JP5499557B2 - 動弁装置 - Google Patents

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Description

本発明は、オーバーヘッド・カムシャフト式またはダブル・オーバーヘッド・カムシャフト式の内燃機関の動弁装置に関する。
エンジン(内燃機関)の動弁系を構成する動弁装置にオーバーヘッド・カムシャフト式(SOHC:Single OverHead Camshaft、単にOHCとも言う。)およびダブル・オーバーヘッド・カムシャフト式(DOHC:Double OverHead Camshaft)がある。これらの動弁装置はシリンダヘッドに設けられる。動弁装置は、カムを有する吸気バルブ用カム軸または排気バルブ用カム軸と、回転するカム軸のカムによって揺動され吸気バルブまたは排気バルブを開閉(リフト)させる吸気バルブ用ロッカーアームまたは排気バルブ用ロッカーアームと、を備えたロッカーアーム方式のものが知られている。
従来のロッカーアームは、吸気バルブまたは排気バルブ(以下、いずれか一方または両方を「吸排気バルブ」と言う。)との接触面の形状に単一の半径をなす円弧形状が用いられる。このような従来のロッカーアームは、吸排気バルブとの接触点が吸排気バルブのリフト量に応じてバルブステムの長手軸に交わる方向に大きく移動する。この移動によって吸排気バルブは、バルブステムとバルブガイドとの寸法公差内で任意に傾いて倒れ込んでしまう。この吸排気バルブの倒れこみによって吸排気バルブの弁体およびシリンダヘッドの弁座は、相互に片当たりし偏摩耗を起こす虞がある。
そこで、吸排気バルブとの接触面の形状にインボリュート曲線を用いたロッカーアームが知られる(例えば、特許文献1参照)。このロッカーアームによれば、吸排気バルブとロッカーアームとの接触点は、吸排気バルブのリフト方向に直線的な軌跡を描く。これによって、吸排気バルブとロッカーアームとの接触点は、吸排気バルブのリフト量に係わらずバルブステムの長手軸中心に位置される。
特開平8−049510号公報
図15および図16は、単一の半径をなす円弧形状の接触面を有する従来のロッカーアームを示す概略図である。図15は、吸排気バルブが閉じた状態を示した図である。図16は、吸排気バルブが最大リフト位置に開いた状態を示した図である。
図15および図16に示すように、先ず、単一の半径をなす円弧形状の接触面を有する従来のロッカーアーム101は、揺動軸であるロッカーシャフト102に揺動自在に軸支される。ロッカーアーム101の揺動方向視において一方側にはカム103が配置され、ロッカーアーム101の揺動方向視において他方側には吸排気バルブ104が配置される。すなわち、ロッカーアーム101は、カム103およびバルブステム105に挟まれて配置される。ロッカーアーム101は、カム103の周面に摺接されたカム摺接部106と、バルブステム105の上部先端に設けられたシム107に摺接されたバルブ摺接部108と、を備える。
ロッカーシャフト102は、カム103のカムノーズ103aの回転軌跡Rc(図15および図16中、二点鎖線Rc)に対しロッカーアーム101が干渉しない程度の距離Dだけ離間させて配置される。
バルブ摺接部108は、単一の半径R1をなす円弧形状の接触面を有する。
カム103が回転しカムノーズ103aがロッカーアーム101を押し下げると、吸排気バルブ104は、最大リフト位置に開かれる。このとき、バルブ摺接部108の接触面の曲率中心Cは、ロッカーシャフト102の軸芯Crを中心とする半径Rrの円弧状の軌跡Lcを描く。また、ロッカーアーム101および吸排気バルブ104の接触点P、より詳しくはバルブ摺接部108およびシム107の接触点Pは、バルブステム105の長手軸方向中心Cvに交わる方向に横切りつつ円弧状の軌跡Lpを描く。
ここで、従来のロッカーアーム101の接触面は、単一の半径R1をなす円弧形状を有する。そして、この接触面は、吸排気バルブ104をリフトさせるとき[数1]または[数2]で表される接触応力(ヘルツ応力)を受ける。
[数1]
σ=√{[F÷(π×b)]×{E÷[2×(1-ν2)]}×(1÷R1+1÷R2)}
σ : ヘルツ応力
F : 入力荷重
π : 円周率
b : 接触幅
E : ヤング率
ν : ポアソン比
R1:ロッカーアーム側の接触面の半径
R2:吸排気バルブ側の接触面(シム表面)の半径
吸排気バルブ側の接触面が平面のとき、半径R2=∞であり[式1]は[式2]のように表せる。
[数2]
σ=√{[F÷(π×b)]×{E÷[2×(1-ν2)]}×(1÷R1)}
このヘルツ応力を低減させることによって、ロッカーアームの接触面の摩耗を低減できる。
[数1]または[数2]から、ヘルツ応力σは、入力荷重Fを小さくするか、接触幅bを大きくとるか、ロッカーアーム側の接触面の半径R1を大きくとることで低減できる。しかし、入力荷重Fはバルブスプリングの反力または吸排気バルブの質量(慣性力)から決定され、接触幅bはシリンダヘッド内のレイアウト上の制約からあまり大きくとることができない。よって、ロッカーアーム側の接触面の半径R1を可能な限り大きくしたい。
そこで、単一の半径R1をなす円弧形状の接触面を有する従来のロッカーアームの場合は、この接触面の曲率半径を大きくすればヘルツ応力を低減できる。
図17および図18は、単一の半径をなす円弧形状の接触面を有する従来のロッカーアームを示す概略図である。図17は、吸排気バルブが閉じた状態を示した図である。図18は、吸排気バルブが最大リフト位置に開いた状態を示した図である。
