JP5475297B2 - 樹脂およびゴム組成物ならびに該ゴム組成物を用いたタイヤ - Google Patents

樹脂およびゴム組成物ならびに該ゴム組成物を用いたタイヤ Download PDF

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Description

本発明は、樹脂およびゴム組成物ならびに該ゴム組成物を用いて得られるタイヤに関し、より詳しくは、タイヤ用ゴム組成物として用いた際に、低温域および高温域の双方において優れたグリップ性を発揮する樹脂およびゴム組成物、ならびに該ゴム組成物を用いて得られる高性能なタイヤに関する。
一般タイヤにおいても、種々の性能を有する高性能なタイヤが望まれている。特にタイヤのグリップ性能は重要な性能の一つであり、ゴムの特性に大きく影響される。
グリップ性能は、ドライグリップ、ウェットグリップなどにより評価され、従来より様々なグリップ性能を付与するタイヤ用ゴム組成物が開発されている。
たとえば、特許文献1には、ジエン系ゴムに、スチレンモノマーからなる重合体を含有させたゴム組成物が開示されており、優れたグリップ性能を有することが示されている。また、特にウェットグリップ性能の向上を実現し得るゴム組成物として、ジエン系ゴムに、スチレンまたはα−メチルスチレンなどをモノマー成分とする重合体を含有させたもの(特許文献2参照)、α−メチルスチレンや芳香族置換α−メチルスチレンなどをモノマー成分とする重合体を含有させたもの(特許文献3〜5参照)も開示されている。
これらは、いずれもジエン系ゴムに配合する重合体として芳香族ビニル重合体を採用しており、この重合体を形成するモノマーとしての特性を種々の観点から規定することによって、グリップ性能のみならず、必要に応じて耐摩耗性、低燃費性や転がり抵抗などを付与するタイヤ用ゴム組成物である。そして、特許文献3〜5には、芳香族ビニル重合体を形成するモノマーとして、α−メチルスチレンと芳香族置換α−メチルスチレンとのいずれを選択しても、同等の効果を奏するものであることが示されている。
特開2007−112994号公報 特開2007−302713号公報 特開平11−49894号公報 特開平10−195242号公報 特開平10−195238号公報
しかしながら、たとえばα−メチルスチレンモノマーを採用した場合、グリップ性能自体は向上するものの、ポリマーとの相溶性が低下するおそれがあるため、必ずしも低温域での作動性は良好ではない。また、芳香族置換α−メチルスチレンを採用した場合、ポリマーとの相溶性が向上して低温域においては良好な作動性を示すものの、高温域でのグリップ性能に関しては改良の余地が残されている。
このように、これらいずれのゴム組成物をタイヤに用いても、グリップ性能に関して、高温域で良好な場合には低温域では好適な効果を発揮しにくく、逆に低温域で良好であっても高温域では必ずしも好適ではなく、双方の温度域において良好なグリップ性能を充分に示すものではない。
そこで、本発明は、タイヤ用ゴム組成物として用いた際、高温域および低温域の双方において、優れたグリップ性能を発揮し得る樹脂、およびこれをゴム成分に配合したゴム組成物、ならびにそれを用いたタイヤを提供することを目的としている。
本発明者は、上記課題を解決すべく、特定のモノマー2種を共重合させて得られる樹脂を見出し、これをゴム成分に配合したゴム組成物を採用することで、タイヤに用いた場合に温度域にかかわらず優れたグリップ性能を発揮し得ることに想到し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の樹脂は、下記式(I)で表されるモノマー(I)および下記式(II)で表されるモノマー(II)を共重合させて得られることを特徴とする。
Figure 0005475297
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式(I)および式(II)中、Rは水素原子、或いは炭素数1〜8の直鎖又は分枝状のアルキル基である。式(I)中、Xは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアリール基、炭素数1〜8のアルケニル基、またはハロゲン基を示す。式(II)中、Yは炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアリール基、炭素数1〜8のアルケニル基、またはハロゲン基を示す。ただし、XとYとは同一ではない。
また、前記モノマー(I)および前記モノマー(II)において、前記式(I)および前記式(II)中のRが水素原子であるのが望ましく、前記樹脂の重量平均分子量(Mw)は、3,000〜30,000であるのが望ましい。
前記モノマー(I)において、前記式(I)中のXが水素原子またはCH3であるのが好ましく、前記モノマー(II)において、前記式(II)中のYがCH3、C37またはC49であるのが好ましい。
前記樹脂は、前記式(I)中のXが水素原子である前記モノマー(I)および前記式(II)のYがCH3である前記モノマー(II)を共重合させて得られ、モノマー(I)とモノマー(II)との総量100質量%中、モノマー(II)の割合が20〜70質量%であるのが望ましい。また、前記樹脂は、前記式(I)中のXが水素原子である前記モノマー(I)および前記式(II)のYがC49である前記モノマー(II)を共重合させて得られ、モノマー(I)とモノマー(II)との総量100質量%中、モノマー(II)の割合が40〜95質量%であってもよい。
