JP5474343B2 - カワヒバリガイ検出用プライマーセットとこれを利用したカワヒバリガイ幼生の検出・定量方法 - Google Patents

カワヒバリガイ検出用プライマーセットとこれを利用したカワヒバリガイ幼生の検出・定量方法 Download PDF

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Description

本発明は、カワヒバリガイ検出用プライマーセットとこれを利用したカワヒバリガイ幼生の検出・定量方法に関する。さらに詳述すると、本発明は、複数種のプランクトンが多数存在する淡水域から採集した被験試料のカワヒバリガイ幼生の有無を検出し、その個体数の定量を行うのに好適なカワヒバリガイ検出用プライマーセットとこれを利用したカワヒバリガイ幼生の検出・定量方法に関する。
付着生物による被害としては、例えば、海水域における火力・原子力発電所等の冷却水路系へのアカフジツボ等のフジツボ類の付着による被害が知られている。冷却水路系にフジツボ類が付着すると、冷却水の流量が流動抵抗の増大により低下し、復水器の冷却効率が低下してしまう。また、復水器管内にフジツボ類が付着したり、剥がれたフジツボ類が詰まったりすることによって、管壁の腐食が生じる。そこで、各発電所では、付着したフジツボ類を機械的に除去したり、フジツボ類の付着を抑制したりするための様々な防除対策が実施されている。
ところで、このような付着生物による被害は、従来わが国における河川や湖等の淡水域では殆ど発生していなかった。ところが、1990年前後に、中国及び朝鮮半島を原産とする淡水性二枚貝であるカワヒバリガイ(Limnoperna fortunei)が揖斐川を含む木曽川水系や琵琶湖・淀川水系に侵入し、その生息領域が拡大するにつれて、海水域において生じている被害と同様の被害が生じつつある。カワヒバリガイは、繊維状の分泌物である足糸により岩などの基質に固着する性質を持ち、配管内部に大量発生して水の流れを妨げるなど水利施設の運用に悪影響を与えることが知られている(非特許文献1)。現在では、淡水域に設置されているわが国の水力発電所等においても、冷却水配管や冷却器、水位計にカワヒバリガイが付着することにより、海水域において生じている被害と同様の被害が生じている。
また、カワヒバリガイは特定外来種として指定されており、カワヒバリガイの生息領域が拡大すると、プランクトン食性の在来生物との競合により、生態系が破壊されてしまう。さらには、カワヒバリガイは寄生性の吸虫(腹口類)の第一中間宿主となることから、第二中間宿主のコイ科魚類において、メタセルカリアの重篤感染による被害も出ている。
このように、カワヒバリガイは様々な被害を及ぼす生物であることから、早急に駆除することが望まれている。
ここで、カワヒバリガイは、水路等の基体に付着してしまうと、完全に除去することが困難である。また、除去する際に発生する死骸等によって水質の悪化が生じ、周囲の環境に対する悪影響が懸念される。したがって、カワヒバリガイの駆除は、水路等の基体に付着する前の浮遊幼生の段階で、大量に発生する時期を見計らって行うことが望ましいと考えられる。
Magera, Y., Y.Matsui, Y.Goto and A.Yuasa, 2001, Journal of Water Supply Reseach and Technology-aqua, 50: 113-124.
淡水域には、カワヒバリガイ幼生以外にも多種多様なプランクトンが存在している。したがって、淡水域で採集した被験試料からカワヒバリガイ幼生の発生量を調査する際には、多種多様なプランクトンの中からカワヒバリガイ幼生のみを選択的に検出・定量する必要がある。しかしながら、カワヒバリガイ幼生とこれらプランクトンとの間の形態分類学上の差異のみを頼りにカワヒバリガイ幼生の検出・定量を行うことは、熟練した研究者でも極めて困難なものである。そこで、誰もがカワヒバリガイ幼生を簡易に検出・定量することのできる方法の確立が望まれている。
本発明は、かかる要望に鑑みてなされたものであって、カワヒバリガイ幼生を簡易に検出する方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、カワヒバリガイ幼生を簡易に検出すると共にその個体数を定量する方法を提供することを目的とする。
かかる課題を解決するため、本願発明者等は、遺伝子解析技術からのアプローチによりカワヒバリガイを分子レベルで種々検討した。その結果、カワヒバリガイのミトコンドリアDNA上にコードされたCOI遺伝子の塩基配列情報に基づき、カワヒバリガイのみを分子レベルで特異的に認識するオリゴヌクレオチドプライマーセットを開発することに成功し、本発明に至った。
即ち、本発明のカワヒバリガイ検出用プライマーセットは、配列番号1記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを含むプライマーと、配列番号2記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを含むプライマーとからなるものである。
このプライマーセットは、カワヒバリガイのミトコンドリアDNA上にコードされたCOI遺伝子の特定領域の塩基配列を特異的に認識する。したがって、このプライマーセットによれば、この特定領域の遺伝子と特異的にPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)を起こす。
ここで、「特異的」とは、カワヒバリガイのミトコンドリアDNA上にコードされたCOI遺伝子の特定領域の塩基配列のみを認識し、コウロエンカワヒバリガイ、ムラサキイガイ、ホトトギスガイ、キヌマトイガイ、ミドリイガイを認識しないこと、さらには淡水域に一般的に存在しているプランクトンを認識しないことを意味している。
次に、本発明のカワヒバリガイ幼生の検出方法は、被験試料に対し上記のプライマーセットを用いてPCRを行い、被験試料の遺伝子増幅が生じたか否かにより被験試料にカワヒバリガイ幼生が存在しているか否かを判定するようにしている。
