図2には、本発明に係る風呂給湯システムの一実施例における給湯装置27のシステム構成が模式的に示されている。同図に示すように、給湯装置27には、2つの燃焼面を持つ給湯バーナ10と、追い焚きバーナ16とが設けられており、給湯バーナ10の上側には給湯熱交換器7が、追い焚きバーナ16の上側には追い焚き熱交換器15がそれぞれ設けられている。給湯熱交換器7の入側には給水通路5が設けられ、該給水通路5には、入水温度センサ6と流量センサ4とが介設されている。給湯熱交換器7の出側には給湯温度センサ8が設けられており、給湯通路11が接続されている。給湯通路11には、水量制御弁49が介設されている。
前記追い焚き熱交換器15の入側には、管路19と追い焚き循環ポンプ70とを介して戻り管23が接続され、追い焚き熱交換器15の出側に往管24が接続されている。往管24と戻り管23とは浴槽26に接続されており、これら往管24、戻り管23、追い焚き熱交換器15、管路19を有して追い焚き循環通路25が形成されている。該追い焚き循環通路25は、注湯通路14を介して前記給湯通路11に接続されており、注湯通路14には、水位センサ21と注湯電磁弁23と流量センサ12とが介設されている。なお、図2において、符号22は流水スイッチ、符号9は給湯バーナ10へのガス通路、符号52はガス電磁弁、符号17は追い焚きバーナ16へのガス通路を、それぞれ示している。
給湯装置27の制御装置3には、リモコン装置1,2(風呂リモコン装置1と台所リモコン装置2)が信号接続されており、給湯装置27は、リモコン装置1,2の運転スイッチをオンした状態で給湯管路11から給湯先に設けられている給湯栓(図示せず)を開くことにより、給湯機能の動作が開始される。この動作制御は、制御装置3内の燃焼制御部(図2には図示せず)の制御によって行われるものであり、給湯バーナ10に供給される燃料のガスを点火手段(図2には図示せず)の点火動作によって燃焼させて、給湯熱交換器7を通る水を加熱して湯とする。
ここで、入水温度センサ6による入水温と、流量センサ4による給湯量に基づき、給湯温度センサ8により検出される給湯温(出湯温)が給湯設定温度となるように前記給湯バーナ10に供給されるガスの燃焼が行われ、給湯栓の開度に応じた水量の水が給湯設定温度の湯とされて、給湯管路11を通して台所や浴室等の給湯先へ供給される。なお、バーナ燃焼の上限に達しても給湯設定温度とならない場合には、給湯設定温度となるまで水量制御弁49で水量を絞るような場合もあるが、これを含めて、給湯栓の開度に応じた水量で給湯先から出湯される。
また、給湯装置27は、給湯機能の動作の他に、湯張り機能の動作、追い焚き機能の動作、保温機能の動作を連続的に行う自動運転の機能や、追い焚き単独運転の機能を有している。自動運転の機能は、リモコン装置1,2の少なくとも一方に設けられている自動スイッチをオンすることにより開始するものであり、注湯電磁弁13が開かれ、前記給湯機能の動作と同様に給湯熱交換器7を通って加熱された湯が、給湯管路11から注湯路14に入り、戻り管23と往管24を有して構成される追い焚き循環路25を通して浴槽26へ落とし込まれる。
湯張りが完了したときに注湯電磁弁13が閉じられ、風呂温度センサ18によって検出される検出温度が湯張り設定温度(風呂設定温度)よりも低いときには追い焚き機能の動作が行われる。この追い焚き機能の動作は、循環ポンプ70が駆動されて浴槽26の湯水が追い焚き循環路25を通して循環されるものである。自動運転の動作においては、引き続き、予め設定された設定時間だけ、浴槽湯水の温度が風呂の設定温度よりも許容範囲を越えて低くならないように、保温機能の動作が行なわれる。なお、追い焚き単独運転の機能は、通常リモコン装置1に設けられている追い焚きスイッチが押されたときに、前記追い焚き機能の動作を行うものである。
