JP5504921B2 - 超音波探触子および超音波診断装置 - Google Patents

超音波探触子および超音波診断装置 Download PDF

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Description

本発明は、超音波を送受信することができる超音波探触子およびこの超音波探触子を備えた超音波診断装置に関する。
超音波は、通常、16000Hz以上の音波をいい、非破壊、無害および略リアルタイムでその内部を調べることが可能なことから、欠陥の検査や疾患の診断等の様々な分野に応用されている。その一つに、被検体内を超音波で走査し、被検体内から来た超音波の反射波(エコー)から生成した受信信号に基づいて当該被検体内の内部状態を画像化する超音波診断装置がある。この超音波診断装置は、医療用では、他の医療用画像装置に較べて小型で安価であり、そしてX線等の放射線被爆が無く安全性が高いこと、また、ドップラ効果を応用した血流表示が可能であること等の様々な特長を有している。このため、超音波診断装置は、循環器系(例えば心臓の冠動脈等の診断)、消化器系(例えば胃腸等の診断)、内科系(例えば肝臓、膵臓および脾臓等の診断)、泌尿器系(例えば腎臓および膀胱等の診断)および産婦人科系等で広く利用されている。
この超音波診断装置には、被検体に対して超音波(超音波信号)を送受信する超音波探触子が用いられる。この超音波探触子は、圧電現象を利用することによって、送信の電気信号に基づいて機械振動して超音波(超音波信号)を発生し、被検体内部で音響インピーダンスの不整合によって生じる超音波(超音波信号)の反射波を受けて受信の電気信号を生成する1または複数の圧電素子を備えている。このような超音波探触子には、被検体へ超音波を送信するための送信用の圧電素子と被検体から来た超音波を受信するための受信用の圧電素子とが別体で構成された送受信分離型の超音波探触子があり、この送受信分離型の超音波探触子は、例えば、特許文献1および特許文献2に開示されている。また、超音波探触子には、被検体と圧電素子との間で効率よく超音波を伝播させるために、被検体と圧電素子との間の音響インピーダンスを整合させる音響整合層も備えており、このような音響整合層は、例えば、特許文献3および特許文献4に開示されている。
この特許文献1に開示の超音波探触子は、送受信分離型の複合型圧電素子が配置された多チャンネル型アレイ型の超音波探触子であって、該複合型圧電素子は、セラミック材料からなる送信用圧電素子と、有機材料からなる受信用圧電素子との間に音響整合層を設けたものである。
また、特許文献2に開示の超音波探触子は、超音波を送受信する超音波プローブが、無機材料で形成された送信用無機圧電素子層と、有機材料で形成された受信用有機圧電素子層と、前記送信用無機圧電素子層と前記受信用有機圧電素子層との間に設けられた電極層とを有するものである。
この特許文献3に開示の音響整合層は、その音響インピーダンスが厚さ方向に連続的に変化する構造に形成されている。より具体的には、特許文献3に開示の音響整合層は、振動子の音響インピーダンスと同等以下の音響インピーダンスを持つ第1音響整合材で、振動子側の断面積が大きくかつ被検体側の断面積が小さく形成されるとともに、超音波の波長よりも短い間隔でマトリクス状に配列された多数の先細柱状体を備え、前記多数の先細柱状体の隙間には、被検体の音響インピーダンスと同等以上の音響インピーダンスを持つ第2音響整合材で充満され、一体に固化されている。
また、特許文献4に開示の音響整合層は、その音響インピーダンスが、圧電素子側部分での圧電素子に近い値から、被検体側部分での被検体に近い値へと厚さ方向に連続的に変化し、複数の圧電素子の各々に対応した該音響整合層の被検体側の表面形状が、前記複数の圧電素子の配列方向およびこれに直交する幅方向に沿って曲面状に形成されており、該音響整合層が超音波ビームを前記配列方向に拡散させ、前記幅方向に収束されるものである。
国際公開第WO2008/010509号パンフレット 国際公開第WO2008/015917号パンフレット 特開平11−089835号公報 特開2006−334075号公報
一般に、被検体から来た超音波は、超音波探触子の圧電素子によって受信され、その一部は、前記圧電素子で電気信号に変換される一方、その残部は、前記圧電素子を透過し、音響制動部材(バッキング層)で吸収される。
しかしながら、前記圧電素子と前記音響制動部材との間に、他の層が介在すると、前記圧電素子と前記他の層との境界面や、前記他の層と前記音響制動部材との境界面で音響インピーダンスの不整合によって反射が生じ、この反射による超音波が前記圧電素子で受信され、ノイズとなってしまう。すなわち、パルスの尾引きが長くなり、超音波探触子の帯域幅が低下し、また、分解能が劣化してしまう。
特に、被検体へ超音波を送信するための送信用の圧電素子と被検体から来た超音波を受信するための受信用の圧電素子とが別体で構成され、これらが互いに音軸方向に沿って積層された構造である積層型の超音波探触子では、受信用の圧電素子と音響制動部材との間に、送信用の圧電素子が介在することとなり、上記不都合が生じる。例えば、上述した特許文献1および特許文献2に開示の超音波探触子について、画質向上について検討したところ、下層の送信用無機圧電素子の表面で生じている超音波の反射がノイズとなり、画質低下の要因になっていることを見出した。
また、上述した特許文献3および特許文献4に開示の各音響整合層は、圧電素子から超音波送受信面へ向かう前方位置に配置され、被検体と圧電素子との音響インピーダンスの整合をとるものであって、上述したように、被検体から来て圧電素子を透過した超音波を対象としていない。さらに、前記特許文献3および特許文献4は、このような被検体から来て圧電素子を透過した超音波の対策は、従来通り、音響制動部材のみである。
