JP5499545B2 - ドラムの支持構造及び該支持構造により支持されるドラム - Google Patents

ドラムの支持構造及び該支持構造により支持されるドラム Download PDF

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Description

本発明は、ドラムの音響効果を妨げることなくドラムを安定支持でき、特にタムタムの支持に好適なドラムの支持構造及び該支持構造により支持されるドラムに関するものである。
この種のドラム支持構造としては、従来、ドラム胴の中央部にブラケットを取り付け、バスドラムに固定されたタムホルダーから延びるドラム支持杆を前記ブラケットに挿通して保持させるものが提供されている。しかし、このような支持構造にあっては、本来音の良好な共鳴機能を有しているはずのドラム胴に異質なブラケットを取り付けてドラム支持杆に連結されているため、該ブラケットから音の伝達が逃げるとともに前記共鳴機能が阻害され、音域が狭くなって本来の音の伸びや音の出始めのアタック感も十分に得られなくなってしまう。また、ドラムの全重量がドラム胴のブラケット部分に集中するため、長期間の使用によりドラム胴の当該部分に局所的な歪みやねじれが生じ、上記共鳴機能を更に損なってしまう虞もあった。
これに対し、ドラム胴に直接ブラケットを取り付けることを回避する構造として、ドラム胴開口端部のフープや該フープをラグに連結する締め付け調整ボルトに、ドラム支持用の部材を取り付け、ブラケットを介してドラム支持杆に固定する方法が提案されている(例えば、特許文献1乃至3参照。)。これらフープや締め付け調整ボルトとしてボトム側のものに支持用の部材を取り付けて支持すると、特にボトム側フープはドラムの自重によって捲れる方向に力が作用する。このため、このような構造を採用する際には必然的にトップ側のフープや締め付け調整ボルトを利用することとなる。しかしながら、ドラムのトップ側をこのように支持用部材やブラケットで支持すると、トップ側のドラムヘッドからドラム胴への音の伝達が妨げられ、ドラム胴が本来有している共鳴機能が阻害され、音域が狭くなるなど上述と同様の問題がより顕著に表れる。
また、フープはドラムヘッドのヘッド枠を保持してドラム胴開口端部にドラムヘッドを張るための押え部材であり、締め付け調整ボルトは当該フープをラグに連結してドラムヘッドの張り具合を調整するものであって、何れもドラムヘッドの張り具合、すなわち音質に直結するデリケートな部材である。このようなフープや締め付け調整ボルトに支持用部材を取り付けてドラムの自重を作用させることは出来るだけ避けることが好ましく、当該自重で歪みなどが生じるとドラムヘッドの張りにも不均一が生じるなど、演奏者が期待するドラム本来の音を安定して出すことができなくなる。また、トップ側ドラムヘッドの交換作業が、一旦ドラムをホルダーから下ろさなければできなくなるといった作業性の問題もある。
特開平7−210154号公報 特開平5−127669号公報 特開平3−111895号公報
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、ドラム本来が有している共鳴機能や音質を阻害することがなく、また、長期の使用によっても各部のドラム構成部品に歪やねじれが生じることもなく、作業性にも優れるドラム支持構造を提供する点にある。
本発明は、前述の課題解決のために、ドラム支持杆にドラムを固定するためのドラムの支持構造において、ドラムのボトム側に配置される複数のボトム側ラグのうち、連続した2個以上の所定のボトム側ラグに、周方向に延びる長尺な板状のホルダー部材を支持させ、該ホルダー部材にドラム支持杆のためのブラケット部材を設けてドラムを支持したことを特徴とするドラムの支持構造を提供する。
ここで、前記所定のボトム側ラグに、それぞれ前記ホルダー部材を挟持した状態で支持する挟持手段を設けるとともに、前記ブラケット部材を前記ホルダー部材における前記ラグ間の所定位置に設けてなる構造が好ましい。
また、前記所定のボトム側ラグに対し、弾性部材を介して前記ホルダー部材を取り付けてなる構造が好ましい。
更に、前記所定のボトム側ラグを、外面側に前記ホルダー部材を弾性部材とともに受け入れる凹部を有するラグ本体と、該ラグ本体にネジ止めされて凹部を覆うカバー体とより構成し、該凹部とカバー体の間に前記ホルダー部材及び弾性部材を挟持してなる構造が好ましい。