図1には、本実施例の風呂給湯システムの特徴的な制御構成が模式的なブロック図により示されている。同図に示すように、リモコン装置1,2は、エコ運転オン操作部30、エコ運転解除操作部31、運転オンオフ手段28、エコ運転内容設定操作手段32、報知手段33を有しており、制御装置3は、入浴検知手段20、モード切換手段34、エコ運転モード実行手段35、水量制御実行手段60、メモリ部47、運転オンオフ手段48、省エネ水量可変手段37、省エネ目標達成判断手段38、燃焼制御部50、削減エネルギー算出手段39を有している。入浴検知手段20は水位センサ21に電気的に接続されており、水量制御実行手段60は、流量センサ4と水量制御弁49に電気的に接続されている。また、燃焼制御部50は、給湯バーナ10の点火手段51と、給湯バーナ10のガス通路9に介設されているガス電磁弁52に電気的に接続されている。
なお、図3(a)には、風呂リモコン装置1の外観図の一例が示されており、同図に示すリモコン装置1は、情報の表示手段としての表示画面41を有し、該表示画面41の側部には、スピーカ47と、複数の操作手段が設けられている。この操作手段は、給湯装置27の可動の有無を操作するための運転スイッチ42と、給湯装置27の追い焚き運転を指示する追い焚きスイッチ43と、給湯装置27の自動運転を指示する自動スイッチ44と、通話スイッチ45と、エコ運転スイッチ(エコ運転ボタン)46であり、スイッチ42,43,44は、給湯装置27の動作指令操作手段として機能する。リモコン装置1,2の態様は特に限定されるものではないが、本実施例に適用されている台所リモコン装置2は、風呂リモコン装置1の追い焚きスイッチ43を除いた構成を有している。
入浴検知手段20は、人の入浴を検知する手段である。入浴検知手段20には、人が浴槽26に入ったとき(入浴)と出たとき(出浴)を水位変動によって検出するための水位変動の判定基準値が与えられて、入浴検知手段20内のメモリ(図示せず)に格納されている。入浴検知の判定基準値としては、例えば、基準時間(例えば20秒間)に浴槽水位の上昇が基準値(例えば3cm)以上という判定値で与えられ、また、出浴検知の判定基準値としては、例えば、基準時間(例えば20秒間)に浴槽水位の下降が基準値(例えば3cm)以上という判定値で与えられる。これらの基準時間や基準値も前記メモリに格納されている。
入浴検出手段20は、例えば水位センサ21により検出される水位変動に基づき、例えば水位の変動が生じたときに、内蔵の時計機構(タイマ)の動作を開始させ、基準時間内に水位の変動量が基準値に達しているか否かを判断し、水位上昇の変動量が水位上昇の基準値に達したときには、人が浴槽26に入浴したものと判断する。そして、この入浴検知信号をエコ運転モード実行手段35に加える。なお、入浴検知手段20は、水位下降の変動量が水位下降の基準値に達したときには人が浴槽26から出浴したものと判断する。また、水位上昇から一定時間水位上昇がない場合にも、出浴したものと判断する。
エコ運転オン操作部30は、給湯装置27のエコ運転移行機能をオン設定する(給湯装置27がエコ運転移行機能の動作を行うえるようにする)操作部であり、前記エコ運転スイッチ46により形成されている。このエコ運転スイッチ46をオンする(ここでは押す)と、このオン信号(エコ運転移行機能のオン信号)が制御装置3のモード切換手段34に加えられる。
エコ運転解除操作部31は、給湯装置27のエコ運転移行機能をオフ設定(解除)する操作部であり、エコ運転移行機能の解除信号をモード切換手段34に加える。本実施例において、エコ運転解除操作部31は、リモコン装置1,2の前記スイッチ42〜46のうち、適宜の複数(ここでは2つ)のスイッチにより形成され、そのスイッチを同時に操作する(押す)ことにより、給湯装置27のエコ運転移行機能が解除される構成と成している。
なお、エコ運転スイッチ46がエコ運転解除操作部31も兼用する構成とし、エコ運転スイッチ46がオンの状態で、さらにエコ運転スイッチ46を押すことにより、給湯装置27のエコ運転移行機能がオフ設定される構成としたり、専用のエコ運転解除操作部31を設けたりすることもできるが、できれば本実施例のような態様として、エコ運転移行機能のオフ設定(解除)は、容易に行えないようにすることが好ましい。
