JP5679647B2 - 液体組成物、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 - Google Patents

液体組成物、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 Download PDF

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Description

本発明は、液体組成物、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置に関する。
従来、記録媒体に液体組成物を付与し、そこに活性エネルギー線を照射することによって、その液体組成物中の硬化性物質を硬化させ、硬化膜を形成し画像を形成する方法が知られており、広く応用されている。その中に、活性エネルギー線硬化性物質(以下、単に硬化性物質と呼ぶ)を含有する液体組成物をインクとしてインクジェット記録方法に応用する技術がある。中でも特に、水性の硬化性物質を適用した活性エネルギー線硬化性液体組成物を用いる技術は、環境への負荷が極端に少なく極めて有用である。
そのため、水性の液体組成物の開発、同時に、それに応用可能な水溶性の硬化性物質の開発が求められているが、水性の液体組成物に用いる硬化性物質には、水溶液特性と、硬化膜特性との両立が求められる。特にインクジェット記録に適用する場合には、水溶液特性として、硬化前の物質が良好な水溶性を示し、種々の色材と共存しても液体組成物の性能低下を生じることなく、常温保存下で熱的に安定であり、適度な低粘度性を示すことが求められる。また、硬化膜特性として、特定の光源に対しての高い感度、種々の記録媒体での高い硬化性、有機溶剤や水に対する高い耐性、各種環境下で変色せずに安定であることが求められる。
これまでに、上記特性を満足すべく種々の硬化性物質が提案されてきた。例えば、特許文献1には、硬化性物質として、複数の水溶性多官能アクリル化合物を混合した樹脂が提案されている。また、特許文献2には、水中で分散する架橋性の高分子化合物が提案されている。さらに、特許文献3には、酸性基とアミンとの対塩を含有する架橋性の高分子化合物が提案されている。
しかしながら、特許文献1〜3に記載された化合物は、本発明者らの検討によれば、次のような課題がある。すなわち、特許文献2及び3に記載の化合物は、高分子量の硬化性物質を使用することで、良好な硬化膜特性を示すものの、インクジェット記録方法に適応する場合、吐出性能予期せず低下し、綺麗な画像を形成できない問題を生じる場合がある。この吐出性能の低下は、特にサーマル方式のインクジェット記録方法で画像を形成させる場合に顕著である。一方、特許文献1に記載の化合物は、良好な吐出性能を示すものの、硬化膜特性は満足した性能を発現しない場合がある。また、特許文献1〜3に記載の化合物は、水溶液の長期保存安定性が低い場合あり、保存条件によって、経時的に架橋基成分が熱重合を起し、液体の粘度が上昇する場合がある。
国際公開第2007/036692号パンフレット 特開2003−40923号公報 特開2008−24830号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものである。その目的は、色材を含有するインクとして使用した場合にも、高い硬化膜特性を示し、かつインクジェット記録方法に適用した場合に、吐出方式に依存せず、優れた吐出性能を示すことで、綺麗な画像を形成できる水性の液体組成物を提供することにある。さらには、高い長期保存安定性を示す水性の液体組成物を提供することにある。また、本発明の別の目的は、該液体組成物を用いた、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置を提供することにある。
上記目的は、以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、硬化性物質を少なくとも含有してなり、かつ、活性エネルギー線の照射により硬化するインクジェット用の水性の液体組成物であって、前記硬化性物質が、下記一般式(1)で表される繰返し単位構造を有し、かつ、重量平均分子量が10,000以上100,000以下の範囲にある高分子化合物を含むことを特徴とする液体組成物である。
