JP5483104B2 - 車両用トノカバーの係止構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用トノカバーの係止構造に関する。
従来、車両の荷室には、荷物を隠蔽するための車両用トノカバーを備えたものが知られている。このような車両用トノカバーの係止構造として、例えば、下記特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1のものは、車両用トノカバーの先端に設けられた係止部(フック)を、車体側に設けられた被係止部(係合溝)に係止させることで、トノカバーを張設した状態で保持する構成となっている。
実開昭60−92644号公報
しかしながら、上記の構成では、トノカバーを使用しない際、つまり、係止部が被係止部に係止されていない状態において、被係止部が露出してしまい外観を損なうという問題点があった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、外観見栄えを向上させることが可能な車両用トノカバーの係止構造を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の車両用トノカバーの係止構造は、車両の壁部に対する車両用トノカバーの係止構造であって、前記車両用トノカバーに設けられた係止部と、前記壁部に設けられ、前記係止部が係止可能な被係止部と、前記被係止部に前記係止部が係止されていない状態において、前記被係止部を覆う形で前記被係止部に取り付け可能なカバー部材と、前記車両用トノカバーに設けられ、前記被係止部から取り外された前記カバー部材を保持可能なカバー保持部と、を備えていることに特徴を有する。
本発明によれば、係止部に被係止部を係止させることで、車両の壁部に対して車両用トノカバーを係止させることができる。そして、係止部が被係止部に係止されていない状態においては、被係止部を覆う形でカバー部材を取り付けることができ、外観を良好なものとすることができる。また、係止部を被係止部に係止させる際には、カバー部材を被係止部から取り外す。この際に、被係止部から取り外されたカバー部材をカバー保持部に保持させることができる。これにより、被係止部から取り外されたカバー部材が紛失する事態を抑制することができる。また、カバー部材をカバー保持部のような定められた位置に取り付けておけば、カバー部材を再度被係止部に取り付ける際には、カバー部材を探す必要がなく好適である。
ところで、車両によっては、同一の車種であっても、車両用トノカバーを備えておらず、被係止部を備える必要がない仕様のものもある。このため、同一の車種において、被係止部の有無に対応した2種類の壁部を製造する場合があった。この点、本発明においては、車両用トノカバーを備えていない仕様の車両において、被係止部を備えた壁部を用いた場合であっても、被係止部をカバー部材で覆うことができ、外観を良好なものとすることができる。つまり、同一の車種において、トノカバーの有無に関わらず被係止部を備えた壁部を用いることができ、2種類の壁部を製造する必要がないから、壁部に係る製造設備などのコストを低減できる。
上記構成において、前記車両用トノカバーは、シート状をなす本体部と、前記本体部から延びるストラップ部と、を備え、前記係止部は、前記ストラップ部の先端部に設けられており、前記カバー保持部は、前記ストラップ部の基端部に設けられているものとすることができる。
ストラップ部の先端部に係止部を設けることで、係止部を動かしやすくなる。その結果、被係止部に対して、係止部の位置合わせが容易となり、係止作業が容易となる。また、カバー保持部は、ストラップ部の基端部に設けられている。このため、係止部を被係止部に係止させた状態において、カバー保持部は被係止部に対して比較的近い位置に配されることとなる。この結果、被係止部から取り外したカバー部材をカバー保持部に保持させる場合に好適である。
また、カバー保持部をストラップ部の基端部に設ける構成、つまり、カバー部材をストラップ部の基端部に取り付けて保持させる構成とすれば、トノカバーの本体部にカバー部材を取り付ける構成と比べて、カバー部材が目に付きにくく、外観をより良好なものとすることができる。
また、前記本体部及び前記ストラップ部における前記基端部の双方を挟持する一対の挟持部材を備え、前記カバー保持部は、前記一対の挟持部材のうち、いずれか一方の挟持部材に設けられているものとすることができる。
車両用トノカバーとストラップ部を挟持する挟持部材にカバー保持部を設ける構成とすれば、他の箇所にカバー保持部を設ける構成と比べて、部品点数を削減できる。
