JP5643517B2 - 触媒処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、触媒処理方法、詳しくは、イソシアネートの製造において用いられる触媒を回収するための触媒処理方法に関する。
イソシアネートは、少なくとも1つのイソシアネート基(−NCO)を有する化合物であって、ポリウレタン、ポリ尿素などの原料として、工業的に広く用いられている。
従来より、イソシアネートは、アミンとホスゲンとの反応から工業的に製造されているが、ホスゲンは毒性が強く、その取り扱いが煩雑であり、しかも、大量の塩酸を副生するので、装置の腐食に配慮する必要があるなどの不具合があり、これに代わるイソシアネートの工業的な製造方法の開発が望まれている。
ホスゲンを使用しないイソシアネートの製造方法として、例えば、アミンと、尿素またはカルバミン酸エステルと、アルコールとを反応させてカルバメートを製造し、その後、得られたカルバメートを熱分解することによってイソシアネートを製造することが、知られている。
このようなカルバメートの製造方法としては、例えば、2,4−ジアミノトルオールと、カルバミン酸エチルエステルと、エタノールとを、金属原子のカチオンと配位性アニオンとからなるルイス酸触媒である酢酸鉄−(II)の存在下において反応させることにより、2,4−ジ−(エトキシカルボニルアミノ)−トルオールを得ることが提案されている(例えば、特許文献1、実施例36参照。)。
また、例えば、ジアミノトルエンと、尿素と、n−ヘキサノールとを、金属原子のカチオンと配位性アニオンとからなるルイス酸触媒である亜鉛オクトエートの存在下において反応させることにより、2,4−ビス−(n−ヘキソキシカルボニル−アミノ)−トルエンを得ることが提案されている(例えば、特許文献2、例11参照。)。
特開昭55−149241号公報 特開昭57−114561号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法において、2,4−ジ−(エトキシカルボニルアミノ)−トルオールを高収率で得るためには、上記各成分を、高温かつ高圧の条件下において、長時間反応させることが必要である。そのため、コストの上昇が不可避であり、特許文献1に記載の方法は、工業的なカルバメートの製造には不向きである。
また、特許文献2に記載の方法においても、2,4−ビス−(n−ヘキソキシカルボニル−アミノ)−トルエンを高収率で得るためには、上記各成分を、高温の条件下において、長時間反応させることが必要である。そのため、特許文献1に記載の方法と同様、コストの上昇が不可避であり、特許文献2に記載の方法は、工業的なカルバメートの製造には不向きである。
また、特許文献2では、上記各成分を圧力装置内で反応させることにより、2,4−ビス−(n−ヘキソキシカルボニル−アミノ)−トルエンを、比較的短時間で得ることが提案されている(例えば、特許文献2、例7参照。)。
しかし、特許文献2に記載の方法では、装置内圧力を所要反応圧力まで加圧しても、2,4−ビス−(n−ヘキソキシカルボニル−アミノ)−トルエンを高い収率で得ることができず、やはり、工業的なカルバメートの製造には不向きである。
また、工業的にカルバメートを製造し、そのカルバメートを熱分解してイソシアネートを製造するには、さらなる経済性が要求される。
本発明の目的は、工業的に効率良くイソシアネートを製造できながら、そのイソシアネートの製造コストを低減できる触媒処理方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の触媒処理方法は、1級アミンと、尿素および/またはN−無置換カルバミン酸エステルと、アルコールとを、触媒の存在下において反応させ、カルバメートを製造するカルバメート製造工程と、前記カルバメートを熱分解反応させ、イソシアネートおよび残渣を得る熱分解工程と、前記残渣から、触媒を回収する触媒回収工程とを備えることを特徴としている。
また、本発明の触媒処理方法では、前記触媒回収工程において回収される前記触媒を、前記カルバメート製造工程において用いることが好適である。
また、本発明の触媒処理方法では、前記触媒回収工程において、前記残渣を熱時濾過することにより触媒を回収することが好適である。
また、本発明の触媒処理方法では、前記触媒が、非配位性アニオンおよび金属原子を含有する化合物であることが好適である。
また、本発明の触媒処理方法では、前記触媒が、トルエンスルホン酸の金属塩であることが好適である。
また、本発明の触媒処理方法では、前記1級アミンが、下記一般式(1)で示され、前記N−無置換カルバミン酸エステルが、下記一般式(2)で示され、前記アルコールが、下記一般式(3)で示されることが好適である。
−(NH)l (1)
(式中、Rは、総炭素数1〜15の脂肪族炭化水素基、総炭素数3〜15の脂環含有炭化水素基、または、総炭素数6〜15の芳香環含有炭化水素基を、lは、1〜6の整数を示す。)
O−CO−NH (2)
(式中、Rは、総炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基、または、総炭素数6〜16の芳香族炭化水素基を示す。)
−OH (3)
(式中、Rは、総炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基、または、総炭素数6〜16の芳香族炭化水素基を示す。)
本発明の触媒処理方法によれば、カルバメート製造工程において用いられる触媒を、熱分解工程の後に回収できるため、工業的に効率良くイソシアネートを製造できながら、そのイソシアネートの製造コストを低減できる。
本発明の触媒処理方法が採用されるプラントの一実施形態を示す概略構成図である。
本発明の触媒処理方法では、まず、1級アミンと、尿素および/またはN−無置換カルバミン酸エステルと、アルコールとを、触媒の存在下において反応させ、カルバメートを製造する(カルバメート製造工程)。
1級アミンは、1級のアミノ基を1つ以上有するアミノ基含有有機化合物であって、例えば、下記一般式(1)で示される。
−(NH)l (1)
(式中、Rは、総炭素数1〜15の脂肪族炭化水素基、総炭素数3〜15の脂環含有炭化水素基、または、総炭素数6〜15の芳香環含有炭化水素基を、lは、1〜6の整数を示す。)
上記式(1)中、Rは、総炭素数1〜15の脂肪族炭化水素基、総炭素数3〜15の脂環含有炭化水素基、および、総炭素数6〜15の芳香環含有炭化水素基から選択されるが、Rは、その炭化水素基中に、例えば、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合などの安定な結合を含んでいてもよく、また、安定な官能基(後述)で置換されていてもよい。
において、総炭素数1〜15の脂肪族炭化水素基としては、例えば、1〜6価の、直鎖状または分岐状の総炭素数1〜15の脂肪族炭化水素基などが挙げられる。
上記式(1)において、Rが総炭素数1〜15の脂肪族炭化水素基である1級アミンとしては、例えば、総炭素数1〜15の脂肪族アミンなどが挙げられる。
そのような脂肪族アミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、iso−プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、n−オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミンなどの直鎖状または分岐状の脂肪族1級モノアミン、例えば、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン(1,4−テトラメチレンジアミン)、1,5−ジアミノペンタン(1,5−ペンタメチレンジアミン)、1,6−ジアミノヘキサン(1,6一ヘキサメチレンジアミン)、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、テトラメチレンジアミンなどの脂肪族1級ジアミン、例えば、1,2,3−トリアミノプロパン、トリアミノヘキサン、トリアミノノナン、トリアミノドデカン、1,8−ジアミノ−4−アミノメチルオクタン、1,3,6−トリアミノヘキサン、1,6,11−トリアミノウンデカン、3−アミノメチル−1,6−ジアミノヘキサンなどの脂肪族1級トリアミンなどが挙げられる。
において、総炭素数3〜15の脂環含有炭化水素基としては、例えば、1〜6価の、総炭素数3〜15の脂環含有炭化水素基などが挙げられる。
なお、脂環含有炭化水素基は、その炭化水素基中に1つ以上の脂環式炭化水素を含有していればよく、例えば、その脂環式炭化水素に、例えば、脂肪族炭化水素基などが結合していてもよい。このような場合には、1級アミンにおけるアミノ基は、脂環式炭化水素に直接結合していてもよく、脂環式炭化水素に結合される脂肪族炭化水素基に結合していてもよく、その両方であってもよい。
上記式(1)において、Rが総炭素数3〜15の脂環含有炭化水素基である1級アミンとしては、例えば、総炭素数3〜15の脂環族アミンなどが挙げられる。
そのような脂環族アミンとしては、例えば、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、水添トルイジンなどの脂環族1級モノアミン、例えば、ジアミノシクロブタン、イソホロンジアミン(3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン)、1,2−ジアミノシクロへキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロへキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロへキシルアミン)、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、水添2,4−ジアミノトルエン(別名:水添2,4−トリレンジアミン)、水添2,6−ジアミノトルエン(別名:水添2,6−トリレンジアミン)などの脂環族1級ジアミン、例えば、トリアミノシクロヘキサンなどの脂環族1級トリアミンなどが挙げられる。
において、総炭素数6〜15の芳香環含有炭化水素基としては、例えば、1〜6価の、総炭素数6〜15の芳香環含有炭化水素基などが挙げられる。
なお、芳香環含有炭化水素基は、その炭化水素基中に1つ以上の芳香族炭化水素を含有していればよく、例えば、その芳香族炭化水素に、例えば、脂肪族炭化水素基などが結合していてもよい。このような場合には、1級アミンにおけるアミノ基は、芳香族炭化水素に直接結合していてもよく、芳香族炭化水素に結合される脂肪族炭化水素基に結合していてもよく、その両方であってもよい。
上記式(1)において、Rが総炭素数6〜15の芳香環含有炭化水素基である1級アミンとしては、例えば、総炭素数6〜15の芳香族アミン、総炭素数6〜15の芳香脂肪族アミンなどが挙げられる。