被験試料にカワヒバリガイ幼生が含まれている場合には、上記のプライマーセットがカワヒバリガイのミトコンドリアDNA上にコードされたCOI遺伝子の特定領域の塩基配列を特異的に認識してPCRを起こし、カワヒバリガイ幼生の遺伝子の増幅が生じる。一方、被験試料にカワヒバリガイ幼生が含まれていない場合には、上記のプライマーセットによりPCRを起こす対象遺伝子が存在しないので、遺伝子増幅は生じない。したがって、遺伝子増幅の有無を検出することにより、被験試料にカワヒバリガイ幼生が存在しているか否かを判定することができる。
次に、本発明のカワヒバリガイ幼生の定量方法は、カワヒバリガイ幼生個体数が既知の複数の試料それぞれに対し上記のプライマーセットを用いてPCRを行うことによりカワヒバリガイ幼生個体数と遺伝子増幅量との関係を調べて予め作成された検量線を用い、被験試料に対しプライマーセットを用いてPCRを行うことにより得られる被験試料の遺伝子増幅量から被験試料中のカワヒバリガイ幼生個体数の定量を行うようにしている。
このように、上記のプライマーセットを用いてPCRを行うことによりカワヒバリガイ幼生個体数と遺伝子増幅量との関係を調べて予め作成された検量線を用いることで、被験試料の遺伝子増幅量から被験試料に存在するカワヒバリガイ幼生個体数を定量することができる。
ここで、本発明のカワヒバリガイ幼生の定量方法において、PCRはリアルタイムPCRとし、遺伝子増幅量としてリアルタイムPCRにより得られるCt値を利用することが好ましい。
また、本発明のカワヒバリガイ幼生の定量方法において、被験試料をカワヒバリガイ幼生の体積に基づいて分画処理してからPCRに供することが好ましい。
さらに、本発明のカワヒバリガイ検出用キットは、配列番号1記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを含むプライマー及び配列番号2記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを含むプライマーをプローブとして含むものである。したがって、このプローブがカワヒバリガイのミトコンドリアDNA上にコードされたCOI遺伝子の特定領域を特異的に認識して結合(ハイブリダイズ)し、被験試料にカワヒバリガイ幼生が存在するか否かを判定することができる。
請求項1に記載のカワヒバリガイ検出用プライマーセットによれば、カワヒバリガイのミトコンドリアDNA上にコードされたCOI遺伝子の特定領域を特異的に認識することができる。したがって、このプライマーセットを用いてPCRを行うことで、この特定領域の遺伝子断片のみを増幅することができる。
請求項2に記載のカワヒバリガイ幼生の検出方法によれば、被験試料にカワヒバリガイ幼生以外のプランクトンが複数種混在している場合であっても、カワヒバリガイ幼生のみを特異的に検出することができる。
請求項3に記載のカワヒバリガイ幼生個体数の定量方法によれば、被験試料にカワヒバリガイ幼生以外のプランクトンが複数種混在している場合であっても、カワヒバリガイ幼生のみを特異的に検出し、その個体数を定量することができる。
請求項4記載のカワヒバリガイ幼生個体数の定量方法によれば、遺伝子増幅量としてリアルタイムPCRにより得られるCt値を利用しており、しかも、請求項1に記載のプライマーセットにより増幅されるDNA断片長は、リアルタイムPCRを行うのに好適な長さとなることから、カワヒバリガイ幼生の個体数の定量分析をより精度良く行うことができる。
請求項5記載のカワヒバリガイ幼生個体数の定量方法によれば、被験試料が予め分画処理されてからPCRに供されるので、幼生の成長段階(幼生の体積)に応じて被験試料を分画して定量することが可能となる。したがって幼生個体数の定量精度をさらに高めることができる。
請求項6記載のカワヒバリガイ検出用キットによれば、配列番号1記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを含むプライマー及び配列番号2記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを含むプライマーをプローブとして含んでいるので、カワヒバリガイのミトコンドリアDNA上にコードされたCOI遺伝子の特定領域を特異的に認識して、被験試料にカワヒバリガイ幼生が存在するか否かを判定することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
本発明のカワヒバリガイ検出用プライマーセットは、配列番号1記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを含むプライマーと、配列番号2記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを含むプライマーとからなるものである。即ち、配列番号1記載の23塩基からなる塩基配列で表されるプライマーと、配列番号2記載の25塩基からなる塩基配列で表されるプライマーとからなるものである。
このプライマーセットにより、配列番号3に示すカワヒバリガイのミトコンドリアDNA上のCOI遺伝子解析領域(LCO1490〜HCO2198)のうち、345〜482番目に含まれる138bpのDNA断片が増幅される。
ここで、プライマーの塩基配列は、配列番号1及び2で示される塩基配列のものに限定されない。例えば、プライマーの一端または両端が延長あるいは短縮されたプライマーであって、カワヒバリガイのCOI遺伝子の特定領域の塩基配列と相補的な配列を有して特異的に認識するプライマーも包含される。但し、プライマー長は、18〜40塩基とすることが好適である。プライマー長を40塩基超とすると、非特異的なアニーリングが起こりやすくなって、目的のDNA断片の増幅が検出できなくなる虞がある。また、短すぎても、目的のDNA断片の増幅が検出できなくなる虞がある。
本発明のプライマーセットの各オリゴヌクレオチドは、例えば汎用のオリゴヌクレオチド合成装置を用いて化学的に合成することができるがこれに限定されるものではなく、当該技術分野において公知あるいは新規の他の方法を用いて合成してもよい。
次に、本発明のカワヒバリガイ幼生の検出方法について説明する。本発明のカワヒバリガイ幼生の検出方法は、被験試料に対し上記のプライマーセットを用いてPCRを行い、被験試料の遺伝子増幅が生じたか否かにより被験試料にカワヒバリガイ幼生が存在しているか否かを判定するようにしている。
