<第1実施形態>
図1を参照して、本発明の第1実施形態の水処理システム100の概略について説明する。図1は、本発明の第1実施形態の水処理システム100を示す概略構成図である。
図1に示すように、第1実施形態の水処理システム100は、冷却塔110を有しており、商業ビル、工業プラント等において、空調機や冷凍機に代表される熱交換機などの被冷却装置131を冷却するために、冷却水を循環させるシステムである。冷却水は、その節約を図る観点から、冷却塔110で冷却しながら循環して用いられる(循環する冷却水を以下「循環水W110」ともいう)。第1実施形態における冷却塔110は、いわゆる開放式冷却塔からなる。
第1実施形態の水処理システム100は、循環水W110の貯留部116を有する冷却塔110と、被冷却装置131と、冷却塔110と被冷却装置131との間で循環水W110を循環させる循環水ラインL110と、冷却塔110の貯留部116に補給水W120を補給する補給水ラインL120と、冷却塔110の貯留部116から循環水W110を水処理システム100の系外へ強制的に排出する排水ラインL130と、冷却塔110の貯留部116から溢れる循環水W110を排出するオーバーフローラインL140と、循環水W110の電気伝導率を測定する電気伝導率測定装置133と、循環水W110の温度を測定する温度測定装置134と、水処理システム100の各部の制御を行うシステム制御装置101と、を主体として構成されている。
循環水ラインL110は、貯留部116に貯留された循環水W110を冷却塔110から被冷却装置131へ供給する循環水供給ラインL111と、循環水W110を被冷却装置131から冷却塔110の散水部112へ回収する循環水回収ラインL112と、を有する。
「ライン」とは、流路、経路、管路などの流体の流通が可能なラインの総称である。
第1実施形態における冷却塔110について説明する。冷却塔110は、被冷却装置131を冷却するための循環水W110を、被冷却装置131へ供給する前に、冷却するものである。冷却塔110は、塔本体111と、散水部112と、貯留部116と、ルーバ118と、ファン120と、上部開口部121と、ファン駆動部122と、を備える。
塔本体111は、冷却塔110の外郭を形成するものである。塔本体111の上部には、複数の散水部112、ファン120、上部開口部121及びファン駆動部122が設けられる。塔本体111の下部には、貯留部116が設けられる。塔本体111の側部には、ルーバ118が設けられる。
散水部112は、被冷却装置131を冷却する循環水W110を冷却するために、循環水W110を散布する部位である。散水部112は、循環水回収ラインL112を介して被冷却装置131から回収された循環水W110を、塔本体111の内部に散布(散水)する。
散水部112は、上部水槽113と、散水口114とを備える。上部水槽113には、循環水ラインL110の循環水回収ラインL112が接続されている。上部水槽113は、循環水回収ラインL112を介して被冷却装置131から回収された循環水W110を貯留する。散水口114は、上部水槽113に貯留された循環水W110を散布するために上部水槽113の下側に形成されたノズルからなる。
塔本体111の内部における散水部112の下方には、充填材(図示せず)が設けられる。充填材は、散水部112から散布された循環水W110を滴状にして、循環水W110と外気E1(後述)との接触面積及び接触時間を長くして、循環水W110を効率的に冷却するために設けられる。
貯留部116は、散水部112から散布された循環水W110を貯留する。貯留部116は、塔本体111の下部に設けられる。後述するように、貯留部116に貯留された循環水W110は、塔本体111の内部を落下する過程において冷却される。貯留部116の底部には、循環水ラインL110の循環水供給ラインL111及び排水ラインL130が接続されている。貯留部116に貯留された循環水W110は、循環水供給ラインL111を介して被冷却装置131へ供給される。また、貯留部116に貯留された循環水W110は、排水ラインL130を介して水処理システム100の系外へ排出される。
ルーバ118は、塔本体111の内部へ外気(エア)E1を導入するための通気孔であり、塔本体111の外部と内部とを連通する。ルーバ118を介して、塔本体111の外部のエア(外気)E1は、塔本体111の内部へ流入することができる。
上部開口部121は、塔本体111の上部に形成された開口部であり、塔本体111の内部に位置するエアE1を塔本体111の外部に排出するために設けられる。排出されたエアを「排気E2」ともいう。
ファン120は、上部開口部121に配置されている。ファン120の回転軸120aは、上下方向に延びるように配置されている。ファン120は、ルーバ118から塔本体111の内部へ外気(エア)E1を流入させると共に、塔本体111の内部に位置するエアE1を、上部開口部121を介して塔本体111の外部に排出させるように、気流を発生させる。
ファン駆動部122は、モータ等からなり、ファン120を回転駆動する。ファン駆動部122は、ファン120の上方に配置されており、ファン120の回転軸120aに連結されている。ファン駆動部122は、ファン120の回転駆動の開始又は停止、回転速度の調整(変速)などを行う。
冷却塔110には、循環水ラインL110及び排水ラインL130の他に、補給水ラインL120(原水補給水ラインL122、軟化水補給水ラインL123)及びオーバーフローラインL140が接続されている。これらの各ラインを介して、冷却塔110に対して、循環水W110が導入又は排出されると共に、補給水W120(原水補給水W121、軟化水補給水W122)が補給される。
循環水ラインL110は、冷却塔110と被冷却装置131との間で循環水W110を循環させるラインである。循環水ラインL110は、貯留部116に貯留された循環水W110を冷却塔110から被冷却装置131へ供給する循環水供給ラインL111と、循環水W110を被冷却装置131から冷却塔110の散水部112へ回収する循環水回収ラインL112と、を有する。循環水ラインL110は、循環水供給ラインL111及び循環水回収ラインL112を介して、冷却塔110と被冷却装置131との間で循環水W110を循環させる。
循環水供給ラインL111は、冷却塔110の貯留部116と被冷却装置131とを接続する。循環水供給ラインL111は、貯留部116に貯留された循環水W110を被冷却装置131に供給することができる。
循環水供給ラインL111の途中には、循環水ポンプ132が接続されている。循環水ポンプ132は、循環水ラインL110(循環水供給ラインL111、循環水回収ラインL112)の上流側から下流側へ向けて、循環水W110を送り出すことができる。
循環水回収ラインL112は、被冷却装置131と冷却塔110の散水部112とを接続する。循環水回収ラインL112は、被冷却装置131において熱交換により加温された循環水W110を、冷却塔110の散水部112へ回収することができる。循環水回収ラインL112の下流側は、回収分岐部J111において複数のラインに分岐している。循環水回収ラインL112において、回収分岐部J111よりも上流側のラインを「上流側循環水回収ラインL112a」ともいい、回収分岐部J111よりも下流側の複数のラインを「下流側循環水回収ラインL112b」ともいう。複数の下流側循環水回収ラインL112bの下流側の端部は、それぞれ複数の散水部112に接続されている。
被冷却装置131は、循環水W110による冷却が必要な熱交換機等の各種装置であり、例えば、各種の化学プラントのターボ冷凍機や吸収冷凍機、建築物の空調用冷却機、食品工場の冷水製造機や真空冷却機などである。被冷却装置131は、所要の循環水流路(図示せず)を有している。この循環水流路は、循環水導入部131aと循環水排出部131bとを有している。
そして、循環水導入部131aには、循環水供給ラインL111の下流側の端部が接続されている。循環水排出部131bには、循環水回収ラインL112の上流側の端部が接続されている。このように、循環水流路は、循環水供給ラインL111及び循環水回収ラインL112と共に、冷却塔110の塔本体111と被冷却装置131との間で循環水W110を循環させるための循環経路を形成している。
電気伝導率測定装置133は、循環水W110の電気伝導率を測定する装置である。電気伝導率測定装置133は、循環水ラインL110に接続されている。詳細には、循環水供給ラインL111における循環水ポンプ132と被冷却装置131との間には、測定接続部J112が設けられている。電気伝導率測定装置133は、測定ラインL113を介して、測定接続部J112において循環水供給ラインL111に接続されている。
ところで、循環水W110の濃縮度が高まると、腐食性イオン及びスケール発生因子の濃度が高くなる。これにより、循環水W110の電気伝導率が高くなる。そこで、水処理システム100においては、電気伝導率測定装置133により測定される電気伝導率が所定の閾値よりも高くなった場合には、循環水W110の濃縮度を低下させるため(電気伝導率を低下させるため)に、補給水W120を冷却塔110の貯留部116へ補給し、貯留部116に貯留される循環水W110を希釈する。このように、循環水W110の電気伝導率に基づいて、循環水W110の濃縮度を管理する。
温度測定装置134は、循環水W110の温度を測定する装置である。温度測定装置134は、循環水ラインL110に接続されている。詳細には、温度測定装置134は、測定ラインL113を介して、測定接続部J112において循環水供給ラインL111に接続されている。温度測定装置134は、循環水供給ラインL111における被冷却装置131の循環水導入部131aの近傍に接続されている。循環水導入部131aの近傍とは、循環水供給ラインL111において、循環水導入部131aから温度測定装置134までの距離が、例えば、好ましくは0.5m以内、更に好ましくは0.1m以内であることをいう。温度測定装置134としては、例えば、熱電対を用いることができるが、サーミスタその他の温度測定装置を用いてもよい。
補給水ラインL120は、補給水W120を冷却塔110の貯留部116へ補給するラインである。補給水ラインL120は、源流側補給水ラインL121と、補給水分岐部J121と、原水補給水ラインL122と、軟化水補給水ラインL123と、を備える。
補給水分岐部J121は、源流側補給水ラインL121から原水補給水ラインL122と軟化水補給水ラインL123とが分岐する部位である。
源流側補給水ラインL121の上流側は、水道水や工業用水等の原水からなる補給水W120の供給源(図示せず)に接続されている。源流側補給水ラインL121の下流側は、補給水分岐部J121に接続されている。源流側補給水ラインL121には、補給水W120の供給源から供給される補給水W120が流通する。
源流側補給水ラインL121には、上流側から順に、補給水ポンプ141及び補給水バルブ142が接続されている。補給水ポンプ141は、補給水ラインL120(源流側補給水ラインL121、原水補給水ラインL122、軟化水補給水ラインL123)の上流側から下流側へ向けて、補給水W120を送り出すことができる。補給水バルブ142は、補給水分岐部J121と補給水ポンプ141との間において、源流側補給水ラインL121を開閉することができる。
原水補給水ラインL122の上流側の端部は、補給水分岐部J121を介して、源流側補給水ラインL121に接続されている。原水補給水ラインL122には、源流側補給水ラインL121及び補給水分岐部J121を介して、補給水W120が導入され、流通する。なお、原水補給水ラインL122を流通する補給水W120は、源流側補給水ラインL121を流通する補給水W120と同じであるが、説明の便宜上、源流側補給水ラインL121を流通する補給水W120を「原水補給水W121」ともいう。
原水補給水ラインL122は、原水補給水W121を冷却塔110の貯留部116へ補給するラインである。原水補給水ラインL122の下流側の端部153は、冷却塔110の塔本体111に接続されており、貯留部116の上方に離間して位置する。
原水補給水ラインL122には、上流側から順に、補助原水補給水バルブ151及び原水補給水バルブ152が接続されている。
