JP2010234374A - レーザー溶接方法及びレーザー溶接装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】上下に重ね合わされた状態で対向する面の間に隙間が生じた平板状の二枚の金属板のレーザー溶接において、フィラーワイヤを利用してレーザー溶接を行う場合に、上側の金属板の溶融が不十分になるのを防止し、もって上下の金属板を良好に連結させることができるレーザー溶接方法等を提供する。
【解決手段】上側の金属板W1表面に向けてレーザー光LBを照射しつつ該レーザー光LBを金属板W1,W2に対して相対的に移動させ、溶融穴部WKを形成させると共にその溶接経路R後方に溶融池WYを形成する。フィラーワイヤXを、溶融池WYの熱とで溶融可能なように加熱し、端部が溶融池WYに接触するようにレーザー光被照射部Lよりも後方の位置から供給する。ワイヤXの端部が溶融池WYに接触したときに生成される溶融金属Wy′により、溶融池WYの溶融金属Wyの隙間Zを越えた下方への垂下を促進させる。
【選択図】図3

Description

本発明は、上下に重ね合わされた平板状の二枚の金属板のレーザー溶接方法及びレーザー溶接装置に関する。
近年、上下に重ね合わされた平板状の二枚の金属板の溶接方法として、レーザー溶接が利用されつつある。このレーザー溶接は、二枚の金属板の上側の金属板表面に向けてレーザー光を照射しつつ該レーザー光を所定の溶接経路に沿ってこれら二枚の金属板に対して移動させることにより、上下の金属板のレーザー光被照射部位を溶融させて線状の溶接ビードを形成させるものである。
その場合に、二枚の金属板における対向する面は一般に完全な平面ではないので、二枚の金属板間には隙間が生じると共に、その隙間の大きさも溶接経路上において一様でなく、その結果、例えば隙間が大きい箇所において上側金属板の溶融金属が隙間を越えて下側金属板に接触する状態まで垂下せず、上下の金属板が連結されない溶接不良を生じることがあった。
この問題に対処可能な技術として、特許文献1には、レーザー光の被照射部位にその移動に端部が追随するようにフィラーワイヤを供給することにより、金属板だけでなくフィラーワイヤを溶融させて、すなわち溶融金属を増加させて、該溶融金属が隙間を越えて下側金属板に接触する状態まで垂下しやすくし、これにより上下の金属板が連結されない溶接不良を防止するようにした技術が開示されている。
特開2006−159234号公報
ところで、前記特許文献1に記載のもののようにフィラーワイヤをレーザー光で溶融させるように構成した場合、例えばフィラーワイヤの溶融にレーザーのエネルギーが消費されて上側の金属板の溶融が不十分になり、その結果、フィラーワイヤ及び上側金属板の溶融金属が下方へ垂下できず、上下の金属板が溶融金属により連結されない場合があった。
そこで、本発明は、フィラーワイヤを利用してレーザー溶接を行う場合に、上側の金属板の溶融が不十分になるのを防止し、もって上下の金属板を良好に連結させることができるレーザー溶接方法及びレーザー溶接装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明は、次のように構成したことを特徴とする。
まず、本願の請求項1に記載の発明は、上下に重ね合わされた状態で対向する面の間に隙間が生じた平板状の二枚の金属板のレーザー溶接方法であって、上側の金属板表面に向けてレーザー光を照射しつつ該レーザー光を所定の溶接経路に沿ってこれら二枚の金属板に対して相対的に移動させることにより、上側の金属板のレーザー光被照射部位を溶融させて上下に貫通する溶融穴部を形成させると共にこれらの溶融金属が前記溶融穴部に貯留されてなる溶融池を前記溶融穴部の溶接経路後方に形成する溶融工程と、フィラーワイヤを前記溶融池の熱とで溶融可能なように加熱するフィラーワイヤ加熱工程と、該フィラーワイヤ加熱工程で加熱されたフィラーワイヤを、端部が前記溶融池に接触するように前記レーザー光被照射部位よりも後方の位置から供給するフィラーワイヤ供給工程とを有し、該フィラーワイヤの端部が前記溶融池に接触したときに生成される溶融金属により、前記溶融池の溶融金属の前記隙間を越えた下方への