JP5483154B2 - タンタル容器の浸炭処理方法及びタンタル容器 - Google Patents

タンタル容器の浸炭処理方法及びタンタル容器 Download PDF

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Description

本発明は、タンタルまたはタンタル合金からなるタンタル容器に、該容器の表面から内部に向って炭素を浸透させる浸炭処理を施すための方法及び該方法によって得られるタンタル容器に関するものである。
炭化ケイ素(SiC)は、ケイ素(Si)やバリウムヒ素(BaAs)等の従来の半導体材料では実現できない高温、高周波、耐電圧・耐環境性を実現することが可能であるとされており、次世代のパワーデバイス、高周波デバイス用半導体材料として期待されている。
特許文献1においては、単結晶炭化ケイ素基板の表面を熱アニールする際、及び単結晶炭化ケイ素基板の上に炭化ケイ素の単結晶を結晶成長させる際に、表面に炭化タンタル層が形成されたタンタル容器をチャンバーとして用いることが提案されている。表面に炭化タンタル層を有するタンタル容器内に、単結晶炭化ケイ素基板を収納し、その表面を熱アニールしたり、あるいはその表面上に炭化ケイ素単結晶を成長させることにより、表面が平坦化され、かつ欠陥の少ない単結晶炭化ケイ素基板または炭化ケイ素単結晶層を形成することができる旨報告されている。
特許文献2及び特許文献3においては、タンタルもしくはタンタル合金の表面に炭素を浸透させて、表面にタンタルの炭化物を形成する際、表面の自然酸化膜であるTaを昇華させて除去させた後に、炭素を浸透させることが提案されている。
しかしながら、開口部を有するタンタル容器について、具体的な浸炭処理方法は検討されていなかった。
特開2008−16691号公報 特開2005−68002号公報 特開2008−81362号公報
本発明の目的は、開口部を有するタンタル容器を浸炭処理する際、浸炭処理によって開口部が拡がるのを抑制することができるタンタル容器の浸炭処理方法及び該方法により浸炭処理がなされたタンタル容器を提供することにある。
本発明の浸炭処理方法は、底面部と、底面部から略垂直方向に延びる側壁部とを有し、側壁部の端部によって開口部が形成されているタンタルまたはタンタル合金からなるタンタル容器に、該容器の表面から内部に向って炭素を浸透させる浸炭処理を施すための方法であって、炭素源が存在するチャンバー内に、タンタル容器の開口部が下方になるように、タンタル容器を配置する工程と、チャンバー内を減圧し加熱することにより、炭素源からの炭素をタンタル容器の表面から浸透させて浸炭処理を施す工程とを備えることを特徴としている。
本発明においては、タンタル容器の開口部が下方になるようにタンタル容器をチャンバー内に配置し、浸炭処理を施している。タンタル容器の開口部が上方になるようにタンタル容器をチャンバー内に配置して、浸炭処理を行う場合には、浸炭処理の進行とともに、タンタル容器の開口部が徐々に拡がり、タンタル容器の上に載せるタンタルまたはタンタル合金からなる蓋を閉めることができないという不具合を生じる。タンタル容器と蓋との嵌合状態が悪いと、タンタル容器内の密閉性を保つことができないため、炭化ケイ素(SiC)単結晶と、ケイ素(Si)ガスを反応させる際に、ケイ素ガスの漏れなどが生じ、炭化ケイ素単結晶を良好な状態で処理または成長させることができないという問題を生じる。
本発明によれば、開口部を有するタンタル容器に浸炭処理する際、浸炭処理によって開口部が大きく拡がるのを抑制することができる。また、開口部の歪みを抑制することができる。このため、タンタル容器の上に載せる蓋との嵌合状態を良好に保つことができ、容器内の密閉性を高めることができる。
本発明においては、タンタル容器の側壁部端部の下方に隙間が形成されるように、タンタル容器がチャンバー内に配置されることが好ましい。タンタル容器の側壁部端部の下方に隙間を形成することにより、タンタル容器内側にも、炭素源からの炭素を十分に供給することができる。このため、タンタル容器内側における浸炭処理を、タンタル容器外側と同様に行うことができ、タンタル容器表面全体において、均一に浸炭処理を行うことができる。