そのような芳香族アミンとしては、例えば、アニリン、o−トルイジン(2−メチルアニリン)、m−トルイジン(3−メチルアニリン)、p−トルイジン(4−メチルアニリン)、2,3−キシリジン(2,3−ジメチルアニリン)、2,4−キシリジン(2,4−ジメチルアニリン)、2,5−キシリジン(2,5−ジメチルアニリン)、2,6−キシリジン(2,6−ジメチルアニリン)、3,4−キシリジン(3,4−ジメチルアニリン)、3,5−キシリジン(3,5−ジメチルアニリン)、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミンなどの芳香族1級モノアミン、例えば、2,4−ジアミノトルエン(別名:2,4−トリレンジアミン)、2,6−ジアミノトルエン(別名:2,6−トリレンジアミン)、4,4’−ジフェニルメタンジアミン、2,4’−ジフェニルメタンジアミン、2,2’−ジフェニルメタンジアミン、4,4’−ジフェニルエーテルジアミン、2−ニトロジフェニル−4,4’−ジアミン、2,2’−ジフェニルプロパン−4,4’−ジアミン、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジアミン、4,4’−ジフェニルプロパンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、ナフチレン−1,4−ジアミン、ナフチレン−1,5−ジアミン、3,3’−ジメトキシジフェニル−4,4’−ジアミンなどの芳香族1級ジアミンなどが挙げられる。
そのような芳香脂肪族アミンとしては、例えば、ベンジルアミンなどの芳香脂肪族1級モノアミン、例えば、1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,4−ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,3−テトラメチルキシリレンジアミン(1,3−ジ(2−アミノ−2−メチルエチル)ベンゼン)、1,4−テトラメチルキシリレンジアミン(1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルエチル)ベンゼン)などの芳香脂肪族1級ジアミンなどが挙げられる。
上記式(1)において、Rに置換していてもよい官能基としては、例えば、ニトロ基、水酸基、メルカプト基、オキソ基、チオキソ基、シアノ基、カルボキシ基、アルコキシ−カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などの総炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基)、スルホ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、低級アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基など)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基など)、ハロゲノフェノキシ基(例えば、o−、m−またはp−クロロフェノキシ基、o−、m−またはp−ブロモフェノキシ基など)、低級アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、iso−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基など)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基など)、低級アルキルスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基など)、低級アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基など)、アリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニルなど)、低級アシル基(例えば、ホルミル基、アセチル基など)、アリールカルボニル基(例えば、ベンゾイル基など)などが挙げられる。
これらの官能基は、上記式(1)において、Rに複数置換していてもよく、また、官能基がRに複数置換する場合には、各官能基は、互いに同一であっても、それぞれ異なっていてもよい。
上記式(1)において、lは、例えば、1〜6の整数を示し、好ましくは、1または2を示し、より好ましくは、2を示す。
これら1級アミンは、単独使用または2種類以上併用することができる。
1級アミンとして、好ましくは、上記式(1)において、Rが総炭素数6〜15の芳香環含有炭化水素基である1級アミン、より具体的には、総炭素数6〜15の芳香族アミン、総炭素数6〜15の芳香脂肪族アミンが挙げられる。
また、1級アミンとして、工業的に用いられるイソシアネートの製造原料となるものも好ましく、そのような1級アミンとして、例えば、1,6−ジアミノヘキサン、イソホロンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロへキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロへキシルアミン)、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,4−ジアミノトルエン(別名:2,4−トリレンジアミン)、2,6−ジアミノトルエン(別名:2,6−トリレンジアミン)、4,4’−ジフェニルメタンジアミン、2,4’−ジフェニルメタンジアミン、2,2’−ジフェニルメタンジアミン、ナフチレン−1,5−ジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,4−ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,3−テトラメチルキシリレンジアミン、1,4−テトラメチルキシリレンジアミンなどが挙げられ、とりわけ好ましくは、2,4−ジアミノトルエン(別名:2,4−トリレンジアミン)、2,6−ジアミノトルエン(別名:2,6−トリレンジアミン)、4,4’−ジフェニルメタンジアミン、2,4’−ジフェニルメタンジアミン、2,2’−ジフェニルメタンジアミン、ナフチレン−1,5−ジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,4−ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,3−テトラメチルキシリレンジアミン、1,4−テトラメチルキシリレンジアミンが挙げられる。
本発明で用いられるN−無置換カルバミン酸エステルは、カルバモイル基における窒素原子が官能基により置換されていない(すなわち、窒素原子が、2つの水素原子と、1つの炭素原子とに結合する)カルバミン酸エステルであって、例えば、下記一般式(2)で示される。
O−CO−NH (2)
(式中、Rは、総炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基、または、総炭素数6〜16の芳香族炭化水素基を示す。)
上記式(2)中、Rにおいて、総炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基としては、例えば、総炭素数1〜16のアルキル基などが挙げられる。
アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、iso−ペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、イソデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシルなどが挙げられる。
上記式(2)において、Rが総炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であるN−無置換カルバミン酸エステルとしては、例えば、カルバミン酸メチル、カルバミン酸エチル、カルバミン酸プロピル、カルバミン酸iso−プロピル、カルバミン酸ブチル、カルバミン酸iso−ブチル、カルバミン酸sec−ブチル、カルバミン酸tert−ブチル、カルバミン酸ペンチル、カルバミン酸iso−ペンチル、カルバミン酸sec−ペンチル、カルバミン酸ヘキシル、カルバミン酸ヘプチル、カルバミン酸オクチル、カルバミン酸2−エチルヘキシル、カルバミン酸ノニル、カルバミン酸デシル、カルバミン酸イソデシル、カルバミン酸ドデシル、カルバミン酸テトラデシル、カルバミン酸ヘキサデシルなどが挙げられる。
上記式(2)中、Rにおいて、総炭素数6〜16の芳香族炭化水素基としては、例えば、総炭素数6〜16のアリール基などが挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル、トリル、キシリル、ビフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリルなどが挙げられる。
上記式(2)において、Rが総炭素数6〜16の芳香族炭化水素基であるN−無置換カルバミン酸エステルとしては、例えば、カルバミン酸フェニル、カルバミン酸トリル、カルバミン酸キシリル、カルバミン酸ビフェニル、カルバミン酸ナフチル、カルバミン酸アントリル、カルバミン酸フェナントリルなどが挙げられる。
これらN−無置換カルバミン酸エステルは、単独使用または2種類以上併用することができる。
N−無置換カルバミン酸エステルとして、好ましくは、上記式(2)において、Rが総炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であるN−無置換カルバミン酸エステル、より好ましくは、Rが総炭素数2〜12の脂肪族炭化水素基であるN−無置換カルバミン酸エステルが挙げられる。
本発明で用いられるアルコールは、例えば、1〜3級の1価のアルコールであって、例えば、下記式(3)で示される。
−OH (3)
(式中、Rは、総炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基、または、総炭素数6〜16の芳香族炭化水素基を示す。)
上記式(3)中、Rにおいて、総炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基としては、例えば、上記したアルキル基などが挙げられる。
上記式(3)において、Rが総炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であるアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、iso−プロパノール、ブタノール(1−ブタノール)、iso−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、iso−ペンタノール、sec−ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール(1−オクタノール)、2−エチルヘキサノール、ノナノール、デカノール、イソデカノール、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノールなどが挙げられる。
