JP5495441B2 - ソイルセメントスラリーの流動化方法 - Google Patents

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本発明はソイルセメントスラリーの流動化方法に関する。ソイルセメントスラリーを利用する山留め工事、地下止水工事、軟弱地盤改良工事等では、工事現場において、原位置の土壌とセメントミルクとを攪拌混合して調製したソイルセメントスラリーを硬化させるソイルセメント壁工法が広く採用されている。かかる工法では、1)ソイルセメントスラリーに充分な流動性と流動保持性を持たせ、一定の作業時間内における応力負担材(H鋼)の挿入性を確保すること、2)環境保全の観点から地中へのセメントミルクの注入率を下げて、廃棄することとなる建設汚泥の発生量を抑えること、3)得られる硬化体に充分な強度及び止水性等を発現させること、以上の1)〜3)が同時に要求される。本発明はかかる要求に応えるソイルセメントスラリーの流動化方法に関する。
従来、ソイルセメントスラリーの流動化方法として、各種の流動化剤を用いる方法が知られている(例えば特許文献1〜5参照)。しかし、これらの従来法では、ソイルセメントスラリーに前記のような要求に充分に応える性能を付与できないという問題がある。
特開2000−169209号公報 特開2002−3843号公報 特開2002−114550号公報 特開2006−298726号公報 特開2009−35453号公報
本発明が解決しようとする課題は、ソイルセメントスラリーに充分な流動性及び流動保持性を持たせることができ、またセメントミルクの注入率を下げて廃棄することとなる建設汚泥の発生量を抑えることができ、更に得られる硬化体に充分な強度及び止水性を発現させることができるソイルセメントスラリーの流動化方法を提供する処にある。
しかして本発明者らは、前記の課題を解決するべく研究した結果、土壌とセメントミルクとを混合してソイルセメントスラリーを調製するに際し、土壌に対して特定の2成分から成る流動化剤を所定割合となるようセメントミルクに含有させて用いる方法が正しく好適であることを見出した。
すなわち本発明は、土壌とセメントミルクとを混合してソイルセメントスラリーを調製するに際し、土壌1m当たり、下記の流動化剤を1〜20kgの割合となるようセメントミルクに含有させて用いることを特徴とするソイルセメントスラリーの流動化方法に係る。
流動化剤:下記のA成分及びB成分から成り、該A成分を60〜98質量%及び該B成分を2〜40質量%(合計100質量%)の割合で含有して成る流動化剤。
A成分:分子中に下記の構成単位Lを40〜60モル%及び下記の構成単位Mを60〜40モル%(合計100モル%)の割合で有する質量平均分子量(GPC法、プルラン換算)が2000〜70000の水溶性ビニル共重合体。
構成単位L:マレイン酸から形成された構成単位及びマレイン酸塩から形成された構成単位から選ばれる一つ又は二つ以上。
構成単位M:分子中に15〜80個のオキシエチレン単位のみで構成されたポリオキシエチレン基を有するα−アリル−ω−メチル−ポリオキシエチレンから形成された構成単位及び分子中に15〜80個のオキシエチレン単位のみ又は合計15〜80個のオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位の双方で構成されたポリオキシアルキレン基を有するα−アリル−ω−ヒドロキシ−ポリオキシアルキレンから形成された構成単位から選ばれる一つ又は二つ以上。
B成分:下記の化1で示されるポリアルキレンオキサイド付加物であって、質量平均分子量(GPC法、ポリスチレン換算)が2000〜18000のポリアルキレンオキサイド付加物。
Figure 0005495441
化1において、
:炭素数3〜6の脂肪族炭化水素基
:分子中にオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位の双方で構成され且つオキシエチレン単位/オキシプロピレン単位=20/80〜80/20(質量比)の割合からなるポリオキシアルキレン基を有するポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基。
本発明に係るソイルセメントスラリーの流動化方法(以下単に本発明の流動化方法という)では、土壌とセメントミルクとを混合してソイルセメントスラリーを調製するに際し、該セメントミルクに流動化剤を含有させて用いる。かかるセメントミルクに用いるセメントとしては、普通ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント等が挙げられるが、なかでも高炉セメントB種が好ましい。その使用量は、土壌とセメントミルクとを混合してソイルセメントスラリーとするときに、土壌1m当たり通常は100〜500kgとなるようにするが、好ましくは150〜400kgとなるようにする。