被験試料としては、カワヒバリガイ幼生を1個体以上含有する可能性のあるあらゆる種類の試料が包含される。例えば、複数種のプランクトンを多数含む淡水域から採集された環境サンプルは勿論のこと、人工飼育水槽の飼育水等も被験試料とすることができるが、被験試料はこれらに限定されるものではない。
被験試料からは水分をできるだけ除き、被験試料中のプランクトンをエタノールに浸漬して固定することが好適である。この処理により、被験試料中のプランクトンに含まれる酵素等が失活してDNAが分解等を起こすことがなくなる。したがって、被験試料の長期保存が可能になる。尚、エタノール固定後は、室温(20℃程度)で保存しても良いが、15℃程度で保存することが好適であり、10℃程度で保存することがより好適であり、5℃程度で保存することがさらに好適である。勿論、冷凍保存してもよい。低温保存することで、プランクトンに含まれる酵素の活性を確実に抑えて、DNAの分解を防止することができる。エタノールに固定した被験試料は、例えばエッペンドルフチューブなどのチューブに入れて乾燥させる。エタノールは揮発しやすいので、乾燥を素早く行うことができる。また、エタノール以外の揮発性有機物、例えば、メタノール、プロパノール、ブタノール、ベンゼン、トルエン等を用いても同様の効果を発揮する。
但し、被験試料中のプランクトンをエタノール等に浸漬して固定する処理は本発明においては必須処理ではない。即ち、被験試料を風乾したり、DNAが分解しない程度に熱をかけて乾燥を行うことによって、水分の除去のみを行ってPCRに供してもよい。
ここで、被験試料に対しDNA抽出処理を施すようにしてもよい。この場合、プランクトン等に含まれる有機物等によるPCRへの悪影響を防いで、より確実にカワヒバリガイ幼生の検出を行うことが可能になる。DNA抽出処理方法としては、当該技術分野において公知あるいは新規の方法を適宜用いることができる。
PCRは、被験試料中のDNAを鋳型として、上記のプライマーセットを用いて行われる。PCR条件としては、当該技術分野において公知あるいは新規の条件を適宜用いることができる。例えば、Taqポリメラーゼアドバンテージ2(クローンテック社)を用いたPCRが挙げられるが、これに限られるものではない。PCRを行うことにより、被験試料中にカワヒバリガイのミトコンドリアDNA上にコードされたCOI遺伝子が含まれている場合には、遺伝子増幅が起こり、増幅産物が得られる。
PCRによって得られた増幅産物の検出は、例えば、PCR反応混合物をゲル電気泳動で展開し、非検出対象成分(鋳型DNA、プライマー等)と検出対象成分である増幅産物とを分離した状態で蛍光染色によって増幅産物のバンドをその分子量から判断して特定し、そのバンドの蛍光強度を測定することにより行うことができる。しかしながら、この方法に限定されるものではなく、当該技術分野において公知あるいは新規の他の方法を用いることもできる。増幅産物が検出された場合には、被験試料にカワヒバリガイ幼生が存在していると判定することができる。
次に、本発明のカワヒバリガイ幼生個体数の定量方法について説明する。本発明のカワヒバリ以外幼生個体数の定量方法は、カワヒバリガイ幼生個体数が既知の複数の試料それぞれに対し上記のプライマーセットを用いてPCRを行うことによりカワヒバリガイ幼生個体数と遺伝子増幅量との関係を調べて予め作成された検量線を用い、被験試料に対しプライマーセットを用いてPCRを行うことにより得られる被験試料の遺伝子増幅量から被験試料中のカワヒバリガイ幼生個体数の定量を行うようにしている。以下に、リアルタイムPCRを利用した場合の実施形態について、詳細に説明する。
リアルタイムPCRを利用した本発明のカワヒバリガイ幼生個体数の定量方法は、被験試料に対し、上記プライマーセットを用いてリアルタイムPCRを行うことにより得られるCt値に基づき、カワヒバリガイ幼生の個体数が既知の複数の試料のそれぞれに対し、このプライマーセットを用いてリアルタイムPCRを行うことによりカワヒバリガイ幼生種の個体数とCt値との関係を調べて予め作成された検量線を用いて、被験試料に存在するカワヒバリガイ幼生の個体数の定量を行うようにしている。
即ち、本発明のカワヒバリガイ幼生個体数の定量方法は、カワヒバリガイ幼生個体数とCt値との関係を示す検量線を利用し、被験試料のCt値に基づいて、被験試料に含まれるカワヒバリガイ幼生個体数の定量を行うようにしている。
ここで、リアルタイムPCR法とは、PCRによるDNA断片の増幅量をリアルタイムでモニタリングして解析する手法である。この手法を用いることで、被験試料の特定の塩基配列をもつ鋳型DNAの濃度の定量分析を行うことができる。即ち、段階希釈した濃度既知の特定の塩基配列をもつ鋳型DNAを標準試料としてPCRを行い、Ct(Threshold Cycle)値を測定する。この結果に基づいて、Ct値を縦軸に、PCR開始前の特定の塩基配列をもつ鋳型DNA濃度を横軸にプロットし、検量線を作成する。つまり、この検量線が、試料の特定の塩基配列をもつ鋳型DNAの濃度とCt値との関係を表す。したがって、濃度未知の被験試料のCt値をリアルタイムPCRにより測定することで、被験試料の特定の塩基配列をもつ鋳型DNAの濃度を決定することができる。
リアルタイムPCRは、例えば、サーマルサイクラーと蛍光分光光度計とを一体化したリアルタイムPCR装置により行うことができる。また、DNA増幅量のモニタリングは、蛍光試薬を用いた蛍光モニター法により行われる。例えば、二本鎖DNAに結合することで蛍光発光する試薬(インターカレータ)をPCR反応系に添加し、PCR反応により合成される二本鎖DNA(PCR産物)にインターカレータを結合させ、励起光を照射することにより蛍光発光を生じさせて、蛍光強度を検出することによりDNA増幅量のモニタリングを行う、所謂インターカレータ法を用いることができる。尚、インターカレータ法に限定されるものではなく、TaqManプローブ法などを適宜採用することもできる。
リアルタイムPCRにおけるCt値とは、蛍光標識されたPCR産物量が指数関数的なDNA増幅期の中で一定量となるときの値、即ち、一定の蛍光強度に達するまでのPCRサイクル数を表している。PCRによるDNAの増幅は、初期には指数関数的に起こり、1次関数的な増幅を経て、最終的にはプラトーに達する。指数関数的なDNA増幅期における一定PCR産物量に達するPCRサイクル数と初期鋳型DNA量には高い相関がある。したがって、初期鋳型DNA量、つまり、試料の特定の塩基配列をもつDNAの濃度とCt値との相関を調べることで、Ct値から試料の特定の塩基配列をもつDNAの濃度を推定する為の検量線を作成することができる。また、DNAの増幅曲線を二回微分して最大値を算出し、この最大値に達するまでのサイクル数、つまり、PCR産物量の増幅がバックグラウンド値から指数関数的に変化する時点のサイクル数を検出し、これをCt値とするようにしてもよい。