タンタル容器の側壁部端部の下方の隙間は、タンタル容器の大きさや形状にもよるが、好ましくは1mm以上であり、さらに好ましくは2mm〜20mmの範囲である。隙間が小さすぎると、タンタル容器内側に十分に炭素を供給することができず、タンタル容器内側の浸炭処理が不十分になる場合がある。また、隙間が上記の上限値より大きくなりすぎても、隙間をそれ以上に大きくすることによる効果が得られない。
本発明において、タンタル容器をチャンバー内で支持する方法としては、タンタル容器内側の底面部を支持する方法が挙げられる。具体的には、チャンバー内に設けられた支持部材によって、タンタル容器内側の底面部を支持することができる。
本発明においては、チャンバー内に炭素源が存在しているが、チャンバー自体が炭素源として機能してもよい。炭素源としては、例えば、黒鉛を用いることができる。従って、少なくとも表面が黒鉛から形成されたチャンバーを用いることにより、炭素源として機能させることができる。チャンバーは高温で熱処理されるものであるので、黒鉛としては、等方性黒鉛材が好ましく用いられる。また、ハロゲン含有ガスなどを使用して高純度処理された高純度黒鉛材がさらに好ましい。黒鉛材中の灰分含有量は20ppm以下が好ましく、さらに好ましくは5ppm以下である。かさ密度は1.6以上が好ましく、1.8以上がさらに好ましいから密度の上限値としては、例えば、2.1である。等方性黒鉛材の製造方法の一例としては、石油系、石炭系のコークスをフィラーとして数μm〜数十μmに粉砕し、これにピッチ、コールタール、コールタールピッチなどの結合材を添加して混練する。得られた混練物を、原料フィラーの粉砕粒径よりも大きくなるように数μm〜数十μmに粉砕して粉砕物を得る。また、粒子径が100μmを超えるような粒子は除去しておくことが好ましい。上記粉砕物を成形、焼成、黒鉛化して黒鉛材料を得る。その後、ハロゲン含有ガスなどを使用して高純度化処理を行い、黒鉛材料中の灰分量を20ppm以下にすることで、黒鉛材料からタンタル容器への不純物元素の混入を抑制することが出来る。
また、本発明において、タンタル容器内側に位置するように設けられ、かつタンタル容器内側の底面部を支持する支持部材が、炭素源として機能してもよい。タンタル容器内側に設けられる支持部材が、炭素源として機能することにより、タンタル容器内側に炭素を十分供給することができ、タンタル容器内側の表面を、タンタル容器外側の表面と同様に均一に浸炭処理することができる。
炭素源として機能する支持部材としては、上記黒鉛材料から形成された支持部材が挙げられる。
本発明のタンタル容器は、上記本発明の方法により、浸炭処理がなされたことを特徴としている。
上記本発明の方法によれば、浸炭処理によって、タンタル容器の開口部が拡がるのを抑制し、また、開口部の歪みを抑制することができるので、本発明のタンタル容器は、蓋との嵌合状態が良好であり、高い密閉性を有するタンタル容器とすることができる。
本発明によれば、開口部を有するタンタル容器を浸炭処理する際、浸炭処理によって開口部が拡がるのを抑制し、また、開口部の歪みを抑制することができる。このため、蓋をタンタル容器に嵌め合せた際の密閉性を高めることができる。
本発明に従う一実施形態の浸炭処理方法を説明するための断面図。 図1に示す実施形態における支持棒の位置を示す平面図。 図1に示す実施形態において用いているタンタル容器を示す斜視図。 図3に示すタンタル容器に用いられる蓋を示す斜視図。 図3に示すタンタル容器の断面図。 図4に示す蓋の断面図。 図5に示すタンタル容器に図6に示す蓋を取り付けた状態を示す断面図。 比較例における浸炭処理方法を説明するための断面図。 図8に示す比較例における黒鉛ブロックの位置を示す平面図。 本発明に従う実施例における浸炭処理前と浸炭処理後のタンタル容器の開口部の位置を示す図。 比較例における浸炭処理前及び浸炭処理後のタンタル容器の開口部の位置を示す図。 本発明に従う実施例における浸炭処理を説明するための断面図。
以下、本発明を具体的な実施形態により説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明に従う一実施形態の浸炭処理方法を説明するための断面図である。
タンタル容器1は、チャンバー容器3a及びチャンバー蓋3bからなるチャンバー3内に配置されている。
