JP5482429B2 - 発泡粒子の製造方法及び発泡粒子用樹脂組成物 - Google Patents

発泡粒子の製造方法及び発泡粒子用樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、発泡粒子の製造性に優れた生分解性を有する発泡粒子の製造方法及び発泡粒子用樹脂組成物に関するものである。
脂肪族ポリエステル樹脂粒子にプロパンとペンタンを発泡剤として含浸させ発泡性樹脂粒子とし、該粒子を水蒸気により加熱して予備発泡粒子とした後、これを金型内で加熱成形し、成形体を得る方法が特許文献1に記載されている。しかし、この予備発泡粒子を金型内で成形したときに、発泡成形体は得られるものの、その成形収縮率が大きいという課題を有していた。
また、特許文献2及び特許文献3には、生分解性を有する脂肪族ポリエステル樹脂粒子に、有機過酸化物を用いるか、又は有機過酸化物と不飽和結合を少なくとも2個有する化合物を用いて、オートクレーブ中で含浸架橋させてゲル分率が少なくとも5%の架橋樹脂粒子を得る工程と、前記架橋樹脂粒子を発泡させて発泡粒子とする工程とからなることを特徴とする架橋構造を有する、脂肪族ポリエステル樹脂発泡粒子の製造方法が開示されている。しかし、この方法は、製造工程の煩雑化や製造工程中の樹脂の加水分解の促進が起きるといった課題を有していた。
特許第2609795号公報 特許第3531922号公報 特開平10−324766号公報
本発明は、前記の課題に鑑みてなされたものである。即ち、本発明の目的は、生分解性を有し、かつ成形収縮率の小さな脂肪族ポリエステル樹脂製発泡粒子の製造工程において、製造工程中に樹脂が加水分解されにくく、従来よりも簡素化された脂肪族ポリエステル樹脂製発泡粒子の製造方法及び発泡粒子用樹脂組成物を提供することに存する。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明によれば、不飽和結合を有する脂肪族ポリエステル樹脂に熱履歴を与えることで、メルトフローレイト(以下、適宜「MFR」と言う。)値が低下する脂肪族ポリエステル樹脂組成物を製造できることを見出した。そして、この脂肪族ポリエステル樹脂組成物を用いて発泡粒子を製造することで、従来の製造工程よりも簡略化できるとともに、製造工程中に樹脂が加水分解されにくく、生分解性を有する実用的な脂肪族ポリエステル樹脂発泡粒子の製造方法及び発泡粒子用樹脂組成物を提供することができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の要旨は、不飽和結合量が7μmol/g以上、100μmol/g以下の生分解性樹脂を含む樹脂組成物を発泡させることを特徴とする、発泡粒子の製造方法に存する(請求項1)。
この時、前記生分解性樹脂が、脂肪族ジオール単位及び脂肪族ジカルボン酸単位を有する脂肪族ポリエステル樹脂であることが好ましい(請求項2)。
また、前記生分解性樹脂の160℃以上での滞留時間が5秒以上、熱履歴前後におけるメルトフローレイトの保持率が1%以上80%以下であることが好ましい(請求項3)。
さらに、本発明の別の要旨は、不飽和結合量が7μmol/g以上、100μmol/g以下の生分解性樹脂を含むことを特徴とする、発泡粒子用樹脂組成物に存する(請求項4)。
この時、該生分解性樹脂が、脂肪族ジオール単位及び脂肪族ジカルボン酸単位を有する脂肪族ポリエステル樹脂であることが好ましい(請求項5)。
また、前記生分解性樹脂の160℃以上での滞留時間が5秒以上、熱履歴前後におけるメルトフローレイトの保持率が1%以上80%以下であることが好ましい(請求項6)。
本発明によれば、生分解性を有し、かつ成形収縮率の小さな脂肪族ポリエステル樹脂製発泡粒子の製造工程において、製造工程中に樹脂が加水分解されにくく、従来よりも簡素化された脂肪族ポリエステル樹脂製発泡粒子の製造方法及び発泡粒子用樹脂組成物を提供できる。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下に説明する例示や実施形態等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変更して実施することができる。
本発明では、特定の樹脂を成分として含有する樹脂組成物を、その主成分となる樹脂の名前を冠して呼ぶ場合がある。ここで「主成分」とは、組成物の50重量%以上を占める成分をいうものとする。即ち、「脂肪族ポリエステル樹脂組成物」とは、脂肪族ポリエステル樹脂を主成分とする樹脂組成物をいう。
また、本明細書では「重合体」という語を、単一種の繰り返し構造単位から構成される重合体(所謂「単独重合体」)と、複数種の繰り返し構造単位から構成される重合体(所謂「共重合体」)とを包含する概念として使用する。
なお、以下の記載では、ある単量体に由来する重合体の部分構造単位を、その単量体の名称に「単位」という言葉を付して表わす。例えば、ジカルボン酸に由来する部分構造単位は、「ジカルボン酸単位」という名称で表わされる。
また、同一の部分構造単位を与える単量体を、その部分構造単位の名称の「単位」を「成分」に換えた名称で総称する。例えば、芳香族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸ジエステル等の単量体は、重合体を形成する過程の反応は異なったとしても、何れも芳香族ジカルボン酸単位を形成する。よって、これらの芳香族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸ジエステルを、「芳香族ジカルボン酸成分」という名で総称する。
[1.生分解性樹脂]
[1−1.生分解性樹脂中の不飽和結合量]
本発明に係る生分解性樹脂に含まれる不飽和結合には、二重結合の他、三重結合も包含される。このような不飽和結合を有する構造単位には不飽和ジカルボン酸類や不飽和ジオール類等が挙げられる。不飽和ジカルボン酸の代表例としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロ−シス−フタル酸(ナディック酸)、ダイマー酸などが挙げられる。
また、ポリマーの製造工程で生成する不飽和結合基も有用である。生成メカニズムは明らかではないが、主鎖の熱分解による末端ビニル基の生成や多官能成分として加えているリンゴ酸等の脱水によるフマル酸あるいはマレイン酸等の不飽和結合への変換反応が考えられる。これら不飽和結合の種類は単独であっても良いし、2種以上で任意の比率でポリマー中に含有する形態であっても良い。
本発明に係る生分解性樹脂に含まれる不飽和結合量は7μmol/g以上、好ましくは15μmol/g以上、より好ましくは20μmol/g以上である。また、その上限は100μmol/g以下、好ましくは80μmol/g以下、より好ましくは60μmol/g以下、さらに好ましくは50μmol/g以下、特に好ましくは40μmol/g以下である。不飽和結合量が下限値以下であると、熱履歴後のMFR値低下効果が減少する可能性があり、上限値を超えると著しいゲル化を引き起こし、発泡体を成形することができなくなる可能性がある。
本発明に係る生分解性樹脂に含まれる不飽和結合量は、任意の方法により測定できる。その具体例としては、1H−NMRによる測定方法が挙げられる。
[1−2.生分解性樹脂の種類]
本発明に係る生分解性樹脂は、樹脂中の不飽和結合量が上記の範囲にあり、生分解性を有する樹脂であれば制限はなく、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知の何れの生分解性樹脂を用いることができる。具体的には、脂肪族ポリエステル樹脂、脂肪族芳香族ポリエステル樹脂、ナイロン6等のポリアミド樹脂、ポリアスパラギン酸等のポリアミノ酸樹脂、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等のポリエーテル樹脂、セルロース及びプルラン等の多糖類、ポリビニルアルコール樹脂等が挙げられる。中でも、脂肪族ポリエステル樹脂が好ましい。成形加工性が良好であるためである。生分解性樹脂は、1種を単独で用いても良いし、2種以上を任意の比率及び組み合わせで併用しても良い。
なお、生分解性樹脂は、前述の例に限定されるわけではない。また、その製造方法も、公知の何れの技術を用いて製造しても良く、市販の生分解性樹脂を用いても良い。例えば、脂肪族ポリエステル樹脂及び脂肪族芳香族ポリエステル樹脂を例に挙げるならば、三菱化学社製GSPla(登録商標)、昭和高分子株式会社製ビオノーレ(登録商標)、三井化学株式会社製レイシア(登録商標)、ダイセル化学工業株式会社セルグリーン(登録商標)、イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー社Biomax(登録商標)、BASF社Ecoflex(登録商標)、等が挙げられる。より具体的には、脂肪族ポリエステル樹脂とは、主たる構成成分が脂肪族ジオール成分と脂肪族ジカルボン酸成分であるものや、ポリ乳酸、ポリカプロラクタムのように脂肪族オキシカルボン酸成分が主たる構成成分であるものも含まれる。これらの中でも、脂肪族ポリエステル樹脂が、本発明で好適に使用できる。
以下、生分解性の脂肪族ポリエステル樹脂を例に、具体的に説明する。
[1−2−1.構成単位]
本発明に好適な脂肪族ポリエステル樹脂は、下記式(1)で表わされる脂肪族ジオール単位(即ち、ジオール又はその誘導体から形成される構成単位)と、下記式(2)で表わされる脂肪族ジカルボン酸単位(即ち、ジカルボン酸又はその誘導体から形成される構成単位)とを必須成分とする。なお、脂肪族ジオール単位及び脂肪族ジカルボン酸単位は、本発明の効果を著しく損なわない限り、それぞれ任意である。また、脂肪族ジオール単位、脂肪族ジカルボン酸単位は、1種を単独で用いてもよく、2種を任意の比率で用いても良い。
HO−R−OH (1)
(式(1)中、R1は、鎖中に置換基及び/又は酸素原子を有していても良く2価の脂肪族炭化水素基を示す。脂肪族ポリエステル樹脂中のR1は、鎖状であっても、分枝状であっても良い。)
HOOC−(R)−COOH (2)
(式(2)中、R2は、置換基を有していても良い2価の脂肪族炭化水素基を示す。nは
0又は1をあらわし、nが0のときはR2が存在しないことを示す。脂肪族ポリエステル樹脂中のRは、鎖状であっても、分枝状であっても良い。)
ただし、脂肪族ジオール単位は、本発明の効果を損なわない限り、任意の化合物から形成されるものを用いることができるが、中でも、上記式(1)で表わされる脂肪族ジオール成分から形成されるものが好ましい。
また、脂肪族ジカルボン酸単位は、本発明の効果を損なわない限り、任意の化合物から形成されるものを用いることができるが、中でも、上記式(2)で表わされる脂肪族ジカルボン酸成分から形成されるものが好ましい。
なお、脂肪族ジオール成分及び/又は脂肪族ジカルボン酸成分は、1種を単独で用いてもよく、2種を任意の比率で用いても良い。
[1−2−1−1.脂肪族ジオール単位のR1
式(1)のR1は、置換基及び/又は酸素原子を有していても良い2価の脂肪族炭化水素基を表わす。脂肪族炭化水素基は、鎖状脂肪族炭化水素基であっても良く、環状脂肪族炭化水素基であっても良く、鎖状脂肪族炭化水素基と環状脂肪族炭化水素基が結合したものであっても良い。鎖状脂肪族炭化水素基の場合は、直鎖状脂肪族炭化水素基であっても良く、分岐鎖状脂肪族炭化水素基であっても良い。環状脂肪族炭化水素基の場合は、単環でも良いし、複数の環が互いに結合、又は縮合したものでも良い。
さらに、Rの炭素数は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、Rが鎖状脂肪族炭化水素基である場合、Rの炭素数は通常2以上、また、通常10以下、好ましくは6以下である。一方、Rが脂環式炭化水素基である場合、Rの炭素数は通常3以上、また、通常10以下、好ましくは8以下である。
さらに、脂肪族ジオール成分としては、上記の式(1)の脂肪族ジオールの誘導体も好適に用いることができる。その例としては、酢酸とのエステル化合物などが挙げられる。
脂肪族ジオール成分の具体例としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が好適に挙げられる。中でも、得られる脂肪族ポリエステル樹脂の物性の面から、特に1,4−ブタンジオールが好ましい。脂肪族ジオール成分は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いても良い。
[1−2−1−2.脂肪族ジカルボン酸単位のR2及びn]
式(2)のR2は、置換基を有していても良い2価の脂肪族炭化水素基を表わす。nは
0又は1をあらわし、nが0のときはR2が存在しないことを示す。脂肪族炭化水素基は、鎖状脂肪族炭化水素基であっても良く、環状脂肪族炭化水素基であっても良く、鎖状脂肪族炭化水素基と環状脂肪族炭化水素基が結合したものであっても良い。鎖状脂肪族炭化水素基の場合は、直鎖状脂肪族炭化水素基であっても良く、分岐鎖状脂肪族炭化水素基であっても良い。環状脂肪族炭化水素基の場合は、単環でも良いし、複数の環が互いに結合、又は縮合したものでも良い。
さらに、Rの炭素数も、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常2以上、また、通常48以下である。ただし、Rが鎖状脂肪族炭化水素基である場合、Rとしては、−(CH−で表わされる2価の鎖状脂肪族炭化水素基であることが好ましい。なお、mは通常1以上、また、通常10以下、好ましくは6以下の整数である。また、Rが脂環式炭化水素基である場合、Rの炭素数は、通常3以上、好ましくは4以上、また、通常10以下、好ましくは8以下である。
さらに、脂肪族ジカルボン酸成分としては、上記式(2)の脂肪族ジカルボン酸の誘導体も好適に用いることができる。例えば、上記式(2)の脂肪族ジカルボン酸の低級アルコールエステルや酸無水物などが挙げられる。中でも、脂肪族ジカルボン酸の誘導体としては、炭素数1〜4の低級アルコールエステル又は酸無水物が好ましい。
脂肪族ジカルボン酸成分の具体例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、へプタン二酸、オクタン二酸、ノナン二酸、デカン二酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸、マレイン酸、フマル酸、1,6−シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸等の通常、炭素数が2以上48以下の鎖状或いは脂環式ジカルボン酸が挙げられる。また、これらの誘導体、例えば、ジメチルエステル、ジエチルエステル等の低級アルコールとのエステル、無水コハク酸、無水アジピン酸等の酸無水物も挙げられる。なかでも、得られる脂肪族ポリエステル樹脂の物性の面から、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸又はこれらの酸無水物、及びこれらの低級アルコールとのエステルが好ましく、特にはコハク酸、無水コハク酸、又はこれらの混合物が好ましい。脂肪族ジカルボン酸成分は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いても良い。
