JP5476726B2 - 半導体製造装置用ウエハ保持体、及びそれを備えた半導体製造装置 - Google Patents

半導体製造装置用ウエハ保持体、及びそれを備えた半導体製造装置 Download PDF

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本発明は、ウエハを保持した状態で該ウエハ上にCVD、スパッタ等で膜を形成したり、エッチングやレジスト膜の熱処理を行ったりする際に広く使用される半導体製造装置用ウエハ保持体及びそれを搭載した半導体製造装置に関する。
従来からウエハを載置して熱処理するためのウエハ保持体が使用されてきた。ウエハ保持体は腐食性雰囲気に曝されるチャンバー内で使用されるため、腐食に対する様々な配慮がなされている。例えば、特許文献1のウエハ保持体においては、発熱体を埋設したセラミックス製の加熱体に管状の支持部材の一端部を気密に接合し、この支持部材の管内にセラミックス製加熱体中に埋設された発熱体に接続する電極部と、加熱体の温度を測定するための熱電対とを収容している。支持部材の他端部は、チャンバー容器に気密にシールされており、これにより、これら電極部や熱電対がチャンバー内の腐食性雰囲気に曝されないようになっている。
一方、従来は直径8インチ程度であったウエハサイズは、近年のウエハの大口径化により既に直径12インチが実用化されており、更には直径18インチのウエハの検討も始まっている。また、ウエハ上に形成される配線の微細化も進んでおり、ウエハ上に成膜する膜の厚みを高い精度で制御することがより一層要求されている。これに伴って、ウエハ保持体に対しても、高い均熱性が要求されるようになってきている。このため、加熱体に複数の発熱体を埋設し、電圧値や電流値を個々の発熱体毎に個別に制御することで、均熱性を向上させる試みも行われている。
特公平6−028258号公報
しかしながら、一般に加熱体を支持する管状の支持部材は、加熱体においてウエハ載置面とは反対側の面のほぼ中心部分に設けられるため、加熱体に埋設される発熱体に給電するための電極部の設置位置も加熱体の中心部付近となり、電極部の設置位置に自由度がない。例えば図9に示すようなパターンで内側発熱用の発熱体2aと外側発熱用の発熱体2bの2つの発熱体を加熱体1に形成して温度制御する場合においては、外側発熱用の発熱体2bはその電極部3bと接続するための接続部分を管状支持部材が設置されている中心部付近まで引き込まなければならず、これがウエハ載置面の均熱性を大きく乱していた。尚、図9では明瞭にするため、内側発熱体2aを点線で、外側発熱体2bを実線で示している。
すなわち、複数の発熱体を形成する際、どうしても図9に示す点線に囲まれたような領域において均熱が乱れてしまう。このため、加熱体の設計温度に基づいて発熱体のパターンを最適設計しても、実際に使用する温度条件が変わると、上記したような領域での温度の乱れによりどうしても均熱性が低下するという問題があった。また、加熱体1の温度を測定するための測温素子4も管状支持部材の管内に設置する必要があるため、上記の例では外側発熱用の発熱体の温度を測定できないという問題があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、ウエハの大口径化及び配線の微細化に伴って要望される高い均熱性及び信頼性を有するウエハ保持体を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明が提案する第1の実施態様の半導体製造装置用ウェハ保持体は、ウェハを載置して加熱する加熱体と、この加熱体をチャンバー内で支持する管状支持部材とからなり、この加熱体は、そのウェハ載置面を複数の領域に分割して得られる各領域毎に、前記加熱体内に埋設されている発熱体と、当該発熱体に接続され、加熱体から露出している電極部と、当該発熱体が埋設されている領域の温度を測定する温度測定素子が発熱体が埋設されている領域毎に設けられており、前記管状支持部材は、前記電極部と前記温度測定素子とを全て内包し、且つ前記ウェハ載置面上に載置されるウェハを着脱するためのリフトピンを内包していないことを特徴としている。
また、本発明が提案する第2の実施態様の半導体製造装置用ウェハ保持体は、ウェハを載置して加熱する加熱体と、この加熱体をチャンバー内で支持する管状支持部材とからなり、この加熱体は、そのウェハ載置面を複数の領域に分割して得られる各領域毎に、前記加熱体内に埋設されている発熱体と、当該発熱体が埋設されている領域の温度を測定する温度測定素子が発熱体が埋設されている領域毎に設けられており、隣接する発熱体同士は、加熱体内において異なる層に埋設されており、管状支持部材に囲まれる領域内に埋設されている発熱体は直接加熱体から露出している電極部に接続し、管状支持部材に囲まれる領域外に埋設されている発熱体は加熱体に埋設されている導入部を介して加熱体から露出している電極部に接続しており、前記管状支持部材は、前記電極部と前記温度測定素子とを全て内包し且つ前記ウェハ載置面に対してウェハを着脱するためのリフトピンを内包していないことを特徴としている。
上記本発明の半導体製造装置用ウエハ保持体においては、前記管状支持部材の管内の圧力Psと、その管外であって前記チャンバー内の圧力Pcとの関係がPs−Pc≦2Torrであることが好ましい。
本発明によれば、ウエハの大口径化及び配線の微細化に伴って要望される高い均熱性及び信頼性を有するウエハ保持体を提供することができる。
