図1は、画像形成装置100の主要部の側面図の一例を示す。被記録媒体は第1加圧ローラ71と第2加圧ローラ72により搬送ベルト51に密着され、搬送ベルト51により記録ヘッド34と対向する位置に搬送される。記録ヘッド34は搬送ベルト51上の被記録媒体にインクの液滴を吐出する。
図2は、図1の液滴の吐出部を拡大した図の一例である。画像形成装置100は、インクを吐出する際に、インク吐出方向に略平行な電界を発生させる。例えば、図2では、記録ヘッド34のノズルプレート81が導電性の部材で構成されている。また、搬送ベルトは一様な電荷(正)で帯電されている。このため、ノズルプレート81は負の電荷で帯電し、搬送ベルトとノズルプレート81間に、インク吐出方向に略平行な電界が形成される(電界の形成方法は後に詳述する)。
図3は、液滴から発生するミストを模式的に説明する図の一例である。図3に示すように、ミストの発生の主な原因は、液滴の後端切れによるものと、着弾後の跳ね返りによるものとがある。ミストの発生時に一様な電界が存在すると、元の液滴が電気的に中性でも、ミストの電荷の分布は一方方向に偏ったものとなる(静電誘導)。搬送ベルト側が正の電荷を帯びているなら、液滴の搬送ベルト側には負の電荷が誘起され、液滴のノズルプレート81側には正の電荷が誘起される。液滴から分離するミストはノズルプレート81側の液滴の一部なので、ミストは正に帯電している。すなわち、電気的に中正でなくなる。したがって、ミストは負に帯電したノズルプレート81等に吸着されやすくなり、画像形成装置100内で回収できるようになる。
なお、図1〜3では搬送ベルトと導電性のノズルプレート81を例に説明したが、搬送ベルト51でなくプラテン方式で被記録媒体を搬送する画像形成装置100でも、液滴の飛翔中に吐出方向に略平行な電界が存在すれば、ミストを帯電させることができる。
図4は、液滴の吐出中に電界を与える構成を模式的に説明する図の一例である。搬送ベルト51上を紙面右向きに被記録媒体83が搬送されている。被記録媒体83と略並行かつ対向して、記録ヘッド34が載置されている。記録ヘッド34は、紙面に垂直方向にガイドロッド31を摺動しながらインクの液滴を被記録媒体83に吐出する。
図4では、ノズルプレート81の搬送面85側に帯電機構82が内設されている。帯電機構82は、少なくともノズルプレート81の表面を一様に正又は負の電荷で帯電させることができる。ノズルプレート81そのものを帯電させてもよい。図4ではノズルプレート81の帯電機構82が、電力供給を受け負の電荷に帯電している。ノズルプレート81が負の電荷に帯電したため、誘電分極により被記録媒体83の表面に正の電荷が与えられている。
この被記録媒体83の正の電荷と、ノズルプレート81の負の電荷が、吐出方向に略並行に(用紙に対しては垂直)に電界を作る。電界の強さは、帯電機構82の電荷の強さにより制御されるので、ミストの電荷も制御することができる。例えば、ミストの電荷は、電界の強さにほぼ比例するとしてよい。なお、被記録媒体83を負の電荷に、ノズルプレート81を正の電荷にそれぞれ帯電させてもよい。
また、図5は、ノズルプレート81と被記録媒体83の帯電方法の別の一例を示す図である。図5では、キャリッジ33に記録ヘッド34が搭載されており、記録ヘッド34は紙面を左右に摺動する。図5では、ノズルプレート81に帯電機構82が設けられているが、搬送ベルト51が電荷の供給を受けて又は受けた結果、帯電している(以下、搬送ベルト51側の帯電を搬送面85の帯電と表現する場合がある)。
被記録媒体83は正に帯電している搬送ベルト51により誘電分極され、被記録媒体83の内部の搬送ベルト51側が負に、ノズルプレート81側が正にそれぞれ帯電する。よって図4と同様の電界が生じる。
なお、搬送ベルト51の帯電方法には種々の方法が考えられるが、後述する交番電荷(被記録媒体83を搬送ベルト51に吸着するための電荷)を利用することができる。
なお、搬送ベルト51を帯電させるのでなく、プラテン(被記録媒体83の搬送台)を帯電させてもよい。また、プラテンには用紙搬送方向に並行にリブが形成されることが多いので、このリブを帯電させてもよい。
ノズルプレート81には、帯電機構82が配置されている。この帯電機構82は、図4と異なり、例えば次述する図6のような電力の供給がないコンデンサである。搬送ベルト51の表面が正の電荷で帯電した場合、被記録媒体83の搬送ベルト51側は負に誘電分極し、その結果、被記録媒体83のノズルプレート81側は正の電荷に帯電する。すると、静電誘導によりノズルプレート81の帯電機構82は負の電荷に帯電する。このように、被記録媒体83の搬送ベルト51を積極的に帯電させても、電界を発生させることができる。
図5では、ノズル面84を挟むように両側に帯電機構82が設けている。すなわち、図4ではノズル面84に帯電機構82を設けたが、図5では異なる場所に帯電機構82を配置している。なお図5においても、搬送面85とノズルプレート81の電荷は正と負が逆でもよい。
図4では、ノズルプレート81側の帯電機構82として、ノズルプレート81自体を帯電させる方法やノズルプレート81のノズル面84に帯電機構82を設ける方法を、図5ではノズルプレート81の周囲に帯電機構82を設ける方法を示した。また、図4では、被記録媒体83の表面を帯電させる方法を、図5では搬送ベルト51を帯電させる方法を示した。しかしながら、このノズルプレート81側と搬送ベルト51側の帯電機構82の組み合わせは任意である。ノズルプレート81側と搬送ベルト51側の両方に電力供給して帯電させることもできる。また、例えば、インクの組成によるイオン化の傾向などでより最適な方法を取ることができる。
また、図4及び図5に示す被記録媒体83の搬送面85に、電荷を乗せることが可能であれば、図1に示したような搬送ベルト方式に限定せず、リブ搬送方式やエア吸引方式のプラテンにも適用できる。
次に、図4の画像形成装置100の帯電方法の作用を説明する。まず、ノズルプレート81側の帯電機構82として、ノズルプレート81のノズル面84、又は、ノズルプレート81自体に電荷を持たせる構成では、ノズルから吐出される液滴により近い部分でかつ吐出方向により水平に近い電界を作用させることができる。このためミストを帯電させやすく、かつ、電荷の分布コントロールが効率よく行える利点がある。
