JP2007260519A - イオン交換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 上向流再生式のイオン交換装置において、再生作動時の押さえ水の流量を増加させることなく、イオン交換樹脂の流動を抑制する。
【解決手段】 イオン交換樹脂5を充填した樹脂収容部2と、再生作動時に前記樹脂収容部2へ再生液を供給する再生液供給装置4とを備えた上向流再生式のイオン交換装置1において、前記再生液供給装置4に再生液加温手段23を設ける。さらには、前記再生液供給装置4の周囲温度または再生液温度を検出する温度検出手段25と、前記温度検出手段25の検出値が第一設定温度以下のとき、前記再生液加温手段23を作動させるとともに、前記温度検出手段25の検出値が第二設定温度以上のとき、前記再生液加温手段23を停止させる温度制御手段26とを備える。
【選択図】 図1

Description

この発明は、再生作動時のイオン交換樹脂の流動を抑制できるように構成した上向流再生式のイオン交換装置に関する。
水道水や地下水などの原水に含まれる硬度分(カルシウムイオンおよびマグネシウムイオン)や硝酸性窒素(硝酸イオンおよび亜硝酸イオン)などをイオン交換樹脂により吸着除去するイオン交換装置が知られている。これらのイオン交換装置のうち、陽イオン交換樹脂を使用して水中の硬度分をナトリウムイオンやカリウムイオンへ置換するものは、軟水装置と呼ばれる。一方、前記イオン交換装置のうち、陰イオン交換樹脂を使用して硝酸性窒素を塩化物イオンへ置換するものは、硝酸性窒素除去装置と呼ばれる。
前記イオン交換樹脂は、除去対象とする特定イオン(硬度分や硝酸性窒素など)の吸着量が所定の交換能力に達すると、この特定イオンが処理水中へ漏洩するようになる。そこで、前記イオン交換装置は、前記特定イオンの吸着量が所定の交換能力に達する前に、前記イオン交換樹脂に再生液を接触させる再生を行い、交換能力を回復させるようにしている。この再生は、前記イオン交換樹脂の再生効率および処理水の純度に優れることから、通水作動時に原水を前記イオン交換樹脂の充填層に対して下向流で通水し、また再生作動時に再生液を前記イオン交換樹脂の充填層に対して上向流で通液する上向流再生が有効とされている。
上向流再生式の前記イオン交換装置は、たとえば特許文献1に開示されている。前記イオン交換装置の再生作動時には、イオン交換塔の底部へは、再生液タンクからの再生剤原液が原水で所定濃度まで希釈されながら上向流で供給される。同時に、前記イオン交換塔の上部へは、前記イオン交換樹脂の流動を抑制し、固定床の状態を維持するため、押さえ水が下向流で供給される。そして、再生液と押さえ水とは、前記イオン交換樹脂の充填層の上部で合流し、集水管を介して前記イオン交換塔内から系外へ排出される。
特開昭52−74573号公報
ところで、前記再生作動時における前記イオン交換樹脂の流動の抑制は、所定の再生効率および処理水の純度を確保する観点から、重要な問題である。前記イオン交換樹脂は、粒径が0.3〜1.2mm,含水率が50%前後,比重が1.07〜1.3であり、発明者の研究によれば、前記イオン交換樹脂の流動の度合いは、上向流で供給される再生液の温度によって影響を受ける。具体的には、再生液の温度が低くなるほど、再生液の粘度が高くなるため、前記イオン交換樹脂は、再生液の流れに随伴して流動しやすくなる。そして、樹脂粒子と再生液との接触確率が悪化する結果、再生不良を起こしやすくなる。とくに、寒冷地に設置された前記イオン交換装置では、前記再生液タンク内の再生剤原液が外気によって冷却され、また再生剤原液を希釈する原水の温度も低いため、低温の再生液が供給されやすい状態になっている。
前記イオン交換樹脂の流動は、通常、押さえ水の流量を増加させることによって抑制することができる。しかしながら、寒冷地とそれ以外の地域とで押さえ水を異なる流量に調整することは、前記イオン交換装置の運用が煩雑になるため、あまり現実的ではない。これに対し、押さえ水の流量を寒冷地の温度条件に適合するように設定しておくこともでき
るが、押さえ水は、再生液と混合されて排出されるため、再利用が困難である。すなわち、押さえ水の流量を増加させることは、そのまま排水量の増加を意味する。そして、排水量の増加は、原水確保に係る費用および排水処理に係る費用を高騰させることから、使用者の経済的な負担を増大させてしまう。
