JP5498667B2 - 毛髪化粧料 - Google Patents

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Description

本発明は、毛髪化粧料に関する。
毛髪は、太陽光による紫外線や熱、乾燥等の影響を常に受けるとともに、日々の洗髪やブラッシング、ドライヤーの熱等によりパサつきがちである。また、近年では、各自が自由に髪色を変えたり(カラーリング)、髪型を変化させたり(パーマネントウェーブ等)するなど、髪の外観の変化を楽しむことが一般化し、これら施術の頻度が高くなっている。カラーリング処理やパーマネントウェーブ処理をした毛髪は、使用する染毛剤やパーマネントウェーブ剤の化学的作用により、一般に表面が親水化する。表面の親水化に伴い、毛髪は絡みやすくなり、感触が悪化してゆく。非特許文献1および2には、表面の親水化度と感触の悪さの相関が示されている。
現在までに、毛髪損傷を修復させる目的で、様々な試みが行われてきた。たとえば、毛髪の損傷を修復または抑止するとともに、良好な感触を付与する技術として、分岐脂肪酸類を含有する毛髪化粧料(特許文献1)が提案されている。
また、特許文献2には、毛髪処理剤に特定の4級アンモニウムの有機酸塩または3級アミンの有機酸中和物を用いる技術が記載されている。
しかしながら、これらの毛髪化粧料では、カラーリング等を繰り返したヘビーダメージ毛髪に対して良好な感触を付与するには不十分であった。特に、濡れている時、および乾燥後の髪の滑らかさが不十分であった。
特開平4−173719号公報 特開平9−118606号公報 安田正明、「毛髪の指通り・ごわつき感と毛髪表面の科学」、Journal of Hair Science 95、p.7-12(2004) Yuichi NISHIDA他8名、「Repairing Effects of Diglucosyl Gallic Acid on Coloring-Damaged Hair」、Journal of Oleo Science、Vol.53、No.6、p.295-304(2004)
本発明の目的は、前述のような毛髪の損傷を修復または抑止し、濡れている時から乾いた後まで、良好な感触を付与する毛髪化粧料を提供することにある。
本発明者らは、分岐脂肪酸の有機カチオン塩を配合することにより、上記要求を満たす毛髪化粧料が得られることを見出した。
すなわち本発明によれば、分岐脂肪酸の有機カチオン塩を配合してなる毛髪化粧料が提供される。
本発明によれば、化学処理、ドライヤー乾燥、日々のヘアケア行動等による毛髪の損傷を修復または抑止し、濡れている時から乾いた後まで、良好な感触を付与することができる。この理由は必ずしも明らかではないが、分岐脂肪酸の有機カチオン塩が効果的に作用し、毛髪表面を改質することができるためと推察される。
本発明で用いられる分岐脂肪酸の有機カチオン塩とは、分岐脂肪酸と有機カチオンとからなる塩である。
分岐脂肪酸としては、一般式(1)で表されるものが好ましく例示される。
Figure 0005498667
(上記一般式(1)中、R1はメチル基またはエチル基を示し、pは3〜36の整数を示す。)
上記一般式(1)で表される分岐脂肪酸は、総炭素数が8〜40、さらに10〜24、特に14〜22であるものが好ましく、具体的には、18−メチルエイコサン酸、14−メチルペンタデカン酸、14−メチルヘキサデカン酸、15−メチルヘキサデカン酸、15−メチルヘプタデカン酸、16−メチルヘプタデカン酸、16−メチルオクタデカン酸、17−メチルオクタデカン酸、17−メチルノナデカン酸が挙げられる。
分岐脂肪酸は、たとえば、Philip W. Wertz他1名、「Integral Lipids of Human Hair」、LIPIDS、vol.23、No.9、p.878〜881(1988)、国際公開第98/30532号パンフレットの記載に従い、毛髪等から分離、抽出することもできるが、前述の特許文献1の記載に従って合成することもできる。
抽出品としては、ラノリンからの抽出物、すなわちラノリン脂肪酸およびその塩が挙げられる。ラノリン脂肪酸は、イソ脂肪酸、アンテイソ脂肪酸と呼ばれるメチル分岐長鎖脂肪酸を50質量%程度含有する。市販品として、18−MEA(クローダジャパン社製)、スクライロ(クローダジャパン社製)、FA−NH(日本精化社製)等が挙げられる。
なお、分岐脂肪酸は、2種以上を併用してもよい。また、合成品と抽出品を混合して使用してもよい。
