JP5480110B2 - イオンミリング装置及びイオンミリング加工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、走査顕電子微鏡の観察試料の断面作製等に用いられるイオンミリング装置及びイオンミリング加工方法に関する。
イオンミリング法は、真空中で加工対象の試料に加速したイオンを衝突させて、この衝突したイオンが試料から原子や分子をはじき飛ばすスパッタ現象を利用して、試料を切削又は研磨する加工方法である。その際、ビームの照射方向の試料面に、イオンビームの遮蔽板となるマスクを予め載せておくことによって、このマスク端面から突出した試料面部分だけがスパッタされることになり、イオンビームの光軸方向に沿った平滑な試料断面を加工することができる。
このイオンミリング法による加工は、金属,ガラス,セラミック,電子部品,複合材等を対象に用いられる。例えば、電子部品においては、その内部構造や断面積層形状,膜厚評価,結晶状態,又は故障や異物断面の解析等といった目的のために、走査電子顕微鏡(SEM)等を用いてその形態像,試料組成像,又はチャネリング像を取得する際や、X線分析,結晶方位解析等を取得する際に、観察試料の断面作製方法として用いられる。
ところで、試料断面作製方法としては、切削法や機械研磨法等といった機械的加工手法も知られているが、このような機械的加工手法では、硬度差の異なる材料が含まれた複合材を加工することは困難であり、加わった応力の影響をなくすことが難しく、且つ高いスキルが必要である、といった問題点があった。
これに対し、イオンミリング法は、イオンのスパッタ現象を利用した方法であるため、加工対象に物理的な応力が加わらない試料断面作製方法であり、柔らかい材質や空隙を含む材料等、機械的な切削や研磨の難しい試料の加工を可能にする。
イオンミリング法では、ビームの照射方向の試料面、すなわちビームが入射する側の試料面の非加工領域に、遮蔽板としてマスクを配置し、このマスクを配置した試料面に対して例えばアルゴン等のイオンビームを照射し、マスクから突出した試料部分をスパッタして取り除くことにより、イオンビームの光軸方向に沿った加工面を取得できる。このイオンビームを用いたイオンミリング法を適用した加工方法によれば、硬度差の異なる複合材料においても、材質差による影響を軽減した平滑な試料断面の作製を実施することができる。さらに、歪みの無い平滑で清浄な鏡面状態の試料断面を容易に得ることができる。
特許文献1には、真空チャンバ内に配置され、試料にイオンビームを照射するためのイオンビーム照射手段と、真空チャンバ内に配置されてイオンビームにほぼ垂直な方向の傾斜軸をもつ傾斜ステージと、その傾斜ステージ上に配置されて試料を保持する試料ホルダと、傾斜ステージ上に位置し、試料を照射するイオンビームの一部を遮る遮蔽材とを備え、その傾斜ステージの傾斜角度を変化させながら、イオンビームによる試料加工を行えるようにしたイオンミリング装置が示されている。また、試料の位置調整用の光学顕微鏡が、この傾斜ステージが取り付けられた試料ステージ引出機構の上端部に取り付けられ構成も示されている。
特許文献2には、イオンミリング装置において試料を保持する試料ホルダ、及びこの試料ホルダを集束イオンビーム装置用治具受け台及び走査型電子顕微鏡用治具受け台上に固定するためのホルダ固定具が示されている。
特開2005-91094号公報 特開平9-293475号公報
上述したように、イオンミリング法は、例えばアルゴン等のイオンビームによるイオンのスパッタ効果を利用して、無応力で断面加工を実施する手法である。そのため、機械的な切削や研磨といった方法で問題となる、加工対象である試料に対しての応力の影響を考慮する必要もない。
しかしながら、イオンミリング法では、加工対象の試料内部に、ボイド(空隙)やスパッタ効率の異なる組成物質が存在すると、その箇所から裾を引くようにスジ状の凹凸が加工面に発生する現象(カーテン効果)が生じる。この現象は、ボイドの形状やサイズ、異種物質のスパッタ効率の差異に関係し、そのスジ状の凹凸の大小は異なってくる。このような試料の加工断面に発生するスジ状の凹凸は、平面観察や分析の際の妨げとなり、試料断面作製の際に生じさせないようにするのが好ましい。
前述した特許文献1及び2に記載のイオンミリング装置においては、試料を保持した試料ホルダが固定配置され、イオンビームの光軸にほぼ垂直な傾斜軸を有する傾斜ステージ(試料ステージ)を、その傾斜軸の周りに繰り返し往復傾斜(スイング)させることで、その作製した断面加工面にスジ状の凹凸が発生するのを軽減できるようになってはいるが、その発生を完全に防止するには到っていない。特に、加工対象の試料内部に、ボイド(空隙)やスパッタ効率の異なる組成物質が存在する場合には、傾斜ステージ(試料ステージ)をその傾斜軸の周りに繰り返し往復傾斜(スイング)させても、加工断面上におけるスジ状の凹凸の発生を防止することはできなかった。
本発明は、上記した問題点を鑑みなされたものであって、加工対象の試料内部に、ボイド(空隙)やスパッタ効率の異なる組成物質が存在する場合であっても、スジ状の凹凸の発生を抑え、観察/分析に好適な試料断面を作製することが可能なイオンミリング装置及びイオンミリング加工方法を提供することを目的とする。