本発明の定量方法に用いる検量線は、カワヒバリガイ幼生個体数が既知の複数の試料それぞれに対し上記のプライマーセットを用いてリアルタイムPCRを行うことによりカワヒバリガイ幼生個体数とCt値との関係を調べて予め作成される。
試料の処理方法に関しては、上述の通り、例えば試料中のカワヒバリガイ幼生をエタノールに浸漬して固定し、乾燥させることが好適であるが、この方法に限定されるものではない。
試料のDNA抽出処理方法としては、当該技術分野において公知の方法あるいは新規の方法を適宜用いることができる。例えば、DNeasy Tissue Kit(キアゲン社)によるシリカゲル膜やQuick Gene(フジフィルム社)による多孔質メンブレンを利用したDNA抽出方法を用いることが好適であるが、特に、Quick Gene(フジフィルム社)による多孔質メンブレンを利用したDNA抽出方法を用いることが好適である。この場合には、試料間のDNA抽出ばらつきを抑えて、カワヒバリガイ幼生の定量をより正確に実施することができる。
ここで、カワヒバリガイ幼生の甲皮が原因で試料のDNA抽出効率が低下する場合がある。そこで、試料からDNAを抽出する前に、甲皮の破砕処理を行うことが好適である。例えば、乾燥させた試料を入れたエッペンドルフチューブにジルコニアボール(例えば、直径2〜3mm)を数個(例えば、3〜5個程度)を入れて、強く震盪することで組織を破砕した後、上記のDNA抽出処理に供することが好適である。この処理を行うことにより、カワヒバリガイ幼生の甲皮(殻)によるDNA抽出効率の低下等を防いで、幼生個体数の分析精度を確実に高精度なものとすることができる。
尚、カワヒバリガイ幼生の成長過程は、成体から放出された卵(50〜60μm)が孵化後にトロコフォア幼生となり、約1日後、ベリジャー幼生となる。そして、数週間でD型幼生(100〜150μm)となり、さらに1週間ほどで付着期のペディベリジャー幼生(300μm程度)となる。そして、付着変態後に稚貝となる。但し、ベリジャー幼生とD型幼生とを一括してベリジャー幼生と呼ぶ場合もある。
このように、カワヒバリガイ幼生は、その成長段階により、個体サイズが増加し、その細胞数も増加する。したがって、成長段階に応じて標的となるCOI遺伝子の1個体当たりのコピー数も増加することとなり、幼生の個体数が同じであっても、リアルタイムPCRの結果示されるCt値が幼生の成長段階で異なってくる。そこで、検量線を作成する際に使用する試料としては、幼生の各個体のCOI遺伝子コピー数がほぼ一定である試料を用いることが好ましい。この場合には、COI遺伝子コピー数が試料中の幼生個体数を正確に反映するので、幼生個体数に対する正確なCt値を得ることができる。例えば、ペディベリジャー幼生のみが含まれている試料を用いれば、ペディベリジャー幼生の個体数に対応する正確なCt値を得ることができるし、D型幼生のみが含まれている試料を用いれば、D型幼生の個体数に対応する正確なCt値を得ることができる。
ここで、被験試料をカワヒバリガイ幼生の体積に基づいて分画処理してからリアルタイムPCRに供することにより、精度の高い定量分析を実施することが可能となる。上記の通り、カワヒバリガイ幼生は成長段階に応じてその体積が異なるため、例えば、被験試料を篩にかけて、定量分析の対象としている成長段階の幼生のみを通過させて取り出し、これを被験試料とすることで、その成長段階の幼生の個体数を定量分析することができる。このように、被験試料を分画処理してからリアルタイムPCRに供することで、特定の成長段階にあるカワヒバリガイ幼生が被験試料中にどの程度存在するのかをより具体的に明らかにすることが可能となる。
以上、本発明のカワヒバリガイ幼生の検出方法により、淡水域で採集した被験試料に存在しているカワヒバリガイ幼生の有無を顕微鏡などで観察することなく分析することが可能となる。したがって、本発明によりカワヒバリガイ幼生の検出・定量分析を行うことで、対象淡水域へのカワヒバリガイ幼生の存在や繁殖の有無を知ることが可能となり、対象淡水域へのカワヒバリガイ幼生の存在を明らかにすることで、被害可能性を予知できると共に、基体等に付着する前の幼生の大量発生段階を予測して、ピンポイントで駆除することが可能になる。また、本発明のカワヒバリガイ幼生の個体数の定量方法により、淡水域で採集した被験試料に存在しているカワヒバリガイ幼生の個体数を定量分析することが可能となる。したがって、本発明の定量方法によりカワヒバリガイ幼生個体数の定量分析を定期的(例えば、3日〜1週間毎)に行うことで、対象淡水域でのカワヒバリガイの付着時期を確実に予測することが可能となり、基体等に付着する前の幼生の大量発生段階を予測して、ピンポイントで駆除することが可能になる。したがって、駆除剤の使用量を抑えてカワヒバリガイ駆除にかかるコストを抑えることができ、駆除剤による河川水等の汚染も最小限に抑えることが可能となる。
次に、本発明のカワヒバリガイ検出用キットについて説明する。
本発明のカワヒバリガイ検出用キットは、配列番号1記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを含むプライマー及び配列番号2記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを含むプライマーをプローブとして含むものである。
したがって、このプローブがカワヒバリガイのミトコンドリアDNA上にコードされたCOI遺伝子の特定領域を特異的に認識して結合(ハイブリダイズ)し、被験試料にカワヒバリガイ幼生が存在するか否かを判定することができる。
本発明のカワヒバリガイ検出用キットの一例として、図17に示すDNAチップが挙げられる。このDNAチップ1は、基板2と、基板2の表面に形成されたスポット3と、スポット3内に固定されたDNAプローブ4により構成される。
基板2としては、ガラス基板、シリコンウエハー、ナイロン膜、セルロース膜等を適宜用いることができるが、これらに限定されるものではない。
