本発明の燃料電池システムは、基本構成として、酸化剤ガス及び燃料ガスを導入して電気化学反応により発電する燃料電池と、燃料電池から外部負荷へ電力供給を行う前に燃料電池の空気極及び燃料極に電流を印加するための通電手段と、燃料電池に導入する酸化剤ガス中の酸素分圧を調整するための酸素分圧調整手段と、酸素分圧調整手段を制御する制御手段を備えている。この燃料電池システムの具体的な構成は、後記する各実施形態において説明する。
上記燃料電池システムの運転方法は、燃料電池から外部負荷へ電力供給を行う前に燃料電池に通電を行う際、燃料電池に導入する酸化剤ガス中の酸素分圧のみを制御する。また、より望ましくは、酸素分圧の制御に加えて、燃料電池に導入する燃料ガスの流量をも制御する。
すなわち、図1に示す燃料電池システムの運転方法は、酸化剤ガス中の酸素分圧の制御を行うものである。まず、ステップS1において燃料電池への通電を開始すると、ステップS2において、燃料電池の空気極に導入する酸化剤ガス中の酸素分圧が通常運転時における酸化剤ガス中の酸素分圧よりも減少するように調整する。
ここで、酸化剤ガス中の酸素分圧は、酸化剤ガスの流量計、分圧計及び酸素センサなどで検出することができると共に、実験により適正値を求めて予め設定しておくこともできる。また、酸化剤ガス中の酸素分圧を調整する手段としては、酸化剤ガスの流量(絶対量)を変化させて酸素分圧を調整するものや、酸化剤ガス中に別のガスを混合して酸素分圧を調整するものを用いることができる。
次に、燃料電池システムの運転方法は、ステップS3において、空気極側の酸素分圧が所定値まで減少したか否かを判定し、酸素分圧が所定値に達していないと判定した場合(NO)にはステップS2に戻る。また、酸素分圧が所定値に達したと判定した場合(YES)には、ステップS4において所定の通電処理をしたか否かを判定する。
ここで、ステップS4における通電処理の判定は、時間経過、電圧値(又は電圧増加率)、電流値(又は電流増加率)、及び抵抗値(又は抵抗減少率)のいずれかにより判定することができると共に、実験により適正値を求めて予め設定しておくこともできる。
そして、ステップS4において所定の通電処理をしていないと判定した場合(NO)には、ステップS2に戻り、所定の通電処理をしたと判定した場合(YES)には、ステップS5に移行して通電処理を終了する。
その後は、ステップS6において燃料電池の空気極に導入する酸化剤ガス中の酸素分圧が通常運転時の値となるように調整し、ステップS7において通常運転時の酸素分圧になったか否かを判定する。ステップS7において、通常運転時の酸素分圧ではないと判定した場合(NO)にはステップS6に戻り、通常運転時の酸素分圧であると判定した場合(YES)には、ステップS8に移行して燃料電池の通常運転を開始する。
上記の燃料電池システムの運転方法では、通電手段の作動時において、燃料電池の空気極に導入する酸化剤ガス中の酸素分圧を通常運転時の酸素分圧よりも減少させることで、燃料電池に印加する電流が低くても大きな通電効果を得ることができる。これにより、通電時の燃料ガス消費量が減少し、燃費が向上すると共に、出力の向上や高電流での劣化防止などの効果がある。
図2に示す本発明の燃料電池システムの運転方法は、酸化剤ガス中の酸素分圧の制御と燃料電池に導入する燃料ガスの流量の制御の両方を行うものである。まず、ステップS11において燃料電池への通電を開始すると、ステップS12において、燃料電池の空気極に導入する酸化剤ガス中の酸素分圧が通常運転時における酸化剤ガス中の酸素分圧よりも減少するように調整すると共に、燃料電池の燃料極に導入する燃料ガスの流量を調整する。
ここで、燃料ガスの流量は、実験により適正値を求めて予め設定しておくこともできるし、燃料電池に流れる電流を電流計で検知し、その電流値を基に算出した燃料ガス消費量に基づいて調整しても良い。
次に、燃料電池システムの運転方法は、ステップS13において、燃料ガスの流量及び酸素分圧が所定値まで減少したか否かを判定し、燃料ガスの流量及び酸素分圧が所定値に達していないと判定した場合(NO)にはステップS12に戻る。また、燃料ガスの流量及び酸素分圧が所定値に達したと判定した場合(YES)には、ステップS14において燃料極側の酸素分圧が所定値以内であるか否かを判定する。
ステップS14において燃料極側の酸素分圧が所定値以内ではないと判定した場合(NO)には、ステップS15において燃料ガスの流量を増加させてから、ステップS14に戻る。また、燃料極側の酸素分圧が所定値以内であると判定した場合(YES)には、ステップS16に移行して所定の通電処理をしたか否かを判定する。
そして、ステップS16において所定の通電処理をしていないと判定した場合(NO)には、ステップS12に戻り、所定の通電処理をしたと判定した場合(YES)には、ステップS17に移行して通電処理を終了する。