この発明は、前記の事情に鑑みてなされたもので、その解決しようとする課題は、上向流再生式のイオン交換装置において、再生作動時の押さえ水の流量を増加させることなく、イオン交換樹脂の流動を抑制することである。
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、イオン交換樹脂を充填した樹脂収容部と、再生作動時に前記樹脂収容部へ再生液を供給する再生液供給装置とを備えた上向流再生式のイオン交換装置であって、前記再生液供給装置に再生液加温手段を設けたことを特徴としている。
請求項1に記載の発明によれば、再生作動時、前記再生液供給装置からの再生液は、前記再生液加温手段によって加温されながら、前記樹脂収容部へ供給される。したがって、前記樹脂収容部内へは、粘度が低減された再生液が供給され、前記イオン交換樹脂の流動が抑制される。
さらに、請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記再生液供給装置の周囲温度または再生液温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段の検出値が第一設定温度以下のとき、前記再生液加温手段を作動させるとともに、前記温度検出手段の検出値が第二設定温度以上のとき、前記再生液加温手段を停止させる温度制御手段とを備えたことを特徴としている。
請求項2に記載の発明によれば、前記温度検出手段の検出値が前記第一設定温度以下のときには、前記温度制御手段によって前記再生液加温手段が作動される。そして、再生作動時、前記再生液供給装置からの再生液は、前記再生液加温手段によって加温されながら、前記樹脂収容部へ供給される。一方、前記温度検出手段の検出値が前記第二設定温度以上のときには、前記温度制御手段によって前記再生液加温手段が停止される。そして、再生作動時、前記再生液供給装置からの再生液は、前記再生液加温手段によって加温されることなく、前記樹脂収容部へ供給される。したがって、前記樹脂収容部内へは、所定の温度以上,すなわち所定の粘度以下に設定された再生液が供給され、前記イオン交換樹脂の流動が抑制される。
この発明によれば、上向流再生式のイオン交換装置において、再生作動時の押さえ水の流量を増加させることなく、イオン交換樹脂の流動を抑制することができる。この結果、前記イオン交換装置が設置される地域や場所に関わらず、再生作動時の排水量を一定に維持しながら、所定の再生効率および処理水の純度を確保することができる。
(第一実施形態)
以下、この発明の第一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、この第一実施形態に係るイオン交換装置の全体構成図を示している。第一実施形態に係るイオン交換装置は、いわゆる軟水装置であって、水道水,地下水,工業用水などの原水中に含まれる硬度分をナトリウムイオンへ置換して軟水を生成し、この軟水を各種の用水として需要箇所へ供給する目的で使用される。このため、前記軟水装置は、家屋やマンション等の居住建物,ホテルや大衆浴場等の集客施設,ボイラやクーリングタワー等の冷熱機器,食品加
工装置や洗浄装置等の水使用機器などの給水元と接続される。
図1において、イオン交換装置1は、樹脂収容部2と、流路制御バルブ3と、再生液供給装置4とを主に備えている。前記樹脂収容部2は、処理材である陽イオン交換樹脂5が充填された有底の樹脂筒6を備えており、この樹脂筒6の開口部は、蓋部材7で閉鎖されている。この蓋部材7には、前記流路制御バルブ3が一体的に装着されており、前記イオン交換装置1の通水作動の流路と再生作動の流路とを制御器(図示省略)からの指令信号によって切り換えることができるように構成されている。
前記蓋部材7には、流体の供給および排出を行う第一流路8,第二流路9および第三流路10がそれぞれ形成されている。これらの各流路8,9,10は、前記流路制御バルブ3内に設けられた流路部(図示省略)とそれぞれ接続されている。また、前記流路制御バルブ3には、原水を前記樹脂収容部2へ供給する原水ライン11と、軟水を水使用箇所(図示省略)へ供給する処理水ライン12と、再生作動時の排水を系外へ排出する排水ライン13とがそれぞれ接続されている。
前記樹脂収容部2内において、前記第一流路8には、前記樹脂筒6の底部付近へ延びる第一集水管14が接続されている。そして、前記第一集水管14の先端部には、前記陽イオン交換樹脂5の流出を防止する第一スクリーン部材15が装着されている。すなわち、前記第一集水管14内は、前記第一流路8と連通されるとともに、前記第一スクリーン部材15による集水位置が前記樹脂筒6の底部付近に設定されている。
