以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。
図1は背後から見た加湿装置11の外観を概略的に示す。加湿装置11は筐体12を備える。筐体は例えば床面に支持される筐体本体13を備える。筐体本体13は所定の収容空間を区画する。収容空間の背面はリアパネル14で閉じられる。収容空間の一側面はサイドパネル15で閉じられる。リアパネル14およびサイドパネル15は例えば着脱自在に筐体本体13に取り付けられる。こういった取り付けにあたって例えばリアパネル14やサイドパネル15そのものの弾性変形力が利用されればよい。サイドパネル15には重力方向すなわち垂直方向に延びる長窓16が形成される。使用者は長窓16から収容空間内を視認することができる。
筐体本体13の天板には吹き出し口17が形成される。吹き出し口17は開閉扉18で開閉される。開閉扉18は水平方向に延びる支軸回りで揺動自在に筐体本体13に取り付けられればよい。リアパネル14には吸い込み口19が形成される。加湿装置11の動作時、吸い込み口19から筐体本体13の収容空間内に空気が導入される。導入された空気は、後述されるように、収容空間内を通過して吹き出し口17から吹き出される。収容空間内で空気は脱臭される。同時に、本実施形態の加湿装置11では収容空間内で空気は加湿されることができる。
図2は、図1と同様に、背後から見た加湿装置11を概略的に示す。ただし、リアパネル14およびサイドパネル15は取り外される。収容空間には集塵フィルター21が収容される。集塵フィルター21は例えば通気性を有する不織布から構成される。集塵フィルター21はリアパネル14の前方に配置される。集塵フィルター21は広範囲で吸い込み口19に向き合わせられる。
収容空間には加湿ユニット22が収容される。加湿ユニット22は水タンク23を備える。水タンク23は例えば半透明のプラスチックから成形される。水タンク23内に水が収容される。その他、加湿ユニット22の詳細は後述される。水タンク23はサイドパネル15の内面に沿って配置される。その結果、使用者は長窓16から水タンク23内の水位を観察することができる。
図3は、図2と同様に、背後から見た加湿装置11を概略的に示す。ただし、集塵フィルター21は取り外される。収容空間には脱臭ユニット24が収容される。脱臭ユニット24は集塵フィルター21の前方に配置される。脱臭ユニット24は全面で集塵フィルター21に向き合わせられる。
図4に示されるように、脱臭ユニット24は触媒フィルター25を備える。触媒フィルター25は、導入された空気に含まれる臭気成分を吸着する。触媒フィルター25は矩形板状のハニカムコアを備える。ハニカムコアの表面には触媒が所定の厚みで被覆される。触媒には例えば酸化マンガンといった金属酸化物や白金といった貴金属が用いられればよい。その他、活性炭や各種セラミック粉末といった吸着剤がさらに添加されてもよい。この種の触媒フィルターは所定の温度の加熱に応じて吸着した臭気成分を分解し除去する。ただし、触媒フィルター25にはその他の形態のものが用いられてもよい。
触媒フィルター25にはヒーター26が重ね合わせられる。ヒーター26にはシースヒーターが用いられる。ヒーター26は触媒フィルター25を加熱する。加熱に応じて触媒フィルター25では吸着した臭気成分の分解が促進される。ヒーター26は支持板27に保持される。支持板27には金属板が用いられる。金属板はヒーター26の熱を広げる役割を果たす。こうして触媒フィルター25は広範囲で加熱される。ただし、触媒フィルター25はその他の形態のヒーターで加熱されてもよい。
触媒フィルター25および支持板27は断熱材の枠体28にはめ込まれる。枠体28は触媒フィルター25および支持板27の周縁に沿って途切れなく延びる。枠体28の内側で触媒フィルター25および支持板27は1対の断熱材板29に挟み込まれる。こうしてヒーター26の熱は枠体28および断熱材板29で閉じ込められる。枠体28は非通気性を有する。その一方で、断熱材板29は通気性を有する。その結果、枠体28は、断熱材板29、触媒フィルター25、支持板27および断熱材板29を順番に通過する気流の通路を区画する。支持板27には多数のパンチ孔が穿たれる。パンチ孔に基づき支持板27を通り抜ける空気の流通は確保される。