本発明のウエハ保持体の加熱体に形成される発熱体のパターンの一具体例を示す模式図である。 本発明のウエハ保持体の加熱体に形成される発熱体のパターンの他の具体例を示す模式図である。 本発明のウエハ保持体の一具体例を示す模式図である。 本発明のウエハ保持体の他の具体例を示す模式図である。 本発明のウエハ保持体の更に他の具体例を示す模式図である。 本発明のウエハ保持体の具体例を示す概略の断面図である。 本発明のウエハ保持体の更に他の具体例を示す模式図である。 図7のウエハ保持体の概略の断面図である。 従来のウエハ保持体の加熱体に形成されている発熱体のパターンを示す模式図である。
本発明に係る半導体製造装置用のウエハ保持体は、ウエハを載置して加熱する加熱体と、この加熱体をチャンバー内で支持する管状支持部材とからなる。この加熱体内には、発熱体として例えば抵抗発熱体が複数個埋設されている。これら複数の発熱体の個数や埋設位置には特に制約はないものの、例えば、加熱体のウエハ載置面を半径方向に2つに分割して得られる内周領域と外周領域とをそれぞれ制御する内側発熱体と外側発熱体とを埋設することができる。
これら内側発熱体と外側発熱体とは、共に螺旋状や同心円状のパターンで形成することによって、発熱体同士が互いに干渉することのないように配置できる。これにより、加熱体の温度を内周領域と外周領域に分けて制御することができるため、比較的温度制御がしやすく、均熱性が得られやすい。
複数の発熱体には、各々外部から給電するための電極部が接続している。具体的には、各発熱体の両終端部に1対の電極部が接続しており、この1対の電極部は、当該発熱体が埋設されている領域内において、加熱体から露出している。また、各発熱体が埋設されている領域内には、その領域の温度を測定する熱電対等の温度測定素子が設けられている。
上記本発明の加熱体はチャンバー内で管状の支持部材によって支持されている。支持部材の一端部は、加熱体のウエハ載置面とは反対側の面に気密に接合しており、他端部はチャンバー容器に気密にシールしている。更に、支持部材は、上記した電極部と温度測定素子とを全て管内に内包する構造になっている。
このように、気密にシールされている支持部材の管内に全ての電極部を内包することにより、チャンバー内の腐食性雰囲気からこれら電極部を保護することができ、電極部の信頼性を確保しつつ均熱性に優れた発熱体のパターンを形成することができる。同様に、支持部材の管内に全ての測温素子を収納することにより、従来は困難であった例えば外側の発熱体が埋設されている領域の温度を、信頼性を損なうことなく簡易に測定することができ、ウエハ保持体全体を高精度に温度制御することができる。
複数の発熱体は、加熱体内で同一の層に埋設しても良いし、互いに異なる層に埋設しても良い。後者の場合、前者に比べて隣接する発熱体同士の距離を大きくとれるため、特に高温で使用する際、発熱体同士の絶縁の信頼性を向上することができる。
更に、発熱体に導入部を接続し、その導入部を加熱体の内部で引き回し、所望の位置で電極部と接続させることも可能である。これにより、発熱体のパターンをより高い自由度で形成することができる。このとき、発熱体と導入部との接続部分は、当該発熱体のパターンが形成されている領域内に設置される。この接続部分が、他の発熱体がパターン形成されている領域内に設置されると、当該他の発熱体との干渉により均熱性が乱れるため好ましくない。
すなわち、ある一つの発熱体のパターンが形成されている領域の温度を制御する際、その領域内に他の領域で制御されている他の発熱体の一部分が存在すると、制御系の異なる2つの発熱体が1つの領域内で混在することになるため、加熱体全体としての均熱性を実現することが困難となるため好ましくない。
これに対して各領域毎に、発熱体及び電極部を形成するか、又は発熱体及びこれと導入部との接続部分を形成することで、他の発熱体から干渉されることなく発熱体を制御できるため、加熱体全体として優れた均熱性を実現することができる。ここで、当然のことながら、導入部の単位長さ当りの抵抗値は、発熱体より小さいほうが好ましい。導入部の抵抗値が相対的に高いと、その部分の発熱により、均熱性が乱れるからである。
導入部の抵抗値を小さくするには、スクリーン印刷などで膜形成する場合においては、そのパターン幅を大きくするか、その厚みを発熱体より厚くすれば良い。また、金属箔を使用する場合は、その断面積を発熱体より大きくすれば良い。更に、コイルなどの場合は、巻き数を減らしたり、コイルを形成するワイヤーの径を太くしたりするなどの手法が挙げられる。
管状支持部材は、加熱体との結合部において、ウエハ載置面に平行な面での断面形状が円形であっても構わないし、大径の円の周縁部に部分的に小径の略半円や略半楕円を組み合わせたような形状でも構わない。また、大径の円の周縁部に部分的に四角形や三角形などの多角形を組み合わせた形状であっても構わない。
いずれにしても、少なくとも、発熱体に直接又は導入部を介して接続される電極部、及び各発熱体のパターン形成領域に設置される温度測定素子が、管状支持部材の管内に全て内包される必要がある。かかる構造にすることで、各発熱体において、そのパターン形成領域の温度を測定しながら発熱体に対する出力を個別に調整することが可能となり、加熱体全体の均熱性を達成することができる。
また、従来のウエハ保持体は、加熱体の中心部付近に電極部や温度測定素子が集中していたので、当該加熱体の中心部付近から当該電極部や温度測定素子を伝わって局所的に熱が逃げ、良好な均熱性が得られないという問題があったが、本発明によれば、これら電極部や温度測定素子の配置を適度に分散させることができるため、上記のような問題は発生しにくい。また全ての電極部や温度測定素子が管状支持部材の管内に収容されているため、これらの部材を例えばチャンバー内でクリーニング時に使用されるフッ素系や塩素系などのハロゲン系の腐食性ガスから保護することができる。
