JP5499590B2 - レーザー溶接装置 - Google Patents

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本発明は、フィラーワイヤを供給しながら上下に重ね合わせられた二枚の金属板をレーザー溶接するレーザー溶接装置に関する。
近年、上下に重ね合わされた二枚の金属板の溶接として、レーザー溶接が利用されつつある。このレーザー溶接は、二枚の金属板の上側の金属板表面に向けてレーザー光を照射しつつ該レーザー光を所定の溶接経路に沿ってこれら二枚の金属板に対して移動させることにより、二枚の金属板を溶融させて線状の溶接ビードを形成させるものである。
また、レーザー光が照射される被照射部位にフィラーワイヤを供給しながら上下に重ね合わせられた二枚の金属板をレーザー溶接することにより、金属板だけでなくフィラーワイヤも溶融させて、すなわち溶融金属を増加させて、二枚の金属板を連結させることも知られている。
このようなレーザー溶接における溶接部の溶接品質を改良するものとして、例えば特許文献1には、2つの部品を溝内の溶接スポットで互いにレーザー溶接する際に溶接スポットに隣接するスポットを溶接と同時に加熱し、この加熱と溶接により溝に沿って溶接ビードを形成することが開示されている。
また、溶接部の溶接品質を改良するものとして、例えば特許文献2には、レーザー溶接に関するものでなくアーク溶接に関するものであるが、溶接開先の中央を第1電極で第1層溶接し、この第1電極の後方において、第1電極による溶接ビードを挟む両側の二箇所に夫々設置した第2電極と第3電極との間でアークを発生させて第2層溶接することで、第1電極による溶接ビード中で肉盛り量の少ない両側部分に溶融金属を補充することが開示されている。
特開2000−301376号公報 特開平9−206934号公報
ところで、レーザー光が照射される被照射部位にフィラーワイヤを供給しながら上下に重ね合わせられた二枚の金属板をレーザー溶接する場合には、金属板とフィラーワイヤとをレーザー光によって溶融させることから、フィラーワイヤの溶融にエネルギーが消費されて金属板の溶融が不十分となることがある。
これに対して、二枚の金属板のうち上側の金属板表面に向けてレーザー光を照射することにより金属板を溶融させて溶融金属が貯留されてなる溶融池を形成し、この溶融池にフィラーワイヤをレーザー光よりも溶接進行方向後方側から供給することで、レーザー光のエネルギーがフィラーワイヤの溶融に消費されることなく、金属板の溶融に利用することが可能であると考えられる。
上下に重ね合わせられた二枚の金属板をレーザー溶接する場合には、二枚の金属板における対向する面は一般に完全な平面ではないので、二枚の金属板間には少なからず隙間が生じることとなるが、フィラーワイヤを溶融池に供給する前記方法によれば、二枚の金属板の間の対向する面に隙間が生じている場合においても、フィラーワイヤを用いて二枚の金属板を連結させることができると考えられる。
しかしながら、二枚の金属板の対向する面の間に隙間が生じている状態で、フィラーワイヤを用いて二枚の金属板をレーザー溶接する際には、例えば前記隙間が予想以上に少なかった場合など、溶融金属の量が過剰となって溶融金属が凝固して形成されるビード部が金属板の上面から盛り上がり、金属板の上面からのビード部の高さが過大となる溶接不良を引き起こすことがある。
ビード部の高さが過大となると、ビード部が形成される部分に他の部品が組み付けられる場合には、この過大に形成されたビード部が他の部品との組み付けを阻害するという問題が生じる。また、ビード部の高さが過大となると、ビード部の両端部に応力が集中し亀裂が生じやすくなるという問題が生じる。
そこで、本発明は、前記技術的課題に鑑みてなされたものであり、フィラーワイヤを供給しながら上下に重ね合わせられた二枚の金属板をレーザー溶接する際に、ビード部の高さが過大となることを防止することができるレーザー溶接装置を提供することを目的とする。
