以下図示の実施形態に基づいて本発明を詳述する。図1は本発明に係わるシート折り装置を備えた画像形成システムを示す。このシステムは画像形成装置Aと後処理装置Cとで構成され、後処理装置Cにはシート折り装置Bがユニットとして付設されている。
画像形成装置Aは順次シート上に画像形成するプリンタ、複写機、印刷機などとして構成される。図示のものは複写機機能とプリンタ機能を有する複合型複写機として画像形成部7と、原稿読取部20と、フィーダ部(原稿送り装置)25とで構成されている。また後処理装置Cは、画像形成装置Aの本体排紙口18に連設され、画像形成されたシートに、折り処理、パンチ孔開け、捺印処理、綴じ処理などの後処理を施すように構成されている。そしてこの後処理装置Cに画像形成されたシートを折り処理するためのシート折り装置Bが一体的に設けられている。以下シート折り装置B、画像形成装置A、後処理装置Cの順に説明する。
[シート折り装置]
本発明に係わるシート折り装置Bは、画像形成装置A或いは後処理装置Cに内蔵されるか、これらとは別に独立した装置(スタンドアロン構成)として構成する。図示のものは画像形成装置Aと後処理装置Cとの間にオプションユニットとして配置されている。
シート折り装置Bは、図3にその全体構成を示すが装置ハウジング29に搬入口30と搬出口31を設け、搬入口30は上流側の画像形成装置Aの本体排紙口18に連なる位置に、搬出口31は下流側の後処理装置Cのシート受入口69に連なる位置に配置されている。尚本発明にあってシート折り装置Bは独立した装置ハウジング29を備えることなく、例えば後処理装置Cのケーシング内に内蔵する場合があり、その場合には搬入口30と搬出口31を必要としない。従って以下、搬入口30は搬入部と、搬出口31は搬出部と同義であり、説明の都合上、搬入部を搬入口30と、搬出部を搬出口31として説明する。
図3に示すように搬入口30と搬出口31は装置ハウジング29を横断するように対向配置され、図示の搬入口30と搬出口31は略々水平方向に対向する位置に配置されている。そしてこの搬入口30と搬出口31との間には搬入口30からのシートを折り処理することなく搬出口31に搬出する第1搬送経路32と、搬入口30からのシートを折り処理して搬出口31に搬出する第2搬送経路33が配置されている。この第1搬送経路32には、シートを所定方向(水平方向)に移送する「シート搬送機構」が、第2搬送経路33には、シートを折り処理する「折り処理機構」が配置されている。
[経路構成]
図3に示すように装置ハウジング29には第1搬送経路(以下「第1経路」という)32が搬入口30と搬出口31との間に配置されている。この経路は図示のように直線経路で水平方向に配置しても、或いは曲線経路で構成しても、垂直方向に配置することもいずれも可能である。この第1経路32は上述したように搬入口30からのシートを折り処理することなく搬出口31に案内する。
また上記第2搬送経路(以下「第2経路」という)33は搬入口30からのシートを折り処理する経路として構成する。このため第1経路32から分岐して搬入口30からのシートを折り位置Np1、Np2に案内するように構成されている。これと共に第2経路33は図3に示すように第1経路32と交差する方向に配置され、この経路に第1折り位置Np1と第2折り位置Np2が設定されている。そしてこの第2経路33は第1折り位置Np1に一次折りするためのシート先端を案内する第1スイッチバック経路34と、折り処理したシートを二次折りするための折りシート先端を第2折り位置Np2に案内する第2スイッチバック経路35とから構成されている。
このように第2経路33は第1経路32と交差する方向に配置され、第1経路32の上方エリアに第1スイッチバック経路34と下方エリアに交差部からシートを下流側(第2折り位置Np2方向)に移送する第2スイッチバック経路35が対向配置されている。そして第1スイッチバック経路34と第2スイッチバック経路35は、それぞれ湾曲した湾曲経路で構成され図3に示すように略々S字カーブに形成されている。この第2経路33には、第1折り位置Np1と第2折り位置Np2に後述する折り処理手段(折ローラ機構)48が配置され、第2折り位置Np2からの折シートを搬出口31に向けて搬出する第3搬送経路(以下「第3経路」という)36が連設されている。
尚、第1経路32と第2経路33とは、互いに交差するように配置するが、シートを第1折り位置Np1に案内する第1スイッチバック経路34を第1経路32の下方に、折り処理したシートを下流側に案内する第2スイッチバック経路35を経路32の上方に配置しても良い。また図3の実施形態では第1経路32を水平方向に配置したが、経路32を装置ハウジング29に鉛直方向に配置する場合には、第1スイッチバック経路34と第2スイッチバック経路35を経路32の左右エリアに対向配置することも可能である。
更に、上記第2スイッチバック経路35は図3の実施形態ではシートを二次折りするために、第2折り位置Np2に折シートを案内する関係でシートの送り方向を反転するように構成しているが、シートを二次折りしない場合には、直進する経路とすることも可能である。
上記第2経路33には、折り処理されたシートを搬出口31に案内する第3経路36が連設されている。図示の第3経路36はシートを二次折りする第2折り位置Np2と搬出口31との間に設けられている。この第3経路36には折シートを搬出口31とは異なる排紙口51から収納スタッカ65に案内する排紙経路37が配置されている。
上述のように構成される第1スイッチバック経路34は、図3に示すように曲率R1を有する円弧状に湾曲した経路で構成され、上記第2スイッチバック経路35は図3に示す曲率R2を有する円弧状に湾曲した経路で構成されている。また上記第3経路36に連なる排紙経路37も曲率R3を有する円弧状に湾曲した経路で構成されている。
そして第1経路32からのシートを第1折り位置(第1ニップ部)Np1に案内するための第1スイッチバック経路34の経路長(L1)と、一次折りされた折シートを第2折り位置(第2ニップ部)Np2に案内するための第2スイッチバック経路35の経路長(L2)とは、経路長L1>経路長L2となるように構成されている。
更に折り処理されたシートを第2折り位置Np2から収納スタッカ65に案内する排紙経路37の経路長L3は、L3<L2<L1となるように構成されている。これは、第1折り位置(第1ニップ部)Np1を第1経路32の近傍に配置すると、その結果として各経路長がL3<L2<L1となるため経路構成のコンパクト化をもたらす。
このように経路長が最も長い第1スイッチバック経路34が第1経路32の上方に、経路長が短い第2スイッチバック経路35が下方に配置され、同様に第1経路32の下方に排紙経路37が配置され、更にその下方に収納スタッカ65が配置されている。従って経路長が長い第1スイッチバック経路34が第1経路32の上方エリアに配置され、これと対向して経路長が短い第2スイッチバック経路35と排紙経路37が下方エリアに配置され、更に第2スイッチバック経路35と排紙経路37の下方に収納スタッカ65が配置されている。このようなレイアウト構成によって装置ハウジング29の内部スペースの集密化が図られる。
[経路切換手段]
上述した第1経路32と第2経路33の交差部には次の経路切換手段63が配置されている。前述したように第2経路33は第1経路32から分岐して搬入口30から送られたシートを第1、第2折り位置Np1、Np2に案内する。このため第1、第2経路32,33の交差部には経路切換手段63が配置されている。図4に示すように基端部が経路外の装置フレーム(図示のものは搬出ローラ62aの支軸62x)に揺動可能に軸支持されている。
そして径路切換手段63は図4実線姿勢で第1経路32に送られたシートを、第2経路33の第1スイッチバック経路34に案内し、図4破線姿勢で第1経路32に送られたシートを搬出ローラ対62から搬出口31に案内する。
第1経路32と第2経路3の交差部には上述の経路切換手段63と共にシートガイド61が設けられている。このシートガイド61は第1経路32の第1ローラ41bと搬出ローラ対62との間に配置され、搬入ローラ対40から送られたシートを第2経路33に案内し、同時に第2経路33(第1スイッチバック経路34)からの反転シートを第1折り位置Np1に案内する。またこのシートガイド61は第1経路32に送られたシートを第2経路33に案内することなく搬出ローラ対62から搬出口31に案内する。
