JP5500161B2 - 冷凍サイクル装置 - Google Patents
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Description
図1〜図9を用いて本発明の実施の形態1を説明する。まず、本実施の形態に係る冷凍サイクル装置の構成について説明する。
図1はこの発明の実施の形態における冷凍サイクル装置の冷媒回路の一例を示す構成図である。
図2は、プレート式熱交換器4の外観図と、内部構造を示す分解斜視図である。プレート式熱交換器4は、プレートが数十枚から数百枚重ねられ、冷媒と被冷却媒体である水がその間を交互に流通して熱交換するようになっている。
ここで、複数枚のプレートのそれぞれは、何れも金属板材をプレス加工することで形成されたもので、両面に複数の凹条及び凸条が交互に形成されており、波板形状になっている。プレート式熱交換器4は同じ形状のプレートを上下反転させて交互に多数積層し、ろう付け等により周囲を溶接されて密閉構造になっており分解することはできない。
また、プレート式熱交換器4は、各プレートを積層したときに、冷媒入口および冷媒出口が冷媒流路とのみ連通し、水入口および水出口が水流路とのみ連通するように構成されている。
このように冷媒が広がって流通する冷媒流路と、被冷却媒体である水が広がって流通する水流路が交互に区画形成されることで、プレートを介しての熱交換可能な領域が増すことになり、相対的に流通する冷媒と水との熱交換を効率的に行えるようになっている。なお、本実施の形態はプレート式熱交換器4を蒸発器として使用する場合を想定して図2の外観に示すように運転水と冷媒とを並行に流しているが、凝縮器として使用する場合は水と冷媒とを対向方向に流すことも可能である。
まず、図3を用いてプレート式熱交換器4内の凍結の危険性が高い箇所について説明する。図3はプレート式熱交換器4の水流通状態と冷媒流通状態を示す断面図である。圧縮機1起動直後には、冷媒流路で低温になるのは冷媒入口付近(J部)である。一方、水流路では、水入口から水出口に向かう流れから外れた部分、異物が蓄積しやすい入口側であって、水出口側との距離が離れているI部、つまりプレートの水出口よりも水入口に近い側面およびプレートの下面で水が澱みやすい。水が澱んでいる箇所は周囲に比べ低温となるので、冷媒温度が低温となるJ部かつ水が局所的に澱みやすいI部が最も凍結の危険性が高いと考えられる。
本実施の形態では、図4に示すように、冷媒温度が低温となり、かつ水が局所的に澱みやすい部位であるプレート側面の冷媒入口近傍およびプレート下面の冷媒入口近傍に対して外側からたとえば低温で溶解するろう材によるろう付け等で温度検知手段としての温度センサ17a〜17h(以下、区別しないときは「温度センサ17」という))が貼付けられている。温度センサ17a〜17dまではプレート側面の冷媒入口近傍にプレートの積層方向に沿って直線上に設けられている。また、温度センサ17e〜17hまではプレート下面の冷媒入口近傍にプレートの積層方向に沿って列状に設けられている。
なお、後述するように温度の平均値をとる関係から温度センサ17はプレートの積層方向に沿って列状に設けられていることが好ましいが、ろう付け等の温度センサ17を設ける際の手段の精度で通常考えられる範囲で列状であればよい。
なお、図4では温度センサ17a〜17hが設けられているが、プレートの冷媒入口近傍の側面および下面の少なくともどちらかにあればよく、また温度センサ17の数も複数であればよい。
なお、制御装置14は例えばマイコンなどにより構成されており、同一マイコン内に凍結検知装置15および凍結危険度判定装置19を有していてもよい。
温度センサ17の上からは断熱材16が温度センサ17を覆うように貼付けられている。この断熱材16により、温度センサ17はプレート熱交換器4の周囲環境に影響されず内部流体の温度をより高精度に検知することが可能となる。
通常運転時は、冷却負荷6への送水温度、すなわち温度センサ10の検出値が7℃となるように圧縮機1の運転容量を調整する。また、膨張弁3では、圧縮機1の吸入ガス冷媒過熱度が5K程度となるように開度調整を行う。ここで、吸入ガス過熱度とは、圧力センサ8の検出値から演算される蒸発温度と、温度センサ11の検出値との温度差のことである。また、この冷媒回路への冷媒封入量は、凝縮器2出口の過冷却度が5K程度となるように調整されている。ここでの過冷却度は、圧力センサ7の検出値から制御装置14で演算される凝縮温度と、温度センサ13との温度差である。このような制御を行うことで、凝縮温度は外気温度+10℃程度、蒸発温度は3℃程度で安定した運転となる。よって、通常運転時はプレート式熱交換器4内部に氷点下となる部分は無く、凍結の心配はない。