モード切換手段34は、エコ運転オン操作部30から加えられるエコ運転移行機能のオン信号を受けて、エコ運転モード実行手段35に、後述するエコ運転モードの動作への移行条件に達したときには、通常の給湯動作からエコ運転モードの動作に移行するように指令を加える。また、モード切換手段34は、エコ運転解除操作部31から、給湯装置27のエコ運転移行機能の解除信号が加えられたときには、エコ運転モード実行手段35に、エコ運転モードの動作への移行停止指令を加える。
なお、モード切換手段34は、例えば、エコ運転解除操作部31からエコ運転移行機能の解除信号が出力されて、エコ運転モード実行手段35にエコ運転移行機能の実行停止指令を加えた後、予め定められたオン待機設定時間が経過した後には、自動的に、エコ運転モード実行手段35にエコ運転移行機能のオン信号を加える(前記オン待機設定時間経過後にエコ運転移行機能のオン設定を自動的に行う自動オン設定手段をモード切換手段34に設ける)ようにしてもよい。このようにすると、例えば利用者の都合によってエコ運転移行機能を解除しても、その後、前記オン待機設定時間経過後には、再び自動的にエコ運転移行機能がオン設定されるので、より省エネ化を実現しやすいし、エコ運転移行機能のオンオフを頻繁に行う必要もない。
また、モード切換手段34は、エコ運転解除操作部31によって、エコ運転移行機能が解除されても、予め定められたオフ待機設定時間が経過するまでは、エコ運転モード実行手段35にエコ運転移行機能の実行停止指令を加えないようにして、エコ運転移行機能の解除がすぐには行われないようにしてもよい。この場合にも、エコ運転移行機能の解除がすぐには行われない分だけ、省エネ化を実現しやすい。
エコ運転モード実行手段35は、モード切換手段34からエコ運転移行機能の実行指令が加えられると、エコ運転モードの動作への移行条件に達したときに、エコ運転モードの動作を実行するものである。本実施例においては、入浴検知1回当たりの給湯使用量の上限量が設定されて、メモリ部47に格納されており、流量センサ4により検出される入浴検知1回当たりの給湯使用量(給湯使用量検出値)が前記給湯使用量の上限量に達した以降に、エコ運転モード実行手段35は予め定めたエコ運転モードの動作を実行する。
つまり、前記入浴検知1回当たりの給湯使用量が前記給湯使用量の上限量に達するまでは、予め設定された設定温度の湯が、給湯先に設けられている給湯栓の開度に応じた水量で出湯されるように、燃焼制御部50により給湯制御動作を行うが、入浴検知1回当たりの給湯使用量が前記給湯使用量の上限量に達した以降は、予め定めたエコ運転モードの動作に移行する(エコ運転モード実行手段35がエコ運転モードの動作を実行する)。
なお、入浴検知1回当たりの給湯使用量は、例えば入浴検知手段20によって人の入浴が検知されてから(または出浴を検知してから)予め定められる設定判断時間が経過するまでの間に使用される給湯使用量とすることができる。また、人が入浴する際に、一度、浴槽26につかってから顔や体等を洗い、再度、浴槽26につかって体を温めてから出ることも多いために、入浴検知手段20によって1回目の入浴検知(または出浴検知)が行われてから予め定められる設定時間内において2回目の入浴検知(または出浴検知)が行われるまでの間に使用される給湯使用量を入浴検知1回当たりの給湯使用量としてもよいし、その2回目の入浴検知(または出浴検知)が行われてからさらに、予め定められる追加設定時間が経過するまでの間に使用される給湯使用量を入浴検知1回当たりの給湯使用量としてもよい。あるいは、予め定められる設定判断時間自体をリセット(2回目の入浴検知が行われるのに要した時間を追加設定時間と)して、この間(リセット前後の間)に使用される給湯使用量を入浴検知1回当たりの給湯使用量としてもよい。
