JP5482680B2 - トルク検出装置および電動パワーステアリング装置 - Google Patents

トルク検出装置および電動パワーステアリング装置 Download PDF

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Description

本発明は、操舵トルクを検出するトルク検出装置、および、トルク検出装置により検出された操舵トルクに基づいて運転者の操舵操作をアシストする電動パワーステアリング装置に関する。
従来から、運転者の操舵操作に対して操舵アシストトルクを付与する電動パワーステアリング装置が知られている。電動パワーステアリング装置は、ステアリングシャフトに働いた操舵トルクをトルク検出装置で検出し、操舵トルクが大きくなるにしたがって増加する目標アシストトルクを算出し、算出した目標アシストトルクが得られるように、電動モータの通電量をフィードバック制御する。従って、電動パワーステアリング装置においては、特に、トルク検出装置の信頼性が要求される。
トルク検出装置は、ステアリングシャフトに設けたトーションバーの捩れ角度を検出することにより、この捩れ角度に比例した操舵トルクを算出する。例えば、特許文献1にて提案されたトルク検出装置は、2つのレゾルバを用いてトーションバーの捻れ角度を検出する構成を採用している。このトルク検出装置においては、トーションバーの一端側に第1レゾルバを、他端側に第2レゾルバを設け、第1レゾルバにて検出される第1回転角θと第2レゾルバにて検出される第2回転角θとの差から、操舵トルクを検出する。
各レゾルバは、励磁用交流信号が供給されてロータコイルに通電する励磁コイルと、トーションバーの周囲のステータに固定される一対の検出コイル(sin相検出コイル,cos相検出コイル)とを備えている。一対の検出コイルは、互いに電気角で90度(π/2)ずらして組み付けられる。sin相検出コイルは、ロータの回転角(電気角)のsin値に応じた振幅となる交流信号を出力し、cos相検出コイルは、ロータの回転角(電気角)のcos値に応じた振幅となる交流信号を出力する。従って、レゾルバで検出されるロータの回転角は、sin相検出コイルの出力信号の振幅をcos相検出コイルの出力信号の振幅で除算した値のアークタンジェント値に基づいて演算することができる。
この特許文献1にて提案されたトルク検出装置は、一方のレゾルバにおける検出コイルの一つが断線した場合でも、正常なレゾルバで検出された回転角が所定角度範囲に入っている場合には、断線したコイルと対をなす他方の検出コイルの出力信号を使って回転角を演算する。これは、第1レゾルバにて検出される第1回転角θと第2レゾルバにて検出される第2回転角θとの機械的な角度差が常に一定値以下になるという条件に基づいて、正常なレゾルバで検出された回転角が所定角度範囲に入っている状況においては、断線したコイルと対をなす他方の検出コイルの出力信号から回転角を一義的に求めることができることを利用したものである。従って、正常なレゾルバで検出された回転角が所定角度範囲に入っている状況においては、第1回転角θと第2回転角θとの差から操舵トルクを検出することができる。
特開2003−315182号公報
こうした構成においては、断線したコイルと対をなす他方の検出コイルの出力信号から回転角を一義的に求めることができない角度領域である回転角不確定領域が存在するため、その回転角不確定領域においては、他の方法で回転角を推定することになる。ところが、従来のトルク検出装置は、以下の理由により、操舵ハンドルが中立位置であって操舵操作されていない状態(以下、ハンドル中立状態と呼ぶ)においては、sin相検出コイルの異常時には、常に、レゾルバの電気角が回転角不確定領域に入ってしまい、回転角を一義的に求めることができない。
従来のトルク検出装置は、ロータコイルが巻回されるロータと、検出コイル(sin相検出コイル,cos相検出コイル)が巻回されるステータとが相対回転自在に設けられている。そして、ロータとステータとは、ハンドル中立状態において、sin相検出コイルの出力する検出信号の振幅がゼロでcos相検出コイルの出力する検出信号の振幅が最大となるような相対位置関係で組み付けられている。
ハンドル中立状態におけるレゾルバの電気角を0°とすると、特許文献1のトルク検出装置では、異常が検出されている検出コイルがsin相検出コイルである場合には、異常が検出されていないレゾルバの電気角θeが(0°−α)<θe<(0°+α)の範囲、および、(180°−α)<θe<(180°+α)の範囲に入る場合には、異常が検出されているレゾルバのcos相検出コイルの振幅からは一義的に回転角を求めることができない。これは、cos相検出コイルの振幅では、異常が検出されているレゾルバの電気角θeが0°あるいは180°を挟んでプラスマイナスどちら側に位置するのか分からないからである。
また、第1回転角θと第2回転角θとの機械的な角度差が常に一定値以下になるという条件とは異なる別の条件を使ってcos相検出コイルのみの振幅から回転角を求めようとしても、大きさの差はあるものの、やはり、電気角θeが0°を中心とした範囲、および、180°を中心とした範囲において回転角不確定領域が存在する。
従って、ハンドル中立状態においては、sin相検出コイルの異常時に、常に、レゾルバの電気角が回転角不確定領域に入ってしまい、回転角を検出することができない。このため、予め定めた推定方法により操舵トルクを推定せざるを得ない。従って、ハンドル中立状態という発生頻度の高い状況において、推定トルク値が使われることになってしまい、正常側の検出コイルの検出信号を有効利用できていない。
本発明は、上記問題に対処するためになされたもので、検出コイルの一方が断線した場合でも、操舵トルクを検出できなくなる状況を低減することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、操舵ハンドル(11)に連結されたステアリングシャフト(12)の途中に配設されるトーションバー(12a)と、前記トーションバーの一端側をロータとしてステータに対する前記ロータの回転角である第1回転角に応じた振幅の2相の検出信号を出力する一対の検出コイル(112,113)を有する第1レゾルバ(110)と、前記トーションバーの他端側をロータとして前記ステータに対する前記ロータの回転角である第2回転角に応じた振幅の2相の検出信号を出力する一対の検出コイル(122,123)を有する第2レゾルバ(120)とを備えたレゾルバユニット(100)と、前記第1レゾルバから出力される2相の検出信号に基づいて前記第1回転角を演算し、前記第2レゾルバから出力される2相の検出信号に基づいて前記第2回転角を演算する回転角演算手段(S15)と、前記演算された第1回転角と第2回転角とに基づいて前記ステアリングシャフトに働く操舵トルクを演算するトルク演算手段(S16)と、前記第1レゾルバあるいは第2レゾルバの何れかで、前記一対の検出コイルの片側に異常が発生していることを検出する異常検出手段(S13)と、前記検出コイルの片側の異常発生が検出されているとき、前記異常が発生している検出コイルと対をなす他方の検出コイルの出力する検出信号から一義的に回転角を求めることができる状況となる場合に、前記他方の検出コイルの出力する検出信号から異常側レゾルバの回転角を演算する異常時回転角演算手段(S30,S40)とを備えたトルク検出装置において、
前記第1レゾルバと第2レゾルバの少なくとも一方は、前記操舵ハンドルが中立位置で前記トーションバーが捩れていない状態における前記ロータと前記ステータとの相対位置関係が、前記一対の検出コイルの一方の検出信号の振幅がゼロで他方の検出信号の振幅が最大となる位置を基準位置として、前記基準位置に対して電気角で45°+90°×K(Kは整数)だけずれるように、前記ロータと前記ステータとの組み付け位相が設定されていることにある。
本発明においては、ステアリングシャフトの途中に設けられるトーションバーの一端側に第1レゾルバが設けられ、他端側に第2レゾルバが設けられる。第1レゾルバは、トーションバーの一端側となるロータと、そのロータの周囲に設けられロータの回転を許容するステータと、ステータに対するロータの回転角(第1回転角)に応じた振幅の2相の検出信号を出力する一対の検出コイルとを備えている。例えば、第1レゾルバは、ロータにロータコイルを、ステータにsin相検出コイルとcos相検出コイルとを備え、ロータコイルに交流電圧信号が入力されることで、sin相検出コイルから第1回転角のsin値に応じた振幅の検出信号(交流電圧信号)を出力し、cos相検出コイルから第1回転角のcos値に応じた振幅の検出信号(交流電圧信号)を出力する。
第2レゾルバは、トーションバーの他端側となるロータと、そのロータの周囲に設けられロータの回転を許容するステータと、ステータに対するロータの回転角(第2回転角)に応じた振幅の2相の検出信号を出力する一対の検出コイルとを備えている。例えば、第2レゾルバは、ロータにロータコイルを、ステータにsin相検出コイルとcos相検出コイルとを備え、ロータコイルに交流電圧信号が入力されることで、sin相検出コイルから第2回転角のsin値に応じた振幅の検出信号を出力し、cos相検出コイルから第2回転角のcos値に応じた振幅の検出信号を出力する。
回転角演算手段は、第1レゾルバから出力される2相の検出信号に基づいて第1回転角を演算し、第2レゾルバから出力される2相の検出信号に基づいて第2回転角を演算する。例えば、各レゾルバにおけるsin相検出信号(電気角のsin値に応じた振幅の検出信号)とcos相検出信号(電気角のcos値に応じた振幅の検出信号)との振幅をそれぞれ検出し、sin相検出信号の振幅をcos相検出信号の振幅で除算した値のアークタンジェント値に基づいて回転角を演算することができる。
尚、第1回転角および第2回転角は、第1レゾルバおよび第2レゾルバの機械角であっても電気角であってもよい。機械角と電気角とは一定の関係を有するからである。回転角を機械角とした場合には、sin相検出コイルは、回転角を電気角に変換した角度のsin値に応じた振幅の検出信号を出力し、cos相検出コイルは、回転角を電気角に変換した角度のcos値に応じた振幅の検出信号を出力する。
トルク演算手段は、こうして演算された第1回転角と第2回転角との差に基づいてステアリングシャフトに働く操舵トルクを演算する。つまり、トーションバーの捩れ角度を検出することにより、その捩れ角度に比例した操舵トルクを演算する。
レゾルバの検出コイルの信号出力ライン等が断線した場合には、検出コイルから正常な検出信号が出力されなくなる。このとき、一対の検出コイルのうち一方のみに異常が発生している場合においては、他方の検出コイルの出力信号から一義的に回転角を求めることができる状況が存在する。そこで、異常検出手段が、第1レゾルバあるいは第2レゾルバの何れかで、一対の検出コイルの片側に異常が発生していることを検出すると、異常時回転角演算手段が、他方の検出コイルの出力する検出信号から一義的に回転角を求めることができる状況となる場合に、他方の検出コイルの出力する検出信号から、異常側レゾルバ(異常が発生している検出コイルを有するレゾルバ)の回転角を演算する。
従って、他方の検出コイルの出力信号から一義的に回転角を求めることができる状況においては、操舵トルクを演算することができ、操舵トルクに基づいてアシスト制御を行うことができる。しかし、他方の検出コイルの出力信号から一義的に回転角を求めることができない状況も発生する。
他方の検出コイルの出力信号から一義的に回転角を求めることができない状況は、各検出コイルの出力する検出信号の振幅が最大値となる近傍において発生する。例えば、sin相検出信号の振幅が最大となる位置においては、cos相検出信号の振幅はゼロになり、cos相検出信号の振幅が最大となる位置においては、sin相検出信号の振幅はゼロになる。従来装置においては、sin相検出信号の振幅がゼロでcos相検出信号の振幅が最大となる位置を基準位置として、この基準位置が、操舵ハンドルが中立位置で、かつ、トーションバーが捩れていない状態での位置と一致するように、ロータとステータとの組み付け位相を設定して、その設定された位置関係でロータとステータとが組み付けられていた。しかし、そのような組み付け位相でロータとステータとを組み付けた場合には、sin相検出コイルが故障した場合には、ハンドル中立状態において、常に、cos相検出コイルの出力信号から一義的に回転角を求めることができない。
そこで、本発明においては、ハンドル中立状態におけるロータとステータとの相対位置関係が、基準位置に対して電気角で45°+90°×K(Kは整数:0または1または2または3)だけずれるように、ロータとステータとの組み付け位相が設定されている。従って、各レゾルバの基準位置を電気角で0°とすると、ハンドル中立状態は、レゾルバの電気角が、45°,135°,225°,315°のいずれかとなる。
sin相検出コイルが故障した場合には、レゾルバの電気角が0°および180°を中心とした所定角度範囲において、cos相検出コイルの出力信号からは一義的に回転角を求めることができず、cos相検出コイルが故障した場合には、レゾルバの電気角が90°および270°を中心とした所定角度範囲において、sin相検出コイルの出力信号からは一義的に回転角を求めることができない。従って、本発明では、ハンドル中立状態においては、故障した検出コイルが何れの相(sin相、cos相)のものであっても、他方の検出コイルの出力信号から一義的に回転角を求めることができる。
この結果、本発明のトルク検出装置によれば、検出コイルの一方が断線した場合でも、操舵トルクを検出できなくなる状況(頻度)を低減することができる。
本発明は、トルク検出装置だけでなく、このトルク検出装置を備えた電動パワーステアリング装置にも適用することができる。
本発明の電動パワーステアリング装置の特徴は、上述したトルク検出装置と、運転者の操舵操作をアシストするアシストトルクを発生する電動モータ(21)と、前記トルク演算手段により演算された操舵トルクに基づいて前記電動モータを駆動制御するアシスト制御手段(31,40)とを備えた電動パワーステアリング装置であって、
