JP5485156B2 - 顕微鏡により試料を3次元結像するための方法 - Google Patents

顕微鏡により試料を3次元結像するための方法 Download PDF

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Description

本発明は、試料を3次元結像するための方法に関するものであり、この方法では少なくとも1つの検出方向から、試料の深さ方向における種々異なる平面から画像情報が捕捉され、位置的に分解して、すなわち空間座標X,Y,Zに割り当てて記憶され、続いてこの画像情報から試料の3次元画像が電子的に復元される。
顕微鏡による3次元結像を、例えばレーザ走査顕微鏡法(LSM)の原理に従って得ることは公知である。そこではレーザ光によって照射されたピンホールが試料に結像され、試料をエアリーの円盤の強度分布で照明する。この照明された試料点の画像は、位置および大きさの点で照明絞りに対して共役な測定絞り上に生じる。その際に、拡大された試料野を捕捉すべき場合には、この試料野が光学的に走査される。その際に得られた画像情報が電子的に記憶され、記憶されたデータから3次元結像が復元される。レーザ走査顕微鏡法(LSM)では、画質は、ピンホールの位置に対する測定絞りの位置および開口サイズに実質的に依存している。すなわちピンホールを、これが高精度で測定絞りに結像されるように調整すべきである。
最近公知となった、もう1つの顕微鏡による3次元結像獲得の原理は、選択的平面照明顕微鏡法または単平面照明顕微鏡法(SPIM)と称される。
共焦点レーザ走査顕微鏡法(LSM)と違って、SPIM技術は広視野顕微鏡法に基づくものであり、試料の3次元画像を、試料の個々の平面を通る光学的断層に基づいて表示することができる。
SPIM技術の利点は、とりわけ比較的速い速度で画像情報の捕捉が行われ、生体試料が退色する危険性がより小さく、結像の側方分解能を、深度分解能と無関係に調整できることである。
原理的にSPIM技術では、それ自体試料に含まれる、またはとくにコントラスト強化のために試料に取り入れられる蛍光体がレーザ光によって励起され、その際にレーザビームがいわゆる光シートに整形される。この光シートによって、試料の深さ方向における選択された平面がそれぞれ照明され、結像光学系によって画像情報がこの試料平面から光学的断層の形態で獲得される。この場合、励起ビーム路は検出ビーム路とは別である。
光シートは、顕微鏡対物レンズ光軸に対して垂直に、座標XおよびYに沿って延びる長さおよび幅と、顕微鏡対物レンズの光軸方向に延びる厚さを有する。長さおよび幅は被検試料野に適合されており、厚さは数μmの範囲にある。
SPIM法の例は、国際特許公開第2004/053558A1号パンフレットから公知である。ここでは被検試料、例えばメダカ胚が水性ゲルに埋め込まれ、このゲル内で胚はある程度の時間、生きている。光シートは、例えば円筒光学系により直接に、または擬似光シートとして直線状のビームを対象領域上で走査することによって発生させることができる。
SPIM法では、励起ビーム路が、LSMの場合とは異なり検出ビーム路から原理的に分離されているので、使用される検出用対物レンズの焦点面に光シートを正確に配向させるための追加の調整工程が必要である。このために従来技術によれば通例、ミラーが使用される。このミラーは試料の代わりに試料空間に取り付けられ、光シートを検出用対物レンズに向けて反射する。ミラー上の基準構造(例えばスクレーパの形状)を用いることにより、光シートによってミラー上に可視形成された光縞の厚さと位置に基づいて調整が行われる。
ここで問題なのは、一方では試料が直接測定されないことであり、他方では試料から発する本来対象となる発光波長に相当しないレーザ波長で調整されることである。そのため、例えば場合によっては生じる検出用対物レンズの色収差による長さ誤差が考慮されない。
光シートを試料に基づいて直接調整することが望ましいが、そのための適切な方法が従来技術では公知でない。
SPIM法における別の問題が、種々異なる検出方向から捕捉されるべき画像情報から試料の3次元結像を復元する際に明らかとなる。このときに発生する、処理すべきデータ量は非常に多量であり、種々異なる検出方向から得られた画像スタックを、並進演算、回転演算および変形演算による構造比較を用いて、適当な時間内でオーバラップし融合するために効率的なアルゴリズムが必要である。このことは、構造比較が試料自体によって規定される構造に基づいて行われる場合にはいっそう当てはまる。なぜならこの構造は、例えば陰影効果が一定の役割を果たすので検出方向または回転角に応じて異なる強度で出現することがあるからである。この場合、登録、すなわち画像情報の捕捉、ならびに必要な演算規則が非常に面倒であり、時間がかかり、多くの場合、市販されているコンピュータはこのために必要な計算能力をカバーするのに適さない。
以上のことから、本発明の基本的な課題は、試料を3次元結像する際に高められた結像品質を保証する方法工程を提供することである。
この課題は、例えば顕微鏡による試料の3次元結像の際にレーザ走査顕微鏡法(LSM)の原理に従って適用可能である、第1の変形形態における冒頭に述べた形式の方法によって解決される。この方法では、
・少なくとも1つの基準物体を、試料の傍または試料内部に位置決めし、
・画像情報が捕捉される検出方向を、試料および基準物体に対して複数回変更し、
・変更によって設定された各検出方向から、
・基準物体の画像情報を捕捉し、空間座標X,Y,Zに位置分解して、記憶し、