上記式(3)中、Rにおいて、総炭素数6〜16の芳香族炭化水素基としては、例えば、上記したアリール基などが挙げられる。
上記式(3)において、Rが総炭素数6〜16の芳香族炭化水素基であるアルコールとしては、例えば、フェノール、ヒドロキシトルエン、ヒドロキシキシレン、ビフェニルアルコール、ナフタレノール、アントラセノール、フェナントレノールなどが挙げられる。
これらアルコールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
アルコールとして、好ましくは、上記式(3)において、Rが炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であるアルコール、より好ましくは、Rが炭素数2〜12の脂肪族炭化水素基であるアルコールが挙げられる。
本発明で用いられる触媒としては、例えば、非配位性アニオンおよび金属原子を含有する化合物が挙げられる。非配位性アニオンおよび金属原子を含有する化合物は、例えば、下記式(4)で示される。
MXmXn−m (4)
(式中、Mは、周期律表第1〜16族の金属原子を、Xは、非配位性アニオンを、Xは、配位子を、mは、1〜nの整数を、nは、Mの原子価を示す。)
上記式(4)中、Mとしては、周期律表第1〜16族(IUPAC Periodic Table of the Elements(version date 22 June 2007)に従う。以下同じ。)の金属原子が挙げられる。
金属原子として、好ましくは、周期律表第4族および第11〜14族の金属原子、より好ましくは、周期律表第4族および第12族の金属原子が挙げられる。
また、金属原子として、好ましくは、上記した金属原子のうち、周期律表第3〜6周期の金属原子、好ましくは、周期律表第4〜6周期の金属原子が挙げられる。
このような金属原子として、より具体的には、例えば、チタン、ジルコニウム、ハフニウム(以上、周期律表第4族第4〜6周期)、銅、銀、金(以上、周期律表第11族第4〜6周期)、亜鉛、カドミウム、水銀(以上、周期律表第12族第4〜6周期)、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム(以上、周期律表第13族第3〜6周期)、錫、鉛(以上、周期律表第14族第5〜6周期)などが挙げられる。
金属原子として、好ましくは、チタン、ジルコニウム、ハフニウム(以上、周期律表第4族第4〜6周期)、亜鉛、カドミウム、水銀(以上、周期律表第12族第4〜6周期)が挙げられ、より好ましくは、チタン、ハフニウム、亜鉛が挙げられる。
上記式(4)中、Xにおいて、非配位性アニオンは、後述するカチオンに配位しないか、または、中性のルイス塩基によって置換される程度にわずかに配位するアニオンとして定義される。
このような非配位性アニオンとしては、例えば、非配位性の硫黄含有アニオン、酸素含有アニオン、ホウ素含有アニオン、リン含有アニオンなどが挙げられる。
硫黄含有アニオンとしては、例えば、下記一般式(5)で示される非配位性アニオンが挙げられる。
SO (5)
(式中、Rは、置換基定数σが−0.1〜+0.7の範囲の値である置換基を示す。)
上記式(5)中、置換基定数σは、Chartonにより、Hammettの置換基定数から拡張され、定義された、置換基の電子吸引性の強度を示す定数(Charton, M. Prog. Phys. Org, Chem. 1981, 13, 119 参照。)であって、置換基に固有の無次元の数値である。
置換基定数σが−0.1〜+0.7の範囲の値である置換基Rとして、例えば、CH−、C−、C−、iso−C−、C−、iso−C−、sec−C−、tert−C−、C11−、iso−C11−、sec−C11−、C13−、C15−、C17−、C19−、C1021−、C1123−、C1225−、C1327−、C1429−、C1531−、C1633−、C−、2−(CH)C−、3−(CH)C−、4−(CH)C−、2,3−(CH−、2,4−(CH−、2,5−(CH−、2,6−(CH−、3,4−(CH−、3,5−(CH−、3,6−(CH−などが挙げられる。
置換基定数σが−0.1〜+0.7の範囲の値である置換基Rとしては、上記した置換基Rにおいて、少なくとも1つのフッ素原子を含有する、総炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基、または、総炭素数6〜16の芳香族炭化水素基も挙げられ、例えば、CHF−、CHF−、CF−、CHFCH−、CHFCH−、CFCH−、CHCHF−、CHCF−、CHFCHF−、CHFCHF−、CFCHF−、CHFCF−、CHFCF−、C−、C−、C−、iso−C−、sec−C−、tert−C−、C11−、iso−C11−、sec−C11−、C13−、C15−、C17−、C19−、C1021−、C1123−、C1225−、C1327−、C1429−、C1531−、C1633−、2−F−C−、3−F−C−、4−F−C−、C−、2−(CF)C−、3−(CF)C−、4−(CF)C−、2,3−(CF−、2,4−(CF−、2,5−(CF−、2,6−(CF−、3,4−(CF−、3,5−(CF−、3,6−(CF−などが挙げられる。
硫黄含有アニオンとして、より具体的には、例えば、パーフルオロアルキルスルホネートアニオン(例えば、OSOCF (以下、OTfと略する場合がある。)、OSO 、OSO 、OSO など)、アリールスルホネートアニオン(OSOCH (トルエンスルホナートアニオン)、OSO など)などが挙げられる。
酸素含有アニオンとしては、例えば、パークロレートアニオン(ClO )などが挙げられる。
リン酸含有アニオンとしては、例えば、ヘキサフルオロホスフェートアニオン(PF )などが挙げられる。
ホウ素含有アニオンとしては、例えば、テトラフルオロボレートアニオン(BF )、テトラフェニルボレートアニオン、テトラ(p−トリル)ボレートアニオン、テトラ(o−トリル)ボレートアニオン、テトラキス(o,p−ジメチルフェニル)ボレートアニオン、テトラキス(m,m−ジメチルフェニル)ボレートアニオン、テトラキス[p−(トリフルオロメチル)フェニル]ボレートアニオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(B(C )アニオン、テトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレートアニオン(B[3,5−(CF )などが挙げられる。
非配位性アニオンとして、好ましくは、パーフルオロアルキルスルホネートアニオン、アリールスルホネートアニオン、ヘキサフルオロホスフェートアニオン、テトラフルオロボレートアニオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオン、テトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレートアニオンが挙げられ、より好ましくは、アリールスルホネートアニオン、さらに好ましくは、OSOCH (トルエンスルホナートアニオン)が挙げられる。
非配位性アニオンがOSOCH (トルエンスルホナートアニオン)であれば(すなわち、触媒がトルエンスルホン酸の金属塩)であれば、触媒のカルバメートの製造における性能を良好とすることができる。
上記式(4)中、Xにおいて、配位子は、上記した金属原子に配位する原子団であって、より具体的には、例えば、アルキル基(例えば、CH−、C−、C−、iso−C−、C−、iso−C−、sec−C−、tert−C−、C11−など)、アルコキシ基(例えば、CHO−、CO−、CO−、iso−CO−、CO−、iso−CO−、sec−CO−、tert−CO−、C11O−、iso−C11O−、sec−C11O−、C13O−、C15O−、C17O−、C19O−、C1021O−など)、アミノ基(NH−)、2級アミノ基(例えば、CHNH−、CNH−、CNH−、iso−CNH−、CNH−、iso−CNH−、sec−CNH−、tert−CNH−、C11NH−など)、3級アミノ基(例えば、(CHN−、(CN−、(CN−、(CN−、(C11N−など)、アシルオキシ基(例えば、CHCOO−、CCOO−、CCOO−、iso−CCOO−、CCOO−、iso−CCOO−、sec−CCOO−、tert−CCOO−、C11COO−、C13COO−、C15COO−、C17COO−、C19COO−、C1021COO−、C1123COO−、C1225COO−、C1327COO−、C1429COO−、C1531COO−、C1633COO−、C1735COO−、C1837COO−、CCOO−など)、アセチルアセトナート、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、硫酸イオン(SO 2−)酸化物イオン(O2−)、アミド配位子(例えば、[N(SiMe]など)などが挙げられる。
上記式(4)中、mは、1〜nの整数を、nは、Mの原子価を示す。
上記式(4)において、mが2以上である場合(すなわち、1つのMに対するXが2つ以上である場合)には、各Xは、互いに同一であっても、それぞれ異なっていてもよい。
また、上記式(4)において、n−mが2以上である場合(すなわち、1つのMに対するXが2つ以上である場合)には、各Xは、互いに同一であっても、それぞれ異なっていてもよい。
上記式(4)において、m=nである場合(Mの原子価と、Xの数とが同一である場合)には、上記式(4)の化合物は、配位子(X)を含有せず、金属原子(M)のカチオンと、非配位性アニオン(X)とから形成される。
このような化合物として、より具体的には、例えば、Zn(OSOCF(別表記:Zn(OTf)、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛)、Zn(OSO、Zn(OSO、Zn(OSO、Zn(OSOCH(パラトルエンスルホン酸亜鉛)、Zn(OSO、Zn(BF、Zn(PF、Hf(OTf)(トリフルオロメタンスルホン酸ハフニウム)、Sn(OTf)、Al(OTf)、Cu(OTf)などが挙げられる。
また、上記式(4)において、m<nである場合(Xの数が、Mの原子価よりも少ない場合)には、上記式(4)の化合物は、金属原子(M)と、非配位性アニオン(X)と、配位子(X)とから形成される。
このような場合には、上記式(4)の化合物は、原子価nの金属原子(M)に対して、配位子(X)を、1〜(n−1)つ有する化合物として形成される。具体的には、例えば、金属原子(M)の原子価が4の場合には、上記式(4)の化合物は、配位子(X)を1〜3つ有する。
なお、m<nである場合には、上記式(4)の化合物において、非配位性アニオン(X)を電気的に引き寄せるカチオンは、金属原子(M)と、それに配位する配位子(X)とから形成される。