また本発明は、前記所定のボトム側ラグを備え、ホルダー部材及びブラケット部材を用いた上記のドラムの支持構造によりドラム支持杆に固定されるドラムを提供する。
以上にしてなる本願発明に係るドラムの支持構造は、ドラムのボトム側に配置される連続した2個以上の所定のボトム側ラグに、周方向に延びる長尺な板状のホルダー部材を支持させ、該ホルダー部材にドラム支持杆のためのブラケット部材を設けてドラムを支持した構造であり、元々配置されているラグを用いて支持しているので、ドラムが本来有している共鳴機能や音質を阻害することがなく、ヘッドの張り具合等に悪影響を与えることもない。また、ホルダー部材をボトム側の2個以上連続するラグに支持させているので、ドラムの自重が局所的に集中することが回避され、周方向に沿った複数のラグで支持していることから一つ当たりのラグの箇所に作用するドラムの自重によるモーメントも小さく抑えられ、ドラム胴に歪やねじれが生じることも防止できる。
更に、ボトム側のラグでドラム全体を支持しているため、当該ラグよりも上側(トップ側)のドラム胴やトップ側ドラムヘッドには全く外部からの拘束がなく自由な状態となっており、ドラム胴の本来の共鳴機能を発揮させ、ドラム本来の良好な音質で演奏することができる。したがって、ドラム胴にブラケットを設けたり、フープや締め付け調整ボルトに取り付けていた従来の支持構造によるドラムに比べ、音域が広がるとともに、音の伸びもよく、音の出始めのアタック感も向上する。また、同じくトップ側が完全にフリーとなっていることから、ドラムヘッドの交換などの作業も支持状態のまま容易に張り替えることが可能であり、優れた作業性が維持されている。
また、前記所定のボトム側ラグに、それぞれ前記ホルダー部材を挟持した状態で支持する挟持手段を設けるとともに、前記ブラケット部材を前記ホルダー部材における前記ラグ間の所定位置に設けたので、当該ボトム側ラグとホルダー部材の着脱作業も容易となる。
また、前記所定のボトム側ラグに対し、弾性部材を介して前記ホルダー部材を取り付けたので、当該ボトム側ラグからホルダー部材への音の逃げや振動の伝達等を回避でき、ドラム本来の良好な音質を発揮させることができる。
また、前記所定のボトム側ラグを、外面側に前記ホルダー部材を弾性部材とともに受け入れる凹部を有するラグ本体と、該ラグ本体にネジ止めされて凹部を覆うカバー体とより構成し、該凹部とカバー体の間に前記ホルダー部材及び弾性部材を挟持してなるので、着脱作業がより容易になるとともにホルダー部材を当該ラグに対して安定した姿勢で保持することができる。
本発明の代表的実施形態に係るドラムの支持構造を示す斜視図。 同じくドラム支持構造の要部を示す断面図。 同じくドラム支持構造に用いるラグを示す説明図であり、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は底面図。 同じくラグの分解斜視図。 ドラム支持構造の変形例を示す要部の断面図。
次に、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明に係るドラム支持構造の構成を示す説明図であり、図1〜5は代表的実施形態を示し、図中符号1はドラム、2、2Aはラグ、3は支持杆、4はブラケット部材、9はドラム支持杆、Sは支持構造をそれぞれ示している。
本発明のドラム支持構造Sは、図1に示すように、ドラム支持杆9にドラム1を固定するための支持構造であり、ドラム1のボトム側に配置される複数のボトム側ラグ2、2Aのうち、周方向に連続して配される2個以上の所定のボトム側ラグ2Aに、周方向に延びる長尺な板状のホルダー部材3を支持させ、該ホルダー部材3に、ドラム支持杆9のためのブラケット部材4を設けてドラム1を支持する構造である。ホルダー部材3やブラケット部材4は金属製であるが、強度を維持できるものであれば他の材料を用いてもよい。本発明の支持構造で支持されるのに最適なドラムは、タムタムと呼ばれる中太鼓である。
従来の支持構造では、演奏者により打叩されるトップ側のドラムヘッドに近いフープや締め付け調整ボルトにホルダーを固定したり、或いはドラム胴に直接ブラケットを固定して支持されていたことから、トップ側のドラムヘッドから発生する音の伝達が当該ホルダーやブラケットに逃げて阻害され、ドラム胴が本来持っている共鳴機能を十分機能させることができなかったが、本発明のように打叩されるトップ側のドラムヘッドから遠いボトム側の位置で、しかも元々ドラム胴に固定されているボトム側ラグの複数にホルダーを支持させたので、少なくともそれよりも上側(トップ側)のドラム胴はフリーであって本来の共鳴機能がまったく損なわれず、良好な音質を得ることが可能となるのである。