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、被検体から来た超音波を受信する圧電素子と音響制動部材との間に他の層が介在する場合でもノイズを低減することができる超音波探触子を提供することを目的とする。そして、本発明は、この超音波探触子を備えた超音波診断装置を提供することを目的とする。
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかる超音波探触子は、圧電材料を備えて成り、圧電現象を利用することによって電気信号と超音波信号との間で相互に信号を変換することができる圧電素子を備える第1圧電部と、超音波を吸収する材料から構成される音響制動部材と、前記第1圧電部と前記音響制動部材との間に配置され、音軸方向に沿って幅が異なる複数の溝を形成した、圧電材料を備えて成り、圧電現象を利用することによって電気信号と超音波信号との間で相互に信号を変換することができる圧電素子を備える第2圧電部とを備え、前記第1圧電部は、被検体から来た超音波を受信するための受信用であり前記第2圧電部は、被検体へ超音波を送信するための送信用であることを特徴とする。
このような構成の超音波探触子は、被検体から来た超音波を受信する圧電素子と音響制動部材との間に他の層が介在する場合でも、第2圧電部によって超音波の反射を低減するので、ノイズを低減することができる。したがって、この観点から、第2圧電部は、このような超音波の反射を低減する超音波反射低減機能だけでなく、さらに進んで超音波の反射を防止する超音波反射防止機能を備えることが好ましい。
ここで、本発明における超音波反射低減機能と音響制動部材(バッキング層)における音響制動機能との違いを以下に説明する。音響制動機能は、外部から音響制動部材に入射した超音波を吸収することによって、すなわち、超音波のエネルギを熱エネルギに変換する機能であり、一方、超音波反射低減機能は、外部から、超音波反射低減機能を有する部材(超音波反射低減部材)の一方端部で入射した超音波に対し、前記一方端部への反射を低減する機能である。したがって、超音波反射低減部材では、外部から一方端部で入射した超音波は、他方端部で外部へ放射されてもよい。
また、他の一態様では、上述の超音波探触子において、前記複数の溝は、所定の間隔で配列されて形成されており、外側領域に形成された溝の深さは、中央領域に形成された溝よりも浅いことを特徴とする。前記所定の間隔は、一定間隔であってもよく、また不定間隔であってもよい。
この構成によれば、このような深さの異なる複数の溝によって外側領域では圧電素子の厚みが相対的に厚くなるとともに中央領域では圧電素子の厚みが相対的に薄くなるため、均一な厚みを持つ圧電素子に較べて、周波数帯域が広帯域化される。
また、他の一態様では、これら上述の超音波探触子において、前記複数の溝は、所定の間隔で配列されて形成されており、中央領域に形成された溝は、外側領域に形成された溝より急であることを特徴とする。前記所定の間隔は、一定間隔であってもよく、また不定間隔であってもよい。
この構成によれば、前記溝によって圧電素子の厚みが相対的に変化するため、均一な厚みを持つ圧電素子に較べて、周波数帯域が広帯域化される。
また、他の一態様では、これら上述の超音波探触子において、記第2圧電部の有効音響インピーダンスは、前記第1圧電部の有効音響インピーダンスより大きいことを特徴とする。
一般に、被検体が生体である場合では、生体の音響インピーダンスは、1.5MRayl程度であり、圧電部の音響インピーダンスは、生体の音響インピーダンスよりも大きい。このため、上記構成によれば、被検体、圧電部、第2圧電部の順で音響インピーダンスを順次に変化させることができ、効率的に超音波を送受信することが可能となる。
そして、本発明の他の一態様にかかる超音波診断装置は、これら上述のいずれかの超音波探触子を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、ノイズを低減することができる超音波探触子を用いた超音波診断装置の提供が可能となる。このため、このような超音波診断装置では、超音波画像の向上が可能となる。
本発明にかかる超音波探触子は、被検体から来た超音波を受信する圧電素子と音響制動部材との間に他の層が介在する場合でも、超音波反射低減機能を有する第2圧電部によって超音波の反射を低減するので、圧電部でのノイズを低減することができる。そして、本発明では、ノイズを低減することができる超音波探触子を用いた超音波診断装置の提供が可能となる。
実施形態における超音波診断装置の外観構成を示す図である。 実施形態における超音波診断装置の電気的な構成を示すブロック図である。 実施形態の超音波診断装置における超音波探触子の構成を示す断面図である。 図3に示す第2圧電部の構造をより詳細に示す図である。 実施形態の超音波探触子における第2圧電部の他の第1構成を示す斜視図である。 実施形態の超音波探触子における第2圧電部の他の第2構成を示す断面図である。 実施形態の超音波探触子における第2圧電部の他の第3構成を示す断面図である。
以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。また、本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
図1は、実施形態における超音波診断装置の外観構成を示す図である。図2は、実施形態における超音波診断装置の電気的な構成を示すブロック図である。図3は、実施形態の超音波診断装置における超音波探触子の構成を示す断面図である。図3(A)は、送信用の第2圧電部上に直接的に受信用の第1圧電部が積層されている場合を示し、図3(B)は、第2圧電部上に中間層を介して間接的に第1圧電部が積層されている場合を示す。図4は、図3に示す第2圧電部の構造をより詳細に示す図である。図4(A)は、斜視図であり、図4(B)は、縦断面図である。