すなわち、m<nである場合には、上記式(4)の化合物は、金属原子(M)に配位子(X)が配位することにより形成されるカチオン(例えば、錯イオンなど)と、非配位性アニオン(X)とから形成される。
また、このような化合物は、例えば、金属化合物と、非配位性アニオンを生成する化合物とを混合すれば、形成することができる。
より具体的には、このような化合物は、例えば、配位子(X)がnつ配位した金属原子(M)からなる金属化合物(MXn)と、非配位性アニオン(X)を生成する化合物(例えば、非配位性アニオンを共役塩基とする化合物(HX)など)とを混合して物形成することができる。
すなわち、これら金属化合物(MXn)と、非配位性アニオンを生成する化合物(例えば、HXなど)とが、例えば、水、有機溶媒などの中で混合されると、その混合物中において、金属化合物(MXn)中の一部の配位子(X)と、非配位性アニオン(X)とが置換され、上記式(4)の化合物が形成される。
より具体的には、例えば、四塩化チタン(TiCl)とトリフルオロメタンスルホン酸(HOSOCF)とが混合されることにより、四塩化チタン中の一部の塩素アニオン(Cl)と、トリフラートアニオン(非配位性アニオン、OSOCF )とが置換され、上記式(4)の化合物として、1〜3つのトリフラートアニオンと塩素アニオンとが置換された化合物、例えば、TiCl(OTf)、TiCl(OTf)、TiCl(OTf)などが形成される。
なお、このような混合物中においては、金属化合物(MXn)中の全部の配位子(X)と、非配位性アニオン(X)とが置換され、nつの非配位性アニオン(X)を有する化合物が形成される場合もある。
上記式(4)の化合物として、好ましくは、Zn(OSOCF(トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛)、Zn(OSOCH(パラトルエンスルホン酸亜鉛)、Hf(OTf)(トリフルオロメタンスルホン酸ハフニウム)、四塩化チタン(TiCl)とトリフルオロメタンスルホン酸(HOSOCF)との混合物(TiCl(OTf)、TiCl(OTf)、TiCl(OTf))、より好ましくは、Zn(OSOCH(パラトルエンスルホン酸亜鉛)が挙げられる。
これら化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、触媒としては、上記の非配位性アニオンおよび金属原子を含有する化合物に限定されず、その他のカルバメート化触媒を採用することもできる。
その他のカルバメート化触媒としては、例えば、第1族金属化合物(例えば、リチウムメタノラート、リチウムエタノラート、リチウムプロパノラート、リチウムブタノラート、ナトリウムメタノラート、カリウム−tert−ブタノラートなど)、第2族金属化合物(例えば、マグネシウムメタノラート、カルシウムメタノラートなど)、第3族金属化合物(例えば、酸化セリウム(IV)、酢酸ウラニルなど)、第4族金属化合物(チタンテトライソプロパノラート、チタンテトラブタノラート、四塩化チタン、チタンテトラフェノラート、ナフテン酸チタンなど)、第5族金属化合物(例えば、塩化バナジウム(III)、バナジウムアセチルアセトナートなど)、第6族金属化合物(例えば、塩化クロム(III)、酸化モリブデン(VI)、モリブデンアセチルアセトナート、酸化タングステン(VI)など)、第7族金属化合物(例えば、塩化マンガン(II)、酢酸マンガン(II)、酢酸マンガン(III)など)、第8族金属化合物(例えば、酢酸鉄(II)、酢酸鉄(III)、リン酸鉄、シュウ酸鉄、塩化鉄(III)、臭化鉄(III)など)、第9族金属化合物(例えば、酢酸コバルト、塩化コバルト、硫酸コバルト、ナフテン酸コバルトなど)、第10族金属化合物(例えば、塩化ニッケル、酢酸ニッケル、ナフテン酸ニッケルなど)、第11族金属化合物(例えば、酢酸銅(II)、硫酸銅(II)、硝酸銅(II)、ビス−(トリフェニル−ホスフィンオキシド)−塩化銅(II)、モリブデン酸銅、酢酸銀、酢酸金など)、第12族金属化合物(例えば、酸化亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、亜鉛アセトニルアセタート、オクタン酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、ヘキシル酸亜鉛、安息香酸亜鉛、ウンデシル酸亜鉛など)、第13族金属化合物(例えば、アルミニウムアセチルアセトナート、アルミニウム−イソブチラート、三塩化アルミニウムなど)、第14族金属化合物(例えば、塩化スズ(II)、塩化スズ(IV)、酢酸鉛、リン酸鉛など)、第15族金属化合物(例えば、塩化アンチモン(III)、塩化アンチモン(V)、塩化ビスマス(III)など)なども挙げられる。
これら触媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
触媒として、好ましくは、非配位性アニオンおよび金属原子を含有する化合物が挙げられる。
非配位性アニオンおよび金属原子を含有する化合物を触媒として用いれば、短時間、低コストかつ高収率でカルバメートを得ることができる。
また、触媒として、好ましくは、後述する触媒回収工程において回収される触媒が挙げられる。
触媒回収工程(後述)において回収される触媒を、カルバメート製造工程において用いれば、カルバメートの製造コストを低減することができ、その結果、低コストかつ効率良く、カルバメートおよびイソシアネート(後述)を製造することができる。
そして、この方法では、上記した1級アミンと、尿素および/またはN−無置換カルバミン酸エステルと、アルコールとを配合し、上記した触媒の存在下、好ましくは液相で反応させる。
1級アミンと、尿素および/またはN−無置換カルバミン酸エステルと、アルコールとの配合割合は、特に制限はなく、比較的広範囲において適宜選択することができる。
通常は、尿素およびN−無置換カルバミン酸エステルの配合量、および、アルコールの配合量が、1級アミンのアミノ基に対して等モル以上あればよく、そのため、尿素および/または上記したN−無置換カルバミン酸エステルや、アルコールそのものを、この反応における反応溶媒として用いることもできる。
なお、尿素および/または上記したN−無置換カルバミン酸エステルや、アルコールを反応溶媒として兼用する場合には、必要に応じて過剰量の尿素および/または上記したN−無置換カルバミン酸エステルやアルコールが用いられるが、過剰量が多いと、反応後の分離工程での消費エネルギーが増大するので、工業生産上、不適となる。
そのため、尿素および/または上記したN−無置換カルバミン酸エステルの配合量は、カルバメートの収率を向上させる観点から、1級アミンのアミノ基1つに対して、0.5〜20倍モル、好ましくは、1〜10倍モル、さらに好ましくは、1〜5倍モル程度であり、アルコールの配合量は、1級アミンのアミノ基1つに対して、0.5〜100倍モル、好ましくは、1〜20倍モル、さらに好ましくは、1〜10倍モル程度である。
また、触媒の配合量は、1級アミン1モルに対して、例えば、0.000001〜0.1モル、好ましくは、0.00005〜0.05モルである。触媒の配合量がこれより多くても、それ以上の顕著な反応促進効果が見られない反面、配合量の増大によりコストが上昇する場合がある。一方、配合量がこれより少ないと、反応促進効果が得られない場合がある。
なお、触媒の添加方法は、一括添加、連続添加および複数回の断続分割添加のいずれの添加方法でも、反応活性に影響を与えることがなく、特に制限されることはない。
また、触媒を、反応原料である1級アミンおよび/またはアルコール、あるいは、反応溶媒(後述)またはこれらの混合物に溶解させ、その溶液として添加することもできる。
また、この反応において、反応溶媒は必ずしも必要ではないが、例えば、反応原料が固体の場合や反応生成物が析出する場合には、反応溶媒を配合することにより操作性を向上させることができる。
このような反応溶媒は、反応原料である1級アミン、尿素および/またはN−無置換カルバミン酸エステル、および、アルコールと、反応生成物であるカルバメートなどに対して不活性であるか反応性に乏しいものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、脂肪族炭化水素類(例えば、ヘキサン、ペンタン、石油エーテル、リグロイン、シクロドデカン、デカリン類など)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、ブチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、メチルナフタレン、クロロナフタレン、ジベンジルトルエン、トリフェニルメタン、フェニルナフタレン、ビフェニル、ジエチルビフェニル、トリエチルビフェニルなど)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなど)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、アジポニトリル、ベンゾニトリルなど)、脂肪族ハロゲン化炭化水素類(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,4−ジクロロブタンなど)、アミド類(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)、ニトロ化合物類(例えば、ニトロメタン、ニトロベンゼンなど)や、N−メチルピロリジノン、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
これら反応溶媒のなかでは、経済性、操作性などを考慮すると、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類が好ましく用いられる。また、このような反応溶媒は、単独もしくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、反応溶媒の配合量は、目的生成物のカルバメートが溶解する程度の量であれば特に制限されるものではないが、工業的には、反応液から反応溶媒を回収する必要があるため、その回収に消費されるエネルギーをできる限り低減し、かつ、配合量が多いと、反応基質濃度が低下して反応速度が遅くなるため、できるだけ少ない方が好ましい。より具体的には、1級アミン1質量部に対して、通常、0.1〜500質量部、好ましくは、1〜100質量部の範囲で用いられる。
また、この反応においては、反応温度は、例えば、100〜350℃、好ましくは、150〜300℃の範囲において適宜選択される。反応温度がこれより低いと、反応速度が低下する場合があり、一方、これより高いと、副反応が増大して目的生成物であるカルバメートの収率が低下する場合がある。
また、反応圧力は、通常、大気圧であるが、反応液中の成分の沸点が反応温度よりも低い場合には加圧してもよく、さらには、必要により減圧してもよい。