一方、ノズルプレート81のノズル面84に帯電機構82を配置することは技術的に難しく、記録ヘッド34の性能悪化が起きるおそれがある。また、ミストの電荷とノズルプレート81の電荷の正負が反対になるために、ミストがノズルプレート81に引き寄せられて付着し吐出不良を誘発するおそれがある。さらにインクと触れる部分が帯電してしまうと、インクとノズルプレート81間で電荷交換が発生し酸化還元反応を誘発するおそれもある(酸化還元反応に関しては後に詳細に説明する)。
また、図4に示すように誘電分極で搬送ベルト51側に電荷を乗せる場合、被記録媒体83を直接帯電させないので排紙側において被記録媒体83の処理が容易になるという利点がある。さらに、被記録媒体83を帯電させてしまうと、ノズルプレート81側にある逆の電荷に被記録媒体83自体が引き寄せられるが、誘電分極で搬送ベルト51側に電荷を乗せる場合、被記録媒体83の上側への浮きを誘発するおそれがない。また、搬送ベルト51などを利用した搬送の場合など、被記録媒体83の表面電荷を除電したほうが被記録媒体83の吸着力が増すので、搬送が容易になるという点でも有利である。しかし、図4の例では、ノズル面84と帯電した帯電面との距離が長くなり、電界が弱くなるというデメリットもある。
次に、図5においてノズル面84に帯電機構82を設ける場合のメリットを説明する。この場合、ノズルプレート81に付着するミストの問題やインクとノズルプレート81間で生じる電荷交換の問題は解消される。しかし、発生する電界が、ノズル口から遠くなることと、電界の方向が液滴の吐出方向に対して水平でなくなることから、ミストが帯電しにくくなり、また、電荷のコントロールの効率が悪くなるおそれがある。
以上説明したように、ミストの発生のプロセス中に、制御された電界を形成することで、吐出するインクは中性でも、発生するミストを帯電させることができる。ミストの電荷と電界の強さには相関関係があるので、ミストの電荷をコントロールすることもできる。吐出する液滴そのものに電荷を乗せない(電気的に中性なインクを吐出する)ため、インクの品質を安定させることができる。すなわち、インクに電荷を乗せるためにインクそのものに電荷を与えると、インク中のイオンと電極の間で電荷交換が起こり、正極側にアノード腐食、負極側にカソード腐食現象が起こる(酸化還元反応)。そのためインク成分そのものが変化する、又は、電極の金属表面からイオン化した金属が遊離し、瞬間的に結晶化する。さらに、電荷を与える電極が腐食すると電極表面に膜ができて電荷を与えられなくなるという問題も発生する。本実施例ではこれらの不都合を回避することができる。
図6を用いて、ノズルプレート81の帯電機構82を詳細に説明する。この帯電機構82は、図4又は図5のノズルプレート81に搭載できる。図4のノズルプレート81に搭載する場合、接続切り替え機構から電力を供給すればよい。
図6は、コンデンサ方式を採用した、ノズルプレート81の帯電機構82を模式的に示す図の一例である。コンデンサ部は、誘電体(絶縁体)822を挟んで2枚の電極821,823を有する。2枚の電極はそれぞれ接続切り替え機構86と電気的に接続されている。コンデンサを内設することで、ノズルプレート81の帯電が容易になる。
このコンデンサ部の2つの電極821,823の少なくとも一方に電荷を与える方法として、接続切り替え機構86が積極的に電位差を与える構成と、搬送面85の電荷が静電誘導により帯電させる方法がある。静電誘導により帯電させる場合、強い電界を形成しにくいことや、搬送面85の電荷などの逆電位体にノズルプレート81を近づける必要があるというデメリットがある。一方、ミストの帯電効率は多少下がっても、ノズルプレート81側に電位差を発生させる機構がいらず構成の簡素化が容易というメリットがある。
図6の例では搬送面85の電荷を利用した静電誘導による、帯電機構82の帯電を示している。なお、図6のノズルプレート81側と搬送面85側の電荷は反対でもよい。
続いて、図7を用いて、ミストの回収について説明する。図7は、キャリッジ33と搬送面85を上視した平面図の一例を示す。キャリッジ33は各色のインクカートリッジを搭載しており、キャリッジ33はガイドロッド31に案内され、紙面を左右に摺動する。搬送ベルト51は、搬送ローラ52と不図示の従動ローラ53に系架された無端ベルトになっており、ガイドロッド31の軸方向と垂直方向に回転移動する。被記録媒体83は、静電気又は吸気による吸着力により搬送ベルト51側に吸着された状態で搬送ベルト51上を紙面下方向に搬送される。被記録媒体83は半月ローラにより画像形成装置100の外部のトレイ上に排紙される。
この搬送ベルト51はプラテン方式を採用しており、被記録媒体83の移動方向に平行な筋状のリブ90を有し、リブ90以外の部位がプラテン部吸収体89になっている。また、キャリッジ33の一方の端部には空吐出部87が、他方の端部には維持部88が、それぞれ設けられている。そして、空吐出部87の一部に空吐出部吸収体872が、維持部88の一部に維持部吸収体882が、それぞれ設けられている。なお、空吐出部87は空吐出受け88を有し、維持部88はクリーニング機構884及びキャップ機構883を有する。クリーニング機構884はクリーニングブレード885を有し、キャップ機構883はキャップ881を有する。
図7のような画像形成装置100では、帯電させたミストを回収する方法として、既存の排インク吸収体と空吐出部吸収体872又は維持部吸収体882を共通にすることができる。既存の排インク吸収体は、空吐出受け88やクリーニング機構884、及び、その周辺部をいう。空吐出部吸収体872又は維持部吸収体882を既存の排インク吸収体と共通にすることで、共通化によるコストダウンだけでなく、大容量の排インク部にてミストを回収することができ、マシン寿命までの維持部88のメンテナンスや交換が不要になるというメリットがある。また、排インク吸収体としてインクタンクなどを交換可能とした画像形成装置100では、回収したミスト毎の交換も可能になり、排インクと共に交換することで空吐出部吸収体872又は維持部吸収体882のメンテナンスが不要であるというメリットもある。