本発明は、上述した課題を解決するために、イオンビーム源から照射されるイオンビームの光軸に対して垂直又はほぼ垂直な傾斜軸を中心に試料台を揺動させて、試料台に保持され、マスクによって一部がイオンビームから遮蔽された試料の加工面を、イオンビームの光軸と傾斜軸とにより規定される面に垂直な面に沿って揺動させるスイング機構を備えたイオンミリング装置であって、試料台に保持された試料を、イオンビームの光軸と傾斜軸とにより規定される面に垂直な軸を中心に、当該試料の加工面が傾斜軸方向に向いた、イオンビームの光軸方向に沿った面状態と、当該試料の加工面がイオンビームの光軸方向にイオンビーム源側に向けて傾斜した、イオンビームの光軸が低角度で交叉する面状態との間で、イオンビームの光軸と傾斜軸とにより規定される面に沿って揺動させるチルト振動機構を備えたことを特徴とする。
また、本発明のイオンミリング加工方法は、イオンビーム源から照射されるイオンビームの光軸に対して垂直又はほぼ垂直な傾斜軸を中心に試料台を揺動させて、試料台に保持され、マスクによって一部がイオンビームから遮蔽された試料の加工面を、イオンビームの光軸と傾斜軸とにより規定される面に垂直な面に沿って揺動させながら、マスクによって規定された、イオンビームの光軸に沿った試料の加工面を作成する断面作成工程、試料台に保持された試料を、イオンビームの光軸と傾斜軸とにより規定される面に垂直な軸を中心に、当該試料の加工面が傾斜軸方向に向いた、イオンビームの光軸方向に沿った面状態と、当該試料の加工面がイオンビームの光軸方向に前記イオンビーム源側に向けて傾斜した、イオンビームの光軸が低角度で交叉する面状態との間で、イオンビームの光軸と傾斜軸とにより規定される面に沿って揺動させ、断面作成工程の実行によって当該試料の加工面に生じるスジ状の凹凸を平滑にする平滑化工程、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、断面試料作製時のボイド、異種物質由来の凹凸の発生を抑え、観察/分析に好適な試料断面を作製することが実現できる。
本発明の一実施の形態に係るイオンミリング加工装置の全体構成図である。 本実施の形態に係るイオンミリング加工装置における試料台振動ユニットの一実施例の概略構成図である。 本実施の形態に係るイオンミリング加工装置における試料台振動ユニットの一実施例の概略構成図である。 ボイド及び異種物質により目的加工面に生じた筋状の凹凸の説明図である。 本実施の形態に係るイオンミリング装置による試料加工時における、チルト振動状態の説明図である。 試料の加工面のチルト面状態における、ボイドや異種物質に基づいて加工面に発生した筋状の凹凸と、イオンビームの照射との関係を示した図である。 図1に示したイオンミリング装置の試料台制御部が制御するイオンミリング加工方法制御の別の実施例である。
本発明に係るイオンミリング装置及びイオンミリング加工方法の一実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るイオンミリング加工装置の全体構成図である。
イオンミリング装置1は、真空チャンバ10と、試料3にイオンビーム2を照射するイオンビーム源としてのイオンガン20と、試料3が保持される試料台振動ユニット40を保持する試料ステージ30とを有する。
真空チャンバ10は、チャンバ内を真空又は大気圧状態を保持できる筐体構成になっている。チャンバ内は、チャンバ筐体に形成された排気口11を介して真空排気系12と連通されている。真空排気系12は、真空排気系制御部13により作動制御され、真空チャンバ10の内圧状態を真空又は大気圧状態に調整する。
イオンガン20は、そのビーム出射部をチャンバ筐体上面からチャンバ内に臨ませるように、真空チャンバ10のチャンバ筐体に設けられている。イオンガン20は、イオンビーム源として、チャンバ内の試料3にイオンビーム(ブロードイオンビーム)2を照射する照射系を形成する。イオンガン20は、イオンガン制御部21により作動制御され、試料3に対するイオンビーム2の照射と電流密度とを調整する。以下では、イオンガン20からはアルゴンイオンビームが照射されるものとして説明する。なお、イオンビーム源としてのイオンガン20は、イオンミリング加工が可能なイオンビーム(例えば、他の希ガスや窒素等のイオンビーム)を生成するものであるならばよく、イオンビーム2もアルゴンイオンビームに限定されない。
加工対象の試料3は、試料台振動ユニット40の試料台42上に保持される。試料台振動ユニット40は、試料3を保持する試料台42と、この試料台42に保持された試料3の一部をイオンビーム2から遮蔽するマスク45と、試料台42を試料ステージ30に対して振動可能に保持する可動台47と、この可動台47を振動させる振動体50とを含む。試料台振動ユニット40は、後述するように、試料ステージ30に傾斜振動可能に保持されている。