[1−2−1−3.脂肪族オキシカルボン酸単位のR
さらに、本発明に好適な脂肪族ポリエステル樹脂には、本発明の効果を著しく損なわない限り、上記の脂肪族ジオール単位及び脂肪族ジカルボン酸単位の他の構成単位を含有させるようにしてもよい。脂肪族ジオール単位及び脂肪族ジカルボン酸単位の他の構成単位としては、例えば、脂肪族オキシカルボン酸単位が挙げられる。
脂肪族オキシカルボン酸単位は、本発明の効果を損なわない限り、任意の化合物から形成されるものを用いることができるが、中でも、下記式(3)で表わされる脂肪族オキシカルボン酸成分から形成されるものが好ましい。
HO−R−COOH (3)
(式(3)中、Rは、置換基を有していても良い2価の脂肪族炭化水素基を示す。脂肪族ポリエステル樹脂中のRは、鎖状であっても、分枝状であっても良い。)
式(3)のRは、置換基を有していても良い2価の脂肪族炭化水素基を表わす。脂肪族炭化水素基は、鎖状脂肪族炭化水素基であっても良く、環状脂肪族炭化水素基であっても良く、鎖状脂肪族炭化水素基と環状脂肪族炭化水素基が結合したものであっても良い。鎖状脂肪族炭化水素基の場合は、直鎖状脂肪族炭化水素基であっても良く、分岐鎖状脂肪族炭化水素基であっても良い。環状脂肪族炭化水素基の場合は、単環でも良いし、複数の環が互いに結合、又は縮合したものでも良い。
脂肪族オキシカルボン酸成分としては、例えば、α,ω−ヒドロキシカルボン酸、α−ヒドロキシカルボン酸等が挙げられるが、これらのオキシカルボン酸のエステルやラクトン類、ラクチド、或いは脂肪族オキシカルボン酸重合体等の誘導体であっても良い。ラクトン類の具体例としては、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、エナントラクトン等のラクトン;4−メチルカプロラクトン、2,2,4−トリメチルカプロラクトン、3,3,5−トリメチルカプロラクトン等のメチル化ラクトンなどが挙げられる。脂肪族オキシカルボン酸成分は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いても良い。
また、上記のものの中でも、下記式(4)で表わされる脂肪族オキシカルボン酸成分から形成されるものが好ましい。
HO−CHR−COOH (4)
(式(4)において、Rは、水素原子又は炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐アルキル基を表わす。)
中でも特に、下記式(5)で表わされる脂肪族オキシカルボン酸成分が、重合反応性向上効果が認められる点で好ましい。
HO−CH(C2a+1)−COOH (5)
(式(5)において、aは、0又は1〜10の整数の整数を表わし、好ましくは0又は1〜5の整数を表わす。また、炭素鎖は直鎖でも分岐していても良い。)
式(5)を満たす脂肪族オキシカルボン酸成分の具体例としては、特に、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、4−ヒドロキシメチルシクロヘキサンカルボン酸等も挙げられる。また、更には、これらの低級アルキルエステル、分子内エステルなどの誘導体も挙げられる。脂肪族オキシカルボン酸成分は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いても良い。
さらに、これらの化合物に光学異性体が存在する場合には、D体、L体、又はラセミ体のいずれでも良く、形態としては固体、液体、又は水溶液であっても良い。
これらの中で好ましいのは、乳酸又はグリコール酸であり、特に好ましいのは、使用時の重合速度の増大が特に顕著で、かつ入手の容易な乳酸である。なお、乳酸の形態としては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意の形態のものを使用できるが、中でも、30〜95重量%の水溶液が、容易に入手することができるので好ましく使用される。
また、これら脂肪族オキシカルボン酸成分は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の比率及び組み合わせで併用しても良い。また、本発明の効果を著しく損なわない限り、上記の脂肪族ジオール単位、脂肪族ジカルボン酸単位、脂肪族オキシカルボン酸単位以外のほかの構成単位を含有させるようにしても良い。
本発明に係る脂肪族ポリエステル樹脂に脂肪族オキシカルボン酸単位を含有する場合、その使用量は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、脂肪族ジカルボン酸単位100重量部に対して、通常0.1重量部以上、好ましくは1重量部以上、より好ましくは2重量部以上、また、通常100重量部以下、好ましくは50重量部以下、より好ましくは20重量部以下である。上記範囲の下限を下回ると添加効果が現れない可能性があり、上限を上回ると本発明の発泡粒子の耐熱性、機械的特性などが不十分となる可能性がある。
[1−2−1−4.多官能成分]
本発明に係る脂肪族ポリエステル樹脂においては、3官能以上を有する多官能成分単位として、3官能以上の脂肪族多価アルコール単位、脂肪族多価カルボン酸単位及び脂肪族多価オキシカルボン酸単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の単位を存在させることが好ましい。その理由は、その脂肪族ポリエステル樹脂製発泡粒子を用いて得られる型内発泡成形体の収縮を抑制することができるからである。この収縮抑制の理由は明らかではないが、3官能以上の化合物を用いることによる脂肪族ポリエステル樹脂の溶融張力の向上が影響しているものと思われる。なお、多官能成分単位は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の比率及び組み合わせで併用しても良い。
また、多官能成分単位を形成する3官能の脂肪族オキシカルボン酸単位は、(i)カルボキシル基2個とヒドロキシル基1個とを同一分子中に有するタイプと、(ii)カルボキシル基1個とヒドロキシル基2個とを同一分子中に有するタイプとに分かれ、いずれのタイプも使用可能である。(i)のタイプの具体例としてはリンゴ酸等から形成される構成単位が挙げられ、(ii)のタイプの具体例としてグリセリン酸等から形成される構成単位が挙げられる。
また、多官能成分単位を形成する4官能の脂肪族オキシカルボン酸単位は、(i)カルボキシル基3個とヒドロキシル基1個とを同一分子中に共有するタイプと、(ii)カルボキシル基2個とヒドロキシル基2個とを同一分子中に共有するタイプと、(iii)ヒドロキシル基3個とカルボキシル基1個とを同一分子中に共有するタイプとに分かれ、いずれのタイプも使用可能である。具体例としてはクエン酸や酒石酸から形成される単位が挙げられる。
上記の本発明に好適な脂肪族ポリエステル樹脂は、ジオール単位及びジカルボン酸単位という必須単位に対応する化合物、即ち、脂肪族ジオール、脂肪族ジカルボン酸、又はその誘導体を所定割合で用い、公知の重合技術により製造することができる。この脂肪族ポリエステル樹脂を製造する際の重合反応は、従来から採用されている適切な条件を設定することができ、特に制限されない。
また、多官能成分単位を使用する場合、その使用量は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、脂肪族ジカルボン酸単位100モルに対し、通常0.001モル以上、好ましくは0.01モル以上、より好ましくは0.1モル以上、また、通常5モル以下、好ましくは2.5モル以下、より好ましくは1モル以下用いる。この範囲の下限を下回ると添加効果が現れず、上限を上回ると反応中ゲル化する可能性が増大するので好ましくない。
[1−2−2.数平均分子量]
さらに、本発明に好適な脂肪族ポリエステル樹脂の数平均分子量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常10000以上、好ましくは30000以上、また、通常200000以下である。数平均分子量が上記範囲の下限を下回ると本発明の発泡粒子の発泡特性が低下する可能性があり、一方、上限を上回ると溶融温度や粘度が高くなり発泡粒子の製造が困難になる可能性がある。
[1−2−3.製造方法]
脂肪族ポリエステル樹脂の製造方法は、本発明の効果を著しく損なわない限り制限はなく、公知の何れの方法でも製造することができる。例えば、ジカルボン酸成分と、ジオール成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応を行った後、減圧下で重縮合反応を行なうといった溶融重合法や、有機溶媒を用いた溶液加熱脱水縮合法等によって製造することができる。中でも、経済性ならびに製造工程の簡略性の観点から、無溶媒下で行なう溶融重合法が好ましい。
なお、脂肪族ポリエステル樹脂はバイオマス資源から誘導しても良い。バイオマス資源の種類やその製造方法は、本発明の効果を著しく損なわない限り制限はない。例えば、酸やアルカリ等の化学処理、微生物を用いた生物学的処理、及び、物理的処理等の、公知の何れの前処理・糖化の工程を経て炭素源へ誘導して得られたバイオマス資源を用いることもできる。
以下、脂肪族ポリエステル樹脂を溶融重合法で製造する場合について詳しく説明するが、溶融重合法の手順はこれに限定されるものではなく、一部の工程を省略したり、他に代わる工程に変更したり、他の任意の工程を有していたりしても良い。
[1−2−3−1.原料]
脂肪族ポリエステル樹脂を製造する際の原料の成分は、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意である。ただし、製造される樹脂が、脂肪族ジオール単位及び脂肪族ジカルボン酸単位を有するように原料を選択する。
また、原料の使用量としては、例えば、脂肪族ジオール成分と脂肪族ジカルボン酸成分とを反応させる場合、製造される脂肪族ポリエステル樹脂が目的とする組成を有するように脂肪族ジオール成分及び脂肪族ジカルボン酸成分の使用量を設定する。通常は、脂肪族ジオール成分と脂肪族ジカルボン酸成分とは実質的に等モル量である。ただし、この際、脂肪族ジオール成分の使用量は、エステル化反応中の留出があることから、通常は1〜20モル%過剰に用いられる。
また、本発明に好適な脂肪族ポリエステル樹脂に脂肪族オキシカルボン酸単位、多官能成分単位等の必須単位以外の構成単位(以下、適宜「任意単位」と言う。)を含有させる場合、その多官能成分単位もそれぞれ目的とする組成となるように、それぞれに対応する成分(モノマーやオリゴマー;以下、適宜「任意成分」と言う。)を反応に供する。
この時、上記の任意成分を反応系に導入する時期及び方法に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意である。例えば脂肪族オキシカルボン酸成分を反応系に導入する時期及び方法は、脂肪族ジオール成分と脂肪族ジカルボン酸成分との重縮合反応以前であれば特に限定されず、例えば、(1)あらかじめ触媒を脂肪族オキシカルボン酸成分溶液に溶解させた状態で混合する方法、(2)原料仕込み時触媒を系に導入すると同時に混合する方法、などが挙げられる。
また、多官能成分単位を形成する成分の導入時期は、重合初期の他のモノマーやオリゴマーと同時に仕込むようにしても良く、又は、エステル交換反応後、減圧を開始する前に仕込むようにしても良いが、他のモノマーやオリゴマーと同時に仕込むほうが工程の簡略化の点で好ましい。
[1−2−3−2.触媒]
(触媒金属)
また、本発明に好適な脂肪族ポリエステル樹脂は、通常は触媒の存在下で製造される。触媒としては、脂肪族ポリエステル樹脂の製造に用いることのできる触媒を、本発明の効果を著しく損なわない限り任意に選択することができる。その例を挙げると、ゲルマニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アンチモン、スズ、マグネシウム、カルシウム、亜鉛等の金属を含む、単体、合金及び金属化合物等の金属材料が好適である。中でもゲルマニウム化合物、チタン化合物が好適である。また、本発明の効果を著しく損なわない限り、他の触媒の併用を妨げない。また、触媒金属は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の比率及び組み合わせで併用しても良い。
触媒として使用できるゲルマニウム化合物としては、例えば、テトラアルコキシゲルマニウム等の有機ゲルマニウム化合物、酸化ゲルマニウム、塩化ゲルマニウム等の無機ゲルマニウム化合物などが挙げられる。中でも、価格や入手の容易さなどから、酸化ゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム及びテトラブトキシゲルマニウムなどが好ましく、特には、酸化ゲルマニウムが好適である。
また、触媒として使用できるチタン化合物としては、例えば、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラフェニルチタネート等のテトラアルコキシチタンなどの有機チタン化合物が挙げられる。中でも、価格や入手の容易さなどから、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネートなどが好ましい。
(使用量)
さらに、触媒の使用量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、使用するモノマー量に対して、通常0.0005重量%以上、より好ましくは0.001重量%以上、また、通常3重量%以下、好ましくは1.5重量%以下である。この範囲の下限を下回ると触媒の効果が現れない可能性があり、上限を上回ると製造費が高くなったり得られたポリマーが著しい着色を生じたり耐加水分解性が低下したりする可能性がある。
(導入時期)
また、触媒の導入時期は、重縮合以前であれば特に限定されないが、原料仕込み時に導入しても良く、減圧開始時に導入しても良い。原料仕込み時に乳酸やグリコール酸等の脂肪族オキシカルボン酸単位を形成するモノマーやオリゴマーと同時に導入するか、又は脂肪族オキシカルボン酸成分溶液に触媒を溶解して導入する方法が好ましく、特には、重合速度が大きくなるという点で脂肪族オキシカルボン酸成分溶液に触媒を溶解して導入する方法が好ましい。
[1−2−3−3.エステル化反応及び/又はエステル交換反応における反応温度と反応圧力]
また、本発明に好適な脂肪族ポリエステル樹脂を製造する際の温度、反応雰囲気、圧力、重合時間などの反応条件は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、脂肪族ジカルボン酸成分と脂肪族ジオール成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応の反応温度は、通常150℃以上、好ましくは180℃以上であり、その上限が通常260℃以下、好ましくは250℃以下である。
また、反応雰囲気は、通常、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気が好ましい。
反応圧力は、通常、常圧以上である。また、その上限は、通常10kPa以下であるが、中でも常圧が好ましい。