セメントミルクの調製時には、セメントの他に、セメントミルクの分離防止やソイルセメントスラリーの水分逸散防止等の目的で更にベントナイトを用いるのが好ましい。ベントナイトを用いる場合、その使用量は、土壌1m当たり通常は1〜50kgとなるようにし、好ましくは3〜30kgとなるようにする。
土壌と混合するセメントミルクの水/セメント比は、土壌の性状によっても異なり、通常は100〜350%となるようにするが、本発明の流動化方法では、ソイルセメントスラリーに充分な流動性を付与しつつ、できるだけセメントミルクの注入率を下げることによって建設汚泥の発生量を抑える観点から、120〜250%となるようにするのが好ましい。
本発明の流動化方法において、以上説明したようなセメントミルクに含有させて用いる流動化剤はA成分とB成分とから成るものである。
本発明の流動化方法に用いる流動化剤のA成分は、分子中に下記の構成単位Lを40〜60モル%、好ましくは45〜55モル%、また下記の構成単位Mを60〜40モル%、好ましくは55〜45モル%(合計100モル%)の割合で含有する質量平均分子量が2000〜70000、好ましくは3000〜50000の水溶性ビニル共重合体である。ここでA成分の水溶性ビニル共重合体の質量平均分子量は、GPC法(ゲル浸透クロマトグラフ法、以下同じ)で測定したプルラン換算の質量平均分子量である。
構成単位Lとしては、1)マレイン酸から形成された構成単位、2)マレイン酸塩から形成された構成単位、3)マレイン酸から形成された構成単位とマレイン酸塩から形成された構成単位の双方が挙げられる。ここで、マレイン酸塩から形成された構成単位としては、イ)マレイン酸のリチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩から形成された構成単位、ロ)マレイン酸のジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン塩から形成された構成単位が挙げられるが、なかでもマレイン酸のアルカリ金属塩から形成された構成単位が好ましく、マレイン酸のナトリウム塩から形成された構成単位がより好ましい。
構成単位Mとしては、1)分子中に15〜80個のオキシエチレン単位のみで構成されたポリオキシエチレン基を有するα−アリル−ω−メチル−ポリオキシエチレンから形成された構成単位、2)分子中に15〜80個のオキシエチレン単位のみで構成されたポリオキシエチレン基を有するα−アリル−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレンから形成された構成単位、3)分子中に合計15〜80個のオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位とで構成されたポリオキシアルキレン基を有するα−アリル−ω−ヒドロキシ−ポリオキシアルキレンから形成された構成単位、4)前記1)〜3)の構成単位から選ばれる二つ以上の構成単位が挙げられる。オキシエチレン単位とオキシプロピレン単位との双方で構成されたポリオキシアルキレン基の場合、オキシエチレン単位とオキシプロピレン単位の結合様式はブロック状であってもランダム状であってもよいが、ブロック状が好ましい。これらの1)〜4)のなかでも構成単位Mとしては、1)の構成単位が好ましく、なかでも分子中に20〜70個のオキシエチレン単位のみで構成されたポリオキシエチレン基を有するα−アリル−ω−メチル−ポリオキシエチレンから形成されたものが好ましい。
A成分の水溶性ビニル共重合体それ自体は公知の方法で合成できる。かかる合成には例えば、特公昭58−38380号公報、特開2005−132955号公報及び特開2008−273766号公報等に記載されている方法が適用できる。
A成分の水溶性ビニル共重合体は、質量平均分子量(GPC法、プルラン換算)が2000〜70000の範囲のものであるが、3000〜50000の範囲のものが好ましい。
本発明の流動化方法に用いる流動化剤のB成分は、化1で示されるポリアルキレンオキサイド付加物である。化1中のRは炭素数3〜6の脂肪族炭化水素基であり、これには例えば、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基及びこれらの異性体等が挙げられるが、なかでも炭素数4のブチル基が好ましい。
化1中のAは、分子中にオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位の双方で構成され且つオキシエチレン単位/オキシプロピレン単位=20/80〜80/20(モル比)の割合からなるポリオキシアルキレン基を有するポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基であるが、なかでも分子中にオキシエチレン単位/オキシプロピレン単位=30/70〜70/30(モル比)の割合からなるポリオキシアルキレン基を有するポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基が好ましい。