図7は温度センサ17a〜17hが検知した温度T1〜T8の時間による変化を示した図である。図7(a)〜図7(h)は圧縮機1起動から15秒間隔で起動後105秒後までサンプリングした温度T1〜T8を示している。また、網掛けの箇所は平均値Tmおよび平均値Tnから平均値Tmおよび平均値Tnよりも2℃低い温度までの温度帯を示すものである。
圧縮機1が起動すると、凍結検知装置15は例えば15秒間隔でプレート式熱交換器4に設けられた全ての温度センサ17が検知する温度をサンプリングする。サンプリングされた温度情報の内温度センサ17a〜17dが検知した温度T1〜T4および温度センサ17e〜17hが検知した温度T5〜T8は逐次平均処理され、各部温度T1〜T8それぞれと比較される。
凍結検知装置15はT1〜T4の平均値TmおよびT5〜T8の平均値Tnを算出し、T1〜T4のいずれかが凍結検知装置15にあらかじめ設定された所定の値、例えば2℃以上平均値Tmよりも低くなった場合またはT5〜T8のいずれかが平均値Tnより2℃以上低くなった場合に凍結したと判定する。
このように、凍結検知装置15は表面温度検知手段17が検知した温度情報のみで凍結発生の有無を判定するので、判定にあたり冷凍サイクルの制御装置14が取得する圧力等から推定する温度情報を使う必要がなく、より簡易な構成で凍結発生を判定することができ、凍結検知機能をオプションとしてサービス提供することが可能となる。なお、図7では15秒間隔で温度をサンプリングした例について説明したが、圧縮機1が運転中は常にサンプリングを行って凍結を検知してもよい。
図8は、凍結危険度判定装置19が行う凍結危険度判定マップの一例を示している。
凍結破壊に至る危険度は、上述したように凍結範囲が拡大する、つまり凍結発生時間が長いほど高まり、また、凝縮温度が高い条件ほど危険と判断しているのは、一般に、凝縮温度が高い条件では膨張弁の差圧が確保しやすいので冷媒の移動も早く、蒸発温度が0℃を下回る時間は短くなる。そのような条件でも凍結が発生するということは、水が広範囲で淀んでいるなどの不具合が生じている可能性が高いと判断できるので、このような判定マップとした。
よって、図8に示すように凍結危険度判定装置19は凍結発生時の凝縮温度を4段階、凍結が継続した時間を4段階に分割して、制御装置14および凍結検知装置15からの情報を基に凍結発生時の凝縮温度および凍結が継続した時間に基づいてそれぞれA、B、C、D、Eの5段階に危険度レベルを設定している。危険度レベルの指標としては、危険度Eであればまだ凍結継続時間も数十秒と短く、凝縮温度が10℃以下でないと凍結が発生しないので破壊に至る可能性はほとんどない。つまりこの段階で圧縮機1を停止させることはむしろロスが多いため好ましくない。危険度が上がるにつれて凍結破壊の危険性が徐々に高まっていることをユーザ−に認識させることで、凍結度合いに応じて、プレート式熱交換器4内部の洗浄や、プレート式熱交換器4に水を循環させる水側循環系統の点検等の適切な対処を促すことができる。
また、前述した凍結発生時の凝縮温度および凍結が継続した時間に基づいて行う危険度判定よりも簡単な凍結危険度判定方法として、同一部位で凍結した回数をカウントし、その凍結発生回数に応じて危険度レベルを設定してもよい。凍結回数による危険度判定は、凝縮温度情報が不要となるので、凍結検知手段15の情報のみで凍結危険度レベルを決定することができる。
また、複数の温度センサ17を列状に並べて設けて平均値からの差分による凍結検知を行っているため、温度センサ17一つによる凍結検知に比べて広範に精度の良い凍結検知を行うことが出来る。
たとえば本実施の形態では空調目的での運転を想定し、冷却負荷6への送水温度、つまりプレート熱交換器4の出口水温が7℃になるように圧縮機1の運転容量を調整していたが、薬液などの冷却のために冷凍サイクル装置を用いる場合は、プレート熱交換器4の出口水温をおよそ2℃程度の低温を維持するように圧縮機1を運転させる。この場合は出口水温に比例して冷媒蒸発温度も下がるため、圧縮機1の起動時のみならず通常運転時にもプレート熱交換器4内の凍結の可能性が増す。この場合に対しても、本発明に係る冷凍サイクル装置は複数の温度センサ17によりプレート熱交換器4の温度を直接測定しているため、冷凍サイクル装置の使用目的に関わらず運転中常時凍結検知を行うことができる。