このためシートガイド61は比較的搬送スパンの長い交差部に配置され、前述の経路切換手段63と協働して第2経路33側と搬出口31側にシートを案内する。図示の装置は図4に示すように装置フレームに支軸61xで揺動可能に支持されたガイドプレートで構成され、第2経路33の経路端部(第1スイッチバック経路34)から第1折り位置Np1にシートを案内する第1ガイド姿勢(図4実線)と、搬入ローラ対40から搬出ローラ62aに向けてシートを案内する第2ガイド姿勢(図4破線)との間で位置移動可能に構成されている。
上述のシートガイド61を第1ガイド姿勢と第2ガイド姿勢との間で姿勢偏向する姿勢偏向手段60は、例えば前述の経路切換手段63と同一の駆動手段で構成する。図7(a)(b)にその機構を示すが、図示のものは電磁ソレノイド60Lで経路切換手段63とシートガイド61を姿勢偏向する場合を示している。経路切換手段63の支軸62xに第1リンクレバー60aが揺動可能に軸支され、この第1リンクレバーと経路切換手段63は一体的に結合されている。そして第1リンクレバー60aの先端部には電磁ソレノイド60Lが連結され、復帰バネ60sが径路切換手段63を第2経路33側にシートを案内する方向に架け渡されている。
一方シートガイド61には支軸61xに第2リンクレバー60cが揺動可能に軸支され、第2リンクレバーとシートガイド61とは一体に回転するように結合されている。そして第1リンクレバー60aと第2リンクレバー60cが中間レバー60bで連結されている。従って電磁ソレノイド60LがON状態のときには図7(a)に示すように第1リンクレバー60aが支軸62xを中心に所定角度回転し、経路切換手段63を第1姿勢(シートを第2経路33に案内する姿勢)に位置決めする。またこの状態で第2リンクレバー60cは支軸61xを中心に所定角度回転し、シートガイド61を第1ガイド姿勢(シートを第2経路33に案内する姿勢)に位置決めする。
また電磁ソレノイド60LをOFFすると図7(b)に示すように第1リンクレバー60aは復帰バネ60sの作用で支軸62xを中心に図示反時計方向に回転し、経路切換手段63を第2姿勢(シートを搬出口31に案内する姿勢)に位置決めする。同時に第2リンクレバー60cは支軸61xを中心に反時計方向に回転し、シートガイド61を第2ガイド姿勢(シートを搬出口31に案内する姿勢)に変更する。
[折ローラの構成]
第2経路33には第1ローラ41bと第2ローラ49と第3ローラ50が互いに圧接するように配置されている。第1ローラ41bと第2ローラ49との圧接点にシートを一次折りする第1ニップ部(第1折り位置)Np1が形成され、第2ローラ49と第3ローラ50との圧接点にシートを二次折りする第2ニップ部(第2折り位置)Np2が形成されている。
また、上記第1第2第3の各ローラ径は、第2ローラ径が最大で例えば30mm径、第1、第3ローラ径が20mm径で、中央に位置する第2ローラ49を最大径(例えば1.5倍)に構成している。これは第2ローラ49の外周に第1ローラ41bと第3ローラ50を衛星状に配置することによって折部前端をコンパクトに構成するためである。つまり大径の第2ローラ49に対して上流側に小径の第1ローラ41bと、その下流側に小径の第3ローラ50を圧接させて一次折りする第1ニップ部Np1と二次折りする第2ニップ部Np2を形成している。
更に上記第1ローラ41bは外周の一部を第1経路32に臨む位置に配置し、このローラ周面にピンチローラ(遊動ローラ)41aを圧接している。これによって第1経路32のシートを第1ローラ41bとピンチローラ41aで下流側に搬送することとなり、第1経路32に特別な搬送手段とその駆動機構を設ける必要がない。
[折り偏向手段の構成]
上述のように3つのローラ(41b、49,50)で構成される折ローラには、その第1ニップ部Np1に一次折り偏向手段53が、そして第2ニップ部Np2に二次折り偏向手段54が配置されている。この一次折り偏向手段53と二次折り偏向手段54は、第2経路33に送られたシートの折り目位置を第1ニップ部Np1と第2ニップ部Np2に挿入する機構で構成する。
図示の装置はこの一次折り偏向手段53と二次折り偏向手段54を「シートの折り位置をローラニップ部に挿入する」機能と「シート先端と後端をニップ部に送り込む」機能を備えている。このため一次、二次折り偏向手段53、54は従動ローラと湾曲ガイドを備え、経路外の退避位置から経路内の作動位置に位置移動するように構成されている。そして従動ローラと湾曲ガイドが退避位置から作動位置に移動する動作でシートの折り目位置をニップ部に挿入し、その後従動ローラが折ローラ周面に圧接して従動回転することによってシートの前後端をニップ部に送り込むように作用する。
[一次折り偏向手段の構成]
上記一次折り偏向手段53は、第1ニップ部(圧接点)Np1にシートの折り目を案内するため図4及び図5に示すように従動ローラ53aと、湾曲ガイド53bと、昇降部材53cで構成されている。
図5に示すようにシートを一次折りする第1ニップ部Np1は第1ローラ41bと第2ローラ49で構成され、第1ローラ41bが上流側に、第2ローラ49が下流側に配置されている。そこで従動ローラ53aは、第2ローラ49の周面と接する位置に配置されている。そして湾曲ガイド53bは上流側に位置する第1ローラ41bの周面に沿った湾曲面に構成されている。
上記従動ローラ53aと湾曲ガイド53bは昇降部材53cに支持されている。この昇降部材53cは、適宜形状のブラケット部材(フレーム部材)で構成され、この昇降部材53cに従動ローラ53aが回転可能に支持され、同時に湾曲ガイド53bが固定されている。そして昇降部材53cは装置フレームに設けたガイドレール(不図示)に支持され、従動ローラ53aが第2ローラ49の周面と接する作動位置(図4破線位置)と、第2経路33の経路外に退避した待機位置(図4実線位置)との間で昇降するように構成されている。この昇降部材53cには後述するシフトモータMSが連結され、従動ローラ53aと湾曲ガイド53bを作動位置と待機位置との間で位置移動する。
上記従動ローラ53aは下流側に位置する第2ローラ49と圧接し、その圧接点を図5にp2で示す。そこでシートの折り目位置を第1ニップ部Np1に案内する際に、シートの後端側は圧接点p1で搬送力を付与され第1ローラ41bの周面に沿って第1ニップ部Np1に案内される。またシートの先端側は圧接点p2で搬送力を付与され第2ローラ49の周面に沿って第1ニップ部Np1に案内される。
このとき圧接点p1と第1ニップ部Np1間の搬送長さLxと、圧接点p2と第1ニップ部Np1間の搬送長さLyとをLx>Lyに設定する。このような搬送長さ関係に従動ローラ53aの位置を設定する。そして前述の湾曲ガイド53bは、搬送長さの大きい第1ローラ41bの周面に沿う湾曲形状の湾曲ガイド面を形成する。
つまり従来はシートの折り目を折りニップ部(Np1、Np2)に案内するブレード部材をシート操出手段とは別に設けているため、シートに作用するタイミングがずれると折り目の位置ズレ或いはシートに皺が発生する原因となっていた。これを解決するために、図示の装置は第1ニップ部Np1に向かうシートの上流側の第1ローラ41bの搬送長さLxと、下流側の第2ローラ49の搬送長さLyを[Lx>Ly]に設定し、同時に湾曲ガイド53bの湾曲ガイド面を搬送長さの長い第1ローラ41bの周面にシートを沿わせる形状に構成し、この従動ローラ53aと湾曲ガイド53bを同時に待機位置から作動位置に位置移動している。
このように構成することによって、特別な折りブレード手段を用いることなくシートの折り目を第1ニップ部Np1に正確に案内することが出来る。尚図5から明らかなように搬送長さを[Lx>Ly]に設定するためには従動ローラ53aのローラ径を上流側に位置する第1ローラ41bのローラ径より小径に構成する必要がある。
[二次折り偏向手段の構成]
次に二次折り偏向手段54について説明する。図4及び図5に示すように二次折り偏向手段54は、54cと、これに取り付けられた従動ローラ54aと、湾曲ガイド54bで構成される。この従動ローラ54aは第2ローラ49の下流側に位置する第3ローラ50の周面と対向する位置に配置され、湾曲ガイド54bは上流側に位置する第2ローラ49の周面と対向する位置に配置されている。
これと共に従動ローラ54aと湾曲ガイド54bは昇降部材54cでシートの移送経路(以下シート経路Spという;図5参照)から退避した退避位置Wpとシート経路Sp内に進入した作動位置Apとの間で位置移動するように構成されている。