補助原水補給水バルブ151は、通常、開放しているが、原水補給水バルブ152のメンテナンス時などに閉鎖して用いられる。
原水補給水バルブ152は、制御弁から構成されている。原水補給水バルブ152は、原水補給水ラインL122の下流側の端部153と補給水分岐部J121(補助原水補給水バルブ151)との間において、原水補給水ラインL122を開閉することができる。
軟化水補給水ラインL123は、軟化水補給水W122を冷却塔110の貯留部116へ補給するラインである。軟化水補給水ラインL123には、上流側から順に、軟水化装置143及び軟化水補給水バルブ144が接続されている。
軟化水補給水ラインL123の上流側の端部は、補給水分岐部J121を介して、源流側補給水ラインL121に接続されている。軟化水補給水ラインL123の下流側の端部は、冷却塔110の塔本体111に接続されており、貯留部116の底部から離間して位置する。
軟化水補給水ラインL123の下流側の端部には、貯留部116に貯留される循環水W110の水位を管理するボールタップ式の給水栓145が設けられている。給水栓145は、貯留部116に貯留される循環水W110の水位が低下すると、ボールタップが作動し、軟化水補給水ラインL123を流通する軟化水補給水W122が貯留部116に補給されるように構成されている。
軟水化装置143は、原水(硬水)からなる補給水W120を軟水化し、軟化水補給水W122を生成する(得る)装置である。軟水化装置143は、補給水W120に含まれる硬度成分、具体的には、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンを低減し(除去し)、原水からなる補給水W120から軟化水補給水W122を生成する装置である。
軟化水とは、原水(硬水)に軟水化処理を行うことにより得られる(生成される)、硬度が低減された水をいう。軟化水には、原水(硬水)に純水化処理を行うことにより得られる(生成される)純水も含まれる。つまり、軟化水には純水が含まれ、また、軟水化処理には純水化処理が含まれる。
軟化水は、硬度が10mg/L以下に低減されているものが好ましく、硬度が1mg/L以下に低減されているものが更に好ましい。
軟水化装置143は、軟水化処理を行うことができれば特に制限されない。軟水化装置143としては、イオン交換樹脂を利用して陽イオン交換を行い軟水化処理を行う陽イオン交換装置、イオン交換樹脂を利用して陽イオン交換及び陰イオン交換を行い軟水化処理を行うイオン交換装置、逆浸透膜(RO膜)を利用して濾過を行い軟水化処理を行う逆浸透膜装置、電気透析を利用して軟水化処理を行う電気透析装置(電気式脱イオン装置)などが挙げられる。
軟化水補給水バルブ144は、制御弁から構成されている。軟化水補給水バルブ144は、軟化水補給水ラインL123の下流側の端部と軟水化装置143との間において、軟化水補給水ラインL123を開閉することができる。
本実施形態においては、補給水ポンプ141、原水補給水バルブ152、軟化水補給水バルブ144等から「補給水ラインL120を介して補給水W120を貯留部116へ向けて流通させる補給水流通手段」が構成されている。この補給水流通手段における原水補給水バルブ152及び軟化水補給水バルブ144の開閉の組み合わせによって、補給水ラインL120から貯留部116へ補給される補給水は、原水補給水W121のみからなる場合、軟化水補給水W122のみからなる場合、又は原水補給水W121及び軟化水補給水W122からなる場合があるが、説明の便宜上、これらの場合を区別せず、補給水ラインL120から貯留部116へ補給される補給水を「補給水W120」ともいう。
排水ラインL130は、貯留部116の底部に接続されており、下方に向けて延びている。排水ラインL130は、貯留部116に貯留された循環水W110を、排水W130として水処理システム100の系外へ排出する。排水ラインL130の途中には、排水流通手段としての排水バルブ161が接続されている。排水ラインL130における排水バルブ161の下流側には、オーバーフローラインL140(後述)が、排水合流部J131を介して接続されている。排水バルブ161は、制御弁から構成されている。排水バルブ161は、貯留部116と排水合流部J131との間において、排水ラインL130を開閉することができる。
オーバーフローラインL140は、貯留部116から溢れる循環水W110を、排水W130として水処理システム100の系外へ排出するラインである。オーバーフローラインL140の上流側の端部162は、冷却塔110の貯留部116から上方に離間した位置に位置する。オーバーフローラインL140は、排水合流部J131において排水ラインL130と接続(合流)する。
貯留部116から溢れる循環水W110は、オーバーフローラインL140の上流側の端部162からオーバーフローラインL140へ流入する。オーバーフローラインL140へ流入した循環水W110は、排水合流部J131を介して排水ラインL130へ流入し、水処理システム100の系外へ排出される。
本実施形態においては、排水バルブ161から、「排水ラインL130を介して貯留部116に貯留された循環水W110を系外へ向けて流通させる排水流通手段」が構成されている。
次に、図2を参照して、第1実施形態の水処理システム100の制御に係る機能について説明する。図2は、第1実施形態の水処理システム100の制御に係る機能ブロック図である。
図2に示すように、システム制御装置101は、第1実施形態の水処理システム100における各部を制御する。システム制御装置101は、例えば、ファン駆動部122、補給水ポンプ141、軟化水補給水バルブ144、原水補給水バルブ152、排水バルブ161に電気的に接続される。
また、システム制御装置101は、水処理システム100における各測定装置に電気的に接続され、各測定装置から測定情報を受信する。例えば、システム制御装置101は、電気伝導率測定装置133に電気的に接続され、電気伝導率測定装置133により測定された電気伝導率情報を受信する。また、システム制御装置101は、温度測定装置134に電気的に接続され、温度測定装置134により測定された温度情報を受信する。
システム制御装置101は、制御部102と、メモリ103と、を備える。制御部102は、濃縮度判定部181と、温度判定部182と、補給水制御手段としての補給水制御部183と、タイムカウンタ部184と、を有する。
濃縮度判定部181は、電気伝導率測定装置133により測定される循環水W110の電気伝導率が所定の閾値以上であるか否かを判定する。所定の閾値は、例えば、スライムの発生の抑制を確保できる上限の電気伝導率が設定される。
温度判定部182は、循環水W110の温度が所定範囲内にあるか否かを判定する。冷却塔110が十分な冷却性能を発揮するためには、循環水W110の温度(被冷却装置131に流通する前の循環水W110の温度)を所定範囲(以下、「目標温度範囲」という)内に維持する必要がある。具体的には、温度判定部182は、温度測定装置134により測定される循環水W110の温度が所定の第1閾値としての上限閾値を超えているか又は所定の下限閾値以下であるかを判定する。上限閾値は、前記目標温度範囲の上限値であり、例えば、35℃に設定される。また、下限閾値は、前記目標温度範囲の下限値であり、例えば、33℃に設定される。
補給水制御部183は、濃縮度判定部181により循環水W110の電気伝導率が所定の閾値以上であると判定された場合に、補給水ポンプ141、軟化水補給水バルブ144、原水補給水バルブ152、排水バルブ161、ファン駆動部122等の制御を行う。
また、補給水制御部183は、温度測定装置134により測定された循環水W110の温度に基づいて、前記補給水流通手段(補給水ポンプ141、原水補給水バルブ152、軟化水補給水バルブ144)による補給水W120の補給を制御する。
例えば、補給水制御部183は、温度測定装置134により測定された循環水W110の温度が、温度判定部182により所定の上限閾値を超えていると判定された場合に、前記補給水流通手段の制御を行い、補給水W120の補給を開始する。また、補給水制御部183は、温度測定装置134により測定された循環水W110の温度が、温度判定部182により所定の下限閾値以下であると判定された場合に、前記補給水流通手段の制御を行い、補給水W120の補給を停止する。
タイムカウンタ部184は、原水補給水バルブ152の開閉時間に基づいて、原水補給水W121が原水補給水バルブ152を流通する時間(以下、「原水補給水流通時間」という)を計測すると共に、軟化水補給水バルブ144の開閉時間に基づいて、軟化水補給水W122が軟化水補給水バルブ144を流通する時間(以下、「軟化水補給水流通時間」という)を計測する。つまり、タイムカウンタ部184は、原水補給水流通時間及び/又は軟化水補給水流通時間からなる補給水W120の補給時間(以下、「補給水流通時間」という)を計測する。
メモリ103は、水処理システム100の制御に必要な制御プログラムや各種データ等を記憶する。具体的には、メモリ103は、水処理システム100の制御に必要な各種機能を動作させる制御プログラム、電気伝導率測定装置133によって測定された電気伝導率や温度測定装置134によって測定された温度、タイムカウンタ部184によって計測された補給水流通時間、原水補給水バルブ152及び軟化水補給水バルブ144の弁開度情報等の各種データ、循環水W110の電気伝導率や温度等の閾値、各種計算値、各種テーブル等を記憶する。
また、メモリ103は、温度情報記憶部185を有する。温度情報記憶部185は、循環水W110等の温度情報を記憶する。温度情報記憶部185は、温度情報テーブル185aを有する。温度情報テーブル185aは、循環水W110の前記目標温度範囲(上限閾値及び下限閾値)の情報が記憶されたテーブルである。
次に、図1及び図2を参照して、第1実施形態の水処理システム100の動作について説明する。
循環水ポンプ132が作動することにより、冷却塔110の貯留部116に貯留される循環水W110は、循環水ラインL110(循環水供給ラインL111、循環水回収ラインL112)の上流側から下流側へ向けて送り出される。
詳細には、循環水W110は、循環水供給ラインL111を介して、被冷却装置131に供給される。循環水W110は、被冷却装置131の循環水導入部131aから前記循環水流路を通過して被冷却装置131を冷却し、循環水排出部131bから循環水回収ラインL112へ排出される。
循環水回収ラインL112へ排出された循環水W110は、散水部112の上部水槽113へ導入される。上部水槽113へ導入された循環水W110は、散水口114から塔本体111の内部へ散布される。散布された循環水W110は、図1に点線で示すように、塔本体111の内部を落下して、貯留部116に受け止められる。このようにして、貯留部116に貯留される循環水W110は、循環水ラインL110、散水部112等を介して循環する。
また、冷却塔110において、システム制御装置101によりファン駆動部122を作動させ、ファン120を回転させる。これにより、ルーバ118を通じて塔本体111の内部へ外気(エア)E1が流入する。エアE1は、塔本体111の内部を通過し、排気E2として上部開口部121から塔本体111の外部へ排出される。
塔本体111の内部を落下する循環水W110は、塔本体111の内部へ流入する外気E1に触れて冷却される。このように冷却されて貯留部116へ戻る(落下する)循環水W110は、循環水供給ラインL111を介して再び被冷却装置131へ供給され、循環水回収ラインL112を介して冷却塔110の散水部112へ戻る。従って、貯留部116に貯留された循環水W110は、循環水供給ラインL111、被冷却装置131の循環水流路及び循環水回収ラインL112を循環して、被冷却装置131を冷却する冷却水として機能する。
また、循環水W110の濃縮が進んでいる場合には、循環水W110の濃縮を解消し、スライム、藻類などの発生を抑制するために、冷却塔110の貯留部116へ補給水W120(原水補給水W121、軟化水補給水W122)の補給を行うと共に、循環水W110の排出を行う。