また、ミストは回収時に空吐出部吸収体872又は維持部吸収体882の表面に固着してしまうが、排インク吸収体と空吐出部吸収体872又は維持部吸収体882を共通とすることで、排インクに含まれるインクの溶剤が(インクの組成にもよるが)、ミストを溶かして流すことで、ミストがミスト回収部の表面に付着して留まることによるミスト回収の効率が下がる不都合を解消する効果も期待できる。
図7の例では、既存の維持部88や空吐出部87の空吐出部吸収体872又は維持部吸収体882、及び、プラテン部吸収体89などに電荷を与えてミストを吸着させる。繊維などのインクを吸収するような部材で、空吐出部吸収体872、維持部吸収体882又はプラテン部吸収体89がミストを吸着する場合、ミスト吸着後はミストの吸収(流れ)を良くするためにミスト(インク)と各吸収体の間の電位差をなくすことが好ましい。電位差をなくす方法としては、各吸収体の電荷を物理的に切り替える方法と、ミストと、各吸収体との電荷交換により電位差をなくす方法がある。
なお、プラテン部吸収体89がミストを回収する場合、ミスト発生時の搬送面85の電荷の正負と、ミスト吸収時の搬送面85の電荷の正負を反対にする必要がある。すなわち、図3に示したように、搬送面85が正の電荷に帯電している場合、ミストも正に帯電するので、ミスト吸収時には搬送面85の電荷を負にすることで、プラテン部吸収体89とミストに引力を作用させる。
図8を用いて、ミストの回収の別の形態について説明する。図8は、図7の構成に加え、ミストを反発させるための帯電機構91を有する。帯電させたミストを回収する既存の排インク吸収体(空吐出部87、維持部88)の近傍に、ミストと同電位の帯電機構91が配置されている。
図8の構成では、空吐出部吸収体872と維持部吸収体882とがミスト吸収体となると共に、さらにミストの発生量が多い空吐出部87と維持部88の近傍にミストと同電位(ミストを反発する方向)の帯電機構91が設けられている。このような構成の場合、ミストの付着を嫌うエンコーダセンサ92とミスト吸収体の間に、ミスト発生源であるノズルプレート81を配置することが好ましい。こうすることで、ノズルプレート81からプラテン部吸収体89に向けて発生したミストを、エンコーダセンサ92から遠ざけることができ、ミストもミスト吸収体に近くなるので回収効率を上げることができる。
ここで、図示しないインクチューブによるインクの供給システムを採用している画像形成装置100では、出荷時にチューブ内に充填液などが入っている場合がある。このような構成では通常、初期インク重点時に充填液は排インクとして捨てられるが、図8の構成では、空吐出部吸収体872に充填液を浸す構成にすることができる。したがって、空吐出部吸収体872にミストを吸着させると、充填液によりミストが溶解され空吐出部吸収体872に染み込ませる構成とすることができる。したがって、より多くのミストを回収できるというメリットがある。
図8のミストを反発する方向に帯電した帯電機構91の作用について説明する。図9は、図8の帯電機構91の作用を模式的に説明する図の一例である。図9のミスト吸収体は、空吐出部吸収体872又は維持部吸収体882のいずれであってもよい。上記のように、ミストを反発させるためエンコーダセンサ92の周辺に帯電機構91を設けた。エンコーダセンサ92が絶縁体の場合、誘電分極により図9の左に示すように、エンコーダセンサ92の厚み方向に電界が生じる。見かけ上、エンコーダセンサ92の帯電機構91側には負の電荷が帯電する。
これに対し、ミストの電荷は正である。したがって、ミストと同電位の帯電機構91(ミスト反発側)とエンコーダセンサ92との間にミストが侵入すると、クーロン力は逆にエンコーダセンサ92にミストが付着する方向に作用する。
よって、帯電機構91(ミスト反発側)とエンコーダセンサ92との間にミストが進入しない構成にする必要がある。
図9の右の構成では、帯電機構91(ミスト反発側)とミスト吸収体(空吐出部吸収体872又は維持部吸収体882)の間にエンコーダセンサ92が配置されている。この場合、エンコーダセンサ92のミスト発生源の側が正に分極するので、ミストの電荷と同じになり、ミストがエンコーダセンサ92に付着することを防止しやすくなる。
このように、ミスト発生源やミスト吸収体(空吐出部吸収体872又は維持部吸収体882)、エンコーダセンサ92などの配置に応じて、図9の左の構成と右の構成を使い分けることが望ましい。すなわち、ミストとエンコーダセンサ92の物理的な隔離が可能なら図9の左のように構成し、物理的な隔離が困難なら図9の右のように構成する。なお図9では帯電機構91(ミスト反発側)が正に、ミスト吸収体が負に帯電しているが、反対の電荷でもよい。
図10は、エンコーダセンサ92そのものを帯電させた場合のミストの回収を説明する図の一例である。図10では、エンコーダセンサ92そのものがミストと同電位の電荷に帯電されている。なお、エンコーダセンサ92は導電体でも誘電体でもよい。
この構成では、エンコーダセンサ92とミスト吸収体(空吐出部吸収体872又は維持部吸収体882)の間に強い電界を形成することは困難であるが、ミストと同電位の帯電機構91(ミスト反発側)とエンコーダセンサ92との間にミストが侵入することによるエンコーダセンサ92が汚れることを解決することが可能である。
この場合、エンコーダセンサ92を導電体で形成しエンコーダセンサ92の一部を接地することで、静電誘導により帯電させる方法をとることもできる。静電誘導による帯電では誘電分極と比較してより強い電界が形成しにくいため、ミスト吸収体(空吐出部吸収体872又は維持部吸収体882)などの逆電位体に近づける必要があり、ミスト付着のリスクは多少上がる。しかし、新たに電位差を発生させる機構を設ける必要がなく、低コストや小型化が容易になるメリットがある。なお図10ではエンコーダセンサ92が正に、ミスト吸収体(空吐出部吸収体872又は維持部吸収体882)が負に帯電しているが、反対の電荷でもよい。