本発明によれば、外観見栄えを向上させることが可能な車両用トノカバーの係止構造を提供することができる。
本発明の一実施形態に係るトノカバーが取り付けられた車両荷室を示す斜視図。 図1のトノカバーに設けられたストラップ部を示す平面図。 カバー部材がトリム側ボタンに取り付けてある状態のトノカバーの係止構造を示す断面図。 カバー部材がオス型ボタンに取り付けてある状態のトノカバーの係止構造を示す断面図。 図4において、カバー部材付近を拡大して示す拡大図。 図4において、トリム側ボタン付近を拡大して示す拡大図。 オス型ボタンにメス型ボタンを取り付けた状態のトノカバーの係止構造を示す断面図。
本発明の一実施形態を図1ないし図7によって説明する。図1は、本実施形態のトノカバー20(車両用トノカバー)を車両に設置した状態を示す模式図である。トノカバー20は、図1に示すように、車両の荷室11において、ラゲージボード13の上方、かつ左右のサイドトリム12の間に配されている。
両サイドトリム12は、例えばポリプロピレンなどの合成樹脂材料によって形成され、荷室11の左右方向において対称な形状をなしている。各サイドトリム12は、荷室11の側壁を構成している金属製のボデーパネル14(図3参照)の荷室内面に対して、合成樹脂製のクリップ(図示せず)などによって取り付けられている。
サイドトリム12は、荷室11の内部の意匠性を高めたり、荷室11に収容されている荷物などを保護したりするために取り付けられるものである。なお、図1においては、手前側のサイドトリム12は図示を省略してある。トノカバー20は、荷室11に積載された荷物を覆い隠すことを目的として設置される。なお、トノカバー20は、トノボードと呼ばれることもある。
トノカバー20は、図1に示すように、シート状をなし柔軟性が高い本体部21を備えている。本体部21は、例えば、平面視方形状をなし、車両の後部座席(図示せず)から荷室11の後部(図3の右側)まで延びる形で配されている。本体部21は、図3に示すように、例えば、フェルトからなる2枚の表皮材25を互いに貼り合わさることで構成されている。なお、図3においては、各表皮材25の厚さが異なっているが、これに限定されず、各表皮材25の厚さは適宜変更可能である。
また、本体部21の周縁部(例えば車両後側の周縁部)において、両表皮材25の間には、ポリカーボネート製の芯材24が介在されており、本体部21の剛性を部分的に高くしている。これにより、トノカバー20を張設した場合に、トノカバー20が部分的に撓む事態を抑制できる。なお、以下の説明では、特に説明のない限り、トノカバー20の表側を表側(図3における上側)、トノカバー20の裏側を裏側(図3における下側)とする。また、図2及び図3に示す左右方向が車幅方向に対応している。
なお、芯材24及び表皮材25の材質は、上述したものに限定されず、適宜変更可能である。例えば、芯材24としてABS樹脂などを用いてもよい。また、芯材24の形状及び設置箇所は、車両後側の周縁部に限定されず、本体部21の形状や大きさに応じて適宜変更可能である。例えば、芯材24を本体部21の中央部に設けてもよい。
図1に示すように、本体部21において、車両前側の周端部には、後部座席側(車両前側)へ向かって延びるフック部材22が設けられている。フック部材22は、車幅方向に沿って、複数個(本実施形態では4個)設けられ、各フック部材22の先端部が後部座席に設けられた被係止部(図示せず)に係止される構成となっている。
トノカバー20の本体部21の裏面において、後部座席側の周端部寄りの位置には、車幅方向に長い形状をなすボード部材23が取り付けられている。このボード部材23の長手方向の両端部には、複数の支持ピン23Aがサイドトリム12側へそれぞれ突設されており、各支持ピン23Aが、サイドトリム12に形成された取付溝(図示せず)に係止される構成となっている。
トノカバー20の本体部21における車両後側(荷室の開口側)の両隅部には、図1に示すように、ストラップ部30がそれぞれ取り付けられている。本体部21は、上述した支持ピン23A及びストラップ部30を介して、サイドトリム12に係止される構成となっている。次に、このストラップ部30を介したサイドトリム12(車両の壁部)に対するトノカバー20の係止構造について、詳しく説明をしていく。
図2は、ストラップ部30を裏側から視た平面図である。ストラップ部30は、車幅方向(図2の左右方向)、言い換えると本体部21からサイドトリム12に向かう方向に延びる形状をなし、図2に示すように、平面視にて略長方形状をなしている。ストラップ部30の基端部31(本体部21側の端部)は、オス型ボタン40によって、本体部21に取り付けられている。
