JP5501750B2 - 燃料電池システム - Google Patents
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Description
しかし、システムの起動時には、燃料電池スタックの早期暖機が求められる。このため、特許文献1では、冷却水の循環通路にヒータを設置し、起動時に余剰電力を用いてヒータにより冷却水を加熱することで、燃料電池スタックの予備加熱を行うようにしている。
すなわち、起動時以外の通常時は、燃料電池スタックの冷却が要求されるため、このヒータに通電することはできず、余剰電力が発生したタイミングで、逆潮流防止のために、余剰電力を消費することは不可能である。
図1は本発明の一実施形態を示す燃料電池システムの構成図である。
家庭用の燃料電池システムの中核をなす燃料電池スタック1は、例えば固体高分子形(PEFC)の燃料電池スタックであり、複数の電池セルが積み重ねられて構成される。電池セルは、燃料極(アノード)と、空気極(カソード)と、これらの間に配置された電解質層(高分子のイオン交換膜)とを有している。従って、燃料電池スタック1は、電解質層の一端側の燃料極に水素(水素リッチな燃料ガス)が供給され、電解質層の他端側の空気極に空気中の酸素が供給されることで、水素と酸素との電気化学反応(発熱反応)により、直流電力を発生する。尚、燃料電池スタック1としては、固体高分子形(PEFC)のものに限らず、リン酸形(PAFC)あるいはアルカリ電解質形(AFC)などの他の形式のものであってもよい。
冷却水循環通路2では、水タンク3内の水を水ポンプ4により吸入・吐出して、イオン交換膜5により不純物を除去して後、燃料電池スタック1に送り、ここで昇温した水を熱交換器6の一次側に流して、二次側の貯湯用水と熱交換した後、水タンク3内に戻している。
熱交換器6の二次側は、貯湯用水通路7の一部を構成する。貯湯用水通路7では、貯湯槽8の底部から低温の水を水ポンプ9により吸入・吐出して熱交換器6に供給し、熱交換後の高温の水(湯)を貯湯槽8の上部へ戻している。
また、貯湯用水通路7には、余剰電力ヒータ10が設けられる。余剰電力ヒータ10は、燃料電池スタック1の発電電力が家庭内の電気機器の需要電力を上回って、余剰電力を生じたときに、その余剰電力で作動するもので、貯湯用水路7において、貯湯槽8に向かう水を加熱するように構成されている。
ここにおいて、本発明では、貯湯用水通路7における水の流れを切替え可能にして、余剰電力ヒータ10をシステム起動時(暖機要求時)の燃料電池スタック1の加熱に用いることができるようにしており、貯湯用水通路7の構成について説明する。
第1貯湯用水通路11及び第2貯湯用水通路12の各入口側には、いずれか一方を選択的に開通するために、開閉弁13、14が設けられる。従って、開閉弁13、14に代え、分岐部に切替弁を設けてもよい。
また、第1貯湯用水通路11の熱交換器6下流(開閉弁15上流)と第2貯湯用水通路12の余剰電力ヒータ10上流(開閉弁14下流)とを連通する連通路17と、第2貯湯用水通路12の余剰電力ヒータ10下流(開閉弁16上流)と第1貯湯用水通路11の熱交換器6上流(開閉弁13下流)とを連通する連通路18とが設けられる。
ここで、これらの開閉弁13、14、15、16、19、20は、燃料電池システムの運転を制御する制御装置30により、開閉制御される。尚、開閉弁13と14、15と16、19と20が、それぞれ逆位相で開閉する一方、開閉弁13と16と19は同位相で開閉し、開閉弁14と15と20も同位相で開閉する。
制御装置30はまた、余剰電力ヒータ10への通電を制御でき、燃料電池スタック1の発電電力が需要電力を上回って余剰電力を生じたときに、その余剰電力で余剰電力ヒータ10を作動させる他、システム起動時(暖機要求時)は系統電源から余剰電力ヒータ10に通電するようになっている。このため、余剰電力ヒータ10は、切替スイッチSWを介して、余剰電力ラインと系統電源ラインとに接続可能とし、切替スイッチSWは、制御装置30の制御下で、余剰電力ラインとの接続位置、系統電源ラインとの接続位置、及び、中立位置に切替可能としている。
次に作用を説明する。
システム起動時(暖機要求時)には、図2に示すように、開閉弁13、16、19が閉となり、開閉弁14、15、20が開となる。図2では、開となった開閉弁を白抜き、閉となった開閉弁を黒塗りで示している。
従って、システム起動時(暖機要求時)に、余剰電力ヒータ10により熱交換器6上流側で貯湯用水を加熱し、加熱された貯湯用水を熱交換器6に供給することができる。尚、システム起動時は燃料電池システム自体が発電を開始できる状態にないため、この間は、切替スイッチSWにより、余剰電力ヒータ10を系統電源ラインに接続して通電を行う。
従って、冷却水温度の上昇を早め、温度上昇させた冷却水の循環により、燃料電池スタック1を加熱することができ、燃料電池スタック1の早期暖機を促進することができる。