ドラム支持杆9は、例えば従来から公知のタムホルダーから延びる先端の支持部材であり、タムホルダーの下端部は図示しないタムホルダーベースを介してバスドラムに固定されたり、或いは床置き型のスタンドに固定される。また、ドラム1のラグ2Aの構造を除くその他の構成については、従来から公知のものを採用でき、ドラム支持杆9の形態についても本例では上下に延びるドラム支持杆9としているが、ドラム胴に直交する水平に延びるものなど特に限定されず、ブラケット部材4をドラム支持杆の各種形態に合わせた固定構造とすることにより、従来から公知の種々の形態のドラム支持杆に適用することができる。
ドラム1(中太鼓)は、図1、2に示すように、ドラム胴10の上下(トップ側及びボトム側)の開口端部にそれぞれ設けられるドラムヘッド11、13と、各ドラムヘッドの外周縁部を保持してドラム胴10の開口端部外周に嵌装される環状のヘッド枠13aと、同じくドラム胴10の開口端部外周に嵌装されるトップ側及びボトム側のフープ12、14と、ドラム胴10のトップ側及びボトム側の外周にそれぞれ周方向に間隔を置いて複数配置されるラグ2、2Aと、フープ12、14をラグ2,2Aに連結する締め付け調整ボルト12a,14a等より構成されている。
締め付け調整ボルト12a,14aは、ドラムヘッド11(13)の張力を可変設定するもので、各フープ12(14)の取付孔を貫通してラグ2、2Aに組み込まれたラグナット23に螺合されており、締め付け調整ボルト12a(14a)を締め付けてフープ12(14)をヘッド枠に押し付けると、ヘッド枠はラグ2,2A側に移動してドラムヘッド11(13)が径方向に伸張して張力が増大し、ドラムの音が調整される。
ラグ2,2Aは、図2に示すようにドラム胴10を内側から貫通した取付ネジ21aをネジ孔21bに螺合してドラム胴10外面に固定され、フープ14(12)側には該フープから延びる前記締め付け調整ボルト14a(12a)が螺合されるラグナット23が内部空間7側から遊嵌される取付孔23cが設けられ、ラグナット23の頭部は内部空間7に臨む内壁部70の一対の当接面71に係合して回り止めされ、締め付け調整ボルト14aの螺合が可能とされている。ラグナット23が取付孔23cに遊嵌されるのは、該ラグナット23と一体化された締め付け調整ボルト14aがラグ2、2Aに対して若干の傾斜を許容するためであり、ラグナット23の頭部と取付孔23cの内側の縁部との間にはゴム製リング24が介装され、不用な遊びを阻止して異音発生を防止している。
また、図3、4にも示すように、同じくラグ2、2Aの内壁部70に形成される一対の係合溝72に、ラグナット23の内部空間7側への抜け落ちを防止するための当止プレート6が係合され、該プレートにはラグナット23を貫通した締め付け調整ボルト14aの先端側が貫通する通孔60が形成されている。また、当該当止プレート6にはラグ2、2Aをドラム胴10に固定した際にドラム胴10表面に圧着して当該プレートの不用な遊びを阻止して異音発生を防止する突起部61が形成されている。
図3、4は、ホルダー部材3を支持する所定のラグ2Aの構造を示しているが、上述したラグの構成は、他のラグ2にも共通の構成である。そして、ラグ2Aに特有の構成として、ラグ2Aは、図2〜4に示すように、外面側にホルダー部材3を弾性部材5とともに受け入れる凹部20を有するラグ本体21と、該ラグ本体21にネジ止めされて凹部20を覆うカバー体22とより分割構成されており、該凹部20及びカバー体22がその間にホルダー部材3及び弾性部材5を挟持する挟持手段8として機能する。ラグ本体21やカバー体22は、他のラグ2と同一材料よりなるものが好ましく、本例では金属製である。
より具体的には、カバー体22の上下適所の通孔22bを外側から貫通した取付ネジ22aを、ラグ本体21の凹部20外側の対応する位置に設けたネジ孔21cに螺合することで、凹部20及びカバー体22の間に挟み込んだホルダー部材3及び弾性部材5を挟持して固定するように構成されている。尚、図5に示すようにカバー体22の一部、(図示した例では上端部)に、ラグ本体21に掛止される掛止片22cを設け、反対側の部分(下端部)を取付ネジ22aで固定するようにしてもよい。これによりホルダー部材3や弾性部材5のラグ2Aへの取付け作業をより効率よく行うことができ、取付ネジが少ない分、外観上も好ましいものとなる。
