JP5486814B2 - 高分子オルガノゲル、高分子組成物およびこれらの製造方法 - Google Patents

高分子オルガノゲル、高分子組成物およびこれらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は高分子オルガノゲル、高分子組成物およびこれらの製造方法に関する。
ゲルの骨格成分を3次元架橋構造を有する高分子とする高分子ゲルは、その溶媒成分を水とする高分子ハイドロゲルについて精力的に研究開発が行なわれてきた(特許文献1〜特許文献5参照)。
またこのような高分子ハイドロゲルを人工関節や医療機器用の潤滑性表面コーティングなど、主に医療用途に適用することを目的とした応用研究も精力的に行なわれてきた(特許文献6〜特許文献8参照)。
一方、液状の有機物を溶媒とするオルガノゲルでは、物理結合による可逆的な3次元架橋構造を骨格成分として形成することができる、一般にいうゲル化剤の開発が進んでいる(非特許文献1参照)。
しかしながらこのようなゲル化剤の使用により得られた物理ゲルは、通常著しく低強度の脆性材料であるため用途によっては取り扱いが困難となる場合がある。
このようなことから機械的強度、特に靭性に優れ、かつ油や有機溶剤のような液状の有機物を溶媒として多量に保持できる高分子オルガノゲルはほとんど知られていないという問題がある。
特開平10−158375号公報 特開2002−53629号公報 特開2002−212452号公報 WO01/083566号公報 特開2006−213868号公報 特開平10−36534号公報 特表平10−502855号公報 特表平2001−514931号公報
高分子ゲルの最新動向 柴山充弘、梶原莞爾監修、シーエムシー出版(2004年)
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、有機溶媒や油等の有機媒体を多量に保持することができ、かつ機械的強度、特に靭性に優れる高分子オルガノゲル、該高分子オルガノゲルを生成できる高分子組成物およびこれらの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の高分子オルガノゲルは、3次元架橋構造を有する高分子内に、液状の有機媒体と変性水膨潤性層状ケイ酸塩化合物とを含むことを特徴とする。
また、本発明の高分子オルガノゲルに使用できる変性水膨潤性層状ケイ酸塩化合物は、水膨潤性層状ケイ酸塩化合物を陽イオン交換法によりカチオン性有機化合物を用いて変性した化合物であることを特徴とする。
また、本発明の高分子オルガノゲルに使用できる高分子が、付加重合性不飽和結合を1つ有する単量体(以下単量体Aと略称する)と、少なくとも2つの付加重合性不飽和結合を有する単量体(以下単量体Bと略称する)との重合により得られる3次元架橋構造を有する高分子であることを特徴とする。
本発明の高分子オルガノゲルは、高分子オルガノゲルを該高分子オルガノゲルに含まれる同一の有機媒体に 25℃で 20 日間浸漬したときの膨潤度が 1.2 以上であり、該膨潤度における圧縮破壊歪みが 50%以上であることを特徴とする。
本発明の高分子オルガノゲルの製造方法は、有機媒体に変性水膨潤性層状ケイ酸塩化合物を分散溶解させる溶解工程と、この溶液中で単量体Aと、単量体Bとを付加重合により共重合させる重合工程とを含むことを特徴とする。
上記溶解工程は、有機媒体に分散剤を加えることで変性水膨潤性層状ケイ酸塩化合物を溶解させる溶解工程であることを特徴とする。特に上記分散剤が有極性液状物質であることを特徴とする。
また、上記重合工程において、単量体Aの割合が単量体Bよりもモル比で多いことを特徴とする。特に、有機媒体の濃度が生成する高分子オルガノゲルを基準として、20.0 容量% 以上、95.0 容量% 未満であることを特徴とする。
また、上記重合工程後に重合時の有機媒体とは異なる他の有機媒体中に重合後の高分子オルガノゲルを浸漬することで、3次元架橋構造を有する高分子内に含まれる有機媒体を置換することを特徴とする。
本発明の高分子オルガノゲルを生成できる高分子組成物は、3次元架橋構造を有する高分子内に変性水膨潤性層状ケイ酸塩化合物が均一に分散されてなることを特徴とする。
また、本発明の高分子組成物の製造方法は、有機媒体に変性水膨潤性層状ケイ酸塩化合物を分散溶解させる溶解工程と、この溶液中で付加重合性不飽和結合を1つ有する単量体と、少なくとも2つの付加重合性不飽和結合を有する単量体とを付加重合により共重合させる重合工程と、重合時の上記有機媒体を除去する工程とを含むことを特徴とする。
本発明の高分子オルガノゲルとは、高分子を増ちょう剤とした粘ちょうな液状物ではなく、その骨格となる高分子鎖が化学結合、特に共有結合による3次元架橋構造を有し、自重の 0.2 倍〜100 倍程度の有機溶媒および/または油を吸収して膨潤した固体状物質である。
本発明の高分子オルガノゲルは、非水性または親油性の3次元架橋構造を有する高分子内に、非水性または親油性の変性水膨潤性層状ケイ酸塩化合物が微分散されてなるので、有機溶媒や潤滑油等の液状の有機媒体を高分子内に多量に保持することができ、かつ3次元架橋構造を有する高分子体であるので強度、特に靭性に優れる。
本発明の高分子オルガノゲルの製造方法は、有機媒体に変性水膨潤性層状ケイ酸塩化合物を分散溶解させる溶解工程と、この溶液中で単量体Aと、単量体Bとを付加重合により共重合させる重合工程とを含むので、3次元架橋構造を有する高分子内に変性水膨潤性層状ケイ酸塩化合物を均一濃度で含せることができる。また、有機溶媒や潤滑油等を多量に保持することができる。
本発明の高分子組成物は、3次元架橋構造を有する高分子内に均一に変性水膨潤性層状ケイ酸塩化合物が微分散しているので、有機溶媒や潤滑油等に浸漬することで強度に優れ、ハンドリング性の向上した高分子オルガノゲルを容易に得ることができる。
本発明の高分子オルガノゲルは、(1)有機媒体、(2)変性水膨潤性層状ケイ酸塩化合物、(3)3次元架橋構造を有する高分子で構成される。
(1)有機媒体
有機媒体としては、該有機媒体中で後述する変性水膨潤性層状ケイ酸塩化合物を均一分散または溶解させることができ、かつ後述する付加共重合の溶媒となる有機媒体を使用できる。また、付加共重合時の溶媒と可溶な有機媒体であるならば、共重合後、該可溶な有機媒体中に浸漬することで重合時の有機溶媒を交換することができるので、有機媒体として使用できる。有機媒体としては、有機溶媒、潤滑油などの油等が挙げられる。また、有機媒体としては含水率 5 重量%以下の微量に調整したものを用いることが好ましく、特に水を含まないものが好ましい。
なお、変性前の親水性の水膨潤性層状ケイ酸塩化合物は、上記有機媒体により、ほとんど/もしくは全く膨潤せず、せん断力による層間剥離が実質的に起こらないため、分散せず比較的短時間で沈澱が発生する。
有機媒体を例示すれば、有機溶媒として脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素類や、これらがハロゲン化されたハロゲン化炭化水素類、エーテル類、エステル類、ケトン類、アルコール類、窒素化合物、硫黄化合物が挙げられる。
