JP5496011B2 - ステップモータ装置 - Google Patents

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Description

この発明は、2つのステータと1つのロータを有し、特に、アナログ電子時計の指針を駆動するための駆動源として使用される連続運針をするための時計用のステップモータ装置に関する。
アナログ電子時計の駆動源には、入力するパルス状の駆動信号に同期して回転する、いわゆるステップモータ(ステッピングモータあるいはパルスモータ、あるいは同期モータとも称される)が用いられており、一般に単相ステップモータが採用されている。
その単相ステップモータは、永久磁石からなる1個のロータと、そのロータを回転自在に挿入させるロータ孔を有する軟磁性体のヨークと、そのヨーク(磁心)と一体のコイル芯に導線を巻きつけたコイルとからなる1組のステータとを備えており、そのコイルにパルス電流を流すことにとよって、ロータが一定角度だけ回転する。
そして、ステータのヨークにおけるロータ孔の周囲には、コイルによる磁界によってロータに駆動トルクを作用させるために機能する一対のスリット又は磁束飽和部と、ロータに保持トルクを作用させために機能する一対の内ノッチとを設けている。
駆動トルクはロータを回転させるためのトルクであり、保持トルクはロータの回転方向を決めるとともに、コイルの非通電時にロータの位置を安定させるためのトルクである。この保持トルクによって、針が衝撃によって飛ぶのを抑えることもできる。
パルス電流の通電により、ロータが一定角度だけ回転する、その1ステップ動作に要する時間はわずか数[ms]程度であり、再び1[s]後にパルス電流を通電するまでの間、コイルには非通電でありロータは停止したままである。このような運針をステップ運針と呼び、通電時間が非常に短いために消費電力は小さく、腕時計に用いられる小さな電池であっても長期間に亘って指針を駆動できる。そのため、現在多くの腕時計に単相ステップモータが用いられているのである。
また、パルス電流を1[s]周期間隔で通電するのではなく、数十[ms]周期の間隔で通電し、減速比をその周期分増やすことで、運針がさも連続的に動いているように見せることができる。このような運針方法を連続運針と呼ぶ。このような運針方法は多くの提案を見るものであり、そのような運針をする時計は、主に置時計などでは、広く普及しており、近年では腕時計に採用されることも多い。特に腕時計にあっては、秒針が1秒ごとに運針するものが主流である中で、秒針が連続運針するものは、特に注目されている。
上述の運針方法を行なう従来から知られている単相ステップモータの構成を、図18を用いて説明する。
図18において、永久磁石よりなるロータ103は、ヨーク1011に設けられたロータ孔1011aに回転自在に挿入され、そのロータ孔1011aにはロータ103に駆動トルクを作用させるために必要な磁束飽和部1011dと、保持トルクを作用させるための内ノッチ1011cとが設けられている。
コイル1013へのパルス電流の方向を一定周期毎に切り替え、保持トルクに打ち勝つだけのトルクが発生するようなエネルギーを与えた場合に、ロータを180[deg]ずつ一定方向に回転させることができる。
図18に示したこのような単相ステップモータの構成は多くの提案を見るものであるが、例えば、特許文献1に開示されている。
このようなステップモータにあっては、ロータの駆動に際する高効率化や低消費電力化の取り組みが多く成されている。例えば、2つの単相ステップモータをロータの軸方向に重ねる構成が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
特許文献2に示した従来技術は、連続運針をするものではないが、2つの単相ステップモータを制御することで、正逆回転を可能としたステップモータとなっている。
特許文献2に示した従来技術を、図19を用いて説明する。
図19において、互いに直交し、磁気分離された2つのヨーク2011,2021と、2つのコイル2013,2023とからなるステータ201,202を、ロータ203に対して同軸上に配置してある。ヨーク2011,2021にはロータ回転方向に対して同じ位相関係となるようにロータ孔2011a,2021a、及び内ノッチ2011c,2021cが配置されることで、ロータには保持トルクが作用し、ロータ203は、静的安定位置から次の静的安定位置までを1ステップとして回転する。この1ステップは180[deg]である。
このステップモータは、2つのコイル2013,2023より通電する側を選択することで、正回転又は逆回転を切り替えることができる。製造技術に歴史がある単相ステップモータ用のステータ201,202をロータ軸方向に重ねるのみで良いために、製造し易い構造である。
また、2つの単相ステップモータをロータの軸方向に重ねる構成の他の例として、効率よく高トルクを発生させると共に、低消費電力化を行なえる技術も知られている(例えば、特許文献3参照。)。
特開昭55−4554号公報(第2頁、第1図) 特公平7−93807号公報(第2頁、第1図) 特開2009−189080号公報(第5頁、第1図)
図18に示した従来知られている単相ステップモータの構造では、ロータ103に保持トルクが作用しており、それに打ち勝ち回転させるために十分高い電圧を印加して回転させる必要がある。そして、ロータ103が停止する際には保持トルクによりロータ103を位置決めするトルクが作用し、減衰振動をしながら静的安定位置で停止する。そのために、1ステップあたりの角速度の変動幅が非常に大きくなってしまう。そうすると、連続運針をするとき、秒針の振れとして時計の使用者には違和感として認識されてしまうという問題がある。この秒針の振れは、長い秒針を設けた場合などに顕著になる。
その1ステップあたりの角速度波形の様子を逆起電力による細かな速度変動などは無視し、かなり簡略化して模式的に示したものが図20である。図中、108a,108bは角速度波形である。角速度の変動幅はΔωdで示している。また、図には角速度波形の1つを拡大した拡大部も表している。その拡大部においてT1,T2は区間、αは領域を示している。
図20(A)は、変動幅が非常に大きく、正側から負側にまで変化する様子を示している。図20(B)は、角速度の変動幅がなく理想的な角速度波形を示している。
ロータに作用する保持トルクがあると、そのロータを回転駆動させようとしたときに、
駆動トルクが保持トルクを上回るように駆動パルスをコイルに印加する必要がある。図20(A)に示したように、駆動パルスを印加してそれにより発生した駆動トルクにより、保持トルクが負荷として作用している区間をロータが乗り越えるまでが区間T1であり、それを超えて今度はロータが保持トルクによって回転し始めて、やがて静的安定位置で回転し終わる区間を区間T2とすると、ロータの角速度の変動は、区間T1と区間T2との両方で起きている。ただし、区間T1と区間T2とでは、その発生要因が異なる。
すなわち、区間T1にあっては、駆動トルクが保持トルクに打ち勝とうとするために発生するものであり、保持トルクと駆動パルスの実効電圧との兼ね合いでその変動の大きさ(変動幅)は変わるのである。保持トルクを簡単に超えるほど大きな駆動トルクを発生するような高い実効電圧の駆動パルスを用いてしまうと、ロータは回転しやすくなるものの、かえって角速度の変動を招いてしまう。
一方、区間T1を経てその後にロータが所定角度回転し終わるまでの区間T2にあっては、保持トルクが作用してロータが減衰振動をしながらやがて停止するために起こるものであり、保持トルクの大きさでその変動の大きさ(変動幅)も変わるのである。なお、領域αは、角速度の負の変動の領域を示しており、保持トルクが小さければ、この領域αにおける角速度の変動も小さくなる。
図20(A)に示した角速度波形108aの変動を抑制するために、1秒間あたりに発生させるパルス数を増やし、輪列の減速比を増やすことで、秒針の振れの度合いは使用者に認識され難くすることができる。
しかし、そうすると、消費電力はパルス数に比例して増加してしまうため、図18に示した従来知られている単相ステップモータを腕時計のように小さな電池しか搭載できない機器に適用した場合には、寿命が短く、電池交換が頻繁に必要となってしまうという問題が代わりに発生してしまう。
特許文献2に示した従来技術を応用して電子時計の秒針を連続運針させようとしても、やはり保持トルクがロータ203に作用しているから、180[deg]ずつステップ運針させるために、角速度の変動は図20の(A)の角速度波形108aと同じになってしまい、やはり秒針の振れとして時計の使用者に違和感として認識されてしまうという問題がある。
特許文献3に示した従来技術は、高効率で高トルクを発生させることができる技術であるが、保持トルクがロータに作用しているから、角速度の変動幅もある。ロータの回転をそのまま指針に伝達する機構を搭載した電子時計の場合は、その秒針を連続運針させるとき、秒針の振れが発生してしまうことがある。
つまり、ロータの角速度の変動を小さくすることで電子時計の秒針の振れを小さくするには、ロータにかかる保持トルクを小さくすれば図20(A)に示す区間T2の角速度の変動が改善される。そして、そのような保持トルクが小さいロータを、より小さい実効電圧の駆動パルスで駆動すれば区間T1の角速度の変動が改善される。
しかしながら、そのような、ロータにかかる保持トルクが極めて小さく、かつ角速度の変動を発生しないような低いで実効電圧で動作できるステップモータは、いまだ提案がなされていない。
なお、ステータを2個必要とするメリットは大きいものの、小さく薄型であることを求められる腕時計にあっては、搭載する全ての部品のサイズを小さくすることが求められている。一般的に消費電力を下げるためにはコイルをできる限り大きく確保することが有利であるが、ステータを2個必要とする構成であっても、できる限りそのサイズを小さくする必要がある。
