JP5495733B2 - 旋回クレーンの振れ止め制御方法及び制御装置 - Google Patents
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Description
この従来技術に係る制御装置では、吊り荷を旋回移送する際の目標旋回角度のx,y方向成分と、フィードバックした吊り荷の位置及び速度のx,y方向成分とに基づき、吊り荷の振動が減衰振動になるように線形制御理論によって実際の旋回角度を演算し、この旋回角度をクレーンに入力して運転するものである。
これらの図において、10はブーム、20はロープ(ワイヤ)、30は吊り荷であり、Oはブーム10の支点、Aはロープ20の支点、Bは支点Aのx,y平面への投影点、Cは吊り荷30のx,y平面への投影点、(x,y,z)は質点mの座標(位置)、Lはロープ20の長さ、hは支点Aのx,y平面からの高さ、rはブーム10すなわち支点Aの水平旋回半径、θはx軸と線分OBとのなす角度(旋回角度)、αは線分OBの延長線とロープ20とのなす角度、βはロープ20と線分ABとのなす振れ角度、fはロープ20の張力である。
すなわち、制御装置に目標旋回角度θrが入力されてそのx方向成分cosθr及びy方向成分sinθrが算出されると共に、これらの値とクレーンからフィードバックされたx,y方向の移動量及び速度、並びにゲインF1x,F1y,F2x,F2yを用いて、数式5から得た下記の数式8によりブームの旋回角度θが演算される。
ここで、図8は、目標旋回角度θrを300[°]とした場合の従来技術による吊り荷の軌跡を示す概念図であり、一点鎖線は目標軌道、実線は吊り荷の実際の軌跡、Sはスタート地点、Eは目標地点をそれぞれ示している。この図8から明らかなように、cosθ=0となる旋回角度90[°]及び270[°]の位置が特異点となり、振れ止め制御が不能になって吊り荷が大きく振れることとなる。
このような問題を解決するため、従来技術では、数式8の分母が0にならないようにプログラム上の対応策を講じなくてはならず、これがコスト上昇の原因となっていた。
前記制御入力を、前記ブームの目標旋回角速度と、前記ブームの目標旋回角度と、前記ブームの水平旋回半径と、旋回クレーンからフィードバックされた前記ブームの実際の旋回角度,前記吊り荷の水平面内のx方向位置及びy方向位置,前記吊り荷のx方向速度及びy方向速度と、フィードバックゲイン及び定数と、を用いた数式19(請求項1における数式19A)により、改良バックステッピング法によって演算するものである。
前記ブームの目標旋回角速度と、前記ブームの目標旋回角度と、前記旋回クレーンからフィードバックされた前記ブームの実際の旋回角度と、定数と、を用いて、数式19(請求項2における数式19B)における第1加算成分を演算する第1演算手段と、
前記ブームの水平旋回半径と、前記旋回クレーンからフィードバックされた前記ブームの実際の旋回角度,前記吊り荷の水平面内のx方向位置及びx方向速度と、フィードバックゲイン及び定数と、を用いて、数式19Bにおける第2加算成分を演算する第2演算手段と、
前記ブームの水平旋回半径と、前記旋回クレーンからフィードバックされた前記ブームの実際の旋回角度,前記吊り荷の水平面内のy方向位置及びy方向速度と、フィードバックゲイン及び定数と、を用いて、数式19Bにおける第3加算成分を演算する第3演算手段と、
数式19Bにより、前記第1加算成分、前記第2加算成分及び前記第3加算成分を加算して前記制御入力を演算する加算手段と、を備えたものである。
前記制御入力を、前記ブームの目標旋回角速度と、前記ブームの目標旋回角度と、前記ブームの水平旋回半径と、旋回クレーンからフィードバックされた前記ブームの実際の旋回角度,前記吊り荷の水平面内のx方向位置の円軌道との偏差及びy方向位置の円軌道との偏差,前記各偏差の一階微分値と、フィードバックゲイン及び定数と、を用いた数式20(請求項3における数式20A)により、改良バックステッピング法によって演算するものである。
更に、請求項4に係る振れ止め制御装置は、旋回クレーンのブームから吊り下げられた吊り荷を前記ブームの水平面内の旋回により目標位置へ運搬するための旋回クレーンの制御装置であって、前記ブームの旋回に関する運動方程式に基づく制御則に従って旋回クレーンを駆動するための制御入力を改良バックステッピング法により演算する制御装置において、