実施形態における超音波診断装置Sは、図1に示すように、図略の生体等の被検体に対して超音波(第1超音波信号)を送信すると共に、この第1超音波信号に基づく被検体内から来た超音波(第2超音波信号)を受信する超音波探触子2と、超音波探触子2とケーブル3を介して接続され、超音波探触子2へケーブル3を介して電気信号の送信信号を送信することによって超音波探触子2に被検体に対して第1超音波信号を送信させると共に、超音波探触子2で受信された被検体内から来た第2超音波信号に応じて超音波探触子2で生成された電気信号の受信信号に基づいて被検体内の内部状態を超音波画像として画像化する超音波診断装置本体1とを備えて構成される。
この第1超音波信号に基づく被検体内から来た超音波は、被検体内における音響インピーダンスの不整合によって被検体内で第1超音波信号が反射した反射波(エコー)だけでなく、例えば微小気泡(マイクロバブル)等の超音波造影剤(コントラスト剤)が用いられている場合には、第1超音波信号に基づいて超音波造影剤の微小気泡で生成される超音波もある。超音波造影剤では、超音波の照射を受けると、超音波造影剤の微小気泡は、共振もしくは共鳴し、さらに一定の閾値以上の音圧では崩壊、消失する。超音波造影剤では、微小気泡の共振によって、あるいは微小気泡の崩壊、消失によって、超音波が生じている。
超音波診断装置本体1は、例えば、図2に示すように、操作入力部11と、送信部12と、受信部13と、画像処理部14と、表示部15と、制御部16とを備えて構成されている。
操作入力部11は、例えば、診断開始等を指示するコマンドや被検体の個人情報等のデータを入力するための装置であり、例えば、複数の入力スイッチを備えた操作パネルやキーボード等である。
送信部12は、制御部16の制御に従って、超音波探触子2へケーブル3を介して電気信号の送信信号を供給して超音波探触子2に第1超音波信号を発生させる回路である。送信部12は、例えば、高電圧のパルスを生成する高圧パルス発生器等を備えて構成される。そして、超音波探触子2が複数の圧電素子を備える場合には、送信部12は、超音波探触子2を構成する複数の圧電素子によって所定方向(所定方位)にメインビーム(主ビーム)を形成した送信ビームの第1超音波信号を被検体内へ送信すべく、例えば、高圧パルス発生器で生成されるパスルに遅延回路で遅延時間を付与することによって駆動信号を生成する送信ビームフォーマ等も備えてよい。この送信部12で生成された駆動信号は、複数の圧電素子のそれぞれに対し適宜に遅延時間を個別に設定した、パルス状の複数の信号であり、ケーブル3を介して超音波探触子2における前記複数の圧電素子のそれぞれに供給される。この複数の駆動信号によって超音波探触子2は、各圧電素子から放射された超音波の位相が特定方向(特定方位)(あるいは、特定の送信フォーカス点)において一致し、その特定方向にメインビームを形成した送信ビームの第1超音波信号を発生する。前記所定方向は、前記複数の圧電素子によって形成される超音波信号の送受信面における法線方向を基準(0度)とした角度によって表される。このような電子走査方式には、リニア走査方式、セクタ走査方式およびコンベックス方式等がある。
受信部13は、制御部16の制御に従って、超音波探触子2からケーブル3を介して電気信号の受信信号を受信する回路であり、この受信信号を画像処理部14へ出力する。受信部13は、例えば、ケーブル3の伝送損失(伝送ロス)を補償すべく、受信信号を予め設定された所定の増幅率で増幅する増幅器等を備えて構成される。そして、送信時の送信ビームの形成と同様に、受信時もいわゆる整相加算することによって受信ビームが形成されてよい。すなわち、超音波探触子2における前記複数の圧電素子のそれぞれから出力される複数の出力信号に対し適宜に遅延時間を個別に設定し、これら遅延された複数の出力信号を加算することによって、各出力信号の位相が特定方向(特定方位)(あるいは、特定の受信フォーカス点)において一致し、その特定方向にメインビームが形成される。このような場合において、受信部13は、例えば、前記増幅器で増幅された各出力信号が入力される受信ビームフォーマ等も備えてよい。
画像処理部14は、制御部16の制御に従って、受信部13で受信された、第1超音波信号に基づく被検体内から来た第2超音波信号における所定の周波数成分に基づいて被検体内の内部状態を表す画像(超音波画像)を形成する回路である。前記所定の周波数成分は、例えば、基本波成分、ならびに、例えば2次高調波成分、3次高調波成分および4次高調波成分等の高調波成分を挙げることができる。画像処理部14は、複数の周波数成分を用いて超音波画像を形成するように構成されてもよい。画像処理部14は、例えば、受信部13の出力に基づいて被検体の超音波画像を生成するDSP(Digital Signal Processor)、および、表示部15に超音波画像を表示すべく、前記DSPで処理された信号をディジタル信号からアナログ信号へ変換するディジタル−アナログ変換回路(DAC回路)等を備えて構成される。前記DSPは、例えば、Bモード処理回路、ドプラ処理回路およびカラーモード処理回路等を備え、いわゆるBモード画像、ドプラ画像およびカラーモード画像の生成が可能とされている。
表示部15は、制御部16の制御に従って、画像処理部14で生成された被検体の超音波画像を表示する装置である。表示部15は、例えば、CRTディスプレイ、LCD(液晶ディスプレイ)、有機ELディスプレイおよびプラズマディスプレイ等の表示装置やプリンタ等の印刷装置等である。
制御部16は、例えば、マイクロプロセッサ、記憶素子およびその周辺回路等を備えて構成され、これら超音波探触子2、操作入力部11、送信部12、受信部13、画像処理部14および表示部15を当該機能に応じてそれぞれ制御することによって超音波診断装置Sの全体制御を行う回路である。