さらに、エコ運転モード実行手段35は、流量センサ4の検出信号を常時取り込んで記憶しておく構成とし、入浴検知手段20によって1回目の入浴検知が行われたときに、それよりも予め定められる設定時間だけさかのぼり、そのさかのぼった時刻からの給湯使用量を入浴検知1回当たりの給湯使用量に加えるようにしてもよい。このようにすると、人が浴槽26に入る前に、シャワーや掛け湯のために行った場合の給湯使用の量も入浴検知1回当たりの給湯使用量に加えることができ、より正確になる。
本実施例において、前記エコ運転モードの動作は、以下に述べる動作のいずれかに設定されている。つまり、エコ運転モードの動作は、給湯装置27の運転を停止する動作と、給湯使用時における給湯バーナ10の点火動作と給湯バーナ10へのガスの供給動作の少なくとも一方の強制的な禁止動作と、出湯の水量を絞って予め定められる省エネ水量の出湯を行う動作と、リモコン装置1,2の運転停止動作のいずれかに設定されている。この設定は、例えばリモコン装置1,2のエコ運転内容設定操作手段32によって可変設定することができるものであり、その内容がメモリ部47に格納されている。なお、エコ運転内容設定操作手段32を設けずに、給湯装置27毎に、エコ運転モードの動作内容を予め設定してメモリ部47に格納しておいてもよい。
エコ運転モードの動作が給湯装置27の運転を停止する動作に設定されている場合、エコ運転モード実行手段35は、給湯装置27の運転オンオフ手段48に運転オフ信号を加え、給湯装置27の運転を停止する。
また、エコ運転モードの動作が、給湯使用時における給湯バーナ10の点火動作と給湯バーナ10へのガスの供給動作の少なくとも一方の強制的な禁止動作に設定されている場合、エコ運転モード実行手段35は、燃焼制御部50に前記禁止動作の実行信号を加える。そして、燃焼制御部50により、給湯使用時における給湯バーナ10の点火動作と給湯バーナ10へのガスの供給動作の少なくとも一方の動作を行わないようにする。そうすると、給湯バーナ10の燃焼が行われないので、給湯通路11からは加熱されない冷たい水が出ることになる。
エコ運転モードの動作が出湯の水量を絞って予め定められる省エネ水量の出湯を行う動作に設定されている場合、エコ運転モード実行手段35は、水量制御実行手段60により水量制御弁49の開弁量を制御し、例えば8リットル/分といった省エネ水量により出湯が行われるようにする。なお、入浴検知1回当たりの給湯使用量が前記給湯使用量の上限量に達した以降の給湯において、その開始時に、すぐに給湯流量を絞らずに、予め定められる猶予期間が経過した後に給湯流量を絞るようにしてもよい。また、その猶予期間を、リモコン装置1,2の操作によって可変できるように構成してもよい。
エコ運転モードの動作が、リモコン装置1,2の運転停止動作に設定されている場合、エコ運転モード実行手段35は、リモコン装置1,2の運転オンオフ手段に運転オフ信号を加えて、リモコン装置1,2の運転を停止する。
エコ運転モード実行手段35は、エコ運転モードの動作を行う際に、そのタイミングと前記のような具体的な動作の情報をリモコン装置1,2の報知手段33に加える。
報知手段33は、エコ運転モードの動作中であることを、例えば音声と表示の少なくとも一方により報知する。例えば、エコ運転モード実行手段35により、給湯装置27の運転を停止するエコ運転モードの動作が行われると、「入浴1回当たりの給湯使用量が設定された上限量を超えましたので、エコ運転モードの動作により、装置の運転が停止しました」という内容を表示画面41に表示したり、スピーカ47から音声発信したりする。同様に、エコ運転モードの動作に合わせ、エコ運転モードの動作によって、その動作が行われている旨を表示と音声発信の少なくとも一方により報知する。
なお、図3(a)には、エコ運転モードの動作によって、出湯の水量を絞って、前記省エネ水量の出湯を行った際の音声発信の様子が模式的に示されている。ここで、音声発信に加えに、ブザーやチャイムによってエコ運転モードの動作が行われている旨を報知するようにしてもよい。さらに、報知手段33は、図3(a)のBで示した枠内のように、マーク表示を行ってもよい。なお、このようなマークは、エコ運転移行機能のオン設定時に表示するようにしてもよいし、流量が絞られるとき等、エコ運転モードの動作の開始時に表示するようにしてもよい。
