JP5475917B1 - 塗料組成物及びそれを用いた塗装物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】環球法による軟化点が50℃〜170℃のエポキシ樹脂(a)及び塗膜改質剤(b)を含んでなる主剤成分(A)であって、該主剤成分(A)中におけるエポキシ樹脂(a)の含有量が12〜60質量%であり、塗膜改質剤(b)の含有量が2〜15質量%である主剤成分(A)と、硬化剤成分(B)とを少なくとも含み、主剤成分(A)と硬化剤成分(B)の質量比(A:B)が70:30〜92:8の範囲内にある塗料組成物であって、ずり速度0.1(1/s)における粘度が1.0〜500(Pa・s、23℃)であり、ずり速度1000(1/s)における粘度が0.010〜3.0(Pa・s、23℃)であることを特徴とする塗料組成物である。
【選択図】なし
Description
石油樹脂は、石油精製で副生される留分を主原料とする重合体である。本発明で用いられる石油樹脂として、具体的には、石油ナフサ分解で副生する重質油中からスチレン誘導体、インデン、ビニルトルエン等のC9留分を重合させた芳香族系石油樹脂、1,3−ペンタジエン、イソプレン等のC5留分を重合させた脂肪族系石油樹脂、上記C9留分とC5留分とを共重合させた共重合系石油樹脂、シクロペンタジエン、1,3−ペンタジエン等のC5留分の共役ジエンが一部環化重合した脂肪族系石油樹脂、上記芳香族系石油樹脂を水素添加した樹脂、ジシクロペンタジエンを重合させた脂環族系石油樹脂等が挙げられる。石油樹脂の例としては、インデン・スチレン系の「ネシレスEPX−L」(商品名、Nevcin Polymers BV製)、「HILENOL PL−1000S」(C9留分石油樹脂、KOLON Chemical Co.,Ltd.製)等を挙げることができる。
本発明に用いられるキシレン樹脂は、メタキシレンとホルムアルデヒドから公知の方法で合成される樹脂である。また、フェノールやパラ−t−ブチルフェノールのような2官能性フェノールなどのフェノール類によって、変性したキシレン樹脂も使用することができる。このキシレン樹脂としては、「ニカノールY−51」や「ニカノールY−100」(何れもキシレンホルムアルデヒド樹脂、フドー(株)製)などが挙げられる。
クマロン樹脂は、クマロン成分単位、インデン成分単位、及びスチレン成分単位を主鎖に含む共重合体である。このクマロン樹脂は、末端がフェノールにて変性されていてもよく、また、クマロン樹脂中の芳香族環の少なくとも一部が水素添加されていてもよい。このようなクマロン樹脂としては、例えば、数平均分子量Mn(Mn,GPCにて測定、ポリスチレン換算値。以下同様。)が200〜300の液状品と、数平均分子量Mnが600〜800の固形品とが挙げられる。これらクマロン樹脂は、単独で用いてもよく、また両方を併用してもよい。
テルペンフェノール樹脂は、テルペン単量体とフェノール系化合物との共重合体である。テルペンフェノール樹脂を構成するテルペンに由来する構成単位(以下「テルペン系構成単位」という。)としては、非環式テルペン、環式テルペンが挙げられ、例えば、モノテルペン(C10H16)、セスキテルペン、ジテルペン、トリテルペンなどに由来する構成単位、あるいはこれらの誘導体が挙げられる。テルペンフェノール樹脂を構成するフェノール系化合物に由来する構成単位(以下「フェノール系構成単位」という。)としては、フェノール、クレゾール、ビスフェノールAなどに由来する構成単位が挙げられる。
(注1)「JERエポキシ樹脂#1001」:三菱化学社製、エポキシ樹脂、エポキシ当量450〜500g/eq、軟化点64℃
(注2)「JERエポキシ樹脂#1002」:三菱化学社製、エポキシ樹脂、エポキシ当量600〜700g/eq、軟化点78℃
(注3)「JERエポキシ樹脂#1004」:三菱化学社製、エポキシ樹脂、エポキシ当量875〜975g/eq、軟化点97℃
(注4)「JERエポキシ樹脂#1009」:三菱化学社製、エポキシ樹脂、エポキシ当量2400〜3300g/eq、軟化点144℃
(注5)「JERエポキシ樹脂#828」:三菱化学社製、エポキシ樹脂、エポキシ当量174〜184g/eq、常温で液状