このように貯湯用水路7に設けられる余剰電力ヒータ10を有効利用することで、専用のヒータを設けることなく、起動時の燃料電池スタック1の加熱を実現できる。従って、燃料電池システムの起動を良好なものとし、起動時間を短縮することができる。
従って、貯湯用水通路7では、貯湯槽8の底部→水ポンプ9→開閉弁13→熱交換器6→開閉弁19(連通路17)→余剰電力ヒータ10→開閉弁16→貯湯槽8の上部という、貯湯用水の流れとなる。すなわち、貯湯用水通路7は、余剰電力ヒータ10が熱交換器6の下流に位置する第2の切替状態となる。
これにより、熱交換器6において、高温の冷却水と低温の貯湯用水との熱交換により、冷却水から貯湯用水へと熱を伝え、貯湯用水により熱を回収することができる。その一方で、冷却系の冷却能力を回復させることができる。
特に本実施形態によれば、流路切替手段は、余剰電力ヒータ10を熱交換器6の上流に位置させる第1の切替状態(図2)と、余剰電力ヒータ10を熱交換器6の下流に位置させる第2の切替状態(図3)との切替えが可能であり、制御手段は、暖機要求時に前記第1の切替状態に制御し、暖機要求時以外は前記第2の切替状態に制御することにより、2つの状態の切替えで簡単に制御でき、また、余剰電力が発生したタイミングで、逆潮流防止のために、余剰電力ヒータ10により余剰電力を消費するに際してのいかなる制約もない。
尚、本実施形態の変形態様として、通常時は、余剰電力の発生有無に関わらず、熱交換器6を経た貯湯用水は、第1貯湯用水通路11を通過して貯湯槽8に戻るほか、連通路17及び余剰電力ヒータ10を通過して貯湯槽8に戻ってもよい。その場合、開閉弁15は閉にする必要がなくなるため、燃料電池システムの構成から削除してもよい。また、開閉弁19は、熱交換器6の下流から余剰電力ヒータ10の上流への流れのみを許容する逆止弁に置き換えてもよい。これにより制御箇所を減らすことができる。
図4は本発明の他の実施形態を示す燃料電池システムの構成図である。ここで、図1の実施形態と同一要素には同一符号を付して説明を簡略化する。
燃料電池スタック1の冷却系、及び、熱交換器6については、図1の実施形態と同じである。
第1貯湯用水通路11及び第2貯湯用水通路12の各入口側には、開閉弁13、14が設けられる。第2貯湯用水通路12の出口側にも、開閉弁16が設けられる。
ここで、これらの開閉弁13、14、16、22は、燃料電池システムの運転を制御する制御装置30により、開閉制御される。
制御装置30はまた、余剰電力ヒータ10への通電を制御でき、燃料電池スタック1の発電電力が需要電力を上回って余剰電力を生じたときに、その余剰電力で余剰電力ヒータ10を作動させる他、システム起動時(暖機要求時)は系統電源から余剰電力ヒータ10に通電するようになっている。このため、余剰電力ヒータ10は、切替スイッチSWを介して、余剰電力ラインと系統電源ラインとに接続可能とし、切替スイッチSWは、制御装置30の制御下で、余剰電力ラインとの接続位置、系統電源ラインとの接続位置、及び、中立位置に切替可能としている。
次に作用を説明する。
システム起動時(暖機要求時)には、図5に示すように、開閉弁13、16が閉となり、開閉弁14、22が開となる。図5では、開となった開閉弁を白抜き、閉となった開閉弁を黒塗りで示している。
従って、システム起動時(暖機要求時)は、切替スイッチSWにより、系統電源ラインから余剰電力ヒータ10に通電することで、余剰電力ヒータ10により熱交換器6上流側で貯湯用水を加熱し、加熱された貯湯用水を熱交換器6に供給することができる。
従って、冷却水温度の上昇を早め、温度上昇させた冷却水の循環により、燃料電池スタック1を加熱することができ、燃料電池スタック1の早期暖機を促進することができる。
このように貯湯用水路7に設けられる余剰電力ヒータ10を有効利用することで、専用のヒータを設けることなく、起動時の燃料電池スタック1の加熱を実現できる。従って、燃料電池システムの起動を良好なものとし、起動時間を短縮することができる。
従って、貯湯用水通路7では、貯湯槽8の底部→水ポンプ9→開閉弁13→熱交換器6→貯湯槽8の上部という、貯湯用水の流れとなる。すなわち、貯湯用水通路7は、余剰電力ヒータ10をバイパスする第2の切替状態となる。
これにより、熱交換器6において、高温の冷却水と低温の貯湯用水との熱交換により、冷却水から貯湯用水へと熱を伝え、貯湯用水により熱を回収することができる。その一方で、冷却系の冷却能力を回復させることができる。
従って、貯湯用水通路7では、水ポンプ9からの貯湯用水が、第1貯湯水通路11と第2貯湯用水通路12とに並列に流れることで、熱交換器6と余剰電力ヒータ10とに並列に流れ、この後、合流して貯湯槽8へ向かう流れとなる。すなわち、貯湯用水通路7は、余剰電力ヒータ10を熱交換器6と並列にする第3の切替状態となる。
これにより、熱交換器6において、高温の冷却水と低温の貯湯用水との熱交換により、冷却水から貯湯用水へと熱を伝え、貯湯用水により熱を回収することができる。その一方で、冷却系の冷却能力を回復させることができる。