試料ステージ30は、傾斜ステージ部31と蓋体部32とを有し、傾斜ステージ部31の先端側には、試料台振動ユニット40を傾斜振動可能に保持するユニット保持部33が形成されている。試料ステージ30は、真空チャンバ10のチャンバ筐体に、図示せぬリニアガイドに沿って移動可能に取り付けられている。この試料ステージ30の移動に伴い、傾斜ステージ部31は、真空チャンバ10のチャンバ筐体壁に形成された試料搬送口14を介して、チャンバ内に対して導入・導出自在になっている。
そして、試料ステージ30を図示せぬリニアガイドに沿って前進移動させ、その傾斜ステージ部31をチャンバ内に導入させた状態で、蓋体部32を真空チャンバ10の試料搬送口14に装着することで、チャンバ内を外部に対して気密に隔絶できる。その際には、傾斜ステージ部31のユニット保持部33、及びユニット保持部33に保持されている試料台振動ユニット40を、イオンガン20のビーム出射部下方の真空チャンバ内に位置させることができる。また、真空チャンバ10の試料搬送口14から蓋体部32を取り外し、試料ステージ30を図示せぬリニアガイドに沿って後退移動させ、その傾斜ステージ部31をチャンバ内から導出させることにより、傾斜ステージ部31のユニット保持部33、及びユニット保持部33に保持されている試料台振動ユニット40を、試料搬送口14から現すことができる。この状態では、試料3が保持されている試料台42の可動台47に対しての着脱や、試料3に対するマスク45の位置調整が行えるようになっている。
さらに、試料ステージ30は、傾斜ステージ部31をチャンバ内に導入させ、蓋体部32を試料搬送口14に装着した状態で、イオンビーム2の光軸に対して垂直又はほぼ垂直な、傾斜ステージ部31の傾斜軸を有する構成になっている。図示の例では、傾斜軸は、傾斜ステージ部31のチャンバ内における延設方向に沿って、ユニット保持部33に保持されている試料台振動ユニット40の試料3又はその近傍を通過するように、チャンバ内を平行に延びている。
この傾斜軸に対応して、傾斜ステージ部31の基端側の蓋体部32には、傾斜ステージ部31をこの傾斜軸周りに所定回動範囲で繰り返し揺動させるための試料ステージ駆動機構34が収納されている。試料ステージ駆動機構34は、後述する振動体50とともに、試料台制御部35によりその作動が制御される。
試料ステージ駆動機構34の作動によって傾斜ステージ部31がこの傾斜軸を中心にして揺動されると、試料台振動ユニット40の試料台42に保持されている試料3は、この揺動周期と同期して、この傾斜軸とイオンビーム2の光軸とにより規定される面に直交する方向を傾斜していない水平方向として、この水平方向に対して傾斜及び傾斜回復を繰り返すようになっている。これに伴い、傾斜軸方向に向いた試料3の試料面も、この傾斜軸を中心にして、この傾斜軸とイオンビーム2の光軸とにより規定される面と直交する面に沿って、水平方向に対して傾斜及び傾斜回復を繰り返すようになる。試料台制御部35では、傾斜軸を中心とする傾斜ステージ部31の揺動範囲及び揺動周期を変更することで、試料台振動ユニット40の試料台42に保持されている試料3の傾斜角度及び傾斜速度を任意に設定変更できる構成になっている。
真空排気系12は、試料搬送口14に対する試料ステージ30の蓋体部32の装着によって真空チャンバ内が外部に対して密閉されると、真空排気系制御部13によりその作動が制御され、真空チャンバ内の雰囲気を排気し、真空チャンバ内を真空状態に保持する。また、真空排気系12は、蓋体部32を試料搬送口14から取り外し試料ステージ30を移動させて試料搬送口14を開放するに際し、真空排気系制御部13によりその作動が制御され、真空チャンバ内の雰囲気を事前に真空状態から大気圧状態に戻しておくようになっている。
次に、試料ステージ30における傾斜ステージ部31のユニット保持部33に固定保持される試料台振動ユニット40の構成について説明する。
図2は、本実施の形態に係るイオンミリング加工装置における試料台振動ユニットの一実施例の概略構成図である。
なお、図2中に記した座標軸において、そのZ軸は、図1に示したイオンガン20から照射されるイオンビーム2の光軸方向若しくはこれと平行な方向を表し、Y軸は、イオンビーム2の光軸に垂直又はほぼ垂直な、試料ステージ30における傾斜ステージ部31の傾斜軸方向若しくはこれと平行な方向を表し、X軸は、イオンビーム2の光軸及び傾斜ステージ部31の傾斜軸に直交する方向を表すものとする。
試料台振動ユニット40は、マスクユニット部41と、可動部46とを有して構成されている。可動部46は、マスクユニット部41を着脱自在に保持し、試料ステージ30の傾斜ステージ部31のユニット保持部33に、後述するように傾斜振動可能に取り付けられている。
マスクユニット部41は、試料3が固定される試料台42と、試料台42に固定された試料3の一部をイオンビーム2の照射から遮蔽するマスク45とを備えたアッシーとして構成されている。
試料台42には、試料3が搭載される試料搭載面43が形成されている。また、試料台42の一方の端面42aは、試料3を試料搭載面43に搭載する際、試料3の加工面3aの向きを合わせる基準面になっている。試料3は、その加工面3aの向きを、試料台42の一方の端面42aの向きに合わせて、試料搭載面上に搭載固定される。