(注6)「HIRENOL PL−1000S」:KOLONケミカル社製、石油樹脂
(注7)「ニカノールY−1000」:フドー社製、キシレン樹脂
(注8)「YSポリスターUH115」:ヤスハラケミカル社製、テルペンフェノール樹脂
(注9)「H60」:楠本化成製、中空粒子、粒子径40μm、耐圧強度69MPa、真密度0.60g/cm3
(注10)「iM30K」:スリーエム社製、中空粒子、粒子径16μm、耐圧強度193MPa、真密度0.60g/cm3
(注11)「K20」:スリーエム社製、中空粒子、粒子径60μm、耐圧強度3.5MPa、真密度0.2g/cm3
(注12)「7014」:ポッターズ・バロティーニ社製、中空粒子、粒子径80μm、耐圧強度1.7MPa、真密度0.14g/cm3
(注13)「EMB−10」:ポッターズ・バロティーニ社製、中空粒子、粒子径5μm、真密度0.60g/cm3
(注14)「KBM403」:信越化学製、シランカップリング剤、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
(注15)「カージュラーE10−P」:シェルケミカルズジャパン社製、反応性希釈剤
(注16)「R−5N」:堺化学社製、酸化チタン
(注17)「K−WHITE#82」:テイカ社製、防錆顔料
(注18)「スーパーSS」:丸尾カルシウム社製、炭酸カルシウム
(注19)「FC−1タルク」:福岡タルク社製、板状タルク
(注20)「ASA T−250F」:伊藤製油社製、揺変剤
(注21)「ダイトクラールD−9571」:大都産業社製、マンニッヒ型硬化剤
(注22)「バーサミド115D80A」:BASF社製、ポリアミドアミン
(注23)「ジエチレントリアミン」:東ソー社製、脂肪族ポリアミン
(注24)「イソホロンジアミン」:BASF社製、脂環族ポリアミン
(注25)「m−キシリレンジアミン」:フドー社製、芳香族ポリアミン
無希釈の塗料に関しては、主剤成分と硬化剤成分を混合してから、また、それ以外の塗料に関しては、希釈成分を更に加えてから、23℃にて5時間静置させ、その後、塗料の増粘率及びエアレススプレー塗装による作業性を評価した。増粘率は、回転粘度計法(JIS K 5400 4.5.3,SB型粘度計)により測定される粘度から求めることができる。具体的には、23℃での増粘率が、(5時間経過後の粘度/混合初期粘度)×100の式により求められ、その値が160%未満であることを必要とした。また、塗装作業性の評価基準を以下に示す。
○:エアレススプレー塗装を行うことができる
×:エアレススプレー塗装を行うことができない
23℃における塗料に対して、TAインスツルメンツ社製レオメーターARESを用い、ずり速度0.1(1/s)における粘度及びずり速度1000(1/s)における粘度を測定した。
エアレススプレー塗装、エアスプレー塗装、ローラー塗装及び刷毛塗りによってJIS G 3303に規定されるブリキ板(TP技研(株)製、300×300×0.3mm)に乾燥後の膜厚が240μmになるように塗料を塗装し、その仕上がり外観観察結果から塗装作業性を下記の基準に従って評価した。
◎:塗料が均一に広がり、凹凸が目視で確認できず、また、指で塗付面を触れてもざらつきが感じられず、塗付面の仕上がりが特に良好である。
○:塗料が均一に広がっており、目視では凹凸が確認できず、塗付面の仕上がりがよい。しかしながら、指で塗付面を触れると、ざらつきを感じる。
△:塗料の一部が均一に広がらず、塗布面にわずかな凹凸が目視にて確認でき、塗付面の仕上がりが悪い。
×:塗料が均一に広がらず、塗付面の仕上がりが悪い。
垂直に立てたJIS G 3303に規定されるブリキ板(TP技研(株)製、300×300×0.3mm)にエアレススプレー塗装により23℃にて塗膜を形成したのち、ブリキ板を垂直に立てたまま直ちにスクレイパー工具を用いて塗面下部1/3の面積の濡れ塗膜を掻き取った。掻き取ったあとに残った塗面上部2/3の面積の濡れ塗膜の下端部を観察し、タレを生じないかどうかを確認した。確認する濡れ塗膜の濡れ膜厚の範囲は、塗料の粘度によって異なるが、400,500,600,700,800,900,1000,1200及び1500μmの厚みの中からウェットゲージ((株)サンコウ電子研究所製)で測定しうる厚みを濡れ膜厚の範囲として選択した。タレを生じない最大の濡れ膜厚(タレ限界濡れ膜厚)を求め、タレ限界濡れ膜厚が800μm以上であれば、たるみ性に優れるとした。また、硬化乾燥後に乾燥膜厚を測定し、乾燥膜厚が標準膜厚の2倍膜厚である480μm以上であるかについても確認した。