反応時間は、通常1時間以上である。また、その上限は、通常10時間以下、好ましくは4時間以下である。反応温度が高すぎると、不飽和結合量の過剰生成が起こり、不飽和結合が要因となるゲル化が起こり、重合を制御することが困難となる可能性がある。
[1−2−3−4.重縮合反応における反応温度と反応圧力]
さらに、重縮合反応の反応温度は、通常150℃以上、好ましくは180℃以上である。また、その上限は、通常260℃以下、好ましくは250℃以下である。反応温度が高すぎると、不飽和結合量の過剰生成に基づくゲル化が起こり、重合を制御することが困難となる可能性がある。
また、反応雰囲気は、通常、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気が好ましい。
反応圧力は、通常0.01×10Pa以上、好ましくは0.03×10Pa以上である。また、その上限は、通常1.4×10Pa以下、好ましくは0.4×10Pa以下である。
反応時間は、通常2時間以上である。また、その上限は、通常15時間以下、好ましくは10時間以下である。反応温度が高すぎると、不飽和結合量の過剰生成に基づくゲル化が起こり、重合を制御することが困難となる可能性がある。
[2.発泡粒子用樹脂組成物]
本発明の発泡粒子用樹脂組成物(以下、適宜「樹脂組成物」と言う。)は、上述した本発明に係る生分解性樹脂を含むものである。ただし、本発明の樹脂組成物は、本発明に係る生分解性樹脂以外の成分を含んでいても良い。
[2−1.改質剤]
本発明の樹脂組成物は、カルボキシル基反応性改質剤(以下、適宜「改質剤」と言う。)を含有することが好ましい。改質剤は、生分解性樹脂がその炭素鎖の末端に有するカルボキシル基(以下、適宜「カルボキシ末端」と言う。)を封止することが可能な化合物であれば任意のものを用いることができる。その具体例としては、ポリマーのカルボキシル末端の封止剤として用いられているものを任意に用いることができる。この改質剤を用いることにより、耐加水分解性を向上させることができる。なお、改質剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いても良い。
また、本発明にかかる改質剤は、樹脂の末端を封止するのみではなく、熱分解や加水分解などで生成する末端カルボン酸や乳酸やギ酸などの酸性低分子化合物のカルボキシル基も封止することができるものが好ましい。さらに、熱分解や加水分解などで生成する酸性低分子化合物中の水酸基末端も封止できる化合物であることがさらに好ましい。
さらに、改質剤は、多官能のものであっても良く、単官能のものであっても良い。多官能の改質剤は生分解性樹脂の主鎖が切断した際、溶融張力等の物性を維持できるという利点を有する。また、単官能の改質剤は多官能タイプよりも分子量や立体障害が少ないため、速やかに生分解性樹脂の末端と反応し、封止ができるという利点を有する。
このような改質剤としては、例えば、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合物、エポキシド化合物及びオキサゾリン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。中でも、カルボジイミド化合物を用いることが好ましい。
カルボジイミド化合物は、分子中に1個以上のカルボジイミド基を有する化合物(ポリカルボジイミド化合物を含む)であり、このようなカルボジイミド化合物は、例えば、触媒として有機リン系化合物又は有機金属化合物を用いて、イソシアネート化合物を70℃以上の温度で、無溶媒又は不活性溶媒中で脱炭酸縮合反応させることにより合成することができる。また、カルボジイミド化合物は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いても良い。
本発明においては、特にポリカルボジイミド化合物を用いることが好ましい。また、その重合度は、通常2以上、好ましくは4以上である。また、その上限は、通常40以下、好ましくは30以下である。重合度が小さいと、後述する基材樹脂粒子の製造時にカルボジイミド化合物が揮散し効果が低下する可能性がある。一方、重合度が大きすぎると樹脂組成物中における改質剤の分散性が不十分となり、均一な発泡特性が得られない可能性がある。
なお、工業的に入手可能なポリカルボジイミドとしては、例えば、カルボジライトHMV−8CA(日清紡製)、カルボジライトLA−1(日清紡製)、スタバクゾールP(ラインケミー社製)、スタバクゾールP100(ラインケミー社製)などが挙げられる。
また、イソシアネート化合物としては、例えば、シクロヘキシルイソシアネート、n−ブチルイソシアネート、フェニルイソシアネート、2,6ージイソプロピルフェニルイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイノシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,4,6−トリイソプロピルペニルジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。また、イソシアネート化合物は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いても良い。
さらに、エポキシド化合物としては、ブチルフェニルグリシジルエーテル、レゾルシングリシジルエーテル、ヒドロキノングリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、N−グリシジルフタルイミド、テレフタル酸ジグリシジルエステル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂および/又はノボラック型エポキシ樹脂、エチレン−グリシジルメタクリレート−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。また、エポキシド化合物は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いても良い。
また、オキサゾリン化合物としては、2,2’−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)等が挙げられる。また、オキサゾリン化合物は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いても良い。
さらに、この他、グリシジルエステル化合物、グリシジルアミン化合物、グリシジルイミド化合物、脂環式エポキシ化合物等のエポキシ化合物、オキサジン化合物なども、改質剤として挙げられる。これらの中でも、エポキシ化合物およびカルボジイミド化合物が好ましい。
また、本発明の樹脂組成物では、後述する発泡粒子の使用用途に応じて適度にカルボキシル末端や酸性低分子化合物の封止を行えば良く、封止の程度はその用途に応じて任意である。具体的なカルボキシル末端や酸性低分子化合物の封止の程度としては、以下に示す式(1)により計算される、酸価(AV値:μeq/g)を用いて評価することができる。
Figure 0005482429
A:測定滴定値(mL)
B:ブランク測定値(mL)
F:0.01N水酸化ナトリウムのベンジルアルコール液の力価
W:試料重量(g)
ここで、上記式(1)の各種物性値は任意の方法で求めることができるが、例えば、自動滴定装置(東亜ディーケーケー(株)オートタイトレーターAUT−50)を用いることができる。試料0.5gを精秤し、ベンジルアルコール25mLが入った試験管中で195℃の加熱浴で9分間加熱し、試料を溶解させる。試料が完全に溶解したことを確認し、氷水中で30秒〜40秒冷却した後、エチルアルコール2mLを加えた後、攪拌しながら試料溶液中にpH電極を入れ、0.01N水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液(10%メタノール液)を用い電位差滴定による中和滴定を行う。一方、試料が溶解されていないブランクサンプルを調製し、上記方法と同様に滴定を実施し、ブランク値とする。これらの滴定結果より、上記式を用いて酸価を計算することができる。
また、本発明の樹脂組成物の酸価は、樹脂組成物を適当な溶媒に溶解させた後、濃度既知の水酸化ナトリウムなどのアルカリ化合物溶液で滴定することにより測定したり、NMRにより測定したりすることもできる。
以上の方法で計算した酸価は、本発明の効果を損なわない限り任意であるが、耐加水分解性を向上させる観点から、本発明の樹脂組成物の酸価が、通常40μeq/g以下、好ましくは30μeq/g以下、より好ましくは20μeq/g以下である。なお、「eq」は「mol」を表わす単位である。
また、改質剤の使用量は、生分解性樹脂を100重量部として、通常0.01重量部以上、好ましくは0.05重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上、特に好ましくは0.2重量部以上、また、通常10重量部以下、好ましくは5重量部以下、より好ましくは3重量部以下、特に好ましくは2重量部以下である。この範囲の下限を下回ると末端封止の効果が現れない可能性があり、上限を上回ると製造費が高くなりすぎる可能性がある。
また、上記の使用量の範囲内において、改質剤は、定量的にポリエステル酸末端を封止する量を加えれば良いが、長期安定性や発泡粒子製造時における発泡剤含浸工程における耐加水分解抑制効果と溶融張力向上効果とを発現するためには、ポリエステル末端に対して改質剤を過剰に存在させることが望ましい。なお、ここで改質剤を過剰に存在させるとは、基材樹脂(即ち、生分解性樹脂及び適宜使用されるその他の樹脂)の酸価以上に改質剤を加えることをいう。
本発明の樹脂組成物に改質剤を含有させる具体的な方法に制限は無く、また、本発明の発泡粒子を製造するいずれの工程において混合しても良い。ただし、通常は、生分解性樹脂を含む基材樹脂粒子を製造する何れかの工程において、生分解性樹脂と改質剤とを混合する。例えば、生分解性樹脂を二軸混練押出し機等で溶融混練する時に改質剤を同時に練り込んでも良いし、また、溶融している生分解性樹脂に改質剤を混合させても良い。なお、ここでいう基材樹脂粒子は、本発明の発泡粒子を製造する際に作製されるもので、この基材樹脂粒子を発泡させることにより本発明の発泡粒子が得られる。
溶融混練時に改質剤を練りこむ場合には、混練時温度としては120℃〜250℃が好ましい。温度が高すぎると、樹脂等の材料が熱劣化する可能性があるためである。また、低分子揮発成分を除去する目的から、混練時には、混練機シリンダー途中を真空吸引(ベント吸引)できるようにすることが好ましい。なお、二軸混練押出し機における二本のスクリューの回転方向は、同方向でも異方向でも良い。
また、改質剤を高含有で含むマスターバッチを使用することが好ましい。含有量が目的濃度となるように混合して希釈することができるためである。マスターバッチ中の改質剤の含有量に制限は無いが、通常1重量%以上である。また、その上限は、通常45重量%以下、好ましくは40重量%以下、より好ましくは35重量%以下である。改質剤の含有量が少なすぎると、マスターバッチとして使用するには適切でない可能性があり、また、含有量が多すぎると、ゲル化が進行しやすくなる可能性がある。
マスターバッチとして採用される樹脂は特に限定されず、例えば、カルボジイミドを含有する市販マスターバッチでも良いが、使用する生分解性樹脂と同様の樹脂を用いて製造されたマスターバッチが好ましい。
[2−2.核剤]
本発明の樹脂組成物は、後述する発泡粒子が均一で微細な気泡セルを得るため、気泡調整剤としての核剤を含有することが好ましい。核剤は、本発明の発泡粒子の製造時に基材樹脂粒子を発泡させるときに核となり、気泡径の調節等の目的で用いられるものである。核剤は、本発明の効果を著しく損なわないものであれば任意のものを用いることができ、無機系核剤および有機系核剤のいずれをも使用することができる。なお、核剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の比率及び組み合わせで併用しても良い。
無機系核剤の具体例としては、タルク、カオリン、モンモリロナイト、合成マイカ、クレー、ゼオライト、シリカ、グラファイト、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、硫化カルシウム、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ネオジウムおよびフェニルホスホネートの金属塩などを挙げることができる。また、これらの無機系核剤は、組成物中での分散性を高めるために、有機物で修飾されていても良い。なお、無機系核剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いても良い。
一方、有機系核剤の具体例としては、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸カルシウム、安息香酸マグネシウム、安息香酸バリウム、テレフタル酸リチウム、テレフタル酸ナトリウム、テレフタル酸カリウム、シュウ酸カルシウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、ミリスチン酸カルシウム、オクタコサン酸ナトリウム、オクタコサン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、トルイル酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム、サリチル酸亜鉛、アルミニウムジベンゾエート、カリウムジベンゾエート、リチウムジベンゾエート、ナトリウムβ−ナフタレート、ナトリウムシクロヘキサンカルボキシレートなどの有機カルボン酸金属塩;p−トルエンスルホン酸ナトリウム、スルホイソフタル酸ナトリウムなどの有機スルホン酸塩;ステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、パルチミン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、トリメシン酸トリス(t−ブチルアミド)等のカルボン酸アミド;低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプロピレン、ポリブテン、ポリ−4−メチルペンテン、ポリビニルシクロアルカン、ポリビニルトリアルキルシラン、高融点ポリ乳酸等のポリマー;エチレン−アクリル酸又はメタクリル酸コポリマーのナトリウム塩、スチレン−無水マレイン酸コポリマーのナトリウム塩などのカルボキシル基を有する重合体のナトリウム塩又はカリウム塩(いわゆるアイオノマー);ベンジリデンソルビトールおよびその誘導体、ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート等のリン化合物金属塩;および2,2−メチルビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウムなどを挙げることができる。なお、有機系核剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いても良い。
これらの核剤の中でも、気泡が均一で高発泡倍率を有する発泡粒子を与える点から、タルクが好ましい。