具体例としては、通常有機溶剤として知られる、ヘキサン、オクタン、デカン、ドデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン、デカリン、石油ベンジン等の炭化水素類、塩化メチル、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、プロピレンオキシド、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸 sec-ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、2-ヘプタノン、ショウノウ等のケトン類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、オクタノール、ベンジルアルコール、グリコール類やグリセリン等のアルコール類、ピリジン、2-ピロリドン、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド等の窒素化合物、ジメチルスルホキシド等の硫黄化合物が挙げられる。
その他上記有機溶剤以外に油である鉱油、植物油、流動パラフィン、ポリ-α-オレフィン(PAO)油等の合成炭化水素油やポリアルキレングリコール、1価アルコールと脂肪酸からなるエステル油、ジエステル油やネオペンチルポリオールと脂肪酸からなるエステル油等の多価エステル油、アルキルフェニルエーテル油やジアルキルフェニルエーテル油、アルキルポリフェニルエーテル油等のフェニルエーテル油、シクロペンタン油、シリコーン油、パーフルオロポリエーテル油等を挙げることができる。
(2)変性水膨潤性層状ケイ酸塩化合物(以下、変性クレイともいう)
変性クレイとは、親水性の水膨潤性層状ケイ酸塩化合物を有機媒体中に分散溶解できるように変性したものである。
変性クレイの原料となる水膨潤性層状ケイ酸塩化合物は、水中に添加することで膨潤し、さらにその水溶液に撹拌等によりせん断力を加えることで、その層状構造が、層間で剥離して部分的あるいは完全に破壊し、水中に分散するようなものなら、特定の物質に限定されることなく任意の粘土鉱物を用いることができる。これらの中で特に好ましくは、水中で単一層またはそれに近いレベルに剥離し、分散可能な層状粘土鉱物である。
親水性の水膨潤性層状ケイ酸塩化合物としては、例えば親水性の膨潤性スメクタイトや膨潤性雲母などが挙げられる。具体的には、ヘクトライト、モンモリロナイト、サポナイト、スチブンサイト、バイデライト、ノントロナイト、ベントナイト等のスメクタイト族粘土鉱物、Na型テトラシリシックフッ素雲母、Li型テトラシリシックフッ素雲母、Na型フッ素テニオライト、Li型フッ素テニオライトおよびバーミキュライト等の膨潤性雲母族粘土鉱物、これらの類似構造を有する層状ケイ酸塩鉱物、またはこれらの置換体や誘導体、あるいはこれらの混合物等が挙げられる。
なお、上記の置換体には、層間イオンNa+ あるいはLi+イオンの一部がK+ イオンで置換されているもの、四面体シートのSi4+ イオンの一部がMg2+ イオンで置換されているものが含まれる。
これらは天然物、合成物のどちらでも用いることができるが、不純物の混入が少なく本発明の高分子オルガノゲルとした際、意図しない着色の問題や重合阻害の問題等が発生し難いこと、および透明な高分子オルガノゲルが得られやすいことから合成物の方が好ましい。
上記スメクタイト族粘土鉱物は、2層のシリカ四面体層がマグネシウム八面体層またはアルミニウム八面体層を間に挟んだサンドイッチ型の3層構造を有するケイ酸塩層が数〜数10倍積層した構造を持つフィロケイ酸塩の一種である。このようなスメクタイトのケイ酸塩層は負の層電荷を有しており、その電荷を層間のアルカリ金属カチオンやアルカリ土類金属カチオンの存在によって中和して、全体としての電荷のバランスを取っている。
同様なケイ酸塩構造を持つ雲母と比べて、スメクタイト族粘土鉱物は、層電荷が小さく層間が広がり易いため、せん断力による層間剥離が容易であること、あるいは陽イオン交換能が高く、カチオン交換による親油性または疎水性への有機変性が容易であることから特に好ましい。
変性クレイは、上記親水性の水膨潤性層状ケイ酸塩化合物を有機媒体中に分散溶解できるように有機変性処理する。有機変性処理としては、シラノール基を有するシランカップリング剤等のカップリング剤による変性方法、陽イオン交換による方法、または必要に応じてこれらを複合した方法が挙げられるが、変性方法が簡便なことから陽イオン交換による方法が好ましい。
陽イオン交換による有機変性処理は、一般に粘土有機複合体を製造する方法として知られており(特許第2514780号参照)、種々のカチオン性の有機化合物とスメクタイト族粘土鉱物を水中で反応させることにより行なうことができる。陽イオン交換反応では、スメクタイトのNa+ イオンやLi+ イオン等の層間イオンとカチオンとなった有機化合物が交換することで、交換した有機化合物に由来する親油性あるいは疎水性を付与することができる。
カチオン性有機化合物としては、例えば、第4級アンモニウムイオンや第4級ホスホニウムイオンと塩素イオンや臭素イオン等のハロゲンイオンからなる塩を挙げることができる。
第4級アンモニウム塩の具体例としては、ジメチルジオクタデシルアンモニウムの塩化物や臭化物等のジメチルジアルキルアンモニウム塩、ジメチルオクタデシルベンジルアンモニウムの塩化物や臭化物やジメチルステアリルベンジルアンモニウムの塩化物や臭化物等のジメチルアルキルベンジルアンモニウム塩、トリメチルステアリルアンモニウムの塩化物や臭化物等のトリメチルアルキルアンモニウム塩、その他、トリオクチルメチルアンモニウムの塩化物や臭化物、トリヘキサデシルメチルアンモニウムの塩化物や臭化物、ジ硬化牛脂アルキルジメチルアンモニウムの塩化物や臭化物、ジ硬化牛脂アルキルベンジルメチルアンモニウムの塩化物や臭化物、トリドデシルメチルアンモニウムの塩化物や臭化物、ポリオキシプロピレンメチルジエチルアンモニウムの塩化物や臭化物等のポリオキシプロピレンアルキルアンモニウム塩やポリオキシプロピレンジアルキルアンモニウム塩、ポリオキシプロピレントリアルキルアンモニウム塩、オレイルビス(2-ヒドロキシエチル)メチルメチルアンモニウムの塩化物や臭化物等を挙げることができる。