このため、本願の請求項1に係る発明は、フィラーワイヤを供給しながら上下に重ね合わせられた二枚の金属板をレーザー溶接するレーザー溶接装置であって、前記二枚の金属板のうち上側の金属板表面に向けて第1のレーザー光を照射しつつ該第1のレーザー光を所定の溶接経路に沿って前記二枚の金属板に対して相対的に移動し、該第1のレーザー光によって前記金属板を溶融させて溶融金属が貯留されてなる溶融池を形成する第1のレーザー照射手段と、該第1のレーザー照射手段によって形成される前記溶融池に前記第1のレーザー光よりも溶接進行方向後方側からフィラーワイヤを供給するワイヤ供給手段と、前記第1のレーザー光に追随しつつ、前記溶融池の溶接進行方向後方に溶融金属が凝固して形成されるビード部の表面を溶融させるように第2のレーザー光を照射する第2のレーザー照射手段と、前記ビード部を撮像する撮像手段と、該撮像手段によって撮像された前記ビード部の形状に基づいて、前記上側の金属板からの前記ビード部の高さを算出するビード部高さ算出手段と、前記ビード部高さ算出手段によって算出された前記ビード部の高さが所定高さ以上であるか否かを判定するビード部高さ判定手段とを備え、前記第2のレーザー照射手段は、前記ビード部高さ判定手段によって前記ビード部の高さが所定高さ以上であると判定された場合に前記第2のレーザー光を照射することを特徴としたものである。
また、本願の請求項2に係る発明は、請求項1に記載のレーザー溶接装置において、前記第2のレーザー照射手段は、前記ビード部の表面と該ビード部の幅方向両端近傍に位置する前記上側の金属板の表面とに前記第2のレーザー光を照射することを特徴としたものである。
更に、本願の請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載のレーザー溶接装置において、前記第2のレーザー照射手段は、前記第2のレーザー光として半導体レーザー光を照射することを特徴としたものである。
本願の請求項1に係る発明によれば、第1のレーザー光によって形成された溶融池に第1のレーザー光よりも溶接進行方向後方側からフィラーワイヤを供給しながらレーザー溶接する際に、第1のレーザー光に追随しつつ溶融池の溶接進行方向後方に形成されるビード部の表面を溶融させるように第2のレーザー光が照射されるので、ビード部が金属板の上面から過大に盛り上がって形成される場合においても、第2のレーザー光によってビード部の表面を溶融させてビード部表面の溶融部分をビード部の幅方向外方側に変位させ、ビード部を扁平化することができる。これにより、ビード部の高さを低減することができ、ビード部の高さが過大となることを防止することができる。したがって、ビード部が形成された部分に他の部品が組み付けられる場合にはビード部が他の部品との組み付けを阻害することを抑制することができ、また、ビード部の両端部に応力が集中し亀裂が生じることを抑制することができ、溶接部の溶接品質を向上させることができる。
更に、撮像手段によって撮像されたビード部の形状に基づいて上側の金属板からのビード部の高さが算出され、算出されたビード部の高さが所定高さ以上である場合に第2のレーザー光が照射されるので、前記効果をより有効に奏することができる。
また、本願の請求項2に係る発明によれば、ビード部の表面とビード部の幅方向両端近傍に位置する上側の金属板の表面とに第2のレーザー光が照射されるので、ビード部の幅方向両端近傍に位置する上側の金属板も溶融させ、ビード部表面の溶融部分がビード部の幅方向外方側に変位することを促進させることができ、前記効果をより有効に奏することができる。
更に、本願の請求項3に係る発明によれば、第2のレーザー光として半導体レーザー光が照射されるので、前記効果をより具体的に実現することができる。
本発明の実施形態に係るレーザー溶接装置の要部を概略的に示す側面図である。 前記レーザー溶接装置の制御構成図である。 前記レーザー溶接装置においてレーザー溶接中にある二枚の金属板の第1のレーザー光被照射部位及びその近傍の状態を示す図である。 二枚の金属板間の隙間が少ない部分をレーザー溶接中にある二枚の金属板の第1のレーザー光被照射部位及びその近傍の状態を示す断面図である。 図4のY5a−Y5a線、Y5b−Y5b線及びY5c−Y5c線に沿った断面図である。