図5に示すように昇降部材54cは装置フレームに設けたガイドレール(不図示)に沿って所定ストロークSで往復動するように配置されている。この昇降部材54cにはラック54rが一体形成され、このラックと噛合するピニオン54pが装置フレーム側に配置されている。そしてピニオン54pは後述するシフトモータMSに駆動が伝達されている。そこでシフトモータMSの正逆回転によってピニオン54pがラック54rを所定ストロークSで往復動するように駆動伝達されている。
上記昇降部材54cには、スリーブ54sが設けてあり、このスリーブ54sに従動ローラ54aの支持ステム(以下ローラとこれを支持する支持ステムを単に「従動ローラ」と云う)がスライド可能に嵌合されている。このように従動ローラ54aは所定ストロークSで往復動する昇降部材54cに嵌合支持され、昇降部材54cの移動によって退避位置Wpと作動位置Apとの間を位置移動する。
そしてスリーブ54sに嵌合された従動ローラ54aと昇降部材54cとの間にはアジャスタバネ54が設けてあり、従動ローラ54aはアジャスタバネ54eで第3ローラ50方向に付勢されている。これと共に昇降部材54cには係合突起54kが一体に設けてあり、この係合突起54kは従動ローラ54a(支持ステムの鍔部54n)と係合するようになっている。
一方、湾曲ガイド54bは、装置フレームに揺動可能に支持されている。図示のものは第1ローラ41bの回転軸41xに遊嵌したブラケット54gに一体形成され、湾曲ガイド54bのガイド面は第2ローラ49の周面と対向する位置に配置されている。そして湾曲ガイド54bは昇降部材54cの往復動に連動してシート経路Spから退避した退避位置Wpと経路内に進入した作動位置Apとの間で位置移動するように係合されている。
このためブラケット54gには退避位置Wpに付勢する付勢スプリング54hと係合片54jが設けられている。この係合片54jは昇降部材54cと係合し、昇降部材54cの移動に連動して(付勢スプリング54hに抗して)退避位置Wpから作動位置Apに移動するように構成されている。
以上の構成から従動ローラ54aと湾曲ガイド54bを退避位置Wpと作動位置Apとの間で位置移動する「シフト手段」を昇降部材54cとこれを駆動するシフトモータMSが構成することとなる。この他、シフト手段は、所定ストロークで往復動する昇降部材54cの構成に換えて例えば作動ソレノイドなどのアクチュエータで構成しても良いことは勿論である。この場合には従動ローラ54aと湾曲ガイド54bを単一の作動ソレノイドに連結するか、個別の作動ソレノイドに連結すれば良い。
[二次折り偏向手段の動作]
そこでこの二次折り偏向手段54の動作を、図6(a)乃至(c)の動作状態図に従って説明する。第1折り位置Np1でシート先端を折り合わされたシートは図6(a)の状態で第2スイッチバック経路34に送られる。このとき従動ローラ54aと湾曲ガイド54bはシート経路Spから退避した退避位置Wpに位置している。同図のように従動ローラ54aと湾曲ガイド54bの退避位置Wpはシート経路Spから離れた経路外に設定されている。図6(a)の状態で従動ローラ54aは退避位置Wpに位置付けられ、湾曲ガイド54bも退避位置Wpに位置付けられている。そしてこの退避位置Wpはシート経路Spから経路外に退避した位置に設定されている。
次にシート先端が第2スイッチバック経路34の所定位置に到達する見込み時間(例えば後述する先端検知センサS2の検知信号)の後、昇降部材54cを退避位置(上死点)Wpから作動位置(下死点)Ap側に移動する。すると図6(b)の状態に従動ローラ54aが第3ローラ50の周面に当接して折り合わされたシート先端を圧接する。このとき湾曲ガイド54bはシート経路Sp内に進入しない退避位置側に位置する位置関係に前述の昇降部材54cと湾曲ガイド54bの係合片54jが配置されている。図6(b)の状態で従動ローラ54aは作動位置Apに位置付けられ、湾曲ガイド54bはシート経路Spに接近した位置に位置付けられている。そしてこの湾曲ガイド54bの位置はシート経路Spから経路外に離れた位置に設定されている。
このように湾曲ガイド54bを、従動ローラ54aがシート先端を第3ローラ50の周面に圧接した後にシート経路Sp内に進入するように構成(図6(b)の状態)することによって、シートの折り目位置が湾曲ガイド54bによって位置ズレを起こすことがない。
そして従動ローラ54aは第3ローラ50の周面に当接した後は、ローラ50の回転に従動して折り合わされたシート先端を第2折り位置Np2に向けて反転搬送(スイッチバック搬送)させる。このとき湾曲ガイド54bが停止していると、シート先端がこれに突き当たって先端折れすることがある。これに対し湾曲ガイド54bはシート経路Spに進入した後、その作動位置Apに向かって移動するためシート先端折れを引き起こすことなくシートの折り目位置を第2ニップ部Np2に挿入する。
この状態を図6(c)に示すが、昇降部材54cは所定ストロークで従動ローラ54aが第3ローラ50の周面に当接した後も、更にオーバラン動作し湾曲ガイド54bを第2ニップ部Np2に近接した作動位置Apに移動する。このとき従動ローラ54aはアジャスタバネ54eが圧縮して昇降部材54cのオーバラン動作を許容する。図6(c)の状態で湾曲ガイド54bと従動ローラ54aはいずれも作動位置Apに位置付けられている。そして湾曲ガイド54bは従動ローラ54aが作動位置Apに位置した後にシート経路Sp内に進入し、作動位置に位置移動する動作で従動ローラ54aによって反転搬送されるシートの先端部を第2ニップ部Np2に挿入する。
このように前述した昇降部材54cと従動ローラ54a及び湾曲ガイド54bは、ローラ54aが作動位置に移動して折りシート先端部を折りローラ周面に圧接した後に、湾曲ガイド54bを退避位置Wpから作動位置Apに向けてシート経路Sp内に進入させ、次いで湾曲ガイド54bを作動位置Apに位置移動することとなる。
図5に示す装置は、シフト手段は、シフトモータMSに連結され所定ストロークで往復動する作動部材(昇降部材54c)を備え、この作動部材54cに従動ローラ54aと湾曲ガイド54bをそれぞれ退避位置Wpと作動位置Apとの間で往復動するように連結している。
そして図5(b)に示すように昇降部材54cの移動ストロークSに対して、従動ローラ54aが往復動するストローク長さS2は、湾曲ガイド54bが往復動するストローク長さS3より短く設定してある。これによって従動ローラ54aがシート先端部を折ローラ周面に圧接した後に、湾曲ガイド54bがシート経路Sp内に進入することとなる。
このようにストロークを設定するほか、所定ストロークで往復動する昇降部材54cに対して、従動ローラ54aが第1のタイミングで連動するように昇降部材54cに従動ローラ54aを連結し、次いで第2のタイミングで湾曲ガイド54bが昇降部材54cに連動するように連結しても良い。
要するに従動ローラ54aが先に第3ローラ50の周面に当接(作動位置)し、そのタイミングのとき湾曲ガイド54bはシート経路Spに進入することなく、従動ローラ54aの作動位置移動から遅れて湾曲ガイド54bがシート経路Spに進入し、更にシートを第2ニップ部Np2に挿入するように湾曲ガイド54bがシート経路内の作動位置Apに移動するように構成すれば良いこととなる。
上述した二次折り偏向手段54は一次折り偏向手段53と同様に、上流側に位置する第2ローラ49の第1ニップ部Np1でシートに搬送力を付与し、この点から第2ニップ部Np2迄の搬送長さLxに対して、従動ローラ54aと下流側に位置する第3ローラ50との圧接点p3と第2ニップ部Np2間の搬送長さLyとを[Lx>Ly]に設定してある(図5参照)。
そして湾曲ガイド部材54bの湾曲ガイド面を搬送長さの長い第2ローラ49の周面にシートを沿わせる形状に構成してある。尚、この二次折り偏向手段54と、先の一次折り偏向手段53とは、一方が作動位置のとき他方は待機位置に位置するように相反的に移動する。これは昇降部材53cと昇降部材54cとを同一の駆動手段で昇降する(後述する)からである。
[シート搬送機構]
上記第1経路32、第2経路33のシート搬送機構を図3に従って説明する。第1経路32には搬入口(搬入部)30に搬入ローラ対40が、搬出口(搬出部)31に搬出ローラ対62が配置され、この両ローラ間にレジストローラが配置されている。図示のレジストローラは後述する第1ローラ41bの外周と、これに圧接したピンチローラ41aで構成されている。従って第1経路32には搬入ローラ対40と搬出ローラ対62とレジストローラ(第1ローラ)41bが配置されている。