具体的には、第1実施形態の水処理システム100においては、電気伝導率測定装置133により測定された電気伝導率に基づいて、濃縮度判定部181により循環水W110が濃縮していると判定された場合には、補給水制御部183は、補給水ポンプ141、軟化水補給水バルブ144、原水補給水バルブ152などを制御して、補給水ラインL120を介して、冷却塔110の貯留部116へ補給水W120の補給を開始する。また、補給水制御部183は、補給水W120の補給とほぼ同時に、排水バルブ161を制御して、貯留部116に貯留される循環水W110を、排水ラインL130を介して水処理システム100の系外へ排出する。
その後、電気伝導率測定装置133により測定された電気伝導率に基づいて、濃縮度判定部181により循環水W110が濃縮していないと判定された場合には、補給水制御部183は、補給水ポンプ141、軟化水補給水バルブ144、原水補給水バルブ152などを制御して、補給水ラインL120を介して、冷却塔110の貯留部116へ補給水W120の補給を停止する。また、補給水制御部183は、補給水W120の補給の停止とほぼ同時に排水バルブ161を閉鎖し、貯留部116からの循環水W110(原水補給水W121、軟化水補給水W122を含む)の水処理システム100の系外への排出を停止する。これらの結果、貯留部116における循環水W110の濃縮度が低下する。
ところで、前述したように、塔本体111の内部を落下する循環水W110は、塔本体111の内部へ流入する外気E1に触れて冷却される。そのため、外気E1の温度が高い夏季の昼間などにおいては、循環水W110が外気E1に触れても十分に冷却されず、ファン120の回転速度を上げても、冷却塔110に要求される冷却性能を十分に確保できない場合がある。一方、補給水ラインL120から補給される補給水W120の温度は、循環水供給ラインL111(又は貯留部116)に位置する循環水W110の温度よりも低いのが一般的である。
そこで、本実施形態では、循環水供給ラインL111に位置する循環水W110の温度を温度測定装置134により監視し、循環水W110の温度が、冷却塔110に要求される冷却性能を十分に確保できない値であると判定された場合には、循環水W110が濃縮しているか否かにかかわらず、補給水ラインL120から(低温の)補給水W120を貯留部116に補給する。
詳述すると、補給水制御部183は、温度測定装置134により測定された循環水W110の温度が、温度判定部182により所定の上限閾値を超えていると判定された場合に、前記補給水流通手段の制御を行い、補給水W120の補給を開始する。また、補給水制御部183は、貯留部116への補給水W120の補給とほぼ同時に、排水バルブ161を開放し、貯留部116に貯留される循環水W110を、排水ラインL130を介して水処理システム100の系外へ排出する。
貯留部116に補給された補給水W120は、貯留部116に貯留されていた循環水W110と合わさり、貯留部116に位置する循環水W110の温度を低下させる。温度が低下した循環水W110は、被冷却装置131を冷却するための循環水W110として、貯留部116から循環水供給ラインL111を介して被冷却装置131へ供給される。
そして、補給水制御部183は、温度測定装置134により測定された循環水W110の温度が、温度判定部182により所定の下限閾値以下であると判定された場合に、前記補給水流通手段の制御を行い、補給水W120の補給を停止する。また、補給水制御部183は、補給水W120の補給の停止とほぼ同時に排水バルブ161を閉鎖し、貯留部116からの循環水W110の水処理システム100の系外への排出を停止する。
このように、循環水W110の温度に基づいて、補給水W120の補給(流通)の制御を行うことにより、循環水W110の温度を容易に低下させることができる。
次に、第1実施形態の水処理システム100の動作の第1実施例について、図3を参照しながら説明する。第1実施例では、循環水供給ラインL111における被冷却装置131の近傍において測定される循環水W110の温度に基づいて、補給水W120の補給の制御を行う。図3は、第1実施形態の水処理システム100の動作を示すフローチャートである。
図3に示すように、ステップST101において、温度測定装置134は、循環水W110の温度を測定する。温度測定装置134により測定された温度の情報は、システム制御装置101の制御部102の温度判定部182に入力される。
ステップST102において、温度判定部182は、温度情報記憶部185の温度情報テーブル185aを参照し、入力された循環水W110の温度の情報に基づいて、循環水W110の温度が所定の上限閾値を超えているかについて判定する。循環水W110の温度が所定の上限閾値を超えている(YES)と判定された場合には、ステップST103へ進む。循環水W110の温度が所定の上限閾値以下(NO)であると判定された場合には、ステップST104へ進む。
循環水W110の温度が所定の上限閾値を超えている(YES)と判定された場合には、冷却塔110が十分な冷却性能を発揮することができない。そこで、ステップST103において、補給水制御部183は、前記補給水流通手段の制御を行い、補給水W120の補給を開始する。詳細には、補給水制御部183は、補給水ラインL120における原水補給水バルブ152及び/又は軟化水補給水バルブ144を開放すると共に、補給水ポンプ141を起動することにより、補給水W120を貯留部116に補給する。
また、補給水制御部183は、補給水W120の補給とほぼ同時に、排水バルブ161を開放し、貯留部116に貯留される循環水W110を、排水ラインL130を介して水処理システム100の系外へ排出する制御を行う(図示せず)。
ステップST103において、補給水W120の補給を開始した後は、ステップST101へ戻る。そして、ステップST102において、循環水W110の温度が所定の上限閾値以下(NO)であると判定されるまで、ステップST101、ST102及びステップST103が繰り返され、補給水W120の補給が継続される。このように、循環水W110の温度よりも低い補給水W120が、冷却塔110の貯留部116へ供給されることにより、貯留部116に貯留される循環水W110の温度が次第に低下する。
そして、ステップST102において、循環水W110の温度が所定の上限閾値以下(NO)であると判定された場合には、ステップST104へ進む。
ステップST104において、温度判定部182は、温度情報記憶部185の温度情報テーブル185aを参照し、入力された循環水W110の温度の情報に基づいて、循環水W110の温度が所定の下限閾値以下であるかについて判定する。循環水W110の温度が所定の下限閾値以下でない(NO)と判定された場合には、ステップST101へ戻る。循環水W110の温度が所定の下限閾値以下(YES)であると判定された場合には、ステップST105へ進む。
循環水W110の温度が所定の下限閾値以下でない(NO)と判定された場合には、循環水W110の温度が前記目標温度範囲の下限値を超えており、冷却塔110が十分な冷却性能を発揮するには、循環水W110の温度が、この下限値(下限閾値)以下に低下することが好ましい。そこで、ステップST101へ戻り、ステップST102及びステップST104が繰り返され、ステップST104において、循環水W110の温度が所定の下限閾値以下(YES)であると判定されるまで、補給水W120の補給が継続される。このように、循環水W110の温度よりも低い補給水W120が、冷却塔110の貯留部116へ供給されることにより、貯留部116に貯留される循環水W110の温度が更に低下する。
そして、ステップST104において、循環水W110の温度が所定の下限閾値以下(YES)であると判定された場合には、循環水W110は、冷却塔110が十分な冷却性能を発揮することができる温度に低下しており、補給水W120の補給を継続する必要がないので、ステップST105へ進む。
ステップST105において、補給水制御部183は、前記補給水流通手段の制御を行い、補給水W120の補給を停止する。詳細には、補給水制御部183は、補給水ラインL120における原水補給水バルブ152及び/又は軟化水補給水バルブ144を閉鎖すると共に、補給水ポンプ141を停止することにより、補給水W120の流通(補給)を停止する。
また、補給水制御部183は、補給水W120の補給の停止とほぼ同時に排水バルブ161を閉鎖し、貯留部116に貯留される循環水W110を、排水ラインL130を介して水処理システム100の系外へ排出する制御を停止する(図示せず)。
第1実施形態の水処理システム100によれば、例えば、次のような効果が奏される。
第1実施形態の水処理システム100は、循環水W110の温度を測定する温度測定装置134と、温度測定装置134により測定された循環水W110の温度が所定の上限閾値を超えた場合に、補給水W120の補給を開始するように前記補給水流通手段を制御する補給水制御部183と、を備える。そのため、例えば前述の第1実施例のように、循環水W110の温度を所定の上限閾値以下に低下させることができる。従って、外気E1の温度が高い夏季の昼間などにおいても、冷却塔110に要求される冷却性能を十分に確保することができる。
また、第1実施形態の水処理システム100は、温度測定装置134により測定された循環水W110の温度が所定の下限閾値以下となった場合に、補給水W120の補給を停止するように前記補給水流通手段を制御する補給水制御部183を備える。そのため、例えば前述の第1実施例のように、循環水W110の温度を前記目標温度範囲内に維持することができると共に、補給する補給水W120の量を節約することができる。
また、第1実施形態の水処理システム100は、排水ラインL130を介して、貯留部116に貯留された循環水W110を系外へ向けて流通させる排水バルブ161を更に備え、補給水制御部183は、補給水W120の補給を開始すると共に貯留部116に位置する循環水W110を系外へ向けて排出するように排水バルブ161を制御する。そのため、循環水W110の温度が所定の上限閾値以下に低下するまでの時間を短縮することができ、冷却塔110に要求される冷却性能を迅速に確保することができる。
また、第1実施形態の水処理システム100は、循環水供給ラインL111における被冷却装置131の近傍において循環水W110の温度を測定する温度測定装置134を備える。そのため、被冷却装置131に導入される直前の循環水W110の温度を監視することができ、冷却塔110に要求される冷却性能を精度よく見積もることができる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。他の実施形態については、主として、第1実施形態とは異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。他の実施形態において特に説明しない点は、第1実施形態についての説明が適宜適用又は援用される。
<第2実施形態>
図4を参照して、本発明の第2実施形態の水処理システム100Aの概略について説明する。図4は、本発明の第2実施形態の水処理システム100Aを示す概略構成図である。
図4に示すように、第2実施形態の水処理システム100Aは、第1実施形態の水処理システム100に比して、循環水W110の温度を測定する温度測定装置165が、貯留部116の内部(例えば、貯留部116の底部の近傍)に設けられている点が異なる。詳細には、温度測定装置165は、貯留部116内の底部に設けられており、システム制御装置101と電気的に接続されている。システム制御装置101は、温度測定装置165により測定された温度情報を受信する。
第2実施形態における水処理システム100Aに関するその他の構成、動作(第2実施例を含む)及び効果は、第1実施形態における水処理システム100に関する構成、動作(第1実施例を含む)及び効果と同様である。そのため、第1実施形態における水処理システム100に関する構成、動作及び効果についての説明を援用して、第2実施形態における水処理システム100Aに関する構成、動作及び効果についての説明を省略する。
<第3実施形態>
図5を参照して、本発明の第3実施形態の水処理システム100Bの概略について説明する。図5は、本発明の第3実施形態の水処理システム100Bを示す概略構成図である。