省エネ目標達成判断手段38には、給湯装置27の予め定められる単位使用期間が、例えば1日、1週間、30日といった適宜の値で省エネ目標達成判断期間として設定されている。なお、この省エネ目標達成判断期間は、予め省エネ目標達成判断手段38に与えられているものであるが、例えばリモコン装置1,2に省エネ目標達成判断期間の可変手段を設けて、利用者等が適宜可変設定できるようにしてもよい。省エネ目標達成判断手段38は、省エネ目標達成判断期間における給湯使用情報に基づき、省エネ目標達成判断期間における給湯使用量が予め定められる省エネ目標以下か否かを判断し、その判断結果を省エネ水量可変手段37に加える。
なお、省エネ目標値は、例えば給湯使用の水量(水の体積)により与えられるものであるが、リモコン装置1,2により、水道料金等の目標値を設定するようにし、その値を給湯装置27が省エネ目標値(水量)に換算するようにしてもよい。また、省エネ目標達成判断手段38が、先月の給湯使用量を今月の省エネ目標値として自動設定してもよく、適宜設定されるものである。
また、前記のように、給湯流量を絞るエコ運転モードの動作時に猶予期間を与える場合に、省エネ目標達成判断手段38による前記判断結果を利用して、省エネ目標達成判断期間における給湯使用量が予め定められる省エネ目標値以下のときには、前記猶予期間を長くする方向に可変し、省エネ目標達成判断期間における給湯使用量が前記省エネ目標値を超えた時には、前記猶予期間を短くする方向に可変する機能を、制御装置3やリモコン装置1,2に設けてもよい。
省エネ水量可変手段37は、省エネ目標達成判断期間における給湯使用量が前記省エネ目標値以下のとき(省エネ目標達成判断手段38から省エネ目標達成判断が加えられたとき)には、省エネ水量を大きくする方向に可変し、省エネ目標達成判断期間における給湯使用量が前記省エネ目標値を超えたとき(省エネ目標達成判断手段38から省エネ目標非達成判断が加えられたとき)には、前記省エネ水量を小さくする方向に可変する。
なお、この省エネ水量の可変方法は適宜設定されるものであり、その一例として、例えば省エネ水量の可変幅を一定の設定値(例えば増やす場合は2リットル/分、減らす場合は3リットル/分)に決めておき、省エネ目標達成判断期間における給湯使用量が予め定められる省エネ目標値以下の時には、前記予め定めてある省エネ水量(8リットル/分)に前記設定値を加えて10リットル/分にし、省エネ目標達成判断期間における給湯使用量が予め定められる省エネ目標値を超えたときには、前記予め定めてある省エネ水量(8リットル/分)から前記設定値を差し引いて5リットル/分にするといったようにする方法を適用することができる。
また、別の方法として、省エネ目標達成判断期間における給湯使用量と前記省エネ目標との差に応じて、この差が大きいほど、省エネ水量の可変幅を大きくする方法を適用してもよい。ただし、この方法を適用する場合には、省エネ達成と使い勝手のバランスを考慮して、可変幅の上限を設けるか、省エネ水量の上限と下限を設けるかする。
削減エネルギー算出手段39は、エコ運転モードの動作によって給湯流量を絞り、省エネ水量の出湯を行うことによって削減できるエネルギー削減量を算出する。例えば、このエネルギー削減量を熱量計算により求めると、次式(1)により求めることができる。
熱量=(設定温度−入水温度)×流量/効率・・・(1)
なお、ここで、流量は、リモコン装置1,2の優先権(給湯の温度設定をリモコン装置1,2のうち、どちらで設定した温度にするかの優先権)を風呂リモコン装置1側にしている場合の流量で、入浴検知1回当たりの給湯使用量がその上限値に達するまでの平均の流量(水量)から省エネ水量を差し引いた値となり、効率は、一定としたり、燃焼面毎の値としたりすることができる。削減エネルギー算出手段39は、求めたエネルギー削減量の値を、リモコン装置1,2の報知手段33に加える。