また、前記樹脂収容部2内において、前記第二流路9には、前記イオン交換樹脂5の充填層高さの上部付近へ延びる第二集水管16が接続されている。そして、前記第二集水管16の先端部には、前記陽イオン交換樹脂5の流出を防止する第二スクリーン部材17が装着されている。すなわち、前記第二集水管16内は、前記第二流路9と連通されるとともに、前記第二スクリーン部材17による集水位置が前記陽イオン交換樹脂5の充填層高さの上部付近に設定されている。
ここにおいて、前記第二集水管16の内径は、前記第一集水管14の外径よりも大径に設定されており、前記両集水管14,16の軸芯は、ともに前記樹脂収容部2の軸芯と同軸上に設定されている。すなわち、前記両集水管14,16は、前記第一集水管14が内管に設定され、また前記第二集水管16が外管に設定された二重管構造の集水装置として、前記樹脂収容部2に装着されている。
さらに、前記樹脂収容部2内において、前記蓋部材7の下面側には、前記陽イオン交換樹脂5の流出を防止する第三スクリーン部材18が装着されている。すなわち、前記第三流路10は、前記第三スクリーン部材18を介して前記樹脂収容部2内と連通されている。
さて、前記再生液供給装置4は、再生液タンク19と再生液ライン20とを主に備えている。前記再生液タンク19内には、再生液(たとえば、塩化ナトリウムの飽和水溶液)の貯留部および再生剤21(たとえば、粒状やペレット状の塩化ナトリウム)の貯蔵部を区画する透水性プレート22が配置されている。前記再生液タンク19は、前記流路制御バルブ3と前記再生液ライン20で接続されており、前記再生液タンク19内の再生液は、前記流路制御バルブ3に内蔵されたエゼクタ(図示省略)を介して前記樹脂収容部2へ供給可能に構成されている。
前記再生液供給装置4には、再生液加温手段23が設けられている。第一実施形態において、前記再生液加温手段23には、面状発熱体24,24が用いられており、これらの
各面状発熱体24は、前記再生液タンク19の側面部に密着して、それぞれ装着されている。
また、前記イオン交換装置1は、温度検出手段25と温度制御手段26とをさらに備えている。第一実施形態において、前記温度検出手段25には、バイメタル式,液体膨張式,電子式などのサーモスタット27が用いられている。このサーモスタット27は、温度の検出値に応じてオンオフする接点部(符号省略)を有しており、温度の検出値が第一設定温度以下のとき、前記接点部がオンとなるとともに、検出値が第二設定温度以上のとき、前記接点部がオフとなるように動作する。あるいは、前記サーモスタット27は、温度の検出値が第一設定温度以下のとき、前記接点部がオフとなるとともに、検出値が第二設定温度以上のとき、前記接点部がオンとなるように動作する。そして、前記サーモスタット27は、前記再生液供給装置4の周囲温度を検出可能な位置,たとえば前記再生液タンク19の近傍に配置されている。ここにおいて、前記第一設定温度は、たとえば10℃に設定され、また前記第二設定温度は、たとえば20℃に設定される。
前記温度制御手段26は、前記サーモスタット27の前記接点部のオンオフ動作に応じて、前記各面状発熱体24への通電を制御可能に構成されたものであり、電源部28,リレーコイル部29およびリレー接点部30を有している。そして、前記各面状発熱体24,前記サーモスタット27,前記電源部28,前記リレーコイル部29および前記リレー接点部30は、それぞれ電気的に接続され、シーケンス回路を形成している。すなわち、前記温度制御手段26は、前記再生液供給装置4の周囲温度が前記第一設定温度以下のとき、前記各面状発熱体24へ通電を行って発熱させるとともに、前記再生液供給装置4の周囲温度が前記第二設定温度以上のとき、前記各面状発熱体24への通電を停止するようになっている。
ところで、寒冷地に設置される前記イオン交換装置1は、通常、前記樹脂収容部2へ通水が行われていない夜間などに、前記樹脂収容部2内の滞留水が凍結することを防止するため、前記樹脂筒6に発熱体が取り付けられている(図示省略)。そして、この発熱体は、サーモスタットによって検出された前記樹脂筒6の周囲温度に基づいて、通電が制御されるように構成されている。そこで、前記イオン交換装置1は、前記再生液供給装置4が前記樹脂収容部2の近傍に配置されている場合、前記温度検出手段25での検出値に応じて前記各面状発熱体24への通電と、前記樹脂筒6に取り付けた前記発熱体への通電とを同時に制御するように、前記温度制御手段26の前記シーケンス回路を組むことも可能である。このように構成すると、前記イオン交換装置1の全体構成をより簡略化することができる。