本発明は上記のような問題を解決し、図20(B)の角速度波形108bにあるように角速度の変動幅が小さい特性で、時計の使用者に秒針の針の振れを違和感として意識させない連続運針を実現し、なおかつ小型で設計の自由度が高いステップモータ装置を提供することを目的とする。
この発明によるステップモータ装置は、上記の目的を達成するため、以下に示す構成を採用するものである。
2極に着磁された永久磁石からなる1個のロータと、ロータを回転自在に挿入されるロータ孔を有する軟磁性体のヨークと該ヨークに一体となるコイル芯に導線を巻きつけたコイルとからなるステータを2個有し、2個のステータは、ロータ孔の位置を互いに一致させてロータの軸方向に互いに空間的な位相をずらせて重ねると共に互いを絶磁して配置された第1のステータと第2のステータとであるステップモータを有し、 それぞれのコイルに位相をずらした所定の駆動パルスを発生する駆動手段を有し、駆動パルスをそれぞれのコイルに印加することで、ロータを回転させるステップモータ装置において、
そのステップモータは、2個のステータのロータ孔の周囲には、コイルによる磁界によってロータに駆動トルクを作用させるために機能する一対のスリット又は磁束飽和部を設け、2個のステータとロータとでは、コイルの非通電時にロータの位置を安定させるための保持トルクが生じず、一方のステータと他方のステータとは、それぞれのコイルの大きさが異なっているが、駆動トルクが同一のステップモータであることを特徴とする。
このような構成を有することで、保持トルクが生じないために低い電圧でも駆動することができ、角速度の変動幅の小さいスムースな連続運針の実現と、時計内でのモータ部分の小型化設計が可能という効果を有することができる。
ステップモータの2個のステータに備える一対のスリット又は磁束飽和部は、それぞれのステータごとに保持トルクを生じさせない位置となっているようにしてもよい。
このような構成を有することで、組立時にそれぞれのステータの位置関係について、さほどの精度を要するものではなくなり、組立易いという効果を有することができる。
ステップモータは、2個のステータに一対のスリットを設けたとき、スリットによって生じる保持トルクを打ち消すための一対の内ノッチを、ロータ孔の中心を通って直交する線上に設けているようにしてもよい。
このような構成を有することで、スリットによりコイルからの磁界が効率的に漏れてロータに作用するため、より低い電圧で駆動でき低消電化という効果を有することができる。
2個のステータの駆動トルクは、そのステータのコイルのコイル芯に巻きつけた導線の巻数と、コイルの鎖交磁束量と、コイルに通電する電流量と、を選択して、2個のステータの駆動トルクを等しくしてもよい。
このような構成を有することで、摩擦トルクにほぼ釣り合うか、少し上回る程度の駆動トルクを発生させるような、低い電圧で駆動することができ、角速度の変動幅の小さいスムースな連続運針の実現と、低消電化という効果を有することができる。
駆動手段は、駆動パルスを発生するために、少なくとも4つのスイッチ素子によるHブ
リッジ回路2組よりなる駆動回路を備えており、駆動パルスの実効電圧は、ロータに負荷として作用している静止摩擦トルク又は動摩擦トルクより大きいトルクを発生させる電圧値であると共にスイッチ素子を構成するMOSFETの閾値電圧よりも小さい電圧値であるようにしてもよい。
このような構成を有することで、摩擦トルクをわずかに上回る程度のトルクで駆動するため、余計な加減速がなく、角速度の変動幅の小さいスムースな連続運針の実現という効果を有することができる。
この発明によるステップモータ装置は、2個のステータとロータとの間では、コイルの非通電時にロータの位置を安定させるための保持トルクが生じないという、従来にない特徴を有している。このために、角速度の変動幅を小さくすることができる。これにより、電子時計の秒針の運針に用いたとき、その秒針が長い秒針であっても、秒針の振れは発生しない。電子時計の秒針が連続運針するときでもスムースな運針が可能になる。
また、この発明によるステップモータ装置は、ステップモータ自体に保持トルクがないため、ロータを駆動し始める期間においても、それぞれのコイルに印加する駆動パルスの実効電圧が小さくできるから、その結果、角速度の変動幅が小さいことに加えて、より消費電力を小さくすることができる。
さらにまた、それぞれのコイルの大きさが異なるにも係らず、それぞれのコイルによりロータに作用する駆動トルクの大きさが同じであるために、角速度変動が少なくロータを回転させることができる。コイルの一方を他方に比べて小さくできるから、ステップモータの外形を小さくすることができるから、腕時計内での配置や設計自由度が高く、小型化設計が可能という効果がある。
本発明の第1実施形態のステップモータ装置を説明する斜視図である。 本発明の第1実施形態のステップモータ装置の第1のステータと第2のステータとをロータ軸方向に分離させた状態を示す斜視図である。 本発明の第1実施形態のステップモータ装置の第1のステータと第2のステータとを左右に並べて示す平面図である。 本発明の第1実施形態のステップモータ装置のロータ孔周辺の断面図である。 ステータによってロータに作用する保持トルクを説明するための図である。 ムーブメント内にモータを配置した場合の状態を説明するための図である。 本発明の第1実施形態の保持トルク打ち消しに係る第1変形例のステップモータのロータ孔周辺の詳細図である。 本発明の第1実施形態の保持トルク打ち消しに係る第2変形例のステップモータのロータ孔周辺の詳細図である。 ステータの絶磁構造を説明するためのロータ孔周辺を模式的に示す断面図である。 ロータの駆動パルスを説明するための図である。 1相励磁時の駆動を説明する図である。 2相励磁時の駆動を説明する図である。 1−2相励磁時の駆動を説明する図である。 駆動回路を説明する図である。 スイッチ素子を構成するMOSFETの特性を説明する図である。 印加電圧とそのときのロータの角速度との関係を示す図である。 印加電圧を下げる手法を説明する図である。 特許文献1に示した従来技術を説明する図である。 特許文献2に示した従来技術を説明する図である。 1ステップあたりの角速度波形の様子を説明する模式的な波形図である。
ステップモータ装置は、1個のロータに対して2個のステータを上下に重ねる構成を有している。2つのステータは、各ロータ孔の位置を1個のロータに対して一致させており、その軸方向に互いに空間的な位相をずらせて重ねると共に互いを絶磁して配置している。また、2つのステータ及びコイルの大きさが異なっている。
ステップモータ装置は、ステータによりロータに駆動トルクを作用させる機能は有しているが、コイルへの非通電時に保持トルクをロータに作用させる機能は有していない。
そして、ロータに負荷として作用している摩擦トルクをわずかに上回る程度の駆動トルクを作用させてロータを回転させる。このため、余分な加減速がなく、ロータの角速度の変動幅も小さくて済むのである。
保持トルクをロータに作用させない構成としては、以下の3つの実施形態がある。
第1実施形態は、上下のステータそれぞれにスリットと内ノッチを備え、それぞれのステータで保持トルクを打ち消す構成である。
第2実施形態は、上下のステータそれぞれに磁束飽和部を備えることで保持トルクを生じさせない構成である。
第3実施形態は、一方のステータにスリットと内ノッチ、他方のステータに磁気飽和部を設けており、いわば第1及び第2実施形態の構成を合わせた構成である。
各実施形態に共通するのは、2つのコイルの大きさが同一ではないという点である。まず第1実施形態の構成や作用効果、各構成要素の位置関係を説明し、その後に第2実施形態以降を説明する。
[第1実施形態の構成の説明:図1〜図4]
図1〜図4は、ステップモータ装置の第1実施形態の構成を示す図であり、図1はステップモータ装置の斜視図、図2は図1に示したステップモータの第1のステータと第2のステータとをロータ軸方向に分離させた状態を示す斜視図、図3は第1のステータと第2のステータとを左右に並べて示す平面図である。図4は、図3の中心線gで切断した際のロータ孔周辺の断面図である。
第1実施形態のステップモータ装置の特徴は、上下に重ねたステータそれぞれで、コイルへの非通電時に保持トルクをロータに作用させない構成である。
具体的には、それぞれのステータに一対のスリットと、その一対のスリットを設けたことによって生じる保持トルクを打ち消すための一対の内ノッチとを設けており、スリットと内ノッチとは互いに直交するように設けている。これにより保持トルクをロータに作用させない構成としている。
更に、一方のステータと他方のステータとは、それぞれのコイルの大きさが異なっているが、駆動トルクが同じであるような構成としている。
更にまた、2個のステータの駆動トルクは、そのステータのコイルのコイル芯に巻きつけた導線の巻数と、コイルの鎖交磁束量と、コイルに通電する電流量と、を乗じた値であるような構成としている。
まず、保持トルクをロータに作用させない構成について説明する。
図1において、3は永久磁石からなる1個のロータである。11はロータ3を回転自在に挿入させるロータ孔11aと一対のスリット11bと一対の内ノッチ11cとを有する軟磁性体のヨーク(磁心)、12はヨーク11と一体となるコイル芯、13はコイル芯12に導線を巻きつけたコイルである。これらで第1のステータ1を構成している。
同様に、21はロータ3を回転自在に挿入させるロータ孔21aと一対のスリット21bと一対の内ノッチ21cとを有する軟磁性体のヨーク、22はコイル芯、23はコイル
であり、これらで第2のステータ2を構成している。
なお、コイル13,23は細い導線を巻回したものであるが、その様子は図面を見やすくするために省略している。
そして、コイル13とコイル23とに電気的な位相をずらした所定の駆動パルスを印加する駆動手段30とを備えている。