報知手段33は、削減エネルギー算出手段39によって算出したエネルギー削減量に対応して、エネルギー削減量の情報を報知する。このエネルギー削減量の情報報知は、例えばリモコン装置1,2の表示画面41にエネルギー削減量の情報を表示することにより行うことができる。表示方法としては、エネルギー削減量の数値を表示してもよいし、グラフィック表示を行うようにしてもよい。また、例えば図3(b)に示すように、1つ以上の葉の絵をエネルギー削減量に対応させて、エネルギー削減量が大きいほど葉の数を増やして表示するようにしてもよい。このように、葉の絵などを用いて表示を行うと、省エネ効果を利用者に一目で確認させることができるので、好ましい。
また、エネルギー削減量の情報表示を数値にて表示する場合に、給湯毎に、そのエネルギー削減量のみを表示してもよいし、給湯毎のエネルギー削減量の表示に加え、例えば給湯装置27の予め定められる単位使用期間におけるエネルギー削減量の積算値の表示を行ってもよいし、エネルギー削減量の積算値のみの表示を行ってもよい。
さらに、エネルギー削減量の情報報知は、音声発信により行ってもよいし、音声発信と表示の両方により行ってもよい。音声発信による報知も、給湯毎のエネルギー削減量のみでもよいし、給湯毎のエネルギー削減量と前記単位使用期間におけるエネルギー削減量の積算値の両方でもよいし、エネルギー削減量の積算値のみでもよい。
また、前記の如く流量制御を行うと、エネルギー削減の効果に加え、使用ガス量や二酸化炭素発生量も削減することができる。そこで、使用ガス削減量の算出手段や発生二酸化炭素削減量の算出手段を設け、エネルギー削減量に加え、使用ガス量の削減量や二酸化炭素発生量の削減量を求める機能を設けてもよい。この場合、削減できる使用ガス量は、例えば次式(2)により求めることができ、削減できる二酸化炭素発生量は、例えば次式(3)により求めることができる。
使用ガス削減量=熱量/1m3当たりの発熱量・・・(2)
発生二酸化炭素削減量=使用ガス量×(CO2換算係数)+流量×(CO2換算係数)・・(3)
ここで、CO2換算係数は、二酸化炭素係数のことであり、二酸化炭素排出量に換算する原単位である。この原単位は、燃料とするガス(天然ガスやプロパンガス)に応じたり、電気の発電所の種類(東京電力(株)の場合、CO2の排出量の少ない水力発電の割合が20%、原子力発電が24%である等)に応じたりして算出する。また、流量は、前記と同様に、給湯栓の開度に応じた水量から省エネ水量を差し引いた値となる。
本実施例は、以上のように構成されており、入浴検知手段20による入浴検知の継続期間中に入浴検知1回当たりの給湯使用量が予め定めた給湯使用量の上限量に達した以降は通常の給湯制御動作から予め定めたエコ運転モードの動作に移行することから、湯の使いすぎを抑制し、省エネ化を実現できるし、前記入浴検知1回当たりの給湯使用量が前記給湯使用量の上限量に達するまでは通常通りの給湯利用ができるので、使い勝手を良好にできる。
なお、本発明は前記実施例に限定されることはなく、様々な実施の態様を採り得る。例えば、入浴検知手段により検知される入浴検知1回当たりの給湯使用量の上限量を設定する給湯使用上限量設定手段を、例えばリモコン装置1,2に設けてもよい。この場合、必要に応じて、入浴検知1回当たりの給湯使用量の上限量を可変設定できるので、利用者のニーズに対応させた制御が可能となる。
また、リモコン装置1,2のエコ運転オン操作部30の操作が行われてから給湯動作が行われた場合には、入浴検知1回当たりの給湯使用量を前記給湯使用量の上限量から差し引いた残りの湯量を、例えば図3(c)に示すように、リモコン装置1,2の表示画面41に、貯湯タンク40の図を用いて仮想的に図示させる表示制御手段をリモコン装置1,2に設けてもよい。図3(c)において、左端の図は貯湯タンク40内に湯が満たされている状態を示しており、貯湯タンク40内に湯が使用されていくと、図の矢印にしたがって右寄りの図のように湯の量が減っていく状態となり、貯湯タンク40内に湯が全て使用されると右端の図のようになる。