スポット3には、DNAプローブ4が等量ずつ固定される。DNAプローブ4は、配列番号1記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを含むプライマー及び配列番号2記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを含むプライマーである。
DNAチップ1を用いて、カワヒバリガイ幼生の検出を行う。被験試料はDNA抽出処理後、DNAを一本鎖に調製し、蛍光剤や発色剤を添加して1本鎖DNAを蛍光標識する。そして、これをDNAチップ1のスポット3に滴下し、DNAプローブ4と結合(ハイブリダイズ)させる。未結合の一本鎖DNAは洗い流し、スポット3の蛍光強度を検出することにより、蛍光発光が生じたスポットを特定することで、被験試料中のカワヒバリガイ幼生の検出を行うことができる。
尚、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
例えば、上述の実施形態では、サーマルサイクラーと蛍光分光光度計とを一体化したリアルタイムPCR装置を用いてカワヒバリガイ幼生個体数の定量分析を行う場合について詳細に説明したが、PCR装置やヒートブロックを利用して遺伝子増幅を行い、遺伝子増幅量をモニタリングすることによって、カワヒバリガイ幼生個体数の定量を行うことも可能である。具体的には、カワヒバリガイ幼生個体数が既知の試料を複数用意し、この試料に一定サイクルでPCR装置またはヒートブロックを用いてPCRを行い、遺伝子増幅量をモニタリングし、カワヒバリガイ幼生個体数と遺伝子増幅量との関係を示す検量線を作成しておく。そして、実海域から採集した試料を同条件でPCRして遺伝子増幅量をモニタリングし、検量線を利用して試料中のカワヒバリガイ幼生個体数の定量を行うようにしてもよい。
遺伝子増幅量のモニタリング方法としては、公知あるいは新規の方法を各種用いることができる。例えば、分光光度計によりPCR後の溶液のDNA濃度を測定することで遺伝子増幅量をモニタリングするようにしてもよいし、電気泳動や色素によるDNA染色を利用した定量方法を用いることもできる。DNAを染色する色素としては、核酸のATに特異性があり、DNA量の測定に一般的に使用されている色素であるDAPI(4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール)が挙げられるが、これに限定されるものではない。また、サイクリングプローブ法を用いてもよく、サイクリングプローブの蛍光物質としてROX:6−カルボキシ−X−ローダミン(Xはサイクリングプローブの核酸)を用い、消光物質としてEclipseを用いることで、紫外光を照射することにより赤色の強い蛍光強度を得ることができ好ましいが、これに限定されるものではない。また、蛍光物質としてROX:6−カルボキシ−X−ローダミンを用い、消光物質としてEclipseを用いたサイクリングプローブ法のように、可視光領域において強い蛍光発光を生じる場合には、目的とするカワヒバリガイ幼生の増幅DNAのみを、蛍光物質を励起するための励起光を照射するだけで目視で検出することが可能となるので、カワヒバリガイ幼生の有無およびおおよその量を目視で容易に検出することができる。
以下実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
カワヒバリガイ、及びカワヒバリガイと比較的近縁であると考えられる二枚貝であるコウロエンカワヒバリガイ(Xenostrobus securis)、ムラサキイガイ(Mytilus galloprovincialis)、ホトトギスガイ(Musculista senhousia)、ミドリイガイ(Perna viridis)のCOI遺伝子の塩基配列のデータベース化を行い、このデータベースに基づいてカワヒバリガイに特異的な塩基配列を特定し、プライマーを設計した。データベース化に供した二枚貝は採集直後に99.5%エタノールに浸漬し4℃で保存した。
データベース化に供した二枚貝は、解剖後、軟体部、可能であれば筋肉組織の小片(2〜3mm角)を清浄なメスを用いて切り出し、キアゲン社のDNeasy Tissue Kitによるシリカゲル膜を利用したDNA抽出を行った。基本的にはこのキットに添付されたマニュアルに従って抽出した。即ち、DNA抽出用試料に180μLの抽出用バッファー(ATL buffer)と20μLのProteinase Kとを加えて撹拌混合処理した後、55℃で一定時間(1時間)インキュベートした(Proteinase K処理)。さらに200μLのバッファー(AL)を加えて撹拌混合処理した後、70℃で10分間インキュベートした。次に、200μLの99.5%エタノールを加えて撹拌混合処理した後、2mLのCollection TubeにセットしたDNeasy Mini Spin Columnに処理サンプルを供した。このチューブを1分間遠心分離処理して素通り画分を除いた後、Spin Columnのシリカゲル膜フィルターに吸着したDNAをBuffer AW1およびAW2で洗浄し、最終的には100μLの溶出バッファー(Buffer AE)によりDNAを溶出し、回収した。
AEバッファーに溶解したDNAの濃度を分光光度計(GeneQuant Pro、アマシャムバイオサイエンス社)により測定した結果、5μg以上のDNAが得られていることが確認された。DNA濃度の測定結果に基づいて、20ng/μLのDNA濃度としたAEバッファー溶液を調整し、これをPCRの際に鋳型DNAとして供した。
次に、上記操作により得られた総DNAを鋳型として、COI遺伝子をPCRにより増幅した。プライマーには、後生無脊椎生物のCOI遺伝子に対するプライマーとして文献1で報告されているユニバーサルプライマーを用いた(文献1:Folmer, O., Black, M., Hoeh, W., Lutz, R., Vrijenhoek, R., 1994. DNA primers for amplification of mitochondrial cytochrome c oxidase subunit I from diverse metazoan invertebrates. Mol. Mar. Biol. Biotechnol. 3, 294-299.)。
