JP5487303B2 - カルバメートの製造方法、イソシアネートの製造方法、カルバメートの製造装置、および、イソシアネートの製造装置 - Google Patents

カルバメートの製造方法、イソシアネートの製造方法、カルバメートの製造装置、および、イソシアネートの製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、カルバメートの製造方法、イソシアネートの製造方法、カルバメートの製造装置、および、イソシアネートの製造装置に関する。
イソシアネートは、少なくとも1つのイソシアネート基(−NCO)を有する有機化合物であって、ポリウレタン、ポリ尿素などの原料として、工業的に広く用いられている。
従来より、イソシアネートは、アミンとホスゲンとの反応(ホスゲン法)から工業的に製造されているが、ホスゲンは毒性が強く、その取り扱いが煩雑であり、しかも、大量の塩酸を副生するので、装置の腐食に配慮する必要があるなど、種々の不具合があり、これに代わるイソシアネートの工業的な製造方法の開発が望まれている。
ホスゲンを使用しないイソシアネートの製造方法としては、例えば、アミン、尿素および/またはN−無置換カルバミン酸エステル、および、アルコールを反応(カルバメート化反応)させ、得られたカルバメートを熱分解することにより、イソシアネートを製造する方法(尿素法)が知られている。
一方、尿素法におけるカルバメート化反応では、アンモニアおよび二酸化炭素が副生することが知られている。
アンモニアおよび二酸化炭素は、例えば、カルバメート化反応の原料成分である尿素の製造などに用いることができるため、工業的には、副生するアンモニアおよび二酸化炭素を回収し、有効利用することが望まれる。
アンモニアを回収するカルバメートの製造方法としては、例えば、有機物、二酸化炭素およびアンモニアを含む排ガスを、アルカリ液(例えば、苛性ソーダ溶液など)で洗浄し、有機物および二酸化炭素を除去するとともに、トップ生成物として、アンモニアを留出させる方法が、提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
特開平6−115928号公報
しかしながら、上記の方法では、アンモニアを回収できる一方、二酸化炭素を炭酸アルカリ(例えば、炭酸ナトリウムなど)として排出するため、継続的にアルカリ液(例えば、苛性ソーダ溶液など)を供給する必要があり、コスト面に劣るという不具合がある。
本発明の目的は、カルバメート化反応における副生成物を効率良く回収し、有効利用することのできるカルバメートの製造方法および製造装置、および、そのカルバメートの製造方法および製造装置により得られたカルバメートを用いて、工業的に有用なイソシアネートを製造することができるイソシアネートの製造方法および製造装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明のカルバメートの製造方法は、アンモニアと炭酸ガスとの反応により尿素を製造する尿素製造工程と、アミンと、前記尿素と、アルコールとのカルバメート化反応により、カルバメートを生成し、アルコール、アンモニアおよび二酸化炭素を含むガスを副生するカルバメート化工程と、前記ガスを水で吸収して、ガス吸収水を生成するとともに、アンモニアを分離するアンモニア分離工程と、前記ガス吸収水から、アルコール水溶液を分離するアルコール水溶液分離工程と、前記アルコール水溶液が分離された前記ガス吸収水において、アンモニア水溶液から炭酸ガスを分離するアンモニア/炭酸分離工程と、前記アンモニア水溶液を、前記水とともに、前記ガス吸収水の生成に用いるアンモニア水溶液再利用工程とを備えることを特徴としている。
また、本発明のカルバメートの製造方法では、前記アンモニア分離工程において、前記ガスを、炭酸塩の存在下、前記水で吸収し、前記アンモニア/炭酸分離工程において、前記炭酸塩の存在下、前記アンモニア水溶液から炭酸ガスを分離し、前記アンモニア水溶液再利用工程において、前記アンモニア水溶液および前記水とともに、前記炭酸塩を、前記ガス吸収水の生成に用いることが好適である。
また、本発明のカルバメートの製造方法は、さらに、前記アンモニア/炭酸分離工程において分離された炭酸ガスを回収し、前記尿素製造工程で用いる炭酸ガス再利用工程を備えることが好適である。
また、本発明のカルバメートの製造方法は、さらに、前記アンモニア分離工程で分離された前記アンモニアを、前記尿素製造工程で用いるアンモニア再利用工程を備えることが好適である。
また、本発明のカルバメートの製造方法は、さらに、前記アルコール水溶液からアルコールを分離して、前記アルコールを前記カルバメート化工程で用いるアルコール再利用工程を備えることが好適である。
また、本発明のカルバメートの製造方法は、前記尿素製造工程において排出される水を、前記アンモニア分離工程で用いる水再利用工程を備えることが好適である。
また、本発明のカルバメートの製造方法は、アンモニアと炭酸ガスとの反応により尿素を製造する尿素製造工程と、アミンと、前記尿素と、アルコールとのカルバメート化反応により、カルバメートを生成し、アルコール、アンモニアおよび二酸化炭素を含むガスを副生するカルバメート化工程と、前記ガスを水で吸収して、ガス吸収水を生成するとともに、アンモニアを分離するアンモニア分離工程と、前記ガス吸収水から、アルコール水溶液を分離するアルコール水溶液分離工程と、前記ガス吸収水から前記アルコール水溶液が分離されて得られる炭酸アンモニウム水溶液を、前記尿素製造工程で用いる炭酸アンモニウム再利用工程とを備えることを特徴としている。
また、本発明のカルバメートの製造方法は、さらに、前記アンモニア分離工程で分離された前記アンモニアを、前記尿素製造工程で用いるアンモニア再利用工程を備えることが好適である。
また、本発明のカルバメートの製造方法は、さらに、前記アルコール水溶液からアルコールを分離して、前記アルコールを前記カルバメート化工程で用いるアルコール再利用工程を備えることが好適である。
また、本発明のカルバメートの製造方法は、前記尿素製造工程において排出される水を、前記アンモニア分離工程で用いる水再利用工程を備えることが好適である。
また、本発明のイソシアネートの製造方法は、アンモニアと炭酸ガスとの反応により尿素を製造する尿素製造工程と、アミンと、前記尿素と、アルコールとのカルバメート化反応により、カルバメートを生成し、アルコール、アンモニアおよび二酸化炭素を含むガスを副生するカルバメート化工程と、前記ガスを水で吸収して、ガス吸収水を生成するとともに、アンモニアを分離するアンモニア分離工程と、前記ガス吸収水から、アルコール水溶液を分離するアルコール水溶液分離工程と、前記アルコール水溶液が分離された前記ガス吸収水において、アンモニア水溶液から炭酸ガスを分離するアンモニア/炭酸分離工程と、前記アンモニア水溶液を、前記水とともに、前記ガス吸収水の生成に用いるアンモニア水溶液再利用工程とを備えるカルバメートの製造方法によって、カルバメートを製造するカルバメート製造工程と、得られたカルバメートを熱分解してイソシアネートを製造するイソシアネート製造工程とを備えることを特徴としている。
また、本発明のイソシアネートの製造方法は、アンモニアと炭酸ガスとの反応により尿素を製造する尿素製造工程と、アミンと、前記尿素と、アルコールとのカルバメート化反応により、カルバメートを生成し、アルコール、アンモニアおよび二酸化炭素を含むガスを副生するカルバメート化工程と、前記ガスを水で吸収して、ガス吸収水を生成するとともに、アンモニアを分離するアンモニア分離工程と、前記ガス吸収水から、アルコール水溶液を分離するアルコール水溶液分離工程と、前記ガス吸収水から前記アルコール水溶液が分離されて得られる炭酸アンモニウム水溶液を、前記尿素製造工程で用いる炭酸アンモニウム再利用工程とを備えるカルバメートの製造方法によって、カルバメートを製造するカルバメート製造工程と、得られたカルバメートを熱分解してイソシアネートを製造するイソシアネート製造工程とを備えることを特徴としている。
また、本発明のカルバメートの製造装置は、アンモニアと炭酸ガスとの反応により尿素を製造する尿素製造装置と、アミンと、前記尿素と、アルコールとのカルバメート化反応により、カルバメートを生成し、アルコール、アンモニアおよび二酸化炭素を含むガスを副生するカルバメート化反応装置と、前記ガスを水で吸収して、ガス吸収水を生成するとともに、アンモニアを分離するアンモニア分離装置と、前記ガス吸収水から、アルコール水溶液を分離するアルコール水溶液分離装置と、前記アルコール水溶液が分離された前記ガス吸収水において、アンモニア水溶液から炭酸ガスを分離するアンモニア/炭酸分離装置と、前記アンモニア水溶液を、前記水とともに、前記ガス吸収水の生成に用いるアンモニア水溶液再利用装置と、前記アンモニア分離装置で分離された前記アンモニアを、前記尿素製造装置で用いるアンモニア再利用装置と、前記アルコール水溶液からアルコールを分離して、前記アルコールを前記カルバメート化反応装置で用いるアルコール再利用装置とを備えることを特徴としている。
また、本発明のカルバメートの製造装置は、アンモニアと炭酸ガスとの反応により尿素を製造する尿素製造装置と、アミンと、前記尿素と、アルコールとのカルバメート化反応により、カルバメートを生成し、アルコール、アンモニアおよび二酸化炭素を含むガスを副生するカルバメート化反応装置と、前記ガスを水で吸収して、ガス吸収水を生成するとともに、アンモニアを分離するアンモニア分離装置と、前記ガス吸収水から、アルコール水溶液を分離するアルコール水溶液分離装置と、前記ガス吸収水から前記アルコール水溶液が分離されて得られる炭酸アンモニウム水溶液を、前記尿素製造装置で用いる炭酸アンモニウム再利用装置と、前記アンモニア分離装置で分離された前記アンモニアを、前記尿素製造装置で用いるアンモニア再利用装置と、前記アルコール水溶液からアルコールを分離して、前記アルコールを前記カルバメート化反応装置で用いるアルコール再利用装置と
を備えることを特徴としている。
また、本発明のイソシアネートの製造装置は、アンモニアと炭酸ガスとの反応により尿素を製造する尿素製造装置と、アミンと、前記尿素と、アルコールとのカルバメート化反応により、カルバメートを生成し、アルコール、アンモニアおよび二酸化炭素を含むガスを副生するカルバメート化反応装置と、前記ガスを水で吸収して、ガス吸収水を生成するとともに、アンモニアを分離するアンモニア分離装置と、前記ガス吸収水から、アルコール水溶液を分離するアルコール水溶液分離装置と、前記アルコール水溶液が分離された前記ガス吸収水において、アンモニア水溶液から炭酸ガスを分離するアンモニア/炭酸分離装置と、前記アンモニア水溶液を、前記水とともに、前記ガス吸収水の生成に用いるアンモニア水溶液再利用装置と、前記アンモニア分離装置で分離された前記アンモニアを、前記尿素製造装置で用いるアンモニア再利用装置と、前記アルコール水溶液からアルコールを分離して、前記アルコールを前記カルバメート化反応装置で用いるアルコール再利用装置とを備えるカルバメートの製造装置と、カルバメートの前記製造装置において得られたカルバメートを熱分解してイソシアネートを製造する熱分解装置とを備えることを特徴としている。
また、本発明のイソシアネートの製造装置は、アンモニアと炭酸ガスとの反応により尿素を製造する尿素製造装置と、アミンと、前記尿素と、アルコールとのカルバメート化反応により、カルバメートを生成し、アルコール、アンモニアおよび二酸化炭素を含むガスを副生するカルバメート化反応装置と、前記ガスを水で吸収して、ガス吸収水を生成するとともに、アンモニアを分離するアンモニア分離装置と、前記ガス吸収水から、アルコール水溶液を分離するアルコール水溶液分離装置と、前記ガス吸収水から前記アルコール水溶液が分離されて得られる炭酸アンモニウム水溶液を、前記尿素製造装置で用いる炭酸アンモニウム再利用装置と、前記アンモニア分離装置で分離された前記アンモニアを、前記尿素製造装置で用いるアンモニア再利用装置と、前記アルコール水溶液からアルコールを分離して、前記アルコールを前記カルバメート化反応装置で用いるアルコール再利用装置とを備えるカルバメートの製造装置と、カルバメートの前記製造装置において得られたカルバメートを熱分解してイソシアネートを製造する熱分解装置とを備えることを特徴としている。
本発明のカルバメートの製造方法および製造装置によれば、カルバメート化反応により得られるアルコール、アンモニアおよび二酸化炭素を含むガスを水で吸収するため、ガス吸収水において炭酸アルカリが生ずることがなく、そのため、ガス吸収水中のアンモニアを回収し、再利用することができる。
そのため、本発明のカルバメートの製造方法および製造装置によれば、カルバメート化反応の副生成物を、効率良く回収し、有効利用することができ、さらには、廃棄成分を低減できるため、コスト面にも優れる。
また、本発明のイソシアネートの製造方法および製造装置によれば、ポリウレタンの原料として工業的に有用なイソシアネートを、低コストかつ効率よく製造することができる。
図1は、本発明のカルバメートの製造方法およびイソシアネートの製造方法が採用されるカルバメートの製造装置およびイソシアネートの製造装置としてのプラントの第1実施形態を示す概略構成図である。 図2は、本発明のカルバメートの製造方法およびイソシアネートの製造方法が採用されるカルバメートの製造装置およびイソシアネートの製造装置としてのプラントの第2実施形態を示す概略構成図である。 図3は、本発明のカルバメートの製造方法およびイソシアネートの製造方法が採用されるカルバメートの製造装置およびイソシアネートの製造装置としてのプラントの第3実施形態を示す概略構成図である。
まず、本発明のカルバメートの製造方法について詳述する。本発明のカルバメートの製造方法では、まず、アンモニアと炭酸ガスとの反応により、尿素を製造する(尿素製造工程)。
尿素を製造するには、工業的には、例えば、まず、下記式(1)に示すように、アンモニアと二酸化炭素(炭酸ガス)とを反応させ、カルバミン酸アンモニウム(アンモニウムカルバメート)を生成する。
2NH+CO→NHCOONH (1)
アンモニアと二酸化炭素との反応は、公知の方法でよく、その反応条件(配合処方、温度、圧力など)は、目的および用途に応じて適宜設定される。