そして搬入ローラ対40は一対のローラ40a、40bで構成され、その一方のローラ40bに後述する搬送モータMfが連結してある。同様に搬出ローラ対62も一対のローラ62a、62bで構成され、その一方のローラ62bに搬送モータMfが連結してある。また、ピンチローラ41aは第1ローラ41bに従動回転するように配置され、この第1ローラ41bも搬送モータMfに連結されている。
上記第2経路33には、第1ローラ41bと、第2ローラ49と第3ローラ50が互いに圧接して配置され、排紙経路37には排紙ローラ67が配置されている。そして第2経路33(第1スイッチバック経路34と第2スイッチバック経路35)には図3に示すようにシート搬送機構は配置されていない。そしてこの第2経路33には第1経路32に配置した搬入ローラ対40とレジストローラ(第1ローラ)41bとで第1スイッチバック経路34にシートを搬入し、第1、第2ローラ41b、49でこのシートを下流側に搬送するようになっている。
図示の装置は、第1第2経路32,33に配置するシート搬送機構を簡素化し、装置の小型化と静音化と消費電力の軽減を図ることを特徴としている。このため第1経路32には第2経路33に配置する折ローラ(第1ローラ41b)の外周の一部を搬入ローラ対40と搬出ローラ対62との間で第1経路32に臨むように配置している。
そしてこの第1ローラ41bの外周にピンチローラ41aを配置し、搬入ローラ対40から送られたシートを第1スイッチバック経路34に送っている。これによって第1経路32に特別な搬送ローラを配置する必要がなく搬送機構の簡素化を達成している。
これと共に、上記第1ローラ41bは、シートを折り処理するときにはこれを回転させて搬入ローラ対40と、この第1ローラ41bで搬入ローラ対40からのシートを第1スイッチバック経路34に搬送するモード(後述の第1搬送モード)と、シートを折り処理することなく搬入口30から搬出口31に搬送するモード(後述の第2搬送モード)では第1ローラ41bを停止して搬入ローラ対40と搬出ローラ対62で搬入口30から搬出口31にシートを移送する。これによって消費電力の軽減と静音運転を達成している。
[レジスト機構]
前述の第1経路32には、前述の搬入ローラ対40から送り込まれたシートの先端を整合するレジスト機構が設けられ、その機構を図4に従って説明する。第1経路32には前述したように搬入口30に搬入ローラ対40が、搬出口31に搬出ローラ対62が配置されている。この搬入ローラ対40と搬出ローラ対62の間には第1ローラ41bの周面の一部が第1経路32に臨むように配置され、この第1ローラ周面にピンチローラ41aが圧接されている。
上記第1ローラ41bの上流側には搬入ローラ対40との間にレジストエリアArと、ゲートストッパ43が配置されている。レジストエリアArは搬入ローラ対40で繰り出されゲートストッパ43で先端を係止されたシートが湾曲する形状に経路ガイド部材32gで形成されている。ゲートストッパ43はシート先端を突き当てる係止面43sを有するレバー部材で構成され、装置フレームに支軸43xで揺動可能に軸支持されている。そしてこのゲートストッパ43は後述するゲート駆動機構で図4(b)実線状態(作動姿勢)と、破線状態(待機姿勢)に移動するように構成されている。
また上記ピンチローラ41aは第1ローラ41bに圧接・離間可能に構成されている。図4に示す機構は、ピンチローラ41aはブラケット42に回動可能に支持され、このブラケット42は装置フレームに支軸42xで揺動可能に軸受支持されている。このような構成によってゲートストッパ43とピンチローラ41aは、図4(b)に実線で示す第1経路32内の作動位置と、破線で示す経路外の非作動位置との間で移動可能となる。
また上記搬入ローラ対40は、レジストエリアAr側に位置するローラ40aとレジストエリアArの反対側に位置するローラ40bとのローラ対で構成され、図4(b)に示すようにローラ対の圧接点の接線方向(図示矢印A方向)はレジストエリアArにシートを案内するように所定角度(図示θ)傾斜して配置されている。
これと共にレジストエリア側に位置するローラ40aの直径daは、レジストエリアArの反対側に位置するローラ40bの直径dbより小さく(da<db)設定され、ローラ外周はローラ40aがローラ40bより硬質に構成されている。図示の装置はローラ40aをデルリンなどの硬質樹脂で、ローラ40bをゴムなどの軟質材料で構成してある。
このように搬入ローラ40a、40bを所定角度θ(例えば12度)傾斜させたことによって搬入口30からのシートは矢印A方向にレジストエリア側にシート先端を案内し、更にレジストエリア側に位置するローラ40aをレジストエリアArの反対側に位置するローラ40bより小径で、且つ硬質に構成してあるためシートがレジストループと反対方向にカールしていても図4(c)に示すようにローラの圧接部に湾曲した凹部40qが形成され、この凹部40qでシートはディカールされる。
従って搬入口30からのシートを、ゲートストッパ43を作動させてレジストエリアArでレジストループを形成する場合(後述する第1搬送モード)のときにはシート先端を確実にレジストさせて先端揃えすることとなる。これと共に搬入口30からのシートを、ゲートストッパ43を退避させてレジスト修正することなく搬出ローラ対62に移送する場合(後述する第2搬送モード)のときにはシートを比較的搬送スパンの長い搬出ローラ対62に摩擦抵抗少なく搬送することとなる。つまりシートは搬入ローラ対40から矢印A方向に搬出ローラ対62に向けて送り出されるため、このシートと摺接する搬送ガイドの摩擦抵抗は軽減される。
後述する図示の装置は、搬入口30からのシートを第2経路33で折り処理して搬出口31に搬送する第1搬送モードと、シートを搬入口30から搬出口31に折り処理することなく第1経路32を搬送する第2搬送モードとを備えている。そして第1搬送モードのときにはゲートストッパ43とピンチローラ41aを第1経路内の作動位置に位置させ、ピンチローラ41aに摺接する第1ローラ41bを回転駆動してシート先端をレジスト修正する。第2搬送モードのときにはゲートストッパ43とピンチローラ41aを第1経路外の退避位置に位置させ、レジスト修正することなく搬出口31に移送する。この第2搬送モードのときには第1ローラ41bを停止状態に駆動伝達をOFFする。
[第1ローラのガイドカバー機構]
上述のように第2搬送モードのときにはゲートストッパ43とピンチローラ41aを第1経路外に退避させてレジスト修正することなく搬入口30から搬出口31にシートを搬送する。そこでこの第2搬送モードのとき第1経路32に臨ませてある第1ローラ41b外周にシートが接しないようにカバーするガイドカバー機構が必要となる。
図4にそのガイドカバー機構を示すが第1経路32には第1ローラ41bの外周を覆うガイドカバー44が設けてある。このガイドカバー44は、第1経路32に搬入されるシートが第1ローラ41bの外周と接しないようにカバーする作動位置(図4(b)に破線で示す)と、シートが第1ローラ41bの外周と係合する非作動位置(図4(b)に実線で示す)との間で位置移動可能に構成されている。
ガイドカバー44は第1ローラ41bの第1経路32に臨む周面を覆うプレート部材(樹脂フィルムなど)で構成され、第1ローラ41bの回転軸41xに遊嵌されているブラケット44bに固定されている。そしてこのブラケット44bには後述する搬送モータMfで構成されるガイドシフト手段が備えられている。
そしてこの搬送モータMf(ガイドシフト手段)の回転で、ガイドカバー44は図4(b)に実線で示す非作動位置と破線で示す作動位置との間で位置移動する。このガイドシフト手段は電磁ソレノイドなどで構成しても良いが、図示のものは搬送モータMfの正回転でガイドカバー44が作動位置に、逆回転で非作動位置に移動するように後述するクラッチ機構が構成してある。そしてガイドカバー44の表面は第1ローラ41b周面の摩擦係数より十分小さい摩擦係数の材料(例えばマイラーなどの樹脂フィルム)で構成されている。
[ゲートストッパ手段の構成]
ゲートストッパ手段はシート先端を突き当て規制する係止面43sを備えたストッパ部材(ゲートストッパ)43と、この係止面43sを第1経路内の係止位置Psと、経路外部の待機位置Pwとの間で位置移動させるストッパ駆動機構で構成されている。
