JP5486491B2 - プロピレングリコールの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、グリセリンを原料とするプロピレングリコールの製造方法に関する。
近年、地球温暖化を抑制する対策の一つとして、植物及び/または動物油脂を原料としたバイオディーゼルと呼ばれているディーゼルエンジン用燃料が開発されている。バイオディーゼルの製造過程ではグリセリンが原料油脂に対して約10%程度副生しており、該グリセリンの有効活用が精力的に研究されている。
一方、プロピレングリコールはグリセリンの1位の水酸基が水素に変換された化合物であるが、生物への毒性が低く、また無味無臭であることから、保湿剤、潤滑剤、乳化剤、不凍液、溶媒などとして、広く医薬品や化粧品、食料品などの分野で用いられている。一般にプロピレングリコールは化石原料と呼ばれている石油から誘導されるプロピレンを酸化してプロピレンオキシドとし、その後、それを水和することにより製造されている。
ここで、前記のグリセリンの有効活用について、銅触媒を使用してグリセリンをプロピレングリコールに変換することが知られている。例えば米国特許第5214219号明細書には、酸化銅および酸化亜鉛を含む混合物触媒の存在下、グリセリンと水素を反応させて、グリセリンをプロピレングリコールおよびエチレングリコールに変換する方法が開示されている。
またWO2007/099161号パンフレットには、触媒の存在下、特定の反応温度、特定の反応圧力において、グリセリンを水素化する方法が開示されている。そしてその反応に用いられる触媒として、銅を含む触媒、特に酸化銅、酸化亜鉛およびアルミナよりなる触媒等が例示されている。
また、WO2007/010299号パンフレットには、触媒の存在下、特定の反応温度、特定の反応圧力、特定の水素と原料との量比および特定の反応時間かつ気相で、固定床連続反応器を用い、グリセリンを水素化する方法が開示されている。
そしてその反応に用いられる触媒として、酸化銅および酸化亜鉛を含む混合物触媒等が例示されている。この方法によれば、高収率でプロピレングリコールを得ることができるとWO2007/010299号パンフレットに記載されている。しかし、この方法ではグリセリンを反応器に導入する前に気化器で気化する必要があり、反応を実施するための消費エネルギーが増大するため、前記方法は経済的に不利であり、効率的とは言い難い。
一方独国特許発明第102007003188号明細書には、20〜60重量%の酸化銅と、30〜70重量%の酸化亜鉛および1〜10重量%の酸化マンガンを含む触媒の存在下、180〜240℃、20〜100barで、グリセリンを水素と反応させるプロピレングリコールの製造方法が開示されている。
しかしながら,当該特許文献に記載の技術においては、反応形式がオートクレーブを使用するバッチ反応に限定されており,前記特許文献には経済的に有利な固定床連続反応器等における記載はまったくない。
また,中国特許出願公開第101012149号明細書には、銅、亜鉛およびマンガン(およびアルミニウム)を有する触媒(金属元素重量比は16〜48:24〜48:0.15〜4:0〜8)を使用し、200〜250℃、2.5〜5MPaで、グリセリンに水素添加するプロピレングリコールの製造方法が開示されている。
当該特許文献には固定床連続反応器を使用する実施例が記載されているが,当該反応においては水素をグリセリンに対して800〜1200当量と大過剰に使用している。未反応の水素の回収再利用等を考慮すると、この反応は工業的には有利な方法とは言いがたい。
米国特許第5214219号明細書 WO2007/099161号パンフレット WO2007/010299号パンフレット 独国特許発明第102007003188号明細書 中国特許出願公開第101012149号明細書
本発明は、グリセリンを原料とするプロピレングリコールの製造方法において、グリセリンを気化する工程を必要としない、高収率でプロピレングリコールを製造する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは上記の課題を解決するために鋭意研究した結果、(a)銅および酸化銅の少なくとも一方と、(b)酸化亜鉛と、(c)周期律表第2族〜第6族、第8族〜第10族の元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物とを含む触媒を用いることにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち本発明の要旨は、
(a)銅および酸化銅の少なくとも一方と、(b)酸化亜鉛と、(c)周期律表第2族〜第6族、第8族〜第10族の元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物とを含む触媒の存在下で、グリセリンを接触水素添加してプロピレングリコールを得る工程を含むことを特徴とするプロピレングリコールの製造方法である。