前記検出コイルの片側に異常が発生している場合に、前記異常が発生している検出コイルと対をなす他方の検出コイルの出力する検出信号から一義的に回転角を求めることができない回転角不確定領域を、前記電動モータの電気角領域に対応させた不確定モータ電気角領域として記憶した不確定モータ電気角領域記憶手段(33)と、前記電動モータの電気角を検出するモータ電気角検出手段(61,307)と、前記検出コイルの片側の異常発生が検出されているとき、前記モータ電気角検出手段により検出された電動モータの電気角と、前記不確定モータ電気角領域記憶手段に記憶された不確定モータ電気角領域とに基づいて、前記電動モータの電気角が前記不確定モータ電気角領域に留まらないように、前記電動モータを駆動制御する不確定領域通過制御手段(310)とを備えたことにある。
本発明の電動パワーステアリング装置においては、アシスト制御手段が、トルク演算手段により演算された操舵トルクに基づいて電動モータを駆動制御する。電動モータは、例えば、減速機等を介してステアリングシャフトの出力側に連結され、運転者の操舵操作をアシストするアシストトルクを発生する。この場合、電動モータは、ステアリングシャフトに回転トルクを付与するようにしてもよいし、ステアリングシャフトに連結されるラックバーに連結してラックバーに対して軸方向の力を付与するようにしてもよい。
レゾルバの検出コイルの信号出力ライン等が断線した場合には、検出コイルから正常な検出信号が出力されなくなる。このとき、一対の検出コイルのうち一方のみに異常が発生している場合、他方の検出コイルの出力信号から一義的に回転角を求めることができる状況においては、操舵トルクを演算して操舵アシストを行うことができる。しかし、他方の検出コイルの出力信号から一義的に回転角を求めることができない状況も発生する。この場合には、操舵トルクを正確に演算することができない。そこで、本発明においては、他方の検出コイルの出力信号から一義的に回転角を求めることができない状況を回避するために、不確定モータ電気角領域記憶手段と、モータ電気角検出手段と、不確定領域通過制御手段とを備えている。
不確定モータ電気角領域記憶手段は、他方の検出コイルの出力信号から一義的に回転角を求めることができないレゾルバの回転角不確定領域を電動モータの電気角領域に対応させた不確定モータ電気角領域として記憶している。従って、電動モータの電気角が不確定モータ電気角領域に入る場合には、異常が発生しているレゾルバの回転角を演算することができない。
そこで、不確定領域通過制御手段は、検出コイルの片側の異常発生が検出されているとき、モータ電気角検出手段により検出された電動モータの電気角と、不確定モータ電気角領域記憶手段に記憶された不確定モータ電気角領域とに基づいて、電動モータの電気角が不確定モータ電気角領域に留まらないように、電動モータを駆動制御する。従って、異常が発生しているレゾルバの回転角が回転角不確定領域を通り越すようになる。この結果、本発明によれば、検出コイルの一方が断線した場合でも、操舵トルクを検出できなくなる状況を低減することができる。
また、このように不確定領域通過制御手段が、電動モータの電気角が不確定モータ電気角領域に留まらないように電動モータを駆動制御すると、それによるトルクリップル(トルク変動)が操舵ハンドルを介して運転者に伝達され、操舵フィーリングが低下する。しかし、本発明においては、ロータとステータとの相対位置関係が、基準位置に対して電気角で45°+90°×K(Kは整数)だけずれるようにロータとステータとの組み付け位相が設定されているため、ハンドル中立状態においては、電動モータの電気角が不確定モータ電気角領域に入らない。このため、ハンドル中立状態においては、不確定モータ電気角領域通過用のトルクが発生しない。この結果、不確定モータ電気角領域通過用のトルクの発生頻度を低くすることができ、トルクリップルによる操舵フィーリングの低下を抑制することができる。また、直進走行や高速域走行における操作性を向上させることができる。
本発明の電動パワーステアリング装置の他の特徴は、前記不確定領域通過制御手段は、前記検出コイルの片側に異常が検出されているときに、前記電動モータの電気角が前記不確定モータ電気角領域に入る場合に、前記アシスト制御手段が設定する前記電動モータの目標電流を増加補正することにある。
本発明においては、電動モータの電気角が不確定モータ電気角領域に入る場合に、アシスト制御手段が設定する電動モータの目標電流を増加補正する。これにより、電動モータの電気角が不確定モータ電気角領域を容易に通り越せるようになる。
本発明の他の特徴は、前記電動モータの回転速度を検出するモータ回転速度検出手段(312)を備え、前記不確定領域通過制御手段は、前記電動モータの回転速度が大きい場合は小さい場合に比べて、前記電動モータの目標電流の増加補正量を少なくする(313,314)ことにある。
本発明においては、電動モータの回転速度が大きい場合は小さい場合に比べて、電動モータの目標電流の増加補正量が少なくなる。従って、電動モータの回転慣性が大きく、回転角の不確定モータ電気角領域を通過しやすい状況においては、目標電流の増加補正量が少なくなるため、適切な目標電流が設定され、必要以上に電動モータが回されることが防止される。これにより、トルクリップルを更に低減することができる。
本発明の他の特徴は、前記回転角不確定領域は、前記回転角演算手段が前記第1回転角および前記第2回転角を演算する演算周期あたりに前記第1回転角あるいは前記第2回転角が変化する回転角変化量が所定変化量以内であるという回転角変化条件に基づいて設定されることにある。
この場合、例えば、前記回転角不確定領域は、前記異常が検出されている検出コイルがsin相検出コイルである場合には、前記異常側レゾルバの電気角が一演算周期のあいだに0°あるいは180°を通過する可能性がある領域に設定され、前記異常が検出されている検出コイルがcos相検出コイルである場合には、前記異常側レゾルバの電気角が一演算周期のあいだに90°あるいは270°を通過する可能性がある領域に設定されるとよい。
回転角演算手段の演算周期にステアリングシャフトの回転速度を乗算すれば一演算周期のあいだに変化した回転角の変化量、つまり、回転角変化量が求められる。一方、操舵ハンドルを回転操作する速度には限界があるため、回転角変化量は、所定変化量以内となる。このため、一演算周期前に算出された異常側レゾルバの電気角に基づいて、異常が検出されている検出コイルを有する異常側レゾルバの回転角を一義的に算出することができる回転角確定領域と、一義的に算出することができない回転角不確定領域とに判別することができる。
異常が検出されている検出コイルがsin相検出コイルである場合には、異常側レゾルバの電気角が一演算周期のあいだに0°あるいは180°を通過できる状況にあると、cos相検出コイルから出力される検出信号の振幅からは一義的に回転角を決めることができない。これは、異常側レゾルバの電気角が、0°あるいは180°を挟んでどちら側にあるのか分からないためである。同様に、異常が検出されている検出コイルがcos相検出コイルである場合には、異常側レゾルバの電気角が一演算周期のあいだに90°あるいは270°を通過できる状況にあると、sin相検出コイルから出力される検出信号の振幅からは一義的に回転角を決めることができない。これは、異常側レゾルバの電気角が、90°あるいは270°を挟んでどちら側にあるのか分からないためである。
そこで、本発明においては、回転角不確定領域を、異常が検出されている検出コイルがsin相検出コイルである場合には、異常側レゾルバの電気角が一演算周期のあいだに0°あるいは180°を通過する可能性がある領域に設定し、異常が検出されている検出コイルがcos相検出コイルである場合には、異常側レゾルバの電気角が一演算周期のあいだに90°あるいは270°を通過する可能性がある領域に設定する。従って、本発明によれば、回転角不確定領域を狭くすることができるため、不確定領域通過制御手段により電動モータが駆動制御されても、操舵フィーリングに与える影響を少なくすることができる。
尚、上記説明においては、発明の理解を助けるために、実施形態に対応する発明の構成に対して、実施形態で用いた符号を括弧書きで添えているが、発明の各構成要件を前記符号によって規定される実施形態に限定させるものではない。
実施形態としての電動パワーステアリング装置の概略構成図である。 アシスト演算部の機能ブロック図である。 トルクセンサユニットの構造を表す断面図である。 トルクセンサユニットの電気回路構成図である。 第1条件に基づいて、回転角が一義的に決まる範囲を表す図であって、(a)はcos相のみの検出信号から回転角が一義的に決まる範囲を表し、(b)はsin相のみの検出信号から回転角が一義的に決まる範囲を表す。 第2条件に基づいて、回転角が一義的に決まる範囲を表す図であって、(a)はcos相のみの検出信号から回転角が一義的に決まる範囲を表し、(b)はsin相のみの検出信号から回転角が一義的に決まる範囲を表す。 操舵トルク検出ルーチンを表すフローチャートである。 第2回転角計算ルーチン(サブルーチン)を表すフローチャートである。 第1回転角計算ルーチン(サブルーチン)を表すフローチャートである。 第1条件に基づいて、回転角が一義的に決まる範囲を表す図であって、(a)はcos相のみの検出信号から回転角が一義的に決まる範囲を表し、(b)はsin相のみの検出信号から回転角が一義的に決まる範囲を表す。 第2条件に基づいて、回転角が一義的に決まる範囲を表す図であって、(a)はcos相のみの検出信号から回転角が一義的に決まる範囲を表し、(b)はsin相のみの検出信号から回転角が一義的に決まる範囲を表す。 かさ上げ電流演算ルーチンを表すフローチャートである。 かさ上げ電流マップを表すグラフで、(a)は、sin相異常時におけるかさ上げ電流マップ、(b)は、cos相異常時におけるかさ上げ電流マップを表す。 ゲイン設定マップを表すグラフである。 sin相の振幅とcos相の振幅と電気角との関係を表す図である。 レゾルバの電気角θeに対するsin相検出信号とcos相検出信号の電圧波形を表すグラフである。。 第2条件下算出不能範囲とハンドル中立位置との関係を電気角θeで表したグラフである。 ロータ部とステータ部との組み付け位相を表す説明図である。
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。図1は、実施形態としてトルク検出装置を備えた電動パワーステアリング装置の概略構成図である。
車両の電動パワーステアリング装置は、操舵ハンドル11の操舵により転舵輪である左右前輪FW1,FWを転舵する転舵機構10と、転舵機構10に設けられ操舵アシストトルクを発生するパワーアシスト部20と、パワーアシスト部20の電動モータ21を駆動制御するアシスト制御装置50(以下、アシストECU50と呼ぶ)と、車速センサ60と、レゾルバユニット100とを備えている。
転舵機構10は、ステアリングシャフト12を回転可能に備えている。ステアリングシャフト12の上端には、操舵ハンドル11が一体回転可能に接続され、ステアリングシャフト12の下端には、ピニオンギヤ13が一体回転可能に接続されている。ピニオンギヤ13は、ラックバー14に形成されたラック歯と噛み合ってラックアンドピニオン機構を構成する。ラックバー14の両端には、図示しないタイロッドおよびナックルアームを介して左右前輪FW1,FW2が転舵可能に接続されている。左右前輪FW1,FW2は、ステアリングシャフト12の軸線回りの回転に伴うラックバー14の軸線方向の変位に応じて左右に転舵される。
ラックバー14には、パワーアシスト部20が組み付けられている。パワーアシスト部20は、操舵アシスト用の電動モータ21(例えば、3相DCブラシレスモータ)とボールねじ機構22とからなる。電動モータ21の回転軸は、ボールねじ機構22を介してラックバー14に動力伝達可能に接続されていて、その回転により左右前輪FW1,FW2の転舵をアシストする。ボールねじ機構22は、減速器および回転−直線変換器として機能するもので、電動モータ21の回転を減速するとともに直線運動に変換してラックバー14に伝達する。尚、電動モータ21をラックバー14に組み付けるのに代えて、電動モータ21をステアリングシャフト12に組み付けて、電動モータ21の回転を減速器を介してステアリングシャフト12に伝達して同シャフト12を軸線周りに駆動するように構成してもよい。
電動モータ21には、その回転軸の回転角を検出するための回転角センサ61が設けられている。この回転角センサ61は、電動モータ21内に組み込まれ、電動モータ21の回転子の回転角度位置に応じた検出信号を出力するもので、レゾルバにより構成される。この回転角センサ61の検出信号は、電動モータ21の回転角および回転速度の計算に利用される。一方、この電動モータ21の回転角は、転舵輪である前輪FW1,FW2の舵角に対応するため舵角の検出に利用される。
ステアリングシャフト12は、その軸方向の途中にトーションバー12aが設けられる。ステアリングシャフト12において、トーションバー12aの上端と操舵ハンドル11とを連結する部分を入力シャフト12inと呼び、トーションバー12aの下端とピニオンギヤ13とを連結する部分を出力シャフト12outと呼ぶ。
ステアリングシャフト12には、レゾルバユニット100が設けられている。レゾルバユニット100は、トーションバー12aと、入力シャフト12inに組み付けられた第1レゾルバ110と、出力シャフト12outに組み付けられた第2レゾルバ120とから構成される。第1レゾルバ110は、入力シャフト12inの回転角(トーションバー12aの一端側における回転角であって本発明の第1回転角に相当する)に応じた信号を出力し、第2レゾルバ120は、出力シャフト12outの回転角(トーションバー12aの他端側における回転角であって本発明の第2回転角に相当する)に応じた信号を出力する。操舵ハンドル11が回動操作されると、ステアリングシャフト12にトルクが働いてトーションバー12aが捩れる。トーションバー12aの捩れ角度は、ステアリングシャフト12に働く操舵トルクに比例する。従って、第1レゾルバ110で検出される第1回転角θと、第2レゾルバ120で検出される第2回転角θとの差を求めることでステアリングシャフト12に働く操舵トルクを検出することができる。第1レゾルバ110、第2レゾルバ120は、アシストECU50に接続されている。