マスク45は、試料3が試料搭載面上に搭載固定される試料台42に対し、試料3を介在させて配置されている。マスク45は、試料台42の試料搭載面上に搭載固定された試料3の、試料搭載面側とは反対側の表面3bの中、加工面側部分をその切削量又は研磨量に合わせてイオンビーム2の照射を受けることができるように適宜露出させて、イオンビーム2の被照射域3b1を規定する。その一方で、マスク45は、表面3bの残り部分を遮蔽域3b2としてイオンビーム2の照射を受けないようにする。そのため、図示の例では、マスク45の直線状に延びるマスク端面45aは、イオンビーム2の照射による加工後の、目的加工面3a’としてのイオンビーム2の光軸方向(Z軸方向)に沿った平滑な試料断面を規定することになる。
また、試料台42とマスク45とを備えたアッシーとしてのマスクユニット部41には、図示せぬ微調整機構が設けられている。微調整機構は、試料台42及びその試料搭載面43に搭載固定された試料3に対し、マスク45の配置を微調整する。微調整機構は、その操作に応じて、マスク45のマスク端面45aを、試料台42に搭載固定された試料3の表面上をY軸方向に沿って進退させ、試料3の表面上における遮蔽域3b2と被照射域3b1との境界位置を変位させ、切削量又は研磨量を微調整する。また、微調整機構は、その操作に応じて、マスク45に対して試料台42を相対回動させ、試料台42に搭載固定された試料3の目的加工面3a’の向きがマスク45のマスク端面45aの向き(Y軸方向)に一致するように微調整する。そして、マスクユニット部41は、傾斜ステージ部31のユニット保持部33に振動可能に取り付けられている可動部46の可動台47に対して、着脱自在に取り付け固定される。
一方、可動部46は、可動台47と、この可動台47を振動させる振動体50とを含んで構成されている。可動台47は、その搭載面48にマスクユニット部41における試料台42の試料搭載面43の裏面を当接させて、マスクユニット部41が図示せぬ締結手段によって着脱自在に取り付け固定される構成になっている。可動台47の、イオンビーム2の光軸(Z軸)と傾斜ステージ部31の傾斜軸(Y軸)とにより規定される面(Z-Y平面)に沿って延びる両側面それぞれには、その長さ方向一端側に軸部49が突出形成されている。
一方、試料ステージ30における傾斜ステージ部31のユニット保持部33は、傾斜ステージ部31の先端側から、ストッパ部36,軸着部37,凹部38が順次設けられた構成になっている。
ストッパ部36は、試料台振動ユニット40における可動台47の搭載面48に対する裏面の、傾斜軸方向(Y軸方向)の一端側部分が当接し、その搭載面48がイオンビーム2の光軸(Z軸)に垂直になるように、可動台47を支持する。
軸着部37は、傾斜ステージ部31の幅方向(X軸方向)両側より試料台振動ユニット40の搭載側に向けて立設され、可動台47の両側面に突出形成された軸部49が係合し、可動台47ひいては試料台振動ユニット40を、軸部49を中心に回動変位可能に支持する。
凹部38は、図示の例では、傾斜ステージ部31の先端側から基端側に向けて延びる傾斜面を有して形成されている。凹部38は、その搭載面48がイオンビーム2の光軸(Z軸)と垂直になるようにストッパ部36により支持された可動台47の、軸部49を中心とした、図中、時計周りの回動変位を許容するため、可動台47の、傾斜軸方向(Y軸方向)他端側の進入を許容する。なお、その搭載面48がイオンビーム2の光軸(Z軸)に垂直になっている状態からの可動台47の、図中、反時計周りの回動変位は、ストッパ部36によって規制されている。
また、凹部38内には、回動復帰部材としてのバネ部材39が設けられている。バネ部材39は、軸部49を中心とした回動によって凹部38内に進入した可動台47の他端側を、凹部38内から退出させ、ストッパ部36によって搭載面48がイオンビーム2の光軸(Z軸)に垂直になるように支持された状態に復帰させる。この可動台47の回動復帰部材としては、回動変位によってストッパ部36から離間した可動台47の裏面の一端側部分を、ストッパ部36に当接復帰させるような反力を発生できるものであるならば、バネ部材39に限るものではなく、他の弾性部材(例えば、ゴム部材)等でも代用可能である。
これにより、可動台47を含む試料台振動ユニット40は、イオンビーム2の光軸(Z軸)とこの光軸に垂直な傾斜ステージ部31の傾斜軸(Y軸)とにより規定される面(Z-Y平面)に垂直な方向に延びる軸(X軸)、すなわち軸部49を中心に、試料ステージ30における傾斜ステージ部31に対して回動変位可能に支持される。そして、試料台振動ユニット40の試料台42に搭載固定された試料3の加工面3aは、傾斜軸方向(Y軸方向)に向いた、イオンビーム2の光軸方向(Z軸方向)に沿った面状態から、イオンビーム2の光軸方向のイオンガン20側に向けて傾斜した、イオンビーム2の光軸(Z軸)が低角度で交叉する面状態になることできるようになっている。