配列番号3及び4に使用したユニバーサルプライマーの配列を示す。なお、これらのプライマーは、合成(インビトロジェン)により得られたものであり、PCRに供するまで50pmol/μLのストック溶液(シグマジェノシス製)中に−20℃で保存した。使用前にストック溶液を純水(脱塩蒸留水、無菌、DNase、RNaseフリー、和光純薬)で5倍希釈し10pmol/μLとしてPCRに供した。PCRは、上記の操作により抽出した総DNAを鋳型とし、アドバンテージ2(クローンテック)を用いて行った。なお、鋳型DNAは20ng/μLに調製した溶液を2μL(40ng)、反応にはタカラPCRサーマルサイクラーDice(TP600)を用い、反応液の調製はそれぞれのアドバンテージ2に添付された方法に従った。具体的には、滅菌水14.20μL、10xPCR SAバッファー(10xGene Taq Universal Buffer)2.00μL、50×dNTP混合物0.40μL、50×ポリメラーゼ mix0.40μL、プライマーはそれぞれ0.50μL、鋳型DNAは2.0μLとした。なお、アドバンテージ2においては、添付された2種類の反応バッファーのうち良好な結果が得られたSAバッファーを使用した。
まず、グラジエント機能を利用して最適アニーリング温度の推定を行った。グラジエントPCRでのアニーリング温度は、45.0℃〜65.0℃の12段階に設定した。95℃(アドバンテージ2)で1分間保ったあと、熱変性95℃(アドバンテージ2)30秒間、各温度でのアニーリング30秒間、伸長反応68℃(アドバンテージ2)30秒間という反応を30サイクル繰り返す条件で行った。反応産物はサイズマーカーとともに2%アガロースゲル電気泳動に供し、SYBR Safe(インビトロジェン)によるDNAバンドの可視化により特定領域の増幅の有無を確認した。
その結果、COI遺伝子のPCRにおいては、クローンテックのアドバンテージ2を用いた場合は54℃が最適であったが、45.0℃〜65.0℃のアニーリング温度範囲であれば、安定してPCRすることが可能であった。なお、増幅されたDNA断片は本来は709bp程度の長さであるが、配列を正確に確認できたのは、いずれの二枚貝においても約505〜585bpの長さであった。
アガロース電気泳動にて増幅を確認したPCR産物からエタノール沈澱によりDNAを回収し、その一部を塩基配列決定に供した。PCR産物に99.5%エタノール50μL、3Mの酢酸ナトリウム(和光純薬製)2μL、125mMのEDTA(和光純薬製)2μLを加え、撹拌混合して15分間室温で静置した後、13800gで20分間遠心分離処理した。沈澱はさらに70μLの70%エタノールで洗浄し、得られた沈澱を乾燥後、6μLの純水(脱塩蒸留水、無菌、DNase、RNaseフリー、和光純薬)に溶解した。回収されたPCR産物(鋳型DNA)1μLと配列番号3と4に記載された塩基配列からなるプライマーを用い、Big Dye Terminator Cycle Sequencing Kit(アプライドバイオシステムズ)により、サイクルシーケンス反応を行った。反応は、96℃10秒間、50℃5秒間、60℃4分間を25サイクル行い、終了後、再度エタノール沈澱を行った。得られた乾燥標品にHiDi Formamide(アプライドバイオシステムズ)20μLを加え、95℃で2分間の反応後、サンプルをDNAシーケンサーABI PRISM 310に供してシーケンシングを行った。また、塩基配列のデータはDNASIS Pro(日立ソフトウェアエンジニアリング)を用いて解析した。
各種二枚貝を鋳型とし、配列番号3及び配列番号4に記載された塩基配列からなるユニバーサルプライマーを用いて得られたCOI遺伝子を含むDNA断片のシーケンシングの結果について、塩基配列を配列表の配列番号5〜9に示す。配列番号5がカワヒバリガイのCOI領域の塩基配列であり、配列番号6がコウロエンカワヒバリガイのCOI領域の塩基配列であり、配列番号7がムラサキイガイのCOI領域の塩基配列であり、配列番号8がホトトギスガイのCOI領域の塩基配列であり、配列番号9がミドリイガイのCOI領域の塩基配列である。なお、解析領域は、得られたDNA断片のうち、全てのサンプルで塩基配列が決定できた領域である505〜585bpの範囲とした。また、配列表の配列番号5〜9に示す塩基配列は、それぞれの種において最も出現頻度の高かった塩基配列である。但し、コウロエンカワヒバリガイについては、配列番号6に記載された塩基配列と19塩基だけ異なる塩基配列とが同等に検出された(配列番号10)。具体的には、24番目、54番目、81番目、103番目、177番目、210番目、249番目、250番目、252番目、333番目、351番目、381番目、405番目、456番目、516番目、541番目、559番目、581番目及び584番目の19箇所の塩基が配列番号6に記載の塩基配列とは異なっていた。
次に、配列表の配列番号5〜9の塩基配列について、種間で変位の大きい領域に基づき、カワヒバリガイについて、特異的な塩基配列領域の特定を行ったところ、リアルタイムPCRにおいて高精度に測定できる138bpのDNA断片を挿むプライマー結合部位を選定することができた。プライマーの塩基配列を配列表の配列番号1及び2に示す。これらのプライマーを合成(インビトロジェン)し、以下の実験に供した。
配列番号1及び2のカワヒバリガイ検出用プライマーセットについて、上記方法により得られたカワヒバリガイ成体、コウロエンカワヒバリガイ成体、ムラサキイガイ成体、ホトトギスガイ成体及びキヌマトイガイ成体の鋳型DNAを用いてPCRを行い、このプライマーセットの有効性とPCRの最適条件について検討した。
PCRは基本的には上述の方法に従い、タカラPCRサーマルサイクラーDice(TP600)のグラジエント機能を利用して最適アニーリング温度の検討を行なった。PCR産物はアガロースゲル電気泳動(3%アガロース)後にSYBR Safe(インビトロジェン)によるDNAバンドの可視化により検出した。PCRにおけるサイクル数は30サイクルとした。電気泳動写真を図1に示す。尚、図1において、L列がカワヒバリガイの電気泳動結果であり、X列がコウロエンカワヒバリガイの電気泳動結果であり、My列がムラサキイガイの電気泳動結果であり、Mu列がホトトギスガイの電気泳動結果であり、H列がキヌマトイガイの電気泳動結果である。