図15および図16に対し図17および図18に比較して示すように、ロッカーアーム101の接触面の半径R1を単純に大きくすると、バルブ摺接部108の接触面の曲率中心Cは、ロッカーシャフト102の軸芯Crから遠ざかる。これによって、バルブリフトにともなう曲率中心Cの軌跡Lcの半径Rrは大きくなる。したがって、吸排気バルブ104のリフトにともなう接触点Pのバルブステム長手軸交差方向の移動量も大きくなる。そうすると、接触点Pは、バルブステム105の外側に逸脱する虞がある。また、吸排気バルブ104は、バルブステム105の倒れこみや、バルブステム105とステムガイド(図示省略)とのこじれ、これにともなう摺動抵抗の増大や吸排気バルブ104側の接触面(シム表面)の偏磨耗を生じる虞がある。
そこで、円弧形状の接触面の曲率半径を増大させたことによる問題の解決のために、ロッカーアーム101の揺動軸であるロッカーシャフト102とバルブステム105とを十分に離間させることが考えられる。これによって、吸排気バルブ104のリフトにともなう接触点Pのバルブステム105長手軸交差方向の移動量を小さくし、接触点Pの描く軌跡Lpをバルブステム105長手軸方向中心Cvの付近に位置させることができる。しかし、その反面シリンダヘッドが大型化してしまいかつロッカーアーム101の重量が増すという問題が生じる。
よって、ヘルツ応力を低減させるためにロッカーアーム101の接触面の半径を単純に大きくすることは採用し難い。
図19から図21は、接触面の形状にインボリュート曲線を用いた形状を有するロッカーアームを示す概略図である。図19は、吸排気バルブが閉じた状態を示した図である。図20は、吸排気バルブが最大リフト位置に開いた状態を示した図である。図21は、吸排気バルブのリフト量とインボリュート曲線との関係を示した図である。
図19から図21に示すように、接触面の形状にインボリュート曲線icを用いた形状を有するロッカーアーム111の場合は、吸排気バルブ104のリフトにともない接触面の曲率半径が大きくなるため、吸排気バルブ104の最大リフト(図21中、距離LIFT)時にヘルツ応力を最も低減させることができる。
しかし、[数1]および[数2]の入力加重Fは、エンジンの高回転域において吸排気バルブ104の慣性力が支配的になる。この慣性力が接触面に最も大きく作用するのは、吸排気バルブ104のリフト開始時およびリフト終了時(すなわち、吸排気バルブ104が動き始める時と、動きが止まる時)である。そして、接触面の形状にインボリュート曲線icを用いた形状を有するロッカーアーム111は、吸排気バルブ104のリフト量が大きい境域における接触面の曲率半径に比べてリフト量が小さい領域における接触面の曲率半径のほうが小さくなるのでエンジンの高回転域においてヘルツ応力を低減させることが困難になる。
そして、エンジンの高回転域における接触面のヘルツ応力を低減させるために、吸排気バルブ104のリフト量が小さい領域で接触面の曲率半径を大きくするには、ロッカーシャフト102の軸芯Crをバルブステム105の長手軸方向へ離間させる(図21中、距離Loを大きく取る)必要がある。このことは、シリンダヘッドの高さ寸法を拡大させるという問題を生じてしまう。
また、インボリュート曲線icを用いた接触面は、吸排気バルブ104のリフト量に係わらず同じ接触点Pで吸排気バルブ104に接触するので、吸排気バルブ104の接触面およびロッカーアーム111の接触面に偏磨耗が顕著となる。
本発明は、吸排気バルブの低リフト領域における接触点の曲率半径または吸排気バルブの高リフト領域における接触点の曲率半径を極力大きくしヘルツ応力を顕著に低減できるとともに、吸排気バルブとロッカーアームとの接触点の軌跡をバルブステムの長手軸中心に近づけて吸排気バルブの倒れこみを防止できる動弁装置を提供することを目的とする。
前記の課題を解決するため本発明に係る動弁装置は、燃焼室に連通された吸排気口を開閉させる吸排気弁と、前記吸排気弁を開く揺動自在なロッカーアームと、前記ロッカーアームを揺動させるカムを有するカムシャフトと、前記ロッカーアームに設けられ前記吸排気弁に摺接させた楕円弧形状の接触面を有するバルブ摺接部と、を備え、前記接触面の曲率半径は、前記吸排気弁を開くにつれて連続的に大きくなる、または前記吸排気弁を開くにつれて連続的に小さくなり、前記バルブ摺接部は、前記吸排気弁の弁中心に対し略平行な方向に長軸を指向させた縦長楕円形状の前記接触面を有し、前記吸排気口を全閉させたときの前記吸排気弁と前記接触面との接触点を楕円弧と長軸との交点に位置させたることを特徴とする。
また、前記の課題を解決するため本発明に係る動弁装置は、燃焼室に連通された吸排気口を開閉させる吸排気弁と、前記吸排気弁を開く揺動自在なロッカーアームと、前記ロッカーアームを揺動させるカムを有するカムシャフトと、前記ロッカーアームに設けられ前記吸排気弁に摺接させた楕円弧形状の接触面を有するバルブ摺接部と、を備え、前記接触面の曲率半径は、前記吸排気弁を開くにつれて連続的に大きくなる、または前記吸排気弁を開くにつれて連続的に小さくなり、前記バルブ摺接部は、前記吸排気弁の弁中心に対し略平行な方向に短軸を指向させた横長楕円形状の前記接触面を有し、前記吸排気口を全閉させたときの前記吸排気弁と前記接触面との接触点を楕円弧と短軸との交点に位置させたことを特徴とする。
本発明によれば、吸排気バルブの低リフト領域における接触点の曲率半径または吸排気バルブの高リフト領域における接触点の曲率半径を極力大きくしヘルツ応力を顕著に低減できるとともに、吸排気バルブとロッカーアームとの接触点の軌跡をバルブステムの長手軸中心に近づけて吸排気バルブの倒れこみを防止できる動弁装置を提供できる。