さらに、前記樹脂は、前記式(I)中のXがCH3である前記モノマー(I)および前記式(II)のYがC49である前記モノマー(II)を共重合させて得られ、モノマー(I)とモノマー(II)との総量100質量%中、モノマー(II)の割合が20〜95質量%であるのが望ましい。また、前記樹脂は、前記式(I)中のXが水素原子である前記モノマー(I)および前記式(II)のYがC37である前記モノマー(II)を共重合させて得られ、モノマー(I)とモノマー(II)との総量100質量%中、モノマー(II)の割合が30〜90質量%であってもよい。
さらに、前記樹脂は、前記式(I)中のXがC37である前記モノマー(I)および前記式(II)のYがC49である前記モノマー(II)を共重合させて得られ、モノマー(I)とモノマー(II)との総量100質量%中、モノマー(II)の割合が10〜80質量%であるのが望ましい。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分に対し、前記樹脂を配合してなることを特徴とする。
また、前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対し、前記樹脂を1〜100質量部の量で配合してなるものであってもよい。
本発明のタイヤは、前記ゴム組成物を用いて得られることを特徴とする。
本発明の樹脂は、従来にはないα−メチルスチレン系モノマーの組み合わせにより得られる共重合体であり、これを配合した本発明のゴム組成物は、タイヤに用いた際、路面温度40〜50℃程度の高温域で優れたグリップ性能を発揮するとともに、路面温度15〜20℃程度の低温域でも優れたグリップ性能を発揮することができる。
したがって、上記ゴム組成物を用いれば、温度変化に柔軟に対応し得るグリップ性能を有した高性能タイヤを得ることができる。
本発明の樹脂は、下記式(I)で表されるモノマー(I)および下記式(II)で表されるモノマー(II)を共重合させて得られる、いわゆる共重合体であり、異なるα−メチルスチレン系モノマーを共重合させて得られる樹脂であることを特徴としている。
Figure 0005475297
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モノマー(I)は、上記式(I)で表され、式(I)中、Rは水素原子、或いは炭素数1〜8の直鎖又は分枝状のアルキル基であり、好ましくは水素原子であり、Xは水素原子;、炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基;、炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4のアリール基;、炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4のアルケニル基;、またはF、Cl、Brなどのハロゲン基を示す、いわゆるα−メチルスチレン系モノマーである。ただし、式(I)中のXと式(II)中のYとは同一ではなく、互いに異なる置換基である。したがって、モノマー(I)と後述するモノマー(II)は互いに化学構造の異なるα−メチルスチレン系モノマーである。なお、式(I)中、Rが水素原子である場合は、下記式(I)’で表されるモノマー(I)となる(以下、式(I)および式(I)’で表されるモノマーをともに「モノマー(I)」という)。
Figure 0005475297
Xは、ベンゼン環のオルト位、メタ位、パラ位のいずれの位置に置換されていてもよく、これらの位置の1箇所であっても複数箇所であってもよい。なかでも、ベンゼン環のパラ位の位置に置換されているのが好ましい。このようなXとしては、水素原子のほか、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ビニル基、アリル基などが挙げられ、鎖状であっても分岐状であってもよい。このようなモノマー(I)としては、具体的には、たとえば、α−メチルスチレン、4,α−ジメチルスチレン、4−tert−ブチル−α−メチルスチレン、4−イソプロピル−α−メチルスチレン、4−オクチル−α−メチルスチレンが挙げられる。これらは1種単独で用いても、2種以上混合して用いてもよい。なかでもα−メチルスチレン、4,α−ジメチルスチレンが好ましく、α−メチルスチレンがより好ましい。
上記モノマー(I)を用いると、耐熱性や耐衝撃性を強化できるだけでなく、グリップ性能をより向上させることができる。仮にモノマー(I)を単独で用いると、ゴム成分との相溶性が低下するおそれがあるが、本発明では後述するようにモノマー(I)とは異種のモノマー(II)を同時に用いるため、ゴム成分中に良好に分散し、これらのモノマーを共重合させた樹脂を用いることにより、低温域においても優れたグリップ性能を発揮させるゴム組成物を得ることができる。
モノマー(II)は、上記式(II)で表され、式(II)中、Rは水素原子、或いは炭素数1〜8の直鎖又は分枝状のアルキル基であり、好ましくは水素原子であり、Yは炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基;、炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4のアリール基;、炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4のアルケニル基;、またはF、Cl、Brなどのハロゲン基を示す、いわゆるα−メチルスチレン系モノマーである。そして、上述したように、式(I)中のXと式(II)中のYとは同一ではなく、上記モノマー(I)とは化学構造の異なるモノマーである。なお、式(II)中、Rが水素原子である場合は、下記式(II)’で表されるモノマー(II)となる(以下、式(II)および式(II)’で表されるモノマーをともに「モノマー(II)」という)。
