JP5474330B2 - リーダライタシステム - Google Patents
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特許文献1には、指向性の強い少数のアンテナで、通信不能部分の無い広い通信領域をカバーできるタグ通信用アンテナについて開示されている。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、2つのアンテナを備え、リーダライタから発信された電波とRFIDタグから反射された電波の遅延時間に基づいて、夫々のアンテナとRFIDタグとの相対速度を求めることにより、夫々のアンテナにRFIDタグが最接近したタイミングに基づいて、RFIDタグの通過及び通過する方向を判別することができるリーダライタシステムを提供することを目的とする。
本発明は、マイクロ波を利用して非接触情報記録媒体と通信を行うマイクロ波方式におけるリーダライタであり、リーダライタから送信した電波(マイクロ波)は、2つのアンテナから放射されて非接触情報記録媒体により変調されて反射波として夫々のアンテナにより受信される。このとき発信した電波と反射波との間には、距離に応じた遅延時間が生じる。本発明は、その時の各アンテナと非接触情報記録媒体との遅延時間から相対距離変化を求めることにより、非接触情報記録媒体の通過及び通過方向を判定する。これにより、アンテナの前を通過した非接触情報記録媒体がどちらの方向から移動してきたかを識別する際に、アンテナの設置位置の自由度が向上する。
リーダライタからは各アンテナと非接触情報記録媒体との遅延時間が出力される。制御手段は、この遅延時間から各アンテナと非接触情報記録媒体との相対距離変化を求める。そして求まった相対距離変化と最接近点におけるタイミングの順序から非接触情報記録媒体の通過及び通過方向を判定する。これにより、簡単な演算結果から容易に非接触情報記録媒体の通過及び通過方向を判定することができる。
請求項3は、前記制御手段は、前記非接触情報記録媒体との前記最接近点が最初に検出されたアンテナと前記最接近点が最後に検出されたアンテナが異なるアンテナである場合には、前記最接近点が最初に検出されたアンテナから前記最接近点が最後に検出されたアンテナの方向に前記非接触情報記録媒体が通過したと判定することを特徴とする。
複数のアンテナが並んで配置されているとき、非接触情報記録媒体が直線上に一定方向に進む場合、非接触情報記録媒体との最接近点が最初に検出されたアンテナと、最接近点が最後に検出されたアンテナが必ず存在する。従って、このような順番で検出された場合は、最接近点が最初に検出されたアンテナから最接近点が最後に検出されたアンテナの方向に非接触情報記録媒体が通過したと判定することができる。これにより、非接触情報記録媒体の通過ばかりでなく、通過した方向も判定することができる。
動線上を非接触情報記録媒体が一定方向に移動するとは限らない。例えば、1つのアンテナに最接近して、そのまま引き返すこともある。このような状況を判定するには、非接触情報記録媒体との最接近点が最初に検出されたアンテナに再び非接触情報記録媒体が最接近し、それ以後、異なるアンテナへの最接近点が検出されなかった場合を検出することである。これにより、従来、判別することが困難であった途中で反転して戻って行く非接触情報記録媒体についても、どの時点で引き返したかの判別が可能となる。
請求項5は、前記制御手段は、同時に前記複数のアンテナにより前記非接触情報記録媒体との前記最接近点が検出され、前記最接近点が最初に検出されたアンテナから前記最接近点が最後に検出されたアンテナの方向に前記非接触情報記録媒体が通過したと判定されず、且つ、前記最接近点が最初に検出されたアンテナに接近してから引き返したと判定されない場合には、前記複数のアンテナの手前で引き返したと判定することを特徴とする。
