以下、本発明に係る放射線画像撮影システム及び放射線画像撮影方法について、このシステムに用いられる放射線検出装置との関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る放射線画像撮影システム10(以下、「撮影システム10」ともいう)が設置された手術室12には、患者14が横臥するベッドである手術台16と、医師18が手術に使用する各種器具を載置する器具台20とが配置されている。また、手術台16の周りには、図示しない麻酔器、吸引器、心電計、血圧計等、手術に必要な様々な機器が配置される。
撮影システム10は、撮影条件に従った線量の放射線Xを被写体である患者14に照射する撮影装置(放射線照射装置)22と、患者14を透過した放射線Xを検出する放射線検出器40(図2参照)を内蔵した放射線検出装置である電子カセッテ24と、電子カセッテ24に内蔵されたバッテリ44(図2参照)へと電力を無線(非接触)で供給する給電装置(無線給電装置)25と、放射線検出器40で検出された放射線Xに基づく放射線画像を表示する表示装置26と、当該撮影システム10を総合的に制御するコンソール(制御装置)28とを備える。撮影システム10において、撮影装置22、電子カセッテ24、給電装置25、表示装置26及びコンソール28間は、例えば、UWB(Ultra Wide Band)を用いた無線通信により信号の送受信を行うことができる。
撮影装置22は、天井から延びた自在アーム30に連結され、患者14の撮影部位に応じた所望の位置に移動可能であると共に、医師18による手術の邪魔とならない位置に待避可能である。同様に、給電装置25は自在アーム31に連結され、電子カセッテ24の配置に応じた所望の位置に移動可能である。表示装置26は自在アーム32に連結され、表示される放射線画像を医師18が容易に確認できる位置に移動可能である。自在アーム30〜32は、壁や床又は移動可能なワゴン等に設けてもよく、給電装置25や表示装置26は、自在アームを介さずに天井や壁、床等に固定しておいてもよい。なお、給電装置25は、放射線検出装置(電子カセッテ24等)へ印加する磁場Mが患者14を避けるように、例えば、当該放射線検出装置の側面水平方向(図1及び図13参照)や底面下方(図14参照)等に配置されることが好ましい。
図2は、図1の電子カセッテ24の一部切断斜視説明図である。電子カセッテ24は、放射線Xを透過させる材料からなる箱状のケーシング34を備える。ケーシング34の内部には、放射線Xが照射される照射面36側から順に、患者14による放射線Xの散乱線を除去するグリッド38と、患者14を透過した放射線Xを検出する放射線検出器40と、放射線Xのバック散乱線を吸収する鉛板42とが層状に配設される。ケーシング34の照射面36をグリッド38として構成することもできる。
また、電子カセッテ24には、電源部として機能するバッテリ44と、バッテリ44からの電力によって放射線検出器40の駆動制御等を行うカセッテ制御部46と、放射線検出器40で検出した放射線Xの情報(放射線画像情報)を含む信号をコンソール28との間で無線によって送受信する送受信機48とが備えられる。バッテリ44、カセッテ制御部46及び送受信機48には、放射線Xが照射されることによる損傷を回避するため、照射面36側に鉛板等を配設しておくことが好ましい。さらに、電子カセッテ24には、給電装置25で電気エネルギから変換され、無線によって印加される磁場(磁界、磁束)Mを受電し、該磁場Mを電気エネルギに再変換する無線受電部49等が設けられる。
図3は、放射線検出器40の回路構成ブロック図である。放射線検出器40は、放射線Xを感知して電荷を発生させるアモルファスセレン(a−Se)等の物質からなる光電変換層51を行列状の薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)52のアレイの上に配置した構造を有し、発生した電荷を蓄積容量(蓄積部)53に蓄積した後、各行毎にTFT52を順次オンにして、電荷を画像信号として読み出す。図3では、光電変換層51及び蓄積容量53からなる1つの画素50と1つのTFT52との接続関係のみを示し、その他の画素50の構成については省略している。なお、アモルファスセレンは、高温になると構造が変化して機能が低下してしまうため、所定の温度範囲内で使用する必要がある。従って、電子カセッテ24内に放射線検出器40を冷却する手段を配設することが好ましい。
各画素50に接続されるTFT52には、行方向と平行に延びるゲート線54と、列方向と平行に延びる信号線56とが接続される。各ゲート線54は、ライン走査駆動部58に接続され、各信号線56は、読取回路を構成するマルチプレクサ66に接続される。
ゲート線54には、行方向に配列されたTFT52をオンオフ制御する制御信号Von、Voffがライン走査駆動部58から供給される。この場合、ライン走査駆動部58は、ゲート線54を切り替える複数のスイッチSW1と、スイッチSW1の1つを選択する選択信号を出力するアドレスデコーダ60とを備える。アドレスデコーダ60には、カセッテ制御部46からアドレス信号が供給される。
また、信号線56には、列方向に配列されたTFT52を介して各画素50の蓄積容量53に保持されている電荷が流出する。この電荷は、増幅器62によって増幅される。増幅器62には、サンプルホールド回路64を介してマルチプレクサ66が接続される。マルチプレクサ66は、信号線56を切り替える複数のスイッチSW2と、スイッチSW2の1つを選択する選択信号を出力するアドレスデコーダ68とを備える。アドレスデコーダ68には、カセッテ制御部46からアドレス信号が供給される。マルチプレクサ66には、A/D変換器(A/D変換部)70が接続され、A/D変換器70によってデジタル信号に変換された放射線画像情報がカセッテ制御部46に供給される。
さらに、スイッチング素子として機能するTFT52は、CMOS(Complementary Metal−Oxside Semiconductor)イメージセンサ等、他の撮像素子と組み合わせて実現してもよい。さらにまた、TFTで言うところのゲート信号に相当するシフトパルスにより電荷をシフトしながら転送するCCD(Charge−Coupled Device)イメージセンサに置き換えることも可能である。
図4は、撮影装置22、電子カセッテ24、給電装置25、表示装置26及びコンソール28からなる撮影システム10のブロック説明図である。
コンソール28には、病院内の放射線科で取り扱われる放射線画像情報やその他の情報を統括的に管理する放射線科情報システム(RIS)29が接続され、RIS29には、病院内の医事情報を統括的に管理する医事情報システム(HIS)33が接続される。
