実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る画像読取装置100の概略図である。図示するように、画像読取装置100は、結像光学系101と、照明光源102と、天板103と、基板104上に配置された複数の撮像素子部141,142,143,144,145,146,147,148と、ラインメモリ105と、画像結合装置106と、を有する。
なお、図1は本実施の形態の画像結合装置106をディジタル複写機に適用した場合の例であり、複数の画像を結合することが必要な装置、例えば、ハンドスキャナ、ファクシミリ、パノラマ画像合成装置などにも適用できる。
以下においては、XYZ直交座標系を用いて説明を行う。画像の読み取りにおける主走査方向DxをX軸とし、主走査方向Dxに直交する副走査方向DyをY軸とし、主走査方向Dx及び副走査方向Dyの両方に直交する深度方向DzをZ軸とする。したがって、主走査方向Dxは「X軸方向」とも言い、副走査方向Dyは「Y軸方向」とも言い、深度方向Dzは「Z軸方向」とも言う。また、以下の説明において、Z軸方向は、画像読取装置100の厚み方向である。
結像光学系101は、後述するように基板104上に千鳥状に配列された複数の短尺のラインセンサ141,142,・・・,148に対応する複数の結像光学部111,112,・・・,118を含む。
結像光学部111,112,・・・,118のそれぞれは、機能的に独立した光学手段である。複数の結像光学部111,112,・・・,118は、XY面に平行な面上で千鳥状(隣接する結像光学部が、X軸方向に所定の間隔離れた第1の位置と、X軸方向及びY軸方向に所定の間隔離れた第2の位置と、に並べられた状態)に配置されている円柱状の光学セルによって構成される(通常セルフォックレンズアレイと称されるものである)。
ここで、実施の形態1においては、複数の結像光学部111,112,・・・,118のうちの、主走査方向Dxに並ぶ1列の結像光学部111,113,115,117を、第1の結像光学部群といい、主走査方向Dxに並ぶ1列の結像光学部112,114,116,118を、第2の結像光学部群という。このように、複数のセルによって結像光学系を構成しているので装置を小型化することができる。
第1の結像光学部群111,113,115,117は、原稿の被撮像領域31,33,35,37から第1の結像光学部群111,113,115,117に向かう第1の光の主光線が互いに平行になるように構成されている。すなわち、第1の結像光学部群111,113,115,117は、結像光学部の光軸が互いに平行になるように構成されている。また、第2の結像光学部群112,114,116,118は、原稿の被撮像領域32,34,36,38から第2の結像光学部群112,114,116,118に向かう第2の光の主光線が互いに平行になるように構成されている。すなわち、第2の結像光学部群112,114,116,118は、結像光学部の光軸が互いに平行になるように構成されている。
なお、図1には、結像光学系101が、第1の結像光学部群111,113,115,117と第2の結像光学部群112,114,116,118からなる場合を説明したが、本発明はこのような態様に限定されず、副走査方向Dyに結合光学部群が3列以上配置されるようにすることもできる。
基板104には、短尺のラインセンサ141,142,・・・,148が、結像光学部111,112,・・・,118に対応するように千鳥状に形成される。主走査方向Dxに並ぶ1列の短尺のラインセンサ141,143,145,147は、第1の結像光学部群111,113,115,117に対応するように配置され、これらの1列の短尺のラインセンサ141,143,145,147を第1の撮像素子部群という。また、主走査方向Dxに並ぶ1列の短尺のラインセンサ142,144,146,148は、第2の結像光学部群112,114,116,118に対応するように配置され、これらの1列の短尺のラインセンサ142,144,146,148を第2の撮像素子部群という。
なお、図1には、基板104に、第1の撮像素子部群141,143,145,147と、第2の撮像素子部群142,144,146,148と、が形成される場合を説明したが、このような態様に限定されず、基板104の副走査方向Dyに、撮像素子部群が3列以上配置されるようにすることもできる。
照明光源102は、例えば、蛍光灯又はLEDなどから構成される。照明光源102は、例えば、天板103の下方であって原稿の被撮像領域31,32,33,34,35,36,37,38の読み取りに支障が生じない位置に配置される。照明光源102は、原稿の被撮像領域31,32,・・・,38に光を照射する。なお、照明光源102の形状は、図1に示されるような長尺形状に限定されず、他の形状であってもよい。また、図1には、照明光源102が、結像光学系101の副走査方向Dyの一方の側にのみ配置されている場合を示したが、照明光源を結像光学系101の副走査方向Dyの両側に配置してもよい。
天板103は、被撮像物(被写体)の一例である原稿(図1には図示せず)が載置される原稿載置部材であり、例えば、透明なガラス板で構成することができる。また、天板103は、原稿の深度方向Dzの位置(すなわち、結像光学系101から原稿の被撮像領域までの距離)を決めることができる位置決め部として機能する。天板103には、原稿が、天板103の上面103aの位置又はこの上面103aから深度方向Dzにずれた位置に載置される。実施の形態1においては、天板103の上面103aを合焦位置としており、原稿の読み取り位置に存在する被撮像領域31,32,・・・,38が合焦位置にあるときには、原稿の被撮像領域31,32,・・・,38から結像光学系101を通してラインセンサ141,142,・・・,148に画像を結像する。
なお、天板103は、被撮像物の位置決め部として機能し、原稿の被撮像領域31,32,・・・,38を撮像可能にできる構成であれば、ガラス板に限定されず、原稿を位置決めできる他の手段であってもよい。また、被撮像物には、文章、書画、写真などを表示した原稿の他に、紙幣、人間の指などのように、画像を読み取る対象となり得るすべてのものが含まれる。