アニーリング温度の検討を行った結果、60℃でもっとも増幅効率が高かったため、この温度でのPCRを行うこととした。PCRの結果、カワヒバリガイ成体から調製したDNAを鋳型とした場合は、PCR産物をアガロース電気泳動に供した場合、シングルバンドが確認できた。これは、配列番号1及び2のカワヒバリガイ検出用プライマーにより増幅した138bpのDNA断片であると考えられた。
次に、コウロエンカワヒバリガイ成体、ムラサキイガイ成体、ホトトギスガイ成体及びキヌマトイガイ成体の鋳型DNAを用いてPCRを行った結果、PCR産物をアガロース電気泳動に供してもバンドは確認できなかった。
以上の結果から、配列番号1及び2のカワヒバリガイ検出用プライマーは、カワヒバリガイのミトコンドリアDNA上のCOI遺伝子の特定領域を特異的に認識して増幅することが判明した。尚、ミドリイガイについては、電気泳動実験を行わなかったものの、COI領域の塩基配列の相違から、配列番号1及び2のカワヒバリガイ検出用プライマーを使用してPCRを行ったとしても、遺伝子増幅は生じることはない。
(実施例2)
本発明のプライマーを用いた定量分析について検討した。
まず、カワヒバリガイ成体から調製したDNAを鋳型とし、これを0.2〜20ng/μL(反応液の最終濃度)の範囲で濃度調整し、配列番号1及び2のカワヒバリガイ検出用プライマーを用いて実施例1と同様の条件でPCRを行った。但し、PCRのサイクル数は25サイクルとした。その結果、0.2〜20ng/μLの範囲でバンドの濃淡が確認された。結果を図2に示す。このように、鋳型DNAの濃度に応じてバンドに濃淡が生じることが確認されたことから、被験試料に含まれるカワヒバリガイ幼生に含まれるDNAに起因するバンドの濃淡に応じて、カワヒバリガイ幼生の個体数の定量分析が可能であると考えられた。
(実施例3)
カワヒバリガイ幼生から総DNAを抽出するための条件と定量分析について検討を行った。
2008年8月20日に大塩湖(群馬県富岡市)で採集したカワヒバリガイのD型幼生(殻長約150μm)に99.5%エタノールを十分に加えて、カワヒバリガイのD型幼生をエタノールに固定し、4℃で保存した。
DNA抽出処理は、カワヒバリガイのD型幼生を0、1、2、5、10、20、50個体含むエッペンドルフチューブ(すべてエタノールを乾燥させたもの)をそれぞれ3個ずつ用意して行った。
フジフィルム社のQuick Gene DNA Tissue KitSによる多孔質メンブレンを利用したDNA抽出を行った。基本的にはこのキットに添付されたマニュアルに従って抽出した。即ち、DNA抽出用試料に180μLの抽出用バッファー(MDT)と20μLのEDTとを加えて撹拌混合処理した後、55℃で一定時間(1時間)インキュベートした(Proteinase K処理)。さらに180μLのバッファー(LDT)を加えて撹拌混合処理した後、70℃で10分間インキュベートした。次に、240μLの99.5%エタノールを加えて撹拌混合処理した後、QuickGeneMini80のカートリッジに全量処理サンプルを供した。このカートリッジに添加後に、加圧処理と750μLのWDTを加える操作を3回繰り返した(洗浄処理)。洗浄後、フィルターに吸着したDNAを100μLの溶出バッファー(CDT)によりDNAを溶出し、回収した。
DNA抽出処理後の試料をリアルタイムPCRによる定量的解析に供して、Ct(Threshold Cycle)値を測定することにより、試料間のDNA抽出ばらつきを評価した。リアルタイムPCRによる定量的解析は、SYBR Premix Ex Taq(タカラバイオ)を用いたインターカレータ法により行った。反応液は、純水9.5μL、配列番号1に記載のプライマー(10μM)、配列番号2に記載のプライマー(10μM)それぞれ0.5μL(最終濃度0.2μM)、鋳型DNAを2μL、そしてSYBR Premix Ex Taq(x2)を12.5μLを混合して調製した。装置はSmart Cycler II(Cephied社)を使用して、95℃で初期変性した後、95℃を5秒、60℃を20秒のPCRを40サイクル繰り返し、最後に融解曲線確認のための反応(60℃−95℃)を実施した。そして反応後、各試料のCt(Threshold Cycle)値を測定した。
その結果、上記のDNA抽出処理を行った場合の試料間のCt値ばらつきがDNeasy Tissue Kitによるシリカゲル膜を利用したDNA抽出処理を行った場合のCt値ばらつきよりも少ないことが明らかとなった。
したがって、DNeasy Tissue Kitによるシリカゲル膜を利用したDNA抽出処理でも同様の定量化が可能であるが、フジフィルム社のQuickGene DNA tissue Kit Sを採用することがCt値ばらつきを抑える上で好適であることがわかった。また、Proteinase Kを添加した後のインキュベート時間を1時間として処理時間の低減を図れることがわかった。
また、カワヒバリガイ幼生をエッペンドルフチューブに収容し、乾燥後、ジルコニアボール(直径2mmまたは3mm)を数個(3〜5個)加えて、強く震盪することで幼生を破砕し、その後、上記のDNA抽出をしたところ、試料間のCt値ばらつきをさらに抑えて、定量の再現性及び精度を向上できることが明らかとなった。この破砕処理を行うことで、カワヒバリガイ幼生の甲皮の堅さに起因するDNA抽出ばらつきを抑えて、定量の再現性及び精度を向上できることが明らかとなった。また、この破砕処理は多量の他種動物プランクトンを含む採集サンプルの場合にはさらに効率よくカワヒバリガイのDNAを抽出できることもわかった。
また、融解曲線を確認した結果、温度ピークがすべて単一であった。したがって、目的の増幅産物(138bpのDNA断片)のみが得られ、その定量が行われたことが明らかとなった。
尚、他のインビトロジェン社のEasy−DNAキットやインビトロジェン社のDNeasy Tissue KitのDNA抽出処理を行った場合には、上記のDNA抽出処理を行った場合と比較して試料間のCt値ばらつきが若干大きくなったものの、これらのDNA抽出方法を否定するものではなく、試料のすり潰し操作や、DNA沈殿の回収操作の試料間ばらつきを抑えることで、また、上記の破砕処理をDNA抽出処理前に実施することで、上記のDNA抽出処理を行った場合と同程度のCt値ばらつきを達成することができると考えられる。