一方、ストラップ部30の先端部32には、メス型ボタン50(係止部)が設けられている。そして、サイドトリム12には、図3に示すように、凹部12Aが形成されており、この凹部12Aには、メス型ボタン50が係止可能なトリム側ボタン60(被係止部)が設けられている。
そして、本実施形態においては、トリム側ボタン60又はオス型ボタン40に対して、それぞれ着脱可能なカバー部材80を備えている。このカバー部材80は、図3に示すように、トリム側ボタン60にメス型ボタン50が係止されていない状態において、トリム側ボタン60を覆う形で、トリム側ボタン60に取り付け可能となっている。また、カバー部材80は、図4に示すように、オス型ボタン40に取り付けることも可能となっている。
なお、上述したオス型ボタン40、メス型ボタン50、トリム側ボタン60のボタン本体61(後述)、カバー部材80は、例えば、金属製(例えば黄銅や鋼など)の板材を主体に形成されている。なお、オス型ボタン40、メス型ボタン50、トリム側ボタン60、カバー部材80の材質は適宜変更可能である。
次に、オス型ボタン40の構成について説明をする。オス型ボタン40は、図3ないし図5に示すように、ストラップ部30の裏側に配されるボタン本体41と、本体部21の表側に配される止め具45から構成されており、ボタン本体41及び止め具45(一対の挟持部材)によって、本体部21及びストラップ部30の基端部31の双方を挟持する構成となっている。
ボタン本体41は、図2に示すように平面視円形状をなしており、平面視における中央部が開口部42とされる(図3も参照)。この開口部42の周囲を囲む形で環状をなし、裏側へ突出する形で係止突部43(カバー保持部)が形成されている。また、ボタン本体41の外周端部は、フランジ部41Aとされる。なお、このようなボタン本体41は例えば、ゲンコと呼ばれることもある。
一方、止め具45は、図3に示すように、略円筒状をなす係止軸部46と、係止軸部46を表側から覆うキャップ部48と、を備えている。係止軸部46はフランジ部46Aを有しており、このフランジ部46Aに対して、キャップ部48の外周端部48Aを折り曲げて係止させることで、係止軸部46の表側(図3の上側)にキャップ部48が取り付けられる構成となっている。なお、キャップ部48は、係止軸部46との間に板部47を介在させる形で取り付けられている。
係止軸部46は、積層された状態の両表皮材25、芯材24、ストラップ部30を表側から貫通する形で配されている。係止軸部46の先端部46Bは、ボタン本体41における開口部42に挿通された後、かしめることで、開口部42の周縁部に裏側から係止される構成となっている。このように係止軸部46の先端部46Bをかしめることで、芯材24、両表皮材25、ストラップ部30が、キャップ部48の外周端部48Aと、ボタン本体41のフランジ部41Aとの間に挟持される構成となっている。
次に、メス型ボタン50の構成について説明する。メス型ボタン50は、ストラップ部30の裏側に配されるボタン本体51と、ストラップ部30の表側に配される止め具55から構成されており、ボタン本体51及び止め具55によって、ストラップ部30における先端部32を挟持する構成となっている。
ボタン本体51は、図2に示すように平面視円形状をなし、平面視において表側の中央部が開口部51Aとされる。また、ボタン本体51の外周部は、外側に凹む形状をなす収容部51Bとされる。収容部51Bは、平面視において環状をなす形で延びており、この収容部51B内には、環状をなす係止ばね52が収容されている。また、平面視において裏側(図3の下側)の中央部は、円形状をなす形で開口された開口部51Dとされ、後述するトリム側ボタン60の係止突部63が挿通可能となっている。
一方、止め具55は、オス型ボタン40の止め具45とほぼ同じ構成とされ、略円筒状をなす係止軸部56と、係止軸部56を表側から覆うキャップ部58と、キャップ部58及び係止軸部56の間に介在される板部57を備えている。係止軸部56のフランジ部56Aに対して、キャップ部58の外周端部58Aを折り曲げて係止させることで、係止軸部56の表側にキャップ部58が取り付けられる構成となっている。
係止軸部56は、ストラップ部30を貫通する形で配されている。係止軸部56の先端部56Bは、ボタン本体51における開口部51Aに挿通された後、かしめることで、開口部51Aの周縁部に裏側から係止される構成となっている。これにより、ストラップ部30が、キャップ部58の外周端部58Aと、ボタン本体51の底部との間に挟持される構成となっている。
次に、トリム側ボタン60の構成について説明する。トリム側ボタン60は、図3及び図6に示すように、オス型のボタンであるボタン本体61と、ボタン本体61をサイドトリム12に取り付けるためのねじ部材65と、を備えている。