また、管状支持部材は、加熱体のウエハ載置面に対してウエハを着脱するためのリフトピンを内包していない。管状支持部材がリフトピンを内包するような構造とした場合は、管状支持部材の管内雰囲気とチャンバー内雰囲気とが、ウエハ載置面を交差する方向に加熱体に穿孔されているリフトピン挿通孔を介して流通し、チャンバー内で使用する腐食性ガスが管状支持部材の管内に直接侵入してしまうため好ましくない。
尚、クリーニング時に使用する腐食性ガスの侵入を防ぐために、リフトピンを筒状部材で囲って気密シールする方法もあるが、管状部材の構造が非常に複雑になるため好ましくない。このように、リフトピンを管状部材内に設置しないことで、電極や熱電対などが腐食性雰囲気に曝されることを防止でき、簡易な構造で信頼性の高い半導体製造装置用ウエハ保持体を提供することができる。
次に、本発明の半導体製造装置用ウエハ保持体の一実施態様について、図面を用いて説明する。図1に示すウエハ保持体の加熱体11は、ウエハ載置面を半径方向に2つに分割した内側領域と外側領域のそれぞれに、内側領域を加熱する内側発熱体12aと、外側領域を加熱する外側発熱体12bとが互いに干渉することなく形成されている。尚、図1では明瞭にするため、内側発熱体12aを点線で、外側発熱体12bを実線で示している。図3、図5及び図7においても同様である。
これら内側発熱体12a及び外側発熱体12bのそれぞれの両終端部に、外部から給電するための1対の電極部13a及び13bが接続している。ここで、1対の内側電極部13aは内側発熱体12aのパターンが形成されている領域内に設置されており、外側電極部13bは外側発熱体12bのパターンが形成されている領域内に設置されている。
そして各発熱体が形成されている領域内に、温度測定素子としての熱電対が形成されている。具体的には、内側発熱体12aのパターンが形成されている内側領域に、当該内側領域の温度を測定するための内側熱電対14aが設置されており、外側発熱体12bのパターンが形成されている外側領域に、当該外側領域の温度を測定するための外側熱電対14bが設置されている。
このように、内側発熱体12aのパターンが形成されている内側領域内に、内側発熱体12a用の1対の電極部13aと温度測定素子としての熱電対14aとが形成されており、外側発熱体12bのパターンが形成されている外側領域内に、外側発熱体12b用の1対の電極部13bと温度測定素子としての熱電対14bが形成されている。かかる構造により、互いに他の領域に形成されている発熱体に干渉されることなく発熱体のパターンを形成できるとともに、各々の領域内に設けられている熱電対によって正確に各領域の温度を測定することができる。
その結果、各発熱体のパターンが形成されている領域で測定された温度に基づいて、より精度の高い温度制御を各領域毎に行うことができる。これにより加熱体11のウエハ載置面上の温度分布をより厳密に制御することが可能となる。例えば、加熱体11自身に働く応力を低減するために、中央部付近の温度が相対的に高くなるようにしたり、あるいは搭載するウエハの温度分布を均一にするために、中央部分の温度を相対的に低くしたりすることができる。また、このような制御を実施する場合において、各発熱体が形成されている領域の温度を測定しながら制御できるため、例えば中央部と外周部の相対的な温度差を測定しながら、これを所定の値以下となるように制御することができる。
ウエハ載置面を複数の領域に分割して各領域に発熱体を埋設する例は、上記したように半径方向に2つに分割する場合に限定するものではなく、ウエハ載置面を半径方向に3つに分割して得られる3つの領域に同心円状の3つの発熱体をそれぞれ埋設したり、更には同様にして4つの領域、5つの領域、あるいはそれ以上の数の領域にそれぞれ埋設したりすることも当然のことながら可能である。
例えば図2に示すように、加熱体21のウエハ載置面を半径方向に3つに分割し、得られた複数の領域のそれぞれに、同心円状に発熱体22a、22b、22cを埋設しても良い。この場合は、発熱体22a、22b、22cに対してそれぞれ1対の電極部23a、23b、23cが接続しており、発熱体22a、22b、22cのパターンが形成されている領域に、それぞれ熱電対24a、24b、24cが設けられている。尚、図2では明瞭にするため、最も内側と外側の発熱体22a、22cを実線で、これらに挟まれている発熱体22bを点線で示している。
また、加熱体のウエハ載置面を周方向に分割して得られる複数の扇型の領域に、扇型のパターンを有する複数の発熱体をそれぞれ形成しても良い。例えばウエハ載置面を周方向に4等分した領域に4つの扇型パターンの発熱体をそれぞれ配置することができる。尚、周方向に分割する数はこれに限定されるものではなく、5つ以上に分割することも可能であるし、また2分割や3分割も可能である。
更に、等面積に分割するのみならず、互いに異なる面積となるように分割しても構わない。この場合も、発熱体に接続される電極部は、対応する発熱体のパターンが形成された領域内に形成され、発熱体のパターンが形成されている領域の温度を測定するための温度測定素子も、対応する発熱体のパターンが形成されている領域内に設置され、これら電極部及び温度測定素子を囲むように管状部材が加熱体に取り付けられている。