その後は、ステップS18において燃料電池の空気極に導入する酸化剤ガス中の酸素分圧、及び燃料極に導入する燃料ガスの流量が、いずれも通常運転時の値となるように調整し、ステップS19において通常運転時の酸素分圧になったか否かを判定する。このステップS19において通常運転時の酸素分圧及び燃料ガス流量ではないと判定した場合(NO)にはステップS18に戻り、通常運転時の酸素分圧及び燃料ガス流量であると判定した場合(YES)には、ステップS20に移行して燃料電池の通常運転を開始する。
上記の燃料電池システムの運転方法では、通電手段の作動時において、酸化剤ガス中の酸素分圧の制御に加えて、燃料電池の燃料極に導入する燃料ガスの流量の節約モードを有するものとなり、燃料ガス消費量をより減少させて燃費のさらなる向上を実現する。
また、上記の燃料電池システムの運転方法では、ステップS14及びS15の工程、すなわち燃料極側の酸素分圧を検出し、その検出値が所定値を越えた場合(所定値以内ではない場合)に燃料ガスの流量を増加させる。これにより、燃料極の酸化を防止することができる。つまり、上記運転方法では、燃料ガスの流量を減少させるのであるが、減少させ過ぎて燃料極が酸化雰囲気になると、燃料極が劣化する場合がある。そこで、燃料ガスが減少し過ぎた際(酸素分圧が高くなった際)に燃料ガスを増加させることで、燃料極を還元雰囲気に戻すようにしている。
以下、図面に基づいて、本発明に係わる燃料電池システム及びその運転方法の実施形態をより具体的に説明する。
図3は、本発明の燃料電池システム及びその運転方法の第1実施形態を説明する図である。図3(A)に示す燃料電池システムA1は、燃料電池FCと、外部負荷10と、通電手段11と、酸素分圧調整手段としての電磁バルブ12と、第1酸素分圧検出手段13と、コントロールユニット(制御手段)CUを備えている。
燃料電池FCは、内部の図示を省略したが、電解質の両側に空気極(カソード)及び燃料極(アノード)を設けた固体酸化物型セルを複数積層したスタック構造を有し、酸化剤ガス(空気)及び燃料ガス(含水素ガス)を導入して電気化学反応により発電する。
外部負荷10は、燃料電池FCから電力供給されるモータ等であり、負荷接断スイッチ14を含む接続回路15を介して、燃料電池FCに接続してある。なお、図1における外部負荷10は、「電球」を模して表示している。
通電手段11は、燃料電池FCから外部負荷10に電力供給を行う前に燃料電池FCの燃料極及び空気極に電流を印加するものである。この実施形態の通電手段11は、燃料電池FCの燃料極と空気極とを短絡させることで通電を行う構成になっていて、開閉スイッチ16を備えている。なお、通電手段11は、後記する実施形態(図4)に示すように、燃料電池FCの燃料極及び空気極に電流を印加する電源を備えたものでも良い。
酸素分圧調整手段は、燃料電池FCの空気極に導入する酸化剤ガス中の酸素分圧を調整するためのものである。この実施形態の酸素分圧調整手段は、燃料電池FCの空気極に導入する酸化剤ガスの流量を変化させることにより酸素分圧を調整するものであり、具体的には先述の如く電磁バルブ12である。
第1酸素分圧検出手段13は、燃料電池FCの空気極側の酸化剤ガス中の酸素分圧を検出するものであり、具体的には、酸化剤ガスの流量計、分圧計及び酸素センサなどを用いることができる。
コントロールユニット(制御手段)CUは、CPU(Central Processing Unit)やインターフェース回路等から成る中央制御部、ハードディスク、及び半導体メモリ等から成るメモリとを備えたものである。そして、コントロールユニットCUは、中央制御部に所要の機能を発揮させるためのプログラムが記憶させてある。
この実施形態におけるコントロールユニットCUは、通電手段11の作動時における酸化剤ガス中の酸素分圧が燃料電池FCの通常運転時における酸化剤ガス中の酸素分圧よりも減少するように電磁バルブ(酸素分圧調整手段)12を制御する。この際、第1酸素分圧検出手段13による検出値に基づいて電磁バルブ12を制御する
次に、上記構成を備えた燃料電池システムA1の運転方法を図3(B)のフローチャートに基づいて説明する。この実施形態の運転方法は、図1で説明した運転方法すなわち酸化剤ガス中の酸素分圧の制御を行う運転方法を基本とするものである。
まず、ステップS1において燃料電池への通電を開始すると、ステップS2において燃料電池FCの空気極に導入する酸化剤ガスの流量を調整する。すなわち、酸素分圧調整手段である電磁バルブ12の開度を小さくして酸化剤ガスの流量を減少させることで、燃料電池FCの空気極に導入する酸化剤ガス中の酸素分圧を、通常運転時における酸化剤ガス中の酸素分圧よりも減少させる。
次に、燃料電池システムの運転方法は、ステップS3において、空気極側の酸素分圧が所定値まで減少したか否かを判定する。この際、酸素分圧は、第1酸素分圧検出手段13により検出する。その後、ステップS3において、酸素分圧が所定値に達していないと判定した場合(NO)にはステップS2に戻り、酸素分圧が所定値に達したと判定した場合(YES)には、ステップS4において所定の通電処理をしたか否かを判定する。このように、この実施形態の運転方法では、第1酸素分圧検出手段13による検出値により電磁バルブ12の開度をフィードバック制御する。