図示のストッパ部材(ゲートストッパ)43はレバー部材で構成され、その基端部を支軸43xを中心に揺動するように装置フレームに軸支持し、その先端部に第1経路32を移動するシート先端を規制する係止面43sが形成されている。このストッパ部材(ゲートストッパ)43を待機位置Pwと作動位置Psの間で位置移動する駆動機構は後述する。また上記レジストエリアArは、第1経路32を構成する径路ガイド部材32gを図4(b)のように湾曲させてシートをループ状に変形させる空間で構成する。
[駆動機構]
次に、図3に示す装置の駆動機構について説明する。図3の装置は第1経路32に搬入ローラ対40と搬出ローラ対62と折ローラを構成する第1ローラ41bが配置されている。また第2経路33には折ローラ対(第1ローラ41b、第2ローラ49、第3ローラ50)と排紙ローラ67が配置されている。この他第2経路33には、この経路を構成する第1スイッチバック経路34と第2スイッチバック経路35には、シートに搬送力を付与するローラ、ベルトなどの搬送手段は備えていない。
そこで図3の装置には「搬送モータMf」と「シフトモータMS」を備えている。これと共に後述する制御手段95は、搬入口30からシートを折り処理経路(第2径路)33に搬入して折り処理する第1搬送モードと、搬入口30からのシートを折り処理経路(第2径路)33に移送することなく搬出口31に移送する第2搬送モードとを備えている。
そして第1搬送モードでは搬入口30からシートを搬入ローラ対40と第1ローラ41bとで第2経路33の第1スイッチバック経路34に移送する。このモードでは第1ローラ41bにピンチローラ41aを圧接した状態でゲートストッパ手段43をON(作動位置)、OFF(退避位置)してレジストエリアArでシートを先端揃えした後、第1スイッチバック経路34に送る。
また第2搬送モードでは搬入口30からシートを搬入ローラ対40と搬出ローラ対62で搬出口31に移送する。このモードでは第1ローラ41bは停止(非駆動状態)し、ピンチローラ41aは経路外に退避させる。そしてシート先端をレジストさせて先端揃えすることなく搬出ローラ対62に移送する。このように第1搬送モードと第2搬送モードで第1経路32のシート搬送形態を異ならせたのは、第2搬送モードを省電力で静音運転するためである。
図8に「搬送モータMf」の駆動機構を示すが、モータ回転軸100は正方向回転(CW)と逆方向回転を、中間軸101を介して搬入ローラ40bの回転軸40xに伝達し、その回転は伝動ベルトv1を介して搬出ローラ62bの回転軸62yに伝達する。
これによって搬送モータMfの正逆回転は搬入ローラ対40と搬出ローラ対62に排紙方向回転として伝達される。図示CWは正方向回転の伝動系を、CCWは逆方向回転の伝動系を示す。歯車伝達によって搬入ローラ対40と搬出ローラ対62の回転方向を一方向に設定している。
また搬送モータMfの回転軸100は正方向回転を、中間軸102を介してゲートストッパ43の支軸43xに伝達すると共に、中間軸103を介してピンチローラ41aの支軸42xに伝達している。この伝動系はモータの正方向回転(CW)でゲートストッパ43とピンチローラ41aを待機位置Pwに位置移動するがそのクラッチ機構を含む伝動系は後述する。
中間軸101の回転はワンウエイクラツチOWCを介して正方向回転(CW)のみが折ローラに伝達される。図8に示すように中間軸101の正方向回転は第1ローラ41b、第2ローラ49、第3ローラ50、増折りローラ64に歯車伝達する。尚、増折りローラ64は排紙経路の構成で後述する。
上記搬送モータMfの正方向回転(CW)と逆方向回転(CCW)は排紙ローラ67の回転軸67xに伝達され、その回転は伝動ベルトv2を介してガイドカバー44に駆動伝達される。つまり前述の第1ローラ41bの外周を覆うように配置されているガイドカバー44は、回転軸41xに遊嵌されたブラケット44bに取り付けられている。そしてこのブラケット44bは搬送モータMfが逆方向回転(CCW)のときバネクラッチBCLの作用でガイドカバー44がローラ外周を覆う作動位置(図4(b)破線状態)に移動し、ブラケット44bが図示しないストッパに係止された後は、バネクラッチBCLは空転する。
次に図9に示すゲートストッパ43とピンチローラ41aの駆動について説明する。図9(a)はゲートストッパ43の駆動機構を示し、このゲートストッパ43は支軸43xを中心に揺動し、先端の係止面43sは第1経路32に位置する係止位置Psと経路外の待機位置Pwとの間で位置移動する。そしてこのゲートストッパ43は第1搬送モードのときには係止位置Psでシート先端を係止してレジスト修正した後に、待機位置Pwに移動する。また第2搬送モードのときにはゲートストッパ43は待機位置Pwに位置した状態にする。
このため、ゲートストッパ43はスプリング43aで常時係止位置(同図実線)に付勢され、カム43bで待機位置(同図破線)に位置移動する。そしてカム43bは、これと一体的に回転するカム歯車43cが歯欠ギア43dに歯車結合されている。この歯欠ギア43dに搬送モータMfの伝動ギア43gが歯合されている。この歯欠ギア43dと伝動ギア43gとは歯欠き部では駆動伝達されないように噛合している。そして歯欠ギア43dには制御カム43eが一体的に連結されている。
上記制御カム43eは付勢バネ43hと作動ソレノイド43SLが係合され、付勢バネ43hは歯欠ギア43dを伝動方向に付勢し、作動ソレノイド43SLは係止爪43fで制御カム43eを非伝動状態にロックするように係合している。従って搬送モータMfの回転は伝動ギア43gで歯欠ギア43dに回転を伝え、その回転でカム43bが回転する。そして作動ソレノイド43SLは非通電状態で伝動ギア43gと歯欠ギア43dを非伝動状態にロックし、通電状態で伝動ギア43gの回転を歯欠ギア43dに伝えるように連結されている。
尚、上記カム43bと上記歯欠ギア43dとは、歯欠ギア43dの一回転でカム43bが半回転(1/2回転)するように歯車の連結比が設定されている。そしてカム43bで上下揺動するゲートストッパ43にはフラグ43kとポジションセンサS4が設けられている(図9(a)参照)。従って歯欠ギア43dに一体形成されている制御カム43eは2回転でゲートストッパ43を作動位置と退避位置との間で位置移動することとなる。
そこで前述の作動ソレノイド43SLを歯欠ギア43dが1回転したときにON状態からOFF状態に制御するとゲートストッパ43は退避位置に位置決めされ、その位置に静止する。また歯欠ギア43dが2回転したときにON状態からOFF状態に制御するとゲートストッパ43は先の1回転で作動位置から退避位置に移動し、次の1回転で退避位置から作動位置に戻ることとなる。上記ポジションセンサS4はゲートストッパ43が退避位置に位置する状態を検出する異常検出センサである。
このような構成において搬送モータMfはその正転回転(第1搬送モード)でモータの回転をカム43bに伝達し、逆方向回転(第2搬送モード)では作動ソレノイド43SLが非通電状態(OFF状態)に維持され、歯欠ギア43dの歯欠き部で駆動伝達されないこととなる。
次に図9(b)に示すピンチローラ41aの駆動機構について説明する。前述したようにピンチローラ41aはブラケット42に取り付けられ、このブラケット42は支軸42xを中心に揺動するように構成されている。そこでピンチローラ41aは付勢バネ42aで常時作動位置(同図実線)位置に保持されている。そしてブラケット42の軸支部には一体に回転するように歯車42cが連結され、この歯車42cには伝動歯車列42dを介してクラッチギア42eが歯合されている。このクラッチギア42eはトルクリミッタTLQを介して搬送モータMfの伝動歯車42gが連結されている。
上記クラッチギア42eは前述した中間軸103を中心に揺動する遊星レバー42hに支持され、この遊星レバーの支持軸にはトルクリミッタTLQが設けられている。図示42fはクラッチギア42eを非伝動状態に係止するストッパである。図9(b)の状態で伝動歯車42gが反時計方向(搬送モータの逆方向回転;第2搬送モード)に回転すると遊星レバー42hは時計方向に揺動し、これに取り付けられているクラッチギア42eは伝動歯車列42dに噛合し伝動歯車42gの回転を歯車42cに伝達する。
するとこの歯車42cと一体のブラケット42は同図破線状態に退避位置に移動する。そしてブラケット42がストッパ42bに係合するとその位置にロックされる。このとき伝動歯車列42dとクラッチギア42eはトルクリミッタTLQで空転してその回転が停止され、その状態にロックされる。