アシストECU50は、マイクロコンピュータおよび信号処理回路等を備えた演算部30と、スイッチング回路で構成されるモータ駆動回路40(例えば、3相インバータ回路)とを備えている。演算部30は、アシスト演算部31と、トルク演算部32と、記憶部33とから構成される。トルク演算部32は、レゾルバユニット100に接続されて、ステアリングシャフト12に働く操舵トルクを演算により検出する。また、トルク演算部32は、運転者に異常を報知するための警告ランプ65を接続しており、後述する断線検出時に警告ランプ65を点灯する。アシスト演算部31は、トルク演算部32により検出された操舵トルクに基づいて電動モータ21の制御量を演算し、それに対応した制御信号をモータ駆動回路40に出力する。記憶部33は、アシスト演算部31およびトルク演算部32が使用する各種の制御プログラムや制御用データ等を記憶したメモリから構成される。
モータ駆動回路40は、アシスト演算部31から出力されるPWM制御信号を入力して、内部のスイッチング素子のデューティ比を制御することにより電動モータ21への通電量を調整する。モータ駆動回路40には、電動モータ21に流れる電流を検出する電流センサ41が設けられる。
アシスト演算部31は、電流センサ41、車速センサ60、回転角センサ61を接続している。車速センサ60は、車速vxを表す車速検出信号を出力する。また、アシスト演算部31は、トルク演算部32により算出した操舵トルクの計算結果を入力する。
次に、アシスト演算部31について説明する。図2は、アシストECU50のマイクロコンピュータのプログラム制御により処理されるアシスト演算部31の機能ブロック図である。アシスト演算部31は、d−q座標系で表される電流ベクトル制御により電動モータ21の通電を制御するもので、その機能に着目すると、アシストトルク設定部301、アシスト電流指令部302、フィードバック制御部303、3相/2相座標変換部304、2相/3相座標変換部305、PWM信号発生部306、電気角変換部307、および、かさ上げ電流設定部310を備えている。
アシストトルク設定部301は、車速センサ60により検出される車速vxと、トルク演算部32により算出された操舵トルクTrとを取得し、取得した車速vxと操舵トルクTrに基づいて、目標アシストトルクT*を算出する。目標アシストトルクT*は、記憶部33に記憶した図示しないアシストマップにより、操舵トルクTrが大きくなるにしたがって増加し、かつ、車速vxが増加するにしたがって減少するように設定される。
アシストトルク設定部301は、目標アシストトルクT*をアシスト電流指令部302に出力する。アシスト電流指令部302は、目標アシストトルクT*をトルク定数で除算することにより、d−q座標におけるq軸指令電流Iq*を算出する。また、アシスト電流指令部302は、d軸指令電流Id*をゼロ(Id*=0)に設定する。尚、q軸指令電流Iq*は、電動モータ21でトルクを発生させるように働く。d軸指令電流Id*は、電動モータ21の弱め界磁制御に利用されるが、ここでは、ゼロとして説明する。
アシスト電流指令部302は、d軸指令電流Id*をフィードバック制御部303に出力し、q軸指令電流Iq*をかさ上げ電流設定部310に出力する。かさ上げ電流設定部310は、後述するかさ上げ電流演算ルーチンを実行することにより、アシスト電流指令部302から入力したq軸指令電流Iq*を補正し、その補正したq軸指令電流Iq*を最終的なq軸指令電流Iq*としてフィードバック制御部303に出力する。尚、かさ上げ電流設定部310については後述する。
フィードバック制御部303は、q軸指令電流Iq*からq軸実電流Iqを減算した偏差ΔIqを算出し、この偏差ΔIqを使った比例積分制御によりq軸実電流Iqがq軸指令電流Iq*に追従するようにq軸指令電圧Vq*を計算する。同様に、d軸指令電流Id*からd軸実電流Idを減算した偏差ΔIdを算出し、この偏差ΔIdを使った比例積分制御によりd軸実電流Idがd軸指令電流Id*に追従するようにd軸指令電圧Vd*を計算する。
q軸実電流Iqおよびd軸実電流Idは、電動モータ21のコイルに実際に流れた3相電流の検出値Iu,Iv,Iwをd−q座標の2相電流に変換したものである。この3相電流Iu,Iv,Iwからd−q座標の2相電流Id,Iqへの変換は、3相/2相座標変換部304によって行われる。3相/2相座標変換部304は、電気角変換部307から出力されるモータ電気角θmeを入力し、そのモータ電気角θmeに基づいて、電流センサ41により検出した3相電流Iu,Iv,Iwをd−q座標の2相電流Id,Iqに変換する。
電気角変換部307は、回転角センサ61から出力される回転角θmを表す検出信号から電動モータ21の電気角θmeを算出し、算出したモータ電気角θmeを3相/2相座標変換部304、2相/3相座標変換部305、かさ上げ電流設定部310に出力する。
フィードバック制御部303により算出されたq軸指令電圧Vq*とd軸指令電圧Vd*は、2相/3相座標変換部305に出力される。2相/3相座標変換部305は、モータ電気角θmeに基づいて、q軸指令電圧Vq*とd軸指令電圧Vd*を3相指令電圧Vu*,Vv*,Vw*に変換して、その変換した3相指令電圧Vu*,Vv*,Vw*をPWM信号発生部306に出力する。PWM信号発生部306は、3相指令電圧Vu*,Vv*,Vw*に対応したPWM制御信号をモータ駆動回路40のスイッチング素子(図示略)に出力する。こうして電動モータ21には、電流フィードバック制御により運転者の操舵方向と同じ方向に回転する向きの目標電流が流れる。これにより、運転者の操舵操作が、電動モータ21で発生するトルクにより適切にアシストされる。
次に、レゾルバユニット100について説明する。図3は、レゾルバユニット100の断面図を表す。レゾルバユニットは、円筒状のハウジング150を備えている。ハウジング150は、ラックバー14を収納するラックハウジング(図示略)に固定されている。ハウジング150は、延長スリーブ151と、出力シャフト12outとが挿通され、それらをベアリング152,153により回転可能に保持している。延長スリーブ151は、入力シャフト12inの下端と相対回転不能に接続される円筒管であり、入力シャフト12inの一端を構成するものである。出力シャフト12outは、その先端側(操舵ハンドル11側)が円筒状に形成された円筒部154となり、後端側がピニオンギヤ13を一体形成したギヤ形成部155となっている。延長スリーブ151の先端側は、外径が細くなるように形成されており、出力シャフト12outの円筒部154内に隙間をあけて同軸状に配置されている
延長スリーブ151の円筒内には、トーションバー12aが配設されている。トーションバー12aは、その両端に比べて中央部が細く形成されており、この細径部分が延長スリーブ151の円筒内に隙間をあけて挿通されている。トーションバー12aの一方端は、延長スリーブ151の基端(操舵ハンドル11側)においてピン156により連結される。トーションバー12aの他方端は、出力シャフト12outの円筒部154の底部において、回り止め凹凸157により相対回転不能に嵌合されている。従って、トーションバー12aの一方端は、入力シャフト12inと一体的に回転可能であり、トーションバー12aの他方端は、出力シャフト12outと一体的に回転可能となっている。
延長スリーブ151の軸方向における中間位置の外径は、出力シャフト12outにおける円筒部154の先端の外径と同一に設定されている。この延長スリーブ151の軸方向における中間位置となる円筒面が、第1レゾルバ110の第1ロータ部110rを嵌合固定する第1ロータ固定部158となる。また、出力シャフト12outにおける円筒部154の先端が、第2レゾルバ120の第2ロータ部120rを嵌合固定する第2ロータ固定部159となる。従って、延長スリーブ151が第1レゾルバ110のロータ軸を構成し、出力シャフト12outが第2レゾルバ120のロータ軸を構成する。
ハウジング150と第1ロータ固定部158との間のドーナツ状空間には、第1レゾルバ110が設けられ、ハウジング150と第2ロータ固定部159との間のドーナツ状空間には、第2レゾルバ120が設けられる。第1レゾルバ110と第2レゾルバ120とは、同一の構造である。
第1レゾルバ110は、第1ステータ部110sと第1ロータ部110rとから構成される。第1ステータ部110sは、ハウジング150の内壁に固定され、第1ロータ部110rは、延長スリーブ151の第1ロータ固定部158に固定される。第1ロータ部110rは、第1ステータ部110sに対して相対回転可能に設けられる。
第1ロータ部110rには、第1受電コイル115と第1ロータコイル114とが設けられる。第1ステータ部110sには、第1励磁コイル111と第1検出コイル部1123とが設けられる。第1検出コイル部1123は、第1sin相検出コイル112と第1cos相検出コイル113とから構成される。第1受電コイル115は、ロータ軸の周方向に沿って電線を巻回したものであり、第1励磁コイル111は、第1受電コイル115の外周側において、周方向に沿って電線を巻回したものである。
また、第1ロータコイル114は、ロータ軸の周方向に沿って所定間隔で形成された複数のティース116にそれぞれ電線を巻回したものであり、第1検出コイル部1123は、第1ロータコイル114の外周側において、周方向に沿って所定間隔で形成された複数のティース117にそれぞれ電線を巻回したものである。
第2レゾルバ120は、第2ステータ部120sと第2ロータ部120rとから構成される。第2ステータ部120sは、ハウジング150の内壁に固定され、第2ロータ部120rは、出力シャフト12outの第2ロータ固定部159に固定される。第2ロータ部120rは、第2ステータ部120sに対して相対回転可能に設けられる。
第2ロータ部120rには、第2受電コイル125と第2ロータコイル124とが設けられる。第2ステータ部120sには、第2励磁コイル121と第2検出コイル部1223とが設けられる。第2検出コイル部1223は、第2sin相検出コイル122と第2cos相検出コイル123とから構成される。第2受電コイル125は、ロータ軸の周方向に沿って電線を巻回したものであり、第2励磁コイル121は、第2受電コイル125の外周側において、周方向に沿って電線を巻回したものである。
また、第2ロータコイル124は、ロータ軸の周方向に沿って所定間隔で形成された複数のティース126にそれぞれ電線を巻回したものであり、第2検出コイル部1223は、第2ロータコイル124の外周側において、周方向に沿って所定間隔で形成された複数のティース127にそれぞれ電線を巻回したものである。
また、レゾルバユニット100には、トーションバー12aの捩られる最大角度を規制する機構として、延長スリーブ151の外周面に設けたストッパ161と、出力シャフト12outの円筒部154の内周面に設けたストッパ162とを備えている。ストッパ161とストッパ162とが当接することによりトーションバー12aの捩られる最大角度が機械的に制限されている。本実施形態においては、トーションバー12aを捩ることのできる角度範囲は、6[deg](機械角)未満に設定されている。
次に、レゾルバユニット100の電気回路について説明する。図4は、レゾルバユニット100の概略電気回路構成を表す。尚、図中において、第1受電コイル115、第2受電コイル125については記載を省略している。第1レゾルバ110においては、励磁用交流電圧信号がアシストECU50から第1励磁コイル111に供給される。これにより、第1受電コイル115は、第1励磁コイル111との間の電磁誘導により、第1励磁コイル111と非接触にて電気的に接続され通電される。第1ロータコイル114は、第1受電コイル115と電気的に接続されているために、第1受電コイル115と同様に交流電流が流れる。従って、第1ロータコイル114の外周側に設けられた第1検出コイル部1123(第1sin相検出コイル112と第1cos相検出コイル113)は、第1ロータコイル114で発生する磁束により交流電圧信号を出力する。
第1sin相検出コイル112と第1cos相検出コイル113とは、互いに電気角がπ/2ずれる位置に配置される。そして、第1sin相検出コイル112および第1cos相検出コイル113で発生する交流電圧信号の振幅値は、第1ロータコイル114に対する第1sin相検出コイル112および第1cos相検出コイル113の回転位置に応じて変化する。つまり、第1sin相検出コイル112は、入力シャフト12inの回転角(電気角)のsin値に応じた振幅となる交流電圧信号を出力し、第1cos相検出コイル113は、入力シャフト12inの回転角(電気角)のcos値に応じた振幅となる交流電圧信号を出力する。尚、本実施形態における第1レゾルバ110および第2レゾルバ120は、ロータの機械的な回転角に対して電気角がN倍(軸倍角=N)となるような多極構造となっている。
第1励磁コイル111の一端は、第1励磁ライン210を介してアシストECU50の第1励磁信号出力ポート50pe1に接続されている。また、第1sin相検出コイル112の一端は、第1sin相検出ライン212を介してアシストECU50の第1sin相信号入力ポート50ps1に接続されている。また、第1cos相検出コイル113の一端は、第1cos相検出ライン213を介してアシストECU50の第1cos相信号入力ポート50pc1に接続されている。図中において、符号100pe1は、レゾルバユニット100の第1励磁信号入力ポートであり、符号100ps1は第1sin相信号出力ポートであり、符号100pc1は第1cos相信号出力ポートである。従って、ワイヤハーネスとなる部分は、第1励磁信号出力ポート50pe1と第1励磁信号入力ポート100pe1との間の第1励磁ライン210、第1sin相信号出力ポート100ps1と第1sin相信号入力ポート50ps1との間の第1sin相検出ライン212、第1cos相信号出力ポート100pc1と第1cos相信号入力ポート50pc1との間の第1cos相検出ライン213である。
また、第1励磁コイル111の他端、第1sin相検出コイル112の他端、第1cos相検出コイル113の他端は、共通グランドライン240を介してアシストECU50のグランドポート50pgに接続される。図中において、符号100pgはレゾルバユニット100のグランドポートである。従って、グランドポート50pgとグランドポート100pgとの間の共通グランドライン240がワイヤハーネス部分となる。
