている。つまり、底板4cの傾斜面は、補給樋4a,4a上を流下するパチンコ球を複数の補給口4bそれぞれに向けて誘導する本発明の補給部誘導手段を構成している。
球抜き部30は、図7(a)(b)に示されるように、図1中右側の補給樋4の下流側端部、詳しくは、補給樋4に複数設けられた補給口4bのうち、最下流側に設けられた補給口4bよりも下流側に設けられており、補給樋4内のパチンコ球を必要に応じて排出することができるようになっている。具体的には、球抜き部30には、該球抜き部30の流路を開閉可能な球抜きシャッタ32及び該球抜きシャッタ32を駆動するための球抜きモータ33を有する球抜きシャッタ装置31が設けられている。球抜きシャッタ32は板状部材からなり、球抜き部30の流路の幅方向に向けて配設され、通常時においては流路下方から上方に突出して該流路を閉鎖するとともに、後述する緊急移送制御が実施され、補給樋4内のパチンコ球を排出して揚送研磨装置11に供給する際に、流路から下方に退避して該流路を開放するようになっている。
球抜きシャッタ32が流路から退避して流路が開放されると、補給樋4内のパチンコ球が流下して、その下流側に設けられた球抜き管7の上端開口に流入し、該球抜き管7内を流下して前述した集合室21内に誘導される。尚、球抜き管7の上端開口の直径は、補給樋4の前後幅寸法よりも小径であり、排出部30の流路が開放された際に補給樋4内のパチンコ球が一斉に流下して排出されることはないので、該排出によりパチンコ機2へのパチンコ球の補給に支障をきたすことはない。
このように、遊技島1内に配設される補給樋4、支流樋5、球抜き管7、オーバーフロー管12、オーバーフローホース12b、振分樋12c、回収樋17、流下板18、集合球流下通路23及び接続樋10や、上部タンク3、下部タンク9及びパチンコ機2や揚送研磨装置11等は、遊技島1内においてパチンコ球を循環させるための循環経路を構成している。
次に、遊技店内に設置される複数の遊技島1のうちいずれかの一島と、一島の前後に隣接配置されている他の遊技島である他島(ここでは一島を左右側面から見た場合において該一島の左右に隣接配置される遊技島をそれぞれ左島、右島と呼ぶ)との上部タンク3,3間に架設され、該一島から他島にパチンコ球を移送するための遊技媒体移送樋としての移送樋40並びに一島が他島からパチンコ球を受給するための遊技媒体受給樋としての受給樋41について説明する。
移送樋40は、複数の遊技島1のうちいずれかの一島から他島に対してパチンコ球を移送(供給)するための樋であり、受給樋41は、一島が他島からパチンコ球を受給する(移送される)ための樋である。具体的には、図8に示されるように、図中左側の遊技島1を一島(自島とも呼ぶ)とし、右側の他島を右島とした場合、一島には、右島及び図示しない左側の他島である左島に球を移送する移送樋40,40の一端が接続されているとともに、右島及び左島から球を受給する受給樋41,41の一端が接続されている。
逆に右島や左島を基準とした場合は、一島の移送樋40は受給樋(41)となり、一島の受給樋41は移送樋(40)となるため、これらは同じ機能を有する送受樋であるが、以下において、複数のうちいずれかの遊技島1を一島とした場合、該一島と他島との間に架設された送受樋を、一島を基準とした場合の移送樋40、受給樋41と呼ぶことにする。
移送樋40の一端は、一島の流出口52に取り付けられた接続部材40aに接続され、他端は右島または左島の流入口53に取り付けられた接続部材41aに接続される。流出口52は流入口53よりも上方位置に形成されていることで、移送樋40は、一島から右島または左島に向けて下方に傾斜する傾斜樋であり、一島の流出口52から流出したパチンコ球を自然流下により右島または左島に移送する。
受給樋41の一端は、一島の流入口53に取り付けられた接続部材41aに接続される。他端は右島または左島の流出口52に取り付けられた接続部材40aに接続され、流入口53は流出口52よりも下方位置に形成されていることで、受給樋41は、一島から右島または左島に向けて上方に傾斜する傾斜樋であり、右島または左島の流出口52から流出したパチンコ球が自然流下により一島に受給される。
また、図6(a)に示されるように、各遊技島1の接続部材41a内には、受給樋41を流下してきたパチンコ球の流入口53を開閉可能な流入シャッタ75が設けられ、外部には、流入シャッタ75を接続部材41a内の流路に対して出退自在とする流入シャッタモータ76及び駆動機構を有する流入シャッタ装置77が設けられている。