そして、ステップS4において所定の通電処理をしていないと判定した場合(NO)には、ステップS2に戻り、所定の通電処理をしたと判定した場合(YES)には、ステップS5に移行して通電処理を終了する。
その後は、ステップS6において燃料電池FCの空気極に導入する酸化剤ガスの流量を調整する。すなわち、電磁バルブ12の開度を大きくして酸化剤ガスの流量を増大させることで、酸化剤ガス中の酸素分圧が通常運転時の値となるように調整する。そして、ステップS7において通常運転時の酸素分圧になったか否かを判定する。ステップS7において、通常運転時の酸素分圧ではないと判定した場合(NO)にはステップS6に戻り、通常運転時の酸素分圧であると判定した場合(YES)には、ステップS8に移行して燃料電池の通常運転を開始する。
上記の燃料電池システムA1及びその運転方法では、通電手段11の作動時において、燃料電池FCの空気極に導入する酸化剤ガスの流量を減少させることで、酸化剤ガス中の酸素分圧を通常運転時の酸素分圧よりも減少させる。これにより、非常に簡単な構造であるうえに、燃料電池FCに印加する電流が低くても大きな通電効果を得ることができ、通電時の燃料ガス消費量を減少させて燃費を向上させることができる。また、第1酸素分圧検出手段13を用いて電磁バルブ(酸素分圧調整手段)12をフィードバック制御するので、酸素分圧の調整がより正確に行われる。
図4は、本発明の燃料電池システム及びその運転方法の第2実施形態を説明する図である。なお、先の実施形態と同一の構成部位は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。図4(A)に示す燃料電池システムA2は、燃料電池FCと、外部負荷10と、通電手段11と、酸素分圧調整手段としてのガス供給手段17と、第1酸素分圧検出手段13と、コントロールユニット(制御手段)CUを備えている。
ガス供給手段17は、燃料電池FCの空気極に導入する酸化剤ガス中に、その酸素分圧よりも低い酸素分圧のガスを混入させることで、酸素分圧を調整するものであり、ガスボンベ等のガス貯蔵機器や配管類により構成される。この低酸素分圧のガスとしては、とくに限定されるものではないが、不活性なガスがより好ましく、具体的にはN2,Ar,CO2などのガスを使用することができる。
この実施形態の通電手段11は、電源18を備えており、燃料電池FCの燃料極及び空気極に電流を印加する。
次に、上記構成を備えた燃料電池システムA2の運転方法を図4(B)のフローチャートに基づいて説明する。この実施形態の運転方法は、図1で説明した運転方法すなわち酸化剤ガス中の酸素分圧の制御を行う運転方法を基本とするものである。
まず、ステップS1において燃料電池への通電を開始すると、ステップS2において燃料電池FCの酸化剤ガスの導入経路に対して、ガス供給手段17から低酸素分圧のガスを供給する。これにより、燃料電池FCの空気極に導入する酸化剤ガス中の酸素分圧を、通常運転時における酸化剤ガス中の酸素分圧よりも減少させる。
次に、燃料電池システムの運転方法は、ステップS3において、第1酸素分圧検出手段13により、空気極側の酸素分圧が所定値まで減少したか否かを判定する。ステップS3において、酸素分圧が所定値に達していないと判定した場合(NO)にはステップS2に戻り、酸素分圧が所定値に達したと判定した場合(YES)には、ステップS4において所定の通電処理をしたか否かを判定する。
そして、ステップS4において所定の通電処理をしていないと判定した場合(NO)には、ステップS2に戻り、所定の通電処理をしたと判定した場合(YES)には、ステップS5に移行して通電処理を終了する。
その後は、ステップS6において燃料電池FCの空気極に導入する酸化剤ガスの酸素分圧を調整する。すなわち、ガス供給手段17による低酸素分圧のガスの供給を停止して、酸化剤ガス中の酸素分圧が通常運転時の値となるように調整する。そして、ステップS7において通常運転時の酸素分圧になったか否かを判定する。ステップS7において、通常運転時の酸素分圧ではないと判定した場合(NO)にはステップS6に戻り、通常運転時の酸素分圧であると判定した場合(YES)には、ステップS8に移行して燃料電池の通常運転を開始する。
上記の燃料電池システムA2及びその運転方法にあっても、先の実施形態と同様に、燃料電池FCに印加する電流が低くても大きな通電効果を得ることができ、通電時の燃料ガス消費量を減少させて燃費を向上させることができる。
図5は、本発明の燃料電池システム及びその運転方法の第3実施形態を説明する図である。先の実施形態と同一の構成部位は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。図5(A)に示す燃料電池システムA3は、燃料電池FCと、外部負荷10と、短絡により通電を行う通電手段11と、酸素分圧調整手段としての排出ガス混合手段19と、第1酸素分圧検出手段13と、コントロールユニット(制御手段)CUを備えている。