Figure 0005679647
(前記一般式(1)中、R1は1価の有機基、R2は2価の有機基、R3は炭素数1乃至5の1価の有機基、Xはアルカリ金属、l及びmはそれぞれ独立に1以上の整数、nは0以上の整数を表し、mが(l+m+n)に対して占める割合(%)が、10%以上60%以下の範囲にあり、lが(l+m+n)に対して占める割合(%)が、10%以上60%以下の範囲にある。)
本発明によれば、前記した水溶液特性と、硬化膜特性とを同時に達成できる優れた液体組成物を提供することができる。特に、インクジェット記録方法に適用した場合、吐出方式に依存せずに優れた吐出性能を示す水性の液体組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該液体組成物を用いた、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置を提供することができる。
以下、本発明の液体組成物の構成成分などについて詳細に説明する。
(1)硬化性物質
本発明で用いる硬化性物質は、下記式(1)で表される繰返し単位構造を有し、かつ、重量平均分子量が10,000以上100,000以下の範囲にある高分子化合物である。そして、該高分子化合物は、下記一般式(1)に示すように、高分子の主鎖骨格と、側鎖に機能性を有する特定の有機基を有することを特徴とする。
Figure 0005679647
(一般式(1)中、R1は1価の有機基、R2は2価の有機基、R3は炭素数1乃至5の1価の有機基、Xはアルカリ金属、l及びmはそれぞれ独立に1以上の整数、nは0以上の整数を表す。)
高分子の主鎖骨格は、例えば、二重結合を有する種々の化合物の重合反応などにより形成することができる。具体的には、例えば、種々の置換アクリル化合物の共重合や、種々の置換アクリル化合物と、スチレン、ビニルエーテル、ビニルアミド誘導体などとの共重合などにより形成することができる。また、側鎖である機能性を有する特定の有機基には、少なくとも、前記一般式(1)で表されるような、カルボン酸のアルカリ金属塩であるカルボン酸塩の基と、活性エネルギー線により重合可能な架橋性基を含むことが重要となる。
前記カルボン酸塩の基におけるXは、インクジェット方式の記録ヘッドからの吐出性能と、水溶性の観点から、アルカリ金属のうち、リチウム(Li)、カリウム(K)、及びナトリウム(Na)のいずれかであることが好ましい。特には、ナトリウムであることがより好ましい。なお、本発明で用いる高分子化合物は、Xのアルカリ金属の代わりに、アンモニアなどのアミン化合物を使用した場合には、特にサーマル方式の記録ヘッドからの吐出性能が著しく低下する場合がある。なお、液体組成物中では、カルボン酸塩の基の少なくとも一部はイオンに解離して存在する場合があるが、本発明においては便宜上、この場合も含めてカルボン酸塩(の基)と記載する。
カルボン酸塩の基の構成単位数(一般式(1)中のl)は、吐出性能と硬化膜特性の観点から、高分子化合物の全構成単位数(一般式(1)中のl+m+n)に対して占める割合(%)で、10%以上60%以下の範囲にあることが好ましい。さらには15%以上55%以下の範囲にあることがより好ましく、20%以上50%以下の範囲にあることが最も好ましい。
また、前記高分子化合物の酸価は、主としてlの数により決定されるが、吐出性能と硬化膜特性の観点から、30mgKOH/g以上200mgKOH/g以下の範囲が好ましい。さらには40mgKOH/g以上150mgKOH/g以下の範囲がより好ましく、50mgKOH/g以上100mgKOH/g以下の範囲が最も好ましい。
前記架橋性基の構造は、α−2置換のアクリル基であればよく、硬化膜特性と水溶液の長期保存安定性の観点から、特に一般式(1)中のR3がメチル基であるメタクリル基が好ましい。なお、α−1置換のアクリル基を用いた場合には、保存条件によって熱重合が進行し、水溶液特性の低下を招く場合がある。
前記架橋性基の構成単位数(一般式(1)中のm)は、硬化膜特性の観点から、高分子化合物の全構成単位数(一般式(1)中のl+m+n)に対して占める割合(%)で、10%以上60%以下の範囲にあることが好ましい。さらには15%以上55%以下の範囲がより好ましく、20%以上50%以下の範囲が最も好ましい。
