JP5501681B2 - 展示ケース - Google Patents

Description

本発明は、床面に設置された展示台と、該展示台の上方に形成された展示空間の周囲が透明パネルにより囲まれ、かつ各透明パネルの上面開口部を上面パネルで覆ってなるケース本体と、を備える展示ケースに関する。

従来の展示ケースは、上、中、下の３段の部屋を持つ直方体形状をなしており、中段の部屋は展示物を入れるための空間（展示空間）となっている。上下の部屋は光源装置から延びる光ファイバを収納するための空間となっており、この上下の部屋が展示物を照明するための照明装置となっている。中段の部屋はガラスなどの透明材料（透明パネル）で四方が区画され、外部から展示物を鑑賞者が鑑賞できるようになっている（例えば、特許文献１参照）。

国際公開第２００６／１２６２５０号パンフレット（第６頁、第１図）

特許文献１に記載されているような照明装置付の展示ケースは、一般的に行灯型四面展示ケースと称されている。また、照明装置を備えておらず上面側も透明材料（透明パネル）で構成した行灯型五面展示ケースがある。しかしながら、特許文献１に記載の展示ケース用照明装置にあっては、照明装置（照明手段）が収容された上段と下段の部屋を大きく形成しなければならず、上段と下段の部屋が目立ちすぎて展示物（展示品）を鑑賞する際に圧迫感があるばかりか、展示ケースを製造する際に、照明装置を収容するための上段と下段の部屋と、展示物を入れるための中段の部屋（展示空間）とを一体化して形成しなければならないため、このような行灯型四面展示ケースでは、行灯型五面ガラスケースと異なる製造工程を経なければならず、生産効率が悪くなるという問題がある。

本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、照明手段があっても圧迫感が少なく、かつ生産効率を向上させることができる展示ケースを提供することを目的とする。

前記課題を解決するために、本発明の展示ケースは、
床面に設置された展示台と、該展示台の上方に形成された展示空間の周囲が透明パネルにより囲まれ、かつ各透明パネルの上面開口部を上面パネルで覆ってなるケース本体と、を備える展示ケースにおいて、
前記上面パネルは、少なくとも一部が透光性を有し、該上面パネル上方には、導光板の端面側に設けた照明手段より発せられる光を、該導光板の端面に向かって入射させることにより、該導光板の下面側から光が照射されるようになっている導光板ユニットが配置され、該導光板ユニットは、前記上面パネルと略同一形状をなし、該導光板ユニットが上面パネルより小さく形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、導光板ユニットは、照明手段より発せられる光が導光板を介して照射されるようになっており、紫外線や赤外線を低減させた光を展示品に照射させることができ、長時間照射しても展示品を傷めることがないとともに、導光板ユニットは導光板の端面側に照明手段を配置した構成となっており、導光板ユニットの上下幅を小さくして薄型に形成でき、圧迫感が少ない展示ケースとすることができる。また、行灯型五面展示ケースの製造工程を利用して、その行灯型五面展示ケースの上面パネルに導光板ユニットを配置して行灯型四面展示ケースを製造することができるようになり、行灯型五面展示ケースと行灯型四面展示ケースとを同じ製造工程で製造することができ、展示ケースの生産効率を向上させることができる。そして照明手段から発生する熱によって暖められた空気が展示空間内に入り込まないようになっており、展示空間内の温度上昇を防止することができるばかりか、別途、導光板ユニットを支持するための部材を用いることなく、上面パネルを利用して導光板ユニットを支持することができる。さらに導光板ユニットから照射された光が拡散して展示台の上面をまんべんなく照らす状態を維持しつつ、展示台よりも外方側に光が照射されないようになり、照射領域を展示台の上面に限定して導光板ユニットの消費電力を低減できるばかりか、導光板ユニットから照射された光が、展示ケースの外周に居る鑑賞者の目に直接入り込まないようになる。

本発明の展示ケースは、
上面パネルにおける導光板ユニットの周辺部を非透光性としたものであることを特徴としている。
この特徴によれば、展示ケースの上方にある室内の照明装置等から照射される光が、上面パネルの周辺部で遮られるようになり、導光板ユニットから発せられる光のみで展示品を照らすことができ、展示ケースによる照明効果を高められる。

本発明の展示ケースは、
前記透明パネルの一部は、外方向に揺動されて開放される扉部となっており、該扉部の戸当部に沿って、前記導光板ユニットに電力を供給する電力線が配線されていることを特徴としている。
この特徴によれば、電力線が露呈しないため展示品の鑑賞を妨げないとともに、導光板ユニットの追加と同時に配線が容易にできる。

