JP5501335B2 - 黒ショウガの栽培方法 - Google Patents

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Description

この発明は、クロショウガの塊根を生産するために黒ショウガを栽培する方法に関する。
黒ウコンとも称される黒ショウガ(Kaempferia parviflora)は、原産国のタイやラオスでは「クラチャイダム」、「カチャイダム」とも呼ばれる生姜科の植物であり、根茎切断面は鮮やかな紫色を呈し、ルチン、アントシアニン、タンニンなどのポリフェノールの他、セレン、アミノ酸を豊富に含み、血行増進や体力回復などの効用を有するハーブ薬の他、食用、香辛料として知られている。
黒ショウガは、土壌栽培に適した土壌温度が25℃を超えるため、原産国のタイや同様に亜熱帯気候の沖縄などで栽培され、これらの地域では5月中旬に畝を作った土壌に深さ15cmから20cmの穴を形成し、栄養繁殖器官である塊根を分割して植え付けが行なわれている。塊根の収穫期は、12月の葉が枯れた後に10〜20日内であり、収穫後の塊根は数日から7日間程度かけて天日等で乾燥して商品になる。
土壌栽培する場合、黒ショウガの塊根を分割して直接に土壌に植えつける場合の発芽率は70〜80%程度であり、かつ発芽には長時間を要し、発芽後の雨期に浸水すると塊根腐敗が起こりやすく、また植え付け時期をずらすと発育が悪く、新塊根も肥大化しないことから、栽培条件の調整が難しい植物であると言われている。
また、発芽した芽を残して塊根を分割すると、髭根が多く生じて塊根の成長率が低くなり、収穫量も植え付けた親の塊根の2〜3倍程度しか得られない。
一方、農産物や花卉を生産するため、イネ科、ユリ科、ラン科、ナス科、セリ科、マメ科、キク科などの植物についての人工栽培方法として、組織培養が知られており、たとえば、無菌下で親植物から切出した茎頂や、葉、花、根、茎から切出した組織片等を寒天等の固体培地からなる誘芽培地上に置床し、得られたカルス、プロトコーン、苗状原基、早生分枝等を増殖培地に移植して細胞組織の増殖を行い、得られた不定芽は、発根培地に移植して発根及び新芽の伸長を行い、培養植物体を得るといった方法が知られている(特許文献1)。
また、ショウガの組織培養として、増殖率を向上させるために、ショウガから採取された茎頂の組織を、所定の微量無機成分を添加した培地で培養し、カルスから稚苗を形成し、発芽および発根した幼苗を土壌へ移植して栽培する方法が知られている(特許文献2)。
特開平10−70943号公報(段落0009) 日本植物細胞分子生物学会「植物組織培養」、「ショウガ科植物の組織培養I(ショウガの大量増殖)」、第4巻第2号、第82−85頁、1987年発行
しかし、組織培養を経て土壌栽培等で黒ショウガを生産すると、根茎の育成は可能であって幼苗の活着率は高まるのであるが、収穫の対象となる根茎(塊茎)の肥大は充分でないという問題点がある。
このように組織培養を経る人工栽培によって黒ショウガを栽培しても、所期した程度に効率よく収穫できず、発育不良を起こしやすく、またカビの発生による腐敗も起こりやすいという問題点があった。
そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決し、黒ショウガを人工的に栽培する方法について改良を加え、収穫の対象となる根茎(塊茎)の肥大を充分なものとし、すなわち発育不良を回避して黒ショウガを可及的に短時間で効率よく生産できる栽培方法とすることである。
上記の課題に対し、本願の発明者らは、従来では特定の植物についてのみ認められてきたアレロパシー(他感作用)という現象について着目し、黒ショウガについてもアレロパシーの一種である「植物の成長を抑制する物質の放出現象」があり、しかも黒ショウガの場合は、親塊根の成分が新塊根の発芽や育成を抑制するという作用であり、すなわち親世代の放出物質が次世代の同じ作物の生育に悪影響を与えてしまうということを発見し、これを抑制する手段を講じることにより、上記問題点を解決できることを見出して、この発明を完成させたのである。
