JP5501881B2 - 天然木積層突き板及びその製造方法 - Google Patents
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しかし、天然木の薄板で構成された突き板は可撓性が少なく、そのため、薬品により改質したり、熱を加えることにより可撓性を付与して曲げ加工するといった手法が採られているが、作業性が悪く量産性に欠け、また曲率半径も大きいため曲げ加工形状の自由度が低い等の難点があり、このため、可撓性のある天然木の突き板が求められていた。
天然木の薄板だけで柔軟性を付与しようとすれば、天然木をできるだけ薄くスライスすることが考えられるが、可撓性が得られるまで薄くした天然木の薄板では、天然木の素材の美感や質感が得難くなり、また強度的にも弱く取り扱いや作業性に難があるといった問題がある。
本発明者は、天然木だけの構成で可撓性があり且つ十分な使用強度を保有する突き板を得るべく試験研究を重ね本発明を完成するに到った。
前記繊維カットされた天然木の薄板は、その表面方向と裏面方向からの凹凸歯の噛み合わせで圧縮することにより繊維カットされたものであるので、可撓性に優れ、そして天然木の薄板の繊維は効果的にカットされることになり可撓性に優れ、また、圧縮による繊維カットであって薄板への切り込みはしないので、天然木の薄板の強度に与える影響は少ない。
そして、前記芯材は、前記繊維カットされた天然木の薄板が単層或いは複数積層された構造となっているので、例えば使用用途により突き板に求められる厚さや強度に応じて芯材を構成する天然木の薄板の積層数を選択することができる。芯材を構成する天然木の薄板が複数積層された構造であっても、各天然木の薄板はいずれも繊維カットされているので、全体の可撓性に与える影響は僅かである。
このように、天然木だけで構成されていながら、曲率半径が小さく曲げ加工形状の自由度が高い突き板を得ることができ、例えば、家具類の曲面部への貼着の際の馴染みがよく、広い範囲で利用することができる。また、全体として所望の厚さを確保できるので、表面の歪みが抑えられ、また強度も得られるので作業性に優れ、更には天然木としての美感や質感を保持でき、意匠性、作業性に優れたものとなる。
このように、天然木だけで構成されていながら、曲率半径が小さく曲げ加工形状の自由度が高く、広い範囲で利用することができ、また、全体として所望の厚さを確保できるので、表面の歪みが抑えられ、また強度も得られるので作業性に優れ、更には天然木としての美感や質感を保持でき、意匠性、作業性に優れた突き板を製造することができる。
また、一方の前記歯車式ローラーと他方の前記歯車式ローラーを回転させ、その間に天然木の薄板を通すことにより繊維カットするので、特に、天然木の薄板が長尺である場合の繊維カットに適している。
また、下側の前記金型上に前記天然木の薄板を、その薄板の繊維方向が前記金型の前記溝条部と前記突条部と交叉するように載置して、上側の前記金型を最終降下位置まで降下させることにより繊維カットするので、特に、前記溝条部と前記突条部の噛み合わせ形状が規制されず、前記天然木の薄板の木目に応じ、前記溝条部と前記突条部の噛み合わせ形状を繊維カットに最適な形状とすることができる。
また、前記表面材と前記裏面材となる前記天然木の薄板の厚さは0.2mm〜0.8mmなので、それぞれ単体で優れた可撓性を有しており、この前記表面材と前記裏面材を前記した繊維をカットされて可撓性に優れたものとなる天然木の薄板で構成された芯材の表裏両面に接着して積層するので、製造された突き板は、全体として所望の厚さを確保しながらも優れた可撓性を得ることができものとなる。
本例の突き板1は、繊維カットされた天然木の薄板よりなる芯材2の表裏両面に、同じく天然木の薄板よりなる表面材3と裏面材4とが接着剤5を介して積層された構造となっている。
本例の突き板1は、参考例と同様、繊維カットされた天然木の薄板よりなる芯材2の表裏両面に、同じく天然木の薄板よりなる表面材3と裏面材4とが接着剤5を介して積層された構造となっている。
本例では、芯材2を構成する天然木の薄板の厚さは参考例と同様、1.0mmとなっており、この厚さの天然木の薄板が2枚積層されている。また、表面材3、裏面材4となる天然木の薄板の厚さも、第1例と同様、0.5mmとなっている。