次に、有機カチオン塩のカチオン部、すなわち分岐脂肪酸との塩を形成する対カチオンとしての有機カチオンについて説明する。
有機カチオンとして、具体的には、グアニジニウム、芳香族カチオン、4級アンモニウム等のカチオンが挙げられる。
グアニジニウムとは、分子内にグアニジン構造を有する化合物(グアニジン誘導体)のカチオンであり、たとえば分子内に炭素数8〜22の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基を有するものが挙げられる。さらに具体的には、以下の一般式(2)〜(4)等で表されるものが挙げられる。
Figure 0005498667
(上記一般式(2)中、R2は炭素数8〜22の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基を示し、R3は炭素数1〜10の直鎖または分岐鎖のアルキレン基またはアルケニレン基を示す。またnは0〜5の整数を示す。)
上記一般式(2)において、R2としては、好ましくは炭素数11〜22のアルキル基であり、R3は好ましくは炭素数2〜6のアルキレン基である。このようなカチオンとして、具体的にはラウリルグアニジニウム、ミリスチルグアニジニウム、セチルグアニジニウム、ステアリルグアニジニウム等のn=0の化合物;
ラウロイルアミドエチルグアニジニウム、ラウロイルアミドブチルグアニジニウム等のn=1の化合物等が挙げられる。
Figure 0005498667
(上記一般式(3)中、R4は炭素数8〜22の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基を示し、R5は炭素数1〜10の直鎖または分岐鎖のアルキレン基またはアルケニレン基を示す。)
上記一般式(3)において、R5としては炭素数2〜4のアルキレン基が好ましい。このようなカチオンとして、具体的にはN−(3−ラウロキシプロピル)グアニジニウム、N−(3−ミリスチロキシプロピル)グアニジニウム、N−(3−セチロキシプロピル)グアニジニウム、N−(3−ステアロキシプロピル)グアニジニウム等が挙げられる。
Figure 0005498667
(上記一般式(4)中、R6は炭素数8〜22の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基を示し、R7は炭素数1〜22の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基を示す。)
上記一般式(4)に示したカチオンは、Nα−アシル化アルギニンエステルのカチオンであり、具体的には、Nα−ココイル−L−アルギニンエチルエステルカチオン、Nα−ミリストイル−L−アルギニンエチルエステルカチオン、Nα−パルミトイル−L−アルギニンエチルエステルカチオン、Nα−ステアロイル−L−アルギニンエチルエステルカチオン、Nα−オレオイル−L−アルギニンエチルエステルカチオン等が挙げられる。
芳香族カチオンとは、カチオン性の複素環を分子内に持つ化合物で、たとえば下記一般式(5)に示されるものがある。
Figure 0005498667
(上記一般式(5)中、R8は炭素数8〜22の直鎖または分岐鎖のアルキル基を示す。)
上記一般式(5)に示したカチオンとして、具体的には、セチルピリジニウム等が挙げられる。
4級アンモニウムとしては、具体的には、下記一般式(6)、(7)に示すものが挙げられる。
Figure 0005498667
(上記一般式(6)中、R9、R10、R11、およびR12のうち少なくとも1個は、総炭素数8〜28の、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルカノイルアミノ基またはアルケノイルアミノ基で置換されていてもよいアルキル基またはアルケニル基を示し、残余はそれぞれ独立してベンジル基、炭素数1〜5のアルキル基またはヒドロキシアルキル基を示す。)
上記一般式(6)に示したカチオンのうち、R9として、総炭素数が12〜24で無置換のアルキル基、またはアルコキシ基で置換されたアルキル基が好ましい。さらに、総炭素数16〜22のものが好ましい。またR10、R11およびR12は、それぞれ独立して総炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。