また、反応時間は、例えば、0.1〜20時間、好ましくは、0.5〜10時間である。反応時間がこれより短いと、目的生成物であるカルバメートの収率が低下する場合がある。一方、これより長いと、工業生産上、不適となる。
そして、この反応は、上記した条件で、例えば、反応容器内に、1級アミン、尿素および/またはN−無置換カルバミン酸エステル、アルコール、触媒、および必要により反応溶媒を仕込み、攪拌あるいは混合すればよい。そうすると、温和な条件下において、短時間、低コストかつ高収率で、例えば、下記一般式(6)で示される目的生成物であるカルバメートが生成する。
(ROCONH)l−R (6)
(式中、Rは、上記式(1)のRと同意義を、Rは、上記式(3)のRと同意義を、lは、上記式(1)のlと同意義を示す。)
また、この反応においては、アンモニアや、場合によりN−無置換カルバミン酸エステルなどが副生される。
また、この反応において、N−無置換カルバミン酸エステルを配合する場合には、例えば、下記一般式(7)で示されるアルコールが副生される。
−OH (7)
(式中、Rは、上記式(2)のRと同意義を示す。)
なお、この反応において、反応型式としては、回分式、連続式いずれの型式も採用することができる。
また、この反応は、好ましくは、副生するアンモニアを系外に流出させながら反応させる。さらには、N−無置換カルバミン酸エステルを配合する場合には、副生するアルコールを系外に留出させながら反応させる。
これにより、目的生成物であるカルバメートの生成を促進し、その収率を、より一層向上することができる。
また、得られたカルバメートを単離する場合には、例えば、過剰(未反応)の尿素および/またはN−無置換カルバミン酸エステル、過剰(未反応)のアルコール、触媒、カルバメート、反応溶媒、副生するアンモニア、場合により副生するN−無置換カルバミン酸エステル、場合により副生するアルコールなどを含む反応液から、公知の分離精製方法によって、カルバメートを分離すればよい。
このようなカルバメート製造工程では、簡易な方法により、短時間、低コストかつ高収率でカルバメートを得ることができる。
次いで、この方法では、カルバメート製造工程において得られたカルバメートを熱分解反応させ、イソシアネートおよび残渣を得る(熱分解工程)。
すなわち、熱分解工程では、上記したカルバメート製造工程によって得られたカルバメートを熱分解し、上記した1級アミンに対応する下記一般式(8)で示されるイソシアネート、および
−(NCO)l (8)
(式中、Rは、上記式(1)のRと同意義を、lは、上記式(1)のlと同意義を示す。)
副生物である下記一般式(9)で示されるアルコールを生成させる。
−OH (9)
(式中、Rは、上記式(3)のRと同意義を示す。)
この熱分解は、特に限定されず、例えば、液相法、気相法などの公知の分解法を用いることができる。
気相法では、熱分解により生成するイソシアネートおよびアルコールは、気体状の生成混合物から、分別凝縮によって分離することができる。また、液相法では、熱分解により生成するイソシアネートおよびアルコールは、例えば、蒸留や、担持物質としての溶剤および/または不活性ガスを用いて、分離することができる。
熱分解として、好ましくは、作業性の観点から、液相法が挙げられる。
液相法におけるカルバメートの熱分解反応は、可逆反応であるため、好ましくは、熱分解反応の逆反応(すなわち、上記一般式(8)で示されるイソシアネートと、上記一般式(9)で示されるアルコールとのウレタン化反応)を抑制するため、カルバメートを熱分解するとともに、反応混合物から上記一般式(8)で示されるイソシアネート、および/または、上記一般式(9)で示されるアルコールを、例えば、気体として抜き出し、それらを分離する。
熱分解反応の反応条件として、好ましくは、カルバメートを良好に熱分解できるとともに、熱分解において生成したイソシアネート(上記一般式(8))およびアルコール(上記一般式(9))が蒸発し、これによりカルバメートとイソシアネートとが平衡状態とならず、さらには、イソシアネートの重合などの副反応が抑制される条件が挙げられる。
このような反応条件として、より具体的には、熱分解温度は、通常、350℃以下であり、好ましくは、80〜350℃、より好ましくは、100〜300℃である。80℃よりも低いと、実用的な反応速度が得られない場合があり、また、350℃を超えると、イソシアネートの重合など、好ましくない副反応を生じる場合がある。また、熱分解反応時の圧力は、上記の熱分解反応温度に対して、生成するアルコールが気化し得る圧力であることが好ましく、設備面および用役面から実用的には、0.133〜90kPaであることが好ましい。
また、この熱分解に用いられるカルバメートは、精製したものでもよいが、上記反応(すなわち、1級アミンと、尿素および/またはN−無置換カルバミン酸エステルと、アルコールとの反応)の終了後に、過剰(未反応)の尿素および/またはN−無置換カルバミン酸エステル、過剰(未反応)のアルコール、反応溶媒、副生するアンモニア、場合により副生するN−無置換カルバミン酸エステル、場合により副生するアルコールを回収して分離されたカルバメートの粗原料を用いて、引き続き熱分解してもよい。
このような場合には、例えば、上記反応の終了後に得られる反応液を、公知の蒸留塔において、例えば、100Pa〜大気圧の圧力条件下、例えば、20〜200℃に加熱する。これにより、反応液に含まれる過剰(未反応)の尿素および/またはN−無置換カルバミン酸エステル、過剰(未反応)のアルコール、副生するアンモニア、場合により副生するN−無置換カルバミン酸エステル、場合により副生するアルコールなどを、軽沸分として留去することができる。
さらに、必要により、触媒および不活性溶媒を添加してもよい。これら触媒および不活性溶媒は、それらの種類により異なるが、上記反応時、反応後の蒸留分離の前後、カルバメートの分離の前後の、いずれかに添加すればよい。
熱分解に用いられる触媒としては、イソシアネートと水酸基とのウレタン化反応に用いられる、Sn、Sb、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Cr、Ti、Pb、Mo、Mnなどから選ばれる1種以上の金属単体またはその酸化物、ハロゲン化物、カルボン酸塩、リン酸塩、有機金属化合物などの金属化合物が用いられる。これらのうち、この熱分解においては、Fe、Sn、Co、Sb、Mnが副生成物を生じにくくする効果を発現するため、好ましく用いられる。
Snの金属触媒としては、例えば、酸化スズ、塩化スズ、臭化スズ、ヨウ化スズ、ギ酸スズ、酢酸スズ、シュウ酸スズ、オクチル酸スズ、ステアリン酸スズ、オレイン酸スズ、リン酸スズ、二塩化ジブチルスズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジラウリルオキシジスタノキサンなどが挙げられる。
Fe、Co、Sb、Mnの金属触媒としては、例えば、それらの酢酸塩、安息香酸塩、ナフテン酸塩、アセチルアセトナート塩などが挙げられる。
なお、触媒の配合量は、金属単体またはその化合物として、反応液に対して0.0001〜5質量%の範囲、好ましくは、0.001〜1質量%の範囲である。
また、不活性溶媒は、少なくとも、カルバメートを溶解し、カルバメートおよびイソシアネートに対して不活性であり、かつ、熱分解における温度において安定であれば、特に制限されないが、熱分解反応を効率よく実施するには、生成するイソシアネートよりも高沸点であることが好ましい。このような不活性溶媒としては、例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジデシル、フタル酸ジドデシルなどのエステル類、例えば、ジベンジルトルエン、トリフェニルメタン、フェニルナフタレン、ビフェニル、ジエチルビフェニル、トリエチルビフェニルなどの熱媒体として常用される芳香族系炭化水素類や脂肪族系炭化水素類などが挙げられる。
また、不活性溶媒は、市販品としても入手可能であり、例えば、バーレルプロセス油B−01(芳香族炭化水素類、沸点:176℃)、バーレルプロセス油B−03(芳香族炭化水素類、沸点:280℃)、バーレルプロセス油B−04AB(芳香族炭化水素類、沸点:294℃)、バーレルプロセス油B−05(芳香族炭化水素類、沸点:302℃)、バーレルプロセス油B−27(芳香族炭化水素類、沸点:380℃)、バーレルプロセス油B−28AN(芳香族炭化水素類、沸点:430℃)、バーレルプロセス油B−30(芳香族炭化水素類、沸点:380℃)、バーレルサーム200(芳香族炭化水素類、沸点:382℃)、バーレルサーム300(芳香族炭化水素類、沸点:344℃)、バーレルサーム400(芳香族炭化水素類、沸点:390℃)、バーレルサーム1H(芳香族炭化水素類、沸点:215℃)、バーレルサーム2H(芳香族炭化水素類、沸点:294℃)、バーレルサーム350(芳香族炭化水素類、沸点:302℃)、バーレルサーム470(芳香族炭化水素類、沸点:310℃)、バーレルサームPA(芳香族炭化水素類、沸点:176℃)、バーレルサーム330(芳香族炭化水素類、沸点:257℃)、バーレルサーム430(芳香族炭化水素類、沸点:291℃)、(以上、松村石油社製)、NeoSK−OIL1400(芳香族炭化水素類、沸点:391℃)、NeoSK−OIL1300(芳香族炭化水素類、沸点:291℃)、NeoSK−OIL330(芳香族炭化水素類、沸点:331℃)、NeoSK−OIL170(芳香族炭化水素類、沸点:176℃)、NeoSK−OIL240(芳香族炭化水素類、沸点:244℃)、KSK−OIL260(芳香族炭化水素類、沸点:266℃)、KSK−OIL280(芳香族炭化水素類、沸点:303℃)、(以上、綜研テクニックス社製)などが挙げられる。
不活性溶媒の配合量は、カルバメート1質量部に対して0.001〜100質量部の範囲、好ましくは、0.01〜80質量部、より好ましくは、0.05〜50質量部の範囲である。
また、この熱分解反応は、カルバメート、触媒および不活性溶媒を一括で仕込む回分反応、また、触媒を含む不活性溶媒中に、減圧下でカルバメートを仕込んでいく連続反応のいずれでも実施することができる。
また、熱分解では、イソシアネートおよびアルコールが生成するとともに、副反応によって、例えば、アロファネート、アミン類、尿素、炭酸塩、カルバミン酸塩、二酸化炭素などが生成する場合があるため、必要により、得られたイソシアネートは、公知の方法により精製される。
そして、この熱分解反応では、上記で得られたカルバメートが熱分解されることによって、上記したように、1級アミンに対応するイソシアネートを得ることができるので、例えば、ポリウレタンの原料として工業的に用いられるポリイソシアネートを、簡易かつ効率的に製造することができる。
なお、これにより得られるイソシアネート(上記式(8))としては、カルバメート製造工程において得られるカルバメート(上記式(6))や、その製造原料としての1級アミン(上記式(1))に応じて、例えば、ポリメチレンポリフェニレンイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナン(NBDI)、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)、4,4'−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)などが挙げられる。