実施例における展示ケースを示す斜視図である。 展示ケースを示すの縦断正面図である。 導光板ユニットを示す縦断正面図である。 展示ケースを示す平面図である。 戸当部を示す横断平面図である。

本発明に係る展示ケースを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。

実施例に係る展示ケースにつき、図１から図５を参照して説明する。図１の符号1は、本発明の適用された展示ケースである。この展示ケース１は、主に美術館や博物館等に設置され、展示ケース１内に配置された展示品２を、鑑賞者が展示ケース１の周囲から鑑賞できるようになっている。

図１に示すように、展示ケース１は、床面に設置されて平面視で略四角形状をなす展示台３を有し、展示台３の四方の各側面の外周を取り囲むように、床面から立設されたガラス等の材質で形成された透明な本発明における透明パネルとしての側面パネル４が４枚配置されている。この側面パネル４によって展示台３の上方に展示空間５が形成されている。そして、展示品２を展示台３の上面に配置でき、展示品２を展示空間５内に収容するようになっている。

図２に示すように、各側面パネル４の上面開口部は、ガラス等の材質で形成された透明な上面パネル６で閉塞されており、この上面パネル６の上面側の中央部には、導光板ユニット７が配置されている。上面パネル６は、平面視で略四角形状をなし、導光板ユニット７も平面視で略四角形状をなし、かつこの導光板ユニット７は、上面パネル６よりも小さく形成されている（図４参照）。

図３及び図４に示すように、導光板ユニット７の周辺部における上面パネル６の上面には、非透光性のカッティングシート８が接着剤等により貼り付けられている。このカッティングシート８により、上面パネル６における導光板ユニット７の周辺部が非透光となっている。尚、本実施例では、展示台３と側面パネル４と上面パネル６とによりケース本体が構成されている。

図３に示すように、導光板ユニット７は、アクリル樹脂等の材質で形成された導光板９を有している。この導光板９は、その上面の全面に渡って微細な凹凸が形成されている。この微細な凹凸は、シルク印刷加工やＶ溝カット加工や成形加工やレーザー加工等の所定の加工方法により形成されている。

導光板９の上面には、光を反射させる反射シート１０が設けられている。導光板９の下面には、光を拡散させる拡散シート１１が設けられている。平面視で略四角形状をなす導光板９の一辺側には、本発明における照明手段としての複数のＬＥＤ１２を有する照明基板１３が設けられている。この照明基板１３は、導光板９の端面に沿って延設されており、複数のＬＥＤ１２は、照明基板１３の長手方向に沿って並設されており、このＬＥＤ１２は導光板９の端面側に向いている。

図３及び図４に示すように、照明基板１３は、断面視で略コ字形状をなす枠部材１４に装着されており、この枠部材１４が導光板９の一辺側に設けられている。導光板９の照明基板１３が設けられた一辺以外の三辺は、断面視で略コ字形状をなす枠部材１４に嵌合されている。四つの枠部材１４で囲まれた上面側は、カバー材１５により閉塞されている。また、四つの枠部材１４で囲まれた下面側は、開口されて下面開口部１６が形成されている。

導光板ユニット７は、その枠部材１４の下面側が接着剤等を用いてカッティングシート８の上面に接着されている。また、カッティングシート８は、導光板ユニット７の下面開口部１６に対応した部位が切り取られており、導光板ユニット７の下面が露呈している。

図４に示すように、複数のＬＥＤ１２が導光板９の端面側にのみ配置されており、従来の一般的な照明装置のように、照射面全体にＬＥＤを設けずにすむようになり、本実施例の導光板ユニット７は、その上下幅を小さくして薄型に形成し、かつ軽量化することができるとともに、ＬＥＤ１２の使用個数を減らして製造コストを低減させることができる。また、薄型の導光板ユニット７を用いることにより、圧迫感が少ない展示ケース１とすることができる。

照明基板１３のＬＥＤ１２を点灯させると、ＬＥＤ１２より発せられた光は、導光板９の端面に向かって入射される。この入射された光は、導光板９内部で広がり、導光板９の上面に達した光は、導光板９の上面に形成された微細な凹凸で拡散されつつ、反射シート１０により反射され、導光板９の下面側に向かうようになっている。