つまり、本発明に適用される給湯装置は、入浴検知1回当たりの給湯使用量の上限値を容量として持つ貯湯タンクを有する構成ではないが、入浴検知1回当たりの給湯使用量が給湯使用量の上限量に達するまでは、通常の給湯利用が可能であり、入浴検知1回当たりの給湯使用量が前記給湯使用量の上限量に達した以降は、予め定めたエコ運転モードの動作に移行するので、あたかも、入浴1回当たりに使用できる給湯使用量の上限量の湯を貯湯する貯湯タンクを有していて、その貯湯タンク内の湯を使い切るまでは通常の給湯利用が可能であり、使い切った後にはエコ運転モードの動作による制限が加えられるような構成を有する。したがって、その状態を貯湯タンク40の図を用いて仮想的に図示すると、通常の給湯利用が可能な湯の量を利用者に一目で知らせることができるので非常に分かりやすく、便利である。
なお、この際、図3(c)に示したように、貯湯タンク40の図の近傍(例えば上側)に、入浴検知1回当たりの給湯使用量を前記給湯使用量の上限量から差し引いた残りの湯量を、数値により表示してもよい。また、その残りの湯量が少なくなった場合、その残りの湯の図に数値表示を移し、赤色等の目立つ色で表示したり、点滅表示をしたりして、利用者の注意をひくような表示に変えてもよい。
また、エコ運転モードの動作として、給湯バーナ10に供給するガス量を小さくしてもよい。この場合、給湯温度を給湯設定温度に保つ場合には、給湯流量が小さくなり、また、給湯流量を絞らずに、給湯栓の開度に応じた流量に保つ場合には、給湯温度が設定温度よりも低く制御される。
さらに、前記実施例のように、入浴検知手段20が、水位センサ21の検出水位に基づいて人の入浴を検知する構成において、人が浴槽26に入ったとき(入浴)と出たとき(出浴)を水位変動によって検出するための水位変動の判定基準値を、人が半身浴をする場合に対応させて与えてもよいし、判定基準値は変えずに、その何割か(例えば8割)の水位変動が生じた際には、人が半身浴をしたと入浴検知手段20によって判断するようにしてもよい。
さらに、人によっては、何度も浴槽26に入る人もいるので、浴槽26に入浴したり浴槽26から出浴したりする人が同一人物であるか他の人であるかを判断できる判断基準値をあたえ、この判断基準値に基づいて人の入浴を検知し、入浴検知1回当たりの給湯使用量を検出するようにしてもよい。
さらに、前記実施例では、入浴検知手段20は、水位センサ21の検出水位に基づいて人の入浴を検知するようにしたが、例えば浴槽26の上方を検出領域とする人検知センサを浴室側壁等に設置し、その人検知センサによって人の浴槽26への入浴と出浴とを検出し、その検出信号に基づいて、入浴検知手段20が人の入浴を検知するようにしてもよい。この場合、人検知センサによる浴室への入室から出室までに使用する給湯使用量の上限値を入浴検知1回当たりの給湯使用量の上限値として設定し、その値と、人検知センサによる浴室への入室から出室までに使用する給湯使用量とに基づいて制御をしてもよい。このように、人検知センサを設ける構成によれば、人が浴槽26に入らずに、シャワーのみの利用を行う場合にも、その利用量に応じて、前記実施例と同様の動作により同様の効果を奏することができる。なお、人検知センサは、例えば遠赤外線センサによって構成することができるものであるが、遠赤外線センサによる人検知方法は公知であるので、その詳細説明は省略する。
さらに、例えば風呂リモコン装置1に、人が入浴するときに操作する入浴操作スイッチを設け、このスイッチが押されたときに、入浴検知手段20が人の入浴を検知するようにしてもよい。このようにすると、人が続けて入浴する場合にも、前の人が使用した給湯使用量がリセットされて、人ごとに、入浴検知1回当たりの給湯使用量の上限量に基づいて、エコ運転移行機能の実行の有無を的確に判断できる。