すなわち、上記の課題を解決するために、この発明においては、黒ショウガ(Kaempferia parviflora)の幼苗を培地に植生し、この幼苗の栽培環境の温度および光を調整する栽培方法において、前記栽培環境の温度を20〜25℃に調整すると共に、光を光合成光量子密度25〜35μmolm-2-1に調整して栽培することを特徴とする黒ショウガの栽培方法としたのである。
上記した方法によって黒ショウガを栽培すると、幼苗の栽培環境の温度および光が適切に調整されることによって、新芽や葉柄、および塊根のカビなどの糸状菌との感染が防止され、枯れずに芽や葉柄に腐敗した部分のない黒ショウガを育成できる。
これにより、塊茎からのポリフェノールなどからなるアレロパシー促進物質の発散が少なくなり、親世代の放出物質が次世代の同じ作物の生育に悪影響を与えることなく、収穫の対象となる根茎(塊茎)の肥大が充分になり、すなわち発育不良を回避して黒ショウガを短時間で効率よく生産できる。
通常、アレロパシーは、「植物が生産する化学物質で他の植物の生育の阻害や促進する働き」をいうとされ(Molisch, 1937)るが、この発明では、塊根の成長時に特有のアレロパシーが発現して次世代の黒ショウガ自身の塊根の成長を妨げるという欠点をなくすために、アレロパシーの原因化学物質の発生量を予め可及的に少なくするという温度および光環境に調整する。
前記栽培環境の温度範囲が20〜25℃未満の低温では、塊根などの発育不良が起こりやすくて好ましくなく、上記所定範囲を超える高温でも発育不良になりやすい。因みに、発育不良になると、黒ショウガは、葉の成長が止まり、鞘や柄に水分が溜まり、葉や柄を支えられなくなって折れ、そこから微生物が繁殖するなどして一部が腐敗する。これによってアレロパシーの原因化学物質の発生量が多くなってしまう。このような傾向から、好ましい前記温度範囲は20〜24℃であり、より好ましくは21〜24℃、さらに好ましくは21〜23℃である。
光を光合成光量子密度25〜35μmolm-2-1に調整する理由は、葉などを枯らさないようにするためであり、上記範囲未満の光強度では、光合成量が少なくなって塊根の成長が遅く、成長量が不充分になる。また、上記所定範囲を超える光強度では、葉の周辺が枯れやすくなり、これによりアレロパシーの原因化学物質の発生量が多くなるからである。このような傾向から、好ましい光合成光量子密度は、27〜34μmolm-2-1であり、より好ましくは28〜33μmolm-2-1である。
また、上記した培地は、土壌または液体のいずれであってもよく、黒ショウガ(Kaempferia parviflora)の幼苗を土壌に植生して栽培する際、前記土壌中に粉粒体状の活性炭もしくはゼオライトまたはこれらを併用した多孔性吸着剤を添加混合することからなる黒ショウガの栽培方法としてもよい。
このように土壌中に添加された所定の多孔性吸着剤は、栽培された黒ショウガの塊茎から発散されるポリフェノールなどの化学物質を吸着してアレロパシーの発現を防止または軽減する。
このような対処法によって効率よくアレロパシーの抑制作用を発揮できる上記ゼオライトの粒径は、0.5〜3mmであり、また活性炭の粒径は0.1〜2mmである。
ゼオライトまたは活性炭の粒径が、上記所定範囲未満の小粒径では、アレロパシーの原因化学物質に対する多孔性吸着剤の物理化学的な吸着作用が効率よく作用せず、また土壌中から流失しやすくなって好ましくない。また上記所定範囲を超える大粒径では、吸着作用にムラが生じやすくなり、塊根には部分的に成長の遅れが生じる場合があって好ましくないからである。このような傾向から、好ましいゼオライトの粒径は、0.7〜2.5mmであり、より好ましくは1.0〜2.0mmであり、好ましい活性炭の粒径は0.3〜1.8mm、より好ましくは0.5〜1.5mmである。
さらに、アレロパシーの抑制作用を、効率よく発揮させるためには、上記多孔性吸着剤の添加量が、土壌中に1〜2質量%であることが好ましい。
上記多孔性吸着剤の添加量が、上記所定範囲未満の少量では、多孔性吸着剤の吸着作用が効率よく作用せず、上記所定範囲を超える多量では、それ以上に顕著な効果の改善が見られず、添加効率の点で好ましくないからである。