・試料の深さ方向で種々異なる平面から画像情報を捕捉し、空間座標X,Y,Zに位置分解して記憶し、
・基準物体の記憶された画像情報の空間座標X,Y,Zに基づいて、並進、回転および変形のための変換演算子を獲得し、該変換演算子により種々異なる検出方向からの同じ起源の画像情報をオーバラップさせ、
・続いてこの変換演算子を、試料から得られた画像情報の空間座標X,Y,Zから、試料の3次元画像を復元するために使用する。
ここで基準物体とは、有利には、基準構造から記憶された空間座標X,Y,Zを変換演算子の獲得のために使用できるように、基準構造として役立つ構造を有するべきである。
オーバラップとは本発明では、基準構造および試料に同じ起源を有しているが、検出方向が異なるため個々の画像スタックに重ならない画像情報を、登録された3Dビューで重ねることであると理解されたい。
この目的のために変換演算子を用いる。この変換演算子は、個々の検出方向から捕捉され記憶された画像情報を、それぞれの空間座標X,Y,Zを基準にして並進、回転および変形するための命令の形態にする。次いでこの命令を、試料の3次元画像を復元するために使用する。
基準物体として、好ましくはピン、針、線維または糸の形態の物体を使用することができる。粒子、例えば蛍光性または非蛍光性の小球も考えられる。
本発明の課題は、冒頭に述べた選択的平面照明顕微鏡(SPIM)法に関する、第2の変形形態における冒頭に述べた形式の方法によって解決される。この方法では3次元結像を、
・蛍光物質からなる試料、または蛍光物質を混合した試料から獲得し、
・試料を、光シートに整形された励起ビームによって照明し、
・試料の画像情報を、試料から到来する発光ビームに基づいて獲得する。
その際に本発明によれば、
・蛍光物質からなる、または蛍光物質を有する少なくとも1つの基準物体を試料の傍または試料内部に位置決めし、
・画像情報が捕捉される検出方向を、試料および基準物体に対して複数回変更し、その際
・変更によって設定された各検出方向から、
・基準物体の画像情報を捕捉し、それぞれ空間座標X,Y,Zに位置分解して、記憶し、
・試料の深さ方向における種々異なる平面から画像情報を捕捉し、それぞれ空間座標X,Y,Zに位置分解して、記憶し、
・基準物体の記憶された画像情報の空間座標X,Y,Zに基づいて、並進、回転および変形のための変換演算子を獲得し、該変換演算子により種々異なる検出方向からの同じ起源の画像情報をオーバラップさせ、
・続いてこの変換演算子を、試料から得られた画像情報の空間座標X,Y,Zから、試料の3次元画像を復元するために使用する。
選択的平面照明顕微鏡法(SPIM)では、すでに冒頭に述べたようにそれぞれ使用される検出用対物レンズの焦点面内で光シートを正確に配向することが重要である。したがって本発明の後者の変形形態のとくに好ましい構成形態では、
・照明光を、不均一な強度分布の形で基準構造に当て、
・基準物体および試料の画像情報を、少なくとも1つの所定の検出方向から捕捉するよりも時間的に前に、
・照明光の基準構造の画像、基準物体の基準構造の画像、または基準構造として適する試料構造の画像を記録し、それらの結像の鮮鋭度を評価し、次いで
・この検出方向で、基準構造の最も鮮鋭な結像が観察平面上で得られる位置に光シートをシフトし、かつ/または
・基準構造が画像野全体にわたって均一に鮮鋭に結像されるように光シートを配向させる。
光シートを検出方向にシフトすることにより、この光シートが顕微鏡対物レンズの焦点面にくる。結像鮮鋭度の均一性に基づいて、画像野全体にわたって光シートを配向させることにより、光シートの焦点面に対する傾斜を調整する。
画像情報の捕捉に先行して行われる光シートのこの調整は、基準構造に基づいて「その場で(in situ)」で、すなわち試料が試料空間にある間に行われる。光シートを焦点面内で正確に配向させることにより、試料を質的に高い価値で3D結像するための重要な前提が達成される。
照明光は、例えば、グリッドを検出用対物レンズの対物面に対して共役な照明ビーム路の平面に取り付け、これにより光シートが画像平面内でグリッド状に変調されるようにすることによって構造化する。蛍光試料が光シートの領域に存在する場合、蛍光がそれに対応して画像野全体にわたって変調され、グリッドが基準構造として出現する。
光シートが直線状ビームの走査によって擬似的に発生される場合、別の可能性が生じる。この場合、照明強度を単に時間的に変調するだけで、試料空間内で空間的変調を生じさせるのに十分である。
選択的平面照明顕微鏡法(SPIM)を使用する場合でも、有利には、基準構造から捕捉され記憶された空間座標X,Y,Zを、変換演算子の獲得のために使用できるように、基準物体は基準構造として使用可能な構造を有するべきである。
分かりやすくするため、またより良く区別するために、以下では、照明光が重畳された基準構造を間接的基準構造と称し、基準物体の構造を直接的基準構造と称する。
間接的基準構造の代わりに、直接的基準構造を光シートの調整に使用する場合でも、本発明の範囲内である。このために間接的基準構造に基づいてすでに説明した方法手順と同様に、直接的基準構造が観察平面内に鮮鋭に結像されるまで、光シートを検出方向にシフトさせる。光シートはまた、直接的基準構造が画像野全体にわたって均一に結像されるように配向させる。
基準構造を光シートの調整のために、画像情報の捕捉の場合と同様に補助的に使用することの利点は、基準構造が試料構造に依存せず、したがって主に試料自体に起因するアーティファクトをほとんどまたはまったく生じないことである。
