JP5503240B2 - インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 - Google Patents
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Description
(一般式(1)中、R1はn+m価の有機基、R2はそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基、Xは二重結合を有する2価の有機基、Y+はアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、又は有機塩基のカチオンである。nは1以上の整数であり、mは0以上の整数であり、かつ、n+mは2以上の整数である。)
(1)硬化性物質
本発明の液体組成物を構成する硬化性物質は、下記一般式(1)で表される多官能アミド化合物を含むものであることを特徴とする。また、本発明に用いる該多官能アミド化合物は、その構造中にある重合性基が、アミド酸若しくはアミド酸塩基を含む二重結合であることを特徴とする。そして、下記一般式(1)で表される通り、その重合性基の数[一般式(1)中の(n+m)]が2以上の多官能構造であり、かつ、重合性基のうちの少なくともひとつはアミド酸塩構造(すなわち、nは1以上)を有する。さらに、該多官能アミド化合物中におけるアミド酸塩とアミド酸の存在比(n/m)は、特に限定されないが、アミド酸塩の存在比が少なすぎる場合には、該多官能アミド化合物の水溶性が低下する場合があるので、mの数と比較してnの数が多いことが好ましい。
本発明に用いることができる重合開始剤は、光の授受により硬化性物質が重合を開始させる活性種を生成させるものであれば、特に限定なく用いることができる。特には、上記した硬化性物質はラジカルの生成により著しく硬化反応が進行するため、光の授受によりラジカルを生成させる開始剤を用いることが好ましい。
本発明の液体組成物の溶媒成分は、特に限定なく用いることができるが、水を含有して水性の液体組成物として用いることも可能である。その際の水の含有量は、用途や様式により異なるため一概には言えないが、概ね全溶媒100.0質量部中に10.0質量部以上の範囲とすることが好ましい。特にインクジェット記録方式に適応する場合には、少なくとも30.0質量部以上が好ましく、50.0質量部以上がより好ましい。
<透明インクとして用いる場合>
本発明の液体組成物は、後述するような色材を含有することなく、言うなれば「透明なインク」の形態として用いることもできる。この場合には、色材を含有しないので実質的に無色透明の皮膜を得ることができる。このような「透明インク」の用途は、以下のものが挙げられる。例えば、画像記録への種々の適性を記録媒体に付与するためのアンダーコート、又は通常のインクで形成した画像の表面保護、さらには装飾や光沢付与などを目的としたオーバーコートなどの用途に用いることができる。この場合、液体組成物は、酸化防止や退色防止などの用途に応じて、着色を目的としない無色の顔料や微粒子などを分散して含有することもできる。これらを添加することによって、アンダーコート、オーバーコートのいずれにおいても、記録物の画質、堅牢性、施工性(ハンドリング性)などの諸特性を向上することができる。
また、本発明の液体組成物は、色材を含んでいてもよい。その場合には、本発明にかかる液体組成物は、ある種のインクとして利用することができる。その場合の構成と用いる色材について述べる。
本発明の液体組成物は、インクジェット記録方式に応用した場合に特に優れた効果をもたらすものである。またその中でも熱エネルギーの作用によりインクを吐出する方式のインクジェット記録装置における吐出液体として、極めて優れた効果をもたらすものである。また、本発明の液体組成物は、液体収容部を有するカートリッジに収容される液体としても、またその液体カートリッジの充填用液体としても非常に有効である。
該当する無水物と多価アミン化合物の付加反応(必要に応じて転移反応)を行い、次いで水酸化ナトリウム若しくはトリエチルアミンを用いて中和反応を行うことで、以下の表1に示す硬化性物質1〜10を得た。なお、各硬化性物質の数平均分子量は、標準物質としてポリスチレンを用い、カラム:KF−802.5(昭和電工製)、検出器:SPD−10AVP(島津製作所製)を搭載したゲル浸透クロマトグラフィーにより測定した値である。
上記の各硬化性物質を用いて液体組成物を下記の組成で調製した。
先ず、シアンの顔料分散体を次のように調製した。顔料としてC.I.ピグメントブルー15:3を用い、分散剤としてスチレン/アクリル酸/エチルアクリレートのランダムポリマー(重量平均分子量=3,500、酸価=150mgKOH/g)を用いた。これらに水を加えてビーズミルにて分散し、顔料固形分が10質量%で、P/B比(顔料とバインダーの質量比率)が3:1であるシアン顔料分散体を得た。次に、表3に示す成分を各々混合して充分撹拌した後、ポアサイズ0.50μmのフィルタを用いて加圧濾過を行い、実施組成物1〜10、及び比較組成物1〜2の各液体組成物(シアンインク形態)を混合調製した。なお、重合開始剤には、前述の化合物[A]を用いた。
[水溶性]
上記の各硬化性物質2gに対して、それぞれ、イオン交換水10gを添加し、室温、15h攪拌後した後の水溶液状態を目視で確認した。水溶性の評価基準は以下の通りである。評価結果を表4に示す。
A:不溶分の存在しない均一な溶液
B:水相と有機相に分離した不均一な溶液
5mlの重水に対して上記硬化性物質0.1gを添加し、硬化性物質に対して同モル量の、表5に示す無機塩基を添加した。得られたアルカリ重水溶液を用い、60℃、1week保存前後の構造変化を、1H−NMRにより確認した。耐アルカリ性の評価基準は下記の通りである。評価結果を表5に示す
A:保存前後で1H−NMRのピーク変化なし
B:保存前後で1H−NMRのピーク変化を確認
上記で得た各液体組成物によって形成した画像の硬化性、その際の吐出安定性に関する評価を行った。
[画像の形成]