また、根茎の発育不良をより確実に改善するためには、施肥される肥料が、窒素:リン酸:カリ=2.5〜3.5:2.5〜3.5:1.5〜2.5の範囲の割合(質量比)に調整されており、土壌などに拡散しやすい液肥であることが好ましい。
上記肥料成分の質量比のうち、窒素成分が、上記所定範囲を超える多量では、微生物の繁殖が過剰に盛んになって、塊根の腐敗が進行しやすくなって好ましくない。またカリ成分が、上記所定範囲未満の少量では、塊根の発育が充分に進行しない。
また、上記土壌が、酸素非発生型の光合成菌を0.1〜1質量%添加された土壌であることにより、塊根の周囲の土壌中の酸素濃度を低下させてアスペルギルス属やペニシリウム属のカビなどの生育を抑制し、これの発生による塊根腐敗を抑制することができる。
この発明は、黒ショウガの幼苗を培地に植生し、この幼苗の栽培環境の温度および光を所定範囲に調整して栽培するので、枯れずに芽や葉柄に腐敗した部分のない健全な黒ショウガを育成でき、塊茎からのポリフェノールなどからなるアレロパシー促進物質の発散が少なくなり、発育不良を回避して黒ショウガを短時間で効率よく生産できる利点がある。
また、黒ショウガの幼苗を土壌に植生して栽培する際に、前記土壌に粉粒体状の活性炭もしくはゼオライトまたはこれらを併用した多孔性吸着剤を添加混合したので、栽培された黒ショウガの塊茎から発散される所定の化学物質を多孔性吸着剤が吸着してアレロパシーの発現を防止または軽減する。これによって、収穫の対象となる根茎(塊茎)が充分に肥大し、発育不良を起こし難い黒ショウガの栽培方法となる。
また、上記多孔性吸着剤が所定粒径からなる粉粒体であり、その添加量が所定量であり、また土壌に施肥される窒素、リン酸、カリウムの肥料の組成が所定組成であり、または酸素非発生型の光合成菌を所定量含むことによって上記利点はより格別になる。
実施形態の黒ショウガの栽培方法は、黒ショウガ(Kaempferia parviflora)の幼苗を培地に植生し、この幼苗の栽培環境の温度を20〜25℃の範囲内に調整すると共に、光を光合成光量子密度25〜35μmolm-2-1の範囲内に調整して栽培する。
この発明に用いる黒ショウガは、ショウガ科、バンウコン属の亜熱帯植物であり、ハーブ薬の他、食用、香辛料として知られ、沖縄県の渡嘉敷島などで栽培されているもの、その他国内外で栽培されている黒ショウガを栽培用途で入手可能である。
このような黒ショウガから幼苗まで栽培する方法については、特に限定されるものではなく、塊根から発芽させたものを培養してもよく、また公知の組織培養法を用いても良い。なお、この発明でいう幼苗は、それ自体で土壌に移植された状態で成長可能な苗をいう。
すなわち、幼苗を得る栽培方法としては、以下の工程を経る例が挙げられる。
黒ショウガの塊根を人工土壌下に充分保水される条件で栽培し、発芽した芽から頂芽を切り取る。そして、カルスを形成させ、さらに葉茎の発生および発根を認めるまで育成する。
次いで黒ショウガの幼苗を土壌もしくは液体からなる培地に植生して栽培する場合には、栽培環境の温度を20〜25℃に調整すると共に、光を光合成光量子密度(以下、光強度PPFとも記す。)25〜35μmolm-2-1の範囲内に調整して栽培する。
温度調整は、培地が土壌である場合には、建物やテント、フィルムなどで土壌を覆うと共に、土壌に触れる空気や土壌に照射される太陽光線(自然光)または赤外線の量や強度をヒータやフィルタなどで調整することができる。
また、光合成光量子密度の25〜35μmolm-2-1の調整は、太陽光線のブラインドによる調節や蛍光灯、白熱灯、LEDなどの人工照明の調節によって行なうことができる。
因みに、光合成光量子密度25μmolm-2-1は、照度約1488lxであり、35μmolm-2-1は、照度約2083lxであり、これら数値の範囲内に前記手段を適宜に採用して光量調整する。
土壌として用いる培地は、滅菌された赤玉土(例えば粒径7〜10mm)、鹿沼土などを例示できるが、これに限定されることなく、保水性がよく腐食性の雑菌の滅菌処理の容易な周知の培養土を採用できる。