次いで、この方法では、下記式(2)に示すように、得られたカルバミン酸アンモニウムを脱水反応させ、尿素と水とに分解する。
NHCOONH→NHCONH+HO (2)
なお、カルバミン酸アンモニウムの脱水反応は、公知の方法でよく、その反応条件(温度、圧力など)は、目的および用途に応じて適宜設定される。
なお、上記脱水反応において副生する(排出される)水は、詳しくは後述するが、好ましくは、アンモニア分離工程(後述)において、ガス(後述)を吸収するために用いられる(水再利用工程(後述))。
次いで、この方法では、上記により得られた尿素と、アミンと、アルコールとのカルバメート化反応により、カルバメートを生成し、また、詳しくは後述するが、アルコール、アンモニアおよび二酸化炭素を含むガス(後述)を副生する(カルバメート化工程)。
アミンとしては、例えば、1級アミンが挙げられる。
1級アミンは、1級のアミノ基を1つ以上有するアミノ基含有有機化合物であって、例えば、下記一般式(3)で示される。
−(NH)n (3)
(式中、Rは、総炭素数1〜15の脂肪族炭化水素基、総炭素数3〜15の脂環含有炭化水素基、または、総炭素数6〜15の芳香環含有炭化水素基を、nは、1〜6の整数を示す。)
上記式(3)中、Rは、総炭素数1〜15の脂肪族炭化水素基、総炭素数3〜15の脂環含有炭化水素基、および、総炭素数6〜15の芳香環含有炭化水素基から選択される。なお、Rは、その炭化水素基中に、例えば、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合などの安定な結合を含んでいてもよく、また、安定な官能基(後述)で置換されていてもよい。
において、総炭素数1〜15の脂肪族炭化水素基としては、例えば、1〜6価の、直鎖状または分岐状の総炭素数1〜15の脂肪族炭化水素基などが挙げられる。
上記式(3)において、Rが総炭素数1〜15の脂肪族炭化水素基である1級アミンとしては、例えば、総炭素数1〜15の脂肪族アミンなどが挙げられる。
そのような脂肪族アミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、iso−プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、n−オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミンなどの直鎖状または分岐状の脂肪族1級モノアミン、例えば、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン(1,4−テトラメチレンジアミン)、1,5−ジアミノペンタン(1,5−ペンタメチレンジアミン)、1,6−ジアミノヘキサン(1,6−ヘキサメチレンジアミン)、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、テトラメチレンジアミンなどの脂肪族1級ジアミン、例えば、1,2,3−トリアミノプロパン、トリアミノヘキサン、トリアミノノナン、トリアミノドデカン、1,8−ジアミノ−4−アミノメチルオクタン、1,3,6−トリアミノヘキサン、1,6,11−トリアミノウンデカン、3−アミノメチル−1,6−ジアミノヘキサンなどの脂肪族1級トリアミンなどが挙げられる。
において、総炭素数3〜15の脂環含有炭化水素基としては、例えば、1〜6価の、総炭素数3〜15の脂環含有炭化水素基などが挙げられる。
なお、脂環含有炭化水素基は、その炭化水素基中に1つ以上の脂環式炭化水素を含有していればよく、例えば、その脂環式炭化水素に、例えば、脂肪族炭化水素基などが結合していてもよい。このような場合には、1級アミンにおけるアミノ基は、脂環式炭化水素に直接結合していてもよく、脂環式炭化水素に結合される脂肪族炭化水素基に結合していてもよく、その両方であってもよい。
上記式(3)において、Rが総炭素数3〜15の脂環含有炭化水素基である1級アミンとしては、例えば、総炭素数3〜15の脂環族アミンなどが挙げられる。
そのような脂環族アミンとしては、例えば、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、水添トルイジンなどの脂環族1級モノアミン、例えば、ジアミノシクロブタン、イソホロンジアミン(3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン)、1,2−ジアミノシクロへキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロへキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロへキシルアミン)、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、水添2,4−トリレンジアミン、水添2,6−トリレンジアミンなどの脂環族1級ジアミン、例えば、トリアミノシクロヘキサンなどの脂環族1級トリアミンなどが挙げられる。
において、総炭素数6〜15の芳香環含有炭化水素基としては、例えば、1〜6価の、総炭素数6〜15の芳香環含有炭化水素基などが挙げられる。
なお、芳香環含有炭化水素基は、その炭化水素基中に1つ以上の芳香族炭化水素を含有していればよく、例えば、その芳香族炭化水素に、例えば、脂肪族炭化水素基などが結合していてもよい。このような場合には、1級アミンにおけるアミノ基は、芳香族炭化水素に直接結合していてもよく、芳香族炭化水素に結合される脂肪族炭化水素基に結合していてもよく、その両方であってもよい。
上記式(3)において、Rが総炭素数6〜15の芳香環含有炭化水素基である1級アミンとしては、例えば、総炭素数6〜15の芳香族アミン、総炭素数6〜15の芳香脂肪族アミンなどが挙げられる。
そのような芳香族アミンとしては、例えば、アニリン、o−トルイジン(2−メチルアニリン)、m−トルイジン(3−メチルアニリン)、p−トルイジン(4−メチルアニリン)、2,3-キシリジン(2,3−ジメチルアニリン)、2,4−キシリジン(2,4−ジメチルアニリン)、2,5−キシリジン(2,5−ジメチルアニリン)、2,6−キシリジン(2,6−ジメチルアニリン)、3,4−キシリジン(3,4−ジメチルアニリン)、3,5−キシリジン(3,5−ジメチルアニリン)、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミンなどの芳香族1級モノアミン、例えば、2,4−トリレンジアミン(2,4−ジアミノトルエン)、2,6−トリレンジアミン(2,6−ジアミノトルエン)、4,4’−ジフェニルメタンジアミン、2,4’−ジフェニルメタンジアミン、2,2’−ジフェニルメタンジアミン、4,4’−ジフェニルエーテルジアミン、2−ニトロジフェニル−4,4’−ジアミン、2,2’−ジフェニルプロパン−4,4’−ジアミン、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジアミン、4,4’−ジフェニルプロパンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、ナフチレン−1,4−ジアミン、ナフチレン−1,5−ジアミン、3,3’−ジメトキシジフェニル−4,4’−ジアミンなどの芳香族1級ジアミンなどが挙げられる。
そのような芳香脂肪族アミンとしては、例えば、ベンジルアミンなどの芳香脂肪族1級モノアミン、例えば、1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,4−ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,3−テトラメチルキシリレンジアミン(1,3−ジ(2−アミノ−2−メチルエチル)ベンゼン)、1,4−テトラメチルキシリレンジアミン(1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルエチル)ベンゼン)などの芳香脂肪族1級ジアミンなどが挙げられる。
上記式(3)において、Rに置換していてもよい官能基としては、例えば、ニトロ基、水酸基、メルカプト基、オキソ基、チオキソ基、シアノ基、カルボキシ基、アルコキシ−カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などの総炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基)、スルホ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、低級アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基など)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基など)、ハロゲノフェノキシ基(例えば、o−、m−またはp−クロロフェノキシ基、o−、m−またはp−ブロモフェノキシ基など)、低級アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、iso−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基など)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基など)、低級アルキルスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基など)、低級アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基など)、アリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニルなど)、低級アシル基(例えば、ホルミル基、アセチル基など)、アリールカルボニル基(例えば、ベンゾイル基など)などが挙げられる。
これらの官能基は、上記式(3)において、Rに複数置換していてもよく、また、官能基がRに複数置換する場合には、各官能基は、互いに同一であっても、それぞれ異なっていてもよい。
上記式(3)において、nは、例えば、1〜6の整数を示し、好ましくは、1または2を示し、より好ましくは、2を示す。
これらアミンは、単独使用または2種類以上併用することができる。
アミンとして、好ましくは、上記式(3)おいて、Rが総炭素数3〜15の脂環含有炭化水素基である1級アミン、Rが総炭素数6〜15の芳香環含有炭化水素基である1級アミンが挙げられ、より具体的には、総炭素数3〜15の脂環族アミン、総炭素数6〜15の芳香族アミン、総炭素数6〜15の芳香脂肪族アミンが挙げられる。
また、アミンとして、工業的に用いられるイソシアネート(後述)の製造原料となるものも好ましく、そのような1級アミンとして、例えば、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、イソホロンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロへキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロへキシルアミン)、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,4−トリレンジアミン(2,4−ジアミノトルエン)、2,6−トリレンジアミン(2,6−ジアミノトルエン)、4,4’−ジフェニルメタンジアミン、2,4’−ジフェニルメタンジアミン、2,2’−ジフェニルメタンジアミン、ナフチレン−1,5−ジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,4−ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,3−テトラメチルキシリレンジアミン、1,4−テトラメチルキシリレンジアミンなどが挙げられ、とりわけ好ましくは、1,5−ジアミノペンタン、イソホロンジアミン、2,4−トリレンジアミン(2,4−ジアミノトルエン)、2,6−トリレンジアミン(2,6−ジアミノトルエン)、4,4’−ジフェニルメタンジアミン、2,4’−ジフェニルメタンジアミン、2,2’−ジフェニルメタンジアミン、ナフチレン−1,5−ジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,4−ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,3−テトラメチルキシリレンジアミン、1,4−テトラメチルキシリレンジアミンが挙げられる。
アルコールは、例えば、1〜3級の1価のアルコールであって、例えば、下記一般式(4)で示される。
−OH (4)
(式中、Rは、アルキル基、または、置換基を有していてもよいアリール基を示す。)
上記式(4)中、Rは、アルキル基、または、置換基を有していてもよいアリール基を示す。
上記式(4)中、Rにおいて、アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、iso−オクチル、2−エチルヘキシルなどの炭素数1〜8の直鎖状または分岐状の飽和炭化水素基、例えば、シクロヘキシル、シクロドデシルなどの炭素数5〜10の脂環式飽和炭化水素基などが挙げられる。
において、アルキル基として、好ましくは、炭素数1〜8の直鎖状または分岐状の飽和炭化水素基、より好ましくは、炭素数2〜6の直鎖状または分岐状の飽和炭化水素基、さらに好ましくは、炭素数2〜6の直鎖状の飽和炭化水素基が挙げられる。
上記式(4)において、Rが上記したアルキル基であるアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール(1−ブタノール)、iso−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、iso−オクタノール、2−エチルヘキサノールなどの直鎖状または分岐状の飽和炭化水素系アルコール、例えば、シクロヘキサノール、シクロドデカノールなどの脂環式飽和炭化水素系アルコールなどが挙げられる。