Figure 0005475297
Yは、ベンゼン環のオルト位、メタ位、パラ位のいずれの位置に置換されていてもよく、これらの位置の1箇所であっても複数箇所であってもよい。なかでも、ベンゼン環のパラ位の位置に置換されているのが好ましい。このようなYとしては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ビニル基、アリルなどが挙げられ、鎖状であっても分岐状であってもよい。このようなモノマー(II)としては、具体的には、たとえば、4,α−ジメチルスチレン、4−tert−ブチル−α−メチルスチレン、4−イソプロピル−α−メチルスチレン、4−オクチル−α−メチルスチレンが挙げられる。これらは1種単独で用いても、2種以上混合して用いてもよい。なかでも4,α−ジメチルスチレン、4−tert−ブチル−α−メチルスチレンが好ましく、4−tert−ブチル−α−メチルスチレンがより好ましい。
上記モノマー(II)を共重合させることによりゴム成分中に溶解しやすくなり、上記モノマー(I)の有する性能と相まって、モノマー(II)を単独で用いた際に発生しがちな高温域におけるグリップ性能の低下を効果的に抑制できるので、これら互いに異なる2種のα−メチルスチレン系モノマーを共重合させた樹脂を用いることにより、幅広い温度域において優れたグリップ性能を発揮するゴム組成物を得ることができる。
また、上記樹脂の重量平均分子量(Mw)は、通常3,000〜30,000、好ましくは8,000〜30,000、より好ましくは10,000〜25,000、最も好ましくは10,000〜20,000である。樹脂のMwが上記範囲内であると、あらゆる温度域におけるグリップ性能を向上させることができる。なお、本発明において、重量平均分子量(Mw)とは、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により得られたポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。
上記モノマー(I)および(II)の配合量は、これらのモノマーの総量100質量%中、モノマー(II)の割合が、モノマー(I)の式(I)におけるXがメチル基の場合、通常20〜70質量%、好ましくは30〜60質量%の量であり、モノマー(I)の式(I)におけるXがtert−ブチル基の場合、通常40〜90質量%、好ましくは50〜70質量%の量であり、モノマー(II)の式(II)におけるYによっても変動し得る。
上記モノマーの総量100質量%中におけるモノマー(II)の割合は、より具体的には、たとえば、モノマー(I)の式(I)におけるXがHであり、かつモノマー(II)における式(II)のYがCH3である場合、20〜70質量%であるのが望ましい。また、モノマー(I)の式(I)におけるXが水素原子であり、かつモノマー(II)における式(II)のYがC49である場合、40〜95質量%であるのが望ましい。さらに、モノマー(I)の式(I)におけるXがCH3であり、かつモノマー(II)における式(II)のYがC49である場合、20〜95質量%であるのが望ましい。また、モノマー(I)の式(I)におけるXが水素原子であり、かつモノマー(II)における式(II)のYがC37である場合、30〜90質量%であるのが望ましい。さらに、モノマー(I)の式(I)におけるXがC37であり、かつモノマー(II)における式(II)のYがC49である場合、10〜80質量%であるのが望ましい。
これらのモノマーの配合量を上記範囲内とすることにより、互いのモノマーが奏する効果を阻害することなく、これらのモノマーによる良好な相乗効果を発揮することができ、該樹脂から得られるゴム組成物は、高温域もしくは低温域の一方におけるグリップ性能を必要以上に低下させるおそれがない。
なお、重合方法は特に限定されず、上記モノマーを用いて、たとえば以下の方法によりこれらを共重合させて上記樹脂を得ることができる。まず、上記モノマーを有機溶媒とともに混合攪拌して必要に応じて冷却し、−10〜15℃、好ましくは−5〜10℃に保持しながら10〜30分かけて触媒を滴下する。次いで、該温度を保持したまま、さらに10〜40分かけて重合反応させる。
上記有機溶媒としては、シクロヘキサン、ベンゼン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン、エチルベンゼン等、並びにテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル系化合物、またはこれらの2種以上の混合物を用いることができる。
重合反応に用いる上記触媒としては、特に限定されず、ボロントリフロライドフェノール錯体などを好適に用いることができる。
上記重合反応が終了した後、通常の方法を用いて濾過および乾燥させることにより、本発明の樹脂を得ることができる。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分に対し、上記モノマー(I)とモノマー(II)とを共重合させて得られる樹脂を配合してなることを特徴としている。このような樹脂をゴム成分に配合することにより、該樹脂が保持する特性を有効に活用することができ、該ゴム組成物を用いたタイヤは、高温域および低温域の双方において優れたグリップ性能を発揮することができる。