さらに、上記核剤の平均粒径は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で任意である。ただし、気泡が均一で高発泡倍率を有する発泡粒子を得ることができ、また、当該発泡粒子から機械的強度や柔軟性などにすぐれた発泡成形体を得ることができる点から、通常50μm以下、好ましくは10μm以下であることが望ましい。また、2次凝集や取扱作業性の点から、通常0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上であるのが望ましい。上記平均粒径が上記範囲の下限未満となった場合には、発泡核点になりにくく、成形性が低下する可能性がある。また、核剤の平均粒径が上記範囲の上限を超える場合には、核剤の粒径が発泡粒子内の気泡壁の膜厚より大きくなって気泡膜が破れ易くなる可能性がある。
また、核剤の使用量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、生分解性樹脂100重量部に対して、高発泡倍率の発泡粒子を得る点から、通常0.001重量部以上、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上とする。また、本発明の発泡粒子を成形する際に、優れた融着性を発現させ、当該発泡粒子から機械的強度や柔軟性などにすぐれた発泡成形体を得る観点から、その上限は、通常10重量部以下、好ましくは2重量部以下である。この範囲の上限を超えると、本発明の発泡粒子を型内発泡成形体としたときの機械的強度、耐衝撃性などが低下する可能性がある。
さらに、本発明の樹脂組成物に核剤を含有させる具体的な方法に制限は無く、また、本発明の発泡粒子を製造するいずれの工程において混合しても良い。ただし、通常は、生分解性樹脂を含む基材樹脂粒子を製造する何れかの工程において、生分解性樹脂と核剤とを混合する。例えば、生分解性樹脂を製造する工程において含有させても良く、また、基材樹脂粒子の製造時に含有させても良い。なお、基材樹脂粒子の調製に用いた樹脂組成物に既に上述の核剤が含まれている場合には、これらを更に配合する必要はないが、任意に発泡性を調整する目的で追加しても良い。
[2−3.その他の成分]
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、上記の生分解性樹脂、改質剤及び核剤以外の成分を含有させても良い。例えば、上記の生分解性樹脂以外の樹脂を含有させるようにしても良く、また、その他の添加剤を含有させるようにしても良い。
[2−3−1.その他の樹脂]
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない限り、その他の樹脂を任意に含有させることができる。その他の樹脂として、例えば、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンゴム、ポリ酢酸ビニル、ポリブテン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリエチレンオキシド等のポリエーテル、等の熱可塑性樹脂;ロジン、ダンマル、グッタベルカ等の天然樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の比率及び組み合わせで併用しても良い。
ただし、生分解性樹脂以外の樹脂を併用する場合、本発明の効果を著しく損なわない限りその使用量に制限は無いが、本発明の発泡粒子が含有する全樹脂成分に対する生分解性樹脂の割合が、通常50重量%以上、好ましくは70%以上となるようにする。生分解性樹脂の量が増えれば、本発明の発泡粒子の分解速度が速くなり、また、分解後の崩形性が向上するからである。
[2−3−2.その他の添加剤]
添加剤は、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意であるが、例えば、酸化防止剤等の熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤(耐光剤)、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、離型剤、防曇剤、結晶核剤、可塑剤、着色剤、充填剤、相溶化剤、難燃剤等が挙げられる。特に、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、相溶化剤、結晶核剤、充填剤の何れか1種類以上の使用剤を10ppm以上含むことが好ましい。添加剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いても良い。なお、本明細書において「ppm」とは、重量を基準とした比率を表わす。
[2−3−2−1.熱安定剤]
樹脂組成物には、熱安定剤を含有させても良い。熱安定剤を含有させると、後述する熱成形時の樹脂の劣化を抑制するという効果が得られる。
熱安定剤は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができる。その具体例としては、BHT、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H、3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H、3H,5H)−トリオン、カルシウムジエチルビス[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート、ビス(2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ−tert−ブチル−5,5’−ジメチルフェニル)エタン、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド等のヒンダードフェノール系熱安定剤、トリデシルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’―ジイルビスホスフォナイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジファスファイト等のリン系熱安定剤、3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとキシレンの反応性生物等のラクトン系熱安定剤、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等の硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。これらの熱安定剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の比率及び組み合わせで併用しても良い。
また、熱安定剤の混合量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、生分解性樹脂100重量部に対して、通常100ppm以上、好ましくは200ppm以上、また、通常5重量部以下、好ましくは1重量部以下、より好ましくは0.5重量部以下である。この範囲を下回ると熱安定剤の効果が小さくなる可能性がある。また、この範囲を上回ると、製造費が高くなる可能性があり、熱安定剤のブリードアウトが生じる可能性がある。また、熱安定化剤を2種以上併用する場合には、それらの使用量の合計が上記範囲を満たすことが好ましい。
熱安定剤は、樹脂組成物を製造する如何なる工程において、混合しても良い。
[2−3−2−2.耐光剤]
樹脂組成物には、耐光剤を含有させても良い。耐光剤を含有させると、光による樹脂の劣化(分子量の低下)を抑制できる。
耐光剤は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができる。その具体例としては、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応性生物、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、メチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドトキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ポリ[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]等のヒンダードアミン系安定剤等が挙げられる。
耐光剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の比率及び組み合わせで併用しても良い。特に異なる種類の耐光剤を組み合わせて用いることが好ましく、さらに、紫外線吸収剤と組み合わせて用いることが好ましい。中でも、ヒンダードアミン系安定剤と紫外線吸収剤との組み合わせが好ましい。
耐光剤を混合する量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、生分解性樹脂100重量部に対して、通常100ppm以上、好ましくは200ppm以上、また、通常5重量部以下、好ましくは1重量部以下、より好ましくは0.5重量部以下である。この範囲を下回ると耐光剤の効果が小さくなる傾向がある。また、この範囲を上回ると製造費が高くなる可能性があり、樹脂組成物の耐熱性が劣ったり、耐光剤のブリードアウトが生じたりする可能性がある。なお、耐光剤を2種以上併用する場合には、それらの使用量の合計が上記範囲を満たすことが好ましい。
耐光剤は、樹脂組成物を製造する如何なる工程において、混合しても良い。
[2−3−2−3.紫外線吸収剤]
樹脂組成物に含有させることができる紫外線吸収剤は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができる。その具体例としては、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]フェノール等が挙げられる。
紫外線吸収剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の比率及び組み合わせで併用しても良い。特に異なる種類の紫外線吸収剤を組み合わせて用いることが好ましく、さらに、耐光剤と組み合わせて用いることが好ましい。
紫外線吸収剤を混合する量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、生分解性樹脂100重量部に対して、通常100ppm以上、好ましくは200ppm以上、また、通常5重量%以下、好ましくは2重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下である。この範囲を下回ると紫外線吸収剤の効果が低下する可能性がある。また、この範囲を上回ると製造費が高くなりすぎたり、生分解性樹脂組成物の耐熱性が劣ったり、紫外線吸収剤のブリードアウトが生じたりする可能性ある。なお、紫外線吸収剤を2種以上併用する場合には、それらの使用量の合計が上記範囲を満たすことが好ましい。
紫外線吸収剤は、樹脂組成物を製造する如何なる工程において、混合しても良い。
[2−3−2−4.相溶化剤]
相溶化剤は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができる。その具体例としては、脂肪族ポリエステル樹脂の末端又は主鎖に、エステル基、カルボン酸無水物、アミド基、エーテル基、シアノ基、不飽和炭化水素基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、芳香族炭化水素基などを反応させたもの等が挙げられる。
また、相溶化剤としては、例えば、脂肪族ポリエステル樹脂と、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、液晶ポリマー等の芳香族系ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、SEBS(ポリスチレン−block−ポリ(エチレン−co−ブチレン)−block−ポリスチレン)、SEPS(ポリスチレン−block−ポリ(エチレン−co−プロピレン)−block−ポリスチレン)、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ナイロン6、ナイロン6-6、ナイロン6-10、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン13ナイロン4、ナイロン4-6、ナイロン5-6、ナイロン12・ナイロン10−12、アラミド等のポリアミド系樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル等のアクリル樹脂、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ1,3−プロパンジオール、ポリテトラメレングリコール、変性ポリフェニレンエーテル等のポリエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂等とのグラフト共重合体、ブロック共重合体、マルチブロック共重合体、ランダム共重合体なども挙げられる。
さらに、上記の共重合体以外にも、相溶化剤としては、ブレンドする異なる樹脂の構造の両方を同一分子中に含む化合物も挙げられる。また、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、SEBS、SEPS、ポリスチレン、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン12、ポリアセタール樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル等のアクリル樹脂、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ1,3−プロパンジオール、ポリテトラメレングリコールのポリマー分子の末端又は側鎖に、水酸基、カルボキシル基、エステル基、アルキル基、アルキレン基と反応可能な官能基を有するポリマーなども挙げられる。
相溶化剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の比率及び組み合わせで併用しても良い。特に、本発明の樹脂組成物において、生分解性樹脂が2種以上から構成される場合には、相溶化剤を使用することが好ましい。
相溶化剤の使用量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、生分解性樹脂100重量部に対して、通常0.01重量部以上、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは1重量部以上、また、通常50重量部以下、好ましくは30重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。この範囲を下回ると相溶化剤の効果が小さくなる可能性がある。また、この範囲を上回ると製造費が高くなる可能性ある。なお、相溶化剤を2種以上併用する場合には、それらの使用量の合計が上記範囲を満たすことが好ましい。