第4級ホスホニウム塩の具体例としては、テトラエチルホスホニウムの塩化物や臭化物、テトラブチルホスホニウムの塩化物や臭化物あるいは沃化物、トリブチルオクチルホスホニウムの塩化物や臭化物、トリブチルドデシルホスホニウムの塩化物や臭化物、トリブチルヘキサデシルホスホニウムの塩化物や臭化物、トリオクチルエチルホスホニウムの塩化物や臭化物、トリエチルベンジルホスホニウムの塩化物や臭化物、トリブチルメチルホスホニウムの沃化物、トリブチルアリルホスホニウムの塩化物や臭化物、トリブチルベンジルホスホニウムの塩化物や臭化物、トリオクチルビニルベンジルホスホニウムの塩化物や臭化物、トリブチル2-メチルアリルホスホニウムの塩化物や臭化物、トリオクチル2-メチルアリルホスホニウムの塩化物や臭化物、ジメチルジオクタデシルホスホニウムの塩化物や臭化物、ジメチルジオクタデシルホスホニウムの塩化物や臭化物、ジメチルオクタデシルベンジルホスホニウムの塩化物や臭化物、ジメチルオクタデシルベンジルホスホニウムの塩化物や臭化物、テトラフェニルホスホニウムの塩化物や臭化物、トリフェニルベンジルホスホニウムの塩化物や臭化物、トリフェニルメチルホスホニウムの塩化物や臭化物、トリフェニルブチルホスホニウムの塩化物や臭化物、ビス( ヒドロキシプロピル) オクタデシルイソブチルホスホニウムの塩化物や臭化物、トリフェニルカルボキシエチルホスホニウムの塩化物や臭化物、トリフェニルカルボキシペンチルホスホニウムの塩化物や臭化物等を挙げることができる。
第4級アンモニウム塩や第4級ホスホニウム塩を構成するカチオンがNa+ イオンやLi+ イオン等の層間イオンと交換することで、変性クレイが有機媒体中で膨潤し、またせん断力によって層間剥離を起こすようになり、該有機媒体に分散溶解する。第4級アンモニウム塩や第4級ホスホニウム塩は有機媒体の種類に応じて選定する。
なお、これら上述の第4級アンモニウム塩や第4級ホスホニウム塩は、単独あるいは 2 種以上を混合して用いることもできる。
変性クレイは有機媒体に分散溶解する。本発明において、分散溶解とは、有機媒体に変性クレイを混合したとき、直ちに分離することなく均一に分散している状態、または変性クレイの有機溶液が太陽光下において目視で透明になる状態をいう。
有機媒体への変性クレイの分散溶解は助剤としての分散剤を用いてもよい。このような分散剤としては、特に極性添加剤もしくは極性活性剤等と呼ばれるものが有効に機能する。
具体例として例えば、2,5-ヘキサンジオン、イソプロピルアルコール、アセトン、エチルエーテル、トルエン、キシレンの 2 種またはそれ以上の混合物、メタノール、エタノール、アセトン、プロピレンカーボネートやこれらと微少量( 5%程度)の水との混合物、アセトン、酢酸、ベンジルクロライド、ブチルステアリン酸、ココナッツオイル、シクロヘキサノン、エチルアセトン、エチレンジクロライド、エチルエーテル、フルフラール、イソアミルアセテート、メチルエチルケトン、ニトロベンゼン、アセトンと1から3の炭素数を有するニトロパラフィン(ニトロメタン、ニトロエタン、2-ニトロプロパン、1-ニトロプロパン)アセトンとアセトニトリルの混合物、またはアセトンとプロピルニトリルの混合物、ヘキシレングリコール、極微小量の水等が挙げられる。
溶解助剤としての分散剤の濃度は、変性クレイ 100 重量部に対して 5〜100 重量部であることが好ましい。 5 重量部未満であると溶解助剤としての効果が得られない場合があり、100 重量部をこえると逆に分散性が悪化し、変性クレイの沈澱が発生する場合がある。
(3)3次元架橋構造を有する高分子
本発明の高分子オルガノゲルの主骨格成分となる3次元架橋構造を有する高分子は、単量体Aと、架橋剤となる単量体Bとの共重合体である。単量体Aは下記式(1)で示される。
Figure 0005486814
1、R2、R3、R4 は全て同一の構造であっても、あるいは異なる構造であってもよく、水素原子であってもよい。付加重合により高分子量物が得られやすいことから、特にR1、R2、R3、R4 の内、少なくとも 2 個以上は水素原子であることが好ましく、また水素原子以外の構造の場合は、同一炭素原子と結合している方が好ましい。
式(1)で示される単量体の中で、重合性を有してかつ上述した有機媒体に可溶であり、さらに単量体をその有機媒体中で架橋剤を用いず単独で重合した場合、重合により得られるポリマーやオリゴマー等の高分子物の沈澱が生じないものが好ましい。また、付加重合時の成長末端種は、重合して高分子量化するのであれば、カルボカチオン、カルボアニオンまたは中性のラジカルの何れであってもよい。
式(1)で示される構造を有する単量体としては、アクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、N-tert-ブチルメタクリルアミド、N-ドデシルアクリルアミド、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン等のアクリルアミド類、N-ビニルアセトアミド等のビニルアミド類、N,N-ジエチルアリルアミン等のアリルアミン類、2,4-ジメチル-1-ペンテン、5-メチル-1-ヘキセン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン等の脂肪族不飽和炭化水素類、スチレン、1,1-ジフェニルエチレン等の芳香族類を側鎖に有する不飽和炭化水素類、n-酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、ビニルヘキサネート、ビニルオクタネート、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート等の疎水性アクリル酸エステル類やメタクリル酸エステル類、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシ-1-メチルエチルメタクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート等の親水性アクリル酸エステル類やメタクリル酸エステル類等を挙げることができる。これらは単独で、あるいは 2 種類以上を混合して用いることもできる。
単量体Bは、上記1つの付加重合性不飽和結合を有する単量体と共重合することにより、共有結合による3次元架橋構造を有する高分子となる化合物であれば使用できる。また、該単量体は上記有機媒体、または変性クレイが分散溶解した有機媒体に可溶もしくは混和可能であることが好ましい。
なお、3次元架橋構造は、上記共重合で形成する以外に、1つの付加重合性不飽和結合を有する単量体を重合させて線状高分子体とした後に、側鎖の高分子反応により架橋構造とすることができる。例えば、エチレンやアセチレン等の不飽和結合や、メチレン等のアルキレン基、ニトリル基、メルカプト基、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基、アミノ基、メチル基等のアルキル基、アミド基、アルキルハライド、チオニルクロライド、スルホン酸、カルボン酸、クロロスルホン基、エステル基、メチロール基、スルホン酸残基、スルホン酸塩残基、アジド基、イソシアネート基、ハロゲン置換基、アルコール残基、フェノール残基、チオール残基、スルホン基、シラノール基、シンナモイル基、シンナミリデン基、アクリロイル基、ジアゾ基、ジチオカルバメート基、酸無水物基、活性メチレン基、クマリン基等の官能基を反応基として挙げることができる。