図11は、気流をつくることでミストを効率的に回収する構成を有する画像形成装置100の一例を示す。図11では、空吐出部87と維持部88に向けて送風するファン93が設けられている。最も多くのミストが発生する空吐出部87と維持部(ミスト発生源)88から、帯電機構(ミスト吸収体)94、プラテン部吸収体89、エンコーダセンサ92の順で気流が流れる。
画像形成装置100の平面視、左右の両側にファン93を設けることで、右側と左側の気流がそれぞれ円を描くように流れる。ファン93の対向面には、帯電機構(ミスト吸収側)94が設けられているので、最も多くのミストが発生する空吐出部87と維持部88で発生したミストは帯電機構(ミスト吸収側)94に効率的に吸収される。ミストが正に帯電している場合、画像形成装置100は帯電機構(ミスト吸収側)94を負に帯電させる。ミストと帯電機構(ミスト吸収側)94を、それぞれ反対の電荷としてもよい。
なお、この構成の場合、ファン93は図示しないエレキ部品などの冷却用のファン93、又は、エア吸引搬送用のファン93と共通化する様に配置することが好ましい。また、図11に示したように、ファン93に対向する面は他の部材に干渉しないので、帯電機構(ミスト吸収体)94を配置しやすい。
図12は、気流をつくることでミストを効率的に回収する構成の別の一例を説明する図である。図12は、ノズルプレート81と搬送面85の側面図である。ノズルプレート81と搬送面85の間を、キャリッジ33の後方から帯電機構(ミスト吸収側)94に向けて不図示のファン93が送風している。気流は、ミスト発生源、帯電機構(ミスト吸収側)94、不図示のエンコーダセンサ92の順で流れ、側面視、円形状の気流となる。
したがって、マシン後方のやや下方からマシン前面下方、マシン前面上方という気流を作ることで、効率的にミストを回収でき、また、図面の左側(画像形成装置100の後方)にあるエンコーダセンサ92からミストを遠ざけることができる。
なお、図12の構成の場合、不図示のファン93は、エレキ部品などの冷却用のファン93、又は、エア吸引搬送用のファン93と共通化する様に配置することが好ましい。また、図12に示したように、ファン93に対向する面は他の部材と干渉しないので、帯電機構(ミスト吸収体)94を配置しやすい。
また、図11、12に図示した、気流による効率的なミスト回収を行う場合、ミストが画像形成装置100の外部に流出しないようにする必要がある。マシン外部へのミストの流出は、画像形成装置100の設置面や壁などを汚すためである。したがって、図11又は図12の構成の場合、画像形成装置100の筐体、特にファン93に対向する面の隙間、気流が垂直に衝突する面の隙間等にミスト吸収体を配置する。これにより、排出前にミストを回収し、外部へのミスト流出を防ぐことができる。
図13は、ミストと帯電機構(ミスト吸収体)94の電荷交換を説明する図の一例である。図ではミストが正に、帯電機構(ミスト吸収体)94が負にそれぞれ帯電しているが、電荷は逆でもよい。
図13の帯電機構(ミスト吸収体)94は導電体であるとする。帯電機構(ミスト吸収体)94を導電体で構成することで、帯電機構(ミスト吸収体)94に付着したミストは帯電機構(ミスト吸収体)94との間で電荷交換を行う。このため、回収したミストと帯電機構(ミスト吸収体)94との間の電位差が相対的に小さくなり、両者間の引き付け力が弱まる。引きつけ力が弱まると、回収したミストが自重で下に落ちていき回収部に留まらないため、多くのミストを回収できるというメリットがある。
ミスト中のイオンと帯電機構(ミスト吸収体)94の間で電荷交換が起こるため、帯電機構(ミスト吸収体)94の表面が腐食するおそれがあるが、ミストの電荷は小さいので、帯電機構(ミスト吸収体)94のコーティング等により対応できる。
図14は、帯電機構(ミスト吸収体)94の表面が腐食する問題に対応するために、絶縁層で覆われた帯電機構(ミスト吸収体)94の一例を示す。帯電機構(ミスト吸収体)94を絶縁層115で覆うことで、ミスト中のイオンと帯電機構(ミスト吸収体)94の間で電荷交換が起こることによる帯電機構(ミスト吸収体)94の表面の腐食問題は解決できる。しかし、回収したミストが留まってしまうので、回収効率(回収量)を下がる別の不都合を生じさせる。なお、絶縁層115は例えばゴムや樹脂などである。
そこで、図14では、回収したミストが回収部に留まらないように、ミスト回収後に帯電機構(ミスト吸収体)94の電位を反転させる。例えば、定期的に、帯電機構(ミスト吸収体)94の電位を正から負、負から正に切り替える。こうすることで、回収されたミストと帯電機構(ミスト吸収体)94の間に反発力が作用して、回収されたミストが自重により下に落ちていくので帯電機構(ミスト吸収体)94の面に留まることを防止できる。
このような構成にすることで回収したミストが帯電機構(ミスト吸収体)94の面に留まって回収効率(回収量)を下げる不都合を解決できる。なお、図示はしていないが、排インク吸収体と空吐出部吸収体872及び維持部吸収体882を共通にすることで、帯電していない排インクと帯電している回収したミストの間で電荷交換が起き、ミストと空吐出部吸収体872及び維持部吸収体882の電位差が小さくなり自重によりインクを下に落とすこともできる。なお、図14ではミストが正に、帯電機構94(ミスト吸収体)が負にそれぞれ帯電しているが、電荷は逆でもよい。
また、絶縁層115の代わりに、又は、絶縁層115に重ねて撥水コーティングを形成してもよい。撥水コーティングは例えばテフロン(登録商標)に代表されるフッ化樹脂である。こうすることで、ミストの回収がより容易になる。
図15を用いて、絶縁コーティングされたミスト吸収体110の電荷の切り替えを説明する。これから説明するミスト吸収体110は、ミストの回収部(空吐出部吸収体872,維持部吸収体882、帯電機構(ミスト吸収体)94)に共通に適用できる。しかし、本実施形態ではミスト吸収体110をノズルプレート81に搭載することを想定しているので、改めてミスト吸収体の符号を110とする。