枠体28、断熱材板29、触媒フィルター25および支持板27は1対の遮熱板31に挟み込まれる。遮熱板31は例えば支持板27にねじ留めされる。こうして枠体28、断熱材板29、触媒フィルター25、支持板27および遮熱板29はユニット化される。これらは1部材として取り扱われることができる。遮熱板31は熱の漏れを遮る。脱臭ユニット24の周囲で温度上昇はできる限り回避されることができる。遮熱板31には多数のパンチ孔が形成される。パンチ孔に基づき空気の流通は確保される。
図5は、図3と同様に、背後から見た加湿装置11を概略的に示す。ただし、脱臭ユニット24は取り外されている。加湿ユニット22は貯水トレイ33を備える。貯水トレイ33には気化フィルターユニット34および水タンク23が装着される。気化フィルターユニット34は脱臭ユニット24の前方に配置される。気化フィルターユニット34は水平軸回りで回転自在に貯水トレイ33に支持される。貯水トレイ33内では一定の水位が確保される。
気化フィルターユニット34は気化フィルター収容器35を備える。気化フィルター収容器35内に気化フィルター36が収容される。気化フィルター36は全面で脱臭ユニット24に向き合わせられる。気化フィルター収容器35はリム37を備える。リム37は軸心回りで途切れなく延びる。軸心はリム37の中心軸に相当する。リム37の内側に気化フィルター36が支持される。
リム37の外周面にはバケット38が形成される。バケット38は例えばリム37の円周方向に等間隔で設置される。個々のバケット38は器を形成する。リム37には駆動モーターユニット39が結合される。駆動モーターユニット39は回転軸回りでリム37の回転を引き起こす。個々のバケット38がリム37の回転に応じて重力方向の最下位置に位置すると、個々のバケット38は貯水トレイ33内で規定の水位線より下方に器の開口を位置づける。リム37の回転に応じてバケット38が最下位置から上昇すると、器の開口から器に水が掬い取られる。リム37の回転に応じてバケット38が重力方向の最上位置を通過すると、バケット38内から水が気化フィルター36に供給される。気化フィルター36は水に濡れる。
水タンク23は着脱自在に貯水トレイ33に支持される。サイドパネル15が筐体本体13から取り外されると、水タンク23は貯水トレイ33から取り外されることができる。こうして水タンク23には水が補充されることができる。貯水トレイ33には水タンク23から水が供給される。水タンク23は、貯水トレイ33内で一定の水位を維持する機能を有する。水タンク23の詳細は後述される。
図6に示されるように、気化フィルター収容器35は、相互に反対向きに突き出る第1回転軸41および第2回転軸42を備える。第1回転軸41および第2回転軸42は例えば中空の円筒体から構成される。第1回転軸41の外径と第2回転軸42の外径とは相違する。ただし、第1回転軸41の軸心および第2回転軸42の軸心は同軸に配置される。
貯水トレイ33には第1軸受けフレーム43および第2軸受けフレーム44が形成される。第1および第2軸受けフレーム43、44の上端にはそれぞれ第1軸受け45および第2軸受け46が形成される。第1および第2軸受け45、46は回転自在にそれぞれ第1および第2回転軸41、42を受け止める。第1および第2軸受け45、46は最大でも180°の中心角で広がる円筒面で重力方向下側から第1および第2回転軸41、42を支持する。したがって、気化フィルター収容器35は簡単に第1および第2軸受け45、46から取り外されることができる。気化フィルター収容器35は自重で第1および第2軸受け45、46上に保持される。
気化フィルター収容器35は歯車47を形成する。歯車47の形成にあたって気化フィルター収容器35の外周面には複数の噛み合い歯48が形成される。図7に示されるように、噛み合い歯48はリム37の円周方向に等ピッチで配列される。