架橋剤となる単量体Bの例としては、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、N,N’-プロピレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリラート、ネオペンチルグリコールジアクリラート、トリプロピレングリコールジアクリラート、1,10-ビス(アクリロイルオキシ)デカン、1,3-ビス(メタクリロイルオキシ)-2-プロパノール、1,4-ビス(アクリロイルオキシ)ブタン、1,6-ビス(アクリロイルオキシ)ヘキサン、1-(アクリロイルオキシ)-3-(メタクリロイルオキシ)-2-プロパノール、アジピン酸ジビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ジビニルベンゼン等を挙げることができる。
3次元架橋構造を有する高分子を製造する場合において、単量体Aの割合が単量体Bよりもモル比で多いことが好ましい。この範囲とすることにより、柔軟性および靭性を付与しやすいこと、および重合時に架橋ムラが発生し難くなることから、好適な高分子オルガノゲルが得られる。
高分子オルガノゲルは、有機媒体に変性クレイを分散溶解させ、この溶液内で上記単量体を共重合することにより製造できる。
変性クレイの割合は、生成する高分子オルガノゲルを基準として、0.5 容量%以上、5 容量%未満であることが好ましく、特に好ましくは 0.5 容量%以上、3 容量%未満である。変性クレイの量が 0.5 容量%未満では、変性クレイが均一分散していても十分な補強効果が得られない。また、変性クレイの量が 5 容量%をこえると、有機媒体の増粘のため、変性クレイ自体の分散溶解が困難であり、また単量体の均一混合も難しく、結果として靭性に優れる高分子オルガノゲルが得られ難い。
有機媒体の割合は、生成する高分子オルガノゲルを基準として、20.0 容量% 以上、95.0 容量% 未満であることが好ましく、特に好ましくは 50.0 容量% 以上、85.0 容量% 未満である。有機媒体量が 20.0 容量%未満では、たとえ重合後に膨潤処理を行なっても十分な膨潤度(例えば 1.2 倍未満)が得られなかったり、靭性に劣ったりする場合があり、本発明の高靭性かつ高膨潤度を有する高分子オルガノゲルを安定して得ることができない。
一方、重合時の有機媒体量が 95.0 容量%をこえると、有機媒体中で3次元架橋構造を有する高分子の調製が難しく、またたとえ調製できたとしても非常に低強度の脆いものしか得られない。
変性クレイを分散溶解させた有機媒体中で単量体Aおよび単量体Bを付加共重合させることにより、3次元架橋構造を有する高分子内に該有機媒体および変性クレイが微分散された高分子オルガノゲルが得られる。
付加共重合は、加熱や紫外線照射による重合を開始させる重合開始剤や触媒等を用いて行なうことができる。
このような重合開始剤のうち、例えば加熱による重合開始剤としては、ケトンパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ジアルキルパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、パーオキシジカーボネート類、ハイドロパーオキサイド類等の有機過酸化物類、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類、2,2’-アゾビス-イソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル(ADVN)、2,2’-アゾビス-2-メチルブチロニトリル、4,4’-アゾビス-4-シアノバレリック酸等のアゾ化合物類、ナトリウムエトキシド、tert-ブチルリチウム等のアルキル金属類等を挙げることができる。
触媒としては、例えば金属塩や、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン等の第3級アミン化合物のような還元性を有する化合物を挙げることができる。
上述のような重合開始剤および触媒は、重合時に用いる有機媒体に可溶でさえあれば、特定の物質に限定されることなく用いることができる。なお重合開始剤が加熱により機能する場合、その 10 時間半減期温度が有機媒体の沸点以下であることが好ましい。
重合温度は、安全上の問題等から有機媒体の沸点以下に制御する場合が多いことから、10 時間半減期温度が用いる有機媒体の沸点をこえる場合、重合に非常に長時間を要するため好ましくない。従って、本発明の高分子オルガノゲルの好ましい重合温度[℃]は、10 時間半減期温度[℃]をこえ、有機媒体の沸点[℃]以下である。なお、重合時間が長時間要しても問題ない場合は、 10 時間半減期温度よりも低い温度で重合しても特に問題はない。
重合雰囲気としては、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等の不活性ガスの雰囲気下で行なうことが好ましい。例えば酸素の存在下でラジカル重合を行なうと、酸素による重合阻害を受ける場合があり、得られるゲルの品質が不安定になるおそれがある。
なお重合の際、例えば有機媒体の蒸発量や揮発量が大きくなる場合には、必要に応じて加圧下で重合を行なうこともできる。
高分子オルガノゲルの重合、製造においては、重合に用いる容器の形状を変化させることで、種々の形状を持った高分子オルガノゲルを調整できる。例えば、繊維状、棒状、円柱状、筒状、平板や円板等の板状、螺旋状、球状、リング状など任意の形状を有する高分子オルガノゲルとすることができる。またこれらから機械加工により任意の形状に加工することができる。
重合後の高分子オルガノゲルは、そのまま高分子オルガノゲルとして使用することができる。また、重合後、重合時に用いた有機媒体中に重合後の高分子オルガノゲルを浸漬処理することで、平衡膨潤状態まで膨潤度を高めることもできる。
また、重合後、重合時に用いた有機媒体とは異なる他の有機媒体中に重合後の高分子オルガノゲルを浸漬することで、3次元架橋構造を有する高分子内に含まれる有機媒体を置換し、所望の特性を有する高分子オルガノゲルとすることができる。
置換できる好ましい有機媒体は、重合時用いた有機媒体と可溶でかつ高分子成分と親和性を有する他の有機媒体である。なお、置換は重合時用いた有機媒体を全て置換してもよく、あるいは一部を置換してもよい。
重合後の高分子オルガノゲルから、内蔵されている有機媒体を除去して、3次元架橋構造を有する高分子内に変性クレイが均一に分散されている高分子組成物を製造することができる。この高分子組成物は有機媒体中に浸漬することで再度高分子オルガノゲルとすることができる。
有機媒体の除去方法としては、加熱乾燥、真空乾燥、溶剤を用いた抽出法等が挙げられる。
本発明の高分子オルガノゲルには、その機能を害さない範囲で必要に応じ、重合の前後を問わず、その有機媒体に可溶な防錆剤、防腐剤、防カビ剤、界面活性剤やイオン性液体等を添加あるいは塗布してもよい。またその機能を害さない範囲において、有機高分子等の有機物や、炭素、シリカやチタニア等の無機物からなる繊維状や粒子状の補強剤を添加してもよい。さらに、目的に応じて分散、積層処理などにより他素材と複合化することも可能である。