前記ブームの目標旋回角速度と、前記ブームの目標旋回角度と、前記ブームの実際の旋回角度と、定数とを用いて、数式20(請求項4における数式20B)の第1加算成分を演算する第1演算手段と、
前記ブームの水平旋回半径と、旋回クレーンからフィードバックされた前記ブームの実際の旋回角度,前記吊り荷の水平面内のx方向位置及びx方向速度と、フィードバックゲイン及び定数とを用いて、数式20Bの第2加算成分を演算する第2演算手段と、
前記ブームの水平旋回半径と、旋回クレーンからフィードバックされた前記ブームの実際の旋回角度,前記吊り荷の水平面内のy方向位置及びy方向速度と、フィードバックゲイン及び定数とを用いて、数式20Bの第3加算成分を演算する第3演算手段と、
数式20Bにより、前記第1加算成分、前記第2加算成分及び前記第3加算成分を加算して前記制御入力を演算する加算手段と、を備えたものである。
まず、この実施形態では、改良バックステッピング法を用いて旋回クレーンに対する制御入力uを求めるように制御装置を設計する。
ここで、いわゆるバックステッピング法は、以下に示す改良バックステッピング法において、位置に関する状態変数及び入力項が等しい場合の(すなわちn=m)方法として知られており、安定した制御則をシステマティックに求めることができる利点がある。これに対し、改良バックステッピング法では、位置に関する状態変数(例えばn行1列)及び入力項(同じくm行1列とし、n>mとする)に関し、最初に入力項ではない位置に関する状態変数(n行1列)に対して理想的なフィードバック制御則を考え、次に、入力項ではない位置に関する状態変数(n行1列)と理想的なフィードバック制御則との差がゼロになるようにリアプノフ関数に基づいて入力項(m行1列)に対するフィードバック制御則を求めるものである。
始めに、数式9を微分して数式10を得る。
これに対し、定数KS>0を導入して数式16を仮定すると、t→∞の時にσ1→0,σ2→0とすることができ、数式5を成立させることができる。
よって、制御装置が数式19により演算した制御入力uを用いて旋回クレーンのブーム10を制御することにより、質点mの座標x,yをcosθr,sinθrに沿って移動させ、吊り荷30を目標旋回角度θrに等しい角度θで旋回させることができる。
また、上記制御入力uは、従来技術のようにtan−1の演算によって求めるものではないから、ブームの旋回角度に起因する特異点もなく、連続的かつ安定した振れ止め制御を行うことができる。
制御装置100は、マイクロコンピュータ等のハードウェア及びソフトウェアによって構成されており、101は積分手段、102はブロック内に記載したωrcos(θr−θ)+KSsin(θr−θ)の演算を行う第1演算手段、103Xは吊り荷30のx方向位置及び速度に関する演算(図1の下端に示す「X」の演算)を行う第2演算手段(X方向演算手段)、103Yは同じくy方向位置及び速度に関する演算(図1の下端に示す「Y」の演算)を行う第3演算手段(Y方向演算手段)、104は加算手段である。
これらの第1,第2,第3演算手段102,103X,103Yによる演算結果が加算手段104にて加算されることにより、数式19の制御入力uが演算されて旋回クレーン200に与えられることになる。
また、図4は、本実施形態によりフィードバック制御を行った場合の吊り荷のx方向位置、y方向位置の時間応答を示しており、図5は、フィードバック制御を行わない場合の吊り荷のx方向位置、y方向位置の時間応答を示している。
20:ロープ
30:吊り荷
100:制御装置
101:積分手段
102:第1演算手段
103X:第2演算手段(X方向演算手段)
103Y:第3演算手段(Y方向演算手段)
104:加算手段
200:旋回クレーン(制御対象)
Claims (4)
- 旋回クレーンのブームから吊り下げられた吊り荷を前記ブームの水平面内の旋回により目標位置へ運搬するための旋回クレーンの制御方法であって、前記ブームの旋回に関する運動方程式に基づく制御則に従って旋回クレーンを駆動するための制御入力を演算する制御方法において、