相溶化剤は、樹脂組成物を製造する如何なる工程において、混合しても良い。
[2−3−2−5.帯電防止剤]
樹脂組成物には、帯電防止剤を含有させても良い。帯電防止剤としては、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意のものを用いることができる。具体例としては、界面活性剤型のノニオン系、カチオン系、アニオン系が好ましい。
ノニオン系に代表される帯電防止剤はグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルジエタノールアミン、ヒドロキシアルキルモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸エステルアルキルジエタノールアマイド類があり、中でもアルキルジエタノールアミン類が帯電防止効果の発現性の点から好ましい。カチオン系に代表される帯電防止剤はテトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩などが選ばれる。また、アニオン系ではアルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルホスフェートが挙げられ、中でも、アルキルベンゼンスルホン酸塩は基材樹脂との混練性、帯電防止効果の発現性の点から好ましい。帯電防止剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の比率及び組み合わせで併用しても良い。
帯電防止剤の使用量は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、生分解性樹脂に対して、通常0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上、また、通常5重量%以下、好ましくは3重量%以下である。上記範囲を下回ると、帯電防止性向上効果が低減する傾向がある。また、上記範囲を上回ると、生分解性樹脂組成物同士の融着性が低下する可能性がある。さらに、生分解性樹脂組成物の表面べたつきが発生し、製品価値が低下する可能性がある。なお、帯電防止ポリエステル系樹脂発泡粒子は、その成形体において表面固有抵抗値が、通常1×10Ω/□以上であり、その上限は、通常5×1013Ω/□以上、好ましくは1×1012Ω/□以上の値を示すものである。表面固有抵抗値の測定はJIS−K6911準拠した測定法を用いる。測定装置としてはハイレスターUP MCP−HT450型(ダイアインスツルメンツ製)を使用する。
帯電防止剤は、樹脂組成物を製造する如何なる工程において、混合しても良い。また、混合方法も、特に制限はない。ただし、該混合物含有率の高いマスターバッチ、例えば該混合物の含有率が5重量%以上、20重量%以下のマスターバッチを調節し、これと基材樹脂とを混合する方法が該混合物を均一に分散させやすいという点から好ましい。また、混合方法については、混練性等の観点から二軸押出機を使用することが好ましい。
[2−3−2−6.充填剤]
充填剤としては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができる。その具体例としては、滑剤やワックス類、着色するための顔料、耐熱性や剛性を高めるフィラー、さらに発泡成形安定剤などが挙げられる。なお、充填剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の比率及び組み合わせで併用しても良い。
滑剤やワックス類としては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができる。その具体例としては、パラフィン油、固形パラフィン等のパラフィン、ステアリン酸、パルミチン酸等の高級脂肪酸、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、パルミチン酸ナトリウム等の脂肪酸の金属塩、ステアリン酸ブチル、グリセリンモノステアレート、ジエチレングリコールモノステアレート等の脂肪酸エステル、ステアロアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド、オキシステアリン酸のエチレンジアミド、メチロールアミド、オレイルアミド、エルシルアミド等の脂肪酸アミド等、カルナウバワックス、モンタンワックス等のワックス類などが挙げられる。なお、滑剤やワックス類は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いても良い。
また、顔料としては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができ、無機系の顔料であっても、有機系の顔料であっても良い。無機系の顔料の具体例としては、黄鉛、亜鉛黄、バリウム黄等のクロム酸塩、紺青等のフェロシアン化物、カドミウムイエロー、カドミウムレッド等の硫化物、鉄黒、べんがら等の酸化物、群青等のケイ酸塩、又はチャンネルブラック、ローラーブラック、ディスク、ガスファーネスブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック等を挙げることができる。また、有機系の顔料の具体例としては、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、アゾレーキ、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、又はフタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系、ペリノン系、チオインジゴ系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系等の多環式顔料等を挙げることができる。なお、顔料は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いても良い。
顔料の含有量は、全組成物重量に対して、通常0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上、また、通常5重量%以下、好ましくは3重量%以下である。添加する顔料が少なすぎると着色されない可能性があり、多すぎると着色ムラとなる可能性がある。
また、従来公知の各種フィラーや機能性添加剤を配合して組成物とし、発泡体にすることもできる。機能性添加剤としては、化成肥料、土壌改良剤、植物活性剤などを添加することができる。フィラーは、無機系フィラーと有機系フィラーとに大別される。なお、これらは、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いても良い。
無機系フィラーとしては、無水シリカ、雲母、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム、ケイ藻土、アロフェン、ベントナイト、チタン酸カリウム、ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、カオリン、カオリナイト、ガラス、石灰石、カーボン、ワラステナイト、焼成パーライト、珪酸カルシウム、珪酸ナトリウム等の珪酸塩、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、炭酸第二鉄、酸化亜鉛、酸化鉄、リン酸アルミニウム、硫酸バリウム等の塩類等が挙げられる。なお、無機系フィラーは、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いても良い。
無機系フィラーの含有量は、全組成物重量に対して、通常1重量%以上、好ましくは3重量%以上、より好ましくは5重量%以上である。また、その上限は、通常80重量%以下、好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下である。添加する無機系フィラーが少なすぎると剛性付与の改良効果がなくなる可能性があり、多すぎると発泡性を阻害する可能性がある。
無機系フィラーの中には、炭酸カルシウム、石灰石のように、土壌改良剤の性質を持つものもあり、これらの無機系フィラーを特に多量に含むバイオマス由来のポリエステル組成物を土壌に投棄すれば、生分解後の無機系フィラーは残存して、土壌改良剤としても機能するので、グリーンプラとしての有意性を高める。農業資材、土木資材のように、土壌中に投棄するような用途の場合には、化成肥料、土壌改良剤、植物活性剤のようなものを添加したポリエステルを発泡成形体とすることは、本発明のポリエステルの有用性を高めることになる。
有機系フィラーとしては、生澱粉、加工澱粉、パルプ、キチン・キトサン質、椰子殻粉末、木材粉末、竹粉末、樹皮粉末、ケナフや藁等の粉末などが挙げられる。有機系フィラーの添加量は、全組成物重量に対して、通常0.01重量%以上、通常70重量%以下である。特にこの有機系フィラー系の充填剤は、ポリエステル組成物の生分解後に、その有機系フィラーが、土壌に残り、土壌改良剤、堆肥としての役割も果すので、グリーンプラとしての役割を高める。なお、有機系フィラーは、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いても良い。
さらに、充填剤の使用量は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、生分解性樹脂100重量部に対して、通常0.01重量部以上、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは1重量部以上、また、通常50重量部以下、好ましくは30重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。この範囲の下限を下回ると添加効果が小さくなる可能性があり、上限を上回ると発泡特性を悪化させる可能性がある。
さらに、これらの充填剤は、本発明の発泡粒子の製造時のどの工程において発泡粒子に含有させるようにしても良いが、通常は、生分解性樹脂を含む基材樹脂粒子を製造する何れかの工程において含有させる。
[2−3−2−7.その他の成分]
さらに、上記のように、滑剤、ブロッキング防止剤、離型剤、防曇剤、結晶核剤、着色剤、難燃剤などを添加剤として用いても良い。これらはいずれも、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができ、また、その使用量も、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。さらに、これらの添加剤はいずれも、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の比率及び組み合わせで併用しても良い。
ただし、帯電防止剤及び結晶核剤は、それぞれ、生分解性樹脂100重量部に対して、通常100ppm以上、好ましくは200ppm以上、また、通常5重量部以下、好ましくは1重量部以下、より好ましくは0.5重量部以下用いることが好ましい。この範囲の下限を下回ると添加効果が小さくなる可能性があり、上限を上回ると製造費が高くなりすぎたり、樹脂組成物の耐熱性が低下したり、添加剤のブリードアウトが生じたりする可能性がある。
[2−4.樹脂組成物の製造方法]
本発明の樹脂組成物の調製は、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意の方法で行うことができ、中でも、混合/混練技術により行うことが好ましい。混合機としては、例えば、水平円筒型、V字型、二重円錐型混合機やリボンブレンダー、スーパーミキサーのようなブレンダー、また各種連続式混合機等を使用できる。また混錬機としては、例えば、ロールやインターナルミキサーのようなバッチ式混錬機、一段型、二段型連続式混錬機、二軸スクリュー押し出し機、単軸スクリュー押し出し機等を使用できる。中でも、二軸スクリュー押し出し機、単軸スクリュー押し出し機が好ましい。混練の方法としては、加熱溶融させたところに各種添加剤、フィラー、熱可塑性樹脂を添加して配合する方法などが挙げられる。また、前記の各種添加剤を均一に分散させる目的でブレンド用オイル等を使用することもできる。混合/混練の方法及び装置は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いても良い。
[2−5.MFR値]
ところで、本発明に係る生分解性樹脂は、熱履歴を加えることにより、MFR値を低下させることが好ましい。MFR値は公知の任意の方法で測定できるが、例えば、JIS K7210に基づき、メルトインデクサーを用いて測定できる。
MFR値の低下の要因は明らかになっていないが、樹脂に含まれる不飽和結合が関与していると推察され、加熱することにより不飽和結合部による架橋が促進すると考えられる。熱履歴を与える方法は任意であるが、例えば混錬機を用いる方法が採用できる。
混練時温度としては、本発明で使用するポリエステルの融点以上分解点以下が好ましく、通常120℃以上、好ましくは130℃以上、より好ましくは160℃以上、さらに好ましくは180℃以上である。上限値は通常280℃以下、好ましくは250℃以下、より好ましくは230℃が好ましい。温度が低すぎると、MFR値の低下に起因する効果が減少する可能性がある。また、温度が高すぎると、樹脂等の材料が熱劣化する可能性があるためである。
生分解性樹脂の滞留時間は、混錬温度や押出し機の長さと径の比(L/D)やスクリュー構成によって異なるが、生分解性樹脂の160℃以上での滞留時間が、通常5秒以上、好ましくは10秒以上、より好ましくは15秒以上、さらに好ましくは20秒以上である。また上限値は、通常20分以下、好ましくは10分以下、さらに好ましくは5分以下、より好ましくは2分以下である。滞留時間が短すぎると、MFR値の低下に起因する効果が減少し、発泡粒子製造が困難になる可能性がある。また滞留時間が長すぎると、樹脂の熱分解が起こることがあり、MFR値が高くなる可能性がある。さらに、樹脂組成物の生産性も悪くなる可能性もある。
また、低分子揮発成分を除去する目的から、混練時には、混練機シリンダー途中を真空吸引(ベント吸引)できるようにすることが好ましい。なお、二軸混練押出し機における二本のスクリューの回転方向は、同方向でも異方向でも良い。
また、熱履歴前のMFR値は通常0.8g/10分以上、好ましくは1g/10分以上、より好ましくは2g/10分以上である。また、その上限は、通常10g/10分以下、好ましくは8g/10分以下、より好ましくは6g/10分以下、さらに好ましくは5g/10分以下である。MFR値が小さすぎると、本発明の発泡粒子の製造が困難となる。またMFR値が大きすぎると、熱履歴を与えても発泡に適したMFR値まで低下しない可能性がある。
また、熱履歴後のMFR値は、通常0.1g/10分以上、好ましくは0.2g/10分以上、より好ましくは1g/10分以上である。またその上限は、通常5g/10分以下、好ましくは4g/10分以下、より好ましくは2g/10分以下である。MFR値が小さすぎると、発泡性が低下する可能性がある。
