JP2006061036A - 植物栽培用培地及び該培地を用いた植物の栽培方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高設栽培を行なった時に発生する排水の硝酸体窒素が少なくなり、また、害を起こす細菌や黴の発生が押さえられた、連続使用可能な植物栽培用培地及び該培地を用いた植物の栽培方法も提供する。
【解決手段】 お茶あるいは製茶時の滲出タール成分を含む植物を堆肥化することにより上記課題は達成される。
【選択図】 なし
【解決手段】 お茶あるいは製茶時の滲出タール成分を含む植物を堆肥化することにより上記課題は達成される。
【選択図】 なし
Description
本発明は、植物栽培用培地、詳しくはお茶及び製茶時の滲出タールを含む植物を堆肥化したものからなる植物栽培用培地に関し、該培地を用いた植物の栽培方法に関する。
従来、植物栽培には種々の試みがされ、多くの提案がなされている。中でも、液肥を用いたいわゆる水耕栽培は広く普及し、イチゴ、トマト、レタス、キュウリ等の蔬菜栽培に種々の提案がなされている(例えば、非特許文献1参照。)。
水耕栽培においては、微量成分を含む液肥を栽培床に流すことが行われるが、栽培床からは排液肥が流出する。通常は排液肥に栽培により減少した肥料成分を追加して循環すればよいのであるが、植物の成長の時期により要求される肥料成分が異なり、また、植物体よりの老廃物が排液肥に蓄積されるため、排液肥はそのまま循環することが困難である。すなわち、排液肥の一部は排水として処理せざるを得ないのが実情である。特に、硝酸体窒素については、排水基準(10ppm以下)を満足することは困難であり、基準以下の濃度になるように希釈して廃棄せざるを得ない。
さらに、水耕栽培では、富栄養状態となるために植物栽培中の培養液に細菌、黴、藻類が繁茂し、植物体に悪影響(例えば、生育の遅れ、病害等)が発生することがあり、その防止に、酸性度を高くしたり、抗菌剤、抗黴剤、殺藻剤等を配合したりすることが試みられている。安全性の点から、酸性度を高くすることや天然の抗菌性成分を使用することが試みられている。しかしながら、酸性度を高くすると、生育障害が発生しやすく、また、合成抗菌剤類を添加すると、植物体に蓄積することがあり、その使用時期、使用量に制限があり、植物栽培の全期間に渡って十分な効果が得られない。天然物由来の抗菌成分を用いると施用した当座は効果があるが、その天然物由来の成分を資化する微生物が発生し、やはり効果については十分でない。
ところで、植物病害防除剤として、天然物由来の精油(茶カテキン類を含む)を用いることも知られている(例えば、特許文献1参照)。このような防除剤は、安全性からは良好なものであり、植物病害の防除の目的で必要なときの施用するのであるが、植物栽培中に連続して使用することは困難であり、液肥に配合して用いると、上記と同様の問題が発生する。
一方、培養液を用いた栽培において、栽培床についても種々検討され、床材としてロックウール、ヤシガラ、籾殻、砂礫、軽石、鹿沼土、炭、これらに黒木土や腐葉土を混ぜたもの等が検討されている。しかしながら、床材から上記問題を検討したものは皆無であり、上記問題を解決した床材の開発が待たれている。
日本の農業の生産現場における農家の状況は、農家戸数の減少と耕作従事者の高齢化が進行している。その原因は、土耕栽培の長時間労働、低収入、規模拡大が困難等により、若者にとり魅力の無い農業となっている。
その打開策として、イチゴ栽培においては、高設養液栽培が普及しつつあるが、慣行養液栽培によるイチゴの状況は、品質、食味、収穫量、経済性において、土耕栽培に劣り、慣行養液栽培イチゴは生産者、消費者のいずれをも満足させる栽培方法に至っていない。高設養液栽培では、イチゴ樹一本当りの用土量が土耕栽培に比べ約1/10であり(表3参照)、特性機能において、大きな欠点を有している。これが、品質、食味、収穫量、経済性において劣る原因となっている。この用土量が少ないことからのこれら諸問題を解決するためには、慣行養液栽培での用土の機能を10倍以上に高める必要がある。
