JP5484080B2 - はんだ付け装置 - Google Patents

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Description

本発明は、溶融はんだを噴出し口から流出させて、電子部品が実装された回路基板に対するはんだ付け作業を行うはんだ付け装置に関する。
いわゆるディップはんだ付け作業を行うはんだ付け装置は、加熱されて溶融した溶融はんだを溜めるはんだ槽と、はんだ槽を覆う蓋体に開口する噴出し口と、スクリュー機構を有して溶融はんだを加圧する加圧部とを有している。
溶融はんだは、加圧部により加圧されてはんだ槽の内部に送り込まれ、はんだ槽の内部圧力によって、溶融はんだが噴出し口から流出する。電子部品が実装された回路基板のはんだ付け箇所が前記噴出し口に対向し、溶融はんだが前記はんだ付け箇所に供給される。
この種のはんだ付け装置は、噴出し口から流出するはんだの流れが安定していることが望まれ、例えば、流出するはんだが脈動したり、流出しているはんだの表面に傾きや波が発生すると、回路基板のはんだ付け箇所へのはんだの供給量にばらつきが生じ、その結果、はんだブリッジが形成されたり、はんだ付け不良が生じるおそれがある。
以下の特許文献1に記載されたはんだ付け装置は、密閉された内槽の内部に、上部にはんだが流出する上部開口が形成された角筒状のノズルが設けられている。ポンプの吐出口から吐出された溶融はんだが内装の内部に供給されると、溶融はんだが、ノズルの周囲を渦巻状に旋回しながら下部に向かって流れ、ノズルの下部開口からノズル内に入り、上部開口から吐出される。この発明は、ノズルの周囲に渦巻状のはんだの流れを形成することで、ノズル内に供給されるはんだの圧力を一定にしようとするものである。
しかし、特許文献1に記載のはんだ付け装置は、ノズルの周囲で溶融はんだが渦巻状に流れるため、ノズルの下部開口からノズル内に入った溶融はんだに渦巻状の流れが残りやすく、ノズルの上部開口から流出するはんだの流れに、渦巻きに起因する脈動が作用しやすくなる。また、ノズルの外周を渦巻状に流れる溶融はんだが内槽の下部まで移動し、そこからノズルの下部開口に入り込む構造であるために、内槽内へ供給される溶融はんだの流れの抵抗力が大きくなり、大きな出力のポンプが必要になる。
特開昭63−137570号公報
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、噴出し口から溶融はんだを安定した流れで流出させることができ、しかも比較的に低負荷で溶融はんだを循環させることができるはんだ付け装置を提供することを目的としている。
本発明は、溶融はんだが供給されるはんだ槽と、前記はんだ槽の上方を閉じる蓋体と、前記蓋体に形成された噴出し口と、溶融はんだを連続的に加圧する加圧部とを有し、前記加圧部で加圧された溶融はんだが前記はんだ槽に供給されて、前記噴出し口から流出するはんだ付け装置において、
前記加圧部と前記はんだ槽とを繋ぐ供給流路が設けられ、前記供給流路は、一端に流入口が他端に流出口が開口し、前記流入口と前記流出口以外が閉鎖された閉鎖通路であり、前記加圧部で加圧された溶融はんだが前記流入口から前記供給流路に流入し、前記供給流路内を流れた溶融はんだが前記流出口から前記はんだ槽に供給され、
上方から見たときに、前記はんだ槽が四角形状で、前記加圧部が前記はんだ槽と区画されて配置され、前記供給流路が前記はんだ槽の周囲に、少なくとも2辺に沿って配置されており、
前記供給流路の前記流入口の開口方向と前記流出口の開口方向とが、90度以上の曲がり角を有していることを特徴とするものである。
本発明のはんだ付け装置は、加圧部で加圧されて供給流路に流れ込んだ溶融はんだが、閉鎖通路である供給流路を流れ、しかも供給流路内で流れが90度以上曲がる。この間に流れが安定し、層流に近い安定した流れとなってはんだ槽に供給される。供給流路からはんだ槽に入ったときに、はんだの流れが止まって停滞しようとするため、はんだ槽内ではんだが安定し、溶融はんだが噴出し口からほとんど脈動がなく安定して流れ出るようになる。その結果、回路基板のはんだ付け箇所にはんだを安定して供給することができる。
さらに、前記供給流路は、下流側よりも上流側の方が断面積が小さい部分を有していることが好ましい。前記供給流路は、前記流入口から続く第1流路、第1流路から直角に曲げられた第2流路、第2流路から直角に曲げられ、前記流出口に続く第3流路からなり、第2流路の断面積が第1流路より小さく、第3流路の断面積が第2流路より大きいものとできる。