以下、本発明の実施形態に係るレーザー溶接装置について、添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るレーザー溶接装置の要部を概略的に示す側面図であり、図2は、前記レーザー溶接装置の制御構成図である。このレーザー溶接装置10は、レーザー光(第1のレーザー光)LB1を発生する第1のレーザー照射手段としての第1のレーザーヘッド1と、レーザー光(第2のレーザー光)LB2を発生する第2のレーザー照射手段としての第2のレーザーヘッド2と、第1のレーザーヘッド1からのレーザー光被照射部位L1の後方にフィラーワイヤXを供給するワイヤ供給装置3と、フィラーワイヤXを所定温度に加熱するワイヤ加熱装置4と、レーザーヘッド1、2及びワイヤ供給装置3を支持すると共にワークWに対して相対的に移動させるアーム型の溶接ロボット5とを有している。なお、図1では、溶接ロボット5のロボットアーム51の先端のみが示されている。
本実施形態では、ワークWとしては、上下に重ね合わされた平板状の二枚の金属板W1、W2を一例として示している。二枚の金属板W1、W2は、複数のクランプ治具7によって把持されているが、金属板W1、W2の精度上、対向する面の間には隙間Zが形成されている。
第1のレーザーヘッド1は、例えばYAGレーザー、炭酸ガスレーザー等の高出力レーザーを利用して構成され、エネルギー密度が高くキーホール型の深い溶融部を形成可能なレーザー光LB1を照射することができるようになっている。また、第1のレーザーヘッド1は、レーザー出力及びレーザー光LB1の焦点位置が可変に構成されているが、本実施形態ではレーザー光LB1の焦点位置は下側の金属板W2の下面に設定されている。
第2のレーザーヘッド2は、半導体レーザーを利用して構成され、第1のレーザー光LB1よりもエネルギー密度が低く熱伝導型の浅い溶融部を形成可能な半導体レーザー光LB2を照射することができるようになっている。第2のレーザーヘッド2もまた、レーザー出力及びレーザー光LB2の焦点位置が可変に構成されているが、本実施形態ではレーザー光LB2の焦点位置は上側の金属板W1の上面に設定されている。
第1のレーザーヘッド1と第2のレーザーヘッド2とはともに、ロボットアーム51の先端に取付ブラケット52を介して取り付けられている。この取付ブラケット52は、平面状に形成されるとともにロボットアーム51に沿って延びるように形成されており、取付ブラケット52の溶接進行方向前方側に第1のレーザーヘッド1が取り付けられ、取付ブラケット52の溶接進行方向後方側に第2のレーザーヘッド2が取り付けられている。
ワイヤ供給装置3は、第1のレーザー光LB1よりも溶接進行方向後方側において第1のレーザー光LB1の被照射部位L1の近傍に配置されたワイヤ供給ノズル31と、ワイヤ供給モータ33(図2参照)により駆動され、フィラーワイヤXが巻回された図示しないワイヤロールより繰り出されたフィラーワイヤXをワイヤ供給ノズル31まで誘導するチューブ32とを有している。ワイヤ供給モータ33は、回転速度の制御が可能なサーボモータにより構成され、これにより、被溶接部位へのフィラーワイヤXの供給量が調整可能になっている。
ワイヤ供給ノズル31もまた、ロボットアーム51の先端に取付ブラケット52を介して取り付けられている。具体的には、ワイヤ供給ノズル31は、第1のレーザーヘッド1の溶接進行方向後方側且つ第2のレーザーヘッド2の溶接進行方向前方側において取付ブラケット52に取り付けられている。
このようにして、第1のレーザーヘッド1、第2のレーザーヘッド2及びワイヤ供給ノズル31がロボットアーム51の先端に取り付けられ、ワイヤ供給ノズル31は、第1のレーザーヘッド2のレーザー光LB1の溶接進行方向後方側からフィラーワイヤXを供給することができるようになっているとともに、第2のレーザーヘッド2は、第1のレーザー光LB1に追随して第2のレーザー光LB2を照射することができるようになっている。