さらに、養液栽培では、養液の大量供給により生じる水分過多、還元状態等による根腐れの発生が起きやすいことである。
特開平5−139924号公報
平成10年度課題別研究会「イチゴ高設栽培の現状と問題点」、野菜・茶業試験場主催、平成10年11月10〜11日、於久留米リサーチパーク
したがって、本発明は、高設栽培を行なった時に発生する排水の硝酸体窒素が少なくなり、また、害を起こす細菌や黴の発生が押さえられた、連続使用可能な植物栽培用培地を提供することを課題とする。また、本発明は、該培地を用いた植物の栽培方法をも提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討し、お茶葉を堆肥化し、水耕栽培の培地として用いたならば、肥料濃度を調節することで排水の循環が可能で、かつ培養液中に発生した微生物、藻類は植物生育に良好な効果をもたらすことを見出し、ついに本発明に至った。
すなわち、本発明は、お茶あるいは製茶時の滲出タールを含む植物を堆肥化したものからなることを特徴とする植物栽培用培地である。なお、お茶としては、茶の木、生茶、製茶屑、緑茶、発酵茶、茶殻、落葉茶葉及び廃茶の木からなる群から選ばれたものが使用できる。また、本培地は、水に分散あるいは抽出により液状化しても良い。さらに、窒素、燐、加里、微量栄養元素を含むことが好ましい。
また、本発明は、上記培地を、栽培床とすることを特徴とする植物の栽培方法である。そして、この栽培方法は、イチゴ、トマト、キュウリ、メロン等の果菜に有用である。
本発明のお茶及び製茶タール分を含む堆肥原料を堆肥化させた培地は、上記諸問題点を解決した画期的な床材培地である。例えば、イチゴ等の栽培においては多収量であり、また、栽培中の病害の発生もなく、優れたものである。本発明の培地はメロン、トマト、キュウリ等の果菜類の培土や培地として有用である。さらに、本発明の培地を用いる植物の栽培方法は培土が健康である為、植物の生育が活発であるので、通常の腐葉土あるいは堆肥に替えて、あるいはその一部として使用可能である。
なお、イチゴ等の高設栽培においては根の張りもよく(表3参照)、根圏には有用菌が繁茂するため空中窒素が固定され、この固定菌からの窒素分の供給があるため肥料が少なくて済む。また、本培地は栽培終了後にクラウンを抜き取った後に簡単な処置の後に消費分を補充するだけで再使用可能であり、数年にわたって用いることができるので極めて経済的である。
さらに、本発明の培地を使用する栽培方法は、農家が最も望む従来型の水かけ、水切りの地床栽培技術で対応できる特徴を有する。
以下、本発明を、具体的に説明する。
本発明の植物栽培用培地は、お茶を、例えば、糖、籾殻、糠、わら、大豆粕、菜種粕、落ち葉、炭、ゼオライト、海草等の堆肥化助剤と共に堆肥化したもの、あるいは製茶に当たって生茶から滲出するタールを、籾殻、糠、わら、大豆粕、菜種粕、落ち葉等の植物に、廃糖蜜、炭、ゼオライト、海草等の堆肥化助剤とともに加え、堆肥化したものである。
なお、お茶として、新葉、新枝等の新芽を含み、植え替え、剪定等により発生する茶の木、古い葉を含む茶全体を用いることができ、また、新芽を飲用に供するために緑茶(煎茶、玉露茶等)、発酵茶(紅茶、ウーロン茶等)などに加工したもの、あるいはこれらから茶成分を抽出した後の茶殻も好適に用いうる。特に、新芽や古葉をお茶に加工したもの、該加工時の屑やお茶抽出後の茶殻は栄養価が高く、培地としたときに極めて好ましい。
また、製茶する際に茶葉から滲出するタールのみをあるいは製茶屑と共に集め、通常の堆肥作成にあたって、必須成分として添加して使用することでもよい。