図1において、被撮像領域31,32,・・・,38は、原稿の天板103側の面であって、ラインセンサ141,142,・・・,148によって読み取られる領域(視野範囲)であり、主走査方向Dxに並ぶ複数の領域である。ここで、被撮像領域31,32,・・・,38は、主走査方向Dxにおいて各々の領域の一部が重なり合うようにされている。
そして、画像読取装置100は、主走査方向Dxに沿って天板103上の原稿の被撮像領域31,32,・・・,38の画像を読み取り、主走査方向Dxの読み取りが完了する毎に、副走査方向Dyに読み取り位置を相対的に移動させる。この副走査方向Dyの読み取り位置の移動は、原稿の移動又は結像光学系101を含む画像読取装置200の移動のいずれかによって行うことができる。
ラインメモリ105は、第1の撮像素子部群141,143,145,147及び第2の撮像素子部群142,144,146,148によって取得された画像情報を一時的に記憶する記憶部であり、主走査方向に読み取っていった披撮像領域31,32,・・・,38を1ラインとして複数のラインを記憶保持する。
画像結合装置106は、ラインメモリ105に記憶された画像情報を結合することによって結合画像を生成する。図1には、ラインメモリ105と画像結合装置106とを別個の構成として示しているが、これらは、例えば、同じ回路基板上の一体的な構成であってもよい。
ここで、本実施の形態のように、短尺のラインセンサ141,142,・・・,148は、被撮影領域31,32,・・・,38を分割して読み取っていくため、ラインセンサ141,142,…,148からは読み取り原稿が分割された複数の画像が出力される。例えば、図2に示すように、原稿が分割された画像が出力され、原稿の複写を行うにはこれら複数に画像を一枚の画像に結合しなければならない。
ここで、本実施の形態のように、第1の撮像素子部群141,143,145,147と、第2の撮像素子部群142,144,146,148と、を副走査方向Dyにおいて、所定の間隔を離して配置し、第1の撮像素子部群141,143,145,147の光軸及び第2の撮像素子部群142,144,146,148の光軸が、YZ平面に投影された場合に、合焦位置(本実施の形態においては、天板103の上面103a)において交差するようにした場合には、隣り合う画像の主走査方向Dxの結合位置は一定だが、副走査方向Dyの結合位置は原稿の位置(原稿と天板103の間の距離)に応じて変化する。
そのため、図3に示すように結合する画像位置が副走査方向Dyにずれた画像が得られるため、隣接する2つの画像を結合するときには重ね合わせの位置を調整したうえで結合する必要がある。なお、一方において、このように画像が副走査方向Dyにずれることにより得られる効果がある。副走査方向Dyにずれている量が分かると、原稿と天板103の間の距離Δzを求めることができる。天板103から原稿面までの距離Δzを画像のぼやけ補正処理のパラメータとして使用することにより、ぼやけ具合に応じた適切な補正が行えるため、画質の改善が期待できる。
図4を用いて、副走査方向Dyに画像のズレが生じる原理について更に詳しく説明する。図4では、画像読取装置100が左から右に移動しながら、一部において天板103からΔz浮いている原稿70を読み取る場合を例とする。
画像読取装置100がP1及びP3の位置にあるときには、天板103の上面103aと原稿70とが接しているため、第1の撮像素子部群141,143,145,147と、第2の撮像素子部群142,144,146,148と、が読み取る画像にずれはない。一方、画像読取装置100がP2の位置にあるときには、天板103の上面103aと原稿70とがΔzの距離離れているため、第1の撮像素子部群141,143,145,147と、第2の撮像素子部群142,144,146,148と、が読み取る画像にはΔyのズレがある。
図4のように合焦位置(合焦面)に対して間隔の開いている原稿70を読み取ると、隣り合う画像のズレ量が原稿70と合焦位置との間の距離Δzに応じて変化する。特許文献1に記載の技術のように、予め固定のズレ量を定め、メモリを用いた遅延によりそのズレを補正しながら画像の結合を行うと、ズレ量(ここでは、原稿70と合焦位置との間の距離)が変化すると画像が滑らかに繋がらない。よって、高精度な画像の結合を行うためには、隣接する2枚の画像が繋がる位置の検出と画像の拡大又は縮小が必要となる。
図5は、画像結合装置106の機能構成を示す機能ブロック図である。図示するように、画像結合装置106は、記憶部161と、制御部163と、を有する。
記憶部161は、結合位置情報記憶部162を有する。結合位置情報記憶部162には、各ラインセンサで撮像された各ラインにおける画像を、隣接するラインセンサで撮像された各ラインにおける画像と結合させる位置を特定する結合位置情報が記憶される。例えば、本実施の形態においては、図6に示すような結合位置情報テーブル162aが記憶される。
図示するように、結合位置情報テーブル162aは、画像群列162bと、ライン位置行162cと、結合位置格納領域162dと、を有する。
画像群列162bは、各ラインセンサ141,142,・・・,148で読み取られた画像を特定する。例えば、1画像群は、ラインセンサ141で撮像された画像を、2画像群は、ラインセンサ142で撮像された画像を、3画像群は、ラインセンサ143で撮像された画像を、4画像群は、ラインセンサ144で撮像された画像を、5画像群は、ラインセンサ145で撮像された画像を、6画像群は、ラインセンサ146で撮像された画像を、7画像群は、ラインセンサ147で撮像された画像を、示す。
ライン位置行162cは、画像を読み取る副走査方向Dyにおける走査ラインの位置を特定する。例えば、1ライン目は、副走査方向Dyにおける最初(先頭)の走査ラインを、2ライン目は、副走査方向Dyにおける1ライン目の次の走査ラインを、3ライン目は、副走査方向Dyにおける2ライン目の次の走査ラインを、4ライン目は、副走査方向Dyにおける3ライン目の次の走査ラインを、示す。なお、ライン位置行162cには、画像を読み取る原稿等の対象に応じて定まる走査ラインの数の行が設けられる。また、必要最小限のライン数(本実施の形態の場合、hMAX(後述)+1ライン)の行を設けて使いまわしてもよい。