撮影装置22は、撮影スイッチ72と、放射線源74と、送受信機76と、線源制御部78とを有する。送受信機76は、無線通信によってコンソール28から撮影条件を受信する一方、コンソール28に対して撮影完了信号等を送信する。線源制御部78は、撮影スイッチ72から供給される撮影開始信号及びコンソール28から供給される撮影条件に基づき放射線源74を駆動制御する。放射線源74は、線源制御部78からの制御に基づき放射線Xを出力する。
給電装置25は、図示しない外部電源等に接続された電源80と、無線通信によってコンソール28から給電開始信号等を受信する一方、コンソール28に対して当該給電装置25のID情報(識別データ)等を送信する送受信機82と、電源80からの電気エネルギを磁場Mに変換して電子カセッテ24へと無線で送電するLC共振器(送電部)84と、コンソール28から供給される給電開始信号に基づきLC共振器84を駆動制御する給電制御部86とを備える。
図5は、本実施形態に係る放射線検出装置としての電子カセッテ24の構成をより具体的に示した撮影システム10のブロック説明図である。
図4及び図5に示すように、電子カセッテ24は、放射線検出器40と、バッテリ44と、無線受電部49と、カセッテ制御部46と、送受信機48とを備える。
バッテリ44は、リチウムイオン電池等の充電可能な2次電池で構成され、放射線検出器40、カセッテ制御部46及び送受信機48等、電子カセッテ24の各部に電力を供給する電源である。バッテリ44としては、2次電池以外にも、例えば、電気二重層コンデンサ等の蓄電素子を使用することもでき、要は、充電可能であり且つ電子カセッテ24の電源として適切に機能するものであればよい。
無線受電部49は、給電装置25から無線で供給される電力を受電し、バッテリ44へと充電する機能を有する。該無線受電部49は、給電装置25のLC共振器84から印加される磁場Mを受けて電気エネルギに再変換するLC共振器88と、LC共振器88で再変換された電気エネルギを所望の電力に変換してバッテリ44への供給する充電回路90とを有する。充電回路90は、LC共振器88で発生した電流を整流して、例えば、所定の定電流でバッテリ44を充電する。
さらに、無線受電部49には、LC共振器88と並設され、該LC共振器88より小型の検出用LC共振器94と、検出用LC共振器94で再変換された電気エネルギを検出するエネルギ検出部96とが備えられる。エネルギ検出部96は、前記電気エネルギを検出することにより、当該電子カセッテ24が給電装置25の給電可能エリア内にあることを検出し、カセッテ制御部46へと給電エリア検出信号を送信する。
上記のように、給電装置25から電子カセッテ24に対しては、コイルとコンデンサを有するLC共振回路で構成されたLC共振器84からLC共振器88への磁場Mの共鳴を利用する公知の電力送信技術を用い、無線による給電(充電)を行うことができる。
図5に示すように、カセッテ制御部46は、アドレス信号発生部98と、画像メモリ100と、運転管理部102と、カセッテIDメモリ104と、データ管理部106とを備える。アドレス信号発生部98は、放射線検出器40を構成するライン走査駆動部58のアドレスデコーダ60及びマルチプレクサ66のアドレスデコーダ68に対して、アドレス信号を供給する。画像メモリ100は、放射線検出器40によって検出された放射線画像情報を記憶する。
運転管理部102は、無線受電部49及びバッテリ44を駆動制御すると共に、当該電子カセッテ24全体の駆動も制御する。
送受信機48は、コンソール28とのデータ通信を行うための通信リンクの確立や通信リンクの解放、並びにデータの送受信も行う。すなわち、送受信機48は、運転管理部102から通信要求信号が入力された時点でコンソール28とのデータ通信を行う前に通信リンクの確立を行い、コンソール28とのデータ通信が終了したら通信リンクの解放を行う。
例えば図6に示すように、通信リンクの確立は、コンソール28に向けて通信リンクの確立のための確立要求信号を出力し、コンソール28からのアンサー信号(1)を待つ。アンサー信号(1)が受信された段階で、通信リンクが確立されることになる。その後、実際の放射線画像情報の送信が行われ、放射線画像情報の送信が終了した段階で、通信リンクの解放を行う。通信リンクの解放は、コンソール28に向けて通信リンクの解放のための解放要求信号を出力し、コンソール28からのアンサー信号(2)を待つ。アンサー信号(2)が受信された段階で、通信リンクが解放されることになる。
さらに、運転管理部102には、送受信機48によって、電子カセッテからコンソールに放射線画像情報の送信が行われているか否か(つまり、送信中か否か)を判定する送信状態判定部107と、送信状態判定部107で送信中と判定された場合に給電装置25によるバッテリ44への給電(充電)を禁止するための給電禁止信号を発生する信号発生部(給電禁止信号発生部)109とが設けられる。さらに、前記信号発生部109は、前記送信状態判定部107で送信中ではない(つまり、非送信中)と判定された場合に給電装置25によるバッテリ44への給電を許可するための給電許可信号を発生する給電許可信号発生部としての機能も有する。このように送信状態判定部107での判定結果を受けて給電禁止信号や給電許可信号を発生する信号発生部109は、各信号に対応するように複数の信号発生部として構成することもできる。
送信状態判定部で判定される送信中には、通信開始時点から通信終了時点までの期間が含まれる。つまり、通信開始時点から通信終了時点までの期間は、送信状態判定部107において、放射線画像情報の送信中として判定されることになる。
そして、通信開始時点は、電子カセッテ24の送受信機48から通信リンクの確立を要求するための確立要求信号が出力された時点、電子カセッテ24の送受信機48に通信リンクが確立されたことを示すアンサー信号(1)が入力された時点、通信リンクが確立した後の放射線画像情報の送信開始時点のうち、いずれかの時点である。どの時点を通信開始時点にするかは、電子カセッテ24や撮影システム10の仕様、無線給電の際に出力される電力の大きさ等に応じて適宜選択することができる。
通信終了時点は、放射線画像情報の送信終了時点、電子カセッテ24の送受信機48から通信リンクの解放を要求するための解放要求信号が出力された時点、電子カセッテ24の送受信機48に通信リンクが解放されたことを示すアンサー信号(2)が入力された時点のうち、いずれかの時点である。どの時点を通信終了時点にするかは、上述と同様に、電子カセッテ24や撮影システム10の仕様、無線給電の際に出力される電力の大きさ等に応じて適宜選択することができる。