第2レゾルバ120においては、励磁用交流電圧信号がアシストECU50から第2励磁コイル121に供給される。これにより、第2受電コイル125は、第2励磁コイル121との間の電磁誘導により、第2励磁コイル121と非接触にて電気的に接続され通電される。第2ロータコイル124は、第2受電コイル125と電気的に接続されているために、第2受電コイル125と同様に交流電流が流れる。従って、第2ロータコイル124の外周側に設けられた第2検出コイル部1223(第2sin相検出コイル122と第2cos相検出コイル123)は、第2ロータコイル124で発生する磁束により交流電圧信号を出力する。
第2sin相検出コイル122と第2cos相検出コイル123とは、互いに電気角がπ/2ずれる位置に配置される。そして、第2sin相検出コイル122および第2cos相検出コイル123で発生する交流電圧信号の振幅値は、第2ロータコイル124に対する第2sin相検出コイル122および第2cos相検出コイル123の回転位置に応じて変化する。つまり、第2sin相検出コイル122は、出力シャフト12outの回転角(電気角)のsin値に応じた振幅となる交流電圧信号を出力し、第2cos相検出コイル123は、出力シャフト12outの回転角(電気角)のcos値に応じた振幅となる交流電圧信号を出力する。
第2励磁コイル121の一端は、第2励磁ライン220を介してアシストECU50の第2励磁信号出力ポート50pe2に接続されている。また、第2sin相検出コイル122の一端は、第2sin相検出ライン222を介してアシストECU50の第2sin相信号入力ポート50ps2に接続されている。また、第2cos相検出コイル123の一端は、第2cos相検出ライン223を介してアシストECU50の第2cos相信号入力ポート50pc2に接続されている。図中において、符号100pe2はレゾルバユニット100の第2励磁信号入力ポートであり、符号100ps2は第2sin相信号出力ポートであり、符号100pc2は第2cos相信号出力ポートである。従って、ワイヤハーネスとなる部分は、第2励磁信号出力ポート50pe2と第2励磁信号入力ポート100pe2との間の第2励磁ライン220、第2sin相信号出力ポート100ps2と第2sin相信号入力ポート50ps2との間の第2sin相検出ライン222、第2cos相信号出力ポート100pc2と第2cos相信号入力ポート50pc2との間の第2cos相検出ライン223である。
また、第2励磁コイル121の他端、第2sin相検出コイル122の他端、第2cos相検出コイル123の他端は、共通グランドライン240を介してアシストECU50のグランドポート50pgに接続される。
アシストECU50は、コイル駆動回路52を備えている。このコイル駆動回路52は、第1励磁コイル駆動回路521と第2励磁コイル駆動回路522とから構成されている。第1励磁コイル駆動回路521は、一定の周期、振幅の励磁用交流電圧を第1励磁信号出力ポート50pe1から出力する。以下、第1励磁信号出力ポート50pe1から出力される励磁用交流電圧を第1励磁信号と呼び、第1励磁信号の電圧値を第1励磁電圧Vと呼ぶ。第1励磁電圧Vは、振幅をEとすると、次式にて表される。
=E・sin(ωt)
また、第2励磁コイル駆動回路522は、第1励磁コイル駆動回路521から出力される励磁用交流電圧と同じ周波数、かつ、互いに同位相となるように設定された励磁用交流電圧を第2励磁信号出力ポート50pe2から出力する。以下、第2励磁信号出力ポート50pe2から出力される励磁用交流電圧を第2励磁信号と呼び、第2励磁信号の電圧値を第2励磁電圧Vと呼ぶ。第2励磁電圧Vは、振幅をEとすると、次式にて表される。
=E・sin(ωt) ・・・(2)
尚、第1励磁電圧Vおよび第2励磁電圧Vの振幅E,Eは、第1レゾルバ110,第2レゾルバ120の特性に合わせて設定される。また、第1励磁コイル駆動回路521と第2励磁コイル駆動回路522とを共通にして、一つの励磁コイル駆動回路(例えば、第1励磁コイル駆動回路521)から励磁信号をレゾルバユニット100に供給するようにしてもよい。この場合には、第1励磁ライン210と第2励磁ライン220とを1本にすることができる。
第1励磁信号により第1レゾルバ110の第1励磁コイル111が励磁されると、第1sin相検出コイル112および第1cos相検出コイル113で交流電圧が発生する。また、第2励磁信号により第2レゾルバ120の第2励磁コイル121が励磁されると、第2sin相検出コイル122および第2cos相検出コイル123で交流電圧が発生する。
第1sin相検出コイル112から出力される交流電圧信号を第1sin相検出信号と呼び、その電圧値を第1sin相検出電圧Es1と呼ぶ。また、第1cos相検出コイル113から出力される交流電圧信号を第1cos相検出信号と呼び、その電圧値を第1cos相検出電圧Ec1と呼ぶ。第1sin相検出電圧Es1、および、第1cos相検出電圧Ec1は次式にて表される。
Es1=K・E・sin(N・θ)・sin(ωt+α) ・・・(3)
Ec1=K・E・cos(N・θ)・sin(ωt+α) ・・・(4)
また、第2sin相検出コイル122から出力される交流電圧信号を第2sin相検出信号と呼び、その電圧値を第2sin相検出電圧Es2と呼ぶ。また、第2cos相検出コイル123から出力される交流電圧信号を第2cos相検出信号と呼び、その電圧値を第2cos相検出電圧Ec2と呼ぶ。第2sin相検出電圧Es2、および、第2cos相検出電圧Ec2は次式にて表される。
Es2=K・E・sin(N・θ)・sin(ωt+α) ・・・(5)
Ec2=K・E・cos(N・θ)・sin(ωt+α) ・・・(6)
ここで、θは第1レゾルバ110の第1ステータ部110sに対する第1ロータ部110rの角度、θは第2レゾルバ120の第2ステータ部120sに対する第2ロータ部120rの角度、Kは第1レゾルバ110の変圧比、Kは第2レゾルバ120の変圧比、Nは第1レゾルバ110および第2レゾルバ120の軸倍角、αは励磁信号に対する位相遅れ量(入出力位相差)、ωは励磁周波数、tは時間を表す。
尚、従来のレゾルバユニットは、操舵ハンドル11が中立となる状態(操舵角がゼロでトーションバー12aが捩れていない状態:以下、ハンドル中立状態と呼ぶ))において、角度θ,θがゼロになるように、ロータ部とステータ部との位置関係が設定されて組み付けられているが、本実施形態においては、後述する理由により、ハンドル中立状態となるときに、角度θ,θ(機械角)が(45°+90°×K)/Nとなるようにロータ部110r,120rとステータ部110s,120sとの位置関係が設定されて組み付けられている。ここで、Kは、任意の整数である。従って、操舵ハンドル11が中立状態となるときには、各レゾルバ110,120の電気角は、(45°+90°×K)となる。(K=0,1,2,3)
アシストECU50は、第1sin相検出信号,第1cos相検出信号,第2sin相検出信号,第2cos相検出信号を、それぞれ第1sin相検出ライン212,第1cos相検出ライン213,第2sin相検出ライン222,第2cos相検出ライン223を介して入力する。アシストECU50は、第1sin相検出信号,第1cos相検出信号,第2sin相検出信号,第2cos相検出信号をアンプ51s1,51c1,51s2,51c2に入力してグランド電位に対する各検出信号の電圧を増幅し、増幅した電圧信号を図示しないA/D変換器によりデジタル値に変換し、このデジタル値をマイコンに入力してトルク計算処理を行う。
アシストECU50におけるトルク演算部32は、第1sin相検出信号,第1cos相検出信号,第2sin相検出信号,第2cos相検出信号を増幅しデジタル信号に変換してマイコンに入力する回路と、コイル駆動回路52と、マイコンによりトルク計算処理を行う機能部とから構成される。
次に、操舵トルクを計算する方法について説明する。まず、第1レゾルバ110,第2レゾルバ120のロータの角度θ,θを検出する方法から説明する。どちらも、同様の方法で計算するため、ここでは、第1レゾルバ110の第1回転角θの検出方法を例にとり説明する。
第1sin相検出信号の振幅は、(3)式から、K・E・sin(N・θ)で表される。また、第1cos相検出信号の振幅は、(4)式から、K・E・cos(N・θ)で表される。ここで、第1sin相検出信号の振幅をAs1とする(As1=K・E・sin(N・θ))。また、第1cos相検出信号の振幅をAc1とする(Ac1=K・E・sin(N・θ))。アシストECU50のトルク演算部32は、第1sin相検出信号、第1cos相検出信号の電圧値を、第1励磁信号の周期に比べて短い周期でサンプリングする。例えば、第1励磁信号の1周期に対して、等時間間隔で4回、それぞれの検出信号の電圧値をサンプリングする。サンプリングした電圧値は、離散値であるため、最小二乗法を用いて、次式(7),(8)により振幅As1,Ac1を計算することができる。
Figure 0005482680
ここで、fi,tiは、それぞれサンプリングされた値と時間(サンプリング周期)の離散値である。
従って、この2つの式の計算値から次式(9)を計算することができる。
Figure 0005482680
こうして、第1回転角θは、次式(10)により計算することができる。
Figure 0005482680
同様にして、第2レゾルバ120の第2回転角θは、次式(11)により計算することができる。
Figure 0005482680
ここで、As2は第2sin相検出信号の振幅(As2=K・E・sin(N・θ))であり、Ac2は第2cos相検出信号の振幅(Ac2=K・E・cos(N・θ))である。
こうして第1回転角θと第2回転角θが求められると、次式(12)により操舵トルクTrを計算することができる。
Tr=Kb・(θ−θ) ・・・(12)
ここで、Kbは、トーションバー12aの捩り特性に応じて決まる比例定数(バネ定数)であり、予め記憶部33に記憶されている。
次に、各レゾルバ110,120において、sin相あるいはcos相のコイルの何れかに異常が発生したときの回転角θ(θ)の検出方法について説明する。まず、第1レゾルバ110のsin相に異常が生じた場合(第1sin相検出信号が正常に検出できない場合)を例にとり説明する。尚、コイルの異常とは、コイル112,113,122,123そのものの異常だけでなく、第1sin相検出ライン212,第1cos相検出ライン213,第2sin相検出ライン222,第2cos相検出ライン223の断線等、正常にsin相検出信号あるいはcos相検出信号がアシストECU50に入力されない状態をいう。
上述したように第1回転角θは、第1sin相検出信号の振幅As1と第1cos相検出信号の振幅Ac1から上記式(10)により計算により求められる。このため、振幅As1が検出できない場合には、上記式(10)を用いて計算できない。この場合には、異常が検出されていない相のコイル(ここでは、第1cos相検出コイル113)の出力する検出信号の振幅から回転角θを計算する。
上述したように、第1sin相検出信号の振幅As1は、As1=K・E・sin(N・θ)で表され、第1cos相検出信号の振幅Ac1は、Ac1=K・E・cos(N・θ)で表される。従って、次式(13),(14)の関係式が得られる。
Figure 0005482680
ここで、K・Eの値は、レゾルバユニット100の正常時において予め測定して記憶しておくことができる。K・Eと振幅As1,Ac1の関係は、図15(a)に示すものとなる。従って、この2つの式から次式(15)が得られ、次式(16)に示す第1回転角θの計算式が得られる。
Figure 0005482680
同様にして、第1レゾルバ110のcos相に異常が生じた場合には、第1sin相検出信号の振幅As1から次式(17)に示す回転角θの計算式が得られる。
Figure 0005482680
また、第2レゾルバ120における片側相のコイル異常時においても同様に考える事ができる。sin相に異常が生じた場合には、第2cos相検出信号の振幅Ac2から次式(18)に示す回転角θの計算式が得られ、cos相に異常が生じた場合には、第2sin相検出信号の振幅As2から次式(19)に示す回転角θの計算式が得られる。
Figure 0005482680
尚、K・Eと振幅As2,Ac2の関係は、図15(b)に示すものとなる。
こうした計算式(16),(17),(18),(19)は、片側相の検出信号の振幅から回転角を求めるものであるため、2通りの解が出てしまい、一義的に回転角を導き出すことができない。そこで本実施形態においては、以下に示す第1条件と第2条件に基づいて、2通りの解からその1つを特定することができる状況が発生することに着目して、そうした状況となったときに片側相の検出信号の振幅から回転角を一義的に求める。
まず、第1条件、および、第1条件に基づいて決まる片側相の検出信号の振幅から回転角を一義的に算出することのできる状況(以下、第1条件下算出可能状況と呼ぶ)について説明する。
ステアリングシャフト12に設けられているトーションバー12aは、操舵操作により捩られるが、レゾルバユニット100に設けたストッパ161,162により、その捩られる角度には限界があり、例えば、6[deg](機械角)未満となっている。つまり、第1レゾルバ110のロータの角度である第1回転角θと、第2レゾルバ120のロータの角度である第2回転角θとの差が常に6[deg]未満となる。これをレゾルバの電気角で表すと、レゾルバの軸倍角Nを8(N=8)とした場合には、次式(20)のように、第1レゾルバ110の電気角θe(=N・θ)と第2レゾルバ120の電気角θe(=N・θ)との差は48[deg]未満となる。
|θe−θe|<48° ・・・(20)
このように第1回転角θと第2回転角θとが常に所定角度差未満になるという条件が第1条件である。尚、式中においては、[deg]を[°]で表すことにする。
cos相の振幅Ac1のみから電気角θeが一義的に決まるのは、次式(21),(22)に示すように、電気角θeが0°〜180°までの範囲であること、あるいは、180°〜360°までの範囲であることが予めわかっている場合である。