排出ガス混合手段19は、燃料電池FCの空気極に導入する酸化剤ガス中に、燃料電池FCの空気極の排出ガスを混入させて、酸化剤ガス中の酸素分圧を減少させるものである。この実施形態の排出ガス混合手段19は、燃料電池FCの空気極の排出ガスを導入側に戻すリターン配管20、電磁バルブ21及び排出ガスを加圧するブロア22を備えている。排出ガスは、燃料電池FCの電極反応で酸素が消費されるため、空気極に導入する酸化剤ガスよりも酸素濃度が低くなっている。
また、この実施形態では、燃料電池FCの空気極に対して、電磁バルブ12及び第1酸素分圧検出手段13が設けてあり、他方、燃料極に対して、導入する燃料ガスの流量を調整する燃料流量調整手段としての電磁バルブ23を備えている。さらに、この実施形態では、通電手段11の作動時における燃料ガスの流量が予め設定してあり、上記電磁バルブ23を一定の開度にする。
この実施形態のコントロールユニット(制御手段)CUは、通電手段11の作動時における酸化剤ガス中の酸素分圧が燃料電池FCの通常運転時における酸化剤ガス中の酸素分圧よりも減少するように排出ガス混合手段(酸素分圧調整手段)19を制御すると共に、電磁バルブ(燃料流量調整手段)23で燃料ガス流量を制御する。
また、この実施形態の燃料電池システムA3は、燃料流量調整手段である電磁バルブ23と、燃料電池FCの燃料極側の酸素分圧を検出する第2酸素分圧検出手段24を備えている。コントロールユニット(制御手段)CUは、第2酸素分圧検出手段24による検出値に基づいて電磁バルブ(燃料流量調整手段)23を制御する。
次に、上記構成を備えた燃料電池システムA2の運転方法を図5(B)のフローチャートに基づいて説明する。この実施形態の運転方法は、図2で説明した運転方法すなわち酸化剤ガス中の酸素分圧の制御と燃料ガスの流量の制御の両方を行う運転方法を基本とするものである。
まず、ステップS11において燃料電池への通電を開始すると、ステップS12において、燃料電池FCの空気極に対して、酸化剤ガスの流量を制御すると共に、排出ガス混合手段19による排出ガスの加圧供給を開始し、且つ燃料極に対して、燃料ガスの流量を制御する。すなわち、電磁バルブ12の開度及び排出ガス混合手段19のブロア22を制御して、空気極に導入する酸化剤ガス中の酸素分圧を、通常運転時における酸化剤ガス中の酸素分圧よりも減少させ、さらに、燃料ガスの導入経路における電磁バルブ23の開度を小さくして、燃料ガスの流量も減少させる。
次に、ステップS13において、燃料ガスの流量及び酸素分圧が所定値まで減少したか否かを判定し、燃料ガスの流量及び酸素分圧が所定値に達していないと判定した場合(NO)にはステップS12に戻る。また、燃料ガスの流量及び酸素分圧が所定値に達したと判定した場合(YES)には、ステップS14において、第2酸素分圧検出手段24により燃料極側の酸素分圧が所定値以内であるか否かを判定する。
ステップS14において燃料極側の酸素分圧が所定値以内ではないと判定した場合(NO)には、ステップS15において燃料ガスの流量を増加させてから、ステップS14に戻る。また、燃料極側の酸素分圧が所定値以内であると判定した場合(YES)には、ステップS16に移行して所定の通電処理をしたか否かを判定する。
そして、ステップS16において所定の通電処理をしていないと判定した場合(NO)には、ステップS12に戻り、所定の通電処理をしたと判定した場合(YES)には、ステップS17に移行して通電処理を終了する。
その後は、ステップS18において、排出ガス混合手段19による排出ガスの供給を停止すると共に、燃料電池FCに導入する酸化剤ガス中の酸素分圧及び燃料ガスの流量が、いずれも通常運転時の値となるように調整する。そして、ステップS19において通常運転時の酸素分圧及び燃料ガス流量になったか否かを判定する。このステップS19において通常運転時の酸素分圧及び燃料ガス流量ではないと判定した場合(NO)にはステップS18に戻り、通常運転時の酸素分圧及び燃料ガス流量であると判定した場合(YES)には、ステップS20に移行して燃料電池の通常運転を開始する。
ここで、上記の実施形態では、酸素分圧調整手段である排出ガス混合手段19が、ブロア22を備えていて、燃料電池FCの空気極に導入する酸化剤ガスのガス流路に対して排出ガスを加圧により供給するものとなっている。この排出ガス混合手段19は、上記ブロア22のほかに、燃料電池FCの空気極に導入する酸化剤ガスのガス流路を減圧することで排出ガスを負圧により供給するものでも良い。
具体的な構成としては、図5(C)に示すように、燃料電池FCへの酸化剤ガスの導入管25に小径部25Aを設けて、この小径部25Aにリターン管20を接続する。図示の構造においては、小径部25Aにおいて酸化剤ガスの流速が増加し、これにより圧力が低下するので、その負圧によりリターン管20から排出ガスが吸引されて酸化剤ガスと排出ガスとが混合し、酸化剤ガス中の酸素分圧を減少させることとなる。
上記の燃料電池システムA3及びその運転方法にあっても、先の実施形態と同様に、燃料電池FCに印加する電流が低くても大きな通電効果を得ることができるうえに、通電時において、酸化剤ガス中の酸素分圧の制御に加えて、燃料電池FCの燃料極に導入する燃料ガスの流量を節約モードに設定することにより燃費のさらなる向上を実現する。