上記一般式(6)で表される4級アンモニウムとして、具体的には、セチルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、ベヘニルトリメチルアンモニウム、セチロキシプロピルトリメチルアンモニウム、ステアロキシプロピルトリメチルアンモニウムが挙げられる。
Figure 0005498667
(上記一般式(7)中、R13は、炭素数6〜24の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基を示し、R14、R15およびR16は、同一または異なって炭素数1〜6のアルキル基あるいは−(AO)Hで表される基(Aは炭素数2〜4のアルキレン基、bは1〜6の整数を示し、b個のAOは同一でも異なってもよく、b個のA1Oが異なっているとき、異なるA1Oの配列は任意である。)を示す。aは1〜5の数を示す。)
以上に例示した有機カチオンの中でも、毛髪が濡れている時から乾いた後まで、良好な感触を付与する機能の観点から、4級アンモニウムが好ましい。4級アンモニウムのさらに好ましい例として、上記一般式(6)に示したものが挙げられる。また、4級アンモニウムの特に好ましい例として、分子構造中にエーテル結合を有するもの(例えば、セチロキシプロピルトリメチルアンモニウム、ステアロキシプロピルトリメチルアンモニウム)が挙げられる。
本発明における毛髪化粧料は、分岐脂肪酸の有機カチオン塩を配合して得られる。かかる分岐脂肪酸の有機カチオン塩としては、前述の分岐脂肪酸と有機カチオンとを組み合わせてなる塩が用いられるが、とりわけ、分岐脂肪酸が上記一般式(1)で表される脂肪酸であって、有機カチオンが上記一般式(6)で表される4級アンモニウムであることが好ましい。このような分岐脂肪酸の有機カチオン塩、特に分岐脂肪酸の4級アンモニウム塩を配合することにより、日々のヘアケア行動により傷んだ毛髪表面を疎水化し、摩擦を下げ、なめらかな感触にすることができる。
ここで、分岐脂肪酸の有機カチオン塩は、有機カチオン塩の対アニオンを分岐脂肪酸に塩交換して得ることができる。化粧品原料として市販されているカチオン活性剤などの有機カチオン塩の対アニオンは、通常ハロゲンイオンやアルキル硫酸イオンなどの、強酸のアニオンである。これらのカチオン活性剤と分岐脂肪酸とを単に混合するだけでは塩交換は起こらず、分岐脂肪酸の有機カチオン塩は得られない。それらを原料として、他の配合成分とともに混合して毛髪化粧料を得る場合でも、同様に、本願発明で意図する分岐脂肪酸の有機カチオン塩は生成していない。
そこで、有機カチオン塩の対アニオンが分岐脂肪酸よりも強酸のアニオンである原料を用いて所期の分岐脂肪酸の有機カチオン塩を得るためには、カチオン活性剤またはその溶液中に強塩基を加えた後、脱塩して対アニオンを除去した上で、分岐脂肪酸と混合することで、分岐脂肪酸の有機カチオン塩を製造できる。
また、4級アンモニウムの対アニオンが炭酸イオンや炭酸水素イオンなど、分岐脂肪酸よりも弱酸のアニオンの場合には、溶融あるいは、溶媒に溶解し混合することで分岐脂肪酸の有機カチオン塩を生成させることができる。
本発明の毛髪化粧料中の分岐脂肪酸のアンモニウム塩の配合量は、親水化した毛髪を再疎水化することで表面の摩擦を下げ、濡れている時から乾いた後まで、良好な感触を付与する効果の観点から、毛髪化粧料全体に対して0.01質量%以上、10質量%以下とすることが好ましく、さらには0.05質量%以上、5質量%以下とすることが好ましい。
本発明の毛髪化粧料には、毛髪に与える感触をさらに向上させるため、芳香族アルコール類、油性成分、カチオン界面活性剤、シリコーン類等を添加することができる。
芳香族アルコールとしては、ベンジルアルコール、シンナミルアルコール、フェネチルアルコール、p−アニシルアルコール、p−メチルベンジルアルコール、フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノール等が挙げられる。
また、油性成分としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸等の高級脂肪酸、流動パラフィン、流動イソパラフィン、ワセリン、スクワレン、スクワラン等の炭化水素油等が挙げられる。また、ツバキ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、オリーブ油、アボカド油、ヒマシ油、サフラワー油、ホホバ油、ヒマワリ油、ナタネ油、ゴマ油、大豆油、メドウフォーム油等の天然油脂;
ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミルスチン酸ミリスチル、パルミチン酸オクチル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ステアリン酸硬化ヒマシ油、ヒドロキシステアリン酸硬化ヒマシ油、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジイソステアリン酸ジグリセリル、ジペンタエリスリトールとヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸等の混合脂肪酸とのエステル等のエステル油が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、たとえば、以下の(i)〜(ix)の化合物等が挙げられる。
(i)アルキルトリメチルアンモニウム塩
たとえば下記一般式で表される化合物が挙げられる。
R17−N+(CH3)3-
(上記一般式中、R17は炭素数12〜22のアルキル基を示し、Xはハロゲン化物イオン(具体的には塩化物イオンまたは臭化物イオン)または炭素数1〜2のアルキル硫酸イオンを示す。)
上記一般式に示した界面活性剤として、たとえばステアリルトリメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。
(ii)アルコキシアルキルトリアルキルアンモニウム塩
たとえば下記一般式で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005498667
(上記一般式中、R18は炭素数12〜22のアルキル基を示し、R19はエチレン基またはプロピレン基を示し、R20、R21およびR22はそれぞれ独立して総炭素数1〜5のアルキル基を示す。Xは上記と同じである。)
上記一般式に示した界面活性剤として、たとえばステアロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。
(iii)アルコキシヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウム塩
たとえば下記一般式で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005498667
(上記一般式中、R13は、炭素数6〜24の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基を示し、R14、R15およびR16は、同一または異なって炭素数1〜6のアルキル基あるいは−(AO)Hで表される基(Aは炭素数2〜4のアルキレン基、bは1〜6の整数を示し、b個のAOは同一でも異なってもよく、b個のA1Oが異なっているとき、異なるA1Oの配列は任意である。)を示す。aは1〜5の数を示す。Xは上記と同じである。)
(iv)ジアルキルジメチルアンモニウム塩
たとえば下記一般式で表される化合物が挙げられる。
(R23)2+(CH3)2-
(上記一般式中、R23は炭素数12〜22のアルキル基またはベンジル基を示し、Xは上記と同じである。)
(v)アルキルジメチルアミン(およびその塩)
たとえば下記一般式で表される化合物およびその塩が挙げられる。
R24−N(CH3)2
(上記一般式中、R24は炭素数12〜22のアルキル基を示す。)
(vi)ヒドロキシエーテルアミン(およびその塩)
たとえば下記一般式で表される化合物およびその塩が挙げられる。
Figure 0005498667
(上記一般式中、R25は、炭素数6〜24の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基を示し、R26およびR27は、同一または異なって炭素数1〜6のアルキル基あるいは−(A1O)bHで表される基(A1は炭素数2〜4のアルキレン基、bは1〜6の整数を示し、b個のA1Oは同一でも異なってもよく、b個のA1Oが異なっているとき、異なるA1Oの配列は任意である。)を示す。aは1〜5の数を示す。)
(vii)アルキルアミドアミン(およびその塩)
たとえば下記一般式で表される化合物およびその塩が挙げられる。
R28−CONH−(CH2h−N(R29)2
(上記一般式中、R28は炭素数11〜23のアルキル基を示し、R29は同一または異なって、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示し、hは2〜4の数を示す。)