図3は、タンタル容器1を示す斜視図である。図4は、図3に示すタンタル容器1を密閉するのに用いるタンタルまたはタンタル合金からなる蓋2を示す斜視図である。
図5は、タンタル容器1を示す断面図である。図5に示すように、タンタル容器1は、底面部1aと、底面部1aの周縁から底面部1aに対して略垂直方向に延びる側壁部1bを有している。側壁部1bの端部1cによって、タンタル容器1の開口部1dが形成されている。ここで、「略垂直方向」には、90°±20°の方向が含まれる。
図6は、図5に示すタンタル容器1の開口部1dを密閉するための蓋2を示す断面図である。図6に示すように、蓋2は、上面部2aと、上面部2aから略垂直方向に延びる側壁部2bを有している。
図7は、図5に示すタンタル容器1の側壁部1bの端部1cの上に、図6に示す蓋2を載せ、タンタル容器1を密閉した状態を示す断面図である。図7に示すように、タンタル容器1の側壁部1bが、蓋2の側壁部2bの内側に配置されることにより、タンタル容器1の上に、蓋2が載せられ、タンタル容器1が密閉される。
図7に示すように、タンタル容器1の側壁部1bは、蓋2の側壁部2bの内側に位置するので、図6に示す蓋2の側壁部2b内側の内径Dは、図5に示すタンタル容器1の外径dより若干大きくなるように設計される。通常、蓋2の内径Dは、タンタル容器1の外径dより0.1mm〜4mm程度大きくなるように設計される。
タンタル容器1及び蓋2は、タンタルまたはタンタル合金から形成される。タンタル合金は、タンタルを主成分として含む合金であり、例えば、タンタル金属にタングステン又はニオブなどを含有した合金などが挙げられる。
タンタル容器1及び蓋2は、例えば、切削加工、薄板からの絞り加工、板金加工などから製造される。切削加工は、1個のタンタル金属の塊を削り出して容器状にする加工方法であり、高精度の形状を製作できる一方、切削される金属が多くなり材料コストは高くなる。絞り加工は、1枚のタンタル金属板を変形させて一度に容器状にする加工方法である。容器製造用のダイとパンチの間に板状の金属を載置してパンチをダイに向かって押し込むと、材料はダイに押し込まれる形で変形して容器状となる。金属板が押し込まれていく時、外側にある金属板がシワにならないようにシワ押さえを設置しておく。切削加工に比べて短時間で仕上がり、削り屑の発生が少ないのでコスト等を抑えることができる。板金加工は、1枚の金属板を切る、曲げる、溶接することにより容器形状にする加工方法である。切削加工よりも材料面でコストを抑えることはできるが、絞り加工よりも製造時間は長くなる。
タンタル容器1及び蓋2をそれぞれ浸炭処理することにより、その表面から炭素を内部に浸透させ、炭素を内部に拡散することができる。炭素が浸透することにより、TaC層、TaC層などが形成される。
表面にカーボン含有率の高いタンタルカーバイド層が形成されるが、炭素が容器内部に拡散することにより、表面はタンタル含有率の高いタンタルカーバイド層となることで、カーボンフラックスを吸蔵させることができる。
従って、浸炭処理したタンタル容器及び蓋からなるルツボ内で、炭化ケイ素の液相成長や気相成長を行うことにより、成長プロセス時に発生した炭素蒸気をルツボ壁内で吸蔵することができ、ルツボ内に不純物濃度の低いシリコン雰囲気を形成することができ、単結晶炭化ケイ素表面の欠陥を低減でき、表面を平坦化することができる。また、このようなルツボ内で単結晶炭化ケイ素基板の表面を熱アニーリングすることにより、欠陥を低減させ、表面を平坦化させることができる。
図1に戻り、本実施形態の浸炭処理について説明する。
図1に示すように、チャンバー容器3a及びチャンバー蓋3bからなるチャンバー3内に、上記のタンタル容器1が配置されている。タンタル容器1は、チャンバー3内において、側壁部1bの端部1cが下方になるように配置されている。タンタル容器1は、タンタル容器1内側の底面部1aを、複数の支持棒6で支持することにより、チャンバー3内で支持されている。
図2は、支持棒6の配置状態を示す平面図である。図2に示すように、本実施形態においては、5本の支持棒6で、タンタル容器1の内側の底面部1aを支持している。
図1に示すように、支持棒6の先端は、先が細くなるテーパー状に形成されている。テーパー形状に形成することにより、支持棒6と、タンタル容器1の底面部1aとの接触面積を小さくし、支持棒の接触による浸炭処理の不具合を低減している。