垂下を促進させることを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載のレーザー溶接方法において、前記フィラーワイヤ供給工程では、前記フィラーワイヤを、端部が前記溶融池における前記溶融穴部の後方近傍部位に接触するように供給することを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、前記請求項1または請求項2に記載のレーザー溶接方法において、前記フィラーワイヤ供給工程では、前記フィラーワイヤを、端部側が前記溶接経路に沿いかつ前下がりに傾斜した状態で前記溶融池に接触するように供給することを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、上下に重ね合わされた状態で対向する面の間に隙間が生じた平板状の二枚の金属板のレーザー溶接装置であって、上側の金属板表面に向けてレーザー光を照射しつつ該レーザー光を所定の溶接経路に沿ってこれら二枚の金属板に対して相対的に移動させることにより、上側の金属板のレーザー光被照射部位を溶融させて上下に貫通する溶融穴部を形成させると共にこれらの溶融金属が前記溶融穴部に貯留されてなる溶融池を前記溶融穴部の溶接経路後方に形成する溶融手段と、フィラーワイヤを前記溶融池の熱とで溶融可能なように加熱するフィラーワイヤ加熱手段と、該フィラーワイヤ加熱手段で加熱されたフィラーワイヤを端部が前記溶融池に接触するように前記レーザー光被照射部位よりも後方の位置から供給するフィラーワイヤ供給手段とを有し、該フィラーワイヤの端部が前記溶融池に接触したときに生成される溶融金属により、前記溶融池の溶融金属の前記隙間を越えた下方への垂下を促進させることを特徴とする。
次に、本発明の効果について説明する。
まず、請求項1に記載の発明によれば、上下に重ね合わされた状態で対向する面の間に隙間が生じた平板状の二枚の金属板のうちの上側の金属板表面に向けてレーザー光が照射されつつ該レーザー光が所定の溶接経路に沿ってこれら二枚の金属板に対して相対的に移動し、これにより、上側の金属板のレーザー光被照射部位が溶融して上下に貫通する溶融穴部が形成されると共に、これらの溶融金属が前記溶融穴部に貯留されてなる溶融池が溶接経路後方に形成される。
その場合に、本発明においては、フィラーワイヤは、前記溶融池の熱とで溶融するように加熱された状態でレーザー光被照射部位の後方から端部が前記溶融池に接触するように供給されることにより、レーザー光でなく溶融池との接触により溶融することとなる。したがって、レーザー光のエネルギーが、フィラーワイヤの溶融に消費されずに専ら金属板の溶融に利用されることとなって、上側の金属板の溶融穴部の形成が安定することとなる。つまり、上側の金属板及びフィラーワイヤの溶融金属を下側金属板側へ垂下可能とさせるための構造が安定して形成されることとなる。しかも、溶融池との接触により生成されたフィラーワイヤの溶融金属によりもともと溶融池内に存在していた溶融金属が下方に押しやられることとなるので、溶融池の溶融金属の前記隙間を越えた下方への垂下が促進され、もって上下の金属板が安定して良好に連結されることとなる。
また、請求項2に記載の発明によれば、前記フィラーワイヤを端部が前記溶融池における前記溶融穴部の後方近傍部位に接触するように供給するから、ワイヤが溶融池の中でも特に高温な溶融金属に接触することとなる。したがって、該ワイヤの端部が良好に溶融することとなる。
また、請求項3に記載の発明によれば、前記フィラーワイヤ供給工程では、前記フィラーワイヤは、端部側が前記溶接経路に沿いかつ前下がりに傾斜した状態で前記溶融池に接触するように供給されるから、何等かの原因によりフィラーワイヤの端部が溶融池において溶融しなかった場合には、該端部はレーザー光の被照射部位に達し、レーザー光の照射により溶融されることとなる。すなわち、万一フィラーワイヤの端部が溶融池において溶融しなかった場合でも、フィラーワイヤが溶融しないのが防止されることとなる。
また、請求項4に記載の発明によれば、レーザー溶接装置において請求項1に記載の作用、効果が得られることとなる。