ボタン本体61は、平面視円形状をなしており、ボタン本体61のサイドトリム12側の壁部において、平面視における中央部には開口部62が形成されている。ねじ部材65の頭部66の周端部が、開口部62の縁部に対して、サイドトリム12の表側(荷室内側)から係止する構成となっている。
また、サイドトリム12の裏側(荷室外側)には、金属製のブラケット68が取り付けられている。ブラケット68に形成された挿通孔68Aの内周面には、ねじが切ってあり、ねじ部材65の軸部67は、サイドトリム12を貫通するとともに、ブラケット68の挿通孔68Aの内周面に螺合する構成となっている。このように、金属製のブラケット68にねじ部材65を螺合させることで、より確実にボタン本体61をサイドトリム12に取り付けることができる。
また、ボタン本体61における荷室内側の壁部を貫通する形で開口部64が形成されており、この開口部64を通じて、ねじ部材65の頭部66が露出する構成となっている。これにより、開口部64を通じて、工具などを差し入れることができ、ねじ部材65のねじ締めを行うことができる。なお、ブラケット68の先端部68Bは、ねじ部材65の軸部67の先端を覆う形で延びており、軸部67の先端に手などが触れる事態を抑制する機能を担っている。
ボタン本体61において、荷室内側へ突き出された係止突部63が形成されている。係止突部63は、平面視環状をなしている。この係止突部63の外径は、ボタン本体51の係止ばね52の自然状態における内径より、わずかに大きく設定されている。
一方、係止突部63に係止される係止ばね52は、図2に示すように、切り欠き52Aが形成された有端環状をなしており、その環径(内径)が広がる方向に弾性変形が可能となっている。これにより、ボタン本体51の開口部51Dにトリム側ボタン60の係止突部63を挿通させると、係止突部63によって係止ばね52が拡径変形され、係止突部63の外周部に係止ばね52が外挿される。その後、係止ばね52は、弾性復帰することで、係止突部63の外周部に係止される(図6の状態)。
そして、係止ばね52が係止突部63の外周部に外挿されることで、ボタン本体61に対して、メス型ボタン50が係止される構成となっている。なお、係止突部63は、突出端に向かうに連れて外径(図6の符号W1で図示)がわずかに大きくなる形で形成されており、外挿された係止ばね52が抜けにくい構成となっている。
また、係止ばね52が係止突部63に外挿された状態において、トリム側ボタン60から、メス型ボタン50を遠ざける側に、所定以上の力で引っ張ると、係止ばね52が係止突部63によって拡径変形され、トリム側ボタン60から、メス型ボタン50を取り外すことができる。
次に、カバー部材80の構成について説明する。カバー部材80は、全体として平面視円形状をなし、図5に示すように、キャップ部81と、カバー本体82と、を備えている。なお、図3〜図5において、キャップ部81は側面視を図示してある。
カバー本体82の外周部は、径方向外側に凹む形状をなす収容部84とされる。収容部84は、平面視において環状をなす形で延びており、この収容部84内には、環状をなす係止ばね83が収容されている。また、平面視における中央部には、係止突部43(又は係止突部63)を挿通可能な開口部85が形成されている。
係止ばね83は、上述した係止ばね52とほぼ同じ形状をなしている。つまり、係止ばね83は、切り欠き(図示せず)が形成された有端環状をなしており、上述した係止ばね52と同じ内径で設定されている。係止ばね83は、その環径(内径)が広がる方向に弾性変形が可能となっている。これにより、カバー本体82の開口部85に、係止突部43(又は係止突部63)を挿通させると、係止突部43によって係止ばね83が拡径変形され、係止突部43(又は係止突部63)の外周部に係止ばね83が外挿される。その後、係止ばね83は、弾性復帰することで、係止突部43(又は係止突部63)の外周部に係止される。
この係止ばね83が係止突部43(又は係止突部63)に外挿されることで、カバー部材80がオス型ボタン40(又はトリム側ボタン60)に取り付けられる構成となっている。言い換えると、オス型ボタン40のボタン本体41(一対の挟持部材のうち、いずれか一方の挟持部材)に設けられた係止突部43は、トリム側ボタン60から取り外されたカバー部材80を保持可能なカバー保持部の一例である。