駆動手段30は、コイル13とコイル23とに駆動パルスを印加する駆動回路10と、駆動回路10からコイル13,23に流れる電流情報などを読み取ることでロータ3の回転又は非回転を検出する検出手段30bと、検出手段30bの結果に基いて駆動パルスの実効電圧を可変したり、駆動回路10に送る制御信号のDutyを可変するための可変電圧手段30aと、を備える。
図1に示すように、第1のステータ1と第2のステータ2とは、各ロータ孔11a,21aの位置を1個のロータ3に対して一致させて、その軸方向に互いに空間的な位相をずらせて重ねると共に互いを絶磁して配置している。双方のステータの絶磁は、図示しない保持部材などより空隙を有するようにして絶磁しているが、図示はしないが双方のステータ間に非磁性体のスペーサを挿入することにより絶磁してもよい。このようなスペーサを用いた絶磁の詳細については後述する。そして、コイル13,23の大きさが異なることが大きな特徴である。
なお、図示しないがロータ3には歯車が固定され、秒針までは歯車輪列のみにより駆動力が伝えられている。
このような第1のステータ1と第2のステータ2との位置関係及びロータ孔周辺の構成を見易くするようにロータ3の軸方向の中心線Aに沿って分離させた図が図2である。
図2に示すように、本実施形態で説明する第1のステータ1と第2のステータ2とは大きさは異なる点が特徴である。図2に示す例では、上側の第2のステータ2は、下側の第1のステータ1を上下にひっくり返して配置したような配置をしている。
図3は第1のステータ1と第2のステータ2とを横に並べるように示す平面図であり、それぞれのステータに設けるスリットと内ノッチとの位置関係を説明する図である。
図3に示すように、第1のステータ1のヨーク11におけるロータ孔11aの周囲には、コイル13による磁界によってロータ3に駆動トルクを作用させるために機能する一対のスリット11bと、その一対のスリット11bを設けたことによって生じる保持トルクを打ち消すための一対の内ノッチ11cとが設けられており、これらは互いにロータ孔11aの中心を通って直交する中心線a及び中心線bの各線上に設けている。つまり、スリット11bと内ノッチ11cとは、90[deg]ずれる位置関係にある。
同様に、第2のステータ2のヨーク21におけるロータ孔21aの周囲にも、コイル23による磁界によってロータ3に駆動トルクを作用させるために機能する一対のスリット21bと、その一対のスリット21bを設けたことによって生じる保持トルクを打ち消すための一対の内ノッチ21cとが設けられており、これらは互いにロータ孔21aの中心を通って直交する中心線e及び中心線dの各線上に設けている。つまり、スリット21bと内ノッチ21cとは、90[deg]ずれる位置関係にある。
なお、内ノッチ11c,21cは、ロータ孔11a,21aの内周からその径方向に形成された切り込みである。
また、図3に示す中心線gと角度θとについては後述する説明に用いるものであるから、ここでの説明は省略する。
このような構成にすることで、上下に重ねたステータそれぞれで、保持トルクを打ち消
すことができ、ロータ3に保持トルクを作用させなくすることができる。
さらに、第1のステータ1の一対のヨーク11に設けたスリット11bを結ぶ直線aと、第2のステータ2のヨーク22に設けた一対のスリット21bを結ぶ直線dとが互いに直交するようにしたうえで、コイル13のコイル芯12の中心線cと、コイル23のコイル芯12の中心線fとの方向が平面上で互いに直交するように配置している。
このようにすると、それぞれのコイルにより発生する磁界とロータの磁石との相互作用により発生する駆動トルクの大きさの変動が減り、角速度変動幅が小さくなるという効果がある。
知られているように、駆動トルクは、ロータの回転中に正弦波状に変化する。2つのステータを直交させると、正弦波状の駆動トルクのピーク近傍となる領域でのみロータを回転させることができる。そうすると、駆動トルクの変動が減り、角速度の変動の幅が小さくなる。
なお、すでに説明したように、ロータ3から秒針までの間には歯車輪列しかないために、ロータ3の動きと図示しない秒針の動きは1対1の対応をしている。このため、ロータ3に余分な加減速があると(ロータの角速度の変動幅が大きいと)、秒針の振れとして時計の使用者には違和感として認識されてしまう。
[コイルの大きさの違いについての説明]
次に、第1実施形態のステップモータ装置のコイルの大きさに関する構成について説明する。
図3に示すように、コイル23の大きさはコイル13と比較して、コイル長が短い。コイル23の大きさに伴って、コイル芯22、ヨーク21も小さい。このようにコイルの大きさが異なっているのが望ましい形態である。コイル23ではなく、コイル13の方が小さくでも構わないが、ここでは後の説明でも一貫してコイル23の側が小さいとして説明する。
このように、単に2つのコイルの大きさが異なっているだけでも構わないが、それぞれのコイルによりロータを回転させるステップ毎に、速度変動があるのは好ましくないため、それぞれのコイルの励磁によりロータ3に作用する駆動トルクの大きさが等しくなるような形態がより望ましい。そのために、ステータ2側のコイルが小さいとした場合に図4(A)又は図4(B)のような断面図で示すような構成であるのが望ましい。
図4(A)は、ヨークの厚さも異ならせる例である。
少ない巻数のコイル23を有してステータを構成しているヨーク21’の厚さが、多い巻数のコイル13を有してステータを構成しているヨーク11’と比較して厚い。
そして、ロータ磁石3aから発生した磁束量5は、より磁束を通し易いヨーク21’と、ヨーク21’よりは磁束が通り難いヨーク11’とにそれぞれ5b、5aとに分かれる。
それぞれの磁束は、ヨークとコイル芯で構成された図示しない磁気回路を通り、それぞれのコイル13,23を鎖交し、再びロータ磁石3aに戻ってくる。
この場合、磁束量5a<磁束量5bという大小関係となる。
図4(B)は、ヨークとロータ磁石との距離を異ならせる例である。
少ない巻数のコイル23を有してステータを構成しているヨーク21’ ’とロータ磁石3aとのギャップが、多い巻数のコイル13を有してステータを構成しているヨーク11’ ’と比較して狭い。
そして、ロータ磁石3aから発生した磁束量5は、より磁束を通し易いヨーク21’ ’と、ヨーク21’ ’よりは磁束が通り難いヨーク11’ ’とにそれぞれ5b’、5a’とに分かれる。
それぞれの磁束は、ヨークとコイル芯で構成された図示しない磁気回路を通り、それぞれのコイル13,23を鎖交し、再びロータ磁石3aに戻ってくる。
この場合、磁束量5a’<磁束量5b’という大小関係となる。
このような構成とすることで、コイルの大きさが異なるものの、ロータに作用する駆動トルクを同程度の大きさにすることができる。
[第1実施形態の作用の説明:図1〜図5]
次に、第1実施形態の作用を図面に基づいて説明する。
図5は、それぞれのステータによってロータに作用する保持トルクを説明するための図である。4aはステータのスリットにより保持トルク、4bは内ノッチによる保持トルク、4はステータによりロータに作用する保持トルクである。横軸はロータ回転角度、縦軸は保持トルクを示している。
第1実施形態のステップモータ装置は、図3に示すように、スリット11bを設けた位置から反時計回りに+90[deg]回転した位置を絶対位置原点とし、その絶対位置原点から反時計周りにロータ3が回転する角度をθとすると、ロータ3の回転角度による合成保持トルクTh(θ)は数1で表わされる。
Figure 0005496011
数1において、Tstator1(θ)は第1のステータ1によりロータ3に作用する保持トルク、Tstator2(θ)は第2のステータ2によりロータ3に作用する保持トルクである。Tstator1_slit(θ+π/2)は一対のスリット11bによる保持トルク、Tstator1_notch(θ)は一対の内ノッチ11cによる保持トルク、Tstator2_slit(θ+π/2)は一対のスリット21bによる保持トルク、Tstator2_notch(θ)は一対の内ノッチ21cによる保持トルクである。
図5は保持トルクが合成されることでゼロになることを示しており、例えば第1のステータ1を例にすると、一対のスリット11bによる保持トルクTstator1_slit(θ+π/2)である4aが、1対の内ノッチ11cによる保持トルクTstator1_notch(θ)である4bと合成されることで、第1のステータ1によりロータ3に作用する保持トルクTstator1(θ)である4は打ち消されてゼロとなる。
このように、一対のスリット11bによる保持トルクTstator1_slit(θ+π/2)をちょうど打ち消すには、一対の内ノッチ11cの切り欠き幅を調整することで保持トルクTstator1_notch(θ)の振幅を調整すればよい。図5に示すように、保持トルクをきれいに打ち消せるのは一対のスリット11bと一対の内ノッチ1
1cとがロータ孔の中心に対して直交しているからである。
なお、以上の説明は、第1のステータ1を例にしたが、すでに説明したように、第1のステータ1と第2のステータ2とは同形状であるから、第2のステータ2でも同様である。
第2のステータ2においての保持トルクの関係は、前述の文章の符号を読み換えればよく、一対のスリット21bによる保持トルクTstator2_slit(θ+π/2)である4aが、一対の内ノッチ21cによる保持トルクTstator1_notch(θ)である4bと合成されることで、第2のステータ2によりロータ3に作用する保持トルクTstator2(θ)である4は打ち消されてゼロとなる。
第2のステータ2の場合にも、1対のスリット21bによる保持トルクTstator2_slit(θ+π/2)をちょうど打ち消すには、一対のノッチ21cの切り欠き幅を調整することで保持トルクTstator2_notch(θ)の振幅を調整すればよい。
次に、第1実施例のステップモータ装置のコイルの大きさに関する作用について説明する。