上記式(4)中、Rにおいて、置換基を有していてもよいアリール基としては、例えば、フェニル、トリル、キシリル、ビフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリルなどの炭素数6〜18のアリール基が挙げられる。また、その置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、ハロゲン原子(例えば、塩素、フッ素、臭素およびヨウ素など)、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどの炭素数1〜4のアルコキシ基など)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基など)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオなどの炭素数1〜4のアルキルチオ基など)およびアリールチオ基(例えば、フェニルチオ基など)などが挙げられる。また、置換基がアリール基に複数置換する場合には、各置換基は、互いに同一であっても、それぞれ異なっていてもよい。
上記式(4)において、Rが上記した置換基を有していてもよいアリール基であるアルコールとしては、例えば、フェノール、ヒドロキシトルエン、ヒドロキシキシレン、ビフェニルアルコール、ナフタレノール、アントラセノール、フェナントレノールなどが挙げられる。
これらアルコールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
アルコールとして、好ましくは、上記式(4)において、Rがアルキル基であるアルコールが挙げられ、より好ましくは、Rが炭素数1〜8のアルキル基であるアルコールが挙げられ、さらに好ましくは、Rが炭素数2〜6のアルキル基であるアルコールが挙げられる。
また、カルバメート化反応の原料成分として用いられるアルコールとして、好ましくは、後述するアルコール水溶液から分離されるアルコールが挙げられる。
また、カルバメート化反応の原料成分として用いられるアルコールとして、好ましくは、カルバメートの熱分解反応により得られる分解液から分離されるアルコール(後述)も挙げられる。
また、この方法では、必要により、上記した尿素とともに、N−無置換カルバミン酸エステルを併用することができる。
N−無置換カルバミン酸エステルは、カルバモイル基における窒素原子が官能基により置換されていない(すなわち、窒素原子が、2つの水素原子と、1つの炭素原子とに結合する)カルバミン酸エステルであって、例えば、下記一般式(5)で示される。
O−CO−NH (5)
(式中、Rは、上記式(4)のRと同意義を示す。)
上記式(5)中、Rは、上記式(4)のRと同意義、すなわち、アルキル基、または、置換基を有していてもよいアリール基を示す。
上記式(5)において、Rがアルキル基であるN−無置換カルバミン酸エステルとしては、例えば、カルバミン酸メチル、カルバミン酸エチル、カルバミン酸n−プロピル、カルバミン酸iso−プロピル、カルバミン酸n−ブチル、カルバミン酸iso−ブチル、カルバミン酸sec−ブチル、カルバミン酸tert−ブチル、カルバミン酸ペンチル、カルバミン酸ヘキシル、カルバミン酸ヘプチル、カルバミン酸オクチル、カルバミン酸iso−オクチル、カルバミン酸2−エチルヘキシルなどの飽和炭化水素系N−無置換カルバミン酸エステル、例えば、カルバミン酸シクロヘキシル、カルバミン酸シクロドデシルなどの脂環式飽和炭化水素系N−無置換カルバミン酸エステルなどが挙げられる。
また、上記式(5)において、Rが置換基を有していてもよいアリール基であるN−無置換カルバミン酸エステルとしては、例えば、カルバミン酸フェニル、カルバミン酸トリル、カルバミン酸キシリル、カルバミン酸ビフェニル、カルバミン酸ナフチル、カルバミン酸アントリル、カルバミン酸フェナントリルなどの芳香族炭化水素系N−無置換カルバミン酸エステルなどが挙げられる。
これらN−無置換カルバミン酸エステルは、単独使用または2種類以上併用することができる。
N−無置換カルバミン酸エステルとして、好ましくは、上記式(5)において、Rがアルキル基であるN−無置換カルバミン酸エステルが挙げられる。
そして、この方法では、上記したアミンと、尿素(および必要によりN−無置換カルバミン酸エステル)と、アルコールとを配合し、好ましくは、液相で反応させる。
アミンと、尿素(および必要によりN−無置換カルバミン酸エステル)と、アルコールとの配合割合は、特に制限はなく、比較的広範囲において適宜選択することができる。
通常は、尿素(および必要によりN−無置換カルバミン酸エステル)の配合量、および、アルコールの配合量が、アミンのアミノ基に対して等モル以上あればよく、そのため、尿素(および必要によりN−無置換カルバミン酸エステル)や、アルコールそのものを、この反応における反応溶媒として用いることもできる。
なお、尿素(および必要によりN−無置換カルバミン酸エステル)や、アルコールを反応溶媒として兼用する場合には、必要に応じて過剰量の尿素(および必要によりN−無置換カルバミン酸エステル)やアルコールが用いられるが、過剰量が多いと、反応後の分離工程での消費エネルギーが増大するので、工業生産上、不適となる。
そのため、尿素(および必要によりN−無置換カルバミン酸エステル)の配合量は、カルバメートの収率を向上させる観点から、アミンのアミノ基1つに対して、0.5〜20倍モル、好ましくは、1〜10倍モル、さらに好ましくは、1〜5倍モル程度であり、アルコールの配合量は、アミンのアミノ基1つに対して、0.5〜100倍モル、好ましくは、1〜20倍モル、さらに好ましくは、1〜10倍モル程度である。
また、この反応において、反応溶媒は必ずしも必要ではないが、例えば、反応原料が固体の場合や反応生成物が析出する場合には、例えば、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ニトリル類、脂肪族ハロゲン化炭化水素類、アミド類、ニトロ化合物類や、N−メチルピロリジノン、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシドなどの反応溶媒を配合することにより、操作性を向上させることができる。
また、反応溶媒の配合量は、目的生成物のカルバメートが溶解する程度の量であれば特に制限されるものではないが、工業的には、反応液から反応溶媒を回収する必要があるため、その回収に消費されるエネルギーをできる限り低減し、かつ、配合量が多いと、反応基質濃度が低下して反応速度が遅くなるため、できるだけ少ない方が好ましい。より具体的には、アミン1質量部に対して、通常、0〜500質量部、好ましくは、0〜100質量部の範囲で用いられる。
また、この反応においては、反応温度は、例えば、100〜350℃、好ましくは、150〜300℃の範囲において適宜選択される。反応温度がこれより低いと、反応速度が低下する場合があり、一方、これより高いと、副反応が増大して目的生成物であるカルバメートの収率が低下する場合がある。
また、反応圧力は、通常、大気圧であるが、反応液中の成分の沸点が反応温度よりも低い場合には加圧してもよく、さらには、必要により減圧してもよい。
また、反応時間は、例えば、0.1〜20時間、好ましくは、0.5〜10時間である。反応時間がこれより短いと、目的生成物であるカルバメートの収率が低下する場合がある。一方、これより長いと、工業生産上、不適となる。
また、この方法においては、触媒を用いることもできる。
触媒としては、特に制限されないが、例えば、リチウムメタノラート、リチウムエタノラート、リチウムプロパノラート、リチウムブタノラート、ナトリウムメタノラート、カリウム−tert−ブタノラート、マグネシウムメタノラート、カルシウムメタノラート、塩化スズ(II)、塩化スズ(IV)、酢酸鉛、リン酸鉛、塩化アンチモン(III)、塩化アンチモン(V)、アルミニウムアセチルアセトナート、アルミニウム−イソブチラート、三塩化アルミニウム、塩化ビスマス(III)、酢酸銅(II)、硫酸銅(II)、硝酸銅(II)、ビス−(トリフェニル−ホスフィンオキシド)−塩化銅(II)、モリブデン酸銅、酢酸銀、酢酸金、酸化亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、亜鉛アセトニルアセタート、オクタン酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、ヘキシル酸亜鉛、安息香酸亜鉛、ウンデシル酸亜鉛、酸化セリウム(IV)、酢酸ウラニル、チタンテトライソプロパノラート、チタンテトラブタノラート、四塩化チタン、チタンテトラフェノラート、ナフテン酸チタン、塩化バナジウム(III)、バナジウムアセチルアセトナート、塩化クロム(III)、酸化モリブデン(VI)、モリブデンアセチルアセトナート、酸化タングステン(VI)、塩化マンガン(II)、酢酸マンガン(II)、酢酸マンガン(III)、酢酸鉄(II)、酢酸鉄(III)、リン酸鉄、シュウ酸鉄、塩化鉄(III)、臭化鉄(III)、酢酸コバルト、塩化コバルト、硫酸コバルト、ナフテン酸コバルト、塩化ニッケル、酢酸ニッケル、ナフテン酸ニッケルなどが挙げられる。
さらに、触媒としては、例えば、Zn(OSOCF(別表記:Zn(OTf)、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛)、Zn(OSO、Zn(OSO、Zn(OSO、Zn(OSOCH(p−トルエンスルホン酸亜鉛)、Zn(OSO、Zn(BF、Zn(PF、Hf(OTf)(トリフルオロメタンスルホン酸ハフニウム)、Sn(OTf)、Al(OTf)、Cu(OTf)なども挙げられる。
これら触媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、触媒の配合量は、アミン1モルに対して、例えば、0.000001〜0.1モル、好ましくは、0.00005〜0.05モルである。触媒の配合量がこれより多くても、それ以上の顕著な反応促進効果が見られない反面、配合量の増大によりコストが上昇する場合がある。一方、配合量がこれより少ないと、反応促進効果が得られない場合がある。
なお、触媒の添加方法は、一括添加、連続添加および複数回の断続分割添加のいずれの添加方法でも、反応活性に影響を与えることがなく、特に制限されることはない。
そして、この反応は、上記した条件で、例えば、反応容器内に、アミン、尿素(および必要によりN−無置換カルバミン酸エステル)、アルコール、および、必要により触媒、反応溶媒を仕込み、攪拌あるいは混合すればよい。主生成物として、例えば、下記一般式(6)で示されるカルバメートが生成する。
(ROCONH)n−R (6)
(式中、Rは、上記式(3)のRと同意義を、Rは、上記式(4)のRと同意義を、nは、上記式(3)のnと同意義を示す。)
また、この反応においては、排出ガスとして、アルコール(過剰の原料アルコール)、アンモニアおよび二酸化炭素を含むガスが副生される。
また、この反応において、N−無置換カルバミン酸エステルを配合する場合には、例えば、下記一般式(7)で示されるアルコールが副生される。
−OH (7)
(式中、Rは、上記式(4)のRと同意義を示す。)
なお、副生されるアルコールは、好ましくは、原料アルコール(上記式(4))と同種であり、過剰の原料アルコールとともに、上記ガスに含有される。
また、この反応では、さらに、N−無置換カルバミン酸エステルや、カーボネート(例えば、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、アルキルアリールカーボネートなど)が副生する場合がある。
なお、この反応において、反応型式としては、回分式、連続式いずれの型式も採用することができる。
そして、この方法では、上記ガス(アルコール、アンモニアおよび二酸化炭素を含む排出ガス)を、水で吸収して、ガス吸収水を生成するとともに、そのガス吸収水からアンモニアを分離する(アンモニア分離工程)。
ガス吸収水の生成は、例えば、常温常圧下、カルバメート化工程で副生する上記ガスに、水を接触させればよい。
水としては、特に制限されず、例えば、純水、イオン交換水など、どのような水でも用いることができる。好ましくは、上記した尿素製造工程において副生する(排出される)水を用いる(水再利用工程)。
また、詳しくは後述するが、水として、好ましくは、アルコール水溶液(後述)からアルコールを分離したときに残存する水を用いる。
ガスと水との配合割合は、特に制限されないが、ガス1mに対して、水が、例えば、0.00002〜0.02m、好ましくは、0.00004〜0.01mである。
また、アンモニア分離工程において、好ましくは、上記ガスを、炭酸塩の存在下において、水で吸収する。
炭酸塩は、炭酸イオン(CO 2−)を含む化合物であって、特に制限されないが、無機炭酸塩、有機炭酸塩などが挙げられる。
無機炭酸塩としては、例えば、アルカリ金属の炭酸塩(例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど)、アルカリ土類金属の炭酸塩(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなど)、遷移金属の炭酸塩(例えば、炭酸銅、炭酸鉄、炭酸銀など)などが挙げられる。
有機炭酸塩としては、例えば、アルカノールアミン塩などのアミン塩が挙げられる。
アルカノールアミン塩としては、例えば、モノエタノールアミンの炭酸塩、ジエタノールアミンの炭酸塩、トリエタノールアミンの炭酸塩、N−メチルエタノールアミンの炭酸塩、N−メチルジエタノールアミンの炭酸塩、N−エチルジエタノールアミンの炭酸塩、N,N−ジメチルエタノールアミンの炭酸塩、N,N−ジエチルエタノールアミンの炭酸塩、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールの炭酸塩、ジイソプロパノールアミンの炭酸塩などが挙げられる。
これら炭酸塩は、単独使用または2種類以上併用することができる。
炭酸塩として、好ましくは、無機炭酸塩、より好ましくは、アルカリ金属の炭酸塩が挙げられる。