支持棒6は、図1に示すように、支持台5によって支持されている。本実施形態では、支持台5に孔を空けることにより、この孔に支持棒6の下方端を挿入し、支持棒6を支持台5によって支持している。
本実施形態においては、チャンバー3、すなわちチャンバー容器3a及びチャンバー蓋3b、並びに支持棒6及び支持台5が黒鉛から形成されている。従って、本実施形態においては、チャンバー3、支持棒6及び支持台5が炭素源となっている。チャンバー3、支持棒6、及び支持台5は、切削加工により作製することができる。
容器1の外側表面と、チャンバー3との間の間隔は、全体においてほぼ均等になるように、チャンバー3の寸法形状が設定されていることが好ましい。これにより、炭素源であるチャンバーからの距離を全体においてほぼ同程度とすることができ、全体にわたって均等に浸炭処理することができる。
また、タンタル容器1の側壁部1bの端部1cの下方には、隙間Gが形成されていることが好ましい。隙間Gが形成されることにより、タンタル容器1の内側にも、タンタル容器1の外側から炭素を供給することができる。隙間Gは、上述のように、2mm〜20mmの範囲であることが好ましい。
また、タンタル容器1の内側に配置される支持棒6及び支持台5は、上述のように、炭素源としても機能する。従って、支持棒6の配置は、図2に示すように、タンタル容器1の内側においてほぼ均等に分散するように配置することが好ましい。
上記のようにして、タンタル容器1をチャンバー3内に配置し、チャンバー3内を減圧した後、加熱することにより、浸炭処理を施すことができる。
チャンバー3を真空容器内に配置し、真空容器内を排気することにより、チャンバー3内を減圧することができる。チャンバー3内の圧力は、例えば、10Pa以下に減圧される。
次に、チャンバー3内を所定の温度に加熱する。加熱温度としては、1700℃以上の範囲が好ましく、さらに好ましくは、1750℃〜2500℃の範囲であり、さらに好ましくは、2000℃〜2200℃の範囲である。このような温度に加熱することにより、チャンバー3内は、一般に10−2Pa〜10Pa程度の圧力となる。
上記所定の温度を保持する時間は、0.1〜8時間の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは、0.5〜5時間の範囲であり、さらに好ましくは、1時間〜3時間の範囲である。保持温度により浸炭速度が変わるため、目標とする浸炭厚みにより調整する。
昇温速度及び冷却速度は、特に限定されるものではないが、一般に昇温速度は、100℃/時間〜2000℃/時間の範囲が好ましく、さらに好ましくは、300℃/時間〜1500℃/時間であり、さらに好ましくは、500℃/時間〜1000℃/時間である。冷却速度は40℃/時間〜170℃/時間の範囲が好ましく、さらに好ましくは、60℃/時間〜150℃/時間、さらに好ましくは80℃/時間〜130時間/時間である。冷却は、一般には自然冷却で行われる。
図1に示すように、タンタル容器1の開口部1dが下方になるように、タンタル容器1をチャンバー3内に配置し、この状態で浸炭処理を行うことにより、開口部1dが拡がるのと歪みを抑制することができる。このため、図7に示すように、タンタル容器1の上に蓋2を載せた際に、良好な嵌合状態で蓋2を載せることができ、タンタル容器1内の密閉性を良好に保つことができる。このため、タンタル容器1内部で熱アニーニングや結晶成長をさせた場合に、タンタル容器1内にシリコン蒸気を良好な状態で保つことができ、良好な結晶状態を得ることができる。
以下、本発明を具体的な実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示すチャンバー3を用いて、タンタル容器1を浸炭処理した。タンタル容器1としては、図3に示す外径dが約160mm、高さhが約60mm、厚みtが約3mmのものを用いた。タンタル容器1は、金属タンタルを板金加工することにより作製した。
チャンバー3としては、その内部が、直径210mm、高さ90mmの円柱状となるチャンバー3を用いた。チャンバー容器3a及びチャンバー蓋3bの材質としては、かさ密度が1.8の等方性黒鉛材を用いた。