本発明に係る動弁装置を備えた自動二輪車の一例を示した右側面図。 本発明に係る動弁装置を備えたシリンダヘッドを示した断面図。 本発明に係る動弁装置を備えたシリンダヘッドを示した平面図。 本発明に係る動弁装置を備えたシリンダヘッドを示した平面図。 本発明に係る動弁装置を示す概略図。 本発明に係る動弁装置を示す概略図。 本発明に係る動弁装置のロッカーアームにおけるバルブリフト量とヘルツ応力との関係を示した図。 単一の円弧形状の接触面を有する従来のロッカーアームにおけるバルブリフト量とヘルツ応力との関係を示した図。 本発明に係る動弁装置の他の例を示す概略図。 本発明に係る動弁装置の他の例を示す概略図。 本発明に係る動弁装置を示す概略図。 本発明に係る動弁装置を示す概略図。 本発明に係る動弁装置のロッカーアームにおけるバルブリフト量とヘルツ応力との関係を示した図。 単一の円弧形状の接触面を有する従来のロッカーアームにおけるバルブリフト量とヘルツ応力との関係を示した図。 単一の半径をなす円弧形状の接触面を有する従来のロッカーアームを示す概略図。 単一の半径をなす円弧形状の接触面を有する従来のロッカーアームを示す概略図。 単一の半径をなす円弧形状の接触面を有する従来のロッカーアームを示す概略図。 単一の半径をなす円弧形状の接触面を有する従来のロッカーアームを示す概略図。 接触面の形状にインボリュート曲線を用いた形状を有するロッカーアームを示す概略図。 接触面の形状にインボリュート曲線を用いた形状を有するロッカーアームを示す概略図。 接触面の形状にインボリュート曲線を用いた形状を有するロッカーアームを示す概略図。
本発明に係る動弁装置の実施形態について、図1から図14を参照して説明する。
図1は、本発明に係る動弁装置を備えた自動二輪車の一例を示した右側面図である。
図1に示すように、自動二輪車1は、車体フレーム2と、車体フレーム2の前部に設けられバーハンドル3で操向されるフロントフォーク4と、フロントフォーク4の下端部に懸架されフロントフェンダ5に覆われた前輪6と、前輪6に設けられたディスクブレーキ7と、車体フレーム2の後部に揺動自在に設けられたスイングアーム8と、スイングアーム8の情報に設けられたリアフェンダ9と、スイングアーム8に懸架された後輪10と、を備える。車体フレーム2とスイングアーム8との間は、リアサスペンション(図示省略)が設けられる。
車体フレーム2の上部には、フューエルタンク11が載置される。フューエルタンク11を覆いかつリアフェンダ9の一部にかかる位置には、シート12が延設される。
車体フレーム2の中央内部空間には、エンジン13が搭載される。エンジン13の斜め上前方にはラジエータ14が配置される。
エンジン13は、OHC式またはDOHC式のバルブ駆動形式を備えた内燃機関であり、クランクケース20と、シリンダブロック21の上方に設けられたシリンダヘッド22と、シリンダヘッド22を覆うヘッドカバー23と、を備える。
図2は、本発明に係る動弁装置を備えたシリンダヘッドを示した断面図である。なお、図2は、図3のII−II線に沿う断面図であり、後述のアッパハウジングを省略して示した図である。
図2に示すように、シリンダヘッド22の下部は、シリンダブロック21との間に形成された燃焼室25と、2つの吸気ポート27(図2中には、一方の吸気ポート27のみ示される。)と、2つの排気ポート28(図2中には、一方の排気ポート28のみ示される。)と、を備える。吸気ポート27は、燃焼室25の内部と吸気通路29とを連通させる。他方、排気ポート28は、燃焼室25の内部と排気通路30とを連通させる。吸気ポート27および排気ポート28は、それぞれバルブシート32、33を備える。なお、シリンダヘッド22は、DOHC式のバルブ駆動機構を備えるが、OHC式のバルブ駆動機構を備えても良い。
シリンダヘッド22は、その内部に動弁装置34を備える。動弁装置34は、2つの吸気バルブ35と、2つの排気バルブ36と、吸気用カム軸37と、吸気用カム軸37に設けられた2つの吸気用カム38と、排気用カム軸39と、排気用カム軸39に設けられた2つの排気用カム40と、吸気用ロッカーシャフト41と、吸気用ロッカーシャフト41に揺動自在に軸支された2つの吸気用ロッカーアーム42と、排気用ロッカーシャフト43と、排気用ロッカーシャフト43に揺動自在に軸支された2つの排気用ロッカーアーム44と、を備える。
吸気バルブ35は、吸気ポート27を開閉させる。吸気バルブ35は、傘形状の弁体35aと、弁体35aから略上方に向かって延設されたバルブステム35bと、を備える。バルブステム35bは、シリンダヘッド22に設けられたステムガイド47に摺動自在に挿通される。
バルブステム35bの上端部には、スプリングリテーナ48が設けられる。ステムガイド47には、シリンダヘッド22に支持されたスプリングシート49が遊嵌される。スプリングリテーナ48とスプリングシート49との間には、バルブスプリング50が挟まれて配設される。バルブスプリング50は、スプリングリテーナ48を介して吸気バルブ35を閉じる方に付勢させる。バルブスプリング50の付勢力によって弁体35aは、バルブシート32に押圧され吸気ポート27を閉じる。
排気バルブ36は、排気ポート28を開閉させる。排気バルブ36は、傘状の弁体36aと、弁体36aから略上方に向かって延設されたバルブステム36bとを備える。バルブステム36bは、シリンダヘッド22に設けられたステムガイド52に摺動自在に挿通される。そして、シリンダヘッド22の側面視において、吸気バルブ35と排気バルブ36とは、そのバルブステム35b、36bが略V字形状に配設される。