なお、メス型ボタン50の係止ばね52は、係止ばね83と同様に、係止突部43(又は係止突部63)に外挿可能とされる。以上の構成から、本実施形態においては、メス型ボタン50(ボタン本体51)は、トリム側ボタン60(係止突部63)又はオス型ボタン40(ボタン本体41)に対して着脱可能な構成となっている。また、カバー部材80も、トリム側ボタン60(係止突部63)又はオス型ボタン40(ボタン本体41)に対して着脱可能な構成となっている。
次に、本実施形態のストラップ部30を介したサイドトリム12(車両の壁部)に対するトノカバー20の係止構造における作用及び効果について説明する。まず、サイドトリム12に対してストラップ部30(メス型ボタン50)を係止させる手順について説明する。図3に示すように、トリム側ボタン60にメス型ボタン50が係止されていない状態において、トリム側ボタン60には、予めカバー部材80が取り付けられているものとする。なお、ボード部材23に設けられた支持ピン23Aは予めサイドトリム12の取付箇所に取り付けられているものとする。
まず、カバー部材80をトリム側ボタン60から取り外し、取り外したカバー部材80をオス型ボタン40のボタン本体41(係止突部43)に係止させる(図4の状態)。そして、メス型ボタン50のボタン本体51を、トリム側ボタン60のボタン本体61に係止させる。これにより、ストラップ部30を介してサイドトリム12にトノカバー20が係止される。このように、各ストラップ部30を各サイドトリム12にそれぞれ係止させることで、トノカバー20を張設した状態で保持することができる。
また、本実施形態の係止構造においては、図7に示すように、メス型ボタン50のボタン本体51をオス型ボタン40のボタン本体41に対して着脱させることもできる。このようにすれば、ストラップ部30の先端部32を保持できるから、先端部32が揺れて、他の部品に衝突する事態や、構成部品(例えば、係止ばね83とボタン本体51)同士がぶつかり合うことで異音を発生する事態などを抑制できる。
以上、説明したように、本実施形態のサイドトリム12に対するトノカバー20の係止構造は、トノカバー20に設けられたメス型ボタン50と、サイドトリム12に設けられ、メス型ボタン50が係止可能なトリム側ボタン60と、トリム側ボタン60にメス型ボタン50が係止されていない状態において、トリム側ボタン60を覆う形で、トリム側ボタン60に取り付け可能なカバー部材80と、トノカバー20に設けられ、トリム側ボタン60から取り外されたカバー部材80を保持可能な係止突部43と、を備えている。
本実施形態によれば、メス型ボタン50にトリム側ボタン60を係止させることで、サイドトリム12に対してトノカバー20を係止させることができる。そして、メス型ボタン50がトリム側ボタン60に係止されていない状態においては、トリム側ボタン60を覆う形でカバー部材80を取り付けることができ、外観を良好なものとすることができる。
また、メス型ボタン50をトリム側ボタン60に係止させる際には、カバー部材80をトリム側ボタン60から取り外す。この際に、トリム側ボタン60から取り外されたカバー部材80を係止突部43に保持させることができる。これにより、トリム側ボタン60から取り外されたカバー部材80が紛失する事態を抑制することができる。また、カバー部材80を係止突部43のような定められた位置に取り付けておけば、カバー部材80を再度トリム側ボタン60に取り付ける際に、カバー部材80を探す必要がなく好適である。
ところで、車両によっては、同一の車種であっても、トノカバー20を備えておらず、トリム側ボタン60を備える必要がない仕様のものもある。このため、同一の車種において、トリム側ボタン60の有無に対応した2種類のサイドトリムを製造する必要があった。この点、本実施形態においては、トノカバー20を備えていない仕様の車両において、トリム側ボタン60を備えたサイドトリム12を用いた場合であっても、トリム側ボタン60をカバー部材80で覆うことができ、外観を良好なものとすることができる。つまり、同一の車種において、トノカバー20の有無に関わらずトリム側ボタン60を備えたサイドトリム12を用いることができ、2種類のサイドトリムを製造する必要がないから、サイドトリムに係る製造設備などのコストを低減できる。
上記構成において、トノカバー20は、シート状をなす本体部21と、本体部21から延びるストラップ部30と、を備え、メス型ボタン50は、ストラップ部30の先端部32に設けられており、係止突部43は、ストラップ部30の基端部31に設けられている。
