本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
まず、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の一例としてのラインインクジェットプリンター(以下、プリンターという)を含む画像形成システムを説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成システムの構成図である。
画像形成システム1は、PC(Personal Computer)2と、プリンター3とを有する。
PC2は、PC本体部4と、転送部5とを有する。PC本体部4は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有し、プリンター3に印刷させる画像データを生成し、転送部5に渡す処理を実行する。転送部5は、PC本体部4から受け取った画像データに基づいて、プリンター3用の画像データを生成する。転送部5は、例えば、プリンター3により形成する1枚の画像についての各色(例えば、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック))ごとの画像データを生成する。また、転送部5は、各色毎の画像データをプリンター3に送信する。
また、転送部5は、プリンター3の分配部6を設定するための分配部設定情報を送信する。本実施形態では、分配部設定情報は、印刷する画像の色数と、搬送方向の画像サイズと、幅方向の画像サイズと、ヘッドコントローラー接続状態情報とを含む。ヘッドコントローラー接続状態情報とは、分配部6の分配ボード部11のスロット27に対するヘッドコントローラー7の接続状態(接続有無)を示す情報であり、例えば、各スロット27における接続状態を示すデータとしてそれぞれ1ビットずつ割り当て、対応するスロット27にヘッドコントローラー7が接続されている場合には、ビットを”1”とし、接続されていない場合には、ビットを”0”とするようにしている。
プリンター3は、分配部6と、複数(例えば、12個)のヘッドコントローラー7−1〜7−12(特定のヘッドコントローラーを示さない場合には、ヘッドコントローラー7と記載する場合がある)と、複数(例えば、12個)のヘッド8−1〜8−12(特定のヘッドを示さない場合には、ヘッド8と記載する場合がある)とを有する。本実施形態では、1つのヘッドコントローラー7は、1つのヘッド8に接続され、当該1つのヘッド8を制御するようになっている。なお、1つのヘッドコントローラー7が複数のヘッド8に接続され、複数のヘッド8を制御するようにしてもよい。分配部6は、受信ボード部(転送処理部)10と、複数の分配ボード部(分配処理部)11−1〜11−3(特定の分配ボード部を示さない場合には、分配ボード11と記載する場合がある。)とを有する。本実施形態では、分配ボード部11には、複数(例えば、4つ)のヘッドコントローラー7が接続されている。
図2は、本発明の第1実施形態に係るヘッドの配置及び構成を説明する図である。図2Aは、ヘッドの配置を示すプリンター3の上面図であり、図2Bは、ヘッドの上面図である。なお、図2A、図2Bにおいては、各ノズルについては、上面から透視した様子を示している。
プリンター3には、図示しない給紙トレイから供給される紙、OHPシート、布等の用紙(画像形成媒体)を搬送するベルト12が備えられている。ベルト12は、図示しないモータにより駆動される。ベルト12は、用紙に印刷(画像形成)を行う際には、用紙を搬送方向X、すなわち、上流側(図2A左側)から下流側(図2A右側)に略一定の速度で搬送する。
プリンター3においては、複数のサイズの用紙に印刷を行うことができるようになっている。本実施形態では、プリンター3においては、図2Aに示すように幅W(最大印刷可能幅)までの種々のサイズの用紙の印刷が可能である。本実施形態のプリンター3は、用紙のサイズによらず、用紙の幅方向Yの略中心がベルト12の幅方向Yの略中心を搬送されるように構成されている。
プリンター3には、複数のヘッド8(8−1〜8−12)が備えられており、これら複数のヘッド8により、幅方向Yの最大印刷可能幅Wの全体に亘って所定の解像度によりインクを噴射できるようになっている。なお、最大印刷可能幅Wの全体に亘って印刷できるように構成されているヘッド8の組をヘッド列ということとする。
