本発明の第1の実施形態に係る排気還流装置を、図1〜6を用いて説明する。図1は、内燃機関システム10を示す概略図である。図1に示すように、内燃機関システム10は、内燃機関20と、吸気系30と、排気系40と、排気還流装置50とを備えている。内燃機関20は、自動車1に搭載されている。自動車1は、排気還流装置を備える車両の一例である。
図1中、自動車1のエンジンルーム2の外郭を2点鎖線で示している。自動車1は、内燃機関20の図示しないクランクシャフトから得られる回転力によって車輪を駆動し、走行可能となる。内燃機関20は、本実施形態では一例として、4気筒のレシプロ式の内燃機関であり、燃焼室21〜24を備えている。内燃機関20は、シリンダヘッド25と、図示しないシリンダブロックとを備えている。図1中、燃焼室21〜24を点線で示している。内燃機関20の内部には、燃焼室21〜24を冷却する冷媒が流れる冷媒流路が形成されている。本実施形態では、冷媒の一例として冷却水Cが用いられる。
吸気系30は、燃焼室21〜24に空気、または、空気と後述する排気還流装置50によって吸気系30に戻される排気Gとの混合気とを導く吸気通路38と、スロットルバルブ31とを備える。吸気通路38は、吸気マニホールド32を備える。吸気マニホールド32は、シリンダヘッド25に固定されており、燃焼室21〜24に連通する枝部33〜36と、枝部33〜36が合流する合流部37とを備えている。合流部37は、枝部33〜36が1つになる部位である。
吸気通路38において吸気マニホールド32の上流には、スロットルバルブ31が設けられている。スロットルバルブ31は、開度を調整することによって、燃焼室21〜24に供給される空気、または、空気と排気Gとの混合気の量を調整する。
排気系40は、燃焼室21〜24に連通する排気通路41を備えている。排気通路41は、排気マニホールド42を備えている。排気マニホールド42は、燃焼室21〜24に連通している。排気マニホールド42は、燃焼室21〜24に連通する枝部43〜46と、枝部43〜46が合流する合流部48とを備えている。合流部48は、枝部43〜46が1つになる部位である。図1中、合流部48は、2点鎖線で囲って示されている。また、図1中、排気マニホールド42において合流部48と合流部48の近傍である2点鎖線で示す範囲F21を拡大して示している。範囲21中においても合流部48を2点鎖線で示している。
なお、図1中では、排気通路41において排気マニホールド42以外の部分41aは、一部のみ図示されている。排気マニホールド42については、後で具体的に説明する。
内燃機関20は、吸気マニホールド32に対して排気マニホールド42が車体後側に位置するように、かつ、燃焼室21〜24が並ぶ方向が車幅方向沿うように配置され、固定されている。
図1に示すように、排気還流装置50は、燃焼室21〜24から排出される排気Gの一部を、吸気系30に導く。図2は、図1中に示されるF2―F2線に沿って示す、内燃機関システム10の断面図である。図2は、排気還流装置50のカバー部材90の内側を示している。
図1,2に示すように、排気還流装置50は、排気マニホールド42と、上流側排気還流通路60と、触媒装置70と、下流側排気還流通路80と、カバー部材90と、排気Gの温度を調節する制御手段170とを備えている。
上流側排気還流通路60は、排気マニホールド42に連通するとともに、触媒装置70に連通する。下流側排気還流通路80は、触媒装置70に連通するとともに吸気通路38に連通する。上流側排気還流通路60と、触媒装置70と、下流側排気還流通路80とは、排気Gを吸気系30へ導く排気還流通路120を構成する。
図1,2に示すように、排気マニホールド42は、枝部43〜46が車幅方向に並でおり、それゆえ、車幅方向に長い形状である。合流部48は、排気マニホールド42において枝部43〜46が並ぶ方向(本実施形態では、車幅方向)にそって中央に配置されている。
上流側排気還流通路60は、第1の連結通路部61と、上流側蛇腹管部材62とを備えている。第1の連結通路部61は、例えば管部材で形成される。第1の連結通路部61の上流端63は、排気マニホールド42の複数の枝部43〜46において枝部43〜46が並ぶ方向の一端に配置される枝部46に連通している。また、第1の連結通路部61は、枝部46の車体上側の壁部に固定されている。
ここで、車体上下方向Aについて説明する。車体上下方向Aは、排気還流装置50を備える車両(本実施形態では自動車1)が、重力の作用する方向に垂直な平面上に配置されたときに重力の作用する方向と平行な方向である。そして、重力の作用する方向を下方向とし、重力の働く方向に逆らう方向を上方向とする。
排気還流装置50の説明に戻る。第1の連結通路部61は、排気マニホールド42の車体上方において、枝部43〜46の並ぶ方向に延びている。第1の連結通路部61の全体は、図1,2に示すように、排気マニホールド42に車体上下方向Aに重なる。
上流側蛇腹管部材62は、第1の連結通路部61の下流端に連通している。上流側蛇腹管部材62は、排気マニホールド42に対して車体上下方向Aに沿って上方に配置されている。上流側蛇腹管部材62は、枝部43〜46が並ぶ方向に延びている。上流側蛇腹管部材62の全体は、車体上下方向Aに沿って排気マニホールド42に重なっている。上流側蛇腹管部材62は、蛇腹形状であることによって、当該上流側蛇腹管部材62の延びる方向に伸縮可能である。上流側蛇腹管部材62の下流端は、触媒装置70に連通している。
触媒装置70は、排気マニホールド42に対して車体上下方向Aに沿って上方に配置されている。なお、触媒装置70は、排気マニホールド42に接触していない。触媒装置70は、ハウジング71と、触媒72と、複数のフィン73とを備えている。ハウジング71は、後述される触媒72を収容する本体部71aと、上流側蛇腹管部材62に連通する上流側連通部71bと、後述する下流側排気還流通路80に連通する下流側連通部71cとを備えている。本体部71aは、例えば円筒形状である。
触媒72は、ハウジング71の本体部71a内に収容されている。図2では、本体部71aの一部が切りかかれており、内部に収容される触媒72の一部が示されている。上流側連通部71bが上流側蛇腹管部材62の下流端に連通している。触媒装置70(ハウジング71)の略全体は、車体上下方向Aに沿って排気マニホールド42に重なっている。なお、触媒装置70の全体が車体上下方向Aに排気マニホールド42に重なっていてもよい。触媒72の略全体は、車体上下方向Aに、排気マニホールド42に重なっている。なお、触媒72の全体は車体上下方向Aに排気マニホールド42に重なってもよい。また、ハウジング71の本体部71aの上流側端部74は、車体上下方向Aに沿って排気マニホールド42の合流部48に重なっている。このため、触媒72の上流側端部は、車体上下方向Aに排気マニホールド42に重なっている。
複数のフィン73は、内側にハウジング71が嵌る複数貫通孔を有している。貫通孔の縁部全域は、ハウジング71の外周面に接触している。各フィン73は、車体上下方向Aに延びており、ハウジング71の延びる方向に互いに離間して配置されている。複数のフィン73は、本体部71aに均等に配置されている。各フィン73は、排気マニホールド42に接触しない。
フィン73と排気マニホールド42との間の隙間について説明する。内燃機関20が運転を開始し、排気マニホールド42内と触媒装置70内とを排気Gが流動すると、排気マニホールド42とハウジング71とは、排気Gの熱によって熱膨張をする。ハウジング71と排気マニホールド42とが熱膨張をしていない状態での各フィン73と排気マニホールド42との間の隙間は、内燃機関20の運転時に各フィン73と排気マニホールド42とが熱膨張をしても、各フィン73と排気マニホールド42とが接触しないように考慮されて設定されている。この隙間は、実験などによって求めることができる。
図1に示すように、下流側排気還流通路80は、下流側蛇腹管部材81と、第2の連結通路部82とを備えている。図2に示すように、下流側蛇腹管部材81の上流端は、触媒装置70のハウジング71の下流側連通部71cに連通している。図1,2に示すように、下流側蛇腹管部材81は、排気マニホールド42に対して車体上下方向Aに沿って車体上方に配置されている。そして、下流側蛇腹管部材81の略全体は、車体上下方向Aに沿って排気マニホールド42に重なっている。なお、下流側蛇腹管部材81の全体は、上流側蛇腹管部材62のように、車体上下方向Aに沿って排気マニホールド42に重なってもよい。下流側蛇腹管部材81は、枝部43〜46が延びる方向に沿って延びている。下流側蛇腹管部材81は、延びる方向に伸縮可能である。
第2の連結通路部82は、例えば管部材で形成される。第2の連結通路部82は、下流側蛇腹管部材81の下流端に連通している。図1に示すように、第2の連結通路部82は、吸気系30においてスロットルバルブ31の下流であって吸気マニホールド32の上流に連通している。
図1中、カバー部材90は、2点鎖線で示している。図3は、カバー部材90を車体上下方向Aに沿って上側から見た平面図である。図1〜3に示すように、カバー部材90は、排気マニホールド42の全体と、上流側排気還流通路60の全体と、下流側蛇腹管部材81の全体と、第2の連結通路部82の上流端部とを覆っている。図4は、図2に示すF4−F4線に沿って示す排気還流装置50の断面図である。なお、図4中では、吸気系30は省略されている。
図1〜4に示すように、カバー部材90は、車体上下方向Aに沿って上側に位置する上壁部92と、周壁部93とを備えている。カバー部材90は、図示しないブラケットによって、例えば排気マニホールド42に固定されている。
周壁部93は、触媒装置70と内燃機関20との間に配置される第1の縦壁部94と、触媒装置70を挟んで内燃機関20と反対側に配置される第2の縦壁部95と、第1,2の縦壁部94,95を連結する第3,4の縦壁部96,97を備えている。
図4に示すように、第1の縦壁部94は、排気マニホールド42の車体上下方向Aに沿って上端から上方に延びている。第1の縦壁部94の下端と排気マニホールド42との間の隙間は、小さい。または、第1の縦壁部94の下端は、排気マニホールド42に固定されて隙間がなくてもよい。第2〜4の縦壁部95〜97は、車体上下方向Aに沿って排気マニホールド42の下端と略同じ位置まで延びている。または、第2〜4の縦壁部95〜47は、車体上下方向Aに沿って排気マニホールド42の下端と同じ位置または排気マニホールド42の下端よりも下方の位置まで延びてもよい。第2の縦壁部95と排気マニホールド42との間の隙間は小さい。または、第2の縦壁部95は排気マニホールド42に接触しており、それゆえ、排気マニホールドと第2の縦壁部95との間に隙間がなくてもよい。
同様に、第3,4の縦壁部96,97と排気マニホールド42との間に隙間がなくてもよい。言い換えると、カバー部材90と排気マニホールド42との間に隙間がなくてもよい。
上壁部92は、周壁部93の上端に設けられており、周壁部93の上端を覆っている。図2,3に示すように、上壁部92には、開口91が設けられている。開口91は、車体上下方向Aに触媒装置70の触媒72の少なくとも一部と重なる大きさを有している。本実施形態では、開口91は、枝部43〜46が並ぶ方向に長い長孔である。
制御手段170は、冷媒Lの温度を検出する冷媒温度検出センサ180と、カバー部材90に形成される開口91を開閉する開閉装置100と、制御部190とを備えている。冷媒温度検出センサ180は、内燃機関20に設けられている。