結合位置格納領域162dには、ライン列行162cで特定される走査ラインにおいて、画像群列162bで特定される、ラインセンサ141,142,・・・,148で読み取られた画像群に含まれる画像を、当該画像と同じ走査ラインの主走査方向Dxにおける次の画像群に含まれる画像に結合させる位置を特定する情報が格納される。なお、結合位置格納領域162dに格納される値は、後述する結合位置特定部168が算出するが、結合位置を特定できない場合には、保留ラインフラグとして空欄にされる。
例えば、本実施の形態においては、結合位置格納領域162dには、ライン列行162cで特定される走査ラインにおいて、画像群列162bで特定される、ラインセンサ141,142,・・・,148で読み取られた画像群に属する画像を、当該画像と同じ走査ラインの主走査方向Dxにおける次の画像群に含まれる画像に結合させた際に、当該画像の、当該次の画像群に含まれる画像における副走査方向Dyの結合到達位置を特定する情報が、結合させる位置を特定する情報として格納される。図6の例では、1画像群列の2ライン目行の欄に格納されている「1.9」の数値は、1画像群に含まれる2ライン目の画像と2画像群に含まれる画像とを結合させた際に、1画像群の画像は、2画像群の画像の2ライン目の画像の副走査方向Dyにおける先頭から副走査方向Dyにおける終端に向かって、0.9の割合の位置(画像2の2ライン目の画像を10等分して、副走査方向Dyの先頭から9つ目までの位置)にまで達することを示している。すなわち、結合位置格納領域162dに格納された数値のうち、整数部分は、走査ラインを示しており、少数部分は、整数部分で示される走査ラインの次の走査ラインで撮像された画像の副走査方向Dyにおける先頭位置から結合する終端までの割合を示している。
図5に戻り、制御部163は、結合位置検出部164と、画像結合部169と、を有する。
結合位置検出部164は、ラインセンサ141,142,・・・,148で読み取られた各々の画像を、当該画像と同じ走査ラインの主走査方向Dxにおける次の画像に結合させる位置を検出する。ここで、結合位置検出部164は、相関検出用領域設定部165と、被相関検出用領域設定部166と、相関算出部167と、結合位置特定部168と、を有する。
相関検出用領域設定部165は、各々のラインセンサ141,142,・・・,148により、一つ以上の走査ラインで読み取られた画像を含む画像の集合に対して、マッチング領域を設定する。
ここで、特定のラインセンサにおいて、一つ以上の走査ラインで読み取られた画像の集合をN画像群(Nは、各々の画像群を識別するために各々の画像群に割り振られたインデックスであって、本実施の形態においては、各々の画像群に対して、1から順に自然数が割り振られている)という。例えば、1画像群は、ラインセンサ141において、一つ以上の走査ラインで読み取られた画像を含む画像の集合であり、2画像群は、ラインセンサ142において、一つ以上の走査ラインで読み取られた画像を含む画像の集合であり、3画像群は、ラインセンサ143において、一つ以上の走査ラインで読み取られた画像を含む画像の集合であり、4画像群は、ラインセンサ144において、一つ以上の走査ラインで読み取られた画像を含む画像の集合であり、5画像群は、ラインセンサ145において、一つ以上の走査ラインで読み取られた画像を含む画像の集合であり、6画像群は、ラインセンサ146において、一つ以上の走査ラインで読み取られた画像を含む画像の集合であり、7画像群は、ラインセンサ147において、一つ以上の走査ラインで読み取られた画像を含む画像の集合であり、8画像群は、ラインセンサ148において、一つ以上の走査ラインで読み取られた画像を含む画像の集合である。
図7は、相関検出用領域設定部165がN画像群に対して設定するマッチング領域の一例を示す概略図である。ここで、図7において、上方から下方に向かって複数並べられている同一形状の矩形状のセルはN画像群に含まれる画像を示し、N画像群に含まれる画像の上方から下方に向かう順番が、ラインセンサで読み込まれた順番(走査ラインの若い順)を示すものとする。
そして、図7に示すように、相関検出用領域設定部165は、N画像群において、後述するような確定ライン又は保留ラインとはされていないラインのうち、先頭ラインを注目ラインAlとし、注目ラインAlと、注目ラインAlに続く予め設定された数nのラインからなる対象ラインOlと、保留ライン(図7では図示せず)と、をマッチング領域Mrとする。ここで、保留ラインとは、そのラインが注目ラインとされたときに隣接する画像との結合位置が検出できず、結合位置の特定が保留されたラインのことを示す。また、確定ラインは、隣接する画像との結合位置が確定されたラインのことを示す。
また、相関検出用領域設定部165は、注目ラインAlと、注目ラインAlの一つ下のラインと、からなる2ラインをエッジ検出領域Erとする。また、Epは、エッジ検出位置を示す。
図7に示す例では、対象ラインOlを5ラインとしているが、対象ラインOlの数はこれに限定されるものではない。また、エッジ検出領域Erのラインの数も2ラインに限るものではない。
図5に戻り、被相関検出用領域設定部166は、相関検出用領域設定部165がマッチング領域を設定した画像群に含まれる画像に対して、主走査方向Dxにおいて次に撮像される画像を含む画像群に対して複数の被マッチング領域を設定する。
例えば、被相関検出用領域設定部166は、後述するような被結合ラインとはされていない画像領域のうち、先頭ラインに含まれる画像領域から、マッチング領域と同じ大きさ(同じライン数)の領域を基準とし、さらに、領域の開始位置を固定した状態で領域の終了位置を−mラインから+mラインのサイズまで変化させた、大きさの異なる複数の領域を被マッチング領域として設定する。なお、mは被マッチング領域生成係数であって、予め任意の自然数が設定されているものとする。また、領域の終了位置を−mラインから+mラインのサイズまで変化させるさいの差分値についても予め設定されているものとする。ここで、被結合ラインとは、マッチング領域に含まれる注目ラインAl(確定ライン)と結合することが確定した被マッチング領域の画像領域をいう。
図8は、被相関検出用領域設定部166が画像群に対して設定する被マッチング領域の一例を示す概略図である。ここで、図8において、上方から下方に向かって複数並べられている同一形状の矩形状のセルは画像群に含まれる画像を示し、画像群に含まれる画像の上方から下方に向かう順番が、ラインセンサで読み込まれた順番(走査ラインの若い順)を示すものとする。