そして搬送モータMfが正方向回転(第1搬送モード)すると伝動歯車42gは時計方向に回転し、これに歯車結合されている遊星レバー42hは反時計方向に回転する。この状態でクラッチギア42eと伝動歯車列42dとの結合が解除されトルクリミッタTLQによってその状態にロックされる。
従って搬送モータMfの正方向回転(第1搬送モード)では伝動歯車42gの回転はブラケット42の歯車42cに伝達されることなくピンチローラ41aは付勢バネ42aの作用によって第1経路32で第1ローラ41bと圧接した状態(作動位置;図9(b)実線)に維持される。
一方、搬送モータMfが逆方向回転(第2搬送モード)すると伝動歯車42gは反時計方向に回転し、その回転で遊星レバー42hのクラッチギア42eは伝動歯車列42dと係合し、ピンチローラ41aを第1経路32から退避した退避位置(同図破線)に位置移動しその状態にロックすることとなる。
[シフトモータの駆動機構]
次に前述の一次折り偏向手段53と二次折り偏向手段54の駆動機構について説明する。図10に示すように一次折り偏向手段53は、所定ストロークで上下動する昇降部材53cに従動ローラ53aと湾曲ガイド53bが支持されている。この昇降部材53cには支軸85xを中心に揺動可能な作動レバー85aが係合するように設けられている。つまりガイドレール(不図示)で装置フレームに昇降自在に支持されている昇降部材53cにはカム溝53dが設けられ、このカム溝53dに作動レバー85aの先端が係合するように配置されている。
そして作動レバー85aは支軸85xにバネクラッチ85dを介して連結されている。これと共に支軸85xにはプーリ85bが設けられ、このプーリ85bにシフトモータMSの回転が伝動ベルト85cで伝達されている。そこで上記バネクラッチ85dはシフトモータMSの回転を支軸85xから作動レバー85aに伝達するように設定されている。これと共にバネクラッチ85dは所定トルク以上の負荷が及ぶと支軸85xとの間で空転しシフトモータMSの回転を作動レバー85aに伝達しないようになっている。
従ってシフトモータMSを正方向に回転すれば作動レバー85aは同図(a)の状態から同図(b)の状態に図示時計方向に回転し、従動ローラ53aが第2ローラ49の周面に接した後は、バネクラッチ85dは空転することとなる。そしてシフトモータMSを反対方向に回転すれば作動レバー85aは同図(b)の状態から同図(a)の状態に上昇し、昇降部材53cがストッパ53eに突き当たった後はバネクラッチ85dが空転して図示状態でロックされる。尚この位置にはリミットセンサLsが配置されていて昇降部材53cが所定のストッパ位置に移動した状態信号でシフトモータMSの回転を停止する。
一方、二次折り偏向手段54も同様に昇降部材54cが装置フレームに所定ストロークで上下動するように支持され、従動ローラ54aと湾曲ガイド54bが設けられている。この昇降部材53cには前述したようにラック54rが設けられ、ピニオン54pと噛合している。そこでこのピニオン54pにはシフトモータMSがバネクラッチ86aを介して連結されている。このバネクラッチ86aはシフトモータMSの回転を所定トルク内では伝達し、所定トルク以上では空転するように設定されている。
尚、上述の一次折り偏向手段53と二次折り偏向手段54とはシフトモータMSの正方向回転で昇降部材53cを退避位置から作動位置に位置移動し、この方向の回転で二次折り偏向手段54の昇降部材54cを作動位置から退避位置に位置移動する。他方、シフトモータMS逆方向回転では二次折り偏向手段54の昇降部材54cを退避位置から作動位置に位置移動し、この回転方向で一次折り偏向手段53の昇降部材53cを作動位置から退避位置に位置移動する。このようにシフトモータMSの正逆回転で一次折り偏向手段53と二次折り偏向手段54は相反的に作動位置と退避位置との間で位置移動するように構成されている。
[シート先端検知センサ]
上述の第1経路32には、図3に示すようにシートの端縁を検出する第1センサS1が配置され、第1スイッチバック経路34に搬入するシートの端縁(先端及び後端)を検出する。また第2スイッチバック経路35に搬入するシートの端縁を検出する第2センサS2が配置してある。この第1センサS1と第2センサS2はシートの折り目位置を割り出すためにシートの端縁を検出するが、その作用は後述する折り仕様と共に追って説明する。
[折り処理仕様]
次に上述の折り処理手段48によるシート折り方法について図15に従って説明する。通常の画像形成されたシートは、ファイリング仕上げのために綴じ代を残して二ツ折り又は三ツ折りする場合と、レター仕上げのために二ツ折り又は三ツ折りする場合がある。また、三ツ折りのときにはZ折りと内三ツ折りする場合がある。図15には(a)に内三ツ折り、(b)に1/3Z折り、(c)に1/4Z折りをそれぞれ示す。
そして二ツ折りの場合には、第2経路33に送ったシートを第1第2ローラ41b、49でシートサイズの1/2位置或いはシート端部に綴じ代を残してその1/2位置を折り合わせる(一次折り)。
また、三ツ折りの場合には、第2経路33に送ったシートを第1第2ローラ41b、49でシートサイズの1/3位置或いはシート端部に綴じ代を残してその1/3位置を折り合わせる(一次折り)。この折シートを第2第3ローラ49、50で残りのシートを1/3位置で折り合わせて(二次折り)第3経路36に送る。
また三ツ折りの場合に、図15(a)に示すように内三ツ折りする場合は第2経路33に送られたシートを第1第2ローラ41b、49でシート後端側1/3位置を折り合わせ、次いでシート先端側1/3位置を折り合わせる。同様に1/3Z折りのときには、第2経路33に送られたシートを第1第2ローラ41b、49でシート先端側1/3位置を折り合わせ、次いでシート後端側1/3位置を折り合わせる。
更に三ツ折りの場合に、図15(c)に示す1/4位置をZ折りするときには、第2経路33に送られたシートを第1第2ローラ41b、49でシート後端側1/4位置を折り合わせ、次いでシートの1/2位置を折り合わせる。
[制御手段]
上述のシート折りのための制御手段95は次のように構成する。前述のシート折り装置Bに制御CPUを搭載するか、或いは画像形成装置Aの制御部に折り処理制御部を設ける。そしてこの制御部を次の動作が可能なように構成する。
まず第2経路33の第1スイッチバック経路34及び第2スイッチバック経路35にシート先端を位置規制するストッパ手段(不図示)か、或いはシート先端を位置検出するセンサ手段(図示のS1、S2)を設ける。図示の装置は、第1スイッチバック経路34に第1センサS1が、第2スイッチバック経路35に第2センサS2が配置してある。そして制御手段95は画像形成装置Aから送られたシートサイズ情報と、センサS1(S2)からの検出信号でシートの折り目位置が所定位置に到達したタイミングを算出するように構成されている。
そこで図16に示す制御ブロック図に従って説明する。画像形成装置Aには、制御CPU91にコントローラパネル15と、モード設定手段92を設ける。この制御CPU91はコントローラパネル15で設定された画像形成条件に応じて給紙部3、画像形成部7を制御する。そして制御CPU91は後処理装置Cの制御部95に「後処理モード」「ジョブ終了信号」「シートサイズ情報」など後処理に必要とするデータとコマンドを転送する。
後処理装置Cの制御部95は、制御CPUで、後処理動作制御部95aを備える。そしてこの制御CPU95には第1センサS1、第2センサS2の検知信号が伝達されている。
また、制御CPU95はゲートストッパ手段43に備えられたストッパ駆動手段(ソレノイド43SL)と、経路切換手段63に「ON」「OFF」制御信号を伝達する。
そして制御CPU95には、前述した折り仕様を実行するように搬送モータMfとシフトモータMSとストッパ駆動手段(ソレノイド43SL)と経路切換手段63を制御する折り処理実行プログラムがROM96に記憶されている。また、RAM98には、折り目位置算出手段97でシートの折り目を算出するためのデータと、シフトモータMSの作動タイミング時間がデータとして記憶されている。
上記折り目位置算出手段97は、「シートの長さサイズと」と「折り仕様」と「綴じ代寸法」とからシート先端(排紙方向先端)から折り目位置(寸法)を算出する演算回路で構成されている。例えば二ツ折りモードではシートを排紙方向1/2位置で折り合わせるか、予め設定された綴じ代を残して1/2位置で折り合わせる。その折り目位置の演算は、例えば、[{(シート長さサイズ)−(綴じ代)}/2]で算出する。