磁石から出た磁束がそれぞれのコイルを鎖交することで、コイルに通電した際に相互作用としてロータ磁石3aと一緒に固着されているロータカナ3bとより構成されるロータ3’に回転するトルクを発生させる。それぞれのコイルの励磁によりロータ3に作用する駆動トルクの最大値Tk_maxと消費電力Pは数5のように表わされる。なお、数2〜数4については、後述する。
Figure 0005496011
数5において、Nはコイル巻数、Φmaxはロータ磁石から発生し、それぞれのコイルを鎖交する磁束量、eはコイルへの印加電圧、Rはコイルの抵抗、Kmaxはトルク係数(=逆起電圧係数)の最大値、imaxは電流の最大値である。Pは消費電力である。なお、この式は実効電圧が小さく、非常に低速で駆動している定常状態の駆動トルクと消費電力を概算で求める場合のものであり、正確なものではない。
仮にコイル23をコイル13同じ導線で巻き、コイル芯12と同じ断面積を持つコイル芯22に巻いたとすると、巻数を減らした小さいコイル23の方は巻数Nと共に、コイル抵抗Rも小さくなってしまう。
そのため、2個のコイルによる駆動トルクTk_maxを等しくし、消費電力Pの上昇を抑えるためには、小さくしたコイル23側を鎖交するΦmaxを大きくし、コイル23に印加するeを小さくする必要がある。そこで、Φmaxを上げるために図4に示すような構成とした。
図4(A)のような、ヨークの厚みを変える構成とすることで、磁気回路の磁気抵抗が変わるため、磁束量が調整でき、巻数Nが少ないヨーク21’側のΦmaxを増やすことができる。そして、2個のコイルによる駆動トルクTk_maxを等しくすることができ
る。
また、図4(B)に示す構成も、ロータ孔21a’ ’の径をロータ孔11a’ ’よりも小さくすることで、磁束量を調整し、巻数Nが少ないヨーク21’ ’側のΦmaxを増やし、2個のコイルによる駆動トルクTk_maxを等しくしている。
このように、Φmaxは、磁気回路の磁気抵抗により調整が可能である。図4(A)に示す例でも図4(B)に示す例でも同じ効果が得られるが、大切なことは磁気抵抗の調整によりΦmaxの大きさを調整するという点である。
例えば、コイル13側の巻数をN、コイル抵抗をRとし、コイル23側の巻数を(1/2)×N、コイル抵抗を(1/2)×Rとした場合、コイル長は半分になる。この場合に駆動トルクTk_maxを等しくし、消費電力Pを上げないためには、例えば、コイル23側への印加電圧eを(1/1.414)×eとし、コイルを鎖交する磁束量Φmaxを1.414×Φmaxとすればよい。
あるいは、仮にコイル23とコイル13との巻数Nを同じとして、コイル23の導線径をコイル13よりも小さくした場合にも、コイル23の大きさは小さくなり、代わりにコイル抵抗Rが大きくなる。その結果、コイル23側の励磁による駆動トルクTk_maxと消費電力が小さくなる。この場合に、駆動トルクTk_maxと消費電力Pも等しくなるようにeを上げることも可能であるが、消費電力の上昇をなるべく抑えるためにeをあまり上げないようにしたい。そこで、小さくなったコイル23側の駆動トルクTk_maxを増やすために、やはりΦmaxを増やす必要がある。そのためにも上述した図4のような方法がある。
例えば、コイル13側の巻数をN、コイル抵抗をRとし、細い導線で巻いたコイル23側の巻数をN、コイル抵抗をα×Rとした場合にも、コイル長は短くなる。この場合に駆動トルクTk_maxを等しくするためにコイル23側のコイル印加電圧を上げてもよいが、消費電力の上昇をできるだけ抑えたいために、印加電圧はeのままで、Φmaxを例えばα×Φmaxに変更する。そうすると駆動トルクTk_maxが等しくなり、消費電力Pの上昇も抑えられる。
これらは、概算程度のものであり、実際のモータの場合は、Φmaxを大きくすることで、摩擦負荷も増えてしまうが、コイルのサイズ変更に対してΦmaxを変更する際の設計の1つの目安となる。
[第1実施形態の各構成要素の位置関係と効果のまとめ:図1〜図6]
ここで、第1実施形態の各構成要素の位置関係をまとめると、次のようになる。
第1のステータ1の一対のスリット11bを結ぶ直線aと、一対の内ノッチ11cを結ぶ直線bとは直交している。同じく、第2のステータ2の一対のスリット21bを結ぶ直線dと、一対の内ノッチ21cを結ぶ直線eとは直交している。この構成により、それぞれのステータにおいて保持トルクを打ち消しあっている。
加えて、直線aと直線dとも直交しており、第1のステータ1のコイル芯12の中心線cと、第2のステータ2のコイル芯22の中心線fとも直交している。この構成により、ロータに作用する駆動トルクの大きさの変動を小さくすることができる。
更に、コイルの巻数Nが少ないステータ側の磁気抵抗を小さくし、Φmaxを増やしている。この構成により、2つのステータによりロータに作用する駆動トルクの大きさが等しくすることができる。
次に、第1実施形態の効果についてまとめると、次のようになる。
第1実施形態のステップモータ装置は、2個のステータそれぞれとロータと間で、コイルの非通電時にロータの位置を安定させるための保持トルクが生じないために、角速度の変動幅を小さくすることができ、このため、アナログ電子時計の指針を連続運針させる際に、その秒針が長い秒針であっても秒針の振れは発生せず、違和感のない運針が可能となる。
第1実施形態のステップモータ装置は、コイル13,23に印加する実効電圧は、ロータに負荷として作用している摩擦トルクをわずかに上回る程度の駆動トルクを生じるだけの電圧値でよいから、低い実効電圧でスムースにロータを回転させることができる。
さらに、第1のステータ1及び第2のステータ2の構造は、製造技術の進んでいる単相ステップモータのステータ構造そのままを用いていることができるため、製造し易いという効果もある。
すでに説明したように、それぞれのステータにおいては、スリットと内ノッチとの位置が決められており、第1のステータ1と第2のステータ2との重なりにおいては、コイル芯の中心線同士の交差状態が決められているが、それぞれのステータ同士の位置関係については、さほどの精度を要するものではない。
図1〜図3に示した例では、双方のステータが直交する位置にあるように示しているが、その重なり具合にあっては、双方をわずかの誤差も許されないほど非常に高精度に直交させなければならないというわけではないのである。
したがって、第1実施形態のステップモータ装置は、組立において高い精度を必要とせず、更に製造し易い構造となっている。
また、2つのステータにはそれぞれスリット11b,21bが設けてあるから、第1のステータ1と第2のステータ2とも、コイル13,23に印加する実効電圧を下げても、コイル13,23により発生する磁界が効率良く漏れてロータ3に作用し、駆動トルクを発生させることができる。そのため、より低消費電力でロータ3を駆動することができる。
そして、2つのコイルの大きさが異なるにも係らず、それぞれのコイルによりロータに作用する駆動トルクの大きさが同じであるために、2つのステータからのロータに作用する駆動トルクがばらつかず、その結果、角速度の変動が少なくロータを回転させることができる。
第1実施形態のステップモータ装置のコイルの大きさに関する効果については、更に図面を用いて説明する。
図6(A)は第1実施形態のステップモータ装置を時計のムーブメント内に配置した例を模式的に示す平面図、図6(B)は比較例として第1実施形態のステップモータ装置を構成するステータの2つのコイルが仮に同じコイル長であった場合を模式的に示す平面図である。図6において、51は第1実施形態のステップモータ装置であり、51’は比較例のステップモータ装置である。
ムーブメント50の中には、大きな容積を占める要素として、中心孔55に回転軸を有する針を駆動するためのステップモータ装置51(ステップモータ装置51’)と、電池52と、水晶発振器53と、竜頭に繋がるシャフト54とがある。
これらを配置した際に、図6(A)に示す第1実施形態のステップモータ装置は、電池52との干渉がなく、ムーブメント50の中に収めることができる。ステップモータ装置を小型化できるから、ムーブメントの設計自由度が向上する。
一方、図6(B)に示す比較例では、コイル長が長いため電池52と干渉してしまう。
これを解決するには、ムーブメント50の大きさをより大きくするか、各要素の配置を見直した更なる設計が必要となる。もちろん、ステップモータ装置の大きさが大きいのでムーブメントの設計自由度は低下することは言うまでもない。
[第2実施形態の構成の説明:図7]
次に、ステップモータ装置の、保持トルクを打ち消すための別の構成である第2実施形態を説明する。
第2実施形態のステップモータ装置の特徴は、すでに説明した第1実施形態と同様に、上下に重ねたステータそれぞれで、コイルへの非通電時に保持トルクをロータに作用させない構成である。
具体的には、それぞれのステータにロータを駆動するための一対の磁束飽和部を備えるものの、内ノッチを設けないことで保持トルクを発生しない構成としている。
第2実施形態のステップモータ装置の構成は、図7を用いて説明する。
図7は、第1のステータ1と第2のステータ2のロータ孔11a,21aの周辺部のみを部分拡大し上下に並べ、コイルなど他の構成要素を省略して示す詳細図である。なお、すでに説明した同一の構成には同一の符号を付してあり、それらの同じ説明は省略する。
図7においては、説明しやすいように2つのステータを図中上下に並べて示してあるが、1個のロータ3を2つのステータで共有していることは変わっておらず、2個のロータがあるわけではない。
第1のステータ1のヨーク11におけるロータ孔11aの周囲には、コイル13による磁界によってロータ3に駆動トルクを作用させるために機能する一対の磁束飽和部11dのみを設けている。磁束飽和部11dは、ステータに設ける切り欠き状の部分である。同じく、第2のステータ2のヨーク2におけるロータ孔21aの周囲にも一対の磁束飽和部21dのみを設けている。