そして、被相関検出用領域設定部166は、相関検出用領域設定部165が設定したマッチング領域が6ラインであり、被マッチング領域生成係数mが3に設定されているとすると、マッチング領域と同じ大きさの被マッチング領域Tr0と、マッチング領域よりも1ライン大きな被マッチング領域Tr1と、マッチング領域よりも2ライン大きな被マッチング領域Tr2と、マッチング領域よりも3ライン大きな被マッチング領域Tr3と、マッチング領域よりも1ライン小さな被マッチング領域Tr−1と、マッチング領域よりも2ライン小さな被マッチング領域Tr−2と、マッチング領域よりも3ライン小さな被マッチング領域Tr−3と、を設定する。なお、ここでは、1ライン単位で大きさが変化する複数の被マッチング領域を設けたが、変化の単位はこれに限定されるものではなく、2ライン以上でも1ライン未満でもよい。
図5に戻り、相関算出部167は、相関検出用領域設定部165が設定したマッチング領域と、被相関検出用領域設定部166が設定した複数の被マッチング領域の各々と、の組み合わせ毎に、これらの間の相関度を特定する値を算出する。
例えば、相関算出部167は、相関検出用領域設定部165が設定したマッチング領域と、被相関検出用領域設定部166が設定した被マッチング領域と、の大きさが同じ場合には、マッチング領域に含まれるラインの画像と、マッチング領域に含まれるラインの位置に対応する被マッチング領域に含まれるラインの画像と、の差分値を算出して、すべてのラインの差分値を合計する。
また、相関算出部167は、相関検出用領域設定部165が設定したマッチング領域と、被相関検出用領域設定部166が設定した被マッチング領域と、の大きさが異なる場合には、検出用領域設定部166が設定した被マッチング領域の大きさを、相関検出用領域設定部165が設定したマッチング領域の大きさに合わせてから、相関検出用領域設定部165が設定したマッチング領域に含まれるラインの画像と、マッチング領域に含まれるラインの位置に対応する被マッチング領域に含まれる画像と、の差分値を算出して、すべてのラインの差分値を合計する。
なお、相関算出部167が算出する相関度を特定する値は、このような差分値に限定されず、例えば、上述のように同じ大きさである又は同じ大きさにされたマッチング領域のラインに含まれる画像の画素値と、マッチング領域のラインに対応する被マッチング領域の画像の画素値と、から相関係数を算出し、すべてのラインについて算出した相関係数を合計するようにしてもよい。
また、領域サイズの変換には色々な手法があるが、例えば、一次変換でサイズ変換を行えばよい。さらに、ラインに含まれる画像のデータ(画素値等)同士ではなく、1ライン未満のデータを補間により作成して相関度を特定する値を算出しても良く、マッチング領域全体と被マッチング領域全体とを比較して相関度を特定する値を算出してもよい。
結合位置特定部168は、相関算出部167が算出した相関度を特定する値より、マッチング領域と、特定の被マッチング領域と、の間の相関度が高いと判断した場合には、最も相関度の高い被マッチング領域を選択して、マッチング領域に含まれる注目ラインAlに結合する、被マッチング領域の画像位置を特定する。
図9から図14を用いて、結合位置特定部168が、マッチング領域に含まれる注目ラインAlに結合する、被マッチング領域の画像位置を特定する処理を説明する。
図9(a)及び(b)は、マッチング領域Erと同じ大きさの被マッチング領域Tr0に、注目ラインAlを結合する画像位置を特定する際の処理を説明する概略図である。ここで、図9(a)及び(b)において、上方から下方に向かって複数並べられている同一形状の矩形状のセルは画像群に含まれる画像を示し、画像群に含まれる画像の上方から下方に向かう順番が、ラインセンサで読み込まれた順番(走査ラインの若い順)を示すものとする。
結合位置特定部168は、図9(a)に示すように、マッチング領域Erと、被マッチング領域Tr0の大きさが同じ場合には、図9(b)に示すように、被マッチング領域Tr0の先頭位置から注目ラインAlと同じ大きさの画像領域Iaを注目ラインAlと結合する領域として特定し、画像領域Iaの終端位置Epを特定する情報を結合位置とする。なお、結合位置は、被マッチング領域Tr0を設定した画像群の先頭位置から画像領域Iaの終端位置Epまでに含まれる画像(一つの走査ラインで取得される画像)の数と、終端位置Epが含まれる画像の先頭位置から終端位置Epまでの割合と、を加算した値で特定する。
なお、注目ラインAlの下のラインを次の注目ラインとした場合には、終端位置Epの下のラインから次の被マッチング領域が割り当てられる。
図10(a)〜(c)は、マッチング領域Erよりも大きさの小さい被マッチング領域Tr−2に、注目ラインAlを結合する画像位置を特定する際の処理を説明する概略図である。ここで、図10(a)〜(c)において、上方から下方に向かって複数並べられている同一形状の矩形状のセルは画像群に含まれる画像を示し、画像群に含まれる画像の上方から下方に向かう順番が、ラインセンサで読み込まれた順番(走査ラインの若い順)を示すものとする。
結合位置特定部168は、図10(a)に示すように、マッチング領域Erよりも被マッチング領域Tr−2の大きさが小さい場合には、図10(b)に示すように、被マッチング領域Tr−2に含まれる画像をマッチング領域Erと同じ大きさに拡大し(図10(a)〜(c)の例では、6/4倍)、拡大された被マッチング領域ETr−2の先頭位置から注目ラインAlと同じ大きさの画像領域Ia0を注目ラインAlと結合する領域とし、図10(c)に示すように、拡大された被マッチング領域ETr−2に含まれる画像を縮小することで(ここでは、4/6倍)元の大きさに戻した際に、同じ割合で縮小された画像領域Ia1の終端位置Ep1を特定する情報を結合位置とする。
なお、注目ラインAlの下のラインを次の注目ラインとした場合には、終端位置Ep1の下のラインから次の被マッチング領域が割り当てられる。
図11(a)〜(c)は、マッチング領域Erよりも大きさの大きい被マッチング領域Tr2に、注目ラインAlを結合する画像位置を特定する際の処理を説明する概略図である。ここで、図11において、上方から下方に向かって複数並べられている同一形状の矩形状のセルは画像群に含まれる画像を示し、画像群に含まれる画像の上方から下方に向かう順番が、ラインセンサで読み込まれた順番(走査ラインの若い順)を示すものとする。