信号発生部109で発せられた給電禁止信号や給電許可信号はコンソール28へと送信され、該コンソール28によって給電装置25からの無線給電の禁止(停止)制御や、開始(再開)制御が行われる。なお、コンソール28を介さず、給電禁止信号や給電許可信号を電子カセッテ24から給電装置25へと直接的に送信し、例えば、給電制御部86によって給電禁止制御や給電開始制御を行うように構成してもよい。
カセッテIDメモリ104は、電子カセッテ24を特定するためのカセッテID情報を記憶する。データ管理部106は、当該電子カセッテ24の給電に対応する給電装置25を特定するためのID情報(識別データ)及びエネルギ検出部96からの給電エリア検出信号等を管理する。
送受信機48は、無線通信によりコンソール28から送信要求信号及び給電装置25のID情報を受信する一方、コンソール28に対して、放射線画像情報、カセッテID情報、無線給電可能信号、給電禁止信号及び給電許可信号等を送信する。
表示装置26は、コンソール28からの放射線画像情報を受信したり、データ通信のための各種信号を出力する送受信機110と、受信した放射線画像情報の処理を行う表示制御部112と、表示制御部112で処理された放射線画像情報を表示する表示部114とを備える。
コンソール28は、送受信機116と、撮影条件管理部118と、画像処理部120と、画像メモリ122と、患者情報管理部124と、カセッテ情報管理部126と、給電情報管理部128とを備える。なお、コンソール28は、撮影装置22、電子カセッテ24、給電装置25及び表示装置26に対して信号の送受信を確実に行うことができるのであれば、手術室12の外部に設置してもよい。
送受信機116は、当該コンソール28と、撮影装置22、電子カセッテ24、給電装置25及び表示装置26との間で、放射線画像情報や給電禁止信号、給電許可信号を含む必要な情報を無線通信によって送受信する。撮影条件管理部118は、撮影装置22による撮影に必要な撮影条件を管理する。画像処理部120は、電子カセッテ24から受信した放射線画像情報に対し、所定の画像処理を行う。画像メモリ122は、画像処理部120で処理された放射線画像情報を記憶する。患者情報管理部124は、撮影対象である患者14の患者情報を管理する。カセッテ情報管理部126は、電子カセッテ24から受信した無線給電可能信号やカセッテID情報を含むカセッテ情報を管理する。給電情報管理部128は、給電装置25の運転制御や給電装置25から送信されたID情報等の管理等を行うと共に、さらに、信号発生部109から受信した給電禁止信号や給電許可信号に基づく給電装置25の給電禁止制御や給電開始制御(給電再開制御)を行う。
なお、前記撮影条件とは、患者14の撮影部位に対して、適切な線量からなる放射線Xを照射するための管電圧、管電流、照射時間等を決定するための条件であり、例えば、撮影部位、撮影方法等の条件を挙げることができる。前記患者情報とは、患者14の氏名、性別、患者ID番号等、患者14を特定するための情報である。これらの撮影条件及び患者情報を含む撮影のオーダリング情報は、コンソール28で直接設定し、あるいは、RIS29を介してコンソール28に外部から供給することができる。また、前記カセッテ情報には、電子カセッテ24を特定するためのカセッテID情報等に加え、データ管理部106からの無線給電可能信号も含まれる。
本実施形態に係る撮影システム10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作について図7のフローチャートも参照しながら説明する。
撮影システム10は、手術室12に設置されており、例えば、手術中に放射線画像の撮影が必要となった際に使用される。そのため、撮影対象である患者14の患者情報は、撮影に先立ち、コンソール28の患者情報管理部124に予め登録しておく。また、撮影部位や撮影方法が事前に決まっている場合には、これらの撮影条件を撮影条件管理部118に予め登録しておく。以上の準備作業が終了した状態で患者14に対する手術が遂行される。
先ず、図7のステップS1において、医師18又は担当する放射線技師は、手術中に放射線画像の撮影を行う際には、照射面36を撮影装置22側に向けた状態で、患者14と手術台16との間の所望の位置に電子カセッテ24を設置する。
ここで、コンソール28の運転開始と連動して、又は図示しない運転開始スイッチの操作等により、給電装置25が所定の運転条件(低出力運転)で駆動される。従って、電子カセッテ24は、無線受電部49の検出用LC共振器94及びエネルギ検出部96により、当該電子カセッテ24が給電装置25の給電可能エリア内に配置されたことを検出することができる。すなわち、エネルギ検出部96が、電子カセッテ24が給電装置25から受電可能なエリアにあるか否かを検出する受電可否検出部として機能する。この際、給電装置25の給電制御部86は、電子カセッテ24の検出用LC共振器94及びエネルギ検出部96がLC共振器84からの磁場Mの有無を検出できる程度の弱い磁場Mを印加する低出力運転を行い、電力消費量を有効に抑えている。
一方、電子カセッテ24では、エネルギ検出部96からデータ管理部106へと給電エリア検出信号が供給される。給電エリア検出信号を受けたデータ管理部106は、給電情報管理部128に記憶された給電装置25のID情報をコンソール28から受信する一方、無線給電可能信号をコンソール28のカセッテ情報管理部126へと送信する。
さらに、前記給電エリア検出信号は、エネルギ検出部96から運転管理部102にも伝達される。給電エリア検出信号を受けた運転管理部102では、当該電子カセッテ24を使用可能な状態へと電源ONし、これにより撮影準備が完了される。勿論、電子カセッテ24の側面等に、医師18等が操作する図示しない電源スイッチを設けることもできる。
撮影システム10では、上記のような撮影準備が完了した後、カセッテ制御部46又はカセッテ情報管理部126によるバッテリ44の残量管理下に(ステップS2)、当該バッテリ44の充電が必要と判断された場合には(ステップS2のNO)、給電開始信号がコンソール28のカセッテ情報管理部126から給電装置25の給電制御部86へと送信される。これにより、撮影システム10では、給電装置25による所望の電力量及びタイミングでの電子カセッテ24への給電(充電)を行うことができる(ステップS3)。なお、手術中、バッテリ44の残量が不足した際等には、電子カセッテ24を所定の撮影位置に配置した状態のまま適宜充電することができる。勿論、撮影準備中(電子カセッテ24の設置作業中)や撮影開始前であっても、バッテリ44の残量が不足している場合には、手術開始前や手術開始後において、すぐに無線充電を実行し、迅速に撮影準備を完了することができる。