化1で示されるB成分のポリアルキレンオキサイド付加物は、炭素数3〜6の脂肪族アルコールにエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドを前記の割合となるよう付加させる公知の方法で合成できる。その場合、オキシエチレン単位とオキシプロピレン単位の結合様式はブロック状であってもランダム状であってもよいが、ランダム状が好ましい。またB成分のポリアルキレンオキサイド付加物の質量平均分子量は2000〜18000の範囲とするが、3000〜15000の範囲とするのが好ましい。ここでB成分のポリアルキレンオキサイド付加物の質量平均分子量は、GPC法で測定したポリスチレン換算の質量平均分子量である。以上説明したB成分は、土壌中の粘土塊粒子にぬれ性と潤滑性を付与し、主に土粒子の分散剤として作用するA成分の水溶性ビニル共重合体と併用したときに相乗効果として練り混ぜ性能を大きく助長する。更には凝結遅延性を小さくする効果も加わり材齢7日までの初期強度を充分に発現させる。
本発明の流動化方法において、セメントミルクに含有させて用いる流動化剤は、以上説明したA成分とB成分とから成るものである。A成分及びB成分の含有割合は、A成分60〜98質量%及びB成分2〜40質量%(合計100質量%)とするが、A成分65〜95質量%及びB成分5〜35質量%(合計100質量%)とするのが好ましい。流動化剤中のA成分及びB成分の含有割合は以上のような含有割合の範囲内にて、それを含有させたセメンとミルクと混合する土壌の性状との関係で適宜選択するのが好ましい。
以上説明した流動化剤はそのアルカリ性水溶液となしてから、セメントミルクに含有させて用いるのが好ましい。なかでも、流動化剤のアルカリ性水溶液としては、流動化剤をその濃度1質量%の水溶液としたときにpHが7.5〜10となるようなものがより好ましい。かかる流動化剤のアルカリ性水溶液の調整は例えばアルカリ金属水酸化物を用いて行なうことができる。
本発明の流動化方法では、予め流動化剤を含有させておいたセメントミルクを調製しておき、かかるセメントミルクと土壌とを混合してソイルセメントスラリーとする。この場合、流動化剤の使用量は、土壌1m当たり1〜20kgの割合となるようにするが、2〜10kgの割合となるようにするのが好ましい。
本発明の流動化方法では、流動化剤の使用に際して、合目的的に他の剤を併用することができる。かかる他の剤としては、消泡剤、防腐剤、凝結促進剤、防水剤等が挙げられる。以上、本発明の流動化方法について説明したが、本発明の流動化方法は、工事現場においてセメントミルクと原位置の土壌とを攪拌混合して硬化させるソイルセメント壁工法に適用する場合に効果の発現が高い。
本発明の流動化方法によると、水/セメント比を低くしたセメントミルクを土壌と練り混ぜてもソイルセメントスラリーに充分な流動性を付与することができる。その結果として、セメントミルクの土壌に対する注入率を下げることができるため、廃棄することとなる建設汚泥の発生量を抑えることができると同時に、水/セメント比の低いセメントミルクと土壌との均一混合を促すことにより、得られる硬化体に充分な強度及び止水性を発現させることができる。これらの効果は土壌が粘土分やシルト分を多く含む粘性のものであっても発揮される。
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明が該実施例に限定されるというものではない。なお、以下の実施例等において、別に記載しない限り、%は質量%を、また部は質量部を意味する。
試験区分1(A成分としての水溶性ビニル共重合体の合成)
・水溶性ビニル共重合体(a−1)の合成
無水マレイン酸98g(1.0モル)及びα−アリル−ω−メチル−ポリオキシエチレン(オキシエチレン単位の数33、以下n=33とする)1512g(1.0モル)を反応容器に仕込み、徐々に加温して攪拌しながら均一に溶解した後、反応容器内の雰囲気を窒素置換した。反応系の温度を温水中にて80℃に保ち、過酸化ベンゾイル3gを投入してラジカル重合反応を開始した。更に過酸化ベンゾイル3gを分割投入し、ラジカル重合反応を4時間継続して反応させた。得られた共重合体に水を加えて加水分解し水溶性ビニル共重合体(a−1)の40%水溶液を得た。水溶性ビニル共重合体(a−1)を分析したところ、マレイン酸から形成された構成単位/α−アリル−ω−メチル−ポリオキシエチレン(n=33)から形成された構成単位=50/50(モル比)の割合で有する質量平均分子量(GPC法、プルラン換算)が22000の水溶性ビニル共重合体であった。
・水溶性ビニル共重合体(a−2)、(a−3)及び(ar−1)〜(ar−3)の合成
水溶性ビニル共重合体(a−1)と同様にして、水溶性ビニル共重合体(a−2)、(a−3)及び(ar−1)〜(ar−3)を合成した。