一般に、チャンバーにおいてウエハの搬入、搬出が行われる開口部分の構造は、それ以外の部分の構造と異なるため、加熱体において当該開口部分側の温度は相対的に低くなりやすい。これに対して、扇型パターンを有する発熱体を採用することによって、部分的に温度が低下した箇所の温度を他の部分と同等となるように昇温することが可能となり、加熱体の温度分布を均一にすることができる。
図3には、図1に示す加熱体11において、ウエハ載置面とは反対側の面に管状の支持部材15の一端部が取り付けられている様子が示されている。この図3から分かるように、支持部材15は、1対の内側電極部13a及び1対の外側電極部13b、並びに、内側熱電対14a及び外側熱電対14bの全てを内包するように加熱体11に取り付けられている。
また、図4には、ウエハ載置面を周方向に均等に4つに分割し、扇型パターンを有する4つ発熱体32a、32b、32c、32dをそれぞれ埋設した加熱体31に支持部材15の一端部が取り付けられている様子が示されている。この場合は、支持部材15は、4対の電極部33a〜33dと、4つの熱電対34a〜34dとを内包するように加熱体31に取り付けられている。
ウエハ載置面に平行な面における支持部材の断面形状は、図3や図4に示す円形に限るものではなく、図5(a)の支持部材25に示すように、1対の外側電極部13bや外側熱電対14bが設置されている部分だけ外側に凸状に膨らませたような、大径の円と小径の略半円とを組み合わせた形状にしても良い。このような構造にすることによって、1つの大径の円のみからなる場合に比較して、加熱体11上の支持部材25で囲まれる領域の面積を小さくでき、支持部材25の内部圧力がチャンバー内の圧力に対して相対的に高くなっても、支持部材25や加熱体11に加わる応力を小さくすることができるため、破損などの機械的トラブルを起こりにくくすることができる。
尚、部分的に凸状となる部分は、上記のように略半円や略半楕円などの角部のない形状であることが好ましい。これは、半円や半楕円などは、四角形や三角形などに比べて、支持部材内外で圧力差が生じた場合の応力集中が起こりにくいからである。
ところで、ウエハ保持体においては、一般に加熱体のウエハ載置面に対してウエハを着脱するため、最低でも3本のリフトピンが用いられている。このため、図3に示すように、加熱体11には、そのウエハ載置面に交差する方向にリフトピン穴16が穿設されている。支持部材15は、このリフトピン穴16が管内に位置しないように、すなわち、リフトピンを内包しないように加熱体11に取り付けられている。
かかる構造にすることにより、リフトピンが支持部材15の管内に取り込まれた場合に生じる支持部材15の管内へのチャンバー内の腐食性ガスの侵入を防止することができる。尚、支持部材15の管内にリフトピンを取り込んだ場合であっても、前述したように、気密シールした筒状部材で各リフトピンを囲むことによって、熱電対や電極部を腐食性ガスから隔離することもできるが、この場合は構造が複雑になるため好ましくない。
リフトピンを内包しないようにするため、例えば図5(b)に示すように、リフトピン穴16が穿設されている部分だけ支持部材35の一部を内側に凹状にへこませた形状にしても良い。これによりリフトピンを内包しないようにしつつ最外周に位置する熱電対や電極部を容易に支持部材に内包させることができる。
ウエハ載置面に垂直な面における支持部材の断面形状は、図6(a)に示すようないわゆる直管でも構わないし、支持部材の直径が途中で変化するような構造でも構わない。例えば図6(b)の支持部材45に示すように、加熱体11に結合する一端部の直径よりもチャンバーに結合する他端部の直径が小さくなるように途中で直径を変化させる構造にすれば、チャンバー自体をコンパクトにすることができる。
図6(b)の場合においては、ウエハ載置面に平行な面での支持部材45の断面形状は、前述したように大径の円に小径の略半円や略半楕円を複数個組み合わせた形状が好ましい。なぜなら、支持部材45において、加熱体11との結合部分の長さを単一の円や楕円のときに比べて大きくとることができるため、支持部材45と加熱体11との取り付け強度をより高めることができるからである。また、角部を有しない円や半円・半楕円の組み合わせのため、支持部材45の内部と外部の圧力差が生じた場合でも支持部材45に加わる応力を分散することができるからである。
支持部材の管内の圧力は大気圧であっても構わないが、本発明においては、支持部材の直径が従来のものに比べて大きくなることが予想されるため、チャンバー内を真空にしたときに、加熱体及び支持部材によって画定される空間とチャンバーとの圧力差の影響を大きく受けることがある。そのため、支持部材を構成する素材の厚みが従来のままであると、支持部材の強度が不足して破損する恐れがある。
これに対して、例えば支持部材や加熱体の厚みを厚くし、更に支持部材と加熱体の接合面積を大きくとることで破壊などの問題を防ぐことはできる。しかしながら、この場合は、ウエハ保持体の熱容量が大きくなり、昇降温の速度が遅くなったり、また支持部材からの熱の逃げが大きくなったりするため、均熱性が乱れることがある。
そこで、支持部材の管内圧力を、チャンバー圧力より低くするか、もしくは高くとも2トール(Torr)以内の差にすることが好ましい。この範囲であれば支持部材の直径が大きくなっても破損などの機械的トラブルが発生しなくなる。尚、用途によっては、支持部材をチャンバーに対して気密シールする際に、支持部材の管内が大気雰囲気となる場合に起こり得る上記の問題点を考慮に入れて適切に設計すれば、上記圧力の範囲を超える条件で運転する場合であっても問題なく本発明を実施することが可能である。