また、試料台振動ユニット40の可動台47の他端側には、自由端となっている可動台47の他端側を振動させる振動体50が取り付けられている。振動体50としては、例えばモータの回転軸先端に偏心した分銅を取り付けた構成の振動モータが用いられる。この場合、可動台47の一端側から他端側への長さ方向に、軸部49から偏心した分銅までの距離が最も遠くなるように振動モータを可動台47の他端側に配置することによって、振動モータが発生する小さな振動を、可動台47ひいては試料台振動ユニット40の回動変位のモーメントに有効に変換することでき、振動モータも微小振動を発生するもので済む。これにより、試料台振動ユニット40自体が大型化し、また重量増になるのを極力抑えることができ、試料台振動ユニット40が取り付けられた傾斜ステージ部31の揺動に及ぼす影響も抑制することができる。
振動体50を構成する振動モータは、図示せぬ配線を介して、試料台制御部35に接続されている。振動体50は、前述した試料ステージ駆動機構34とともに、試料台制御部35によりその作動が制御される。
この結果、試料台振動ユニット40は、振動モータすなわち振動体50が駆動停止されている状態では、その可動台47の裏面の一端側が試料ステージ30の傾斜ステージ部31におけるユニット保持部33のストッパ部36により当接支持されているので、試料台42に搭載固定された試料3の加工面3aが面する向きは、傾斜軸方向(Y軸方向)に向けた状態になっている。一方、試料台振動ユニット40は、振動モータすなわち振動体50が駆動され、その振動が凹部38に臨んだ可動台47の他端側に加わる状態になると、その振動に応じて、軸部49を中心にして、傾斜ステージ部31の傾斜軸方向(Y軸方向)に係り反対側に位置する可動台47の一端側が傾斜ステージ部31におけるユニット保持部33におけるストッパ部36に対して当接及び離間を繰り返すようになる。これに伴い、試料台振動ユニット40の試料台42に搭載固定された試料3の加工面3aは、傾斜軸方向(Y軸方向)に向いた、イオンビーム2の光軸方向(Z軸方向)に沿った面状態と、その面状態から加工面3aの試料台側部分が加工面3aのマスク側部分よりも傾斜軸方向(Y軸方向)に突出した、イオンビーム2の光軸(Z軸)が低角度で交叉するチルト面状態との間で、傾斜及び傾斜回復を繰り返すようになっている。試料台制御部35では、振動体50を構成する振動モータの回転速度を変更することで、傾斜振動速度を任意に設定変更できる構成になっている。
次に、上述した本実施の形態に係るイオンミリング装置1を用いた試料3の加工面3aに対してのイオンミリング加工方法について説明する。
説明に当たって、前述した試料ステージ駆動機構34の作動による、試料ステージ30における傾斜ステージ部31の傾斜軸(Y軸)とイオンビーム2の光軸(Z軸)とにより規定される面と交叉する方向に延びる試料面、すなわち、試料3の加工面3aの、傾斜軸(Y軸)を中心とした、この傾斜軸とイオンビーム2の光軸とにより規定される面と直交する面に沿った、水平方向に対しての傾斜及び傾斜回復の繰り返しを、イオンビーム2の光軸(Z軸)に対する試料3の“スイング”と略称する。また、振動体50の作動による、試料3の加工面3aが傾斜軸方向(Y軸方向)に向いた面状態と、その面状態から加工面3aの試料台側部分が加工面3aのマスク側部分よりも傾斜軸方向(Y軸方向)に突出したチルト面状態との間での、試料3の加工面3aの傾斜及び傾斜回復を繰り返しを、イオンビーム2の光軸(Z軸)に対する試料3の“チルト振動”と略称する。
図3は、本実施の形態に係るイオンミリング装置による試料加工時における、試料のスイング状態の説明図である。
図3は、図2において、試料ステージ駆動機構34の作動によって傾斜ステージ部31が傾斜軸(Y軸)を中心にして揺動している揺動状態における、試料台振動ユニット40の試料3及びマスク45の動きを、傾斜軸方向(Y軸方向)に沿って加工面側から眺めたものである。
図3(a)は、試料3のスイング状態において、イオンビーム2の光軸(Z軸)に対して、試料搭載面側とは反対側の表面3bの中の、マスク45で遮蔽されていない試料3の露出した被照射域3b1が直交している試料3のスイング状態を示す。すなわち、イオンビーム2の光軸に対して、試料3の露出した被照射域3b1が傾斜しておらず、水平状態になっている状態に該当する。
これに対し、図3(b)及び図3(c)は、イオンビーム2の光軸(Z軸)に対して、試料搭載面側とは反対側の表面3bの中の、マスク45で遮蔽されていない露出した被照射域3b1が直交していない試料3のスイング状態を示す。すなわち、イオンビーム2の光軸に対して、試料3の露出した被照射域3b1が傾斜している状態に該当する。
したがって、試料ステージ駆動機構34の作動によって傾斜ステージ部31が傾斜軸(Y軸)を中心にして揺動している揺動状態では、傾斜ステージ部31の揺動範囲及び揺動周期に応じて、試料3の加工面3aは、傾斜軸(Y軸)とイオンビーム2の光軸(Z軸)とにより規定される面(Y-Z面)と直交する面(X-Z面)に沿って、水平方向(X軸方向)に対して、例えば、図3(a)−図3(b)−図3(a)−図3(c)−図3(a)−…といった傾斜及び傾斜回復を繰り返す。
これにより、図2において、マスク端面45aから傾斜軸方向(Y軸方向)に突出した、イオンビーム2の被照射域3b1の試料部分がイオンビーム2によって削られ、目的加工面3a’が加工される仕組みとなっている。その際、試料3をスイングさせることで、その作製した加工面3a’にスジ状の凹凸が発生するのを軽減することができるようになっている。