駆動モーターユニット39は駆動用歯車49を有する。この駆動用歯車49は噛み合い歯48に噛み合う。駆動用歯車49は気化フィルター収容器35の外径に比べて小さい外径を備えることから、駆動用歯車49の回転は減速されて気化フィルター収容器35に伝達される。気化フィルター収容器35は例えば毎分2回転以下の低速度で回転する。駆動モーターユニット39には例えば同期モーター(図示されず)が組み込まれる。同期モーターの回転は内蔵の減速歯車群(図示されず)で減速されて駆動用歯車49に伝達される。
図8は、図5と同様に、背後から見た加湿装置11を概略的に示す。ただし、加湿ユニット22は取り外されている。収容空間内で筐体本体13には隔壁51が形成される。隔壁51には通気口52が区画される。通気口52は気化フィルターユニット34の前方に配置される。通気口52は少なくとも部分的に気化フィルター36に向き合わせられる。隔壁51には駆動モーターユニット39が固定される。
隔壁51の前方には送風ファンが配置される。図9に示されるように、送風ファン53には例えばシロッコファンが用いられる。シロッコファンは回転軸に平行に放射状に広がる羽根54を備える。シロッコファンは回転に応じて回転軸に沿って空気を吸引する。吸引した空気は羽根54から外側に向かって流れる。
図10は図1の10−10線に沿った垂直断面図である。図10に示されるように、筐体本体13内には気流の経路が形成される。気流の経路は吸い込み口19から吹き出し口17まで延びる。気流の経路には、吸い込み口19から順番に、集塵フィルター21、脱臭ユニット24、気化フィルターユニット34、通気口52および送風ファン53が配置される。送風ファン53が作動すると、吸い込み口19から吹き出し口17まで気流が生成される。吸い込み口19から流入する空気は集塵フィルター21を通過する。集塵フィルター21は流入する空気から塵埃を除去する。集塵フィルター21を通過した空気は脱臭ユニット24を通過する。脱臭ユニット24で臭気が吸着される。すなわち、空気は脱臭される。脱臭後の空気は気化フィルター34を通過する。空気は気化フィルター34中の水分の気化を促す。空気の湿度は高められる。こうして空気は加湿される。加湿された空気は通気口52から送風ファン53に吸入される。送風ファン53は吹き出し口17から空気を吹き出す。こうして清浄化され脱臭され加湿された空気は吹き出し口17から外部空間に吐き出される。
次に加湿ユニット22の構造を詳細に説明する。図11に示されるように、貯水トレイ33は筐体本体13の底板上でスライド移動可能に当該底板上に支持される。こうして加湿ユニット22は筐体本体13に着脱自在に収容される。サイドパネル15が筐体本体13から取り外されると、加湿ユニット22は着脱されることができる。こうして気化フィルターユニット34は筐体本体13から取り外されることができる。
次に、水タンク23の構造を詳述する。図12に示されるように、タンク本体55は容器口56を備える。容器口56には容器蓋57が取り付けられる。容器蓋57は容器口56を封鎖する。容器蓋57の働きでタンク本体55内の空間は密閉される。
容器蓋57には流通路58が区画される。流通路58はタンク本体55内の密閉空間と外部空間とを相互に接続する。流通路58には開閉弁59が配置される。開閉弁59は容器蓋57に組み付けられる。開閉弁59は弁体61を備える。弁体61はタンク本体55の密閉空間内に配置される。密閉空間内で流通路58の開口を塞ぐ。弁体61は例えばゴムや樹脂といった弾性材料から成形されればよい。弁体61には弁軸62が取り付けられる。弁軸62は流通路58を貫通する。弁軸62の先端には外部空間でフランジ63が形成される。フランジ63と容器蓋57の外面との間には伸張ばね64が挟み込まれる。伸張ばね64は、容器蓋57の外面からフランジ63を遠ざける弾性力を発揮する。したがって、伸張ばね64の働きで弁体61は流通路58の開口に押し付けられる。このとき、流通路58は閉鎖される。タンク本体55が倒立姿勢に保持されても、タンク本体55内から水の流出は阻止される。