図5に示すように、第3実施形態の水処理システム100Bは、第1実施形態の水処理システム100に比して、「被冷却装置131を経由せずに循環水供給ラインL111と循環水回収ラインL112とを接続する被冷却装置バイパスラインL114と、循環水W110の経路を、被冷却装置131を経由する第1経路と被冷却装置バイパスラインL114を経由する第2経路とに切り換える経路切り換えバルブ135と、温度測定装置134により測定された循環水W110の温度が所定のバイパス判断閾値以下となるまで、循環水W110の経路を第2経路に設定し、温度測定装置134により測定された循環水W110の温度が所定のバイパス判断閾値以下となった後に、循環水W110の経路を第1経路に切り換えるように経路切り換えバルブ135を制御する経路切り換え部187(図6参照)と、を更に備える」点が主として異なる。
詳細には、循環水ラインL110は、循環水供給ラインL111と、循環水回収ラインL112と、循環水ポンプ132とに加え、被冷却装置バイパスラインL114と、経路切り換え装置としての経路切り換えバルブ135と、バイパスライン合流部J113と、を備える。被冷却装置バイパスラインL114は、被冷却装置131を経由せずに循環水供給ラインL111と循環水回収ラインL112とを接続する。バイパスライン合流部J113は、循環水回収ラインL112に設けられている。
被冷却装置バイパスラインL114の上流側の端部は、経路切り換えバルブ135を介して循環水供給ラインL111に接続されている。被冷却装置バイパスラインL114の下流側の端部は、バイパスライン合流部J113において、循環水回収ラインL112と接続されている。経路切り換えバルブ135は、循環水W110の経路を、被冷却装置131を経由する第1経路と被冷却装置バイパスラインL114を経由する第2経路とに切り換え可能に構成されている。経路切り換えバルブ135は、例えば、電磁式の三方弁から構成されている。
次に、図6を参照して、第3実施形態の水処理システム100Bの制御に係る機能について説明する。図6は、第3実施形態の水処理システム100Bの制御に係る機能ブロック図である。
図6に示すように、システム制御装置101は、第3実施形態の水処理システム100Bにおける各部を制御する。システム制御装置101は、例えば、ファン駆動部122、補給水ポンプ141、軟化水補給水バルブ144、原水補給水バルブ152、排水バルブ161、被冷却装置131、経路切り換えバルブ135に電気的に接続される。
システム制御装置101の制御部102は、濃縮度判定部181と、温度判定部182と、補給水制御部183と、タイムカウンタ部184と、被冷却装置制御部186と、経路切り換え装置制御手段としての経路切り換え部187と、を有する。
被冷却装置制御部186は、被冷却装置131の運転(起動及び停止)を制御する。詳細には、温度判定部182が、循環水W110の温度が所定の閾値(後述のバイパス判断閾値)を超えていると判定した場合に、被冷却装置制御部186は、被冷却装置131の運転を停止する。また、温度判定部182が、循環水W110の温度が所定の閾値以上でないと判定した場合に、被冷却装置制御部186は、被冷却装置131の運転を開始する。
経路切り換え部187は、経路切り換えバルブ135の開閉を制御することにより、循環水W110の経路を、被冷却装置131を経由する第1経路と被冷却装置バイパスラインL114を経由する第2経路とに切り換える。
詳細には、温度判定部182が、循環水W110の温度が所定の閾値を超えていると判定した場合に、経路切り換え部187は、経路切り換えバルブ135の開閉を制御し、循環水W110の経路を第1経路から第2経路に切り換える。
また、温度判定部182が、循環水W110の温度が所定の閾値以上でないと判定した場合に、経路切り換え部187は、経路切り換えバルブ135の開閉を制御し、循環水W110の経路を第2経路から第1経路に切り換える。
温度情報記憶部185の温度情報テーブル185aは、所定の第2閾値としてのバイパス判断閾値の情報と、循環水W110の前記目標温度範囲(上限閾値及び下限閾値)の情報が記憶されたテーブルである。
バイパス判断閾値は、被冷却装置131の運転に支障を来たす(例えば、被冷却装置131がオーバーヒートする)虞がある循環水W110の温度の閾値であり、第1経路と第2経路とを切り換えるか否かを判定する際に、温度判定部182によって参照される閾値である。バイパス判断閾値は、例えば、39℃に設定される。
第3実施形態における水処理システム100Bに関するその他の構成は、第1実施形態における水処理システム100に関する構成(制御に係る構成を含む)と同様である。そのため、第1実施形態における水処理システム100に関する構成についての説明を援用して、第3実施形態における水処理システム100Bに関する構成についての説明を省略する。
次に、第3実施形態の水処理システム100Bの動作の第3実施例について、図7を参照しながら説明する。図7は、第3実施形態の水処理システム100Bの動作を示すフローチャートである。
図7に示すように、ステップST201において、温度測定装置134は、循環水W110の温度を測定する。温度測定装置134により測定された温度の情報は、システム制御装置101の制御部102の温度判定部182に入力される。
ステップST202において、温度判定部182は、温度情報記憶部185の温度情報テーブル185aを参照し、入力された循環水W110の温度の情報に基づいて、循環水W110の温度がバイパス判断閾値を越えているかについて判定する。循環水W110の温度がバイパス判断閾値を越えている(YES)と判定された場合には、ステップST203へ進む。循環水W110の温度がバイパス判断閾値以下(NO)であると判定された場合には、ステップST206へ進む。
ステップST203において、被冷却装置制御部186は、被冷却装置131の運転を停止する。これにより、冷却塔110に要求される冷却性能が十分に確保されていない状態で被冷却装置131が運転されるのを防止し、被冷却装置131が故障するのを効果的に抑制することができる。
ステップST204において、経路切り換え部187は、経路切り換えバルブ135の開閉を制御し、循環水W110の経路を第1経路から第2経路に設定する。つまり、経路切り換え部187は、循環水W110が被冷却装置バイパスラインL114を経由するように経路を切り換える。
そして、ステップST205において、補給水制御部183は、前記補給水流通手段の制御を行い、補給水W120の補給を開始する。詳細には、補給水制御部183は、補給水ラインL120における原水補給水バルブ152及び/又は軟化水補給水バルブ144を開放すると共に、補給水ポンプ141を起動することにより、補給水W120を貯留部116に補給する。
また、補給水制御部183は、補給水W120の補給とほぼ同時に、排水バルブ161を開放し、貯留部116に貯留される循環水W110を、排水ラインL130を介して水処理システム100Bの系外へ排出する制御を行う(図示せず)。
ステップST205において、補給水W120の補給を開始した後は、ステップST201へ戻る。そして、ステップST202において、循環水W110の温度がバイパス判断閾値以下(NO)であると判定されるまで、ステップST201、ステップST202、ステップST203、ステップST204及びステップST205が繰り返され、補給水W120の補給が継続される。このように、循環水W110の温度よりも低い補給水W120が、冷却塔110の貯留部116へ供給されることにより、貯留部116に貯留される循環水W110の温度が次第に低下する。
そして、ステップST202において、循環水W110の温度がバイパス判断閾値以下(NO)であると判定された場合には、オーバーヒート等によって被冷却装置131が故障する虞が解消されたと判断できるので、ステップST206へ進む。
ステップST206において、被冷却装置制御部186は、被冷却装置131の運転を開始する。
ステップST207において、経路切り換え部187は、経路切り換えバルブ135の開閉を制御し、循環水W110の経路を第2経路から第1経路に切り換える。つまり、経路切り換え部187は、バイパス判断閾値以下に温度低下した循環水W110が被冷却装置131を経由するように経路を切り換える。これにより、被冷却装置131の前記循環水流路には、バイパス判断閾値以下に温度低下した循環水W110が流通する。これにより、被冷却装置131は、循環水W110によって冷却され、オーバーヒート等によって故障する虞が解消される。
第1経路を流通する循環水W110の温度は、オーバーヒート等によって被冷却装置131が故障する虞が解消されるバイパス判断閾値にまで低下しただけであって、冷却塔110が冷却性能を発揮するには、まだ十分とはいえない。そこで、ステップST208以降において、冷却塔110が十分な冷却性能を発揮できるようになるまで補給水W120(循環水W110)の補給の制御を行う。つまり、循環水W110の温度が前記目標温度範囲内になるように補給水W120の補給の制御を行う。
ステップST208において、温度判定部182は、温度情報記憶部185の温度情報テーブル185aを参照し、入力された循環水W110の温度の情報に基づいて、循環水W110の温度が所定の上限閾値を超えているかについて判定する。循環水W110の温度が所定の上限閾値を超えている(YES)と判定された場合には、ステップST201へ戻る。循環水W110の温度が所定の上限閾値以下(NO)であると判定された場合には、ステップST209へ進む。
循環水W110の温度が所定の上限閾値を超えている(YES)と判定された場合には、冷却塔110が十分な冷却性能を発揮することができない。そこで、ステップST201に戻り、補給水W120の補給を継続する。つまり、ステップST201、ステップST202、ステップST206及びステップST207が繰り返され、ステップST208において、循環水W110の温度が所定の上限閾値以下(NO)であると判定されるまで、補給水W120の補給が継続される。補給水W120の補給が継続されると、貯留部116に貯留される循環水W110の温度が次第に低下する。
そして、ステップST208において、循環水W110の温度が所定の上限閾値以下(NO)であると判定された場合には、ステップST209へ進む。
ステップST209において、温度判定部182は、温度情報記憶部185の温度情報テーブル185aを参照し、入力された循環水W110の温度の情報に基づいて、循環水W110の温度が所定の下限閾値以下であるかについて判定する。循環水W110の温度が所定の下限閾値以下でない(NO)と判定された場合には、ステップST201へ戻る。循環水W110の温度が所定の下限閾値以下(YES)であると判定された場合には、ステップST210へ進む。
循環水W110の温度が所定の下限閾値以下でない(NO)と判定された場合には、循環水W110の温度が前記目標温度範囲の下限値を超えており、冷却塔110が十分な冷却性能を発揮するには、循環水W110の温度が、この下限値(下限閾値)以下に低下することが好ましい。そこで、ステップST201へ戻り、補給水W120の補給を継続する。
つまり、ステップST201、ステップST202、ステップST206、ステップST207、ステップST208及びステップST209が繰り返され、ステップST209において、循環水W110の温度が所定の下限閾値以下(YES)であると判定されるまで、補給水W120の補給が継続される。
このように、循環水W110の温度よりも低い補給水W120が、冷却塔110の貯留部116へ供給されることにより、貯留部116に貯留される循環水W110の温度が更に低下する。
そして、ステップST209において、循環水W110の温度が所定の下限閾値以下(YES)であると判定された場合には、循環水W110は、冷却塔110が十分な冷却性能を発揮することができる温度に低下しているので、ステップST210へ進む。
ステップST210において、補給水制御部183は、前記補給水流通手段の制御を行い、補給水W120の補給を停止する。詳細には、補給水制御部183は、補給水ラインL120における原水補給水バルブ152及び/又は軟化水補給水バルブ144を閉鎖すると共に、補給水ポンプ141を停止することにより、補給水W120の流通(補給)を停止する。
また、補給水制御部183は、補給水W120の補給の停止とほぼ同時に排水バルブ161を閉鎖し、貯留部116に貯留される循環水W110を、排水ラインL130を介して水処理システム100Bの系外へ排出する制御を停止する(図示せず)。