第2実施形態では、第1のステータ1のヨーク11に設けた一対の磁束飽和部11dを結ぶ直線を直線a1とし、第2のステータ2のヨーク22に設けた一対の磁束飽和部21dを結ぶ直線を直線d1としている。そして、この直線a1と直線d1とが互いに直交するように上下のステータを配置している。
なお、図7には、直線a1と直交するように直線b1、直線d1と直交するように直線e1を示している。
この図7に示す直線a1,d1は、図3に示す、ヨーク11に設けた一対のスリット11bを結ぶ直線aと、ヨーク22に設けた一対のスリット21bを結ぶ直線dとに、位置的に対応しており、図7に示すb1及び直線e1も、図3に示す直線b及び直線eにそれぞれ対応しているので、第2実施形態のステップモータ装置の配置関係を理解するためには、図3を参照してその構成においてロータ孔11a,21aの周辺部のみ図7の構成に置き換えるとよい。
[第2実施形態の作用及び効果の説明]
次に、この第2実施形態における保持トルクを打ち消す作用を説明する。
第1のステータ1及び第2のステータ2には、それぞれ一対の磁束飽和部11d,21dを設けているが、内ノッチを設けなければコイルへの非通電時に保持トルクは発生しない。これは、一般的なステップモータにおいては、ロータ3から発生した磁束のみでは磁束飽和部11d,21dを飽和させるには不十分だからである。そのため、この第2実施形態の場合は、第1のステータ1と第2のステータ2ともそれぞれのステータにおいて、そもそも保持トルクがほとんど生じないのである。
次に、効果について説明する。
この第2実施形態も、保持トルクが生じないために、角速度の変動幅を小さくすることができる。第1のステータ1及び第2のステータ2に、それぞれ一対の磁束飽和部11d,21dを設けているために、コイル13,23からの磁界は、まずこの磁束飽和部11d,21dを飽和させてからでないとロータ3に作用しない。このため、コイル13,23に印加する実効電圧を第1実施形態と同じ程度までは下げることができないが、第1実施形態に比べて製造しやすく、製造コストも低減できるという効果がある。
すなわち、ステータにスリットがないので、それぞれのヨーク11,12とも1枚の板で構成でき、プレス加工のみでステータを形成することができるという点である。
さらに、内ノッチもないためにロータ孔周辺が円形で済むことによりプレスの金型も単純な形状で済み、その寿命も長くすることができる。これにより、製造コストを低下させることが可能である。
また、第1のステータ1と第2のステータ2とも、それぞれのステータにおいて保持トルクを打ち消しあっているため、第1実施形態と同様に2個のステータの位相関係を高精度で配置するように設計する必要がなく組立の精度を必要としないから、更に製造し易い構造である。
そしてこの例もコイルの大きさが異なっているため、設計自由度が向上し、小型化が可能になるという効果も有する。コイルの大きさが異なってもロータに作用する駆動トルクの大きさが等しいために、角速度変動の少ないスムースな回転を実現できる。
[第3実施形態の構成の説明:図8]
次に、ステップモータ装置の、保持トルクを打ち消すための別の構成である第3実施形態を説明する。
第3実施形態のステップモータ装置の特徴は、すでに説明した実施形態と同様に、上下に重ねたステータそれぞれで、コイルへの非通電時に保持トルクをロータに作用させない構成である。
具体的には、一方のステータに一対のスリットと一対の内ノッチとを互いに直交するように設けて保持トルクを打ち消し、他方のステータにロータを駆動するための一対の磁束飽和部を備えるものの、内ノッチを設けないことで保持トルクを発生しない構成としている点である。つまり、第1実施形態で説明したステータ構造と第2実施形態で説明したステータ構造とをそれぞれのステータが有している構成である。
第3実施形態のステップモータ装置の構成は、図8を用いて説明する。
図8は、第1のステータ1及び第2のステータ2のロータ孔11a,21aの周辺部のみを部分拡大し上下に並べ、コイルなど他の構成要素を省略して示す詳細図である。なお、すでに説明した同一の構成には同一の符号を付してあり、それらの同じ説明は省略する。
また、すでに説明した第2実施形態と同様に図8においても、説明しやすいように2つのステータを図中上下に並べて示してあるだけで、2個のロータがあるわけではない。
第1のステータ1のヨーク11におけるロータ孔11aの周囲には、コイル13による磁界によってロータ3に駆動トルクを作用させるために機能する一対のスリット11bと、その一対のスリット11bを設けたことによって生じる保持トルクを打ち消すための一対の内ノッチ11cとが設けられており、これらは互いにロータ孔11aの中心を通って直交する中心線a及び中心線bの各線上に設けている。つまり、スリット11bと内ノッチ11cとは、90[deg]ずれる位置関係にある。
第2のステータ2のヨーク21におけるロータ孔21aの周囲には、コイル23による磁界によってロータ3に駆動トルクを作用させるために機能する一対の磁束飽和部21dのみを設けている。磁束飽和部21dは、ステータに設ける切り欠き状の部分である。この磁束飽和部21dは、ロータ孔21aの中心を通って直交する中心線d2の線上に設けている。
この第3実施形態では、第1のステータ1のヨーク11に設けた一対のスリット11bを結ぶ直線aと、第2のステータ2のヨーク22に設けた一対の磁束飽和部21dを結ぶ直線を直線d2とが互いに直交するように上下のステータを配置している。
なお、この図8には、直線d2と直交する向きに直線e2を示している。これら直線d2,e2は、図3に示す、ヨーク22に設けた一対のスリット21bを結ぶ直線dと、ヨーク22に設けた一対の内ノッチ21cを結ぶ直線eとに位置的に対応している。第3実施形態のステップモータの配置関係を理解するためには、図3を参照してその構成においてロータ孔11a,21aの周辺部のみ図8の構成に置き換えるとよい。
なお、以上の説明では、第1のステータ1にスリットと内ノッチとを設け、第2のステータ2には磁束飽和部を設ける構成を説明したが、もちろん、第1のステータ1に磁束飽和部を設け、第2のステータ2にスリットと内ノッチとを設ける構成としてもよい。
[第3実施形態の作用及び効果の説明]
次に、この第3実施形態における保持トルクを打ち消す作用を説明する。
第2のステータ2には一対の磁束飽和部21dが設けられており、内ノッチを設けなければ保持トルクは発生しない。また、第1のステータ1には、一対のスリット11bが設けられているが、第1実施形態の図5で説明したように、一対のスリット11bによる保持トルクは、それに直交するように設けられた一対の内ノッチ11cによる保持トルクにより打ち消され、やはり保持トルクは発生しない。そのため、この第3実施形態の場合、第1のステータ1と第2のステータ2ともそれぞれのステータにおいて、保持トルクが生じないのである。
次に、効果について説明する。
この第3実施形態も、保持トルクが生じないために、角速度の変動幅を小さくすることができる。第1のステータ1にはスリット11bと内ノッチ11cとを設けているが、第2のステータ2には一対の磁束飽和部21dを設けている。すでに説明したように、コイル23からの磁界は、まずこの磁束飽和部21dを飽和させてからでないとロータ3に作用しない。このため、コイル23に印加する実効電圧は、コイル13に印加する実効電圧よりも下げることはできないが、2つのステータ全体でみたとき、コイルを駆動するための実効電圧は、第1実施形態と第2実施形態との中間程度まで下げることができる。
もちろん、すでに説明したように、第2のステータ2を製造するときは、スリットや内ノッチがないから製造しやすいという効果は有している。この第3実施形態では、2つのステータの構造が異なるが、双方ともにステータにスリット、内ノッチ、磁束飽和部を設けるという構成そのものは知られている構成であるから、ステップモータの製造時の負荷は多くはない。
また、第1のステータ1と第2のステータ2とも、それぞれのステータにおいて保持トルクを打ち消しあっているため、第1実施形態及び第2実施形態と同様に2個のステータの位相関係を高精度で配置するように設計する必要がなく、組立の精度を必要としないというメリットもある。
そしてこの例もコイルの大きさが異なっているため、設計自由度が向上し、小型化が可能になるという効果も有する。更に、コイルの大きさが異なってもロータに作用する駆動トルクの大きさが等しいために、角速度変動の少ないスムースな回転を実現できる。
[ステップモータの詳細な説明]
以上、第1実施形態〜第3実施形態のステップモータ装置の各構成と作用及び効果を説明した。次に、第1実施形態を例にして、ステップモータ装置の細部や駆動回路及び駆動方法について詳述する。
まず、ステップモータ装置の細部及びロータの駆動方法について図面を用いて説明する。各説明においては新たな図面を参照して行なうが、適宜図1〜図3も参照されたい。
[ステータの絶磁構造の説明:図9]
まずは、ステータの絶磁構造に係る具体例について図9を用いて説明する。この構造は、すでにスペーサを用いて絶磁する例として説明したが、ここでは図面を用いて詳述する。
図9は図3に示す中心線gで切断した様子を模式的に示す断面図である。図9(A)は絶磁構造例1、図9(B)は絶磁構造例2を示している。なお、すでに説明した同一の構成には同一の符号を付してあり、それらの同じ説明は省略する。
図9(A)に示す絶磁構造例1では、第1のステータ1のヨーク11及び第2のステータ2のヨーク21に設けるそれぞれのロータ孔11a,21aを非磁性体の中座6により、ロータ3’の径方向に位置決めをしている。中座6は、ロータ3’の軸方向についてもヨーク11とヨーク21との間の距離を正確に決めている。
また、図9(B)に示す絶磁構造例2では、中座6’はスペーサ6aと下座6bとよりなる構成を有している。第1のステータ1のヨーク11及び第2のステータ2のヨーク21に設けるそれぞれのロータ孔11a,21aをロータカナ3bの軸受けを兼ねた非磁性体の下座6bによりロータ3’の径方向に位置決めしている。また、ロータ3’の径方向については、スペーサ6aによりヨーク11とヨーク21との間の距離を正確に決めている。