支持部材の材質は、一般にセラミックスが好ましい。セラミックスは引っ張り応力に対しては破損しやすいが、圧縮応力に対しては非常に強度が高いため、上記のように、チャンバー内の圧力に対して支持部材の管内圧力を負圧にしておけば、まず破損の恐れはない。また、支持部材の管内圧力がチャンバー圧力より高くても、2Torr程度までの圧力差であれば、セラミックスでも破損することはない。
支持部材と加熱体との取り付け方法に関しては、接合材などを用いて接合する方法や、ネジ等を用いて機械的に結合する方法が挙げられる。接合材を用いる場合においては、公知の手法を使用することができる。例えば、窒化アルミニウムや希土類、アルカリ土類金属などを混合した接合材を接合したい部分に塗布し、窒素などの不活性ガス雰囲気中で例えば1600〜1900℃程度の温度で熱処理することで接合することができる。
またチタンなどの活性金属を含有する活性金属ロウ付けや、結晶化ガラスなどを使用することもできる。このとき、チャンバー内で使用する温度が比較的高く、フッ素系や塩素系などのハロゲン系腐蝕性ガスを使用する場合には、これらのガスに対して比較的耐食性の高い窒化アルミニウムを含有した接合材を使用することが好ましい。
また、支持部材の管内の雰囲気を制御するために、支持部材の管内から内部雰囲気ガスを排気するための真空排気用の排気口が取り付けられていることが好ましい。このような機能を備えた半導体製造装置用ウエハ保持体を搭載した半導体製造装置は、ウエハ径が大口径化しても、ウエハに対して均一な膜を生成することを容易に実施することができる。
このような形態の下、支持部材の内部を真空に保ちながらウエハなどを加熱するプロセスを行うことが好ましい。特に真空の場合、支持部材の管内からの熱の逃げも小さくなるため、ウエハ保持体の均熱性をより一層向上させることができる。また当然のことながら、加熱体や支持部材に加わる応力も常に圧縮応力となるため、ウエハ保持体の耐久性も向上させることができる。
また、支持部材をネジなどの機械的な手法で結合する場合は、例えば、支持部材において、加熱体との結合側端部にフランジ部を形成し、加熱体がセラミックス製の場合は、熱膨張係数がセラミックスに比較的近いタングステンやモリブデンなどのネジでフランジ部を加熱体にネジ止めすることができる。また、このとき、耐食性雰囲気からネジ部品を保護したい場合には、これらのネジ部品に比較的耐食性の高いニッケル膜をメッキやスパッタ、蒸着などの方法で形成するか、弗化ニッケルなどの膜を形成すれば耐食性を向上することができる。
更に、加熱体にタングステンやモリブデン等のアンカーボルトをねじ込み、そこにリング状の封止部材でアンカーボルトを固定し、このアンカーボルトを支持部材のフランジ部に形成した貫通孔に挿通し、アンカーボルトと同材質のナットでアンカーボルトを締め付けて支持部材を固定しても良い。このとき、チャンバー内に金属部品が露出しないようにするため、結晶化ガラス等のセラミックスの封止部材を用いて封止することできる。
上記したように支持部材を機械的に固定する場合は、支持部材の管の外側、すなわちチャンバー内側にフランジ部を形成するものであるが、逆に支持部材の管の内側に折り返し部を形成し、支持部材の管の内側から加熱体に固定しても構わない。また、支持部材を機械的に固定する場合、支持部材と加熱体との間に気密性を保つための耐熱性のガスケットを挟み込むことも可能である。これにより、支持部材の管内の雰囲気とチャンバー内の雰囲気とをより確実に隔絶することができる。耐熱性のガスケットとしては、使用される雰囲気ガスが強い腐食性を有する場合は、ニッケルやニッケルを含有する合金が好ましい。これらは、耐熱性、耐腐食性を有しているからである。
本発明における加熱体の材質としては特に制約はない。たとえばアルミニウムやステンレスなどの金属やその合金、あるいはアルミナや窒化ケイ素、窒化アルミニウム、炭化珪素などのセラミックス、更にはシリコン−炭化珪素、アルミニウム−炭化珪素、アルミニウム−窒化アルミニウムなどの金属とセラミックスとの複合体などを挙げることができる。これらの各材質に関しては、使用する温度、雰囲気ガス等の環境によって適宜選択すれば良い。
近年、特にCVDやスパッタ、エッチングなどの装置では、腐食性ガスを使用することが多いため、金属に比較して耐食性の高いセラミックスが耐熱性、耐食性の面で好ましい。特に耐食性を重視する場合は、酸化イットリウムなどの希土類酸化物を含有する酸化物セラミックスや窒化アルミニウムなどの窒化物セラミックスが好ましい。
本発明における加熱体の製造方法としては、例えば窒化アルミニウムからなる加熱体を製造する場合、窒化アルミニウム焼結体を成形した後、スクリーン印刷にて発熱体を形成し、これを焼成した後、前述した支持部材を接合する際に使用した窒化アルミニウムを含有する接合材を用いて複数の窒化アルミニウム焼結体を接合することで形成することができる。
ここで、発熱体を形成する際、タングステンやモリブデンなどの粉末に酸化アルミニウムや酸化珪素、希土類酸化物、アルカリ土類金属酸化物などのフリットを必要に応じて添加し、更に有機溶剤、バインダーを加え、ペーストを作製する。作製したペーストを用いて窒化アルミニウム焼結体上にスクリーン印刷などの手法で発熱体を形成する。
このとき形成する発熱体のパターンは、加熱体の内周部と外周部等のように、複数の領域にそれぞれ形成された複数の発熱体が別々に制御できるようにパターン形成するのが好ましい。例えば図1のパターンでは、内側発熱体12aと外側発熱体12bとが完全に分離して形成されている。このとき、外側発熱体12bのパターンが形成される領域に設置される1対の外側電極部13bは、できるだけ内側に形成することが好ましく、これによって支持部材15の最大直径を小さくすることができる。