0°<θe<180° ・・・(21)
180<θe<360° ・・・(22)
従って、第1条件(式(20))から、正常側の第2レゾルバ120の電気角θeが次式(23),(24)の範囲であれば、cos相の振幅Ac1のみから電気角θeが一義的に決まる。
0°+48°<θe<180°−48° ・・・(23)
180+48°<θe<360―48° ・・・(24)
これを整理すると、次式(25),(26)が得られる。
48°<θe<132° ・・・(25)
228°<θe<312° ・・・(26)
従って、第1レゾルバ110のsin相に異常が生じた場合に、正常側の第2レゾルバ120の電気角θeが式(25),(26)で表される範囲に入っているという状況が第1条件下算出可能状況となる。
同様にして、第1レゾルバ110のcos相に異常が生じて、sin相の振幅As1のみしかわからない場合であっても、以下の状況となる場合には、振幅As1のみから第1回転角θを演算することができる。
sin相の振幅As1のみから電気角θeが一義的に決まるのは、次式(27),(28)に示すように、電気角θeが−90°〜90°までの範囲であること、あるいは、90°〜270°までの範囲であることが予めわかっている場合である。
―90°<θe<90° ・・・(27)
90<θe<270° ・・・(28)
従って、第1条件(式(20))から、正常側の第2レゾルバ120の電気角θeが次式(29),(30)の範囲であれば、sin相の振幅As1のみから電気角θeが一義的に決まる。
―90°+48°<θe<90°−48° ・・・(29)
90+48°<θe<270―48° ・・・(30)
これを整理すると、次式(31),(32)が得られる。
―42°<θe<42° ・・・(31)
138°<θe<222° ・・・(32)
尚、電気角を0°〜360°のあいだの値で示すと、次式(33),(34),(35)にて表すことができる。
0°<θe<42° ・・・(33)
138°<θe<222° ・・・(34)
318°<θe<360° ・・・(35)
従って、第1レゾルバ110のcos相に異常が生じた場合に、正常側の第2レゾルバ120の電気角θeが式(33)〜(35)で表される範囲に入っているという状況も第1条件下算出可能状況となる。
以下、式(25),(26)で表される範囲、および、式(33)〜(35)で表される範囲を第1条件下算出可能範囲と呼ぶ。
同様にして、第2レゾルバ120のsin相あるいはcos相のコイルの何れかに異常が発生した場合についても、正常側の第1レゾルバ110の電気角θeに基づいて、電気角θeが予め設定した角度範囲(式(25)、(26)、(33)〜(35)においてθeをθeに置き換えた範囲)に入る場合には、第1条件下算出可能状況となるため、振幅As2あるいは振幅Ac2のみから第2回転角θを演算することができる。
図5(a)は、sin相に異常が発生したときの第1条件下算出可能範囲(正常側レゾルバの電気角)を表し、図5(b)は、cos相に異常が発生したときの第1条件下算出可能状況(正常側レゾルバの電気角)を表す。図中において、矢印で示した範囲が第1条件下算出可能範囲であり、塗りつぶした範囲が回転角の一義的に決まらない範囲である。この図から分かるように、第1条件から設定される第1条件下算出可能範囲は、全体の半分程度であり、余り広くない。
そこで、本実施形態においては、さらに第2条件に基づいて、片側相の検出信号の振幅から回転角を一義的に算出することのできる状況(以下、第2条件下算出可能状況と呼ぶ)を設定する。以下、第2条件、および、第2条件下算出可能状況について説明する。
アシストECU50のトルク演算部32は、後述する操舵トルク検出ルーチン(図7)を一定の短い周期で繰り返して実行する。そして、この操舵トルク検出ルーチンにおいては、その演算周期で第1回転角θと第2回転角θとがそれぞれ繰り返し計算される。一方、操舵ハンドル11を回転操作する速度には限界があるため、第1回転角θ,第2回転角θが一演算周期のあいだに変化する回転角の変化量、つまり、回転角変化量は所定変化量以内となる。以下、この所定変化量である、回転角変化量の想定される最大値を最大変化量と呼ぶ。また、第1回転角θと第2回転角θとを区別しない場合には、それらの回転角を回転角θと呼び、その回転角θを電気角に換算した角度を電気角θeと呼ぶ。また、第1レゾルバ110と第2レゾルバ120とを区別しない場合には、それらを単にレゾルバと呼ぶ。
最大変化量を電気角で表した値をΔθemaxとすると、最大変化量Δθemaxは、次式(36)にて表すことができる。
Δθemax=N・(360/2π)・ωmax・Tc ・・・(36)
ここで、Nはレゾルバの軸倍角、ωmaxは操舵ハンドル11の回転速度(以下、操舵速度と呼ぶ)の想定される最大値、Tcはトルク演算部32が第1回転角θと第2回転角θとを計算する演算周期である。例えば、N=8、Tc=200[μs]、ωmax=10[rad/s]とすると、最大変化量Δθemaxは、約0.92[deg]となる。
このように、一演算周期の間に電気角θeが変化する回転角変化量Δθeが最大変化量Δθemax未満になるという条件が第2条件である。この第2条件を用いると、異常側レゾルバの一演算周期前に計算した電気角θe(n−1)が以下に示す範囲に入っている状況においては、次の演算周期における電気角θe(今回、計算しようとする電気角θe)を片側相の振幅から一義的に決めることができる。
ここで、sin相に異常が生じた場合の例について説明する。最大変化量Δθemaxを0.92[deg]とした場合、次式(37)に示すように、異常側レゾルバの一演算周期前に計算した電気角θe(n-1)と、今回計算される電気角θeとの差は0.92[deg]未満となる。
|θe−θe(n−1)|<0.92° ・・・(37)
cos相の振幅のみから電気角θeが一義的に決まるのは、電気角θeが0°〜180°までの範囲であること、あるいは、180°〜360°までの範囲であることが予めわかっている場合である。従って、第2条件(式(37))から、異常側レゾルバの一演算周期前に計算された電気角θe(n−1)が、次式(38),(39)に示す範囲であれば、cos相の振幅のみから電気角θeが一義的に決まる。
0°+0.92°<θe(n−1)<180°−0.92° ・・・(38)
180+0.92°<θe(n−1)<360―0.92° ・・・(39)
異常側レゾルバの電気角が一演算周期のあいだに0°あるいは180°を通過できる状況にあると、cos相の振幅からは一義的に回転角を決めることができない。これは、cos相の振幅だけでは、異常側レゾルバの電気角が、0°あるいは180°を挟んでどちら側にあるのか分からないためである。一方、異常側レゾルバの電気角が一演算周期のあいだに0°あるいは180°を通過する可能性が無い状況であれば、cos相の振幅のみから電気角θeが一義的に決まる。こうしたことから、上記の式(38),(39)が導かれる。
式(38),(39)を整理すると、次式(40),(41)が得られる。この式(40),(41)が成立する場合に、cos相の振幅のみから電気角θeが一義的に求められる。
0.92°<θe(n−1)<179.08° ・・・(40)
180.92°<θe(n−1)<359.08° ・・・(41)
従って、レゾルバのsin相に異常が生じた場合に、異常側レゾルバの一演算周期前に計算された電気角θe(n−1)が式(40),(41)で表される範囲に入っているという状況が第2条件下算出可能状況となる。
同様にして、レゾルバのcos相に異常が生じて、sin相の振幅のみしかわからない場合であっても、以下の状況となる場合には、sin相の振幅のみから異常側レゾルバの回転角を演算することができる。
sin相の振幅のみから電気角θeが一義的に決まるのは、電気角θeが−90°〜90°までの範囲であること、あるいは、90°〜270°までの範囲であることが予めわかっている場合である。従って、第2条件(式(37))から、異常側レゾルバの一演算周期前に計算された電気角θe(n−1)が、次式(42),(43)に示す範囲であれば、sin相の振幅のみから電気角θeが一義的に決まる。
−90°+0.92°<θe(n−1)<90°−0.92° ・・・(42)
90+0.92°<θe(n−1)<270―0.92° ・・・(43)
異常側レゾルバの電気角が一演算周期のあいだに90°あるいは270°を通過できる状況にあると、sin相の振幅からは一義的に回転角を決めることができない。これは、sin相の振幅だけでは、異常側レゾルバの電気角が、90°あるいは270°を挟んでどちら側にあるのか分からないためである。一方、異常側レゾルバの電気角が一演算周期のあいだに90°あるいは270°を通過する可能性が無い状況であれば、sin相の振幅のみから電気角θeが一義的に決まる。こうしたことから、上記の式(42),(43)が導かれる。
式(42),(43)を整理すると、次式(44),(45)が得られる。この式(44),(45)が成立する場合に、sin相の振幅のみから電気角θeが一義的に求められる。
−89.08°<θe(n−1)<89.08° ・・・(44)
90.92°<θe(n−1)<269.08° ・・・(45)
尚、電気角を0°〜360°のあいだの値で示すと、次式(46),(47),(48)にて表すことができる。
0°<θe(n−1)<89.08° ・・・(46)
90.92°<θe(n−1)<269.08° ・・・(47)
270.92°<θe(n−1)<360° ・・・(48)
従って、レゾルバのcos相に異常が生じた場合に、異常側レゾルバの一演算周期前に計算された電気角θe(n−1)が式(46)〜(48)で表される範囲に入っているという状況も第2条件下算出可能状況となる。
以下、式(40),(41)で表される範囲、および、式(46)〜(48)で表される範囲を第2条件下算出可能範囲と呼ぶ。
図6(a)は、sin相に異常が発生したときの第2条件下算出可能範囲(θe(n−1)の範囲)を表し、図6(b)は、cos相に異常が発生したときの第2条件下算出可能範囲(θe(n−1)の範囲)を表す。図中において、矢印で示した範囲が第2条件下算出可能範囲であり、塗りつぶした範囲が回転角の一義的に決まらない範囲である。この図から分かるように、第2条件から設定される第2条件下算出可能範囲は、非常に広い。
次に、トルク演算部32の実行する操舵トルク検出処理について説明する。図7は、操舵トルク検出ルーチンを表すフローチャートである。操舵トルク検出ルーチンは、記憶部33に制御プログラムとして記憶されている。操舵トルク検出ルーチンは、イグニッションキーがオン状態となっている期間において、所定の短い周期で繰り返し実行される。尚、トルク演算部32は、操舵トルク検出ルーチンの起動とともに、コイル駆動回路52を作動させて、第1励磁信号出力ポート50pe1および第2励磁信号出力ポート50pe2から第1励磁信号および第2励磁信号の出力を開始する。
トルク演算部32は、ステップS11において、第1sin相検出信号,第1cos相検出信号,第2sin相検出信号,第2cos相検出信号の電圧値である第1sin相検出電圧Es1,第1cos相検出電圧Ec1,第2sin相検出電圧Es2,第2cos相検出電圧Ec2を読み込む。トルク演算部32は、操舵トルク検出ルーチンとは別のサンプリングルーチンで、励磁信号の1周期当たりに例えば4回のサンプリング周期で検出電圧Es1,Ec1,Es2,Ec2の瞬時値をサンプリングしている。このステップS11では、そのサンプリングルーチンでサンプリングした検出電圧Es1,Ec1,Es2,Ec2の読み込みを行う。続いて、ステップS12において、読み込んだ検出電圧Es1,Ec1,Es2,Ec2に基づいて、最小二乗法を用いて、第1sin相検出信号,第1cos相検出信号,第2sin相検出信号,第2cos相検出信号の振幅As1,Ac1,As2,Ac2を計算する。
続いて、トルク演算部32は、ステップS13において、検出電圧Es1,Ec1,Es2,Ec2に基づいて、コイル異常のチェックを行う。コイル異常は、レゾルバ内のコイル異常だけでなく、第1sin相検出ライン212,第1cos相検出ライン213,第2sin相検出ライン222,第2cos相検出ライン223の断線等により生じる。主に、ワイヤハーネス部の断線、コネクタ外れが原因となる。こうしたコイル異常が発生した場合には、検出電圧Es1,Ec1,Es2,Ec2が正常な範囲から外れる。例えば、検出電圧Es1,Ec1,Es2,Ec2のオフセットが生じたり、交流電圧信号が検出されなくなったりする。ステップS13は、こうした検出電圧Es1,Ec1,Es2,Ec2が正常範囲から外れているか否かに基づいて、コイル異常の有無、および、コイル異常が発生しているレゾルバ、および、その異常相を特定する。
続いて、トルク演算部32は、ステップS14において、コイル異常チェック結果に基づいて、コイル異常が発生しているか否かを判断し、コイル異常が発生していない場合には(S14:No)、ステップS15において、第1レゾルバ110の第1回転角θと第2レゾルバ120の第2回転角θを上記式(10)、(11)を用いて計算する。
続いて、トルク演算部32は、ステップS16において、上記式(12)を用いて、操舵トルクTrを計算し、次に、ステップS17において、計算した操舵トルクTrをアシスト演算部31に出力する。アシスト演算部31は、この操舵トルクTrを使って目標アシストトルクを計算し、この目標アシストトルクに対応した目標電流が電動モータ21に流れるようにモータ駆動回路40にPWM制御信号を出力する。これにより、電動モータ21から適正な操舵アシストトルクが発生する。
トルク演算部32は、ステップS17の処理を行うと、操舵トルク検出ルーチンを一旦終了する。そして、所定の短い周期にて操舵トルク検出ルーチンを繰り返す。こうした処理が繰り返されて、ステップS13において、コイル異常が検出されると、ステップS14の判断は「Yes」となる。この場合、トルク演算部32は、その処理をステップS18に進めて、車両の警告ランプ65を点灯させる。これにより、ドライバーに対して異常が生じていることを認識させることができる。尚、ドライバーに異常報知する手段は、警告ランプ65に限らず、異常メッセージをスピーカや表示画面等を使って報知するようにしてもよい。