堆肥の製造方法としては、お茶を堆肥化するあるいは製茶屑を加え堆肥化するほかは一般の腐葉土作成(堆肥化)におけると同様であり、例えば、お茶を堆肥化する場合、お茶100重量部に対し、黒糖あるいは糖蜜1〜5重量部、わら、糠、落ち葉等の堆肥化助剤10〜80重量部およびゼオライト1〜20重量部を混合し、必要により水を散布し、切り返しを行った後、12〜30月間、好ましくは15〜24月間堆肥化させる。なお、堆肥化期間中は当初は55℃に保つように切り返しを15日間隔で5〜6回行い、その後、空気を押し出して、30〜35℃を保ちながら、さらに3月に一回切り返しを行なうと良い。この堆肥化期間を過ぎたものをそのまま本発明の培地として使用可能である。また、本発明の培地は、このままで十分の養分を含んでいるが、さらに窒素、燐酸、加里、微量栄養素を加えておくこともできる。
以下に、イチゴの高設栽培を例に、本発明の培地を用いた植物の栽培方法を説明する。
発泡スチロール製の栽培箱、通常巾30cm、深さ10cmで底ドレーン溝を有する長さ100cmの両端が噛み合わせ接続可能になっている矩形体、の適当数(温室等の施設の大きさにより変わる)を、高さ40〜80cmの位置に設けられた栽培箱保持台上に載置し、接続する。
ついで、栽培箱の内部に防水シートを張り、底には遮根シートを張り、その上に粒径0.5〜10mmのゼオライト粒を厚さ3〜5cmで設け、その上に本発明の培地を7〜5cmの高さに入れる。なお、このように2層にする代わりに、これら材料を混合した一層の培地とすることもできる。
培地を充填した後に、栽培箱に水を張り、1〜2日なじませた後、貯水槽に水を抜き取る。なお、この抜き取った排液は栽培中の追肥として使用できる。培地上に、別途育成したイチゴ苗を間隔15cmに千鳥になるようにして、畝間隔約20cmで2条に定植する。
イチゴ苗定植後5〜30日は、水を1株当り約100ml/日を潅水し、栽培する。なお、それ以後は順次潅水量を増やし、1株当り150〜200ml/日とする。ここで用いる水はECが0.3ds/m以下のものが好ましい。
追肥は、抜き取った排液を使用するので、潅水として使用する水がEC0.3ds/mである場合、この水に抜き取った排液を加えてEC0.8ds/mになるよう調整するとよい。抜き取った排液を追肥として全量使用する。通常、60日間はこの排液を追肥として使用できるので別途の肥料は不用である。その後、完全発酵肥料を約30日毎に培地容器1m当り窒素成分として約9g(イチゴ1株当り0.75g)を施肥する。この完全発酵肥料に代えて、液肥料、例えば、大塚ハウス肥料(商品名、大塚化学株式会社販売)などの液肥料を用いてもよい。なお、その際も液肥料はEC0.8ds/mに調整する。
培地より流出した水は、循環使用可能である。本発明の培地を用いている限り、排水中の硝酸体窒素は硝酸試験紙で容易に検出できるので、10ppm以下になるまで循環使用し、硝酸試験紙で問題がなくなったら放流する。これによって、培地からの硝酸性窒素の流出は押さえることが可能となり、完璧な環境保全型イチゴ栽培方式となる。
イチゴ苗の定植後、本発明の培地からの水抽出液を、培地1kgからの抽出分を1m3程度に希釈したものを、追肥や潅水とは別に、葉面が濡れる程度に噴霧してやると、イチゴの生育が良好となるので好ましい。
通常、定植後90日頃よりイチゴを収穫するが、本発明の培地を使用しているので、イチゴの樹勢ばかりでなく果実が極めて健康に育っており、従来必要な栽培床へのマルチ被覆は不要である。
さらに、栽培終了後に、イチゴの株のクラウンを抜き取り、水を張った後に、ポリエチレンフィルム等の透明のフィルムで栽培床を覆い、日光下に1〜5週間保持することによって、栽培床に伸びて絡まっているひげ根は腐食してしまい、消費した培地分を補充するだけで栽培床は再利用可能となる。
また、本発明による栽培方法により、イチゴの生育は良好であり、また、結実もよく、実の肥大も順調であり、糖度も極めて高いものとなる。さらに、イチゴは健康な状態で栽培されているために、収穫後の傷みは極めて少なく、収穫後1週間以上にわたり鮮度が保たれる。