結合位置特定部168は、図11(a)に示すように、マッチング領域Erよりも被マッチング領域Tr2の大きさが大きい場合には、図11(b)に示すように、被マッチング領域Tr2に含まれる画像をマッチング領域Erと同じ大きさに縮小し(図11(a)〜(c)の例では、6/8倍)、縮小された被マッチング領域RTr2の先頭位置から注目ラインAlと同じ大きさの画像領域Ia0を注目ラインAlと結合する領域とし、図11(c)に示すように、縮小された被マッチング領域RTr−2に含まれる画像を拡大することで(ここでは、8/6倍)元の大きさに戻した際に、同じ割合で拡大された画像領域Ia1の終端位置Ep1を特定する情報を結合位置とする。
なお、注目ラインAlの下のラインを次の注目ラインとした場合には、終端位置Ep1の下のラインから次の被マッチング領域が割り当てられる。
図12(a)及び(b)は、保留ラインSlを有するマッチング領域Erと同じ大きさの被マッチング領域Tr0に、保留ラインSl及び注目ラインAlを結合する画像位置を特定する際の処理を説明する概略図である。ここで、図12において、上方から下方に向かって複数並べられている同一形状の矩形状のセルは画像群に含まれる画像を示し、画像群に含まれる画像の上方から下方に向かう順番が、ラインセンサで読み込まれた順番(走査ラインの若い順)を示すものとする。また、図12(a)及び(b)においては、保留ラインSlが3ライン分含まれている場合を示す。
結合位置特定部168は、図12(a)に示すように、マッチング領域Erと、被マッチング領域Tr0の大きさが同じ場合には、図12(b)に示すように、被マッチング領域Tr0の先頭位置から各々の保留ラインSl及び注目ラインAlと同じ大きさの各々の画像領域Iaを、保留ラインSl及び注目ラインAlと結合する領域として特定し、各々の画像領域Iaの終端位置Epを特定する情報を結合位置とする。
なお、注目ラインAlの下のラインを次の注目ラインとした場合には、終端位置Epの下のラインから次の被マッチング領域が割り当てられる。
図13(a)〜(c)は、保留ラインSlを含むマッチング領域Erよりも大きさの小さい被マッチング領域Tr−2に、保留ラインSl及び注目ラインAlを結合する画像位置を特定する際の処理を説明する概略図である。ここで、図13(a)〜(c)において、上方から下方に向かって複数並べられている同一形状の矩形状のセルは画像群に含まれる画像を示し、画像群に含まれる画像の上方から下方に向かう順番が、ラインセンサで読み込まれた順番(走査ラインの若い順)を示すものとする。また、図13(a)〜(c)においては、保留ラインSlが3ライン分含まれている場合を示す。
結合位置特定部168は、図13(a)に示すように、マッチング領域Erよりも被マッチング領域Tr−2の大きさが小さい場合には、図13(b)に示すように、被マッチング領域Tr−2の大きさをマッチング領域Erと同じ大きさに拡大し(図13(a)〜(c)の例では、9/7倍)、拡大された被マッチング領域ETr−2の先頭位置から、各々の保留ラインSl及び注目ラインAlと同じ大きさの画像領域Ia0を、各々の保留ラインSl及び注目ラインAlと結合する領域とし、図13(c)に示すように、拡大された被マッチング領域ETr−2を縮小することで(ここでは、7/9倍)元の大きさに戻した際に、同じ割合で縮小された画像領域Ia1の終端位置Ep1を特定する情報を結合位置とする。
なお、注目ラインAlの下のラインを次の注目ラインとした場合には、終端位置Ep1の下のラインから次の被マッチング領域が割り当てられる。
図14(a)〜(c)は、保留ラインSlを含むマッチング領域Erよりも大きさの大きい被マッチング領域Tr2に、各々の保留ラインSl及び注目ラインAlを結合する画像位置を特定する際の処理を説明する概略図である。ここで、図14(a)〜(c)において、上方から下方に向かって複数並べられている同一形状の矩形状のセルは画像群に含まれる画像を示し、画像群に含まれる画像の上方から下方に向かう順番が、ラインセンサで読み込まれた順番(走査ラインの若い順)を示すものとする。また、図14(a)〜(c)においては、保留ラインSlが3ライン分含まれている場合を示す。
結合位置特定部168は、図14(a)に示すように、マッチング領域Erよりも被マッチング領域Tr2の大きさが大きい場合には、図14(b)に示すように、被マッチング領域Tr2の大きさをマッチング領域Erと同じ大きさに縮小し(図14(a)〜(c)の例では、9/11倍)、縮小された被マッチング領域RTr2の先頭位置から、各々の保留ラインSl及び注目ラインAlと同じ大きさの画像領域Ia0を、各々の保留ラインSl及び注目ラインAlと結合する領域とし、図14(c)に示すように、縮小された被マッチング領域RTr−2を拡大することで(ここでは、11/9倍)元の大きさに戻した際に、同じ割合で拡大された画像領域Ia1の終端位置Ep1を特定する情報を結合位置とする。
なお、注目ラインAlの下のラインを次の注目ラインとした場合には、終端位置Ep1の下のラインから次の被マッチング領域が割り当てられる。
図5に戻り、結合位置特定部168は、以上のようにして算出した結合位置を結合位置情報記憶部162に記憶する処理を制御する。
画像結合部169は、結合位置情報記憶部162に記憶されている結合位置情報に基づいて、各々の画像を結合する。なお、画像結合部169での処理は、下記に詳細に説明する。
以上に記載した画像結合装置106は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、メモリと、を備えたコンピュータで実現できる。例えば、記憶部161は、CPUがメモリを利用することにより実現でき、制御部163は、所定のプログラムをCPUで実行することで実現できる。ただし、本実施の形態の画像結合装置106は、コンピュータシステム上にソフトウェア的に実現されるものに限定されない。例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積ロジックICによりハード的に実現されるものでもよいし、あるいは、DSP(Digital Signal Processor)等によりソフトウェア的に実現されるものでもよい。