流入シャッタ75は、通常時は流入口53を閉鎖しているため、基本的に受給樋41内にパチンコ球が充満される。そして後述するように、右島または左島から球を受給する場合には流入シャッタ75を開放し、受給樋41内のパチンコ球、すなわち右島または左島から移送されるパチンコ球を受け入れる。尚、この流入シャッタ装置77は全ての遊技島1の流入口53の接続部材41aに設けられている。
また、本実施例では、流入シャッタ75は流入口53の接続部材41aに設けられていたが、例えば流入シャッタ75を各遊技島1の流出口52の接続部材40aに設けてもよいし、あるいは移送樋40,41の任意の位置に設けてもよい。
また、本実施例では、受給樋41の一端が上部タンク3に設けられた流入口53に接続されていたが、上部タンク3ではなく、例えばオーバーフロー管12や下部タンク9等に直接誘導可能に接続されていてもよい。
次に、本実施例における遊技島1の構成を、図9に基づいて説明する。
遊技島1には、内部に配置される各種装置や各種センサ等が接続され、上部タンク3のパチンコ球の貯留状況に応じて各種装置の駆動制御を行うことで、パチンコ球を遊技島1内あるいは他島との間で循環させるようになっている。
具体的には、各遊技島1内には、通信ケーブルKを介して全ての遊技島1におけるパチンコ機2や各種装置の稼働状況や、後述するように上部タンク3における貯留状況を管理する管理手段としての管理コンピュータ300に接続される島コントローラ200が配置されており、この島コントローラ200は、通信ケーブルKを介して他島の島コントローラ200と接続され、各島コントローラ200間で信号及びデータ通信を行う。
管理コンピュータ300は、図8に示されるように、各遊技島1における島コントローラ200に接続され、各島コントローラ200を制御する演算処理装置(CPU)332や当該管理コンピュータ300における制御プログラム等が記憶された記憶手段333等が設けられた制御部331と、各遊技島1の貯留状況やエラー状況等を確認するための表示器334(出力装置)と、入力器335(入力装置)と、から主に構成されている。
島コントローラ200は、各種装置を制御する図示しない演算処理装置(CPU)や制御プログラム等が記憶された記憶手段等を有する制御部や、管理コンピュータ300や他の島コントローラ200との間で通信するための通信部等を有し、遊技島1に列設された複数のパチンコ機2と、上部タンク3内に貯留されたパチンコ球の貯留位置が基準位置に達していることを検出する基準センサ70と、上部タンク3内に貯留されたパチンコ球の貯留位置が下限位置に達していることを検出する下限センサ71と、揚送研磨装置11の揚送モータ11bと、流入シャッタ装置77,77の流入シャッタ75,75の開閉駆動を行う流入シャッタモータ76,76と、球抜きシャッタ装置31,31の球抜きシャッタ32,32の開閉駆動を行う球抜きモータ33,33と、下部タンクシャッタ装置28,28の下部タンクシャッタ26,26の開閉駆動を行う下部タンクモータ27,27と、が主に接続されている。
島コントローラ200は、各パチンコ機2の稼動状況や各種装置の駆動状況を示す各種信号や、基準センサ70または下限センサ71の検出信号等を、他島の島コントローラ200や管理コンピュータ300に出力するとともに、管理コンピュータ300や他島の島コントローラ200から受信した各種信号に基づいて、各種装置の駆動制御を行う。
管理コンピュータ300は、島コントローラ200を介して各遊技島1から出力される基準センサ70または下限センサ71の検出信号の出力状況を監視し、該検出信号の受信状況に基づいて、各遊技島1の上部タンク3に貯留されたパチンコ球の貯留位置(貯留量レベル)を特定し、該特定した貯留量レベルに基づいて、相互の遊技島1,1間でパチンコ球を移送させる移送制御を行う。
管理コンピュータ300は、図10(a)(b)に示されるように、各遊技島1から出力される基準センサ70または下限センサ71の検出信号の受信状況に基づいて、各遊技島1の上部タンク3に貯留されたパチンコ球の貯留量レベル(LVと略称する)を、LV1,2,3のいずれであるかを特定する。尚、図10(b)における網線領域は、パチンコ球が貯留されている領域を示している。