以上、イチゴによる高設栽培について説明したが、一般の植物の栽培床に腐葉土の代わりにあるいはその一部に用いると、植物の生育は良好となる。また、培養液栽培の栽培床として用いることにより、トマト、メロン、キュウリ等の果菜や、レタス、三つ葉、水菜、ほうれん草、サラダ菜等の葉菜の栽培にも用いうる。
以下、実施例により本発明を説明する。
実施例1(培地の製造1)
緑茶熱水抽出残の茶葉600kg(乾燥分として)、ピート草炭100kg、麦100kg、ゼオライト(平均粒径3mm)100kg、乾燥ホンダワラ30kg、パーライト50kgおよびヤシガラ活性炭(平均粒径2mm)20kgを混合し、径5mのサイロに入れ、その上から廃糖蜜2kgを含む水1000kgを散布して、十分湿潤させた。次いで、腐葉土10kgを加え、切り替えしを行った後、ポリエチレンシートで雨水の浸入を防ぐために覆い、放置した。堆肥化床が60℃になったところで切り返しを行い、水分が55%になるよう打ち水を行なった。以後、堆肥化床の温度が65℃を超えないように、水分55%を保ちながら、約15日毎に切り返しを5回行なった。その後、堆肥化床を圧縮して含まれる床内の空気を追い出した後、水分が約50%であるように水分を調節しながら、30日毎の切り返しを6回行なった。ついで、90日ごとに途中水分の補給を行いながら、当初6月間は1月ごとに切り返しを行い、その後3月毎に切り返しを行なった。1年半後に、ポリエチレンシートを除き、6月間置き、培地を得た。なお、堆肥化前の原料でのCN比は26であり、培地のCN比は13であった。
緑茶熱水抽出残の茶葉600kg(乾燥分として)、ピート草炭100kg、麦100kg、ゼオライト(平均粒径3mm)100kg、乾燥ホンダワラ30kg、パーライト50kgおよびヤシガラ活性炭(平均粒径2mm)20kgを混合し、径5mのサイロに入れ、その上から廃糖蜜2kgを含む水1000kgを散布して、十分湿潤させた。次いで、腐葉土10kgを加え、切り替えしを行った後、ポリエチレンシートで雨水の浸入を防ぐために覆い、放置した。堆肥化床が60℃になったところで切り返しを行い、水分が55%になるよう打ち水を行なった。以後、堆肥化床の温度が65℃を超えないように、水分55%を保ちながら、約15日毎に切り返しを5回行なった。その後、堆肥化床を圧縮して含まれる床内の空気を追い出した後、水分が約50%であるように水分を調節しながら、30日毎の切り返しを6回行なった。ついで、90日ごとに途中水分の補給を行いながら、当初6月間は1月ごとに切り返しを行い、その後3月毎に切り返しを行なった。1年半後に、ポリエチレンシートを除き、6月間置き、培地を得た。なお、堆肥化前の原料でのCN比は26であり、培地のCN比は13であった。
実施例2(培地の製造2)
実施例1において、緑茶熱水抽出残に替えて、下刈り粗朶600kgを用い、さらに乾燥製茶工場の製茶煉り盆に付着したタールおよび製茶時の微粉を集めた茶しぶ5kgを廃糖蜜入り水に加える他は、実施例1と同様にして、培地を作成した。
実施例1において、緑茶熱水抽出残に替えて、下刈り粗朶600kgを用い、さらに乾燥製茶工場の製茶煉り盆に付着したタールおよび製茶時の微粉を集めた茶しぶ5kgを廃糖蜜入り水に加える他は、実施例1と同様にして、培地を作成した。
実施例3(イチゴの栽培1)
深さ10cm、奥行き30cm、長さ100cmの発泡スチロール製栽培箱を温室内に設けた架台(高さ60cm、長さ20m)に配設し、給水管、廃水管を取り付けた。栽培箱の内側にポリエチレン製のシートを張り、底部に根切りシートを設けた。その中に厚さ3cmになるようにゼオライト(粒径約3mm)を入れ、その上に実施例1で作成した培地を厚さ約7cm入れ、栽培床を作成した。