本発明の第1の実施の形態に係るレーザー溶接装置の外観斜視図である。 二枚の金属板の溶接部の断面写真である。 レーザー溶接中における金属板のレーザー光被照射部位及びその近傍の状態を示す斜視図である。 (a):レーザー溶接中における金属板のレーザー光被照射部位及びその近傍の状態を示す平面図である。(b):(a)図のA−A断面図である。 (a):図4(b)のB−B断面図、(b):図4(b)のC−C断面図、(c):図4(b)のD−D断面図、(d):図4(b)のE−E断面図、(e):図4(b)のF−F断面図、(f):図4(b)のG−G断面図である。
以下、本発明の実施の形態に係るレーザー溶接方法、及びレーザー溶接装置について説明する。
図1は、本実施の形態に係るレーザー溶接装置1の外観斜視図である。このレーザー溶接装置1は、レーザー光LB(レーザービーム)を発生するレーザーヘッド2と、該レーザーヘッド2からのレーザー光被照射位Lの後方にフィラーワイヤXを供給するフィラーワイヤ供給装置3と、レーザーヘッド2及びフィラーワイヤ供給装置3を支持すると共にワークWに対して移動させる移動装置4とを有している。なお、ワークWとしては、互いに逆方向に膨らんでフランジ同士が上下に重ね合わされた断面ハット状の金属板W1,W2を一例として示している。金属板W1,W2のフランジは複数のクランプ5…5により把持されているが、金属板W1,W2の精度上、対向する面の間に隙間Zが生じている。
レーザーヘッド2は、例えばYAGレーザー、炭酸ガスレーザー等の高出力レーザーを利用して構成されていると共に、レーザー出力が可変とされている。レーザー光の焦点位置は可変であるが、本実施の形態においては上側金属板W1の上面に設定されている。
フィラーワイヤ供給装置3は、レーザー光LBの被照射部位Lの近傍に配置されたワイヤ供給ノズル11と、フィラーワイヤXが巻回されたワイヤロール12と、モータ(図示せず)により駆動され、該ワイヤロール12からフィラーワイヤXを繰り出す繰り出しローラ13と、該繰り出しローラ13とワイヤ供給ノズル11との間に設けられ、前記繰り出しローラ13により繰り出されたフィラーワイヤXを前記ノズル11まで誘導するチューブ14とを有している。モータは、回転速度の制御が可能なサーボモータにより構成され、これにより、被溶接部位へのワイヤXの供給量が調整可能になっている。
移動装置4は、前記レーザーヘッド2及びフィラーワイヤ供給装置3が取り付けられた支持部材21と、該支持部材21の下端部に取り付けられた台状部材22と、工場床等に配設され、前記台状部材を摺動可能に支持するレール部材23と、前記台状部材22をレール部材23に沿って移動させる移動機構(図示せず)とを有している。このように移動させる移動機構は公知のものにより種々構成可能であり説明は省略するが、駆動源は回転速度の制御が可能なサーボモータ(図示せず)により構成され、これによりレーザーヘッド11及びフィラーワイヤ供給装置3のワークWに対する移動速度が調整可能になっている。
また、レーザー溶接装置1は、フィラーワイヤXを所定温度に加熱するフィラーワイヤ加熱装置6を有している。このフィラーワイヤ加熱装置6は、フィラーワイヤXに通電することにより、該ワイヤXに生じるジュール熱で該ワイヤXを加熱するものであり、加熱電源装置31と、該加熱電源装置31と前記ワイヤ供給ノズル11とを接続するノズル接続ケーブル32と、該加熱電源装置31と前記複数のクランプ5…5の一つとを接続するクランプ接続ケーブル33とを有し、加熱電源装置31から流れる電流が、ノズル接続ケーブル32、ノズル11、フィラーワイヤX、金属板W1,W2、クランプ5、クランプ接続ケーブル33を介して加熱電源装置31に戻るようになっている。なお、逆回りに電流が流れるように構成してももちろんよい。ここで、前記所定温度は、フィラーワイヤXの端部が後述する溶融池WYに接触したときに該溶融池WY(溶融金属Wy)の熱とで溶融する温度に設定されている。フィラーワイヤXを所定温度に加熱するための電流値については実験等を行って導けばよい。