バルブステム36bの上端部には、スプリングリテーナ53が設けられる。ステムガイド52には、シリンダヘッド22に支持されたスプリングシート54が遊嵌される。スプリングリテーナ53とスプリングシート54との間には、バルブスプリング55が挟まれて配設される。バルブスプリング55は、スプリングリテーナ53を介して排気バルブ36を閉じる方に付勢させる。バルブスプリング55の付勢力によって弁体36aは、バルブシート33に押圧され排気ポート28を閉じる。
吸気用カム軸37は、吸気バルブ35の上方に位置させてシリンダヘッド22に回転自在に軸支される。吸気用カム軸37の軸芯は、吸気バルブ35のバルブステム35bの略延長線上に配置される。
排気用カム軸39は、排気バルブ36の上方に位置させてシリンダヘッド22に回転自在に軸支される。排気用カム軸39の軸芯は、排気バルブ36のバルブステム36bの略延長線上に配置される。
吸気用カム軸37および排気用カム軸39は、相互の軸芯が略平行になるよう配置される。
2つの吸気用カム38は、それぞれの吸気バルブ35に対応させて吸気用カム軸37の適宜の位置に設けられる。吸気用カム38は、吸気用カム軸37と一体的に回転される。
2つの排気用カム40は、それぞれの排気バルブ36に対応させて排気用カム軸39の適宜の位置に設けられる。排気用カム40は、排気用カム軸39と一体的に回転される。
吸気用ロッカーシャフト41は、吸気用ロッカーアーム42の揺動軸であり、吸気用カム軸37および排気用カム軸39に挟まれた領域Aよりも外方に設けられる。また、吸気用ロッカーシャフト41は、吸気用カム軸37よりも下方に配置される。
排気用ロッカーシャフト43は、排気用ロッカーアーム44の揺動軸であり、領域Aよりも外方に設けられる。また、排気用ロッカーシャフト43は、排気用カム軸39よりも下方に配置される。
吸気用ロッカーシャフト41および排気用ロッカーシャフト43は、管状に形成され、その内部にオイル通路57を有する。
吸気用カム軸37と、排気用カム軸39と、吸気用ロッカーシャフト41と、排気用ロッカーシャフト43とは、相互の軸芯が略平行になるよう配置される。
2つの吸気用ロッカーアーム42は、それぞれの吸気バルブ35に対応させて吸気用ロッカーシャフト41の適宜の位置に設けられる。吸気用ロッカーアーム42の上部には、吸気用カム38が配置され、吸気用ロッカーアーム42の下部には、吸気バルブ35が配置される。吸気用ロッカーアーム42は、吸気用カム38の周面に摺接されたカム摺接部59と、バルブステム35bの上部先端に設けられたシム60に摺接されたバルブ摺接部61と、を備える。すなわち、吸気用ロッカーアーム42は、吸気用カム38およびバルブステム35bに挟まれて配置される。
2つの排気用ロッカーアーム44は、それぞれの排気バルブ36に対応させて排気用ロッカーシャフト43の適宜の位置に設けられる。排気用ロッカーアーム44の上部には、排気用カム40が配置され、排気用ロッカーアーム44の下部には、排気バルブ36が配置される。排気用ロッカーアーム44は、排気用カム40の周面に摺接されたカム摺接部64と、バルブステム36bの上部先端に設けられたシム65に摺接されたバルブ摺接部66と、を備える。すなわち、排気用ロッカーアーム44は、排気用カム40およびバルブステム36bに挟まれて配置される。
吸気用カム38は、吸気用カム軸37と一体的に回転し、吸気用ロッカーシャフト41に軸支された吸気用ロッカーアーム42を介して吸気バルブ35を開かせる。他方、排気用カム40は、排気用カム軸39と一体的に回転し、排気用ロッカーシャフト43に軸支された排気用ロッカーアーム44を介して排気バルブ36を開かせる。
なお、吸気用カム軸37は、吸気用カム38のカムノーズ38aが吸気用ロッカーアーム42の自由端側から吸気用ロッカーシャフト41側に向かってカム摺接部59を摺動する方向に回転される(図2中、実線矢Ri方向)。また、排気用カム軸39は、排気用カム40のカムノーズ40aが排気用ロッカーシャフト43側から排気用ロッカーアーム44の自由端側に向かってカム摺接部64を摺動する方向に回転される(図2中、実線矢Ro方向)。
図3および図4は、本発明に係る動弁装置を備えたシリンダヘッドを示した平面図である。
なお、図3は、後述のアッパハウジングと、吸気用カム軸37と、吸気用カム38と、排気用カム軸39と、排気用カム40と、を省略して示した図であり、図4は、後述のアッパハウジングを省略して示した図である。
図3および図4に示すように、シリンダヘッド22は、吸気用ロッカーシャフト41および排気用ロッカーシャフト43のそれぞれの両端部が支持されたロッカーシャフト両端軸支部61a、61bと、吸気用ロッカーシャフト41および排気用ロッカーシャフト43のそれぞれの中間部分が支持されたロッカーシャフト中間軸支部62a、62bと、を備える。ロッカーシャフト中間軸支部62aは、2つの吸気用ロッカーアーム42に挟まれた吸気用ロッカーシャフト41の中間部分に位置される。他方、ロッカーシャフト中間軸支部62bは、2つの排気用ロッカーアーム44に挟まれた排気用ロッカーシャフト43の中間部分に配置される。
ロッカーシャフト両端軸支部61aは、吸気用ロッカーシャフト41に軸支された吸気用ロッカーアーム42の側面まで延設される。また、ロッカーシャフト中間軸支部62aも、吸気用ロッカーシャフト41に軸支された吸気用ロッカーアーム42の側面まで延設される。なお、ロッカーシャフト両端軸支部61aと吸気用ロッカーアーム42の側面との間、およびロッカーシャフト中間軸支部62aと吸気用ロッカーアーム42の側面との間には、いずれも吸気用ロッカーアーム42が揺動可能な程度の微小な隙間が形成される。