本実施例においては、基準センサ70及び下限センサ71双方がパチンコ球を検出している場合(基準センサ;on、下限センサ;on)、当該遊技島1の上部タンク3に貯留されているパチンコ球の貯留位置が基準位置に達している貯留量レベル3(LV3)であると特定する。つまり、LV3では、パチンコ球の貯留位置が、流出口52からパチンコ球が流出可能な流出位置(流出口52,52の開口下縁)よりも上方の基準位置以上の高さ位置であり、他島にパチンコ球を移送可能である。
基準センサ70がパチンコ球を検出しておらず、下限センサ71がパチンコ球を検出している場合(基準センサ;off、下限センサ;on)、当該遊技島1の上部タンク3に貯留されているパチンコ球の貯留位置が基準位置に達しておらず、かつ、下限位置に達している貯留量レベル2(LV2)であると特定する。つまり、LV2では、パチンコ球の貯留位置が、流出口52からパチンコ球が流出可能な流出位置よりも下方(基準位置未満、下限位置以上の範囲)の高さ位置であり、流出口52を介して他島にパチンコ球を移送不可能である。
基準センサ70及び下限センサ71双方がパチンコ球を検出していない場合(基準センサ;off、下限センサ;off)、当該遊技島1の上部タンク3に貯留されているパチンコ球の貯留位置が下限位置に達していない貯留量レベル(LV1)であると特定する。つまり、LV1では、パチンコ球の貯留位置が、流出口52からパチンコ球が流出可能な流出位置よりも下方の下限位置未満の高さ位置であり、各パチンコ機2へのパチンコ球の補給が途絶える可能性がある。
管理コンピュータ300は、各遊技島1の上部タンク3の貯留量レベルを常時監視しており、各遊技島1の上部タンク3の貯留量レベルがLV3に維持されるようにコントロールする。そして、各遊技島1の上部タンク3の貯留量レベルがLV3に維持される初期状態において、複数の遊技島1のうちいずれかの遊技島1(ここでは一島と呼ぶ)の上部タンク3の貯留量レベルがLV2になった場合、一島の前後に隣接配置されている他島(ここでは一島を左右側面から見た場合において該一島の左右に隣接配置される遊技島をそれぞれ左島、右島と呼ぶ)の貯留量レベルを、左島及び右島それぞれの基準センサ70及び下限センサ71の検出状況に基づいてそれぞれ特定する。
そして、これら左島または右島のうち少なくとも一方の貯留量レベルがLV3であれば(ここでは左島及び右島双方の貯留量レベルがLV3とする)、貯留量レベルがLV3の左島及び右島から貯留量レベルがLV2の一島に対してパチンコ球を移送させる通常移送制御を開始する。具体的には、一島の島コントローラ200に対して、左島及び右島に対応する流入シャッタ75,75をそれぞれ開放させるとともに、一島の左右の下部タンクシャッタ26,26を開放させる。これにより、一島の下部タンク9,9に貯留されているパチンコ球及び他島から受給されたパチンコ球が揚送研磨装置11にて揚送されて上部タンク3に供給され、上部タンク3の貯留量レベルがLV3に回復することになる。
そして管理コンピュータ300は、一島の貯留量レベルがLV3に回復した場合、左島及び右島に対応する流入シャッタ75,75及び一島の左右の下部タンクシャッタ26,26をそれぞれ閉鎖させて、通常移送制御を終了する。
尚、管理コンピュータ300は、通常移送制御を開始してから一島の基準センサ70がonになったとき、その時点から所定時間(本実施例では5分)が経過してから、一島の貯留量レベルがLV3に回復したと判定して通常移送制御を終了する。これにより、一時的な回復やノイズ等による誤検出により通常移送制御を終了してしまうことが防止される。
また、本実施例では、一島の貯留量レベルがLV2になり、左島または右島のうち少なくとも一方の貯留量レベルがLV3である場合に実施される通常移送制御において、下部タンクシャッタ26の開放と同時に流入シャッタ75を開放させているが、例えば下部タンクシャッタ26を最初に開放し、該下部タンクシャッタ26を開放した時点から所定時間(例えば3分)が経過した時点で流入シャッタ75を開放させるようにしてもよく、このようにすれば、当該遊技島1の下部タンク9に貯留されている遊技球が優先して揚送されるため、左島または右島から受給する球量を最小限に抑えることができる。
また、一島の貯留量レベルがLV2になった場合において、例えば左島または右島のうち左島のみがLV3であり、右島がLV2である場合、右島からパチンコ球は受給されないが、左島及び右島双方に対応する流入シャッタ75,75及び下部タンクシャッタ26,26をそれぞれ開放させておく。また、左島及び右島双方の貯留量レベルがLV2である場合も、左島及び右島からパチンコ球は受給されないが、左島及び右島双方に対応する流入シャッタ75,75及び下部タンクシャッタ26,26を開放させておく。