前記触媒における酸化物(c)は、マグネシウム、カルシウム、バリウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、コバルトおよびニッケルからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物であることが望ましい。
前記触媒における銅および酸化銅の少なくとも一方(a)と酸化亜鉛(b)との重量比(銅および酸化銅の少なくとも一方(a):酸化亜鉛(b))は、6:1〜6:35の範囲にあることが望ましい。
また、前記触媒における銅および酸化銅の少なくとも一方(a)と酸化物(c)との重量比(銅および酸化銅の少なくとも一方(a):酸化物(c))が、100:1〜1.5:1の範囲にあることもまた望ましい。
さらに、前記接触水素添加は、反応温度100〜350℃、水素圧1〜30MPaで行われることが望ましい。
本発明によれば、(a)銅および酸化銅の少なくとも一方と、(b)酸化亜鉛と、(c)周期律表第2族〜第6族、第8族〜第10族の元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物とを含む触媒を用いることにより、グリセリンを気化せずとも、高収率でグリセリンからプロピレングリコールを製造することができる。この効果は特に、前記酸化物(c)としてマグネシウム、カルシウム、バリウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、コバルトおよびニッケルからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を含む触媒を用いることにより、顕著に奏される。したがって、本発明の製造方法には大きな工業的利用価値がある。
以下に本発明を詳細に説明する。
[触媒]
本発明に使用される触媒は、(a)銅および酸化銅の少なくとも一方と、(b)酸化亜鉛と、(c)周期律表第2族〜第6族、第8族〜第10族の元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物(以下単に酸化物(c)ともいう)とを含む触媒である。
前記触媒の調製方法は特に限定されるものではないが、以下の方法などが挙げられる。
(1)銅の各種塩、亜鉛の各種塩および周期律表第2族〜第6族、第8族〜第10族の元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の各種塩などを原料として公知の方法、例えば共沈法、含浸法、混練法などにより調製する方法
(2)公知の方法で調製した銅および酸化銅の少なくとも一方(a)と酸化亜鉛(b)とを含む触媒と、別途公知の方法で調製した酸化物(c)を含む物質または触媒とを混合する方法。
<触媒の好ましい態様1>
本発明に使用される触媒の好ましい態様のひとつは、銅の各種塩、亜鉛の各種塩および周期律表第2族〜第6族、第8族〜第10族の元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の各種塩などを原料として公知の方法で製造された触媒である。
すなわち、本発明に使用される触媒は、銅の硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、酢酸塩、塩化物、酸化物及び水酸化物等から選ばれる少なくとも1種と、
亜鉛の硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、酢酸塩、塩化物、酸化物及び水酸化物等から選ばれる少なくとも1種と、
さらに周期律表第2族〜第6族、第8族〜第10族の元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、酢酸塩、塩化物、酸化物及び水酸化物等から選ばれる少なくとも1種とを原料として、共沈法、含浸法、混練法などの公知の方法で製造することが可能である。
例えば、共沈法と呼ばれる方法では、例えば、銅の硝酸塩と、亜鉛の硝酸塩と、周期律表第2族の元素の硝酸塩とを含む水溶液を塩基の存在下で反応させ、銅と、亜鉛と、周期律表第2族の元素とを含む共沈物を製造する。その後、共沈物を乾燥、焼成することにより、本発明に使用される触媒を製造することができる。
また、使用する銅の各種塩、亜鉛の各種塩、および周期律表第2族〜第6族、第8族〜第10族の元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の各種塩の量比を変更することにより、本発明に使用される触媒における銅および酸化銅の少なくとも一方(a)、酸化亜鉛(b)および酸化物(c)の含有量を調節することができる。