また、前記高分子化合物の重量平均分子量は、前記した通り、10,000以上100,000以下の範囲にあることが重要である。硬化膜特性と吐出性能の観点からは、15,000以上50,000以下の範囲であることがより好ましく、20,000以上40,000以下の範囲であることが最も好ましい。なお、重量平均分子量が10,000未満の場合には、硬化膜特性が不十分となり、100,000を超える場合には、液体の粘度が上昇し、吐出性能が不十分となる。
本発明において、前記高分子化合物の構成単位における架橋性基及びカルボン酸塩の基以外の構成要素(一般式(1)中のR1)は、1価の有機基であれば、硬化膜特性や吐出性能の補助効果を有する有機基を好ましく使用することができる。一般式(1)中のR1の具体的な例としては、アルキルエステル、アルキルアミド、アルキルエーテルなどの脂肪族骨格、アリールエステル、アリールアミド、アリールエーテル、ベンゼン、置換ベンゼン、ナフタレン、置換ナフタレン、アントラセン、置換アントラセンなどの芳香族骨格、また、活性エネルギー線照射による硬化(ラジカル重合)の際に、空気中の酸素による重合阻害を抑制する効果を発現する窒素原子又は硫黄原子を含む有機基などが挙げられる。
本発明において、液体組成物中における前記高分子化合物の含有量(質量%)は、吐出性能の観点から、液体組成物全質量を基準として、20.0質量%以下であることが好ましい。さらには15.0質量%以下であることがより好ましく、10.0質量%以下であることが最も好ましい。一方で、液体組成物中における前記高分子化合物の含有量(質量%)は、液体組成物全質量を基準として、0.1質量%以上であることが好ましい。なお、上記含有量の上限が20.0質量%を超えると、液体の粘度が上昇し、吐出性能が十分に得られない場合がある。
また、本発明においては、必要に応じて、上記高分子化合物に該当する化合物を複数種組み合わせて使用することができ、また、上記高分子化合物とは異なる、公知の他の硬化性物質と併用することも可能である。他の硬化性物質としては、界面活性剤や、硬化促進剤、水溶性助剤、粘度調整剤などの反応性を有する化合物が挙げられる。代表例としては、アクリロイルモルフォリン、N−ビニルピロリドン、アクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、単糖類のモノアクリレート、オリゴエチレンオキシドのモノアクリル酸エステル、及び2塩基酸のモノアクリル酸エステルなどが挙げられる。
組み合わせて使用する公知の他の硬化性物質の含有量が本発明に用いる高分子化合物の含有量に対して多すぎる場合には、本発明の効果が十分に得られない場合がある。そのため、液体組成物中における他の硬化性物質の含有量は、本発明に用いる高分子化合物100質量部に対して、0.01質量部以上100.0質量部以下の範囲であることが好ましい。さらには0.1質量部以上75.0質量部以下の範囲であることがより好ましく、1.0質量部以上50.0質量部以下の範囲であることが最も好ましい。
本発明で用いる高分子化合物の合成方法は、例えば、上述の特許文献2や3に記載の合成方法と類似の方法により合成することができる。具体的には、先ず、カルボキシル基を有するポリアクリル酸などの主鎖骨格に対して、該カルボキシル基の一部にグリシジル基を有するメタクリルエステルなどの架橋性基含有化合物を反応させる。そして、残存したカルボキシル基を水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物で中和することで得られる。
(2)重合開始剤
本発明の液体組成物は、さらに重合開始剤を含有していてもよい。重合開始剤は、光の授受により硬化性物質が重合を開始させる活性種を生成するものであればよいが、上記硬化性物質は、ラジカルの作用により著しく硬化反応が進行するため、光の授受によりラジカルを生成する開始剤を用いることが好ましい。本発明においては、重合開始剤として、下記一般式(2)で表される重合開始剤を用いることが特に好ましい。
Figure 0005679647
(一般式(2)中、Rはそれぞれ独立に1価の有機基、Mは水素原子又はアルカリ金属を表す。)