各実施例および各比較例に用いた原料の一覧を表1に示す。
Figure 0005486814
各実施例および各比較例における重合条件、得られたゲルの状態評価、膨潤度評価、圧縮破壊歪み評価および総合評価を以下に示す。
<重合条件>
・重合容器:内径 25 mm×高さ 40 mm の平底ガラス容器
・原料溶液:10 mL(内径 25 mm×高さ約 20 mm 相当)
・重合開始剤:ADVN(10 時間半減期温度 52℃)、0.3 重量%
・重合:重合容器中の気体部を窒素置換し密封した後、55℃のウオーターバス中で重合した。なお一部の比較例は、窒素置換せず密封して重合を行なった。
・重合時間:20 時間
<重合ゲルの状態評価>
重合反応後、重合容器から重合物を取り出し、状態評価を行なった。変性クレイの偏析、ポリマー分の沈澱や溶媒からの相分離がなく、均一な外観を有する高分子オルガノゲルが得られた場合を合格と評価して「○」を、それ以外の、均一な外観を有する高分子オルガノゲルが得られなかった場合、不合格と評価して「×」を、それぞれ記録する。
<膨潤度評価>
重合後得られた高分子オルガノゲルを目的とする有機媒体中に 25℃で、 10 日間浸漬することで、膨潤処理を行ない、固形分(高分子成分+変性クレイ)重量および膨潤処理後の高分子オルガノゲル重量から次の式により膨潤度を求めた。
膨潤度 = 膨潤処理後高分子オルガノゲル重量[g] / 固形分重量[g]
膨潤度が 2 未満のものはゲル材料として十分な溶媒保持性を有していないものとみなし不合格と評価して「×」を、その他を合格と評価し、膨潤度 1.2 以上 5 未満のものは「○」を、特に 5 以上のものは「◎」を、それぞれ記録する。
<圧縮破壊歪み評価>
上述の膨潤処理後の高分子オルガノゲルから、高さ 10 mm の円柱状物を切り出し、試験片とした。得られた試験片の圧縮破壊歪みが、50%未満のものは十分な靭性を有していないことから不合格と評価し「×」を、その他のものを合格と評価して、50%以上 75%未満のものは「○」を、特に 75%以上のものは「◎」を、それぞれ記録する。
<総合評価>
重合ゲルの状態、膨潤度および圧縮破壊歪みの評価が、全て合格の場合のみ合格と評価し「○」を、それ以外のものは不合格と評価し「×」を、それぞれ記録する。
実施例1
有機媒体として溶媒1を用い、変性クレイとして変性クレイ1を用い、溶媒 10 mL に対して変性クレイ 0.5 g を添加し、撹拌により溶解させたものを溶液Pとする。得られた溶液Pは約 10.3 mL であり、無色透明で、特に沈殿物は見られなかった。なお用いた変性クレイ1は、水膨潤性合成ヘクトライトの層間カチオンを、ポリオキシプロピレンメチルジエチルアンモニウムイオン等の公知の第4級アンモニウムイオンにイオン交換することによって疎水性に変性した疎水性合成ヘクトライトである。また溶媒1は予め 30分間窒素ガスを用いたバブリング処理により、溶存酸素を除去したものを用いた。
次いで、単量体Aとして蒸留により重合禁止剤を取り除いた単量体A−2を用い、単量体Bとして単量体B−1を用い、単量体全体に対して、単量体B−1を 2.5 モル%混合した単量体溶液を準備し(溶液Qとする)、上述の溶液Pと溶液Qとを溶媒濃度が 80 容量%となるよう混合して十分撹拌したものを溶液Rとした。溶液Qの段階では溶解しきらない単量体B−1の沈澱物が見られたが、得られた溶液Rは無色透明であった。
上記各種原料を溶解させた溶液Rに 0.3 重量%の重合開始剤(ADVN)を添加し、撹拌により分散させたものを原料溶液として用いた。添加した重合開始剤量が微量であることから、原料溶液中の溶媒濃度は約 80 容量%のままである。
次いで、上記原料溶液 10 mL を重合容器に気泡が混入しないよう注入し、密封した。なお容器内の気体部は十分窒素置換し酸素を除去した。
原料溶液を充填した重合容器を 55℃に調製したウオーターバス内で 20 時間静置して重合を行なった。
得られた高分子オルガノゲルは、透明度が高く、かつ重合容器から取り出しても固体状物として形状を維持できる良好な固体状ゲルであったことから、重合ゲルの状態は合格「○」とした。
得られた円柱状の高分子オルガノゲルを、膨潤処理として溶媒1中に 20 日間浸漬した。膨潤処理した高分子オルガノゲルの膨潤度を測定したところ、約 16 であったことから合格「◎」と判定した。
膨潤処理した高分子オルガノゲルを、高さのみ 10 mm に加工した円柱状物を用いて圧縮破壊歪みを測定したところ、50%歪みを加えた場合は破壊しなかったが、75%歪みを加えた場合一部破壊した。このことから合格「○」と判定した。なお上述の破壊の状態は脆性的なものではなく、部分的に亀裂が見られる程度であった。これら膨潤度と圧縮破壊歪みの評価結果から、総合評価で合格「○」と判定した。
なお、得られた高分子オルガノゲルを 120℃で 3 日間乾燥処理したところ、溶媒を含まない、変性クレイが均一に微分散した透明な高分子組成物が得られた。表2に実施概要および結果を併記する。
実施例2
溶液Pは実施例1と同様のものを調製した。単量体A−1および単量体B−2を用い、単量体全体に対して、単量体B−2を 5 モル%混合したものを溶液Qとした。溶媒濃度が 20 容量%となるよう溶液Pおよび溶液Qを混合し十分撹拌したものを溶液Rとした。実施例1と同様、溶液Rに 0.3 重量%の重合開始剤を添加し十分撹拌したものを原料溶液とした。重合および膨潤処理、ならびに膨潤度測定、圧縮破壊歪み測定は実施例1と同様に行なった。
得られた高分子オルガノゲルは、実施例1と同様の、透明度の高い固体状のゲルであったことから、重合ゲルの状態は合格「○」とした。得られた高分子オルガノゲルの膨潤処理後の膨潤度は約 4 であったことから合格「○」と判定した。圧縮破壊歪みを測定したところ、50%歪みを加えた場合は破壊しなかったが、75%歪みを加えた場合一部破壊した。このことから合格「○」と判定した。但し破壊の状態は、実施例1と同様であり脆性的なものではなかった。これらの結果から総合評価で合格「○」と判定した。表2に実施概要および結果を併記する。
実施例3
溶液Pは実施例1と同様のものを調製した。溶液Qは実施例2と同様のものを調製した。溶媒濃度が 50 容量%となるよう溶液Pおよび溶液Qを混合し十分撹拌したものを溶液Rとした。実施例1と同様、溶液Rに 0.3 重量%の重合開始剤を添加し十分撹拌したものを原料溶液とした。重合および膨潤処理、ならびに膨潤度測定、圧縮破壊歪み測定は実施例1と同様に行なった。得られた高分子オルガノゲルは、実施例1と同様の、透明度の高い固体状のゲルであったことから、重合ゲルの状態は合格「○」とした。
得られた高分子オルガノゲルの膨潤処理後の膨潤度は約 17 であったことから合格「◎」と判定した。圧縮破壊歪みは、75%歪みを加えた場合でも破壊しなかったことから合格「◎」と判定した。これらの結果から総合評価で合格「○」と判定した。