続いて、トルク演算部32は、ステップS19において、コイル異常が1つ(1相)であるか否かを判断する。コイル異常が複数である場合には、操舵トルクTrを検出することができないため、ステップS20において、アシスト演算部31に対して、トルク検出不能信号を出力する。これにより、アシスト演算部31は、操舵アシスト制御を停止する。
一方、コイル異常が1つである場合(S19:Yes)には、ステップS21において、コイル異常が発生しているのは第1レゾルバ110であるか否かを判断する。第1レゾルバ110である場合には、ステップS22において、第2レゾルバ120の第2回転角θを上記式(11)を用いて計算する。
続いて、トルク演算部32は、ステップS30において、第1レゾルバ110の第1回転角θを演算する。この処理については、図9のフローチャートを使って後述する。ステップS30において、第1レゾルバ110の第1回転角θが算出されると、この第1回転角θとステップS22で算出した第2回転角θとに基づいて操舵トルクTrを計算し(S16)、その操舵トルクTrをアシスト演算部31に出力する(S17)。
また、ステップS21において、コイル異常が発生しているのは第1レゾルバ110ではない、つまり、第2レゾルバ120でコイル異常が発生していると判断した場合には、ステップS23において、第1レゾルバ110の第1回転角θを上記式(10)を用いて計算する。
続いて、トルク演算部32は、ステップS40において、第2レゾルバ110の第2回転角θを演算する。この処理については、図8のフローチャートを使って後述する。ステップS40において、第2レゾルバ120の第2回転角θが算出されると、この第2回転角θとステップS23で算出した第1回転角θとに基づいて操舵トルクTrを計算し(S16)、その操舵トルクTrをアシスト演算部31に出力する(S17)。
尚、トルク演算部32は、ステップS15,S30,S40で第1回転角θおよび第2回転角θを計算するたびに、その回転角θ,θに対応した電気角θe,θeを、一演算周期前の電気角θe1(n−1),θe2(n−1)として記憶部33に記憶更新する。この記憶部33に記憶された電気角θe1(n−1),θe2(n−1)は、後述する第2条件下算出可能状況の判定に利用される。
次に、ステップS40の第2レゾルバ120の第2回転角θの計算処理について説明する。図8は、上記操舵トルク検出ルーチンにおいてステップS40として組み込まれた第2回転角計算ルーチン(サブルーチン)を表すフローチャートである。
第2回転角計算ルーチンが起動すると、トルク演算部32は、まず、ステップS41において、第2レゾルバ120のコイル異常はsin相で発生しているのか否かを判断する。コイル異常がsin相で発生している場合には、ステップS42において、アシスト演算部31に対して、sin相フェイル信号Failsを出力する。一方、コイル異常がcos相で発生している場合には、ステップS47において、アシスト演算部31に対して、cos相フェイル信号Failcを出力する。
まず、コイル異常がsin相で発生している場合の処理について説明する。トルク演算部32は、ステップS42において、sin相フェイル信号Failsを出力すると、続いて、ステップS43において、先のステップS23で算出した第1レゾルバ110の第1回転角θに対応する電気角θeが第1条件下算出可能範囲に入っているか否かを判断する。つまり、第1条件下算出可能状況にあるか否かを判断する。この第1条件下算出可能範囲は、図10(a)に矢印で示す範囲である。
このステップS43においては、電気角θeが次式(49),(50)にて表される範囲に入っているか否かについて判断される。
θes1<θe<θes2 ・・・(49)
θes3<θe<θes4 ・・・(50)
この第1条件下算出可能範囲は、上述したように、第1回転角θと第2回転角θとが所定角度差未満になるという第1条件から設定されるもので、例えば、上述した例を使えば、θes1=48°,θes2=132°,θes3=228°,θes4=312°である。この所定角度差は、電気角で示すと(θes1−0°)[deg]で表される角度である。
トルク演算部32は、電気角θeが第1条件下算出可能範囲に入っていると判定した場合(S43:Yes)には、ステップS44において、上記式(18)を用いて第2回転角θを計算する。この場合、第2回転角θは、2通りの解が存在するが、上記の第1条件を満たす解を選択する。つまり、第1回転角θとの差が所定角度差未満(上記の例では6[deg])となる第2回転角θを選択する。
トルク演算部32は、こうして第2レゾルバ120の第2回転角θを算出すると、その処理をメインルーチンである操舵トルク検出ルーチンのステップS16に進める。
トルク演算部32は、ステップS43において、「No」と判定した場合、つまり、電気角θeが第1条件下算出可能範囲に入っていないと判定した場合には、その処理をステップS45に進める。このステップS45においては、一演算周期前に算出した第2回転角θ2(n−1)に対応する電気角θe2(n−1)が第2条件下算出可能範囲に入っているか否かを判断する。つまり、第2条件下算出可能状況にあるか否かを判断する。この第2条件下算出可能範囲は、図11(a)に矢印で示す範囲である。
このステップS45においては、電気角θe2(n−1)が次式(51),(52)にて表される範囲に入っているか否かについて判断される。
θesa<θe2(n−1)<θesb ・・・(51)
θesc<θe2(n−1)<θesd ・・・(52)
この第2条件下算出可能範囲は、上述したように、一演算周期の間に電気角θeが変化できる回転角変化量Δθeが最大変化量Δθemax未満になるという第2条件から設定されるもので、例えば、上述した例を使えば、θesa=0.92°,θesb=179.08°,θesc=180.92°,θesd=359.08°である。この最大変化量Δθemaxは、電気角で示すと(θesa−0°)[deg]で表される角度である。
トルク演算部32は、電気角θe2(n−1)が第2条件下算出可能範囲に入っていると判定した場合(S45:Yes)には、ステップS44において、上記式(18)を用いて第2回転角θを計算する。この場合、第2回転角θにおいても、2通りの解が存在するが、上記の第2条件を満たす解を選択する。つまり、一演算周期前に算出した第2回転角θ2(n−1)に対応する電気角θe2(n−1)との差が最大変化量Δθemax未満となる第2回転角θを選択する。
トルク演算部32は、こうして第2レゾルバ120の第2回転角θを算出すると、その処理をメインルーチンである操舵トルク検出ルーチンのステップS16に進める。
一方、ステップS45において、「No」と判定した場合、つまり、第2条件下算出可能状況ではないと判定した場合には、トルク演算部32は、その処理をステップS46に進める。このステップS46においては、一演算周期前の操舵トルク検出ルーチンで計算した操舵トルクTr(n-1)を、今回の操舵トルクTrに設定し、その操舵トルクTrをアシスト演算部31に出力する(S17)。
また、ステップS41において、「No」、つまり、第2レゾルバ120のコイル異常がcos相で発生していると判定した場合には、ステップS47において、cos相フェイル信号Failcを出力した後、ステップS48において、先のステップS23で算出した第1レゾルバ110の第1回転角θに対応する電気角θeが第1条件下算出可能範囲に入っているか否かを判断する。つまり、第1条件下算出可能状況にあるか否かを判断する。この第1条件下算出可能範囲は、図10(b)に矢印で示す範囲である。
このステップS48においては、電気角θeが次式(53),(54),(55)にて表される範囲に入っているか否かについて判断される。
0°<θe<θec1 ・・・(53)
θec2<θe<θec3 ・・・(54)
θec4<θe<360° ・・・(55)
この第1条件下算出可能範囲は、上述したように、第1回転角θと第2回転角θとが所定角度差未満になるという第1条件から設定されるもので、例えば、上述した例を使えば、θec1=42°,θec2=138°,θes4=222°,θec4=318°である。この所定角度差は、電気角で示すと、例えば、(90°−θec1)[deg]で表される角度である。
トルク演算部32は、電気角θeが第1条件下算出可能範囲に入っていると判定した場合(S48:Yes)には、ステップS49において、上記式(19)を用いて第2回転角θを計算する。この場合、第2回転角θは、2通りの解が存在するが、上記の第1条件を満たす解を選択する。つまり、第1回転角θとの差が所定角度差未満(上記の例では6[deg])となる第2回転角θを選択する。
トルク演算部32は、こうして第2レゾルバ120の第2回転角θを算出すると、その処理をメインルーチンである操舵トルク検出ルーチンのステップS16に進める。
トルク演算部32は、ステップS48において、「No」と判定した場合、つまり、電気角θeが第1条件下算出可能範囲に入っていないと判定した場合には、その処理をステップS50に進める。このステップS50においては、一演算周期前に算出した第2回転角θ2(n−1)に対応する電気角θe2(n−1)が第2条件下算出可能範囲に入っているか否かを判断する。つまり、第2条件下算出可能状況にあるか否かを判断する。この第2条件下算出可能範囲は、図11(b)に矢印で示す範囲である。
このステップS50においては、電気角θe2(n−1)が次式(56),(57),(58)にて表される範囲に入っているか否かについて判断される。
0°<θe2(n−1)<θeca ・・・(56)
θecb<θe2(n−1)<θecc ・・・(57)
θecd<θe2(n−1)<360° ・・・(58)
この第2条件下算出可能範囲は、上述したように、一演算周期の間に電気角θeが変化できる回転角変化量Δθeが最大変化量Δθemax未満になるという第2条件から設定されるもので、例えば、上述した例を使えば、θeca=89.08°,θecb=90.92°,θecc=269.08°,θecd=270.92°である。この最大変化量Δθemaxは、電気角で示すと、例えば、(90°−θeca)[deg]で表される角度である。
トルク演算部32は、電気角θe2(n−1)が第2条件下算出可能範囲に入っていると判定した場合(S50:Yes)には、ステップS49において、上記式(19)を用いて第2回転角θを計算する。この場合、第2回転角θは、2通りの解が存在するが、上記の第2条件を満たす解を選択する。つまり、一演算周期前に算出した第2回転角θ2(n−1)に対応する電気角θe2(n−1)との差が最大変化量Δθemax未満となる第2回転角θを選択する。
トルク演算部32は、こうして第2レゾルバ120の第2回転角θを算出すると、その処理をメインルーチンである操舵トルク検出ルーチンのステップS16に進める。
一方、ステップS50において、「No」と判定した場合、つまり、第2条件下算出可能状況ではないと判定した場合には、トルク演算部32は、その処理を上述のステップS46に進める。
次に、ステップS30の第1レゾルバ110の第1回転角θの計算処理について説明する。図9は、上記操舵トルク検出ルーチンにおいてステップS30として組み込まれた第1回転角計算ルーチン(サブルーチン)を表すフローチャートである。尚、第1回転角計算ルーチンは、上述した第2回転角計算ルーチン同様に考えればよいが、上述したステップS42,S47に相当する処理は行われない。
第1回転角計算ルーチンが起動すると、トルク演算部32は、まず、ステップS31において、第1レゾルバ110のコイル異常はsin相で発生しているのか否かを判断する。コイル異常がsin相で発生している場合には、ステップS32において、先のステップS22で算出した第2レゾルバ120の第2回転角θに対応する電気角θeが第1条件下算出可能範囲に入っているか否かを判断する。つまり、第1条件下算出可能状況にあるか否かを判断する。この第1条件下算出可能範囲は、図10(a)に矢印で示す範囲である。
このステップS32においては、電気角θeが次式(59),(60)にて表される範囲に入っているか否かについて判断される。
θes1<θe<θes2 ・・・(59)
θes3<θe<θes4 ・・・(60)
トルク演算部32は、電気角θeが第1条件下算出可能範囲に入っていると判定した場合(S32:Yes)には、ステップS33において、上記式(16)を用いて第1回転角θを計算する。この場合、第1回転角θは、2通りの解が存在するが、上記の第1条件を満たす解を選択する。
トルク演算部32は、電気角θeが第1条件下算出可能範囲に入っていないと判定した場合には(S32:No)、ステップS34において、一演算周期前に算出した第1回転角θ1(n−1)に対応する電気角θe1(n−1)が第2条件下算出可能範囲に入っているか否かを判断する。つまり、第2条件下算出可能状況にあるか否かを判断する。この第2条件下算出可能範囲は、図11(a)に矢印で示す範囲である。
このステップS34においては、電気角θe1(n−1)が次式(61),(62)にて表される範囲に入っているか否かについて判断される。
θesa<θe1(n−1)<θesb ・・・(61)
θesc<θe1(n−1)<θesd ・・・(62)
トルク演算部32は、電気角θe1(n−1)が第2条件下算出可能範囲に入っていると判定した場合(S34:Yes)には、ステップS33において、上記式(16)を用いて第1回転角θを計算する。この場合、一演算周期前に算出した第1回転角θ1(n−1)に対応する電気角θe1(n−1)との差が最大変化量Δθemax未満となる第1回転角θを選択する。
トルク演算部32は、こうして第1レゾルバ110の第1回転角θを算出すると、その処理をメインルーチンである操舵トルク検出ルーチンのステップS16に進める。
一方、ステップS34において、「No」と判定した場合、つまり、第2条件下算出可能状況ではないと判定した場合には、ステップS35において、一演算周期前の操舵トルク検出ルーチンで計算した操舵トルクTr(n-1)を、今回の操舵トルクTrに設定し、その操舵トルクTrをアシスト演算部31に出力する(S17)。