導光板９の下面に達した光は、拡散シート１１により拡散され、導光板９の下面側全体から均一に照射されるようになっている。ＬＥＤ１２から発せられる光は直接展示品２に照射されるのではなく導光板９を介して照射されるため、紫外線や赤外線を低減させた光を展示品２に照射させることができ、長時間照射しても、紫外線によって展示品２が色褪せたり、赤外線による熱で展示品２を傷めたりせずに済むようになる。

前述したように、上面パネル６は、平面視で略四角形状をなし、導光板ユニット７も平面視で略四角形状をなし、かつこの導光板ユニット７は、上面パネル６よりも小さく形成されているが、導光板ユニット７から照射される光は、導光板ユニット７から外側斜め下方向に向かって広がるようになっており、この導光板ユニット７の大きさは、照射される光が展示台３の形状にまんべんなく照射される程度の大きさに形成されている。

そのため、展示台３よりも外方側に光が照射されないように、導光板ユニット７による照射領域を展示台３の上面に限定することにより導光板ユニット７の消費電力を低減できる。また、展示ケース１の外周に居る鑑賞者の目に光が直接入り込まないようにすることができる。

上面パネル６における導光板ユニット７の周辺部には、非透光性のカッティングシート８が貼られているため、展示ケース１の上方にある室内の天井の照明装置等から光が照射された際に、展示ケース１の上方から展示ケース１内に入り込む光が遮られることとなる。そのため、導光板ユニット７から発せられる光のみで展示品２を照らすことができ、展示ケース１による照明効果を高められる。

導光板ユニット７は、上面パネル６の上方に配置されているため、別途、導光板ユニット７を支持するための部材を用いることなく、上面パネルを利用して導光板ユニットを支持することができる。また、ＬＥＤ１２から発生する熱によって暖められた空気が展示空間５内に入り込まないようになり、展示空間５内の温度上昇を防止することができる。

尚、従来の一般的な照明装置のように、照射面全体にＬＥＤを配置して照射されるようにすると、ＬＥＤは点発光するようになっているため、その点発光が目立ってしまい、照射面全体にＬＥＤの光のムラができてしまうようになっている。しかしながら本実施例の導光板ユニット７では、ＬＥＤ１２から照射された光が、一旦、導光板９に入射した後、拡散シート１１を介して導光板ユニット７の下面側から照射されるようになっており、その照射面全体がムラなく一様に発光するようになっている。

図４に示すように、側面パネル４のうち正面側の一枚は、その端縁に設けられたヒンジ１７によって外方向に揺動されて開放される扉部となっている。この正面側の側面パネル４’を開放することで展示品２を展示空間５内に収容できるようになっている。更に、正面側の側面パネル４’を閉塞させる際に、この側面パネル４’の端縁が当接する戸当部１８には、可撓性を有する合成樹脂等からなる戸当部材１９が設けられている（図５参照）。

また、ＬＥＤ１２が配置される照明基板１３から電力線２０が導光板ユニット７の外部に延び、この電力線２０は、導光板ユニット７の角部から上面パネル６の角部に向かって延びている。そして、この電力線２０は、戸当部１８に沿って下方側に延設されており、展示台３内部に配置された制御回路（図示略）に接続されている。この制御回路は、室内に設けられたコンセント等から電力を供給されるようになっている。

更に、電力線２０の配置についてより詳述すると、図５に示すように、戸当部材１９は、その内部が空洞になっており、一方側が開いた形状となっている。そして、この戸当部材１９の開いている側から戸当部材１９の内側に、前述した電力線２０を挿入して配線できるようになっている。そのため、電力線２０が露呈しないように戸当部材１９に保持させることができ、電力線２０が展示品２の鑑賞を妨げないようになっている。

図１及び図４に示すように、上面パネル６における導光板ユニット７の周辺部には、非透光性のカッティングシート８が貼り付けられているとともに、カッティングシート８の上面側に電力線２０が配置されている。

そして、本実施例の展示ケース１は、一般的な鑑賞者の身長よりも大きく形成されており、鑑賞者が上面パネルを下方から見上げた際に、この電力線２０はカッティングシート８により鑑賞者から見えないようになっている。更に、導光板ユニット７の枠部材１４も、カッティングシート８の上面側に配置されているため、鑑賞者が上面パネルを下方から見上げた際に、枠部材１４が鑑賞者から見えないようになっている。

尚、本実施例のような導光板ユニット７が上面パネル６に設置されている展示ケース１は、行灯型四面展示ケース１と称されている。また、本実施例の展示ケース１の上面パネル６から導光板ユニット７とカッティングシート８を取り外すと行灯型五面展示ケースとすることができる。すなわち、本実施例の行灯型四面展示ケース１は、その製造工程の途中の段階まで行灯型五面展示ケースの製造工程と同一になっている。