電子カセッテ24への無線給電に際しては、LC共振器84から電子カセッテ24へと印加される磁場Mを、前記低出力運転よりも十分に強い磁場に変更した所定の運転条件(高出力運転、給電運転)で給電装置25が駆動制御されるとよい。また、電子カセッテ24では、LC共振器88と共に、検出用LC共振器94で受けた電力も充電回路90からバッテリ44への充電に使用して、バッテリ44の一層急速な充電を行うこともできる。
なお、撮影システム10では、上記のようにコンソール28を介して電子カセッテ24と給電装置25との間で対応する給電装置25のID情報を確認できる。このため、例えば、給電装置を複数台設置した場合にも、対応する所望の給電装置から電子カセッテ24へと適切に且つ選択的に給電運転を行うことができ、無駄な電力消費や誤動作等を回避することができる。
バッテリ44が十分な残量を有していると判断され(ステップS2のYES)、続いて、ステップS4において放射線画像の撮影をする際には、医師18又は放射線技師は撮影装置22を電子カセッテ24に対向する位置に移動させた後、撮影スイッチ72を操作して、放射線画像の撮影を行う。
この場合、医師18等による撮影スイッチ72の操作に基づき、撮影装置22の線源制御部78は、コンソール28に対して撮影条件の送信を要求する信号を送信する。コンソール28は、受信した前記要求に基づいて、撮影条件管理部118に登録されている当該患者14の撮影部位に係る撮影条件を撮影装置22へと送信する。線源制御部78は、前記撮影条件を受信すると、当該撮影条件に基づいて放射線源74を制御し、所定の線量からなる放射線Xを患者14に照射(曝射)する。勿論、前記撮影条件は、予めコンソール28から線源制御部78の図示しないメモリ等に送信されていてもよい。
患者14を透過した放射線Xは、電子カセッテ24のグリッド38によって散乱線が除去された後、放射線検出器40に照射され、放射線検出器40を構成する各画素50の光電変換層51によって電気信号に変換された後、蓄積容量53に電荷として保持される(図3参照)。次いで、各蓄積容量53に保持された患者14の放射線画像情報である電荷情報(信号電荷)は、カセッテ制御部46を構成するアドレス信号発生部98からライン走査駆動部58及びマルチプレクサ66に供給されるアドレス信号に従って読み出される。
すなわち、ライン走査駆動部58のアドレスデコーダ60は、アドレス信号発生部98から供給されるアドレス信号に従って選択信号を出力してスイッチSW1の1つを選択し、対応するゲート線54に接続されたTFT52のゲートに制御信号Vonを供給する。一方、マルチプレクサ66のアドレスデコーダ68は、アドレス信号発生部98から供給されるアドレス信号に従って選択信号を出力してスイッチSW2を順次切り替え、ライン走査駆動部58によって選択されたゲート線54に接続された各画素50の蓄積容量53に保持された電荷情報である放射線画像情報を信号線56を介して順次読み出す。
放射線検出器40の選択されたゲート線54に接続された各画素50の蓄積容量53から読み出された放射線画像情報は、各増幅器62によって増幅された後、各サンプルホールド回路64によってサンプリングされ、マルチプレクサ66を介してA/D変換器70に供給され、デジタル信号に変換される。デジタル信号に変換された放射線画像情報は、カセッテ制御部46の画像メモリ100に一旦記憶される。
同様にして、ライン走査駆動部58のアドレスデコーダ60は、アドレス信号発生部98から供給されるアドレス信号に従ってスイッチSW1を順次切り替え、各ゲート線54に接続されている各画素50の蓄積容量53に保持された電荷情報である放射線画像情報を信号線56を介して読み出し、マルチプレクサ66及びA/D変換器70を介してカセッテ制御部46の画像メモリ100に記憶させる。
画像メモリ100に記憶された放射線画像情報は、無線通信によってコンソール28へと送信される。コンソール28に送信された放射線画像情報は、画像処理部120において所定の画像処理が施された後、患者情報管理部124に登録されている患者14の患者情報と関連付けられた状態で画像メモリ122に記憶される。
画像処理の施された放射線画像情報は、コンソール28から表示装置26へと送信される。放射線画像情報を受信した表示装置26は、表示制御部112によって表示部114を制御しつつ画像表示処理を行い、放射線画像を表示する。このため、医師18は、表示部114に表示された放射線画像を確認しながら手術を遂行することができる。
ところで、例えば、手術中に複数回の放射線画像撮影が行われ、電子カセッテ24のバッテリ44の残量が不足した場合であっても、当該撮影システム10では電子カセッテ24への無線給電ができる給電装置25を備えているため、電子カセッテ24を所定の撮影位置に設置した状態のまま適宜充電を行うことができる。
ところが、放射線画像情報の送信中に無線給電が実施された場合、バッテリ44から放射線検出器40に供給される電圧等が不安定となって大きく変動し、また、給電装置25から印加される磁場M等に起因したノイズが、送信中の放射線画像情報(送信信号)に影響を及ぼす可能性がある。この場合には、撮影された放射線画像にノイズが混入し、品質の高い放射線画像の取得が困難となる可能性がある。
そこで、本実施形態に係る撮影システム10は、上記した送信状態判定部107及び信号発生部109を設け、放射線画像情報の送信中か否かを考慮しながら放射線検出装置である電子カセッテ24への無線給電を制御する給電禁止制御及び給電開始制御を実施する。
すなわち、撮影システム10では、放射線画像の撮影に際し、医師18等によって撮影スイッチ72が操作され、又は、撮影装置22の線源制御部78によるコンソール28への撮影条件の送信要求がなされた際等、実質的な撮影準備が開始されると、コンソール28は、撮影装置22の制御を行うと同時に又は撮影装置22の制御に先立ち、電子カセッテ24に対しても撮影開始信号を送信してカセッテ制御部46を駆動制御し、当該電子カセッテ24を撮影準備完了状態とする(ステップS1〜S2)。
ここで、電子カセッテ24では、上記のステップS4で撮影が開始され、コンソール28からの撮影開始信号を受信すると、放射線検出器40等の駆動を行う。具体的には、患者14を透過した放射線Xが放射線検出器40に照射され、各画素50の光電変換層51によって電気信号に変換された後、蓄積容量53に電荷(信号電荷)として蓄積され、さらに、各画素50の蓄積容量53から読み出された放射線画像情報は、各増幅器62によって増幅された後、各サンプルホールド回路64によってサンプリングされ、マルチプレクサ66を介してA/D変換器70に供給され、デジタル信号に変換される。デジタル信号に変換された放射線画像情報は、カセッテ制御部46の画像メモリ100に一旦記憶される。画像メモリ100に記憶された放射線画像情報は、無線通信によってコンソール28へと送信される(ステップS5)。すなわち、送受信機は、コンソール28とのデータ通信を行う前に通信リンクの確立を行い、コンソール28とのデータ通信(放射線画像情報の送信)が終了したら通信リンクの解放を行う。