このようにして得られた突き板1は、芯材2が繊維カットされているので可撓性があり、この芯材2の表裏面に表面材3と裏面材4とを積層するので、全体として所望の厚さを確保しながらも優れた可撓性がある。
また、使用用途により突き板1に求められる厚さや強度に応じて、前記のようにして形成した芯材2を接着剤5を介して複数積層し、この複数積層した芯材2の表裏両面に表面材3と裏面材4とを接着して積層することにより、図2に示す突き板1を得る。
そして、芯材2となる天然木の薄板6の繊維カットは、下側の金型20上に天然木の薄板6を、天然木の薄板6の繊維方向が上側の金型19と下側の金型20の溝条部13,14と突条部15,16と交叉するように載置して、上側の金型19を最終降下位置まで降下させることにより繊維カットするので、上側の金型19と下側の金型20の溝条部13,14と突条部15,16の噛み合わせ形状が規制されず、天然木の薄板6の木目に応じ、溝条部13,14と突条部15,16の噛み合わせ形状を繊維カットに最適な形状とすることができる。
2 芯材
3 表面材
4 裏面材
5 接着剤
6 芯材となる天然木の薄板
7 巻き出し装置
8 薄板ロール
9 繊維カット装置
10,11 歯車式ローラー
12 モータ
13,14 溝条部
15,16 突条部
17 巻き取り装置
18 定尺送り装置
19,20 金型
21 シリンダ
Claims (5)
- 天然木の薄板を、その表面方向と裏面方向からの凹凸歯の噛み合わせで圧縮することにより繊維カットして芯材とし、複数枚の前記芯材を接着剤を介して複数の積層構造とし、積層構造の芯材の表裏両面に、天然木の薄板よりなる表面材と裏面材とを積層してなることを特徴とする天然木積層突き板。
- 請求項1に記載の天然木積層突き板を製造する方法であって、
天然木の薄板を、その表面方向と裏面方向からの凹凸歯の噛み合わせで圧縮することにより繊維カットして芯材を形成する工程と、複数枚の前記芯材を接着剤を介して複数の積層構造とする行程と、前記積層構造の芯材の表裏両面に天然木の薄板よりなる前記表面材と前記裏面材とを接着して積層する工程とを有することを特徴とする天然木積層突き板の製造方法。 - 前記芯材は、表面に溝条部と突条部が周方向に並んだ一対の歯車式ローラーを、相互の溝条部と突条部を噛み合わせ、且つ噛み合った前記溝条部と前記突条部との間に所要の間隙を設けて上下に配置し、一方の前記歯車式ローラーと他方の前記歯車式ローラーを回転させ、その間に前記天然木の薄板を、その薄板の繊維方向が前記天然木の薄板の送り方向と略平行になるようにして通し、前記天然木の薄板を前記一対の歯車式ローラーの前記溝条部と前記突条部との噛み合いによりその表面方向と裏面方向から圧縮し繊維カットして形成することを特徴とする請求項2に記載の天然木積層突き板の製造方法。
- 前記芯材は、表面に凹凸の溝条部と突条部が交互に並んだ一対の金型を上下に配置し、上側の前記金型を上下動させることにより相互の前記溝条部と前記突条部が噛み合い、且つ上側の前記金型の最終降下位置で噛み合った前記溝条部と前記突条部との間に所要の間隙を形成するようにセットし、下側の前記金型上に前記天然木の薄板を、その薄板の繊維方向が前記金型の前記溝条部と前記突条部と交叉するように載置して、上側の前記金型を最終降下位置まで降下させることにより、上側の前記金型と下側の前記金型の前記溝条部と前記突条部との噛み合いによりその表面方向と裏面方向から圧縮し繊維カットして形成することを特徴とする請求項2に記載の天然木積層突き板の製造方法。
- 前記芯材を構成する天然木の薄板の厚さは0.8mm〜1.3mm、前記表面材と前記裏面材となる前記天然木の薄板の厚さは0.2mm〜0.8mm、前記溝条部と前記突条部のピッチは0.8mm〜1.3mm、前記突条部の高さは0.8mm〜1.3mm、噛み合った前記溝条部と前記突条部との間に形成される間隙は0.2mm〜0.5mmであることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1に記載の天然木積層突き板の製造方法。
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