また、第1のレーザーヘッド1、第2のレーザーヘッド2及びワイヤ供給ノズル31は、第1のレーザーヘッド1から照射されるレーザー光LB1の中心LB1c、第2のレーザーヘッド2から照射される第2のレーザー光LB2の中心LB2c及びワイヤ供給ノズル31から供給されるフィラーワイヤXがともに溶接経路Rに沿って移動するように位置調整されるとともに、後述する図4に示すように、第2のレーザーヘッド2は、第1のレーザー光LB1によって形成される溶融池WYの溶接進行方向後方に溶融金属Wy、Wy’が凝固して形成されるビード部WBに第2のレーザー光LB2を照射することができるように位置調整されている。
ワイヤ加熱装置4は、フィラーワイヤXに通電することにより、該ワイヤXに生じるジュール熱で該ワイヤXを加熱するものであり、加熱電源装置41と、該加熱電源装置41とワイヤ供給ノズル31とを接続するノズル接続ケーブル42と、該加熱電源装置41とクランプ治具7とを接続する、すなわち加熱電源装置41と金属板W1、W2とを接続する金属板接続ケーブル43とを有し、加熱電源装置41から流れる電流が、ノズル接続ケーブル42、ワイヤ供給ノズル31、フィラーワイヤX、金属板W1、W2、クランプ治具7、金属板接続ケーブル43を介して加熱電源装置41に戻るようになっている。なお、逆回りに電流が流れるように構成してももちろんよい。
ここで、前記所定温度は、フィラーワイヤXの端部が、後述する図3に示す溶融池WYに供給されたときに、ワイヤ加熱装置4による熱と溶融池WYの熱とで溶融する温度に設定されている。フィラーワイヤXを所定温度に加熱するための電流値については実験等を行って導けばよい。
レーザー溶接装置10にはさらに、溶融池WYの溶接進行方向後方に形成されるビード部WBを上側の金属板W1の上方側から撮像する撮像手段としての撮像装置6が備えられている。撮像装置6は、例えばCCDカメラなどによって所定周期毎に画像を取得可能に構成されており、撮像装置6は、第2のレーザーヘッド2からの第2のレーザー光被照射部位L2の溶接進行方向前方側においてビード部WBを撮像することができるようになっている。
また、レーザー溶接装置10には、図2に示すように、第1のレーザーヘッド1、第2のレーザーヘッド2、ワイヤ供給装置3のワイヤ供給モータ33、ワイヤ加熱装置4及び溶接ロボット5の作動など、レーザー溶接装置10に関係する構成を総合的に制御するコントロールユニット60が備えられている。
このコントロールユニット60は、撮像装置6によって撮像されたビード部WBの形状に基づいて、上側の金属板W1の上面からのビード部WBの高さを算出するビード部高さ算出手段としてのビード部高さ算出部61と、該ビード部高さ算出部61によって算出されたビード部WBの高さが予め設定された所定高さ以上であるか否かを判定するビード部高さ判定手段としてのビード部高さ判定部62とを備え、該ビード部高さ判定部62によってビード部WBの高さが所定高さ以上であると判定された場合に第2のレーザーヘッド2の作動を制御し、第2のレーザー光LB2を照射することができるようになっている。なお、コントロールユニット60は、例えばマイクロコンピュータを主要部として構成されている。
このようにして構成されるレーザー溶接装置10を用いてレーザー溶接する際には、図1に示すように、先ず、平板状の二枚の金属板W1、W2を上下に重ね合わせた状態で二枚の金属板W1、W2を所定位置においてクランプ治具7によって把持する。この二枚の金属板W1、W2の対向する面の間には、前述したように隙間Zが生じている。
そして、二枚の金属板W1、W2のうち上側の金属板W1表面に向けて第1のレーザー光LB1を照射しつつ該第1のレーザー光LB1を溶接経路に沿ってこれら二枚の金属板W1、W2に対して相対的に移動させ、これにより、上下の金属板W1、W2の第1のレーザー光被照射部位L1を溶融させて上下の金属板W1、W2の溶融金属が貯留されてなる溶融池を形成する。そして、溶融池の熱とで溶融するように加熱されたフィラーワイヤXを第1のレーザー光LB1よりも溶接進行方向後方側から溶融池に供給し、これにより、フィラーワイヤXを溶融させて溶融池に溶融金属を追加供給する。
図3は、前記レーザー溶接装置によってレーザー溶接中にある二枚の金属板の第1のレーザー光被照射部位及びその近傍の状態を示す図であり、図3の(a)は、第1の金属板の第1のレーザー光被照射部位及びその近傍の状態を示す平面図、図3の(b)は、図3(a)のY3b−Y3b線に沿った断面図である。なお、第2のレーザー光LB2は、後述するように、溶融金属が凝固して形成されるビード部WBの高さが所定高さ以上である場合に照射されるものであり、図3では、第2のレーザーヘッド2からレーザー光LB2が照射されていない状態が示されている。