炭酸塩として、無機炭酸塩を用いる場合には、例えば、上記の無機炭酸塩をそのまま用いることができ、さらには、上記ガス(アルコール、アンモニアおよび二酸化炭素を含む排出ガス)と反応することにより、無機炭酸塩となる化合物を、用いることもできる。そのような化合物としては、例えば、無機水酸化物(例えば、アルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アルカリ土類金属の水酸化物(例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなど)など)などが挙げられる。
無機水酸化物を用いれば、例えば、その無機水酸化物と、上記ガスに含まれる二酸化炭素との反応により炭酸塩(無機炭酸塩)を得ることができ、その炭酸塩を、後述するように、各工程において再利用することができる。なお、このような場合には、無機水酸化物と上記ガス(二酸化炭素)とを反応させるため、それらの接触条件が、適宜設定される。
これにより、アルコール、アンモニアおよび二酸化炭素(好ましくは、さらに炭酸塩)を含む水溶液として、ガス吸収水が生成される。
また、この方法では、上記ガス中、水に吸収されずに残存する成分として、アンモニアが分離される。
分離されたアンモニアは、好ましくは、上記した尿素製造工程において、原料成分として用いられる(アンモニア再利用工程)。
そして、この方法では、上記のガス吸収水から、アルコール水溶液を分離する(アルコール水溶液分離工程)。
アルコール水溶液を分離する方法としては、特に制限されず、例えば、蒸留塔、抽出塔など、公知の分離装置を用いることができる。
そして、この方法では、アルコール水溶液が分離されたガス吸収水において、好ましくは、炭酸塩の存在下、アンモニア水溶液から炭酸ガスを分離する(アンモニア/炭酸分離工程)。
炭酸塩の存在下であれば、アンモニア水溶液から炭酸ガスを効率的に分離することができる。
ガス吸収水において、アンモニア水溶液から炭酸ガスを分離する方法としては、特に制限されず、例えば、蒸留塔、抽出塔など、公知の分離装置を用いることができる。
なお、このとき、炭酸塩は、アンモニア水溶液とともに、炭酸ガスから分離される。
そして、この方法では、アンモニア/炭酸分離工程において分離されたアンモニア水溶液(好ましくは、炭酸塩を含む)を、水と混合し、上記のアンモニア分離工程におけるガス吸収水の生成に用いる(アンモニア水溶液再利用工程)。
すなわち、この方法では、カルバメートの生成において副生する上記ガス(アルコール、アンモニアおよび二酸化炭素を含む排出ガス)を吸収する水に、アンモニア水溶液を混合する。そして、この水(アンモニア水溶液を含む)を、ガス吸収水の生成に用いる。
このような方法によれば、ガス吸収水を生成する水が、ガスと接触する前にアンモニアを含有するため、その水のアンモニア吸収量を低下させることができ、ガスに含まれるアンモニアの、水に吸収されずに残存するアンモニアの比率を、増加させることができる。
そのため、このような方法によれば、ガスからアンモニアを効率的に分離し、尿素製造工程において、原料成分として有効利用することができる。
また、この方法では、好ましくは、アンモニア水溶液とともに、炭酸塩を、アンモニア分離工程(ガス吸収水の生成)に用いる。すなわち、この方法において、炭酸塩は、アンモニア分離工程、アルコール水溶液分離工程、アンモニア/炭酸分離工程、アンモニア水溶液再利用工程を順次経た後、アンモニア分離工程において再利用され、これら各工程において、繰り返し用いられる。
そのため、このような方法によれば、一度仕込んだ炭酸塩を循環させることができるので、炭酸塩を継続的に供給する必要がなく、その結果、コストの低減を図ることができる。
また、この方法では、アンモニア水溶液を、水と混合せずに、例えば、水とともに、ガスに直接接触させて、ガス吸収水の生成に用いることもできる。
一方、この方法では、アンモニア/炭酸分離工程において分離された炭酸ガスを、放散することもできるが、分離された炭酸ガスを回収し、上記した尿素製造工程において、尿素の製造原料として用いることもできる(炭酸ガス再利用工程)。
このような方法によれば、排出ガスに含まれる二酸化炭素を、尿素製造工程において再利用するため、カルバメート化反応の副生成物を、効率良く回収し、有効利用することができる。
また、この方法では、好ましくは、上記により分離されたアルコール水溶液から、アルコールを分離して、そのアルコールを、上記したカルバメート化工程で用いる(アルコール再利用工程)。
アルコール水溶液からアルコールを分離する方法としては、特に制限されず、例えば、蒸留塔、抽出塔など、公知の分離装置を用いることができる。
また、アルコール水溶液からアルコールを分離して得られた水は、好ましくは、アンモニア分離工程において、ガス吸収水を生成するための水として再利用される。
一方、この方法では、上記のカルバメート化工程において得られた反応液から、公知の方法によりカルバメート(上記式(6))を分離するとともに、必要により、例えば、過剰(未反応)の尿素(および必要によりN−無置換カルバミン酸エステル)、場合により副生するN−無置換カルバミン酸エステル、カーボネートなどを、低沸点成分(軽沸分)として、分離する。
このようなカルバメートの製造方法によれば、カルバメート化反応により得られるアルコール、アンモニアおよび二酸化炭素を含むガスを水で吸収するため、ガス吸収水において炭酸アルカリが生ずることがなく、そのため、ガス吸収水中のアンモニアを回収し、再利用することができる。
そのため、このようなカルバメートの製造方法によれば、カルバメート化反応の副生成物を、効率良く回収し、有効利用することができ、さらには、廃棄成分を低減できるため、コスト面にも優れる。
また、カルバメート化反応により得られるアルコール、アンモニアおよび二酸化炭素を含むガスを、炭酸塩の存在下、水で吸収し、得られたガス吸収水においてアンモニア水溶液から炭酸ガスを、炭酸塩の存在下において分離すれば、より効率的にアンモニア水溶液を回収し、再利用することができる。
そのため、このようなカルバメートの製造方法によれば、カルバメート化反応の副生成物を、より効率良く回収し、有効利用することができる。
さらに、本発明のカルバメートの製造方法によれば、炭酸塩の存在下において、アンモニア水溶液から炭酸ガスを分離した後、その炭酸塩を回収し、再利用できるため、コスト面にさらに優れる。
なお、上記した説明では、アルコール水溶液分離工程において、ガス吸収水から、アルコール水溶液を分離した後、アンモニア/炭酸分離工程において、そのアルコール水溶液が分離されたガス吸収水において、アンモニア水溶液から炭酸ガスを分離したが、ガス吸収水の処理方法は、これに限定されず、例えば、アルコール水溶液分離工程において、ガス吸収水から、アルコール水溶液を分離した後、そのアルコール水溶液を分離されることにより得られる炭酸アンモニウム水溶液を、上記の尿素製造工程で用いることもできる(炭酸アンモニウム再利用工程)。
すなわち、アルコール水溶液が分離されたガス吸収水には、アンモニアおよび二酸化炭素が含まれるが、これらは、通常、炭酸アンモニウムと平衡状態にある(下記式(8)参照)。
Figure 0005487303
そのため、ガス吸収水の生成条件や、アルコール水溶液の分離条件などを適宜調整することなどにより、アルコール水溶液が分離されたガス吸収水として、炭酸アンモニウム水溶液を得ることができる。
このような場合には、得られる炭酸アンモニウム水溶液は、上記の尿素製造工程における原料成分(すなわち、アンモニアおよび二酸化炭素)として用いることができる。
そして、本発明は、上記したカルバメートの製造方法によって得られたカルバメートを熱分解して、イソシアネートを製造するイソシアネートの製造方法を含んでいる。
本発明のイソシアネートの製造方法では、上記のカルバメートの製造方法によって、カルバメートを製造し(カルバメート製造工程)、その後、得られたカルバメートを熱分解して、イソシアネートを製造する(イソシアネート製造工程)。
より具体的には、このようなイソシアネートの製造方法では、上記したカルバメートの製造方法によって得られたカルバメートを熱分解し、上記したアミンに対応する下記一般式(9)で示されるイソシアネート、および
−(NCO)n (9)
(式中、Rは、上記式(3)のRと同意義を、nは、上記式(3)のnと同意義を示す。)
副生物である下記一般式(10)で示されるアルコールを生成させる。
−OH (10)
(式中、Rは、上記式(4)のRと同意義を示す。)
この熱分解は、特に限定されず、例えば、液相法、気相法などの公知の分解法を用いることができる。
気相法では、熱分解により生成するイソシアネートおよびアルコールは、気体状の生成混合物から、分別凝縮によって分離することができる。また、液相法では、熱分解により生成するイソシアネートおよびアルコールは、例えば、蒸留や、担持物質としての溶剤および/または不活性ガスを用いて、分離することができる。
熱分解として、好ましくは、作業性の観点から、液相法が挙げられる。
このような方法において、カルバメートは、好ましくは、不活性溶媒の存在下において、熱分解される。
不活性溶媒は、少なくとも、カルバメートを溶解し、カルバメートおよびイソシアネートに対して不活性であり、かつ、熱分解時に反応しなければ(すなわち、安定であれば)、特に制限されないが、熱分解反応を効率よく実施するには、生成するイソシアネートよりも高沸点であることが好ましい。
このような不活性溶媒としては、例えば、芳香族系炭化水素類などが挙げられる。
芳香族炭化水素類としては、例えば、ベンゼン(沸点:80℃)、トルエン(沸点:111℃)、o−キシレン(沸点:144℃)、m−キシレン(沸点:139℃)、p−キシレン(沸点:138℃)、エチルベンゼン(沸点:136℃)、イソプロピルベンゼン(沸点:152℃)、ブチルベンゼン(沸点:185℃)、シクロヘキシルベンゼン(沸点:237〜340℃)、テトラリン(沸点:208℃)、クロロベンゼン(沸点:132℃)、o−ジクロロベンゼン(沸点:180℃)、1−メチルナフタレン(沸点:245℃)、2−メチルナフタレン(沸点:241℃)、1−クロロナフタレン(沸点:263℃)、2−クロロナフタレン(沸点:264〜266℃)、トリフェニルメタン(沸点:358〜359℃(754mmHg))、1−フェニルナフタレン(沸点:324〜325℃)、2−フェニルナフタレン(沸点:357〜358℃)、ビフェニル(沸点:255℃)などが挙げられる。
また、このような溶媒は、市販品としても入手可能であり、例えば、バーレルプロセス油B−01(芳香族炭化水素類、沸点:176℃)、バーレルプロセス油B−03(芳香族炭化水素類、沸点:280℃)、バーレルプロセス油B−04AB(芳香族炭化水素類、沸点:294℃)、バーレルプロセス油B−05(芳香族炭化水素類、沸点:302℃)、バーレルプロセス油B−27(芳香族炭化水素類、沸点:380℃)、バーレルプロセス油B−28AN(芳香族炭化水素類、沸点:430℃)、バーレルプロセス油B−30(芳香族炭化水素類、沸点:380℃)、バーレルサーム200(芳香族炭化水素類、沸点:382℃)、バーレルサーム300(芳香族炭化水素類、沸点:344℃)、バーレルサーム400(芳香族炭化水素類、沸点:390℃)、バーレルサーム1H(芳香族炭化水素類、沸点:215℃)、バーレルサーム2H(芳香族炭化水素類、沸点:294℃)、バーレルサーム350(芳香族炭化水素類、沸点:302℃)、バーレルサーム470(芳香族炭化水素類、沸点:310℃)、バーレルサームPA(芳香族炭化水素類、沸点:176℃)、バーレルサーム330(芳香族炭化水素類、沸点:257℃)、バーレルサーム430(芳香族炭化水素類、沸点:291℃)、(以上、松村石油社製)、NeoSK−OIL1400(芳香族炭化水素類、沸点:391℃)、NeoSK−OIL1300(芳香族炭化水素類、沸点:291℃)、NeoSK−OIL330(芳香族炭化水素類、沸点:331℃)、NeoSK−OIL170(芳香族炭化水素類、沸点:176℃)、NeoSK−OIL240(芳香族炭化水素類、沸点:244℃)、KSK−OIL260(芳香族炭化水素類、沸点:266℃)、KSK−OIL280(芳香族炭化水素類、沸点:303℃)、(以上、綜研テクニックス社製)などが挙げられる。
また、不活性溶媒としては、さらに、エステル類(例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジデシル、フタル酸ジドデシルなど)、熱媒体として常用される脂肪族系炭化水素類なども挙げられる。
このような不活性溶媒は、単独もしくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
不活性溶媒の配合量は、カルバメート1質量部に対して0.001〜100質量部、好ましくは、0.01〜80質量部、より好ましくは、0.1〜50質量部の範囲である。
また、熱分解においては、例えば、不活性溶媒をカルバメートに配合し、カルバメートを熱分解した後、その不活性溶媒を分離および回収し、再度、熱分解においてカルバメートに配合することができる。
また、液相法におけるカルバメートの熱分解反応は、可逆反応であるため、好ましくは、熱分解反応の逆反応(すなわち、上記式(9)で示されるイソシアネートと、上記式(10)で示されるアルコールとのウレタン化反応)を抑制するため、カルバメートを熱分解するとともに、反応混合物(分解液)から上記式(9)で示されるイソシアネート、および/または、上記式(10)で示されるアルコールを公知の方法により抜き出し、それらを分離する。
熱分解反応の反応条件として、好ましくは、カルバメートを良好に熱分解できるとともに、熱分解において生成したイソシアネート(上記式(9))およびアルコール(上記式(10))が蒸発し、これによりカルバメートとイソシアネートとが平衡状態とならず、さらには、イソシアネートの重合などの副反応が抑制される反応条件が挙げられる。
このような反応条件として、より具体的には、熱分解温度は、通常、350℃以下であり、好ましくは、80〜350℃、より好ましくは、100〜300℃である。80℃よりも低いと、実用的な反応速度が得られない場合があり、また、350℃を超えると、イソシアネートの重合など、好ましくない副反応を生じる場合がある。また、熱分解反応時の圧力は、上記の熱分解反応温度に対して、生成するアルコールが気化し得る圧力であることが好ましく、設備面および用役面から実用的には、0.133〜90kPaであることが好ましい。