・水溶性ビニル共重合体(a−4)の合成
α−アリル−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレン(n=30)1370g(1.0モル)、マレイン酸116g(1.0モル)及び水1760gを反応容器に仕込み、撹拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換した。反応系の温度を温水浴にて80℃に保ち、過硫酸ナトリウムの20%水溶液15gを加えてラジカル重合反応を開始した。更に過硫酸ナトリウムの20%水溶液5gを加え、ラジカル重合反応を5時間継続して反応を完結し、水溶性ビニル共重合体を得た後、48%水酸化ナトリウム水溶液167g(2.0モル)を加えて中和し、水を390g加えて水溶性ビニル共重合体(a−4)の40%水溶液を得た。水溶性ビニル共重合体(a−4)を分析したところ、マレイン酸ナトリウムから形成された構成単位/α−アリル−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレン(n=30)から形成された構成単位=50/50(モル比)の割合で有する質量平均分子量(GPC法、プルラン換算)が20600の水溶性ビニル共重合体であった。
・水溶性ビニル共重合体(a−5)及び(ar−4)〜(ar−7)の合成
水溶性ビニル共重合体(a−4)と同様にして、水溶性ビニル共重合体(a−5)及び(ar−4)〜(ar−7)を合成した。以上で合成したA成分としての各水溶性ビニル共重合体の内容を表1にまとめて示した。













Figure 0005495441
表1において、
質量平均分子量:GPC法、プルラン換算
L−1:マレイン酸
L−2:マレイン酸ナトリウム
M−1:α−アリル−ω−メチル−ポリオキシエチレン(n=33)
M−2:α−アリル−ω−メチル−ポリオキシエチレン(n=22)
M−3:α−アリル−ω−メチル−ポリオキシエチレン(n=68)
M−4:α−アリル−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレン(n=30)
M−5:α−アリル−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレン(n=50)ポリオキシプロピレン(オキシプロピレン単位の数5、以下m=5とする)
M−6:α−アリル−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレン(n=105)
M−7:α−アリル−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレン(n=9)
M−8:α−アリル−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレン(n=7)ポリオキシプロピレン(m=2)
試験区分2(B成分のポリアルキレンオキサイド付加物の合成)
・ポリアルキレンオキサイド付加物(b−1)の合成
ノルマルブチルアルコール111g(1.5モル)をオートクレーブに仕込み、触媒として水酸化カリウムを14.3g加えた後、オートクレーブ内を窒素置換した。攪拌しながら、反応温度を110〜135℃に保ち、エチレンオキサイド5808g(132モル)とプロピレンオキサイド7670g(132モル)を予め混合した混合液を圧入してランダム付加反応を行なった。圧入終了後、同温度で2時間熟成して反応を終了し、生成物を得た。この生成物を吸着材で処理した後、濾別精製した。これを分析したところ、化1中のRがブチル基、Aがオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位から構成され、オキシエチレン単位/オキシプロピレン単位=50/50(モル比)の割合からなるものであって、これらの単位がランダム状に結合した質量平均分子量9000(GPC法、ポリスチレン換算)のポリアルキレングリコールモノブチルエーテル(b−1)であった。
・ポリアルキレンオキサイド付加物(b−2)〜(b−6)及び(br−1)〜(br−4)の合成
ポリアルキレンオキサイド付加物(b−1)と同様にして、ポリアルキレンオキサイド付加物(b−2)〜(b−6)及び(br−1)〜(br−4)を合成した。以上で合成した各ポリアルキレンオキサイド付加物の内容を表2にまとめて示した。
Figure 0005495441
表2において、
,A:化1中の記号に相当
質量平均分子量:GPC法、ポリスチレン換算
試験区分3(流動化剤の調製)
・流動化剤(P−1)の調製
A成分として試験区分1で合成した水溶性ビニル共重合体(a−1)の40%水溶液188部に、B成分として試験区分2で合成したポリアルキレンオキサイド付加物(b−1)25部及び水37部を混合して、A成分を75質量%及びB成分を25質量%(合計100質量%)の割合で有する流動化剤(P−1)の40%水溶液250部を調製した。