以下、第一実施形態に係る前記イオン交換装置1の通水作動および再生作動について、詳細に説明する。前記通水作動および前記再生作動では、前記制御器(図示省略)からの指令信号により、前記流路制御バルブ3内の流路部の切替えが行われる。
前記通水作動では、前記原水ライン11を流れる水道水,地下水,工業用水などの原水は、前記第三流路10を介して供給されたのち、前記樹脂収容部2の上部で前記第三スクリーン部材18から配水される。前記第三スクリーン部材18から配水された原水は、前記陽イオン交換樹脂5の充填層を下向流で流れる過程で硬度分がナトリウムイオンへ置換され、軟水化される。前記陽イオン交換樹脂5の充填層を通過した軟水は、前記樹脂収容部2の底部で前記第一スクリーン部材15へ集水されたのち、前記第一集水管14,前記第一流路8および前記処理水ライン12を介して排出され、需要箇所へ供給される。そして、所定量の軟水を採取することにより、前記陽イオン交換樹脂5が硬度分を置換できなくなると、前記再生作動を実施する。
前記再生作動は、前記陽イオン交換樹脂5の硬度分除去能力を回復させるために、逆洗工程,再生工程,押出工程,洗浄工程および補水工程をこの順で行う。ちなみに、前記再生作動は、通常、軟水を使用しない深夜に実施するように設定されているが、夜間も軟水を必要とする需要箇所においては、前記イオン交換装置1の複数台を並列または直列に設置し、前記通水作動を交互に行うように設定する。
前記逆洗工程では、前記原水ライン11を流れる原水は、前記第一流路8および前記第一集水管14を介して供給されたのち、前記樹脂収容部2の底部で前記第一スクリーン部材15から配水される。前記第一スクリーン部材15から配水された原水は、前記樹脂収容部2内を上向流で流れ、前記陽イオン交換樹脂5の充填層を展開させながら、堆積した懸濁物質や破砕などによって生じた微細樹脂を洗い流す。そして、前記陽イオン交換樹脂5の充填層を通過した原水は、前記樹脂収容部2の上部で前記第三スクリーン部材18へ集水されたのち、前記第三流路10および前記排水ライン13を介して系外へ排出される。前記逆洗工程を所定時間実施すると、前記再生工程へ移行する。
前記再生工程では、前記原水ライン11を流れる原水の一部は、希釈水として、前記エゼクタ(図示省略)の一次側へ供給される。前記エゼクタでは、原水の通過によって負圧が発生し、前記再生液タンク19内の再生液が前記再生液ライン20介して吸引されるとともに、この再生液が原水で所定濃度まで希釈される。前記エゼクタからの再生液は、前記第一流路8および前記第一集水管14を介して供給されたのち、前記樹脂収容部2の底部で前記第一スクリーン部材15から配水される。この再生液は、前記陽イオン交換樹脂5の充填層を上向流で通過し、前記陽イオン交換樹脂5を再生させる。また、前記原水ライン11を流れる原水の残部は、前記第三流路10を介して供給されたのち、前記樹脂収容部2の上部で前記第三スクリーン部材18から配水される。この原水は、押さえ水として、前記陽イオン交換樹脂5の充填層を下向きに押圧し、上向流の再生液によって前記陽イオン交換樹脂5が展開および流動することを抑制する。そして、前記陽イオン交換樹脂5の充填層を通過した再生液および前記樹脂収容部2の上部へ供給された原水は、前記陽イオン交換樹脂5の充填層高さの上部で前記第二スクリーン部材17へ集水されたのち、前記第二集水管16,前記第二流路9および前記排水ライン13を介して系外へ排出される。そして、前記再生工程を開始して所定時間が経過すると、前記押出工程へ移行する。
ここにおいて、前記再生工程時には、前記サーモスタット27の検出値が前記第一設定温度(たとえば、10℃)以下になると、前記温度制御手段26によって前記各面状発熱体24への通電が行われ、前記再生液タンク19内の再生液が加温される。一方、前記サーモスタット27の検出値が前記第二設定温度(たとえば、20℃)以上になると、前記温度制御手段26によって前記各面状発熱体24への通電が停止される。この結果、前記再生液供給装置4の周囲温度が前記第一設定温度以下のときには、前記エゼクタへは、常に加温された再生液が供給されることになり、前記エゼクタからの再生液の温度も上昇する。そして、前記樹脂収容部2内へは、所定の温度(たとえば、5℃)以上に設定された再生液が供給されることによって再生液の粘度が低く保たれ、前記陽イオン交換樹脂5が流動しにくくなる。したがって、前記樹脂収容部2の上部へ供給する押さえ水の流量を増加させなくても、樹脂粒子と再生液との接触確率を維持することが可能になり、再生不良の発生が防止される。