また、超音波探触子(超音波プローブ)2は、被検体内に第1超音波信号を送信しこの第1超音波信号に基づく被検体内から来た第2超音波信号を受信する装置である。超音波探触子2は、例えば、図3(A)に示すように、平板状の音響制動部材(音響吸収部材、バッキング層、ダンパ層)21と、この音響制動部材21の一方主面上に積層された第2圧電部22と、この第2圧電部22上に積層された第1圧電部23と、この第1圧電部23上に積層された音響整合層24と、この音響整合層上に積層された音響レンズ25とを備えて構成される。このように本実施形態の超音波探触子2は、音響制動部材21から音軸方向に沿って超音波送受信面に向かって、第2圧電部22、第1圧電部23、音響整合層24、音響レンズ25の順で順次に積層されている。
音響制動部材21は、超音波を吸収する材料(超音波吸収材)から構成され、主に、第2圧電部22から音響制動部材21方向へ放射される超音波を吸収するものである。音響制動部材21は、超音波を充分に減衰することによって第2圧電部22の音響的特性を良好に保つべく、使用される超音波の波長に対して充分な厚みを有していることが好ましい。また、音響制動部材21は、第2圧電部22を機械的に支持するものであり、また、第1超音波信号のパルス波形を短くすべく音響的に制動をかけるものである。音響制動部材21は、一般に、音響負荷部材、バッキング層、ダンパ層あるいは音響吸収部材とも呼ばれる。音響制動部材21の材料として、例えばエポキシ樹脂等の樹脂に音響散乱粉体を混ぜた材料が挙げられる。このような材料では音響散乱粉体によって超音波の減衰率を大きくすることができる。音響散乱粉体は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、銀(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、インジウム(In)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)およびタンタル(Ta)等を挙げることができるが、コストや入手の容易性から、タングステンが用いられることが好ましい。
第2圧電部22は、第2圧電材料を備えて成り、圧電現象を利用することによって電気信号と超音波信号との間で相互に信号を変換することができる第2圧電素子を備えて構成される。第2圧電部22は、本実施形態では、ケーブル3を介して超音波診断装置本体1の送信部12に接続され、被検体内に第1超音波信号を送信するための送信用に利用される。第2圧電部22は、超音波診断装置本体1の送信部12からケーブル3を介して入力された送信信号を超音波信号へ変換してこの超音波信号を被検体へ第1超音波信号として送信する。超音波探触子2が被検体に当てられることによって、第2圧電部22で生成された超音波信号が第1超音波信号として被検体内へ送信され、後述するように本実施形態では、被検体内から来た第2超音波信号が第1圧電部23で受信される。
第2圧電部22における第2圧電素子は、それぞれ、互いに対向する一対の第1および第2電極を備え、これら第1および第2電極間に第2圧電材料を備えて構成されている。第2圧電材料は、本実施形態では第2圧電部22が送信用であることから、送信パワーを比較的大きくすることができる無機圧電材料であり、例えば、いわゆるPZT、水晶、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、ニオブ酸タンタル酸カリウム(K(Ta,Nb)O)、チタン酸バリウム(BaTiO)、タンタル酸リチウム(LiTaO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、PZN−PTおよびPMN−PT等である。
第1圧電部23は、第1圧電材料を備えて成り、圧電現象を利用することによって電気信号と超音波信号との間で相互に信号を変換することができる第1圧電素子を備えて構成される。第1圧電部23は、本実施形態では、ケーブル3を介して超音波診断装置本体1の受信部13に接続され、前記第1超音波信号に基づく前記被検体内から来た第2超音波信号を受信するための受信用に利用される。第1圧電部23は、受信した第2超音波信号を電気信号へ変換してこの電気信号(受信信号)をケーブル3を介して超音波診断装置本体1の受信部13へ出力する。
第1圧電部23の第1圧電素子は、第2圧電部22の第2圧電素子と同様に、互いに対向する一対の第3および第4電極を備え、これら第3および第4電極間に第1圧電材料を備えて構成されている。第1圧電材料は、本実施形態では第1圧電部23が受信用であることから、比較的高い受信感度を備える有機圧電材料であり、例えば、フッ化ビニリデンの重合体を用いることができる。また例えば、第1圧電材料の有機圧電材料として、フッ化ビニリデン(VDF)系コポリマを用いることができる。このフッ化ビニリデン系コポリマは、フッ化ビニリデンと他の単量体との共重合体(コポリマ)であり、他の単量体としては、3フッ化エチレン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、パーフルオロアルコキシエチレン(PAE)およびパーフルオロヘキサエチレン等を用いることができる。フッ化ビニリデン系コポリマは、その共重合比によって厚み方向の電気機械結合定数(圧電効果)が変化するので、例えば、超音波探触子の仕様等に応じて適宜な共重合比が採用される。例えば、フッ化ビニリデン/3フッ化エチレンのコポリマの場合では、フッ化ビニリデンの共重合比が60mol%〜99mol%であることが好ましく、有機圧電素子を無機圧電素子に積層する複合素子の場合では、フッ化ビニリデンの共重合比が85mol%〜99mol%であることがより好ましい。また、このような複合素子の場合では、他の単量体は、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、パーフルオロアルコキシエチレン(PAE)およびパーフルオロヘキサエチレンが好ましい。また例えば、有機圧電材料は、ポリ尿素を用いることができる。このポリ尿素の場合では、蒸着重合法で圧電体を作成することが好ましい。ポリ尿素用のモノマとして、一般式、HN−R−NH構造を挙げることができる。ここで、Rは、任意の置換基で置換されてもよいアルキレン基、フェニレン基、2価のヘテロ環基、ヘテロ環基を含んでもよい。ポリ尿素は、尿素誘導体と他の単量体との共重合体であってもよい。好ましいポリ尿素として、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(MDA)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)を用いる芳香族ポリ尿素を挙げることができる。