図9に示す構成とすることで、1個のロータと2個のステータのヨークとが径方向、軸方向に正確に位置決めされる。そのために、それぞれのステータから作用するロータへのトルクが安定し、より速度変動が小さい連続運針の駆動が可能となる。
図9に示す絶磁構造例2は、ロータの径方向と軸方向とを別部品により位置決めしており、この点が絶磁構造例1の構成と異なる。絶磁構造例2のように、下座がロータカナの軸受けを兼ねるような構成にすることで、部品点数を減らしたり、部品同士の位置決めを不要にできる。知られているように、電子時計の内部には余剰な部分が少ない。電子時計が腕時計の場合はさらに余剰部分がなく、ステップモータ周辺は他の部材により混み合っている。本発明のステップモータ装置をこのような電子時計に搭載するときは、搭載する部分の形状などを鑑みて絶磁構造例1と絶磁構造例2との構成を使い分ければよい。
[ロータの駆動の詳細の説明1:図10〜図13]
次に、本発明のステップモータ装置を電子時計の連続運針用に用いるとき、正回転方向に、どのように動かすのかを図10〜図13を用いて説明する。駆動パルスは、1相励磁の場合、2相励磁の場合、1−2相励磁の場合に分けて説明する。
図10(A)は1相励磁駆動時にコイルの一方端の電位を基準にみた場合の印加電圧を示す特性図、図10(B)は2相励磁時のコイルの一方端の電位を基準にみた印加電圧を
示す特性図、図10(C)は1−2相励磁時のコイルの一方端の電位を基準にみた印加電圧を示す特性図であり、それぞれの駆動方式により印加電圧が異なることを示している。
図11は1相励磁時のロータの駆動シーケンス図であり、図12は2相励磁時のロータの駆動シーケンス図であり、図13は1−2相励磁時の駆動シーケンス図である。
なお、図11〜図13では、2つのコイルを同じ大きさで記載している。これは、コイルに発生する磁界の向きを図面上のコイル位置に矢印で表現しており、図面を見やすくするための処置である。繰り返しになるが、本発明のステップモータ装置にあっては、2つのコイルの大きさが異なっているのが特徴である。
ステップモータ装置は、通常運針時(正回転方向)において、図10(A)〜図10(C)に示すように、1相励磁でも2相励磁でも1−2相励磁でも動作可能である。ただし、コイルに印加する実効電圧が各励磁方式で異なっており、コイル1個あたりに印加する実効電圧は、1相励磁の場合をVr1、2相励磁の場合をVr2、1−2相励磁の場合をVr12とすると、次のような関係にする必要がある。
Vr2<Vr12<Vr1
また、本発明のステップモータ装置は、保持トルクを打ち消し又は生じないようにしており、また後述するようにコイルに印加する実効電圧は非常に小さいために、ロータを駆動するときは、2個あるコイルの少なくともどちらか一方に常に通電している状態としなければならない。この点は、従来のステップモータ装置とは異なる点である。
[1相励磁の場合:図10(A)、図11]
まず、1相励磁の場合について説明する。第1のステータ1のコイル13と第2のステータ2のコイル23とのうち、一方をコイルA、他方をコイルBとして説明する。
1相励磁時の場合は、図10(A)に示すように、コイルAとコイルBとに対してどちらか一方のみに通電することを繰り返してロータに回転磁界を作用させることで、ロータを所定の方向に回転させる方式である。区間trでロータが360[deg]回転する。
図11によりロータが回転していく様子を説明する。なお、この回転している状態は、起動時などではなくロータが定常回転をしているときの状態である。
起動時のロータ磁極の位置は定まっていないが、次第に回転磁界に追従することで定常回転を行う。STEP1においてコイル13に通電することで、コイル13には矢印5dのような磁界が発生し、ロータ3に作用する。矢印5cはロータの磁極方向を表わす。コイル13により発生した磁界に対して倣うようにロータ3の磁極方向は回転をし、STEP2の状態になる。このSTEP1においてコイル23には通電をしていない。また後述するように、それぞれのコイルに印加する実効電圧は低いために、ロータ3は最も回転し易い範囲内のみを回転するために、STEP2の状態でロータ3は回転するためのトルクが摩擦トルクに負けて停止する。
続いてSTEP2において、コイル23に通電することで、コイル23には矢印5eのような磁界が発生し、ロータ3に作用し更に回転させる。すると、矢印5cはSTEP3の状態になる。
STEP3において、コイル13にSTEP1とは逆方向に通電することで、磁界の矢印5dは図のようになり、ロータ3に作用し更に回転させる。
STEP4において、コイル23にSTEP2とは逆方向に通電することで磁界の矢印5eは図のようになり、ロータ3に作用し更に回転させる。すると、矢印5cはSTEP1の状態になる。
このように、STEP1からSTEP4までの動作を繰り返すことでロータ3は連続的に正回転方向に回転を続ける。
[2相励磁の場合:図10(B)、図12]
次に、2相励磁の場合について説明する。図10(B)に示すように、コイルAとコイルBとに対して常に両方に通電することを繰り返してロータに回転磁界を作用させることで、回転させる方式である。この場合、両方に通電しているために、それぞれのコイルに印加する実効電圧を1相励磁の場合よりも下げることができる。区間trでロータが360[deg]回転する。
図12によりロータが回転していく様子を説明する。なお、この回転している状態は、起動時などではなくロータが定常回転をしているときの状態である。
STEP1において、コイル13とコイル23とに通電することで、コイル13には矢印5dのような磁界が、コイル23には矢印5eのような磁界が発生し、ロータ3に作用する。コイル13とコイル23とにより発生した磁界を合成した方向に倣うようにロータ3の磁極方向は回転をし、STEP2の状態になる。
続いてSTEP2において、STEP1の状態からコイル23のみ通電する方向をSTEP1とは逆にすることで、コイル23には矢印5eのような磁界が発生し、コイル13とコイル23とにより発生した磁界を合成した方向に倣うようにロータ3は回転する。すると、矢印5cはSTEP3の状態になる。
STEP3において、STEP2の状態からコイル13のみ通電する方向をSTEP2とは逆にすることで、コイル12には矢印5dのような磁界が発生し、コイル13とコイル23とにより発生した磁界を合成した方向に倣うようにロータ3は回転する。すると、矢印5cはSTEP4の状態になる。
STEP4において、STEP3の状態からコイル23のみ通電する方向をSTEP3とは逆にすることで、コイル23には矢印5eのような磁界が発生し、コイル13とコイル23とにより発生した磁界を合成した方向に倣うようにロータ3は回転する。すると、矢印5cはSTEP1の状態になる。
このように、STEP1からSTEP4までの動作を繰り返すことでロータ3は連続的に正回転方向に回転を続ける。
[1−2相励磁の場合:図10(C)、図13]
次に、1−2相励磁の場合について説明する。図10(C)に示すように、コイルAとコイルBとに対して両方に通電する期間と、どちらか一方にのみ通電する期間とを交互に繰り返してロータに回転磁界を作用させることで、回転させる方式である。この場合、両方に通電しているために、それぞれのコイルに印加する実効電圧を1相励磁の場合よりも下げることができるが2相励磁よりは下げることができない。区間trでロータが360[deg]回転する。
図13によりロータが回転していく様子を説明する。なおこの回転している状態は、起動時などではなくロータが定常回転をしている時の状態である。
STEP1において、コイル13とコイル23とに通電することで、コイル13には矢印5dのような磁界が、コイル23には矢印5eのような磁界が発生し、ロータ3に作用する。コイル13とコイル23とにより発生した磁界を合成した方向に倣うようにロータ3の磁極方向は回転をし、STEP2の状態になる。
続いてSTEP2において、STEP1の状態からコイル23の通電をやめ、コイル13のみの通電で発生する磁界をロータ3に作用させることで、ロータ3を回転させる。矢印5cはSTEP3の状態になる。
STEP3において、コイル23の通電する方向をSTEP1とは逆にすることで、コイル23には矢印5eのような磁界が発生し、コイル13とコイル23とにより発生した磁界を合成した方向に倣うようにロータ3は回転する。すると、矢印5cはSTEP4の状態になる。
STEP4において、STEP3の状態からコイル13の通電をやめ、コイル23のみの通電で発生する磁界をロータ3に作用させることで、ロータ3を回転させる。すると、矢印5cはSTEP5の状態になる。
STEP5において、コイル13の通電する方向をSTEP3とは逆にすることで、コイル13には矢印5dのような磁界が発生し、コイル13とコイル23とにより発生した磁界を合成した方向に倣うようにロータ3は回転する。すると、矢印5cはSTEP6の状態になる。
STEP6において、STEP5の状態からコイル23の通電をやめ、コイル13のみの通電で発生する磁界をロータ3に作用させることで、ロータ3を回転させる。すると、矢印5cはSTEP7の状態になる。
STEP7において、コイル23の通電する方向をSTEP5とは逆にすることで、コイル23には矢印5eのような磁界が発生し、コイル13とコイル23とにより発生した磁界を合成した方向に倣うようにロータ3は回転する。すると、矢印5cはSTEP8の状態になる。
STEP8において、STEP7の状態からコイル13の通電をやめ、コイル23のみの通電で発生する磁界をロータ3に作用させることで、ロータ3を回転させる。すると、矢印5cはSTEP1の状態になる。
このように、STEP1からSTEP8までの動作を繰り返すことでロータ3は連続的に正回転方向に回転を続ける。