他方、ロッカーシャフト両端軸支部61bは、排気用ロッカーシャフト43に軸支された排気用ロッカーアーム44の側面まで延設される。また、ロッカーシャフト中間軸支部62bも、排気用ロッカーシャフト43に軸支された排気用ロッカーアーム44の側面まで延設される。なお、ロッカーシャフト両端軸支部61bと排気用ロッカーアーム44の側面との間、およびロッカーシャフト中間軸支部62bと排気用ロッカーアーム44の側面との間には、いずれも排気用ロッカーアーム44が揺動可能な程度の微小な隙間が形成される。
すなわち、それぞれの吸気用ロッカーアーム42は、その揺動軸である吸気用ロッカーシャフト41をロッカーシャフト両端軸支部61aおよびロッカーシャフト中間軸支部62aによって両持ち支持される。他方、それぞれの排気用ロッカーアーム44も、その揺動軸である排気用ロッカーシャフト43をロッカーシャフト両端軸支部61bおよびロッカーシャフト中間軸支部62bによって両持ち支持される。
シリンダヘッド22の側面のうち、吸気用ロッカーシャフト41と、排気用ロッカーシャフト43との長手軸方向と交差する一方の側面部22aは、吸気用ロッカーシャフト41または排気用ロッカーシャフト43の挿入口67を有する。挿入口67は、吸気用ロッカーシャフト41または排気用ロッカーシャフト43の抜止用ボルト68で閉塞される。他方、シリンダヘッド22の側面のうち、吸気用ロッカーシャフト41と、排気用ロッカーシャフト43との長手軸方向と交差する他方の側面部22bは、シリンダヘッド22の上下方向に貫通されたカムチェーントンネル69を有する。
また、シリンダヘッド22は、2つの吸気用ロッカーアーム42に挟まれた部分から2つの排気用ロッカーアーム44に挟まれた部分に亘って吸気用カム軸37および排気用カム軸39を軸支するカム軸支部70を備える。カム軸支部70は、シリンダヘッド22に一体に形成される。カム軸支部70およびロッカーシャフト中間軸支部62aは相互に連結され、カム軸支部70およびロッカーシャフト中間軸支部62bは相互に連結される。カム軸支部70には、アッパハウジング(図示省略)が締結される。カム軸支部70およびアッパハウジングの中央部には、点火プラグ72が挿入されたプラグ挿入孔73を有する。プラグ挿入孔73は、燃焼室25に連通される。また、プラグ挿入孔73は、シリンダブロック21を上下に往復動可能なシリンダ(図示省略)の中心線と略同心に配置される。
カム軸支部70およびアッパハウジングは、吸気用カム軸37の軸受部74aおよび排気用カム軸39の軸受部74bを備える。
シリンダヘッド22は、カムチェーントンネル69の縁部にアッパ軸受ハウジング(図示省略、アッパカムハウジング)と、ロア軸受ハウジング(図示省略、ロアカムハウジング、別体式ロアハウジング)と、を備える。アッパ軸受ハウジングおよびロア軸受ハウジングは、吸気用カム軸37を回転自在に保持する軸受81aと、排気用カム軸39を回転自在に保持する軸受81bと、を備える。
なお、アッパ軸受ハウジングおよびアッパハウジングは、一体的に形成される。
吸気用カム軸37は、軸受部74aおよび軸受81aの2ヶ所で回転自在に保持される。他方、排気用カム軸39は、軸受部74bおよび軸受81bの2ヶ所で回転自在に保持される。すなわち、シリンダヘッド22は、吸気用カム軸37および排気用カム軸39のカムハウジングとして、シリンダヘッド22に一体化されたカム軸支部70および別体化されたアッパハウジングと、別体化されたアッパ軸受ハウジングおよび別体化されたロア軸受ハウジング80と、を備える。
吸気用カム軸37の端部のうち、カムチェーントンネル69側に配置された端部は、吸気カムドリブンスプロケット85を備える。他方、排気用カム軸39の端部のうち、カムチェーントンネル69側に配置された端部は、排気カムドリブンスプロケット86を備える。吸気カムドリブンスプロケット85と、排気カムドリブンスプロケット86と、エンジン13のクランク軸(図示省略)とは、カムチェーン87が巻き掛けられる。カムチェーン87は、クランク軸の回転を吸気用カム軸37および排気用カム軸39に伝達させて、吸気用カム軸37および排気用カム軸39を回転させる。吸気用カム軸37および排気用カム軸39は、吸気カムドリブンスプロケット85と、排気カムドリブンスプロケット86と、カムチェーン87とを介して、クランク軸の回転に連動させて、その半分の回転数で回転される。
他方、吸気用カム軸37の端部のうち、カムチェーントンネル69から遠い側に配置された自由端部には、吸気用カム38の一方が配置され、排気用カム軸39の端部のうち、カムチェーントンネル69から遠い側に配置された自由端部には、排気用カム40の一方が配置される。
吸気用カム38は、吸気用ロッカーアーム42よりも幅広く形成される。他方、排気用カム40は、排気用ロッカーアーム44よりも幅広く形成される。
図5および図6は、本発明に係る動弁装置を示す概略図である。図5は、吸排気バルブが閉じた状態を示した図である。図6は、吸排気バルブが最大リフト位置に開いた状態を示した図である。
なお、説明を容易にするため以下、吸気ポート27および排気ポート28のいずれか一方または両方を「吸排気ポート27、28(吸排気口)」と呼び、吸気バルブ35および排気バルブ36のいずれか一方または両方を「吸排気バルブ35、36(吸排気弁)」と呼び、吸気用カム軸37および排気用カム軸39のいずれか一方または両方を「カム軸38、40(カムシャフト)」と呼び、吸気用カム38および排気用カム40のいずれか一方または両方を「カム38、40」と呼び、吸気用ロッカーシャフト41および排気用ロッカーシャフト43のいずれか一方または両方を「ロッカーシャフト41、43」と呼び、吸気用ロッカーアーム42および排気用ロッカーアーム44のいずれか一方または両方を「ロッカーアーム42、44」と呼ぶ。また、説明を容易にするため以下、カム摺接部59およびカム摺接部64のいずれか一方または両方を「カム摺接部59、64」と呼び、バルブ摺接部61およびバルブ摺接部66のいずれか一方または両方を「バルブ摺接部61、66」と呼び、バルブステム35bおよびバルブステム36bのいずれか一方または両方を「バルブステム35b、36b」と呼ぶ。