そして、このような方法において、カルバメートの熱分解反応では、イソシアネートおよびアルコールとともに、残渣(以下、イソシアネート残渣と称する場合がある。)が生成する。
すなわち、上記したようにカルバメートを製造し、そのカルバメートを熱分解することによりイソシアネートを製造する場合には、例えば、得られるカルバメートやイソシアネート、あるいは、それらの中間体などが、例えば、多量化、ビウレット化およびアロファネート化などの好ましくない重合反応を惹起する場合がある。そのため、熱分解工程では、例えば、尿素誘導体(ビウレット体)、カルバメート誘導体(アロファネート体)などの副生物や、未反応の尿素やカルバメート、さらには、上記の反応において用いられた触媒を含むイソシアネート残渣が生成する。
例えば、上記の熱分解反応において、不活性溶媒を添加する場合には、イソシアネート残渣は、不活性溶媒に溶解された溶液、および/または、不活性溶媒に分散された分散液として得られる。
このようなイソシアネート残渣の溶液および/または分散液の粘度は、例えば、50Pa・s以下、好ましくは、10Pa・s、以下、より好ましくは、5Pa・s以下である。
イソシアネート残渣は、溶解性が低いことから、その溶液および/または分散液を、好ましくは、高温において処理する。イソシアネート残渣の処理温度は、例えば、70℃以上、好ましくは、80℃以上であり、通常、350℃以下、例えば、300℃以下、好ましくは、250℃以下である。
処理温度が70℃未満である場合には、イソシアネート残渣が析出する場合があり、例えば、良好にイソシアネート残渣を移送できないなど、操作性に劣る場合がある。
一方、処理温度が350℃を超過する場合には、イソシアネート残渣に含まれる各種成分の重合などが惹起され、例えば、粘度の上昇、固形物の析出など、不具合が生じる場合がある。
なお、必要により、イソシアネート残渣の溶液および/または分散液には、さらに、不活性溶媒を添加することもでき、また、不活性溶媒を留去させることもできる。
また、熱分解反応において、不活性溶媒を添加しない場合には、イソシアネート残渣は、常温常圧において固体または粘稠な液体として得られる。このような場合には、操作性に劣るため、好ましくは、イソシアネート残渣を加熱する、および/または、上記不活性溶媒を添加し、イソシアネート残渣の溶液および/または分散液とすることにより、上記と同様に粘度を調整する。
このようなイソシアネート残渣(イソシアネート残渣の溶液および/または分散液を含む。以下同様。)は、通常、廃棄処理されているが、イソシアネート残渣を廃棄すると、イソシアネート残渣に含まれる触媒も廃棄されるため、経済性に劣る。
そこで、この方法では、熱分解工程において得られるイソシアネート残渣から、触媒を回収する(触媒回収工程)。
イソシアネート残渣から触媒を回収する方法としては、特に制限されず、例えば、濾過、遠心分離、吸着、沈殿など、公知の分離精製方法を採用することができる。好ましくは、濾過が採用される。
濾過では、例えば、イソシアネート残渣を濾材の一方側から供給し、触媒を除く成分を他方側に通過させるとともに、イソシアネート残渣に含まれる触媒を、濾材に残留させる。
濾材としては、特に制限されないが、例えば、ろ紙、木綿、ガラス繊維、合成繊維、金網、有孔金属板、砂、木炭、珪藻土などが挙げられる。
また、例えば、イソシアネート残渣の粘度が高い(例えば、50Pa・s以上)など、常温で効率よく濾過できない場合には、好ましくは、熱時濾過が採用される。
熱時濾過では、イソシアネート残渣および濾材を加熱した状態において、濾材の一方側からイソシアネート残渣を供給し、イソシアネート残渣に含まれる触媒を濾材に残留させるとともに、その他の成分を濾材の他方側に通過させる。
熱時濾過におけるイソシアネート残渣の温度は、例えば、70〜300℃、好ましくは、80〜250℃である。また、濾材の温度は、例えば、70〜300℃、好ましくは、80〜250℃である。
濾過として、熱時濾過を採用すれば、イソシアネート残渣の粘度が高い(例えば、50Pa・s以上)場合にも、効率良くイソシアネート残渣から触媒を回収することができる。
濾過における圧力条件は、通常、大気圧(自然濾過)であるが、十分な濾過速度が得られない場合には、必要により、濾材の他方側(イソシアネート残渣が供給される一方側に対する他方側)を減圧(減圧濾過)することができ、さらには、濾材の一方側(イソシアネート残渣が供給される一方側)を加圧(加圧濾過)することもできる。
このような触媒回収工程において、触媒の回収率は、用いられる触媒の金属原子を基準として、触媒の仕込みモル数に対して、例えば、30モル%以上、好ましくは、50モル%以上、より好ましくは、80モル%以上、通常、95モル%未満である。
触媒の回収率が上記下限未満である場合には、優れた効率およびコストでカルバメートおよびイソシアネートを製造できない場合がある。
なお、濾材を通過する成分(濾液)から、例えば、蒸留、分液、抽出などの公知の方法により、さらに、再利用可能な成分(例えば、溶媒など)を回収することもできる。
そして、この方法では、回収された触媒を、好ましくは、上記のカルバメート製造工程において用いる。
すなわち、触媒回収工程において回収される触媒は、通常、上記したカルバメート製造工程において用いられる触媒と同種の触媒、または、その誘導体として回収される。
そして、回収された触媒が触媒活性(1級アミンと、尿素および/またはN−無置換カルバミン酸エステルと、アルコールとからカルバメートを製造する反応における触媒活性)を備える場合には、回収された触媒を、上記のカルバメート製造工程における触媒として再度使用することができる。
なお、触媒を繰り返し回収および使用すると、その触媒活性が低下する場合があるが、触媒の繰り返し使用における耐久性は、触媒により異なる。そのため、触媒の回収および使用を繰り返す場合において、その繰り返し回数は、必要および用途に応じて、適宜設定される。
そして、このような触媒処理方法によれば、カルバメート製造工程において用いられる触媒を、熱分解工程の後に回収できるため、工業的に効率良くイソシアネートを製造できながら、そのイソシアネートの製造コストを低減できる。
図1は、本発明の触媒処理方法が採用されるプラントの一実施形態を示す概略構成図である。
以下において、上記した触媒処理方法が工業的に実施される場合におけるプラントの一実施形態について、図1を参照して説明する。
図1において、このプラント1は、上記した触媒処理方法が採用されるイソシアネートの製造装置であって、反応装置2と、軽沸留去装置3と、熱分解装置4と、触媒回収装置17とを備えている。
反応装置2は、プラント1において、1級アミンと、尿素および/またはN−無置換カルバミン酸エステルと、アルコールとの反応により、カルバメートを生成するために設備されている。
この反応装置2は、反応槽5と、反応槽5に接続されるアミン供給管6、尿素供給管7、アルコール供給管8および触媒供給管9とを備えている。
反応槽5は、1級アミンと、尿素および/またはN−無置換カルバミン酸エステルと、アルコールとをカルバメート化反応させて、カルバメートを製造するためのカルバメート化反応槽であって、温度・圧力制御可能な耐熱耐圧容器からなる。
このような反応槽5には、図示しないが、必要により、例えば、反応槽5内を不活性ガス(例えば、窒素ガスなど)で置換するための不活性ガス供給管、反応槽5内を攪拌するための攪拌装置などが備えられている。
アミン供給管6は、反応槽5に1級アミンを供給するためのアミン供給ラインであり、その下流側端部が、反応槽5に接続されている。また、その上流側端部が、図示しないが、1級アミンが導入されるアミン導入ラインに接続されている。
尿素供給管7は、反応槽5に尿素および/またはN−無置換カルバミン酸エステルを供給するための、尿素および/またはN−無置換カルバミン酸エステル供給ラインであり、その下流側端部が、反応槽5に接続されている。また、その上流側端部が、図示しないが、尿素および/またはN−無置換カルバミン酸エステルが導入される尿素および/またはN−無置換カルバミン酸エステル導入ラインに接続されている。
アルコール供給管8は、反応槽5にアルコールを供給するためのアルコール供給ラインであり、その下流側端部が、反応槽5に接続されている。また、その上流側端部が、図示しないが、アルコールが導入されるアルコール導入ラインに接続されている。
このようなアルコール供給管8には、その流れ方向途中において、アルコール還流管30(後述)の下流側端部が接続されている。これにより、熱分解槽14(後述)において分離されたアルコールが、アルコール供給管8に還流、および、反応槽5に供給可能とされている。
触媒供給管9は、反応槽5に触媒を供給するための触媒供給ラインであり、その下流側端部が、反応槽5に接続されている。また、その上流側端部が、図示しないが、触媒が導入される触媒導入ラインに接続されている。
このような触媒供給管9には、濾過機19(後述)において得られた触媒が、触媒再利用工程21において輸送および供給され、これにより、触媒が再利用可能とされている。
軽沸留去装置3は、プラント1において、反応槽5で得られる反応液から、過剰(未反応)のアルコール、尿素および/またはN−無置換カルバミン酸エステルや、副生物(N−無置換カルバミン酸エステルなど)などの軽沸分を、分離するために、設備されている。
この軽沸留去装置3は、軽沸留去槽10と、軽沸留去槽10に接続される反応液輸送管11とを備えている。
軽沸留去槽10は、反応装置2において得られた反応液から、上記の軽沸分を留去するための留去槽であって、温度・圧力制御可能な耐熱耐圧容器からなる。
反応液輸送管11は、反応装置2において製造された反応液を、軽沸留去槽10に輸送するための反応液輸送ラインであって、その下流側端部が、軽沸留去槽10に接続されている。また、その上流側端部が、反応装置2における反応槽5に接続されている。
熱分解装置4は、プラント1において、カルバメートをイソシアネートおよびアルコールに分解するとともに、その分解液からイソシアネート残渣を分離するために設備されている。
この熱分解装置4は、熱分解槽14と、熱分解槽14に接続されるカルバメート輸送管12、溶媒供給管15およびイソシアネート排出管16とを備えている。
熱分解槽14は、反応装置2において得られたカルバメートを加熱して、イソシアネートおよびアルコールに分解する分解槽であって、温度・圧力制御可能な耐熱耐圧容器からなる。
カルバメート輸送管12は、軽沸留去装置3において反応液から軽沸分が留去されることにより得られるカルバメートを、熱分解槽14に輸送するためのカルバメート輸送ラインであって、その下流側端部が、熱分解槽14に接続されている。また、その上流側端部が、軽沸留去装置3における軽沸留去槽10に接続されている。