深さ10cm、奥行き30cm、長さ100cmの発泡スチロール製栽培箱を温室内に設けた架台(高さ60cm、長さ20m)に配設し、給水管、廃水管を取り付けた。栽培箱の内側にポリエチレン製のシートを張り、底部に根切りシートを設けた。その中に厚さ3cmになるようにゼオライト(粒径約3mm)を入れ、その上に実施例1で作成した培地を厚さ約7cm入れ、栽培床を作成した。
この栽培箱一杯に水を張り、十分なじませた後に、水を抜き取った。別途育成したイチゴ(章姫)の苗を、条間約20cm、苗間約15cmで2条に定植した。これは800本/aに相当する。定植後10日から60日の間100ml/本/日の割合で潅水し、その間、抜き取った排液は十分肥料分を保持していたので、追肥として使用でき、何ら追加の肥料は必要としなかった。この期間に栽培床から流出した廃液は潅水用にそのままリサイクル使用した。定植後60日目に栽培床を黒マルチで覆い、イチゴの栽培を続けた。
定植後61日からは潅水量を150ml/本/日に増し、追肥としては実施例1で製造した培地1kgを水1m3に抽出した液を水に加え、EC0.8ds/mにしたものを用い、30日毎とした。なお、潅水は3回/日のかけ流しとした。栽培床からの廃液は硝酸根(約1ppm)が殆ど検出されなかったので、以後の潅水の一部として循環使用した。
定植後120〜240日間イチゴを採取した。収量は750kg/aであった。また、果実の糖度は表1に示すとおりであった。また、定植後80日と160日に無作為に200株に1本の割合で根の伸長状態を調べた。結果を表2に示す。なお、全栽培期間にわたり、病害の発生を見ることがなく、栽培床には緑色、紅色光合成細菌が繁殖していた。
実施例4(イチゴの栽培2)
実施例3におけるイチゴ栽培の終了後、地上部を刈り取り、クラウン部を小鎌でくりぬき、栽培床容器一杯に水を張った後、透明のポリエチレンシートを張りそのまま30日太陽光にさらし、根を腐らせた。その後、不足する培地を補充し、2年目のイチゴ栽培を上記と同様に行った。なお、培地の補充量は初年度の使用量に対し約20質量%であった。また、収量は745kg/aであり、果実の糖度は表1に示すとおりであり、根の伸長状態も表2に示すとおりと、初年度と遜色なかった。3年目以降も同様にしてイチゴ栽培を繰り返したが、初年度、2年目とほとんど変わらなかった。
実施例3におけるイチゴ栽培の終了後、地上部を刈り取り、クラウン部を小鎌でくりぬき、栽培床容器一杯に水を張った後、透明のポリエチレンシートを張りそのまま30日太陽光にさらし、根を腐らせた。その後、不足する培地を補充し、2年目のイチゴ栽培を上記と同様に行った。なお、培地の補充量は初年度の使用量に対し約20質量%であった。また、収量は745kg/aであり、果実の糖度は表1に示すとおりであり、根の伸長状態も表2に示すとおりと、初年度と遜色なかった。3年目以降も同様にしてイチゴ栽培を繰り返したが、初年度、2年目とほとんど変わらなかった。
比較例1(イチゴの栽培3)
実施例3におけると同様の栽培箱を用意し、ロックウールを充填し、培養液として標準培養液C処方(大塚化学株式会社)を用い、かけ流し方式によりイチゴ(章姫)を栽培した。なお、植栽密度は実施例3と同様とし、収穫期間も同様であった。廃培養液中の硝酸根は全期間を通じて、10〜50ppmであり、雑不純成分が入っているのでそのまま循環使用することも廃水とすることもできなかった。また、イチゴの収穫量は430kg/aであり、実施例3、4に比べ劣っていた。さらに、果実の糖度は表1に示すとおりであり、根の伸長状態も表2に示すとおりであった。なお、栽培中10日あたり50本に1本程度枯死するものがあった。
