しかしながら、従来の研削スラッジ分離装置では、液面に浮上した切り粉を除去できないという問題があった。切り粉は、金属製であるため通常は研削液中に沈殿するはずであるが、切り粉の形状によっては沈降し難い、あるいは沈降しないものが存在する。例えば、重研削で発生する比較的大きな切り粉、例えば100〜500μm程度の切り粉は、形状が紐状や円弧状にカールしたり螺旋状に丸まった形状となったり、繊維状に絡み合った綿状になることがある。このような形状の切り粉は、表面積が広くなって研削液中を浮き易くなる。切り粉の大きさは、検索対象の金属や研削の種別(重研削か超仕上げか等)にも依存するが、微細な切り粉は、相当強力な磁石でも付着させることができず、磁力による回収は極めて困難となる。また、このような変形した切り粉を磁化させることも容易でない。
加えて、研削液が水溶性であれば、循環時に泡立ちが生じ易くなる。気泡が付着した切り粉は、気泡と共に上昇して液面に存在することになる。特に形状がいびつな切り粉は、粒状あるいは粉状の切り粉に比べ、表面に気泡が付着し易くなる。このような浮上切り粉は、研削液中に沈殿した切り粉と異なり、そのままでは排出できない。この結果、浮上した切り粉は排出されずに液面に滞在し続け、泡に塗れた膜状あるいは層状(ケーキ層あるいはスポンジ層)となる。液面に残って排出されない膜状の切り粉は、研削が継続されると共に増えて厚くなっていく。これにつれて相対的に研削液の量が減少するため、ついには研削液を循環するポンプの供給口を塞いでしまい、研削液の供給が遮断されて研削加工が中断されることとなる。
これを防止するには、膜状の浮上切り粉を排除する必要があり、従来は人手により膜状切り粉を掻き出すか、あるいは大型の除去装置を使用する必要があった。しかしながら、人手による除去は極めて手間がかかる。特に膜状切り粉は短時間でも発生するため、頻繁にラインを止めて浮上切り粉を除去する必要が生じ、能率が極めて悪化する。一方、大型の除去装置は、フィルタで浮上切り粉を濾過することにより除去しているが、フィルタ自体の目詰まりによる交換作業が頻繁に必要となり、結局手間がかかることには変わりがない。またフィルタの交換や廃棄のコストが嵩む問題もある。さらにこのような装置は大型で、複数の研削機械のクーラント装置を接続して使用する集中クーラント式の構成となっており、極めて複雑で高価であるため、個別の研削機械に付加できるような小型で簡単な浮上切り粉の有効な除去方法が求められていた。
加えて、研削液中のスラッジには、切り粉以外にも、砥石が摩耗した粉状の砥粒や塵等の無機質粒子が含まれている。切り粉は金属製であるため磁石の吸着によって除去が可能であるが、無機質粒子は磁性を有しない非磁性体であるため、磁力の吸着を利用する方法が利用できない。このような非磁性体の沈殿物がスラッジ中に含まれる割合は、研削対象物や使用する砥石の種別等にも依存するが、例えば砥石としてアルミナ製砥石を使用すると、砥粒の占める割合はスラッジの3割程度にも上るため、砥粒の回収も必要となる。しかしながら、従来は砥粒の排出ができず、作業者の手で槽の底を清掃するしかなかった。
本発明は、従来のこのような問題点を解消するためになされたものである。本発明の主な目的は、簡単な構成で浮上切り粉を自動的に除去でき、かつ非磁性体である砥粒の除去も可能な研削液に含まれる研削スラッジの分離装置及び分離方法を提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
上記の目的を達成するために、本発明の第1の研削液に含まれる研削スラッジの分離装置によれば、研削スラッジSを含む水溶性の研削液Lが供給される分離槽4と、前記分離槽4内に配設されて、上面に研削スラッジSを磁気的な吸引力と自重とで沈降させる非磁性プレート5と、前記非磁性プレート5の裏面に配設されて、非磁性プレート5の表面に磁気的な吸引力で研削スラッジSを吸引して排出方向に移動させる磁気コンベア6と、を備える研削スラッジの分離装置であって、研削スラッジの内、研削液Lの液面に浮遊している浮遊研削スラッジFSを、前記分離槽4の所定の集積領域CAに集める集積手段21と、前記集積手段21で前記集積領域CAに集められた浮遊研削スラッジFSに対して、少なくとも一部を該浮遊研削スラッジFSに接触させるよう研削液Lに浸漬して、該研削液Lから引き上げることで、該浮遊研削スラッジFSを表面に付着させる回収手段22と、前記回収手段22に付着されて一旦研削液Lから引き上げられた研削スラッジを凝縮する凝縮手段30と、を備え、前記回収手段22が、回転軸を中心に回転する回転板22Aであり、前記回転板22Aの内部に第二磁石23が、該回転板22Aの平板状の側面側を吸着面とするように配置されており、前記凝縮手段30が、前記回転板22Aの表面に付着した浮遊研削スラッジFSを掻き取るスクレーパ30Aであり、前記スクレーパ30Aにより凝縮された塊状の研削スラッジKSを、再び研削液L中に投入して前記非磁性プレート5上に沈降させ、前記磁気コンベア6により排出させることができる。