開閉装置100は、開口91を開閉する。開閉装置100は、一例として、開口91を覆う開閉板101と、開閉板101の姿勢(位置)を変化することによって開口91が開く状態と開口91が開閉板101によって覆われて閉じる状態とを切り替え可能な駆動装置102とを備えている。開閉板101は、本発明で言う開閉扉部材の一例である。
開閉板101は、車体上下方向Aに見たときに開口91より若干小さい大きさを有する。開閉板101は、回転軸103が設けられている。回転軸103は、枝部43〜46が並ぶ方向に延びている。回転軸103の両端部104,105は、開閉板101が開口91にセットされたときに開口91よりも外側に出る。回転軸103は、開閉板101において長手方向と直交する方向に沿って中央に配置されている。開口91の縁部には、回転軸103の両端部104,105を回転可能に支持する軸受部106,107が設けられている。
回転軸103の両端部104,105が軸受部106,107に支持されている状態において開閉板101が回転軸103回りに回転することによって、開口91の開度が調整される。また、開口91は、最大開き状態P1と、最小開き状態P2とが切り替わる。図3,4に示す状態は、開口91の最小開き状態P2を示している。図5は、排気還流装置50を、図4と同じに切断した状態を示すとともに、開口91の最大開き状態P1を示している。
最大開き状態P1は、開口91において開閉板101によって覆われていない面積が最大となる状態であり、開口91の開度が最大となる状態である。最大開き状態P1では、開閉板101の姿勢は、車体上下方向Aに沿う。最小開き状態P2は、開閉板101が車体前後方向に沿う姿勢になることによって開口91が開閉板101によって覆われて最も閉じた状態である。言い換えると、開口91が全閉した状態である。最小開き状態P2では、開口91の開度は、最小となる。本実施形態では、最も閉じた状態とは、図4に示すように、開口91と開閉板101との間に隙間があり、完全に開口91が密閉された状態ではないが開口91が最も覆われた状態を示す。
駆動装置102は、回転軸103を回転駆動するアクチュエータである。本実施形態では、アクチュエータの一例として電動モータが用いられる。回転軸103は、駆動装置102によって回転される。また、駆動装置102は、回転軸103の回転角度を検出する回転角度検出センサ102aを備えている。
図1,2に示すように、制御部190は、冷媒温度検出センサ180と、駆動装置102と、回転角度検出センサ102aとに接続されている。
制御部190は、冷媒温度検出センサ180の検出結果が送信される。冷媒温度検出センサ180は、本発明で言う冷媒温度検出手段の一例である。制御部190は、冷媒温度検出センサ180の検出結果に基づいて、冷却水Cの温度を検出するとともに冷却水Cの温度に基づいて内燃機関20の暖機運転が完了したか否かを判定する。
制御部190と冷媒温度検出センサ180とは、冷却水Cの温度に基づいて触媒装置70の昇温が必要か否かを判定する。制御部190と冷媒温度検出センサ180とは、本発明で言う昇温判定手段の一例を構成する。
暖機運転の完了を判定する冷却水C温度の閾値Twhは、予め制御部190に記憶されている。制御部190は、冷却水Cの温度が閾値Twh以下であると、内燃機関20の暖機運転が完了していないと判定する。内燃機関20の温度がTwhより大きいと、内燃機関20の暖機運転が完了したと判定する。暖機運転の完了を判定する温度の閾値Twhは、予め実験などによって得ることができる。制御部190は、本発明で言う制御手段の一例を構成する。
制御部190は、駆動装置102を制御して、開閉板101を回転する。制御部190は、回転角度検出センサ102aの検出角度が送信される。制御部190は、回転角度検出センサ102aの結果に基づいて開閉板101の姿勢を検出する。このことによって、制御部190は、開口91の開度を得ることができる。より具体的には、制御部190は、開口91が最大開き状態P1であるのか、または、最小開き状態P2であるのかなどを得ることができる。なお、開口91の開度は、開閉板101の姿勢によって変化する。開口91の開度は、開閉板101の姿勢に応じて予め決定されており制御部190に記憶されている。制御部190は、開閉板101の姿勢から、開口91の開度を求めることができる。また、制御部190は、内燃機関20の動作開始および動作完了を検出する。駆動装置102aと回転角度検出センサ102aとは、本発明で言う温度調整手段を構成する。
つぎに、排気還流装置50の動作を説明する。図6は、排気還流装置50の動作を示すフローチャートである。まず、内燃機関20が運転開始後、内燃機関20の暖気運転が完了するまでの動作を説明する。なお、暖機運転は、冷却水Cの温度が暖機運転の完了を判定する温度である、閾値Twhをこえると、完了したと判定される。次に説明される動作の一例は、冷却水Cの温度が閾値Twh以下のときの動作である。
図6に示すように、ステップST1では、内燃機関20が駆動しているか否かが判定される。制御部190は、上記のように、内燃機関20の開始および完了を検出する。この制御では、内燃機関20が駆動されるので、制御部190は、内燃機関20が駆動していると判定する。ついで、ステップST2に進む。
ステップST2では、制御部190は、フラグが1であるか否かを判定する。内燃機関20の直後では、フラグは0に設定されている。内燃機関20の駆動開始後初めてステップST2に到達した場合では、フラグは0のままであるので、制御部190は、フラグが1ではないと判定する。ついで、ステップST3に進む。ステップST3では、制御部190は、フラグを1にセットする。ついで、ステップST4に進む。
ステップST4では、制御部190は、駆動装置102を制御して開閉板101を回転するとともに回転角度検出センサ102aの検出結果に基づいて開閉板101の姿勢を調整して開口91を最小開き状態P2にする。ついで、ステップST5に進む。
ステップST5では、制御部190は、冷媒温度検出センサ180に検出結果である冷却水Cの温度が暖機運転の完了を判定する閾値Twhより大きいか否かを判定する。この状態は、冷却水Cの温度が閾値Twh以下であるので、ステップST6に進む
冷却水Cの温度が閾値Twh以下ということは、内燃機関20を昇温する必要がある。制御部190は、内燃機関20を昇温するために、触媒装置70を昇温して排気Gの温度を上げて冷却水Cの温度を上げる必要があると判定する。つまり、触媒装置70を昇温する必要があると判定する。
ステップST6では、制御部190は、駆動装置102を制御するとともに回転角度検出センサ102aの検出結果に基づいて、開口91を最小開き状態P2にする。内燃機関20の開始後、冷却水Cの温度が閾値Twhをこえない状態では、開口91は、最小開き状態P2が維持される。言い換えると、開閉板101の姿勢は、開口91が最小開き状態P2に維持されるように、維持される。ついで、ステップST1に戻る。内燃機関20の暖機運転が完了するまでは、上記ステップST1〜ST6の動作が繰り返される。なお、内燃機関20の駆動開始後ステップST2に2回目に到達すると、その時点ではフラグは1に設定されているので、ステップST2からステップST5に進む。
ステップST1,ST2,ST5,ST6が繰り返される間は、排気マニホールド42は、排気Gの熱によって昇温される。昇温された排気マニホールド42によって、排気マニホールド42の周囲の空気は昇温される。排気マニホールド42の周囲はカバー部材90によって囲まれているため、排気マニホールド42の熱は、排気マニホールド42の周囲の空気(カバー部材90の内側の空気)に効率よく伝達される。このため、内燃機関20の運転開始時のように排気Gの温度が低い場合であっても、カバー部材90の内側の温度は、早く昇温される。
昇温された空気は、車体上下方向Aに沿って上方に流れるとともに、触媒装置70に当たる。昇温された空気が当たることによって、触媒装置70(触媒72)は、昇温される。運転開始時のように排気Gの温度が低い場合であっても、触媒72は効率よく昇温される。また、排気マニホールド42から放射される放射熱が触媒装置70に到達することによって、触媒72が昇温される。また、ハウジング71に複数のフィン73が設けられることによって、触媒装置70における熱を受け取る表面積が大きくなるので、触媒72がより一層早期に昇温される。
排気マニホールド42によって暖められた空気と、排気マニホールド42から放射される放射熱は、上記のように触媒72を昇温すると同様に、カバー部材90の内側に収容される上流側排気還流通路60(第1の連結通路部61と上流側蛇腹管部材62)と、下流側排気還流通路80(第2の連結通路部82の一部と下流側蛇腹管部材81)とを昇温する。
上流側蛇腹管部材62は、蛇腹形状であることによって表面積が大きい。このため、上流側蛇腹管部材62は、排気マニホールド42から供給される熱が効率よく伝達されるので、早期に昇温される。この結果、触媒72に導かれる排気Gを昇温できるので、触媒72を早期に昇温できる。
第1の連結通路部61と、上流側蛇腹管部材62と、触媒装置70のハウジング71と、下流側蛇腹管部材81と、第2の連結通路部82とは、昇温されることによって熱膨張をする。上流側蛇腹管部材62と下流側蛇腹管部材81とは、第1の連結通路部61と上流側蛇腹管部材62と触媒装置70のハウジング71と下流側蛇腹管部材81と第2の連結通路部82とが並ぶ方向に伸縮可能な蛇腹形状である。このため、上流側蛇腹管部材62と下流側蛇腹管部材81とは、上記の各構成要素の熱膨張に合わせて伸縮する。このことによって、上記構成要素の熱膨張が吸収される。
排気マニホールド42を流れる排気Gの一部は、排気還流通路120を通って吸気系30に導かれる。排気還流通路120を流れる排気Gは、上流側排気還流通路60と、触媒装置70と、下流側排気還流通路80とを通ることによって昇温されるとともに、触媒72を通ることによって浄化される。昇温されて浄化された排気Gが燃焼室21〜24に導かれる。
つぎに、冷却水Cの温度が、暖機運転を判定する閾値Twhより大きくなった場合の動作を説明する。冷却水Cの温度が閾値Twhより大きくなると、制御部190は、ステップST5において、内燃機関20の暖機運転が完了したと判定する。ついで、ステップST7に進む。
内燃機関20の昇温は必要ないので、制御部190は、触媒装置70の昇温は必要ないと判定する。ステップST7では、制御部190は、駆動装置102を制御するとともに回転角度検出センサ102aの検出結果に基づいて開閉板101の姿勢を調整し、開口91を最大開き状態P1にする。ついで、ステップST1に戻る。冷却水Cの温度が、暖機運転の完了を判定する閾値Twhより大きい間は、ステップST1,ST2,ST3,ST5,ST7を繰り返す。
ステップST1,ST2,ST3,ST5,ST7を繰り返す間、開口91が最大開き状態P1になることによって、開口91を通してカバー部材90の外側の空気がカバー部材90内に導かれる。カバー部材90内に導かれる空気によって、触媒72が冷却される。自動車1が走行している状態では、開閉板101が、表面が車体上下方向Aに沿う姿勢になることによって、車体前方から供給される走行風Wは、開閉板101に当りカバー部材90内に導かれる。そして、カバー部材90内を流動した後、開口91から排出される。開閉板101は、走行風をカバー部材90内に導くガイドとして機能する。