第1圧電部23は、例えば、単体の第1圧電素子を備えて構成されてもよく、また例えば、複数の第1圧電素子を備えて構成されてもよい。これら複数の第1圧電素子は、例えば、互いに所定の間隔を空けて直線的に配列され、1次元リニアアレイ型超音波振動子を構成してもよく、また例えば、これら複数の第1圧電素子は、互いに所定の間隔を空けて平面視にて互いに線形独立な2方向に、例えば、互いに直交する2方向にj行×k列で配列され、2次元アレイ状に構成された2次元アレイ型超音波振動子を構成してもよい(j、kは、正の整数である)。複数の第1圧電素子間には、相互干渉を低減するために、超音波を吸収する超音波吸収材が充填されてもよい。
音響整合層24は、第2圧電部22の音響インピーダンスと被検体の音響インピーダンスとの整合をとると共に、第1圧電部23の音響インピーダンスと被検体の音響インピーダンスとの整合をとる部材である。
音響レンズ25は、超音波の波長帯域の波にレンズ作用を及ぼし、被検体に向けて送信される超音波を収束する部材である。音響レンズ25は、円弧状に膨出した形状とされる。なお、音響レンズ25は、音響整合層24と一体に形成されてもよい。
なお、図3(A)に示す例では、第1圧電部23は、第2圧電部22上に直接的に積層されているが、図3(B)に示すように、第2圧電部22上に中間層31を介して間接的に積層されてもよい。この中間層31は、第2圧電部22と第1圧電部23とを積層するための部材であり、第2圧電部22と第1圧電部23との音響インピーダンスを整合させるものである。
ここで、本実施形態の超音波探触子2では、第1圧電部23と音響制動部材21との間に配置される第2圧電部22aは、超音波の反射を低減する超音波反射低減機能も備えている。本実施形態では、この超音波反射低減機能を付与するために、この第2圧電部22aには、図4に示すように、音軸方向に沿って幅wが異なる複数の溝Gが形成されている。図4に示す例では、4個の溝G−1、G−2、G−3、G−4が形成されている。より具体的には、第2圧電部22aにおいて、第1圧電部23側から音響制動部材21側に向かう方向(深さ方向)に沿って、水平方向の幅wが徐々に狭くなる断面V字形状のV溝Gが、深さ方向に直交する所定の一方向に沿って所定の間隔lを空けて複数形成されている。なお、図4には、音響制動部材21および第2圧電部22aが示されており、他の構成は、省略されている。
図4に示す第2圧電部22aは、互いに所定の間隔を空けて所定の一方向に沿って直線的に1次元配列された複数の第2圧電素子22a−1,22a−2,22a−3,22a−4,・・・を備え、1次元リニアアレイ型超音波振動子を構成している。そして、これら各第2圧電素子22a−1,22a−2,22a−3,22a−4,・・・のそれぞれが前記複数のV溝G(G−1、G−2、G−3、G−4)を備えている。すなわち、1個の第2圧電素子が複数のV溝Gを備えている。これら複数の第2圧電素子の配列方向と、各第2圧電素子にそれぞれ形成される複数のV溝Gの配列方向とは直交している。
このような複数のV溝Gは、例えば、断面V字形状の刃を備えるダイシングソによって形成可能である。また例えば、エッチングによって複数のV溝Gが形成されてもよい。また例えば、先端が錐状ではなく丸みを帯びてなまるがサンドブラストによって複数の溝Gが形成されてもよい。
そして、このように形成された複数のV溝G内には、第2圧電部22の第2圧電素子を形成する第2圧電材料よりも音響インピーダンスが低い材料、例えばエポキシ系樹脂等の樹脂が充填される。
音響インピーダンスZ1の第1部材と音響インピーダンスZ2の第2部材との界面における音圧の反射率Rは、前記界面で音響インピーダンスに差△Z(=Z2−Z1)がある場合に、論理的に、R=(Z2−Z1)/(Z1+Z2)=△Z/(Z1+Z2)で与えられる。したがって、音響インピーダンスが超音波の伝播方向に沿って連続的に変化すれば、音響インピーダンス差△Zが伝播方向の各位置で近似的に0と見なすことができ(△Z≒0)、反射率Rが0となって(R=0)、超音波は、反射しない。
本実施形態の第2圧電部22は、第2圧電材料より低音響インピーダンスの樹脂を充填した複数のV溝Gを備え、深さ方向に沿って樹脂の体積分率が徐々に、本実施形態では連続的に変化するため、音響インピーダンス差による反射を低減することができる。したがって、この観点から、第2圧電部22は、超音波の反射を低減する超音波反射低減機能だけでなく、さらに進んで超音波の反射を防止する超音波反射防止機能を備えることが好ましい。本実施形態では、溝Gが深さ方向に沿って幅wが徐々に狭くなるので、第2圧電部22の第1圧電部23側では、その音響制動部材21側より音響インピーダンスが低くなる。