図2は、隙間Zが生じた二枚の金属板W1,W2をフィラーワイヤXを供給しながら溶接した場合に、良好な溶接強度が得られたワークについての幅方向断面写真(一例)である。この写真からわかるように、二枚の金属板W1,W2は溶融金属Wyが固化して形成されたビードWBを介して連結される。また、このビードWBの幅方向左右には、上下の金属板W1,W2のそれぞれに金属組織変化が生じた熱影響部WC1,WC2(ビードWBの左右において白っぽく変色している間の部分)が存在している。なお、図3は、一例であり、上下の金属板W1,W2の板厚がそれぞれ1.6mm、隙間Zが1.3mmのものである。
ここで、このような構造は、レーザー光LBにより溶融された上側の金属板W1及びフィラーワイヤXの溶融金属が、下側金属板W2まで垂下して上下の金属板W1,W2を連結し、この溶融金属が冷却、固化してビードWBを形成することにより形成される。また、熱影響部WC1,WC2は、溶融金属の熱が金属板W1,W2の幅方向に伝達されることにより形成される。
ところで、本願発明者の知見によれば、発明が解決しようとする課題の欄において説明したように、フィラーワイヤをレーザー光で溶融させるように構成した場合、フィラーワイヤの溶融にレーザーのエネルギーが消費されて例えば上側の金属板の溶融が不十分になり、その結果、フィラーワイヤの溶融金属も下方へ垂下できず、上下の金属板が溶融金属により良好に連結されないことがある。そこで、本実施の形態においては、フィラーワイヤをレーザー光で溶融させるのでなく、以下のような方法により溶融させるようにしている。
まず、図3により溶接方法の概要について説明すると、上下に重ね合わされた状態で対向する面の間に隙間Zが生じた平板状の二枚の金属板W1,W2のうちの上側の金属板W1表面に向けてレーザー光LBを照射しつつ該レーザー光LBを溶接経路Rに沿ってこれら二枚の金属W1,W2板に対して相対的に移動させ、これにより、上側の金属板W1のレーザー光被照射部位Lを溶融させて上下に貫通する溶融穴部WKを形成すると共に、これらの溶融金属が先に形成された溶融穴部に貯留されてなる溶融池WYを溶接経路R後方に形成させる。そして、溶融池WYの熱とで溶融するように加熱されたフィラーワイヤXを、端部が前記溶融池WYにおける溶融穴部WKの後方近傍部位(該部位の具体的な位置については後述する)に接触するように該溶融池WYの後方から供給し、これにより、フィラーワイヤXの端部を溶融させて溶融池WYに溶融金属を追加供給する。
図4、図5を参照しつつ詳しく説明すると、まず、図4(a),(b)、図5(a)に示すように、溶接経路Rにおけるレーザー光LBの中心LBcの前方近傍では、上側の金属板W1におけるレーザー光中心LBc近傍の金属が溶融され、溶融金属Wyが生成されている。また、溶融金属Wyの周囲には、該溶融金属Wyから伝達される熱により金属組織変化が生じた熱影響部WC1が生じている。WKは、レーザー光LBにより金属がプラズマ状態となり、その圧力により溶融金属Wyを周囲に押しやって形成された溶融穴部(キーホール)であり、この図にはその前部があらわれている。
図4(b)、図5(b)に示すように、溶接経路Rにおけるレーザー光中心LBc位置においては、溶融穴部WKは上側の金属板W1を貫通して下側の金属板W2に達している。そして、下側の金属板W2においても、レーザー光中心LBc近傍の金属が溶融され、溶融金属Wyが生成されている。上側の金属板W1の溶融金属Wyは重力により下側金属板W2側へ垂下し始めている。下側金属板W2の溶融金属Wyの周囲に熱影響部WC2が生じている。
図4(b)、図5(c)に示すように、溶接経路Rにおけるレーザー光中心LBcの後方近傍では、上側金属板W1の溶融金属Wyが重力によりさらに下方へ垂下しているものの、溶融金属Wyには表面張力により塊化作用が生じているので、上側金属板W1と下側金属板W2とが連結されるに至っていない。
図4(b)、図5(d)に示すように、溶接経路Rにおけるレーザー光中心LBcよりも後方位置においては、溶融金属Wyが、先に形成されていた溶融穴部に貯留されることにより溶融池WYが形成されている。