支持棒6は、直径6mm、長さ75mmのものを用いた。先端のテーパー状部分の長さは、15mmである。支持棒6及び支持台5は、チャンバー容器3aと同じ等方性黒鉛材から形成した。
タンタル容器1の側壁部1bの端部1cの下方の隙間Gは、13mmであった。
このようにしてタンタル容器1をチャンバー3内に配置し、そのチャンバー3を、φ800mm×800mmのSUS製の真空容器8内に配置した。図12は、チャンバー3を真空容器8に配置したときの状態を示す断面図である。図12に示すように、真空容器8内には、断熱材9が設けられており、断熱材9内に形成された空間13内にチャンバー3が配置されている。断熱材9としては、商品名「DON−1000」(大阪ガスケミカル社製、かさ密度0.16g/cm)を用いた。この断熱材は、ピッチ系炭素繊維に樹脂を含浸させて成形、硬化、炭化、黒鉛化処理したものであり、多孔質の断熱材である。
断熱材9によって囲まれた空間13の上方には、カーボンヒーター12が配置されており、カーボンヒーター12は、カーボンヒーター12に電流を流すための黒鉛電極11によって支持されている。カーボンヒーター12に電流を流すことにより、断熱材9によって覆われた空間13内を加熱することができる。
真空容器8には、真空容器8内を排気するための排気口10が形成されている。排気口10は、図示しない真空ポンプに接続されている。
真空容器8内を排気してチャンバー3内を0.1Pa以下となるように減圧した後、カーボンヒーター12により710℃/時間の昇温速度で2150℃までチャンバー3内を加熱した。2150℃を2時間保持し、浸炭処理を行った。チャンバー3内は、0.5〜2.0Pa程度の圧力であった。
浸炭処理後、自然冷却で室温まで冷却した。冷却時間は約15時間であった。
浸炭処理前と浸炭処理後において、タンタル容器1の開口部1dの寸法として外径dを測定した。外径dの寸法は、開口部1dの周囲の8箇所で測定した。
図10は、浸炭処理前と浸炭処理後の外径dの上記8箇所での寸法を示す図である。図10において、Aは浸炭処理前の寸法を示しており、Bは浸炭処理後の寸法を示している。
図10に示すように、本実施例では、浸炭処理することにより、外径dの寸法が若干小さくなっていることがわかる。また、開口部1dの真円度を、三次元測定機を用いて測定した。開口部1dの図10に示すような8箇所における各点の測定データと、最終的に決定した平均要素形状線からの偏差によって求めた。具体的には、各点の測定データから平均線にて円面状を認識し、各点での平均線からの偏差の最大差を真円度とした。開口部1dの真円度は、浸炭処理前において0.467であり、浸炭処理後において0.575であった。従って、浸炭処理前後における差は、0.108であった。
(比較例1)
図8は、本比較例における浸炭処理を説明するための断面図である。
本比較例においては、チャンバー容器3a及びチャンバー蓋3bとして、上記実施例1と同様のものを用いた。また、タンタル容器1も、上記実施例1と同様のものを用いた。
本比較例においては、図8に示すように、タンタル容器1の開口部1dが上方となるように、タンタル容器1がチャンバー3内に配置されている。
タンタル容器1は、支持台5の上に載せられた黒鉛ブロック7の上に載せられている。
図9は、黒鉛ブロック7のタンタル容器1に対する配置状態を示す平面図である。図9に示すように、タンタル容器1の底面部1aの下方の4箇所のそれぞれに黒鉛ブロック7が設けられている。黒鉛ブロック7としては、縦10mm、横30mm、高さ10mmの直方体形状のものを用いた。黒鉛ブロック7は、実施例1における支持棒6と同様の材質から形成したものを用いた。また、支持台5は、上記実施例1の支持台5と同様のものを用いた。
上記のように、チャンバー3内に、タンタル容器1を配置し、上記実施例1と同様の条件で浸炭処理を行った。
上記と同様にして、浸炭処理前と浸炭処理後のタンタル容器1の外径dの寸法を測定し、測定結果を図11に示した。
図11において、Aは浸炭処理前の外径dの寸法示しており、Bは浸炭処理後の外径dの寸法を示している。
図11に示すように、本比較例では、浸炭処理することにより、開口部1dが拡がっていることがわかる。