カバー部材90内の温度が低くなると、カバー部材90内に収容される構成要素の熱膨張が解除されて縮む。カバー部材90内の構成要素が縮むと、上流側蛇腹管部材62と下流側蛇腹管部材81とが延びることによって、熱膨張による変化が吸収される。
また、下流側蛇腹管部材81は蛇腹形状であることによって表面積が大きいので、開口91を開くことによって、触媒72を通過することによって触媒反応熱によって昇温された排気Gを冷却する。排気Gは、冷却されることによって密度を向上された後、燃焼室21〜24に導かれる。このように、開口91が最大開き状態P1になることによって、排気還流装置50は、排気Gを冷却する冷却装置として機能する。
また、暖機運転が完了するまでの動作中、または、暖機運転が完了した後の動作中に内燃機関20の駆動が停止されると、ステップST1からステップST8に進む。ステップST8では、制御部190は、フラグを0にセットする。ついで、制御部190の動作が完了する。
このように構成される排気還流装置50では、開閉板101の姿勢を調整することによって排気Gの温度を調整できる。言い換えると、排気還流装置50は、デポジットを抑制しつつ,吸気路に導かれる排気の温度を容易に調整できる。
また、冷媒温度検出センサ180の検出結果に基づいて内燃機関20の暖機運転が完了するまで開口91が最小開き状態P2となることによって、排気Gの温度を効率よく触媒装置70の触媒72に伝達することができるので、触媒72を早期に活性化することができる。さらに、触媒72が早期に活性化することによって、吸気通路38に導かれる排気Gに起因する吸気系30の汚損を抑制することができる。
また、内燃機関20の暖気運転が完了していない状態であっても、排気還流装置50によって排気Gの温度が昇温されるので、燃焼室21〜24に導かれる空気と排気Gとの混合気の温度を昇温することができる。この結果、内燃機関20の暖機運転を促進することができる。
排気還流装置50によって内燃機関20の暖機運転が促進されることによって、内燃機関20の運転直後に暖機を促進するべく燃焼室21〜24に供給される燃料の量を増加することがない、または、燃料の増加量を小さくすることができる。この結果、燃費を改善することができる。さらに、上記のように燃焼室21〜24に供給される燃料の増加をなくす、または、燃料の増加量を小さくすることによって、排気G中の未燃燃料の増加をなくす、または、増加量を小さくすることができる。
また、内燃機関20の暖機運転完了後は、排気還流装置50が排気Gを冷却する冷却装置として機能することによって燃焼室21〜24に供給される排気Gの密度を大きくすることができる。この結果、NOxの発生を抑制することができる。
また、排気マニホールド42と触媒72とがカバー部材90の内側に収容されることによって、排気マニホールド42の周囲の空気が効率よく昇温される。さらに、触媒装置70が車体上下方向Aに排気マニホールド42に重なることによって、排気マニホールド42によって昇温された空気が触媒装置70に当る。このことによって、排気マニホールド42の熱が触媒装置70を昇温することに効率よく用いられるので、触媒72を早期に活性温度まで昇温することができる。また、触媒装置70を排気マニホールド42に直接接触させることがないので、これらを接触させることによって生じる負担の発生を防止できる。
ここで言う負担は、排気マニホールド42と触媒装置70とが接触する場合、熱膨張によって排気マニホールド42と触媒装置70との接触部どうしが互いに押圧することによって生じる、排気マニホールド42への負担と触媒装置70の負担である。
さらに、触媒装置70の略全体が車体上下方向Aに沿って排気マニホールド42に重なることによって、排気マニホールド42の熱が効率よく触媒72に伝達される。なお、触媒装置70の少なくとも一部が車体上下方向Aに排気マニホールド42に重なることによって、排気マニホールド42によって昇温された空気が効率よく触媒装置70に当り、排気マニホールド42の熱が効率よく触媒72に伝達される。好ましくは、触媒装置70の全体が車体上下方向Aに重なることによって、排気マニホールド42の熱がより一層効率よく触媒72に伝達される。
さらに、触媒72の略全体が車体上下方向Aに排気マニホールド42に重なることによって、触媒72が効率よく昇温される。なお、触媒72の少なくとも一部が車体上下方向Aに排気マニホールド42に重なることによって、排気マニホールド42の熱が効率よく触媒72に伝達される。好ましくは、触媒72の全体が車体上下方向Aに排気マニホールド42に重なることによって、排気マニホールド42の熱がより一層効率よく触媒72に伝達される。
また、上流側蛇腹管部材62が用いられることによって、触媒72に導かれる排気Gを昇温することによって触媒72を早期に昇温できるとともに、カバー部材90内の部品の熱膨張を吸収することができる。
また、下流側蛇腹管部材81が用いられることによって、開口91を開くことによって触媒72の反応熱によって昇温された排気Gを冷却することができるとともに、カバー部材90内の部品の熱膨張を吸収することができる。
また、触媒装置70の少なくとも一部(本実施形態では、上流側端部74)が、車体上下方向Aに排気マニホールド42の合流部48に重なることによって、触媒72が効率よく昇温される。この点について具体的に説明する。合流部48は、枝部43〜46が合流する部位であるので、内燃機関20の運転時では合流部48には常に排気Gが流動している。このため、車体上下方向Aに合流部48と重なることによって、触媒72が効率よく昇温される。さらに、触媒72の少なくとも一部(実施形態では、上流側端部)が合流部48と車体上下方向Aに重なることによって、触媒72が効率よく昇温される。
また、触媒装置70のハウジング71に複数のフィン73が設けられることによって、排気マニホールド42の熱が効率よく触媒72に伝達されるので、触媒72が効率よく昇温される。本実施形態では、複数のフィン73が設けられているが、フィン73は、例えば1つでもよい。少なくとも1つのフィン73が設けられることによって、触媒72が効率よく昇温される。なお、フィン73は、本実施形態のように複数設けられると触媒72はさらに効率よく昇温される。
なお、暖機運転完了後は、排気G中の未燃燃料やCOは少ない状態であるので、冷却されることによって触媒72の温度が活性温度より低くなっても、排気還流装置50および吸気系30が排気Gによって汚れることはない。
つぎに、本発明の第2の実施形態に係る排気還流装置を、図7〜9を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態の排気還流装置は、混合気温度検出センサをさらに備える。さらに、制御部190の動作が第1の実施形態と異なる。これらの点が第1の実施形態と異なる。他は、第1の実施形態と同じである。このため、本実施形態では、排気還流装置は、符号50aを付す。制御部に符号190aを付す。
図7は、排気還流装置50aを示す概略図である。図7に示すように、および、上記したように、排気還流装置50aは、第1の実施形態で説明した排気還流装置50に対して、混合気温度検出センサ200を備えている点と、制御部190にかえて制御部190aを備える点が異なる。本実施形態では、制御手段170に代えて、制御部190aと、冷媒温度検出センサ180と、開閉装置100と、混合気温度検出センサ200とによって、制御手段170aが構成されている。
混合気温度検出センサ200は、吸気マニホールド32に設けられており、吸気マニホールド32内の温度を検出する。混合気温度検出センサ200は、本発明で言う混合気温度検出手段の一例である。
制御部190aは、冷媒温度検出センサ180と、駆動装置102と、回転角度検出センサ102aと、混合気温度検出センサ200とに接続されている。制御部190aは、冷媒温度検出センサ180の検出結果が送信される。制御部190aは、冷媒温度検出センサ180の検出結果に基づいて、冷却水Cの温度を検出するとともに、内燃機関20の暖機運転が完了したか否かを判定する。暖機運転の完了を判定する冷却水Cの温度の閾値Twhは、予め制御部190aに記憶されている。制御部190aは、冷却水Cの温度がTwh以下であると、内燃機関20の暖機運転が完了していないと判定する。冷却水Cの温度がTwhより大きいと、内燃機関20の暖機運転が完了したと判定する。暖機運転の完了を判定する温度の閾値Twhは、予め実験などによって得ることができる。
制御部190aと冷媒温度検出センサ180とは、冷却水Cの温度に基づいて触媒装置70の昇温が必要か否かを判定する。制御部190aと冷媒温度検出センサ180とは、本発明で言う昇温判定手段の一例を構成する。
制御部190aは、駆動装置102を制御して、開閉板101を回転する。制御部190aは、回転角度検出センサ102aの検出角度が送信される。制御部190aは、回転角度検出センサ102aの結果に基づいて開閉板101の姿勢を検出する。このことによって、制御部190aは、開口91の開度を得ることができる。より具体的には、制御部190は、開口91が最大開き状態P1であるのか、または、最小開き状態P2であるのかなどを得ることができる。なお、開口91の開度は、開閉板101の姿勢によって変化する。開口91の開度は、開閉板101の姿勢に応じて予め決定されており、制御部190aに記憶されている。制御部190aは、開閉板101の姿勢から開口91の開度を求めることができる。制御部190aは、内燃機関20の動作開始および動作完了を検出する。
制御部190aは、混合気温度検出センサ200の検出結果が送信される。制御部190aは、混合気温度検出センサ200の検出結果に基づいて吸気マニホールド32内の混合気Mの温度を検出する。
図8は、本実施形態の制御部190aの動作を示すフローチャートである。制御部190aの動作として、内燃機関20の暖機運転が完了するまでの動作と、内燃機関20の暖機運転が完了した後の動作とがある。
まず、内燃機関20の暖気運転が完了するまでの動作について説明する。図8に示すように、内燃機関20が駆動すると、制御部190aは、ステップST21で内燃機関20が始動したと判定する。ついで、ステップST22に進む
ステップST22では、制御部190aは、フラグが1に設定されているか否かを判定する。内燃機関20の始動直後であると、フラグは0に設定されている。このため、制御部190aは、フラグが1には設定されていないと判定する。ついで、ステップST23に進む。
制御部190aは、ステップST23で、フラグを1に設定する。ついで、ステップST24に進む。ステップST24では、制御部190aは、駆動装置102を制御して開閉板101を回転させるとともに回転角度検出センサ102aの結果に基づいて開閉板101の姿勢を調整して、開口91を最小開き状態P2にする。ついで、ステップST25に進む。
ステップST25では、制御部190aは、内燃機関20の暖機運転が完了したか否かを判定する。具体的には、制御部190aは、冷媒温度検出センサ180の検出結果に基づいて、冷却水Cの温度が閾値Twh以下であるか否かを判定する。この説明では内燃機関20の暖機運転は完了していないので、ついで、ステップST26に進む。
ステップST26では、制御部190aは、混合気Mの温度が、暖機運転中最適温度であるか否かを判定する。暖機運転中最適温度とは、内燃機関20の暖気運転中において、吸気通路38に供給される排気Gの温度が吸気系30にとって最適であるように考慮された温度である。