さらに、この方法では、必要により、触媒を添加することもできる。
触媒は、それらの種類により異なるが、上記反応時、反応後の蒸留分離の前後、カルバメートの分離の前後の、いずれかに添加すればよい。
熱分解に用いられる触媒としては、イソシアネートと水酸基とのウレタン化反応に用いられる、Sn、Sb、Fe、Co、Ni、Cu、Cr、Ti、Pb、Mo、Mnなどから選ばれる1種以上の金属単体またはその酸化物、ハロゲン化物、カルボン酸塩、リン酸塩、有機金属化合物などの金属化合物が用いられる。これらのうち、この熱分解においては、Fe、Sn、Co、Sb、Mnが副生成物を生じにくくする効果を発現するため、好ましく用いられる。
Snの金属触媒としては、例えば、酸化スズ、塩化スズ、臭化スズ、ヨウ化スズ、ギ酸スズ、酢酸スズ、シュウ酸スズ、オクチル酸スズ、ステアリン酸スズ、オレイン酸スズ、リン酸スズ、二塩化ジブチルスズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジラウリルオキシジスタノキサンなどが挙げられる。
Fe、Co、Sb、Mnの金属触媒としては、例えば、それらの酢酸塩、安息香酸塩、ナフテン酸塩、アセチルアセトナート塩などが挙げられる。
なお、触媒の配合量は、金属単体またはその化合物として、反応液に対して0.0001〜5質量%の範囲、好ましくは、0.001〜1質量%の範囲である。
また、この熱分解反応は、カルバメート、触媒および不活性溶媒を一括で仕込む回分反応、また、触媒を含む不活性溶媒中に、減圧下でカルバメートを仕込んでいく連続反応のいずれでも実施することができる。
熱分解では、イソシアネートおよびアルコールが生成するとともに、副反応によって、例えば、アロファネート、アミン類、尿素、炭酸塩、カルバミン酸塩、二酸化炭素などが生成する場合があるため、必要により、得られたイソシアネートは、公知の方法により精製される。
また、熱分解で得られるアルコール(上記式(10))は、分離および回収された後、好ましくは、カルバメート化反応の原料成分として用いられる。
このようなイソシアネートの製造方法によれば、ポリウレタンの原料として工業的に有用なイソシアネートを、低コストかつ効率よく製造することができる。
なお、このような方法において、カルバメートの熱分解反応で得られた分解液から、イソシアネートおよびアルコールを除去し、必要に応じて、溶媒を分離すると、イソシアネート残渣が得られる。なお、分離した溶媒は、再び熱分解に使用することができる。
すなわち、例えば、カルバメートを、アミンと、尿素(および必要によりN−無置換カルバミン酸エステル)と、アルコールとの反応により製造し、そのカルバメートを熱分解することによりイソシアネートを製造する場合には、例えば、得られるカルバメートやイソシアネート、あるいは、それらの中間体などが、例えば、多量化、ビウレット化およびアロファネート化などの好ましくない重合反応を惹起する場合がある。そのような場合には、例えば、尿素誘導体(ビウレット体)、カルバメート誘導体(アロファネート体)などの副生物が、イソシアネート残渣として得られる。なお、イソシアネート残渣には、例えば、未反応の尿素やカルバメートなどが、含まれる場合もある。
このようなイソシアネート残渣は、必要により回収され、例えば、公知の方法により、リサイクル処理および/または廃棄処理される。
図1は、本発明のカルバメートの製造方法およびイソシアネートの製造方法が採用されるカルバメートの製造装置およびイソシアネートの製造装置としてのプラントの第1実施形態を示す概略構成図である。
以下において、上記したカルバメートの製造方法およびイソシアネートの製造方法が工業的に実施されるプラントの第1実施形態について、図1を参照して説明する。
図1において、このプラント1は、上記したイソシアネートの製造方法が採用されるイソシアネートの製造装置であって、上記したカルバメートの製造方法が採用されるカルバメートの製造装置2と、そのカルバメートの製造装置2において得られたカルバメートを熱分解してイソシアネートを製造する熱分解装置3とを備えている。
カルバメートの製造装置2は、尿素製造装置4と、カルバメート化反応装置5と、アンモニア分離装置6と、アルコール水溶液分離装置7と、アンモニア/炭酸分離装置40と、アンモニア水溶液再利用装置41と、炭酸ガス再利用装置42と、アンモニア再利用装置9と、アルコール再利用装置10と、水再利用装置11とを備えている。
尿素製造装置4は、プラント1において、上記した尿素製造工程により尿素を製造するために設備されている。
この尿素製造装置4は、尿素製造槽12と、尿素製造槽12に接続される二酸化炭素供給管13、アンモニア供給管14および尿素輸送管15を備えている。
尿素製造槽12は、二酸化炭素およびアンモニアを反応させて、尿素を製造するための公知の反応槽であって、温度・圧力制御可能な耐熱耐圧容器からなる。
このような尿素製造槽12には、炭酸ガス再利用装置42の炭酸ガス輸送管46(後述)の下流側端部が接続されている。
また、このような尿素製造槽12には、図示しないが、必要により、例えば、尿素製造槽12内を不活性ガス(例えば、窒素ガスなど)で置換するための不活性ガス供給管、尿素製造槽12内を攪拌するための攪拌装置などが備えられている。
二酸化炭素供給管13は、尿素製造槽12に二酸化炭素を供給するための二酸化炭素供給ラインであり、その下流側端部が、尿素製造槽12に接続されている。また、その上流側端部が、図示しないが、二酸化炭素が導入される二酸化炭素導入ラインに接続されている。
アンモニア供給管14は、尿素製造槽12にアンモニアを供給するためのアンモニア供給ラインであり、その下流側端部が、尿素製造槽12に接続されている。また、その上流側端部が、図示しないが、アンモニアが導入されるアンモニア導入ラインに接続されている。
このようなアンモニア供給管14には、その流れ方向途中において、アンモニア再利用装置9のアンモニア還流管26(後述)の下流側端部が接続されている。
尿素輸送管15は、尿素製造槽12において製造された尿素を、反応槽16(後述)に輸送するための尿素輸送ラインであって、その上流側端部が、尿素製造槽12に接続されるとともに、下流側端部が、反応槽16(後述)に接続されている。
カルバメート化反応装置5は、プラント1において、アミンと、尿素(および必要によりN−無置換カルバミン酸エステル)と、アルコールとの反応により、カルバメートを含む反応液を生成し、また、アルコール、アンモニアおよび二酸化炭素を含むガスを副生するために設備されている。
このカルバメート化反応装置5は、反応槽16と、反応槽16に接続されるアミン供給管17およびアルコール供給管19とを備えている。
反応槽16は、アミンと、尿素(および必要によりN−無置換カルバミン酸エステル)と、アルコールとをカルバメート化反応させて、カルバメートを製造するための公知のカルバメート化反応槽であって、温度・圧力制御可能な耐熱耐圧容器からなる。
このような反応槽16には、尿素製造装置4の尿素輸送管15の下流側端部が接続されている。
また、このような反応槽16には、図示しないが、必要により、例えば、反応槽16に触媒を供給する触媒供給管、反応槽16内を不活性ガス(例えば、窒素ガスなど)で置換するための不活性ガス供給管、反応槽16内を攪拌するための攪拌装置などが備えられている。
アミン供給管17は、反応槽16にアミンを供給するためのアミン供給ラインであり、その下流側端部が、反応槽16に接続されている。また、その上流側端部が、図示しないが、アミンが導入されるアミン導入ラインに接続されている。
アルコール供給管19は、反応槽16にアルコールを供給するためのアルコール供給ラインであり、その下流側端部が、反応槽16に接続されている。また、その上流側端部が、図示しないが、アルコールが導入されるアルコール導入ラインに接続されている。
このようなアルコール供給管19には、その流れ方向途中において、アルコール第1還流管29(後述)の下流側端部、および、アルコール第2還流管35(後述)の下流側端部が接続されている。
また、このようなカルバメート化反応装置5は、必要により、さらに、尿素供給管18およびN−無置換カルバミン酸エステル供給管37を備えている(図1破線参照)。
尿素供給管18は、反応槽16に尿素を供給するための尿素供給ラインであり、その下流側端部が、尿素製造装置4の尿素輸送管15の流れ方向途中に接続されている。また、その上流側端部が、図示しないが、尿素が導入される尿素導入ラインに接続されている。
N−無置換カルバミン酸エステル供給管37は、必要に応じて、反応槽16にN−無置換カルバミン酸エステルを供給するためのN−無置換カルバミン酸エステル供給ラインであり、その下流側端部が、反応槽16に接続されている。また、その上流側端部が、図示しないが、N−無置換カルバミン酸エステルが導入されるN−無置換カルバミン酸エステル導入ラインに接続されている。
アンモニア分離装置6は、プラント1において、反応槽16で副生するガスを、好ましくは、炭酸塩の存在下、水で吸収して、ガス吸収水(アルコール、アンモニアおよび二酸化炭素(好ましくは、さらに炭酸塩)を含む水溶液)を生成するとともに、アンモニアを分離するために設備されている。
このアンモニア分離装置6は、吸収槽20と、吸収槽20に接続されるガス輸送管21および水供給管22とを備えている。
吸収槽20は、反応槽16で副生するガスを水で吸収し、ガス吸収水を生成するための公知の吸収槽であって、温度・圧力制御可能な耐熱耐圧容器からなる。
このような吸収槽20には、図示しないが、必要により、例えば、吸収槽20内を不活性ガス(例えば、窒素ガスなど)で置換するための不活性ガス供給管、吸収槽20内を攪拌するための攪拌装置などが備えられている。
ガス輸送管21は、反応槽16において副生するガスを、吸収槽20に輸送するためのガス輸送ラインであって、その下流側端部が、吸収槽20に接続されている。また、その上流側端部が、カルバメート化反応装置5における反応槽16に接続されている。
水供給管22は、吸収槽20に水を供給するための水供給ラインであり、その下流側端部が、吸収槽20に接続されている。また、その上流側端部が、図示しないが、水が導入される水導入ラインに接続されている。
このような水供給管22には、その流れ方向途中において、水排出管30(後述)の下流側端部、水還流管36(後述)の下流側端部、および、アンモニア水溶液輸送管45(後述)の下流側端部が接続されている。
アルコール水溶液分離装置7は、プラント1において、吸収槽20で得られるガス吸収水(アルコール、アンモニア、二酸化炭素および炭酸塩を含む水溶液)から、アルコール水溶液を分離するために設備されている。
このアルコール水溶液分離装置7は、第1分離塔23と、第1分離塔23に接続されるガス吸収水第1輸送管24とを備えている。
第1分離塔23は、アンモニア分離装置6において得られたガス吸収水から、アルコール水溶液を分離するための分離塔であって、蒸留塔、抽出塔、分液塔などの公知の分離塔からなる。
ガス吸収水第1輸送管24は、アンモニア分離装置6において得られたガス吸収水を、第1分離塔23に輸送するためのガス吸収水第1輸送ラインであって、その下流側端部が、第1分離塔23に接続されている。また、その上流側端部が、アンモニア分離装置6における吸収槽20に接続されている。
アンモニア/炭酸分離装置40は、プラント1において、アルコール水溶液分離装置7でアルコール水溶液が分離されたガス吸収水(アンモニアおよび二酸化炭素(好ましくは、さらに炭酸塩)を含む)において、好ましくは、炭酸塩の存在下、アンモニア水溶液から炭酸ガスを分離するために設備されている。
このアンモニア/炭酸分離装置40は、第3分離塔43と、第3分離塔43に接続されるガス吸収水第2輸送管44とを備えている。
第3分離塔43は、アルコール水溶液分離装置7において得られたガス吸収水(アルコール水溶液が分離された残余であって、アンモニアおよび二酸化炭素(好ましくは、さらに炭酸塩)を含む)から、好ましくは、炭酸塩の存在下、アンモニア水溶液と炭酸ガスとを分離するための分離塔であって、蒸留塔、抽出塔などの公知の分離塔からなる。
ガス吸収水第2輸送管44は、アルコール水溶液分離装置7において得られたガス吸収水(アルコール水溶液が分離された残余であって、アンモニアおよび二酸化炭素(好ましくは、さらに炭酸塩)を含む)を、第3分離塔43に輸送するためのガス吸収水第2輸送ラインであって、その下流側端部が、第3分離塔43に接続されている。また、その上流側端部が、アルコール水溶液分離装置7における第1分離塔23に接続されている。
アンモニア水溶液再利用装置41は、プラント1において、アンモニア/炭酸分離装置40で分離されたアンモニア水溶液を、水(アンモニア分離装置6の水供給管22に供給される水)と混合し、吸収槽20におけるガス吸収水の生成に用いるために設備されている。
このアンモニア水溶液再利用装置41は、アンモニア水溶液輸送管45を備えている。
アンモニア水溶液輸送管45は、第3分離塔43において分離されたアンモニア水溶液(および炭酸塩)を、アンモニア分離装置6(水供給管22)に輸送するためのアンモニア水溶液輸送ラインであって、その上流側端部が、アンモニア/炭酸分離装置40における第3分離塔43に接続されるとともに、下流側端部が、水供給管22の流れ方向途中に接続されている。
なお、図示しないが、このプラント1では、アンモニア水溶液輸送管45の下流側端部を、吸収槽20に直接接続することもできる。これにより、アンモニア水溶液(および炭酸塩)を、水供給管22の水と混合せずに、吸収槽20に直接供給し、水供給管22から供給される水とともに、ガスに直接接触させて、ガス吸収水の生成に用いることができる。
炭酸ガス再利用装置42は、プラント1において、アンモニア/炭酸分離装置40で分離された炭酸ガスを回収し、尿素製造装置4で用いるために設備されている。
この炭酸ガス再利用装置42は、炭酸ガス輸送管46を備えている。
炭酸ガス輸送管46は、第3分離塔43において分離された炭酸ガスを、尿素製造槽12に輸送するための炭酸ガス輸送ラインであって、その上流側端部が、アンモニア/炭酸分離装置40における第3分離塔43に接続されるとともに、下流側端部が、尿素製造槽12に接続されている。