図5および図6に示すように、吸排気ポート27、28を開閉させる動弁装置34のロッカーアーム42、44は、揺動軸であるロッカーシャフト41、43に揺動自在に軸支される。ロッカーアーム42、44の揺動方向視において一方側にはカム38、40が配置され、他方側には吸排気バルブ35、36が配置される。すなわち、ロッカーアーム42、44は、カム38、40およびバルブステム35b、36bに挟まれて配置される。ロッカーアーム42、44は、カム38、40の周面に摺接されたカム摺接部59、64と、バルブステム35b、36bの上部先端に設けられたシム60、65に摺接されたバルブ摺接部61、66と、を備える。カム38、40は、カム軸38、40によって回転されロッカーアーム42、44を揺動させる。
バルブ摺接部61、66は、接触点Pにおいて吸排気バルブ35、36に摺接させた楕円形状の接触面90を有する。接触面90は、長軸Arを吸排気バルブ35、36の中心線(図5および図6中、一点鎖線Cv)に対し略平行な方向に指向させて位置された縦長楕円弧形状に形成される。具体的には、バルブ摺接部61、66は、吸排気バルブ35、36が吸気ポート27を全閉(バルブリフト量がゼロ)させたときの吸排気バルブ35、36と接触面90との接触点Pを楕円弧と長軸Arとの交点に位置させた楕円弧形状を有する。
さらに、バルブ摺接部61、66は、接触面90に連続させて楕円形状に形成された余剰面91を有する。バルブ摺接部61、66は、接触面90と同じ長軸Arおよび短軸Brの楕円形状に形成された余剰面91を有する。
このように構成されたロッカーアーム42、44は、吸排気バルブ35、36が開くにつれて接触面90の曲率半径が連続的に大きくなっていく。
ここで、単一の円弧形状の接触面を有する従来のロッカーアーム101と比較しつつロッカーアーム42、44について説明する。
図7は、本発明に係る動弁装置のロッカーアームにおけるバルブリフト量とヘルツ応力との関係を示した図である。また、図7は、縦長楕円弧形状に形成された接触面90を有するロッカーアーム42、44におけるバルブリフト量とヘルツ応力との関係を示した図である。
図8は、単一の円弧形状の接触面を有する従来のロッカーアームにおけるバルブリフト量とヘルツ応力との関係を示した図である。
なお、図7および図8は、最高回転数が約6000rpmから約8000rpmの低回転型のエンジンにおけるロッカーアームに発生するヘルツ応力を示した図である。
図7および図8に示すように、低回転型のエンジン13は、最高回転数におけるヘルツ応力(図7および図8中、実線B)よりもアイドリング状態におけるヘルツ応力(図7および図8中、実線A)のほうが接触面に生じるヘルツ応力の最大値が大きい。そして、この最大値は、吸排気バルブが全開(バルブリフト量が最大)したときに発生する。これは、低回転型のエンジン13における[数1]または[数2]の入力荷重Fについて吸排気バルブを閉じる方向に付勢させるバルブスプリングの反力が支配的であることによる。
ここで、吸排気バルブ35、36が全閉(バルブリフト量がゼロ)のときに、動弁装置34のロッカーアーム42、44と従来のロッカーアーム101との接触面の曲率半径が一致する場合について説明する。この場合、ロッカーアーム42、44は吸排気バルブ35、36が開くにつれて接触面90の曲率半径が漸増するのに対し、従来のロッカーアーム101はバルブリフト量によって接触面の曲率半径が変化しない。これによって、ロッカーアーム42、44は従来のロッカーアーム101よりも吸排気バルブ35、36のリフト量が最大に近づくほど接触面90の曲率半径が大きくなりヘルツ応力を低減できる。また、ロッカーアーム42、44は、バルブリフトにともなって接触面90の楕円形状の中心Ceが円弧状の軌跡Lceを描きつつ、接触点Pが接触面90の楕円形状の中心Ceに近づいていくので、接触点Pの軌跡Lpeが吸排気バルブ35、36のバルブ中心線Cvから大きく離れることなく(図8)、接触点Pがシム60から逸脱することもない。
他方、従来のロッカーアーム101における接触点Pの軌跡Lpと同程度にロッカーアーム42、44の接触点Pの軌跡Lpeが移動することを許容すれば、ロッカーアーム42、44は、接触面90のヘルツ応力をさらに大幅に低減させることができる。
図9および図10は、本発明に係る動弁装置の他の例を示す概略図である。図9は、吸排気バルブが閉じた状態を示した図である。図10は、吸排気バルブが最大リフト位置に開いた状態を示した図である。
図9および図10に示すように、ロッカーアーム42、44は、単一の円弧形状の接触面を有する従来のロッカーアーム101に比べて接触点Pの軌跡Lpeが吸排気バルブ35、36のバルブ中心線Cvに近づくので、従来のロッカーアーム101における接触点Pの軌跡Lpと同程度にロッカーアーム42、44の接触点Pの軌跡Lpeが移動することを許容すれば、ロッカーシャフト41、43をバルブステム35b、36bに近づけ(図9および図10中一点鎖線から実線に距離X近づけ)、ロッカーアーム42、44の腕の長さを短く構成できる。これによってロッカーアーム42、44の小型軽量化が可能となる。
このように、ロッカーシャフト41、43をバルブステム35b、36bに近づけ、ロッカーアーム42、44の腕の長さを短くすることは、接触面の形状にインボリュート曲線icを用いた形状を有するロッカーアーム111のようにロッカーシャフトの軸芯Crをバルブステムの長手軸方向へ十分に離間させることが必要なロッカーアーム111では極めて困難である。