この点について具体的に説明すると、吸気系30には、混合気温度検出センサ200や、スロットルバルブ31などが設けられている。これらの装置、部品は、耐えられる上限温度が高くないものがある。混合気Mの温度が暖機運転中最適温度である状態では、吸気系30に導かれる排気Gの温度は、吸気系30が耐えられる上限温度より小さくなる。
本実施形態では、混合気Mの温度が下限温度TiLc以上であってかつ上限温度TiHc以下(TilcとTiHcとを含む)の場合に、暖機運転中最適温度であると判定される。暖機運転中最適温度は、本発明で言う所定温度の一例である。混合気Mの温度が暖機運転中最適温度に達していない場合(下限温度TiLc未満)は、ついで、ステップST27を経て、ステップST28に進む。
冷却水Cの温度が、閾値Twh以下であって、かつ、下限温度TiLc未満であることは、混合気Mの温度を昇温する必要がる。制御部190aは、混合気Mの温度を昇温するために触媒装置70を昇温して排気Gの温度を昇温する必要があると判定する。つまり、制御部190aは、触媒装置70を昇温する必要があると判定する。
ステップST28では、制御部190aは、開口91の開度が最小であるか否か、つまり、最小開き状態P2であるか否かを判定する。具体的には、制御部190aは、回転角度検出センサ102aの検出結果に基づいて開閉板101の姿勢を検出し、開口91の開度を検出する。内燃機関20の駆動開始後、暖機運転中最適温度に達していない運転状態では、開口91は最小開き状態P2であるので、ついで、ステップST21に戻る。
このように、内燃機関20の駆動開始後、暖機運転が完了しておらず、かつ、混合気Mの温度が暖機運転中最適温度未満の場合は、上記のように、ステップST21,ST22,ST23,ST24,ST25,ST26,ST27,ST28が繰り返されるので、開口91は、最小開き状態P2が保たれる。開口91が最小開き状態P2に保たれることによって、第1の実施形態で説明したように、排気Gが昇温されるので、内燃機関20の暖機運転が促進される。この結果、混合気の温度が、早期に暖機運転中最適温度に達する。なお、内燃機関20の駆動開始後、ステップST22でフラグが1に設定されると、次回以降ステップST22からステップST25に進む。
つぎに、内燃機関20の暖機運転が完了しておらず、かつ、混合気Mの温度が暖機運転中最適温度である状態の動作を説明する。内燃機関20の駆動開始後、混合気Mの温度が暖機運転中最適温度になると、制御部190aは、混合気Mの温度の昇温が不要であるので、触媒装置70の温度の昇温は不要であると判定する。このため、ステップST26からステップST21に進む。混合気Mの温度が暖機運転中最適温度である場合は、ステップST21,ST22,ST25,ST26が繰り返される。この結果、排気Gの温度の上昇にともなって混合気Mの温度がさらに上昇する。
つぎに、内燃機関20の暖機運転が完了しておらず、かつ、混合気Mの温度が暖機運転中最適温度をこえた状態の動作を説明する。この状態では、ステップST27からステップST29に進む。この状態では、制御部190aは、混合気Mの温度の昇温は不要であるので触媒装置70の温度の昇温が不要であると判定する。ステップST29では、制御部190aは、回転角度検出センサ102aの検出結果に基づいて開閉板101の姿勢を検出して開口91の開度を検出する。制御部190aは、開口91の開度が最大、つまり開口91が最大開き状態P1であるか否かを判定する。
内燃機関20の駆動開始後、内燃機関20の暖機運転が完了しておらず、かつ、暖機運転中最適温度を初めてこえた状態では、開口91が最小開き状態P2のまま維持されているので、制御部190aは、開口91は最大開き状態P1ではないと判定する。ついで、ステップST30に進む。
ステップST30では、制御部190aは、開口91の開度が大きくなるように開閉番101を開き方向に開くべく駆動装置102を制御する。ここで開口91の開度を大きくするための駆動装置102の制御について説明する。
図9は、開口91と開閉板101とを示す拡大図である。図9に示すように、制御部190aは、開口91の開度を大きくするべく駆動装置102を制御する場合、開閉板101を、開口91が最大開き状態P1に近づく方向に、予め決定されている所定角度α回転する。なお、図9中、最小開き状態P2にある開閉板101を実線で示す。
ステップST30の動作の説明に戻る。制御部190aは、駆動装置102を制御するとともに回転角度検出センサ102aの検出結果に基づいて、開閉板101を開き方向に所定角度α回転する。開閉板101が開き方向に所定角度α回転されると、ついで、ステップST21に戻る。好ましくは、所定角度αは、K=1以上の自然数としたとき、最小開き状態P2と最大開き状態P1との間での開閉板101の回転角度がα×Kとなるように設定される。開閉板101を、所定角度αを複数回回転した後に最大開き状態P1になるようにする場合は、Kを例えば4,5などの複数回にする。
内燃機関20の暖機運転が完了しておらず、かつ、混合気Mの温度が暖機運転中最適温度より大きい場合は、ステップST21,ST22,ST23,ST25,ST26,ST27,ST29,ST30の動作が繰り得返される。この動作によって、開口91の開度が次第に大きくなるので、排気還流装置50aが冷却される。このことによって、吸気通路38に導かれる排気Gが冷却されるので混合気Mの温度が冷却される。
ステップST29において制御部190aが、開口91が最大開き状態P1となったと判定すると、言い換えると開口91の開度が最大になったと判定すると、ステップST29からステップST21に戻る。
つぎに、内燃機関20の暖気運転が完了する前において混合気Mの温度が暖機運転中最適温度をこえた後、開口91の開度が大きくなることに伴って、再び暖機運転中最適温度になった状態の動作を説明する。この状態では、開口91の開度は、ステップST30を通過した回数に応じて、最大開き状態P1に向かって開度が大きくなっている。
この状態では、制御部190aは、ステップST26で、混合気Mの温度が暖機運転中最適温度であると判定し、ついで、ステップST21に戻る。このように、混合気Mの温度が暖機運転中最適温度である開度は維持される。
つぎに、内燃機関20の暖機運転が完了しておらず、かつ、混合気Mの温度が暖機運転中最適温度以上になった後に混合気Mの温度が暖機運転中温度未満になった状態の動作を説明する。
この状態では、開閉板101は、開口91は、最大開き状態P1、最小開き状態P2、または、最大開き状態P1と最小開き状態P2との間のいずれかの位置にある。この動作では、ステップST27からステップST28に進む。ステップST28では、制御部190aは、開口91が最小開き状態P2、言い換えると開口91の開度が最小であるか否かを判定する。具体的には、制御部190aは、回転角度検出センサ102aの検出結果に基づいて、開閉板101の姿勢を検出し、開口91の開度を検出する。制御部190aは、開口91が最小開き状態P2ではないと判定すると、ついで、ステップST31に進む。
ステップST31では、制御部190aは、開閉板101を閉じる方向に所定角度α回転する。この結果、開口91は、最小開き状態P2に近づく。ついで、ステップST21に進む。
混合気Mの温度が、暖機運転中最適温度未満である状態では、上記ステップST21,ST22,ST23,ST24,ST25,ST26,ST27,ST28,ST31を繰り返す。この繰り返しの途中で開口91の開度が最小となると、言い換えると、開口91が最小開き状態P2になると、ステップST28からステップST21に戻る。
このように、開口91の開度が閉じ方向に回転することによって、カバー部材90内の温度が上昇し、それゆえ、排気Gの温度が昇温される。この結果、混合気Mの温度が上昇する。
内燃機関20の暖機運転が完了していない状態では、上記のように開閉板101の姿勢が調整されることによって、排気Gの温度が早期に昇温されるとともに、混合気Mの温度が暖機運転中最適温度となる。
つぎに、内燃機関20の暖機運転が完了した後の動作を説明する。制御部190aは、ステップST25で、冷媒温度検出センサ180の検出結果に基づいて、冷媒の温度が閾値Twhより大きいと判定すると、内燃機関20の暖機運転が終了したと判定して、ついで、ステップST32に進む。
ステップST32では、混合気Mの温度が、暖機運転完了後最適温度であるか否かを判定する。暖機運転完了後最適温度は、暖機運転完了後に吸気系30に導かれる排気Gの温度が吸気系30にとって最適な温度となるように設定されている。この点について具体的に説明すると、吸気系30には、混合気温度検出センサ200や、スロットルバルブ31などが設けられている。これらの装置、部品は、耐えられる上限温度が高くないものがある。混合気Mの温度が暖機運転完了後最適温度である状態では、吸気系30に導かれる排気Gの温度は、吸気系30が耐えられる上限温度より小さくなる。本実施形態では、暖機運転完了後最適温度は、下限値TiLh以上であって、かつ、上限値TiHh以下(TiLhと、TiHhとを含む)である。暖機運転完了後最適温度は、本発明で言う所定温度の一例である。
ここで、暖機運転完了を判定する温度Twhと、暖機運転中最適温度と、暖機運転完了後最適温度とについて説明する。なお、第1の実施形態、本実施形態、本実施形態以降に説明される実施形態においても、暖機運転完了を判定する温度Twhと、暖機運転中最適温度と、暖機運転完了後最適温度は、同様である。
まず、内燃機関20の暖機運転と、暖機完了を判定する温度について説明する。内燃機関20が暖まると、内燃機関20内を循環する冷却水Cの温度が上昇する。そのため、内燃機関20の暖気度合いを推定する指標として,冷却水温が用いられている。冷却水温は図示しないラジエータやサーモスタットにより約80〜90℃(摂氏温度)となるように制御されている。
内燃機関20の始動時の水温は,ほぼ大気温度である。大気温度は、地域により異なるが、−35℃〜50℃である。内燃機関20の始動直後は、燃焼安定性が悪く、未燃成分HC,COの排出量が多いので、排気が悪化する。また、内燃機関20が冷たいので、ピストン−シリンダ間、クランクベアリング−クランクシャフト間、カムベアリング−カムシャフト間など摺動部のクリアランスが狭い。このため、フリクションが多く、燃費が悪化する。
これら問題を早期に改善するために、内燃機関20の暖気促進を行う。内燃機関20の始動後水温が上昇して、冷態時の上記問題点が解消される時の冷却水温がおおよそ65℃である。本実施形態では、内燃機関20の暖気完了時の冷却水温度である温度Twhは、一例として、65℃(摂氏温度)である。なお、暖機運転の完了を判定する温度は、車種によっても異なる場合がある。
つぎに、暖機運転中最適温度と、暖機運転完了後最適温度とについて説明する。暖気運転中最適温度は、TiLc以上であって、かつTiHc以下である。暖気運転完了後最適温度は、TiLh以上であって、かつ、TiHh以下である。
内燃機関20の暖気運転中は、燃焼安定性が低い、燃焼温度が低い、失火や一部消炎が起きやすいという理由のため、未燃成分HC,COの排出が多い。このため暖かい混合気Mを筒内へ導入することで暖気促進を促進して未燃成分HC,COの排出量を低減するため、混合気Mの最適温度を高めに設定する。このことによって、内燃機関20の暖気運転促進のために燃料を増量することがなくなる、または、燃料を増量する場合であっても増量する量を少量にできる。
一方、内燃機関20の暖気運転完了後は,燃焼温度が高いとNOx排出量が増大するため、筒内へ吸入する混合気温度を低くし、NOxを低減する。NOxは、燃焼温度の指数関数で増加する。このため1200℃付近からそれ以上の温度では爆発的に発生量が増える。