アンモニア再利用装置9は、プラント1において、アンモニア分離装置6で分離されたアンモニアを、尿素製造装置4で用いるために設備されている。
このアンモニア再利用装置9は、アンモニア還流管26を備えている。
アンモニア還流管26は、吸収槽20において分離されたアンモニアを、尿素製造装置4におけるアンモニア供給管14に還流するためのアンモニア還流ラインであって、その上流側端部が、アンモニア分離装置6における吸収槽20に接続されるとともに、下流側端部が、アンモニア供給管14の流れ方向途中に接続されている。
アルコール再利用装置10は、プラント1において、アルコール水溶液からアルコールを分離して、そのアルコールをカルバメート化反応装置5で用いるために設備されている。
このアルコール再利用装置10は、第2分離塔27と、第2分離塔27に接続されるアルコール水溶液輸送管28およびアルコール第1還流管29とを備えている。
第2分離塔27は、アルコール水溶液分離装置7において分離されたアルコール水溶液から、アルコールを分離するための分離塔であって、蒸留塔、抽出塔、分液塔などの公知の分離塔からなる。
アルコール水溶液輸送管28は、アルコール水溶液分離装置7において分離されたアルコール水溶液を、第2分離塔27に輸送するためのアルコール水溶液輸送ラインであって、その下流側端部が、第2分離塔27に接続されている。また、その上流側端部が、アルコール水溶液分離装置7における第1分離塔23に接続されている。
アルコール第1還流管29は、第2分離塔27において分離されたアルコールを、カルバメート化反応装置5におけるアルコール供給管19に還流するためのアルコール第1還流ラインであって、その上流側端部が、第2分離塔27に接続されるとともに、下流側端部が、アルコール供給管19の流れ方向途中に接続されている。
また、このようなアルコール再利用装置10は、さらに、水還流管36を備えている。
水還流管36は、第2分離塔27でアルコール水溶液からアルコールを分離して得られる水を、アンモニア分離装置6における水供給管22に還流するための水還流ラインであって、その上流側端部が、第2分離塔27に接続されるとともに、下流側端部が、水供給管22の流れ方向途中に接続されている。
水再利用装置11は、プラント1において、尿素製造装置4で排出される水を、アンモニア分離装置6で用いるために設備されている。
この水再利用装置11は、水排出管30を備えている。
水排出管30は、尿素製造槽12において得られた水を排出し、アンモニア分離装置6における水供給管22に輸送するための水排出ラインであって、その上流側端部が、尿素製造装置4における尿素製造槽12に接続されるとともに、下流側端部が、水供給管22の流れ方向途中に接続されている。
熱分解装置3は、プラント1において、反応液(より具体的には、上記のカルバメートの製造装置2におけるカルバメート化反応装置5で得られた、カルバメートを含む反応液)を、イソシアネートおよびアルコールに熱分解するために設備されている。
この熱分解装置3は、熱分解槽31と、熱分解槽31に接続される反応液輸送管32、イソシアネート排出管33、残渣排出管34およびアルコール第2還流管35を備えている。
熱分解槽31は、カルバメート化反応装置5において得られた反応液を加熱して、イソシアネートおよびアルコールに熱分解する公知の分解槽であって、温度・圧力制御可能な耐熱耐圧容器からなる。
このような熱分解槽31には、図示しないが、必要により、例えば、熱分解槽31に溶媒を供給する溶媒供給管、熱分解槽31に触媒を供給する触媒供給管、熱分解槽31内を不活性ガス(例えば、窒素ガスなど)で置換するための不活性ガス供給管、熱分解槽31内を攪拌するための攪拌装置などが備えられている。
反応液輸送管32は、反応液を熱分解槽31に輸送するための反応液輸送ラインであって、その下流側端部が、熱分解槽31に接続されている。また、その上流側端部が、カルバメート化反応装置5における反応槽16に接続されている。
イソシアネート排出管33は、反応液の熱分解により得られたイソシアネートを、プラント1から排出するためのイソシアネート排出ラインであり、その上流側端部が熱分解槽31に接続されている。また、その下流側端部が、図示しないが、イソシアネートが精製などされるイソシアネート精製ラインに接続されている。
残渣排出管34は、反応液をイソシアネートおよびアルコールに分解するときに得られる残渣(イソシアネート残渣)を排出するための残渣排出ラインであって、その上流側端部が熱分解槽31に接続されている。また、その下流側端部が、図示しないが、残渣が貯留される残渣貯留槽に接続されている。
アルコール第2還流管35は、熱分解槽31で反応液を分解して得られるアルコールを、カルバメート化反応装置5におけるアルコール供給管19に還流するためのアルコール第2還流ラインであって、その上流側端部が、熱分解槽31に接続されるとともに、下流側端部が、アルコール供給管19の流れ方向途中に接続されている。
次に、このプラント1によって、カルバメートを製造し、得られたカルバメートを用いてイソシアネートを製造するとともに、カルバメートの製造時に副生するガスを再利用する方法について、説明する。
この方法では、まず、尿素製造装置4において、尿素を製造する。
この尿素の製造においては、尿素製造装置4が連続運転され、尿素の原料である二酸化炭素とアンモニアとが、二酸化炭素供給管13とアンモニア供給管14とから、それぞれ圧力輸送され、尿素製造槽12に対して、連続的に供給される。
このようにして得られた尿素は、尿素輸送管15に供給され、後述するように、反応槽16に圧力輸送される。
次いで、この方法では、カルバメート化反応装置5において、カルバメートを製造する。
このカルバメートの製造においては、カルバメート化反応装置5が連続運転され、カルバメートの原料であるアミンと、尿素と、アルコールとが、アミン供給管17と、尿素輸送管15と、アルコール供給管19とから、それぞれ上記割合で圧力輸送され、反応槽16に対して、連続的に供給される。また、尿素輸送管15から輸送される尿素が不足する場合などには、必要により、原料成分として、尿素供給管18から、尿素が供給される。
さらに、必要により、原料成分として、N−無置換カルバミン酸エステルが、N−無置換カルバミン酸エステル供給管37(図1破線参照)から、連続的に供給され、さらに、これら原料成分とともに、触媒が、触媒供給管(図示せず)から供給される。
そして、この方法では、反応槽16において、アミンと、尿素(および必要によりN−無置換カルバミン酸エステル)と、アルコールとがカルバメート化反応し、これにより、カルバメートと、副生するN−無置換カルバミン酸エステルおよびカーボネートとを含む反応液が得られる。このようにして得られた反応液は、反応液輸送管32に供給され、熱分解装置3に圧力輸送される。なお、反応液に含まれるN−無置換カルバミン酸エステルおよびカーボネートは、必要により、熱分解装置3に輸送される前に、軽沸分として留去および回収される。
一方、反応槽16では、排出ガスとして、アルコール(過剰のアルコール、および、場合により副生するアルコールを含む)、アンモニアおよび二酸化炭素を含むガスが副生する。
このようにして得られたガスは、ガス輸送管21に供給され、吸収槽20に輸送される。
次いで、この方法では、吸収槽20(アンモニア分離装置6)において、好ましくは、炭酸塩の存在下、ガスを水で吸収し、ガス吸収水を生成するとともに、アンモニアを分離する。
このガス吸収水の生成、および、アンモニアの分離においては、アンモニア分離装置6が連続運転され、上記ガスが、ガス輸送管21から輸送されるとともに、水が、水供給管22から圧力輸送され、ガスおよび水が、吸収槽20に対して、連続的に供給される。
このとき、炭酸塩が用いられる場合、プラント1の初運転時には、吸収槽20に予め炭酸塩、または、ガスと反応して炭酸塩となる化合物(例えば、無機水酸化物など)が仕込まれる。より具体的には、例えば、上記化合物が水溶液として、水供給管22から仕込まれる。また、プラント1を連続運転するときには、後述するように、炭酸塩(無機水酸化物などとガスとの反応により得られる炭酸塩を含む)が、アンモニア水溶液再利用装置41によって、吸収槽20に、循環および供給される。
これにより吸収槽20において、好ましくは、炭酸塩の存在下、ガスと水とが接触し、ガスが水に吸収され、アルコール、アンモニアおよび二酸化炭素(好ましくは、さらに炭酸塩)を含むガス吸収水が生成するとともに、ガス中の水に吸収されずに残存する成分として、アンモニアが分離される。
吸収槽20において分離されたアンモニアは、アンモニア再利用装置9のアンモニア還流管26に輸送され、尿素製造装置4のアンモニア供給管14に、連続的に還流および供給される。これにより、ガスから分離されたアンモニアが、尿素の製造に用いられる。
次いで、この方法では、アルコール水溶液分離装置7において、ガス吸収水から、アルコール水溶液を分離する。
この分離においては、アルコール水溶液分離装置7が連続運転され、吸収槽20において生成したガス吸収水が、ガス吸収水第1輸送管24に圧力輸送され、第1分離塔23に対して、連続的に供給される。
そして、第1分離塔23において、ガス吸収水から、アルコール水溶液が分離され、例えば、塔頂から排出される。
一方、アルコール水溶液が分離されたガス吸収水では、アンモニア/炭酸分離装置40において、アンモニア水溶液から炭酸ガスが分離される。
より具体的には、第1分離塔23においてアルコール水溶液が分離されて得られるガス吸収水は、アンモニア/炭酸分離装置40のガス吸収水第2輸送管44に供給され、第3分離塔43に対して、連続的に供給される。
そして、第3分離塔43において、ガス吸収水から、アンモニア水溶液(および炭酸塩)が分離され、塔底から排出されるとともに、炭酸ガスが分離され、例えば、塔頂から排出される。
次いで、この方法では、アンモニア水溶液再利用装置41において、アンモニア水溶液(および炭酸塩)を、アンモニア分離装置6に供給し、そのアンモニア分離装置6において、ガス吸収水の生成に用いる。
より具体的には、第3分離塔43において分離されたアンモニア水溶液は、アンモニア水溶液再利用装置41のアンモニア水溶液輸送管45に供給され、そのアンモニア水溶液輸送管45からアンモニア分離装置6の水供給管22に供給され、その水供給管22からアンモニア分離装置6の吸収槽20に、連続的に還流および供給される。このとき、アンモニア水溶液および炭酸塩は、水供給管22により供給される水と混合され、吸収槽20において、ガス吸収水の製造に用いられる。
また、この方法では、炭酸ガス再利用装置42において、炭酸ガスを回収し、その炭酸ガスを、尿素製造装置4に供給し、尿素製造装置4で用いる。
より具体的には、第3分離塔43において分離された炭酸ガスは、炭酸ガス再利用装置42の炭酸ガス輸送管46に供給され、炭酸ガス輸送管46から尿素製造装置4の尿素製造槽12に、連続的に還流および供給される。これにより、炭酸ガスが、尿素製造装置4において、尿素の製造に用いられる。
次いで、この方法では、アルコール再利用装置10において、アルコール水溶液からアルコールを分離する。
この分離においては、アルコール再利用装置10が連続運転され、アルコール水溶液分離装置7において分離されたアルコール水溶液が、アルコール水溶液輸送管28に圧力輸送され、第2分離塔27に対して、連続的に供給される。
そして、第2分離塔27において、アルコール水溶液からアルコールを分離し、例えば、塔側部から排出する。
排出されたアルコールは、アルコール第1還流管29に圧力輸送され、カルバメート化反応装置5のアルコール供給管19に、連続的に還流および供給される。これにより、アルコールが、カルバメート化反応装置5で用いられる。
一方、アルコール水溶液からアルコールを分離して得られた水は、例えば、塔頂から排出され、水還流管36に圧力輸送され、水還流管36からアンモニア分離装置6の水供給管22に、連続的に還流および供給される。これにより、水が、アンモニア分離装置6で用いられる。
次いで、この方法では、熱分解装置3において、反応液(反応槽16におけるカルバメート化反応により得られた反応液)を熱分解する。
この反応液の熱分解においては、熱分解装置3が連続運転され、反応液輸送管32を介して供給される反応液が、熱分解槽31において、上記条件で加熱および熱分解される。
これにより、分解液として、イソシアネートおよびアルコールが得られ、また、イソシアネートおよびアルコールとともに、イソシアネート残渣が得られる。
熱分解槽31において得られたイソシアネートは、イソシアネート排出管33を介して排出され、図示しないイソシアネート精製ラインに輸送される。
一方、熱分解槽31において得られたアルコールは、分解液から分離された後、アルコール第1還流管35に導入され、アルコール第1還流管35からアルコール供給管19に還流される。これにより、アルコールは、反応槽16に供給される。
そして、熱分解槽31において得られたイソシアネート残渣は、残渣排出管34を介して残渣貯留槽(図示せず)に輸送され、その残渣貯留槽(図示せず)で一時的に貯留された後、例えば、リサイクル処理および/または廃棄処理される。
そして、このようなプラント1によれば、カルバメート化反応により得られるアルコール、アンモニアおよび二酸化炭素を含むガスを水で吸収するため、ガス吸収水において炭酸アルカリが生ずることがなく、そのため、ガス吸収水中のアンモニアを回収し、再利用することができる。
より具体的には、このようなプラント1によれば、ガス吸収水に含有されるアンモニア水溶液が、ガス吸収水の生成に用いられる水と混合されるため、水のガス接触前におけるアンモニア濃度を高めることができる。その結果、水のアンモニア吸収量を低下させることができ、ガスに含まれるアンモニアの、水に吸収されずに残存するアンモニアの比率を、増加させることができる。そのため、このようなプラント1によれば、ガスからアンモニアを効率的に分離し、尿素製造装置4において、原料成分として有効利用することができる。
さらに、カルバメート化反応により得られるガスを、炭酸塩の存在下、水で吸収し、得られたガス吸収水においてアンモニア水溶液から炭酸ガスを、炭酸塩の存在下において分離すれば、より効率的にアンモニア水溶液を回収し、再利用することができる。