(viii)エーテルアミン(およびその塩)
たとえば下記一般式で表される化合物およびその塩が挙げられる。
Figure 0005498667
(上記一般式中、R30は、炭素数6〜24の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基を示し、R31は炭素数2〜5の直鎖または分岐のアルキレン基を示し、R32およびR33は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または−(A2O)sHで表される基(A2は炭素数2〜4のアルキレン基、sは1〜6の整数を示し、s個のA2Oは同一でも異なってもよく、s個のA2Oが異なっているとき、異なるA2Oの配列は任意である。)を示し、rは1〜8の整数を示す。)
(ix)グアニジン誘導体(およびその塩)
グアニジン誘導体とは、分子内にグアニジノ基を有する化合物で、たとえば以下の一般式(8)〜(10)等で表されるものが挙げられる。
Figure 0005498667
(上記一般式(8)中、R2は炭素数8〜22の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基を示し、R3は炭素数1〜10の直鎖または分岐鎖のアルキレン基またはアルケニレン基を示す。またnは0〜5の整数を示す。)
上記一般式(8)において、R2としては、好ましくは炭素数11〜22のアルキル基であり、R3は好ましくは炭素数2〜6のアルキレン基である。このようなグアニジン誘導体として、具体的にはラウリルグアニジン、ミリスチルグアニジン、セチルグアニジン、ステアリルグアニジン等のn=0の化合物;
ラウロイルアミドエチルグアニジン、ラウロイルアミドブチルグアニジン等のn=1の化合物等が挙げられる。
Figure 0005498667
(上記一般式(9)中、R4は炭素数8〜22の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基を示し、R5は炭素数1〜10の直鎖または分岐鎖のアルキレン基またはアルケニレン基を示す。)
上記一般式(9)において、R5としては炭素数2〜4のアルキレン基が好ましい。このようなグアニジン誘導体として、具体的にはN−(3−ラウロキシプロピル)グアニジン、N−(3−ミリスチロキシプロピル)グアニジン、N−(3−セチロキシプロピル)グアニジン、N−(3−ステアロキシプロピル)グアニジン等が挙げられる。
Figure 0005498667
(上記一般式(10)中、R6は炭素数8〜22の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基を示し、R7は炭素数1〜22の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基を示す。)
上記一般式(10)に示したグアニジン誘導体として、具体的には、Nα−ココイル−L−アルギニンエチルエステル、Nα−ミリストイル−L−アルギニンエチルエステル、Nα−パルミトイル−L−アルギニンエチルエステル、Nα−ステアロイル−L−アルギニンエチルエステル、Nα−オレオイル−L−アルギニンエチルエステル等が挙げられる。
上記(i)〜(ix)以外のカチオン界面活性剤としては、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノエチルトリエチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルトリエチルアンモニウム、メチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノエチルトリメチルアンモニウム、メチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸イソアルカン酸(C14〜C20)アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸イソアルカン酸(C18〜C22)アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸イソステアリン酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸イソノナン酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、アルキルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルピリジニウムクロライド等が挙げられる。