また、加熱体と支持部材との結合部分における発熱体の発熱量が、他の部分に比べて大きくなるようにパターン形成することが好ましい。これにより、管状部材からの熱の逃げによる当該結合部分での加熱体の温度低下を補うことができる。尚、加熱体のパターンは、図1に例示したものに限らず、チャンバーの構造や、加熱体の材質、特性及び形状、あるいは使用温度によって種々のパターンとなるように設計しても良いことは言うまでもない。
その後、電極部を螺子止め等の手法(例えば、特許3966376号公報に記載している手法)で形成すればよい。そして、支持部材を前述した手法で結合し、ウエハ保持体を完成することができる。
また本発明は、発熱体として金属ワイヤーやコイル状の金属を埋設した加熱体にも適用することができる。この場合は、窒化アルミニウムに必要に応じて希土類化合物やアルカリ土類金属などの焼結助剤を添加し、更にバインダー、溶剤等を加え、ボールミル混合等の手法でスラリーを作製する。出来上がったスラリーからスプレードライなどの手法で顆粒を作製する。
得られた顆粒を用いて所定の形状にプレス成形する。次に成形体に発熱体となる金属ワイヤーやコイルを設置するための溝加工を行う。そして、形成した溝に上記の金属ワイヤーやコイルを設置する。このとき、次工程以降で、括れを有する支持部材を接合材を用いて加熱体に接合する場合には、例えば外側にパターン形成される発熱体の終端部を所定の長さより長くすることでセラミックス中に埋設しない部分を形成しておく。
なお、内側にパターン形成される発熱体については、金属の端子をかしめなどの手法で接続しておき、セラミックス中に埋設しておく。次にセラミックス中に埋設しない部分を除いて更にセラミックスの顆粒を成形体上に設置し、プレス加工する。このときプレスのパンチには、上記の発熱体の終端部が収納できる大きさのザグリや穴、貫通孔をできるだけ小さく形成しておく。このように形成した成形体をホットプレスにて焼結する。この場合のホットプレスのパンチにも、プレス成形時と同様に上記発熱体の終端部が収納できる大きさのザグリや穴、貫通孔を形成しておく。
ホットプレス焼結の後、必要に応じて前記発熱体の終端部を切断しないように表面を研磨し、加熱体を完成する。次に、必要に応じて内側にパターン形成された発熱体の電極を研磨により露出させておく。そして、管状部材を上記の手法により接合する。その後、内側にパターン形成された発熱体の終端部にMoやNiなどの電極をロウ付けにより形成する。また外側にパターン形成された発熱体の終端部のワイヤー等の金属をMo等の金属端子に巻きつけるか、かしめなどの手法で接続し、その後電極部材をロウ付けすることで完成することができる。
また、支持部材の管内に設置される温度測定素子には、熱電対を使用することができる。これを取り付ける方法としては、例えば熱電対の先端を加熱体に設置された凹部に押し付けたり、バネなどの弾性体を用いて更に付勢して取り付けても良いし、先端部を加熱体に接合しても良い。
上記のような手法で作製されたウエハ保持体では、例えば図1に示すパターンで発熱体を形成した場合は、外側と内側とに設置された熱電対によって、それぞれの領域の温度を測定しながら昇温することができるため、ウエハ保持体の外側と内側の温度差を小さくして昇温することができる。
これにより、従来問題となっていたウエハ保持体の中心部温度の相対的な低下に起因するウエハ保持体の破損を防ぐことができ、更には広い温度範囲で高い均熱性を得ることができ、更に電極の長期信頼性も高めることができるため、本発明により作製されたウエハ保持体を半導体製造装置に組み込んだ場合、均一な膜質の成膜や、エッチングが実施できる。またウエハ直径が12インチのウエハはもとより、18インチ直径のウエハも均一な温度分布で処理することができる。
次に、本発明の他の実施態様について、図7を参照しながら説明する。図7に示すウエハ保持体の加熱体51は、図1に示す加熱体11と同様に、ウエハ載置面を半径方向に2つに分割した内側領域と外側領域のそれぞれに、内側発熱体52a及び外側発熱体52bが形成されており、更に内側熱電対54a及び外側熱電対54bが設置されている。
内側発熱体52aにおいては、図1の加熱体11と同様に、その両終端部に外部から給電するための1対の電極部53aが直接接続しているが、外側発熱体52bの両終端部には、加熱体51に埋設されている1対の導入部57を介して1対の電極部53bが接続している。この1対の導入部57は、支持部材55をまたぐようにして加熱体51の半径方向に延在しているので、1対の電極部53bを内側発熱体52aが形成されている領域に形成することができる。
かかる構造によって、均熱性を大きく乱すことなく高い自由度で発熱体のパターンを設計することができ、更に比較的小径の支持部材を採用することができる。また、支持部材55において凸状に膨らませる部分を、外側熱電対54bが設置されている部分だけにすることができるので、図5に示す構造に比べて支持部材55の構造を簡易且つ強固にすることができる。
内側発熱体52a及び外側発熱体52bは、図8(a)に示すように、加熱体51内で互いに異なる層に埋設しても良いし、図8(b)に示すように、加熱体51内で同一の層に埋設しても良い。前者の場合は、隣接する発熱体同士の距離を大きくとれるため、特に高温で使用する際、発熱体同士の絶縁の信頼性を向上することができる。但し、導入部57と内側発熱体52aとの距離が近くなり、その影響が無視できない場合は後者を採用するのが好ましい。