溶媒供給管15は、熱分解槽14に溶媒を供給するための溶媒供給ラインであり、その下流側端部が、熱分解槽14に接続されている。また、その上流側端部が、図示しないが、溶媒が導入される溶媒導入ラインに接続されている。
イソシアネート排出管16は、カルバメートの熱分解により得られたイソシアネートを、プラント1から排出するためのイソシアネート排出ラインであり、その上流側端部が熱分解槽14に接続されている。また、その下流側端部が、図示しないが、イソシアネートが精製などされるイソシアネート精製ラインに接続されている。
触媒回収装置17は、プラント1において、熱分解装置4において得られたイソシアネート残渣から、触媒を回収するために設備されている。
この触媒回収装置17は、濾過機19と、濾過機19に接続されるイソシアネート残渣輸送管18および濾液排出管20とを備えている。
濾過機19は、イソシアネート残渣を濾過し、イソシアネート残渣に含まれる触媒を、その他の成分から分離するための触媒分離装置であって、温度・圧力制御可能な耐熱耐圧容器からなり、濾材(図示せず)を備えている。
また、このような濾過機19には、図示しないが、必要により、イソシアネート残渣および濾材(図示せず)を加熱するための加熱機、濾過機19内の圧力を制御するための圧力制御装置などが備えられている。
イソシアネート残渣輸送管18は、熱分解装置4において分離されたイソシアネート残渣を、濾過機19に輸送するためのイソシアネート残渣輸送ラインであって、その下流側端部が、濾過機19に接続されている。また、その上流側端部が、熱分解装置4における熱分解槽14に接続されている。
また、イソシアネート残渣輸送管18の途中には、必要により、イソシアネート残渣を濾過機19に向けて圧力輸送するための残渣圧送ポンプ(図示せず)が介在され、さらに、必要により、残渣圧送ポンプ(図示せず)の下流側に、イソシアネート残渣を加熱するためのイソシアネート残渣加熱器(図示せず)が介在される。
濾液排出管20は、濾過機19における濾液(イソシアネート残渣における触媒を除く成分)を排出するための濾液排出ラインであって、その上流側端部が濾過機19に接続されている。
また、その下流側端部が、図示しないが、濾液が貯留される濾液貯留槽に接続されている。
また、このようなプラント1は、さらに、軽沸分還流管13およびアルコール還流管30を備えている。
軽沸分還流管13は、軽沸留去装置3において、反応液から留去された軽沸分(例えば、過剰(未反応)のアルコール、尿素および/またはN−無置換カルバミン酸エステル、副生物(N−無置換カルバミン酸エステルなど)など)を、反応装置2の反応槽5に還流するための軽沸分還流ラインであって、その上流側端部が、軽沸留去槽10に接続されるとともに、図示しないが、その下流側端部が、軽沸分を反応槽5に供給する軽沸分供給ラインに接続されている。
アルコール還流管30は、熱分解装置4においてイソシアネートを熱分解して得られたアルコールを、反応装置2におけるアルコール供給管8に還流するためのアルコール還流ラインであって、その上流側端部が熱分解槽14に接続されるとともに、その下流側端部がアルコール供給管8の流れ方向途中に接続されている。
次に、このプラント1によって、カルバメートおよびイソシアネートを製造し、次いで、得られたイソシアネート残渣を分解した後、触媒を回収および再利用する方法について、説明する。
この方法では、まず、反応装置2において、カルバメートを製造する。
このカルバメートの製造においては、反応装置2が連続運転され、カルバメートの原料であるアミンと、尿素および/またはN−無置換カルバミン酸エステルと、アルコールとが、アミン供給管6と、尿素供給管7と、アルコール供給管8とから、それぞれ上記割合で圧力輸送され、反応槽5に対して、連続的に供給される。また、これら原料成分とともに、触媒が、触媒供給管9から供給される。
そして、この方法では、反応槽5において、触媒の存在下、アミンと、尿素および/またはN−無置換カルバミン酸エステルと、アルコールとがカルバメート化反応し、これにより、カルバメートおよび触媒を含む反応液が得られる。
また、このようにして得られた反応液は、反応液輸送管11に供給され、軽沸留去装置3に圧力輸送される。このとき、触媒は、反応液に伴って反応液輸送管11に供給され、熱分解装置4に圧力輸送される。
次いで、この方法では、軽沸留去装置3(軽沸留去槽10)において、反応液から軽沸分(例えば、過剰(未反応)のアルコール、尿素および/またはN−無置換カルバミン酸エステル、副生物(N−無置換カルバミン酸エステルなど)など)が分離される。
軽沸留去槽10において分離された軽沸分は、軽沸分還流管13に導入され、図示しないが、軽沸分還流ラインを介して、反応槽5に供給される。
一方、分離後の残留物として得られたカルバメートは、カルバメート輸送管12に供給され、熱分解装置4に圧力輸送される。このとき、触媒は、カルバメートに伴ってカルバメート輸送管12に供給され、熱分解装置4に圧力輸送される。
次いで、この方法では、熱分解装置4において、カルバメートを熱分解する。
このカルバメートの熱分解においては、熱分解装置4が連続運転され、反応装置2(反応槽5)からカルバメート輸送管12を介して供給されるカルバメートが、熱分解槽14において、上記条件で加熱および熱分解される。
これにより、分解液として、イソシアネートおよびアルコールが得られ、また、イソシアネートおよびアルコールとともに、触媒を含むイソシアネート残渣が得られる。
一方、熱分解槽14において得られたアルコールは、分解液から分離された後、アルコール還流管30に導入され、アルコール供給管8に還流される。これにより、アルコールは、反応槽5に供給される。
そして、熱分解槽14において得られたイソシアネート残渣(触媒を含む)は、イソシアネート残渣輸送管18に供給され、触媒回収装置17に輸送される。
次いで、この方法では、触媒回収装置17において、触媒を回収する。
この触媒の回収においては、触媒回収装置17が連続運転され、熱分解装置4(熱分解槽14)からイソシアネート残渣輸送管18を介して供給されるイソシアネート残渣が、濾過機19において、上記条件で濾過される。
例えば、熱時濾過が採用される場合には、イソシアネート残渣が、例えば、70〜300℃、好ましくは、80〜250℃の供給温度に加熱された状態で、濾過機19に供給される。
濾過機19では、例えば、濾過温度(濾材温度)が、例えば、70〜300℃、好ましくは、80〜250℃、濾過圧力が、大気圧に制御されている。
これによって、濾過機19では、イソシアネート残渣が濾過され、触媒が濾材(図示せず)に残留するとともに、イソシアネート残渣における触媒を除く成分が、濾材(図示せず)を通過する。
これにより、触媒が濾過残渣として回収され、一方、イソシアネート残渣における触媒を除く成分が、濾液として得られる。
そして、濾材(図示せず)に堆積する濾過残渣として回収された触媒は、図1に点線で示すように、触媒再利用工程21(輸送、供給)により、再度、触媒供給管9に供給され、反応槽5に供給される。
また、濾過機19において得られた濾液は、濾液排出管20を介して濾液貯留槽(図示せず)に輸送され、その濾液貯留槽で一時的に貯留された後、例えば、焼却、廃棄処理される。また、濾液は、例えば、後述する残渣分解工程に供されることもできる。
また、このようなプラント1は、必要により、適宜の位置において、蒸留装置、濾過装置、精製装置など公知の処理装置を備えることができる。
そして、このようなプラント1によれば、反応装置2において用いられる触媒を、触媒回収装置17において回収した後、再度、反応装置2に供給できるため、触媒を有効利用することができる。その結果、工業的に効率良くイソシアネートを製造できながら、そのイソシアネートの製造コストを低減できる。
また、このようなプラント1によれば、連続的にカルバメートおよびイソシアネートを製造するとともに、イソシアネート残渣を分解し、イソシアネート残渣の分解により得られるアミンや、イソシアネート残渣の分解に用いられる溶媒、さらには、イソシアネートの製造において副生するアルコールを還流させ、効率よく利用することができる。
以上、触媒処理方法について説明したが、本発明の方法においては、脱水工程などの前処理工程、中間工程、または、精製工程および回収工程などの後処理工程など、公知の工程を含んでいてもよい。
例えば、カルバメートの熱分解反応により得られる分解液から、イソシアネートおよびアルコールを分離したイソシアネート残渣を、必要により溶媒の存在下、高圧高温水に接触させることにより、アミンに分解することができ(残渣分解工程)、そのような場合には、例えば、残渣分解工程を実施した後に、上記触媒回収工程を実施し、触媒を回収することができる。
より具体的には、例えば、熱分解装置4(熱分解槽14)の下流側に残渣分解装置(図示せず)を接続し、さらに、その残渣分解装置(図示せず)の下流側に、触媒回収装置17(濾過機19)を接続する。
そして、熱分解槽14において得られたイソシアネート残渣(触媒を含む1次残渣)を、残渣分解装置(図示せず)に供給し、残渣分解工程を実施することにより、イソシアネート残渣をアミンに分解する。その後、得られるアミンを回収するとともに、分解されずに残留する成分(触媒を含む2次残渣)を、触媒回収装置17に供給し、上記の触媒回収工程を実施することにより、2次残渣から、触媒を回収する。
また、得られるイソシアネート残渣の分解により得られるアミンが、カルバメートの製造原料であるアミンと同種のアミンである場合には、例えば、得られるアミンを、カルバメートの製造原料として用いることもできる。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は何ら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(1)カルバメート化反応
圧力制御弁、還流冷却器、気液分離器、攪拌装置を備えた内容量1LのSUS製オートクレーブに、2,4−ジアミノトルエン(以下2,4−TDA)(80.7g:0.661mol)、尿素(113g:1.88mol)および1−ブタノール(279g:3.76mol)の混合物を仕込み、さらに触媒としてp−トルエンスルホン酸亜鉛(0.64g:1.57mmol)を仕込み、窒素ガスを毎分1L流通、1000rpmで攪拌させながら、反応温度215℃で保つように内圧を圧力制御弁で調節しながら4時間反応させ、カルバメート化反応液375gを得た。
反応液の一部を採取して、液体クロマトグラフ(UV検出器(254nm)およびRI検出器)にて定量したところ、2,4−ビス(ブチルオキシカルボニルアミノ)トルエン(以下2,4−TDC)が、2,4−TDAに対して86mol%の収率で生成していることが確認された。また、モノ(ブチルオキシカルボニルアミノ)アミノトルエンが、4mol%の収率で生成していることも確認された。
(2)軽沸分の減圧留去