前記制御入力を、前記ブームの目標旋回角速度と、前記ブームの目標旋回角度と、前記ブームの水平旋回半径と、旋回クレーンからフィードバックされた前記ブームの実際の旋回角度,前記吊り荷の水平面内のx方向位置及びy方向位置,前記吊り荷のx方向速度及びy方向速度と、フィードバックゲイン及び定数と、を用いた以下の数式19Aにより、改良バックステッピング法によって演算することを特徴とする旋回クレーンの振れ止め制御方法。
u:制御入力
ωr:ブームの目標旋回角速度
θr:ブームの目標旋回角度
θ:ブームの実際の旋回角度
r:ブームの水平旋回半径
x:吊り荷の水平面内のx方向位置
y:吊り荷の水平面内のy方向位置
F1x,F1y,F2x,F2y:フィードバックゲイン
k,KS:定数 - 旋回クレーンのブームから吊り下げられた吊り荷を前記ブームの水平面内の旋回により目標位置へ運搬するための旋回クレーンの制御装置であって、前記ブームの旋回に関する運動方程式に基づく制御則に従って旋回クレーンを駆動するための制御入力を改良バックステッピング法により演算する制御装置において、
前記ブームの目標旋回角速度と、前記ブームの目標旋回角度と、前記旋回クレーンからフィードバックされた前記ブームの実際の旋回角度と、定数と、を用いて、数式19Bにおける第1加算成分を演算する第1演算手段と、
前記ブームの水平旋回半径と、前記旋回クレーンからフィードバックされた前記ブームの実際の旋回角度,前記吊り荷の水平面内のx方向位置及びx方向速度と、フィードバックゲイン及び定数と、を用いて、数式19Bにおける第2加算成分を演算する第2演算手段と、
前記ブームの水平旋回半径と、前記旋回クレーンからフィードバックされた前記ブームの実際の旋回角度,前記吊り荷の水平面内のy方向位置及びy方向速度と、フィードバックゲイン及び定数と、を用いて、数式19Bにおける第3加算成分を演算する第3演算手段と、
数式19Bにより、前記第1加算成分、前記第2加算成分及び前記第3加算成分を加算して前記制御入力を演算する加算手段と、
を備えたことを特徴とする旋回クレーンの振れ止め制御装置。
- 旋回クレーンのブームから吊り下げられた吊り荷を前記ブームの水平面内の旋回により目標位置へ運搬するための旋回クレーンの制御方法であって、前記ブームの旋回に関する運動方程式に基づく制御則に従って旋回クレーンを駆動するための制御入力を演算する制御方法において、
前記制御入力を、前記ブームの目標旋回角速度と、前記ブームの目標旋回角度と、前記ブームの水平旋回半径と、旋回クレーンからフィードバックされた前記ブームの実際の旋回角度,前記吊り荷の水平面内のx方向位置の円軌道との偏差及びy方向位置の円軌道との偏差,前記各偏差の一階微分値と、フィードバックゲイン及び定数と、を用いた以下の数式20Aにより、改良バックステッピング法によって演算することを特徴とする旋回クレーンの振れ止め制御方法。
- 旋回クレーンのブームから吊り下げられた吊り荷を前記ブームの水平面内の旋回により目標位置へ運搬するための旋回クレーンの制御装置であって、前記ブームの旋回に関する運動方程式に基づく制御則に従って旋回クレーンを駆動するための制御入力を改良バックステッピング法により演算する制御装置において、
前記ブームの目標旋回角速度と、前記ブームの目標旋回角度と、前記ブームの実際の旋回角度と、定数とを用いて、数式20Bの第1加算成分を演算する第1演算手段と、
前記ブームの水平旋回半径と、旋回クレーンからフィードバックされた前記ブームの実際の旋回角度,前記吊り荷の水平面内のx方向位置及びx方向速度と、フィードバックゲイン及び定数とを用いて、数式20Bの第2加算成分を演算する第2演算手段と、
前記ブームの水平旋回半径と、旋回クレーンからフィードバックされた前記ブームの実際の旋回角度,前記吊り荷の水平面内のy方向位置及びy方向速度と、フィードバックゲイン及び定数とを用いて、数式20Bの第3加算成分を演算する第3演算手段と、
数式20Bにより、前記第1加算成分、前記第2加算成分及び前記第3加算成分を加算して前記制御入力を演算する加算手段と、
を備えたことを特徴とする旋回クレーンの振れ止め制御装置。
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