このように本実施例の行灯型四面展示ケース１は、行灯型五面展示ケースの製造工程を利用して、その行灯型五面展示ケースの上面パネル６に導光板ユニット７を配置して行灯型四面展示ケース１を製造することができるようになり、行灯型五面展示ケースと行灯型四面展示ケース１とを同じ製造工程で製造することができ、展示ケース１の生産効率を向上させることができる。更に、導光板ユニット７は、薄型に形成できるため、行灯型四面展示ケース１では、その上面パネル６の圧迫感がなくなり、行灯型五面展示ケースと行灯型四面展示ケース１との外観をほぼ同じように形成することができる。

また、行灯型五面展示ケースを製造しておき、その後、この展示ケースを行灯型四面展示ケース１に改造する際には、カッティングシート８を上面パネル６の上面に貼り付け、その上面に導光板ユニット７を取り付けることで、容易に行灯型四面展示ケース１とすることができる。そして、この際に導光板ユニット７から延びる配線は、戸当部材１９内部に配置できるため、導光板ユニット７の追加と同時に電力線２０の配線作業が容易に行える。

以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。

例えば、前記実施例では、導光板ユニット７の照明手段としてＬＥＤ１２が用いられているが、本発明はこれに限ることなく、照明手段として冷陰極発光体（Ｃｏｌｄ Ｃａｔｈｏｄｅ Ｆｌｕｏｒｅｓｃｅｎｔ Ｌａｍｐ、略称ＣＣＦＬ）を用いるようにしてもよい。

また、前記実施例では、導光板９の一辺側にＬＥＤ１２を有する一つの照明基板１３が設けられていたが、導光板９の一辺と対向する他方の辺とに二つの照明基板１３を設けるようにしてもよいし、導光板９の四辺全てに四つの照明基板１３を設けるようにして、複数の照明基板１３によって一つの導光板９の内部に向かってＬＥＤ１２の光を照射させるようにしてもよい。

また、前記実施例では、上面パネル６における導光板ユニット７の周辺部を非透光性とするためカッティングシート８を貼り付けているが、例えば、上面パネル６における導光板ユニット７の下面開口部１６に対応する位置のみが透明になるようにして、その他の部位に塗装を施したカラーガラスを上面パネル６に使用してもよい。

また、前記実施例では、上面パネル６における導光板ユニット７の周辺部を非透光性とするためカッティングシート８を貼り付けているが、上面パネル６にカッティングシートを貼り付けずに、上面パネル６の全面が透光性を有するようにしてもよい。

また、前記実施例では、ガラス等の材質で形成された透明な上面パネル６を使用したが、上面パネル６は必ずしも透明である必要はなく、くもりガラスのような材質を用いても、透光性を有するものであれば、いかなる材質を用いて上面パネル６を形成してもよい。

また、前記実施例では、導光板ユニット７は上面パネル６の上方側に設置されているが、上面パネル６の下方側、つまりケース本体の内側に設置されていてもよい。

１ 展示ケース
２ 展示品
３ 展示台
４ 側面パネル（透明パネル）
４’ 側面パネル（扉部）
５ 展示空間
６ 上面パネル
７ 導光板ユニット
９ 導光板
１２ ＬＥＤ（照明手段）
１３ 照明基板（照明手段）
１８ 戸当部
２０ 電力線

Claims (3)

1. 床面に設置された展示台と、該展示台の上方に形成された展示空間の周囲が透明パネルにより囲まれ、かつ各透明パネルの上面開口部を上面パネルで覆ってなるケース本体と、を備える展示ケースにおいて、
   前記上面パネルは、少なくとも一部が透光性を有し、該上面パネル上方には、導光板の端面側に設けた照明手段より発せられる光を、該導光板の端面に向かって入射させることにより、該導光板の下面側から光が照射されるようになっている導光板ユニットが配置され、該導光板ユニットは、前記上面パネルと略同一形状をなし、該導光板ユニットが上面パネルより小さく形成されていることを特徴とする展示ケース。
2. 上面パネルにおける導光板ユニットの周辺部を非透光性としたものであることを特徴とする請求項１に記載の展示ケース。
3. 前記透明パネルの一部は、外方向に揺動されて開放される扉部となっており、該扉部の戸当部に沿って、前記導光板ユニットに電力を供給する電力線が配線されていることを特徴とする請求項１または２に記載の展示ケース。

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