さらに、上記の燃料電池システムA3の運転方法では、酸素分圧の調整に燃料電池の排出ガスを循環利用するので、特別なガス供給源が不要であり、構造の小型軽量化を図ることができる。本実施形態は、例えば車載型の燃料電池システムのように容積が限られたシステムで非常に有効なものとなる。
さらに、上記の燃料電池システムA3及びその運転方法では、第1及び第2の酸素分圧検出手段13,24を用いて酸素分圧調整手段(電磁バルブ12)及び燃料流量調整手段(電磁バルブ23)をフィードバック制御するので、酸素分圧の調整がより正確に行われる。また、上記の燃料電池システムA3及びその運転方法では、燃料ガスが減少し過ぎた際(燃料極側の酸素分圧が高くなった際)に燃料ガスを増加させることで、燃料極を還元雰囲気に戻し、これにより燃料極の酸化を防止する。
図6は、本発明の燃料電池システム及びその運転方法の第4実施形態を説明する図である。先の実施形態と同一の構成部位は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。図6(A)に示す燃料電池システムA4は、燃料電池FCと、外部負荷10と、通電手段11と、酸素分圧調整手段としての排出ガス混合手段19と、第1酸素分圧検出手段13と、コントロールユニット(制御手段)CUを備えている。
また、この実施形態の燃料電池システムA4は、燃料流量調整手段である電磁バルブ23と、燃料電池FCの燃料極側の酸素分圧を検出する第2酸素分圧検出手段24を備えている。コントロールユニット(制御手段)CUは、第2酸素分圧検出手段24による検出値に基づいて電磁バルブ(燃料流量調整手段)23を制御する。
この実施形態の排出ガス混合手段19は、先の実施形態のもの(図5参照)と同様に、リターン配管20、電磁バルブ21及びブロア22から成るものであるが、先の実施形態では空気極の排出ガスを循環利用したのに対して、この実施形態では燃料極の排出ガスを循環利用する。このため、排出ガス混合手段19は、酸化剤ガスと排出ガスの混合器26を備えている。この燃料極の排出ガスにあっても、空気極に導入する酸化剤ガスよりも酸素濃度が低く、先の実施形態の低酸素分圧のガスと同等である。
次に、上記構成を備えた燃料電池システムA4の運転方法を図6(B)のフローチャートに基づいて説明する。この実施形態の運転方法は、図2で説明した運転方法すなわち酸化剤ガス中の酸素分圧の制御と燃料ガスの流量の制御の両方を行う運転方法を基本とするものである。
まず、ステップS11において燃料電池への通電を開始すると、ステップS12において、燃料電池FCに流れる電流値に基づいて、燃料ガス消費量を演算する。その演算結果に基づいて、燃料ガスの流量を制御すると共に、排出ガス混合手段19による排出ガスの加圧供給を開始し、且酸化剤ガスの流量を制御する。すなわち、電磁バルブ12の開度及び排出ガス混合手段19のブロア22を制御して、空気極に導入する酸化剤ガス中の酸素分圧を、通常運転時における酸化剤ガス中の酸素分圧よりも減少させ、さらに、燃料ガスの導入経路における電磁バルブ23の開度を小さくして、燃料ガスの流量も減少させる。
次に、ステップS13において、燃料ガスの流量及び酸素分圧が所定値まで減少したか否かを判定し、燃料ガスの流量及び酸素分圧が所定値に達していないと判定した場合(NO)にはステップS12に戻る。また、燃料ガスの流量及び酸素分圧が所定値に達したと判定した場合(YES)には、ステップS14において、第2酸素分圧検出手段24により燃料極側の酸素分圧が所定値以内であるか否かを判定する。
ステップS14において燃料極側の酸素分圧が所定値以内ではないと判定した場合(NO)には、ステップS15において燃料ガスの流量を増加させてから、ステップS14に戻る。また、燃料極側の酸素分圧が所定値以内であると判定した場合(YES)には、ステップS16に移行して所定の通電処理をしたか否かを判定する。
そして、ステップS16において所定の通電処理をしていないと判定した場合(NO)には、ステップS12に戻り、所定の通電処理をしたと判定した場合(YES)には、ステップS17に移行して通電処理を終了する。
その後は、ステップS18において、排出ガス混合手段19による排出ガスの供給を停止すると共に、燃料電池FCに導入する酸化剤ガス中の酸素分圧及び燃料ガスの流量が、いずれも通常運転時の値となるように調整する。そして、ステップS19において通常運転時の酸素分圧及び燃料ガス流量になったか否かを判定する。このステップS19において通常運転時の酸素分圧及び燃料ガス流量ではないと判定した場合(NO)にはステップS18に戻り、通常運転時の酸素分圧及び燃料ガス流量であると判定した場合(YES)には、ステップS20に移行して燃料電池の通常運転を開始する。