実施例3におけると同様の栽培箱を用意し、ロックウールを充填し、培養液として標準培養液C処方(大塚化学株式会社)を用い、かけ流し方式によりイチゴ(章姫)を栽培した。なお、植栽密度は実施例3と同様とし、収穫期間も同様であった。廃培養液中の硝酸根は全期間を通じて、10〜50ppmであり、雑不純成分が入っているのでそのまま循環使用することも廃水とすることもできなかった。また、イチゴの収穫量は430kg/aであり、実施例3、4に比べ劣っていた。さらに、果実の糖度は表1に示すとおりであり、根の伸長状態も表2に示すとおりであった。なお、栽培中10日あたり50本に1本程度枯死するものがあった。
参考例1(イチゴの栽培4)
実施例3におけると同様の栽培箱を用意し、黒木土、バーミキュライト、腐葉土およびバーク堆肥からなる混合用土を充填し、培養液として標準培養液A処方(大塚化学株式会社)を用い、土耕方法によりイチゴ(章姫)を栽培した。なお、植栽密度は実施例3の約0.3倍とした。なお、収穫期間は同様であった。収穫量は430kg/aであった。果実の糖度および根の伸長状態をそれぞれ表1、表2に示す。
実施例3におけると同様の栽培箱を用意し、黒木土、バーミキュライト、腐葉土およびバーク堆肥からなる混合用土を充填し、培養液として標準培養液A処方(大塚化学株式会社)を用い、土耕方法によりイチゴ(章姫)を栽培した。なお、植栽密度は実施例3の約0.3倍とした。なお、収穫期間は同様であった。収穫量は430kg/aであった。果実の糖度および根の伸長状態をそれぞれ表1、表2に示す。
実施例5(イチゴの栽培5)
実施例3において、栽培床として、実施例1で作成した培地に替えて、実施例2で作成した培地を使用する他は実施例3と同様にイチゴを栽培した。収量は720kg/aであった。また、果実の糖度は表1に示すとおりであり、根の伸長状態も表2に示すとおりであった。
実施例3において、栽培床として、実施例1で作成した培地に替えて、実施例2で作成した培地を使用する他は実施例3と同様にイチゴを栽培した。収量は720kg/aであった。また、果実の糖度は表1に示すとおりであり、根の伸長状態も表2に示すとおりであった。
イチゴの栽培において、本発明の培地を用いた栽培方法と他の養液栽培方法や従来の土耕栽培の違いを表3にまとめた。
本発明の培地およびその水抽出液は、培地が還元環境になるのを抑制し、根腐れを防止する機能を有し、硫黄細菌、還元性細菌の繁殖を抑える働きをするので、施用により良好な細菌叢を形成し、有用植物への病害を抑えることが可能となり、河川や湖沼のドブ化防止に、花卉園、果樹園、圃場での従来の堆肥に替え、元肥や追肥に使用可能である。また、病害が発生している菜園、果樹園にて畝間への施用や葉面散布により健康状態を回復することが可能となる。
Claims (9)
- お茶あるいは製茶時の滲出タール成分を含む植物を堆肥化したものからなることを特徴とする植物栽培用培地。
- お茶が、茶の木、生茶、製茶屑、緑茶、発酵茶、茶殻、落葉茶葉及び廃茶の木からなる群から選ばれたものである植物栽培用培地。
- 液状化された請求項1又は2に記載の植物栽培用培地。
- 液状化が水への分散によるものである請求項3に記載の植物栽培用培地。
- 液状化が水による抽出である請求項3に記載の植物栽培用媒地。
- さらに、窒素、燐、加里及び微量栄養元素を含む請求項1〜5のいずれかに記載の植物栽培用培地。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の植物栽培用培地を栽培床とすることを特徴とする植物の栽培方法。
- 栽培が、高設栽培である請求項7に記載の植物の栽培方法。
- 植物が、イチゴ、トマト、キュウリあるいはメロンである請求項7又は8に記載の植物の栽培方法。
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- 2004-08-25 JP JP2004245166A patent/JP2006061036A/ja active Pending
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