そして、電子カセッテの送信状態判定部は、放射線画像情報の送信中か否かを判別する(ステップS6)。この判別は、上述したように、通信開始時点から通信終了時点の期間内であるかどうかで行われる。
送信中と判定された場合には(ステップS6のYES)、該送信中との判定結果が送信状態判定部107から信号発生部109へと伝達されることで、信号発生部109は給電装置25による給電を禁止するための給電禁止信号を発生する(ステップS7)。次いで、給電禁止信号は電子カセッテ24からコンソール28へと送信される。コンソール28は給電禁止信号を受信すると、例えば給電情報管理部128の管理下に、給電装置25による給電を禁止する制御を行う(ステップS8)。なお、給電禁止信号は、電子カセッテ24から給電装置25へとコンソール28を介さずに直接的に送信され、給電装置25の給電制御部86や電子カセッテ24のカセッテ制御部46によって給電禁止制御が実行されるように構成してもよい。
従って、放射線画像情報の送信中に給電装置25による無線給電が実施されることが回避され、バッテリ44の電圧変動や磁場M等の影響により、取得される放射線画像にノイズの影響が生じることを防止することができる。
このような給電装置25の給電禁止制御は、通信開始時点から通信終了時点までの期間にわたって継続されることから、放射線画像情報が送信されている期間においては、確実に無線給電は行われない。
一方、ステップS8による給電禁止制御中にループしたステップS6において、通信終了時点が経過して、送信状態判定部107で放射線画像情報の送信中でない(非送信中)と判定された場合には、送信終了(非送信中)との判定結果が送信状態判定部108から信号発生部109へと伝達される。これにより、信号発生部109は給電装置25による給電の開始(再開)を許可する給電許可信号を発生する(ステップS9)。
給電許可信号は、電子カセッテ24からコンソール28へと送信され、例えば給電情報管理部128の管理下に、給電装置25による給電を開始する制御、又は給電をすぐに開始できるように給電装置25を給電開始待機状態(給電再開待機状態)にする制御が行われる(ステップS11)。これにより、放射線画像情報の送信中を避けながら、適切にバッテリ44への無線給電を実施することができる(ステップS12)。なお、上述の給電開始待機制御を実施した場合には、例えば、コンソール28が給電許可信号を受信した状態で、ステップS10に示すように、カセッテ制御部46やカセッテ情報管理部126によるバッテリ44の残量を考慮した上で、続いて給電開始制御を実施するとよい。また、給電許可信号は、電子カセッテ24から給電装置25へとコンソール28を介さずに直接的に送信され、給電装置25の給電制御部86や電子カセッテ24のカセッテ制御部46によって給電開始制御や給電開始待機制御が実行されてもよい。
このように、撮影システム10では、放射線画像情報の送信中に給電禁止制御を実施した場合であっても、撮影終了後には、バッテリ44への給電を迅速に行うことができる。このため、例えば、撮影で使用されてバッテリ44の残量が大幅に減り、次回の撮影前に迅速に充電をしておきたい場合等に、特に有効である。なお、上記したステップS1〜S12による撮影や給電が終了した後、再び撮影を行う予定がある場合等には、ステップS12(ステップS10)の終了後、ステップS1等の各手順へと戻ればよい。
また、このような撮影システム10では、バッテリ44への充電は、コンソール28の制御下に撮影時以外に適宜行うように構成してもよいことは言うまでもない。
以上のように、本実施形態に撮影システム10では、電子カセッテ24を患者14に対して所望の撮影位置に設置した状態であっても、給電装置25によって当該電子カセッテ24への給電を容易に行うことができる。このため、手術中に電子カセッテ24のバッテリ44への充電が必要となった場合であっても、当該電子カセッテ24を移動等させることなく充電を行うことができ、当該電子カセッテ24及び撮影システム10全体の取り扱い性を向上させることができる。さらに、電子カセッテ24のバッテリ44の残量不足による撮影及び手術の中断・延長を有効に回避することができる。
また、撮影システム10(電子カセッテ24)では、送信状態判定部107及び信号発生部109を備え、放射線画像情報の送信中に給電装置25が駆動され、バッテリ44への充電が行われることを防止している。このため、給電装置25からの無線送電に起因したノイズが、送信中の放射線画像情報に影響を及ぼすことを防止して、高品質な放射線画像の取得が可能になる。また、高品質な放射線画像を無線電力供給の影響による速度低下を招くことなく通信可能となる。この場合、送信中に給電装置25によるバッテリ44の充電動作が行われることを一層確実に回避するため、表示装置26の表示部114において、「送信中」や「給電中」との表示を行ってもよい。そうすると、医師18等が現在の状態を一層確実に且つ容易に把握することができ、より円滑に放射線撮影や無線充電を行うことができる。
さらに、送信状態判定部107及び信号発生部109では、非送信中(送信終了)と判定された場合に、給電の開始(再開)を許可する給電許可信号を発生することもできる。このため、例えば、撮影で使用されてバッテリ44の残量が大幅に減った場合であっても、撮影終了後に迅速に充電を行い、次の撮影に備えることができる。
また、撮影システム10では、対応する給電装置25の給電可能エリア内に電子カセッテ24が配置されると、コンソール28を介して自動的に電子カセッテ24と給電装置25との間での情報の送受信が行われ、電子カセッテ24が撮影可能な状態に駆動制御される。従って、電子カセッテ24に手動の電源スイッチ等を設けることを省略することができ、操作スイッチの操作忘れ等による撮影ミスの発生を防止することができる。このため、電子カセッテ24及び撮影システム10の取り扱い性を一層向上させることができる。
さらに、電子カセッテ24のエネルギ検出部96で所望の磁場Mが検出されない場合には、例えば、無線給電不能信号をデータ管理部106からカセッテ情報管理部126に送信し、さらに、前記の無線給電不能信号を表示装置26へと送信することにより、表示部114にて医師等にその旨を通知することができる。