上記の燃料電池システムA4及びその運転方法にあっても、先の実施形態と同様に、燃料電池FCに印加する電流が低くても大きな通電効果を得ることができるうえに、通電時の燃料ガス消費量をさらに減少させて燃費のさらなる向上を実現することができる。また、酸素分圧の調整に燃料電池FCの排出ガスを循環利用するので、特別なガス供給源が不要であり、構造の小型軽量化を図ることができる。この実施形態の構成は、例えば車載型の燃料電池システムのように容積が限られたシステムで非常に有効なものとなる。
さらに、上記の燃料電池システムA4及びその運転方法では、第1及び第2の酸素分圧検出手段13,24を用いて酸素分圧調整手段(電磁バルブ12)及び燃料流量調整手段(電磁バルブ23)をフィードバック制御するので、酸素分圧の調整がより正確に行われる。また、上記の燃料電池システムA4及びその運転方法では、燃料ガスが減少し過ぎた際(燃料極側の酸素分圧が高くなった際)に燃料ガスを増加させることで、燃料極を還元雰囲気に戻し、これにより、燃料極の酸化を防止する。
そしてさらに、上記の燃料電池システムA4及びその運転方法では、燃料電池FCの燃料極の排出ガスを循環利用することから、その排出ガスに含まれる燃料成分と酸化剤ガスとを混合燃焼させて、その熱を燃料電池FCへの熱供給に利用することができる。例えば、その熱を燃料電池FCの起動時の昇温などに用いることにより、総合的な効率がより高められる。
図7は、本発明の燃料電池システム及びその運転方法の第5実施形態を説明する図である。先の実施形態と同一の構成部位は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。図7(A)に示す燃料電池システムA5は、燃料電池FCと、外部負荷10と、通電手段11と、酸素分圧調整手段としての排出ガス混合手段19と、第1酸素分圧検出手段13と、コントロールユニット(制御手段)CUと、燃料流量調整手段である電磁バルブ23と、第2酸素分圧検出手段24を備えている。
この実施形態の排出ガス混合手段19は、燃料電池FCの空気極及び燃料極の両方の排出ガスを循環利用するものである。すなわち、排出ガス混合手段19は、空気極からの第1リターン管20A及び電磁バルブ21Aと、燃料極からの第2リターン管20B及び電磁バルブ21Bを備えている。また、排出ガス混合手段19は、空気極及び燃料極からの排出ガスを導入する熱交換器27と、加熱器28と、加熱器28に並列なバイパス管29及び電磁バルブ30と、混合器26を備えている。
次に、上記構成を備えた燃料電池システムA5の運転方法を図7(B)のフローチャートに基づいて説明する。この実施形態の運転方法は、図2で説明した運転方法すなわち酸化剤ガス中の酸素分圧の制御と燃料ガスの流量の制御の両方を行う運転方法を基本とするものである。
まず、ステップS11において燃料電池への通電を開始すると、ステップS12において、燃料電池FCに流れる電流値に基づいて、燃料ガス消費量を演算する。その演算結果に基づいて、燃料ガスの流量を制御すると共に、排出ガス混合手段19による排出ガスの加圧供給を開始し、酸化剤ガスの流量を制御する。
この際、この実施形態の燃料電池システムA5では、排出ガス混合手段19において、空気極の排出ガスと燃料極の排出ガスとを熱交換器27に導入し、これらの排出ガスを混合燃焼させる。そして、燃焼ガスと酸化剤ガスとの間で熱交換を行って、燃料電池FCに導入する酸化剤ガスを予熱し、高効率化を図る。また、上記の燃焼ガスは、酸素濃度が低いので、酸化剤ガスに混合することで、酸化剤ガス中の酸素分圧を減少させることができる。
次に、ステップS13において、燃料ガスの流量及び酸素分圧が所定値まで減少したか否かを判定し、燃料ガスの流量及び酸素分圧が所定値に達していないと判定した場合(NO)にはステップS12に戻る。また、燃料ガスの流量及び酸素分圧が所定値に達したと判定した場合(YES)には、ステップS14において、第2酸素分圧検出手段24により燃料極側の酸素分圧が所定値以内であるか否かを判定する。
ステップS14において燃料極側の酸素分圧が所定値以内ではないと判定した場合(NO)には、ステップS15において燃料ガスの流量を増加させてから、ステップS14に戻る。また、燃料極側の酸素分圧が所定値以内であると判定した場合(YES)には、ステップS16に移行して所定の通電処理をしたか否かを判定する。
そして、ステップS16において所定の通電処理をしていないと判定した場合(NO)には、ステップS12に戻り、所定の通電処理をしたと判定した場合(YES)には、ステップS17に移行して通電処理を終了する。
その後は、ステップS18において、排出ガス混合手段19による排出ガスの供給を停止すると共に、燃料電池FCに導入する酸化剤ガス中の酸素分圧及び燃料ガスの流量が、いずれも通常運転時の値となるように調整する。そして、ステップS19において通常運転時の酸素分圧及び燃料ガス流量になったか否かを判定する。このステップS19において通常運転時の酸素分圧及び燃料ガス流量ではないと判定した場合(NO)にはステップS18に戻り、通常運転時の酸素分圧及び燃料ガス流量であると判定した場合(YES)には、ステップS20に移行して燃料電池の通常運転を開始する。