また三ツ折りモードでは、例えばレター折り(内三ツ折り、1/3Z折り)、ファイリング折り(1/4Z折り、1/3Z折り)など折仕様に応じて折り目位置を算出する。
[折り処理動作]
上述のシート折り装置Bの構成における作用について説明する。図11(b)は搬入口30に進入したシートをレジスト修正する状態を、図12(a)はシートを一次折りするために第1スイッチバック経路34に搬入した状態を示す。図12(b)は一次折り位置Np1でシートを折り合わせる状態を、図13(a)は第2スイッチバック経路35に折シートを搬入した状態を、図13(b)は二次折り位置Np2でシートを折り合わせる状態を、図14(a)は折シートを搬出する状態を、それぞれ示す。
図11(b)において、シートは搬入口30に案内され、搬入ローラ対(第1搬送手段)40で下流側に送られる。このとき制御手段95はストッパ駆動機構をゲートストッパ手段43が係止位置Psに位置するように制御する。するとシート先端はストッパ部材の係止面43sに係止されレジストエリア内でループ状に湾曲変形し、このときシートは係止面43sに倣って先端揃えされる。次いで制御手段95はゲートストッパ手段43を係止位置Psから待機位置Pwに退避させる。
図12(a)において、制御手段95はゲートストッパ手段43を係止位置Psから待機位置Pwに移動する。すると上述したシート搬送機構によってシートは第1経路32を下流側に送られる。そして制御手段95は経路切換手段63を図示のようにシートを第1経路32から第1スイッチバック経路34に案内するように制御する。
するとシートはピンチローラ41a、第1ローラ41bによって第1スイッチバック経路34に搬入される。尚、第1経路32には、ピンチローラ41a、第1ローラ41bの下流側に第1センサS1が配置され、第1スイッチバック経路34に搬入するシート先端を検知する。
図12(b)において、制御手段95は第1センサS1でシート先端を検出した信号に基づいて、シートの折り目位置が所定の位置に移送されたタイミングで一次折り偏向手段53の昇降部材53cを待機位置から作動位置に移動する。すると第1経路32のシートは第1ニップ部Np1に向けてV字状に変形される。そして昇降部材53cに取り付けられた従動ローラ53aが第2ローラ49の周面に圧接するとシート先端側は反対方向(第2ローラの回転方向)に繰り出される。
一方、シート後端側はピンチローラ41a、第1ローラ41bの搬送力で第1ニップ部Np1に向けてシートを繰り出す。このとき第1ローラ41bの周面に沿うように湾曲ガイド53bの湾曲ガイド面がシートをローラ周面に沿うように規制する。
従って一次折り位置Np1にシートは、その先端側は従動ローラ53aで、後端側はピンチローラ41a、第1ローラ41bで第1ニップ部Np1に向けて繰り込まれ、昇降部材53cの昇降タイミングが折り目位置を割り出すこととなる。そこで制御手段95は、シートをピンチローラ41a、第1ローラ41bで移送する速度と、従動ローラ53aを待機位置から作動位置に移動するタイミング(特に従動ローラ53aが第2ローラ49の周面と接するタイミング)を予め実験で最適値に設定しておく。
そして、従動ローラ53aの待機位置から作動位置への移動と、同期して湾曲ガイド53bの湾曲ガイド面が、対向する第1ローラ41bの周面に沿うようにシートを案内するからシートの折り目位置が、その都度変化する恐れがない。
図13(a)において、第1ニップ部Np1で1/2位置(二つ折り)、1/3位置(三つ折り)、1/4位置(三つ折り)を折り合わされたシートは、この第1ニップ部Np1で搬送力を付与されて下流側に送られる。そこで制御手段95は二次折り偏向手段54の昇降部材54cを、二つ折りモードのときには作動位置に、三つ折りモードのときには待機位置に位置させる。同図は三つ折りモードの制御を示す。二つ折りのときには昇降部材54cを作動位置に位置させ、折シートを先端から第2ニップ部Np2に案内し、その下流側の搬出口31に送る。
そこで三つ折りモードのときには、制御手段95は二次折り偏向手段54の昇降部材54cを、図13(a)に示すように待機位置に位置させる。すると第1ニップ部Np1から送られたシートは先端から第2スイッチバック経路35に送られる。そしてシート先端(折り目位置)を第2センサS2が検知する。
図13(b)において、第2センサS2の検知信号を基準に二次折りの折り目位置が所定位置に達した段階で制御手段95は、二次折り偏向手段54の昇降部材54cを待機位置から作動位置に移動する。すると第2スイッチバック経路35内のシートは従動ローラ54aが第3ローラ50の周面と当接した段階で反対方向にシートを繰り出す。
これによってシートの先端側は従動ローラ54aで、後端側は第1ニップ部Np1で互いに反対方向にシートを送り出して第2ニップ部Np2に案内する。尚この場合に、昇降部材54cの待機位置から作動位置への移動タイミングは前述の一次折り偏向手段53の場合と同様であり、ガイド部材54bの作用もまた同様である。
図14(a)において、二次折り位置(第2ニップ部)Np2に送られた折シートは、第2ローラ49に圧接した増折りローラ64で、その折り目を確実に折り畳まれ、第3経路36に移送される。そこで制御手段95は予め設定されている仕分け仕様でこの折シートを排紙経路37に送るか、或いは第1経路32に返送する。図示の装置は、後処理装置Cで綴じ合わせる必要のない、レター折り仕様の内3ツ折り、1/3Z折りのときには、経路切換フラッパ66を制御して排紙経路37から収納スタッカ65に案内する。
また、ファイリング用或いは製本綴じ処理などの後処理を必要とする二つ折り、1/4Z折などの三つ折りモードのときには第3経路36から第1経路32に移送し、搬出口31から後処理装置Cに送出する。
[二つ折りモードの折り動作]
上述の折り動作において、シートを2つ折りするモードでは、図17(a)に示すように画像形成装置Aから排紙指示信号と同時に折り処理するか否かのモード指示信号を受ける。すると制御手段95は、折り目位置を折り目位置算出手段97で算出する(St01)。そこで制御手段95は、二つ折りモード(St02)のときには、第1センサS1がシート先端を検知(St03)する。この検知信号から折り目位置算出手段97で算出されたシートの長さに相当するシートの送り時間の経過(St04)後に一次折り偏向手段53を待機位置から作動位置に移動する(St05)。この移動はシフトモータMSの回転で制御する。
一次折り偏向手段53の昇降部材53cが作動位置に移動する過程で、第1経路32のシートは図12(b)で説明したように、折り目位置を基準に第1ニップ部Np1に向けて歪曲される。そして一次折り偏向手段53の従動ローラ53aが第2ローラ49の周面に当接するとシートはたぐり寄せられて折り目位置から第1ニップ部Np1に挿入される。
このとき制御手段95は、二つ折りモードでは第1センサS1からの検知信号を基準にシートの折り目が第1ニップ部Np1に挿入された見込み時間の後(St06)二次折り偏向手段54を作動位置に移動する(St07)。この見込み時間はシートの折り目位置が第1ニップ部Np1に挿入され、その折シート先端が湾曲ガイド54bに到達する前の時間に設定されている。従って折シート先端は図13(b)の状態で、湾曲ガイド54bの湾曲ガイド面に案内されて第2ローラ周面に沿うこととなる。
これと同時に、作動位置に位置する従動ローラ54aは第3ローラ50の回転に従動して回転するため、折シートの先端が第2ニップ部Np2から逸れる方向にカールしていても、従動ローラ54aと第3ローラ50の回転で確実に第2ニップ部Np2に案内されることとなる。
そこで制御手段95は、第2ニップ部Np2から第3経路36に搬出された折シートを、第3経路36から第1経路32に搬出する。そして制御手段95は二次折り偏向手段54を作動位置に位置させた状態で後続するシートの処理に備える(St08)。図示のものは一次折り偏向手段53を待機位置に位置させる関係で、これと相反的に位置移動する二次折り偏向手段54を作動位置に位置させているが、第3経路36に配置した排紙センサS3の検出信号で二次折り偏向手段54を待機位置に移動するように構成することも可能である。
[三ツ折りモードの折り動作]