なお、得られた高分子オルガノゲルを 120℃で 3 日間乾燥処理したところ、実施例1と同様、溶媒を含まない、変性クレイが均一に微分散した透明な高分子組成物が得られた。表2に実施概要および結果を併記する。
実施例4
溶液Pは実施例1と同様のものを調製した。溶液Qは実施例2と同様のものを調製した。溶媒濃度が 80 容量%となるよう溶液Pおよび溶液Qを混合し十分撹拌したものを溶液Rとした。実施例1と同様、溶液Rに 0.3 重量%の重合開始剤を添加し十分撹拌したものを原料溶液とした。重合および膨潤処理、ならび膨潤度測定、圧縮破壊歪み測定は実施例1と同様に行なった。得られた高分子オルガノゲルは、実施例1と同様の、透明度の高い固体状のゲルであったことから、重合ゲルの状態は合格「○」とした。
得られた高分子オルガノゲルの膨潤処理後の膨潤度は約 18 であったことから合格「◎」と判定した圧縮破壊歪みは、75%歪みを加えた場合でも破壊しなかったことから合格「◎」と判定した。これらの結果から総合評価で合格「○」と判定した。
なお、得られた高分子オルガノゲルを 120℃で 3 日間乾燥処理したところ、実施例1と同様、溶媒を含まない、変性クレイが均一に微分散した透明な高分子組成物が得られた。表2に実施概要および結果を併記する。
実施例5
溶液Pは実施例1と同様のものを調製した。単量体A−1および単量体B−2を用い、単量体全体に対して、単量体B−2を 7.5 モル%混合したものを溶液Qとした。溶媒濃度が 90 容量%となるよう溶液Pおよび溶液Qを混合し十分撹拌したものを溶液Rとした。実施例1と同様、溶液Rに 0.3 重量%の重合開始剤を添加し十分撹拌したものを原料溶液とした。重合および膨潤処理、ならび膨潤度測定、圧縮破壊歪み測定は実施例1と同様に行なった。
得られた高分子オルガノゲルは、実施例1と同様の、透明度の高い固体状のゲルであったことから、重合ゲルの状態は合格「○」と評価した。得られた高分子オルガノゲルの膨潤処理後の膨潤度は約 21 であったことから合格「◎」と判定した。圧縮破壊歪みを測定したところ、50%歪みを加えた場合は破壊しなかったが、75%歪みを加えた場合一部破壊した。このことから合格「○」と判定した。これらの結果から総合評価で合格「○」と判定した。表2に実施概要および結果を併記する。
実施例6
有機媒体として溶媒2を用い、変性クレイとして変性クレイ1を用い、溶媒 10 mL に対して変性クレイ 0.5 g の比率で添加し、撹拌により溶解させたものを溶液Pとした。得られた溶液Pは約 10.3 mL であり、実施例1と同様無色透明で、特に沈殿物は見られなかった。溶液Qは実施例2と同様のものを調製した。溶媒濃度が 75 容量%となるよう溶液Pおよび溶液Qを混合し十分撹拌したものを溶液Rとした。実施例1と同様、溶液Rに 0.3 重量%の重合開始剤を添加し十分撹拌したものを原料溶液とした。重合および膨潤処理、ならび膨潤度測定、圧縮破壊歪み測定は実施例1と同様に行なった。
得られた高分子オルガノゲルは、実施例1と同様の、透明度の高い固体状のゲルであったことから、重合ゲルの状態は合格「○」とした。得られた高分子オルガノゲルの膨潤処理後の膨潤度は約 18 であったことから合格「◎」と判定した。圧縮破壊歪みは、75%歪みを加えた場合でも破壊しなかったことから合格「◎」と判定した。これらの結果から総合評価で合格「○」と判定した。表2に実施概要および結果を併記する。
実施例7
有機媒体として溶媒3を用い、変性クレイとして変性クレイ2を用い、溶媒 10 mL に対して変性クレイ 0.3 g の比率で添加し、さらに分散剤として 95%エタノール水溶液を 0.03 g 添加したのち十分撹拌することで変性クレイを溶解、微分散させたものを溶液Pとした。得られた溶液Pは約 10.1 mL であり、やや白色の半透明状の溶液であったが、特に沈殿物は見られなかった。なお変性クレイ2は、トリヘキサデシルメチルアンモニウムイオン等の公知の4級アンモニウムイオンを用いて陽イオン交換法により変性したものである。単量体A−3および単量体B−3を用い、単量体全体に対して、単量体B−3を 5 モル%混合したものを溶液Qとした。溶媒濃度が 75 容量%となるよう溶液Pおよび溶液Qを混合し十分撹拌したものを溶液Rとした。実施例1と同様、溶液Rに 0.3 重量%の重合開始剤を添加し十分撹拌したものを原料溶液とした。重合および膨潤処理、ならび膨潤度測定、圧縮破壊歪み測定は実施例1と同様に行なった。
得られた高分子オルガノゲルは、やや白濁しているが均一な外観の固体状のゲルであったことから、重合ゲルの状態は合格「○」とした。得られた高分子オルガノゲルの膨潤処理後の膨潤度は約 6 であったことから合格「◎」と判定した。圧縮破壊歪みを測定したところ、50%歪みを加えた場合は破壊しなかったが、75%歪みを加えた場合一部破壊した。このことから合格「○」と判定した。これらの結果から総合評価で合格「○」と判定した。表2に実施概要および結果を併記する。
実施例8
有機媒体として溶媒3を用い、変性クレイとして変性クレイ3を用い、溶媒 10 mL に対して変性クレイ 0.3 g の比率で添加し、さらに分散剤として 95%エタノール水溶液を 0.15 g 添加したのち十分撹拌することで変性クレイを溶解、微分散させたものを溶液Pとした。得られた溶液Pは約 10.3 mL であり、やや黄色の半透明状の溶液であったが、特に沈殿物は見られなかった。なお変性クレイ3は、天然水膨潤性モンモリロナイトを原料とし、ジメチルジオクタデシルアンモニウムイオン等の公知の4級アンモニウムイオンを用いて陽イオン交換法により変性したものである。単量体A−3および単量体B−2を用い、単量体全体に対して、単量体B−2を 5 モル%混合したものを溶液Qとした。溶媒濃度が 75 容量%となるよう溶液Pおよび溶液Qを混合し十分撹拌したものを溶液Rとした。実施例1と同様、溶液Rに 0.3 重量%の重合開始剤を添加し十分撹拌したものを原料溶液とした。重合および膨潤処理、ならび膨潤度測定、圧縮破壊歪み測定は実施例1と同様に行なった。
得られた高分子オルガノゲルは、やや黄色に着色していたが均一外観の固体状のゲルであったことから、重合ゲルの状態は合格「○」とした。得られた高分子オルガノゲルの膨潤処理後の膨潤度は約 5 であったことから合格「◎」と判定した。圧縮破壊歪みを測定したところ、50%歪みを加えた場合は破壊しなかったが、75%歪みを加えた場合一部破壊した。このことから合格「○」と判定した。これらの結果から総合評価で合格「○」と判定した。表2に実施概要および結果を併記する。
実施例9
実施例4と同様の高分子オルガノゲルを重合した。従って、原料溶液 10mL 中の溶媒濃度は約 80 容量%である。得られた高分子オルガノゲルを、100 mL の溶媒4中に室温で 9 日間浸漬し、その後 120℃で 4 日間熱処理することで溶媒1を除去して、溶媒4を溶媒とする高分子オルガノゲルを得た。
得られた高分子オルガノゲルは、実施例4と同様、透明度の高い固体状ゲルであったことから、重合ゲルの状態は合格「○」とした。膨潤処理後の膨潤度は約 5 であったことから合格「◎」と判定した。圧縮破壊歪みは、75%歪みを加えた場合でも破壊しなかったことから合格「◎」と判定した。これらの結果から総合評価で合格「○」と判定した。表2に実施概要および結果を併記する。