ストラップ部30の先端部32にメス型ボタン50を設けることで、本体部21に直接取り付けた構成と比較して、メス型ボタン50を動かしやすくなる。その結果、トリム側ボタン60に対して、メス型ボタン50の位置合わせが容易となり、係止作業が容易となる。また、係止突部43は、ストラップ部30の基端部31に設けられている。このため、メス型ボタン50をトリム側ボタン60に係止させた状態において、係止突部43はトリム側ボタン60に対して比較的近い位置に配されることとなる。この結果、トリム側ボタン60から取り外したカバー部材80を係止突部43に保持させる場合には、カバー部材80の運搬距離が少なくなり、好適である。
また、係止突部43をストラップ部30の基端部31に設ける構成、つまり、カバー部材80をストラップ部30の基端部31に取り付けて保持させる構成とすれば、トノカバー20の本体部21にカバー部材80を取り付ける構成と比べて、カバー部材80が目に付きにくく、外観をより良好なものとすることができる。特に本実施形態においては、トノカバー20の裏側にカバー部材80を保持させる構成としてあるため、カバー部材80が表側から見えず好適である。
また、本体部21及びストラップ部30における基端部31の双方を挟持するボタン本体41及び止め具45を備え、係止突部43は、ボタン本体41に設けられている。
トノカバー20とストラップ部30とを挟持する部材であるボタン本体41に係止突部43を設ける構成とすれば、他の箇所に係止突部43を設ける構成と比べて、部品点数を削減できる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、サイドトリム12に対するトノカバー20の係止構造について例示したが、トノカバー20の係止箇所は、サイドトリム12に限定されない。トノカバー20の係止箇所は、車両の壁部であれば適宜変更可能であり、例えばサイドトリム12以外の車両用内装材や、後部座席などに係止させる構成としてもよい。
(2)上記実施形態では、係止部及び被係止部としてボタン部材を例示したが、これに限定されない。係止部及び被係止部を、例えば、係止爪などの係止構造としてもよい。
(3)上記実施形態では、カバー保持部として、係止突部43を例示したが、これに限定されない。カバー保持部は、カバー部材80を保持可能なものであればよく、例えば磁石などを備え、磁力によってカバー部材80を保持する構成としてもよい。
(4)上記実施形態では、カバー保持部である係止突部43をボタン本体41に設ける構成としたが、これに限定されない。係止突部43を止め具45に設けてもよい。また、係止突部43をボタン本体41とは別部品として形成し、トノカバー20の本体部21に設けてもよい。
(5)ストラップ部30の取付箇所及び取付個数は、上記実施形態に限定されず適宜変更可能である。また、ストラップ部30を備えていない構成、例えば、メス型ボタン50が本体部21に設けられている構成であってもよい。
(6)トノカバー20の本体部21は平面視方形状に限定されず、その形状は適宜変更可能である。
12…サイドトリム(車両の壁部)、20…トノカバー(車両用トノカバー)、21…本体部、30…ストラップ部、31…基端部(ストラップ部の基端部)、32…先端部(ストラップ部の先端部)、41…ボタン本体(一対の挟持部材のうち、いずれか一方の挟持部材)、43…係止突部(カバー保持部)、45…止め具(一対の挟持部材のうち、他方の挟持部材)、50…メス型ボタン(係止部)、60…トリム側ボタン(被係止部)、80…カバー部材

Claims (3)

  1. 車両の壁部に対する車両用トノカバーの係止構造であって、
    前記車両用トノカバーに設けられた係止部と、
    前記壁部に設けられ、前記係止部が係止可能な被係止部と、
    前記被係止部に前記係止部が係止されていない状態において、前記被係止部を覆う形で前記被係止部に取り付け可能なカバー部材と、
    前記車両用トノカバーに設けられ、前記被係止部から取り外された前記カバー部材を保持可能なカバー保持部と、を備えていることを特徴とする車両用トノカバーの係止構造。
  2. 前記車両用トノカバーは、シート状をなす本体部と、前記本体部から延びるストラップ部と、を備え、
    前記係止部は、前記ストラップ部の先端部に設けられており、
    前記カバー保持部は、前記ストラップ部の基端部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用トノカバーの係止構造。
  3. 前記本体部及び前記ストラップ部における前記基端部の双方を挟持する一対の挟持部材を備え、
    前記カバー保持部は、前記一対の挟持部材のうち、いずれか一方の挟持部材に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の車両用トノカバーの係止構造。
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