供給流路内を流れる溶融はんだが、断面積の小さい部分がから断面積の大きな部分に入ることで流速が低下し、流れが安定して層流に近い流れとなって、はんだ槽に入り込むようになる。
また、本発明は、前記供給流路の前記流出口の開口面積が、前記はんだ槽の縦断面の断面積の1/5以下であることが好ましい。
上記のように、流出口の開口面積をはんだ槽の断面積よりも十分に小さくすることで、供給流路からはんだ槽内に流れ込んではんだの流れのエネルギーが小さくなり、噴出し口へはんだを送り出すための圧力が安定し、噴出し口から流出するはんだの流れを安定させやすくなる。
本発明のはんだ付け装置は、加圧部で加圧されて供給された溶融はんだが、安定した流れとなってはんだ槽に入り込む。はんだ槽内で流れが抑制されて、溶融はんだが噴出し口から流出するため、噴出し口から流出するはんだの流れに脈動や波が発生しにくくなり、回路基板などのはんだ付け箇所に溶融はんだを安定して供給することが可能になる。
本発明の実施の形態のはんだ付け装置を示すものであり、蓋体を外した状態の平面図、 蓋体が取り付けられたはんだ付け装置を示すものであり、図1をII−IIで切断した断面図、 比較例のはんだ付け装置の平面図、
図1と図2に示すはんだ付け装置1は、熱伝導率の高い金属で形成された筐体2を有している。筐体2は、平坦な底壁部3を有し、前壁部4と後壁部5と左壁部6および右壁部7が、底壁部3から垂直に延びている。前壁部4と後壁部5と左壁部6および右壁部7は、それぞれ平坦であり、それぞれ直角に組み合わされている。筐体2は上方の開口部8が開放された立方体形状であり、図1に示す平面形状は四角形である。
筐体2の下側に熱源が設けられ、はんだ付け作業を行うときは、筐体2が加熱され、内部のはんだが溶融状態となる。
筐体2の内部には複数の隔壁が設けられている。筐体2の内部の後部には、後壁部5と平行で垂直の後隔壁11が設けられている。筐体2の内部の前部には、前壁部4と平行で垂直の前隔壁13が設けられている。前隔壁13と後隔壁11は互いに平行である。左壁部6の内側には左隔壁12が、右壁部7の内側には右隔壁14が設けられている。左隔壁12と左壁部6は平行であり、右隔壁14と右壁部7は平行である。また、後隔壁11と後壁部5との間には、補助隔壁15が設けられている。それぞれの隔壁は、筐体2と同じ熱伝導率の高い金属板で形成されている。
後隔壁11と前隔壁13と左隔壁12および右隔壁14で囲まれた領域がはんだ槽21であり、はんだ槽21は、筐体2の内部で区画された区画領域の中で容積が最も大きい。
後壁部5と後隔壁11と右壁部7および補助隔壁15で囲まれた領域がはんだ溜め部22であり、循環した後の溶融はんだであって、回路基板のはんだ付け箇所に付着しなかった溶融はんだがはんだ溜め部22に溜められる。
後壁部5と後隔壁11と左壁部6および補助隔壁15で囲まれた領域が加圧部23である。図2に示すように、加圧部23の下部には、上側が加圧蓋体16で区分された加圧室23aが設けられている。後隔壁11の下部には流入口30aが開口している。流入口30aは、はんだ槽21の外周に形成されている供給流路30に連通している。なお、加圧室23aは、はんだ槽21とは分離されて区画されている。
前記加圧蓋体16に、支持筒体24が固定されている。支持筒体24は加圧蓋体16の上方において、はんだ溜め部22に連通している。支持筒体24の下端の開口部24aは、加圧蓋体16よりも下側で加圧室23aに連通している。支持筒体24の上部には上下に間隔を空けて配置された軸受26が保持され、軸受26によって、スクリュー軸25aが回転自在に支持されている。スクリュー軸25aの下部にスクリュー25が固定されており、スクリュー25の下部は、加圧室23aの内部に位置している。
支持筒体24の上にはブラケット27を介して支持板28が固定されており、この支持板28に回転駆動源であるモータ機構29が固定されている。モータ機構29は、電磁モータと減速機構とを有しており、減速機構で減速された回転力が出力軸29aからジョイント29bを介してスクリュー軸25aに与えられる。