選択的平面照明顕微鏡(SPIM)に関連する基準物体として、例えばピン、針、線維または糸、または類似物の形態の物体も考えられる。しかしこれらの少なくとも一部は蛍光材料から構成されなければならない。
とくに有利には、蛍光性の針先端を備える針を使用し、試料を針先端に位置決めする。これについては以下に適用例に基づいて詳細に説明する。
その代わりに、複数の基準物体を、励起時に蛍光する粒子の形態で試料と共にゲル内に位置決めすることも考えられる。この場合、登録に利用すべきであるならば、少なくとも3つの粒子を使用すべきである。光シート調整のためには、格段に多数の粒子が有利である。
試料自体を、例えば強化緑色蛍光タンパク質(EGFP)により、したがって励起時に緑色蛍光するように着色することができる。試料を埋め込むためのゲルとして、とくに有利にはアガロース・ゲルを使用することができる。
検出方向は、本発明のどちらの変形形態でも、好ましくは、検出用対物レンズによって規定される検出方向に対して試料を回転することによって変更する。この方法手順の意味は、陰影効果を回避すること、または均一な分解能を達成することである。
以下、コンピュータによる電子的復元について詳細に説明する。この電子的復元は、本発明のどちらの変形形態においても、
・一方で、試料の深さ方向における種々異なる平面から種々異なる検出方向で得られた画像情報を画像スタックの形態で登録し、
・他方で、これに続きこの画像スタックを、試料の3D結像に融合する。
画像情報を登録する際には、試料に由来する画像情報を最初はまったく考慮せず、構造比較だけを直接的基準構造に基づいて実行する。
この目的で、ハードウェアまたはソフトウエア技術によるフィルタリングを行う。すなわち基準構造の画像情報を試料の画像情報から分離する。これは、例えば種々異なる形態の基準構造を用いて、または種々異なる発光スペクトルまたは偏光特性に基づいて行う。
基準構造の画像情報の量は、試料の画像情報の量よりも数桁小さい。これによって処理のためのコストが大幅に低減される。
直接的基準構造に基づいて、すなわち基準物体の空間座標X,Y,Zに基づいて、変換演算子を並進、回転および変形のための命令の形態で獲得し、これにより、個々の検出方向から捕捉され、画像スタックに記憶された画像情報に対して、他の検出方向の画像情報とのオーバラップが達成される。
この命令は、例えば、画像スタックのボクセルの座標に適用すべき並進演算、回転演算および場合によっては変形演算を表す、マトリクスの形態で記述される。基準構造の画像情報に基づいて得られたマトリクスは次に、本来の試料の画像情報に適用される。
画像情報を複数の異なる検出方向から捕捉するために、試料を、360°の回転が完全に終了し、4つの検出方向からの画像情報が記憶されて存在するまで毎回90°ずつ複数回回転させることが考えられる。もちろん、他の任意の回転角およびそれに対応する検出方向の数も本発明の枠内である。
本発明はさらに、試料の画像情報と少なくとも1つの基準物体の画像情報とを、同時に、または順次捕捉することも含む。試料と基準物体が異なる発光特性を有する場合、有利には、試料および基準構造の画像情報を、異なる検出器により、例えばスペクトル分割によって同時に捕捉する。
本発明のとくに有利な構成形態は、SPIM法の適用時に、光シートに整形された照明光を顕微鏡対物レンズの焦点面に対して配向させることに関するものである。この構成形態では、
・照明光を、不均一な強度分布の形で基準構造に当て、かつ/または
・蛍光物質からなる、または蛍光物質を有し、基準構造として使用可能な構造を有する少なくとも1つの基準物体を試料の傍または試料内部に位置決めし、かつ/または
・該試料の特徴的構造を基準構造として決定し、
・少なくとも1つのあらかじめ設定された検出方向から、
・照明光の基準構造の画像、基準物体の基準構造の画像、または試料の基準構造の画像を記録し、それらの結像の鮮鋭度を評価し、次いで
・この検出方向で、基準構造の最も鮮鋭な結像が観察平面内で得られる位置に光シートをシフトし、かつ/または
・基準構造が画像野全体にわたって均一に鮮鋭に結像されるように光シートを配向させる。
すでに記載したように、光シートを検出方向にシフトすることにより、この光シートは顕微鏡対物レンズの焦点面にき、一方、結像鮮鋭度の均一性に基づいて、画像野全体にわたって光シートを配向させることにより、光シートの焦点面に対する傾斜が調整される。
基準物体から由来し、かつ照明光に重畳することのできる基準構造を使用することの格別の利点は、一方では、選択的平面照明顕微鏡法(SPIM)を使用する場合に光シートを簡単にその場で調整できることである。他方では、基準物体を使用することにより、試料の3次元結像を復元する際のコンピュータ・コストが従来技術と比較して大幅に低減されることである。
別の構成形態では、光シートを試料空間内のz方向に通過させ、その際に画像スタックを記録し、この画像スタックの個別画像のコントラストを評価し、このコントラストに基づいて、顕微鏡対物レンズの焦点面に対する最適の光シートの位置を決定し、調整装置によって光シートをこの位置にこさせることによって、光シートを自動的に配向させることができる。
基準物体に由来する基準構造の代わりに、基準構造として適する試料構造を、光シートを調整するための方法工程でも、試料から捕捉された画像情報に基づいて試料の3次元結像を復元する際の計算コストを低減するための方法工程でも、使用することも考えられ、これも本発明の範囲内である。この場合、試料は本発明の意味での基準物体の機能も同時に引き受ける。