しかしながら、イオンビーム2の被照射域3b1に対応した、試料3の切削部分に、ボイド(空隙)61や異種物質(スパッタ効率の異なる組成物質)62が存在すると、これらの形状に沿って、目的加工面3a’に筋状の凹凸63が発生することとなる。
図4は、ボイド及び異種物質により目的加工面に生じた筋状の凹凸の説明図である。
図4(a)に示すように、試料3の切削部分にボイド61が生じている場合、試料3をスイングさせながらイオンビーム2を照射して作成した、イオンビーム2の光軸方向(Z軸方向)に沿った試料断面としての目的加工面3a’には、このボイド61の形状に沿って筋状の凹凸63が発生することとなる。同様に、図4(b)に示すように、試料3の切削部分に異種物質62がある場合は、この異種物質62の形状に沿って筋状の凹凸63が発生することとなる。
本実施の形態に係るイオンミリング装置1では、試料3のスイング状態での試料加工時に、試料3の切削部分に存在するボイド61や異種物質62によりこれらの形状に沿って目的加工面3a’に発生する筋状の凹凸63を、試料3をチルト振動させることで、そのスジ状の凹凸63を軽減することができるようになっている。
図5は、本実施の形態に係るイオンミリング装置による試料加工時における、チルト振動状態の説明図である。
図5は、試料3のチルト振動状態において、試料3の加工面3aが傾斜軸方向(Y軸方向)に向いた、イオンビーム2の光軸方向(Z軸方向)に沿った面状態に対して、加工面3aの試料台側部分が加工面3aのマスク側部分よりも傾斜軸方向に突出したチルト面状態を示す。
すなわち、振動体50の作動によって、傾斜ステージ部31のユニット保持部33におけるストッパ部36に可動台47が当接支持されている試料台振動ユニット40は、試料ステージ30の傾斜ステージ部31に対し、傾斜軸(Y軸)とイオンビーム2の光軸(Z軸)とにより規定される面(Y-Z面)に対して垂直方向に延びる軸部49を中心にして、試料3の加工面3aが、傾斜軸方向(Y軸方向)に向いた、イオンビーム2の光軸方向(Z軸方向)に沿った図2に示した面状態と、加工面3aの試料台側部分が加工面3aのマスク側部分よりも傾斜軸(Y軸)方向に突出したチルト面状態との間で傾斜及び傾斜回復を繰り返す。すなわち、試料台振動ユニット40は、傾斜軸(Y軸)とイオンビーム2の光軸(Z軸)とにより規定される面(Y-Z面)に垂直な軸部49を中心に、傾斜軸(Y軸)とイオンビーム2の光軸(Z軸)とにより規定される面(Y-Z面)に沿って揺動し、その加工面3aが光軸方向(Z軸方向)に対して傾斜振動する。
その際、図5に示した、試料3のチルト状態では、加工面3aに対してイオンビーム2の光軸が低角度で交叉するチルト面状態になり、加工面3aにイオンビーム2が低角度照射されることになる。
図6は、試料の加工面のチルト面状態における、ボイドや異種物質に基づいて加工面に発生した筋状の凹凸と、イオンビームの照射との関係を示した図である。
図6に示すように、試料3のチルト状態では、試料台振動ユニット40の試料3を前述のようにスイングさせながらイオンビーム2を照射して作成した加工面3aは、イオンビーム2が低角度照射されるのに対し、加工面3aに発生した筋状の凹凸63の凸部側面63cには、イオンビーム2が加工面3aよりも高角で照射される。これにより、加工面3aのイオンビーム2のスパッタリングによるミリングレートは、筋状の凹凸63の側面63cのイオンビーム2のスパッタリングによるミリングレートよりも大幅に小さくなる。これにより、試料3のチルト状態では、筋状の凹凸63を除去して加工面3aを平滑化する、いわゆるフラットミリングが行える。
試料台振動ユニット40における振動体50の作動による、試料3のチルト振動によって、マスク端面45aから傾斜軸方向(Y軸方向)に突出した被照射域3b1の試料部分のイオンビーム2の照射による切削と、その加工面3aの平滑化とを一緒に行うことができる。
その間、試料台振動ユニット40は、その可動台47がストッパ部36に当接されることによって、試料3の加工面3aが、加工面3aのマスク側部分が加工面3aの試料台側部分よりも傾斜軸(Y軸)方向に突出したオーバーハング状態にならないように規制されている。これにより、イオンビーム2が試料3の加工面3aに全く照射されなくなり、試料3の加工面3aを全く加工できない時間が存在するのを回避できるようになっている。
本実施の形態に係るイオンミリング装置1では、イオンビーム2の照射による試料3の加工面3aの加工時に、試料台制御部35は、イオンビーム2の照射開始時には、まず試料ステージ駆動機構34を作動する。これにより、試料ステージ駆動機構34は、試料台振動ユニット40の試料3をスイングさせ、マスク端面45aから傾斜軸方向(Y軸方向)に突出したイオンビーム2の被照射域3b1にイオンビーム2を高角度から照射し、イオンビーム2の被照射域3b1の試料部分を切削して、イオンビーム2の光軸方向に沿った試料3の加工面(試料断面)3aを作成する。その後、試料台制御部35は、加工面3aがマスク端面45aにより規定される目的加工面3a’の近傍になるまで、イオンビーム2の被照射域3b1に対する照射により、その対応する試料部分の切削が進んだら、試料ステージ駆動機構34の作動を停止し、今度は振動体50を作動させる。これにより、イオンミリング装置1は、マスク端面45aから傾斜軸方向(Y軸方向)に突出した被照射域3b1の試料部分のイオンビーム2の照射による切削と、その加工面3aの平滑化とを一緒に行い、ボイド61や異種物質62により加工面3aに発生した筋状の凹凸63を除去して、加工面3aを平滑な目的加工面3a’に加工する。そして、試料台制御部35は、目的加工面3a’の加工が終了したならば、振動体50の作動を停止させる。