第3実施形態の水処理システム100Bによれば、例えば、次のような効果が奏される。
第3実施形態の水処理システム100Bは、被冷却装置バイパスラインL114と、経路切り換えバルブ135と、循環水W110の温度がバイパス判断閾値以下となるまで、循環水W110の経路を第2経路に設定し、循環水W110の温度がバイパス判断閾値以下となった後に、循環水W110の経路を第1経路に切り換える経路切り換え部187と、を備える。そのため、例えば前述の第3実施例のように、循環水W110の温度がバイパス判断閾値以下に低下するまで、被冷却装置131の運転を停止すると共に、循環水W110の経路を第2経路に設定し、循環水W110の冷却能力が回復した後に循環水W110の経路を第1経路に切り換えることができる。そのため、オーバーヒート等によって被冷却装置131が故障するのを防止しつつ、冷却塔110に要求される冷却性能を十分に確保することができる。
<第4実施形態>
図8を参照して、本発明の第4実施形態の水処理システム200の概略について説明する。図8は、本発明の第4実施形態の水処理システム200を示す概略構成図である。本実施形態においては、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号(ただし、3桁の数字のうち百の位を「1」から「2」に代えている)を付し、詳細な説明を省略する。
第4実施形態の水処理システム200は、第1実施形態の水処理システム100に比して、冷却塔210が密閉式冷却塔からなる点が主として異なる。密閉式冷却塔は、開放式冷却塔に比して、冷却塔210に、被冷却装置231を冷却する循環液W210が密閉状態で流通する冷却塔内部ラインL250と、冷却塔内部ラインL250に位置する循環液W210を冷却するために散布水W240を冷却塔内部ラインL250の外側へ散布する散水部212と、散布された散布水W240を貯留する貯留部216とが設けられている点、及び、冷却塔210に、散水部212から散布され貯留部216に貯留された散布水W240を循環させる散布水ラインL260が接続されている点が、主として異なる。
図8に示すように、第4実施形態の水処理システム200は、冷却塔210を有しており、被冷却装置231を冷却するために、冷却液を循環させるシステムである。冷却液は、その節約を図る観点から、冷却塔210で冷却しながら循環して用いられる(循環する冷却液を以下「循環液W210」ともいう)。第4実施形態における冷却塔210は、いわゆる密閉式冷却塔からなる。
第4実施形態の水処理システム200は、散布水W240の貯留部216を有する冷却塔210と、被冷却装置231と、冷却塔210と被冷却装置231との間で循環液W210を循環させる循環液ラインL210と、散布水W240を循環させる散布水ラインL260と、冷却塔210の貯留部216に補給水W220を補給する補給水ラインL220と、冷却塔210の貯留部216から散布水W240を水処理システム200の系外へ強制的に排出する排水ラインL230と、冷却塔210の貯留部216から溢れる散布水W240を排出するオーバーフローラインL240と、散布水W240の電気伝導率を測定する電気伝導率測定装置233と、散布水W240の温度を測定する温度測定装置234と、水処理システム200の各部の制御を行うシステム制御装置201と、を主体として構成されている。
冷却塔210は、循環液W210が密閉状態で流通する冷却塔内部ラインL250と、冷却塔内部ラインL250に位置する循環液W210を冷却するために散布水W240を冷却塔内部ラインL250の外側へ散布する散水部212と、散布された散布水W240を貯留する貯留部216とを有する。
循環液ラインL210は、冷却塔内部ラインL250に位置する循環液W210を冷却塔210から被冷却装置231へ供給する循環液供給ラインL211と、循環液W210を被冷却装置231から冷却塔210の冷却塔内部ラインL250へ回収する循環液回収ラインL212と、を有する。循環液ラインL210は、循環液供給ラインL211、循環液回収ラインL212及び冷却塔内部ラインL250を介して、冷却塔210と被冷却装置231との間で循環液W210を循環させる。
散布水ラインL260は、貯留部216に接続されると共に散水部212に接続されている。散布水ラインL260は、散水部212から散布され貯留部216に貯留された散布水W240を、冷却塔210の外部において循環させる。
第4実施形態における冷却塔210について説明する。冷却塔210は、被冷却装置231を冷却するための循環液W210を、被冷却装置231へ供給する前に、冷却するものである。循環液W210は、一般的には、水(水溶液)であるが、水以外の液体でもよい。
冷却塔210は、塔本体211と、冷却塔内部ラインL250と、散水部212と、貯留部216と、ルーバ218と、ファン220と、上部開口部221と、ファン駆動部222と、を備える。
塔本体211は、冷却塔210の外郭を形成するものである。塔本体211の上部には、複数の散水部212、ファン220、上部開口部221及びファン駆動部222が設けられる。塔本体211の内部には、冷却塔内部ラインL250が設けられる。塔本体211の下部には、貯留部216が設けられる。塔本体211の側部には、ルーバ218が設けられる。
散水部212は、被冷却装置231を冷却する循環液W210を冷却するために、散布水W240を、循環液W210が位置する(流通する)冷却塔内部ラインL250の外側に散布する部位である。散水部212は、散布水ラインL260を介して循環する散布水W240を、塔本体211の内部において冷却塔内部ラインL250の外側へ散布(散水)する。
散水部212は、上部水槽213と、散水口214とを備える。上部水槽213には、散布水ラインL260が接続されている。上部水槽213は、散布水ラインL260を介して循環する散布水W240を貯留する。散水口214は、上部水槽213に貯留された散布水W240を散布するために上部水槽213の下側に形成されたノズルからなる。
冷却塔内部ラインL250は、塔本体211の内部において、循環液W210が密閉状態で流通するラインである。冷却塔内部ラインL250は、塔本体211の内部において散布水W240との接触面積を確保するために蛇行している。詳細には、冷却塔内部ラインL250は、塔内部分岐部J251において、第1内部ラインL250aと第2内部ラインL250bとに分岐する。第1内部ラインL250aと第2内部ラインL250bとは、塔内部合流部J252において合流する。第1内部ラインL250a及び第2内部ラインL250bは蛇行している。第1内部ラインL250a及び第2内部ラインL250bは、それぞれ散水部212の下方に配置している。
冷却塔内部ラインL250の下流側の端部は、循環液供給ラインL211に接続されている。冷却塔内部ラインL250の上流側の端部は、循環液回収ラインL212に接続されている。
塔本体211の内部における散水部212の下方には、充填材(図示せず)が設けられる。充填材は、散水部212から散布された散布水W240を滴状にして、散布水W240と外気E1(後述)との接触面積及び接触時間を長くして、冷却塔内部ラインL250及びその内部の循環液W210を効率的に冷却するために設けられる。
貯留部216は、散水部212から散布された散布水W240を貯留する。貯留部216は、塔本体211の下部に設けられる。後述するように、貯留部216に貯留された散布水W240は、塔本体211の内部を落下する過程において冷却される。貯留部216の底部には、散布水ラインL260及び排水ラインL230が接続されている。貯留部216に貯留された散布水W240は、散布水ラインL260を介して塔本体211の外部において循環する。貯留部216に貯留された散布水W240は、排水ラインL230を介して水処理システム200の系外へ排出される。
ルーバ218は、塔本体211の内部へ外気(エア)E1を導入するための通気孔であり、塔本体211の外部と内部とを連通する。ルーバ218を介して、塔本体211の外部のエア(外気)E1は、塔本体211の内部へ流入することができる。
上部開口部221は、塔本体211の上部に形成された開口部であり、塔本体211の内部に位置するエアE1を塔本体211の外部に排出するために設けられる。排出されたエアを「排気E2」ともいう。
ファン220は、上部開口部221に配置されている。ファン220の回転軸220aは、上下方向に延びるように配置されている。ファン220は、ルーバ218から塔本体211の内部へ外気(エア)E1を流入させると共に、塔本体211の内部に位置するエアE1を、上部開口部221を介して塔本体211の外部に排出させるように、気流を発生させる。
ファン駆動部222は、モータ等からなり、ファン220を回転駆動する。ファン駆動部222は、ファン220の上方に配置されており、ファン220の回転軸220aに連結されている。ファン駆動部222は、ファン220の回転駆動の開始又は停止、回転速度の調整(変速)などを行う。
冷却塔210には、循環液ラインL210、散布水ラインL260及び排水ラインL230の他に、補給水ラインL220(原水補給水ラインL222、軟化水補給水ラインL223)及びオーバーフローラインL240が接続されている。これらの各ラインを介して、冷却塔210に対して、散布水W240が導入又は排出されると共に、補給水W220(原水補給水W221、軟化水補給水W222)が補給される。
被冷却装置231は、所要の循環液流路(図示せず)を有している。この循環液流路は、循環液導入部231aと循環液排出部231bとを有している。そして、循環液導入部231aには、循環液供給ラインL211の下流側の端部が接続されている。循環液排出部231bには、循環液回収ラインL212の上流側の端部が接続されている。このように、循環液流路は、循環液供給ラインL211、循環液回収ラインL212及び冷却塔内部ラインL250と共に、冷却塔210の塔本体211と被冷却装置231との間で循環液W210を循環させるための循環経路を形成している。
循環液供給ラインL211は、冷却塔210の冷却塔内部ラインL250と被冷却装置231とを接続する。循環液供給ラインL211は、冷却塔内部ラインL250に位置する循環液W210を被冷却装置231に供給することができる。
循環液供給ラインL211の途中には、循環液ポンプ232が接続されている。循環液ポンプ232は、循環液ラインL210(循環液供給ラインL211、循環液回収ラインL212)の上流側から下流側へ向けて、循環液W210を送り出すことができる。
循環液回収ラインL212は、被冷却装置231と冷却塔210の冷却塔内部ラインL250とを接続する。循環液回収ラインL212は、被冷却装置231において熱交換により加温された循環液W210を、冷却塔210の冷却塔内部ラインL250へ回収することができる。
散布水ラインL260は、貯留部216に貯留された散布水W240を冷却塔210から散布水ポンプ239へ供給する散布水供給ラインL261と、散布水W240を散布水ポンプ239から冷却塔210の散水部212へ回収する散布水回収ラインL262と、を有する。散布水ラインL260は、散布水供給ラインL261及び散布水回収ラインL262を介して、冷却塔210の外部において散布水W240を循環させる。
散布水回収ラインL262の下流側は、散布水分岐部J241において複数のラインに分岐している。散布水ラインL260において、散布水分岐部J241よりも上流側のラインを「上流側散布水回収ラインL262a」ともいい、散布水分岐部J241よりも下流側の複数のラインを「下流側散布水回収ラインL262b」ともいう。複数の下流側散布水回収ラインL262bの下流側の端部は、それぞれ複数の散水部212に接続されている。
散布水ポンプ239は、散布水ラインL260の途中(散布水供給ラインL261と散布水回収ラインL262との間)に接続されている。散布水ポンプ239は、散布水ラインL260(散布水供給ラインL261、散布水回収ラインL262)の上流側から下流側へ向けて、散布水W240を送り出すことができる。