ここで、本発明のゴム組成物における上記樹脂の配合量は、ゴム成分100質量部に対し、通常1〜100質量部、好ましくは2〜40質量部、より好ましくは2〜20質量部の量である。樹脂の配合量を上記範囲内とすることにより、樹脂が保持する特性を充分に発揮させることができるとともに、ゴム成分の有する特性を阻害するおそれがなく、高性能なタイヤを実現できるゴム組成物を得ることができる。
本発明のゴム組成物に用いるゴム成分は、ゴム弾性を示すものであれば特に限定されず、フッ素ゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴムなどのほか、少なくとも一種のジエン系ポリマーからなるものが好ましいゴム成分として挙げられる。このようなジエン系ポリマーとしては、たとえば、スチレン−ブタジエン共重合体、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、イソブチレン−イソプレン共重合体、ポリクロロプレン等のジエン系ポリマー等をそれぞれ単独で、または組み合わせて用いたものが挙げられる。
本発明のゴム組成物には、上記ゴム成分および上記樹脂のほか、必要に応じ、本発明の目的を阻害しない範囲内で他の成分を配合してもよい。このような他の成分としては、たとえば、カーボンブラック、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、軟化剤、酸化亜鉛、およびステアリン酸などの、ゴム業界で通常使用される配合剤が挙げられる。これら他の成分は、上市のものを好適に用いることができる。なお、本発明のゴム組成物は、上記各成分を通常の方法により、たとえばロール、インターナルミキサー、バンバリーミキサーなどを用いて混錬し、必要に応じて加硫することにより得ることができる。
本発明のゴム組成物の用途は、特に限定されるものではないが、高性能タイヤのトレッドに用いることが好適である。なお、本発明のタイヤは、本発明のゴム組成物を用いること以外は、公知の部材を使用して製造することができる。また、本発明のタイヤは、ソリッドタイヤでも空気入りタイヤでもよく、該空気入りタイヤに充填する気体としては、通常のあるいは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。なお、本発明のゴム組成物を用いてタイヤを製造する場合、タイヤ成形機などを用いて通常の方法により製造することができる。
本発明のタイヤの構成としては、たとえば、該タイヤが、1対のビード部、該ビード部にトロイド状をなして連なるカーカス、該カーカスのクラウン部をたが締めするベルトおよびトレッドを有してなるタイヤであることが挙げられる。本発明のタイヤは、ラジアル構造を有していてもよいし、バイアス構造を有していてもよい。
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、各測定条件ならびに各評価項目および評価基準は以下の方法に従って行った。
≪数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)の測定≫
樹脂のMnおよびMwの測定は、GPCにより下記測定条件に従って測定した。
液体:テトラヒドロフラン
流速:1mL/min
カラム:shodex KF−6+shodex KF−803+shodex KF−802
温度:40℃
サンプル注入量:50μL
なお、shodex KF−6、shodex KF−803およびshodex KF−802は商品名であり、分子量の校正には標準ポリスチレンを用いた。
≪軟化点の測定≫
(JAI)7−1900のボールアンドリング法に準じて測定した。
≪ドライスキッド性≫
スタンレイロンドンタイプのポータブルスキッドテスターにて、乾燥路面を加硫ゴム試験片で擦って測定した際の抵抗値を測定し、比較例1を100として指数表示した。指数値が大きいほど、ドライスキッド性が良好であることを示す。
≪タイヤグリップ性≫
得られたゴム組成物をトレッドとして用いたタイヤサイズ:215/45R17のタイヤを作製し、乗用車の4輪にこれらのタイヤを装着してドライアスファルト路面のテストコースを走行し、グリップ性能についてテストドライバーが下記評価基準(7段階)に従って評価した。なお、路面温度が15〜20℃で測定した結果を低温グリップ性とし、路面温度が40〜50℃で測定した結果を高温グリップ性とした。
7:非常に良い、6:良い、5:やや良い、4:普通、3:やや悪い、2:悪い、1:非常に悪い、−:未評価
[樹脂A]
樹脂A(α−メチルスチレン単独重合体)として、上市のもの(FTR0100、三井化学(株)製、軟化点:100℃、数平均分子量(Mn):990、重量平均分子量(Mw):1960)を用いた。
[樹脂B−1の調製]
500mlの四つ口フラスコに、攪拌装置、温度計、還流冷却管を取り付け、ここに4,α−ジメチルスチレン(北興化学工業製)80g、トルエン(関東化学製)200mlを反応混合液として仕込み、良く攪拌した。その後、均一に分散させた反応混合液を、ドライアイスで冷却したアルコール浴を用いて10℃まで冷却した。一方、滴下ロートに、触媒としてボロントリフロライドフェノール錯体0.8gとトルエン8gとを入れ、該滴下ロートを上記四つ口フラスコに取り付けた。