このように一島の貯留量レベルがLV2になった場合、左島及び右島の貯留量レベルに関わらず、一島の貯留量レベルがLV3に復帰するまでは左島及び右島双方に対応する流入シャッタ75,75及び下部タンクシャッタ26,26を開放させるようにすることで、左島または右島の貯留量レベルがLV3に復帰したときに直ちにパチンコ球を受給できる。
また、左島または右島に対応する流入シャッタ75及び下部タンクシャッタ26をそれぞれ開放して通常移送制御を実施している途中で左島または右島のうちいずれかの貯留量レベルがLV2となった場合でも、一島の貯留量レベルがLV3になるまでは、左島及び右島双方に対応する流入シャッタ75及び下部タンクシャッタ26は開放させておく。つまり、このような通常移送制御を実施する管理コンピュータ300及び島コントローラ200は、本発明の第1の移送制御手段を構成している。
また、管理コンピュータ300は、左島または右島のうち少なくとも一方の貯留量レベルがLV1、つまり緊急状態になった場合(ここでは左島の貯留量レベルがLV1になったとする)、一島の貯留量レベルがLV3であれば、左島の流入シャッタ75及び下部タンクシャッタ26を開放させたままとしておく。そして、一島の貯留量レベルがLV2である場合、または途中でLV2になった場合、該左島の流入シャッタ75を開放させているが、一島からはパチンコ球が移送されない。そこで管理コンピュータ300は、一島の貯留量レベルがLV2であり、かつ、LV1でないことを条件に、該一島の球抜きシャッタ32を開放させて、該一島の上部タンク3から補給樋4に流下した球を強制的に抜き取って揚送研磨装置11に供給し、揚送したパチンコ球を第1〜4誘導板56〜59により流出口52から流出させる緊急移送制御を開始する。
これにより、一島の貯留量レベルがLV2でも、一島から左島にパチンコ球が移送されるので、左島の貯留量レベルが回復することになる。つまり、このような緊急移送制御を実施する管理コンピュータ300及び島コントローラ200は、本発明の第2の移送制御手段を構成している。
このような緊急移送制御は、一島の貯留量レベルがLV1にならない限り、左島の貯留量レベルがLV2に回復した時点、つまり左島の下限センサ71がonになった時点から所定時間(例えば5分)が経過するまで継続する。そして、所定時間である5分が経過した時点で一島の球抜きシャッタ32を閉鎖させて緊急移送制御を終了し、通常移送制御に戻る。このとき、一島及び左島双方の貯留量レベルはLV2であり、一島と左島との間でパチンコ球の送受は行われないため、それぞれはさらに隣の他島の貯留量レベルがLV3であれば、該他島からパチンコ球を受給する。
また、左島の貯留量レベルがLV2に回復する前に一島の貯留量レベルもLV1になった場合、一島の球抜きシャッタ32を閉鎖させて、貯留量レベルがLV1ではないさらに隣の右島の球抜きシャッタ32を開放させて、該隣の右島から右島にパチンコ球を移送させることになる。
次に、各遊技島1の島コントローラ200が行う各種装置の制御内容及びパチンコ球の循環状況を、図11に基づいて説明する。
各遊技島1の島コントローラ200は、常時揚送研磨装置11を駆動させているとともに、上部タンク3の貯留量レベルがLV3に維持されている初期状態においては、下部タンクシャッタ26、球抜きシャッタ32、流入シャッタ75をそれぞれ閉鎖し、遊技島1内でパチンコ球を循環させる。
詳しくは、図11(a)に示されるように、上部タンク3に貯留されているパチンコ球は、貯留球流出口54から流出して補給樋4,4に流入し、補給樋4,4から支流樋5を介して各パチンコ機2に補給される。各パチンコ機2から排出されたパチンコ球は、回収樋17、集合室21、集合球流下通路23、接続樋10を流下して揚送研磨装置11に供給された後、該揚送研磨装置11にて揚送されて上部タンク3内に供給される。
初期状態においては上部タンク3の貯留量レベルがLV3に維持されるため、流出口52,52から移送樋40内にパチンコ球が流出される。移送樋40内にパチンコ球が充満して流出口52,52が塞がると、揚送球排出口11aから排出されたパチンコ球は上部タンク3内に貯留される。貯留されたパチンコ球の貯留位置がオーバーフロー口12aに達している場合、揚送球排出口11aから排出されるパチンコ球はオーバーフロー口12a内に落下して、オーバーフロー管12及びオーバーフローホース12bを流下し、振分樋12c及び流下板18から貯留室20内に落下して貯留される。