次に、リアルタイムPCRによる定量性について評価した。前述の操作で最終的に得られた100μLのDNA溶液から2μLを鋳型とし、実施例2に示したリアルタイムPCRに供した。即ち、1、2、5、10、20及び50個体の幼生から抽出されたDNAを鋳型としたリアルタイムPCRのそれぞれの反応液には最終的には、0.02、0.04、0.1、0.2、0.4及び1個体相当の幼生が含まれることになる。
リアルタイムPCRの結果を図3に示す。図3におけるCt値は異なる3バッチのサンプルから得られた鋳型DNAを用いた3回の実験の平均値を示し、エラーバーは標準誤差を示している。上記の通り、リアルタイムPCRのそれぞれの反応液には最終的には、0.02、0.04、0.1、0.2、0.4及び1個体相当と非常に少ない幼生個体数であったにも関わらず、幼生個体数の対数とCt値との間に高い相関性が認められることが確認された。即ち、カワヒバリガイのD型幼生がDNA抽出液100μL中に1個体以上存在すれば、本発明のプライマーを用いたリアルタイムPCRにより、高い定量性をもって幼生の個体数の分析が可能であることがわかった。つまり、カワヒバリガイのD型幼生の個体数が未知のサンプルにおいても、リアルタイムPCRを実施し、そのCt値を測定することで、正確な幼生個体数の推定ができると考えられた。
(実施例4)
複数のプランクトンが混在しているプランクトンサンプルにカワヒバリガイ幼生が含まれている場合であっても、カワヒバリガイ幼生を特異的に検出できるか検討した。
プランクトンサンプルは、2008年8月20日に大塩湖(群馬県富岡市)で採集し、420μmのメッシュで大きなゴミやプランクトンを除いた後、74μmのメッシュに残ったプランクトンより、水をできるだけ除いた後、99.5%エタノールを加えて固定し、4℃で保存した。尚、淡水域から採集したプランクトンサンプルからは、あらかじめカワヒバリガイの幼生を顕微鏡下で取り除いてあるため、複数のプランクトンが混在しているものの、カワヒバリガイ幼生が存在していない。
エタノール固定したプランクトンサンプルから体積比として約50倍量を4本のチューブに収容した。そして、4つのうち2つのチューブにカワヒバリガイのD型幼生を50個体添加した。即ち、プランクトンサンプルのみからなる被験試料A及びBと、プランクトンサンプルにカワヒバリガイD型幼生が50個体存在している被験試料C及びDとを作製した。
次に、被験試料A〜Dのそれぞれを、DNA抽出処理(実施例3と同様の処理)し、PCRを行った。但し、被験試料A及びCは25サイクルとし、被験試料B及びDは35サイクルとした。PCR終了後、被験試料を電気泳動に供し、検出されるDNAバンドを確認した。
電気泳動の結果を図4に示す。図4の左側の25サイクルの結果において、A列は被験試料A(プランクトンサンプルのみ)の場合の結果であり、C列は被験試料C(プランクトンサンプル+カワヒバリガイD型幼生50個体)の結果である。また、図4の右側の35サイクルの結果において、B列は被験試料B(プランクトンサンプルのみ)の場合の結果であり、D列は被験試料D(プランクトンサンプル+カワヒバリガイD型幼生50個体)の結果である。
図4に示される結果から、PCRのサイクル数を35サイクルとすると、混合プランクトンのみの場合にも若干のDNA増幅が見られることが明らかとなった。これに対し、PCRのサイクル数を25サイクルとすると、混合プランクトンのみの場合にはDNA増幅は見られず、カワヒバリガイ幼生によるDNA増幅のみが起こることが判明した。このことから、リアルタイムPCRのサイクル数は25サイクル程度とすることが好適であることが明らかとなった。
カワヒバリガイ成体DNAを鋳型とし、本発明のプライマーセットを用いてPCRを25サイクルおこなうことにより得られた産物のアガロース電気泳動像を示す図である。 反応液中の鋳型DNA濃度を0.2〜20ng/μLとしたときのPCR(25サイクル)後のアガロース電気泳動像を示す図である。 カワヒバリガイ幼生を用いてリアルタイムPCRにより作成された検量線である。 混合プランクトン中におけるカワヒバリガイ幼生の遺伝子増幅について確認したアガロース電気泳動像を示す図である。 DNAチップの実施の一例を示す図である。
符号の説明
1 DNAチップ
4 DNAプローブ

Claims (6)

  1. 配列番号1記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを含むプライマーと、配列番号2記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを含むプライマーとからなるカワヒバリガイ検出用プライマーセット。
  2. 被験試料に対し、請求項1記載のプライマーセットを用いてPCRを行い、前記被験試料の遺伝子増幅が生じたか否かにより前記被験試料にカワヒバリガイ幼生が存在しているか否かを判定することを特徴とするカワヒバリガイ幼生の検出方法。
  3. カワヒバリガイ幼生個体数が既知の複数の試料それぞれに対し請求項1記載のプライマーセットを用いてPCRを行うことによりカワヒバリガイ幼生個体数と遺伝子増幅量との関係を調べて予め作成された検量線を用い、被験試料に対し前記プライマーセットを用いてPCRを行うことにより得られる前記被験試料の遺伝子増幅量から前記被験試料中のカワヒバリガイ幼生個体数の定量を行うことを特徴とするカワヒバリガイ幼生の定量方法。
  4. 前記PCRをリアルタイムPCRとし、前記遺伝子増幅量として前記リアルタイムPCRを行うことにより得られるCt値を利用することを特徴とする請求項3記載のカワヒバリガイ幼生の定量方法。
  5. 前記被験試料を前記カワヒバリガイ幼生の体積に基づいて分画処理してから前記PCRに供する請求項3または4に記載のカワヒバリガイ幼生の定量方法。
  6. 配列番号1記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを含むプライマー及び配列番号2記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを含むプライマーをプローブとして含むカワヒバリガイ検出用キット。
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