重合開始剤としては、硬化性を最大限に発揮するためにも親水性基を有するものであることが好ましい。該親水性基としては、具体的には、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基などの酸性基やその塩型の基、水酸基、エーテル基、アミド基が挙げられる。また、アニオン性基の作用により水性媒体中に分散ないしは溶解される色材と併用する場合には、重合開始剤の加水分解を抑制するために、エステル基を有さない化合物を用いることが好ましい。重合開始剤の具体的な構造を以下に示すが、本発明に用いることができる重合開始剤はこれらの構造に限られるものではない。
Figure 0005679647
Figure 0005679647
Figure 0005679647
また、本発明においては、重合開始剤と増感剤を組み合わせて用いたり、2種類以上の重合開始剤を組み合わせて用いたりすることもできる。2種類以上の重合開始剤を組み合わせて用いることで、1種類の重合開始剤では有効に利用できない波長の光を利用して、更なるラジカルの発生を期待することができる。また、前記したような重合開始剤は、活性エネルギー線として電子線を用いて液体組成物を硬化する電子線硬化法を採用する場合には必ずしも用いる必要はない。
液体組成物中における重合開始剤の含有量(質量%)は、液体組成物全質量を基準として、0.01質量%以上20.0質量%以下が好ましく、0.01質量%以上10.0質量%以下がより好ましく、0.01質量%以上5.0質量%以下が最も好ましい。重合開始剤の含有量が多すぎる場合には、未反応の重合開始剤が硬化膜中に残存し、硬化膜の強度が低下する場合がある。
(3)溶媒
本発明の液体組成物は溶媒として少なくとも水を含有する、水性の液体組成物である。液体組成物中における水の含有量は、用途や様式により異なるため一概には言えないが、全溶媒100質量部中に10.0質量部以上の範囲とすることが好ましい。特にインクジェット記録方式に適用する場合には、30.0質量部以上、さらには、50.0質量部以上がより好ましく、その上限は100.0質量部、すなわち溶媒が全て水であってもよい。
また、様々な性能の向上を目的とし、本来の特性を損なわない程度に、水以外にも溶媒を構成する成分として、各種有機溶剤を含むこともできる。例えばある種の有機溶剤はインクに不揮発性を与えること、粘度を調整すること、表面張力を調整すること、記録媒体への濡れ性を与えることなどの目的で添加される。
以下に、本発明に用いることのできる有機溶剤を列挙する。本発明の液体組成物においては、これらの中から任意に選択したものを1種又は2種以上を組み合わせて添加することができる。トリエチレングリコールなどのアルキレングリコール類など。エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類など。メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノールなどの1価のアルコール類など。
また、硬化性物質は、溶媒中において水に完全に溶解させずに公知の分散技術を適宜用いて乳化分散し、エマルジョンとして用いてもよい。同様に様々なカプセル化技術も応用可能である。
(4)その他の成分
本発明の液体組成物は、後述するような色材を含有することなく、透明なまま用いることもできる。この場合には、色材を含有しないので実質的に無色透明の皮膜を得ることができる。色材を含有しない形態の液体組成物の用途は、以下のものが挙げられる。例えば、画像記録への種々の適性を記録媒体に付与するためのアンダーコート、又は通常のインクで形成した画像の表面保護、さらには装飾や光沢付与などを目的としたオーバーコートなどの用途に用いることができる。この場合、液体組成物は、酸化防止や退色防止などの用途に応じて、着色を目的としない無色の顔料や微粒子などを分散して含有することもできる。これらを添加することによって、アンダーコート、オーバーコートのいずれにおいても、記録物の画質、堅牢性、施工性(ハンドリング性)などの諸特性を向上することができる。
また、本発明の液体組成物は色材を含んでいてもよい。その場合には、本発明にかかる液体組成物は画像を形成するためのインクとして利用することができる。その場合の構成と用いる色材について述べる。