次いで、図11(b)に示されるように、上部タンク3の貯留量レベルがLV2になった場合、島コントローラ200は下部タンクシャッタ26及び流入シャッタ75を開放させる。これにより、貯留室20内に貯留されているパチンコ球が下部タンク排出口24から排出され、接続樋10を介して揚送研磨装置11に供給される。また、流入シャッタ75の開放により、受給樋41内のパチンコ球が流入口53,53、流入球誘導管60,60を介してオーバーフロー管12内に合流されることで、他島から受給したパチンコ球が貯留室20から揚送研磨装置11に供給される。
また、上部タンク3の貯留量レベルがLV2の状態で、他島の貯留量レベルがLV1になった場合、島コントローラ200は下部タンクシャッタ26及び流入シャッタ75を開放したまま、さらに球抜きシャッタ32を開放させる(図11(c)参照)。これにより、補給樋4,4のパチンコ球が球抜き部30から排出され、球抜き管7を流下して集合室21に落下し、集合球流下通路23、接続樋10を流下して揚送研磨装置11に供給されることになる。
このように、一島の上部タンク3の貯留量レベルがLV2の状態では、通常であれば貯留量レベルがLV3である他島からパチンコ球を受給することになるが、他島の貯留量レベルが一島よりも少ないLV1であり、緊急を要している場合、一島への補給よりも他島への補給を優先する必要がある。しかし、一島の貯留量レベルがLV2である、つまり、上部タンク3に貯留されているパチンコ球の貯留位置が流出口52,52から流出可能な流出位置に達していないため、一島の上部タンク3内に貯留されているパチンコ球を他島に移送することができない。
よって、上部タンク3の底面板50dに形成された貯留球流出口54から流出したパチンコ球が流下する補給樋4,4に設けられた球抜き部30からパチンコ球を排出して抜き取り、球抜き管7、集合室21、集合球流下通路23、接続樋10を介して揚送研磨装置11に供給することで、上部タンク3における流出口52,52よりも下方位置に貯留されているパチンコ球、つまり流出口52,52から流出させることができないパチンコ球を排出して揚送研磨装置11に供給することができる。つまり、これら貯留球流出口54、補給樋4,4、球抜き部30、球抜きシャッタ装置31、球抜き管7、集合室21、集合球流下通路23、接続樋10は、本発明の供給手段を構成している。
さらに、揚送研磨装置11にて揚送され、揚送球排出口11aから上部タンク3内に排出されたパチンコ球の一部は、第1誘導樋56、第2誘導樋57、第3誘導樋58、第4誘導樋59により、上部タンク3内に落下するよりも優先して流出口52,52に誘導される。つまり、これら第1誘導樋56、第2誘導樋57、第3誘導樋58、第4誘導樋59は、本発明の誘導手段を構成している。
このように、上部タンク3における流出口52,52よりも下方位置に貯留されているパチンコ球を排出して抜き取り、しかも各パチンコ機2に補給することなく揚送研磨装置11に供給するとともに、揚送研磨装置11にて揚送した後、第1誘導樋56、第2誘導樋57、第3誘導樋58、第4誘導樋59により流出口52,52に直接誘導して流出させ、移送樋40を介して他島に移送することができるため、貯留量レベルがLV2であっても、上部タンク3における流出口52,52よりも下方の貯留領域に貯留されているパチンコ球を抜き取って、緊急を要する他島に対して迅速に供給することができる。
次に、管理コンピュータ300及び島コントローラ200が行う通常移送制御の一例を、図12に基づいて説明する。尚、以下においては、互いに隣接して配置された複数の遊技島1のうち、左、中、右の遊技島1間で実施される通常移送制御内容を説明することとし、中央の遊技島1を一島として、図中左側の他島を左島、右側の他島を右島と呼ぶことにする。また、左島のさらに左側及び右島のさらに右側に設置されている他島は省略する。尚、図中斜線で示される領域はパチンコ球が貯留されている領域を示している。
まず、各島の貯留量レベルを監視している管理コンピュータ300は、左島、一島、右島それぞれの貯留量レベルがLV3の状態(図12(a)参照)から、左島の貯留量レベルが減少してLV2になった場合、左島の島コントローラ200に対して下部タンクシャッタ26及び流入シャッタ75を開放させて、一島と左島との間での通常移送制御を開始する。これにより、一島から移送樋40を介して左島にパチンコ球が移送され、左島の上部タンク3に補給される(図12(b)参照)。