図12に示されるように、タンク本体55が倒立姿勢で貯水トレイ33にセットされると、貯水トレイ33の所定部位は垂直方向に弁軸62のフランジ63を押し上げる。その結果、弁体61は流通路58の開口から離れる。流通路58は開放される。重力の働きで水は貯水トレイ33内に流れ込む。このとき、水位が規定の水位線から上昇すると、流通路58は水で塞がれる。空気の流入経路が閉ざされる。したがって、たとえ弁体61が流通路58の開口から離れていても、本体タンク55内の圧力と外部空間の圧力とは拮抗する。水タンク23から水の流出は回避される。水位が規定の水位線から下降すると、流通路58の入口から水面が離れる。流通路58に空気の進入経路が確保される。その結果、水の自重に応じて水タンク23から水は流出する。こうして水位は規定の水位線に維持される。
図13は気化フィルターユニット34の分解斜視図を示す。第1回転軸41はハブ66に一体化される。第1回転軸41はハブ66から第1方向(気化フィルター36から遠ざかる方向)に突き出る。ハブ66には複数本(ここでは8本)のスポーク67が一体化される。スポーク67は第1回転軸41の遠心方向に延びる。スポーク67の半径方向外端には輪体68が一体化される。輪体68にリム37が一体化される。こうしてリム37はスポーク67すなわち連結部材で第1回転軸41に固定される。リム37は輪体68から第1方向に反対向きの第2方向に第1回転軸41の軸心に平行に広がる。すなわち、リム37は平たい円筒体に形成される。リム37は気化フィルター36の占有空間を囲む。
リム37は第2方向に延びて任意の仮想平面で途切れる。仮想平面は第1回転軸41の軸心に直交する。こうして途切れるリム37の端部にフランジ69が一体化される。フランジ69はリム37から半径方向外側に向かって仮想平面内で広がる。フランジ69は平板として形成される。フランジ69には複数の長孔71が形成される。長孔71は例えば等ピッチで円周方向に配列される。リム37およびフランジ69に個々のバケット38は一体化される。第1回転軸41、ハブ66、スポーク67、輪体68、リム37、フランジ69およびバケット38は硬質の合成樹脂製部材すなわちリム成形部品として一体成型されればよい。
気化フィルター収容器34は保持部材72をさらに備える。この保持部材72には気化フィルター収容器35の第2回転軸42が形成される。第2回転軸42にはハブ73が一体化される。第2回転軸42はハブ73から第2方向に突き出る。
ハブ73には複数本(ここでは8本)のスポーク74が一体化される。スポーク74は第2回転軸42の遠心方向に延びる。スポーク74の半径方向外端には輪体75が一体化される。輪体75には筒体76が一体に形成される。筒体76は輪体75から第1方向に第2回転軸42の軸心に平行に広がる。筒体76は気化フィルター36の占有空間を囲む。筒体76の外面に噛み合い歯48が形成される。
筒体76は第1方向に延びて任意の仮想平面で途切れる。仮想平面は第2回転軸42の軸心に直交する。こうして途切れる筒体76の端部にフランジ77が一体化される。フランジ77は筒体76から半径方向外側に向かって仮想平面内で広がる。フランジ77は平板として形成される。フランジ77には結合片78が一体化される。結合片78は例えば等ピッチで円周方向に配列される。結合片78の配列は長孔71の配列を反映する。第2回転軸42、ハブ73、スポーク74、輪体75、筒体76、噛み合い歯48、フランジ77および結合片78は硬質の合成樹脂製部材すなわち保持部材部品として一体成型されればよい。
気化フィルター36は平たい円柱形に形成される。気化フィルター36の素材には例えば不織布といった保水性と通気性とを備える素材が用いられる。例えば不織布では、繊維の表面に水分が薄くまとわりつくと同時に、絡み合った繊維同士の間に通気空間が確保される。不織布は蛇腹状に反復的に折り曲げられた上で円柱形に成形される。その結果、単位空間当たりの不織布の占有率は上昇すると同時に十分な通気性が確保されることができる。
フランジ69にフランジ77が重ね合わせられると、リム37内の気化フィルター36の占有空間と保持部材72内の気化フィルター36の占有空間とが相互に結合される。占有空間内に気化フィルター36は配置される。気化フィルター36は、ハブ66、スポーク67および輪体68と、ハブ73、スポーク74および輪体75との間に挟み込まれる。同時に、気化フィルター36はリム37および筒体76に囲まれる。第1回転軸41の軸心と第2回転軸42の軸心とは同軸に配置される。後述されるように、個々の結合片78は対応の長孔71に進入する。結合片78の働きでリム37に保持部材72は結合される。その結果、保持部材72はリム37の占有空間に気化フィルター36を保持する。