なお、本実施形態に係る撮影システム10は、図8に示すように、給電装置25に送受信機85を設け、電子カセッテ24の検出用LC共振器94及びエネルギ検出部96(図5参照)の代わりに、送受信機95及び受電可否検出部97を設けた放射線画像撮影システム10aとして構成することもできる。
図4に示す撮影システム10では、電子カセッテ24が給電装置25の給電可能エリア内にあること、すなわち、電子カセッテ24が給電装置25から受電可能なエリアにあるか否かを検出する受電可否検出部として、検出用LC共振器94及びエネルギ検出部96を用いていた。
一方、図8に示す撮影システム10aでは、送受信機85、95間の通信により給電可能エリアを示す信号を送受信することができる。送受信機85から送受信機95への無線通信としては、例えば、指向性を持ち通信領域を制限することで他の無線通信に影響を及ぼさない方式を用いることが好ましい。また、送受信機85、95の代わりにLED(発光器)及び受光器を用いて同様の検出を行うことも可能である。
さらに、撮影システム10aでは、送受信機85、95による無線通信を用いることにより、給電開始直前に、給電装置25から電子カセッテ24側に給電開始信号を通知することもできる。そうすると、電子カセッテ24では、給電開始信号を受信した際に、送信状態判定部107で送信中と判定している場合には、信号発生部109からの給電禁止信号をコンソール28を介さずに直接的に給電装置25へと送受信機85、95によって返信することもでき、一層確実に撮影時の給電を回避することが可能となり、給電許可信号に基づく給電開始制御についても同様である。
図9は、図4に示す放射線画像撮影システム10の第2の変形例に係る放射線画像撮影システム10bのブロック説明図である。
上記した撮影システム10では、給電装置25の給電禁止制御に係る送信状態判定部107及び信号発生部109を電子カセッテ24に設けていた。これに対し、撮影システム10bでは、送信状態判定部107a及び信号発生部(給電禁止信号発生部、給電許可信号発生部)109aをコンソール28に設け、送信中の給電禁止制御及び非送信中の給電開始制御が行われる。
撮影システム10bにおいて、送信状態判定部107aは、電子カセッテ24との通信開始時点から通信終了時点までの期間を、放射線画像情報の送信中として判定する。ここで、図6に示すように、通信開始時点は、コンソール28の送受信機116に確立要求信号が入力された時点、コンソール28の送受信機116から通信リンクが確立されたことを示すアンサー信号(1)が出力された時点、通信リンクが確立した後の放射線画像情報の受信開始時点のうち、いずれかの時点である。どの時点を通信開始時点にするかは、電子カセッテ24や撮影システム10の仕様、無線給電の際に出力される電力の大きさ等に応じて適宜選択することができる。
通信終了時点は、放射線画像情報の受信終了時点、コンソール28の送受信機116に解放要求信号が入力された時点、コンソール28の送受信機116から通信リンクが解放されたことを示すアンサー信号(2)が出力された時点のうち、いずれかの時点である。どの時点を通信終了時点にするかは、上述と同様に、電子カセッテ24や撮影システム10の仕様、無線給電の際に出力される電力の大きさ等に応じて適宜選択することができる。
また、この撮影システム10bの送信状態判定部107aは、コンソール28から表示装置26に放射線画像情報の送信が行われているか否か(つまり、送信中か否か)を判定するようにしてもよい。この場合、コンソール28の送受信機116は、表示装置26とのデータ通信を行うための通信リンクの確立や通信リンクの解放、並びに放射線画像情報の送信を行う。すなわち、送受信機116は、画像処理部120から通信要求信号が入力された時点で表示装置26とのデータ通信を行う前に通信リンクの確立を行い、表示装置26とのデータ通信が終了したら通信リンクの解放を行う。
例えば図10に示すように、通信リンクの確立は、表示装置26に向けて通信リンクの確立のための確立要求信号を出力し、表示装置26からのアンサー信号(3)を待つ。アンサー信号(3)が受信された段階で、通信リンクが確立されることになる。その後、実際の放射線画像情報(例えば画像処理後の放射線画像情報)の送信が行われ、放射線画像情報の送信が終了した段階で、通信リンクの解放を行う。通信リンクの解放は、表示装置26に向けて通信リンクの解放のための解放要求信号を出力し、表示装置26からのアンサー信号(4)を待つ。アンサー信号(4)が受信された段階で、通信リンクが解放されることになる。
従って、この場合も、送信状態判定部107aは、表示装置26との通信開始時点から通信終了時点までの期間を、放射線画像情報の送信中として判定する。ここで、図10に示すように、通信開始時点は、コンソール28の送受信機116から確立要求信号が出力された時点、表示装置26の送受信機110から通信リンクが確立されたことを示すアンサー信号(3)が入力された時点、通信リンクが確立した後の放射線画像情報の送信開始時点のうち、いずれかの時点である。
通信終了時点は、放射線画像情報の送信終了時点、コンソール28の送受信機116から解放要求信号が出力された時点、表示装置26の送受信機110から通信リンクが解放されたことを示すアンサー信号(4)が入力された時点のうち、いずれかの時点である。
そして、コンソール28の送信状態判定部107aは、通信開始時点から通信終了時点の期間であれば、放射線画像情報の送信中と判定し、これにより信号発生部109aから給電禁止信号が発せられ、上記撮影システム10の場合と同様に送信中の給電禁止制御が実施される。なお、電子カセッテ24に設けられた送信状態判定部107及び信号発生部109については、コンソール28の制御下に、その機能を使用しないように設定しておけばよい。勿論、撮影システム10bでは、送信状態判定部107及び信号発生部109を省略した、簡易型の電子カセッテを用いることもできる。
特に、この例では、コンソール28から表示装置26への放射線画像情報の送信中に、無線給電装置25による電子カセッテ24への給電が行われることを確実に禁止することもできるため、無線給電装置25から無線で供給される電力によって生じるノイズが、表示装置26に送信中の画像処理後の放射線画像情報(送信信号)に影響を及ぼすことを防止することができ、高品質な放射線画像の取得が可能になる。また、高品質な放射線画像を無線電力供給の影響による速度低下を招くことなく通信可能となる。