また、熱履歴前後におけるMFRの保持率は、通常1%以上、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは5%以上である。また、その上限は、通常80%以下、好ましくは60%以下、より好ましくは20%以下である。保持率が小さすぎる場合、発泡性の悪化や加工性が悪化する可能性があり、大きすぎる場合、再現性をとることが困難となる可能性がある。なお、MFRの保持率は、熱履歴後のMFR値を、熱履歴前のMFR値で除することで算出できる。
特に、本発明に係る生分解性樹脂は、前記の滞留時間と、前記のMFR保持率とを共に備えることが好ましい。その理由は、滞留時間により流動性が変化するからである。
また、熱履歴後のMFR値の低下や保持率を調整するために、各種の添加剤を添加することができる。添加剤としては、上述した熱安定剤、改質材等が選択される。使用量は設定したMFR値の保持率になるように添加することができ、本発明の効果を著しく損なわない限り、その使用量は制限されない。
[3.発泡粒子]
本発明の発泡粒子は、上述した本発明の生分解性樹脂を含む発泡粒子用樹脂組成物からなる、基材樹脂粒子を発泡させてなるものである。
[3−1.製造方法]
本発明の発泡粒子は、本発明の樹脂組成物からなる基材樹脂粒子を発泡させることにより製造できる。後述する発泡を行う限り、その具体的操作などは任意であるが、通常は以下に記載する方法によって得ることができる。
即ち、本発明の樹脂組成物を通常の溶融押出機を用いて押し出したストランドを、ペレタイザーを用いて、ペレット、又は粒子を成形する(基材樹脂粒子作製工程)。その後、この基材樹脂粒子を分散装置内に投入して、気相又は液相(例えば、水、純水等)に挿入して、例えば分散剤、融着防止剤、粘着防止剤のような、任意の慣用の添加剤を用いて、樹脂粒子分散液を調製した後、樹脂粒子分散液を、揮発性発泡剤を用いて発泡させることにより発泡粒子を得る(発泡工程)。この粒子を大気にさらし、空気を粒子気泡内に浸透させ、かつ必要に応じ粒子に付着した水分を除去する(熟成工程)。次いで、この発泡粒子を小さな孔やスリットが設けられている閉鎖型金型の型内に充填し、加熱発泡することによって個々の粒子を融着一体化した成形体とすることが出来る。
[3−1−1.基材樹脂粒子作製工程]
この工程では、樹脂組成物を通常の溶融押出機を用いて押し出してストランドとし、ペレタイザーを用いて、発泡粒子用基材樹脂粒子を製造する。これ以外にも慣用の成形方法で、ビーズ、粉末、微粉末のような所定の大きさの基材樹脂粒子を任意に製造することができる。基材樹脂粒子の大きさは、通常0.01mm以上、好ましくは0.1mm以上である。また、その上限は通常8mm以下、好ましくは5mm以下である。しかし、その後の発泡工程における不活性の揮発性発泡剤の浸漬を考慮して、最大長径及び最小短径の寸法が、それぞれ1mm以上、3mm以下の範囲内に入る程度のペレットが好ましい。樹脂粒子の寸法が0.01mmより小さいと発泡の程度が正確に定量できない可能性があり、8mmより大きいと、発泡剤の浸漬が難しくなり、均一な発泡体とならない可能性がある。
この工程で、前記脂肪族ポリエステル樹脂と改質剤、気泡調整剤としての核剤、その他の添加剤、その他の樹脂を配合した樹脂組成物とし、任意の大きさの基材樹脂粒子を製造することが好ましい。また、改質剤等の各種添加剤は、予め高濃度のマスターバッチを製造しておき、基材樹脂粒子を製造することが好ましい。
基材樹脂粒子の水分含有量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、樹脂粒子の水分含有量が下記の範囲となるように調整することが好ましい。その水分含有量は、本発明に係る生分解性樹脂に対して質量比で、通常0.1ppm以上、好ましくは0.5ppm以上、より好ましくは1ppm以上、最も好ましくは10ppm以上である。また、その上限は、通常3000ppm以下、好ましくは2000ppm以下、より好ましくは1000ppm以下、特に好ましくは800ppm以下、最も好ましくは500ppm以下である。水分含有量が少なすぎる場合には、設備や管理工程が煩雑となり経済的に不利になる可能性がある。また、乾燥時間に多くの時間を要するため、生分解性樹脂の着色やブツ(高度に架橋が進行し、流動性がなくなったもの)の生成等の劣化が起きる可能性がある。一方、多すぎる場合には、ペレット保存時の加水分解により、生分解性樹脂が劣化する可能性がある。
なお、基材樹脂粒子の水分含有量は任意の方法で測定できる。その具体例としては、水分気化装置(三菱化学株式会社製VA−100型)を用いて0.5gの試料を200℃で加熱溶融させて試料中の水を気化させた後、気化した全水分量を、微量水分測定装置(三菱化学株式会社製CA−100型)を用いてカール・フィッシャー反応の原理に基づく電量滴定法により定量することにより、樹脂粒子中の水分含有量を決定する方法が挙げられる。
以上の方法で作製した基材樹脂粒子は、最終的に成形型に充填して加熱成形する熱成形材料として適するように、ゲル化させることができる。ゲル化のための方法は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常は、架橋剤と、必要に応じて架橋助剤を用いて基材樹脂粒子の成分を架橋させるようにする。
(材料)
(架橋剤)
架橋剤は、基材樹脂粒子の架橋が可能であり、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常は有機過酸化物を用いる。架橋剤として使用できる有機過酸化物の具体例としては、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート;t−ブチルパーオキシイソブチレート等のパーオキシエステルなどが挙げられる。なお、架橋剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いても良い。
(架橋助剤)
また、架橋剤とともに、必要に応じて架橋助剤を用いることもできる。架橋助剤は重合性を有するものであり、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意のものを用いることができる。架橋助剤としては、中でも分子内に少なくとも1個の不飽和結合を有する化合物を用いることが好ましい。
架橋助剤が有する不飽和結合には、二重結合の他、三重結合も包含される。このような架橋助剤としては、例えば、ジビニルベンゼン等のジビニル化合物;アクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル;スチレン;酢酸ビニル;エチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート等のアクリレート系又はメタクリレート系の化合物;トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等のシアヌール酸又はイソシアヌール酸のアリルエステル;トリメリット酸トリアリルエステル、トリメシン酸トリアリルエステル、ピロメリット酸トリアリルエステル、ベンゾフェノンテトラカルボン酸トリアリルエステル、シュウ酸ジアリル、コハク酸ジアリル、アジピン酸ジアリル等のカルボン酸のアリルエステル;N−フェニルマレイミド、N,N−m−フェニレンビスマレイミド等のマレイミド系化合物;1,2−ポリブタジエン等の2重結合を有するポリマー;フタル酸ジプロバギル、イソフタル酸ジプロバギル、トリメシン酸トリプロバギル、イタコン酸ジプロバギル、マレイン酸ジプロバギル等の2個以上の3重結合を有する化合物などが挙げられる。また、不飽和結合を有するポリエステルなども用いることができる。なお、架橋助剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合せ及び比率で併用しても良い。
(組み合わせ)
架橋剤と架橋助剤との組合せとしては、架橋剤である有機過酸化物と、架橋助剤であるジビニル化合物、アクリル酸、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルからなる群より選ばれる1種以上の架橋助剤との組合せが好ましい。中でも、架橋剤であるベンゾイルパーオキサイドと、架橋助剤であるジビニルベンゼン及びメタクリル酸メチルからなる群より選ばれる1種以上の架橋助剤との組合せがより好ましい。
(使用量)
(架橋剤)
架橋剤の使用量に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、基材樹脂粒子100重量部当り、通常0.01重量部以上、好ましくは0.1重量部以上、また、通常10重量部以下、好ましくは5重量部以下である。架橋剤が少なすぎると、架橋効果が得られなくなる可能性があり、多すぎると後述する発泡粒子及びその成形体に架橋剤の未反応物や残渣が残る可能性がある。
(架橋助剤)
また、架橋助剤の使用量にも制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、基材樹脂粒子100重量部当り、通常0.001重量部以上、好ましくは0.01重量部以上、また、通常10重量部以下、好ましくは2重量部以下である。架橋助剤が少なすぎると、架橋効果が得られなくなる可能性があり、多すぎると発泡粒子及びその成形体に架橋助剤の未反応物や残渣が残る可能性がある。
架橋剤及び適宜用いられる架橋助剤(以下、適宜「架橋剤等」と言う。)は、いずれの段階において共存させるようにしても良い。
(架橋工程)
架橋により基材樹脂粒子をゲル化する工程は、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意に行うことができる。ただし、通常は、分散媒中において、架橋剤等の存在下で、基材樹脂粒子を加熱する。また、後述する発泡工程の分散媒に架橋剤等を共存させることにより、同時に架橋を行なうようにしても良い。
(分散媒)
分散媒に制限は無く、架橋が可能な限り任意のものを用いることができる。例えば、水、エチレングリコール、メタノール、エタノールなどが挙げられる。なお、分散媒は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の比率及び組み合わせで併用しても良い。
また、架橋時の温度条件も、架橋が可能である限り任意である。具体的な温度条件は発泡粒子に含まれる生分解性樹脂の種類により異なるので一義的に決めることは困難であるが、通常は、生分解性樹脂の融点をTm(℃)として、〔Tm−25(℃)〕以上、〔Tm+10(℃)〕以下で行なうことが好ましい。また、この際使用する架橋剤としては、上記の温度範囲において、半減期が1時間となるものを用いることが好ましい。分解温度が余りにも高い架橋剤を用いると、分散媒中で基材樹脂粒子を加熱する場合に、その加熱温度が高くなり、また加熱時間も長くなるため、生分解性樹脂が加水分解する可能性がある。
さらに、架橋のための加熱時間についても、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、加熱条件下での長時間の保持は、生分解性樹脂の加水分解を進行させ、また、ゲル化の効率や生分解性樹脂の物性を悪化させる可能性があることから、反応時間は3時間未満であることが好ましい。
また、基材樹脂粒子を確実にゲル化させるために、上記の架橋を行なうよりも前の工程において、上記の加熱温度未満の温度にて架橋剤等を基材樹脂粒子に含浸させる含浸工程を行なうようにすることが好ましい。
架橋剤等の含浸時の含浸温度は、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意である。中でも、好適な含浸温度は、生分解性樹脂の種類により異なり一義的に決めることは困難であるが、架橋剤の20時間の半減期を与える温度から、5時間の半減期を与える温度までの範囲とすることが好ましい。温度が低すぎる場合、架橋剤が粒子の中心部まで含侵としない可能性があり、高すぎる場合、架橋剤が含侵する前に架橋する可能性がある。
架橋剤として、例えば、過酸化ベンゾイルを使用した場合、その含浸温度は通常65℃以上、好ましくは70℃以上、また、通常85℃以下、好ましくは80℃以下である。また、含浸時間は通常10分以上、また、通常120分以下、好ましくは60分以下である。
また、架橋剤等の含浸時間も、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意である。中でも、好適な含浸時間は、基材樹脂粒子の重量によっても異なるが、通常10分以上、また、通常120分以下、好ましくは60分以下である。含浸時間が短すぎると、得られる発泡粒子内部のゲル分率が低くなる可能性がある。また、含浸時間が長すぎると、含浸性が向上する反面、生分解性樹脂の加水分解が進行する可能性がある。
また、基材樹脂粒子を密閉容器内で架橋剤等により架橋させる場合、密閉容器内の上部気相空間の酸素濃度は、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意である。ただし、上部気相空間の酸素濃度は、できるだけ低くすることが好ましい。好ましい酸素濃度としては、5体積%以下、さらに好ましくは0.5体積%以下である。これにより、架橋剤等の酸化劣化を抑制できるという利点を得ることができる。
酸素濃度を低くする方法としては、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意であるが、具体例としては、無機ガス、例えば窒素ガス、二酸化炭素、アルゴンガス、水蒸気等で置換する方法等が挙げられる。
また、密閉容器内の上部気相空間の酸素濃度を低下させるために、その溶存酸素濃度が、通常9.5mg/L以下、好ましくは8.5mg/L以下の分散媒を用いる。なお、発泡粒子のゲル分率は、分散媒中において、架橋剤等の存在下で基材樹脂粒子をゲル化処理する際の、そのゲル化条件等により調節することができる。
(ゲル分率)
ゲル化後の基材樹脂粒子のゲル分率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、通常5%以上、好ましくは10%以上である。また、その上限は、通常90%以下、好ましくは50%以下である。ゲル分率が小さすぎる場合、発泡過程において、膜が破けてしまう可能性があり、大きすぎる場合、発泡性しない可能性がある。
(ゲル化後の基材樹脂粒子の嵩密度)
ゲル化後の基材樹脂粒子の嵩密度は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、通常0.01g/cm以上、好ましくは0.02g/cmである。また、その上限は、通常0.6g/cm以下、好ましくは0.3g/cm以下である。
(ゲル化後の発泡粒子の平均粒径)
ゲル化後の基材樹脂粒子の平均粒径は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.01mm以上、好ましくは0.1mm以上、また、通常8mm以下、好ましくは5mm以下である。
[3−1−2.発泡工程]
発泡工程において、基材樹脂粒子を分散装置内で気相又は液相(例えば、水、純水等)に導入することで、例えば分散剤、融着防止剤、粘着防止剤のような、任意の慣用の添加剤を用いて樹脂粒子分散液を調製した後、樹脂粒子分散液を揮発性発泡剤により発泡させることで、発泡粒子を得る。