図3を参照しつつ詳しく説明すると、先ず、溶接経路Rにおける第1のレーザー光LB1の中心LB1cの前方近傍では、上側の金属板W1における第1のレーザー光LB1の中心LB1c近傍の金属が溶融され、溶融金属Wyが生成され、溶融金属Wyの周囲には、該溶融金属Wyから伝達される熱により金属組織変化が生じた熱影響部WC(後述する図5参照)が生じている。第1のレーザー光LB1が照射される第1のレーザー光被照射部位L1は、第1のレーザー光LB1により金属がプラズマ状態となり、その圧力により溶融金属Wyを周囲に押しやってキーホールWKが形成されている。
溶接経路Rにおける第1のレーザー光中心LB1c位置では、キーホールWKは、上側の金属板W1を貫通して下側の金属板W2に達している。そして、下側の金属板W2においても、第1のレーザー光中心LB1c近傍の金属が溶融されて溶融金属Wyが生成され、下側の金属板W2の溶融金属Wyの周囲にも熱影響部が生じている。また、上側の金属板W1の溶融金属Wyは、重力により下側の金属板W2側に垂下し始めている。
溶接経路Rにおける第1のレーザー光中心LB1cの後方近傍では、上側の金属板W1の溶融金属Wyが重力により下方へ垂下し、溶融経路Rにおける第1のレーザー光中心LB1cよりも後方位置においては、溶融金属Wyが、先に形成されていたキーホールWKに運ばれ、溶融金属Wyが貯留されてなる溶融池WYが上側の金属板W1の上面から下側の金属板W2の下面にわたって形成されている。
本実施形態では、溶融池WYの熱とで溶融するように加熱されたフィラーワイヤXが、第1のレーザー光LB1よりも溶接進行方向後方側から溶融池WYに供給され、フィラーワイヤXが溶融して溶融金属Wy’が生成される。そして、この新たに生成された溶融金属Wy’が溶融池WY内に供給されることにより、もとから存在していた溶融池WY内の溶融金属Wyが点線の矢印で示すように下方へ押しやられて、該溶融金属Wyの隙間Zを超えた下方への垂下が促進され、上側の金属板W1と下側の金属板W2とが溶融金属Wyにより連結されることとなる。
そして、溶接経路Rにおける第1のレーザー光中心LB1cよりもさらに後方位置においては、溶融池WYの溶融金属Wy、Wy’が下側から凝固し始め、さらに後方においては、溶融池WYの溶融金属Wy、Wy’が上から下まで全て凝固し、非溶融状態のビード部WBが形成されることとなる。また、このビード部WBの幅方向両側には、上下の金属板W1、W2のそれぞれに熱影響部WCが存在している。
ここで、溶融池WYへのフィラーワイヤXの供給についてさらに説明すると、図3に示すように、フィラーワイヤXは、溶接経路Rに沿って溶融池WYに供給されるとともに、矢印βで示すように前下がりに傾斜した状態で溶融池WY内に進入するように供給される。より詳しくは、フィラーワイヤXは、溶融池WYに対するフィラーワイヤXの進入位置、すなわちフィラーワイヤXが溶融池WYの上面と交差する溶接進行方向前端位置Xpが、第1のレーザー光中心LB1cから溶接経路R後方の距離Dとなるように供給される。なお、本実施形態では、フィラーワイヤXの進入位置Xpが、例えば距離Dが第1のレーザー光LB1のビーム径の2倍となるように設定される。
このようにして、フィラーワイヤXを供給しながら二枚の金属板W1、W2をレーザー溶接することにより、金属板W1、W2の溶融金属WyにフィラーワイヤXの溶融金属Wy’を加えて溶融金属量を増大させることができるとともに、溶融池WY内へのフィラーワイヤXの進入によって上側の金属板W1の溶融金属Wyの下方への垂下を促進させることができ、二枚の金属板W1、W2間に比較的大きい隙間Zが生じている場合においても、上下の金属板W1、W2を良好に連結させることができる。