また、このようなプラント1で、炭酸塩を用いれば、この方法において、炭酸塩は、アンモニア分離装置6、アルコール水溶液分離装置7、アンモニア/炭酸分離装置40、アンモニア水溶液再利用装置41を順次経た後、アンモニア分離装置6において再利用され、これら各装置において、繰り返し用いられる。
そのため、このようなプラント1によれば、一度仕込んだ炭酸塩を循環させることができるので、炭酸塩を継続的に供給する必要がなく、その結果、コストの低減を図ることができる。
また、このようなプラント1によれば、ガスに含まれる二酸化炭素を、尿素製造装置4において再利用できる。そのため、カルバメート化反応の副生成物を、効率良く回収し、有効利用することができる。
また、このようなプラント1によれば、カルバメート化反応において副生するガスに含まれ、水に吸収されずに残存するアンモニアを、アンモニア分離装置6で分離し、尿素製造装置4で再利用することができる。
また、このようなプラント1によれば、ガス吸収水からアルコール水溶液を分離した後、そのアルコール水溶液に含まれるアルコールを、アルコール再利用装置10で分離して、カルバメート化反応装置5で再利用することができる。
また、このようなプラント1によれば、尿素製造装置4から排出される水を、水再利用装置11により、アンモニア分離装置6において、ガスを吸収するための水として再利用することができる。
また、このようなプラント1によれば、アルコール再利用装置10においてアルコール水溶液からアルコールを分離して得られる水を、アンモニア分離装置6において、ガスを吸収するための水として再利用することができる。
また、このようなプラント1によれば、熱分解装置3において反応液を熱分解して得られるアルコールを、カルバメート化反応装置5で再利用することができる。
そのため、このようなプラント1によれば、カルバメート化反応の副生成物を、効率良く回収し、有効利用することができ、さらには、廃棄成分を低減できるため、コスト面にも優れる。
また、このようなプラント1によれば、ポリウレタンの原料として工業的に有用なイソシアネートを、低コストかつ効率よく製造することができる。
さらに、このようなプラント1によれば、炭酸塩の存在下において、アンモニア水溶液から炭酸ガスを分離した後、その炭酸塩を回収し、再利用できるため、コスト面に優れる。
また、このようなプラント1によれば、ポリウレタンの原料として工業的に有用なイソシアネートを、低コストかつ効率よく製造することができる。
図2は、本発明のカルバメートの製造方法およびイソシアネートの製造方法が採用されるカルバメートの製造装置およびイソシアネートの製造装置としてのプラントの第2実施形態を示す概略構成図である。
以下において、上記したカルバメートの製造方法およびイソシアネートの製造方法が工業的に実施されるプラントの第2実施形態について、図2を参照して説明する。なお、上記した各装置に対応する装置については、図2において同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
上記した説明では、カルバメートの製造装置2は、尿素製造装置4と、カルバメート化反応装置5と、アンモニア分離装置6と、アルコール水溶液分離装置7と、アンモニア/炭酸分離装置40と、アンモニア水溶液再利用装置41と、炭酸ガス再利用装置42と、アンモニア再利用装置9と、アルコール再利用装置10と、水再利用装置11とを備えているが、例えば、アンモニア/炭酸分離装置40、アンモニア水溶液再利用装置41および炭酸ガス再利用装置42に代えて、炭酸アンモニウム再利用装置8を備えることができる。
炭酸アンモニウム再利用装置8は、プラント1において、ガス吸収水からアルコール水溶液が分離されて得られる炭酸アンモニウム水溶液を、尿素製造装置4で用いるために設備されている。
この炭酸アンモニウム再利用装置8は、炭酸アンモニウム水溶液輸送管25を備えている。
炭酸アンモニウム水溶液輸送管25は、第1分離塔23において分離された炭酸アンモニウム水溶液を、尿素製造槽12に輸送するための炭酸アンモニウム水溶液輸送ラインであって、その上流側端部が、アルコール水溶液分離装置7における第1分離塔23に接続されるとともに、下流側端部が、尿素製造槽12に接続されている。
次に、このプラント1によって、カルバメートを製造し、得られたカルバメートを用いてイソシアネートを製造するとともに、カルバメートの製造時に副生するガスを再利用する方法について、説明する。
この方法では、上記と同様にして、まず、尿素製造装置4において、尿素を製造し、次いで、カルバメート化反応装置5において、カルバメートを製造する。
次いで、この方法では、上記と同様にして、吸収槽20(アンモニア分離装置6)において、ガスを水で吸収し、ガス吸収水を生成するとともに、アンモニアを分離し、次いで、アルコール水溶液分離装置7において、ガス吸収水から、アルコール水溶液を分離する。このとき、アルコール水溶液を分離した残余のガス吸収水は、炭酸アンモニウム水溶液を含んでいる。
その後、この方法では、炭酸アンモニウム再利用装置8において、ガス吸収水からアルコール水溶液を分離して得られる炭酸アンモニウム水溶液を、尿素製造装置4に供給し、尿素製造装置4で用いる。
すなわち、アルコール水溶液が分離されたガス吸収水には、アンモニアおよび二酸化炭素が含まれるが、これらは、通常、炭酸アンモニウムと平衡状態にある(上記式(8)参照)。
そのため、ガス吸収水の生成条件や、アルコール水溶液の分離条件などを適宜調整することなどにより、アルコール水溶液が分離されたガス吸収水として、炭酸アンモニウム水溶液を得ることができる。
このような場合には、得られる炭酸アンモニウム水溶液は、尿素製造装置4における原料成分(すなわち、アンモニアおよび二酸化炭素)として用いることができる。
より具体的には、第1分離塔23においてアルコール水溶液が分離されて得られた炭酸アンモニウム水溶液は、炭酸アンモニウム再利用装置8の炭酸アンモニウム水溶液輸送管25に供給され、炭酸アンモニウム水溶液輸送管25から尿素製造装置4の尿素製造槽12に、連続的に還流および供給される。これにより、炭酸アンモニウム水溶液に含まれる炭酸アンモニウムが、尿素製造装置4において、尿素の製造に用いられる。なお、炭酸アンモニウム水溶液に含まれる水は、尿素製造装置4から、水再利用装置11の水排出管30を介して排出され、水供給管22に輸送される。これにより、尿素製造装置4から排出された水が、アンモニア分離装置6で再利用される。
次いで、この方法では、上記と同様にして、アルコール再利用装置10において、アルコール水溶液からアルコールを分離し、例えば、塔側部から排出する。
その後、この方法では、上記と同様にして、熱分解装置3において、反応液(反応槽16におけるカルバメート化反応により得られた反応液)を熱分解する。これにより、分解液として、イソシアネートおよびアルコールが得られ、また、イソシアネートおよびアルコールとともに、イソシアネート残渣が得られる。
なお、上記と同様にして、得られたイソシアネートは、図示しないイソシアネート精製ラインに輸送され、また、得られたアルコールは、反応槽16に供給される。また、イソシアネート残渣は、残渣貯留槽(図示せず)で一時的に貯留された後、例えば、リサイクル処理および/または廃棄処理される。
そして、このようなプラント1によれば、カルバメート化反応により得られるアルコール、アンモニアおよび二酸化炭素を含むガスを水で吸収するため、アンモニアおよび二酸化炭素を、炭酸アンモニウムとして回収し、尿素製造工程において再利用することができる。
図3は、本発明のカルバメートの製造方法およびイソシアネートの製造方法が採用されるカルバメートの製造装置およびイソシアネートの製造装置としてのプラントの第3実施形態を示す概略構成図である。
以下において、上記したカルバメートの製造方法およびイソシアネートの製造方法が工業的に実施されるプラントの第3実施形態について、図3を参照して説明する。なお、上記した各装置に対応する装置については、図3において同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
上記した説明では、吸収塔20において得られたガス吸収水を、第1分離塔23に直接輸送し、第1分離塔23において、ガス吸収水からアルコール水溶液を分離したが、例えば、アルコール水溶液を分離する前に、ガス吸収水からアンモニアを分離することができる。
つまり、上記した方法では、吸収塔20において、アルコール、アンモニアおよび二酸化炭素を含有するガス吸収水を生成するとともに、水に吸収されずに残存するアンモニアを分離したが、このような操作において得られるガス吸収水のアンモニア濃度が高い(例えば、20質量%を超過する)場合に、そのガス吸収水を第1分離塔23に供給すると、アルコール水溶液を効率よく分離することができない場合がある。
具体的には、第1分離塔23として、分液塔が用いられ、液−液分離される場合には、分液温度は、例えば、100℃以下、好ましくは、80℃以下であって、より好ましくは、40〜70℃に設定される。
そして、このような第1分離塔23に供給されるガス吸収水が、アンモニアを、例えば、20質量%を超過する割合で含有すると、とりわけ、炭酸塩を用いない場合に、アルコール水溶液の分離効率の低下を惹起する場合がある。
そのため、プラント1には、図3に示すように、さらに、例えば、第1アンモニア分離手段としての第1アンモニア分離装置47を備えることができる。
第1アンモニア分離装置47は、プラント1において、ガス吸収水からアンモニアを分離し、ガス吸収水のアンモニア濃度を低減するために、ガス吸収水第1輸送管24の途中に介在されている。
第1アンモニア分離装置47としては、例えば、公知の蒸留塔などが用いられる。
次に、このプラント1によって、カルバメートを製造し、得られたカルバメートを用いてイソシアネートを製造する方法について、説明する。
この方法では、上記と同様にして、まず、尿素製造装置4において、尿素を製造し、次いで、カルバメート化反応装置5において、カルバメートを製造する。
次いで、この方法では、上記と同様にして、吸収槽20において、ガスを水で吸収し、ガス吸収水を生成するとともに、アンモニアを分離する。このとき、ガス吸収水は、アンモニアを、例えば、20質量%を超過する割合で含有する。
そして、この方法では、アンモニアを含有するガス吸収水は、ガス吸収水第1輸送管24に圧力輸送され、第1アンモニア分離装置47に対して、連続的に供給される。
そして、第1アンモニア分離装置47において、ガス吸収水からアンモニアが分離(例えば、放散)および除去される。
アンモニアを分離する条件としては、特に制限されず、必要に応じて、適宜設定される。
なお、このように第1アンモニア分離装置47においてアンモニアが分離された後にも、ガス吸収水は、アンモニアを含有する場合があるが、このような場合におけるガス吸収水のアンモニア濃度は、例えば、20質量%以下、好ましくは、10質量%以下、より好ましくは、5質量%以下、さらに好ましくは、3質量%以下である。
次いで、この方法では、アンモニアが分離されたガス吸収水を、第1分離塔23(アルコール水溶液分離装置7)に供給し、ガス吸収水から、アルコール水溶液を分離する。
その後、この方法では、アルコール水溶液が分離されたガス吸収水を、アンモニア/炭酸分離装置40に輸送し、アンモニア水溶液から、炭酸ガスを分離する。
そして、炭酸ガスが分離されたアンモニア水溶液を、アンモニア水溶液再利用装置41によりアンモニア分離装置6に供給し、そのアンモニア分離装置6において、ガス吸収水の生成に用いる。一方、分離された炭酸ガスを、尿素製造装置4に供給し、尿素製造装置4で用いる。
次いで、この方法では、上記と同様にして、第2分離塔27(アルコール再利用装置10)において、アルコール水溶液からアルコールを分離し、例えば、塔側部から排出する。
その後、この方法では、上記と同様にして、熱分解装置3において、反応液(反応槽16におけるカルバメート化反応により得られた反応液)を熱分解する。これにより、分解液として、イソシアネートおよびアルコールが得られ、また、イソシアネートおよびアルコールとともに、イソシアネート残渣が得られる。
なお、上記と同様にして、得られたイソシアネートは、図示しないイソシアネート精製ラインに輸送され、また、得られたアルコールは、反応槽16に供給される。また、イソシアネート残渣は、残渣貯留槽(図示せず)で一時的に貯留された後、例えば、リサイクル処理および/または廃棄処理される。
このような方法によれば、第1アンモニア分離装置47により、ガス吸収水に含有されるアンモニアが分離され、その濃度が低減されるので、アルコール水溶液分離装置7において、アルコール水溶液を効率よく分離することができる。
一方、この方法では、上記したように、第1分離塔23において、アルコール水溶液を分離し、第2分離塔27に輸送する一方、アンモニアを含むガス吸収水を、第3分離塔43に輸送するが、例えば、アンモニアを第1分離塔23で十分に分離することができず、例えば、アルコール水溶液にアンモニアが(例えば、10質量%を超過する割合で)含有される場合がある。そのような場合には、アルコール水溶液を第2分離塔27に供給すると、アルコールと水とを効率よく分離することができない場合がある。
具体的には、例えば、第2分離塔27として、分液塔が用いられ、液−液分離される場合には、分液温度は、例えば、100℃以下、好ましくは、80℃以下であって、より好ましくは、40〜70℃に設定される。
そして、このような第2分離塔27に供給されるアルコール水溶液が、アンモニアを、例えば、10質量%を超過する割合で含有すると、アルコールと水との分離効率の低下を惹起する場合がある。
そのため、プラント1には、さらに、図3において仮想線で示すように、例えば、第2アンモニア分離手段としての第2アンモニア分離装置48を備えることができる。
第2アンモニア分離装置48は、プラント1において、アルコール水溶液からアンモニアを分離し、アルコール水溶液のアンモニア濃度を低減するために、アルコール水溶液輸送管28に介在されている。
なお、第2アンモニア分離装置48としては、上記した第1アンモニア分離装置47と同様の装置を用いることができる。