ヘッド8は、図2Bに示すように、画像形成材の一例としてのインクを噴射する複数のノズル(ノズル群:例えば、シアンインク吐出用の複数のノズル80Cと、マゼンタインク吐出用の複数のノズル80Mと、イエローインク吐出用の複数のノズル80Yと、ブラックインク吐出用の複数のノズル80K)が、用紙が搬送される側(図面奥行き方向)に向けて設けられている。本実施形態では、ヘッド8には、例えば、幅方向Yに複数個(例えば、180個)のシアンインクのノズル80Cが並んだシアン用のノズル列と、複数個のノズル80Mが並んだマゼンタ用のノズル列と、複数個のノズル80Yが並んだイエロー用のノズル列と、複数個のノズル80Kが並んだブラック用のノズル列とが、搬送方向Xに並んで形成されている。ヘッド8においては、各ノズル(80C、80M、80Y、80K)に対応するように、供給される駆動信号に応じて伸縮する図示しない圧電振動子が設けられており、圧電振動子の伸縮を制御することにより、各ノズルからのインクの吐出を制御できるようになっている。
ヘッド列9は、図2Aに示すように、複数のヘッド8が幅方向Yに対して千鳥状(互い違い)に並ぶようになっている。ヘッド列9の上流側に配置された複数のヘッド8(8−1、8−3、8−5、8−7、8−9、8−11)は、所定の間隔をあけて幅方向Yに沿って配列されている。下流側に配置された複数のヘッド8(8−2、8−4、8−6、8−8、8−10、8−12)のそれぞれは、最大印刷可能幅において上流側のヘッド8によって印刷できない部分(例えば、各ヘッド8の間)の印刷を補うように配置されている。このように、複数のヘッド8を配置することによって、幅方向Yの最大印刷可能幅Wの全体に亘って所定の解像度によりインクを噴射できるようになっている。
図3は、本発明の第1実施形態に係る画像データ及び各ヘッドの制御に用いられる画像データを説明する図である。図3Aは、最大印刷可能幅Wの画像の画像データを説明する図であり、図3Bは、最大印刷可能幅Wより短い幅の画像の画像データを説明する図である。
図3Aに示すように、印刷する画像が最大印刷可能幅Wの画像である場合には、転送部5は、形成する画像の色毎の画像データGCについて、最先に印刷される画像の角に位置する画素GSに対応する画素データから搬送方向Xの逆向きの順で各画素に対応する画素データを1ライン分読出し、次に、画素GSの横(図面上側)のラインについて同様に画素データを読み出すようにして、各ラインについての画素データを読み出す処理を繰り返し実行することにより、画素GEに対応する画素データまで読み出し、読み出した画像データをプリンター3に送信する。この画像データは、それぞれの画素の幅方向Yの位置を担当するヘッド8の制御に利用され、本実施形態では、読み出した順に、ヘッド8−1用データ〜ヘッド8−12用データとなっている。
また、図3Bに示すように、印刷する画像が最大印刷可能幅Wよりも短い幅の画像である場合には、転送部5は、形成する画像の色毎の画像データGCについて、最先に印刷される画像の角に位置する画素GSに対応する画素データから搬送方向Xの逆向きの順で各画素に対応する画素データを1ライン分読出し、次に、画素GSの横(図面上側)のラインについて同様に画素データを読み出すようにして、各ラインについての画素データを読み出す処理を繰り返し実行することにより、画素GEに対応する画素データまで読み出し、読み出した画像データをプリンター3に送信する。この画像データは、それぞれの画素の幅方向Yの位置を担当するヘッド8の制御に利用され、本実施形態では、例えば、読み出した順に、ヘッド8−3用データ〜ヘッド8−10用データとなっている。
図4は、本発明の第1実施形態に係る分配部のハードウエア構成図である。図4Aは、受信ボード部10の構成を示し、図4Bは、分配ボード部11の構成を示し、図4Cは、受信ボード部10と分配ボード部11との接続状態を示す図である。
受信ボード部10においては、図4Aに示すように、ボード10A上に、複数の分配ボード部11の内の最上位の分配ボード部11−1と通信可能に接続するためのオスのコネクター21と、各種処理を実行するFPGA(Field Programmable Gate Array)22と、メモリー23と、転送部5との間の通信線を接続するためのスロット24とが配置されている。ここで、分配ボード部11の上位とは、通信に関して受信ボード部10側にあることを意味している。
分配ボード部11においては、図4Bに示すように、ボード11A上に、上位の部位(受信ボード部10又は分配ボード部11)と通信可能に接続するためのメスのコネクター25Aと、下位の分配ボード部11と通信可能に接続するためのオスのコネクター25Bと、各種処理を実行するFPGA26と、複数のヘッドコントローラー7との間の通信線を接続するための複数(例えば、4個)のスロット27とが配置されている。本実施形態では、スロット27に対して1つのヘッドコントローラー7が接続可能である。コネクター25Aと、コネクター25Bとは、図4Cに示すように、ボード11Aに対して略対称な位置に配置されている。このようにコネクター25A及びコネクター25Bを配置しているので、各分配ボード部11を同一の形状とすることができる。これにより、各分配ボード部11の製造コストを低減することができる。