図15は、ミスト回収時とミスト吸収時のミスト吸収体110をそれぞれ示す。ミスト吸収体110は、2つの層に分かれており、上層は絶縁層115で繊維などがコーティングされた、ミストを吸収できる絶縁吸収体111である。下層は導電体112であり、帯電切り替え機構95と接続されている。
図の例では絶縁吸収体111はスポンジ状の部材を採用している。絶縁吸収体111はミストと電荷交換しないので腐食を防止でき、絶縁吸収体111に吸収されたミストは絶縁吸収体111の内部を移動できる。ミストの回収時には図15の上図の例で示すように、帯電切り替え機構95は導電体112をミストと逆電位(図15の例ではマイナス側に帯電)の電荷を帯電させる。導電体112を負に帯電させることで、誘電分極によりミストを回収する絶縁吸収体111は、導電体側が正に、その反対側が負にそれぞれ帯電される。よって正に帯電したミストは、絶縁吸収体111に近づくようなクーロン力を受ける。
次に回収したミストを絶縁吸収体111の表面に留まらせないようにするために、帯電切り替え機構95はミスト吸収のプロセスを実行する。このプロセスの際、図15の下図に示すように、帯電切り替え機構95は導電体112を正に帯電させる。すると、絶縁吸収体111が回収したミストは、導電体側に移動しやすくなり、絶縁吸収体111の表面に留まらせずに内部まで導くことができる。なお図中での電荷は例としてプラスとマイナスを決めているので、逆の電荷でも問題はない。
続いて、ノズルプレート81のミスト回収体110について説明する。図16は、キャリッジ33のノズルプレート81の周囲に設けたミスト回収体110を説明する図の一例である。図16の左図はキャリッジ33に取り付けられたミスト回収体110を用紙搬送の下流側(正面)から見た図である。また、図16の右図はキャリッジ33に取り付けられたミスト回収体を搬送面(底面)85から見た図である。
すでに説明したようにノズルプレート81にはミストを帯電させるための帯電機構82が設けられる場合がある。図では、ミストを帯電させるための帯電機構82とミストを回収するミスト回収部110を同一としている。同一にすることで、機構を簡易にできることに加え、図3に示したように、帯電させるための電荷と回収するための電荷の極性が同じなため、ミストの発生と同時に効率的に回収できる。なお、ミストを帯電させるための帯電機構82とミストを回収するミスト回収体110を別々に分けることも可能である。
図示するように、ミスト回収体110はミストの発生源であるノズル面84のすぐ近傍にあり、またヘッド走査方向にノズル面84を挟むように配置されていることが望ましい。この理由は、第一に、往復動作をしながら印字するキャリッジ33が発生させたミストを発生後に速やかに効率的に回収できるためである。また、第二に、維持部88にて容易にミスト回収体110のメンテナンスが行えるため、ミスト回収体110にミストが付着することで回収効率が下がる問題や、ミスト回収体110の寿命の問題を解消することができる。
しかしながら、キャリッジ33の下面におけるミスト回収は、回収したミストが垂れ下がり被記録媒体83と擦れることによって被記録媒体83を汚すおそれ、さらに、ノズル近くでのミスト回収は、ノズル部にミストが付着しノズルダウンを誘発するおそれがある。
図17は、ノズルプレート81のミスト回収体110に設けられた絶縁層115の作用を説明する図の一例である。ミスト回収体110を絶縁層115で覆うことで、ミスト回収体110の表面が腐食することを防止することができる。また、ミストの電荷を保存することで、回収されたミストの電荷を維持部88で利用することができる。なお、ミスト回収体とミストの電荷は図と反対でもよい。
ミスト回収体110の表面の腐食とは、上記と同じく電荷交換よるものである。ミスト回収体110の表面に絶縁層がない場合、インク中のイオンとミスト回収体110の表面の間で電荷交換が起こり、ミスト回収体110が正極の場合はアノード腐食、負極の場合はカソード腐食が起こる。そのためミスト回収体110の金属表面からイオン化した金属が遊離し、瞬間的に結晶化する。さらに電荷交換によりインク成分そのものが変化し固着する現象も起こる。
図18は、ミストの回収を模式的に説明する図の一例である。図18では、回収されたミストの電荷をメンテナンス時に利用する。図17にて説明したミスト回収体110に絶縁層115を設けた構成の場合、回収後もミストの電荷は保存される。
したがって、維持部88のクリーニングブレード885が、ミストをクリーニングする際、帯電切り替え機構95が、ミスト吸収体110を回収されたミストと逆極(図の例では負から正にする)に帯電させることで、回収されたミストをミスト回収体110から引き離す方向にクーロン力を持たせることができ、より効率的なメンテナンスが行える。
さらに、維持部88(特許請求の範囲の第2の帯電切り替え手段に相当)がクリーニングブレード885を、回収されたミストと同極(図の例では負)に帯電させることで、回収されたミストをクリーニングブレード885に引き付ける方向にクーロン力を持たせることができ、より効率的なメンテナンスが行える。維持部88にとって、クリーニング時であることは既知である。
クリーニングブレード885はゴムや樹脂などの絶縁層116で覆われている。これにより、ミスト吸収体110とクリーニングブレード885の間の電荷交換を寄り確実に防止できる。なお、図18に示した正負の電荷は一例であり、正と負を反対にしてもよい。
図19は、ノズルプレート81にミスト回収体110を搭載し、ミスト回収体110と付着したミストを模式的に説明する図の一例である。また、図20は、図19のAA'線断面図の一例である。
図20に示すように、図19では、ミスト回収体110の表面が長手方向(維持部88におけるワイピング方向:ノズル穴が並ぶ方向)と並行に複数の凹部を有する。帯電切り替え機構95は、ミスト回収時にミスト回収体を、ミストの電荷と逆電荷に帯電し、その表面にミストを吸着する。