ここで、本発明で使用される触媒に含まれる銅および酸化銅の少なくとも一方(a)と酸化亜鉛(b)との重量比(銅および酸化銅の少なくとも一方(a):酸化亜鉛(b))に特に制限はないが、6:1〜6:35の範囲にあることが望ましく、5:1〜5:15の範囲にあることがより望ましく、3:1〜3:7の範囲にあることがさらに望ましく、2:1〜2:4の範囲にあることが特に望ましい。重量比が上記の範囲にある触媒を使用すると、高収率で触媒反応が進行する。
また、本発明で使用される触媒に含まれる銅および酸化銅の少なくとも一方(a)と酸化物(c)との重量比(銅および酸化銅の少なくとも一方(a):酸化物(c))に特に制限はないが、100:1〜1.5:1の範囲にあることが望ましく、100:1〜4:1の範囲にあることがより望ましい。重量比が上記の範囲にある触媒を使用すると、高収率で触媒反応が進行する。
上記記載の酸化物(c)は、マグネシウム、カルシウム、バリウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、コバルトおよびニッケルからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物であることが望ましく、マグネシウム、鉄、タングステン、バナジウム、コバルトおよびニッケルからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物であることがより望ましい。
また、本発明で使用される触媒中に本反応を阻害しない程度に、銅および酸化銅の少なくとも一方(a)、酸化亜鉛(b)および酸化物(c)以外の第4の成分を含有させてもよい。この成分としては、ナトリウム、カリウム、セシウムなどのアルカリ金属類、酸化物(c)において選ばれた周期律表第2族〜第6族、第8族〜第10族の元素以外の元素、およびこれらの酸化物等が挙げられる。この第4の成分を触媒に含有させることにより、触媒の効果の持続性向上や触媒の安定性向上が期待される。
<触媒の好ましい態様2>
また、公知の方法で調製した銅および酸化銅の少なくとも一方(a)と酸化亜鉛(b)とを含む触媒と、別途公知の方法で調製した周期律表第2族〜第6族、第8族〜第10族の元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物(c)を含む物質または触媒とを混合して得られた触媒も、本発明に使用される触媒の好ましい態様のひとつである。
本発明で使用される銅および酸化銅の少なくとも一方(a)と酸化亜鉛(b)とを含む触媒としては、上記の公知の方法(共沈法、含浸法、混練法など)で製造された触媒や、市販されているもの(例えば、日揮化学(株)製F10Gやズードケミー触媒(株)製シフトマックス210等)を使用することができる。
また、酸化物(c)を含む物質または触媒としては、例えば以下のものを使用することができる。
(1)周期律表第2族〜第6族、第8族〜第10族の元素の酸化物
(2)これらの元素の複数種の酸化物の混合物(例えば、ズードケミー触媒(株)製N−150、N850等)
(3)銅および酸化銅の少なくとも一方と周期律表第2族〜第6族、第8族〜第10族の元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物(c)とを含む触媒、すなわち上記の公知の方法(共沈法、含浸法、混練法など)で製造された触媒や、市販されている触媒(例えば、ズードケミー触媒(株)製N−140、N−840等)。
これら本発明で使用される触媒に含まれる銅および酸化銅の少なくとも一方(a)と酸化亜鉛(b)との重量比(銅および酸化銅の少なくとも一方(a):酸化亜鉛(b))に特に制限はないが、6:1〜6:35の範囲にあることが望ましく、5:1〜5:15の範囲にあることがより望ましく、3:1〜3:7の範囲にあることがさらに望ましく、2:1〜2:4の範囲にあることが特に望ましい。重量比が上記の範囲にある触媒を使用すると、高収率で触媒反応が進行する。なお、ここで銅および酸化銅の少なくとも一方(a)の重量は、酸化物(c)を含む物質または触媒に銅および酸化銅の少なくとも一方が含まれる場合には、銅および酸化銅の少なくとも一方(a)と酸化亜鉛(b)とを含む触媒中の銅および酸化銅の重量と、酸化物(c)を含む物質または触媒中の銅および酸化銅の重量との合計を指す。