電気伝導率測定装置233は、散布水W240の電気伝導率を測定する装置である。電気伝導率測定装置233は、散布水ラインL260に接続されている。詳細には、散布水供給ラインL261には、測定接続部J242が設けられている。電気伝導率測定装置233は、測定ラインL263を介して、測定接続部J242において散布水供給ラインL261に接続されている。
散布水W240の濃縮度が高まると、腐食性イオン及びスケール発生因子の濃度が高くなる。これにより、散布水W240の電気伝導率が高くなる。そこで、水処理システム200においては、電気伝導率測定装置233により測定される電気伝導率が所定の閾値よりも高くなった場合には、散布水W240の濃縮度を低下させるため(電気伝導率を低下させるため)に、補給水W220を冷却塔210の貯留部216へ補給し、貯留部216に貯留される散布水W240を希釈する。このようにして、散布水W240の電気伝導率に基づいて、散布水W240の濃縮度を管理する。
温度測定装置234は、循環液W210の温度を測定する装置である。温度測定装置234は、循環液供給ラインL211に接続されている。詳細には、温度測定装置234は、測定ラインL251を介して、測定接続部J253において循環液供給ラインL211に接続されている。温度測定装置234は、循環液供給ラインL211における被冷却装置231の循環液導入部231aの近傍に接続されている。循環液導入部231aの近傍とは、循環液供給ラインL211において、循環液導入部231aから温度測定装置234までの距離が、例えば、好ましくは0.5m以内、更に好ましくは0.1m以内であることをいう。温度測定装置234としては、例えば、熱電対を用いることができるが、サーミスタその他の温度測定装置を用いてもよい。
第4実施形態における補給水ラインL220に関する構成は、第1実施形態における補給水ラインL120に関する構成(図1参照)と同様である。そのため、第1実施形態における補給水ラインL120に関する構成についての説明を援用して、第4実施形態における補給水ラインL220に関する構成についての説明を省略する。
排水ラインL230は、貯留部216の底部に接続されており、下方に向けて延びている。排水ラインL230は、貯留部216に貯留された散布水W240を、排水W230として水処理システム200の系外へ排出する。排水ラインL230の途中には、排水バルブ261が接続されている。排水ラインL230における排水バルブ261の下流側には、オーバーフローラインL240(後述)が、排水合流部J231を介して接続されている。排水バルブ261は、制御弁から構成されている。排水バルブ261は、貯留部216と排水合流部J231との間において、排水ラインL230を開閉することができる。
オーバーフローラインL240は、貯留部216から溢れる散布水W240を、排水W230として水処理システム200の系外へ排出するラインである。オーバーフローラインL240の上流側の端部262は、冷却塔210の貯留部216から上方に離間した位置に位置する。オーバーフローラインL240は、排水合流部J231において排水ラインL230と接続(合流)する。
貯留部216から溢れる散布水W240は、オーバーフローラインL240の上流側の端部262からオーバーフローラインL240へ流入する。オーバーフローラインL240へ流入した散布水W240は、排水合流部J231を介して排水ラインL230へ流入し、水処理システム200の系外へ排出される。
本実施形態においては、排水バルブ261から、「排水ラインL230を介して貯留部216に貯留された散布水W240を系外へ向けて流通させる排水流通手段」が構成されている。
次に、図9を参照して、第4実施形態の水処理システム200の制御に係る機能について説明する。図9は、第4実施形態の水処理システム200の制御に係る機能ブロック図である。
図9に示すように、システム制御装置201は、第4実施形態の水処理システム200における各部を制御する。システム制御装置201は、例えば、ファン駆動部222、補給水ポンプ241、軟化水補給水バルブ244、原水補給水バルブ252、排水バルブ261に電気的に接続される。
また、システム制御装置201は、水処理システム200における各測定装置に電気的に接続され、各測定装置から測定情報を受信する。例えば、システム制御装置201は、電気伝導率測定装置233に電気的に接続され、電気伝導率測定装置233により測定された電気伝導率情報を受信する。また、システム制御装置201は、温度測定装置234に電気的に接続され、温度測定装置234により測定された温度情報を受信する。
システム制御装置201は、制御部202を備える。制御部202は、濃縮度判定部281と、温度判定部282と、流量制御手段としての補給水制御部283と、を有する。
第4実施形態におけるシステム制御装置201の構成及び動作は、第1実施形態におけるシステム制御装置101の構成及び動作と同様である。ただし、第1実施形態では、循環水W110の温度に基づいて補給水W120の補給(流通)の制御を行うのに対して、第4実施形態では、循環液W210の温度に基づいて補給水W220の補給(流通)制御を行う点が、両実施形態で異なる。この点を勘案した上で、第1実施形態におけるシステム制御装置101の構成及び動作についての説明を援用し、第4実施形態におけるシステム制御装置201の構成及び動作についての説明を省略し、又は説明を簡略化する。
温度判定部282は、循環液W210の温度が所定範囲内にあるか否かを判定する。冷却塔210が十分な冷却性能を発揮するためには、循環液W210の温度(被冷却装置231に流通する前の循環液W210の温度)を所定範囲(以下、「目標温度範囲」という)内に維持する必要がある。具体的には、温度判定部282は、温度測定装置234により測定される循環液W210の温度が所定の第1閾値としての上限閾値を超えているか又は所定の下限閾値以下であるかを判定する。上限閾値は、前記目標温度範囲の上限値であり、例えば、36℃に設定される。また、下限閾値は、前記目標温度範囲の下限値であり、例えば、34℃に設定される。
次に、図8及び図9を参照して、第4実施形態の水処理システム200の動作について説明する。
詳細には、循環液ポンプ232が作動することにより、冷却塔210の冷却塔内部ラインL250に位置する循環液W210は、循環液ラインL210(循環液供給ラインL211、循環液回収ラインL212)の上流側から下流側へ向けて送り出される。
詳細には、循環液W210は、循環液供給ラインL211を介して、被冷却装置231に供給される。循環液W210は、被冷却装置231の循環液導入部231aから前記循環液流路を通過して被冷却装置231を冷却し、循環液排出部231bから循環液回収ラインL212へ排出される。循環液回収ラインL212へ排出された循環液W210は、冷却塔210の冷却塔内部ラインL250へ導入される。このようにして、循環液W210は、循環液ラインL210、冷却塔内部ラインL250等を介して循環する。
また、散布水ポンプ239が作動することにより、冷却塔210の貯留部216に貯留される散布水W240は、散布水ラインL260(散布水供給ラインL261、散布水回収ラインL262)の上流側から下流側へ向けて送り出される。
散布水ラインL260へ送り出された散布水W240は、散水部212の上部水槽213へ導入される。上部水槽213へ導入された散布水W240は、散水口214から塔本体211の内部において冷却塔内部ラインL250の外側へ散布される。散布された散布水W240は、図8に点線で示すように、塔本体211の内部を落下して、貯留部216に受け止められる。このようにして、貯留部216に貯留される散布水W240は、散布水ラインL260、散水部212等を介して循環する。
また、冷却塔210において、システム制御装置201によりファン駆動部222を作動させ、ファン220を回転させる。これにより、ルーバ218を通じて塔本体211の内部へ外気(エア)E1が流入する。エアE1は、塔本体211の内部を通過し、排気E2として上部開口部221から塔本体211の外部へ排出される。
塔本体211の内部を落下する散布水W240は、塔本体211の内部へ流入する外気E1に触れて冷却される。このように冷却されて貯留部216へ戻る(落下する)散布水W240は、散布水ラインL260を介して再び冷却塔210の散水部212へ戻る。従って、貯留部216に貯留された散布水W240は、散布水ラインL260を循環して、冷却塔内部ラインL250及びその内部の循環液W210を冷却する冷却水として機能する。
第4実施形態における補給水W220の補給(流通)の制御に係る構成及び動作は、第1実施形態における補給水W120の補給(流通)の制御に係る構成(図2参照)及び動作(制御フロー、図3参照)と同様である。ただし、第1実施形態では、循環水W110の温度に基づいて補給水W120の補給(流通)の制御を行うのに対して、第4実施形態では、循環液W210の温度に基づいて補給水W220の補給(流通)の制御を行う点が、両実施形態で異なる。この点を勘案した上で、第1実施形態における補給水W120の補給(流通)の制御に係る構成及び動作についての説明を援用し、第4実施形態における補給水W220の補給(流通)の制御に係る構成及び動作についての説明を省略する。
次に、第4実施形態の水処理システム200の動作の第4実施例について、図10を参照しながら説明する。第4実施例では、循環液W210の温度に基づいて、補給水W220の補給(流通)の制御を行う。図10は、第4実施形態の水処理システム200の動作を示すフローチャートである。
図10に示すように、ステップST301において、温度測定装置234は、循環液W210の温度を測定する。温度測定装置234により測定された温度の情報は、システム制御装置201の制御部202の温度判定部282に入力される。
ステップST302において、温度判定部282は、温度情報記憶部285の温度情報テーブル285aを参照し、入力された循環液W210の温度の情報に基づいて、循環液W210の温度が所定の上限閾値を超えているかについて判定する。循環液W210の温度が所定の上限閾値を超えている(YES)と判定された場合には、ステップST303へ進む。循環液W210の温度が所定の上限閾値以下(NO)であると判定された場合には、ステップST304へ進む。
循環液W210の温度が所定の上限閾値を超えている(YES)と判定された場合には、冷却塔210が十分な冷却性能を発揮することができない。そこで、ステップST303において、補給水制御部283は、前記補給水流通手段の制御を行い、補給水W220の補給を開始する。詳細には、補給水制御部283は、補給水ラインL220における原水補給水バルブ252及び/又は軟化水補給水バルブ244を開放すると共に、補給水ポンプ241を起動することにより、補給水W220を貯留部216に補給する。
また、補給水制御部283は、補給水W220の補給とほぼ同時に、排水バルブ261を開放し、貯留部216に貯留される散布水W240を、排水ラインL230を介して水処理システム200の系外へ排出する制御を行う(図示せず)。
ステップST303において、補給水W220の補給を開始した後は、ステップST301へ戻る。そして、ステップST302において、循環液W210の温度が所定の上限閾値以下(NO)であると判定されるまで、ステップST301、ステップST302及びステップST303が繰り返され、補給水W220の補給が継続される。
このように、散布水W240の温度よりも低い補給水W220が、冷却塔210の貯留部216へ供給されることにより、貯留部216に貯留される散布水W240の温度が次第に低下する。従って、循環液W210は、温度が低下した散布水W240によって冷却されるため、循環液W210の温度も次第に低下する。
そして、ステップST302において、循環液W210の温度が所定の上限閾値以下(NO)であると判定された場合には、ステップST304へ進む。
ステップST304において、温度判定部282は、温度情報記憶部285の温度情報テーブル285aを参照し、入力された循環液W210の温度の情報に基づいて、循環液W210の温度が所定の下限閾値以下であるかについて判定する。循環液W210の温度が所定の下限閾値以下でない(NO)と判定された場合には、ステップST301へ戻る。循環液W210の温度が所定の下限閾値以下(YES)であると判定された場合には、ステップST305へ進む。