上記理由により、本実施形態では、暖機運転中最適温度は、暖機運転完了後最適温度よりも、高く設定されている。本実施形態では、TiLcは、50℃であり、TiHcは、70℃である。本実施形態では、TiLhは、25℃であり、TiHhは、45℃である。
排気還流装置50の動作の説明に戻る。ここで、まず、混合気Mの温度が、暖機運転完了後最適温度未満である状態の動作を説明する。この場合、ステップST32からステップST33を経てステップST34に進む。混合気Mの温度が下限値TiLh未満であるため、制御部190aは、排気Gの温度を昇温するために触媒装置70の温度の昇温が必要であると判定する。混合気温度検出センサ200は、本発明で言う昇温判定手段の一例である。
ステップST34では、制御部190aは、開口91が最小開き状態P2である否かを判定する。具体的には、制御部190aは、回転角度検出センサ102aの検出結果に基づいて開閉板101の姿勢を検出し、開口91の開度を検出する。制御部190aは、開口91が最小開き状態P2であると判定すると、ステップST21に戻る。開口91の開度が最小、つまり最小開き状態P2ではないと判定すると、ついで、ステップST35に進む。
ステップST35では、制御部190aは、開口91の開度を小さくするべく、開閉板101を、閉じる方向に所定角度α回転する。ついで、ステップST21に戻る。
暖機運転完了後、排気Gの温度が暖機運転完了後最適温度未満であると、ステップST25,ST32,ST34,ST35の動作が繰り返されることによって開口91の開度が小さくなるので、カバー部材90内の温度が上昇する。この結果、排気Gの温度が上昇することにともなって混合気Mの温度が上昇する。
つぎに、内燃機関20の暖機運転完了後、混合気Mの温度が暖機運転完了後最適温度になった状態での動作を説明する。制御部190aは、ステップST32で混合気温度検出センサ200の検出結果に基づいて混合気Mの温度が暖機運転完了後最適温度であると判定すると、混合気Mの温度の昇温は不要であるので触媒装置70の温度の昇温が不要であると判定する。ついでステップST21に戻る。このように、暖機運転完了後、混合気Mの温度が暖機運転完了後最適温度であると判定されると、開口91の開度はそのままの状態が維持される。言い換えると、開閉板101の姿勢が維持される。
つぎに、内燃機関20の暖機運転完了後、混合気Mの温度が暖機運転完了後最適温度をこえた状態での動作を説明する。制御部190aは、混合気温度検出センサ200の検出結果に基づいて混合気Mの検出温度が暖機運転完了後最適温度をこえたと判定すると、ステップST33からステップST36に進む。制御部190aは、混合気Mの温度が上限値TiHhより大きいので、混合気Mの温度の昇温は不要であるので触媒装置70の温度の昇温が不要であると判定する。
ステップST36では、制御部190aは、回転角度検出センサ102aの検出結果に基づいて開口91が最大開き状態P1であるか否か、言い換えると開口91の開度が最大であるか否かを判定する。制御部190aは、開口91の開度が最大であると判定すると、ついでステップST21に戻る。また、ステップST36において、開口91の開度が最大でない場合は、ステップST37に進む。ステップST37では、制御部190aは、回転角度検出センサ102aの検出結果に基づいて駆動装置102を制御して、開閉板101を開き方向に所定角度α回転する。
混合気Mの温度が、暖機運転完了後最適温度より大きい場合、開口91の開度が大きくなるように開閉板101の姿勢が調整されることによって、吸気通路38に供給される排気Gが冷却されるので、混合気Mの温度が下がる。内燃機関20の暖機運転完了後、開閉板101の姿勢が上記のように調整されることによって、混合気Mの温度は、暖機運転完了後最適温度に維持される。
図8に示すフローチャートにしたがって動作している最中、内燃機関20の駆動が停止されると、ステップST21からステップS8に進む。ステップST38では、制御部190aは、フラグを0にセットする。ついで、動作が完了する。
本実施形態では、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態では、暖機運転が完了する前と完了後とにおいて、開閉板101の姿勢を調整して混合気Mの温度を暖機運転中最適温度または暖機運転完了後最適温度に維持する。このため、導かれる排気Gの温度によって吸気系30に不具合が生じることが抑制される。
つぎに、本発明の第3の実施形態に係る排気還流装置を、図10を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、排気還流装置用クーラ130を備える点が、第1の実施形態と異なる。他の構造は、第1の実施形態と同じである。上記異なる点について具体的に説明する。
なお、本実施形態の排気還流装置に符号50bを付す。上記したように、排気還流装置50bは、第1の実施形態で説明された排気還流装置50に対して、排気還流装置用クーラ130を備える点のみ異なる。他の構造は、排気還流装置50と同じである。
図10は、排気還流装置50bを示す平面図である。図10に示すように。排気還流装置50bは、第1の実施形態で説明された排気還流装置50に対して、さらに排気還流装置用クーラ130を備える。
排気還流装置用クーラ130は、第2の連結通路部82中に組み込まれており、下流側蛇腹管部材81の下流であって、かつ、排気還流通路120と吸気通路38との合流部の上流の位置に配置されている。排気Gは、排気還流装置用クーラ130内を流動する。排気還流装置用クーラ130は、カバー部材90の外側に配置されている。排気還流装置用クーラ130は、排気還流装置用クーラ130内を流れる排気Gを冷却する。排気還流装置用クーラ130は、本発明で言う冷却装置の一例である。
排気還流装置用クーラ130は、内燃機関20を冷却するために用いられる冷媒を共通して用いて内部を流動する排気Gを冷却する。本実施形態では冷媒として冷却水Cが用いられる。冷却水Cは、排気還流装置用クーラ130の内部と内燃機関20の内部とを循環しており、排気還流装置用クーラ130内を流動する排気Gと、内燃機関20とを冷却する。
本実施形態では、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、冷態時では、カバー部材90によって効率よく昇温された排気Gが排気還流装置用クーラ130を流動する。このため、排気還流装置用クーラ130を流れる冷却水Cが排気Gによって昇温されるので、内燃機関20の暖機運転を促進することができる。
また、内燃機関20の温態時では、触媒72を通過する際の触媒反応によって昇温された排気Gを排気還流装置用クーラ130によって冷却することによって、多くの排気Gを燃焼室21〜24に供給することができる。
なお、第2の実施形態で説明された排気還流装置50aが、本実施形態のように、排気還流装置用クーラ130を備えていてもよい。この場合、第2の実施形態の効果に加えて、上記した排気還流装置用クーラ130による効果を得ることができる。
つぎに、本発明の第4の実施形態に係る排気還流装置を、図11,12を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態では、排気還流装置用クーラ130と、排気還流装置用クーラバイパス通路140と、流路切替バルブ装置150とを備える点と、制御部190に代えて制御部190cを備える点とが、第1の実施形態と異なる。他の構造は、第1の実施形態と同じである。上記異なる点について具体的に説明する。
このため、本実施形態の排気還流装置に符号50cを付す。上記したように、排気還流装置50cは、第1の実施形態で説明された排気還流装置50に対して、排気還流装置用クーラ130と、排気還流装置用クーラバイパス通路140と、流路切替バルブ装置150とを備える点と、制御部190にかえて制御部190cを備える点のみ異なる。他の構造は、第1の実施形態の排気還流装置50と同じである。
本実施形態では、制御手段170に代えて、制御部190cと、開閉装置100と、冷媒温度検出センサ180と、排気還流装置用クーラ130と、排気還流装置用クーラバイパス通路140と、流路切替バルブ装置150とが、制御手段170cを構成する。
図11は、排気還流装置50cを示す概略図である。図11に示すように、排気還流装置用クーラ130は、第2の連結通路部82中に組み込まれており、下流側蛇腹管部材81の下流であって、かつ、排気還流通路120と吸気通路38との合流部の上流の位置に配置されている。排気Gは、排気還流装置用クーラ130内を流動する。排気還流装置用クーラ130は、カバー部材90の外側に配置されている。排気還流装置用クーラ130は、排気還流装置用クーラ130内を通過する排気Gを冷却する。排気還流装置用クーラ130は、本発明で言う冷却装置の一例である。
排気還流装置用クーラ130は、内燃機関20を冷却するために用いられる冷媒を共通して用いて内部を流動する排気Gを冷却する。本実施形態では冷媒として冷却水Cが用いられる。冷却水Cは、排気還流装置用クーラ130の内部と内燃機関20の内部とを循環しており、排気還流装置用クーラ130内を流動する排気Gと、内燃機関20とを冷却する。
排気還流装置用クーラバイパス通路140は、下流側排気還流通路80の一部を構成する。排気還流装置用クーラバイパス通路140は、排気還流装置用クーラ130を迂回する。具体的には、排気還流装置用クーラバイパス通路140の上流端は、第2の連結通路部82において排気還流装置用クーラ130よりも上流に連通している。排気還流装置用クーラバイパス通路140の下流端は、第2の連結通路部82において排気還流装置用クーラ130よりも下流に連通している。排気還流装置用クーラバイパス通路140は、本発明で言う迂回通路の一例である。
流路切替バルブ装置150は、駆動装置151と、第1のバルブ152と、第2のバルブ153と、回転角度検出センサ157を備えている。
第1のバルブ152は、バタフライ弁であって、弁本体154と、回転軸155とを備えている。弁本体154は、回転軸155に一体に設けられており、回転軸155の回転に合わせて回転する。弁本体154は、排気還流装置用クーラバイパス通路140内に配置されている。
回転軸155が回転することによって排気還流装置用クーラバイパス通路140内で弁本体154が回転し、それゆえ、弁本体154の姿勢が変化する。このことによって、第1のバルブ152が開閉される。第1のバルブ152が開閉されることによって、排気還流装置用クーラバイパス通路140が開閉されるとともに、排気還流装置用クーラバイパス通路140の開度を調整可能である。
第1のバルブ152を開くとは、弁本体154の姿勢を調整して排気Gが排気還流装置用クーラバイパス通路140を通過するようにすることである。第1のバルブ152が最大に開く状態とは、弁本体154の姿勢が調整されて開度が最大になる状態である。第1のバルブ152を全閉にするとは、開度が最小になり排気Gが排気還流装置用クーラバイパス通路140を通過しなくなる状態である。つまり、排気還流装置用クーラバイパス通路140を流れる排気Gの流量が0(零)となる状態である。
第2のバルブ153は、バタフライ弁であって、弁本体156と、回転軸155とを備えている。回転軸155は、第1,2のバルブ152,153で共通して用いられる。弁本体156は、回転軸155に一体に設けられており、回転軸155の回転に合わせて回転する。