これにより、一部を研削液に浸漬して、研削液表面に浮遊する泡状の浮遊研削スラッジを回収手段に付着させて引き上げ、さらに付着させた浮遊研削スラッジから気泡を抜いて凝縮し、密度を増した状態で研削液中に投入することで、浮遊研削スラッジを塊状として沈降させることができる。また、凝縮された塊状研削スラッジがスクレーパの役割を果たし、砥粒等の非磁性体沈殿物も塊状研削スラッジと共に外部に排出される。これにより、フィルタを使用することなく効率よく浮遊研削スラッジや砥粒等の微細な研削スラッジを排出できる。また、回転板を回転させて一部を研削液に浸漬することで、浮遊研削スラッジの付着と引き上げを極めて効率よく行える。さらに、第二磁石の力で浮遊研削スラッジを吸着して、研削液から浮遊研削スラッジを分離し引き上げやすくできる。
また第2の研削液に含まれる研削スラッジの分離装置によれば、前記第二磁石23が、前記回転板22Aの回転軸と交差する面上にS極、N極が円弧に沿って並ぶように配置させることができる。
さらに第3の研削液に含まれる研削スラッジの分離装置によれば、前記回収手段22が、研削液Lに対して略垂直に浸漬させることができる。これにより、板状の浸漬板の両面にほぼ均等に浮遊研削スラッジを付着できるので、付着量を倍増できる利点が得られる。
さらにまた第4の研削液に含まれる研削スラッジの分離装置によれば、前記回収手段22により研削液Lから浮遊研削スラッジFSが引き上げられる引き上げ位置HPと、前記凝縮手段30により凝縮された研削スラッジが研削液L中へ投入される投入位置TPとが、異なる位置とすることができる。これにより、回収手段で引き上げられた浮遊研削スラッジを、引き上げ位置から離れた位置から研削液中に再投入することができ、再投入された浮遊研削スラッジが再度回収手段に接触したり、回収手段による浮遊研削スラッジの引き上げを阻害したりする事態を回避でき、効率よく浮遊研削スラッジの研削液からの引き上げと再投入を行え、研削スラッジを分離をスムーズに行える。
さらにまた第5の研削液に含まれる研削スラッジの分離装置によれば、前記投入位置TPを、前記引き上げ位置HPに対して、前記磁気コンベア6の運送方向の上流側に配置させることができる。これにより、凝縮された塊状研削スラッジが磁気コンベアで運ばれる距離行程が長くなるため、砥粒等の非磁性体沈殿物の回収効果が高められることが期待できる。
さらにまた第6の研削液に含まれる研削スラッジの分離装置によれば、前記スクレーパ30Aを、前記回転板22Aの両面に設けることができる。これにより、スクレーパで回収手段表面に付着した浮遊研削スラッジを効率的に凝縮し、気泡を抜いて密度を高めることができる。
さらにまた第7の研削液に含まれる研削スラッジの分離装置によれば、さらに、研削スラッジの内、研削液Lの液中に沈降している沈降研削スラッジSSを、強制的に磁化する磁化手段を備え、前記磁化手段により磁化された沈降研削スラッジSSを、前記非磁性プレート5上に沈殿させて、前記磁気コンベア6により排出させるよう構成できる。これにより、研削スラッジの内、研削液の液面に浮遊している浮遊研削スラッジを回収手段で回収する一方、液中に沈降している沈降研削スラッジについては、磁化手段で磁化して、いずれの研削スラッジも効果的に研削液から除去できる。
さらにまた第8の研削液に含まれる研削スラッジの分離方法によれば、回転軸を中心に回転する回転板22Aである回収手段22の少なくとも一部を研削液Lに浸漬させて、該研削液Lから引き上げることで、該研削液Lの液面に浮遊する浮遊研削スラッジFSを、前記回転板22Aの内部において該回転板22Aの平板状の側面側を吸着面とするように配置されている第二磁石23でもって、前記回収手段22の表面に付着させる工程と、前記回収手段22に付着され、一旦研削液Lから引き上げられた研削スラッジFSを掻き取って凝縮する工程と、凝縮された塊状の研削スラッジKSを、再び研削液L中に投入する工程と、を含み、研削液L中に投入された塊状研削スラッジKSを非磁性プレート5上に沈降させ、前記非磁性プレート5の背面に配設された磁気コンベア6により吸着させて、研削液Lに含まれる非磁性体沈殿物NMと一緒に排出させることができる。