分配部6においては、図4Cに示すように、受信ボード部10のオスのコネクター21と、最上位の分配ボード部11−1のメスのコネクター25Aとが接続され、分配ボード部11−1のオスのコネクター25Bと、分配ボード部11−2のメスのコネクター25Aとが接続され、分配ボード部11−2のオスのコネクター25Bと、本実施形態では、最下位となる分配ボード部11−3のメスのコネクター25Aとが接続されている。
本実施形態では、図4Cに示すように、転送部5と受信ボード部10のFPGA22との間で通信できるようになっている。また、受信ボード部10のFPGA22と、最上位の分配ボード部11−1のFPGA26とが、コネクター21及びコネクター25Aを介して通信できるようになっている。また、分配ボード部11−1のFPGA26と、下位の分配ボード部11−2のFPGA26とが、コネクター25B及びコネクター25Aを介して通信できるようになっている。また、分配ボード部11−2のFPGA26と、下位の分配ボード部11−3のFPGA26とが、コネクター25B及びコネクター25Aを介して通信できるようになっている。
図5は、本発明の第1実施形態に係る分配部の信号線を説明する図である。
分配部6においては、受信ボード部10と、複数の分配ボード部11−1〜11−3とがカスケード接続されている。すなわち、受信ボード部10と、分配ボード部11−1との間は、データバスと、アドレスバスと、後述するValid信号を送信するためのValid信号線と、後述するBusy(ビジー)信号を送信するためのBusy信号線とが接続されている。また、分配ボード部11−1と、分配ボード部11−2との間は、データバスと、アドレスバスと、Valid信号線と、Busy信号線とが接続されている。また、分配ボード部11−2と、分配ボード部11−3との間は、データバスと、アドレスバスと、Valid信号線と、Busy信号線とが接続されている。
図6は、本発明の第1実施形態に係る受信ボード部の機能構成図である。
受信ボード部10のFPGA22には、受信部22Aと、データ格納処理部22Bと、読出アドレス生成部22Cと、画像データ読出手段の一例としてのデータ読出処理部22Dと、転送先決定手段の一例としての転送先アドレス生成部22Eと、画像データ送信手段及び次転送先識別情報送信手段の一例としてのデータ転送部22Fと、判断結果受信手段の一例としてのBusy管理部22Gとが構築されている。
受信部22Aは、転送部5から送信される画像データを受信し、受信した画像データを逐次データ格納処理部22Bに渡す。データ格納処理部22Bは、受信部22Aから受け取った画像データをメモリー23に格納する。本実施形態では、データ格納処理部22Bは、受信部Aから受け取った画像データを連続して格納する。
図7は、本発明の第1実施形態に係るメモリー内の領域を説明する図である。
データ格納処理部22Bは、図7に示すように、メモリー23のメモリー空間を複数のメモリーブロックMBに分け、1つのメモリーブロックMBに1ページ分の画像の1色の画像データを格納する。例えば、印刷用の画像データがCMYKの4色の画像データで構成されている場合には、データ格納処理部22Bは、1ページ分のシアンの画像データ、1ページ分のマゼンタの画像データ、1ページ分のイエローの画像データ、1ページ分のブラックの画像データのそれぞれを1つのメモリーブロックMBに格納する。なお、メモリー23のメモリー空間に余裕があれば、他のページの画像データも格納される。
メモリーブロックMBは、画像データを構成する画素データを記憶することのできるライン数が、最大印刷可能幅Wの1色の印刷を担当する全ノズル数となっており、また、各ラインのサイズとしては、転送される画像データのラインサイズ(画像を構成する搬送方向の画素数)の画素データを格納できるサイズとなっており、最大印刷可能幅Wの画像の1色の画像データが格納できるようになっている。なお、転送される画像データのラインサイズや、幅方向のライン数等の情報は、画像データが転送される前に、転送部5から予め送信されている。
例えば、図3Bに示すような最大印刷可能幅Wよりも小さい幅の画像データである場合には、データ格納処理部22Bは、図7に示すように、印刷時にインクを吐出しないノズル用のデータを格納する領域(格納開始オフセット)を空けて、画像データGCが格納される。画像データGCは、最先に印刷される画像の角に位置する画素GSに対応する画素データが領域の左上に格納され、画素GEに対応する画素データが領域の右下に格納される。この画像データGCの格納されているラインの総数は、画像の実ライン数となっている。