循環液W210の温度が所定の下限閾値以下でない(NO)と判定された場合には、循環液W210の温度が前記目標温度範囲の下限値を超えており、冷却塔210が十分な冷却性能を発揮するには、循環液W210の温度が、この下限値(下限閾値)以下に低下することが好ましい。
そこで、ステップST301へ戻り、ステップST302及びステップST304が繰り返され、ステップST304において、循環液W210の温度が所定の下限閾値以下(YES)と判定されるまで、補給水W220の補給が継続される。
このように、散布水W240の温度よりも低い補給水W220が、冷却塔210の貯留部216へ供給されることにより、貯留部216に貯留される散布水W240の温度が更に低下する。従って、循環液W210は、温度が低下した散布水W240によって冷却されるため、循環液W210の温度も更に低下する。
そして、ステップST304において、循環液W210の温度が所定の下限閾値以下(YES)であると判定された場合には、循環液W210は、冷却塔210が十分な冷却性能を発揮することができる温度に低下しているので、ステップST305へ進む。
ステップST305において、補給水制御部283は、前記補給水流通手段の制御を行い、補給水W220の補給を停止する。詳細には、補給水制御部283は、補給水ラインL220における原水補給水バルブ252及び/又は軟化水補給水バルブ244を閉鎖すると共に、補給水ポンプ241を停止することにより、補給水W220の流通(補給)を停止する。
また、補給水制御部283は、補給水W220の補給の停止とほぼ同時に排水バルブ261を閉鎖し、貯留部216に貯留される散布水W240を、排水ラインL230を介して水処理システム200の系外へ排出する制御を停止する(図示せず)。
第4実施形態の水処理システム200によれば、例えば、次のような効果が奏される。
第4実施形態の水処理システム200は、循環液W210の温度を測定する温度測定装置234と、温度測定装置234により測定された循環液W210の温度が所定の上限閾値を超えた場合に、補給水W220の補給を開始するように前記補給水流通手段を制御する補給水制御部283と、を備える。そのため、例えば前述の第4実施例のように、循環液W210の温度を所定の上限閾値以下に低下させることができる。従って、外気E1の温度が高い夏季の昼間などにおいても、冷却塔210に要求される冷却性能を十分に確保することができる。
また、第4実施形態の水処理システム200は、温度測定装置234により測定された循環液W210の温度が所定の下限閾値以下となった場合に、補給水W220の補給を停止するように前記補給水流通手段を制御する補給水制御部283を備える。そのため、例えば前述の第4実施例のように、循環液W210の温度を前記目標温度範囲内に維持することができると共に、補給する補給水W220の量を節約することができる。
また、第4実施形態の水処理システム200は、排水ラインL230を介して、貯留部216に貯留された散布水W240を系外へ向けて流通させる排水バルブ261を更に備え、補給水制御部283は、補給水W220の補給を開始すると共に貯留部216に位置する散布水W240を系外へ向けて排出するように排水バルブ261を制御する。そのため、循環液W210の温度が所定の上限閾値以下に低下するまでの時間を短縮することができ、冷却塔210に要求される冷却性能を迅速に確保することができる。
また、第4実施形態の水処理システム200は、循環液供給ラインL211における被冷却装置231の近傍において循環液W210の温度を測定する温度測定装置234を備える。そのため、被冷却装置231に導入される直前の循環液W210の温度を監視することができ、冷却塔210に要求される冷却性能を精度よく見積もることができる。
<第5実施形態>
図11を参照して、本発明の第5実施形態の水処理システム200Aの概略について説明する。図11は、本発明の第5実施形態の水処理システム200Aを示す概略構成図である。
図11に示すように、第5実施形態の水処理システム200Aは、第4実施形態の水処理システム200に比して、「被冷却装置231を経由せずに循環液供給ラインL211と循環液回収ラインL212とを接続する被冷却装置バイパスラインL213と、循環液W210の経路を、被冷却装置231を経由する第1経路と被冷却装置バイパスラインL213を経由する第2経路とに切り換える経路切り換えバルブ235と、温度測定装置234により測定された循環液W210の温度が所定のバイパス判断閾値以下となるまで、循環液W210の経路を第2経路に設定し、温度測定装置234により測定された循環液W210の温度が所定のバイパス判断閾値以下となった後に、循環液W210の経路を第1経路に切り換えるように経路切り換えバルブ235を制御する経路切り換え部287(図12参照)と、を更に備える」点が主として異なる。
詳細には、循環液ラインL210は、被冷却装置バイパスラインL213と、経路切り換えバルブ235と、バイパスライン合流部J254と、を備える。被冷却装置バイパスラインL213は、被冷却装置231を経由せずに循環液供給ラインL211と循環液回収ラインL212とを接続する。バイパスライン合流部J254は、循環液回収ラインL212に設けられている。
被冷却装置バイパスラインL213の上流側の端部は、経路切り換えバルブ235を介して循環液供給ラインL211に接続されている。被冷却装置バイパスラインL213の下流側の端部は、バイパスライン合流部J254において、循環液回収ラインL212と接続されている。経路切り換えバルブ235は、循環液W210の経路を、被冷却装置231を経由する第1経路と被冷却装置バイパスラインL213を経由する第2経路とに切り換え可能に構成されている。経路切り換えバルブ235は、例えば、電磁式の三方弁から構成されている。
次に、図12を参照して、第5実施形態の水処理システム200Aの制御に係る機能について説明する。図12は、第5実施形態の水処理システム200Aの制御に係る機能ブロック図である。
図12に示すように、システム制御装置201は、第5実施形態の水処理システム200Aにおける各部を制御する。システム制御装置201は、例えば、ファン駆動部222、補給水ポンプ241、軟化水補給水バルブ244、原水補給水バルブ252、排水バルブ261、被冷却装置231、経路切り換えバルブ235に電気的に接続される。
システム制御装置201の制御部202は、濃縮度判定部281と、温度判定部282と、補給水制御部283と、タイムカウンタ部284と、被冷却装置制御部286と、経路切り換え装置としての経路切り換え部287と、を有する。
被冷却装置制御部286は、被冷却装置231の運転(起動及び停止)を制御する。詳細には、温度判定部282が、循環液W210の温度が所定の閾値(後述のバイパス判断閾値)を超えていると判定した場合に、被冷却装置制御部286は、被冷却装置231の運転を停止する。また、温度判定部282が、循環液W210の温度が所定の閾値を超えていないと判定した場合に、被冷却装置制御部286は、被冷却装置231の運転を開始する。
経路切り換え部287は、経路切り換えバルブ235の開閉を制御することにより、循環液W210の経路を、被冷却装置231を経由する第1経路と被冷却装置バイパスラインL213を経由する第2経路とに切り換える。
詳細には、温度判定部282が、循環液W210の温度が所定の閾値を超えていると判定した場合に、経路切り換え部287は、経路切り換えバルブ235の開閉を制御し、循環液W210の経路を第1経路から第2経路に切り換える。
また、温度判定部282が、循環液W210の温度が所定の閾値を超えていないと判定した場合に、経路切り換え部287は、経路切り換えバルブ235の開閉を制御し、循環液W210の経路を第2経路から第1経路に切り換える。
温度情報記憶部285の温度情報テーブル285aは、所定の第2閾値としてのバイパス判断閾値の情報と、循環液W210の前記目標温度範囲(上限閾値及び下限閾値)の情報が記憶されたテーブルである。
バイパス判断閾値は、被冷却装置231の運転に支障を来す(例えば、被冷却装置231がオーバーヒートする)虞がある循環液W210の温度の閾値であり、第1経路と第2経路とを切り換えるか否かを判定する際に、温度判定部282によって参照される閾値である。バイパス判断閾値は、例えば、40℃に設定される。
第5実施形態における水処理システム200Aに関するその他の構成は、第4実施形態における水処理システム200に関する構成(制御に係る構成を含む)と同様である。そのため、第4実施形態における水処理システム200に関する構成についての説明を援用して、第5実施形態における水処理システム200Aに関する構成についての説明を省略する。
次に、第5実施形態の水処理システム200Aの動作の第5実施例について、図13を参照しながら説明する。図13は、第5実施形態の水処理システム200Aの動作を示すフローチャートである。
図13に示すように、ステップST401において、温度測定装置234は、循環液W210の温度を測定する。温度測定装置234により測定された温度の情報は、システム制御装置201の制御部202の温度判定部282に入力される。
ステップST402において、温度判定部282は、温度情報記憶部285の温度情報テーブル285aを参照し、入力された循環液W210の温度の情報に基づいて、循環液W210の温度がバイパス判断閾値を越えているかについて判定する。循環液W210の温度がバイパス判断閾値を越えている(YES)と判定された場合には、ステップST403へ進む。循環液W210の温度がバイパス判断閾値以下(NO)であると判定された場合には、ステップST406へ進む。
ステップST403において、被冷却装置制御部286は、被冷却装置231の運転を停止する。これにより、冷却塔210に要求される冷却性能が十分に確保されていない状態で被冷却装置231が運転されるのを防止し、被冷却装置231が故障するのを効果的に抑制することができる。
ステップST404において、経路切り換え部287は、経路切り換えバルブ235の開閉を制御し、循環液W210の経路を第1経路から第2経路に設定する。つまり、経路切り換え部287は、循環液W210が被冷却装置バイパスラインL213を経由するように経路を切り換える。
そして、ステップST405において、補給水制御部283は、前記補給水流通手段の制御を行い、補給水W220の補給を開始する。詳細には、補給水制御部283は、補給水ラインL220における原水補給水バルブ252及び/又は軟化水補給水バルブ244を開放すると共に、補給水ポンプ241を起動することにより、補給水W220を貯留部216に補給する。
また、補給水制御部283は、補給水W220の補給とほぼ同時に、排水バルブ261を開放し、貯留部216に貯留される散布水W240を、排水ラインL230を介して水処理システム200Aの系外へ排出する制御を行う(図示せず)。
ステップST405において、補給水W220の補給を開始した後は、ステップST401へ戻る。そして、ステップST402において、循環液W210の温度がバイパス判断閾値以下(NO)と判定されるまで、ステップST401、ステップST402、ステップST403、ステップST404及びステップST405が繰り返され、補給水W220の補給が継続される。このように、散布水W240の温度よりも低い補給水W220が、冷却塔210の貯留部216へ供給されることにより、貯留部216に貯留される散布水W240の温度が次第に低下する。
そして、ステップST402において、循環液W210の温度がバイパス判断閾値以下(NO)であると判定された場合には、オーバーヒート等によって被冷却装置231が故障する虞が解消されたと判断できるので、ステップST406へ進む。
ステップST406において、被冷却装置制御部286は、被冷却装置231の運転を開始する。
ステップST407において、経路切り換え部287は、経路切り換えバルブ235の開閉を制御し、循環液W210の経路を第2経路から第1経路に切り換える。つまり、経路切り換え部287は、バイパス判断閾値以下に温度低下した循環液W210が被冷却装置231を経由するように経路を切り換える。これにより、被冷却装置231の前記循環液流路には、バイパス判断閾値以下に温度低下した循環液W210が流通する。これにより、被冷却装置231は、循環液W210によって冷却され、オーバーヒート等によって故障する虞が解消される。