そして、左島の貯留レベルがLV3に復帰する前に一島の貯留量レベルがLV2になった場合、貯留位置が流出位置以下になり次第、一島から左島へのパチンコ球の移送が停止する。このとき、右島の貯留量レベルがLV3である場合、管理コンピュータ300は、一島の島コントローラ200に対して下部タンクシャッタ26及び流入シャッタ75を開放させ、一島と右島との間での通常移送制御を開始する。これにより、右島から受給樋41を介して一島にパチンコ球が移送される(図12(c)参照)。
これにより一島の貯留量レベルがLV3に復帰した場合、右島の貯留量レベルがLV3に維持されていれば、一島の島コントローラ200に下部タンクシャッタ26及び流入シャッタ75を閉鎖させて、一島と右島との間での通常移送制御を終了し、これにより右島から一島への球の移送が停止される。また、一島の貯留量レベルがLV3に復帰したことにより(正確には貯留位置が流出位置以上に達したとき)、一島から左島への球の移送が再開され(図12(d)参照)、最後に、一島から左島への球の移送により左島の貯留量レベルがLV3に復帰したら、左島の島コントローラ200に下部タンクシャッタ26及び流入シャッタ75を閉鎖させて、一島と左島との間での通常移送制御を終了する。
次に、管理コンピュータ300及び島コントローラ200が行う緊急移送制御の一例を、図13に基づいて説明する。
まず、一島、左島、右島それぞれの貯留量レベルがLV3の状態から、左島の貯留量レベルがLV2になった場合、管理コンピュータ300は、左島の島コントローラ200に対して下部タンクシャッタ26及び流入シャッタ75を開放させて、一島と左島との間での通常移送制御を開始する。これにより、一島から移送樋40を介して左島にパチンコ球が移送される(図13(a)参照)。
そして、左島の貯留レベルがさらに減少してLV1になった場合、一島の貯留量レベルがLV3のままであれば、そのまま一島から左島へパチンコ球が移送されるが(図13(b)参照)、左島の貯留レベルがLV3に復帰する前に一島の貯留量レベルがLV2になり、貯留位置が流出位置よりも低くなった場合、一島から左島へのパチンコ球の移送が停止されてしまうため、管理コンピュータ300は、一島の島コントローラ200に対して球抜きシャッタ32を開放させ、一島と左島との間で緊急移送制御を開始する。これにより、一島の上部タンク3に貯留されたパチンコ球の貯留位置が流出位置を下回っていても、上部タンク3の流出位置よりも下方に貯留されているパチンコ球が球抜き部30から抜き取られ、揚送研磨装置11にて揚送された後、第1〜4誘導板56〜59により流出口52に直接誘導されるので、貯留位置が流出位置に達しなくても、一島から左島にパチンコ球が移送される(図13(c)参照)。
またこのとき、右島の貯留量レベルがLV3であれば、管理コンピュータ300は、一島の島コントローラ200に対して下部タンクシャッタ26及び流入シャッタ75を開放させ、一島と右島との間での通常移送制御を開始する。これにより、右島から一島にパチンコ球が移送され、一島の上部タンク3に補給されるため、一島から左島にパチンコ球を移送していても、一島の貯留量レベルはLV2に維持される(図13(c)参照)。
これにより左島の貯留量レベルがLV2に復帰した場合、LV2に復帰した時点、つまり下限センサ71がonになった時点から所定時間である5分が経過した時点で、管理コンピュータ300は、一島の島コントローラ200に対して球抜きシャッタ32を閉鎖させ、一島と左島との間での緊急移送制御を終了し、これにより一島から左島への球の移送は停止される(図13(d)参照)。
そして右島から一島への球の移送が継続され、これにより一島の貯留量レベルがLV3に復帰した(正確には貯留位置が流出位置に達した)場合、一島から左島への球の移送が再開されるとともに、管理コンピュータ300は、一島の島コントローラ200に下部タンクシャッタ26及び流入シャッタ75を閉鎖させて、一島と右島との間で通常移送制御を終了し、右島から一島への球の移送が停止される(図13(e)参照)。
最後に、一島から左島への球の移送により左島の貯留量レベルがLV3に復帰したら、管理コンピュータ300は、左島の島コントローラ200に下部タンクシャッタ26及び流入シャッタ75を閉鎖させて、一島と左島との間での通常移送制御を終了し、一島から左島への球の移送が停止され、全ての島の貯留量レベルがLV3に維持される。