また、ステップS31において、「No」、つまり、第1レゾルバ110のコイル異常がcos相で発生していると判定した場合には、ステップS36において、先のステップS22で算出した第2レゾルバ120の第2回転角θに対応する電気角θeが第1条件下算出可能範囲に入っているか否かを判断する。つまり、第1条件下算出可能状況にあるか否かを判断する。この第1条件下算出可能範囲は、図10(b)に矢印で示す範囲である。
このステップS36においては、電気角θeが次式(63),(64),(65)にて表される範囲に入っているか否かについて判断される。
0°<θe<θec1 ・・・(63)
θec2<θe<θec3 ・・・(64)
θec4<θe<360° ・・・(65)
トルク演算部32は、電気角θeが第1条件下算出可能範囲に入っていると判定した場合(S36:Yes)には、ステップS37において、上記式(17)を用いて第1回転角θを計算する。この場合、第1回転角θとの差が所定角度差未満となる第1回転角θを選択する。
トルク演算部32は、こうして第1レゾルバ110の第1回転角θを算出すると、その処理をメインルーチンである操舵トルク検出ルーチンのステップS16に進める。
トルク演算部32は、ステップS36において、「No」と判定した場合、つまり、電気角θeが第1条件下算出可能範囲に入っていないと判定した場合には、ステップS38において、一演算周期前に算出した第1回転角θ1(n−1)に対応する電気角θe1(n−1)が第2条件下算出可能範囲に入っているか否かを判断する。つまり、第2条件下算出可能状況にあるか否かを判断する。この第2条件下算出可能範囲は、図11(b)に矢印で示す範囲である。
このステップS38においては、電気角θe1(n−1)が次式(66),(67),(68)にて表される範囲に入っているか否かについて判断される。
0°<θe1(n−1)<θeca ・・・(66)
θecb<θe1(n−1)<θecc ・・・(67)
θecd<θe1(n−1)<360° ・・・(68)
トルク演算部32は、電気角θe1(n−1)が第2条件下算出可能範囲に入っていると判定した場合(S38:Yes)には、ステップS37において、上記式(17)を用いて第1回転角θを計算する。この場合、第1回転角θは、2通りの解が存在するが、一演算周期前に算出した第2回転角θ1(n−1)に対応する電気角θe1(n−1)との差が最大変化量Δθemax未満となる第1回転角θを選択する。
トルク演算部32は、こうして第1レゾルバ110の第1回転角θを算出すると、その処理をメインルーチンである操舵トルク検出ルーチンのステップS16に進める。
一方、ステップS38において、「No」と判定した場合、つまり、第2条件下算出可能状況ではないと判定した場合には、トルク演算部32は、その処理を上述のステップS35に進める。
このように、トルク検出ルーチンにおいては、第1条件(捩れ角度上限)から導き出した第1条件下算出可能状況だけでなく、第2条件(回転角変化量上限)から導き出した第2条件下算出可能状況となる場合にも、正常側相の検出信号の振幅に基づいて回転角を算出する。従って、片側相にコイル異常が発生した場合でも、正常側相の検出信号の振幅から一義的に回転角を算出できる範囲が非常に広くなり、操舵トルクを検出できる期間が長くなる。
ところで、若干ではあるが、回転角を算出できない範囲が存在する。つまり、sin相異常であれば図11(a)の塗りつぶした範囲に入ってしまう場合、cos相異常であれば図11(b)の塗りつぶした範囲に入ってしまう場合には、回転角θ,θを算出することができない。この塗りつぶした範囲が本発明の回転角不確定領域に相当する。
そこで、本実施形態においては、第2レゾルバ120の電気角θeが第2条件下算出不能範囲(図11の塗りつぶした範囲:回転角不確定領域)に留まらないように電動モータ21を駆動することにより、第2レゾルバ120に異常が発生した場合での回転角を検出できなくなる状況を低減する。そのために、アシスト演算部31は、かさ上げ電流設定部310を備え、トルク演算部32からsin相フェイル信号Failsあるいはcos相フェイル信号Failcが出力されている状況において、第2レゾルバ120の電気角θeが第2条件下算出不能範囲に入るときに電動モータ21のq軸指令電流Iq*を増加させる。
かさ上げ電流設定部310は、その機能に着目すると、図2に示すように、かさ上げ基本電流設定部311と、モータ回転速度演算部312と、ゲイン設定部313と、かさ上げ目標電流演算部314と、q軸指令電流補正部315とを備えている。これらの機能部は、アシストECU50のマイクロコンピュータのプログラム制御により実現されるものである。
かさ上げ基本電流設定部311は、sin相異常時かさ上げ電流マップあるいはcos相異常時かさ上げ電流マップを参照して、かさ上げ基本電流Iqupoを設定する。sin相異常時かさ上げ電流マップとcos相異常時かさ上げ電流マップは、予め記憶部33に記憶されている。sin相異常時かさ上げ電流マップは、図13(a)に示すように、第2レゾルバ120のsin相異常が発生した場合における、電動モータ21の電気角θmeに対応付けてq軸指令電流Iq*を所定量増加させるためのかさ上げ基本電流Iqupoを設定したものである。
このsin相異常時かさ上げ電流マップでは、第2レゾルバ120の電気角θeが図11(a)に塗りつぶして示した第2条件下算出不能範囲(θesd〜θesa、θesb〜θesc)に対応した電動モータ21の電気角θmeの範囲(θmesd〜θmesa、θmesb〜θmesc)において、かさ上げ基本電流Iqupoが予め設定されたIqoに設定される。また、第2レゾルバ120の電気角θeが図11(a)に矢印で示した第2条件下算出可能範囲(θesa〜θesb、θesc〜θesd)に対応した電動モータ21の電気角θmeの範囲(0〜θmesd、θmesa〜θmesb、θmesc〜・・・)において、かさ上げ基本電流Iqupoがゼロ(Iqupo=0)に設定される。
同様に、cos相異常時かさ上げ電流マップは、図13(b)に示すように、第2レゾルバ120のcos相異常が発生した場合における、電動モータ21の電気角θmeに対応付けてq軸指令電流Iq*を所定量増加させるためのかさ上げ基本電流Iqupoを設定したものである。このcos相異常時かさ上げ電流マップでは、第2レゾルバ120の電気角θeが図11(b)に塗りつぶして示した第2条件下算出不能範囲(θeca〜θecb、θecc〜θecd)に対応した電動モータ21の電気角θmeの範囲(θmeca〜θmecb、θmecc〜θmecd)において、かさ上げ基本電流Iqupoが予め設定されたIqoに設定される。また、第2レゾルバ120の電気角θeが図11(b)に矢印で示した第2条件下算出可能範囲(θecd〜θeca、θecb〜θecc)に対応した電動モータ21の電気角θmeの範囲(0〜θmeca、θmecb〜θmecc、θmecd〜・・・)において、かさ上げ基本電流Iqupoはゼロ(Iqupo=0)に設定される。
尚、かさ上げ基本電流IqupoがIqoに設定される電動モータ21の電気角θmeの範囲が、本発明における不確定モータ電気角領域に相当する。従って、sin相異常時かさ上げ電流マップとcos相異常時かさ上げ電流マップを記憶する記憶部33が、本発明の不確定モータ電気角領域記憶手段に相当する。
第2レゾルバ120と電動モータ21とは、出力シャフト12out、ピニオンギヤ13、ラックバー14、ボールねじ機構22を介して捩れ不能に機械的に連結されているため、第2レゾルバ120の電気角θeと電動モータ21の電気角θmeとは一対一に対応する。つまり、第2レゾルバ120の電気角θeから電動モータ21の電気角θmeを一義的に導くことができる。従って、第2レゾルバ120における第2条件下算出不能範囲を、電動モータ21の電気角θmeの範囲(不確定モータ電気角領域)に対応付けて記憶設定しておくことができる。
この例では、一つの第2条件下算出不能範囲の大きさは、1.84deg(0.92deg×2)である。従って、例えば、モータ減速比を18.5、電動モータ21の回転角センサ61(レゾルバ)の軸倍角を7(=電動モータ21の極対数)として、一つの第2条件下算出不能範囲の大きさをモータ電気角θmeで表すと、約30deg(1.84÷8×18.5×7)となる。尚、第2レゾルバ120の回転範囲は、モータ電気角θmeにおける360°の範囲を超えるため、sin相異常時かさ上げ電流マップとcos相異常時かさ上げ電流マップは、モータ電気角θmeの基準位置からの積算値を使って表される。そして、かさ上げ基本電流Iqupoの設定にあたっては、基準位置からのモータ電気角θmeの積算値を演算し、この積算値に対応するかさ上げ基本電流Iqupoを使用する。
かさ上げ基本電流設定部311は、トルク演算部32から出力されるフェイル信号、および、電気角変換部307から出力されるモータ電気角θmeを入力する。そして、フェイル信号がsin相フェイル信号Failsである場合にはsin相異常時かさ上げ電流マップを選択し、フェイル信号がcos相フェイル信号Failcである場合にはcos相異常時かさ上げ電流マップを選択し、選択したかさ上げ電流マップとモータ電気角θmeとに基づいて、かさ上げ基本電流Iqupを設定する。
モータ回転速度演算部312は、電気角変換部307から出力されるモータ電気角θmeを入力し、モータ電気角θmeを時間で微分することによりモータ回転速度ωmを算出する。モータ回転速度演算部312は、算出したモータ回転速度ωmをゲイン設定部313に出力する。
ゲイン設定部313は、図14に示すゲイン設定マップを参照して、モータ回転速度演算部312の出力するモータ回転速度ωmの大きさ|ωm|からゲインKiを求める。ゲイン設定マップは、記憶部33に記憶されている。このゲイン設定マップでは、モータ回転速度|ωm|がωmoよりも小さくなる範囲においては、一定値となるゲインKiを設定し(例えばKi=1)、モータ回転速度|ωm|がωmoよりも大きくなる範囲においては、モータ回転速度|ωm|が大きくなるにしたがって小さくなるゲインKiを設定する。尚、ゲイン設定マップは、モータ回転速度|ωm|が大きくなるにしたがって、段階的に小さくなるゲインKiを設定するようにしてもよい。
かさ上げ目標電流演算部314は、かさ上げ基本電流設定部311により設定されたかさ上げ基本電流Iqupoと、ゲイン設定部313により設定されたゲインKiとを入力し、かさ上げ基本電流IqupoにゲインKiを乗算する。そして、その乗算結果をかさ上げ目標電流Iqup*(=Ki・Iqupo)として、q軸指令電流補正部315に出力する。
q軸指令電流補正部315は、アシスト電流指令部302から出力されたq軸指令電流Iq*と、かさ上げ目標電流演算部314から出力されたかさ上げ目標電流Iqup*とを入力し、q軸指令電流Iq*にかさ上げ目標電流Iqup*を加算する。そして、その加算結果(Iq*+Iqup*)を最終的なq軸指令電流Iq*としてフィードバック制御部303に出力する。つまり、q軸指令電流補正部315は、q軸指令電流Iq*をかさ上げ目標電流Iqup*だけ増加補正する。尚、かさ上げ目標電流Iqup*の方向は、q軸指令電流Iq*と同じ方向、つまり、目標アシストトルクT*と同じ方向のトルクを発生させる方向に設定される。
このかさ上げ電流設定部310の全体的な処理について、フローチャートを使って説明する。図12は、かさ上げ電流設定部310の実行するかさ上げ電流演算ルーチンを表す。このかさ上げ電流演算ルーチンは、イグニッションキーがオン状態となっている期間において、所定の短い周期で繰り返し実行される。
かさ上げ電流演算ルーチンが起動すると、かさ上げ電流設定部310は、まず、ステップS101において、トルク演算部32から出力されるフェイル信号が入力されたか否かを判断する。このフェイル信号は、上述した第2回転角計算ルーチンのステップS42あるいはステップS47において出力される信号である。フェイル信号が入力されていない場合には、ステップS102において、アシスト電流指令部302から出力されたq軸指令電流Iq*を補正せずにそのままフィードバック制御部303に出力して、本演算ルーチンを一旦終了する。
かさ上げ電流設定部310は、こうした処理を繰り返し、ステップS101においてフェイル信号を入力した場合には、ステップS103において、そのフェイル信号がsin相フェイル信号Failsであるか否かを判断する。フェイル信号がsin相フェイル信号Failsである場合には(S103:Yes)、ステップS104において、sin相異常時かさ上げ電流マップを選択し、フェイル信号がcos相フェイル信号Failcである場合には(S103:No)、ステップS105において、cos相異常時かさ上げ電流マップを選択する。
続いて、ステップS106において、電気角変換部307の出力するモータ電気角θmeを読み込み、次に、ステップS107において、かさ上げ電流マップを参照して、モータ電気角θmeに対応するかさ上げ基本電流Iqupoを設定する。この場合、かさ上げ基本電流Iqupoは、sin相異常であれば、第2レゾルバ120の電気角θeの図11(a)に塗りつぶした第2条件下算出不能範囲に対応するモータ電気角θmeの範囲(不確定モータ電気角領域)において設定値Iqo(>0)に設定され、それ以外の範囲においてゼロに設定される。また、cos相異常であれば、第2レゾルバ120の電気角θeの図11(b)に塗りつぶした第2条件下算出不能範囲に対応するモータ電気角θmeの範囲(不確定モータ電気角領域)において設定値Iqoに設定され、それ以外の範囲においてゼロに設定される。
続いて、かさ上げ電流設定部310は、ステップS108において、先のステップS106で読み込んだモータ電気角θmeを時間で微分することによりモータ回転速度ωmを演算する。続いて、ステップS109において、ゲイン設定マップを参照して、モータ回転速度|ωm|に対応するゲインKiを設定する。続いて、ステップS110において、かさ上げ基本電流IqupoにゲインKiを乗算することにより、かさ上げ目標電流Iqup*(=Ki・Iqupo)を演算する。
続いて、かさ上げ電流設定部310は、ステップS111において、アシスト電流指令部302から出力されたq軸指令電流Iq*にかさ上げ目標電流Iqup*を加算した値を最終的なq軸指令電流Iq*としてフィードバック制御部303に出力して本演算ルーチンを一旦終了する。