これにより、一部を研削液に浸漬して、研削液表面に浮遊する泡状の浮遊研削スラッジを回収手段に付着させて引き上げ、さらに付着させた浮遊研削スラッジから気泡を抜いて凝縮し、密度を増した状態で研削液中に投入することで、浮遊研削スラッジを塊状として沈降させることができる。また、凝縮された塊状研削スラッジがスクレーパの役割を果たし、砥粒等の非磁性体沈殿物も塊状研削スラッジと共に外部に排出される。これにより、フィルタを使用することなく効率よく浮遊研削スラッジや砥粒等の微細な研削スラッジを排出できる。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための、研削液に含まれる研削スラッジの分離装置及び分離方法を例示するものであって、本発明は、研削液に含まれる研削スラッジの分離装置及び分離方法を以下のものに特定しない。さらに、本明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」、及び「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。特に実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。また、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。
(実施の形態1)
図1〜図7に、本発明の実施の形態1に係る研削液に含まれる研削スラッジの分離装置100を示す。これらの図において、図1は工作機械に研削スラッジの分離装置を接続した状態を示す平面図、図2は図1の研削スラッジの分離装置をクリーン層側から見た縦断面図、図3は回収手段の拡大斜視図、図4は回収手段の側面図、図5は回収手段の縦断面図、図6は変形例に係る回収手段の縦断面図、図7は別の変形例に係る回収手段の側面図を、それぞれ示している。
これらの図に示す研削スラッジの分離装置100は、研削液Lに含まれる研削スラッジ、特に微細なスラッジであって研削液Lの液面に浮遊する浮遊研削スラッジFSを分離し、さらに砥粒等の非磁性体沈殿物NMを排出するのに利用される。この分離装置100は、研削スラッジを含む切削油である研削液Lが供給される分離槽4と、この分離槽4の研削液Lに含まれる研削スラッジを表面に吸着して排出する非磁性プレート5と、この非磁性プレート5に磁気的な吸着力で吸着させる磁気コンベア6とを備える。
分離装置100は、図1の平面図に示すように工作機械KKに接続され、工作機械KKに使用される研削液Lが供給されて、研削液Lに含まれる研削スラッジを分離して、工作機械KK側に循環させる。工作機械KKは、研削盤等の研削機であり、重研削や超仕上げ用の研削機が利用できる。研削機の砥石には、アルミナ製砥石等の一般砥石やダイヤモンド製砥石が使用される。特にドレスアップが容易なことから、アルミナ製砥石が広く利用されている。ただしアルミナ製砥石を使用すると、砥石が摩耗して砥粒も多く発生する。研削液Lに混入するスラッジは、研削対象の金属(例えば鉄)と砥粒とを比較すると、重研削では7:3程度となる。ダイヤモンド製砥石を使えば、砥粒は数%程度に削減できるが、この場合はドレスアップが困難となる。
また工作機械KKに使用される研削液Lは、クーラント液、研削油等であり、特に泡立ちやすい水溶性の研削液に対して、分離装置は好適に利用可能である。使用する研削液の量は、研削の目的等に応じて調整される。例えば超仕上げの微細スラッジでは、液量は比較的少ないが、重研削では微細スラッジの10倍以上の液量を用いる。研削液には、研削の際のスラッジが混入する。
(集積手段21)
分離槽4は、研削液Lを循環させて研削スラッジを分離させるクーラントタンクである。図1に示す分離槽4は、研削液Lの供給管7を一方の端部に連結し、微細スラッジを除去した清澄な研削液Lを排出する排出ポンプ11を他端に配設している。この分離槽4は、タンク内部を長手方向に沿って仕切り板21Aで二分しつつ、分離槽4の端部は仕切り板21Aを切り欠いた開口を設けている。これにより、分離槽4の一端から供給された研削液Lは、切り欠きKAを設けた他端(図1において左側)で折り返して逆方向に流れる。この結果、切り欠きKA部分に研削スラッジを集めることができる。このように仕切り板21Aは、研削スラッジの内、研削液Lの液面に浮遊している浮遊研削スラッジFSを、分離槽4の所定の領域に集める集積手段21として機能する。この仕切り板21Aによって研削液Lの流路が規定されることで、研削液Lは図1において白抜きの矢印で示すように分離槽4を循環して工作機械KK側に環流される。図1の例では、仕切り板21Aの上側を、分離前の研削液Lが流れるダーティ槽DSとし、また仕切り板21Aの下側を、研削液Lを分離後するクリーン槽CSとし、特に仕切り板21Aの切り欠きKAを設けた下流側(図において左下)を、浮遊研削スラッジFSを分離する集積領域CAとする。