そして、第2圧電部22における反射波の位相は、第2超音波信号が入射する電極における面内方向での位置に依存するため、前記電極面内で積分された第2超音波信号は、その反射波が弱められる。例えば、第2超音波信号が第2圧電部22の一方電極面から入射し、他方電極面で反射して再び前記一方電極に戻るケースを考えると、V溝Gの無い位置に入射した第2超音波信号の反射波における位相θ1は、θ1=2πf(2a/V1)であり、V溝Gの有る位置に入射した第2超音波信号の反射波における位相θ2は、θ2=2πf((2(a−b)/V2)+(2b/V1))であり、その位相差θ2−θ1は、θ2−θ1=2πf((2(a−b)/V2)−(2(a−b)/V1))となる。ここで、V1は、第2圧電部22の圧電材料の音速であり、V2は、V溝G内の音速(上述のように樹脂が充填されている場合には前記樹脂の音速となる)であり、fは、第2超音波信号の周波数であり、aは、第2圧電部22aの厚さであり、dは、面内方向での位置におけるV溝の深さであり、bは、b=a−dである(図4(B)参照)。このように位相差は、前記式によって表され、第2超音波信号が入射する電極における面内方向での位置に依存するため、V溝Gが無い場合には、b=0、V2=V1であるので、前記位相差は、0となって、前記反射波は、強め合ってしまうが、V溝Gがある場合では、前記電極面内で積分された第2超音波信号は、その反射波が弱められる。したがって、第1圧電部23のSN比が向上する。前記所定の間隔lは、一定間隔であってもよく、また不定間隔であってもよいが、この観点から、複数のV溝Gの周期l(前記所定の間隔l)は、第2圧電部22aが送信すべき超音波の周波数に対して計算される波長λ以下程度であることが好ましい。
このような超音波診断装置Sでは、診断の際に、例えば、操作入力部11から診断開始の指示が入力されると、制御部16の制御によって送信部12で電気信号の送信信号が生成される。この生成された電気信号の送信信号は、ケーブル3を介して超音波探触子2へ供給される。より具体的には、この電気信号の送信信号は、超音波探触子2における第2圧電部22(22a)へ供給され、第2圧電部22(22a)では、当該第2圧電部22(22a)における前記複数の第2圧電素子へ所定の遅延時間でそれぞれ供給される。前記第2圧電素子では、この電気信号の送信信号が供給されることによってその厚さ方向に伸縮し、この電気信号の送信信号に応じて超音波振動する。この超音波振動によって、前記第2圧電素子は、第1超音波信号を放射する。前記第2圧電素子から音響制動部材21方向へ放射された第1超音波信号は、音響制動部材21によって吸収される。また、前記第2圧電素子から音響レンズ25方向へ放射された第1超音波信号は、第1圧電部23、音響整合層24および音響レンズ25を介して放射される。超音波探触子2が被検体に例えば当接されていると、これによって超音波探触子2から被検体に対して第1超音波信号が送信される。
なお、超音波探触子2は、被検体の表面上に当接して用いられてもよいし、被検体の内部に挿入して、例えば、生体の体腔内に挿入して用いられてもよい。
この被検体に対して送信された超音波は、被検体内部における音響インピーダンスが異なる1または複数の境界面で反射され、超音波の反射波となる。あるいは超音波造影剤が被検体内に注入されている場合には、第1超音波信号に起因して超音波造影剤によって超音波が生成される。この超音波には、送信された第1超音波信号の周波数(基本波の基本周波数)成分だけでなく、基本周波数の整数倍の高調波の周波数成分も含まれる。例えば、基本周波数の2倍、3倍および4倍等の2次高調波成分、3次高調波成分および4次高調波成分等も含まれる。この超音波は、超音波探触子2で受信される。より具体的には、この超音波は、音響レンズ25および音響整合層24を介して第1圧電部23における複数の第1圧電素子で受信される。すなわち、この超音波は、前記第1圧電素子で受信され、前記第1圧電素子で機械的な振動が電気信号に変換されて受信信号として取り出される。
そして、第1圧電部23で取り出されたこの電気信号の受信信号は、ケーブル3を介して制御部16で制御される受信部13で受信される。受信部13は、この入力された受信信号を受信処理し、より具体的には、例えば増幅した後に画像処理部14へ出力する。
ここで、上述において、方位およびフォーカス深度(観察点)を変えながら電子走査を行うべく、第2圧電部22から順次に第1超音波信号が被検体に向けて送信され、被検体で反射した第2超音波信号が第1圧電部23で受信される。
そして、画像処理部14は、制御部16の制御によって、受信部13で受信された受信信号に基づいて、送信から受信までの時間や受信強度等から被検体の超音波画像を生成する。例えば、画像処理部14では、フィルタ法によって受信信号から高調波成分が抽出され、この抽出された高調波成分に基づいてハーモニックイメージング技術を用いて被検体内部の内部状態の超音波画像が生成される。また例えば、画像処理部14では、位相反転法(パルスインバージョン法)によって受信信号から高調波成分が抽出され、この抽出された高調波成分に基づいてハーモニックイメージング技術を用いて被検体内部の内部状態の超音波画像が生成される。そして、表示部15は、制御部16の制御によって、画像処理部14で生成された被検体の超音波画像を表示する。
このように動作する超音波診断装置Sにおいて、上述したように、第2圧電部22に複数のV溝Gを備えるので、音響レンズ25および音響整合層24を介して第1圧電部23に入射された第2超音波信号は、第1圧電部23で受信されきれずに第1圧電部23を透過して第2圧電部22に入射した場合でも、第2圧電部22での反射が低減され、第2圧電部22を透過し、音響制動部材21で吸収される。このように第2圧電部22での反射が低減されるため、第1圧電部23では、ノイズとなる反射波の受信が低減され、第1圧電部23は、音響レンズ25および音響整合層24を介して第1圧電部23に入射された第2超音波信号を優位に受信することができ、第2超音波信号の受信のSN比を向上することができる。また、仮に反射される場合でも、第2圧電部22における反射波の位相は、第2超音波信号が入射する電極における面内方向での位置に依存するため、前記電極面内で積分された第2超音波信号は、その反射波が弱められる。したがって、第1圧電部23における第2超音波信号の受信のSN比が向上する。この結果、本実施形態の超音波診断装置Sは、より高い画質の超音波画像を形成することが可能となる。