上記の燃料電池システムA5及びその運転方法にあっても、先の実施形態と同様に、大きな通電効果の確保、燃費のさらなる向上、酸素分圧のより正確な調整、燃料極の酸化防止、及び排出ガス利用による熱効率の向上を実現することができる。
図8は、本発明の燃料電池システム及びその運転方法の第6実施形態を説明する図である。先の実施形態と同一の構成部位は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。図8(A)に示す燃料電池システムA6は、燃料電池FCと、外部負荷10と、通電手段11と、酸素分圧調整手段としての排出ガス混合手段19と、第1酸素分圧検出手段13と、コントロールユニット(制御手段)CUと、第2酸素分圧検出手段24を備えている。
この実施形態の燃料電池システムA6は、燃料電池FCの空気極及び燃料極の両方の排出ガスを循環利用するものである。すなわち、空気極からの第1リターン管20A及び電磁バルブ21Aと、燃料極からの第2リターン管20B及び電磁バルブ21Bを備えている。また、空気極及び燃料極からの排出ガスを導入する熱交換器27と、燃料ガスの改質器31を備えている。
この実施形態の排出ガス混合手段19は、上記の熱交換器27を経た排出ガス(燃焼ガス)を低酸素分圧ガスとして酸化剤ガスに混合させるための電磁バルブ32及びブロア22を備えている。
次に、上記構成を備えた燃料電池システムA6の運転方法を図8(B)のフローチャートに基づいて説明する。この実施形態の運転方法は、図2で説明した運転方法すなわち酸化剤ガス中の酸素分圧の制御と燃料ガスの流量の制御の両方を行う運転方法を基本とするものである。
まず、ステップS11において燃料電池への通電を開始すると、ステップS12において、空気極に導入する酸化剤ガスの流量と、燃料極に導入する燃料ガスの流量を制御すると共に、空気極に排出ガス混合手段19による排出ガスの供給を開始する。
この際、この実施形態の燃料電池システムA6では、空気極の排出ガスと燃料極の排出ガスとを熱交換器27に導入し、これらの排出ガスを混合燃焼させる。そして、燃焼ガスと燃料ガスとの間で熱交換を行って、改質器31に導入する燃料ガスを予熱し、この燃料ガスを改質器31で改質して燃料極に導入する。また、排出ガス混合手段(酸素分圧調整手段)19により、上記の熱交換後の燃焼ガスを酸化剤ガスに供給することで、酸化剤ガス中の酸素分圧を減少させる。
次に、ステップS13において、燃料ガスの流量及び酸素分圧が所定値まで減少したか否かを判定し、燃料ガスの流量及び酸素分圧が所定値に達していないと判定した場合(NO)にはステップS12に戻る。また、燃料ガスの流量及び酸素分圧が所定値に達したと判定した場合(YES)には、ステップS14において、第2酸素分圧検出手段24により燃料極側の酸素分圧が所定値以内であるか否かを判定する。
ステップS14において燃料極側の酸素分圧が所定値以内ではないと判定した場合(NO)には、ステップS15において燃料ガスの流量を増加させてから、ステップS14に戻る。また、燃料極側の酸素分圧が所定値以内であると判定した場合(YES)には、ステップS16に移行して所定の通電処理をしたか否かを判定する。
そして、ステップS16において所定の通電処理をしていないと判定した場合(NO)には、ステップS12に戻り、所定の通電処理をしたと判定した場合(YES)には、ステップS17に移行して通電処理を終了する。
その後は、ステップS18において、排出ガス混合手段19による排出ガスの供給を停止すると共に、燃料電池FCに導入する酸化剤ガス中の酸素分圧及び燃料ガスの流量が、いずれも通常運転時の値となるように調整する。そして、ステップS19において通常運転時の酸素分圧及び燃料ガス流量になったか否かを判定する。このステップS19において通常運転時の酸素分圧及び燃料ガス流量ではないと判定した場合(NO)にはステップS18に戻り、通常運転時の酸素分圧及び燃料ガス流量であると判定した場合(YES)には、ステップS20に移行して燃料電池の通常運転を開始する。
上記の燃料電池システムA6及びその運転方法にあっても、先の実施形態と同様に、大きな通電効果の確保、燃費のさらなる向上、酸素分圧のより正確な調整、燃料極の酸化防止、及び排出ガス利用による熱効率の向上を実現することができる。
そしてさらに、上記の燃料電池システムA6及びその運転方法では、燃料電池FCの空気極及び燃料極の排出ガスを混合燃焼させて、その熱を燃料改質の熱供給に用いている。特に、通電時のように高電流で運転する際には、多くの燃料改質熱が必要となる。すなわち、本実施形態のように改質に燃焼ガスの熱を用いることで、さらなる熱効率の向上を実現することができる。
図9は、本発明の燃料電池システム及びその運転方法の第7実施形態を説明する図である。先の実施形態と同一の構成部位は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。図9(A)に示す燃料電池システムA7は、燃料電池FCと、外部負荷10と、通電手段11と、酸素分圧調整手段としての排出ガス混合手段19と、第1酸素分圧検出手段13と、コントロールユニット(制御手段)CUと、第2酸素分圧検出手段24を備えている。