さらに、リモコン装置1,2の報知手段33を省略することもできる。ただし、報知手段33を設けて、エコ運転モードの動作中であることを報知したり、給湯流量が小さくした場合に、その給湯流量の制御動作によって削減されるエネルギー削減量を報知したりすることによって、利用者の省エネ実行意識を高めることができるため、報知手段33を設ける方が好ましい。
さらに、リモコン装置1,2のエコ運転オン操作部30、エコ運転解除操作部31のいずれかを省略し、これらの機能を制御装置3側に設けてもよい。ただし、リモコン装置1,2に、エコ運転オン操作部30、エコ運転解除操作部31を設けて前記実施例のように機能させることにより、使い勝手を向上できる。
さらに、リモコン装置1,2に、時計機構を設け、この時計機構によって計測する時刻が朝であるか夕方であるかに応じて、または、午前であるか午後であるかに応じて、エコ運転モード実行手段35による制御方法を変える機能を設けてもよい。この場合、例えば、入浴検知1回当たりの給湯使用量として、朝は一人分(例えば50リットル)で夕方は例えば親子で一緒に入浴するような場合があるので二人分(例えば100リットル)とする。この入浴検知1回当たりの給湯使用量は、リモコン装置で変えられるようにしてもよい。
また、給湯栓を開くと、給湯装置27と給湯先とを接続する配管内の水が出終わってから、給湯熱交換器7に供給された水が給湯設定温度近傍に加熱されて出湯されるので、給湯設定温度近傍の温度の湯が出るまでには時間がかかることがある。そこで、前記入浴検知1回当たり給湯使用上限量として、前記給湯開始から給湯設定温度近傍の温度の湯が出るまでの期間に出湯される水量を除いた値を設定してもよい。なお、例えば前回使用時から今回使用時までの使用待機時間が5分以内(外気温が5℃の時には3分以内、外気温が10℃の時には4分以内等、外気温に応じて異なる)の場合は、前回使用時に加熱されて配管内に滞留している湯が冷めていない状態で配管内が満たされているので、この場合は前記水量を0としてもよい。また、この水量は、季節に応じて変化するものであるので、この水量を設定する際、例えば冬場は多く設定したり、入水温に応じて入水温が低いほど多く設定したり、給湯が開始される時刻に応じて、朝一番には多く設定したりするなど、適宜設定してもよい。湯張りや湯として使えない配管内の水が出るまでの水量を除くようにすると、実際、蛇口をひねって湯として使用する湯量や、実際にシャワーとして浴びる湯量のみのタンク使用量表示となり、実感を持って省エネに取り組むことができる。
さらに、リモコン装置1,2の少なくとも一方には、リモコン装置1,2の未使用時の時間が予め定められる設定時間経過したときには、リモコン装置1,2の運転をオフする機能を設け、節電が行えるようにしてもよい。
さらに、前記実施例では、給湯装置27に風呂リモコン装置1と台所リモコン装置2を信号接続したが、必要に応じ、洗面所に設けるリモコン装置を信号接続してもよいし、例えば暖房機能等を有する給湯装置には居間に設けるリモコン装置を信号接続してもよく、リモコン装置の信号接続数や配置態様等は適宜設定されるものである。
さらに、リモコン装置を複数設ける場合に、そのリモコン装置の1つにのみ、前記実施例に適用したリモコン装置1,2の機能の少なくとも一つを設けてもよいし、複数のリモコン装置に、前記実施例に適用したリモコン装置1,2の機能の少なくとも一つを設けてもよい。
さらに、本発明の風呂給湯システムに適用される給湯装置のシステム構成は前記実施例で示した図2のシステム構成に限定されることはなく、適宜設定されるものである。つまり、少なくとも浴室を給湯先とする給湯機能を有していれば、自動湯張り機能や追い焚き機能を有していなくてもよいし、暖房機能や太陽熱利用集熱機能などの他の機能を有していてもよい。
さらに、前記実施例では、ガスを燃焼させるバーナを備えた給湯装置27としたが、給湯装置27は、ガス以外の燃料を燃焼させて水を加熱して湯とする給湯装置としてもよいし、電気によって水を加熱して湯とする給湯装置としてもよく、その詳細は適宜設定されるものである。