また、培地が、土壌である場合には、多孔性吸着剤を添加混合することが好ましい。多孔性吸着剤の例は、粉粒体状で粒径が0.1〜2mmの活性炭もしくは粒径が0.5〜3mmのゼオライトまたはこれらを併用したものが挙げられる。
活性炭は、非極性の表面に有機物の粒子や分子を吸着する微細な細孔を多数有する多孔質性のものであり、活性炭の原材料は、特に限定されるものではなく、マツなどの木、竹、椰子殻、胡桃殻などの植物質のもののほか、石炭質、石油質などの原材料であってもよい。
また、ゼオライトは、アルミノケイ酸塩で結晶構造中に比較的大きな空隙を持つものの総称であり、活性炭と同様に有機物の粒子や分子を吸着する物性があるものである。
土壌に用いる固形状培地または水耕栽培に用いる液体培地には、窒素(N):リン酸(P):カリ(K)=2.5〜3.5:2.5〜3.5:1.5〜2.5の割合(質量比)に調整された肥料を液肥などの形態で配合することが好ましい。
土壌栽培では、上記以上に窒素が多い配合割合では、微生物の繁殖力が増し、塊根が腐敗しやすくなって好ましくない。但し、窒素要求性の強い植物と混在させてショウガを栽培する場合には、それらに必要な量の窒素などの肥料成分を配合することもできるのは、勿論である。
水耕栽培の場合は、例えば水1Lに対して、0.1〜0.5%程度の範囲に上記のように調整された肥料を添加することが好ましい。土壌栽培または水耕栽培において、特に好ましい配合割合は、窒素(N):リン酸(P):カリ(K)=3:3:2の割合(質量比)である。
このような土壌を用いて栽培された黒ショウガの新塊根は、新芽の基で成長し、肥大化する。その際には、葉柄は太く短く、葉身は長く、幅は広く、葉の裏面は赤みを帯びていることが好ましい。特に葉柄が葉身より長い場合は葉柄が折れ、これから塊根腐敗病が多発して好ましくない。これを防止するには肥料に含まれるリンの量を増やすことである。
また、黒ショウガの土壌栽培における肥料は、窒素、燐酸と比較して、カリの量を増やして塊根の生育を促進することが好ましく、土壌には、塊根腐敗菌(カビなどのアスペルギルス属やペニシリウム属で起こす病気)などの成長を妨げる雑菌の繁殖を抑制するために、酸素を必要とする光合成菌を0.1〜1質量%添加された培地とすることが好ましい。
光合成菌は、光合成細菌とも別称されるものであって、シアノバクテリアを除く酸素非発生型光合成をする細菌をいい、これらは市販の土壌改良用の光合成細菌として入手可能である。このような光合成細菌としては、例えば、紅色細菌、緑色硫黄細菌、緑色非硫黄細菌、ヘリオバクテリアが挙げられ、これらは腐敗菌の生成物である硫化物やアミン類などを資化するので好ましい。
さらに土壌には、ゼオライトもしくは活性炭または両方を1〜2質量%加えて、塊根を腐敗させるような糸状菌などの繁殖を抑制し、また根茎や新芽からも糸状菌の侵入を予防することが好ましい。因みに、塊根の分割断面より侵食する糸状菌は、土壌温20〜35℃で繁殖しやすい性質がある。
そして、塊根等での微生物(アスペルギルス属・ペニシリウム属)の繁殖を予防するために、植え付け前の幼苗や塊根に活性酸素濃度10〜1000ppmの気体や液体または安定化二酸化塩素0.1ppm程度を噴霧して消毒することが好ましい。
水耕栽培では、前述のように太陽光線などを利用して照明し、さらにチラーなどで20〜25℃に水温調整する。太陽光線を利用する場合の遮光率は、50〜70%が好ましく、遮光を保って新芽と葉柄の腐敗を防止しつつ栽培する。
因みに、太陽光利用の自然栽培工程例としては、初期培養60〜80日、継続培養30〜40日、順化20〜30日、水耕栽培100〜120日であり、合計日数は,270〜290日である。
[アレロパシーの確認]
予め黒ショウガの連作障害を起こしている沖縄のジーマ(土壌)を用い、フダン草に対して発育障害を起こすことを確認した。
すなわち、市販の腐葉土を敷いた発泡スチロール中に連作土壌を入れて15cmの層を形成し、これにフダン草の種を播いた。対照は連作土壌の代わりに市販腐葉土を用い、フダン草の種を播いたものとした。
連作土壌では、発育は抑制されて30%程度の発芽であった。