次いで、反応混合液の温度を上記アルコール浴を用いて10〜12℃に保持しながら、ここに上記触媒を15分かけて滴下し、重合反応を開始させた。触媒の滴下終了後、10〜12℃に保持したまま、さらに30分間攪拌した。重合反応終了後、反応混合液にトルエン100mlを加え、これをあらかじめ用意したメタノール320g中に30分かけて滴下して、粉末の析出物を得た。この粉末をろ過した後、減圧乾燥して収量40gの樹脂B(4,α−ジメチルスチレン単独重合体)を得た。得られた樹脂は、軟化点:140℃、数平均分子量(Mn):640、重量平均分子量(Mw):1600であった。
[樹脂C−1の調製]
4,α−ジメチルスチレン80gの代わりに、α−メチルスチレン(関東化学製)48gと4,α−ジメチルスチレン32gとを仕込み、上記触媒の滴下を7〜8℃、15分で行い、上記重合を7〜8℃で30分間行ったこと以外は、樹脂B−1の調製と同様にして調製した。得られた樹脂C−1(α−メチルスチレン・4,α−ジメチルスチレン共重合体)の収量は42g、軟化点:152℃、数平均分子量(Mn):1200、重量平均分子量(Mw):3200であった。
[樹脂D−1の調製]
4,α−ジメチルスチレン80gの代わりに、α−メチルスチレン48gと4,α−ジメチルスチレン32gとを仕込み、上記触媒の滴下を1〜2℃、15分で行い、上記重合を1〜2℃で30分間行ったこと以外は、樹脂B−1の調製と同様にして調製した。得られた樹脂D−1(α−メチルスチレン・4,α−ジメチルスチレン共重合体)の収量は55g、軟化点:162℃、数平均分子量(Mn):1400、重量平均分子量(Mw):4100であった。
[樹脂E−1の調製]
4,α−ジメチルスチレン80gの代わりに、α−メチルスチレン48gと4,α−ジメチルスチレン32gとを仕込み、上記触媒の滴下を−6〜−4℃、15分で行い、上記重合を−6〜−4℃で30分間行ったこと以外は、樹脂B−1の調製と同様にして調製した。得られた樹脂E−1(α−メチルスチレン・4,α−ジメチルスチレン共重合体)の収量は55g、軟化点:181℃、数平均分子量(Mn):1300、重量平均分子量(Mw):5100であった。
[樹脂F−1の調製]
4,α−ジメチルスチレン80gの代わりに、α−メチルスチレン48gと4,α−ジメチルスチレン32gとを仕込み、上記触媒の滴下を10〜11℃、15分で行い、上記重合を10〜11℃で30分間行ったこと以外は、樹脂B−1の調製と同様にして調製した。得られた樹脂F−1(α−メチルスチレン・4,α−ジメチルスチレン共重合体)の収量は30g、軟化点:125℃、数平均分子量(Mn):970、重量平均分子量(Mw):1900であった。
[樹脂G−1の調製]
4,α−ジメチルスチレン80gの代わりに、α−メチルスチレン56gと4,α−ジメチルスチレン24gとを仕込み、上記触媒の滴下を5〜7℃、15分で行い、上記重合を5〜7℃で30分間行ったこと以外は、樹脂B−1の調製と同様にして調製した。得られた樹脂G−1(α−メチルスチレン・4,α−ジメチルスチレン共重合体)の収量は45g、軟化点:138℃、数平均分子量(Mn):1100、重量平均分子量(Mw):3100であった。
[樹脂H−1の調製]
4,α−ジメチルスチレン80gの代わりに、α−メチルスチレン40gと4,α−ジメチルスチレン40gとを仕込み、上記触媒の滴下を9〜10℃、15分で行い、上記重合を9〜10℃で30分間行ったこと以外は、樹脂B−1の調製と同様にして調製した。得られた樹脂H−1(α−メチルスチレン・4,α−ジメチルスチレン共重合体)の収量は43g、軟化点:165℃、数平均分子量(Mn):1070、重量平均分子量(Mw):3000であった。
[樹脂I−1の調製]
4,α−ジメチルスチレン80gの代わりに、α−メチルスチレン24gと4,α−ジメチルスチレン56gとを仕込み、上記触媒の滴下を5〜6℃、15分で行い、上記重合を5〜6℃で30分間行ったこと以外は、樹脂B−1の調製と同様にして調製した。得られた樹脂I−1(α−メチルスチレン・4,α−ジメチルスチレン共重合体)の収量は52g、軟化点:184℃、数平均分子量(Mn):1400、重量平均分子量(Mw):4200であった。
[樹脂J−1の調製]
4,α−ジメチルスチレン80gの代わりに、α−メチルスチレン8gと4,α−ジメチルスチレン72gとを仕込み、上記触媒の滴下を7〜10℃、15分で行い、上記重合を9〜10℃で30分間行ったこと以外は、樹脂B−1の調製と同様にして調製した。得られた樹脂J−1(α−メチルスチレン・4,α−ジメチルスチレン共重合体)の収量は40g、軟化点:148℃、数平均分子量(Mn):1150、重量平均分子量(Mw):3100であった。
[樹脂K−1の調製]
4,α−ジメチルスチレン80gの代わりに、α−メチルスチレン72gと4,α−ジメチルスチレン8gとを仕込み、上記触媒の滴下を5〜7℃、15分で行い、上記重合を5〜7℃で30分間行ったこと以外は、樹脂B−1の調製と同様にして調製した。得られた樹脂K−1(α−メチルスチレン・4,α−ジメチルスチレン共重合体)の収量は42g、軟化点:138℃、数平均分子量(Mn):1100、重量平均分子量(Mw):3000であった。
[樹脂L−1の調製]