同時に複数のアンテナにより非接触情報記録媒体が検出された場合は、それぞれのアンテナに最接近したことになる。その後、非接触情報記録媒体が通過したと判定されず、且つ、最接近点が最初に検出されたアンテナの方向から接近して引き返したと判定されない場合には、複数のアンテナの手前で引き返したと判定する。これにより、アンテナには近づいたが、そのまま戻った非接触情報記録媒体を検出して、例えばドアー開閉等の制御対象から外すことができる。
また、遅延時間から各アンテナと非接触情報記録媒体との相対速度を求め、相対速度の向きが変わる点がアンテナとの最接近点となり、求まった相対速度と最接近点に基づいて非接触情報記録媒体の通過及び通過方向を判定するので、簡単な演算結果から容易に非接触情報記録媒体の通過及び通過方向を判定することができる。
また、複数のアンテナが並んで配置されているとき、非接触情報記録媒体が直線上に一定方向に進む場合、非接触情報記録媒体との最接近が最初に検出されたアンテナと、最接近が最後に検出されたアンテナが必ず存在する。従って、このような順番で検出された場合は、最接近が最初に検出されたアンテナから最接近が最後に検出されたアンテナの方向に非接触情報記録媒体が通過したと判定することができるので、非接触情報記録媒体の通過ばかりでなく、通過した方向も判定することができる。
また、同時に複数のアンテナにより非接触情報記録媒体が検出された場合は、それぞれのアンテナに最接近したことになる。その後、非接触情報記録媒体が通過したと判定されず、且つ、最接近が最初に検出されたアンテナの方向から接近して引き返したと判定されない場合には、複数のアンテナの手前で引き返したと判定するので、アンテナには近づいたが、そのまま戻った非接触情報記録媒体を検出して、例えばドアー開閉等の制御対象から外すことができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るリーダライタユニット(以下、単にリーダライタと呼ぶ)のブロック図である。このリーダライタ50は、VCO2の出力信号の位相を、基準となる入力信号の位相に同期させるPLL回路1と、PLL回路1の制御電圧に基づいて所定の周波数を発振するVCO2と、VCO2から発信された信号をマイクロ波(電波)に変調する変調器3と、マイクロ波を増幅する増幅器4(ここまでが送信手段)と、マイクロ波の方向により向きを決定するサーキュレータ5と、マイクロ波を発信して非接触ICタグ(非接触情報記録媒体)(以下、単にタグと呼ぶ)7からの反射波を受信するアンテナ6a、6bと、サーキュレータ5により合成された合成波を増幅する増幅器8と、VCO2の信号と増幅器8により増幅された信号を加算重畳してsin波を復調するミキサ9と、VCO2の信号を90°移相器10により移相した信号と増幅器8により増幅された信号を加算重畳してcos波を復調するミキサ11と、ミキサ9の信号から所定の周波数成分のみを通過するBPF12と、ミキサ11の信号から所定の周波数成分のみを通過するBPF13と、BPF12の出力信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ14と、BPF13の出力信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ16と(ここまでが復調手段)、A/Dコンバータ14とA/Dコンバータ16から位相を演算する演算器15(ここまでが演算手段)と、タグ7を同時に読取可能とするように配置された2つのアンテナ6a、6bと、を備えて構成されている。
リーダライタ50には「自ら発信した電波の反射波(後方散乱波)」が戻ることとなるが、この後方散乱波は、タグ7とアンテナ6a、又は6bとの間を往復した波であるため、自ら発信した電波に対しタグ7とアンテナ6a、又は6bの距離の倍に比例した遅延を持った波であると考えることができる。
本実施形態では、複数のアンテナ6a、6bを使用して、タグ7からの後方散乱波の遅延の測定を行い、それぞれのアンテナ6a、6bとタグ7との相対速度を求めることで、タグ7の移動の有無と移動の方向を判定することができる。
ここで、リーダライタ50に接続されたアンテナ6a、6bから送信されるCW波を
・・・(1)
とした時(AとθCは回路による決まる一定値)、同じアンテナで受信されるタグ7からの後方散乱波は、以下のように表せる。