発明者の行った実験によると、1−2相励磁の場合がもっとも消費電力を下げることができた。また、ロータ3が1回転するためのステップ数が1相励磁や2相励磁の倍あり、速度変動も最も小さく針の動きも振れが少なく見えた。したがって、1−2相励磁の場合が最も好ましい駆動方法であるといえる。
なお、ロータ3を逆回転させるには図10において、コイルAかコイルBのどちらか一方の極性を入れ替えるのみでよい。
[駆動回路の構成の説明:図14、図15]
次に、ステータのコイルに駆動パルスを発生させる駆動回路について図面に基づいて説明する。まず、図を用いて、回路構成について説明する。
図14及び図15は、この発明による駆動回路に係る具体例について説明するための図で、図14はそれぞれのコイルに駆動パルスを印加する駆動回路図、図15は駆動回路を構成するスイッチ素子であるMOS型電界効果トランジスタ(以降は、単にMOSFETと表記する)の電圧電流特性図である。
図14に示す駆動回路10は、図1に示す駆動手段30を構成する回路であり、コイルに印加する駆動パルスを発生するために、少なくとも4つのスイッチ素子10a,10b,10c,10dによるHブリッジ回路よりなる。これらスイッチ素子は、MOSFETを用いている。
Hブリッジ回路は、ステータのコイルの数と同じ数だけ必要であり、第1のステータ1のコイル13と第2のステータ2のコイル23とに対応する2組のHブリッジ回路を備えている。
各Hブリッジ回路は、コイルへの印加電圧を供給する第1の電源線10g(VDD)と、基準電圧(例えばGND)を供給する第2の電源線10h(VSS)と、4個のスイッチ素子の駆動電圧信号を供給する4本の信号線10iと、を接続されている。信号線10iは、スイッチ素子のMOSFETのゲートにゲート電圧を供給する信号線となっている。
第1の電源線10gと第2の電源線10hとの間にスイッチ素子を2つ直列接続したカラム回路を2つ備えている。一方のカラム回路は、スイッチ素子10aとスイッチ素子10cとを直列接続し、他方のカラム回路は、スイッチ素子10bとスイッチ素子10dとを直列接続している。
直列接続したスイッチ素子間同士を繋ぎ、その接続部分に出力線及び出力端子を設けている。すなわち、一方のカラム回路の出力線を出力線10eとし、その端部に出力端子Out1を備え、他方のカラム回路の出力線を出力線10fとし、その端部に出力端子Out2を備えている。これらの出力端子にコイルを接続することで駆動パルスがコイルに供給される。
腕時計用などの一般的なステップモータ装置の駆動回路では、回路規模を小さくするために4つのスイッチ素子10a,10b,10c,10dは、PチャネルMOSFET(以下、単にP−MOSFETと表記する)、NチャネルMOSFET(以下、単にN−MOSFETと表記する)で構成している。
具体的には、P−MOSFETは高電位側でスイッチ動作し易いため、Hブリッジ回路の高電位側であるVDD側に用いる。N−MOSFETは低電位側でスイッチ動作し易いため、低電位側であるVSS側に配置する。
P−MOSFETは、Low信号(低電位の信号)をゲートに供給した際にソース−ドレイン間が導通され、N−MOSFETは、High信号(高電位の信号)をゲートに供給した際にドレイン−ソース間が導通される。本実施形態で示す望ましい4つのスイッチ素子10a,10b,10c,10dは、スイッチ端子10a,10bをトランスファーゲート、スイッチ端子10c,10dをN−MOSFETとする回路構成である。
スイッチ素子10a,10bに用いるトランスファーゲートは、知られているように、P−MOSFET及びN−MOSFETのソースとドレインとを並列に接続した回路である。
図14に示す例では、スイッチ素子10a,10bにおいては、P−MOSFETのソース側とN−MOSFETのドレイン側とを端子TR1a,TR2aとし、P−MOSFETのドレイン側とN−MOSFETのソース側とを端子TR1c,TR2cとしている。
なお、スイッチ素子10a,10bを構成するトランスファーゲートには、P−MOSFETのゲートに論理反転素子を設けており、N−MOSFETと同じゲート信号で動作するようにしたものである。これにより、高電位でも低電位でも幅広い電位に対応できるスイッチ素子となっている。
また、図14に示す例では、スイッチ素子10c,10dにおいては、N−MOSFETのドレイン側を端子TR3a,TR4aとし、N−MOSFETのソース側を端子TR3c,TR4cとしている。
4つのスイッチ素子10a,10b,10c,10dは、ゲートにHigh信号又はLow信号を入力するが、その端子はそれぞれ、端子TR1b,TR2b,TR3b,TR4bとしている。
なお、図1に示す駆動手段30には、図14に示す駆動回路10の他に、他の回路も含まれているが、それについては後述する。大切なことは、駆動回路10に同じ構成の2組のHブリッジ回路を備えるということである。
図15は、MOSFETのゲート−ソース間電圧VGSとドレイン電流IDとの関係を模式的に示した図であり、いわゆるMOSFETのVgs−Id特性と呼ばれるものである。
図示するように、閾値電圧VHを超える電位差をゲート−ソース間に加えることで、MOSFETはスイッチとして動作をし、ソース−ドレイン間には電圧にほぼ比例して電流が流れ始める。一般的な腕時計用ステップモータの駆動回路として用いられるMOSFETの閾値電圧は0.35[V]〜0.50[V]程度である。
本発明のステップモータを時計用として用いるとき、通常運針時においては、コイルに印加する駆動パルスの実効電圧は後述するように摩擦トルクの関係から定まり、MOSFETの閾値電圧よりも小さい0.1[V]〜0.3[V]程度である。そのために、第1の電源線10g(VDD)には駆動パルスの実効電圧として0.1[V]が供給される。
なお、スイッチ素子にゲート電圧を供給する信号線10iには、Low信号としてGNDの0[V]、High信号として腕時計に用いられる電池電圧(例えば1.5[V])から半分程度降圧した0.75[V]程度の大きさの電圧信号を印加する。
[駆動回路の作用の説明:図14]
次に、駆動回路の作用について、図14を参照しつつ説明する。
まず、スイッチ素子10a,10bにトランスファーゲートを用いる理由を説明する。
ここで、一般的な腕時計用ステップモータの駆動回路に用いられているP−MOSFETのみによるスイッチ素子で10a,10bを構成した場合を考えてみる。特にチョッパ駆動のように時間平均により実効電圧を下げる場合ではなく、フルパルス駆動で電圧振幅を下げることで低い実効電圧を印加する場合を考えてみる。
スイッチ素子を動作させ、ソース−ドレイン間を非通電の状態から導通させるために、端子TR1b,TR2bを介して信号線10iにLow信号(この場合0[V])を供給した場合、P−MOSFETのソース側(TR1a,TR2a)の電位は、第1の電源線10gより供給される実効電圧0.1[V]と低いために、閾値電圧0.35[V]〜0.5[V]を超える電位差をつくりだせずに、ドレイン電流が流れずにスイッチとして動作しない。
このような状況にあるため、本発明のステップモータ装置の駆動回路では、スイッチ素子10a,10bにトランスファーゲートを用いている。
トランスファーゲートでは、N−MOSFETがP−MOSFETと並列に接続しているために、この場合には、N−MOSFET側がスイッチとして動作する。ゲートにHigh信号(この場合1[V]程度)が入力されたとき、N−MOSFETのソース側(TR1c、TR2c)の電位は、スイッチ素子10c,10d(これらが導通状態の際)を介して第2の電源線10hよりGND(0[V])が供給されているために、ソース−ド
レイン間電圧が1〔V〕となり、電圧を十分に超えているために、スイッチとして動作しドレイン−ソース間に電流が流れる。
トランスファーゲートにすることにより、チョッパ駆動で時間平均として実効電圧を下げる場合や後述するようにロータを高速回転させるために高い電圧(例えば1.5[V])をコイルに印加させる場合には、N−MOSFETの代わりに、並列に接続しているP−MOSFETがスイッチとして動作するため、様々な運針に対応できる。
次に通常運針時において、コイルに印加する駆動パルスの実効電圧が0.1[V]〜0.3[V]程度が望ましいことの説明をする。
説明にあっては、簡単のために1つのコイルのみに印加している状態を想定した場合とする。そのとき、ロータに作用するトルクの釣り合いと、印加している側のコイルの電圧の釣り合いは、数2で表される。
Figure 0005496011
数2において、θはロータの回転角度、ωはロータの角速度、iはコイルに流れる電流、Kはトルク係数(=逆起電圧係数)、J・dω/dtは慣性負荷、Th(θ)は保持トルク、D・ωは速度依存負荷、TLは摩擦トルク(起動時は静止摩擦トルク、回転時は動摩擦トルク)、eはコイルへの印加電圧、Lはコイルのインダクタンス、Rはコイルの抵抗である。
なお、2個のコイルからロータに作用するそれぞれのトルクの大きさは等しく、コイルの仕様も等しく、等しい印加電圧を加えているとしている。また、コイル間の相互インダクタンスは小さいものとして省略している。
本発明のステップモータ装置は、保持トルクTh(θ)が生じない(ほぼゼロ)構成であるから、数2より、ロータの角速度ω及びコイルに流れる電流iは、コイルへの印加電圧eを小さくすればするほど小さくなることが分かる。
ロータの角速度ωやコイルに流れる電流iが小さくなるにつれて、それらの微分であるdω/dt、di/dtの影響も小さくなる。過渡応答的な挙動をする従来技術のようなステップモータとは異なり、ロータの余分な加減速を極力抑えて摩擦力をわずかに上回る程度の駆動トルクを常に与えることによって、非常に低い角速度で動く駆動方式であるために、数2は数3のように書き換えられる。
Figure 0005496011
数3において、ロータが1つのステップが完了し終わる時には、ロータの角速度はほぼω=0となり、数3は更に近似的に数4のように書き換えられる。