以上、本発明の半導体製造装置用ウエハ保持体を実施形態に基づいて説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨から逸脱しない範囲の種々の態様で実施可能であることを理解すべきである。すなわち、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲及びその均等物に及ぶものである。
[実施例1]
窒化アルミニウム粉末に焼結助剤として酸化イットリウムを3wt%加え、更に有機溶剤、バインダー、可塑剤を加え、ボールミルによる混合を24時間実施し、スラリーを作製した。作製したスラリーからスプレードライにより顆粒を作製した。得られた顆粒をプレス成形し、大気中500℃で脱脂した後、窒素雰囲気中1850℃で5時間焼結し、窒化アルミニウム焼結体を得た。得られた窒化アルミニウム焼結体の外周と上下面を研磨し、直径500mm、厚み10mmのプレートを作製した。
次に、タングステン粉末に酸化イットリウム1wt%を加え、更にバインダー、有機溶剤を加えて、混練機、3本ロールを用いて導体ペーストを作製し、スクリーン印刷を用いて図1の抵抗発熱体を形成した。このとき、内側発熱体のパターンの最外周は直径300mm、外側発熱体のパターンの最外周は490mmであった。これを窒素雰囲気中1800℃で焼成し、発熱体を形成した。
更に、窒化アルミニウム粉末20wt%に酸化イットリウム30wt%、アルミナ50wt%を加え、上記導体ペーストと同様の方法で接合ペーストを作製し、スクリーン印刷により抵抗発熱体を形成した面に塗布し、窒素中700℃で脱脂した。更に、上記と同様の手法で別途作製した直径500mm厚み10mmの窒化アルミニウム基板をペーストを塗布した面に載せ、ホットプレスにより、圧力を10kg/cm加え、窒素中1800℃にて接合し、加熱体を作製した。
リフトピン穴としては、PCD420mmの部分に直径4mmの貫通孔を形成した。更に、ウエハ載置面に深さ0.8mmのウエハポケットを機械加工により形成した。また、ウエハ載置面とは反対側の面から各電極部にザグリ加工を施してW層を露出させ、そこにW電極を活性金属ロウにより接合した。また熱電対が挿入される直径3mm深さ7mmのザグリ穴も形成した。
更に、上記と同様の手法で形成された窒化アルミニウムの顆粒を用いて、CIP成形により成形し、脱脂、焼結し、外径400mm、内径300mm、長さ300mmの筒状の窒化アルミニウム焼結体を得た。得られた窒化アルミニウム焼結体に機械加工を施して、種々の肉厚、フランジ接合幅を有する支持部材を作製した。このとき、フランジ部の外径は全て400mmとした。これら支持部材を加熱体に取り付けて下記表1に示す試料1〜8を作製した。
尚、試料1〜6、及び試料8については、管状部材のフランジ部に上記接合ペーストを塗布し、10kg/cmの圧力を加え、窒素中1800℃の温度で接合した。また、試料7については、接合ペーストを使用せずに、ネジ止めによって機械的に結合した。このため、試料7では管状部材内の雰囲気は、実質的にチャンバー内の雰囲気と同一となる。
また、比較のため、図9に示すパターンで発熱体を形成した以外は上記と同様にして加熱体を作製し、これに外径100mmの管状部材を接合して試料9、10とした。
これら試料1〜10に対して、チャンバー内を真空引きした状態で管状部材内を大気若しくは真空した場合と、管状部材をチャンバーに対して気密封止せずにチャンバー内と流通自在にした場合とにおいて、均熱性及びヒートサイクルを確認した。ヒートサイクルは10℃/分でウエハ保持体を最高温度まで昇温し、その温度で1時間キープし、その後放冷する動作を繰り返した。その結果を以下に示す。
Figure 0005476726
この結果から、従来のパターンで発熱体が埋設されている試料9、10に比べて試料1〜8は、均熱性が優れていることが分かる。但し、支持部材の内部を大気圧にした試料1〜4のうち、温度条件の高い試料2と肉厚の薄い試料4では、ヒートサイクル1000回に到達する前に機械的トラブルが発生した。
[実施例2]
上記の試料8と同様の形状のウエハ保持体を使用して管状部材内を真空に保ち、800℃に昇温した。このとき、管状部材内に窒素を少量加えて圧力差による管状部材の破損を確認した。尚、このときのチャンバー内の圧力は50トールのアルゴン雰囲気とした。その結果、管状部材内の圧力が53トールまでは変化がなかったが、54トールで管状部材が破損した。
また同様に、同じ形状のウエハ保持体に対して、管状部材内の圧力を一旦53トールにし、53トールと真空とを繰り返す試験を行った。その結果、12回目で管状部材が破損した。これに対して52トールと真空との間で真空引きと吸気を繰り返す試験では管状部材は破損しなかった。
同様の実験を、チャンバー内の圧力が1、10、30、100、400トールの場合でも実験したが、圧力差が3トールの場合はサイクル数が4〜25回の間でいずれも破損したが、圧力差が2トール以内ではいずれもサイクルを1000回繰り返しても管状部材の破損は起こらなかった。
[実施例3]
支持部材の形状を図5の(a)及び(b)に相当する形状とした以外は実施例1と同様にして試料11〜18を作製した。このとき、図5の(a)の形状において、大径の円のフランジ部外径は200mm、外側電極と外側測温素子の設置位置を囲む凸部分は、最も膨らんでいる部分と加熱体中心との距離が実施例1と同様に400mmになるように加工した。