弁本体156は、下流側排気還流通路80において、排気還流装置用クーラ130の下流であってかつ排気還流装置用クーラバイパス通路140との合流部160よりも上流の位置に配置されている。回転軸155が回転することによって下流側排気還流通路80内で弁本体156が回転し、それゆえ弁本体156の姿勢が変化する。このことによって、第2のバルブ153が開閉される。第2のバルブ153が開閉されることによって、下流側排気還流通路80を開閉可能であるとともに、下流側排気還流通路80の開度を調整可能である。
第2のバルブ153を開くとは、弁本体156の姿勢を調整して排気Gが排気還流装置用クーラ130を通過する状態にすることである。第2のバルブ153の全開状態とは、第2のバルブ153の開度が最大になる状態である。第2のバルブ153の全閉状態とは、開度が最小になり、排気Gが排気還流装置用クーラ130を通過しなくなる状態である。
ここで、回転軸155上の弁本体154,156の姿勢について説明する。第1,2のバルブ152,153は、一方が全閉状態となり通路を閉じて排気Gの流れを止めているとき、他方が全開状態となり通路を開いて排気Gを流すように設けられている。具体的には、図11に示すように、弁本体154が排気還流装置用クーラバイパス通路140を塞ぐ全閉姿勢のとき、弁本体156は、下流側排気還流通路80を最大に開く姿勢となる。この状態では、触媒装置70を通過した排気Gは、全て、排気還流装置用クーラ130を通過する。この状態は、本発明でいう第2の状態である。
同様に、回転軸155が回転されることによって弁本体156が下流側排気還流通路80を塞ぐ全閉姿勢のとき、弁本体154は、排気還流装置用クーラバイパス通路140を最大に開く姿勢となる。この状態では、触媒装置70を通過した排気Gは、全て、排気還流装置用クーラ130を迂回して排気還流装置用クーラバイパス通路140を通過する。
駆動装置151は、回転軸155を回転する。回転角度検出センサ157は、回転軸155の回転角度を検出する。
制御部190cは、冷媒温度検出センサ180と、駆動装置102と、回転角度検出センサ102aと、駆動装置151と、回転角度検出センサ157とに接続されている。
制御部190cは、冷媒温度検出センサ180の検出結果が送信される。制御部190cは、冷媒温度検出センサ180の検出結果に基づいて、冷却水Cの温度を検出するとともに、内燃機関20の暖機運転が完了したか否かを判定する。
制御部190cと冷媒温度検出センサ180とは、冷却水Cの温度に基づいて触媒装置70の昇温が必要か否かを判定する。制御部190cと冷媒温度検出センサ180とは、本発明で言う昇温判定手段の一例を構成する。
制御部190cは、駆動装置102を制御して、開閉板101を回転する。制御部190cは、回転角度検出センサ102aの検出角度が送信される。制御部190cは、回転角度検出センサ102aの結果に基づいて開閉板101の姿勢を検出する。このことによって、制御部190cは、開口91の開度を得ることができる。より具体的には、制御部190cは、開口91が最大開き状態P1であるのか、または、最小開き状態P2であるのかをなどを得ることができる。なお、開口91の開度は、開閉板101の姿勢によって変化する。開口91の開度は、開閉板101の姿勢に応じて予め決定されており制御部10cに記憶されている。制御部190cは、開閉板101の姿勢から開口91の開度を求めることができる。制御部190は、内燃機関20の動作開始および動作完了を検出する。
制御部190cは、駆動装置151を制御して、回転軸155を回転する。制御部190cは、回転角度検出センサ157の検出結果が送信される。制御部190cは、回転角度検出センサ157の検出結果に基づいて、弁本体154,156の姿勢を検出する。弁本体154,156の姿勢を検出することによって、第1,2のバルブ152,153の開度、言い換えると排気還流装置用クーラバイパス通路140の開度と下流側排気還流通路80との開度とを検出する。
つぎに、排気還流装置50cの動作を説明する。図12は、排気還流装置50cの動作を示すフローチャートである。まず、内燃機関20の暖機運転が完了するまでの動作を説明する。図12に示すように、制御部190cは、ステップST41で、内燃機関20が駆動を開始したか否かを判定する。この状態では内燃機関20は駆動しているので、ついでステップST42に進む。
ステップST42では、制御部190cは、フラグが1にセットされているか否かを判定する。内燃機関20の駆動開始直後では、フラグは0のままであり、1にはセットされていない。このため、制御部190cは、フラグが1ではないと判定する。ついで、ステップST43に進む。ステップST43では、制御部190cは、フラグを1にセットする。ついで、ステップST44に進む。
ステップST44では、制御部190cは、駆動装置102を制御するとともに回転角度検出センサ102aの検出結果に基づいて、開口91の開度を最大にする。言い換えると、開口91を最大開き状態P1にする。そして、制御部190cは、駆動装置151を制御するとともに回転角度検出センサ157の検出結果に基づいて第1のバルブ152を最大に開くとともに第2のバルブ153を全閉状態にする。このことによって、排気Gは、排気還流装置用クーラ130を通過することなく、排気還流装置用クーラバイパス通路140を通過する。この状態を、図12のステップST44では、クーラバイパスONと記載している。ついで、ステップST45に進む。
ステップST45では、制御部190cは、内燃機関20の暖機運転が完了したか否かを判定する。具体的には、制御部190cは、冷媒温度検出センサ180の検出結果に基づいて、冷却水Cが閾値Twhより大きいか否かを判定する。この説明では暖機運転が完了していない状態であるので、制御部190cは、冷却水Cの温度が閾値Twh以下であると判定する。ついで、ステップST46に進む。
冷却水Cの温度が閾値Twh以下であると内燃機関20を昇温する必要があるので、制御部190cは、排気Gを昇温するために触媒装置70の昇温が必要であると判定する。ステップST46では、制御部190cは、駆動装置102を制御するとともに回転角度検出センサ102aの検出結果に基づいて開口91の開度を最小、言い換えると開口91を最小開き状態P2にする。そして、制御部190cは、駆動装置151を制御するとともに回転角度検出センサ157の検出結果に基づいて、第1のバルブ152を全開状態にするとともに第2のバルブ153を全閉状態にする。このことによって、排気Gは、排気還流装置用クーラ130を通過することなく排気還流装置用クーラバイパス通路140を通過する。図12のステップST46では、この第1,2のバルブ152,153の状態を、クーラバイパスONと表している。ついで、ステップST41に戻る。
内燃機関20の暖機運転が完了するまでは、ステップST41、ST42,ST43,ST44,ST45,ST46を繰り返す。なお、フラグが1にセットされた後は、ステップST42からステップST45に進む。ステップST41、ST42,ST43,ST44,ST45,ST45が繰り返されることによって、開口91の開度が最小となり、クーラバイパスONの状態が維持される。開口91の開度が最小となることによって排気Gの温度が早期に昇温される。さらに、クーラバイパスOFFとなることによって、排気Gは排気還流装置用クーラ130を迂回して通過しないので、排気Gが排気還流装置用クーラ130によって冷却されることがない。以上のことより、内燃機関20の暖機運転が促進される。
つぎに、内燃機関20の暖機運転が完了した後の動作を説明する。制御部190cは、ステップST45で、冷媒温度検出センサ180の検出結果に基づいて、冷却水Cの温度が、閾値Twhをこえたと判定すると、ステップST47に進む。
冷却水Cの温度が閾値Twhより大きいと内燃機関20を昇温する必要がないので、制御部190cは、触媒装置70の昇温が不要であると判定する。ステップST47では、制御部190cは、駆動装置102を制御するとともに回転角度検出センサ102aの検出結果に基づいて開口91の開度を最大にする。そして、制御部190cは、駆動装置151を制御するとともに回転角度検出センサ157の検出結果に基づいて第1のバルブ152を全閉状態にして第2のバルブ153を全開状態にする。このことによって、排気Gは、排気還流装置用クーラバイパス通路140を通過することなく排気還流装置用クーラ130を通過する。図12のステップST47では、この第1,2のバルブ152,153の状態を、クーラバイパスOFFと表している。
暖機運転が完了した後は、上記ステップST41,ST42,ST43,ST44,ST45,ST47の動作が繰り返される。開口91の開度が最大になることによって、排気Gが冷却される。さらに、排気Gが排気還流装置用クーラ130を通ることによって排気Gが冷却される。
制御部190cは、ステップST41で内燃機関20の駆動が停止されたと判定すると、ついでステップST48に進む。ステップST48では、制御部190cは、フラグを0にセットする。ついで、排気還流装置50cの動作が終了する。
本実施形態では、第1の実施形態と同様の効果をえることができる。さらに、排気還流装置用クーラバイパス通路140を備えることによって、内燃機関20の暖機運転が完了していないときなどの冷態時に排気還流装置用クーラ130を迂回できるので、燃焼室21〜24に高温の混合気Mを供給することができる。このことによって、NOxの発生を抑制することができる。
つぎに、本発明の第5の実施形態に係る排気還流装置を、図13,14を用いて説明する。なお、第4の実施形態と同様の機能を有する構成は、第4の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態の排気還流装置は、混合気Mの温度を検出する混合気温度検出センサ200を備える点と、制御部190cにかえて制御部190dを備える点のみが第4の実施形態の排気還流装置50cと異なる。他の構造は、排気還流装置50cと同じである。このため、本実施形態の排気還流装置に符号50dを付す。上記異なる点のみ具体的に説明する。
図13は、排気還流装置50dを示す平面図である。図13に示すように、かつ、上記したように、排気還流装置50dは、混合気温度検出センサ200を備える点と、制御部190cにかえて制御部190dを備える点とのみが、第4の実施形態の排気還流装置50cと異なる。
本実施形態では、制御手段170cに代えて、制御部190dと、冷媒温度検出センサ180と、開閉装置100と、混合気温度検出センサ200と、排気還流装置用クーラ130と、排気還流装置用クーラバイパス通路140と、流路切替バルブ装置150とから制御手段170dが構成される。
混合気温度検出センサ200は、燃焼室21〜24に供給される空気と排気Gとの混合気Mの温度を検出する。混合気温度検出センサ200は、吸気マニホールド32に設けられている。
制御部190dは、冷媒温度検出センサ180と、駆動装置102と、回転角度検出センサ102aと、駆動装置151と、回転角度検出センサ157と、混合気温度検出センサ200とに接続されている。
制御部190dは、冷媒温度検出センサ180の検出結果が送信される。制御部190は、冷媒温度検出センサ180の検出結果に基づいて、冷却水Cの温度を検出するとともに、内燃機関20の暖機運転が完了したか否かを判定する。