すなわち、縦長楕円弧形状に形成されたバルブ摺接部61、66を有するロッカーアーム42、44によれば、低回転型のエンジン13の低回転域における性能を向上させることができる。また、高回転型のエンジン13についても、アイドリング時の動弁系の焼きつき防止に効果がある。
次に、バルブ摺接部61、66の楕円弧曲面の他の例について説明する。
図11および図12は、本発明に係る動弁装置を示す概略図である。図11は、吸排気バルブが閉じた状態を示した図である。図12は、吸排気バルブが最大リフト位置に開いた状態を示した図である。
図11および図12に示すように、バルブ摺接部61、66は、接触点Pにおいて吸排気バルブ35、36に摺接させた楕円形状の接触面90Aを有する。接触面90Aは、短軸Brを吸排気バルブ35、36の中心線(図11および図12中、一点鎖線Cv)に対し略平行な方向に指向させて位置された横長楕円弧形状に形成される。具体的には、バルブ摺接部61、66は、吸排気バルブ35、36が吸気ポート27を全閉させた(バルブリフト量がゼロ)ときの吸排気バルブ35、36と接触面90Aとの接触点Pを楕円弧と短軸Brとの交点に位置させた楕円弧形状を有する。
さらに、バルブ摺接部61、66は、接触面90Aに連続させて楕円形状に形成された余剰面91を有する。バルブ摺接部61、66は、接触面90Aと同じ長軸Arおよび短軸Brの楕円形状に形成された余剰面91を有する。
このように構成されたロッカーアーム42、44は、吸排気バルブ35、36が開くにつれて接触面90Aの曲率半径が連続的に小さくなっていく。
ここで、単一の円弧形状の接触面を有する従来のロッカーアーム101と比較しつつ説明する。
図13は、本発明に係る動弁装置のロッカーアームにおけるバルブリフト量とヘルツ応力との関係を示した図である。また、図13は、横長楕円弧形状に形成された接触面90Aを有するロッカーアーム42、44におけるバルブリフト量とヘルツ応力との関係を示した図である。
図14は、単一の円弧形状の接触面を有する従来のロッカーアームにおけるバルブリフト量とヘルツ応力との関係を示した図である。
なお、図13および図14は、最高回転数が約12000rpmから約16000rpmの高回転型のエンジン13におけるロッカーアームに発生するヘルツ応力を示した図である。
図13および図14に示すように、高回転型のエンジン13は、低回転のエンジン13と異なりアイドリング状態におけるヘルツ応力(図7および図8中、実線D)よりも最高回転数におけるヘルツ応力(図7および図8中、実線C)のほうが接触面に生じるヘルツ応力の最大値が大きい。そして、この最大値は、吸排気バルブが大きく加速または減速したときに発生する。これは、高回転型のエンジン13における[数1]または[数2]の入力荷重Fについて吸排気バルブの自重(質量)による慣性力が支配的であることによる。
ここで、吸排気バルブ35、36が全開(バルブリフト量が最大)のときに、ロッカーアーム42、44と従来のロッカーアーム101との接触面の曲率半径が一致する場合について説明する。
この場合、ロッカーアーム42、44は、吸排気バルブ35、36が閉じるにつれて接触面90Aの曲率半径が漸増するのに対し従来のロッカーアーム101はバルブリフト量によって接触面の曲率半径が変わらない。これによって、ロッカーアーム42、44は従来のロッカーアーム101よりも吸排気バルブ35、36のリフト量が最小(閉じ)に近づくほど接触点Pの曲率半径が大きくなりヘルツ応力を低減できる。
また、ロッカーアーム42、44は、接触点Pの軌跡が吸排気バルブ35、36のバルブ中心線Cvから大きく離れることなく(図14)、接触点がシム60から逸脱することもない。これは、接触面90Aが横長楕円弧形状の場合、短軸Brにおける曲率半径R=Ar/Brから吸排気バルブ35、36の全閉(バルブリフト量がゼロ)状態における曲率半径を考えたとき、接触面90Aの楕円弧形状を形成する楕円の大きさが単一の円弧形状を形成する真円に比べて極めて小さくなるためである。
他方、従来のロッカーアーム101における接触点Pの軌跡Lpと同程度にロッカーアーム42、44の接触点Pの軌跡Lpeが移動することを許容すれば、ロッカーアーム42、44は、接触面90Aのヘルツ応力をさらに大幅に低減させることができる。
すなわち、横長楕円弧形状に形成されたバルブ摺接部61、66を有するロッカーアーム42、44によれば、高回転型のエンジン13の高回転域における性能を向上させることができる。
したがって、動弁装置34は、低回転型のエンジン13においても高回転型のエンジン13においても、所望のエンジン特性によってバルブ摺接部61、66に縦長楕円弧形状の接触面90または横長楕円弧形状の接触面90Aを適宜に選択し形成して接触面90、90Aのヘルツ応力を低減できる。
また、動弁装置34のロッカーアーム42、44のバルブ摺接部61、66は、吸排気バルブのバルブ中心線Cvの方向に対し長軸Arまたは短軸Brを傾斜させて指向させた楕円弧形状の接触面(図示省略)を有することもできる。この場合は、吸排気バルブの全閉(バルブリフト量がゼロ)の状態および全開(バルブリフトが最大)の状態の双方について、適宜にヘルツ応力の低減効果の軽重を鑑みて高回転型のエンジン13および低回転型のエンジン13のいずれにも対応可能なロッカーアーム42、44または高回転型のエンジン13および低回転型のエンジン13の中間的な特性を有するエンジン13に用いられるロッカーアーム42、44に適用できる。