また、本発明で使用される触媒に含まれる銅および酸化銅の少なくとも一方(a)と酸化物(c)との重量比(銅および酸化銅の少なくとも一方(a):酸化物(c))に特に制限はないが、100:1〜1.5:1の範囲にあることが望ましく、100:1〜4:1の範囲にあることがより望ましく、100:1〜5:1の範囲にあることがさらに望ましい。重量比が上記の範囲にある触媒を使用すると、高収率で触媒反応が進行する。なお、ここで銅および酸化銅の少なくとも一方(a)の重量は、酸化物(c)を含む物質または触媒に銅および酸化銅の少なくとも一方が含まれる場合には、銅および酸化銅の少なくとも一方(a)と酸化亜鉛(b)とを含む触媒中の銅および酸化銅の重量と、酸化物(c)を含む物質または触媒中の銅および酸化銅の重量との合計を指す。
上記記載の酸化物(c)は、マグネシウム、カルシウム、バリウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、コバルトおよびニッケルからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物であることが望ましく、マグネシウム、鉄、タングステン、バナジウム、コバルトおよびニッケルからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物であることがより望ましい。
また、本発明で使用される触媒中に本反応を阻害しない程度に、銅および酸化銅の少なくとも一方(a)、酸化亜鉛(b)および酸化物(c)以外の第4の成分を含有させてもよい。この成分としては、ナトリウム、カリウム、セシウムなどのアルカリ金属類、酸化物(c)において選ばれた周期律表第2族〜第6族、第8族〜第10族の元素以外の元素、およびこれらの酸化物等が挙げられる。この成分を触媒に含有させることにより、触媒の効果の持続性向上や触媒の安定性向上が期待される。
[反応]
本発明の製造方法においては、銅および酸化銅の少なくとも一方(a)と、酸化亜鉛(b)と、酸化物(c)とを含む触媒の存在下でグリセリンに対して接触水素添加をする。
本発明で用いる上記触媒はそのまま利用してもよいが、取扱い性の改善、触媒の安定性改善、反応効率の改善などのため公知の方法(例えば、触媒講座5、触媒設計、第4章、116ページ、触媒学会編、講談社、1985年刊参照)で成形してもよい。成形して触媒の粒子径および形状をどのようにするかは、反応の様式および反応器の形状によって任意に選択しうる。
成形の際、適当なバインダーを用いることもできる。バインダーは固体を結合させ触媒の機械的強度を増強させる目的で用いられるものである。本発明に係わる反応を阻害しないものであれば無機物、有機物のいずれでも、バインダーとして使用できる。バインダーの具体例としては、粘土、カオリン、タルク、ベントナイト、アルミナゾル、ジルコニアゾル、ケイ酸塩、炭化ケイ素、有機ポリマーなどが挙げられる。
本発明の製造方法ではグリセリンを接触水素添加してプロピレングリコールを得る。前記グリセリンは単独、水溶液又は有機溶剤との溶液のいずれの状態でも用いることができる。水又は有機溶剤の使用量は特に制限はないが、グリセリン100重量%に対して通常5〜90重量%である。容積効率や反応速度の観点から、好ましくは、10〜70重量%である。
本発明の製造方法を実施する反応装置としては、バッチ式反応装置(たとえばオートクレーブ)、固定床連続反応装置(固定床触媒反応器を備えている)、流動床連続反応装置(流動床触媒反応器を備えている)および移動床連続反応装置(移動床触媒反応器を備えている)等を挙げることができる。
反応効率の観点からは、固定床連続反応装置、流動床連続反応装置または移動床連続反応装置を使用することが望ましく、設備が簡単な固定床連続反応装置を使用することがより望ましく、トリクルベッド式固定床連続反応装置を使用することがさらに望ましい。
本発明において連続反応装置を使用する場合、連続反応装置に備えられた反応器には、あらかじめグリセリンを水素化できる固体触媒が充填されており、そこにグリセリンと水素とが連続的に供給される。エネルギー効率の観点からは、グリセリンをあらかじめ気化器等で気化させることなく液体状の反応液として反応器に供給することが望ましい。従って、固定床触媒反応器内では気液固三相状態で反応が進行するため、連続反応装置として、特にトリクルベッド式固定床連続反応装置を用いることが望ましい。
また、バッチ式の反応装置を用いる場合は、反応装置の中にグリセリンを水素化できる固体触媒と、グリセリンを含む反応液とを装入し、更に水素を供給する。
反応器には、本発明の効果を損なわない限り、反応条件調整等のために窒素等の不活性ガスを更に供給してもよい。また、グリセリンや水素には本発明の効果を損なわない程度に他の成分が含まれていてもよい。
例えばグリセリンには、原料に由来する化合物であって、触媒劣化等を引き起こす不純物(例えば、長鎖脂肪酸、金属塩、硫酸、チオールおよびチオエーテル等の含硫黄化合物、ならびにアミンなどの含窒素化合物等)が含まれる場合がある。このような不純物の除去には、例えば蒸留、吸着、イオン交換、晶析、抽出等の公知の分離方法を用いることができる。各種分離方法のうち、精製効率、経済性の観点から、蒸留法を用いるのが望ましい。このような分離方法を実施しても、グリセリンから完全に不純物を分離することは困難であるので、上記のように、グリセリンには本発明の効果を損なわない程度に他の成分(不純物等)が含まれていてもよいのである。