カチオン界面活性剤は、2種以上を併用してもよく、その含有量は、濡れている時から乾いた後まで、良好な感触を付与する機能の観点から、0.01〜20質量%が好ましく、さらには0.1〜15質量%、特に0.5〜10質量%が好ましい。
シリコーン類としては、たとえば以下の(i)〜(v)の化合物等が挙げられる。
(i)高重合ジメチルポリシロキサン
高重合ジメチルポリシロキサンは、具体的には重合度が1000以上であるジメチルポリシロキサンであり、たとえば、BY11−026、BY22−19(東レ・ダウコーニング社製)、FZ−3125(日本ユニカー社製)等が挙げられる。
高重合ジメチルポリシロキサンとしては、液状油(たとえば、下記(ii)ジメチルポリシロキサン、(iii)環状シリコーン等の液状シリコーン油、またイソパラフィン等の液状炭化水素油)に溶解または分散したものも使用することができる。
(ii)下記一般式で表されるジメチルポリシロキサン
Figure 0005498667
(上記一般式中、cは0〜1000の整数を示す。)
上記一般式で表されるジメチルポリシロキサンの性状は、具体的には液状あるいはオイル状である。上記一般式で表されるジメチルポリシロキサンとして、具体的には、SH200Cシリーズ、粘度1cs、50cs、200cs、1000cs、5000cs(東レ・ダウコーニング社製)等の市販品が含まれる。
(iii)下記一般式で表される環状シリコーン
Figure 0005498667
(上記一般式中、dは3〜7の整数を示す。)
上記一般式で表される環状シリコーンとして、具体的には、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。また、市販品としては、SH244やSH245(東レ・ダウコーニング社製)が挙げられる。
(iv)下記一般式で表されるアミノ変性シリコーン
Figure 0005498667
(上記一般式中、R34はR35と同一の基またはメチル基または水酸基を示し、R35は−R36−Q(ここでR36は炭素数3〜6の2価炭化水素基、Qは1〜3級アミノ基含有基またはアンモニウム基含有基を示す。)で表される反応性官能基を示し、eおよびfはそれぞれ正の整数で、e+fは分子量に依存する。好ましい平均分子量は3000〜100000である。)
上記一般式で表されるアミノ変性シリコーンとして、たとえば、SS−3551、SF8452C、DC929、DC8500(以上、東レ・ダウコーニング社製)、KT 1989(モメンティブ社製)等が挙げられる。アミノ変性シリコーンを水性乳濁液として用いる場合、該水性乳濁液中に含まれるアミノ変性シリコーンの量は20〜60質量%が好ましく、30〜50質量%がさらに好ましい。好ましいアミノ変性シリコーン水性乳濁液としては、SM8704C(東レ・ダウコーニング社製)が挙げられる。
(v)その他のシリコーン類
上記以外に、ポリエーテル変性シリコーン、メチルフェニルポリシロキサン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等が挙げられる。
シリコーン化合物の含有量は、濡れている時から乾いた後まで、良好な感触を付与する機能の観点から、本発明の毛髪化粧料中に0.1〜15質量%が好ましく、特に0.5〜10質量%が好ましい。
本発明の毛髪化粧料はさらに高級アルコールを含んでもよい。高級アルコールは、具体的には炭素数8〜30の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基を有するアルコールであり、炭素数10〜30の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基を有する高級アルコールが好ましく、炭素数12〜26の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基を有する高級アルコールがさらに好ましい。
高級アルコールの具体例としては、セタノール(セチルアルコール)、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、カラナービルアルコール、セリルアルコール等が挙げられる。これらは1種以上を混合して用いることができる。