(濾過手段)
また必要に応じて研削液Lの供給路あるいは流路中に、フィルタ等の濾過手段を配置してもよい。これによって、研削スラッジ中の微細スラッジ以外の、比較的大きなスラッジを容易に分離、排除できる。濾過手段は、例えば多孔板8を使用し、研削液Lを多孔板に透過させて分離槽4に供給あるいは循環させる。多孔板8には、金属板に多数の小さい貫通孔を設けたパンチングメタル、または、網目の小さい金網が使用できる。多孔板8は、水平な姿勢で分離槽4の液面から上方に離して、脱着できるように装着される。脱着できる多孔板8は、汚れたときに簡単に洗浄できる。また、脱着できる多孔板8は、供給される研削液Lの粘度によって、貫通孔や網目の異なる最適なものに簡単に交換できる。多孔板8の貫通孔または網目は、上面に供給される研削液Lを均一に分散して透過できるように、上面に所定の深さで研削液Lを蓄える状態で、全面ないしほぼ全面に研削液Lを透過させるように設計される。多孔板8の上面に所定の深さで研削液Lを蓄えることができるように、多孔板8の周囲には、上方に突出して周壁19を設けて溜箱20としている。溜箱20に供給される研削液Lは、ここに一時的に蓄えられて、多孔板8を通過して均一に分散して落下する。沈降研削スラッジSSを非磁性プレート5に沈降させて、沈降研削スラッジSSの除去された研削液Lは、排出ポンプ11で排出される。
図に示す分離装置は、非磁性プレート5を分離槽4の底板としている。なお分離槽の底板とは別に、分離槽の内部に非磁性プレートを配設することもできるのは言うまでもない。ただ、非磁性プレート5を分離槽4の底板に兼用する装置は、最も簡単な構造にできる。
非磁性プレート5は、ステンレス、アルミニウム、銅等の非磁性金属で製作される。この非磁性プレート5は、供給管7から供給される研削液Lに含まれる沈降研削スラッジSSを沈降させる吸着部5Aと、この吸着部5Aの沈降研削スラッジSSを研削液Lの外部に上昇させる傾斜部5Bと、傾斜部5Bで研削液Lの外部に送り出された沈降研削スラッジSSを非磁性プレート5から分離する落下部5Cとを備える。
非磁性プレート5は、上面を平滑面とすることに加えて、さらに、表面を金属メッキし、あるいは、表面にホーロー層を形成し、あるいはまた、表面を鏡面に研磨して鏡面処理面としている。
金属メッキは、クロームメッキや金メッキである。クロームメッキは、低コストで表面が硬く、しかも凹凸の少ない鏡面にできる特長がある。金属メッキされた鏡面処理面は、メッキ層によって、表面の凹凸が極めて少ない鏡面となる。メッキ層の膜厚は、好ましくは3〜100μm、より好ましくは10〜50μmとする。クロームメッキは、磁気シールドして磁石が沈降研削スラッジSSを磁気的に吸引する力を弱める。このため、クロームメッキは、できる限り薄い薄膜として、非磁性プレート5の表面を鏡面とするのがよい。ただ、クロームメッキが薄すぎると、非磁性プレート5の表面を理想的な鏡面にできない。このため、クロームメッキ層の膜厚は、5〜50μmとするのがよい。金属メッキして表面を鏡面処理面とする非磁性プレート5は、銅板が適している。金属メッキを付着しやすいからである。ただ、ステンレス板やアルミニウム板も、表面に金属メッキをして鏡面処理面とすることができる。
ホーロー層は、非磁性プレート5の表面に低融点のゆう薬を均一に塗布し、これを溶融状態に流動させる温度まで加熱して、表面を鏡面状態として焼結する。ホーロー層は、クロームメッキのように磁気シールドする作用がない。このため、厚くして非磁性プレートの表面を鏡面にできる特長がある。ホーロー層の膜厚は、例えば0.1〜2mmとする。ホーロー層は極めて硬いので耐久性があって、長寿命にできる特長がある。
表面を鏡面に研磨して鏡面処理面とした非磁性プレート5は、表面粗さを▽▽▽(表面粗さ記号)以上とする鏡面に研磨して鏡面処理面とする。この非磁性プレート5は、微細な研磨材を使用して、非磁性プレート5の表面を鏡面に研磨する。この非磁性プレート5は、ステンレス板が適している。それは、鏡面処理面の腐食を防止できるからである。この構造の非磁性プレート5は、最も安価に表面を鏡面処理面にできる特長がある。