図1に示す平面構造では、供給流路30が、はんだ槽21の周囲を囲むように配置されている。供給流路30は、第1流路31と第2流路32および第3流路33とから構成されている。第1流路31は、左壁部6と左隔壁12の間に形成され、図2に示すように、上部が流路蓋体34で塞がれ下部が底壁部3で囲まれた閉鎖通路であり、前記流入口30aを介して加圧室23aに連通している。第2流路32は、前壁部4と前隔壁13の間に形成され、上部が流路蓋体34で塞がれ下部が底壁部3で囲まれた閉鎖通路であり、前記第1流路31と連通している。第3流路33は、右壁部7と右隔壁14の間に形成され、上部が流路蓋体34で塞がれ下部が底壁部3で囲まれた閉鎖通路であり、前記第2流路32と連通している。そして、第3流路33は、流出口30bを介してはんだ槽21に連通している。
供給流路30を形成する第1流路31と第2流路32および第3流路33は、流入口30aと流出口30b以外の部分が閉じられた閉鎖通路(管路)である。流入口30aは加圧室23aに連通しており、流出口30bがはんだ槽21に連通している。第1流路31と第2流路32は90度曲がり、第2流路32と第3流路33も90度曲がっており、流入口30aの開口方向と流出口30bの開口方向が270度の曲がり角度を有している。
中央のはんだ槽21の上部は、蓋体36で塞がれている。蓋体36には、上方へ突出する筒部37が一体に形成され、筒部37の上部に噴出し口38が開口している。図1と図2に示すはんだ付け装置1では、蓋体36の中央部に長方形の噴出し口38が開口している。蓋体36は、取り外し自在であり、回路基板41のはんだ付け箇所の変更に伴って、噴出し口38の位置と形状が相違する蓋体36に取り替え可能である。
はんだ槽21の内部空間は、流出口30bを介して第3流路33に連通され、噴出し口38を通じて上方の外部空間に連通されており、それ以外は閉鎖されている。
第1流路31、第2流路32および第3流路33のそれぞれの断面の断面積は、はんだ槽21をX−X面で切断した断面積およびはんだ槽21をY−Y面で切断した断面積の双方よりも十分に小さい。また、流出口30bの開口面積は、はんだ槽21をX−X面で切断した断面積およびY−Y面で切断した断面積の双方よりも十分に小さく、1/5以下であり、好ましくは1/10以下である。
第2流路32の断面積は、第1流路31の断面積よりも小さく、第3流路33の断面積は、第2流路32の断面積よりも大きい。そして流出口30bの開口面積は、第3流路33の断面積よりも小さい。
回路基板41のはんだ付け箇所にはんだを供給するときは、筐体2の全体が過熱されて内部のはんだが溶融された状態で、モータ機構29が始動し、スクリュー軸25aとスクリュー25が回転する。スクリュー25の回転により、はんだ溜め部22内の溶融はんだが支持筒体24の内部に引き込まれ、加圧室23a内のはんだが加圧されて、流入口30aから第1流路31に供給される。
第1流路31の内部を進む溶融はんだは、流路が直角に曲げられて第2流路32に送られ、さらに流路が直角に曲げられて第3流路33に送られる。第3流路33の内部を流れる溶融はんだは、後隔壁11に当たって直角に曲げられ、流出口30bからはんだ槽21内に送り込まれる。流出口30bからはんだ槽21にはんだが供給されることで、はんだ槽21の内部の圧力が高くなり、溶融はんだが筒部37の内部を上がって噴出し口38から流出する。流出したはんだは、蓋体36の上面を伝わって、はんだ溜め部22の内部に循環する。
噴出し口38から溶融はんだが流出しているときに、電子部品を実装した回路基板41が、噴出し口38に接近するように下降し、回路基板41のはんだ付け箇所にはんだが供給された後に、回路基板41がゆっくり引き上げられる。
加圧室23aの内部では、スクリュー25が回転しているため、溶融はんだに推進エネルギーが与えられて、溶融はんだが乱流状態となって、流入口30aから第1流路31に送り込まれる。溶融はんだが第1流路31を流れるうちに流れが安定し、90度曲げられて第2流路32に送られるとさらに流れが安定する。さらに90度曲げられて第3流路33の内部を流れ、安定した流れとなって、流出口30bからはんだ槽21の内部に送られる。
閉鎖通路である長い供給流路30の内部を流れるうちに、スクリュー25の推進力で乱流状態となって送り出される溶融はんだが、層流または層流に近い状態の安定した流れとなってはんだ槽21に送り込まれる。第2流路32から第3流路33に移行する際に、その境界部で、閉鎖通路(管路)の断面積が拡大するために、第3流路33に入り込んだはんだの流れが遅くなり、これによってさらに安定した流れとなる。また第2流路32の断面積を小さくすることで、第1流路31から第3流路33への単位時間当たりの流量を増加することができ、はんだが流れる時間を短くできる。