ここで、被記録媒体83とヘッド面との距離は、正確な画像形成やミスト発生を低減するという要請から、短い方が好ましいが、あまり短いと被記録媒体83の波打ちや浮きの影響から、被記録媒体83とヘッド面とがこすれる。このため、被記録媒体83とヘッド面との距離は、概ね1mm〜2mm程度が一般的である。
ミスト回収体110にはミストが付着するため、回収されたミストが下側に垂れて被記録媒体83が接触すると被記録媒体83を汚してしまう。このミストの垂れにより被記録媒体83と接触することを防止するため、図20に示すようにミスト回収体110の少なくとも一部はヘッド面よりも上側に凹んでいることが好ましい。
図19、20では、搬送面85と対向するミスト回収体110の面に、ほぼ一定間隔に複数の凹部が設けられている。ミスト回収体110によって回収されたミストは、表面張力の作用によりこの凹部に溜まる。凹部はノズル面84よりも上側なので、回収されたミストが下側に垂れても被記録媒体83と接触するには多くの量のミストが必要なり、実質的にはミストと被記録媒体83との接触を防止できる。また、ミスト回収体110とミストの極性を逆にすれば、ミストはクーロン力によりさらに凹部に集まりやすくなる。このように、ミスト回収体110に凹凸をつけることで、回収したミストをヘッド面より下方に垂れさせないようにできる。
そして、ミスト回収体110のメンテナンス時には、回収されたミストはクリーニングブレード885によって除去される。クリーニングブレード885は、ミスト回収体110の表面の凹凸のなす方向と、直交する方向に摺動面の長手方向を有し、表面の凹凸のなす方向に並行にワイピングする。
図19、20では、ミスト回収体110の凹凸の間隔を短くした。このような構成では、クリーニングブレード885がミスト回収体110の凹部に入り込めない部分が生じる可能性がある。しかし、ミスト回収体110の凹凸の間隔を短くすることで、回収されたミストは、ミスト回収体110の凹形状の奥(上)側に入り込むので、ヘッド面から下方に極めて垂れにくい構成となる。
なお、図19、20の例では、ワイピング方向に並行に波形状をした凹凸が設けられているが、ミスト回収体110の凹凸の形状は平面で形成されていてもよいし、断面視が矩形状の凹凸でもよい。ミスト回収体110の凹凸形状は、ミストとミスト回収体110の表面の濡れ性、ミストの表面張力、ミストの帯電量、ミスト回収体110とミストとの電位差による吸引力、等のバランスにより決定される。
図21は、図19と凹部の形成方向が90度異なるミスト回収体110の一例を示す。図21では、クリーニングブレード885のワイピング方向に対して垂直方向に比較的間隔の広い波形状をした凹部が形成されている。また、凹部の底とノズル面84との距離も比較的浅い。このような構成にすることで、図19の構成に比べミストの回収量は若干劣るものの、クリーニングブレード885がミスト回収体110の凹凸の表面を摺動するように移動するため、クリーニング手段がクリーニングブレード885でミスト回収体110を拭き取る際、拭き残りを防止することができる。
図22は図21のB−B'線断面図の一例を示す。図22(a)に示すように、ミスト回収体110が回収したミストは、凹凸部の凹部に滞留する。図22(a)ではミスト回収体110とミストの極性が逆である。
これに対し、図22(b)に示すように、ミスト回収体110のメンテナンス時には、ミスト回収体110の電荷の極性をミストの電荷の極性と同じにすることで、ミストを剥がれ易くすることが望ましい。更に、メンテナンス時には、クリーニングブレード885を導電性部材で構成し、ミストと逆電位もしくはアース接地にすることが望ましい。
ミストやクリーニングブレード885をこのような極性にして、クリーニングブレード885がワイピング方向に移動する。クリーニングブレード885は、ミスト回収体110の表面の凹凸のなす方向と、並行な方向に摺動面の長手方向を有し、表面の凹凸のなす方向と直角にワイピングする。こうすることで、クリーニングブレード885の摺動面が凹部に入り込みミストを効率よく拭うことができる。
なお、図21、22の例では、ミスト回収体110の凹凸形状は、クリーニングブレード885の大きさや形状、ミストとミスト回収体110の表面の濡れ性、ミストの表面張力、ミストの帯電量、ミスト回収体110とミストとの電位差による吸引力、等のバランスにより決定される。
図23は、回収したミストをクリーニングブレード885が拭き取る際の、ミスト回収体110の電荷の与え方を説明する図の一例である。ミスト回収体110で回収されたミストを、クリーニングブレード885が拭き取る際、帯電切り替え機構95はミスト回収体110の電位をミストと同じ電位とする。こうすることで、ミストを剥がれ易くすることができる。
さらにメンテナンス時は、図18に示したように導電性のクリーニングブレード885を、ミストと逆電位又はアース接地にすることが望ましい。このような構成にすることで、図18で示したようにクリーニングブレード885が、ミスト回収体110の凹部と接しない部分ができても、ミストの拭き残しを少なくすることができる。なお、図23に示した正負の電荷は一例であり、正と負を反対にしてもよい。
図24は、キャリッジ33の側面図を、図25はキャリッジ33、空吐出部87及び維持部88の平面図を、それぞれ示す。図24、25の不図示のミスト回収体110には、図6で示したコンデンサ方式の帯電機構82及び接続切り替え機構86を採用している。したがって、これまで説明した帯電切り替え機構95が接続切り替え機構86に置き換わった態様となる。図24、25の構成では、簡単な構成でキャリッジ33に取り付けたミスト回収体110の電荷の極性を切り替えることができる。
図6で示した接続切り替え機構86として、図24では板バネ102とアース切替板101を使用する。さらに、コンデンサ方式のミスト回収体110の帯電は、搬送面85の電荷による静電誘導を利用する。アース切替板101と板バネ102が接続されている場合、ミスト回収体110がアース(接地)される。
図25(a)では、キャリッジ33の移動範囲を、Aと2つのBとCとに区分している。移動範囲Aは画像形成時の移動範囲であり、左の移動範囲Bは空吐出部87に対応した移動範囲であり、右の移動範囲Bは画像形成から維持部88に至るまでの移動範囲であり、移動範囲Cは維持部88に対応した移動範囲である。