吸着部5Aは、分離槽4の底板の水平部で構成される。図において、底板の左部は微細スラッジの移送方向に向かって上り勾配の傾斜面となっており、この傾斜面で傾斜部5Bを構成している。傾斜部5Bは、上端を液面よりも上方まで延長している。傾斜部5Bは、上端で所定の曲率半径で湾曲されて垂直に降下する落下部5Cに連結されている。落下部5Cは非磁性プレート5の先端に設けられており、落下部5Cの下方には微細スラッジの溜槽12を設けている。
磁気コンベア6は、非磁性プレート5の下方に配設される。沈降研削スラッジSSを帯磁させて凝集、沈降させると共に、磁気的な吸着力で吸着して、非磁性プレート5に沿って移送させるためである。磁気コンベア6は、非磁性プレート5の下面に接近して移動する複数の永久磁石6Aを備えている。永久磁石6Aは一定の間隔で平行に連結される。複数の永久磁石6Aは、その両端を、磁気コンベア6の無端のチェーン6Bに連結して、所定の間隔で連結している。無端チェーン6Bは、一定の間隔で、細長い永久磁石6Aを連結している。
チェーン6Bで連結される永久磁石6Aは、非磁性プレート5の裏面に接近して移動する対向面の全面をN極とS極のいずれかとし、その反対側の反対面の全面を対向面と異なる磁極としている。すなわち、対向面をN極とする永久磁石6Aは、反対面をS極とし、対向面をS極とする永久磁石6Aは、反対面をN極としている。
(強制磁化機能)
さらに、研削スラッジの内、研削液Lの液中に沈降している沈降研削スラッジSSを、強制的に磁化する磁化手段を備えることもできる。磁化手段は、非磁性プレート5の上方を強制磁化領域18とし、供給される研削液Lに含まれる沈降研削スラッジSSを帯磁させ、磁気的な吸引力で凝集させて、速やかに沈澱させることができる。沈殿された沈降研削スラッジは、磁気コンベア6により排出される。
磁化手段の一例を、図2に示す。この例では、磁気コンベア6に所定の間隔で固定している永久磁石6Aを、対向面の磁極が隣接するもので異なる磁極となるように配列して、非磁性プレート5の上方を強制磁化領域18としている。この場合、所定の間隔で移送方向に並べている永久磁石6Aは、対向面の磁極が、N極、S極、N極、S極・・・と交互に異なる磁極となるように配設する。この状態で配設している永久磁石6Aは、非磁性プレート5の上方に設けられる強制磁化領域18の磁束密度を均一にできる。それは、隣接して配設しているN極とS極との間に磁束を通過できるからである。強制磁化領域18は、永久磁石6Aの対向面の近傍で磁束密度が最も強くなる。永久磁石6Aの磁極に最も接近するからである。隣接する永久磁石6Aの中間で最も磁束密度が低くなる。
さらに、対向面をN極とS極として反対面をチェーン6B等の磁性金属で連結している磁気コンベア6は、反対面の磁束をチェーン6B等の磁束金属に通過させて、この間の磁気抵抗を小さくできる。このため、隣接するふたつの永久磁石6Aを、対向面と反対面とで連結する磁気回路の磁気抵抗を小さくして、対向面の磁束密度を高く、すなわち、強制磁化領域18の磁束を強くできる。
永久磁石6Aによって設けられる強制磁化領域18は、ここに沈降研削スラッジSSを通過させて帯磁させる。帯磁された沈降研削スラッジSSは、磁気的な吸引作用で互いに吸着して大きく凝集する。凝集した沈降研削スラッジSSは、研削液Lの内部を速やかに沈降して非磁性プレート5の吸着部5Aに沈澱される。
磁気コンベア6は、永久磁石6Aを、非磁性プレート5の下面に接近して移動させるために、チェーン6Bの移送路にチェーンガイド6Fを設けている。チェーン6Bをチェーンガイド6Fで決められた位置に移動させて、永久磁石6Aを非磁性プレート5の下面に接近して移動させる。チェーン6Bを移動させるために、2条のチェーン6Bを、スプロケット6Cに掛けている。スプロケット6Cは、回転軸6Dの両端に固定され、回転軸6Dをモータ6Eで駆動して、チェーン6Bを移動させる。
チェーン6Bで移動される永久磁石6Aの速度は、例えば、約1cm/秒に設定される。ただ、永久磁石6Aの移動速度は、例えば0.3〜5cmとすることもできる。永久磁石6Aの移動速度が遅すぎると、吸着した沈降研削スラッジSSを能率よく排出できない。反対に、永久磁石6Aの移動速度が早すぎると、吸着した沈降研削スラッジSSを移送できなくなる。永久磁石6Aの移動速度は、沈降研削スラッジSSを能率よく移動できるように決定される。
図2に示すように、磁気コンベア6による沈降研削スラッジSSの移動方向は、研削液Lの流れ方向と逆方向としている。これにより、分離槽4の底面に沈殿した沈降研削スラッジSSが、下流側に集中して溜まる事態を回避し、沈殿した沈降研削スラッジSSを流れと逆方向に移動させることで沈殿物を分散させ均一にするようにでき、沈殿した沈降研削スラッジSSが排出ポンプ11に吸引されたり、吸引を阻害したりする事態を解消できる。