第1経路を流通する循環液W210の温度は、オーバーヒート等によって被冷却装置231が故障する虞が解消されるバイパス判断閾値にまで低下しただけであって、冷却塔210が冷却性能を発揮するには、まだ十分とはいえない。そこで、ステップST408以降において、冷却塔210が十分な冷却性能を発揮できるようになるまで補給水W220(散布水W240)の補給の制御を行う。つまり、循環液W210の温度が前記目標温度範囲内になるように補給水W220(散布水W240)の補給の制御を行う。
ステップST408において、温度判定部282は、温度情報記憶部285の温度情報テーブル285aを参照し、入力された循環液W210の温度の情報に基づいて、循環液W210の温度が所定の上限閾値を超えているかについて判定する。循環液W210の温度が所定の上限閾値を超えている(YES)と判定された場合には、ステップST401へ戻る。循環液W210の温度が所定の上限閾値以下(NO)と判定された場合には、ステップST409へ進む。
循環液W210の温度が所定の上限閾値を超えている(YES)と判定された場合には、冷却塔210が十分な冷却性能を発揮することができない。そこで、ステップST401に戻り、補給水W220の補給を継続する。つまり、ステップST401、ステップST402、ステップST406及びステップST407が繰り返され、ステップST408において、循環液W210の温度が所定の上限閾値以下(NO)と判定されるまで、補給水W220の補給が継続される。補給水W220の補給が継続されると、貯留部216に貯留される散布水W240の温度が次第に低下する。
そして、ステップST408において、循環液W210の温度が所定の上限閾値以下(NO)と判定された場合には、ステップST409へ進む。
ステップST409において、温度判定部282は、温度情報記憶部285の温度情報テーブル285aを参照し、入力された循環液W210の温度の情報に基づいて、循環液W210の温度が所定の下限閾値以下であるかについて判定する。循環液W210の温度が所定の下限閾値以下でない(NO)と判定された場合には、ステップST401へ戻る。循環液W210の温度が所定の下限閾値以下(YES)であると判定された場合には、ステップST410へ進む。
循環液W210の温度が所定の下限閾値以下でない(NO)と判定された場合には、循環液W210の温度が前記目標温度範囲の下限値を超えており、冷却塔210が十分な冷却性能を発揮するには、循環液W210の温度が、この下限値(下限閾値)以下に低下することが好ましい。そこで、ステップST401へ戻り、補給水W220の補給を継続する。
つまり、ステップST401、ステップST402、ステップST406、ステップST407、ステップST408及びステップST409が繰り返され、ステップST409において、循環液W210の温度が所定の下限閾値以下(YES)であると判定されるまで、補給水W220の補給が継続される。このように、散布水W240の温度よりも低い補給水W220が、冷却塔210の貯留部216へ供給されることにより、貯留部216に貯留される散布水W240の温度が更に低下する。
そして、ステップST409において、循環液W210の温度が所定の下限閾値以下(YES)であると判定された場合には、循環液W210は、冷却塔210が十分な冷却性能を発揮することができる温度に低下しているので、ステップST410へ進む。
ステップST410において、補給水制御部283は、前記補給水流通手段の制御を行い、補給水W220の補給を停止する。詳細には、補給水制御部283は、補給水ラインL220における原水補給水バルブ252及び/又は軟化水補給水バルブ244を閉鎖すると共に、補給水ポンプ241を停止することにより、補給水W220の流通(補給)を停止する。また、補給水制御部283は、補給水W220の補給の停止とほぼ同時に排水バルブ261を閉鎖し、貯留部216に貯留される散布水W240を、排水ラインL230を介して水処理システム200Aの系外へ排出する制御を停止する(図示せず)。
第5実施形態の水処理システム200Aによれば、例えば、次のような効果が奏される。
第5実施形態の水処理システム200Aは、被冷却装置バイパスラインL213と、経路切り換えバルブ235と、循環液W210の温度がバイパス判断閾値以下となるまで、循環液W210の経路を第2経路に設定し、循環液W210の温度がバイパス判断閾値以下となった後に、循環液W210の経路を第1経路に切り換える経路切り換え部287と、を備える。そのため、例えば前述の第5実施例のように、循環液W210の温度をバイパス判断閾値以下に低下させることができる。従って、オーバーヒート等によって被冷却装置231が故障するのを防止しつつ、冷却塔210に要求される冷却性能を十分に確保することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、開放式冷却塔を含む第1実施形態においては、温度測定装置134は、循環水ラインL110に接続され、循環水ラインL110を流通する循環水W110の温度を測定しているが、これに制限されない。例えば、温度測定装置134は、冷却塔110の散水部112に接続され、散水部112に位置する循環水W110の温度を測定してもよい。
また、開放式冷却塔を含む第3実施形態においては、温度測定装置134は、循環水ラインL110に接続され、循環水ラインL110を流通する循環水W110の温度を測定しているが、これに制限されない。例えば、温度測定装置134は、冷却塔110の貯留部116の内部に設けられ、貯留部116に位置する循環水W110の温度を測定してもよい。また、温度測定装置134は、冷却塔110の散水部112に接続され、散水部112に位置する循環水W110の温度を測定してもよい。
また、密閉式冷却塔を含む第4実施形態及び第5実施形態においては、温度測定装置234は、循環液供給ラインL211に接続され、循環液供給ラインL211を流通する循環液W210の温度を測定しているが、これに制限されない。例えば、温度測定装置234は、散布水ラインL260に接続され、散布水ラインL260を流通する散布水W240の温度を測定してもよい。また、温度測定装置234は、冷却塔210の貯留部216に接続され、貯留部216に貯留する散布水W240の温度を測定してもよい。また、温度測定装置234は、冷却塔210の散水部212に接続され、散水部212に位置する散布水W240の温度を測定してもよい。
また、密閉式冷却塔を含む第4実施形態及び第5実施形態においては、温度測定装置234は、循環液供給ラインL211における被冷却装置231の循環液導入部231aの近傍に接続されているが、これに制限されない。例えば、温度測定装置234は、循環液回収ラインL212に接続され、循環液回収ラインL212を流通する循環液W210の温度を測定してもよい。
また、第1実施形態では、原水補給水W121と軟化水補給水W122とはそれぞれ独立して、冷却塔110の貯留部116に補給されているが、これに制限されない。例えば、原水補給水W121及び軟化水補給水W122は、冷却塔110の外部で合流した状態で、冷却塔110の貯留部116に補給されてもよい。第2実施形態から第5実施形態においても同様である。
また、開放式冷却塔を含む第1実施形態においては、原水補給水ラインL122は、原水補給水W121を貯留部116へ補給し、軟化水補給水ラインL123は、軟化水補給水W122を貯留部116へ補給しているが、これに制限されない。例えば、原水補給水ラインL122は、原水補給水W121を貯留部116、散水部112及び循環水ラインL110のうちのいずれか1つ以上へ補給してもよい。また、軟化水補給水ラインL123は、軟化水補給水W122を貯留部116、散水部112及び循環水ラインL110のうちのいずれか1つ以上へ補給してもよい。
図14から図19を参照して、第1実施形態における原水補給水W121及び軟化水補給水W122の補給位置に関する変形例について具体的に説明する。図14は、第1実施形態における原水補給水W121及び軟化水補給水W122の補給位置に関する第1変形例を示す図である。図15は、第1実施形態における原水補給水W121及び軟化水補給水W122の補給位置に関する第2変形例を示す図である。図16は、第1実施形態における原水補給水W121及び軟化水補給水W122の補給位置に関する第3変形例を示す図である。図17は、第1実施形態における原水補給水W121及び軟化水補給水W122の補給位置に関する第4変形例を示す図である。図18は、第1実施形態における原水補給水W121及び軟化水補給水W122の補給位置に関する第5変形例を示す図である。図19は、第1実施形態における原水補給水W121及び軟化水補給水W122の補給位置に関する第6変形例を示す図である。図14から図19においては、システム制御装置101に関連する制御線を省略している。
図14に示す第1変形例のように、原水補給水ラインL122は、原水補給水W121を貯留部116へ補給し、軟化水補給水ラインL123は、軟化水補給水W122を散水部112へ補給してもよい。また、図15に示す第2変形例のように、原水補給水ラインL122は、原水補給水W121を散水部112へ補給し、軟化水補給水ラインL123は、軟化水補給水W122を貯留部116へ補給してもよい。
また、図16に示す第3変形例のように、原水補給水ラインL122は、原水補給水W121を散水部112へ補給し、軟化水補給水ラインL123は、軟化水補給水W122を散水部112へ補給してもよい。また、図17に示す第4変形例のように、原水補給水ラインL122は、原水補給水W121を循環水回収ラインL111へ補給し、軟化水補給水ラインL123は、軟化水補給水W122を循環水回収ラインL111へ補給してもよい。
また、図18に示す第5変形例のように、原水補給水ラインL122は、原水補給水W121を循環水回収ラインL111へ補給し、軟化水補給水ラインL123は、軟化水補給水W122を貯留部116へ補給してもよい。また、図19に示す第6変形例のように、原水補給水ラインL122は、原水補給水W121を貯留部116へ補給し、軟化水補給水ラインL123は、軟化水補給水W122を循環水回収ラインL111へ補給してもよい。
また、密閉式冷却塔を含む第4実施形態においては、原水補給水ラインL222は、原水補給水W221を貯留部216へ補給し、軟化水補給水ラインL223は、軟化水補給水W222を貯留部216へ補給しているが、これに制限されない。例えば、原水補給水ラインL222は、原水補給水W221を貯留部216、散水部212及び散布水ラインL260のうちのいずれか1つ以上へ補給してもよい。また、軟化水補給水ラインL223は、軟化水補給水W222を貯留部216、散水部212及び散布水ラインL260のうちのいずれか1つ以上へ補給してもよい。
具体的には、第4実施形態における原水補給水ラインL222は、第1実施形態における原水補給水W121の補給位置に関する前記第1変形例から前記第6変形例(図14から図19参照)と同様に、原水補給水W221を貯留部216以外へ補給してもよい。また、第4実施形態における軟化水補給水ラインL223は、第1実施形態における軟化水補給水W122の補給位置に関する前記第1変形例から前記第6変形例(図14から図19参照)と同様に、軟化水補給水W222を貯留部216以外へ補給してもよい。
また、第1実施形態では、原水補給水W121と軟化水補給水W122とが冷却塔110の貯留部116に補給されているが、これに制限されない。例えば、原水補給水W121のみが冷却塔110の貯留部116に補給されてもよいし、軟化水補給水W122のみが冷却塔110の貯留部116に補給されてもよい。第2実施形態から第5実施形態においても同様である。
前記第1実施例では、冷却塔110の貯留部116への補給水W120の補給の際に、排水ラインL130を介して、貯留部116に貯留された循環水W110を、排水W130として冷却塔110の外部へ強制的に排出しているが、これに制限されない。例えば、排水ラインL130を介した循環水W110の強制的な排出を行わずに、オーバーフローラインL140を介した循環水W110の排出のみを行ってもよい。
第1実施例の変形に関する説明は、第2実施例から第5実施例にも適宜適用又は援用される。