攪拌装置と冷却管を備えた内容量500mLのガラス製4つ口フラスコに、上記カルバメート化反応により得られた反応液355gを仕込み、230rpmで攪拌させながら真空ポンプで容器内を2kPaまで減圧した。冷却管に25℃の循環水を流した状態で、容器内を100℃まで昇温させ、99.5gの低沸分を留去させた。
その留出液をH−NMRにて分析した結果、主成分が1−ブタノールであり、2,4−TDAに由来する化合物(芳香族化合物)が存在しないことが確認された。
また、留出液の亜鉛量および硫黄量をICP発光分析(VISTA−PRO型(SII社製))により定量したところ、検出限界未満(検出限界:5ppm)であることが確認された。
その後、更に循環水温度を80℃に設定し、容器内を180℃まで昇温させ、53.0gの低沸分を留去させ、褐色のカルバメート濃縮液193gを得た。
留出液をH−NMRにて分析した結果、主成分がカルバミン酸ブチルであり、2,4−TDAに由来する化合物(芳香族化合物)が存在しないことが確認された。
また、留出液の亜鉛量をICP発光分析(VISTA−PRO型(SII社製))により定量したところ、検出限界未満(検出限界:5ppm)であることが確認された。
以上により、カルバメート化反応で使用した2,4−TDAは、その全量が濃縮液中に存在していることになるため、濃縮液193gあたり、2,4−TDA0.626mol(=カルバメート化反応で使用した2,4−TDA0.661mol×軽沸分の減圧留去で使用したカルバメート反応液355g/カルバメート化反応で回収された反応液375g)に由来する化合物が存在するものと判断した。
同様に、カルバメート化反応で使用したp−トルエンスルホン酸亜鉛中の亜鉛は、その全量が濃縮液中に存在していることになるため、濃縮液193gあたり、亜鉛1.49mmol(=カルバメート化反応で使用したp−トルエンスルホン酸亜鉛1.57mmol×軽沸分の減圧留去で使用したカルバメート反応液355g/カルバメート化反応で回収された反応液375g)に由来する化合物が存在するものと判断した。
上記(1)カルバメート化反応および(2)軽沸分の減圧留去を3バッチ行い、濃縮液を合計770g得た。
(3)濃縮液の熱分解によるイソシアネートの調製
温度計、攪拌装置、上部に還流管の付いた精留塔、原料供給用の容器および送液ポンプを取り付けた装置を備えた内容量500mLのガラス製4つ口フラスコに、上記軽沸分の減圧留去で得た濃縮液100g(2,4−TDAとして0.32mol(=0.626mol×100g/193g)相当、および、亜鉛として0.772mmol(=1.49mmol×100g/193g)相当)、および、溶媒としてバーレルプロセス油B−05(松村石油社製)100gをそれぞれ仕込み、300rpmで攪拌させながら、真空ポンプで容器内を10kPaまで減圧した。
還流管に90℃の循環水を流した状態で、加熱を開始すると220℃付近で塔頂温度が上昇し、還流管内に2,4−トリレンジイソシアネート(以下、2,4−TDI)が凝縮し凝縮しはじめたため、還流比5(=還流10秒/留出2秒)に設定して2,4−TDIを留出させた。
留出開始から2時間後、原料供給用容器に、濃縮液380g(2,4−TDAとして1.17mol(=0.626mol×380g/193g)相当、および、亜鉛として2.93mmol(=1.49mmol×380g/193g)相当)、および、バーレルプロセス油B−05(松村石油社製)380gをそれぞれ仕込み、その容器から、送液ポンプを用いて48g/hの速度で反応容器(フラスコ)に原料を供給した。
供給開始から6時間後、運転が安定したため、さらに10時間反応させ、供給開始から16時間後に供給を停止した。反応の間、反応容器における液面の高さを一定に保つために、原料の供給開始から2時間毎に、底部の抜き出し用コックより反応液を抜き出した。
運転が安定した原料供給開始6時間後から16時間後までの留出液、および、底部より抜き出した反応液の組成を、液体クロマトグラフにより測定し、以下の式により、2,4−TDAに対する2,4−TDIのmol収率を算出した。
2,4−TDI収率(mol%/2,4−TDA)=
原料供給開始の6時間後から16時間後までに留出した2,4−TDI(mol)/〔(6時間後から16時間後までに供給した2,4−TDA(mol))−(6時間後から16時間後までに抜き出した反応液の2,4−TDC、モノ(ブチルオキシカルボニルアミノ)アミノトルエン、および、2,4−TDI(mol)の総和)〕
以上の計算により求められた2,4−TDAに対する2,4−TDIの収率は、80mol%であった。
また、2,4−TDI中の亜鉛量をICP発光分析(VISTA−PRO型(SII社製))により定量したところ、検出限界未満(検出限界:5ppm)であることが確認された。
(4)触媒(濾過残渣)の回収
原料供給開始から16時間後、原料供給および加熱を停止し、反応液を120℃まで冷却した後、濾紙(No.5A)にて熱時濾過し、濾液535gおよび濾過残渣を得た。なお、熱時濾過では、濾紙を加熱し、その温度を120℃とした。
そして、得られた濾過残渣をアセトンで洗浄した後、乾燥させた。これにより、黄褐色の濾過残渣23.7gを回収した。
回収された濾過残渣を、蛍光X線により測定した(測定装置:波長分散型蛍光X線分析装置LAB CENTER XRF−1700(島津製作所社製))。その後、予め作成した検量線から、濾過残渣に含まれる亜鉛濃度を算出したところ、濾過残渣における亜鉛濃度は0.91%であった。
このことより、濾過残渣中には、カルバメート化反応において用いたp−トルエンスルホン酸亜鉛の亜鉛量の9割に相当する量が含まれていることが確認された。
なお、p−トルエンスルホン酸亜鉛の亜鉛量と、濾過残渣中の亜鉛量との関係は、次のように算出した。すなわち、p−トルエンスルホン酸亜鉛の亜鉛量は、熱分解工程で使用した濃縮液480g中に0.242g、3.70mmol含まれる計算となる。一方濾過残渣中の亜鉛量は、23.7g中に0.91%含まれるため、0.216g、3.30mmol含まれる計算となる。
また、ICP発光分析(VISTA−PRO型(SII社製))を用いて濾残以外の亜鉛量を定量することにより、仕込み量との差から濾残中の亜鉛量の定量を行った。
濾液中の亜鉛量を定量したところ、40ppm(0.0214g、0.327mmol)であることが確認された。また洗浄したアセトン中の亜鉛は検出限界未満(検出限界:5ppm)であることが確認された。
この結果と、軽沸分の減圧留去における留出液、および、濃縮液の熱分解におけるTDI中に、亜鉛が含まれていないことから、濾過残渣に含まれる亜鉛量は3.38mmol(=0.772mmol+2.93mmol−0.327mmol)と算出された。
(5)濾過残渣の存在下におけるカルバメート化反応
圧力制御弁、還流冷却器、気液分離器、攪拌装置を備えた内容量1LのSUS製オートクレーブに、2,4−TDA(80.7g:0.661mol)、尿素(113g:1.88mol)および1−ブタノール(279g:3.76mol)の混合物を仕込み、さらに、上記(4)触媒の回収において回収された濾過残渣6.0g(亜鉛として1.57mmol(=11.3g×(0.91%/100)/0.0654(亜鉛の分子量))を仕込み、窒素ガスを毎分1L流通、1000rpmで攪拌させながら、反応温度215℃で保つように内圧を圧力制御弁で調節しながら4時間反応させることにより、反応液を得た。
反応液の一部を採取して、液体クロマトグラフ(UV検出器(254nm)およびRI検出器)にて定量したところ、2,4−TDCが、2,4−TDAに対して83mol%の収率で生成していることが確認された。また、モノ(ブチルオキシカルボニルアミノ)アミノトルエンが、4mol%の収率で生成していることも確認された。
このことにより、触媒回収工程で得られた濾過残渣が、p−トルエンスルホン酸亜鉛と同等の触媒活性を有することが示された。
(比較例1)
上記実施例1の(1)カルバメート化反応で得られた反応液を100℃まで冷却した後、濾紙(No.5A)にて熱時濾過(濾紙温度:100℃)したが、固形物は回収されなかった。
(比較例2)
上記実施例1の(2)軽沸分の減圧留去で得られた濃縮液を100℃まで冷却した後、濾紙(No.5A)にて熱時濾過(濾紙温度:100℃)したが、固形物は回収されなかった。
(参考例1)
圧力制御弁、還流冷却器、気液分離器、攪拌装置を備えた内容量1LのSUS製オートクレーブに、2,4−TDA(80.7g:0.661mol)、尿素(113g:1.88mol)および1−ブタノール(279g:3.76mol)の混合物を仕込み、かつ、触媒を仕込まずに、窒素ガスを毎分1L流通、1000rpmで攪拌させながら、反応温度215℃で保つように内圧を圧力制御弁で調節しながら4時間反応させることにより、反応液を得た。
反応液の一部を採取して、液体クロマトグラフ(UV検出器(254nm)およびRI検出器)にて定量したところ、2,4−TDCが、2,4−TDAに対して72mol%の収率で生成していることが確認された。また、モノ(ブチルオキシカルボニルアミノ)アミノトルエンが、8mol%の収率で生成していることも確認された。

Claims (4)

  1. 1級アミンと、尿素および/またはN−無置換カルバミン酸エステルと、アルコールとを、触媒の存在下において反応させ、カルバメートを製造するカルバメート製造工程と、
    前記カルバメートを熱分解反応させ、イソシアネートおよび残渣を得る熱分解工程と、
    前記残渣から、触媒を回収する触媒回収工程と
    を備え
    前記触媒が、p−トルエンスルホン酸亜鉛である
    ことを特徴とする、触媒処理方法。
  2. 前記触媒回収工程において回収される前記触媒を、前記カルバメート製造工程において用いることを特徴とする、請求項1に記載の触媒処理方法。
  3. 前記触媒回収工程において、前記残渣を熱時濾過することにより触媒を回収することを特徴とする、請求項1または2に記載の触媒処理方法。
  4. 前記1級アミンが、下記一般式(1)で示され、
    前記N−無置換カルバミン酸エステルが、下記一般式(2)で示され、
    前記アルコールが、下記一般式(3)で示されることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の触媒処理方法。
    −(NH)l (1)
    (式中、Rは、総炭素数1〜15の脂肪族炭化水素基、総炭素数3〜15の脂環含有炭化水素基、または、総炭素数6〜15の芳香環含有炭化水素基を、lは、1〜6の整数を示す。)
    O−CO−NH (2)
    (式中、Rは、総炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基、または、総炭素数6〜16の芳香族炭化水素基を示す。)
    −OH (3)
    (式中、Rは、総炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基、または、総炭素数6〜16の芳香族炭化水素基を示す。)


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