以上説明したように、本発明の実施例としての遊技機設置島における球送受システムにあっては、他島(左島、右島)の上部タンク3に貯留されているパチンコ球の貯留位置が基準位置よりも下方位置になった場合、つまり一島にパチンコ球を移送できない貯留位置になった場合、一島の上部タンク3に貯留されているパチンコ球の貯留位置が基準位置に達している場合には、一島から他島にパチンコ球が移送される通常移送制御が開始される。
また、他島の上部タンク3に貯留されているパチンコ球の貯留位置が下限位置に達していない場合、つまり貯留されているパチンコ球が著しく減少し、パチンコ機2への補給が途絶える可能性がある状態になった場合、一島の上部タンク3に貯留されているパチンコ球の貯留位置が基準位置に達していなくても、下限位置に達していれば、一島の球抜きシャッタ32が開放され、上部タンク3における流出位置よりも下方に貯留されているパチンコ球が、パチンコ機2を経由せずに揚送研磨装置11に供給されるとともに、該揚送研磨装置11により揚送されて上部タンク3に排出されたパチンコ球の一部が、該上部タンク3に貯留されることなく、第1〜第4誘導板56〜59により直接流出口52,52に誘導されることで、一島の上部タンク3に貯留されているパチンコ球の貯留位置を基準位置まで回復させなくてもパチンコ球を他島に移送できるため、他島における緊急状態を早期のうちに解除させることができる。
また、上部タンク3に貯留されているパチンコ球を排出して抜き取る球抜き部30が、上部タンク3に貯留されているパチンコ球を複数のパチンコ機2に補給するための補給樋4,4に設けられていることで、既設の補給樋4,4を利用して、上部タンク3に貯留されているパチンコ球を外部に排出して揚送研磨装置11に供給することができるため、強度を要する上部タンク3に、貯留球流出口54とは別個に球抜き口等を形成せずに済む。
また、球抜き部30は、図7に示されるように、補給樋4,4の最下流位置に設けられた補給口4bよりも下流側に設けられていることで、パチンコ機2へのパチンコ球の補給に支障をきたすことなく、球抜き部30からパチンコ球を排出させることができる。
具体的には、例えば上部タンク3に貯留球流出口54とは別個の球抜き口(球抜き部)を設けて球抜きしようとする場合、該球抜き口からの球の流出により貯留球流出口54から補給樋4に球が流出しにくくなる虞があるが、本発明のように球抜き部30を補給樋4,4の最下流位置に設けられた補給口4bよりも下流側に設けることで、球抜き部30からの排出よりも優先して上流側の補給口4bに球が流入するため、パチンコ機2へのパチンコ球の補給に支障をきたすことがない。
尚、本実施例では、補給樋4,4の最下流位置に設けられた補給口4bよりも下流側に球抜き部30が設けられていたが、球抜き部30は、補給樋4,4の任意の箇所に設けてもよい。さらに、球抜き部30を、補給樋4,4ではなく、上部タンク3の側面板50cや底面板50d等における流出口52よりも下方位置に設けてもよく、このようにしても、上部タンク3に貯留されているパチンコ球を流出位置よりも下方位置から抜き取ることができる。
また、このように補給樋4,4の最下流位置に設けられた補給口4bよりも下流側に球抜き部30を設ける場合において、補給樋4,4上を流下する球がより補給口4bに優先的に補給されるようにするために、例えば図14に示されるように、流下方向の側方に設けられた各補給口4bの上流側の底板4c上面に、該補給口4bに向けてパチンコ球を誘導する誘導片80を立設してもよい。これにより、球抜き部30からパチンコ球を排出しているときでも、流下するパチンコ球は補給口4bに優先的に補給されるようになるとともに、球抜きシャッタ32にかかる球圧が軽減される。
また、前記実施例では、上部タンク3において、揚送球排出口11aから排出されたパチンコ球は、誘導手段としての第1〜4誘導板56〜59により、左右の流出口52,52に略均等に振り分けられるようになっていたが、例えば、揚送球排出口11aから排出されたパチンコ球を、移送樋40、受給樋41にて接続される前後の他島のうち、貯留量レベルがより低い他島に対して優先的に移送することができるようにしてもよい。
具体的には、例えば図15に示されるように、第1誘導板56の最頂部よりも上方で、かつ、貯留球排出口11aの直下位置に、上部タンク3の後面板50bの内面上部に突設した前後方向を向く軸部材91に揺動誘導板90を揺動自在に軸支するとともに、該軸部材91を揺動モータ(図示略)により回転可能とし、貯留球排出口11aから排出されたパチンコ球を、左右側、つまり左右の流出口52,52に略均等に振り分け可能な第1の状態である水平位置(図示略)と、左側の流出口52または右側の流出口52のいずれかにのみに誘導可能な第2の状態である傾斜位置と、の間で揺動可能とする。