また、上述の超音波診断装置Sに用いられる超音波探触子2は、受信用の第1圧電部23および送信用の第2圧電部22を備えている。このため、このような構成の超音波探触子2では、それぞれを受信に適した素子とするとともに送信に適した素子とすることが可能となる。
また、上述の超音波診断装置Sに用いられている超音波探触子2では、第1圧電部23が受信用で有機圧電材料の圧電体を備えて構成され、第2圧電部22が送信用で無機圧電材料の圧電体を備えて構成されている。このため、第2圧電部22の有効音響インピーダンスは、第1圧電部23の有効音響インピーダンスよりも大きい。また、一般に、被検体が生体である場合では、生体の音響インピーダンスは、1.5MRayl程度であり、第1および第2圧電部22、23の音響インピーダンスは、生体の音響インピーダンスよりも大きい。したがって、このような構成の超音波探触子2では、被検体、音響レンズ25、音響整合層24、第1圧電部23および第2圧電部22が小さい音響インピーダンスから大きい音響インピーダンスへ順次に変化するように音軸に沿って順に並んでいる。このため、このような構成の超音波探触子2は、効率的に超音波を送受信することが可能となる。
なお、上述の実施形態では、超音波探触子2における第2圧電部22の第2圧電材料が無機圧電材料であってその第1圧電部23の第1圧電材料が有機圧電材料であったが、超音波探触子2における第1および第2圧電部22、23を形成する第1および第2圧電材料は、共に無機圧電材料であってよく、また共に有機圧電材料であってよい。圧電材料が有機圧電材料である場合に、複数の圧電素子は、素子分離された個別の素子であってもよいが、一体化したシート状の圧電部が用いられてもよい。
より具体的には、まず、所定の厚さを持った平板状の有機圧電材料から成る有機圧電体が用意され、次に、その一方主面に互いに分離した複数の素電極が例えばスクリーン印刷、蒸着あるいはスパッタ等によって形成される。これら複数の素電極は、平面視にて線形独立な2方向に、例えば互いに直交する2方向に2次元アレイ状に配列するように形成される。素電極は、例えば、平面視にて矩形状とされる。続いて、有機圧電体の他方主面に略全面に亘って電極が例えばスクリーン印刷、蒸着あるいはスパッタ等によって形成される。これによって2次元アレイ状に配列された複数の素電極を一方主面に備えると共に他方主面に略全面に亘って電極を備える圧電部が形成される。このような構成の圧電部は、素電極と、これに対向する電極と、これら素電極と電極との間に介在する有機圧電材料の有機圧電体とから1個の圧電素子が構成され、複数の有機圧電素子を含む。このように製造されるので、複数の有機圧電素子を形成するためにシート状の有機圧電体に溝(間隙、隙間、ギャップ、スリット)を形成する工程が必要ない。したがって、このような構成では、有機圧電素子に対して溝を形成する工程が必要ではないため、有機圧電素子の製造工程がより単純化され、より少ない工数で超音波探触子2を製造することが可能となる。
また、上述の実施形態における超音波探触子2では、第2圧電部22は、1個の圧電素子として、圧電体と樹脂(高分子材料)とを複合化した2−2複合圧電体(2−2コンポジット)を備えて構成される第2圧電部22aであるが、第2圧電部22は、図5に示すように、1個の圧電素子として、圧電体と樹脂とを複合化した1−3複合圧電体(1−3コンポジット)を備えて構成される第2圧電部22bであってもよい。図5は、実施形態の超音波探触子における第2圧電部の他の第1構成を示す斜視図であり、図5には、第2圧電部22bの1個分の圧電素子の構成が示されている。なお、図5には、音響制動部材21および第2圧電部22bが示されており、他の構成は、省略されている。このような構成の第2圧電部22bであっても超音波反射低減機能を有するが、上述した、V溝Gを有する第2圧電部22aに比較すると、前記反射波の位相乱れが少なく低減効果は、小さい。
また、上述の実施形態における超音波探触子2では、第2圧電部22は、互いに所定の間隔を空けて直線的に配列され、1次元リニアアレイ型超音波振動子であるが、第2圧電部22は、例えば、単体の第1圧電素子を備えて構成されてもよく、また例えば、第2圧電部22は、複数の第2圧電素子が、互いに所定の間隔を空けて平面視にて互いに線形独立な2方向に、例えば、互いに直交する2方向にm行×n列で配列され、2次元アレイ状に構成された2次元アレイ型超音波振動子であってもよい(m、nは、正の整数である)。第2圧電部22における第2圧電素子間には、相互干渉を低減するために、超音波を吸収する超音波吸収材が充填されてもよい。また、第1圧電部23の第1圧電素子の個数と第2圧電部22の第2圧電素子の個数とは、同一であってもいが、送信特性および受信特性のそれぞれの特性により適合させる観点から、各素子の個数は、異なっていてもよい。
また、上述の実施形態における超音波探触子2では、第2圧電部22は、一方主面に所定の間隔で配列されて形成された、互いに同じ深さの複数のV溝Gを備えて構成される第2圧電部22aであるが、図6に示すように、第2圧電部22は、一方主面に所定の間隔で配列されて形成された、互いに異なる深さの複数のV溝Gを備えて構成される第2圧電部22c、22dであってもよい。図6は、実施形態の超音波探触子における第2圧電部の他の第2構成を示す断面図であり、図6(A)は、前記他の第2構成における第1形態を示し、図6(B)は、前記他の第2構成における第2形態を示す。この第2圧電部22c、22dは、図6(A)および図6(B)に示すように、複数のV溝Gを備えており、これら複数のV溝Gは、所定の間隔で配列されて形成されており、外側領域に形成された溝の深さは、中央領域に形成された溝よりも浅いものである。