連作土壌(A)のpHは6、連作土壌に小粒赤球30%混合したもの(B)はpH7、連作土壌に1%の苦土石灰を添加した土壌(C)はpH7、連作土壌に腐葉土30%を加え、1gのガレートを加えた土壌(D)のpHは8、コントールの腐葉土(E)のpHは8であり、1カ月後の生育(N株中のn株育成を以下にn/Nと記す。)は、A群は6/6、B群は4/6、C群は6/6、D群は6/6、E群は6/6であった。
次に、黒ショウガの塊根パウダー(ポリフェノール1.4g/100g)をA,B,Eの土壌に1%、1%、無添加になるように加え、フダンソウの幼植物の発育を調べた。
その結果、A、B群は、発育不良であり、具体的にはそれぞれ2/6の生育を認め、丈は長くなったが柄は細くなり、発育障害が認められた。一方、E群は順調に生育した。
次に、黒ショウガの発芽3cmで15gの塊根を鉢に移植する際、培地となる土壌として赤球7、腐葉土2、ピートモス1の割合(重量比)で混ぜた土壌(土壌pHは6.5)を用い、この土壌を用いて黒ショウガの塊根パウダー1%もしくは0.1%の添加または無添加の試験土壌を作成し、それぞれの土壌における黒ショウガの塊根の発育障害の有無を調べた。
その結果、上記同様に黒ショウガパウダー添加の試験土壌では、濃度に対応して発育障害のあることが観察され、黒ショウガパウダーの無添加の土壌では塊根は順調に生育した。
これにより、黒ショウガは、親塊根の成分が新塊根育成を抑制し、親世代の放出物質が次世代の同じ作物の生育に悪影響を与えることが確認された。
[実施例1〜3]
[頂芽の採取]
黒ショウガ(Kaempferia parviflora)の塊根を水道水に一晩浸漬し、浮上しない株を選択し、赤玉土(粒径7〜10mm程度)または鹿沼土の深さ2cm程度に埋め、土壌温20〜25℃、湿度100%で充分保水される条件、照明は24時間20Wの蛍光灯下で 30日前後、または赤色LEDを使用する条件では20日前後かけて発芽させた。
次いで、生じた芽が3〜4cmまで伸長した時期に滅菌したメスまたは両刃カミソリを用いて頂芽を切り取り、以下の組織培養に供した。
[組織培養]
ショウガ科植物の大量増殖(植物組織培養、佐藤誠4(2)82−85、1987)の培養法に準拠して、頂芽を75%アルコールに30秒間浸し、その後、これを滅菌水で1回水洗し、1%の次亜塩素酸に10分間浸漬し、これについて滅菌水を交換し洗う操作を3回行った。
次いで実体顕微鏡下で茎頂部を取り出し、これを試験管に無菌的に無菌ピンセットで挟み中央に培地に置いた。これを温度25℃、湿度75%、光強度PPF30μmolm-2-1,明・暗期長16/8時間の照明条件でインキュベータにて培養した。
初代培養は、MS培地とB5(液体)培地を用い、これに合成サイトカイニン、BAP(6−べンジルアミノピリン)と合成オーキシンNAAの濃度を変えて添加し、発芽、発根の最適条件を比較して調べた。
その結果、MS培地での最短カルス形成は80日でBAP1mg/lとNAA0.1mg/l添加の条件であった。B5培地では、最短カルス形成は80日でBPA1mg/lのみで葉茎と発根を認められた。
[継続培養]
次いで、以下の継続培養を30〜40日間行なった。
MS培地培養:BAP15mgNAA 0、1mgで葉茎数(シュート)12、葉茎長 7cm、発根数100%で根頂4.4cmが最良であった。
[順化]
上記MS培地を用いて順化を行ない、その順化条件は、温度25℃、湿度100%、光強度PPF 30μmolm-2-1 、明/暗(期長時間)=16/8時間とした。
次いで、直径25×25cmの穴25個に鹿沼土を入れ、上記MS培地から5〜7cmの稚苗を移植し、蛍光灯20Wで12〜16時間、消灯8時間から12時間で馴化し、丈が20cmから25cm伸長した幼苗を水耕栽培に移植した。
[水耕栽培]
水耕栽培は、太陽光利用型水耕栽培とし、その栽培水槽は、縦60cm、横90cm、深さ20cmの水槽を用い、この水槽内で5〜10cm程度の水位を保てるように保持される発泡スチロール板(縦60cm、横90cm)に、30〜40cm間隔で30〜40mmの穴16個を形成し、これに成長した前記幼苗の塊根を移植した。