・・・(2)
l[m]はタグ−アンテナ間の距離、cは電波の速度[m/s]、Bは空間やタグでの減衰を表す係数、θTはタグでの反射時の位相変化である。電波を利用するRFIDにおいては、タグ7からリーダライタ50への通信を行う際、タグ7で加えられる変調により、このBとθTが変化する。
ここで、タグ7→リーダライタ50間における通信がASK変調により行われる場合には、1を表すシンボルに同期して遅延時間の測定を行うとする。これにより、θTをタグ固有のある一定の値とする事ができる。
このように、タグ7との通信を行う際に、そのシンボルと同期して遅延時間を測定する事により、タグ7で反射される際の位相が安定し、θTを定数値とみなすことができる。
また、変調のかけられた後方散乱波を対象として測定を行う事で、変化を持たない後方散乱波(反射波)を、BPFにより除去することが可能となり、周囲の金属物や通信状態に無いタグからの反射等の影響を排除する事ができる。
さらに、タグ7からリーダライタ50への通信を行う際に遅延時間を測定しているため、アンチコリジョン機能を持つプロトコルのもとでは、通信相手となるタグを一つに限定した条件の下で遅延時間の測定を行うことが可能となり、複数のタグが存在する環境においても、特定のタグの後方散乱波のみを選択して遅延時間を測定する事と、その通信で得られたデータ(ID)と遅延時間を関連付けて管理することが可能となる。
・・・(3)
を使用して、直交検波を行うことによって行う。
これにより、以下のIQ信号が得られる。
・・・(4)
・・・(5)
ここで、CとθRは、直交検波の操作により付加される変数であるが、Cは回路により決まる値であるため一定値と考える事ができる。また、ローカル信号とCW波は、同じ信号源からの信号であるため、その位相差を回路により決まる一定値とみなすことができ、これにより、θRも回路により決まる一定値とみなすことができる。
・・・(6)
ただし、θRは回路による固有値であるため、使用するアンテナによって、値が異なる場合がある。そこで、あらかじめそれぞれのアンテナを使用した際のθconstの値を得ておき、各アンテナにおいて測定されたθrから、固有のオフセット量θconstを減算することで補正を行うこととし、その補正後の値をθANTnとする。
・・・(7)
タグ7への電波の送信をアンテナ6aとアンテナ6bからそれぞれ行い、その後方散乱波の遅延を同じアンテナで得たとする。この時、θANT1−θANT2により、タグ7−アンテナ6aの距離l1とタグ7−アンテナ6bの距離l2の差のd=l1−l2を得る事ができる。
・・・(8)
このとき、θANT1とθANT2の測定を行う間にタグ7が移動すると、その移動量が誤差となるが、この場合、θANT2の測定後に、再度θANT1の測定を行い平均化することで、誤差を補正できる。
・・・(9)
そして、回路による固有値であるθRの補正を、前記と同様に行い、その補正後の値をθANTmnとする。
・・・(10)
ここで、タグ7への電波の送信をあるアンテナaから行い、その後方散乱波の遅延をアンテナ6aとアンテナ6bで得たとすれば、θANTa1−θANTa2により、タグ7−アンテナ6aの距離l1とタグ7−アンテナ6bの距離l2の差のd=l1−l2を得る事ができる(アンテナaはアンテナ6aもしくはアンテナ6bであっても構わない)。
・・・(11)
この場合には、二組の直交検波回路を使用して同時にθANTa1とθANTa2の取得を行うこともできる。また、1つの直交検波回路とアンテナ切替回路を用いて、アンテナ6aにおいてθANTa1の測定を行った後で、アンテナ切替を行い、アンテナ6bにおいてθANTa2の取得を行ってもよい。
後者の手段を用いる場合は、θANTa1とθANTa2の測定を行う間にタグ7が移動すると、その差が誤差となるが、この場合、θANTa2の測定後に、再度θANTa1の測定を行い平均化することで、誤差を補正できる。