図15及び16は、画像結合装置106での画像処理を示すフローチャートである。
まず、結合位置特定部168は、画像群を示すインデックスNに1を設定し、処理するラインを示すインデックスiに1を設定する(S10)。
次に、結合位置特定部168は、処理ライン数を示すインデックスhを0に初期化する(S11)。
次に、相関検出用領域設定部165は、N画像群内に、マッチング領域Mrを設定する(S12)。例えば、相関検出用領域設定部165は、N画像群内において、インデックスiで示されるラインの上のラインが保留ラインではない場合には、インデックスiで示されるラインと、インデックスiで示されるラインの次の走査ラインから予め設定された数の対象ラインOlと、をマッチング領域Mrに設定する。また、相関検出用領域設定部165は、N画像群内において、インデックスiで示されるラインの上のラインが保留ラインである場合には、インデックスiで示されるラインよりも一つ前の走査ラインから連続して続く保留ラインと、インデックスiで示されるラインと、インデックスiで示されるラインの次の走査ラインから予め設定された数の対象ラインOlと、をマッチング領域Mrに設定する。
なお、相関検出用領域設定部165は、結合位置情報テーブル162aにおいて、インデックスNで特定される画像群列162bで特定される結合位置格納領域162dの欄において、インデックスiで特定される注目ラインに対応するライン位置行162cで特定される結合位置格納領域162dの欄よりも上方の位置に、保留ラインフラグがあるか否かで、マッチング領域に保留ラインを含めるか否かを判断することができる。
また、相関検出用領域設定部165は、ステップS12で設定されたマッチング領域Mrに、インデックスiで特定される走査ラインを注目ラインAlとして設定し、注目ラインAlと、注目ラインAlの次の走査ラインと、をエッジ検出領域Erとして設定する(S13)。
次に、被相関検出用領域設定部166は、N画像群に含まれる画像の主走査方向における次の画像が含まれるN+1画像群に、予め定められた数の被マッチング領域を設定する(S13)。例えば、被相関検出用領域設定部166は、ステップS12で設定されたマッチング領域と同じサイズの被マッチング領域と、ステップS12で設定されたマッチング領域のサイズから予め定められた被マッチング領域生成係数で特定されるサイズに至るまで、予め定められた差分値を増減した大きさのサイズの被マッチング領域と、を設定する。
次に、結合位置特定部168は、ステップS13で設定されたエッジ検出領域Erに、画像における特徴的な部分が含まれているか否かを判断する(S15)。そして、特徴的な部分が含まれている場合には(ステップS15でYes)ステップS16に進み、特徴的な部分が含まれていない場合には(ステップS15でNo)ステップS20に進む。ここでいう特徴的な部分とは、画像の結合に必要な重ね合わせ位置を検出する際に、目印としてわかりやすい画像のエッジや文字、文様などを示す。すなわち、画像の信号レベルの変化が大きな部分をいう。
本実施の形態では、エッジ検出領域Erでの画像内の特徴的な部分の検出の手法は特に限定しないが、隣り合う画像の重ね合わせの位置は副走査方向にのみ移動するため、副走査方向に対して垂直なエッジが存在する位置で重ね合わせの位置を検出すると、確度の高い結果が得られる。そこで、例えば、上下のラインにおける信号成分の差の合計が予め定められていた値より大きいとき信号の変化が大きい、すなわち画像のエッジが存在すると判断する。
ステップS16では、相関算出部167は、ステップS12で設定されたマッチング領域Erと、ステップS14で設定された複数の被マッチング領域の各々と、の相関度を特定する値を算出する(S16)。
なお、マッチング領域、非マッチング領域ともに、各ラインには結合精度を上げるため1ラインより細かいサブラインが設けられており、それぞれのサブラインは領域サイズを拡大又は縮小する際にデータ補間して生成する。データの補間は線形補間、バイキュービックなど手法は問わない。
そして、結合位置特定部168は、ステップS16で算出された相関度を特定する値のうち、予め定められた閾値よりも強い相関を示す値が算出された被マッチング領域があるか否かを判断する(S17)。このようなマッチング領域がある場合には(ステップS17でYes)ステップS18に進み、このようなマッチング領域がない場合には(ステップS17でNo)ステップS20に進む。
ステップS18では、結合位置特定部168は、ステップS16で算出された相関度を特定する値のうち、最も強い相関を示す値が算出された被マッチング領域を選択する。
そして、結合位置特定部168は、ステップS12で設定されたマッチング領域の先頭位置からエッジ検出位置までのラインの結合位置を特定する(S19)。ここで、本実施の形態においては、エッジ検出領域Erを2ラインとし、上下ラインの差からエッジを検出したため、エッジ検出領域Erの1ライン目、すなわち、注目ラインAlまでの結合位置を特定する。なお、このようにして特定した結合位置については、結合位置特定部168が、結合位置情報テーブル162aにおいて、インデックスNで特定される画像群列162bと、結合位置が算出されたラインに対応するライン位置行162cと、で特定される結合位置格納領域162dの欄に、算出された結合位置を特定する情報を格納する。
一方、ステップS20では、結合位置特定部168は、ステップS13で特定された注目ラインAlを保留ラインとする。例えば、結合位置特定部168は、結合位置情報テーブル162aにおいて、インデックスNで特定される画像群列162bと、インデックスiで特定される注目ラインに対応するライン位置行162cと、で特定される結合位置格納領域162dの欄に、保留ラインフラグを格納する。
次に、結合位置特定部168は、インデックスNで特定される画像群が、Nの最大値(NMAX)であるか否かを確認し(S21)、Nの最大値ではない場合には(ステップS21でNo)ステップS22に進み、Nの最大値である場合には(ステップS21でYes)ステップS23に進む。なお、Nの最大値は、ラインセンサ141,142,・・・,148の数から1を減算した数である。
ステップS22では、結合位置特定部168は、インデックスNに1を加算して、ステップS12に戻り処理を繰り返す。また、ステップS23では、結合位置特定部168は、インデックスhに1を加算して、ステップS24に進む。