また、図9に示すように、撮影システム10bでは、送信状態判定部107a及び信号発生部109aに加えて、又は代えて、給電装置25に送信状態判定部107b及び信号発生部(給電禁止信号発生部、給電許可信号発生部)109bを設けてもよい。すなわち、送信状態判定部及び信号発生部は、少なくともコンソール28、給電装置25及び電子カセッテ24のいずれかに設けられていれば、上記撮影システム10と同様な給電禁止制御や給電開始制御(給電開始待機制御)を行うことができ、当然、別途専用のコンソール等を設置してもよい。複数の機器に送信状態判定部及び信号発生部が設けられている場合には、例えば、コンソール28の制御下に任意の機器に搭載された送信状態判定部及び信号発生部を選択的に使用するように設定し、他の機器の送信状態判定部及び信号発生部の機能を使用しないように構成すればよい。
なお、電子カセッテ24では、上記のように送信状態判定部107及び信号発生部109を搭載しているため、例えば、既設の放射線画像撮影システムに対しても、コンソール28の制御プログラム等を多少変更するだけで、上記の給電禁止制御や給電開始制御(給電開始待機制御)を容易に付加することができるという利点がある。
電子カセッテ24のカセッテ制御部46、コンソール28の給電情報管理部128及び給電装置25の給電制御部86は、信号発生部109、109a、109bで発せられた給電禁止信号(給電許可信号)を受信し、電子カセッテ24への無線給電を禁止(開始)するように給電装置25を制御する給電禁止制御部(給電開始制御部)として機能する。従って、上記した送信状態判定部及び信号発生部の場合と同様に、該給電禁止制御部や給電開始制御部についても少なくとも一つの機器に設けられていればよく、つまりカセッテ制御部46や給電情報管理部128等のうちの一つが当該給電禁止制御部や給電開始制御部として機能すればよい。
なお、上記した放射線画像撮影システム10、10a、10bでは、手術中に使用される放射線画像を表示装置26に表示するものとしたが、手術中以外において通常の放射線画像の撮影のみを行う場合にも適用可能であることは言うまでもない。同様に、電子カセッテ24は、手術室12で使用される場合に限られるものではなく、例えば、検診や病院内での回診にも適用することができる。
また、給電装置25は、電子カセッテ24に対して無線(非接触)による給電が可能であればよく、例えば、LC共振器84、88及び検出用LC共振器94に代えて、それぞれを誘電体で構成すると共に磁場Mの代わりに電場を用いるものとしてもよく、前記のようないわゆる共鳴型の無線給電装置以外のものであってもよい。すなわち、給電装置25から電子カセッテ24に供給される電気エネルギを変換した供給エネルギとしては、例えば、光エネルギや熱エネルギ等も適用可能である。
さらに、放射線画像撮影システム10、10a、10bでは、例えば、電子カセッテ24に収容される放射線検出器40は、入射した放射線Xの線量を光電変換層51によって直接電気信号に変換するもの(直接変換方式)であるが、これに代えて、入射した放射線Xをシンチレータによって一旦可視光に変換した後、この可視光をアモルファスシリコン(a−Si)等の固体検出素子を用いて電気信号に変換するように構成した放射線検出器(間接変換方式)を用いてもよい(特許第3494683号公報参照)。
さらにまた、光読出方式の放射線検出器を利用して放射線画像情報を取得することもできる。この光読出方式の放射線検出器では、マトリクス状に配列された各固体検出素子に放射線が入射すると、その線量に応じた静電潜像が固体検出素子に蓄積記録される。静電潜像を読み取る際には、放射線検出器に読取光を照射し、発生した電流の値を放射線画像情報として取得する。なお、放射線検出器は、消去光を放射線検出器に照射することで、残存する静電潜像である放射線画像情報を消去して再使用することができる(特開2000−105297号公報参照)。
さらに、例えば、撮影装置22、給電装置25、表示装置26及びコンソール28間等での信号の送受信を有線通信によって行うこともできる。
また、電子カセッテ24と外部機器との間での無線通信は、通常の電波による通信に代えて、赤外線等を用いた光無線通信で行うようにしてもよい。
図11は、電子カセッテ24の変形例に係る電子カセッテ500の構成図である。電子カセッテ500には、ケーシング502の放射線照射面側に、撮影領域及び撮影位置の基準となるガイド線504が形成される。このガイド線504を用いて、電子カセッテ500に対する被写体(患者14)の位置決めを行い、また、放射線Xの照射範囲を設定することにより、放射線画像情報を適切な撮影領域に記録することができる。
電子カセッテ500の撮影領域外の部位には、当該電子カセッテ500に係る各種情報を表示する表示部506を配設する。この表示部506には、電子カセッテ500に記録される患者14のID情報、電子カセッテ500の使用回数、累積曝射線量、電子カセッテ500に内蔵されているバッテリ44の充電状態(残容量)、放射線画像情報の撮影条件、患者14の電子カセッテ500に対するポジショニング画像等を表示させる。この場合、放射線技師は、例えば、表示部506に表示されたID情報に従って患者14を確認すると共に、当該電子カセッテ500が使用可能な状態にあることを事前に確認し、表示されたポジショニング画像に基づいて患者14の所望の撮影部位を電子カセッテ500に位置決めして、最適な放射線画像情報の撮影を行うことができる。
また、電子カセッテ500に取手部508を形成することにより、当該電子カセッテ500の取扱い、持ち運びが容易になる。
電子カセッテ500の側部には、ACアダプタの入力端子510と、USB(Universal Serial Bus)端子512と、メモリカード514を装填するためのカードスロット516とを配設すると好適である。
入力端子510は、電子カセッテ500に内蔵されているバッテリ44の充電機能が低下しているとき、あるいは、バッテリ44を充電するのに十分な時間を確保できないとき、ACアダプタを接続して外部から電力を供給することにより、当該電子カセッテ500を直ちに使用可能な状態とすることができる。
USB端子512又はカードスロット516は、電子カセッテ500がコンソール28等の外部機器との間で無線通信による情報の送受信を行うことができないときに利用することができる。すなわち、USB端子512にケーブルを接続することにより、外部機器との間で有線通信による情報の送受信を行うことができる。また、カードスロット516にメモリカード514を装填し、このメモリカード514に必要な情報を記録した後、メモリカード514を取り出して外部機器に装填することにより、情報の送受信を行うことができる。
手術室12や病院内の必要な箇所には、図12に示すように、電子カセッテ24が装填され、内蔵されるバッテリ44の充電を行うクレードル518を配置すると好適である。この場合、クレードル518は、上記の給電装置25に類似した図示しない非接触の給電装置によるバッテリ44の充電だけでなく、クレードル518の無線通信機能又は有線通信機能を用いて、RIS29、HIS33、コンソール28等の外部機器との間で必要な情報の送受信を行うようにしてもよい。送受信する情報には、クレードル518に装填された電子カセッテ24に記録された放射線画像情報を含めることができる。