このようなプラント1によって、カルバメートを製造する場合には、上記したように、尿素製造装置4において、尿素を製造し、次いで、カルバメート化反応装置5において、カルバメートを製造した後、吸収槽20において、ガスを水で吸収し、ガス吸収水を生成するとともに、アンモニアを分離する。その後、第1アンモニア分離装置47において、ガス吸収水からアンモニアを分離し、アンモニアが分離されたガス吸収水を、第1分離塔23(アルコール水溶液分離装置7)に供給し、ガス吸収水から、アルコール水溶液を分離する。
この方法において、第1分離塔23から排出されたアルコール水溶液は、アンモニアを、例えば、10質量%を超過する割合で含有しており、このようなアルコール水溶液は、アルコール水溶液輸送管28に圧力輸送され、第2アンモニア分離装置48に対して、連続的に供給される。
そして、第2アンモニア分離装置48において、アルコール水溶液からアンモニアが分離(例えば、放散)および除去される。
アンモニアを分離する条件としては、特に制限されず、必要に応じて、適宜設定される。
なお、このように第2アンモニア分離装置48においてアンモニアが分離された後にも、アルコール水溶液は、アンモニアを含有する場合があるが、このような場合におけるアルコール水溶液のアンモニア濃度は、例えば、10質量%以下、好ましくは、5質量%以下、より好ましくは、3質量%以下、さらに好ましくは、1質量%以下である。
次いで、この方法では、上記と同様にして、第2分離塔27(アルコール再利用装置10)において、アンモニアが分離されたアルコール水溶液からアルコールを分離し、例えば、塔側部から排出する。
その後、この方法では、上記と同様にして、熱分解装置3において、反応液(反応槽16におけるカルバメート化反応により得られた反応液)を熱分解する。これにより、分解液として、イソシアネートおよびアルコールが得られ、また、イソシアネートおよびアルコールとともに、イソシアネート残渣が得られる。
なお、上記と同様にして、得られたイソシアネートは、図示しないイソシアネート精製ラインに輸送され、また、得られたアルコールは、反応槽16に供給される。また、イソシアネート残渣は、残渣貯留槽(図示せず)で一時的に貯留された後、例えば、リサイクル処理および/または廃棄処理される。
このような方法によれば、第2アンモニア分離装置48により、アルコール水溶液に含有されるアンモニアが分離され、その濃度が低減されるので、第2分離塔27において、アルコール水溶液からアルコールと水とを効率よく分離することができる。
なお、上記の説明では、ガス吸収水からアルコールを分離するため、第1分離塔23および第2分離塔27を用いたが、アルコールを分離する分離塔の数は特に制限されず、また、上記した第1アンモニア分離装置47および第2アンモニア分離装置48のように、各分離塔のそれぞれの上流側に、アンモニア分離装置を、例えば、各分離塔と対になるように設けることができる。
このような場合には、好ましくは、最後にアルコールを分離する分離塔(分離塔の最終段)の、直前に設けられるアンモニア分離装置において、溶液中のアンモニア濃度が10質量%以下となるように、アンモニアが分離(放散)される。
以上、カルバメートの製造方法および製造装置、および、イソシアネートの製造方法および製造装置について説明したが、このようなプラント1は、必要により、適宜の位置において、脱水工程などの前処理工程を実施するための前処理装置、中間工程、蒸留工程、濾過工程、精製工程および回収工程などの後処理工程を実施するための後処理装置などを備えることができる。
なお、上記説明は、本発明の例示の実施形態として提供したが、これは単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。当該技術分野の当業者によって明らかな本発明の変形例は、後記の特許請求の範囲に含まれるものである。
本発明のカルバメートの製造方法および製造装置は、ポリウレタン原料であるイソシアネートの原料として有用なカルバメートを製造するために用いることができる。
また、本発明のイソシアネートの製造方法および製造装置は、ポリウレタンの原料として有用なイソシアネートを製造するために用いることができる。

Claims (16)

  1. アンモニアと炭酸ガスとの反応により尿素を製造する尿素製造工程と、
    アミンと、前記尿素と、アルコールとのカルバメート化反応により、カルバメートを生成し、アルコール、アンモニアおよび二酸化炭素を含むガスを副生するカルバメート化工程と、
    前記ガスを水で吸収して、ガス吸収水を生成するとともに、アンモニアを分離するアンモニア分離工程と、
    前記ガス吸収水から、アルコール水溶液を分離するアルコール水溶液分離工程と、
    前記アルコール水溶液が分離された前記ガス吸収水において、アンモニア水溶液から炭酸ガスを分離するアンモニア/炭酸分離工程と、
    前記アンモニア水溶液を、前記水とともに、前記ガス吸収水の生成に用いるアンモニア水溶液再利用工程と
    を備えることを特徴とする、カルバメートの製造方法。
  2. 前記アンモニア分離工程において、前記ガスを、炭酸塩の存在下、前記水で吸収し、
    前記アンモニア/炭酸分離工程において、前記炭酸塩の存在下、前記アンモニア水溶液から炭酸ガスを分離し、
    前記アンモニア水溶液再利用工程において、前記アンモニア水溶液および前記水とともに、前記炭酸塩を、前記ガス吸収水の生成に用いる
    ことを特徴とする、請求項1に記載のカルバメートの製造方法。
  3. さらに、前記アンモニア/炭酸分離工程において分離された炭酸ガスを回収し、前記尿素製造工程で用いる炭酸ガス再利用工程を備えることを特徴とする、請求項1に記載のカルバメートの製造方法。
  4. さらに、前記アンモニア分離工程で分離された前記アンモニアを、前記尿素製造工程で用いるアンモニア再利用工程を備えることを特徴とする、請求項1に記載のカルバメートの製造方法。
  5. さらに、前記アルコール水溶液からアルコールを分離して、前記アルコールを前記カルバメート化工程で用いるアルコール再利用工程を備えることを特徴とする、請求項1に記載のカルバメートの製造方法。
  6. 前記尿素製造工程において排出される水を、前記アンモニア分離工程で用いる水再利用工程を備えることを特徴とする、請求項1に記載のカルバメートの製造方法。
  7. アンモニアと炭酸ガスとの反応により尿素を製造する尿素製造工程と、
    アミンと、前記尿素と、アルコールとのカルバメート化反応により、カルバメートを生成し、アルコール、アンモニアおよび二酸化炭素を含むガスを副生するカルバメート化工程と、
    前記ガスを水で吸収して、ガス吸収水を生成するとともに、アンモニアを分離するアンモニア分離工程と、
    前記ガス吸収水から、アルコール水溶液を分離するアルコール水溶液分離工程と、
    前記ガス吸収水から前記アルコール水溶液が分離されて得られる炭酸アンモニウム水溶液を、前記尿素製造工程で用いる炭酸アンモニウム再利用工程と
    を備えることを特徴とする、カルバメートの製造方法。
  8. さらに、前記アンモニア分離工程で分離された前記アンモニアを、前記尿素製造工程で用いるアンモニア再利用工程を備えることを特徴とする、請求項7に記載のカルバメートの製造方法。
  9. さらに、前記アルコール水溶液からアルコールを分離して、前記アルコールを前記カルバメート化工程で用いるアルコール再利用工程を備えることを特徴とする、請求項7に記載のカルバメートの製造方法。
  10. 前記尿素製造工程において排出される水を、前記アンモニア分離工程で用いる水再利用工程を備えることを特徴とする、請求項7に記載のカルバメートの製造方法。
  11. アンモニアと炭酸ガスとの反応により尿素を製造する尿素製造工程と、
    アミンと、前記尿素と、アルコールとのカルバメート化反応により、カルバメートを生成し、アルコール、アンモニアおよび二酸化炭素を含むガスを副生するカルバメート化工程と、
    前記ガスを水で吸収して、ガス吸収水を生成するとともに、アンモニアを分離するアンモニア分離工程と、
    前記ガス吸収水から、アルコール水溶液を分離するアルコール水溶液分離工程と、
    前記アルコール水溶液が分離された前記ガス吸収水において、アンモニア水溶液から炭酸ガスを分離するアンモニア/炭酸分離工程と、
    前記アンモニア水溶液を、前記水とともに、前記ガス吸収水の生成に用いるアンモニア水溶液再利用工程と
    を備えるカルバメートの製造方法によって、カルバメートを製造するカルバメート製造工程と、
    得られたカルバメートを熱分解してイソシアネートを製造するイソシアネート製造工程と
    を備えることを特徴とする、イソシアネートの製造方法。
  12. アンモニアと炭酸ガスとの反応により尿素を製造する尿素製造工程と、
    アミンと、前記尿素と、アルコールとのカルバメート化反応により、カルバメートを生成し、アルコール、アンモニアおよび二酸化炭素を含むガスを副生するカルバメート化工程と、
    前記ガスを水で吸収して、ガス吸収水を生成するとともに、アンモニアを分離するアンモニア分離工程と、
    前記ガス吸収水から、アルコール水溶液を分離するアルコール水溶液分離工程と、
    前記ガス吸収水から前記アルコール水溶液が分離されて得られる炭酸アンモニウム水溶液を、前記尿素製造工程で用いる炭酸アンモニウム再利用工程と
    を備えるカルバメートの製造方法によって、カルバメートを製造するカルバメート製造工程と、
    得られたカルバメートを熱分解してイソシアネートを製造するイソシアネート製造工程と
    を備えることを特徴とする、イソシアネートの製造方法。
  13. アンモニアと炭酸ガスとの反応により尿素を製造する尿素製造装置と、
    アミンと、前記尿素と、アルコールとのカルバメート化反応により、カルバメートを生成し、アルコール、アンモニアおよび二酸化炭素を含むガスを副生するカルバメート化反応装置と、
    前記ガスを水で吸収して、ガス吸収水を生成するとともに、アンモニアを分離するアンモニア分離装置と、
    前記ガス吸収水から、アルコール水溶液を分離するアルコール水溶液分離装置と、
    前記アルコール水溶液が分離された前記ガス吸収水において、アンモニア水溶液から炭酸ガスを分離するアンモニア/炭酸分離装置と、
    前記アンモニア水溶液を、前記水とともに、前記ガス吸収水の生成に用いるアンモニア水溶液再利用装置と、
    前記アンモニア分離装置で分離された前記アンモニアを、前記尿素製造装置で用いるアンモニア再利用装置と、
    前記アルコール水溶液からアルコールを分離して、前記アルコールを前記カルバメート化反応装置で用いるアルコール再利用装置と
    を備えることを特徴とする、カルバメートの製造装置。
  14. アンモニアと炭酸ガスとの反応により尿素を製造する尿素製造装置と、
    アミンと、前記尿素と、アルコールとのカルバメート化反応により、カルバメートを生成し、アルコール、アンモニアおよび二酸化炭素を含むガスを副生するカルバメート化反応装置と、
    前記ガスを水で吸収して、ガス吸収水を生成するとともに、アンモニアを分離するアンモニア分離装置と、
    前記ガス吸収水から、アルコール水溶液を分離するアルコール水溶液分離装置と、
    前記ガス吸収水から前記アルコール水溶液が分離されて得られる炭酸アンモニウム水溶液を、前記尿素製造装置で用いる炭酸アンモニウム再利用装置と、
    前記アンモニア分離装置で分離された前記アンモニアを、前記尿素製造装置で用いるアンモニア再利用装置と、
    前記アルコール水溶液からアルコールを分離して、前記アルコールを前記カルバメート化反応装置で用いるアルコール再利用装置と
    を備えることを特徴とする、カルバメートの製造装置。
  15. アンモニアと炭酸ガスとの反応により尿素を製造する尿素製造装置と、
    アミンと、前記尿素と、アルコールとのカルバメート化反応により、カルバメートを生成し、アルコール、アンモニアおよび二酸化炭素を含むガスを副生するカルバメート化反応装置と、
    前記ガスを水で吸収して、ガス吸収水を生成するとともに、アンモニアを分離するアンモニア分離装置と、
    前記ガス吸収水から、アルコール水溶液を分離するアルコール水溶液分離装置と、
    前記アルコール水溶液が分離された前記ガス吸収水において、アンモニア水溶液から炭酸ガスを分離するアンモニア/炭酸分離装置と、
    前記アンモニア水溶液を、前記水とともに、前記ガス吸収水の生成に用いるアンモニア水溶液再利用装置と、
    前記アンモニア分離装置で分離された前記アンモニアを、前記尿素製造装置で用いるアンモニア再利用装置と、
    前記アルコール水溶液からアルコールを分離して、前記アルコールを前記カルバメート化反応装置で用いるアルコール再利用装置と
    を備えるカルバメートの製造装置と、
    カルバメートの前記製造装置において得られたカルバメートを熱分解してイソシアネートを製造する熱分解装置と
    を備えることを特徴とする、イソシアネートの製造装置。
  16. アンモニアと炭酸ガスとの反応により尿素を製造する尿素製造装置と、
    アミンと、前記尿素と、アルコールとのカルバメート化反応により、カルバメートを生成し、アルコール、アンモニアおよび二酸化炭素を含むガスを副生するカルバメート化反応装置と、
    前記ガスを水で吸収して、ガス吸収水を生成するとともに、アンモニアを分離するアンモニア分離装置と、
    前記ガス吸収水から、アルコール水溶液を分離するアルコール水溶液分離装置と、
    前記ガス吸収水から前記アルコール水溶液が分離されて得られる炭酸アンモニウム水溶液を、前記尿素製造装置で用いる炭酸アンモニウム再利用装置と、
    前記アンモニア分離装置で分離された前記アンモニアを、前記尿素製造装置で用いるアンモニア再利用装置と、
    前記アルコール水溶液からアルコールを分離して、前記アルコールを前記カルバメート化反応装置で用いるアルコール再利用装置と
    を備えるカルバメートの製造装置と、
    カルバメートの前記製造装置において得られたカルバメートを熱分解してイソシアネートを製造する熱分解装置と
    を備えることを特徴とする、イソシアネートの製造装置。
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