以上のようにして、図2に示すように分離槽4のクリーン槽CSにおいて、研削スラッジSを非磁性プレート5の上面に、磁気的な吸引力と自重とで沈降させ、非磁性プレート5の裏面に配設された磁気コンベア6で、磁気的な吸引力により沈降研削スラッジSSを吸引して排出方向に移動させる。研削スラッジは、研削液Lや研削対象の種類にもよるが、1、2割は沈降するので、このようにして沈降した沈降研削スラッジSSを、磁気コンベア6を用いて排出できる。
(回収手段22)
一方で、研削スラッジには沈降しないもの、すなわち研削液Lの液面に浮かぶ浮遊研削スラッジFSも存在する。このような浮遊研削スラッジFSは、回収手段22によって研削液Lから引き上げて分離する。この様子を、図3に基づいて説明する。
回収手段22は、集積手段21で集積領域CAに集められた浮遊研削スラッジFSに対して、少なくとも一部を該浮遊研削スラッジFSに接触させるよう研削液Lに浸漬して、研削液Lから引き上げることで、該浮遊研削スラッジFSを表面に付着させる。図3の例では、回収手段22は円盤状の回転板22Aで構成される。回転板22Aは、回転軸を中心に、モータ等の回転手段により一定方向に回転される。回転板22Aは、研削液Lに浸漬される部分と浸漬されない部分を有する。好ましくは、回転軸が研削液Lに浸漬されないよう、半分以下の領域、より好ましくは回転板22Aの直径の3/10〜4/10、最も好ましくは約1/3が、研削液Lに浸漬される位置に、回転板22Aは固定される。そして回転板22Aを回転させることで、研削液Lに浸漬された部分は液面に浮遊する浮遊研削スラッジFSに接触し、回転につれて付着した浮遊研削スラッジFSが研削液Lから引き上げられて分離される。分離された浮遊研削スラッジFSは、気泡を含んでおり、ある程度は研削液Lからの引き上げによって破裂、消失する。気泡を抜くことで研削スラッジの密度が若干高くなる。そして残った浮遊研削スラッジFSは、図4に示すように、凝縮手段30によって凝縮され、回転板22A表面から掻き取られて、再度研削液L中に投入される。凝縮され塊状になった研削スラッジは、密度がより高くなるため、今度は研削液Lに浮くことなく沈降する。沈降した塊状研削スラッジKSは、非磁性プレート5上に堆積して、磁気コンベア6により排出される。
浮遊研削スラッジFSは、研削液Lの濡れによって回転板22Aの表面に付着する。さらに回収手段22の内部に、第二磁石23を設けることで、磁力による吸着力を付加でき、付着量を高め、より多くの量の浮遊研削スラッジFSを一度に研削液Lから分離することができる。第二磁石23は、図5の断面図に示すように、回転板22Aの内部に空間を設け、この内部に配置することで回転板22Aを通じて磁力を作用できる。回転板22Aは、磁力を透過しやすい樹脂等の非磁性体の素材で構成される。第二磁石23は、回転板22Aの円周で、研削液Lを浸漬する領域に設ける。第二磁石23は、円周に沿って連続的に配置することもできるが、図3の斜視図及び図4の側面図において破線で示すように、部分的に設けてもよい。
この回転板22Aの回転速度は、研削液Lの量や発生する浮遊研削スラッジFSの量を考慮し、浮遊研削スラッジFSを十分に付着できる程度のゆっくりな速度で、かつ浮遊研削スラッジFSの排出効率を高める速い速度に設定される。例えば、5〜20回/秒、好ましくは10〜15回/秒、より好ましくは12回/秒程度に設定される。
また図2の例では、研削液Lの流れに対して交差するように回転板22Aを配置している。すなわち、図1の平面図において、ダーティ槽DSからクリーン槽CSに流入する研削液Lの縦方向の移動に抗するよう、盤面が水平になるよう配置される。流れに抗するように回転板22Aを配置することで、液面を移動する浮遊研削スラッジFSを確実に回転板22Aで堰止めて補足できる。ただ、この配置は一例であり、例えばクリーン槽CS側で、図1において盤面が垂直となる姿勢に回転板を配置してもよい。また図2の例では、回収手段22を一のみ設けているが、回収手段を複数設けてもよいことはいうまでもない。例えばクリーン槽CSの流れ方向に直交するように、回転板を複数連平行に設けたり、あるいは回転板を横並びにして、クリーン槽CSの流路の断面の広い面積でカバーするように回転板を配置することができる。