4,α−ジメチルスチレン80gの代わりに、α−メチルスチレン72gと4−tert−ブチル−α−メチルスチレン(北興化学工業製)8gとを仕込み、上記触媒の滴下を1〜2℃、15分で行い、上記重合を1〜2℃で30分間行ったこと以外は、樹脂B−1の調製と同様にして調製した。得られた樹脂L−1(α−メチルスチレン・4−tert−ブチル−α−メチルスチレン共重合体)の収量は50g、軟化点:153℃、数平均分子量(Mn):1350、重量平均分子量(Mw):3900であった。
[樹脂M−1の調製]
4,α−ジメチルスチレン80gの代わりに、α−メチルスチレン72gと4−tert−ブチル−α−メチルスチレン8gとを仕込み、上記触媒の滴下を−4〜−3℃、15分で行い、上記重合を−4〜−3℃で30分間行ったこと以外は、樹脂B−1の調製と同様にして調製した。得られた樹脂M−1(α−メチルスチレン・4−tert−ブチル−α−メチルスチレン共重合体)の収量は65g、軟化点:153℃、数平均分子量(Mn):1300、重量平均分子量(Mw):4900であった。
[樹脂N−1の調製]
4,α−ジメチルスチレン80gの代わりに、α−メチルスチレン72gと4−tert−ブチル−α−メチルスチレン8gとを仕込み、上記触媒の滴下を10〜11℃、15分で行い、上記重合を10〜11℃で30分間行ったこと以外は、樹脂B−1の調製と同様にして調製した。得られた樹脂N−1(α−メチルスチレン・4−tert−ブチル−α−メチルスチレン共重合体)の収量は35g、軟化点:130℃、数平均分子量(Mn):870、重量平均分子量(Mw):2100であった。
[樹脂O−1の調製]
4,α−ジメチルスチレン80gの代わりに、α−メチルスチレン64gと4−tert−ブチル−α−メチルスチレン16gとを仕込み、上記触媒の滴下を3〜4℃、15分で行い、上記重合を3〜4℃で30分間行ったこと以外は、樹脂B−1の調製と同様にして調製した。得られた樹脂O−1(α−メチルスチレン・4−tert−ブチル−α−メチルスチレン共重合体)の収量は50g、軟化点:165℃、数平均分子量(Mn):1350、重量平均分子量(Mw):4000であった。
[樹脂P−1の調製]
4,α−ジメチルスチレン80gの代わりに、α−メチルスチレン48gと4−tert−ブチル−α−メチルスチレン32gとを仕込み、上記触媒の滴下を4〜5℃、15分で行い、上記重合を4〜5℃で30分間行ったこと以外は、樹脂B−1の調製と同様にして調製した。得られた樹脂P−1(α−メチルスチレン・4−tert−ブチル−α−メチルスチレン共重合体)の収量は48g、軟化点:170℃、数平均分子量(Mn):1300、重量平均分子量(Mw):4000であった。
[樹脂Q−1の調製]
4,α−ジメチルスチレン80gの代わりに、α−メチルスチレン32gと4−tert−ブチル−α−メチルスチレン48gとを仕込み、上記触媒の滴下を4〜6℃、15分で行い、上記重合を4〜6℃で30分間行ったこと以外は、樹脂B−1の調製と同様にして調製した。得られた樹脂Q−1(α−メチルスチレン・4−tert−ブチル−α−メチルスチレン共重合体)の収量は48g、軟化点:175℃、数平均分子量(Mn):1350、重量平均分子量(Mw):4100であった。
[樹脂R−1の調製]
4,α−ジメチルスチレン80gの代わりに、α−メチルスチレン8gと4−tert−ブチル−α−メチルスチレン72gとを仕込み、上記触媒の滴下を5〜6℃、15分で行い、上記重合を5〜6℃で30分間行ったこと以外は、樹脂B−1の調製と同様にして調製した。得られた樹脂R−1(α−メチルスチレン・4,α−ジメチルスチレン共重合体)の収量は50g、軟化点:180℃、数平均分子量(Mn):1350、重量平均分子量(Mw):3900であった。
これら樹脂A−1〜R−1の物性を表1に示す。
Figure 0005475297
[比較例1〜6、および実施例1〜22]
上記樹脂A−1〜R−1を用い、下記表2〜4に示す配合量(単位:質量部)に従って、それぞれスチレン・ブタジエン共重合体ゴム、カーボンブラックおよびアロマチックオイルとともにバンバリーミキサーを用いて混練り混合し、各ゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を145℃で45分間加硫した後、上述した測定および評価を行った。結果を表2〜4に示す。
Figure 0005475297
Figure 0005475297
Figure 0005475297
※1:JSR(株)製、#1500
※2:SAF(N2SA(窒素吸着比表面積):150m2/g)
※3:N−1,3−ジメチル−ブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン
※4:N−tert−ブチル−2−ベンゾチアジル−スルフェンアミド
※5:テトラキス−2−エチルヘキシルチウラムジスルフィルド
表2〜表4に示されるように、モノマー(I)およびモノマー(II)を含む実施例1〜22は、これらのモノマーを一切含まない比較例1、またはこれらのモノマー単独で用いた比較例2〜6に比べ、低温グリップ性および高温グリップ性双方に優れることがわかる。
また、樹脂のMwが3,000未満である実施例6および実施例14は、他の実施例に比べ、高温グリップ性が低下する傾向にあることがわかる。
一方、式(I)中のXが水素原子であるモノマー(I)と、式(II)のYがCH3であるモノマー(II)とを共重合させた樹脂を用いた場合、モノマー(II)の割合(モノマー(I)とモノマー(II)との総量100質量%中)が20〜70質量%の範囲外である実施例10〜11は、実施例3〜9と比べ、低温グリップ性と高温グリップ性との良好なバランスを保持しにくい傾向にあり、この場合にはモノマー(II)の割合は20〜70質量%の範囲内であるのが望ましいことがわかる。