図25(b)は、接続切り替え機構86が制御する帯電機構82の状態と、キャリッジ33の移動範囲の関係を示す。画像形成装置100は、キャリッジ33が移動範囲Aを移動中、アース切替板101を板バネ102と導電状態にする。すなわちアース切替板101と板バネ102が接続される。なお、ミスト回収体110のコンデンサも2枚の電極が電気的に接続される。そのため、キャリッジ33と対抗する搬送面85の電荷の影響を受けて、静電誘導によってコンデンサの搬送面85側の層は、搬送面85とは反対の電荷がチャージされる。
図25の移動範囲Bでは、画像形成装置100はアース切替板101と板バネ102を切断する。ミスト回収体のコンデンサの2枚の電極も接続されない。そのため、搬送面85でチャージされたコンデンサの電荷は維持される。
図25に示す移動範囲Cでは、画像形成装置100は、アース切替板101と板バネ102の断接を、クリーニングブレード885の動作で切り替える。クリーニングブレード885がミスト回収体をワイピングする際、画像形成装置100は、アース切替板101と板バネ102を接続する。これにより、ミスト回収体110のコンデンサの電極は互いに電気的に通電され、クリーニングブレード885が持つ電荷(ミストと逆極性)によって、コンデンサはクリーニングブレード885の電荷と逆極性に静電誘導される。このような構成とすることで、メンテナンス時のミスト回収体110、ミスト、及び、クリーニング部材の電荷分布は図18のようになる。したがって、回収したミストの効率的な除去(メンテナンス動作)が可能になる。すなわち、キャリッジ33に帯電機構を設けることが不要になる。
このような動作は、例えば、メインのシステム(CPU)がキャリッジ33の位置をエンコーダセンサ92で検出して、アース切替板101と板バネ102の導電状態、及び、コンデンサの電極の導通状態を制御することで実現できる。
図26は、クリーニングブレード885によるミスト回収体110の拭き残りを説明する図の一例である。図26(a)では、ミスト回収体110をクリーニングブレード885がふき取っても、右端に拭きのこりミスト97が堆積している。これはミスト回収体(ノズルプレート81)110とキャリッジ33に段差があり、クリーニングブレード885が届かないためである。
また図26(b)では、拭きの残し防止のため、ミスト回収体110(ノズルプレート81)の周囲に非導電部材98が取り付けられている。非導電部材98は、ミスト回収体110(ノズルプレート81)とキャリッジ33に段差が生じないようにミスト回収体110を取り囲んで設けられている。こうすることで、ミスト回収体110(ノズルプレート81)が回収したミストがキャリッジ33との段差に流出することがなくなり、ミストは必ず凹部に溜まる。したがって、図26(b)に示すように、ミスト回収体110(ノズルプレート81)の周囲に非導電部材98を配置することで、クリーニングプレート全ての凹部をワイプすることができ、ミストの拭き残しを防止することができる。
図27は、絶縁層で覆われたノズル面84とミスト回収体110の一例を示す図である。ノズル面84の搬送面85と対向する側には絶縁コーティング121が施されている。絶縁コーティング121により、帯電機構82は左右に2つに分割される。また、ノズルプレート81は接地していない。なお、この帯電機構82はミスト回収体110を兼ねている。
この場合、ノズルプレート81と帯電機構82と間に電位差があると、ノズルプレート81が帯電機構82を静電誘導するおそれがある。このため、帯電機構82は、ノズルプレート81の静電誘導による影響を無視できる程度に、ミストと逆電位の強い電荷を持つことが好ましい。
ノズルプレート81に絶縁層121を用いることで、対抗する搬送面の電荷の影響を少なくしミストのノズルへの付着を防止することができる。
さらに、ノズルプレート81を接地させないことで帯電機構82から電荷が逃げないようにして、ノズルプレート81が静電誘導により生じさせる電荷の偏りを少なくすることができる。なお、図27に示した正負の電荷は一例であり、正と負を反対にしてもよい。
図28は、図27の変形例を示す図である。ノズルプレート81を図27よりも広くして、帯電機構82(ミスト回収体110)と一体にしている。すなわち、ノズル面84にもコンデンサの一方の電極が配置されている。流路板96があるため、流路板96に対向したノズルプレート81の一部には、反対側の電極が存在しない。なお、ミスト回収体110には静電誘導による電荷の移動を利用する。
こうすることで、流路板96に対向したノズルプレート81の一部の極性を、ノズルプレート81の他の部分よりも相対的に、ミストと同極性(ノズルプレート81の他の部位と逆の極性)にすることができる。したがって、液滴とミストが接しやすい部分である、ノズルプレート81の一部へミストの付着を防ぐことができる。なお、図28に示した正負の電荷は一例であり、正と負を反対にしてもよい。
続いて、インクジェット方式の画像形成について説明する。図29は、画像形成装置の側面の断面図を、図30は要部の平面図を、それぞれ示す。
左右の側板21A、21Bに横架したガイド部材であるガイドロッド31とステー32とでキャリッジ33を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して図30の矢示方向(キャリッジ主走査方向)に走査する。
このキャリッジ33には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインクの液滴を吐出するための液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド34a、34b(区別しないときは「記録ヘッド34」という。)を有する。記録ヘッド34は、複数のノズルからなるノズル列を、主走査方向と直交する副走査方向に有し、液滴の吐出方向を搬送面85に向けて装着している。