また、浸炭処理前と浸炭処理後の開口部1dの真円度を測定した。浸炭処理前の真円度は0.593であり、浸炭処理後の真円度は0.715であった。従って、浸炭処理前と浸炭処理後の真円度の差は0.122であった。
以上のように、比較例1では、タンタル容器1の開口部1dを上方になるように配置して浸炭処理した結果、開口部1dが拡がることがわかる。従って、このように開口部1dが拡がったタンタル容器1の上に蓋2を載せると、タンタル容器1と蓋2との嵌合状態が不良となり、タンタル容器1と蓋2の間に隙間が形成され、良好な密閉状態を保つことができない。
これに対し、実施例1のように、開口部1dが拡がらない場合、タンタル容器1の上に蓋2を良好な密閉状態で載せることができる。本実施例においては、開口部1dが浸炭処理前に比べ浸炭処理後にやや小さくなっているが、開口部1dが小さくなる変形の場合には、密閉性を損なうことなく、タンタル容器1の上に蓋2を載せることができる。
上記比較例1のように、浸炭処理により、タンタル容器1の開口部1dが拡がる場合、予め開口部1dの拡大量を計算にいれて、蓋2をそのような寸法に合うように作製しておくことが考えられる。しかしながら、開口部1dの拡大量は、浸炭条件やその他の条件により変動し、その変動量も大きいものであるため、開口部1dの寸法変化を考慮して作製した蓋であっても、必ずしもタンタル容器1の開口部1dに適合するとは限らず、良好な密閉性が得られない場合がある。従って、タンタル容器1と蓋2が共に不良品となるため、作業効率が大幅に低下する。
また、上記のように、本発明に従い、開口部1dが下方になるようにタンタル容器を配置して、浸炭処理することにより、開口部の真円度の高いものが得られる。このことからも、本発明に従いタンタル容器を浸炭処理することにより、蓋との嵌め合せにおいて、良好な密閉状態を保つことができる。
1…タンタル容器
1a…タンタル容器の底面部
1b…タンタル容器の側壁部
1c…タンタル容器の側壁部の端部
1d…タンタル容器の開口部
2…蓋
2a…蓋の上面部
2b…蓋の側壁部
3…チャンバー
3a…チャンバー容器
3b…チャンバー蓋
5…支持台
6…支持棒
7…黒鉛ブロック
8…SUS製の真空容器
9…断熱材
10…排気口
11…黒鉛電極
12…カーボンヒーター
13…断熱材によって覆われた空間

Claims (7)

  1. 底面部と、前記底面部から略垂直方向に延びる側壁部とを有し、前記側壁部の端部によって開口部が形成されているタンタルまたはタンタル合金からなるタンタル容器に、該容器の表面から内部に向って炭素を浸透させる浸炭処理を施すための方法であって、
    炭素源が存在するチャンバー内に、前記タンタル容器の前記開口部が下方になるように、前記タンタル容器を配置する工程と、
    前記チャンバー内を減圧し加熱することにより、前記炭素源からの炭素を前記タンタル容器の表面から浸透させて浸炭処理を施す工程とを備えることを特徴とするタンタル容器の浸炭処理方法。
  2. 前記タンタル容器の前記側壁部端部の下方に隙間が形成されるように、前記タンタル容器が前記チャンバー内に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のタンタル容器の浸炭処理方法。
  3. 前記タンタル容器内側の前記底面部を支持することによって、前記タンタル容器が前記チャンバー内で支持されていることを特徴とする請求項1または2に記載のタンタル容器の浸炭処理方法。
  4. 前記チャンバー内に設けられた支持部材によって、前記タンタル容器内側の前記底面部が支持されていることを特徴とする請求項3に記載のタンタル容器の浸炭処理方法。
  5. 前記チャンバーが、前記炭素源として機能することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のタンタル容器の浸炭処理方法。
  6. 前記支持部材が前記炭素源として機能することを特徴とする請求項4または5に記載のタンタル容器の浸炭処理方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法により、浸炭処理がなされたことを特徴とするタンタル容器。
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