さらに回転板22Aの配置姿勢は、図5の例では、研削液Lの液面に対してほぼ垂直に液中に挿入されている。この結果、回転板22Aの両面で浮遊研削スラッジFSを補足、付着できる。ただ、回転板を液面に対して傾斜姿勢で配置することもできる。例えば図6に示す変形例では、研削液Lの流れに対して、液面をすくい上げるように斜めに回転板22Cを配置している。これによって堰き止められた浮遊研削スラッジFSが、すくい上げられるように回転板22Cに付着されるので、この面における付着効果を高めることができる。
(凝縮手段30)
凝縮手段30は、回収手段22に付着されて一旦研削液Lから引き上げられた研削スラッジを凝縮する。図4の例では、回転板22Aの表面に付着した浮遊研削スラッジFSを掻き取るスクレーパ30Aで構成される。スクレーパ30Aは、好ましくはゴム等の弾性部材で構成され、回転板22A表面に弾性押し当てた姿勢に保持される。これにより、回転板22Aの回転につれて搬送される浮遊研削スラッジFSがスクレーバで堰き止められて凝縮され、塊状の研削スラッジKSとなる。また、ある程度の大きさになった塊状研削スラッジKSは、掻き取られ、落下して再度研削液L中に投入される。この際、塊状研削スラッジKSの投入位置TPを規定するために、掻き取られた塊状研削スラッジKSを所定の投入位置TPに案内する案内手段を設けている。図4の例では、凝縮手段30であるスクレーパ30Aが、塊状研削スラッジKSを再度研削液L中に投入されるように案内する投入手段を兼ねている。すなわち、板状のスクレーパ30Aを、一方の端縁を回転板22Aの円周方向に交差する姿勢で表面に押し当てると共に、他方の端縁は回転板22Aから突出させて、回転板22Aから離間させた位置まで延長している。さらにスクレーパ30Aは、掻き取り側から突出側(落下側)に向かって下り勾配に傾斜するように、掻き取り側よりも突出側が低くなる姿勢に固定している。これによって、回転板22A表面から削ぎ落とされた塊状研削スラッジKSは、図4においてスクレーパ30Aの左側に落下することなく、右側すなわち突出側の他端に向かってスクレーパ30Aの上面を転がるように移動し、他端から下方に落下する。また、好ましくは図4に示すように、スクレーパ30A他端の落下側には、塊状研削スラッジKSを所定の投入位置TPから落下するように案内する筒状のガイドを設けておくことで、落下位置をさらに確実に所望の位置に規定できる。
このように、回収手段22により研削液Lから浮遊研削スラッジFSが引き上げられる引き上げ位置HPと、凝縮手段30により凝縮された研削スラッジが研削液L中へ投入される投入位置TPとを異なる位置とし、案内手段により引き上げ位置HPから離れた位置に案内した上で研削液L中に再投入することで、再投入された浮遊研削スラッジFSが再度回収手段22に接触したり、回収手段22による浮遊研削スラッジFSの引き上げを阻害したりする事態を回避でき、効率よく浮遊研削スラッジFSの研削液Lからの引き上げと再投入を行え、研削スラッジを分離をスムーズに行える。
特に投入位置TPは、図4に示すように、引き上げ位置HPに対して、磁気コンベア6の運送方向の上流側に配置することで、凝縮された塊状研削スラッジKSが磁気コンベア6で運ばれる距離行程が長くなるため、砥粒等の非磁性体沈殿物NMの回収効果が高められる。
スクレーパ30Aは、図5に示すように回転板22Aの両面に設けられる。これにより、両面で付着した研削スラッジを凝縮して、より多くの塊状研削スラッジKSを生成して再投入できる。
以上のように回転板22Aを用いた回収手段22は、回転軸を定位置に保持でき、可動部分を必要最小限としつつ、研削液Lへの浸漬と引き上げを連続的に行うことができるので、好ましい。ただ、回収手段は、この構成に限られず、研削液Lに浸漬して引き上げ可能な構成であれば適宜利用できる。例えば、変形例として図7(a)に示す回収手段22Bは、クランク機構によって上下動し、研削液Lの浸漬、引き上げを繰り返している。この回収手段22Bは、板状あるいは角柱状、円柱状等に構成できる。クランク機構を用いる利点は、回収手段22Bの広い面積、例えば全体を研削液L中に浸漬できるので、一度に付着できる浮遊研削スラッジFSの量を多くできる。反面、可動部分が多くなるため機械的なメンテナンスの量が回転板よりも多くなる。また、図7(b)に示すように、凝集手段として、回収手段22Bの表面に付着した浮遊研削スラッジFSをワイパー式に回転あるいは揺動して掻き取るスクレーパ30Bを利用できる。
このようにして、研削液L表面に浮遊する泡状の浮遊研削スラッジFSを回収手段22に付着させて引き上げることにより、従来処理が困難であった泡沫状の浮遊研削スラッジFSを効果的に除去、処理することが可能となる。加えて、この方法では一旦引き上げた浮遊研削スラッジFSをそのまま排出するのでなく、気泡を抜いて凝縮し、密度を増した状態で研削液L中に再度投入する。この塊状研削スラッジKSは、密度が高められるため、再度浮き上がることなく、研削液L中を沈降させることができる。特に凝縮によって自重が増すことに加え、磁気コンベア6の磁気的な吸引力の影響も受けやすくなるため、確実に沈降させることができる。