本発明の液体組成物は、色材を含有するインクに応用することで、活性エネルギー線などの照射によって硬化する、着色された活性エネルギー線硬化型インクとして利用することができる。この場合に用いる色材としては、顔料を水性媒体に分散させた顔料分散体を用いることが好ましい。顔料分散体としては、水性グラビアインク、水性の筆記具用の顔料分散液や、従来から知られているインクジェット用インクに用いられる顔料分散体などを全て好適に用いることができる。中でも特にアニオン性基の作用により水性媒体中に顔料が分散された顔料分散体は極めて好適である。
なお、上記した各種顔料を用いる場合には、分散剤を併用してもよい。分散剤は、顔料を水性媒体に安定に分散することができるものであれば、例えばブロックポリマー、ランダムポリマー、グラフトポリマーなどを用いることができる。
また、上記した各種顔料を用いる場合には、顔料粒子の表面にイオン性基を結合させることにより、分散剤を用いることなく分散可能な、所謂自己分散型顔料を用いることもできる。なお、液体組成物中における顔料の含有量(質量%)は、液体組成物全質量を基準として、0.3質量%以上10.0質量%以下とすることが好ましい。
本発明の液体組成物は色材として、従来公知の各種染料を用いることもできる。液体組成物中における染料の含有量(質量%)は、液体組成物全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下とすることが好ましい。
(5)インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明の液体組成物をインクジェット方式の記録ヘッドから吐出させて記録媒体に付与する工程、及び液体組成物が付与された記録媒体に活性エネルギー線を照射して液体組成物を硬化させる工程を有する。また、本発明のインクジェット記録装置は、上記で説明した本発明の液体組成物を記録媒体に付与するためのインクジェット方式の記録ヘッド、及び記録媒体に付与された液体組成物に対して活性エネルギー線を照射する手段を具備してなる。上述の通り、本発明の液体組成物は、インクジェット記録方式に適した硬化性物質を含有するものであるため、インクジェット記録方法や記録装置に適用した場合に優れた効果をもたらすものである。またその中でも熱エネルギーを利用した記録ヘッドから吐出させるための液体組成物として、極めて優れた効果をもたらすものである。また、本発明の液体組成物は、液体収容部を有するカートリッジ(液体カートリッジ)に収容される液体としても、またその液体カートリッジの充填用液体としても非常に有効である。
以下、本発明にかかる液体組成物のより具体的な実施例及びその比較例を挙げてさらに詳細に説明する。
(硬化性物質の合成)
上述の特許文献2に記載の方法を参照し、各硬化性物質を以下のように合成した。先ず、主鎖構造の合成として、カルボン酸の塩の基及びその他の基となる、表1に示す各モノマーを共重合した。得られた主鎖構造のカルボキシル基の一部に対して、表1に示す架橋性基となるモノマーを反応させ、残ったカルボキシル基を、さらに表1に示す中和塩基により中和させることによりカルボン酸を塩型とし、表1に示す各種高分子化合物を得た。なお、表1には、架橋基比率M(m/(l+m+n))、カルボン酸塩の基比率L(l/(l+m+n))、及び、その他の基の比率N(n/(l+m+n))の値(ユニット数の比率)と、各硬化性物質の重量平均分子量を示した。
Figure 0005679647
Figure 0005679647
Figure 0005679647
(活性エネルギー線硬化型液体組成物の調製)
上記の各硬化性物質を用いて活性エネルギー線硬化型液体組成物を調製した。先ず、シアン顔料分散体を次のように調製した。顔料としてC.I.ピグメントブルー15:3を用い、分散剤としてスチレン/アクリル酸/エチルアクリレートのランダムポリマー(重量平均分子量=3,500、酸価=150mgKOH/g)を用いた。これらをビーズミルにて分散し、顔料固形分が10質量%で、P/B比(顔料とバインダーの質量比率)が3:1であるシアン顔料分散体を得た。また、顔料種をC.I.ピグメントイエロー13又はC.I.ピグメントレッド122に代えたこと以外はシアン顔料分散体を調製するのと同様にして、顔料固形分10質量%、P/B比=3:1のイエロー顔料分散体及びマゼンタ顔料分散体を調製した。
次に、表2に示す成分を各々混合して充分撹拌した後、ポアサイズ0.50μmのフィルタを用いて加圧濾過を行い、実施例1〜10、16、参考例11〜15、及び比較例1〜5の各液体組成物を調製した。なお、重合開始剤としては、前述の化合物[A]又は[B]を用いた。なお、表2中の硬化性物質の番号は、表1中の硬化性物質の番号に該当する。