ステップS24では、結合位置特定部168は、インデックスhが、hの最大値(hMAX)であるか否かを確認し、hの最大値(hMAX)ではない場合には(ステップS24でNo)ステップS25に進み、hの最大値(hMAX)である場合には(ステップS24でYes)図16のステップS26に進む。ここで、hMAXの値は、結合位置を算出するラインと、画像を結合するラインと、の差分値である。そして、hMAXの値は、画像のサイズ(走査ライン数)を超えない範囲で任意の値(本実施の形態では19)を設定できるが、hMAXの値が大きくなるほど、注目ラインと、画像の結合結果を出力するラインと、の位置の差が大きくなり、その結果、画像データを一時的に保存しておくメモリの容量が大きくなるため、あまり大きな値にしない方が望ましい。
ステップS25では、結合位置特定部168は、インデックスNを1に初期化し、インデックスiに1を加算する。そして、結合位置特定部168は、ステップS11に戻り、処理を繰り返す。
ステップS26では、結合位置特定部168は、インデックスiの値から、hMAXの値を減算した値で示されるラインに保留ラインの設定があるか否かを確認し、保留ラインの設定がある場合には(ステップS26でYes)ステップS27に進み、保留ラインの設定がない場合には(ステップS26でNo)ステップS28に進む。ここで、インデックスiの値から、hMAXの値を減算した値で示されるラインに保留ラインの設定があるか否かは、結合位置情報テーブル162aにおいて、インデックスiの値から、hMAXの値を減算した値に対応するライン位置行162cの結合位置格納領域162dの欄に、保留ラインフラグがあるか否かで判断することができる。
ステップS27では、結合位置特定部168は、インデックスiの値から、hMAXの値を減算した値で示されるラインに設定されている保留ラインの結合位置を確定し、確定ラインとする。
ここで、結合位置特定部168は、ステップS27では、拡大も縮小も行わずに、等倍のままで結合位置を確定する。例えば、結合位置情報テーブル162aにおいて、結合位置格納領域162dに保留ラインフラグが設定されている欄の一つ上の欄の値に1を加算した値を結合位置として、この保留ラインフラグが設定されている欄に格納する。
ステップS28では、画像結合部169は、インデックスiの値から、hMAXの値に1を加算した値を減算した値で示されるラインに含まれる画像を、結合位置情報テーブル162aに示される値に従って結合する。ステップS28での結合処理については、下記において詳細に説明する。
次に、結合位置特定部168は、インデックスiで特定されるラインが、iの最大値(iMAX)であるか否かを確認し(S29)、iの最大値ではない場合には(ステップS29でNo)ステップS30に進み、iの最大値である場合には(ステップS29でYes)ステップS31に進む。ここで、iの最大値は、副走査方向における走査ラインの総ライン数である。
ステップS30では、結合位置特定部168は、インデックスNを1に初期化し、インデックスiに1を加算し、インデックスhから1を減算する。そして、結合位置特定部168は、図15のステップS11に戻り処理を繰り返す。
ステップS31では、画像結合部169は、未だ結合していない画像を、結合位置情報テーブル162aに示される値に従って結合する。なお、結合位置情報テーブル162aの結合位置格納領域162dに保留ラインフラグが設定されているときは、等倍で結合する。
次に、画像結合部169での結合処理について説明する。結合位置情報テーブル162aには、各画像のiライン目(1ラインの画像データ)が右隣の画像の何ライン目と一致するか(副走査方向における位置)を表すため、結合位置情報テーブル162aのデータが示すラインの画像を順番につなげるだけでは1ライン分の結合画像は生成できない。そこで、図6に示す結合位置情報テーブル162aの2ライン目に対応する結合位置格納領域162dの値を使って具体的に説明する。
画像結合部169は、1画像の2ライン目の値より、1画像群の2ライン目は右隣の2画像群の1.9ライン目と一致することがわかっているので、N画像の2ライン目の画像に、2画像群の1ライン目の終端位置及び1.9ライン目の終端位置の間で特定される画像を拡大して繋ぎ合わせる。
次に、画像結合部169は、2画像群に含まれる画像と3画像群に含まれる画像とを繋ぎ合わせるが、このとき図6の2画像群の2ライン目の結合位置格納領域162dに格納されている値に従って3画像群の画像の2.1ライン目と繋ぎ合わせると、画像は繋がらない。これは、既に、1画像群の2ライン目と2画像群の1.9ライン目を繋ぎ合わせているため、これらと繋がるようにするには、2画像群の1.9ライン目と一致する3画像群のライン数を求める必要がある。
ここでは、実際に画像を繋ぎ合わせるラインを座標データと呼び、簡易的に、以下の(1)式〜(3)式により結合位置格納領域162dに格納されている値から座標データを算出する。Cは結合位置の値、Pは座標データ、Nは画像群を区別する自然数、iはライン数である。なお、C(N,i)は、結合位置情報テーブル162aにおいて、N画像群及びiライン目に対応する結合位置格納領域162dの値、P(N,i)は、N画像群及びiライン目の画像データをN+1画像群に含まれる画像に結合させるための座標データの値、である。
N=1として図9の2ライン目の座標データを求めると、P(1,2)=2、P(2,2)=1.9、P(3,2)=2、P(4,2)=1.9、P(5,2)=2となる。つまり、2ライン目の結合画像を生成する際には、1画像群の2ライン目と2画像群の1.9ライン目と3画像群の2ライン目と4画像群の1.9ライン目と5画像群の2ライン目とを、それぞれ拡大又は縮小して繋ぎ合わせればよい。
以上のように、本実施の形態によれば、各々のラインにおいて、各々の撮像素子部141,142,・・・,148によって取得された画像を、その特徴部が一致するように縮小又は拡大させてつなぎ合わせるため、滑らかにつながった画像が取得される。