また、本実施形態では、レーザー溶接装置10に、ビード部WBを撮像する撮像装置6が備えられており、レーザー溶接中に第2のレーザー光被照射部位L2よりも溶接進行方向前方側においてビード部WBが撮像され、この撮像された画像がビード部高さ算出部61に入力され、ビード部高さ算出部61において、入力されたビード部WBの画像から上側の金属板W1の上面からのビード部WBの高さが算出され、ビード部高さ判定部62において、この算出されたビード部WBの高さが予め設定された所定高さ以上であるか否かが判定される。
図3に示すように、ビード部WBが上側の金属板W1の上面から突出して形成されていない場合など、ビード部高さ判定部62において、ビード部高さ算出部61で算出されたビード部WBの高さが所定高さ以上ではないと判定されると、第2のレーザーヘッドから第2のレーザー光LB2は照射されない。
しかしながら、二枚の金属板W1、W2の対向する面の間に生じた隙間Zが予想以上に少ない場合など、ビード部高さ判定部62において、ビード部高さ算出部61で算出されたビード部WBの高さが予め設定された所定高さ以上であると判定されると、第2のレーザーヘッド2から第2のレーザー光LB2が照射される。
図4は、二枚の金属板間の隙間が少ない部分をレーザー溶接中にある二枚の金属板のレーザー光被照射部位及びその近傍の状態を示す図であり、図5は、図4のY5a−Y5a線、Y5b−Y5b線及びY5c−Y5c線に沿った断面図である。図4に示すように、二枚の金属板W1、W2の対向する面の間の隙間Zが少ない部分をレーザー溶接中に、溶融池WYの溶接進行方向後方側に形成されるビード部WBが上側の金属板W1の上面から突出して形成される場合がある。
このように、レーザー溶接中に溶融池WYの溶接進行方向後方側に形成されるビード部WBが上側の金属板W1の上面から突出して形成された場合に、ビード部高さ判定部62において、ビード部高さ算出部61で算出されたビード部WBの高さが所定高さ以上であると判定されると、第2のレーザーヘッド2の作動を制御して第2のレーザー光LB2が照射される。
図5(a)に示すように、第2のレーザーヘッド2から第2のレーザー光LB2が照射される被照射部位L2の溶接進行方向前方側において、上側の金属板W1からのビード部WBの高さH1が予め設定された所定高さ以上であると判定されると、図5(b)に示すように、第2のレーザー光LB2が照射される。この第2のレーザー光LB2は、ビード部WBの表面を溶融させるようにビード部WBに向けて照射され、例えばビード部WBの表面とビード部WBの幅方向両側に位置する上側の金属板W1の熱影響部WCの表面とが照射されるなど、ビード部WBの表面と該ビード部WBの幅方向両側に位置する上側の金属板W1の表面とに照射される。
これにより、上側の金属板W1の上面から突出して形成されたビード部WBの表面と該ビード部WBの幅方向両側に位置する上側の金属板W1の表面とが溶融され、図5(c)に示すように、ビード部WB表面の溶融金属がビード部WBの幅方向外方側に変位させられ、ビード部WBを扁平化することができる。
このようにして、第2のレーザー光LB2を照射することにより、ビード部WBが上側の金属板W1の上面から突出して形成される場合においても、ビード部WB表面の溶融金属をビード部WBの幅方向外方側に変位させ、ビード部WBの幅を大きくしてビード部WBの高さをH1からH2に低減することができ、ビード部WBの高さが過大になることを防止することができる。また、ビード部WB表面の溶融金属をビード部WBの幅方向外方側に変位させることで、図5(a)及び図5(c)に示すように、ビード部WBの両端部においてビード部WBの表面と上側の金属板W1とのなす角度をθ1からθ2に大きくすることができる。
このように、本実施形態においては、第1のレーザー光LB1によって形成された溶融池WYに第1のレーザー光LB1よりも溶接進行方向後方側からフィラーワイヤXを供給しながらレーザー溶接する際に、第1のレーザー光LB1に追随しつつ溶融池WYの溶接進行方向後方に形成されるビード部WBの表面を溶融させるように第2のレーザー光LBB2が照射されるので、ビード部WBが金属板W1の上面から過大に盛り上がって形成される場合においても、第2のレーザー光LB2によってビード部WBの表面を溶融させてビード部WB表面の溶融部分をビード部WBの幅方向外方側に変位させ、ビード部WBを扁平化することができる。これにより、ビード部WBの高さを低減することができ、ビード部WBの高さが過大となることを防止することができる。したがって、ビード部WBが形成された部分に他の部品が組み付けられる場合にはビード部WBが他の部品との組み付けを阻害することを抑制することができ、また、ビード部WBの両端部に応力が集中し亀裂が生じることを抑制することができ、溶接部の溶接品質を向上させることができる。