以上説明したかさ上げ電流設定部310によれば、第2レゾルバ120の片側相の異常が発生した状況において、モータ電気角θmeが、第2レゾルバ120の回転角を算出できない不確定モータ電気角領域に入る場合には、q軸指令電流Iq*が増加補正される。これにより、電動モータ21が回されて、モータ電気角θmeが、その領域に留まらないようになり、第2回転角θを検出できなくなる状況が低減される。従って、操舵トルクを検出できなくなる状況が低減され、適正な操舵アシストを継続できる期間を長くすることができる。
このように、モータ電気角θmeが不確定モータ電気角領域に留まらないように、電動モータ21を駆動制御した場合には、それによるトルクリップル(トルク変動)が操舵ハンドル11を介して運転者に伝達され、操舵フィーリングが低下する。そこで、本実施形態においては、ハンドル中立状態となるときにトルクリップルが生じないように、第1レゾルバ110の第1ロータ部110rと第1ステータ部110sとの組み付け相対角、および、第2レゾルバ120の第2ロータ部120rと第2ステータ部120sとの組み付け相対角が設定されている。つまり、運転中においてはハンドル中立状態となる頻度が高いため、ハンドル中立状態となるときに、第2レゾルバ120の電気角θeが回転角不確定領域に入らないようにすることで、トルクリップルの生じる頻度を低減する。
尚、かさ上げ電流が設定されるのは、第2レゾルバの片側相の異常が発生した場合であるため、上記トルクリップルの低減という課題に対しては、第2レゾルバ120のみを上記のように組み付ければよいが、本実施形態においては、第1レゾルバ110も第2レゾルバと同位相にて組み付けられる。これは、ハンドル中立状態となるときに、第1レゾルバ110の電気角θeが回転角不確定領域に入ってしまうと、推定により操舵トルクが設定される(S35)ため、そうした推定値を使用する頻度を低減するためである。
図16は、レゾルバの電気角θeに対するsin相検出信号(上段)とcos相検出信号の電圧波形(下段)を表す。sin相検出信号の振幅がゼロとなり、cos相検出信号の振幅が最大となるロータの回転位置を基準位置(図16の縦軸の位置)として、この基準位置における電気角θeを0°とする。従来のレゾルバユニットにおいては、ハンドル中立状態となるときに、ロータの回転位置が基準位置、つまり、電気角θeが0°になるように、ロータ部とステータ部との組み付け相対角が設定されていた。このため、従来のレゾルバユニットをそのまま使用すると、sin相に異常が発生したときは、ハンドル中立状態において、図6(a)に示すように、電気角θeが第2条件下算出不能範囲に入ってしまい、かさ上げ電流設定部310がq軸指令電流Iq*を増加させトルクリップルが生じる。
そこで、本実施形態のレゾルバユニット100においては、sin相およびcos相のいずれに異常が発生した場合であっても、ハンドル中立状態における電気角θeが第2条件下算出不能範囲に入ってしまわないように、ハンドル中立状態における電気角θeが45°+90°×K(Kは整数:0,1,2,3)に設定されている。
図17は、第2条件下算出不能範囲とハンドル中立位置との関係を電気角θeで表したグラフである。第2条件下算出不能範囲は、図中において塗りつぶした範囲であり、sin相に異常が発生した場合の範囲とcos相に異常が発生した場合の範囲とを合成したものである。このグラフから分かるように、第2条件下算出不能範囲は、0°,90°,180°,270°を中心とした所定角度範囲に限定される。従って、ハンドル中立状態における電気角θeを第2条件下算出不能範囲から最も離れた45°,135°,225°,315°のいずれかに設定すれば良いことがわかる。
従って、第1レゾルバ110,第2レゾルバ120においては、それぞれハンドル中立状態におけるロータ部110r,120rとステータ部110s,120sとの相対位置関係が、基準位置に対して機械角で(45°+90°×K)/Nだけずれるように、ロータ部110r,120rとステータ部110s,120sとが組み付けられている。例えば、K=0,レゾルバの軸倍角Nを8とすると、図18に示すように、ハンドル中立状態におけるロータ部110r,120rとステータ部110s,120sとは、両者の相対位置関係が基準位置から機械角で約5.6°(45°÷8)ずれるように組み付けられる。図中において、三角マークが整合する位置が基準位置となる。レゾルバの電気角θeで表せば、図16におけるθe=45°となる回転位置がハンドル中立位置に相当する。
尚、レゾルバの組み付けにあたっては、ロータ部110r,120rとステータ部110s,120sとに、それぞれの周方向位置を特定するマークを形成しておくとよい。この場合、2つのマークを整合させることにより、ハンドル中立状態においてロータ部110r,120rとステータ部110s,120sとが、基準位置に対して機械角で(45°+90°×K)/Nだけずれた位置関係となるように容易に組み付けることができる。
以上説明した本実施形態の電動パワーステアリング装置によれば、モータ電気角θmeが第2レゾルバ120の回転角を算出できない不確定モータ電気角領域に入る場合には、かさ上げ電流設定部310がq軸指令電流Iq*を増加補正するため、操舵トルクを検出できなくなる状況が低減され、適正な操舵アシストを継続できる期間を長くすることができる。
また、q軸指令電流Iq*を増加補正させた場合には、トルクリップルが操舵ハンドル11を介して運転者に伝達されるが、ハンドル中立状態における電気角θeが45°+90°×K(Kは整数:0,1,2,3)に設定されているため、sin相およびcos相のいずれに異常が発生した場合であっても、ハンドル中立状態における電気角θeが第2条件下算出不能範囲に入らない。このため、トルクリップルの生じる頻度が低減され操舵フィーリングの低下を抑制することができる。また、直進走行や高速域走行における操作性を向上させることができる。また、ハンドル中立状態においては、操舵トルクの値として推定値(前回値)が使用されないため、推定値を使用する頻度を低減することができ、操舵トルク検出の信頼性が向上する。
また、かさ上げ電流設定部310においては、q軸指令電流Iq*を増加補正するために、かさ上げ目標電流Iqup*が使用されるが、このかさ上げ目標電流Iqup*は、モータ回転速度ωmが大きくなるほど小さく設定される。従って、電動モータ21の回転慣性が大きく、回転角の不確定領域を通過しやすい状況においては、q軸指令電流Iq*の増加補正量が少なくなるため、適切なq軸指令電流Iq*が演算され、必要以上に電動モータ21が回されることが防止される。これにより、トルクリップルを更に低減することができる。
また、q軸指令電流Iq*の増加補正される角度範囲は、図11の塗りつぶした範囲で表されるように、非常に狭い範囲であるため、操舵フィーリングに与える影響を少なくすることができる。
また、コイル異常が発生した場合には、警告ランプ65が点灯するため、操舵アシストを継続させながらも、ドライバーに異常を認識させることができる。これにより、早期に修理が行われるため、2重故障により操舵アシストが停止されるという状況に陥る確率を極めて小さくすることができる。
以上、本実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
例えば、本実施形態においては、第1レゾルバ110と第2レゾルバ120との両方において、ハンドル中立状態となるときの電気角θeが基準位置(0°)からずれるようにしているが、第1レゾルバ110に関しては、必ずしもそのようにする必要はなく、例えば、ハンドル中立状態となるときの電気角θeが0°となるように組み付けてもよい。
また、本実施形態においては、かさ上げ目標電流Iqup*を算出するに当たって、モータ回転速度ωmに応じたゲインKiをかさ上げ基本電流Iqupoに乗算しているが、必ずしもゲインKiを乗算する必要はなく、かさ上げ目標電流Iqup*を一定値にしてもよい。
また、本実施形態においては2つの条件に基づいて片側相の検出信号から回転角を一義的に算出できるか否かを判断しているが、必ずしも2つの条件を用いる必要はなく、例えば、第2条件のみ、あるいは、第1条件のみに基づいて判断するようにしてもよい。
11…操舵ハンドル、12…ステアリングシャフト、12in…入力シャフト、12out…出力シャフト、12a…トーションバー、20…パワーアシスト部、21…電動モータ、31…アシスト演算部、32…トルク演算部、33…記憶部、40…モータ駆動回路、50…アシストECU、61…回転角センサ、100…レゾルバユニット、110…第1レゾルバ、110r…第1ロータ部、110s…第1ステータ部、111…第1励磁コイル、112…第1sin相検出コイル、113…第1cos相検出コイル、114…第1ロータコイル、120…第2レゾルバ、120r…第2ロータ部、120s…第2ステータ部、121…第2励磁コイル、122…第2sin相検出コイル、123…第2cos相検出コイル、124…第2ロータコイル、151…延長スリーブ、158…第1ロータ固定部、159…第2ロータ固定部、212…第1sin相検出ライン、213…第1cos相検出ライン、222…第2sin相検出ライン、223…第2cos相検出ライン、307…電気角変換部、310…かさ上げ電流設定部、311…かさ上げ基本電流設定部、312…モータ回転速度演算部、313…ゲイン設定部、314…かさ上げ目標電流演算部、315…q軸指令電流補正部、As1,Ac1,As2,Ac2…振幅、Es1,Ec1,Es2,Ec2…検出電圧、Tr…操舵トルク、θ…第1回転角、θ…第2回転角、Failc…cos相フェイル信号、Fails…sin相フェイル信号、Iq*…q軸指令電流、Iqo…設定値、Iqupo…かさ上げ基本電流、Iqup*…かさ上げ目標電流、Ki…ゲイン、θme…モータ電気角、ωm…モータ回転速度。

Claims (5)

  1. 操舵ハンドルに連結されたステアリングシャフトの途中に配設されるトーションバーと、前記トーションバーの一端側をロータとしてステータに対する前記ロータの回転角である第1回転角に応じた振幅の2相の検出信号を出力する一対の検出コイルを有する第1レゾルバと、前記トーションバーの他端側をロータとして前記ステータに対する前記ロータの回転角である第2回転角に応じた振幅の2相の検出信号を出力する一対の検出コイルを有する第2レゾルバとを備えたレゾルバユニットと、
    前記第1レゾルバから出力される2相の検出信号に基づいて前記第1回転角を演算し、前記第2レゾルバから出力される2相の検出信号に基づいて前記第2回転角を演算する回転角演算手段と、
    前記演算された第1回転角と第2回転角とに基づいて前記ステアリングシャフトに働く操舵トルクを演算するトルク演算手段と、
    前記第1レゾルバあるいは第2レゾルバの何れかで、前記一対の検出コイルの片側に異常が発生していることを検出する異常検出手段と、
    前記検出コイルの片側の異常発生が検出されているとき、前記異常が発生している検出コイルと対をなす他方の検出コイルの出力する検出信号から一義的に回転角を求めることができる状況となる場合に、前記他方の検出コイルの出力する検出信号から異常側レゾルバの回転角を演算する異常時回転角演算手段と
    を備えたトルク検出装置において、
    前記第1レゾルバと第2レゾルバの少なくとも一方は、前記操舵ハンドルが中立位置で前記トーションバーが捩れていない状態における前記ロータと前記ステータとの相対位置関係が、前記一対の検出コイルの一方の検出信号の振幅がゼロで他方の検出信号の振幅が最大となる位置を基準位置として、前記基準位置に対して電気角で45°+90°×K(Kは整数)だけずれるように、前記ロータと前記ステータとの組み付け位相が設定されていることを特徴とするトルク検出装置。
  2. 請求項1記載のトルク検出装置と、
    運転者の操舵操作をアシストするアシストトルクを発生する電動モータと、
    前記トルク演算手段により演算された操舵トルクに基づいて前記電動モータを駆動制御するアシスト制御手段と
    を備えた電動パワーステアリング装置であって、
    前記検出コイルの片側に異常が発生している場合に、前記異常が発生している検出コイルと対をなす他方の検出コイルの出力する検出信号から一義的に回転角を求めることができない回転角不確定領域を、前記電動モータの電気角領域に対応させた不確定モータ電気角領域として記憶した不確定モータ電気角領域記憶手段と、
    前記電動モータの電気角を検出するモータ電気角検出手段と、
    前記検出コイルの片側の異常発生が検出されているとき、前記モータ電気角検出手段により検出された電動モータの電気角と、前記不確定モータ電気角領域記憶手段に記憶された不確定モータ電気角領域とに基づいて、前記電動モータの電気角が前記不確定モータ電気角領域に留まらないように、前記電動モータを駆動制御する不確定領域通過制御手段と
    を備えたことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  3. 前記不確定領域通過制御手段は、
    前記検出コイルの片側に異常が検出されているときに、前記電動モータの電気角が前記不確定モータ電気角領域に入る場合に、前記アシスト制御手段が設定する前記電動モータの目標電流を増加補正することを特徴とする請求項2記載の電動パワーステアリング装置。
  4. 前記電動モータの回転速度を検出するモータ回転速度検出手段を備え、
    前記不確定領域通過制御手段は、前記電動モータの回転速度が大きい場合は小さい場合に比べて、前記電動モータの目標電流の増加補正量を少なくすることを特徴とする請求項3記載の電動パワーステアリング装置。
  5. 前記回転角不確定領域は、前記回転角演算手段が前記第1回転角および前記第2回転角を演算する演算周期あたりに前記第1回転角あるいは前記第2回転角が変化する回転角変化量が所定変化量以内であるという回転角変化条件に基づいて設定されることを特徴とする請求項2ないし請求項4の何れか一項記載の電動パワーステアリング装置。
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