前記押出工程では、前記原水ライン11を流れる原水は、押出水として、前記エゼクタの一次側へ供給される。このとき、前記エゼクタへの再生液の供給は、停止されている。前記エゼクタからの原水の一部は、前記第一流路8および前記第一集水管14を介して供給されたのち、前記樹脂収容部2の底部で前記第一スクリーン部材15から配水される。この原水は、再生液を押し出しながら前記陽イオン交換樹脂5の充填層を上向流で通過し、前記陽イオン交換樹脂5を引き続き再生させる。また、前記原水ライン11を流れる原
水の残部は、前記第三流路10を介して供給されたのち、前記樹脂収容部2の上部で前記第三スクリーン部材18から配水される。この原水は、前記陽イオン交換樹脂5の充填層を下向きに押圧し、上向流の再生液および原水によって前記陽イオン交換樹脂5が展開および流動することを抑制する。そして、前記陽イオン交換樹脂5の充填層を通過した再生液および前記樹脂収容部2の上部へ供給された原水は、前記陽イオン交換樹脂5の充填層高さの上部で前記第二スクリーン部材17へ集水されたのち、前記第二集水管16,前記第二流路9および前記排水ライン13を介して系外へ排出される。そして、前記押出工程を開始して所定時間が経過すると、前記洗浄工程へ移行する。
前記洗浄工程では、前記原水ライン11を流れる原水は、洗浄水として、前記第三流路10を介して供給されたのち、前記樹脂収容部2の上部で前記第三スクリーン部材18から配水される。前記第三スクリーン部材18から配水された原水は、前記樹脂収容部2内に残留している再生液を洗い流しながら、前記陽イオン交換樹脂5の充填層を下向流で通過する。そして、前記陽イオン交換樹脂5の充填層を通過した原水は、前記樹脂収容部2の底部で前記第一スクリーン部材15へ集水されたのち、前記第一集水管14,前記第一流路8および前記排水ライン13を介して系外へ排出される。そして、前記押出工程を開始して所定時間が経過すると、前記補水工程へ移行する。
前記補水工程では、前記原水ライン11を流れる原水は、補給水として、前記エゼクタの一次側へ供給される。前記エゼクタからの補給水は、前記再生液ライン20を介して前記再生液タンク19内へ供給される。そして、前記再生液タンク19内へ所定量の補給水が供給されると、前記補水工程を終了し、再び前記通水作動を実施する。前記再生液タンク19内へ供給された補給水は、前記通水作動中に前記再生剤21を溶解させ、再生液を生成する。
以上の第一実施形態によれば、上向流再生式のイオン交換装置において、再生作動時の押さえ水の流量を増加させることなく、イオン交換樹脂の流動を抑制することができる。この結果、前記イオン交換装置が設置される地域や場所に関わらず、再生作動時の排水量を一定に維持しながら、所定の再生効率および処理水の純度を確保することができる。
(第二実施形態)
つぎに、この発明の第二実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。図2は、第二実施形態に係るイオン交換装置の全体構成図を示している。図2において、前記第一実施形態と同一の符号は、同一の部材を示しており、その詳細な説明は省略する。
第二実施例に係るイオン交換装置31は、前記第一実施例と同様に、前記再生液加温手段23,前記温度検出手段25および前記温度制御手段26を備えている。第二実施形態において、前記再生液加温手段23は、線状発熱体32が用いられており、この線状発熱体32は、前記再生液ライン20の外周面に密着して、巻き回されている。前記線状発熱体32は、前記温度制御手段26と接続されており、前記温度制御手段26からの通電によって発熱するように構成されている。
また、第二実施形態において、前記温度検出手段25は、熱電対型や測温抵抗体型などの温度センサ33が用いられている。この温度センサ33は、前記温度制御手段26と接続されており、その検出値が前記温度制御手段26へ入力されるように構成されている。そして、前記温度センサ33は、前記再生液供給装置4の再生液温度を検出可能な位置,たとえば、前記再生液タンク19内の再生液の貯留部に配置されている。