また、この図4(b)、図5(d)に示すように、本実施の形態においては、前述のように溶融池WYの熱とで溶融するように加熱されたフィラーワイヤXが、溶融池WYの後方からその端部が該溶融池WYにおける溶融穴部WKの後方近傍部位に接触するように供給され、該ワイヤXの端部が溶融して溶融金属Wy′が生成される。そして、この新たに生成された溶融金属Wy′が溶融池WY内に供給されることにより、もとから存在していた溶融池WY内の溶融金属Wyが点線の矢印で示すように下方に押しやられて、該溶融金属Wyの隙間Zを越えた下方への垂下が促進され、上側の金属板W1と下側の金属板W2とが溶融金属Wy,Wy′により連結されることとなる。そして、図4(b)、図5(e)に示すように、溶接経路Rにおけるレーザー光中心LBcよりもさらに後方位置においては、溶融池WYの溶融金属Wyが下側から固化し始め、図5(f)に示すようには、さらに後方においては、溶融池WYの溶融金属が上から下まで全て固化し、図2に示すような断面の被溶接部が形成されることとなる。
ここで、フィラーワイヤXの供給条件等について詳しく説明すると、図3、図4(a),(b)に示すように、該フィラーワイヤXは、矢印β(図4(b)に記載)で示すように、端部側が溶接経路Rに沿いかつ前下がりに傾斜した状態で溶融池WYに接触するように供給される。より詳しくは、フィラーワイヤXにおける上側金属板W1の上面と交差する部位の前端位置が、レーザー光中心LBcから溶接経路R後方の距離Dxの位置となるように供給される。この距離Dxは、(1)フィラーワイヤXの端部側が上側金属板W1の上面位置においてレーザー光LBの照射を受けず、かつ(2)溶融穴部WKの後端位置が溶接中に多少変動した場合でも溶融池WY内にフィラーワイヤXの端部が接触し、さらに(3)レーザー光中心LBcからできるだけ近いという3条件を満たす距離に設定される。なお、この位置が、溶融池WYにおける溶融穴部WKの後方近傍部位を規定する位置である。本実施の形態においては、距離Dxは、例えばレーザー光LBのビーム径の2倍の距離に設定されている。
以上説明したように、本実施の形態によれば、フィラーワイヤXは、溶融池WYの熱とで溶融するように加熱された状態でレーザー光被照射部位Lの後方から端部が前記溶融池WYに接触するように供給されることにより、レーザー光LBでなく溶融池WYとの接触により溶融することとなる。したがって、レーザー光LBのエネルギーが、フィラーワイヤXの溶融に消費されずに専ら金属板の溶融に利用されることとなって、上側の金属板W1の溶融穴部WKの形成が安定することとなる。つまり、上側の金属板W1及びフィラーワイヤXの溶融金属Wy(Wy′)を下側金属板W2側へ垂下可能とさせるための構造が安定して形成されることとなる。しかも、溶融池WYとの接触により生成されたフィラーワイヤXの溶融金属Wy′により、もともと溶融池WY内に存在していた溶融金属Wyが下方に押しやられることとなるので、溶融池WYの溶融金属Wyの隙間Zを越えた下方への垂下が促進され、もって上下の金属板W1,W2が安定して良好に連結されることとなる。この溶融金属Wyの下方への垂下の促進の現象は、溶融金属Wyがコーキング材のように隙間Zに注入されてこれを満たすように移動するというように理解することもできる。
また、フィラーワイヤXを端部が前記溶融池WYにおける前記溶融穴部WKの後方近傍部位に接触するように供給するから、フィラーワイヤXが溶融池WYの中でも特に高温な溶融金属Wyに接触することとなる。したがって、該ワイヤXの端部が良好に溶融することとなる。
ところで、距離Dxを前述のように規定した場合、溶融穴部WKの後端が大きく後退した場合、溶融池WYにフィラーワイヤXの端部が接触しなくなって、溶融池WYとの熱での該ワイヤXの端部の溶融が不可能となるが、本実施の形態においては、フィラーワイヤXは、端部側が溶接経路Rに沿いかつ前下がりに傾斜した状態で溶融池WYに接触するように供給されるから、ワイヤXの端部が溶融池WYにおいて溶融されなかった場合には、端部はレーザー光LBの被照射部位Lに達し、レーザー光LBの照射により溶融されることとなる。すなわち、万一フィラーワイヤXの端部が溶融池WYにおいて溶融しなかった場合でも、フィラーワイヤXが溶融しないのが防止されることとなる。なお、図4(b)に示すように、レーザー光中心LBcとフィラーワイヤXの中心線Xcとの交差位置を、上側の金属板W1よりも下方となるように設定しておけば、レーザー光LBにより、上側の金属板W1の溶融を良好に行いつつフィラーワイヤXの溶融を行うことができる。