試験板として、JIS G 3141に規定される鋼板SPCC−SB(日本タクト(株)製、150×70×0.8mm)を用い、これに、乾燥後の膜厚が240μmになるように塗膜を形成し、5℃で3時間後の指触乾燥性及び23℃で1時間30分後の指触乾燥性を下記の基準で評価した。尚、ここで指触乾燥とは、JIS K 5600−1−1に定められるように、塗面の中央に指先で軽く触れて、指先が汚れない状態(set−to−touch)を表す。
○:指触により塗膜表面が乾燥していると判断できる。
×:指触により塗膜が乾燥していないと判断できる。
試験板として、素地調整程度がISO 8501−1 Sa2.5のグリッドブラスト処理鋼板(150×70×3.2mm)を用い、該試験板の片面に、エアスプレーを用いて、乾燥膜厚が120μmになるように、塗料を塗装し、23℃及び50%相対湿度の条件にて7日間乾燥させ、試験片を作製した。また厚膜の場合の試験板として、乾燥膜厚を720μmに変えた以外は、同じ方法により、試験片を作製した。JIS K 5600−5−7のプルオフ法に準じた方法で密着力を測定し、該試験片の付着性を下記の基準に従って評価した。なお、表中には密着力を示す。
○:密着力が6MPaを超える。
△:密着力が4〜6MPaの範囲である。
×:密着力が4MPa未満である。
試験板として、JIS G 3141に規定される鋼板SPCC−SB(日本タクト(株)製、150×70×0.8mm)を用い、これに乾燥後の膜厚が240μmになるように塗膜を形成し、JIS K 5600−5−3 6.デュポン式に準じて、撃ち型半径6.35mm、おもり重量が500gで落下高さが30cm及び50cmの場合の耐衝撃性を評価した。
○:撃ち型先端から受ける衝撃による変形で塗膜の割れ・はがれを認めない。
×:撃ち型先端から受ける衝撃による変形で塗膜の割れ・はがれがある。
試験板として、素地調整程度がISO 8501−1 Sa2.5のグリッドブラスト処理鋼板(150×70×3.2mm)を用い、該試験板の両面に、エアスプレーを用いて、乾燥膜厚が240μmになるように、塗料を塗装し、23℃及び50%相対湿度の条件にて7日間乾燥させ、試験片を作製した。該試験片をJIS K 5600−7−9に準じて、付属書1のサイクルDの試験条件で、120サイクル曝した後の試験片に生じたサビ、フクレの発生程度を下記の基準に従って評価した。
◎:カット部から2mm以上離れた試験片表面にサビ、フクレ等の異常が無い。
○:カット部から4mm以上離れた試験片表面にサビ、フクレ等の異常が無い。
×:カット部から4mm以上離れた試験片表面にサビ、フクレが発生。
試験板として、JIS G 3141に規定される鋼板SPCC−SB(日本タクト(株)製、150×70×0.8mm)を用い、これに乾燥後の膜厚が120μmになるように塗膜を形成し、乾燥後の塗膜外観を評価した。また、乾燥後の膜厚を240μmに変えた以外は、同じ方法により、塗膜を作製した。
○:塗膜表面に異常がなく、塗膜外観が優れている。
△:塗膜表面の一部にブツ、凹み、たるみ、ワレ、白化等の異常が認められる。
×:塗膜表面の全体にブツ、凹み、たるみ、ワレ、白化等の異常が認められる。
試験板として、素地調整程度がISO 8501−1 Sa2.5のグリッドブラスト処理鋼板(150×70×3.2mm)を用い、該試験板の片面に、エアスプレーを用いて、乾燥膜厚が240μmになるように、塗料を塗装し、24時間後に、上塗り塗料として、「VトップH上塗」(大日本塗料株式会社製:JIS K 5659 上塗り塗料 3級(ポリウレタン樹脂塗料))を乾燥膜厚30μmとなるように塗装して23℃、50%相対湿度の条件にて7日間乾燥させ、試験片を作製した。