シートを3ツ折りするモードでは、図12乃至図14で説明したように画像形成装置Aから排紙指示信号と同時に折り処理するか否かのモード指示信号を受ける。すると制御手段95は、折り目位置を折り目位置算出手段97で算出する(St01)。そこで制御手段95は、三つ折りモード(St09)のときには、第1センサS1がシート先端を検知する(St10)。
この検知信号から折り目位置算出手段97で算出されたシートの長さに相当するシートの送り時間の経過(St11)後に一次折り偏向手段53を待機位置から作動位置に移動する(St12)。この移動はシフトモータMSの回転で制御する。
一次折り偏向手段53の昇降部材53cが作動位置に移動する過程で、第1経路32のシートは図12(b)で説明したように、折り目位置を基準に第1ニップ部Np1に向けて歪曲される。そして一次折り偏向手段53の従動ローラ53aが第2ローラ49の周面に当接するとシートはたぐり寄せられて折り目位置から第1ニップ部Np1に挿入される。このとき制御手段95は、三ツ折りモードではシート先端を第2センサS2が検出するのを待つ(St13)。
第2センサS2がシート先端を検出した信号を基準に制御手段95はシートの二次折り目位置が所定位置に到達する見込み時間の後(St14)、二次折り偏向手段54を作動位置に移動する(St15)。この見込み時間は折り目位置算出手段97の算出値で設定する。そこでシートは従動ローラ54aから搬送力を付与されて第2ニップ部Np2に挿入される。このシート先端を排紙センサS3が検知し、折仕様に応じて第3経路36から第1経路32に搬出するか、或いは排紙経路37から収納スタッカ65に搬出する(St16)。
尚、上記ステップSt01でモード設定手段92からシート折り処理しない後処理モード(第2搬送モード)が設定されたときには(St17)、図11(a)に示すようにゲートストッパ43とピンチローラ41aを経路外の退避位置に移動し(St18、St19)、同時にガイドカバー44を第1ローラ41bの外周を覆う位置に移動する。この時シートガイド61は図11(a)の状態(第1ガイド姿勢)に位置している。
そして搬送モータMfを逆転する(St20)と搬入口30に送られたシートは搬入ローラ対40でレジストエリアArに向けて繰り出される。このシートはレジストエリアArで上方に向いて繰り出され搬出ローラ対62に向けて送られる。そして第1経路32にはシートガイド61がシート先端を搬出ローラ対62のニップ点に送り込む。従ってシートはゲートストッパ43、ピンチローラ41a、第1ローラ41bのストレスを受けることなくスムーズに搬出口(搬出部)31に導かれる。
[排紙経路の構成]
上述のように二ツ折り、三ツ折りされた折シートは第3経路36に第2第3ローラ49、50の圧接点から送られる。そして第2ローラ49に圧接する増折りローラ64で増し折りされ第3経路36に案内される。この第3経路36は前述したように第1経路32に合流する。この第3経路36から分岐して排紙経路37が経路切換フラッパ66を介して連設され、この排紙経路37は第2経路33の下方に配置されている収納スタッカ65に折りシートを案内する。この排紙経路は曲率R3で前述のように構成されている。図示67は排紙経路37に配置された排紙ローラである。
従って、後処理装置Cに移送する必要のない例えば内3ツ折り或いは1/3Z折りなどレター仕様に折り合わされたシートは搬出口31に移送されることなく収納スタッカ65に収容される。
そして第3経路36に送られた折シートの内、後処理装置Cに移送して後処理するシートは、搬出ローラ対62で搬出口31に向けて移送される。尚この場合に、後処理するか否かの判断は、例えば前述のコントローラパネル15で画像形成条件と同時に後処理条件を設定するように構成する。そして設定された仕上げ条件に応じて収納スタッカ65に搬出するか後処理装置Cに移送するように構成する。
[画像形成装置]
画像形成装置Aは図1に示すように次の構成を備えている。この装置は、給紙部3からシートを画像形成部7に送り、画像形成部7でシートに印刷した後、本体排紙口18らシートを搬出する。給紙部3は複数サイズのシートが給紙カセット4a、4bに収納してあり、指定されたシートを1枚ずつ分離して画像形成部7に給送する。画像形成部7は例えば静電ドラム8と、その周囲に配置された印字ヘッド(レーザ発光器)9と現像器10と、転写チャージャ11と定着器12が配置され、静電ドラム8上にレーザ発光器9で静電潜像を形成し、これに現像器10でトナーを付着し、転写チャージャ11でシート上に画像を転写し、定着器12で加熱定着する。
このように画像形成されたシートは本体排紙口18から順次搬出される。図示13は循環経路であり、定着器12から表面側に印刷したシートを、本体スイッチバック経路14を介して表裏反転した後、再び画像形成部7に給送してシートの裏面側に印刷する両面印刷の経路である。このように両面印刷されたシートは本体スイッチバック経路14で表裏反転された後本体排紙口18から搬出される。
図示20は画像読取部であり、プラテン21上にセットした原稿シートをスキャンユニット22で走査し、図示しない光電変換素子で電気的に読み取る。この画像データは画像処理部で例えばデジタル処理された後、データ記憶部16に転送され、前記レーザ発光器9に画像信号を送る。また、図示25はフィーダ装置であり、スタッカ26に収容した原稿シートをプラテン21に給送する。
上記構成の画像形成装置Aには図示しない制御部(コントローラ)が設けられ、コントローラパネル15から画像形成条件、例えばシートサイズ指定、カラー・モノクロ印刷指定、プリント部数指定、片面・両面印刷指定、拡大・縮小印刷指定などのプリントアウト条件が設定される。
一方、画像形成装置Aには上記スキャンユニット22で読み取った画像データ或いは外部のネットワークから転送された画像データがデータ記憶部16に蓄積され、このデータ記憶部16から画像データはバッファメモリ17に転送され、このバッファメモリ17から順次印字ヘッド9にデータ信号が移送されるように構成されている。
上記コントローラパネル15からは画像形成条件と同時に後処理条件も入力指定される。この後処理条件は例えば「プリントアウトモード」「ステープル綴じモード」「シート束折りモード」などが選定される。この後処理条件には前述したシート折り装置Bにおける折仕様が設定される
[後処理装置]
後処理装置Cは図2に示すように次の構成を備えている。この装置は装置ハウジング68にシート受入口69と、排紙スタッカ70と、後処理経路71を備えている。シート受入口69は前述のシート折り装置Bの搬出口31に連結され、第1搬送経路32又は第3搬送経路36からのシートを受け入れるように構成されている。
後処理経路71はシート受入口69からのシートを排紙スタッカ70に案内するように構成され、この経路中に処理トレイ72が設けられている。図示73は排紙口であり、後処理経路71からのシートを下流側に配置された処理トレイ72に集積する。図示74はパンチユニットであり、後処理経路71に配置されている。排紙口73には排紙ローラ75が配置され、シート受入口69からのシートを処理トレイ72に集積する。
処理トレイ72は、後処理経路71からのシートをスイッチバック(搬送方向反転)搬送させてトレイ上に設けられた後端規制部材(不図示)に部揃え集積する。このためトレイ上方には排紙口73からのシートをスイッチバックさせる正逆転ローラ75が設けられている。また上記処理トレイ72は排紙スタッカ70に連なり、排紙口73からのシートを先端側は排紙スタッカ70で、後端側は処理トレイ72で支持する(ブリッジ支持)ようになっている。
上記処理トレイ72には後端規制部材に位置決めされたシート束を綴じ合わせるステップラユニット77が配置されている。図示78は整合手段であり、処理トレイ上に搬出されたシートを搬送直交方向に幅寄せ整合する。図示79はパドル回転体であり、排紙ローラ75からのシートを後端規制部材に向けて移送するように排紙ローラ75の回転軸に駆動連結されている。
図示80はシート束搬出手段であり、ステップラユニット77で綴じ合わされたシート束を下流側の排紙スタッカ70に移送する。このため図示のシート束搬出手段80は基端部を揺動自在に軸支持されたレバー部材81と、シート端係合部材82とで構成されている。
そしてシート端係合部材82は処理トレイ72に沿って排紙方向に往復動するように処理トレイに装備され、レバー部材81に連結されている。図示Mmはレバー部材81を揺動運動させる駆動モータである。尚排紙スタッカ70には図示しないがシートの積載量に応じて昇降するエレベータ機構が備えられている。