このような構成の超音波探触子2では、このような深さの異なる複数のV溝Gによって外側領域では第2圧電部22c、22dの圧電素子の厚みが相対的に厚くなるとともに中央領域ではこの圧電素子の厚みが相対的に薄くなるため、均一な厚みを持つ圧電素子に較べて、周波数帯域を広帯域化することが可能となる。このような互いに異なる深さdの複数のV溝Gは、例えば、図6(A)に示すように、中央領域に形成された深さd1の相対的に深いV溝Ga−3,Ga−4と、外側領域に形成された深さd2の相対的に浅いV溝Gb−1、Gb−2;Gb−5,Gb−6との深さd(d1、d2)の異なる2種類の溝であってよい(深さd1>深さd2)。また例えば、互いに異なる深さdの複数のV溝Gは、図6(B)に示すように、中央領域に形成されたV溝Gから外側領域に形成されたV溝Gへ順次に深さが浅くなる3種類以上の溝であってよい。図6(B)に示す例では、第2圧電部22dは、中央領域に形成された深さd1の相対的に最も深いV溝Ga−3,Ga−4と、外側領域に形成された深さd2の相対的に最も浅いV溝Gb−1;Gb−6と、中央領域と外側領域の間における中間領域に形成された深さd3の相対的に中間の深さのV溝Gc−2;Gc−5との深さd(d1、d2、d3)の異なる3種類である(深さd1>深さd3>深さd2)。
また、上述の実施形態における超音波探触子2では、第2圧電部22は、一方主面に形成された、互いに同じ形状(相似形を含む)の複数のV溝Gを備えて構成される第2圧電部22aであるが、図7に示すように、第2圧電部22は、一方主面に所定の間隔で配列されて形成された複数の溝G(Gd,Ge)を備え、これら複数の溝Gのうち、中央領域に形成された溝Gd−2,Gd−3が外側領域に形成された溝Ge−1,Ge−4より急である第2圧電部22eであってもよい。すなわち、図7に示すように、溝Gの外端部OTにおける、一方主面と前記外端部OTにおける溝Gの壁面に接する接平面との成す角を角θとする場合に、中央領域に形成された溝Gdの前記角θ1が外側領域に形成された溝Geの前記角θ2より大きい。溝Gd、Geの断面形状は、例えば椀や皿等のような、第1圧電部23側から音響制動部材21側へ向こう方向に凸の左右線対称な曲線形状である。図7は、実施形態の超音波探触子における第2圧電部の他の第3構成を示す断面図である。このような構成の超音波探触子2では、前記溝Gd、Geによって圧電素子の厚みが相対的に変化するため、均一な厚みを持つ圧電素子に較べて、周波数帯域が広帯域化される。このような深くなる度合いが互いに異なる複数のV溝Gは、図7に示すように、中央領域に形成された深くなる度合いが相対的に大きい溝Gd−2,Gd−3と、外側領域に形成された深くなる度合いが相対的に小さい溝Ge−1、Ge−4との深くなる度合いの異なる2種類の溝であってよい(深さd1>深さd2)。また例えば、互いに異なる深さdの複数のV溝Gは、図6(A)および(B)に示すケースのように、中央領域に形成されたV溝Gから外側領域に形成されたV溝Gへ順次に深くなる度合いが小さくなる3種類以上の溝であってよい。
また、上述の実施形態における超音波探触子2では、第2圧電部22の第2圧電素子における溝Gは、断面V字形状のV溝Gであるが、このような断面形状に限定されるものではなく、要は、音軸方向に沿って幅が異なる形状であればよい。例えば、溝Gの断面形状は、上述のV字形状を形成する左右対称な一対の直線だけではなく、例えば、2次関数や3次関数等の高次関数、指数関数、対数関数、三角関数等の関数によって表される曲線が左右対称一対となった形状であってよい。溝Gの断面形状は、偶関数によって表される。
また、これら上述の実施形態における第2圧電部22(22a〜22e)は、第1圧電部23側の1面に複数の溝Gが形成されたが、第2圧電部22は、音響制動部材21側の一面にこのような複数の溝Gが形成されてもよい。このような構成によっても同様の作用効果が得られる。
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
S 超音波診断装置
G(Ga〜Ge) 溝
1 超音波診断装置本体
2 超音波探触子
21 音響制動部材
22(22a〜22e) 第2圧電部
23 第1圧電部

Claims (5)

  1. 圧電材料を備えて成り、圧電現象を利用することによって電気信号と超音波信号との間で相互に信号を変換することができる圧電素子を備える第1圧電部と、
    超音波を吸収する材料から構成される音響制動部材と、
    前記第1圧電部と前記音響制動部材との間に配置され、音軸方向に沿って幅が異なる複数の溝を形成した、圧電材料を備えて成り、圧電現象を利用することによって電気信号と超音波信号との間で相互に信号を変換することができる圧電素子を備える第2圧電部とを備え、
    前記第1圧電部は、被検体から来た超音波を受信するための受信用であり
    前記第2圧電部は、被検体へ超音波を送信するための送信用であること
    を特徴とする超音波探触子。
  2. 前記複数の溝は、所定の間隔で配列されて形成されており、外側領域に形成された溝の深さは、中央領域に形成された溝よりも浅いこと
    を特徴とする請求項1に記載の超音波探触子。
  3. 前記複数の溝は、所定の間隔で配列されて形成されており、中央領域に形成された溝は、外側領域に形成された溝より急であること
    を特徴とする請求項1または請求項2に記載の超音波探触子。
  4. 記第2圧電部の有効音響インピーダンスは、前記第1圧電部の有効音響インピーダンスより大きいこと
    を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の超音波探触子。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の超音波探触子を備えること
    を特徴とする超音波診断装置。
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