なお、本実施の形態においては、フィラーワイヤXを溶接経路Rに沿うようにかつ前下がりに傾斜させた状態でその端部を溶融池WYに接触させるようにしたが、請求項1、2、4に記載の発明は、レーザー光LBの被照射部位Lの後方において、溶接経路Rの側方から溶融池WYに接触させる場合を含む。また、3枚以上の金属板の溶接であっても、そのうちの2枚が接着されているか又は極めて小さい隙を有して接合されている場合には、この2枚と他の1枚による2枚の金属板の溶接として本発明を適用することができる。
本発明は、フィラーワイヤを利用してレーザー溶接を行う場合に、上側の金属板の溶融が不十分になるのを防止し、もって上下の金属板を良好に連結させることができるレーザー溶接方法及びレーザー溶接装置を提供することができ、自動車産業の他、二枚の金属板の溶接が必要となる産業において広く利用される可能性がある。
1 レーザー溶接装置(溶融手段)
3 フィラーワイヤ供給装置(フィラーワイヤ供給手段)
6 フィラーワイヤ加熱装置(フィラーワイヤ加熱手段)
L レーザー光被照射部位
LB レーザー光
R 溶接経路
X フィラーワイヤ
W1 上側の金属板
W2 下側の金属板
WK 溶融穴部
WY 溶融池
Wy 溶融金属
Z 隙間

Claims (4)

  1. 上下に重ね合わされた状態で対向する面の間に隙間が生じた平板状の二枚の金属板のレーザー溶接方法であって、
    上側の金属板表面に向けてレーザー光を照射しつつ該レーザー光を所定の溶接経路に沿ってこれら二枚の金属板に対して相対的に移動させることにより、上側の金属板のレーザー光被照射部位を溶融させて上下に貫通する溶融穴部を形成させると共にこれらの溶融金属が前記溶融穴部に貯留されてなる溶融池を前記溶融穴部の溶接経路後方に形成する溶融工程と、
    フィラーワイヤを前記溶融池の熱とで溶融可能なように加熱するフィラーワイヤ加熱工程と、
    該フィラーワイヤ加熱工程で加熱されたフィラーワイヤを、端部が前記溶融池に接触するように前記レーザー光被照射部位よりも後方の位置から供給するフィラーワイヤ供給工程とを有し、
    該フィラーワイヤの端部が前記溶融池に接触したときに生成される溶融金属により、前記溶融池の溶融金属の前記隙間を越えた下方への垂下を促進させることを特徴とするレーザー溶接方法。
  2. 前記請求項1に記載のレーザー溶接方法において、
    前記フィラーワイヤ供給工程では、前記フィラーワイヤを、端部が前記溶融池における前記溶融穴部の後方近傍部位に接触するように供給することを特徴とするレーザー溶接方法。
  3. 前記請求項1または請求項2に記載のレーザー溶接方法において、
    前記フィラーワイヤ供給工程では、前記フィラーワイヤを、端部側が前記溶接経路に沿いかつ前下がりに傾斜した状態で前記溶融池に接触するように供給することを特徴とするレーザー溶接方法。
  4. 上下に重ね合わされた状態で対向する面の間に隙間が生じた平板状の二枚の金属板のレーザー溶接装置であって、
    上側の金属板表面に向けてレーザー光を照射しつつ該レーザー光を所定の溶接経路に沿ってこれら二枚の金属板に対して相対的に移動させることにより、上側の金属板のレーザー光被照射部位を溶融させて上下に貫通する溶融穴部を形成させると共にこれらの溶融金属が前記溶融穴部に貯留されてなる溶融池を前記溶融穴部の溶接経路後方に形成する溶融手段と、
    フィラーワイヤを前記溶融池の熱とで溶融可能なように加熱するフィラーワイヤ加熱手段と、
    該フィラーワイヤ加熱手段で加熱されたフィラーワイヤを端部が前記溶融池に接触するように前記レーザー光被照射部位よりも後方の位置から供給するフィラーワイヤ供給手段とを有し、
    該フィラーワイヤの端部が前記溶融池に接触したときに生成される溶融金属により、前記溶融池の溶融金属の前記隙間を越えた下方への垂下を促進させることを特徴とするレーザー溶接装置。
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