前記温度制御手段26は、前記温度センサ33の検出値に基づいて、前記線状発熱体32への通電を制御可能に構成されている。このため、前記温度制御手段26は、前記第一
実施形態と同様に、前記電源部28を有している。すなわち、前記温度制御手段26は、前記再生液供給装置4の再生液温度が前記第一設定温度以下のとき、前記線状発熱体32へ通電を行って発熱させるとともに、前記再生液供給装置4の再生液温度が前記第二設定温度以上のとき、前記線状発熱体32への通電を停止するようになっている。ここにおいて、前記第一設定温度は、たとえば10℃に設定され、また前記第二設定温度は、たとえば15℃に設定される。
以下、第二実施形態に係る前記イオン交換装置31の通水作動および再生作動について説明する。前記通水作動および前記再生作動における原水,軟水および再生液の流れは、前記第一実施形態と同じであるので、その説明を省略し、ここでは異なる作用についてのみ説明する。
前記再生工程時には、前記温度センサ33の検出値が前記第一設定温度(たとえば、10℃)以下になると、前記温度制御手段26によって前記線状発熱体32への通電が行われ、前記再生液ライン20を流通する再生液が加温される。一方、前記温度センサ33の検出値が前記第二設定温度(たとえば、15℃)以上になると、前記温度制御手段26によって前記線状発熱体32への通電が停止される。この結果、前記再生液供給装置4の再生液温度が前記第一設定温度以下のときには、前記エゼクタへは、常に加温された再生液が供給されることになり、前記エゼクタからの再生液の温度も上昇する。そして、前記樹脂収容部2内へは、所定の温度(たとえば、5℃)以上に設定された再生液が供給されることによって再生液の粘度が低く保たれ、前記陽イオン交換樹脂5が流動しにくくなる。したがって、前記樹脂収容部2の上部へ供給する押さえ水の流量を増加させなくても、樹脂粒子と再生液との接触確率を維持することが可能になり、再生不良の発生が防止される。
以上の第二実施形態によれば、上向流再生式のイオン交換装置において、再生作動時の押さえ水の流量を増加させることなく、イオン交換樹脂の流動を抑制することができる。この結果、前記イオン交換装置が設置される地域や場所に関わらず、再生作動時の排水量を一定に維持しながら、所定の再生効率および処理水の純度を確保することができる。
(他の実施形態)
前記第一実施形態は、前記サーモスタット27の検出値に基づいて、前記各面状発熱体24への通電を制御可能に構成されているが、前記温度センサ33の検出値に基づいて、前記各面状発熱体24への通電を制御するように構成してもよい。また、前記第二実施形態は、前記温度センサ33の検出値に基づいて、前記線状発熱体32への通電を制御可能に構成されているが、前記サーモスタット27の検出値に基づいて、前記線状発熱体32への通電を制御するように構成してもよい。また、前記温度センサ33は、前記再生液ライン20に設けてもよく、さらに前記各面状発熱体24および前記線状発熱体32を併用するように構成してもよい。
第一実施形態に係るイオン交換装置の全体構成図。 第二実施形態に係るイオン交換装置の全体構成図。
符号の説明
1 イオン交換装置
2 樹脂収容部
4 再生液供給装置
5 陽イオン交換樹脂(イオン交換樹脂)
23 再生液加温手段
25 温度検出手段
26 温度制御手段
31 イオン交換装置

Claims (2)

  1. イオン交換樹脂を充填した樹脂収容部と、再生作動時に前記樹脂収容部へ再生液を供給する再生液供給装置とを備えた上向流再生式のイオン交換装置であって、
    前記再生液供給装置に再生液加温手段を設けたことを特徴とするイオン交換装置。
  2. 前記再生液供給装置の周囲温度または再生液温度を検出する温度検出手段と、
    前記温度検出手段の検出値が第一設定温度以下のとき、前記再生液加温手段を作動させるとともに、前記温度検出手段の検出値が第二設定温度以上のとき、前記再生液加温手段を停止させる温度制御手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載のイオン交換装置。
JP2006086836A 2006-03-28 2006-03-28 イオン交換装置 Pending JP2007260519A (ja)

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