本実施の形態に係るイオンミリング装置1及びイオンミリング加工方法は、上述したとおりであるが、以下に、本発明に係る他の実施の形態についても説明しておく。
まず、上述したイオンミリング装置1では、振動体50の作動による振動を受けて傾斜振動する可動台47の傾斜角度、ひいては試料台振動ユニット40の軸部49を中心とした回動変位量は、その回動によって可動台47の他端側の進入を許容する凹部38の深さや、回動復帰部材としてのバネ部材39の付勢力の大きさに応じて一定であるが、可変に構成することも可能である。この場合、例えば、凹部38内に適宜大きさのスペーサを配置したり、バネ部材39の付勢力の大きさを可変調整できるようにしたり、等することによって、試料ステージ30の傾斜ステージ部31におけるユニット保持部33の凹部38内の深さを調整することにより、可動台47の傾斜角度を任意に設定変更な構成としてもよい。
これは、複数の試料3相互での相違、例えば、その組成物質等の相違に応じて、ボイド61や異種物質62に基づいて加工面に発生する筋状の凹凸63の発生頻度や、ボイドや異種物質に基づいて加工面に発生した筋状の凹凸63の大きさが異なるため、加工時の使い分けに有用である。例えば、筋状の凹凸63の大きさが小さい場合は、凹凸除去に必要な試料面の向き(例えば、図6に示した図示した例では、凹凸63の凸部側面63cの向き)とイオンビーム2の光軸の向きとの間の傾斜角度は浅く、10度程度である。一方、凹凸63の大きさが大きい場合は、凹凸除去に必要な試料面の向き(例えば、図6に示した図示した例では、凹凸63の凸部側面63cの向き)とイオンビーム2の光軸の向きとの間の傾斜角度は少し深くなり、20度程度である。一般的には、ボイド系の凹凸63の場合は、その凹凸63の大きさが小さいので、浅い傾斜角度範囲(0度〜10度)のイオンビーム照射で凹凸63を除去し、異種金属系の凹凸63の場合は、その凹凸63の大きさが大きいので、より深い傾斜角度を含む傾斜角度範囲(0度〜20度)のイオンビーム照射で凹凸63の除去を実施する。
また、上述したイオンミリング装置1では、試料台制御部35は、試料台振動ユニット40の試料3のスイングとチルト振動とを、イオンビーム2の照射による加工面3aの加工時に別々に試料ステージ駆動機構34及び振動体50を作動させて行う構成としたが、振動体50を試料ステージ駆動機構34の作動時に一緒に作動して、試料3の加工面3aをスイングとチルト振動とによりイオンビーム2の光軸に対して複合的に揺動傾斜変位させるようにしてもよい。
この場合、イオンビーム2による試料3の加工面3aの加工当初から、試料台振動ユニット40の試料3のスイングとチルト振動とを一緒に実施する必要はなく、試料3の加工面3aの加工後期に、試料台振動ユニット40の試料3のスイングとチルト振動とを一緒に実施すればよい。
図7は、図1に示したイオンミリング装置の試料台制御部が制御するイオンミリング加工方法制御の別の実施例である。
図7は、イオンミリング装置1の試料台制御部35が制御するイオンミリング加工方法の制御手順を、時系列的に説明した図である。
図7(a)に示す、イオンビーム2による試料3の加工面3aの加工当初は、試料台制御部35は、まず試料ステージ駆動機構34のみを作動する。これにより、試料ステージ駆動機構34は、試料台振動ユニット40の試料3をスイングさせ、マスク端面45aから傾斜軸方向(Y軸方向)に突出したイオンビーム2の被照射域3b1にイオンビーム2を高角度から照射し、イオンビーム2の被照射域3b1の試料部分を切削して、イオンビーム2の光軸方向に沿った試料3の加工面(試料断面)3aを作成する。
その加工初期は、マスク45のマスク端面45aから試料3が傾斜軸方向(Y軸方向)に突出しており、マスク端面45aから傾斜軸方向(Y軸方向)に突出したイオンビーム2の被照射域3b1が残存している状態であり、イオンビーム2の照射による、イオンビーム2の光軸方向に沿った試料3の加工面(試料断面)3aは、目的加工面3a’には未だ到達していない。
図7(b)に示す、イオンビーム2による試料3の加工面3aの加工中期では、マスク45のマスク端面45aから突出した、イオンビーム2の被照射域3b1の試料部分の切削が開始され、だんだんと加工面(試料断面)3aが目的加工面3a’に近づいていく。
図7(c)に示す、イオンビーム2による試料3の加工面3aの加工後期では、加工面3aが目的加工面3a’に到達する。
この時に、前述したようにボイド61の形状やサイズ、異種物質62のスパッタ効率の差異によって、加工断面に不要な凹凸63が発生し始めるので、ここから振動による傾斜をスタートすれば良い。実施の形態としては、加工時間の最後に5〜30分程度、試料台振動ユニット40の試料3のスイングに加えてチルト振動を開始、試料台振動ユニット40のスイングとチルト振動とによる試料3の複合傾斜によるイオンビームの低角照射を実施すればよい。