本発明の毛髪化粧料にはさらに、毛髪化粧料に一般に使用されるその他の成分を、目的に応じて配合することができる。たとえば、カチオン化セルロース、ヒドロキシアルキル化セルロース、高重合ポリエチレンオキサイド等の高分子化合物;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリンアルキルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグリコシド等の非イオン界面活性剤;ジンクピリチオン、塩化ベンザルコニウム等の抗フケ剤;ビタミン剤;殺菌剤;抗炎症剤;防腐剤;キレート剤;パンテノール等の保湿剤;染料、顔料等の着色剤;ユーカリの極性溶媒抽出物、真珠層を有する貝殻または真珠から得られる蛋白質またはその加水分解物、シルクから得られる蛋白質またはその加水分解物、マメ科植物の種子から得られる蛋白含有抽出物、オタネニンジン抽出物、米胚芽抽出物、ヒバマタ抽出物、ツバキ抽出物、アロエ抽出物、月桃葉抽出物、クロレラ抽出物等のエキス類;雲母チタン等のパール粉体;香料;色素;紫外線吸収剤;酸化防止剤;その他エンサイクロペディア・オブ・シャンプー・イングリーディエンツ(ENCYCLOPEDIA OF SHAMPOO INGREDIENTS (MICELLE PRESS))に記載されている成分等が挙げられる。
本発明の毛髪化粧料は、酸性からアルカリ性まで広範囲のpHで効果を発現し、製品形態に応じて使用することができる。なお、本発明において、毛髪化粧料のpHは、水で20質量倍希釈したときの25℃における値をいう。
本発明の毛髪化粧料は、たとえば、分岐脂肪酸の4級アンモニウム塩およびその他の任意成分を、水と必要に応じエタノール、2−プロパノール、グリセリン、プロピレングリコール等を加えた溶剤に溶解させることにより製造される。毛髪化粧料の製品形態としては、ヘアリンス(ヘアコンディショナー)、アウトバスヘアトリートメント、ヘアカラー、パーマ剤等が挙げられる。
(分岐脂肪酸アンモニウム塩の製造例)
ステアリルトリメチルアンモニウムクロライドをメタノールに溶解し、10当量のナトリウムメトキシドを加え、1時間攪拌した。次いで水を加え、クロロホルムで抽出した。その後、水で3回洗浄した。得られたステアリルトリメチルアンモニウム塩を減圧濃縮し、凍結乾燥した。さらに、水−メタノール混合溶媒に溶解後、強塩基性樹脂カラムで精製、減圧濃縮、凍結乾燥した。得られたステアリルトリメチルアンモニウム・ヒドロキシド塩をメタノールに溶解させ、当量の18−メチルエイコサン酸を加えた。それを減圧濃縮、減圧乾燥して、分岐脂肪酸4級アンモニウム塩(ステアリルトリメチルアンモニウムの18−メチルエイコサン酸塩)を得た。
これに準じた手順にて、表1に示す他の種類の分岐脂肪酸4級アンモニウム塩を製造することができる。
(実施例1〜4、比較例1〜4)
上記方法で得られる分岐脂肪酸4級アンモニウム塩を用いて、表1に示す組成のヘアコンディショナーを製造し、下記の方法および基準に従って「毛髪の動摩擦係数」、「シャンプー後の接触角」を評価した。
「毛髪の動摩擦係数」
Bharat Bhushan他2名、「Friction and wear studies of human hair and skin」、Wear、vol.259、p.1012-1021(2005)に記載の方法に従い、毛髪化粧料処理後+シャンプー1回処理後の毛髪(N=10)について動摩擦係数を測定した。
「シャンプー後の接触角」
渡部俊輔他1名、「毛髪へのシリコーンの吸着挙動」、粧技誌、第29巻、第1号、p.64-68(1995)に記載の方法に従い、毛髪化粧料処理後+シャンプー1回処理後の毛髪(N=10)について接触角(度)を測定した。
Figure 0005498667
実施例1〜4のヘアコンディショナーは、濡れている時から乾いた後まで、良好な感触を付与する機能に優れていた。具体的には、表1より、分岐脂肪酸の有機カチオン塩を配合して得られた実施例1〜4のヘアコンディショナーでは、いずれもシャンプー後の毛髪表面の接触角が充分に大きく、毛髪表面が効果的に疎水化されることがわかる。また、実施例1〜4のヘアコンディショナーでは、動摩擦係数が充分に小さく、毛髪の感触を良好なものとすることができる。
一方、脂肪酸の有機カチオン塩を配合していない比較例1、直鎖脂肪酸の4級アンモニウム塩を配合した比較例3および分岐脂肪酸のナトリウム塩を配合した比較例4では、良好な毛髪の感触が得られなかった。