・流動化剤(P−2)〜(P−9)及び(R−1)〜(R−14)の調製
流動化剤(P−1)の調製と同様にして、流動化剤(P−2)〜(P−9)及び(R−1)〜(R−14)を調製した。以上で調製した各流動化剤の内容を表3にまとめて示した。













Figure 0005495441
表3において、
pH:流動化剤濃度を1%の水溶液としたときのpH
a−1〜a−5,ar−1〜ar−7:試験区分1で合成した水溶性ビニル重合体
b−1〜b−6,br−1〜br−4:試験区分2で合成したポリアルキレンオキサイド付加物
試験区分4(ソイルセメントスラリーの調製及びその評価)
試験区分3で調製した流動化剤等を用いて次のようにソイルセメントスラリーを調製し、評価した。
・ソイルセメントスラリーの調製
・比較例1(流動化剤を使用しないで注入率を高くした、表4に記載の配合No.1によるソイルセメントスラリーの調製)
高炉セメントB種(密度=3.04g/cm、以下同じ)202g、水650g、ベントナイト14g及び消泡剤(竹本油脂社製AFK−2、以下同じ)0.2gをホバートミキサーに入れて均一に混合し、セメントミルクを調製した。このセメントミルクに表5に記載の物性値を有する掘削土1690gを加えて混合し、ソイルセメントスラリーを調製した。調製したソイルセメントスラリーは、後述するフロー値が200cm以上のもので、流動化剤を添加しなくても施工現場でH鋼が挿入可能な流動性を有するソイルセメントスラリーであった。
・実施例1〜12及び比較例2〜16(流動化剤を使用して注入率を低くした、表4に記載の配合No.2によるソイルセメントスラリーの調製)
高炉セメントB種200g、水420g、ベントナイト14g、消泡剤0.2g及び表6に記載の使用量となる量の流動化剤をホバートミキサーに入れて均一に混合し、セメントミルクを調製した。このセメントミルクに表5に記載の物性値を有する掘削土1690gを加えて混合し、ソイルセメントスラリーを調製した。
・実施例13〜21及び比較例17〜30(流動化剤を使用して注入率を低くした、表4に記載の配合No.3によるソイルセメントスラリーの調製)
高炉セメントB種190g、水250g、ベントナイト17g、消泡剤0.2g及び表6に記載の使用量となる量の流動化剤をホバートミキサーに入れて均一に混合し、セメントミルクを調製した。このセメントミルクに表5に記載の物性値を有する掘削土1690gを加えて混合し、ソイルセメントスラリーを調製した。
・実施例22〜30及び比較例31〜45(流動化剤を使用して注入率を低くした、表4に記載の配合No.4によるソイルセメントスラリーの調製)
高炉セメントB種190g、水250g、消泡剤0.2g及び表6に記載の使用量となる量の流動化剤をホバートミキサーに入れて均一に混合し、セメントミルクを調製した。このセメントミルクに表5に記載の物性値を有する掘削土1690gを加えて混合し、ソイルセメントスラリーを調製した。
Figure 0005495441
Figure 0005495441
・ソイルセメントスラリーの物性評価
調製した各例のソイルセメントスラリーについて、フロー値、フロー残存率、空気量をつぎのように求め、結果を表6〜表8にまとめて示した。また各ソイルセメントスラリーから得られた硬化体について、透水比及び一軸圧縮強度をつぎのように求め、結果を表6〜表8にまとめて示した。
・フロー値:JIS−R5201に準拠し、練り混ぜ直後と120分後にフロー試験を行い、15回落差後のフロー値(mm)を測定した。
・フロー残存率:(2時間静置後のフロー値/練り混ぜ直後のフロー値)×100で求めた。
・空気量:JIS−A6201(1977年版)に準拠して求めた。
・透水比:JIS−A1404に準拠し、直径150mm×高さ40mmの金属製型枠にソイルセメントスラリーを充填した後、ポリエチレンフィルムで表面を覆って、温度20℃、湿度80%の恒温室に28日間養生し、脱型後に表面を平滑に仕上げして、試験体を作製した。この試験体の上下両面の中央に、直径5cmの円孔をもつ厚さ1cmのゴムガスケットを当て、均一に締め付けた後、上面から9.8kPaの水圧を1時間かけて透水試験を行った。透水の目安として、下記の透水比を算出した。ここで透水比の数値が小さいほど遮水性が優れていることを意味する。
透水比=各実施例又は比較例のソイルセメントスラリーから作製した試験体の透水量(g)/比較例1のソイルセメントスラリーから作製した試験体の透水量(g)
・一軸圧縮強度試験:JIS−A1108に準拠し、各例のソイルセメントスラリーから直径50mm×高さ100mmの型枠を用いて成形した成形品について、材齢28日の圧縮強度(N/mm2)を測定した。
Figure 0005495441
Figure 0005495441





















Figure 0005495441
表6〜表8において、
流動化剤の使用量:土壌1m当たり、使用した流動化剤の量(固形分としての量、kg)