本発明による方法を以下、複数の適用例に基づき詳細に説明する。
単平面照明顕微鏡(SPIM)法に従って試料の3次元結像を顕微鏡により記録する原理を示す図。 強化緑色蛍光タンパク質(EGFP)によって着色され、これにより励起時に緑色に発光するゼブラフィッシュ胚の形態の試料がアガロース・ゲルに埋め込まれ、蛍光粒子が基準構造として使用される、本発明の方法の第1の適用例を示す図。 グリッドによって光シートに重畳された基準構造による第2の適用例を示す図。 構造化された擬似光シートの形態の基準構造が、走査ミラーの動きおよび時間的ビーム変調によって形成される第3の適用例を示す図。 基準構造が重畳された光シートに基づく、光シート調整を説明するための第4の適用例を示す図。
図1から分かるように、試料1が円柱体2に成形されたゲルに埋め込まれている。円柱体2は試料チャンバ4にあり、かつ試料チャンバ4内で試料1と共に回転軸3を周りで回転可能に、かつ座標方向X,Y,Zに並進的にシフト可能に配置されている。
試料1は3次元物体、例えば生物学的物質とする。円柱体2には、浸漬媒体、例えば水またはPBS(リン酸塩緩衝生理食塩水)で充たされた試料1が封じ込められている。試料チャンバ4は上側5が開いており、したがってここから試料1を封じ込めたゲルと、浸漬媒体を取り込むことができる。
浸漬媒体として水を用いる場合、ゲルを約98%の水と2%のアガロースの混合物から構成することができる。別の浸漬媒体を使用する場合は、試料1を埋め込むために別の材料が考えられ、例えば液体で充たしたガラスシリンダも考慮される。試料チャンバ4の壁をガラス、または屈折率の点で適切な他の透明材料から作製することができる。
試料を照明するためにレーザビーム源が設けられている(図示せず)。このレーザビーム源は例えば波長488nmの光束を照射する。光束がそのさらなる過程でいわゆる光シートに整形される前に、この光束の横断面におけるビーム強度を適切な光学手段によってまず均一にすると有利である。
光シートの整形は、円筒光学系により直接に、または擬似光シートとして直線状のビームを対象領域上で走査することによって行う。
光シートに整形された照明光は、矢印Bで示される方向で試料チャンバ壁6を通過して、浸漬媒体に入射するが、そこで顕微鏡対物レンズの焦点面(図示せず)を照明するように位置決めしなければならない。
光シートの焦点面に対するこの配向は、従来技術では、試料がすでに試料空間内にある場合は困難である。なぜならその場合はいわゆるその場での調整が必要だからである。その場合、粗く予位置決めした後に対物レンズの焦点面と重なる試料の平面がコントラストの大きな構造を含むことを前提にすることができず、この構造に基づいて、光シートと焦点面の重なりを、光シートがz方向に通過する際に疑いなしに確定することができない。
そのような調整がミラーによって行われる従来技術とは異なり、本発明によれば調整が既知の基準構造に基づいて行われ、この基準構造は試料空間内で試料の傍に間接的または直接的な形態で取り付けられる。
基準物体によって直接的に形成される基準構造を使用する場合、この基本構造の少なくとも一部が、光シートの調整が行われる前にすでに検出用対物レンズの焦点面内に存在していることが保証されなければならない。これは、試料空間に実質的に均等に分散された多数の基準物体を使用することによって、または例えば従来の透過光顕微鏡の場合のように、別のコントラスト法を用いて別々に調整することによって行われる。
光シートの光が構造化される間接的基準構造を使用する場合、この種の方法工程は必要ない。
その後、試料が焦点面に対して、したがって調整された光シートに対しても所望のように位置決めされれば、試料1の平面、すなわち焦点面に存在する面が照明される。
この場合、試料1によって反射または散乱された照明光の成分は、検出光として矢印Dで示される検出方向に試料チャンバ4から試料チャンバ壁7を通過して出射し、顕微鏡対物レンズによって集光される。
従来技術では、機能部材が顕微鏡対物レンズである顕微鏡により、矢印Dで示される検出方向から、焦点面に目下存在している試料1の平面から画像情報がまず捕捉される。その後、試料1が座標Zの方向に所定の大きさだけ繰り返すか、または連続的にシフトされる。その際、位置分解能のある光電変換器、好ましくはCCDカメラによって、それぞれ照明された焦点面にある試料1の平面から画像情報が捕捉され、ディジタル化され、さらに空間座標X,Y,Zに割り当てて電子的に記憶される。この段階ですでに試料の3D結像が得られるが、その品質は通例、試料に起因する濃淡作用および収差のためまだ強く制限されている。とりわけ分解能が通例、不均一である。なぜなら分解能は、横方向では検出用対物レンズの開口数によって、軸方向では光シートの厚さによって決まるからである。
本発明によれば、試料1を回転軸3周りで回転させることにより検出方向を複数回変更し、変更された各検出方向から、試料1の深さ方向における種々異なる平面からの画像情報を再度捕捉し、位置分解して記憶する。
所定のすべての検出方向から獲得され、記憶された画像情報から、登録および融合によって、不透明な試料成分や収差のような画像アーティファクトのほとんどない、試料1の3次元画像が電子的に復元される。同時に、この方法では十分に均一な分解能が達成される。