他方、式(I)中のXが水素原子であるモノマー(I)と、式(II)のYがC49であるモノマー(II)とを共重合させた樹脂を用いた場合、モノマー(II)の割合(モノマー(I)とモノマー(II)との総量100質量%中)が40〜95質量%の範囲外である実施例12〜15は、実施例16〜18と比べ、低温グリップ性と高温グリップ性との良好なバランスを保持しにくい傾向にあり、この場合にはモノマー(II)の割合は40〜95質量%の範囲内であるのが望ましいことがわかる。
また、これらのモノマーからなる樹脂をゴム成分100質量部に対し、1〜100質量部の範囲内の量で含む実施例3〜22は、実施例1〜2に比べ、より好適なグリップ性だけでなく、より好適なドライスキッド性を示すことがわかる。さらに、実施例3、19および21、もしくは実施例12、20および22を参照すれば、すべての特性をバランスよく発揮し得るという観点から、これら樹脂の上記量は2〜40質量部の量であるのがより好ましく、2〜20質量部の量であるとより好適であるのがわかる。
[樹脂B−2]
樹脂B−2(α−ジメチルスチレン単独重合体)として、上市のもの(FTR0140、三井化学(株)製、軟化点:140℃、数平均分子量(Mn):1510、重量平均分子量(Mw):2760)を用いた。
[樹脂C−2]
500mlの四つ口フラスコに、攪拌装置、温度計、還流冷却管を取り付け、ここに,α−メチルスチレン108.0g、4−tert−ブチル−α−メチルスチレン12.0g、およびトルエン300mlを反応混合液として仕込み、良く攪拌した。その後、均一に分散させた反応混合液を、ドライアイスで冷却したエタノール浴を用いて−3〜−1℃まで冷却した。一方、滴下ロートに、触媒として四塩化スズ(関東化学製)1.2gとトルエン2.4gとを入れ、該滴下ロートを上記四つ口フラスコに取り付けた。
次いで、反応混合液の温度を上記エタノール浴を用いて−3〜−1℃に保持しながら、ここに上記触媒を15分かけて滴下し、重合反応を開始させた。触媒の滴下終了後、−3〜−1℃に保持したまま、さらに30分間攪拌した。重合反応終了後、この反応混合液を0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、続けて水洗した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。この反応混合液を予め用意したエタノール960g中に30分かけて滴下して、粉末の析出物を得た。この粉末をろ過した後、さらにエタノール200gで洗浄した後、減圧乾燥して収量72gの樹脂C−2(α−メチルスチレン・4−tert−ブチル−α−メチルスチレン共重合体)を得た。得られた樹脂は、軟化点:171℃、数平均分子量(Mn):2900、重量平均分子量(Mw):11020であった。
[樹脂D−2]
重合温度を−12〜−10℃とした以外は、上記樹脂C−2と同様にして調製した。得られた樹脂D−2(α−メチルスチレン・4−tert−ブチル−α−メチルスチレン共重合体)の収量は96g、軟化点:175℃、数平均分子量(Mn):3882、重量平均分子量(Mw):24068であった。
[樹脂E−2]
α−メチルスチレンを60.0g、4−tert−ブチル−α−メチルスチレンを60.0g仕込み、重合温度を−6〜−5℃とした以外は、上記樹脂C−2と同様にして調製した。得られた樹脂E−2(α−メチルスチレン・4−tert−ブチル−α−メチルスチレン共重合体)の収量は78g、軟化点:204℃、数平均分子量(Mn):2516、重量平均分子量(Mw):10066であった。
[樹脂F−2]
重合温度を−16〜−15℃とした以外は、上記樹脂E−2と同様にして調製した。得られた樹脂F−2(α−メチルスチレン・4−tert−ブチル−α−メチルスチレン共重合体)の収量は101g、軟化点:235℃、数平均分子量(Mn):3968、重量平均分子量(Mw):23807であった。
[樹脂G−2]
α−メチルスチレンを36.0g、4−tert−ブチル−α−メチルスチレンを84.0g仕込み、重合温度を−8〜−7℃とした以外は、上記樹脂C−2と同様にして調製した。得られた樹脂G−2(α−メチルスチレン・4−tert−ブチル−α−メチルスチレン共重合体)の収量は80g、軟化点:212℃、数平均分子量(Mn):2784、重量平均分子量(Mw):10024であった。
[樹脂H−2]
重合温度を−18〜−17℃とした以外は、上記樹脂G−2と同様にして調製した。得られた樹脂H−2(α−メチルスチレン・4−tert−ブチル−α−メチルスチレン共重合体)の収量は101g、軟化点:217℃、数平均分子量(Mn):3846、重量平均分子量(Mw):24228であった。
[樹脂I−2]
α−メチルスチレンを12.0g、4−tert−ブチル−α−メチルスチレンを108.0g仕込み、重合温度を−8〜−6℃とした以外は、上記樹脂C−2と同様にして調製した。得られた樹脂I−2(α−メチルスチレン・4−tert−ブチル−α−メチルスチレン共重合体)の収量は76g、軟化点:215℃、数平均分子量(Mn):2674、重量平均分子量(Mw):10695であった。
[樹脂J−2]
重合温度を−18〜−16℃とした以外は、上記樹脂I−2と同様にして調製した。得られた樹脂J−2(α−メチルスチレン・4−tert−ブチル−α−メチルスチレン共重合体)の収量は102g、軟化点:230℃、数平均分子量(Mn):4080、重量平均分子量(Mw):25298であった。