先ず、画像形成装置として、記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出するオンデマンド型インクジェット記録装置PIXUS550i(キヤノン製)を用意した。なお、該記録装置は活性エネルギー線の照射が可能なように改造を施したものである。具体的には、記録ヘッド部に隣接する部分に、マイクロ波を用いて外部から無電極で水銀灯を励起するUVランプを搭載した。UVランプはDバルブを用いた。照射位置での強度は1,500mW/cm2であった。このインクジェット記録装置を用いて、下記(1)から(2)に記載する評価方法及び評価基準にしたがって評価を行った。
実施組成物1〜10、及び比較組成物1、及び前記インクジェット記録装置を用いて、オフセット記録用紙OK金藤(三菱製紙製)に100%ベタの画像を形成した。先述した条件と同程度の照射条件で、記録と平行する形で紫外線を照射し塗工膜(画像)を得た。塗工膜形成の10分後に、前記記録媒体にシルボン紙を載せ、記録面に40g/cm2の荷重を載せた状態でシルボン紙を引っ張った。記録媒体の非記録部(白地部)及びシルボン紙に、記録部の擦れによって汚れが生じるか否かを目視で観察して評価を行った。耐擦過性の評価基準は下記の通りである。評価結果を表6に示す。
A:擦れによる汚れが見られない領域がシルボン紙の面積中90%以上
B:擦れによる汚れが見られない領域がシルボン紙の面積中20%以上90%未満
C:擦れによる汚れが見られない領域がシルボン紙の面積中20%未満
実施組成物1〜10、及び比較組成物1、及び前記インクジェット記録装置を用いて、上記と同様の条件でもってPPC用紙(キヤノン製)に横罫線を連続して記録した。その後、罫線の太さ、ドットの着弾位置を目視で観察して評価を行った。吐出安定性の評価基準は下記の通りである。評価結果を表6に示す。
A:線の太さに変化がなく、着弾位置のずれもない。
B:線の太さに若干の変化があるが、許容できるレベルである。
C:線の変化が明確にあり、着弾位置のずれも見られる。
上記評価結果の通り、硬化性物質1〜10は、従来よりも優れた溶液特性(水溶性、耐アルカリ性)を示し、かつ実施組成物1〜10は、従来と同等以上の高い硬化特性を示すことが明らかとなった。また、十分な吐出安定性も得られた。なお、比較組成物2に使用した硬化性物質は多官能化合物であるが、本発明で使用するものに比べて、その水溶性や耐アルカリ性が低いものであった。また、比較組成物1は、画像形成を行った場合に、吐出時の着弾位置のずれが生じたり、保存後の分散性に大きな変化が見られるものがあった。
最後に、各色インクセットについて、硬化性能、吐出安定性の評価を行った。先ず、実施組成物1〜10に用いたシアン顔料分散体を調製するのと同様にして、下記のごとくイエロー顔料分散体及びマゼンタ顔料分散体を調製した。
Claims (9)
- インクジェット用の液体組成物を記録媒体に吐出する工程、及び該液体組成物が付与された記録媒体に活性エネルギー線を照射して該液体組成物を硬化させる工程を有し、
前記液体組成物が、硬化性物質を少なくとも含有してなり、かつ、活性エネルギー線の照射により硬化される液体組成物であり、
前記硬化性物質が、下記一般式(1)で表される多官能アミド化合物を含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
(一般式(1)中、R 1 はn+m価の有機基、R 2 はそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基、Xは二重結合を有する2価の有機基、Y + はアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、又は有機塩基のカチオンである。nは1以上の整数であり、mは0以上の整数であり、かつ、n+mは2以上の整数である。) - 前記一般式(1)中のY+が、Na、K、及びLiから選ばれるいずれかのアルカリ金属のイオン、アンモニウムイオン、若しくは有機アミンのカチオンである請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
- 前記一般式(1)で表される多官能アミド化合物の数平均分子量が100,000以下であり、前記多官能アミド化合物における重合性の二重結合1個あたりの分子量(二重結合当量)が1,000以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記一般式(1)中のR1の構成元素は、炭素及び水素及び窒素からなる請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記一般式(1)中のR1の構成元素は、炭素及び水素からなる請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記液体組成物が、さらに、水を含有する請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記液体組成物が、さらに、色材を含有する請求項1乃至7のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- インクジェット用の液体組成物を記録媒体に付与する手段、及び該記録媒体に付与された液体組成物に対して活性エネルギー線を照射する手段を具備し、
前記液体組成物が、硬化性物質を少なくとも含有してなり、かつ、活性エネルギー線の照射により硬化される液体組成物であり、
前記硬化性物質が、下記一般式(1)で表される多官能アミド化合物を含むことを特徴とするインクジェット記録装置。
(一般式(1)中、R 1 はn+m価の有機基、R 2 はそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基、Xは二重結合を有する2価の有機基、Y + はアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、又は有機塩基のカチオンである。nは1以上の整数であり、mは0以上の整数であり、かつ、n+mは2以上の整数である。)
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