尚、本実施形態では、ホルダー部材3をラグ2Aに支持させる手段として挟持手段8を構成した例を説明しているが、このような挟持手段8の代わりに、ホルダー部材3のラグ2Aの位置に通孔を設け、該通孔を貫通する取付ネジにより直接ラグ2Aに固定するようにしてもよい。また、上記分割構成されたラグ2Aのラグ本体21とカバー体22は取付ネジ22aを用いて合着されているが、その他の係合手段により互いに係止させる構造でも勿論よい。更には、ホルダー部材3と所定のラグ2Aを一体形成したもの、特にホルダー部材3と上記のカバー体22を一体形成したものも好ましい実施例である。
ホルダー部材3は、図1、2に示すようにドラム胴10の外周側を囲む湾曲形状に形成された長尺な金属板であり、本例では、少なくとも2個のラグ2Aによって支持されるだけの長さに設定されている。このホルダー部材3の長さやこれを支持するラグ2Aの個数は、支持されるドラム1の大きさや重量に応じて適宜決定され、例えばドラム胴10の外周の半周以上を囲む長さに設定したり、特に全周にわたってリング状に形成したものでもよい。
弾性部材5は、ホルダー部材3におけるラグ2Aにより支持される箇所に部分的に装着される硬質または軟質の合成ゴムや発泡体などの部材であり、ドラム胴10の振動が伝達されるラグ2Aからホルダー側に振動が伝達しないように、弾性変形により振動を吸収/遮断するための部材である。本例では筒状に構成され、予めホルダー部材3のラグ2Aに支持される部位に被着されるが、略コ字状にして同様に被着したり、或いはシート状のものをホルダー部材3の内外面に接着等で取り付けたものでも、ラグ2Aに支持させる際に挟み込んで構成したものでもよい。
ブラケット部材4は、図1に示すようにラグ2A間のホルダー部材3の中央部付近に設けられ、ドラム支持杆9を保持するための保持金具よりなり、ドラム支持杆9が挿通される保持孔40を有し、挿通されたドラム支持杆9を所望の高さ位置で保持するための固定ネジ41が設けられている。本例では、保持金具をホルダー部材3に直接ネジや溶接により固定したが、金属プレート等を介して保持金具を取付けたものでもよい。このようなブラケット部材4はホルダー部材3に対して溶接またはネジなどによって固定される以外に、ダイキャスト製品等として一体形成されることも可能である。また、ブラケット部材4をホルダー部材3に対してドラム胴に沿った周方向(長手方向)にスライド可能に取り付けたものでもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
1 ドラム
2,2A ラグ
3 ホルダー部材
4 ブラケット部材
5 弾性部材
6 当止プレート
7 内部空間
8 挟持手段
9 ドラム支持杆
10 ドラム胴
11 ドラムヘッド
12 フープ
12a 締め付け調整ボルト
13 ドラムヘッド
13a ヘッド枠
14 フープ
14a 締め付け調整ボルト
20 凹部
21 ラグ本体
21a 取付ネジ
21b ネジ孔
21c ネジ孔
22 カバー体
22a 取付ネジ
22b 通孔
22c 掛止片
23 ラグナット
23c 取付孔
24 ゴム製リング
40 保持孔
41 固定ネジ
60 通孔
61 突起部
70 内壁部
71 当接面
72 係合溝

Claims (4)

  1. ドラム支持杆にドラムを固定するためのドラムの支持構造において、
    ドラムのボトム側に配置される連続した2個以上の所定のボトム側ラグに、周方向に延びる長尺な板状のホルダー部材を支持させ、
    該ホルダー部材にドラム支持杆のためのブラケット部材を設けてドラムを支持してなり、
    前記所定のボトム側ラグに、それぞれ前記ホルダー部材を挟持した状態で支持する挟持手段を設けるとともに、
    前記ブラケット部材を前記ホルダー部材における前記ラグ間の所定位置に設けてなることを特徴とするドラムの支持構造。
  2. 前記所定のボトム側ラグに対し、弾性部材を介して前記ホルダー部材を取り付けてなる請求項記載のドラムの支持構造。
  3. 前記所定のボトム側ラグを、外面側に前記ホルダー部材を弾性部材とともに受け入れる凹部を有するラグ本体と、該ラグ本体にネジ止めされて凹部を覆うカバー体とより構成し、該凹部とカバー体の間に前記ホルダー部材及び弾性部材を挟持してなる請求項1又は2記載のドラムの支持構造。
  4. 前記所定のボトム側ラグを備え、前記ホルダー部材及びブラケット部材を用いた請求項1〜3の何れか1項に記載のドラムの支持構造によりドラム支持杆に固定されるドラム。
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