実施例10
有機媒体として溶媒5を用い、変性クレイとして変性クレイ2を用い、溶媒 10 mL に対して変性クレイ 0.3 g の比率で添加し、撹拌により溶解させたものを溶液Pとした。得られた溶液Pは約 10.1 mL であり、黄色透明で、特に沈殿物は見られなかった。単量体A−1および単量体B−2を用い、単量体全体に対して、単量体B−2を 7.5 モル%混合したものを溶液Qとした。溶媒濃度が 75 容量%となるよう溶液Pおよび溶液Qを混合し十分撹拌したものを溶液Rとした。実施例1と同様、溶液Rに 0.3 重量%の重合開始剤を添加し十分撹拌したものを原料溶液とした。重合および膨潤処理、ならび膨潤度測定、圧縮破壊歪み測定は実施例1と同様に行なった。
得られた高分子オルガノゲルは、透明度の高い黄色透明の均一な固体状のゲルであったことから、重合ゲルの状態は合格「○」とした。得られた高分子オルガノゲルの膨潤処理後の膨潤度は約 5 であったことから合格「◎」と判定した。圧縮破壊歪みを測定したところ、50%歪みを加えた場合は破壊しなかったが、75%歪みを加えた場合一部破壊した。このことから合格「○」と判定した。これらの結果から総合評価で合格「○」と判定した。表2に実施概要および結果を併記する。
実施例11
有機媒体として溶媒2を用い、変性クレイとして変性クレイ2を用い、溶媒 10 mL に対して変性クレイ 0.5 g の比率で添加し、撹拌により溶解させたものを溶液Pとした。得られた溶液Pは約 10.3 mL であり、無色透明で、特に沈殿物は見られなかった。単量体A−4および単量体B−3を用い、単量体全体に対して、単量体B−3を 5 モル%混合したものを溶液Qとした。溶媒濃度が 75 容量%となるよう溶液Pおよび溶液Qを混合し十分撹拌したものを溶液Rとした。実施例1と同様、溶液Rに 0.3 重量%の重合開始剤を添加し十分撹拌したものを原料溶液とした。重合および膨潤処理、ならび膨潤度測定、圧縮破壊歪み測定は実施例1と同様に行なった。
得られた高分子オルガノゲルは、無色透明の固体状のゲルであった。得られた高分子オルガノゲルを、100 mL の溶媒5中に 9 日間浸漬し、その後 150℃で 1 日間熱処理することで溶媒2を除去して、溶媒5を溶媒とする高分子オルガノゲルを得た。得られた高分子オルガノゲルは、実施例2と同様、透明度の高い固体状ゲルであったことから、重合ゲルの状態は合格「○」とした。得られた溶媒5を溶媒とする高分子オルガノゲルの膨潤処理後の膨潤度は約 4 であったことから合格「○」と判定した。圧縮破壊歪みは、75%歪みを加えた場合でも破壊しなかったことから合格「◎」と判定した。これらの結果から総合評価で○と判定した。表2に実施概要および結果を併記する。
実施例12
有機媒体として溶媒2を用い、変性クレイとして変性クレイ1を用い、溶媒 10 mL に対して変性クレイ 0.5 g の比率で添加し、撹拌により溶解させたものを溶液Pとした。得られた溶液Pは約 10.3 mL であり、無色透明で、特に沈殿物は見られなかった。溶液Qは実施例8と同様のものを調整した。溶媒濃度が 75 容量%となるよう溶液Pおよび溶液Qを混合し十分撹拌したものを溶液Rとした。実施例1と同様、溶液Rに 0.3 重量%の重合開始剤を添加し十分撹拌したものを原料溶液とした。重合および膨潤処理、ならび膨潤度測定、圧縮破壊歪み測定は実施例1と同様に行なった。
得られた高分子オルガノゲルは、無色透明の固体状のゲルであった。得られた高分子オルガノゲルを、100 mL の溶媒3中に 13 日間浸漬し、その後 150℃で 1 日間熱処理することで溶媒2を除去して、溶媒3を溶媒とする高分子オルガノゲルを得た。得られた高分子オルガノゲルは、実施例2と同様、透明度の高い固体状ゲルであったことから、重合ゲルの状態は合格「○」とした。得られた溶媒3を溶媒とする高分子オルガノゲルの膨潤処理後の膨潤度は約 4 であったことから合格「○」と判定した。圧縮破壊歪みは、75%歪みを加えた場合でも破壊しなかったことから合格「◎」と判定した。これらの結果から総合評価で○と判定した。表2に実施概要および結果を併記する。
実施例13
溶液Pは実施例11と同様のものを調製した。単量体A−6および単量体B−4を用い、単量体全体に対して単量体B−4を 5 モル%混合したものを溶液Qとした。溶媒濃度が60容量%になるよう溶液Pおよび溶液Qを混合し十分撹拌したものを溶液Rとした。溶液Rに 0.1 重量%の重合開始剤を添加し十分撹拌したものを原料溶液とした。重合および膨潤処理、ならびに膨潤度測定、圧縮破壊歪み測定は実施例1と同様に行なった。
得られた高分子オルガノゲルは、無色透明の固体状のゲルであった。得られた高分子オルガノゲルを、100 mL の溶媒4中に 9 日間浸漬し、その後 150℃で 1 日間熱処理することで溶媒2を除去して、溶媒4を溶媒とする高分子オルガノゲルを得た。得られた高分子オルガノゲルは、実施例2と同様、透明度の高い固体状ゲルであったことから、重合ゲルの状態は合格「○」とした。得られた溶媒4を溶媒とする高分子オルガノゲルの膨潤処理後の膨潤度は約 1.3 であったことから合格「○」と判定した。圧縮破壊歪みは、75%歪みを加えた場合でも破壊しなかったことから合格「◎」と判定した。これらの結果から総合評価で○と判定した。表2に実施概要および結果を併記する。
比較例1
変性クレイを用いなかった以外は実施例4と同様に原料溶液を調整し、重合および膨潤処理を行なった。
原料溶液 10 mL 中の溶媒濃度は約 80 容量%であり、得られた高分子オルガノゲルは無色透明であったことから、重合ゲルの状態は合格「○」と評価した。
得られた高分子オルガノゲルの膨潤処理後の膨潤度は約 15 であったことから合格「◎」と判定した。圧縮破壊歪みは、50%歪みを加えた場合に破壊が発生したことから不合格「×」と判定した。なお破壊の状態は非常に脆性的なものであった。これらの結果から総合評価で不合格「×」と判定した。表2に実施概要および結果を併記する。
比較例2
変性クレイの代わりに、未変性クレイを用いた以外は実施例4と同様に原料溶液を調製し、重合および膨潤処理を行なった。なお、原料溶液10 mL 中の溶媒濃度は約 80 容量%である。また未変性クレイは、溶媒1中では若干膨潤するようであるが、沈澱してしまった。沈澱が生じたまま重合したところ、底部に未変性クレイが偏析した状態の高分子オルガノゲルが得られた。従って重合ゲルの状態は不合格「×」と評価した。このことから総合評価として不合格「×」と判定した。表2に実施概要および結果を併記する。
比較例3
単量体Bを用いなかった以外は実施例4と同様に原料溶液を調整し、重合を行なった。原料溶液 10 mL 中の溶媒濃度は約 80 容量%である。
重合後、無色透明な状態ではあったが、固体状ゲルは得られず、粘ちょうな液状であったことから、重合ゲルの状態は不合格「×」と評価した。このことから総合評価として不合格「×」と判定した。表2に実施概要および結果を併記する。