触媒の使用量は、例えば、バッチ式反応装置の場合、グリセリン100重量%に対して、通常0.1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%である。
本発明において触媒を反応器に装入する方法について特に制限はない。例えば、触媒の好ましい態様2で説明した触媒を用いる場合、公知の方法で調製した、銅および酸化銅の少なくとも一方(a)と酸化亜鉛(b)とを含む触媒と、別途公知の方法で調製した酸化物(c)を含む物質または触媒とを混合してから反応器に装入してもよい。また、例えば、銅および酸化銅の少なくとも一方(a)と酸化亜鉛(b)とを含む触媒と、銅および酸化銅の少なくとも一方と酸化物(c)とを含む触媒とを用いる場合、固定床反応器に、それぞれを交互に装入してそれぞれの触媒が層状になるようにしてもよい。
本発明で使用される触媒を反応に用いるに際しては、そのまま反応に用いてもよいし、反応で利用する前に予め水素による還元で活性化し、触媒中に含有される金属化合物を完全にまたは部分的に金属に還元してから用いてもよい。一般にこの還元は100〜400℃で触媒を水素ガスと接触させることにより行なわれる。
また、触媒の好ましい態様2で説明した触媒を使用する場合には、銅および酸化銅の少なくとも一方(a)と酸化亜鉛(b)とを含む触媒のみに対して還元操作を行い、還元操作を経た触媒に酸化物(c)を含む物質または触媒を混合してもよいし、銅および酸化銅の少なくとも一方(a)と酸化亜鉛(b)とを含む触媒と、酸化物(c)を含む物質または触媒とを混合して得られた触媒に対して還元操作を行ってもよい。さらに、銅および酸化銅の少なくとも一方(a)と酸化亜鉛(b)とを含む触媒と、銅および酸化銅の少なくとも一方と酸化物(c)とを含む触媒に対してそれぞれ還元操作を行った後にそれら還元操作を経た2種類の触媒を混合してもよい。
通常、反応は、連続条件下又はバッチ式に、液相で、100〜350℃の範囲、好ましくは150〜300℃の範囲、より好ましくは150〜250℃の範囲の反応温度で実施することができる。
連続条件下又はバッチ式の場合、反応は一般に水素圧1〜30MPa、好ましくは2〜20MPa、より好ましくは3〜15MPaで実施される。このような範囲の圧力では反応速度が十分に速く、効率よくプロピレングリコールを得ることができる。
反応時間はバッチ反応の場合,通常1〜20時間である。
また,連続式反応の場合,反応における固体触媒の単位重量あたりのグリセリンの供給速度(LHSV)は、0.05hr-1以上100hr-1以下であることが望ましく、0.1hr-1以上50hr-1以下であることがより望ましい。
さらに、連続式反応における反応器に供給する反応液の反応器中での平均移動線速は、特に制限されるものではない。例えば、同じLHSVにおいても反応器の形状により変化し得る。本発明においてはグリセリンの反応効率の観点から望ましくは2cm/分〜100cm/分であり、より望ましくは5cm/分〜100cm/分である。
本発明において連続反応装置を用いる場合、使用される反応器は、単一の反応器であっても、複数の反応器からなっていてもよい。特に複数の反応器からなる場合、直列に反応器を設置しても、並列に反応器を設置してもよい。直列に反応器を設置することにより、反応条件をより精密に制御可能である。また、並列に反応器を設置することにより、例えば、一方の反応器でグリセリンの接触水添反応を行い、他方の反応器で劣化した触媒の再生運転等を行い、これらの運転を切り替えながら行うことによりプロピレングリコールの生産量を一定に維持することが可能となる。
本発明の製造方法では上述のように、グリセリンを気化せずとも、高収率でグリセリンからプロピレングリコールを製造することができるが、もちろん、グリセリンを気化して接触水素添加を気相で行ってもよい。
以下実施例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。尚、グリセリンの転化率およびプロピレングリコールの収率はガスクロマトグラフィー(ガスクロマトグラフ装置:島津社製GC−14A、カラム:アジレント社製HP−INNOWAX、検出器:FID)で算出した。プロピレングリコールの選択率は前記転化率及び収率から算出した。
[実施例1]
硝酸第二銅三水和物9.1g、硝酸亜鉛六水和物11.0gおよび硝酸鉄(III)九水和物3.2gを28%アンモニア水100ml中で反応させることにより生じた沈殿を濾過洗浄し、120℃で6時間乾燥し、さらに400℃で3時間焼成した。得られた固体の元素分析値より、該固体は酸化銅:酸化亜鉛:酸化鉄(III)=45:45:10(重量比)である触媒であった。