また、クレードル518に表示部520を配設し、この表示部520に対して、装填された当該電子カセッテ24の充電状態や、電子カセッテ24から取得した放射線画像情報を含む必要な情報を表示させるようにしてもよい。
さらに、複数のクレードル518をネットワークに接続し、各クレードル518に装填されている電子カセッテ24の充電状態をネットワークを介して収集し、使用可能な充電状態にある電子カセッテ24の所在を確認できるように構成することもできる。
図13は、図4に示す放射線画像撮影システム10の第3の変形例に係る放射線画像撮影システム10cの説明図である。
上記した撮影システム10等では、照射された放射線Xを検出し、放射線画像情報を取得する放射線検出装置として電子カセッテ24を用いた構成を説明した。これに対して、当該撮影システム10cでは、電子カセッテ24の代わりに、患者14が横臥するベッドである撮影台150にビルトインされた放射線検出装置152を用いて臥位撮影を行う構成を説明する。
撮影システム10cにおいて、放射線検出装置152は上記の電子カセッテ24と略同様な構成及び構造からなり、放射線検出器40、バッテリ44、無線受電部49、制御部46a及び送受信機48等を備え、これら各機器が放射線Xを透過させる材料で形成された箱状のケーシング154内に収納されている。制御部46aは、電子カセッテ24を構成するカセッテ制御部46と略同様に機能するものであり、送信状態判定部107及び信号発生部(給電禁止信号発生部、給電許可信号発生部)109等を有する。
また、撮影台150の下面には、その長手方向に沿ってレール156が設けられており、放射線検出装置152は、ケーシング154に設けられたスライダ機構(図示せず)により、レール156に沿って矢印X方向(水平方向)の所望の位置に移動可能である。従って、撮影台150に横臥した患者14の所望の撮影部位へと放射線検出装置152を容易に移動させることができる。
以上より、撮影システム10cでは、放射線検出装置152を移動可能とする一方、当該放射線検出装置152には上記の電子カセッテ24と略同様にバッテリ44及び無線受電部49を内蔵しているため、放射線検出装置152への電源ケーブル等が不要である。従って、ケーブル類の影響を受けることなく放射線検出装置152を円滑に移動させることができ、取り扱い性を向上させることができる。また、上記の撮影システム10等と同様に、給電装置25からバッテリ44への無線給電と撮影装置22による撮影とを適宜制御することができ、撮影中の給電禁止制御及び非撮影中の給電開始制御を行うことにより品質の高い放射線画像の取得が可能である。
なお、図13に示すように、撮影システム10cでは、撮影台150の脚部に車輪158を設けた構成としてもよい。この場合、撮影台150自体を室内の所望の位置に容易に移動可能であり、必要に応じてレール156をなくし、放射線検出装置152を撮影台150に固定した構成とすることもできる。
図14は、図4に示す放射線画像撮影システム10の第4の変形例に係る放射線画像撮影システム10dの説明図である。
撮影システム10dは、上記の撮影システム10cと同様に電子カセッテ24を用いず、図示しない床面及び壁面160に固定されて起立した支柱162に対して着脱自在な放射線検出装置164を用いて立位撮影を行うシステムである。
放射線検出装置164は、上記の電子カセッテ24や放射線検出装置152と略同様な構成及び構造からなり、放射線検出器40、バッテリ44、無線受電部49、制御部46a及び送受信機48等を備え、これら各機器が放射線Xを透過させる材料で形成された箱状のケーシング154内に収納されている。
この場合、立位撮影台として機能する放射線検出装置164の背面には、鉛直方向に離間した一対のフック部材166、168が設けられている。一方、支柱162の放射線検出装置164に対向する側面には装着凹部170が形成され、該装着凹部170内には、水平方向(患者14の肩幅方向)に延び、前記フック部材166、168に対応して鉛直方向に離間した一対のシャフト172、174が固定されている。また、下方のフック部材168は図示しないばね機構により、支軸176を支点として上方に揺動可能である(図14中の破線参照)。
従って、フック部材168の揺動動作を利用して、フック部材166、168をシャフト172、174へと容易に且つ確実に装着可能且つ離脱可能であり、つまり、放射線検出装置164を支柱162に容易に且つ確実に着脱することができる。さらに、放射線検出装置164は、支柱162に装着された状態で図示しないスライド機構によって矢印Y方向(鉛直方向)にも移動可能とされている。
なお、図14中の参照符号178は、ケーシング154の両幅方向に固定されたフレームであり、撮影台である放射線検出装置164に対して患者14が所望の撮影姿勢をした際に当該撮影姿勢を維持するために把持する棒部材である。
以上より、撮影システム10dでは、放射線検出装置164を支柱162に対して着脱可能且つ移動可能とする一方、当該放射線検出装置164には上記の電子カセッテ24や放射線検出装置152と略同様にバッテリ44及び無線受電部49を内蔵しているため、電源ケーブル等が不要である。従って、ケーブル類の影響を受けることなく放射線検出装置164を容易に移動及び着脱することができる。また、上記の撮影システム10等と同様に、給電装置25からバッテリ44への無線給電と撮影装置22による撮影とを適宜制御することができ、送信中の給電禁止制御及び非送信中の給電開始制御を行うことにより品質の高い放射線画像の取得が可能である。
以上のように、本実施形態に係る撮影システム10、10a〜10dでは、放射線検出装置である電子カセッテ24や放射線検出装置152、164が移動可能であるが、これらが所望の撮影位置に設定された場合であっても、給電装置25によって当該電子カセッテ24への給電を容易に行うことができる。しかも、送信状態判定部107及び信号発生部109を備えていることから、無線送電に起因したノイズによる影響を回避して高品質な画像を撮影及び取得可能である一方、非送信中(送信終了)には迅速な充電を行うことができる。また、高品質な放射線画像を無線電力供給の影響による速度低下を招くことなく通信可能となる。
なお、本発明に係る放射線検出装置、放射線画像撮影システム及び放射線画像撮影方法は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは勿論である。