図8は、本発明の第1実施形態に係るメモリーブロックの状態及び画像データの転送を説明する図である。図8Aは、メモリーブロックに格納されている画像データと送信すべきヘッドコントローラーとの対応関係を示し、図8Bは、画像データの各ラインの転送順番を示している。
画像データが格納されたメモリーブロックMBにおいては、図8Aに示すように、最も上の領域から順に、ヘッドコントローラー7−1に転送する画像データ(ヘッド8−1用の画像データ)が格納され、ヘッドコントローラー7−2に転送する画像データ(ヘッド8−2用の画像データ)が格納され、ヘッドコントローラー7−3に転送する画像データ(ヘッド8−3用の画像データ)が格納され、ヘッドコントローラー7−4に転送する画像データ(ヘッド8−4用の画像データ)が格納され、以降、ヘッドコントローラー7−5(ヘッド8−5用の画像データ)に転送する画像データからヘッドコントローラー7−12に転送する画像データ(ヘッド8−12用の画像データ)まで格納される。なお、最大印刷可能幅Wよりも小さい幅の画像の画像データである場合には、図8Aに示すように、最も上の領域と、最も下の領域には、予めメモリーブロックMBに格納されているインクの吐出がないことを示すNULL値が設定されている。
読出アドレス生成部22Cは、予め設定された情報に基づいて、データを読み出すべきメモリー23のアドレスを生成してデータ読出処理部22Dに通知する。なお、実際の画像データがメモリーブロックMBの一部に格納されている場合であっても、メモリーブロックMBの全てのデータを読み出すようにアドレスを生成している。
ここで、転送部5から受信ボード部10に画像データを転送し、メモリー23に格納する速度と、メモリー23から画像データを読み出す速度とに比べて、分配ボード部11がヘッドコントローラー7に画像データを転送する速度が遅い。このため、同一のヘッドコントローラー7に送信する画像データを連続して送信すると、分配ボード部11が同一のヘッドコントローラー7に送信する速度の影響により、全てのヘッドコントローラー7への画像データを送信し終えるまで長時間を要してしまうこととなる。
そこで、本実施形態では、読出アドレス生成部22Cは、所定のN(1以上の整数)ライン毎に異なるヘッドコントローラー7への画像データが転送できるようにするために、Nライン毎に異なるヘッドコントローラー7への画像データが格納されているアドレスを生成するようにしている。
例えば、1ライン毎に異なるヘッドコントローラー7へ画像データが転送されるようにする場合には、図8Bに示すような順番でアドレスを生成する。すなわち、読出アドレス生成部22Cは、ヘッドコントローラー7−1に転送するデータである、1番のラインの画像データLを示すアドレスを生成し、次に、ヘッドコントローラー7−2に転送するデータである2番のラインの画像データLを示すアドレスを生成するようにし、同様にして、各ヘッドコントローラー7−3〜7−11に転送するデータを示すアドレスを生成し、ヘッドコントローラー7−12に転送するデータである12番のラインの画像データLを示すアドレスを生成した後に、再び、ヘッドコントローラー7−1に転送するデータを示すアドレスを生成するようにして、メモリーブロックMB内の全てのデータが読み出されるようにアドレスを生成する。このようにして、例えば、ヘッドコントローラー7−1に転送するデータのアドレスは、1番目、13番目、25番目、37番目・・・に生成され、ヘッドコントローラー7−2に転送するデータのアドレスは、2番目、14番目、26番目、38番目・・・に生成され、ヘッドコントローラー7−12に転送するデータのアドレスは、12番目、24番目、36番目、48番目・・・に生成されることとなる。
データ読出処理部22Dは、読出アドレス生成部22Cにより生成されたアドレスに対応するデータをメモリー23から読み出す。本実施形態では、データ読出処理部22Dは、アドレスに対応する1ラインのデータを単位として、Nライン分読み出し、データ転送部22Fに送信する。
次に、読出アドレス生成部22Cが各ヘッドコントローラー7に送る画像データの単位となるライン数Nを決定する処理について説明する。
図9は、本発明の第1実施形態に係るビジー信号のレイテンシーを説明する図である。
本実施形態では、後述するように、一の転送先に画像データを転送している際に、並行して、次の転送先となるヘッドコントローラーを担当する(に接続されている)分配ボード部11からの画像データの受入可能か否かを示すビジー信号の受信を行うようにしている。このため、次の転送先となるヘッドコントローラー7を担当する分配ボード部11から画像データを受入可能であるとのビジー信号を受け取る前には、次の転送先へ画像データを転送することができない。