第3流路33の断面積に対してはんだ槽21の断面積がきわめて大きく、また流出口30bの開口面積に対してはんだ槽21の断面積がきわめて大きい。そのために、第3流路33から流出口30bを経てはんだ槽21に入ったはんだの流れが急激に低下し、はんだははんだ槽21の内部で停滞しようとする。よって、はんだ槽21の内部ではんだの流れを抑制でき、はんだ槽21内の溶融はんだは、噴出し口38からほとんど脈動することなく、また波が形成されることなく、安定して流出するようになる。
図3は、比較例となるはんだ付け装置101の平面図である。
このはんだ付け装置101は、はんだ槽131を覆う蓋体に、筒部37および噴出し口38が形成されている。加圧部23は、はんだ槽131に直接に連通し、加圧部23に設けられたスクリューによって、溶融はんだが加圧されて、はんだ槽131の内部に直接に送り込まれる。
このはんだ付け装置101では、加圧部123内においてスクリューで加圧される溶融はんだの流れの乱れが直接にはんだ槽131に及ぶため、噴出し口38から流出する溶融はんだに脈動などが生じやすくなり、前記はんだ付け装置1のように安定した流れではんだを流出されるのが難しい。
本発明の実施の形態のはんだ付け装置1と比較例のはんだ付け装置101を使用して、液体の流れ特性を測定してみた。溶融はんだの代わりに白色に着色した水を使用し、はんだ付け装置1とはんだ付け装置101に双方においてスクリューを1200〜2203rpmで回転させて、着色水を循環させ、噴出し口38から流れ出る水の表面の高さの変化をレーザ変位計を使用して測定した。噴出し口38は、長辺を80mm、短辺を20mm、高さを30mmとした。
測定結果を工程能力指数(CPK)に換算したところ、比較例のはんだ付け装置101のCPKが0.522であるのに対し、実施の形態のはんだ付け装置1ではCPKが1.476〜1.545であった。次に、実施の形態のはんだ付け装置1の右隔壁14を外して、供給流路30を第1流路31と第2流路32のみの構造にした場合には、CPKが1.351〜1.445であった。これに対し、右隔壁14と前隔壁13を外して、第1流路31のみとしたものでは、CPKが1.039から1.262と低下した。
したがって、供給流路30は、流入口30aの流入方向と流出口30bの流出方向が、少なくも90度以上の曲がり角を有していることが好ましく、供給流路30は、四角形状のはんだ槽21の少なくとも2辺に沿って設けられていることが好ましい。
1 はんだ付け装置
2 筐体
21 はんだ槽
22 はんだ溜め部
23 加圧部
23a 加圧室
25 スクリュー
30 供給流路
30a 流入口
30b 流出口
31 第1流路
32 第2流路
33 第3流路
36 蓋体
37 筒部
38 噴出し口
41 回路基板

Claims (4)

  1. 溶融はんだが供給されるはんだ槽と、前記はんだ槽の上方を閉じる蓋体と、前記蓋体に形成された噴出し口と、溶融はんだを連続的に加圧する加圧部とを有し、前記加圧部で加圧された溶融はんだが前記はんだ槽に供給されて、前記噴出し口から流出するはんだ付け装置において、
    前記加圧部と前記はんだ槽とを繋ぐ供給流路が設けられ、前記供給流路は、一端に流入口が他端に流出口が開口し、前記流入口と前記流出口以外が閉鎖された閉鎖通路であり、前記加圧部で加圧された溶融はんだが前記流入口から前記供給流路に流入し、前記供給流路内を流れた溶融はんだが前記流出口から前記はんだ槽に供給され、
    上方から見たときに、前記はんだ槽が四角形状で、前記加圧部が前記はんだ槽と区画されて配置され、前記供給流路が前記はんだ槽の周囲に、少なくとも2辺に沿って配置されており、
    前記供給流路の前記流入口の開口方向と前記流出口の開口方向とが、90度以上の曲がり角を有していることを特徴とするはんだ付け装置。
  2. 前記供給流路は、下流側よりも上流側の方が断面積が小さい部分を有している請求項1記載のはんだ付け装置。
  3. 前記供給流路は、前記流入口から続く第1流路、第1流路から直角に曲げられた第2流路、第2流路から直角に曲げられ、前記流出口に続く第3流路からなり、第2流路の断面積が第1流路より小さく、第3流路の断面積が第2流路より大きい請求項1または2記載のはんだ付け装置。
  4. 前記供給流路の前記流出口の開口面積が、前記はんだ槽の縦断面の断面積の1/5以下である請求項1ないしのいずれかに記載のはんだ付け装置。
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