乾燥後、JIS K 5600付着性の試験方法に準拠し、脱イオン水中に500時間浸せき後にカッターナイフを用いて2mm幅の碁盤目を100個作製し、セロハンテープはく離試験を行い、以下の基準で目視判定した。
(判定基準)
○:塗膜表面に、異常なし
△:残存塗膜が95/100以上
×:残存塗膜が94/100以下
試験板として、素地調整程度がISO 8501−1 Sa2.5のグリッドブラスト処理鋼板(150×70×3.2mm)を用い、該試験板の片面に、エアスプレーを用いて、「ゼッタールOL」(大日本塗料株式会社製:JIS K 5552 1種 無機ジンクリッチプライマー)を乾燥膜厚が15〜20μmとなるように塗装し、24時間後に、塗料を乾燥膜厚が240μmになるように塗装して23℃及び50%相対湿度の条件にて7日間乾燥させ、試験片を作製した。乾燥後、上塗り適性と同様に、付着性試験(碁盤目試験)を行い、下塗り適性を同一基準にて評価した。
Claims (7)
- 環球法による軟化点が50℃〜170℃のエポキシ樹脂(a)、塗膜改質剤(b)及び中空粒子(c)を含んでなる主剤成分(A)であって、該主剤成分(A)中におけるエポキシ樹脂(a)の含有量が12〜60質量%であり、塗膜改質剤(b)の含有量が2〜15質量%であり、中空粒子(c)の含有量が0.4〜10.0質量%である主剤成分(A)と、硬化剤成分(B)とを少なくとも含み、主剤成分(A)と硬化剤成分(B)の質量比(A:B)が70:30〜92:8の範囲内にある塗料組成物であって、ずり速度0.1(1/s)における粘度が1.0〜500(Pa・s、23℃)であり、ずり速度1000(1/s)における粘度が0.010〜3.0(Pa・s、23℃)であることを特徴とする塗料組成物。
- 前記硬化剤成分(B)に含まれる硬化剤が、脂肪族ポリアミン類、脂環族ポリアミン類、芳香族ポリアミン類、ポリアミドアミン類、並びに該脂肪族ポリアミン類、脂環族ポリアミン類、芳香族ポリアミン類及びポリアミドアミン類から選択されるポリアミンのエポキシ樹脂アダクト変性物よりなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の塗料組成物。
- 前記中空粒子(c)が、ガラス、シリカ、アルミナ、ジルコニア、カーボン、セラミック及び火山性ガラス質よりなる群から選択される少なくとも1種の無機素材からなり、該無機素材は、50%粒子径が10〜80μm、真密度が0.2〜1.2g/cm3、耐圧強度が2〜200MPaであることを特徴とする請求項1又は2に記載の塗料組成物。
- 前記塗膜改質剤(b)が、石油樹脂、キシレン樹脂、クマロン樹脂及びテルペンフェノール樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗料組成物。
- 基材と、該基材表面に形成された塗膜とを備えており、該塗膜が、請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗料組成物により得られたことを特徴とする塗装物。
- 基材と、該基材表面に形成された第1の塗膜と、該第1の塗膜表面に形成された第2の塗膜とを備えており、該第1の塗膜が、無機系結合剤及び亜鉛末を主成分として含むジンクリッチ塗料により得られ、該第2の塗膜が、請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗料組成物により得られたことを特徴とする塗装物。
- 基材と、該基材表面に形成された第1の塗膜と、該第1の塗膜表面に形成された第2の塗膜とを備えており、該第1の塗膜が、請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗料組成物により得られ、該第2の塗膜が、アクリル樹脂系塗料、ウレタン樹脂系塗料、塩素化ポリオレフィン系塗料、シリコーン樹脂系塗料、及びふっ素樹脂系塗料よりなる群から選択される少なくとも1種の水系又は有機溶剤系の塗料により得られたことを特徴とする塗装物。
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