この実施形態の燃料電池システムA7は、燃料電池FCの空気極及び燃料極の両方の排出ガスを循環利用するものである。すなわち、第1リターン管20A及び電磁バルブ21A、第2リターン管20B及び電磁バルブ21B、熱交換器27及び改質器31を備え、さらに、熱交換器27と改質器31の間に燃焼器33を備えている。
次に、上記構成を備えた燃料電池システムA7の運転方法を図9(B)のフローチャートに基づいて説明する。この実施形態の運転方法は、図2で説明した運転方法すなわち酸化剤ガス中の酸素分圧の制御と燃料ガスの流量の制御の両方を行う運転方法を基本とするものである。
まず、ステップS11において燃料電池への通電を開始すると、ステップS12において、燃料電池FCに流れる電流値に基づいて、燃料ガス消費量を演算する。その演算結果に基づいて、燃料極に導入する燃料ガスの流量を制御すると共に、空気極に排出ガス混合手段19による排出ガスの供給を開始する。
この際、この実施形態の燃料電池システムA7では、空気極の排出ガスと燃料極の排出ガスとを熱交換器27に導入し、これらの排出ガスを熱交換器27で混合燃焼させる。そして、燃焼ガスと燃料ガスとの間で熱交換を行って、燃料電池FCに導入する燃料ガスを予熱し、この燃料ガスを改質器31で改質して燃料極に導入する。また、排出ガス混合手段(酸素分圧調整手段)19により、上記の熱交換後の燃焼ガスを酸化剤ガスに供給することで、酸化剤ガス中の酸素分圧を減少させる。
次に、ステップS13において、燃料ガスの流量及び酸素分圧が所定値まで減少したか否かを判定し、燃料ガスの流量及び酸素分圧が所定値に達していないと判定した場合(NO)にはステップS12に戻る。また、燃料ガスの流量及び酸素分圧が所定値に達したと判定した場合(YES)には、ステップS14において、第2酸素分圧検出手段24により燃料極側の酸素分圧が所定値以内であるか否かを判定する。
ステップS14において燃料極側の酸素分圧が所定値以内ではないと判定した場合(NO)には、ステップS15において燃料ガスの流量を増加させてから、ステップS14に戻る。また、燃料極側の酸素分圧が所定値以内であると判定した場合(YES)には、ステップS16に移行して所定の通電処理をしたか否かを判定する。
そして、ステップS16において所定の通電処理をしていないと判定した場合(NO)には、ステップS12に戻り、所定の通電処理をしたと判定した場合(YES)には、ステップS17に移行して通電処理を終了する。
その後は、ステップS18において、排出ガス混合手段19による排出ガスの供給を停止すると共に、燃料電池FCに導入する酸化剤ガス中の酸素分圧及び燃料ガスの流量が、いずれも通常運転時の値となるように調整する。そして、ステップS19において通常運転時の酸素分圧及び燃料ガス流量になったか否かを判定する。このステップS19において通常運転時の酸素分圧及び燃料ガス流量ではないと判定した場合(NO)にはステップS18に戻り、通常運転時の酸素分圧及び燃料ガス流量であると判定した場合(YES)には、ステップS20に移行して燃料電池の通常運転を開始する。
上記の燃料電池システムA6及びその運転方法にあっても、先の実施形態と同様に、大きな通電効果の確保、燃費のさらなる向上、酸素分圧のより正確な調整、燃料極の酸化防止、及び排出ガス利用による熱効率の向上を実現することができる。
また、一般に、燃料電池は、高電流を要する際や起動時には、多くの燃料が必要になると共に、その燃料の改質や燃料電池の昇温に多くの熱需要が生じる。これに対して、当該燃料電池システムでは、低電流でも大きな通電効果が得られるので、燃料ガスを節約することができ、さらに、図7〜図9に示す第5〜第7の実施形態のように、燃料電池の排出ガスを熱交換、加熱及び改質の熱供給に利用すれば、加熱用に供給する新規の燃料ガスの供給量を減らすことができ、燃料ガスのさらなる節約を実現することができる。これにより燃費も大幅に向上する。
さらに、本発明に係わる燃料電池システム及びその運転方法による効果を実験により確認した。
従来例として、酸化剤ガスに空気(酸素分圧0.2atm)を使用し、2A/cm2の電流を60分通電したときの通電前と通電後の出力密度を求めた。また、本発明の実施例として、酸素分圧を0.05atmとした酸化剤ガスを使用し、1A/cm2の電流を60分通電したときの通電前と通電後の出力密度を求めた。その結果を図10に示す。
図10から明らかなように、実施例では、酸素分圧を従来例の四分の一に減少させると、電流値を従来例の二分の一にしても、同等の通電効果を得ることができた。これにより、本発明の燃料電池システム及びその運転方法によれば、燃料ガスの流量を減少させて燃費の向上を実現し得ることを確認した。
なお、本発明の燃料電池システム及びその運転方法は、具体的な構成が上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の細部を適宜変更することが可能であり、各実施形態の構成(手段等)を組み合わせることも可能である。