また、ビード部WBとビード部WBの幅方向両端近傍に位置する上側の金属板W1との表面に第2のレーザー光LB2が照射されるので、ビード部WBの幅方向両端近傍に位置する上側の金属板W1も溶融させ、ビード部WB表面の溶融部分がビード部WBの幅方向外方側に変位することを促進させることができ、前記効果をより有効に奏することができる。
更に、撮像装置6によって撮像されたビード部WBの形状に基づいて、上側の金属板W1からのビード部WBの高さが算出され、算出されたビード部WBの高さが所定高さ以上である場合に第2のレーザー光LB2が照射されるので、前記効果をより有効に奏することができる。
なお、本発明は、例示された実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能であることは言うまでもない。
本発明は、フィラーワイヤを供給しながら上下に重ね合わせられた二枚の金属板をレーザー溶接する場合に、ビード部の高さが過大になることを防止することができるレーザー溶接装置を提供することができ、自動車産業の他、二枚の金属板の溶接が必要となる産業において広く利用される可能性がある。
1 第1のレーザーヘッド
2 第2のレーザーヘッド
3 ワイヤ供給装置
6 撮像装置
10 レーザー溶接装置
60 コントロールユニット
61 ビード部高さ算出部
62 ビード部高さ判定部
LB1 第1のレーザー光
LB2 第2のレーザー光
R 溶接経路
W1、W2 金属板
WK キーホール
Wy、Wy’ 溶融金属
WY 溶融池
X フィラーワイヤ

Claims (3)

  1. フィラーワイヤを供給しながら上下に重ね合わせられた二枚の金属板をレーザー溶接するレーザー溶接装置であって、
    前記二枚の金属板のうち上側の金属板表面に向けて第1のレーザー光を照射しつつ該第1のレーザー光を所定の溶接経路に沿って前記二枚の金属板に対して相対的に移動し、該第1のレーザー光によって前記金属板を溶融させて溶融金属が貯留されてなる溶融池を形成する第1のレーザー照射手段と、
    該第1のレーザー照射手段によって形成される前記溶融池に前記第1のレーザー光よりも溶接進行方向後方側からフィラーワイヤを供給するワイヤ供給手段と、
    前記第1のレーザー光に追随しつつ、前記溶融池の溶接進行方向後方に溶融金属が凝固して形成されるビード部の表面を溶融させるように第2のレーザー光を照射する第2のレーザー照射手段と、
    前記ビード部を撮像する撮像手段と、
    該撮像手段によって撮像された前記ビード部の形状に基づいて、前記上側の金属板からの前記ビード部の高さを算出するビード部高さ算出手段と、
    前記ビード部高さ算出手段によって算出された前記ビード部の高さが所定高さ以上であるか否かを判定するビード部高さ判定手段とを備え、
    前記第2のレーザー照射手段は、前記ビード部高さ判定手段によって前記ビード部の高さが所定高さ以上であると判定された場合に前記第2のレーザー光を照射する、
    ことを特徴とするレーザー溶接装置。
  2. 前記請求項1に記載のレーザー溶接装置において、
    前記第2のレーザー照射手段は、前記ビード部の表面と該ビード部の幅方向両端近傍に位置する前記上側の金属板の表面とに前記第2のレーザー光を照射する、
    ことを特徴とするレーザー溶接装置。
  3. 前記請求項1または前記請求項2に記載のレーザー溶接装置において、
    前記第2のレーザー照射手段は、前記第2のレーザー光として半導体レーザー光を照射する、
    ことを特徴とするレーザー溶接装置。
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