この場合の欠点は、計算能力に対するコストが相変わらず比較的高いことである。これは、画像アーティファクトが検出方向に応じて試料の種々異なる領域で作用し、それが構造比較に基づく登録を困難にする結果である。とりわけ試料の画像情報量は非常に大きく、したがって直接的処理は条件的にしか可能でない。
したがって、例えば市販のCCDカメラにより所定の各検出方向で画像情報を獲得するために、1000×1000×1000画素からなる画像スタックが座標X,Y,Zに16ビットで格納される。この場合に捕捉し処理すべきデータ量はすでに16GBである。
4つの異なる方向からの検出が実行され、その際に試料1がそれぞれ90°毎に回転軸3周りで回転される場合、64GBのデータ量を捕捉し処理しなければならない。その際、評価の際に上記の困難をさらに回避すべき場合、全体コストが大きくなって従来の市販のコンピュータ・システムに過大な要求が課せられる。
これに関連して、本発明によれば、所定の各検出方向から、試料1の画像情報に加えて試料1の近傍または試料1内部に位置決めされた1つまたは複数の基準物体の画像情報も捕捉し、試料1の画像情報と共に位置分解して記憶し、試料1の3次元画像の復元の際に、1つまたは複数の基準物体から得られた画像情報の空間座標X,Y,Zを使用するのである。
このために、具体的には、大幅に比較的少ない量で生じる基準構造の画像情報だけに基づいて登録を行い、そこから変換規則をマトリクスの形態で決定し、次いでこのマトリクスを本来の試料の画像情報に適用する。3D表示のための融合は、変換の適用後に登録された試料構造の画像スタックを用いて行う。
次に説明する本発明の方法の第1の適用例では、強化緑色蛍光タンパク質(EGFP)で着色し、これにより励起時に緑色発光するゼブラフィッシュ胚の形態の試料をアガロース・ゲルに埋め込む。このゼブラフィッシュ胚から、上記の選択的平面照明顕微鏡法(SPIM)により3次元結像が獲得される。
本発明によれば、アガロース・ゲル中でゼブラフィッシュ胚の傍に赤色蛍光する粒子、例えばBODIPY−630色素でマーキングしたポリスチロール小球を埋め込む。この粒子は、試料チャンバ内の試料空間全体にわたってほぼ均一に分散されるほどの高い濃度で存在する。
光シートをこの粒子に基づいて簡単に調整することができる。これを図2に基づき説明する。
そのために、光シートがz方向に試料上を移動し、試料の他に蛍光粒子も照射する。
光シートが焦点面の外で試料チャンバを照射する場合、そこに存在する粒子の弱く不鮮明な画像が得られる。これは図2の左側の図に示されている。試料を取り囲むゲルは、ここでは分かりやすくするために図示されていない。
光シートが焦点面内に入射すると直ちに、図2の右側の図に示されるように変化する。粒子は鮮鋭に結像され、光シートはこの位置に調整される。
有利には調整工程を自動的に進めることができる。そのために、最も単純な実施形態では、光シートを試料空間内のz方向に通過させ、このとき画像スタックを記録する。次いで、例えば個別の画像のコントラストについて、この画像スタックの評価を行い、これにより最適に光シート位置を迅速に決定することができる。
光シートの調整の後に、本来の画像記録を行う。そのために、まず所定の1つの検出方向から、ゼブラフィッシュ胚内で種々異なる深さにある平面からの画像情報と、粒子の画像情報を捕捉し、位置分解して記憶する。その後、検出方向を複数回変更し、変更によって設定された各検出方向から、ゼブラフィッシュ胚の種々異なる深さにある平面からの画像情報と、粒子の画像情報を再び捕捉し、位置分解して記憶する。
このようにして捕捉された試料の画像情報を、試料の3D表示に処理するために必要な計算能力を本発明より低減することができる。これについて以下に説明する。
検出方向ごとに例えば100個の粒子が顕微鏡によって捕捉される場合、これらの粒子を白黒表示する際の理想的な場合では、データが1つの検出方向当たり100ビットに減少する。この種のデータ縮小にはまず、一般的な場合にはさしあたり試料の画像情報と粒子の画像情報を含んでいる全体画像でセグメント化を行わなければならない。すなわち、フィルタリングによって粒子構造を試料構造から分離し、粒子位置の座標を捕捉し、続いて白黒パターンとして記録する。
緑色スペクトル領域で蛍光する試料の場合、フィルタリングはハードウェア技術的にスペクトル分離によって行うことができる。得られる比較的僅かなデータ量は、市販のコンピュータにより楽々とリアルタイムで処理することができる。とりわけ粒子発光が、試料に起因する画像アーティファクトの影響をほとんど受けないようになる。
粒子は100の固定点を形成し、これらに基づいて試料物質の移動、回転および変形を検出方向ごとに計算し、次いでやはりコンピュータによって補正する。
有利には、試料の大きさは、粒子が試料内で、この場合はゼブラフィッシュ胚内で散乱せず、かつ球面レンズとして働かず、したがって過度に強いアーティファクトを生じることのないように選択する。好ましくは粒子は、100nmから1μmの大きさを有する。
例えば4つの検出方向から画像スタックを獲得するには、ゼブラフィッシュ胚と粒子を封じ込めたゲルを、試料チャンバ内で、まずゼブラフィッシュ胚および粒子への顕微鏡対物レンズの第1の視線方向で位置決めし、第1の画像スタックの画像情報を記録する。次いでゼブラフィッシュ胚および粒子を含むゲルを回転軸3周りで90°回転し、第2の画像スタックの画像情報を記録する。その後同様にしてさらに2回、それぞれ90°毎に回転し、第3および第4の画像スタックを記録する。
まとめると、ここでは実質的に以下の方法工程が実行される。