制御部190dと冷媒温度検出センサ180とは、冷却水Cの温度に基づいて触媒装置70の昇温が必要か否かを判定する。制御部190dと冷媒温度検出センサ180とは、本発明で言う昇温判定手段の一例を構成する。
制御部190dは、駆動装置102を制御して、開閉板101を回転する。制御部190dは、回転角度検出センサ102aの検出角度が送信される。制御部190dは、回転角度検出センサ102aの結果に基づいて開閉板101の姿勢を検出する。このことによって、制御部190dは、開口91の開度を得ることができる。より具体的には、制御部190dは、開口91が最大開き状態P1であるのか、または、最小開き状態P2であるのかなどを得ることができる。なお、開口91の開度は、開閉板101の姿勢応じて予め決定されており、制御部190dに記憶されている。制御部190dは、開閉板101の姿勢から開口91の開度を求めることができる。また、制御部190dは、内燃機関20の動作開始および動作完了を検出する。
制御部190dは、駆動装置151を制御して、回転軸155を回転する。制御部190dは、回転角度検出センサ157の検出結果が送信される。制御部190dは、回転角度検出センサ157の検出結果に基づいて、弁本体154,156の姿勢を検出する。第1,2のバルブ152,153の開度は、回転軸155の姿勢に応じて予め決定されており、制御部190dに記憶されている。制御部190dは、弁本体154,156の姿勢を検出することによって、第1,2のバルブ152,153の開度、言い換えると、排気還流装置用クーラバイパス通路140の開度と下流側排気還流通路80との開度とを検出する。
また、第1,2のバルブ152,153の開度を検出することによって、排気還流装置用クーラ130を流れる排気Gの流量と、排気還流装置用クーラバイパス通路140を流れる排気Gの流量との合計に対する、排気還流装置用クーラバイパス通路140を流れる排気Gの流量の割合を検出する。上記の排気還流装置用クーラバイパス通路140を流れる排気Gの流量の割合は、第1,2のバルブ152,153の開度に応じて予め決定されており、制御部190dに記憶されている。制御部190dは、第1,2のバルブ152,153の開度に基づいて、排気還流装置用クーラバイパス通路140を流れる排気Gの流量の割合を求めることができる。
このように、制御部190dは、回転軸155の回転を制御することによって、排気還流装置用クーラバイパス通路140に流れる排気Gの流量を制御することができる。
制御部190dは、混合気温度検出センサ200の検出結果が送信される。制御部190dは、混合気温度検出センサ200の検出結果に基づいて吸気マニホールド32内の混合気Mの温度を検出する。
つぎに、排気還流装置50dの動作を説明する。図14は、排気還流装置50dの動作を示すフローチャートである。
まず、内燃機関20の駆動開始後から暖機運転が完了するまでの動作を説明する。図14に示すように、制御部190dは、ステップST51で内燃機関20が駆動されたと判定すると、ステップST52に進む。
ステップST52では、制御部190dは、フラグが1にセットされているか否かを判定する。内燃機関20の駆動開始直後では、フラグは0にセットされており1ではない。このため、制御部190dは、フラグが1にセットされていないと判定し、ついでステップST53に進む。ステップST53では、制御部190dは、フラグを1にセットする。ついで、ステップST54に進む。
ステップST54では、制御部190dは、駆動装置102を制御するとともに回転角度検出センサ102aの検出結果に基づいて、開口91の開度を最小にする。言い換えると、開口91を最小開き状態P2にする。そして、制御部190dは、駆動装置151を制御するとともに回転角度検出センサ157の検出結果に基づいて、第1のバルブ152を全開状態にするとともに第2のバルブ153を全閉状態にする。このことによって、排気Gは、排気還流装置用クーラ130を通過することなく、排気還流装置用クーラバイパス通路140を通過する。なお、図14中のステップST54中では、排気還流装置用クーラバイパス通路140が開き、かつ、下流側排気還流通路80が閉じる状態を、バイパス率100%として表している。バイパス率とは、第1のバルブ152を通過する排気Gの流量と第2のバルブ153を通過する排気Gの流量との合計値に対する第1のバルブ152を通過する排気Gの流量の割合を百分率であらわすものである。第1のバルブ152が全開状態で第2のバルブ153が全閉状態であると、バイパス率は、100%となる。第1のバルブ152が全閉状態で第2のバルブ153が全開状態であると、バイパス率は、0%となる。バイパス率は、回転軸155の姿勢に応じて予め決定されており、制御部190dに記憶されている。制御部190dは、回転軸155の姿勢に基づいてバイパス率を求めることができる。ついで、ステップST55に進む。
ステップST55では、制御部190dは、冷媒温度検出センサ180の検出結果に基づいて、冷却水Cの温度が閾値Twhより大きいか否かを判定する。この状態は、内燃機関20の暖機運転が完了していない状態であるので、制御部190dは、冷却水Cの温度が閾値Twh以下であると判定する。ついで、ステップST56に進む。
冷却水Cの温度が閾値Twh以下であると内燃機関20を昇温する必要があるので、制御部190dは、排気Gを昇温するために触媒装置70の昇温が必要であると判定する。ステップST56では、制御部190dは、駆動装置102を制御するとともに回転角度検出センサ102aの検出結果に基づいて、開口91の開度を最小、言い換えると開口91を最小開き状態P2にする。そして、制御部190dは、駆動装置151を制御するとともに回転角度検出センサ157の検出結果に基づいて、バイパス率を100%にするべく第1のバルブ152を全開状態にして第2のバルブ135を全閉状態にする。ついで、ステップST51に戻る。
内燃機関20の暖機運転が完了するまでは、ステップST51,ST52,ST53,ST54,ST55,ST56が繰り返される。このことによって、開口91の開度が最小になるので排気Gの温度が早期昇温して触媒装置70が早期に活性化するとともに、排気Gが排気還流装置用クーラ130を迂回するので、高温の混合気Mが燃焼室21〜24に供給されてNOxの発生を抑制することができる。なお、フラグが1にセットされた後は、ステップST52からステップST55に進む。
つぎに、内燃機関20の暖機運転が完了した後、混合気Mの温度が暖機運転完了後最適温度未満である状態の動作を説明する。この状態では、開口91の開度は、最小であり、バイパス率は100%である。なお、ここで言う暖気運転完了後最適温度は、第2の実施形態で説明されたものと同じであり、本発明で言う所定温度の一例である。
制御部190dは、ステップST55で、冷媒温度検出センサ180の検出結果に基づいて冷却水Cの温度が閾値Twhより大きいと判定すると、内燃機関20の暖機運転が完了したと判定し、ついで、ステップST57に進む。
ステップST57では、制御部190dは、混合気温度検出センサ200の検出結果に基づいて、混合気Mの温度が暖機運転完了後最適温度であるか否かを判定する。この説明では、混合気Mの温度が暖機運転完了後最適温度未満であるので、制御部190dは、混合気Mが暖機運転完了後最適温度未満であると判定し、ついでステップST58を経てステップST59に進む。
混合気Mの温度が下限値TiLh未満であるため、制御部190dは、排気Gを昇温するために触媒装置70を昇温する必要があると判定する。ステップST59では、制御部190dは、回転角度検出センサ102aの検出結果に基づいて、開口91の開度が最小であるか否かを判定する。暖機運転が完了したすぐ後では、開口91の開度は最小であるので、ついで、ステップST60に進む。混合気温度検出センサ200は、本発明で言う昇温判定手段の一例である。
ステップST60では、制御部190dは、回転角度検出センサ157の検出結果に基づいて、バイパス率が100%であるか否かを判定する。具体的には、制御部190dは、第1のバルブ152が全開状態であり、かつ、第2のバルブ153が全閉状態であるか否かを判定する。
暖機運転が完了したすぐ後は、第1のバルブ152の開度が最大状態であり、かつ、第2のバルブ153の開度が最小状態であるので、ステップST51に戻る。暖気運転が完了した後、混合気Mの温度が暖機運転完了後最適温度になるまでは、ステップST51,ST52,ST55,ST57,ST58,ST59,ST60の動作が繰り替えされる。このことによって、開口91の開度が最小に保たれるとともに、第1のバルブ152が全開状態となり、かつ、第2のバルブ153が全閉状態となるので、排気Gの温度が上昇し、それゆえ、混合気Mの温度が上昇する。
つぎに、内燃機関20の暖機運転完了後、混合気Mの温度が暖機運転完了後最適温度になった状態での動作を説明する。制御部190dは、ステップST57で、混合気温度検出センサ200の検出結果に基づいて混合気Mの温度が暖機運転完了後最適温度であるか否かを判定する。この説明では、混合気Mの温度が暖機運転完了後最適温度であるので、制御部190dは、触媒装置70の昇温が不要であると判定する。ついで、ステップST51に戻る。
内燃機関20の暖機運転完了後、混合気Mの温度が暖機運転完了後最適温度である場合は、ステップST51,ST52,ST55,ST57を繰り返す。このことによって、開口91の開度とバイパス率とが維持されるので、混合気Mの温度が、暖機運転完了後最適温度に維持される。
ついで、内燃機関20の暖機運転完了後、混合気Mの温度が暖機運転完了後最適温度をこえた状態での動作を説明する。この状態では、開口91の開度は最小であるとともに、バイパス率は100%である。
制御部190dは、ステップST58で、混合気温度検出センサ200の検出結果に基づいて混合気Mの温度が暖機運転完了後最適温度より大きくなったと判定すると、ついでステップST61に進む。
混合気Mの温度が上限値TiHhより大きいため排気Gを昇温する必要がないので、制御部190dは、触媒装置70の昇温が不要であると判定する。ステップST61では、制御部190dは、バイパス率が0であるか否かを判定する。具体的には、制御部190dは、回転角度検出センサ157の検出結果に基づいて、バイパス率を検出する。この状態は、バイパス率は100%であるので、ついで、ステップST62に進む。
ステップST62では、制御部190dは、駆動装置102を制御するとともに回転角度検出センサ102aの検出結果に基づいて開口91の開度を維持する。そして、制御部190dは、バイパス率が小さくなるように、第1のバルブ152の開度を小さくし、かつ、第2のバルブ153の開度を大きくする。
具体的には、制御部190dは、駆動装置151を制御して、回転軸155を第1のバルブ152が閉じる方向でかつ第2のバルブ153が開く方向に回転する。このとき、回転軸155を所定角度β回転する。所定角度βは、予め決定されている値である。好ましくは、所定角度βは、L=1以上の自然数としたとき、第1のバルブ152の最大開度(全開状態)と最小開度(全閉状態)との間での回転軸155の回転角度が、L×βとなる値である。回転軸155を所定角度β回転する動作を複数回行った後に最小開度から最大開度になるようにする場合は、Lを例えば4,5回などの複数回に設定する。回転軸155が、第1のバルブ152が開く方向かつ第2のバルブ153が閉じる方向に所定角度β回転されると、ついで、ステップST51に戻る。