また、エッジ検出領域内に特徴的な部分が無い原稿の読み取り中に原稿面距離が変化すると、特徴的な部分が現れたところで急激な画像の拡大縮小が必要となる場合がある。そこで、本実施の形態では、画像に特徴的な部分が無いために、エッジが検出できない、若しくはマッチング領域と被マッチング領域の相関が取れないという状態になった場合には、結合位置を確定せずに保留してマッチング領域を広げることにより、結合位置が急激に変化しても1ラインあたりの拡大縮小量が減るため、拡大縮小処理による画像の歪みを小さくすることができるようにしている。
ただし、原稿に特徴的な部分がある場合にマッチング領域を広く設定すると、原稿面距離の細かい変化に追従できなくなる。よって、本実施の形態では、原稿に特徴的な部分があり、マッチング領域と被マッチング領域の相関が取れる場合には、最小限のマッチング領域で結合位置を検出し、特徴的な部分が無い場合にはマッチング領域を広げることにより、画像を拡大縮小したときの歪みが目立たない上に、原稿面距離の変化に追従して結合位置を検出することにより精度の良い画像結合ができるようにしている。また、本実施の形態では、結合位置が確定したラインの次のラインにマッチング領域や被マッチング領域を設定することにより画像の連続性が保たれるため、結合位置検出処理のエラーなどによる画像の欠損、同一画像の繰り返し、前後関係の入れ替わりなどの著しい画質の劣化は生じない。
さらに、本実施の形態では、マッチング領域を小さく設け、読取装置から1ライン入力される毎に一定ライン分遅延した1ライン分の結合画像を出力する逐次処理を行うため、全画像データを保存するためのフレームメモリが不要となり、コストが抑えられる。また、1フレーム分の画像の読み取りが終了するまで待つ結合処理を必要がないため、処理スピードの高速化が図れる。
また、結合すべき画像の領域(被マッチング領域)が検出されたときの結合位置の確定をエッジ検出範囲までとするのは、画像の特徴のあるエッジ部分単位ごとに結合処理をしたほうが、誤差が少なくなるためである。言い換えると、相関度は、隣接画像が最もよく一致する被マッチング領域の大きさにおいて最も高くなる。しかし、エッジ検出領域より下側には画像に特徴があるかどうか現時点では不明である。特徴的な画像が含まれている場合には結合位置の検出に役立つが、含まれて居ない場合にはエッジ検出領域の下側で急激な画像のズレが生じても検知できない。よって、確実に特徴的な画像が含まれるエッジ検出位置まで結合位置を確定することで、結合位置の誤検出を回避できる。
実施の形態1の変形例.
本発明の実施の形態1では、結像光学系101は円柱状の光学セルで構成したが、このような態様に限定されるものではなく、例えば、複数の光学部品から構成される反射光学系、又は結像光学系でも同等の効果は得られる。図17に反射光学系を用いた場合の例を示す。
まず、各セルについての光学系要素の配置と光路を説明する。図17は主走査方向(X方向)のセル411の結像光学系要素と主要光路を示した図である。図18は、副走査方向(Y方向)に並ぶ2つのセル411,412の結像光学系要素と主要光路を示した断面図である。各セルの光学系は原稿側にテレセントリックな光学系である。
系列1に属するセル411は第1レンズ452aとアパーチャ453a、第2レンズ454aとそれらを保持する保持具から構成されている。系列2に属するセル412は第1レンズ452bとアパーチャ453b、第2レンズ454bとそれらを保持する保持具から構成されている。第1レンズ452a,452bは、反射光学系としての凹面鏡であるが、レンズと同様の機能を持つので、第1レンズと呼ぶ。また、第2レンズ454a,454bは、反射光学系としての凹面鏡であるが、レンズと同様の機能を持つので、第2レンズと呼ぶ。セル411には、原稿面からセルへの光路の途中に水平方向への第1の折り返しミラー451aが挿入されている。第1の折り返しミラー451aによる折り返し方向は系列1では図17及び図18における右側である。第2の折り返しミラー451bによる折り返し方向は系列2では図18における左側である。また、第2レンズ454aから撮像素子141への光路の途中に、第2の折り返しミラー455aが挿入されている。第2の折り返しミラー455aによる折り返し方向は、系列1では図17及び図18における下向き(基板404上の撮像素子141に向かう方向)である。第2の折り返しミラー455bによる折り返し方向は、系列2では図18における下向き(撮像素子142に向かう方向)である。天板103に対して各セルの光軸は副走査方向に関して斜め入射である。ほかのセルも同様な構成である。
第1レンズ452a,452bの後ろ側焦点位置にアパーチャ453a,453bを配置すれば、原稿側にテレセントリックな光学系を実現できる。転写倍率は、1より大きい拡大でも、1より小さい縮小でも構わないが、等倍にしておくと、一般に流通している解像度のセンサを流用できるというメリットがある。また、折り返しミラーの効果により、Z方向の厚みを抑えることができ、小型の画像読取装置を得ることができる。
図17及び図18の例では各セルの原稿画像はそれぞれに対応する撮像素子141,142上に反転像が作られる。そのため、結合処理に先立ち、画像を反転する処理が必要である。反転処理は、結合処理の前処理として専用の回路を組んで行っても良いし、ラインメモリ105へ画像データを格納するときの順番とラインメモリ105から画像データを読み出すときの順番を逆転することにより行っても良い。
ここで、各セル411,412は原稿側にテレセントリックな光学系なので、図18に示すように、原稿の位置が73,74,75と変化しても、撮像素子141,142に対する画像の転写倍率が変化することがないという特徴がある。さらに、主走査方向に関して各セル411,412の光軸と天板103とが垂直なので、同様に、原稿位置の変動によっても各セル411,412の画像は主走査方向にはまったく動かない。しかし、副走査方向に関しては、各セル411,412の光軸と天板103とが垂直ではないため、原稿70の位置が73,74,75と変化すると、光学系が原稿を読み取る位置がずれる。その結果、原稿の位置に応じて得られる画像は副走査方向に移動する。
このとき、系列1のセル411と系列2のセル412の光軸は副走査方向に関して逆向きに傾いている。そのため、原稿の位置が変化した時に画像が移動する方向も逆向きになる。
図17及び図18に示す構成を持つ画像結合装置によれば、既に説明した実施の形態1に係る画像結合装置と同様の機能を実現でき、同様の効果を得ることができる。さらに、画像結像装置の薄型化を実現できる。