また、塩を形成せず分岐脂肪酸と有機カチオンとを別々に配合した比較例2においても、良好な毛髪の感触が得られなかった。
(実施例5) ヘアコンディショナー(pH3.3)
(質量%)
ステアリルトリメチルアンモニウム、18−メチルエイコサン酸塩 1.0
ステアリルアルコール 5.0
ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド 1.0
ジプロピレングリコール 5.0
ベンジルアルコール 0.5
ヒマワリ油 0.5
メチルポリシロキサン混合液 2.5
乳酸 1.0
香料 0.4
水酸化ナトリウム 適量
イオン交換水 残量
上記コンディショナーは、親水化した毛髪を再疎水化することで表面の摩擦を下げ、濡れている時から乾いた後まで、良好な感触を付与する機能に優れるものである。
(実施例6) ヘアコンディショナー(pH3.3)
(質量%)
ステアロキシプロピルトリメチルアンモニウム、18−メチルエイコサン酸塩
2.0
ステアロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド 2.0
ステアリルアルコール 5.0
ジプロピレングリコール 5.0
ベンジルアルコール 0.5
フェノキシエタノール 0.1
グリセリン 1.0
ポリプロピレングリコール 2.5
ヒマワリ油 0.5
メチルポリシロキサン混合液 2.5
乳酸 1.0
香料 0.4
水酸化ナトリウム 適量
イオン交換水 残量
上記コンディショナーは、親水化した毛髪を再疎水化することで表面の摩擦を下げ、濡れている時から乾いた後まで、良好な感触を付与する機能に優れるものである。
(実施例7) ヘアコンディショナー(pH3.3)
(質量%)
ステアリルトリメチルアンモニウム、ラノリン脂肪酸(*1)塩 2.0
ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド 2.0
ステアリルアルコール 5.0
ジプロピレングリコール 3.0
ベンジルアルコール 0.5
ポリプロピレングリコール 2.5
ヒマワリ油 0.5
メチルポリシロキサン混合液 2.5
乳酸 1.0
香料 0.4
水酸化ナトリウム 適量
イオン交換水 残量
*1:18−MEA クローダ社製
上記コンディショナーは、親水化した毛髪を再疎水化することで表面の摩擦を下げ、濡れている時から乾いた後まで、良好な感触を付与する機能に優れるものである。
なお、以上の実施例では、毛髪化粧料中に、分岐脂肪酸の有機カチオン塩を特定の量だけ配合したが、分岐脂肪酸の有機カチオン塩の配合量を、毛髪化粧料全量に対してたとえば0.01〜10質量%の範囲とした場合にも、毛髪が濡れている時から乾いた後までにわたり、良好な感触を付与することができる。
また、以上の実施例では、分岐脂肪酸および有機カチオンの組合せとして、上記一般式(1)に示した化合物と4級アンモニウムとの組合せを例示したが、他の組合せにおいても、塩が毛髪表面に効果的に残存して、毛髪表面を疎水化し、毛髪表面の摩擦を下げることにより、毛髪が濡れている時から乾いた後まで、良好な感触を付与することができる。
また、以上の実施例では、併用するカチオン活性剤として、分岐脂肪酸の有機カチオン塩中のカチオン部に対応する構造を有するものを用いる場合を例示したが、塩のカチオン部とは異なる構造のカチオン活性剤を用いてもよい。

Claims (4)

  1. ステアリルトリメチルアンモニウムクロリドまたはステアロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドを、強塩基を用いて脱塩してクロリドイオンを除去した後、下記一般式(1)で表される分岐脂肪酸と混合して得られる分岐脂肪酸の有機カチオン塩を配合してなる毛髪化粧料
    Figure 0005498667
    上記一般式(1)中、R1はメチル基またはエチル基を示し、pは3〜36の整数を示す。)
  2. 前記分岐脂肪酸の有機カチオン塩を毛髪化粧料全体に対して0.01質量%以上10質量%以下含有する請求項1に記載の毛髪化粧料。
  3. 更に、カチオン界面活性剤を毛髪化粧料全体に対して0.01〜10質量%含有する請求項1または2に記載の毛髪化粧料。
  4. 更に、高級アルコールを含有する請求項1乃至いずれか一項に記載の毛髪化粧料。
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