また、本実施の形態では冷媒にR404Aを用いた場合について説明したが、たとえばR407Cのように乾き度・圧力の低い冷媒を使用した場合では、出口水温が7℃になるように圧縮機1の運転容量を調整している場合でも蒸発温度も下がるため圧縮機1の起動時のみならず通常運転時にもプレート熱交換器4内の凍結の可能性が増す。この場合に対しても、本発明に係る冷凍サイクル装置は複数の温度センサ17によりプレート熱交換器4の温度を直接測定しているため、乾き度・圧力の低い冷媒を使用した場合でも運転の時期を選ばず凍結検知を行うことができる。
また、プレート式熱交換器4が特定の箇所で複数回凍結が起きることがわかれば、そこに設計上の問題点があるとしてプレート式熱交換器4を設計的に改善して信頼性を向上させることができる。
また、凍結による危険の程度を判定することで、凍結を検知した場合でも危険度が低いときには圧縮機1の運転を停止させない制御を行うことができるので、結果的に冷凍サイクル装置の効率を向上させることができる。
また、複数の温度センサ17による温度検知にて凍結を判定しているため、凍結判定時の各温度センサ17の検知温度の履歴のデータから凍結が発生した箇所を特定しやすくなり、メンテナンスにかかる時間を短縮させることができる。そのため、結果的に圧縮機1が停止している時間を短縮させることができるので、冷凍サイクル装置の効率を向上させることができる。
Claims (6)
- 圧縮機と、凝縮器と、膨張手段と、プレートが複数枚積層されたプレート式熱交換器と、が順次配管によって接続され、前記配管内を冷媒が循環する冷凍サイクル装置において、
前記プレートの側面または前記プレート下面の前記冷媒が流れる入口近傍に前記プレートの積層方向に沿って列状に複数設けられ、前記プレート式熱交換器の表面温度を測定する温度検知手段と、それぞれの前記温度検知手段と接続され、前記プレート式熱交換器内の凍結を検知する凍結検知手段を備え、
前記凍結検知手段は、前記温度検知手段の内の一つが複数の前記温度検知手段がそれぞれ検知した温度の平均値よりも所定の値以上の低い値を検知すると、凍結が発生したと検知することを特徴とする冷凍サイクル装置。 - 圧縮機と、凝縮器と、膨張手段と、プレートが複数枚積層されたプレート式熱交換器と、が順次配管によって接続され、前記配管内を冷媒が循環する冷凍サイクル装置において、
前記プレートの側面または前記プレート下面の前記冷媒が流れる入口近傍に前記プレートの積層方向に沿って列状に複数設けられ、前記プレート式熱交換器の表面温度を測定する温度検知手段と、それぞれの前記温度検知手段と接続され、前記プレート式熱交換器内の凍結を検知する凍結検知手段を備え、
前記圧縮機および前記膨張手段と接続され、凝縮温度を演算し、前記圧縮機および前記膨張手段を制御する制御手段と、
前記凍結検知手段および前記制御手段と接続され、前記凍結検知手段が凍結発生と判定したときの凝縮温度および凍結発生と判定してからの継続時間の長さとに基づいて凍結破壊の危険性を段階的に判定する凍結危険度判定手段と、を備えたことを特徴とする冷凍サイクル装置。 - 前記圧縮機および前記膨張手段と接続され、凝縮温度を演算し、前記圧縮機および前記膨張手段を制御する制御手段と、
前記凍結検知手段および前記制御手段と接続され、前記凍結検知手段が凍結発生と判定したときの凝縮温度および凍結発生と判定してからの継続時間の長さとに基づいて凍結破壊の危険性を段階的に判定する凍結危険度判定手段と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の冷凍サイクル装置。 - 前記凍結危険度判定手段は、前記凍結検知手段が凍結発生と判定した回数に基づいて凍結破壊の危険性を段階的に判定することを特徴とする請求項2もしくは請求項3に記載の冷凍サイクル装置。
- 前記凍結危険度判定手段が、凍結破壊の危険度が高いと判定すると、前記制御手段が前記圧縮機の運転を停止させることを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれかに記載の冷凍サイクル装置。
- 複数の前記温度検知手段が断熱手段で覆われていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の冷凍サイクル装置。
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