Figure 0005679647
Figure 0005679647
Figure 0005679647
(特性評価)
[画像の形成]
先ず、画像形成装置として、記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出する、インクジェット方式の記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置PIXUS550i(キヤノン製)を用意した。なお、該記録装置は活性エネルギー線の照射が可能なように改造を施したものである。具体的には、記録ヘッド部に隣接する部分に、マイクロ波を用いて外部から無電極で水銀灯を励起するUVランプを搭載した。UVランプはDバルブを用いた。照射位置での強度は1,500mW/cm2であった。このインクジェット記録装置を用いて、下記(1)、(2)に記載する評価方法及び評価基準にしたがって評価した。評価結果を表3に示した。
(1)水溶液特性評価
〔吐出性能〕
・吐出速度のばらつき
実施例1〜10、16、参考例11〜15、並びに比較例1〜5の各液体組成物を、前記PIXUS550iで印字するヘッド駆動条件と同じ条件で吐出させ、各液体組成物の吐出速度のばらつきを判定した。吐出速度のばらつきの評価方法は、高速度カメラで撮影した液滴の吐出状態から、1つのノズルにおける吐出速度を10回測定し、その標準偏差を算出した。評価基準は以下の通りである。
A:標準偏差が、0.3未満。
B:標準偏差が、0.3以上0.7未満。
C:標準偏差が、0.7以上1.0未満。
D:標準偏差が、1.0以上。
・吐出速度の経時安定性
吐出速度のばらつきの評価で使用した各液体組成物及び記録ヘッドを使用し、1つのノズルあたり、1.0×108回以上連続吐出した前後で、液滴の吐出速度を10回測定した。吐出速度の経時安定性の評価方法は、連続吐出前後の平均吐出速度の変化率を算出した。評価基準は以下の通りである。
A:連続吐出前後の平均吐出速度の変化率が±5%未満。
B:連続吐出前後の平均吐出速度の変化率が±5%以上±10%未満。
C:連続吐出前後の平均吐出速度の変化率が±10%以上±20%未満。
D:連続吐出前後の平均吐出速度の変化率が±20%以上。
〔保存安定性〕
各液体組成物を温度60℃で3ヶ月間保存した前後での、粘度の変化率を確認した。保存安定性の評価基準は以下の通りである。
A:粘度変化率が±1%以下。
B:粘度変化率が±1%を超えて±10%以下。
C:粘度変化率が±10%を超えて±20%以上。
D:粘度変化率が±20%を超えて±50%以下。
(2)硬化膜特性評価
〔耐擦過性〕
実施例1〜10、16、参考例11〜15、並びに比較例1〜5、及び前記インクジェット記録装置を用いて、オフセット記録用紙OK金藤(三菱製紙製)に記録デューティを100%としたベタ画像を形成した。先述の照射条件で、記録後に紫外線を照射し塗工膜(画像)を得た。塗工膜形成の10分後に、前記塗工膜(画像)にシルボン紙を載せ、40g/cm2の荷重を載せた状態でシルボン紙を引っ張った。顔料を含有する液体組成物を用いた場合には、記録媒体の非記録部(白地部)及びシルボン紙に、記録部の擦れによって汚れが生じるか否かを目視で観察して評価を行った。顔料を含有しない液体組成物を用いた場合には、塗工膜(画像)に、シルボン紙の擦れによって傷(削れ)が生じるか否かを目視で観察して評価を行った。耐擦過性の評価基準は以下の通りである。
A:擦れによる汚れや傷が見られない領域がシルボン紙又は塗工膜の面積中90%以上。
B:擦れによる汚れや傷が見られない領域がシルボン紙又は塗工膜の面積中70%以上90%未満。
C:擦れによる汚れや傷が見られない領域がシルボン紙又は塗工膜の面積中20%以上70%未満。
D:擦れによる汚れが見られない領域がシルボン紙又は塗工膜の面積中20%未満。
〔耐水性〕
塗工膜(画像)上に0.2mLの水を滴下し、1時間放置した。その後、顔料を含有する液体組成物を用いた場合には、画像のにじみが生じるか否かを目視で観察して評価を行った。顔料を含有しない液体組成物を用いた場合には、塗工膜(画像)の変化(膨潤)が生じるか否かを目視で観察して評価を行った。耐水性の評価基準は以下の通りである。