この時間設定は、ミリングレートが高いものは短い時間で、ミリングレートが低いもの(セラミックスなどの硬いもの)は長い時間で加工すれば、試料に応じた凹凸低減が断面作成時にそのまま可能となる。
そのために、試料台制御部35は、例えば予め設定された加工時間の所定時間(5〜30分程度)手前になったならば、試料ステージ駆動機構34の作動はそのままに、振動体50を作動させて、試料台振動ユニット40のスイングとチルト振動とを一緒に行う。なお、ここでは、試料台制御部35は、加工時間の所定時間(5〜30分程度)手前になったならば、振動体50を作動させるようにしたが、加工量(切削量)を直接確認できるモニタ手段を備えているものであるならば、上述したミリングレートを考慮して目的加工面3a’に対する加工面3aの残り切削量に基づいて、振動体50を作動開始させるようにしてもよい。
このように、イオンビーム2による試料3の加工面3aの加工後期に、試料台振動ユニット40のスイングとチルト振動とを一緒に行う構成とすれば、加工対象の試料内部に、ボイド61やスパッタ効率の異なる組成物質(異種物質)62が存在する場合であっても、目的加工面3a’にこれらに基づくスジ状の凹凸63の発生を防止することができ、目的加工面3a’の平滑化がはかれるとともに、そのための加工時間の増加も抑制でき、効率的な試料断面作製が行える。
1 イオンミリング装置、 2 イオンビーム、 3 試料、 10 真空チャンバ、
11 排気口、 12 真空排気系、 13 真空排気系制御部、
14 試料搬送口、 20 イオンガン(イオンビーム源)、
21 イオンガン制御部、 30 試料ステージ、 31 傾斜ステージ部、
32 蓋体部、 33 ユニット保持部、 34 試料ステージ駆動機構、
35 試料台制御部、 36 ストッパ部、 37 軸着部、 38 凹部、
39 バネ部材、 40 試料台振動ユニット、 41 マスクユニット部、
42 試料台、 43 試料搭載面、 45 マスク、 46 可動部、
45 振動体、 46 稼動部、 47 可動台、 48 搭載面、 49 軸部、
50 振動体(振動モータ)、 61 ボイド、 62 異種物質、
63 筋状の凹凸。

Claims (6)

  1. イオンビーム源から照射されるイオンビームの光軸に対して垂直又はほぼ垂直な傾斜軸を中心に試料台を揺動させて、該試料台に保持され、マスクによって一部がイオンビームから遮蔽された試料の加工面を、イオンビームの光軸と傾斜軸とにより規定される面に垂直な面に沿って揺動させるスイング機構を備えたイオンミリング装置であって、
    前記試料台に保持された試料を、イオンビームの光軸と前記傾斜軸とにより規定される面に垂直な軸を中心に、当該試料の加工面が傾斜軸方向に向いた、イオンビームの光軸方向に沿った面状態と、当該試料の加工面がイオンビームの光軸方向に前記イオンビーム源側に向けて傾斜した、イオンビームの光軸が低角度で交叉する面状態との間で、イオンビームの光軸と傾斜軸とにより規定される面に沿って揺動させるチルト振動機構を備えたことを特徴とするイオンミリング装置。
  2. 前記チルト振動機構には、イオンビームの光軸に対して前記試料の加工面を交叉させる低角度を変更する設定手段が備えられていることを特徴とする請求項1記載のイオンミリング装置。
  3. 前記チルト振動機構には、前記試料の加工面の前記マスク側が前記試料台側に対して前記傾斜軸方向に突出するように揺動するのを規制するストッパ部が備えられていることを特徴とする請求項1記載のイオンミリング装置。
  4. イオンビーム源から照射されるイオンビームの光軸に対して垂直又はほぼ垂直な傾斜軸を中心に試料台を揺動させて、該試料台に保持され、マスクによって一部がイオンビームから遮蔽された試料の加工面を、イオンビームの光軸と傾斜軸とにより規定される面に垂直な面に沿って揺動させながら、前記マスクによって規定された、イオンビームの光軸に沿った試料の加工面を作成する断面作成工程、
    前記試料台に保持された試料を、イオンビームの光軸と前記傾斜軸とにより規定される面に垂直な軸を中心に、当該試料の加工面が傾斜軸方向に向いた、イオンビームの光軸方向に沿った面状態と、当該試料の加工面がイオンビームの光軸方向に前記イオンビーム源側に向けて傾斜した、イオンビームの光軸が低角度で交叉する面状態との間で、イオンビームの光軸と傾斜軸とにより規定される面に沿って揺動させ、前記断面作成工程の実行によって当該試料の加工面に生じるスジ状の凹凸を平滑にする平滑化工程、を含むことを特徴とするイオンミリング加工方法。
  5. イオンビームの光軸に対して前記試料の加工面を交叉させる低角度を、加工対象の前記試料の種別に応じて変更する工程をさらに含むことを特徴とする請求項4記載のイオンミリング加工方法。
  6. 前記断面作成工程の加工後期に、前記平滑化工程を、前記断面作成工程と一緒に実行することを特徴とする請求項4記載のイオンミリング加工方法。
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