また、図5の(b)を採用した試料においては、リフトピン穴の位置をPCD300mmの位置に形成し、その部分を避けるように筒状支持部材を形成した。更に、試料17、18に関しては管状部材を加熱体に接合せずに、ネジ止めした。これら試料11〜18に対して、実施例1と同様の試験を行った。その結果を以下の表2に示す。
Figure 0005476726
この結果から、図5の(a)及び(b)の構造においても、実施例1とほぼ同様の良好な均熱性が得られることが分かった。ヒートサイクル試験においては、高温で支持部材内部を大気圧にした試料12、14では、実施例1と同様に1000回に到達する前に機械的トラブルが発生した。しかしながら、試料11、13の結果から分かるように、500℃の温度では支持部材内部を大気圧にしても機械的トラブルが発生しなかった。この条件では実施例1の試料4では破壊したので、支持部材の取付け強度が向上していることが分かった。
[実施例4]
上記実施例1、3で使用したウエハ保持体のうち、試料4、9、10を除くものについて、管状部材の形状を図6(b)に示す形状にして、同様に実験を行った。このとき、管状部材のチャンバーとの取り付け部の内径は80mmとし、管状部材の加熱体からの距離50mmの部分で直径を絞った。その結果、各実施例と同様の結果が得られた。
[実施例5]
図8(a)及び(b)に示すように外側発熱体において導入部を介して電極部と接続した以外は上記実施例3と同様の発熱体のパターンのものを作製して試料19〜26とした。このとき、管状部材の形状は図7の形状のように結合部を形成し、外側の発熱体形成領域の温度を測定する熱電対を囲むように、半円形状の凸部を形成した。
図8(a)については、外側発熱体を載置面から5mmの位置に埋設し、内側発熱体を載置面から10mmの位置に埋設し、更に外側発熱体には導入部を設け、これを載置面から15mmの位置に埋設した。図8(b)については、発熱体形成を載置面から7mmの位置に形成し、導入部を深さ14mmの位置に形成した。これら試料19〜26に対して、実施例1と同様の試験を行った。その結果を以下の表3に示す。
Figure 0005476726
この結果から、管状部材の加熱体との接触面積を実施例3に比べて小さくできたため、均熱性が若干向上していることが分かる。
[比較例1]
リフトピン穴の位置が支持部材の管内となるようにした以外は、実施例1の試料7と同様にしてウエハ支持体を作製した。このとき、ウエハ支持体及びチャンバー内をNF3ガスによりクリーニングを実施した。その結果、電極部品、熱電対のシースが腐蝕し、次のウエハ処理時、チャンバーを真空引きする際、多数のパーティクルが発生し、ウエハの熱処理には使用することができなかった。
[実施例6]
図2に示すパターンで発熱体を形成した以外は実施例1と同様にして、試料27〜29のウエハ保持体を作製した。このとき、内側発熱パターンの最外周は直径200mm、中間発熱パターンの最外周は350mm、外側発熱パターンの最外周は490mmであった。また筒状体の最大内径は400mmとし、その内側に電極と熱電対を3組設置した。これら試料27〜29に対して、実施例1と同様の試験を行った。その結果を以下の表4に示す。
Figure 0005476726
この結果から、いずれの試料においても、均熱性がより一層向上していることが分かる。
11 加熱体
12a、12b 発熱体
13a、13b 一対の電極部
14a、14b 熱電対
15 管状支持部材
16 リフトピン穴

Claims (4)

  1. ウェハを載置して加熱する加熱体と、この加熱体をチャンバー内で支持する管状支持部材とからなる半導体製造装置用ウェハ保持体であって、
    前記加熱体は、そのウェハ載置面を複数の領域に分割して得られる各領域毎に、前記加熱体内に埋設されている発熱体と、当該発熱体に接続され、加熱体から露出している電極部と、当該発熱体が埋設されている領域の温度を測定する温度測定素子が発熱体が埋設されている領域毎に設けられており、
    前記管状支持部材は、前記電極部と前記温度測定素子とを全て内包し且つ前記ウェハ載置面に対してウェハを着脱するためのリフトピンを内包していないことを特徴とする半導体製造装置用ウェハ保持体。
  2. ウェハを載置して加熱する加熱体と、この加熱体をチャンバー内で支持する管状支持部材とからなる半導体製造装置用ウェハ保持体であって、
    前記加熱体は、そのウェハ載置面を複数の領域に分割して得られる各領域毎に、前記加熱体内に埋設されている発熱体と、当該発熱体が埋設されている領域の温度を測定する温度測定素子が発熱体が埋設されている領域毎に設けられており、
    隣接する発熱体同士は、加熱体内において異なる層に埋設されており、管状支持部材に囲まれる領域内に埋設されている発熱体は直接加熱体から露出している電極部に接続し、管状支持部材に囲まれる領域外に埋設されている発熱体は加熱体に埋設されている導入部を介して加熱体から露出している電極部に接続しており、前記管状支持部材は、前記電極部と前記温度測定素子とを全て内包し且つ前記ウェハ載置面に対してウェハを着脱するためのリフトピンを内包していないことを特徴とする半導体製造装置用ウェハ保持体。
  3. 前記管状支持部材の管内の圧力Psと、その管外であって前記チャンバー内の圧力Pcとの関係がPs−Pc≦2Torrであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の半導体製造装置用ウェハ保持体。
  4. 前記請求項1〜3項のいずれか1項に記載の半導体製造装置用ウェハ保持体が搭載されていることを特徴とする半導体製造装置。
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