・光シートをz方向に試料空間全体にわたって走らせ、そのとき得られる画像を最大の鮮鋭度に関して評価することにより、粒子に基づいて光シートの調整、有利には自動的に進む調整を行う。
・試料を対象領域(RIO)内で、Z方向でのシフトにより鮮鋭に調整する。
・粒子を十分に良好な信号をもってバックグランドから分離する検出フィルタを選択する。
・−第1の画像スタックを第1の検出方向(0°)から捕捉する。その際、画像スタックを、蛍光色「緑」に対して一度、続いて同様に蛍光色「赤」に対してもう一度記録し、これにより試料(緑)の画像情報と粒子(赤)の画像情報を捕捉する、あるいは2つのカラーチャネル「赤」と「緑」を、スペクトル分離に適した検出システムによって同時に記録する。
・試料をそれぞれ90°毎に、3つの別の検出方向に向くように回転させる。したがってこの3つの検出方向は第1の検出方向と90°、180°および270°の角度をなす。蛍光色「緑」および蛍光色「赤」についてこれらの各検出方向からそのつど別の画像スタックを記録する。その際、これらの画像情報は画像スタックに重なる。
結果として、蛍光色「緑」および蛍光色「赤」について、それぞれ90°毎に相互にずれた試料への視線方向から、それぞれ4つの画像スタックが得られる。
こうして得られた画像情報から、3Dビューで白黒パターンが生じるように、蛍光色「赤」に対してデータ縮小のためのセグメント化を行うことにより、例えば試料の3次元結像を復元する。続いて、蛍光色「赤」で得られた画像スタックに対して登録工程を実行する。すなわち、画像スタックごとに必要な変換演算子を、例えば並進、回転および変形のためのマトリクスの形態で決定する。このマトリクスは、各画像スタックの画像情報を、別の画像スタックの画像情報とオーバラップするのに適している。
このようにして決定した変換演算子を、次いでグリーンチャネルに、すなわち蛍光色「緑」で得られた画像スタックに適用する。その際、試料の画像情報を含む登録された画像スタックが生じる。後者を融合工程によって統合し、それにより単一の価値の高い、試料の3D結像が生じる。
本発明の方法の第2の適用例では、蛍光粒子の代わりに、例えば着色されたポリエステル糸またはポリスチロール糸を、試料、例えばゼブラフィッシュ胚の傍でアガロー・ゲルに埋め込む。
光シート調整のためには、糸の一部が検出用対物レンズの焦点面内にあることを保証しなければならない。そのために、単純な透過光コントラストを評価しながら、糸が少なくとも部分的に焦点面内にくるまで、まず糸を試料と共にz方向に移動させることができる。焦点面内にきたかどうかは糸の結像の鮮鋭度に基づいて判断する。続いて光シートを、糸の焦点面内に存在する部分がSPIMモードでも鮮鋭に結像されるように配向させる。
続いて、すでに説明した方法工程で、種々異なる検出方向から、線維の少なくとも同じ1つの区間が常に画像スタック内に存在するように画像スタックを記録する。糸の画像情報の量は、第1の適用例における粒子の画像情報の量と同様に、試料の画像情報の量よりも格段に小さいので、これにより同様に処理すべきデータ量の格段の低減が達成される。
この場合も、第1の適用例に基づいてすでに説明したように、以下のようにして試料の3次元結像を復元する。まず各検出方向について、糸の同じ区間を試料構造から分離する。これは、例えば画像の単純なトリミングによって行うことができる。そのためには、糸を例えばy方向で試料の少し下方に位置決めすると有利である。その後、この糸の画像に対して登録を行い、変換規則をマトリクスの形態で決定し、次いでこのマトリクスを本来の対象となる試料情報に適用する。その後、融合を行い、それによって単一の価値の高い、試料の3D結像が生じる。
第3の適用例では、基準物体として針をアガロース・ゲルに埋め込む。有利には針先端を、正確に回転軸3上にくるように埋め込む(図1参照)。
試料をとりわけ針先端のすぐ周囲に位置決めすると同様に有利である。これは例えばピン留めによって達成することができる。
光シート調整のためには、針先端が検出用対物レンズの焦点面内にあることを保証しなければならない。そのために、単純な透過光コントラストを評価しながら、針先端が鮮鋭に結像されるまで、針先端を試料と共にz方向に移動させることができる。
物体の記録すべき領域(RIO)は、針先端が画像スタック中に現れるように選択する。
針先端が回転軸3上にあり、試料がそのすぐ周囲に位置決めされれば、とりあえず画像記録が非常に簡単になる。なぜなら試料が回転運動の際に通例は画像野からはみ出ることがないからである。とりわけ針先端の絶対位置が回転運動の際に変化せず、したがって固定点であることは明白である。したがって各画像スタックごとに針先端に対する試料構造の位置が決定されれば、針先端は並進運動を受けないので、登録のために1つの純粋な回転運動しか必要でなくなる。したがって登録アルゴリズムは、さらに非常に効率的に経過する。
針先端の使用のさらなる利点は、光シートの自動調整のために存在する駆動部のキャリブレーションに針先端が使用できることである。
第4の適用例では、間接的に形成された基準構造を、構造化された光シートの形態で使用する。基準構造は、例えば図3に示すように形成することができる。
そのために、対象空間に共役な平面8内にグリッド9を配置する。そうすると、照明対物レンズの瞳平面10内に種々異なるグリッド配置11が生じ、試料空間内にもグリッドの画像が生じる。