記録ヘッド34は、それぞれ2つのノズル列を有し、記録ヘッド34aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、記録ヘッド34bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。
記録ヘッド34を構成するインクジェットヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものなどを使用できる。
また、キャリッジ33には、記録ヘッド34のノズル列に対応して各色のインクを供給するための液体容器で構成した液体収容容器としてのヘッドタンク35a、35b(区別しないときは「ヘッドタンク35」という。)を搭載している。このヘッドタンク35には各色のインク供給チューブ36を介して、カートリッジ装填部4に装着された各色のインクカートリッジ10から各色のインクが補充供給される。なお、このカートリッジ装填4にはインクカートリッジ10内のインクを送液するための供給ポンプユニット24が設けられている。
一方、給紙トレイ2の用紙積載部(圧板)41上に積載した用紙42を給紙するため、給紙部として、用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)43及び給紙コロ43に対向する位置に分離パッド44が配置される。分離パッド44は摩擦係数の大きな材質により構成され、この分離パッド44は給紙コロ43側に付勢されている。
そして、この給紙部から給紙された用紙42を記録ヘッド34の下方側に送り込むために、画像形成装置100は、用紙42を案内するガイド部材45と、カウンタローラ46と、搬送ガイド部材47と、先端加圧コロ49を有する押さえ部材48と、を備えるとともに、給送された用紙42を静電吸着して記録ヘッド34に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト51を備えている。
この搬送ベルト51は、無端ベルトであり、搬送ローラ52と従動ローラ53との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、画像形成装置100は、この搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。この帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置されている。搬送ベルト51は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ52が回転駆動されることによって図32のベルト搬送方向に周回移動する。
さらに、記録ヘッド34で記録された用紙42を排紙するための排紙部として、画像形成装置100は、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪61と、排紙ローラ62及び排紙コロ63とを備え、排紙ローラ62の下方に排紙トレイ3を備えている。
また、装置本体1の背面部には両面ユニット71が着脱自在に装着されている。この両面ユニット71は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて再度カウンタローラ46と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面ユニット71の上面は手差しトレイ72としている。
さらに、キャリッジ33の主走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド34のノズルの状態を維持し、回復するための回復手段を含む維持部88が配置されている。
この維持部88は、記録ヘッド34の各ノズル面84をキャピングするためのキャップ機構883と、ノズル面84をワイピングするためのブレード部材であるクリーニングブレード885と、を有する。
また、キャリッジ33の主走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け88が配置され、この空吐出受け88は記録ヘッド34のノズル列方向に沿った開口などを備えている。
このように構成したインクジェット方式の画像形成装置100においては、給紙トレイ2から用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド部材45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ46との間に挟まれて搬送され、更に先端をガイド部材45で案内されて先端加圧コロ49で搬送ベルト51に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
このとき、帯電ローラ56に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト51上に用紙42が給送されると、用紙42が搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ33を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド34を駆動することにより、停止している用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
また、印字(記録)待機中にはキャリッジ33は維持部88側に移動されて、キャップ881で記録ヘッド34がキャッピングされて、ノズルを湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、キャップ機構883で記録ヘッド34をキャッピングした状態で図示しない吸引ポンプによってノズルからインクを吸引し(「ノズル吸引」又は「ヘッド吸引」という。)し、増粘したインクや気泡を排出する回復動作を行う。また、記録開始前、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出する空吐出動作を行う。これによって、記録ヘッド34の安定した吐出性能を維持する。