これら樹脂B−2〜J−2の物性を表5に示す。
Figure 0005475297
[比較例7〜8、実施例23〜34]
上記樹脂B−2〜J−2を用い、下記表6に示す配合量(単位:質量部)に従って、それぞれスチレン・ブタジエン共重合体ゴム、およびカーボンブラックとともにバンバリーミキサーを用いて混練り混合し、各ゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を145℃で45分間加硫した後、上述した測定および評価を行った。結果を表6に示す。
Figure 0005475297
※1〜※5は、上記表2〜4と同様である。
表6に示されるように、モノマー(I)およびモノマー(II)を含む実施例23〜34は、これらのモノマーを一切含まない表2の比較例1、またはこれらのモノマー単独で用いた表2の比較例2〜4や表4の比較例5〜6、ならびに比較例7〜8に比べ、低温グリップ性および高温グリップ性双方に優れることがわかる。
また、式(I)中のXが水素原子であるモノマー(I)と、式(II)のYがC49であるモノマー(II)とを共重合させた樹脂を用いた場合、モノマー(II)の割合(モノマー(I)とモノマー(II)との総量100質量%中)が40〜95質量%の範囲外である実施例23〜28は、実施例29〜34と比べ、低温グリップ性と高温グリップ性との良好なバランスを保持しにくい傾向にあり、この場合にはモノマー(II)の割合は40〜95質量%の範囲内であるのが望ましいことがわかる。

Claims (11)

  1. ゴム成分100質量部に対し、
    下記式(I)で表されるモノマー(I)および下記式(II)で表されるモノマー(II)を共重合させて得られる樹脂;
    Figure 0005475297
    Figure 0005475297
    (式(I)および式(II)中、Rは水素原子、或いは炭素数1〜8の直鎖又は分枝状のアルキル基である。式(I)中、Xは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアリール基、炭素数1〜8のアルケニル基、またはハロゲン基を示す。式(II)中、Yは炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアリール基、炭素数1〜8のアルケニル基、またはハロゲン基を示す。ただし、XとYとは同一ではない。)を1〜100質量部の量で配合してなるゴム組成物。
  2. 前記モノマー(I)および前記モノマー(II)において、前記式(I)および前記式(II)中のRが水素原子であることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物
  3. 前記樹脂の重量平均分子量(Mw)が3,000〜30,000であることを特徴とする請求項1または2に記載のゴム組成物
  4. 前記モノマー(I)において、前記式(I)中のXが水素原子、CHまたはCであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物
  5. 前記モノマー(II)において、前記式(II)中のYがCH、CまたはCであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物
  6. 前記式(I)中のXが水素原子である前記モノマー(I)および前記式(II)のYがCHである前記モノマー(II)を共重合させて得られ、モノマー(I)とモノマー(II)との総量100質量%中、モノマー(II)の割合が20〜70質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物
  7. 前記式(I)中のXが水素原子である前記モノマー(I)および前記式(II)のYがCである前記モノマー(II)を共重合させて得られ、モノマー(I)とモノマー(II)との総量100質量%中、モノマー(II)の割合が40〜95質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物
  8. 前記式(I)中のXが水素原子である前記モノマー(I)および前記式(II)のYがC3H7である前記モノマー(II)を共重合させて得られ、モノマー(I)とモノマー(II)との総量100質量%中、モノマー(II)の割合が30〜90質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物
  9. 前記式(I)中のXがCHである前記モノマー(I)および前記式(II)のYがCである前記モノマー(II)を共重合させて得られ、モノマー(I)とモノマー(II)との総量100質量%中、モノマー(II)の割合が20〜95質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物
  10. 前記式(I)中のXがCである前記モノマー(I)および前記式(II)のYがCである前記モノマー(II)を共重合させて得られ、モノマー(I)とモノマー(II)との総量100質量%中、モノマー(II)の割合が10〜80質量%であることを特徴と
    する請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載のゴム組成物を用いて得られるタイヤ。
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