内燃機関20の暖機運転の完了後、混合気Mの温度が暖機運転完了後最適温度をこえる状態では、ステップST51,ST52,ST53,ST54,ST55,ST57,ST58,ST61,ST62の動作が繰り返されることによって、開口91の開度が維持されるとともに、バイパス率が徐々に小さくなる。このことによって、排気還流装置用クーラ130を通過する排気Gの割合が多くなるので、吸気通路38に到達する排気Gの温度が徐々に低下する。排気Gの温度が低下することによって、排気Gの温度は、暖機運転完了後最適温度に近づく。
つぎに、上記のようにステップST51,ST52,ST53,ST54,ST55,ST57,ST58,ST61,ST62の動作を繰り返した結果、バイパス率が0、つまり第1のバルブ152が全閉となりかつ第2のバルブ153が全開となったが、混合気Mの温度が暖機運転完了後最適温度をこえている状態での動作を説明する。
この状態では、バイパス率が0パーセントであり、開口91の開度が最小であり、混合気Mの温度が暖機運転完了後最適温度をこえている状態であるので、制御部190dは、ステップST61からステップST63に進む。
ステップST63では、制御部190dは、開口91の開度が最大であるか否かを判定する。具体的には、制御部190dは、回転角度検出センサ102aの検出結果に基づいて、開口91の開度を検出する。この説明では、開口91の開度は、最小であるので、制御部190dは、開口91の開度が最小であることを検出し、開口91の開度が最大ではないと判定する。ついで、ステップST64に進む。
ステップST64では、制御部190dは、バイパス率を維持する。そして、制御部10dは、駆動装置102を制御しつつ回転角度検出センサ102aの検出結果に基づいて、開口91の開度を大きくする。具体的には、制御部190dは、駆動装置102を制御しつつ回転角度検出センサ102aの検出結果に基づいて、回転軸103を開く方向に所定角度α回転する。所定角度αは、第2の実施形態で説明したものと同じであるので説明を省略する。ついで、ステップST51に戻る。
暖機運転完了後、混合気Mの温度が暖機運転完了後最適温度をこえておりかつバイパス率が0パーセントである場合は、上記のようにステップST51,ST52,ST53,ST54,ST55,ST56,ST57,ST58,ST61,ST63,ST64の動作が繰り返されることによって、開口91の開度が徐々に大きくなる。このことによって排気Gが冷却される。
つぎに、上記動作によって、混合気Mの温度が暖機運転完了最適温度未満となった状態、つまり、内燃機関20の暖機運転の完了後、混合気Mの温度が暖機運転完了後最適温度をこえた後、上記動作によって冷却されて暖機運転完了最適温度未満となった状態での動作を説明する。
この状態では、開口91の開口度は、最小ではなく、バイパス率は、0%である。このため、制御部190dは、ステップST58からステップST59に進む。ステップST59では、制御部190dは、開口91の開度が最小ではないと判定し、ステップST65に進む。
ステップST65では、制御部190dは、バイパス率を維持しつつ、開口91の開度を小さくするべく駆動装置102を制御する。具体的には、制御部190dは、駆動装置102を制御しつつ回転角度検出センサ102aの検出結果に基づいて回転軸103を閉じる方向に所定角度α回転する。ついで、ステップST51に戻る。
内燃機関20の暖機運転の完了後、混合気Mの温度が暖機運転完了後最適温度をこえた後、上記動作によって冷却されて暖機運転完了最適温度未満となった状態では、上記ステップST51,ST52,ST53,ST54,ST55,ST57,ST58,ST59,ST65の動作が繰り返されることによって、開口91の開度が徐々に小さくなるので、排気Gが昇温される。この結果、混合気Mの温度が、昇温される。
つぎに、上記動作によって開口91の開度が最小となったにも関わらず混合気Mの温度が暖機運転完了後最適温度まで昇温されていない状態での動作を説明する。この状態では、バイパス率は0%であり、開口91の開度は最小である。
この状態では、制御部190dは、ステップST59において、開口91の開度が最小であると判定し、ステップST60に進む。ステップST60では、制御部190dは、バイパス率が100%であるか否かを判定する。具体的には、制御部190dは、回転角度検出センサ157の検出結果に基づいてバイパス率を検出する。この説明では、バイパス率は、0%であるので、制御部190dは、バイパス率は100%ではないと判定し、ステップST66に進む。
ステップST66では、制御部190dは、駆動装置102を制御しつつ回転角度検出センサ102aの検出結果に基づいて開口91の開度を維持する。制御部190dは、バイパス率が大きくなるように、第1,2のバルブ152,153を制御する。具体的には、制御部190dは、駆動装置151を制御するとともに回転角度検出センサ157の検出結果に基づいて、回転軸155を第1のバルブ152が開くとともに第2のバルブ153が閉じる方向に所定角度β回転する。回転軸155が所定角度β回転されると、ついで、ステップST51に戻る。
混合気Mの温度が暖機運転完了後最低温度まで昇温されるまでは、上記ステップST51,ST52,ST53,ST54,ST55,ST57,ST58,ST59,ST60,ST67の動作が繰り返される。この結果、バイパス率が徐々に大きくなることによって、排気Gが昇温されるので、混合気Mが暖機運転完了後最適温度まで昇温される。
内燃機関20の駆動が停止されると、ステップST51からステップST67に進む。ステップST67では、制御部190dは、フラグを0に設定し、制御が終了する。
本実施形態では、第2,4の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、内燃機関20の暖機運転完了後に混合気Mの温度を暖機運転完了後最適温度になるように調整することができる。
また、混合気Mの温度を調整するために、排気還流装置用冷却装置130と、排気還流装置用冷却装置バイパス通路140とを用いることによって、混合気Mの温度を効率よく調整することができる。
また、混合気Mの温度が所定温度より小さい場合に、バイパス率の上昇より開口91を優先して閉じることで、混合気Mの昇温にあたって触媒72の温度をより早く高温にして活性状態にすることができるため、排気の浄化の点でより有利となる。
また、混合気Mの温度が所定温度より大きい場合に、バイパス率の低下を優先することで開口91を開く機会を低くし、混合気Mの冷却にあたって触媒72の温度をなるべく低下させず高温を保って活性状態を保つことができるため、排気の浄化の点でより有利となる。
なお、上記の所定温度は、本発明で言う所定温度であり、本実施形態では、一例として、暖機運転完了後最適温度である。
なお、上記各実施形態では、内燃機関20は、複数気筒の一例として、4気筒を備える構造である。しかしながら、上記各実施形態において、内燃機関20は、単気筒(1気筒)のみ備える構造であってもよい。この場合、排気系40は、排気マニホールドを備えない。
この構造の場合、排気通路41の一部が、上記各実施形態で説明された排気マニホールドと同様に用いられる。上記排気通路41の一部は、好ましくは、排気通路41において、燃焼室の近傍の位置である。例えば、排気通路41において燃焼室に連結される部分である。
そして、触媒装置70は、排気通路41の一部から離間した位置であって、かつ、少なくとも一部が車体上下方向に排気通路の上記一部に重なる位置に配置される。そして、カバー部材90が、この排気通路41の上記一部と触媒装置70とを覆う。排気マニホールド42にかえて用いられる排気通路41の上記一部と触媒装置70との位置関係は、上記各実施形態で説明された排気マニホールド42と触媒装置70との位置関係と同じでよい。同様に、排気マニホールド42にかえて用いられる排気通路41の上記一部とカバー部材90との位置関係は、上記各実施形態で説明された排気マニホールド42とカバー部材90との位置関係と同じでよい。このことによって、上記各実施形態において内燃機関20が単気筒構造であっても、各実施形態と同じ作用と効果とが得られる。
内燃機関20が単気筒構造であり排気マニホールドを備えない場合、排気通路41には、1つの燃焼室から排出される排気Gが流動する。このため、排気通路41には、常にではないが、略常に排気Gが流れる。言い換えると、排気通路41が、排気マニホールド42の合流部48によって得られる作用と同様の作用を有するようになる。
また、第1〜5の実施形態では、制御部190,190c,190dは、本発明で言う制御手段と昇温判定手段の2つの機能を有している。しかしながら、これに限定されない。昇温判定手段として、冷媒温度検出センサ180の検出結果に基づいて触媒装置70の昇温が必要であるか否かを判定する、制御部190,190c,190dとは異なる判定部があってもよい。
また、第1〜5の実施形態では、本発明で言う所定温度の一例として、暖機運転中最適温度と暖機運転完了後最適温度とが用いられた。暖機運転中最適温度と暖機運転完了後最適温度については、一例を、第2の実施形態で詳細に説明している。しかしながら、所定温度は、例えば、範囲を有さない1つの温度であってもよい。
この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
内燃機関の燃焼室に連通し排気系の一部を構成する排気通路と、
前記排気系から排気の一部を吸気通路へ導く排気還流通路と、
前記排気還流通路に形成される触媒装置と、
前記排気通路の一部と前記触媒装置とを覆うカバー部材と、
前記カバー部材に形成される開口を開閉することによって前記開口の開度を調整する開閉扉部材と、
前記開閉扉部材を制御して前記吸気通路へ導かれる前記排気の温度を調整する温度調整手段と、
前記温度調整手段を制御する制御手段と
を具備することを特徴とする排気還流装置。
[2]
前記触媒装置の昇温が必要か否かを判定する昇温判定手段を備え、
前記制御手段は、前記昇温判定手段が前記触媒装置の昇温が必要であると判定した場合、前記開閉扉部材を制御して前記開口の開度を小さくする
ことを特徴とする1に記載の排気還流装置。
[3]
前記昇温判定手段は、前記燃焼室を冷却する冷媒の温度を検出する冷媒温度検出手段を備え、前記冷媒温度検出手段で検出される前記冷媒の温度に基づいて、前記触媒装置の昇温が必要であるかまたは不要であるかを判定する
ことを特徴とする2に記載の排気還流装置。
[4]
前記燃焼室へ供給される空気と前記排気との混合気の温度を検出する混合気温度検出手段を備え、
前記制御手段は、前記混合気の温度が所定温度となるように前記開口の開度を制御することを特徴とする1から3のうちのいずれか1に記載の排気還流装置。
[5]
前記排気還流通路において前記触媒装置の下流に設けられ前記排気を冷却する冷却装置と、
前記排気還流通路において前記触媒装置の下流に設けられて前記冷却装置を迂回する迂回通路と
を備え、
前記制御手段は、前記混合気の温度が前記所定温度となるように、前記開口の開度と前記迂回通路を流れる前記排気の流量とを制御する
ことを特徴とする4に記載の排気還流装置。
[6]
前記制御手段は、前記混合気の温度が前記所定温度より小さい場合は、前記開口の開度を最小にした後に前記迂回通路を流れる前記排気の流量を変更する
ことを特徴とする5に記載の排気還流装置。
[7]
前記制御手段は、前記混合気の温度が前記所定温度より大きい場合は、前記迂回通路を流れる前記排気の流量を0にした後に前記開口の開度を変更する
ことを特徴とする5または6に記載の排気還流装置。