特に本実施形態によれば、流路切替手段は、余剰電力ヒータ10を熱交換器6の上流に位置させる第1の切替状態(図5)と、余剰電力ヒータ10をバイパスさせる第2の切替状態(図6)と、余剰電力ヒータ10を熱交換器6と並列にする第3の切替状態(図7)との切替えが可能であり、制御手段は、暖機要求時に前記第1の切替状態に制御し、暖機要求時以外は、余剰電力ヒータ10の非作動時に、前記第2の切替状態、余剰電力ヒータ10の作動時に、前記第3の切替状態に制御することにより、3つの状態の切替えで確実に制御でき、特に、余剰電力が発生したタイミングで、専用の前記第3の切替状態に制御して、逆潮流防止と熱回収とを図ることができる。
流路切替手段として流量調整弁を用いてもよい。この場合、燃料電池スタック6の加熱及び冷却の効果が得られる貯湯用水流量の確保と水温維持ができればよいため、貯湯用水を完全に遮断及び開放する必要はない。これにより、貯湯用水路11及び12、連通路17及び18において、弁の急開閉による圧力波の発生を抑制することができる。
2 冷却水循環通路
3 水タンク
4 水ポンプ
5 イオン交換膜
6 熱交換器
7 貯湯用水通路
8 貯湯槽
9 ポンプ
10 余剰電力ヒータ
11 第1貯湯用水通路
12 第2貯湯用水通路
13、14 開閉弁
15、16 開閉弁
17、18 連通路
19、20 開閉弁
21 連通路
22 開閉弁
30 制御装置
Claims (7)
- 燃料と空気との電気化学反応により発電する燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックと熱交換する冷却水が循環する冷却水循環通路と、
前記冷却水循環通路を流れる冷却水が一次側を流通し二次側を流通する貯湯用水との間で熱交換する熱交換器と、
前記熱交換器の二次側と貯湯槽との間で貯湯用水を循環させ、前記貯湯槽の底部から前記熱交換器の二次側へ貯湯用水を供給し熱交換後の貯湯用水を前記貯湯槽の上部へ送る貯湯用水通路と、
前記貯湯用水通路に設けられ、余剰電力で作動して貯湯用水を加熱する余剰電力ヒータと、
を備える燃料電池システムにおいて、
前記貯湯用水通路の前記余剰電力ヒータを前記貯湯槽底部の供給口下流で前記熱交換器の上流に位置させるように、前記貯湯用水通路の流れを切替えることができる流路切替手段と、
前記燃料電池スタックの暖機要求時に、前記余剰電力ヒータを前記熱交換器の上流に位置させるように前記流路切替手段を制御すると共に、前記余剰電力ヒータに強制的に通電する制御手段と、
を設けたことを特徴とする燃料電池システム。 - 前記流路切替手段は、前記余剰電力ヒータを前記熱交換器の上流に位置させる第1の切替状態と、前記余剰電力ヒータを前記熱交換器の下流に位置させる第2の切替状態との切替えが可能であり、
前記制御手段は、暖機要求時以外は、前記第2の切替状態に制御することを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。 - 前記流路切替手段は、一方に前記熱交換器が介装され、他方に前記余剰電力ヒータが介装される2本の並列な第1及び第2貯湯用水通路と、前記熱交換器下流側と前記余剰電力ヒータ上流側とをつなぐ連通路と、前記余剰電力ヒータ下流側と前記熱交換器上流側とをつなぐ連通路とについて、これらの開閉を制御することにより、流れを切替えることを特徴とする請求項2記載の燃料電池システム。
- 前記流路切替手段は、前記余剰電力ヒータを前記熱交換器の上流に位置させる第1の切替状態と、前記余剰電力ヒータをバイパスさせる第2の切替状態と、前記余剰電力ヒータを前記熱交換器と並列にする第3の切替状態との切替えが可能であり、
前記制御手段は、暖機要求時以外は、前記余剰電力ヒータの非作動時に、前記第2の切替状態、前記余剰電力ヒータの作動時に、前記第3の切替状態に制御することを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。 - 前記流路切替手段は、一方に前記熱交換器が介装され、他方に前記余剰電力ヒータが介装される2本の並列な第1及び第2貯湯用水通路と、前記余剰電力ヒータ下流側と前記熱交換器上流側とをつなぐ連通路とについて、これらの開閉を制御することにより、流れを切替えることを特徴とする請求項4記載の燃料電池システム。
- 前記燃料電池スタックの暖機要求時は、燃料電池システムの起動時であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の燃料電池システム。
- 前記制御手段は、前記燃料電池スタックの暖機要求時は、系統電源から前記余剰電力ヒータに通電することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載の燃料電池システム。
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