比較例4
単量体Bとして単量体B−1を用いた以外は実施例7と同様に原料溶液を調製した。ただし単量体B−1は原料溶液中でほとんど溶解せず、沈澱した。なお原料溶液 10 mL 中の溶媒濃度は約 75 容量%である。
単量体B−1の沈澱が生じている原料溶液を用いて重合を行なったところ、比較例3と同様の粘ちょうな液状物しか得られなかったことから、重合ゲルの状態は不合格「×」と評価した。このことから総合評価として不合格「×」と判定した。表2に実施概要および結果を併記する。
比較例5
単量体Aを用いず単量体Bのみで調整した溶液Qを用いた以外は実施例4と同様に原料溶液を調製し、重合および膨潤処理を行なった。なお原料溶液中の溶媒濃度は約 80 容量%である。
得られた高分子オルガノゲルは無色透明の固体状物であったことから、重合ゲルの状態は合格「○」と評価した。膨潤処理後の膨潤度は4であったことから合格「○」と判定した。圧縮破壊歪みは、50%歪みを加えた場合に破壊が発生したことから不合格「×」と判定した。なお破壊の状態は非常に脆性的なものであった。これらの結果から総合評価で×と判定した。表2に実施概要および結果を併記する。
比較例6
単量体Aとして単量体A−5を用いた以外は実施例7と同様に原料溶液を調整した。ただし単量体A−5は溶媒3に溶解せず、相分離が発生した。なお原料溶液 10 mL 中の溶媒濃度は約 75 容量%である。
相分離の発生した原料溶液を用いて重合したところ、固体状の高分子オルガノゲルは得られなかった。従って重合ゲルの状態は不合格「×」と評価した。このことから総合評価として不合格「×」と判定した。表2に実施概要および結果を併記する。
比較例7
有機媒体を全く用いず、実施例4と同様の溶液Q 9.0 mL に変性クレイ1を 1.8 g 添加したものを溶液R(約 10 mL )として原料溶液を調製したが、変性クレイ1は原料溶液中にほとんど溶解せず、沈澱が発生した。従って、原料溶液 10 mL 中の溶媒濃度は約 0 容量%である。なお、この原料溶液は実施例4から溶媒分を除いた組成と同等のものである。
この原料溶液を用いて、実施例と同様に重合を行なったが溶媒を含まないためゲル状物は得られず、底部に変性クレイが偏析した高分子組成物であった。このことから重合ゲルの状態は不合格「×」と評価した。なお上述のように得られた高分子組成物は、実施例1および2で得られた溶媒を乾燥除去した高分子組成物のような均一に変性クレイが微分散した透明な高分子組成物にはならなかった。従って総合評価として不合格「×」と判定した。表2に実施概要および結果を併記する。
比較例8
溶媒濃度が 95 容量%になるように調整した以外は実施例4と同様に原料溶液を調整し、重合を行なった。
しかし、高分子となる単量体Aおよび単量体Bが合計で 5 容量%以下しか存在しなかったためか、固形状の高分子オルガノゲルは得られなかった。従って重合ゲルの状態は不合格「×」と評価した。このことから総合評価で不合格「×」と判定した。表2に実施概要および結果を併記する。
Figure 0005486814
本発明により開示される高分子オルガノゲル、高分子組成物およびこれらの製造方法は、有機溶剤や油等の液状の有機物を溶媒として多量に保持することができる膨潤性と、かつ圧縮特性とに優れるので、摺動性が要求される機械部品に好適に利用できる。

Claims (9)

  1. 3次元架橋構造を有する高分子内に、液状の有機媒体と変性水膨潤性層状ケイ酸塩化合物とを含む高分子オルガノゲルであって、
    前記変性水膨潤性層状ケイ酸塩化合物は、水膨潤性層状ケイ酸塩化合物を陽イオン交換法によりカチオン性有機化合物を用いて変性した化合物であり、
    前記3次元架橋構造を有する高分子は、前記有機媒体に前記変性水膨潤性層状ケイ酸塩化合物を分散溶解させた溶液中で、該溶液中に溶解させた、付加重合性不飽和結合を1つ有する単量体と少なくとも2つの付加重合性不飽和結合を有する単量体とを、付加重合により共重合させて得られる3次元架橋構造を有する高分子であり、
    前記重合時において、前記有機媒体の濃度が生成する高分子オルガノゲルを基準として、20.0 容量% 以上、95.0 容量% 未満であることを特徴とする高分子オルガノゲル。
  2. 前記高分子オルガノゲルを該高分子オルガノゲルに含まれる同一の有機媒体に 25℃で 20 日間浸漬したときの膨潤度が 1.2 以上であり、該膨潤度における圧縮破壊歪みが 50%以上であることを特徴とする請求項項記載の高分子オルガノゲル。
  3. 請求項1記載の高分子オルガノゲルの製造方法であって、
    前記有機媒体に前記変性水膨潤性層状ケイ酸塩化合物を分散溶解させる溶解工程と、
    この溶液中で、該溶液中に溶解させた、前記付加重合性不飽和結合を1つ有する単量体と、前記少なくとも2つの付加重合性不飽和結合を有する単量体とを付加重合により共重合させる重合工程とを含み、
    前記重合工程において、前記有機媒体の濃度が生成する高分子オルガノゲルを基準として、20.0 容量% 以上、95.0 容量% 未満であることを特徴とする高分子オルガノゲルの製造方法。
  4. 前記溶解工程は、前記有機媒体に分散剤を加えることで前記変性水膨潤性層状ケイ酸塩化合物を分散溶解させる溶解工程であることを特徴とする請求項記載の高分子オルガノゲルの製造方法。
  5. 前記分散剤が有極性液状物質であることを特徴とする請求項記載の高分子オルガノゲルの製造方法。
  6. 前記重合工程において、前記付加重合性不飽和結合を1つ有する単量体の割合が前記少なくとも2つの付加重合性不飽和結合を有する単量体よりもモル比で多いことを特徴とする請求項、請求項または請求項記載の高分子オルガノゲルの製造方法。
  7. 前記重合工程後に重合時の前記有機媒体とは異なる他の有機媒体中に重合後の高分子オルガノゲルを浸漬することで、3次元架橋構造を有する高分子内に含まれる有機媒体を置換することを特徴とする請求項3から請求項6のいずれか1項記載の高分子オルガノゲルの製造方法。
  8. 請求項1記載の高分子オルガノゲルを生成できる高分子組成物であって、
    該高分子組成物は、前記3次元架橋構造を有する高分子内に前記変性水膨潤性層状ケイ酸塩化合物が均一に分散されてなることを特徴とする高分子組成物。
  9. 前記有機媒体に前記変性水膨潤性層状ケイ酸塩化合物を分散溶解させる溶解工程と、
    この溶液中で、該溶液中に溶解させた、前記付加重合性不飽和結合を1つ有する単量体と、前記少なくとも2つの付加重合性不飽和結合を有する単量体とを付加重合により共重合させる重合工程と、
    重合時の前記有機媒体を除去する工程とを含み、
    前記重合工程において、前記有機媒体の濃度が生成する高分子オルガノゲルを基準として、20.0 容量% 以上、95.0 容量% 未満であることを特徴とする請求項記載の高分子組成物の製造方法。
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