このグリッドは、光シート12の幅にわたって変調された強度分布を生じさせる。図3aには光シート12の強度分布が、検出用対物レンズの物体平面(図示しない)の側面図として示されている。ここで光シート12は図平面に対して垂直に配向されており、基準構造13(図3b参照)は照明用対物レンズの被写界深度の範囲内にある。図3aで光シート12に書き込まれた破線は、被写界深度の範囲を象徴的に表す。
図3bには、基準構造13を生じさせる光シート12の強度分布が、物体平面の平面図として示されている。
同等の強度分布が、例えば図4に示したような構成または方法手順によっても生じる。
光シート12はここでは、照明ビーム路の瞳平面内での走査ミラー14の運動によって擬似光シートとして形成される。これによって、実質的に直線状のビームが、検出用対物レンズの画像野上で移動される。
この手順では、画像記録の際の時間的強度変調を回避するために、画像記録の積分時間が走査期間より大きいか、または同じであり、画像記録ができるだけ走査運動と同期していることが常に保証されていなければならない。
空間的構造化を形成するために、所期の時間的変調を、例えば音響光学的変調器15を使用して付加的に導入し、それによって試料空間内に、強度分布したグリッドパターンに基づいてやはり基準構造13が生じるようにすることができる。
構造化された光シートにより蛍光試料が照明されると、試料に由来する蛍光も空間的に変調される。そうすると、図5の右側に示されているように、画像記録の際に、光シートが検出用対物レンズの焦点面と重なるとき、グリッドが明瞭に可視となる。一方、光シートが調整されず、焦点面と重ならなければ、図5の左側に示されているように、グリッドは良好には認識されず、またはまったく認識されない。
したがってグリッド結像を、光シートの非常に正確な調整に利用することができる。そのためには試料単独では十分でない。なぜなら試料は例外的な場合にしか規定の構造をとらないからである。
上に記載したように、光シートを調整するために、本発明によれば2つの変形形態が可能である。すなわち1つは、基準物体によって直接形成された基準構造に基づくもので、もう1つは所定の強度分布の形態で間接に形成された基準構造に基づくものである。
間接に形成された基準構造を使用することの、直接形成された基準構造の使用に対する利点は、グリッドが単純にビーム路から除去され、または時間的強度変調が走査運動中は中止されるため、調整後にそれぞれの基準物体によって妨げられずに試料を通常のSPIMモードで捕捉できることである。
基準物体の使用の欠点はとりわけ、間接的構造化が、試料の3D表示の際に計算能力の低減に利用できないことによって生じる。
1 試料
2 円柱体
3 回転軸
4 試料チャンバ
5 上側
6、7 試料チャンバ壁
8 対象空間に共役な平面
9 グリッド
10 瞳平面
11 グリッド配置
12 光シート
13 基準構造
14 走査ミラー
15 音響光学的変調器
B、D 矢印

Claims (17)

  1. 顕微鏡により試料を3次元結像するための方法であって、該試料の深さ方向において種々異なる平面から画像情報を捕捉し、該画像情報を該試料の空間座標X,Y,Zに位置分解して割り当てて記憶し、該記憶された画像情報から該試料の3次元画像が電子的に復元される、前記方法において、
    少なくとも1つの基準物体を、該試料の近傍または該試料内部に位置決めし、
    該画像情報が捕捉される検出方向を、該試料および該基準物体に対して複数回変更し、
    該変更によって設定された各検出方向から、
    該基準物体の画像情報を捕捉し、それぞれ空間座標X,Y,Zに位置分解して記憶し、
    該試料の深さ方向における種々異なる平面から画像情報を捕捉し、それぞれ空間座標X,Y,Zに位置分解して記憶し、
    該基準物体から記憶された画像情報の空間座標X,Y,Zに基づいて、並進、回転および変形のための変換演算子を獲得し、該変換演算子により種々異なる検出方向からの同じ画像情報源をオーバラップし、
    続いて該変換演算子を使用して、該試料から得られた画像情報の空間座標X,Y,Zから、該試料の3次元画像を復元することを特徴とする、方法。
  2. 前記基準物体として、好ましくはピン、針、線維、糸または微粒子の形態の物体を使用する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記基準物体の構造を基準構造として使用し、該基準構造に基づいて捕捉され記憶した前記空間座標X,Y,Zを、前記変換演算子の獲得のために使用する、請求項1または2に記載の方法。
  4. 個々の検出方向から捕捉され記憶された画像情報を、該画像情報のそれぞれの空間座標X,Y,Zを基準にして並進、回転および変形するための命令の形態で前記変換演算子を提供し、
    前記試料の3次元画像を復元する該命令を使用する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 顕微鏡により試料を3次元結像するための方法であって、該試料の深さ方向において種々異なる平面から画像情報を捕捉し、該画像情報を該試料の空間座標X,Y,Zに位置分解して割り当てて記憶し、該記憶された画像情報から該試料の3次元画像が電子的に復元され、選択的平面照明顕微鏡(SPIM)法に従って、蛍光物質からなる試料、または蛍光物質と混合された試料から前記3次元結像を獲得し、その際に、該試料が、光シートに整形された励起ビームによって照明され、該試料の画像情報が、該試料から到来する発光ビームに基づいて獲得される、方法において、
    蛍光物質からなるか、または蛍光物質を含有する少なくとも1つの基準物体を該試料の近傍または該試料内部に位置決めし、