図14に示されるように、結合片78は、第2回転軸42の軸心に同軸な円筒面に沿って広がる板片79を備える。板片79の表面にはフランジ77の表面に平行に円周方向に延びる壁片81が一体に形成される。フランジ77の表面と壁片81との間にはフランジ69の板厚に相当する間隔dが確立される。こうしてフランジ77および壁片81の間には隙間82が形成される。隙間82には円周方向の一端で突き当たり片83が配置される。この突き当たり片83はフランジ77、板片79および壁片81に一体化される。突き当たり片83は、隙間82の円周方向の一端を閉鎖すると同時に、フランジ77に対して板片79および壁片81の取り付け強度を補強する。隙間82の円周方向の他端では案内片84が壁片81に一体化される。案内片84は、筒体76の半径線に平行に広がって壁片81から円周方向に遠ざかるにつれてフランジ77から徐々に遠ざかる面でフランジ77の表面に向き合う。案内片84は板片79に一体に形成される。同時に、補強片85が案内片84および板片79に一体に形成される。こうしてフランジ77に対して案内片84の取り付け強度は高められる。
図14から明らかなように、長孔71は進入口86を有する。進入口86は、フランジ77がフランジ69に重ね合わせられる際に結合片78の進入を許容する大きさに形成される。進入口86には円周方向に移動口87が連続する。移動口87は、フランジ69、77同士が第1および第2回転軸41、42の軸心周りで相対回転する際に進入口86から板片79の進入を許容する。移動口87に隣接してフランジ69には結合域88が区画される。結合域88は、板片79が移動口87を移動する際にフランジ77および壁片81の隙間82に進入する。フランジ69は結合域88でフランジ77および壁片81の間に挟み込まれる。こうしてリム37に保持部材72は結合される。
図15はバケット38の透視拡大図を示す。図15に示されるように、リム37には個々のバケット38に対応して開口89が形成される。開口89は、リム37の母線上で延びる前縁91と、リム37の母線に所定の傾斜角で傾斜する後縁92との間に区画される。したがって、開口89は、フランジ69から第1回転軸41の軸心に平行に遠ざかるにつれて円周方向に狭まる。開口89はリム37の外側の外部空間に気化フィルター36の占有空間を接続する。
バケット38の縁93は器の開口すなわち取水口94を区画する。バケット38の縁93は開口89の前縁91の稜線に連続する。バケット38の内部空間すなわち容器内空間95は取水口94から円周方向に延びる。容器内空間95はリム37の外壁面の特定域37aおよびバケット38の囲い面96で囲まれる。リム37の外壁面の特定域37aは開口89の周縁の特定部分すなわち後縁92から円周方向に広がる。バケット38の囲い面96はリム37の外壁面の特定域37aから連続する。外壁面の特定域37aは開口89から円周方向に遠ざかるにつれて第1回転軸41の軸心から遠ざかる。バケット38の取水口94で容器内空間95は外部空間に接続される。リム37の開口89で容器内空間95は気化フィルター36の占有空間に接続される。
開口89の後縁92ではリム37の内面から求心方向に突片97が突き出る。突片97は、開口89の後縁92に沿って延びるリブを構成する。突片97は、開口89の後縁92から開口89に倣って広がる面97aを有する。この面97aは開口89の後縁92から少なくとも突片97の先端まで連続する。バケット38の囲い面96は、開口89の周縁で開口89の後縁92の両端から円周方向に延びる1対の円周方向部分98で開口89の内壁面に面一に連続する。開口89の前縁91に沿ってリム37の外周面にはリブ99が形成される。
図16に示されるように、リム37の外壁面の特定域37aから仮想的に延びる仮想延長面101よりも開口89の前縁91は第1回転軸41の軸心から遠ざかる。その結果、円周方向部分98の他端で開口89の内壁面は仮想延長面101よりも第1回転軸41の軸心から遠ざかる。ここで、図16から明らかなように、リム37の内径に対して気化フィルター36の外径は小さく形成される。こうしてリム37の内面と気化フィルター36の外周との間には所定の間隔が確保される。このとき、突片97の先端は気化フィルター36に接触する。