A:画像のにじみ又は塗工膜の変化が見られない領域がシルボン紙の面積中90%以上。
B:画像のにじみ又は塗工膜の変化が見られない領域がシルボン紙の面積中70%以上90%未満。
C:画像のにじみ又は塗工膜の変化が見られない領域がシルボン紙の面積中20%以上70%未満。
D:画像のにじみ又は塗工膜の変化が見られない領域がシルボン紙の面積中20%未満。
Figure 0005679647
上記評価結果の通り、実施例1〜10、16、参考例11〜15の液体組成物は、従来よりも優れた水溶液特性(吐出性能、保存安定性)、かつ、従来と同等以上の高い硬化膜特性を示すことが明らかとなった。
(インクセットの評価)
次に、シアン、マゼンタ、及びイエローの各インクで構成されるインクセットについて、2次色の画像における硬化膜特性の評価を行った。
上記で得られた実施例3〜5の各液体組成物を、それぞれ、シアン、マゼンタ、及びイエローの各インクとして、これらのインクを組み合わせてインクセットとした。このインクセットを用いて、上記の評価で用いたものと同じインクジェット記録装置を用い、オフセット記録用紙OK金藤(三菱製紙製)に画像を記録した。具体的には、3種のインクのうち2種のインクを1画素おきに交互に50%ずつ印字し、合計の記録デューティを100%としたベタ画像(2次色)を記録した。このように形成した各2次色の画像の部分について、上記と同様の方法及び評価基準で硬化膜特性の評価を行った。評価結果を表4に示す。
Figure 0005679647
表4に示されているように、本発明の液体組成物を、色材を含有するインクの形態とし、複数のインクを組み合わせたインクセットとしても、記録した2次色の画像は優れた硬化膜特性を有していた。

Claims (8)

  1. 硬化性物質を少なくとも含有してなり、かつ、活性エネルギー線の照射により硬化するインクジェット用の水性の液体組成物であって、
    前記硬化性物質が、下記一般式(1)で表される繰返し単位構造を有し、かつ、重量平均分子量が10,000以上100,000以下の範囲にある高分子化合物を含むことを特徴とする液体組成物。
    Figure 0005679647
    (前記一般式(1)中、R1は1価の有機基、R2は2価の有機基、R3は炭素数1乃至5の1価の有機基、Xはアルカリ金属、l及びmはそれぞれ独立に1以上の整数、nは0以上の整数を表し、mが(l+m+n)に対して占める割合(%)が、10%以上60%以下の範囲にあり、lが(l+m+n)に対して占める割合(%)が、10%以上60%以下の範囲にある。)
  2. 前記一般式(1)中のmが(l+m+n)に対して占める割合(%)が、20%以上50%以下の範囲にあり、
    前記一般式(1)中のlが(l+m+n)に対して占める割合(%)が、20%以上50%以下の範囲にある請求項1に記載の液体組成物。
  3. 前記高分子化合物の酸価が、30mgKOH/g以上200mgKOH/g以下である請求項1又は2に記載の液体組成物。
  4. 前記一般式(1)中のR3が、メチル基である請求項1乃至のいずれか1項に記載の液体組成物。
  5. さらに、下記一般式(2)で表される重合開始剤を含有する請求項1乃至のいずれか1項に記載の液体組成物。
    Figure 0005679647
    (前記一般式(2)中、Rはそれぞれ独立に1価の有機基、Mは水素原子又はアルカリ金属を表す。)
  6. さらに、色材を含有する請求項1乃至のいずれか1項に記載の液体組成物。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の液体組成物をインクジェット方式の記録ヘッドから吐出させて記録媒体に付与する工程、及び該液体組成物が付与された記録媒体に活性エネルギー線を照射して該液体組成物を硬化させる工程を有することを特徴とするインクジェット記録方法。
  8. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の液体組成物を記録媒体に付与するためのインクジェット方式の記録ヘッド、及び該記録媒体に付与された液体組成物に対して活性エネルギー線を照射する手段を具備してなることを特徴とするインクジェット記録装置。
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