即ち、リーダライタ50からは各アンテナ6a、6bとタグ7との遅延時間が出力される。PC60は、この遅延時間から各アンテナ6a、6bとタグ7との相対速度を求める。また、相対速度の向きが変わる点がアンテナ6a、6bとの最接近点となる。そして求まった相対速度と最接近点に基づいてタグ7の通過及び通過方向を判定する。これにより、簡単な演算結果から容易にタグ7の通過及び通過方向を判定することができる。
即ち、2つのアンテナ6a、6bが並んで配置されているとき、タグが直線20上に一定方向に進む場合、タグとの最接近が最初に検出されたアンテナ6aと、最接近が最後に検出されたアンテナ6bが必ず存在する。従って、このような順番で検出された場合は、最接近が最初に検出されたアンテナ6aから最接近が最後に検出されたアンテナ6bの方向にタグが通過したと判定することができる。これにより、タグの通過ばかりでなく、通過した方向も判定することができる。
即ち、動線27上をタグが一定方向に移動するとは限らない。例えば、1つのアンテナ6aに最接近して、そのまま引き返すこともある。このような状況を判定するには、タグとの最接近が最初に検出されたアンテナ6aに再びタグが最接近し、それ以後、異なるアンテナ6bへの最接近が検出されなかったことを検出することである。これにより、従来、判別することが困難であった途中で反転して戻って行くタグについても、どの時点で引き返したかの判定が可能となる。
Claims (5)
- 非接触情報記録媒体との間で電波を送受する複数のアンテナを有するリーダライタと該リーダライタを制御する制御手段を有するリーダライタシステムにおいて、
前記制御手段は前記アンテナから前記非接触情報記録媒体に送信された電波が反射された際の反射波の遅延時間を演算する演算手段を備え、
前記制御手段は、前記演算手段により算出された遅延時間に基づいて前記複数のアンテナとの関係における前記非接触情報記録媒体の相対距離変化を演算し、それぞれのアンテナに対する前記非接触情報記録媒体の最接近点でのタイミングを検出して、当該これらの最接近点におけるタイミングの順序から該非接触情報記録媒体の通過の有無及び通過方向を判定することを特徴とするリーダライタシステム。 - 前記制御手段は、前記リーダライタと情報の授受を行なう通信部と、前記リーダライタにより演算された遅延時間に基づいて前記非接触情報記録媒体とアンテナとの相対距離変化を演算する相対距離変化演算手段と、それぞれのアンテナに対する前記非接触情報記録媒体の最接近点におけるタイミングを検出する最接近点検出手段と、前記相対距離変化と前記最接近点におけるタイミングの順序から前記非接触情報記録媒体の通過及び通過方向を判定する判定部と、前記最接近点が検出されたアンテナ名を記憶する記憶手段と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載のリーダライタシステム。
- 前記制御手段は、前記非接触情報記録媒体との前記最接近点が最初に検出されたアンテナと前記最接近点が最後に検出されたアンテナが異なるアンテナである場合には、前記最接近点が最初に検出されたアンテナから前記最接近点が最後に検出されたアンテナの方向に前記非接触情報記録媒体が通過したと判定することを特徴とする請求項1又は2に記載のリーダライタシステム。
- 前記制御手段は、前記非接触情報記録媒体との前記最接近点が最初に検出されたアンテナに再び前記非接触情報記録媒体が最接近し、それ以後、他のアンテナへの前記最接近点が検出されなかった場合には、前記最接近点が最初に検出されたアンテナに接近してから引き返したと判定することを特徴とする請求項1又は2に記載のリーダライタシステム。
- 前記制御手段は、同時に前記複数のアンテナにより前記非接触情報記録媒体との前記最接近点が検出され、前記最接近点が最初に検出されたアンテナから前記最接近点が最後に検出されたアンテナの方向に前記非接触情報記録媒体が通過したと判定されず、且つ、前記最接近点が最初に検出されたアンテナに接近してから引き返したと判定されない場合には、前記複数のアンテナの手前で引き返したと判定することを特徴とする請求項1又は2に記載のリーダライタシステム。
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