そして、揚送球排出口11aから排出されたパチンコ球を、移送樋40、受給樋41にて接続される前後の他島双方に均等に移送する場合には、島コントローラ200が揺動モータの駆動制御を実施して、揺動誘導板90を水平位置に位置させ、貯留量レベルがより低い他島に対して優先的に移送する場合には、移送する他島に対応する流出口52側に下方に傾斜する傾斜位置に位置させることで、該他島に優先的に球が誘導されることになる。つまり、揺動誘導板90は本発明の方向変更装置を構成している。
さらに、例えば第2誘導板57に形成された複数の落下穴57aや、第3誘導板58に形成された切欠部58aを開閉可能なシャッタ(図示略)を設け、例えば揺動誘導板90を第2の状態である傾斜位置とした場合に、前記シャッタにより落下穴57aや切欠部58aを閉鎖して、第1誘導板56上に排出されたパチンコ球を流出口52まで優先的に流下させるようにしてもよい。
また、誘導手段の他の一例として、例えば前記実施例の揚送球排出口11aに、パチンコ球を第1誘導板56の頂部に排出する第1の状態と、パチンコ球を第1誘導板56の頂部よりも右側または左側に排出する第2の状態と、に可動自在な首振り装置(図示略)を設けてもよく、このようにすることでも、左右のうちいずれかの流出口52に優先的にパチンコ球を誘導することができる。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれることは言うまでもない。
例えば、前記実施例では、球抜き部30は、左右の補給樋4,4のうち右側の補給樋4にのみ設けられていたが、左右の補給樋4に設けてもよい。
また、前記実施例では、球抜き部30から排出されたパチンコ球は、球抜き管7、集合室21、集合球流下通路23、接続樋10を流下して揚送研磨装置11に供給されるようになっていたが、球抜き管7から直接揚送研磨装置11に供給されるようにしてもよい。
また、前記実施例では、球抜き部30及び球抜きシャッタ装置31は補給樋4の下流側端部に設けられていたが、球抜きシャッタ装置31は、例えば球抜き管7、集合室21、集合球流下通路23のいずれに設けてもよい。
また、前記実施例では、球抜き部30から排出したパチンコ球は、揚送研磨装置11の下部に設けられた図示しない流入口に供給されるようになっていたが、例えば揚送研磨装置11の箱体における下部の流入口と上部の揚送球排出口11aとの間に別個の供給口(図示略)を設け、該供給口に供給されるようにすることで、上部タンク3に供給されるまでの時間を短縮することができる。
また、前記緊急移送制御が実施されているときに、揚送研磨装置11によるパチンコ球の揚送速度を通常よりも速くすることで、他島に対してパチンコ球を迅速に移送できるようにしてもよい。
また、前記実施例では、遊技島1の下部に下部タンク9,9が設けられていたが、下部タンク9を特に設けなくてもよい。
また、前記実施例では、各遊技島1から出力される基準センサ70または下限センサ71の検出信号の受信状況に基づいて、管理コンピュータ300が各遊技島1の貯留量レベルを特定し、移送制御の対象となる一島及び他島の島コントローラ200に各シャッタの駆動指令を出力して移送制御を実施していたが、このような管理コンピュータ300を介することなく、各遊技島1の島コントローラ200同士が他島の基準センサ70または下限センサ71の検出信号の受信状況に基づいて貯留量レベルを特定し、移送制御を実施するようにしてもよい。
例えば各遊技島1の島コントローラ200は、自島の貯留量レベルがLV2になった場合、他島の貯留量レベルに関わらず、自島の貯留量レベルがLV3に復帰するまで流入シャッタ75及び下部タンクシャッタ26を開放させるようにする。また、自島の貯留量レベルがLV1になった場合、他島の島コントローラ200に補給要求信号を出力し、他島の球抜きシャッタ32を開放させてパチンコ球を受給するとともに、自島の貯留量レベルがLV2に復帰したら、他島の島コントローラ200に補給終了信号を出力し、他島の球抜きシャッタ32を閉鎖させる。また、他島から補給要求信号を受信した場合は、自島の貯留量レベルがLV1ではない限り、自島の球抜きシャッタ32を開放させ、補給終了信号を受信したら、自島の球抜きシャッタ32を閉鎖させればよい。