図17に示されるように、気化フィルター収容器35ではリム37のフランジ69の表面に仮想垂直面102が規定されることができる。この仮想垂直面102は第1および第2回転軸41、42の軸心に直交する。この仮想垂直面102は気化フィルター36の占有空間を二等分する。気化フィルター36が占有空間内で規定の位置に配置されると、気化フィルター36は仮想垂直面102でその軸方向に二等分される。リム37の開口89は仮想垂直面102で円周方向に最も大きく広がる。リム37の開口89は仮想垂直面102から遠ざかるにつれて徐々に円周方向に狭まる。
次に加湿ユニット22の動作を簡単に説明する。まず、貯水トレイ33内には水が貯水される。水位は規定の水位線で維持される。駆動モーターユニット39が動作を開始すると、気化フィルター収容器35は例えば毎分2回転以下の低速度で回転する。リム37の回転に応じてバケット38が重力方向の最下位置に位置すると、バケット38は水中に取水口94を潜らせる。リム37の回転に応じてバケット38は徐々に上昇する。バケット38で水は掬い取られる。リム37の回転に応じてバケット38が重力方向の最上位置を通過すると、リム37の外壁面の特定域37aを伝って開口89に水が流れ込む。リム37の外壁面の特定域37aを伝った水は突片97の面97aを伝って突片97の先端まで至る。突片97の先端から表面張力の働きで水は効率的に気化フィルター36に供給される。
送風ファン53が動作すると、空気が気化フィルター36を通過する。空気は気化フィルター36中の水分の気化を促す。こうして湿った気化フィルター36に基づき空気は加湿される。
加湿ユニット22では、前述のように、リム37の外壁面の特定域37aから仮想的に延びる仮想延長面101よりも開口89の前縁91は第1回転軸41の軸心から遠ざかる。こういった構成によれば、たとえ水が開口89の円周方向部分98に沿って囲い面96を伝ってきても、水は開口89の前縁91で開口89の内壁面に衝突して開口89内に導かれる。円周方向部分98の他端で開口89の内壁面が仮想延長面101よりも第1回転軸41の軸心に近づく場合に比べて、囲い面96を伝って取水口94から飛び出す水は減少する。バケット38で掬い上げられた水は効率的に気化フィルター36の湿潤に利用されることができる。
加湿ユニット22では、前述のように、リム37の内径に対して気化フィルター36の外径は小さく形成される。その結果、気化フィルター36がリム37の内側に隙間なくはめ込まれる場合に比べて、気化フィルター36は比較的に簡単にスムースにリム37の内側にはめ込まれることができる。
しかも、加湿ユニット22では、前述のように、バケット38の内側でリム37の外壁面の特定域37aは開口89から円周方向に遠ざかるにつれて第1回転軸41の軸心から遠ざかる。したがって、バケット38が重力方向の最上位置に到達する以前にリム37の外壁面の特定域37aから開口89に水は流れ込む。バケット38が重力方向の最上位置に位置する際に水は確実にバケット38から気化フィルター36に供給される。バケット38の最上位置で水は重力方向に流れることから、水はリム37の半径線に沿って流れることができる。気化フィルター36は個々の開口89から中心に向かって満遍なく湿らされることができる。
さらに、加湿ユニット22では、前述のように、開口89は、第1および第2回転軸41、42の軸心に平行な軸方向に気化フィルター36を二等分する仮想垂直面102から遠ざかるにつれて円周方向に狭まる。すなわち、軸方向の中央位置で開口89は円周方向に最も大きく広がる。こうして軸方向の中央位置で気化フィルター36への給水は最大限に促される。水は軸方向の中央位置から周囲に広がる。こうして気化フィルター36は満遍なく湿潤されることができる。効率的な加湿が実現されることができる。
なお、加湿ユニット22は、前述のようにいわゆる脱臭機として機能する加湿装置11に組み込まれて利用されることができるだけでなく空気清浄機や空気調和機に組み込まれて利用されてもよい。