そして、この塊状研削スラッジKSを利用して、従来磁気による排出ができなかった非磁性体沈殿物NMの排出も可能となる。すなわち、再投入された塊状研削スラッジKSは、図2の断面図に示すように、自重と磁気的な吸引力とで沈降して、非磁性プレート5の上面に堆積する。すると、非磁性プレート5の裏面に配設された磁気コンベア6によって、磁気的な吸引力により塊状研削スラッジKSが吸引され、排出方向(図2において左側)に移動される。この際、塊状の研削スラッジKSが非磁性プレート5上を移動することから、これによって、本来は磁気の影響を受けない非磁性体沈殿物NMである砥粒や塵等の無機質粒子も、塊状研削スラッジKSに押し出される格好となり、図2に示すように一緒に移動される。この結果、これら塊状研削スラッジKSがスクレーパのように作用して、非磁性体沈殿物NMも同時に傾斜部5Bを登って、落下部5Cを通過して分離槽4から排出され、微細スラッジの溜槽12に送られる。このようにして本実施の形態に係る研削液Lに含まれる微細スラッジの分離装置は、従来分離が極めて困難であった泡状の浮遊研削スラッジFSと、非磁性体沈殿物NMの両方を、効果的に研削液Lから排出することを可能とした。特にこの方法は、フィルタ等を使用しないためフィルタの清掃や交換といったメンテナンス作業を省略でき、また回転板のような極めて簡素な構成で実現できるため、安価であり、特に既存のクーラント装置にも付加できるという優れた特長を備える。
(研削液に含まれる微細スラッジの分離方法)
最後に、この分離装置を用いた研削液に含まれる研削スラッジの分離方法を、以下に説明する。まず、工作液から分離槽4に送られる研削液Lに対し、回収手段22の少なくとも一部を浸漬させる。そして研削液Lから引き上げることで、研削液Lの液面に浮遊する浮遊研削スラッジFSを回収手段22の表面に付着させる。ここでは回転板22Aの下約1/3を研削液Lに浸すことで、泡状の浮遊研削スラッジFSを効果的に付着できる。
次に、このようにして回収手段22に付着され一旦研削液Lから引き上げられた研削スラッジを、凝縮手段30であるスクレーパ30Aで凝縮する。そして凝縮された塊状の研削スラッジKSを回転板22Aから掻き取って、再び研削液L中に投入する。投入された塊状研削スラッジKSは、自重と磁力の作用により非磁性プレート5上に沈降される。そして非磁性プレート5の背面に配設された磁気コンベア6に吸着された塊状研削スラッジKSは、非磁性プレート5上を排出方向に移動される。この際、同じく非磁性プレート5上に沈降される砥粒等の非磁性体沈殿物NMを塊状研削スラッジKSが押し出すため、これらは一緒に傾斜部5Bを登坂して分離槽4から排出され、溜槽12に落下して分離される。この結果、研削液L中からこのような不純物が分離されて、浄化された状態で工作機械KK側に環流される。
以上のように、本実施の形態によれば、研削スラッジの内、磁力による吸着や磁化が困難な、研削液の液面に浮遊している浮遊研削スラッジは、回収手段で回収することができる。また研削液の液中に沈降している沈降研削スラッジについては、強制磁化手段で強制的に磁化して排出できる。さらに粒径のより大きなスラッジについては、多孔板8を使用した濾過手段等のフィルタによって排除できる。このように、研削スラッジを形状や大きさによらず、効果的にクリーン槽CSにて分離、排出することが可能となる。
なお沈降研削スラッジは、微細な研削スラッジの内、研削液の液面に浮いている浮遊研削スラッジを除く成分を指す。すなわち、研削液中で沈降しつつある研削スラッジや、浮遊して漂っている研削スラッジを含む意味で使用する。研削スラッジの形状や大きさは、研削対象の金属や研削機(例えば砥石の種類)、研削目的(例えば重研削か超仕上げか)等にも依存するが、一般的には重研削で発生する100〜500μm程度の比較的大きな切り粉は、特に外形がカールしていたり螺旋状になっているものは研削液面に浮遊しやすくなり、浮遊研削スラッジとなる。一方で100μm以下の微細な切り粉は、粉状あるいは粒状となり、泡が付着し難く、沈降しやすい沈降研削スラッジとなる。そしてこれら沈降研削スラッジと浮遊研削スラッジのいずれも、本実施の形態によって最終的には非磁性プレート5上に沈降させることができ、磁気コンベア6により研削液から除去できる。