    画像情報が捕捉される検出方向を、該試料および該基準物体に対して複数回変更し、その際に、
    該変更によって設定された各検出方向から、
    該基準物体の画像情報を捕捉し、それぞれ空間座標X,Y,Zに位置分解して記憶し、
    該試料の深さ方向において種々異なる平面から画像情報を捕捉し、それぞれ空間座標X,Y,Zに位置分解して記憶し、
    該基準物体から記憶された画像情報の空間座標X,Y,Zに基づいて、並進、回転および変形のための変換演算子を獲得し、該変換演算子により種々異なる検出方向からの同じ画像情報源をオーバラップし、
    続いて該変換演算子を使用して、該試料から得られた画像情報の空間座標X,Y,Zから、該試料の3次元画像を復元することを特徴とする、方法。
  6. 前記基準物体の基準構造に、不均一な強度分布の形で照明光を照射し、
    前記基準物体および前記試料の画像情報を、少なくとも1つの所定の検出方向から捕捉するよりも前の時間に、
    該照明光の基準構造の画像、該基準物体の基準構造の画像、または該基準構造として適する試料構造の画像を記録し、それらの結像の鮮鋭度を評価し、次いで、
    該基準構造の最も鮮鋭な像が観察平面内で結像する位置に前記光シートを該検出方向にシフトすること、および
    該基準構造が画像野全体にわたって均一に鮮鋭に結像されるように該光シートを配向すること
    のうちの少なくとも1つを実行する、請求項5に記載の方法。
  7. 前記基準物体の画像情報および前記試料の画像情報を発光ビームに基づいて捕捉し、該発光ビームの波長が相互に異なっている、請求項5または6に記載の方法。
  8. 前記変換演算子を、個々の検出方向から捕捉され記憶された画像情報を、該画像情報のそれぞれの空間座標X,Y,Zを基準にして並進、回転および/または変形するための命令の形にし、
    該命令を、前記試料の3次元画像を復元するために使用する、請求項5乃至7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記試料の画像情報および前記少なくとも1つの基準物体の画像情報を、同時または順次捕捉する、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 検出方向の変化をそのつど前記試料の90°の回転によって変更し、その際に回転軸を該検出方向に対して垂直に配向する、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 選択的平面照明顕微鏡(SPIM)法に従って試料を3次元結像するための方法であって、試料を3次元結像する際に、光シートに整形される照明光が、顕微鏡対物レンズの焦点面に対して配向される、前記方法において、
    基準物体の基準構造に、不均一な強度分布の該照明光を当てる、
    蛍光物質からなる、または蛍光物質を有し、該基準構造として使用可能な構造を有する少なくとも1つの基準物体を該試料の近傍または該試料内部に位置決する、
    該試料の特徴的構造を基準物体の基準構造として決定する、
    ことのうちの少なくとも1つを実行し、
    少なくとも1つのあらかじめ設定された検出方向から、
    該照明光の基準構造の画像、該基準物体の基準構造の画像、または該試料の基準構造の画像を記録し、それらの結像の鮮鋭度を評価し、次いで
    該基準構造の最も鮮鋭な像を観察平面内で結像する位置に該光シートを該検出方向にシフトさせること
    該基準構造を画像野全体にわたって均一に鮮鋭に結像するように該光シートを配向すること
    のうち少なくとも1つを実行し、
    前記光シートを試料空間内のz方向に通過させ、その際に画像スタックを記録し、
    該スタックを個別の画像のコントラストに関して評価し、
    該コントラストに基づいて、顕微鏡対物レンズの焦点面に対する最適の光シート位置を決定し、
    調整装置によって、該光シートを該位置に移動させることにより、前記光シートの配向を行う、方法。
  12. 前記光シートの配向を、前記画像スタックの個々の画像のコントラスト評価の結果に基づいて自動的に行う、請求項11に記載の方法。
  13. 前記基準物体として、好ましくはピン、針、線維または糸の形態の物体を使用し、該物体の少なくとも一部が蛍光材料、好ましくは赤色蛍光材料を含む、請求項5乃至12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 複数の基準物体を蛍光粒子、好ましくは赤色蛍光粒子の形態で使用する、請求項5乃至13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 少なくとも3種の蛍光粒子を、色素でマーキングし、直径が100nmから1μmの範囲にある小さなポリスチロール・ボールの形態で使用し、前記試料と共にゲル、好ましくはアガロース・ゲルに埋め込む、請求項14に記載の方法。
  16. 前記試料を強化緑色蛍光タンパク質(EGFP)により、励起時に緑色蛍光するように着色する、請求項5乃至15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記試料および前記少なくとも1つの基準物体を、波長488nmの励起ビームで照明する、請求項5乃至16のいずれか1項に記載の方法。
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