前記穴内では、馴化した幼苗の塊根部を保湿性の良いウレタン製不織布で被い、水槽内には赤玉土、鹿沼土などの保水性があって微生物などが繁殖しがたい素材を敷いた。
水耕栽培には、窒素(N):リン酸(P):カリ(K)=3:3:2の割合(質量比)の液肥を、培養液1質量部に対して0.3質量%部の割合で配合した。
この水耕栽培では、前述のように太陽光線などを利用して照明し、さらにチラーなどで20〜21℃(実施例1)、22〜23℃(実施例2)、24〜25℃(実施例3)に水温調整した。このとき、水耕栽培に用いた光強度PPFは、25〜30μmolm-2-1(実施例1、2)、31〜35μmolm-2-1(実施例3)とした。
このようにして成長した実施例1〜3の黒ショウガの葉身サイズは25〜30cm、葉幅20〜25cmと優良な成長状態であり、塊根の発育も各実施例10個当りの平均70〜78gと良好であった。
また、実施例の水耕栽培は、初期培養から水耕栽培の終了まで250日で充分な生育状況であり、通常の自然栽培工程の270〜290日に比べて、大幅な栽培時間の短縮をすることができた。
[比較例1〜3]
上記実施例1において、水耕栽培の温度条件を15〜17℃としたこと以外は、実施例1と全く同様に栽培し、比較例1の黒ショウガを栽培した。
また、実施例1において水耕栽培の温度条件を26〜28℃としたこと以外は、実施例1と全く同様にして、比較例2の黒ショウガを栽培した。
また、実施例3において、水耕栽培に用いた光強度PPFを37〜40μmolm-2-1としたこと以外は、実施例3と全く同様にして比較例3の黒ショウガを栽培した。
比較例1の栽培条件で得られた黒ショウガは、葉の成長が悪く、やや発育が不良であると判断された。また、比較例2の栽培条件で得られた黒ショウガは、鞘や柄に水分が溜まり、葉を柄が支えられなくなっており、発育不良であると判断された。また、これらの塊根は、葉の発育不良に伴なって塊根重量も36〜68g程度に止まっていた。
また、比較例3は、遮光されない状態で栽培したため、葉の裏面が赤紫になり、葉全体に枯れた部分が生じ、塊根重量も比較例1、2と同様に60g以下に止まっていた。
[実施例4]
上記した実施例1において水耕栽培に代えて、滅菌済の鹿沼土80質量%、腐葉土20質量%からなる土壌を採用し、窒素(N):リン酸(P):カリ(K)=3:3:2の割合(質量比)の肥料を配合したものを培地として、幼苗を土壌栽培した。
実施例4の黒ショウガの葉身サイズは28cm、葉幅24cmと優良な成長状態であり、塊根の発育も各実施例10個当りの平均75gと良好であった。
また、実施例4の水耕栽培は、初期培養から土壌栽培の終了まで250日で充分な生育状況であり、通常の自然栽培工程より大幅な栽培時間の短縮をすることができた。

Claims (6)

  1. 黒ショウガ(Kaempferia parviflora)の幼苗を培地に植生し、この幼苗の栽培環境の温度および光を調整する栽培方法において、
    前記栽培環境の温度を20〜25℃に調整すると共に、光を光合成光量子密度25〜35μmolm-2-1に調整して栽培することを特徴とする黒ショウガの栽培方法。
  2. 前記培地が土壌もしくは液体からなる培地である請求項1に記載の黒ショウガの栽培方法。
  3. 前記培地が土壌であり、この土壌は粉粒体状の活性炭もしくはゼオライトまたはこれらを併用した多孔性吸着剤が添加された土壌である請求項2に記載の黒ショウガの栽培方法。
  4. 上記ゼオライトの粒径が0.5〜3mmであり、かつ活性炭の粒径が0.1〜2mmである請求項3に記載の黒ショウガの栽培方法。
  5. 上記培地が、窒素:リン酸:カリ=2.5〜3.5:2.5〜3.5:1.5〜2.5の割合(質量比)に調整された肥料を含有する培地である請求項1〜4のいずれかに記載の黒ショウガの栽培方法。
  6. 上記培地が、光合成菌を0.1〜1質量%添加された培地である請求項1〜4のいずれかに記載の黒ショウガの栽培方法。
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