樹脂粒子分散液の調製方法は、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意の方法で行うことができる。例えば、以下のような手順で調製することができる。即ち、上述のようにして得られた基材樹脂粒子を後述の分散装置に投入し、気相又は液相で、必要に応じて任意の添加剤(例えば、分散剤、融着防止剤、粘着防止剤等)を含有させ、樹脂粒子分散液を調製する。
[3−1−2−1.分散装置]
分散装置は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、その具体例としては、オートクレーブが挙げられる。オートクレーブを用いる際、その容量は、実験室レベルでは、慣用の装置を用いて実施するので、容量が500mL程度であるが、工業的には、生産性を考慮して、容量が500mL〜5000L程度の任意の大型のものが使用できる。なお、分散装置は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意に組み合わせて用いても良い。
[3−1−2−2.分散媒]
発泡の際に樹脂粒子を分散させる分散媒としては、本発明の効果を著しく損なわず、基材樹脂粒子を溶解させないものであれば任意であるが、例えば、水、エチレングリコール、メタノール、エタノール等が挙げられ、通常は水(例えば純水)が使用される。なお、分散媒は、1種のものを単独で用いても良く、2種以上を任意の比率及び組み合わせで併用しても良い。
使用する分散媒の量は、基材樹脂粒子100重量部に対して、100重量部以上が好ましく、500重量部以下が好ましい。
[3−1−2−3.添加剤]
分散媒には、本発明の効果を著しく損なわない限り、必要に応じて任意の添加剤を含有することができる。例えば、融着防止剤、分散剤等が挙げられる。各添加剤の使用量は、基材樹脂粒子及び分散媒量を考慮し、任意に決めることができる。
(融着防止材)
基材樹脂粒子を分散媒に分散して加熱する際、その基材樹脂粒子同士の融着を防止するために融着防止剤を用いることができる。融着防止剤としては、本発明の効果を著しく損なわないうえで、分散媒に溶解せず、加熱によって溶融しないものであれば、無機系、有機系問わずに任意に使用可能である。中でも、融着防止剤は無機系のものが好ましい。その具体例としては、リン酸三カルシウム、カオリン、タルク、マイカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム等の粉体が挙げられる。なお、融着防止剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の比率及び組み合わせで併用しても良い。
融着防止剤の平均粒径は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.001μm以上、また、通常100μm以下、好ましくは30μm以下である。平均粒径が小さすぎる場合、融着防止剤の製造コストが増加する可能性がある。また、平均粒径が大きすぎる場合、融着防止剤として機能しない可能性がある。
さらに、融着防止剤の使用量も、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、基材樹脂粒子100重量部に対し、通常0.01重量部以上、通常10重量部以下である。使用量が少なすぎる場合、基材樹脂粒子同士の融着を防止することができない可能性がある。また、使用量が多すぎる場合、発泡粒子の製造コストが増加する可能性がある。
(分散剤)
また、分散媒には分散剤を共存させることが好ましい。本発明の効果を著しく損なわない限り分散剤に制限は無いが、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤などが挙げられる。なお、分散剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の比率及び組み合わせで併用しても良い。
さらに、分散剤の使用量も、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、基材樹脂粒子100重量部に対し、通常0.001以上、通常5重量部以下である。使用量が少なすぎる場合、基材樹脂粒子同士の融着を防止することができない可能性がある。また、使用量が多すぎる場合、発泡粒子の製造コストが増加する可能性がある。
発泡工程では、調製された樹脂粒子分散液に昇温させながら揮発性発泡剤を圧入する圧入工程、一定の温度及び時間で保持する保温工程、及び降温させながら放圧状態にする放圧工程とからなる。ただし、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意の工程を追加して実施することができ、また、圧入工程、保温工程及び放圧工程の回数及び順序を任意に変更して実施することができる。
[3−1−2−4.圧入工程]
圧入工程は、樹脂粒子分散液に存在する空気などの気体を窒素ガスで置き換えた後、攪拌下に、揮発性発泡剤を高圧注入しながら、一定の発泡温度に昇温させる。
(揮発性発泡剤)
揮発性発泡剤としては、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意のものを用いることができる。中でも、ポリエステルの燃焼を促進するようなものではなく、環境に優しく、しかも取り扱いが比較的安全で、容易な身近なものが好ましい。例えば、二酸化炭素、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスや圧縮空気が好ましく、特に、二酸化炭素、窒素などが好ましく、より好ましくは二酸化炭素である。その理由としては、樹脂に対する溶解度が高いためである。また、空気も使用できる。これらの気体は単独で用いても、2種以上の気体を任意の比率及び組み合わせで用いても良い。例えば、二酸化炭素と圧縮空気などの組み合わせがある。
(圧入速度)
圧入速度は、分散装置や基材樹脂粒子等を考慮して決定されるが、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意である。
(昇温速度)
昇温速度は、分散装置や基材樹脂粒子等を考慮して決定されるが、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意である。
[3−1−2−5.保温工程]
(時間)
保温時間は、基材樹脂粒子、保温温度及び攪拌条件等を考慮して決定されるが、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意である。
(温度)
発泡温度についても、基材樹脂粒子、保温時間及び攪拌条件等を考慮して決定されるが、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意である。ただし、通常80℃以上、好ましくは100℃以上である。また、その上限は、通常120℃以下、好ましくは110℃以下である。温度が低すぎる場合、発泡しない可能性があり、高すぎる場合、樹脂の膜が溶解し、穴が開く可能性がある。
(圧力)
高圧注入の程度は、用いる発泡剤の種類及び基材樹脂粒子の種類等により違いがあるが、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意である。ただし、オートクレーブ内のゲージ圧力が通常30kgf/cm(2.9MPa)以上、通常60kgf/cm(5.9MPa)以下程度あれば良い。圧力が低すぎる場合、目的の発泡倍率が得られない可能性があり、高すぎる場合、装置の耐圧性能を維持するため、装置のコストが高くなる可能性がある。
[3−1−2−6.放圧工程]
(降温速度)
降温速度は、分散装置や基材樹脂粒子等を考慮して決定されるが、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意である。
(放圧時の温度)
放圧時の温度は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、内容物の突発的な粒子の飛散や水の過沸騰などを防止することを考慮し、通常90℃以上、通常100℃以下、好ましくは98℃以下に温度を下げて、分散装置の一端を解放して、樹脂粒子を常温(約25℃)常圧(約1気圧)に放置する。
[3−1−2−7.嵩密度]
以上の工程により得られる発泡粒子の嵩密度は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、通常0.01g/cm以上、好ましくは0.02g/cmである。また、その上限は、通常0.6g/cm以下、好ましくは0.3g/cm以下である。嵩密度が小さすぎる場合、次工程での型内発泡の際に発泡しない可能性があり、大きすぎる場合、発泡倍率の低い成型体しか得られない可能性がある。なお、このような「発泡粒子」を「予備発泡粒子」と呼ぶこともできる。
[3−1−2−8.平均粒径]
また、本発明の発泡粒子の平均粒径は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常1mm以上、好ましくは2mm以上、また、通常20mm以下、好ましくは10mm以下である。平均粒径が小さすぎる場合、ハンドリング性が悪化する可能性がある。また、平均粒径が大きすぎる場合、次工程での型内成型の際に微細加工が出来ない可能性がある。
[3−1−2−9.発泡倍率]
発泡粒子の発泡倍率は、各種条件を調整することにより任意に制限することができる。例えば、放圧工程の放圧温度(放圧時の分散装置内の温度または基材樹脂粒子の温度)及び放圧環境温度を、常温より高く又は常温より低くして、温度条件及び放圧速度を調節することにより、得られる発泡粒子の発泡倍率を通常2倍以上、好ましくは4倍以上、またその上限は通常120倍以下、好ましくは60倍以下程度に制御することができる。なお、発泡倍率は、発泡成形体の強度、気泡の均一性という発泡材料の品質などにも影響することから、生産現場で留意して調整する。本明細書においての発泡倍率は、多くの慣用の手段に従って定量できるが、身近な例としては、未発泡粒子および発泡粒子あるいは発泡成形体を、例えば目盛付シリンダー内の水中にそれぞれ投入して、発泡前後の体積変化を測定して、その体積比を算出すれば定量できる。
[3−1−3.熟成工程]
熟成工程において、発泡粒子を大気にさらし、空気を粒子気泡内に浸透させ、かつ必要に応じ粒子に付着した水分を除去する。空気の浸透、及び発泡粒子に付着した水分の除去は、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意の方法で行うことができる。
[4.発泡粒子の用途]
以上の工程で得られた発泡粒子は、任意の用途に用いることができる。中でも、発泡粒子は、成形して用いることが好ましい。
[4−1.発泡成形体]
発泡粒子の成形は、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意の方法で行うことができる。中でも、成形工程として、目的とする形状の成形用金型(以下、適宜「モールド」と言う。)内に、所定量の発泡粒子を投入して、スチームなどを用いて、又は伝導熱、輻射熱、マイクロ波などの加熱手段として、通常100℃以上、好ましくは110℃以上、またその上限は、通常140℃以下、好ましくは125℃以下で加熱して、発泡成形をすることが好ましい。このとき、スチームを用いることが好ましい。
モールドに入れる発泡粒子の量は、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意である。中でも、発泡粒子の発泡程度により異なるが、発泡倍率を考慮し、モールド容量に対して通常30体積%以上、通常90体積%以下である。発泡粒子をモールド内で加熱発泡することにより、所望の形状を持った発泡成形体が成形される。
また、発泡倍率が非常に高い、例えば、発泡倍率10〜80倍程度の発泡粒子を圧縮することで所望の発泡成形体を製造することができる。そして、一般的な成形方法において、例えば、発泡倍率が約50倍というような飽和状態に達している発泡粒子の場合には、モールド内で110〜180容量%程度という、モールド体積に対して過大量の発泡粒子をモールドに入れ、それを圧縮することにより固めるということも可能である。しかし、この技術は、発泡倍率の大きい粒子を加熱融着するものであり、気泡の縮小にもなり、高度な取り扱い技術を要することから、慣用技術ではない。この成形工程は、通常は、具体的な発泡成形体の型、大きさ、強度、用途などの諸事情を考慮して決める設計事項でもある。通常は比較的低発泡の発泡粒子を、さらにモールド内で二次発泡させ、未発泡粒子に対して、発泡倍率が通常10倍以上、好ましくは20倍以上、通常80倍以下、50倍以下程度の、所望の用途を持った形状の発泡成形体を成形することが推奨される。
上述した方法に基づき、発泡粒子の発泡倍率、モールドによる成形条件を適切に制御することで、例えば、その発泡成形体の成形の際に、温度を比較的低くしたモールドを用いることで、皮付きの発泡成形体を成形できる。モールド内でさらに発泡させると、モールド内部では発泡方向に気泡が楕円形状に配列した気泡構造を採るものが多いが、モールド内面に押し付けられた表層部に相当する部分の発泡粒子は容易につぶれ、発泡倍率の低い皮付きや、表層部分の気泡が、表層面に平衡に扁平になった気泡になることもある。この発泡成形体の表面構造が、発泡成形体の収縮の発生、通気性、透水性、断熱性、および強度に影響することから、成形条件、発泡倍率などは、用途を考慮して設定する。部分的に強度を要求される発泡成形体には、皮付きや、リブなどを設けて力学的な材料および構造的な工夫が有益である。
本発明の発泡成形体の成形収縮率は非常に小さい。その成形収縮率は、通常10%以下、好ましくは5%以下である。また、発泡成形体の収縮率は、基材樹脂の不飽和結合量が通常7μmol/g以上、特に、15μmol/g以上の時に、小さな値を示す。さらに、このような発泡成形体の場合、発泡粒子は熱融着性及び生分解性にも優れていることから、生分解性を有する発泡成形体を得ることができる。
[4−2.二次加工工程]
以上の工程により得られた発泡成形体は、化学的機能、電気的機能、磁気的機能、力学的機能、摩擦/磨耗/潤滑機能、光学的機能、熱的機能、生体適合性等の表面機能等の付与を目的として、任意の各種合目目的二次加工を施すことも可能である。二次加工の例としては、エンボス加工、塗装、接着、印刷、メタライジング(めっき等)、機械加工、表面処理(帯電防止処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、フォトクロミズム処理、物理蒸着、化学蒸着、コーティング、等)等が挙げられる。
このようにして得られた発泡成形体の形状は特に制約されず、例えば、容器状、板状、筒体状、柱状、シート状、ボード状、ブロック状等の各種形状を挙げることが出来る。また、その用途としては、日用雑貨、玩具、産業資材、工業用資材、保冷箱の断熱材や緩衝材用途等への使用が期待される。さらに、同一あるいは他の樹脂の非発泡体との積層体としても良い。
以下に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例によって限定されるものではない。
[1.樹脂の評価方法]
[1−1.MFR値測定]