本実施形態に係る動弁装置34によれば、吸排気バルブの全開(バルブリフトが最大)におけるバルブ摺接部61、66の接触面90、90Aの曲率半径を極力大きくすることができるので、エンジン13のアイドリング状態や低回転状態におけるバルブ摺接部61、66の接触面90、90Aのヘルツ応力を低減させることができる。
また、本実施形態に係る動弁装置34によれば、ロッカーシャフト41、43をバルブステム35b、36bに近づけ、ロッカーアーム42、44の小型化および軽量化が可能となる。
さらに、本実施形態に係る動弁装置34によれば、吸排気バルブの全閉(バルブリフト量がゼロ)から初期リフト状態におけるバルブ摺接部61、66の接触面の曲率半径を極力大きくすることができるので、エンジン13の高回転状態におけるバルブ摺接部61、66の接触面のヘルツ応力を低減させることができる。
さらにまた、本実施形態に係る動弁装置34によれば、バルブ摺接部61、66の接触面のヘルツ応力を低減させることによって、動弁系の機械的損失の低減や、カムプロフィールの改善、エンジン13の高回転化などが可能となりエンジン性能を向上させることができる。
したがって、本実施形態に係る動弁装置34によれば、吸排気バルブ35、36の低リフト領域における接触点Pの曲率半径または吸排気バルブ35、36の高リフト領域における接触点Pの曲率半径を極力大きくしヘルツ応力を顕著に低減できるとともに、吸排気バルブ35、36とロッカーアーム42、44との接触点Pの軌跡をバルブステム35b、36bの長手軸中心に近づけて吸排気バルブ35、36の倒れこみを防止できる。
1 自動二輪車
2 車体フレーム
3 バーハンドル
4 フロントフォーク
5 フロントフェンダ
6 前輪
7 ディスクブレーキ
8 スイングアーム
9 リアフェンダ
10 後輪
11 フューエルタンク
12 シート
13 エンジン
14 ラジエータ
20 クランクケース
21 シリンダブロック
22 シリンダヘッド
22a、22b 側面部
23 ヘッドカバー
25 燃焼室
27 吸気ポート(吸排気口)
28 排気ポート(吸排気口)
29 吸気通路
30 排気通路
32、33 バルブシート
34 動弁装置
35 吸気バルブ(吸排気バルブ)
35a 弁体
35b バルブステム
36 排気バルブ(吸排気バルブ)
36a 弁体
36b バルブステム
37 吸気用カム軸(カムシャフト)
38 吸気用カム(カム)
38a カムノーズ
39 排気用カム軸(カムシャフト)
40 排気用カム(カム)
40a カムノーズ
41 吸気用ロッカーシャフト(ロッカーシャフト)
42 吸気用ロッカーアーム(ロッカーアーム)
43 排気用ロッカーシャフト(ロッカーシャフト)
44 排気用ロッカーアーム(ロッカーアーム)
47 ステムガイド
48 スプリングリテーナ
49 スプリングシート
50 バルブスプリング
52 ステムガイド
35b バルブステム
53 スプリングリテーナ
54 スプリングシート
55 バルブスプリング
57 オイル通路
59 カム摺接部
60 シム
61 バルブ摺接部
64 カム摺接部
65 シム
66 バルブ摺接部
62a、62b ロッカーシャフト中間軸支部
61a、61b ロッカーシャフト両端軸支部
67 挿入口
68 抜止用ボルト
69 カムチェーントンネル
70 カム軸支部
72 点火プラグ
73 プラグ挿入孔
74a、74b 軸受部
79 アッパ軸受ハウジング
81a、81b 軸受
80 ロア軸受ハウジング
85 吸気カムドリブンスプロケット
86 排気カムドリブンスプロケット
87 カムチェーン
90、90A 接触面
91 余剰面
101 ロッカーアーム
102 ロッカーシャフト
103 カム
103a カムノーズ
104 吸排気バルブ
105 バルブステム
106 カム摺接部
107 シム
108 バルブ摺接部
111 ロッカーアーム

Claims (3)

  1. 燃焼室に連通された吸排気口を開閉させる吸排気弁と、
    前記吸排気弁を開く揺動自在なロッカーアームと、
    前記ロッカーアームを揺動させるカムを有するカムシャフトと、
    前記ロッカーアームに設けられ前記吸排気弁に摺接させた楕円弧形状の接触面を有するバルブ摺接部と、を備え、
    前記接触面の曲率半径は、前記吸排気弁を開くにつれて連続的に大きくなる、または前記吸排気弁を開くにつれて連続的に小さくなり、
    前記バルブ摺接部は、前記吸排気弁の弁中心に対し略平行な方向に長軸を指向させた縦長楕円形状の前記接触面を有し、前記吸排気口を全閉させたときの前記吸排気弁と前記接触面との接触点を楕円弧と長軸との交点に位置させたことを特徴とする動弁装置。
  2. 燃焼室に連通された吸排気口を開閉させる吸排気弁と、
    前記吸排気弁を開く揺動自在なロッカーアームと、
    前記ロッカーアームを揺動させるカムを有するカムシャフトと、
    前記ロッカーアームに設けられ前記吸排気弁に摺接させた楕円弧形状の接触面を有するバルブ摺接部と、を備え、
    前記接触面の曲率半径は、前記吸排気弁を開くにつれて連続的に大きくなる、または前記吸排気弁を開くにつれて連続的に小さくなり、
    前記バルブ摺接部は、前記吸排気弁の弁中心に対し略平行な方向に短軸を指向させた横長楕円形状の前記接触面を有し、前記吸排気口を全閉させたときの前記吸排気弁と前記接触面との接触点を楕円弧と短軸との交点に位置させたことを特徴とする動弁装置。
  3. 前記バルブ摺接部は、前記接触面に連続させて形成された余剰面を有することを特徴とする請求項1または2に記載の動弁装置。
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