一軸圧縮強度:材齢28日の圧縮強度(N/mm
*:流動しなかったので測定しなかった。
P−1〜P−9,R−1〜R14:表3に記載の流動化債
R−15:ポリアクリル酸ナトリウム(質量平均分子量=22000)
表6〜表8の結果からも明らかなように、各実施例のソイルセメントスラリーは、調製直後及び90分後においていずれもフロー値が200mm前後又はそれ以上の良好な流動性を有し、同時に目標とする優れた強度及び止水性の硬化体が得られているが、各比較例のソイルセメントスラリーでは、流動性、強度及び止水性の全てを同時に満足できるものが得られていない。

Claims (9)

  1. 土壌とセメントミルクとを混合してソイルセメントスラリーを調製するに際し、土壌1m当たり、下記の流動化剤を1〜20kgの割合となるようセメントミルクに含有させて用いることを特徴とするソイルセメントスラリーの流動化方法。
    流動化剤:下記のA成分及びB成分から成り、該A成分を60〜98質量%及び該B成分を2〜40質量%(合計100質量%)の割合で含有して成る流動化剤。
    A成分:分子中に下記の構成単位Lを40〜60モル%及び下記の構成単位Mを60〜40モル%(合計100モル%)の割合で有する質量平均分子量(GPC法、プルラン換算)が2000〜70000の水溶性ビニル共重合体。
    構成単位L:マレイン酸から形成された構成単位及びマレイン酸塩から形成された構成単位から選ばれる一つ又は二つ以上。
    構成単位M:分子中に15〜80個のオキシエチレン単位のみで構成されたポリオキシエチレン基を有するα−アリル−ω−メチル−ポリオキシエチレンから形成された構成単位及び分子中に15〜80個のオキシエチレン単位のみ又は合計15〜80個のオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位の双方で構成されたポリオキシアルキレン基を有するα−アリル−ω−ヒドロキシ−ポリオキシアルキレンから形成された構成単位から選ばれる一つ又は二つ以上。
    B成分:下記の化1で示されるポリアルキレンオキサイド付加物であって、質量平均分子量(GPC法、ポリスチレン換算)が2000〜18000のポリアルキレンオキサイド付加物。
    Figure 0005495441
    化1において、
    :炭素数3〜6の脂肪族炭化水素基
    :分子中にオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位の双方で構成され且つオキシエチレン単位/オキシプロピレン単位=20/80〜80/20(モル比)の割合からなるポリオキシアルキレン基を有するポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基。
  2. 流動化剤が、A成分を65〜95質量%及びB成分を5〜35質量%(合計100質量%)の割合で含有するものである請求項1記載のソイルセメントスラリーの流動化方法。
  3. A成分の水溶性ビニル共重合体が、質量平均分子量(GPC法、プルラン換算)が3000〜50000のものである請求項1又は2記載のソイルセメントスラリーの流動化方法。
  4. A成分の構成単位Mが、分子中に20〜70個のオキシエチレン単位のみで構成されたポリオキシエチレン基を有するα−アリル−ω−メチル−ポリオキシエチレンから形成されたものである請求項1〜3のいずれか一つの項記載のソイルセメントスラリーの流動化方法。
  5. B成分の化1で示されるポリアルキレンオキサイド付加物が、質量平均分子量(GPC法、ポリスチレン換算)が3000〜13000のものである請求項1〜4のいずれか一つの項記載のソイルセメントスラリーの流動化方法。
  6. B成分の化1で示されるポリアルキレンオキサイド付加物が、化1中のAが分子中にオキシエチレン単位/オキシプロピレン単位=30/70〜70/30(モル比)の割合からなるポリオキシアルキレン基を有するポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合のものである請求項1〜5のいずれか一つの項記載のソイルセメントスラリーの流動化方法。
  7. 流動化剤をその1質量%水溶液としたときのpHが7.5〜10となるようなアルカリ性水溶液となし、該アルカリ性水溶液をセメントミルクに含有させて用いる請求項1〜6のいずれか一つの項記載のソイルセメントスラリーの流動化方法。
  8. セメントミルクが、セメントとして高炉セメントB種を用いたものである請求項1〜7のいずれか一つの項記載のソイルセメントスラリーの流動化方法。
  9. 更にベントナイトをセメントミルクに含有させて用いる請求項1〜8のいずれか一つの項記載のソイルセメントスラリーの流動化方法。
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