JIS K7210に基づき、メルトインデクサーを用いて190℃、荷重2.16kgにて測定した。保持率(%)は次式で求めた。
保持率(%)=脂肪族ポリエステル樹脂粒子のMFR/脂肪族ポリエステル樹脂のMFR×100
[1−2.H−NMR]
得られたポリエステルの組成は、H−NMRによって測定した。試料約30mgを外径5mmのNMR試料管にはかり取り、重クロロホルム0.75mLに加えて溶かした。Bruker社製AVANCE400分光計を用い、室温でH−NMRスペクトルを測定した。化学シフトの基準は、テトラメチルシラン(TMS)を0.00ppmとした。ポリマー骨格はコハク酸単位、ブタンジオール単位、りんご酸単位、乳酸単位からなるものとし、各成分量(モル%)を算出した。不飽和結合量はビニル基、フマル酸、マレイン酸をH−NMRスペクトルより定量し、ポリマー1g中に含まれる不飽和結合量(μmol/g)とした。
[1−3.滞留時間の測定]
通常運転中、ホッパー下に樹脂が無くなる寸前にカラーペレットをホッパー下部に数粒入れ、脂肪族ポリエステル樹脂を投入する。ストップウォッチによりカラーペレット投入から計測し始め、ダイス出口から着色し始める時間を計測して滞留時間を測定した。
[1−4.発泡性の評価]
発泡性の評価は、以下に示す基準に従って行った。
釜から抜き出した際に、発泡粒子が均一に膨らんでいる確率が80%以上のもので、かつ、発泡粒子が3つ以上融着している確率が20%以下であるものを○とした。
また、発泡粒子が均一に膨らんでいる確率が60%以上のもので、かつ、発泡粒子が3つ以上融着している確率が20%以下であるものを△とした。
発泡形状が均一でないもの、気泡が合一しているもの、発泡粒子が80%以上の確率で融着しているものを×とした。
ただし、これらの確率は、発泡粒子10重量部を任意に抜き出し、その中で融着した発泡粒子や発泡形状が著しくいびつなものを取り出し、重量部を測定し確率を算出した。これを5回繰り返した平均値によって指標とした。
[1−5.発泡粒子の嵩密度]
空のメスシリンダーに、相対湿度50%、23℃大気圧下において一日以上放置した発泡粒子を入れたとき、メスシリンダーの目盛りが示す容積で、その入れた発泡粒子の重量を除することによって求めた。単位はg/cmである。
[1−6.発泡成形体の収縮率]
成形体の収縮率は以下に示す式により算出し、面方向における縦、横の収縮率の内、大きい方を採用した。
R=(B−A)/B×100(%)
R:成形体収縮率(%)
A:成形直後から60℃24時間の養生した後の面方向の長さ(mm)
B:Aに対応する金型の面方向の長さ(mm)
[1−7.生分解性試験]
発泡成形体を50mm×50mm×10mmの試験片に切り出し、土壌埋没試験を5ヶ月間実施し、形状維持の有無により判定した。形状維持のできないサンプルを、生分解性が良好とした。
[2.実施例]
[実施例1]
攪拌装置、窒素導入管、加熱装置、温度計、助剤添加口を備えた容量1立方メートルの反応容器に、コハク酸134重量部、りんご酸0.495重量部、1,4−ブタンジオール123重量部、テトラブチルチタン7.21重量部を仕込んだ。容器内容物を攪拌下、窒素ガスを導入し、窒素ガス雰囲気下120℃から反応を開始し、1時間40分かけて200℃まで昇温した。引き続き、1時間25分かけて240℃に昇温すると同時に0.07×10Paまで減圧し、240℃、0.07×10Paにて9時間重合を行なった。
得られた脂肪族ポリエステル樹脂をH−NMRにより分析した結果、得られた脂肪族ポリエステル樹脂の組成は、1,4−ブタンジオール単位50.0モル%、コハク酸単位49.8モル%、数平均分子量Mnは45000であった。また、得られた脂肪族ポリエステル樹脂の融点は114℃であった。さらに、不飽和結合量は脂肪族ポリエステル樹脂に対して7μmol/g、MFR値は4.4g/10分であった。
得られた脂肪族ポリエステル樹脂に、核剤(気泡調整剤)であるタルク(松村産業(株)製、ハイフィラー#12;平均粒径3〜4μm)を190℃において二軸混練押出し機にて溶融混練した後、ストランド状に押出した。次いで、このストランドを切断し、直径約1.7mm、長さ約1.9mm、1個当り約3mgの脂肪族ポリエステル樹脂粒子を得た。得られた脂肪族ポリエステル樹脂粒子のMFR値は3.3g/10分であり、熱履歴前後のMFR保持率75%であった。脂肪族ポリエステル樹脂粒子製造時の滞留時間は45秒であった。
得られた脂肪族ポリエステル樹脂粒子100重量部と、純水300重量部と、融着防止剤である第3リン酸カルシウム0.02g重量部、分散助剤であるドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.0006重量部とを、内容積5Lの撹拌器付きオートクレーブに入れ、窒素ガスを導入しオートクレーブ内の酸素を除去した。撹拌しながら発泡温度(105℃)まで昇温し、二酸化炭素をオートクレーブ内のゲージ圧力が45kgf/cmとなるまで注入し、同温度で45分間保持した。その後、95℃まで内容物を冷却し、同温度で5分間保持した後、オートクレーブの一端を開放して、大気圧下にして発泡粒子を得た。この発泡粒子の嵩密度は、0.051g/cmであった。また、発泡性は○であった。
得られた発泡粒子を温度25℃、相対湿度50%の条件下で1日間静置し、200mm×200mm×50mmの金型に充填し、成形温度を120℃としてスチームで加熱して成形した。得られた発泡成形体は、大気圧下40℃で48時間養生した。
得られた発泡成形体の収縮率は、4.2%であった。また、生分解性試験結果は形状が維持できなくなるほど分解が進んでおり良好であった。
[実施例2]
実施例1にフマル酸0.069重量部を追加して、同様に重合を行った。
得られた脂肪族ポリエステル樹脂をH−NMRにより分析した結果、得られた脂肪族ポリエステル樹脂の組成は、乳酸単位(なし)、1,4−ブタンジオール単位50.0モル%、コハク酸単位49.9モル%、数平均分子量Mnは45000であった。また、得られた脂肪族ポリエステル樹脂の融点は114℃であった。さらに、不飽和結合量は、脂肪族ポリエステル樹脂に対して17μmol/g、MFR値は4.2g/10分であった。
また、脂肪族ポリエステル樹脂粒子製造時の滞留時間は30秒であった。得られた脂肪族ポリエステル樹脂粒子のMFR値は1.7g/10分であり、熱履歴前後のMFR保持率40%であった。
また、発泡体についても同様に評価を行った結果、嵩密度は0.055g/cmであった。また、発泡性は○であった。
さらに、実施例1と同様に形成を行った。得られた発泡成形体の収縮率は、3.3%であった。発泡成形体の生分解性試験結果は、形状が維持できなくなるほど分解が進んでおり良好であった。
[実施例3]
実施例1にフマル酸0.281重量部を追加して、同様に重合を行った。なお、重合時間を7時間とした。
得られた脂肪族ポリエステル樹脂をH−NMRにより分析した結果、得られた脂肪族ポリエステル樹脂の組成は、乳酸単位0モル%、1,4−ブタンジオール単位50.
0モル%、コハク酸単位49.9モル%、数平均分子量Mnは58000であった。また、得られた脂肪族ポリエステル樹脂の融点は114℃であった。さらに、不飽和結合量は、脂肪族ポリエステル樹脂に対して、25μmol/g、MFR値は3.1g/10分であった。
また、脂肪族ポリエステル樹脂粒子製造時の滞留時間は25秒であった。得られた脂肪族ポリエステル樹脂粒子のMFR値は0.5g/10分であり、熱履歴前後のMFR保持率16%であった。
また、発泡体についても同様に評価を行った結果、嵩密度は0.049g/cmであった。また、発泡性は○であった。
さらに、実施例1と同様に形成を行った。得られた型内発泡成形体の収縮率は、2.8%であった。生分解性試験結果は形状が維持できなくなるほど分解が進んでおり良好であった。
[実施例4]
実施例1にフマル酸0.517重量部を追加して、同様に重合を行った。なお、重合時間を7時間とした。
得られた脂肪族ポリエステル樹脂をH−NMRにより分析した結果、得られた脂肪族ポリエステル樹脂の組成は、乳酸単位0モル%、1,4−ブタンジオール単位50.0モル%、コハク酸単位49.8モル%、数平均分子量Mnは53000であった。また、得られた脂肪族ポリエステル樹脂の融点は114℃であった。さらに、不飽和結合量は、脂肪族ポリエステル樹脂に対して、35μmol/g、MFR値は2.8g/10分であった。
また、脂肪族ポリエステル樹脂粒子製造時の滞留時間は45秒であった。得られた脂肪族ポリエステル樹脂粒子のMFR値は0.2g/10分であり、熱履歴前後のMFR保持率7%であった。
また、発泡体についても同様に評価を行った結果、嵩密度は0.052g/cmであった。また、発泡性は○であった。
さらに、実施例1と同様に形成を行った。得られた型内発泡成形体の収縮率は、2.9%であった。なお、生分解性試験結果は形状が維持できなくなるほど分解が進んでおり良好であった。
[実施例5]
実施例1にフマル酸1.1重量部を追加して、同様に重合を行った。なお、重合時間を5時間とした。
得られた脂肪族ポリエステル樹脂をH−NMRにより分析した結果、得られた脂肪族ポリエステル樹脂の組成は、乳酸単位0モル%、1,4−ブタンジオール単位50.0モル%、コハク酸単位49.7モル%、数平均分子量Mnは52000であった。また、得られた脂肪族ポリエステル樹脂の融点は115℃であった。さらに、不飽和結合量は、脂肪族ポリエステル樹脂に対して、60μmol/g、MFR値は7.0g/10分であった。
また、脂肪族ポリエステル樹脂粒子製造時の滞留時間は45秒であった。得られた脂肪族ポリエステル樹脂粒子のMFR値は0.3g/10分であり、熱履歴前後のMFR保持率4%であった。
また、発泡体についても同様に評価を行った結果、嵩密度は0.055g/cmであった。また、発泡性は△であった。
さらに、実施例1と同様に形成を行った。得られた型内発泡成形体の収縮率は、1.2%であった。なお、生分解性試験結果は形状が維持できなくなるほど分解が進んでおり良好であった。
[比較例1]
攪拌装置、窒素導入管、加熱装置、温度計、助剤添加口を備えた容量1立方メートルの反応容器に、コハク酸134重量部、りんご酸0.495重量部、1,4−ブタンジオール123重量部、酸化ゲルマニウムを予め1重量%溶解させた90%DL乳酸水溶液7.21重量部を仕込んだ。容器内容物を攪拌下、窒素ガスを導入し、窒素ガス雰囲気下120℃から反応を開始し、1時間40分かけて200℃まで昇温した。引き続き、1時間25分かけて230℃に昇温すると同時に0.07×10Paまで減圧し、230℃、0.07×10Paにて6時間重合を行なった。
得られた脂肪族ポリエステル樹脂をH−NMRにより分析した結果、得られた脂肪族ポリエステル樹脂の組成は、乳酸単位2.1モル%、1,4−ブタンジオール単位48.9モル%、コハク酸単位49.0モル%、数平均分子量Mnは61000であった。また、得られた脂肪族ポリエステル樹脂の融点は110℃であった。さらに、不飽和結合量はポリマー1gに対して5μmol/g、MFR値は5.2g/10分であった。
得られた脂肪族ポリエステル樹脂に、核剤(気泡調整剤)であるタルク(松村産業(株)製、ハイフィラー#12;平均粒径3〜4μm)を190℃において二軸混練押出し機にて溶融混練した後、ストランド状に押出した。次いで、このストランドを切断し、直径約1.7mm、長さ約1.9mm、1個当り約3mgの脂肪族ポリエステル樹脂粒子を得た。この得られた脂肪族ポリエステル樹脂粒子のMFR値は5.0g/10分であり、熱履歴前後のMFR保持率96%であった。脂肪族ポリエステル樹脂粒子製造時の滞留時間は50秒であった。
得られた脂肪族ポリエステル樹脂粒子100重量部と、純水300重量部と、融着防止剤である第3リン酸カルシウム0.02g重量部、分散助剤であるドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.0006重量部とを、内容積5Lの撹拌器付きオートクレーブに入れ、窒素ガスを導入しオートクレーブ内の酸素を除去した。撹拌しながら発泡温度(105℃)まで昇温し、二酸化炭素をオートクレーブ内のゲージ圧力が45kgf/cmとなるまで注入し、同温度で45分間保持した。その後、95℃まで内容物を冷却し、同温度で5分間保持した後、オートクレーブの一端を開放して、大気圧下にして発泡粒子を得た。この発泡粒子の嵩密度は、0.052g/cmであった。また、発泡性は×であった。
得られた発泡粒子を温度25℃、相対湿度50%の条件下で1日間静置し、200mm×200mm×50mmの金型に充填し、成形温度を120℃としてスチームで加熱して成形した。得られた発泡成形体は、大気圧下40℃で48時間養生した。
得られた発泡成形体の収縮率は、20%であった。また、生分解性試験結果は形状が維持できなくなるほど分解が進んでおり良好であった。
[比較例2]
比較例1で得られた脂肪族ポリエステル樹脂に、核剤(気泡調整剤)であるタルク(松村産業(株)製、ハイフィラー#12;平均粒径3〜4μm)、DVB−570(ジビニルベンゼン純度57%品:新日鐡化学(株)製)1.37重量部を190℃において二軸混練押出し機にて溶融混練中、モーター負荷が急激に上昇し、混練を中止した。架橋が進行したためと考えられる。参考までにサンプルの一部でMFR値測定を実施したところ、MFR値は0.05g/10分であり、MFR保持率は1%以下であった。この方法では安定的に脂肪族ポリエステル樹脂粒子が得られず、発泡粒子を製造するには不適であった。
以上の実施例及び比較例により得られた、脂肪族ポリエステル樹脂粒子、脂肪族ポリエステル樹脂粒子、発泡粒子及び発泡成形体の測定値を、表1及び表2にまとめた。
Figure 0005482429
Figure 0005482429
本発明の発泡粒子成形体は、寸法安定性、耐熱性、緩衝性及び機械的強度に優れ、緩衝材、包装資材等として好適に使用されると共に、生分解性を有しているためその後の廃棄処分が容易となるなど、その産業的意義は多大である。

Claims (6)

  1. 不飽和結合量が7μmol/g以上、100μmol/g以下の生分解性樹脂を含む樹脂組成物を発泡させる
    ことを特徴とする、発泡粒子の製造方法。
  2. 該生分解性樹脂が、脂肪族ジオール単位及び脂肪族ジカルボン酸単位を有する脂肪族ポリエステル樹脂である
    ことを特徴とする、請求項1記載の発泡粒子の製造方法。
  3. 該生分解性樹脂の160℃以上での滞留時間が5秒以上、熱履歴前後におけるメルトフローレイトの保持率が1%以上80%以下である
    ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の発泡粒子の製造方法。
  4. 不飽和結合量が7μmol/g以上、100μmol/g以下の生分解性樹脂を含む
    ことを特徴とする、発泡粒子用樹脂組成物。
  5. 該生分解性樹脂が、脂肪族ジオール単位及び脂肪族ジカルボン酸単位を有する脂肪族ポリエステル樹脂である
    ことを特徴とする、請求項4記載の発泡粒子用樹脂組成物。
  6. 該生分解性樹脂の160℃以上での滞留時間が5秒以上、熱履歴前後におけるメルトフローレイトの保持率が1%以上80%以下である
    ことを特徴とする、請求項4又は請求項5に記載の発泡粒子用樹脂組成物。
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