グリセリン24g、蒸留水6gおよび上記で得られた触媒1.20gを量り取り、電磁誘導回転撹拌装置の付いたSUS316製の100mlオートクレーブに装入した。
オートクレーブ内部を窒素で置換した(10MPa×5回)後、水素で置換(10MPa×5回)を行い、最後に室温で内圧10MPaになるまで水素を充填し、オートクレーブを密閉した。オートクレーブ内部の触媒を含む反応液を撹拌速度450rpmで撹拌しながら、オートクレーブを200℃まで加熱して接触水素添加反応を実施した。12時間後、加熱を停止し、自然放冷でオートクレーブを冷却し、オートクレーブ内の温度が30℃以下に下がってから内部を窒素置換して開封した。内容物をろ過して触媒を除去し、得られた反応液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、グリセリンの転化率は91.9%、プロピレングリコールの収率は88.6%であった。
[実施例2〜9、比較例1〜2]
実施例2〜9および比較例1〜2では、用いる触媒を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして反応を実施した。実施例1とあわせて結果を表1に示す。なお、各触媒は実施例1と同様に共沈法で製造した。
Figure 0005486491
[実施例10]
実施例1で使用した触媒と同一組成の触媒を、錠剤成形器を用いて0.5mmHg(66.7Pa)の減圧下に、5MPaの圧力で5分間圧縮した後、触媒を粉砕し、篩い分けを行った。0.25mmの篩いを通過せず,0.5mmの篩いを通過した部分を集めたところ、その嵩密度は0.85g/cm3であった。これを成形された触媒として反応に用いた。
内径9mmの反応管を有するハステロイC276製固定床連続反応装置に上記で得られた成形された触媒5.0g(5.9ml)を充填し、触媒充填部を195℃に加熱した。この触媒充填部に80重量%グリセリン水溶液を3g/hr(LHSV=0.6hr-1)、および水素を50ml/min供給し(水素/グリセリン供給モル比=5.2/1)、反応を開始した。反応中、反応管内の圧力を3MPaに保った。5時間後、反応管から流出する液を1時間かけて捕集し、その捕集液(反応物)の分析を行ったところ、グリセリンの転化率は92.1%、プロピレングリコールの収率は85.0%であり、プロピレングリコールの選択率は92.3%であった。
[比較例3]
実施例10で使用した成形された触媒の代わりに,比較例2で使用した触媒と同一組成の触媒を実施例10と同様に成形して得られる成形された触媒5.0g(5.9ml)を使用した以外は実施例10と同様にして反応を行った。5時間後、反応管から流出する液を1時間かけて捕集し、その捕集液(反応物)の分析を行ったところ、グリセリンの転化率は76.7%、プロピレングリコールの収率は71.3%であり、プロピレングリコールの選択率は93.0%であった。

Claims (4)

  1. (a)銅および酸化銅の少なくとも一方と、
    (b)酸化亜鉛と、
    (c)マグネシウム、カルシウム、バリウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、コバルトおよびニッケルからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物と
    を含む触媒の存在下で、かつ、連続反応装置を用いた連続条件下で、グリセリンを接触水素添加してプロピレングリコールを得る工程を含むことを特徴とするプロピレングリコールの製造方法。
  2. 前記触媒における銅および酸化銅の少なくとも一方(a)と酸化亜鉛(b)との重量比(銅および酸化銅の少なくとも一方(a):酸化亜鉛(b))が、6:1〜6:35の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のプロピレングリコールの製造方法。
  3. 前記触媒における銅および酸化銅の少なくとも一方(a)と酸化物(c)との重量比(銅および酸化銅の少なくとも一方(a):酸化物(c))が、100:1〜1.5:1の範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載のプロピレングリコールの製造方法。
  4. 前記接触水素添加を、反応温度100〜350℃、水素圧1〜30MPaで行うことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のプロピレングリコールの製造方法。
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