Figure 0005496011
上記のような関係式となる状態は、ゆっくり低速で回転し続けている定常状態であり、起動時には印加電圧を少し上げる必要がある。そして、このような状態では、コイルに通電する電流量は、概ねコイルに印加する印加電圧をコイルのコイル抵抗で除算した値になる。また、2つのコイルへの印加電圧は、ロータに作用する駆動トルクを等しくするために異なっても構わない。
ところで、印加するパルスの幅は、短すぎてもロータが所定の角度まで回転しきらないために、実験などにより所定の角度まで回転させうるようにパルス幅を増やしていくことで設定する。そのため、知られているステップモータのように所定のパルスレートで回転させるというわけではない。しかし、このような設定方法とすることでパルスレートに同期した回転動作をするステップモータではあるものの、過渡的な起動と停止が少なく速度変動の小さいDCモータのように回転させることができる。そのため、非常に速度変動の小さい連続運針を実現できる。
[駆動回路の効果の説明:図16]
次に、駆動回路の効果について、図16を参照しつつ説明する。
図16は、印加電圧とそのときのロータの角速度との関係を模式的に示す図である。図16(A)は従来技術の場合、図16(B)は本発明の小さい印加電圧を加えた場合のロータの角速度の関係を示す図である。図中、Δωdは従来技術の角速度の変動幅、Δωfは本発明の角速度の変動幅である。
図14を用いて説明した回路の構成であるとすると、通常運針時、コイルには図16(B)のような小さい実効電圧を印加させてもスイッチ動作を正常にさせることができる。本発明のステップモータ装置では、保持トルクを生じさせないようにしているため、駆動トルクを発生させるのに必要な大きい印加電圧を加える必要がない。従来から知られている単相ステップモータは、保持トルクを上回るような大きい印加電圧が必要であり、ロータが大きな加減速を繰り返すことで角速度の変動幅Δωdも大きくなっていたが、そのような動作は起こさない。
常に摩擦トルクをわずかに上回る程度の駆動トルクを常に作用させて回転させる駆動でよいから、余分な加減速がなく、ロータの角速度の変動幅Δωfも小さくて済む。
ロータが1ステップあたり、図16(B)のような角速度の動きをつなげていくことで、速度変動の小さい運針を実現できる。つまり、連続運針を行なうとき、その角速度の変動は緩やかな正弦波のようになり、そして、すでに説明した図20(B)に示したような目標とするフラットな角速度波形108bに近い波形になるのである。
図16(A)のような従来技術の場合、印加電圧をVd[V]、通電時間をtd[s]とし、その区間にコイルに流れる平均電流をid[A]とした場合、入力エネルギーEd[J]は、Ed=Vd*id*tdである。
一方、図16(B)に示す本発明の場合、印加電圧をVf[V]、通電時間をtf[s
]とし、その区間にコイルに流れる平均電流をif[A]とした場合、入力エネルギーEf[J]は、Ef=Vf*if*tfである。
図16(A)では、td[s]が小さいが、Ed[V]及びid[A]は大きくなる。一方、図16(B)では、tf[s]は大きいが、Ef[V]及びif[A]は小さくなる。
所定のパルスレートに設定するためにtfを任意に設定することができず、ロータが所定の角度を回転しきるのみ十分な幅のパルスに設定する必要があるものの、従来技術のようにパルス数に比例して消費電力が上がっていくことはなく、印加する実効電圧を下げることで入力エネルギーである消費電力を上げることなく連続運針を実現できる。
なお、繰り返しになるが、印加電圧をほぼ摩擦トルクに釣り合う程度にまで下げることができるのは、本発明のステップモータ装置が保持トルクを有さない構成であるためである。保持トルクを有していないから、図16(B)には、図20(A)に示した領域α(角速度の負の変動の領域)は存在せず、角速度の変動幅Δωfは大変小さくなっている。
[駆動回路の変形例の説明:図17]
次に、駆動回路の実効電圧を下げる手法について、図17を参照しつつ説明する。
なお、本発明で言う実効電圧とは、電圧振幅値だけを言うのではなく、印加する時間幅も考慮した時間平均を取った値のことである。
図17は、印加電圧としてチョッパ電圧を加えた場合の電流の関係を模式的に示す特性図である。図17(A)は、印加電圧Vaの電圧パルス7cの振幅が大きく、この印加電圧Vaを腕時計に用いられているような電池電圧(例えば1.5[V])のままチョッパとした場合の電流特性9cを示している。
図17(B)は、電池電圧を半分程度(例えば0.75[V])に降圧したものを印加電圧Vbの電圧パルス7dとし、チョッパとした場合の電流特性9dを示している。
図17(C)は、電池電圧を1/10から1/15程度に降圧したものを印加電圧Vcの電圧パルス7eとし、チョッパではなくフルパルスとして印加した場合の電流特性9eを示している。
電流特性9c,9d,9eのそれぞれの実効値Ia,Ib,Icは、それぞれ同程度の値である。チョッパ化した場合、Dutyを調整することで、実効値を制御できる。しかし、印加電圧が大きいほど、基本周波数を高くしていかないとDutyによる実効値の調整は困難となる。
例えば、図17(A)及び図17(B)の場合、区間tgを仮に30分割にした場合、図17(A)では、1.5×1/30=0.05[V]分の実効電圧の分解能しかないのに対して、図17(B)では、0.75×1/30=0.025[V]であり、図17(A)の倍の分解能を持つことができる。
先述したように本発明のステップモータに必要な実効電圧の値は0.1〜0.3[V]程度であるために、仮に摩擦トルクに釣り合うように、0.175[V]近傍で電圧を調整しようとしても、図17(A)の場合には、0.05[V]幅の0.15[V]、0.20[V]の値しか取り得ない。入力エネルギーは実効電圧の二乗に比例するために、電圧が0.05[V]変化することで大きく変動してしまい、過剰なエネルギーをロータの回転に投入してしまうか、ロータの回転に不十分なエネルギーしか投入できないことになってしまう。また、チョッパ駆動のために周波数を上げていくにつれて、回路の消費電力を上がってしまうという問題も発生する。
そのため、本発明のステップモータ装置では、印加電圧を可能な限り下げ、最後のチョッパで実効電圧を微調整するというのが、製造誤差などによるばらつきの影響の大きい摩擦トルクに対して印加電圧を設定し易い手法と言える。
以上、第1実施形態を例にして、本発明のステップモータ装置の細部及びロータの駆動方法について図面を用いて説明したが、もちろん、それらは第1実施形態に限定するものではない。スペーサを用いた絶磁構造や駆動手法は、他の実施形態にあっても用いることができる。
この発明は、腕時計をはじめとする各種の指針を備えた電子時計の駆動源として利用出来る。1時電池を電源とするもののほか、太陽電池や熱発電素子あるいは機械式発電ユニットなどと二次電池の組合せを電源とするものにも適用することが出来る。
1 第1のステータ
2 第2のステータ
11,11’ ’,21,21’ ’ ヨーク
11a,21a ロータ孔
11b,21b スリット
11c,21c 内ノッチ
11d,21d 磁束飽和部
12,22 コイル芯
13,23 コイル
3,3’ロータ
3a ロータ磁石
3b ロータカナ
4,4a,4b 保持トルク
5,5a,5a’,5b,5b’ 磁束
5c,5d,5e 磁界
6’ 中座
6a 下座
6b スペーサ
9c,9d,9e 電流特性
10 駆動回路
30 駆動手段
30a 可変電圧手段
30b 検出手段

Claims (4)

  1. 2極に着磁された永久磁石からなる1個のロータと、
    前記ロータを回転自在に挿入されるロータ孔を有する軟磁性体のヨークと該ヨークに一体となるコイル芯に導線を巻きつけたコイルとからなるステータを2個有し、
    2個のステータは、前記ロータ孔の位置を互いに一致させて前記ロータの軸方向に互いに空間的な位相をずらせて重ねると共に互いを絶磁して配置された第1のステータと第2のステータとであるステップモータを有し、
    それぞれの前記コイルに位相をずらした所定の駆動パルスを発生する駆動手段を有し、該駆動パルスをそれぞれの前記コイルに印加することで、前記ロータを回転させるステップモータ装置において、
    前記ステップモータは、
    前記2個のステータの前記ロータ孔の周囲には、前記コイルによる磁界によって前記ロータに駆動トルクを作用させるために機能する一対のスリット又は磁束飽和部を設け、
    前記2個のステータと前記ロータとでは、前記コイルの非通電時に前記ロータの位置を安定させるための保持トルクが生じず、
    前記第1のステータと前記第2のステータとは、それぞれの前記コイルの大きさが異なっているが、前記駆動トルクが同一であることを特徴とするステップモータ装置。
  2. 前記2個のステータの前記駆動トルクは、前記コイルの前記コイル芯に巻きつけた前記導線の巻数と、前記コイルの鎖交磁束量と、前記コイルに通電する電流量と、を選択して、前記2個のステータの前記駆動トルクを等しくしたことを特徴とする請求項1に記載のステップモータ装置。
  3. 前記ステップモータの前記2個のステータに備える前記一対のスリット又は磁束飽和部は、それぞれの前記ステータごとに前記保持トルクを生じさせない位置となっていることを特徴とする請求項1又は2に記載のステップモータ装置。
  4. 前記ステップモータは、前記2個のステータに前記一対のスリットを設けたとき、前記スリットによって生じる保持トルクを打ち消すための一対の内ノッチを、前記ロータ孔の中心を通って直交する線上に設けていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つ
    に記載のステップモータ装置。
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