このような場合に、一の転送先の画像データの転送が終わってしまうと、いずれの画像データも転送されていない状態となり、データ転送効率が低下してしまう。
そこで、本実施形態では、転送先からのビジー信号を受信するまでの時間において、画像データを転送しておくことができるようにするために、1つのヘッドコントローラー7に送信する画像データのライン数を調整するようにしている。
ここで、ビジー信号に関わるレイテンシ(遅延)としては、以下の5種類がある。
すなわち、受信ボード部10から出力したアドレスデータ(次転送先アドレス)を分配ボード部11−1がラッチするまでの時間TAと、アドレスデータをラッチしてから次(下位)の分配ボード部11がラッチするまでの時間TBと、アドレスデータをラッチしてから、分配ボード部11において画像データを受入可能か否かのビジー判定をし、前(上位)の分配ボード部11に返信する準備ができるまでの時間TCと、ビジー信号を出力してから前の分配ボード部11が更に前の分配ボード部11に返す準備ができるまでの時間TDと、分配ボード部11−1からビジー信号を受信ボード部10に送信して、受信ボード部10がビジー信号の判定をできるまでの時間TEとがある。
本実施形態では、画像データのライン数の調整については、クリティカルパス、すなわち、最下位の分配ボード11−3からのビジー信号が戻ってくる経路を基準に判断するようにしている。
最下位の分配ボード11−3からビジー信号が戻ってくるまでのレイテンシーTLは、次式で表される。
TL=TA+TE+TC+(TB+TD)×(分配ボード部11の接続数−1)
ここで、TA、TB、TC、TD、TE、TLの単位は、それぞれ基準クロックのクロック数であり、各値は、予め測定されて読出アドレス生成部22Cに記憶されている。
本実施形態では、このようなレイテンシーTL以上の転送時間を要するデータ量を単位として各転送先に送信するようにしている。例えば、1画素のデータを1ビットとすると、TL×データバス幅(ビット/1クロック)≦1ラインサイズ×Nとなるようなライン数Nを各転送先に送信するデータの単位として決定している。このようにすることにより、ビジー信号を受信する前における、データを転送しない時間の発生を低減することができる。
転送先アドレス生成部22Eは、データ読出処理部22Dにより読み出された画像データの転送先となるヘッドコントローラー7を示すアドレス(転送先アドレス:転送先識別情報)を生成し、データ転送部22Fに出力する。なお、転送先となるヘッドコントローラー7は、読出アドレス生成部22Cの生成するメモリー23のアドレスに対応するデータを転送すべきヘッドコントローラー7であって、プリンター3のヘッド8の配置、構成及び読出アドレス生成部22Cのアドレスを生成する規則に従って、決定することができる。ヘッドコントローラー7は、いずれかのスロット27に接続されているので、本実施形態では、ヘッドコントローラー7のアドレスとして、当該ヘッドコントローラー7へ接続されるスロット27の識別情報(スロットID)と、そのスロット27を有する分配ボード部11の識別情報(分配ボード部ID)とを用いている。また、本実施形態では、ヘッドコントローラー接続情報を参照することにより、画像データを転送すべきヘッドコントローラー7の接続されているスロット27を特定し、対応する転送先アドレスを生成するようにしている。このため、分配ボード部11において、ヘッドコントローラー7が接続されていないスロット27があっても問題がない。例えば、いずれかの分配ボード部11にヘッドコントローラー7が接続されていない予備のスロット27を確保しておき、いずれかのスロット27が故障した場合に、予備のスロット27を用いてヘッドコントローラー7の接続を行い、以降において当該スロット27のアドレスを指定することにより、ヘッドコントローラー7に画像データを適切に転送することができる。また、新たな分配ボード部11を分配ボード部11−3の下位に接続するようにして、新たに追加した分配ボード部11のスロット27を用いてヘッドコントローラー7を接続するようにすることもでき、例えば、この場合における接続状態に対応する接続情報を受け取っておくことで、ヘッドコントローラー7が接続されたスロット27のアドレスを指定して適切に画像データを所望のヘッドコントローラー7に送信することができる。
また、転送先アドレス生成部22Eは、次の転送先となるヘッドコントローラー7のアドレス(次転送先アドレス:次転送先識別情報)を生成し、データ転送部22Fに出力する。
本実施形態では、次のように転送先アドレスを管理している。
図10は、本発明の第1実施形態に係る転送先アドレスの管理を説明する図である。
転送先アドレス生成部22Eは、3つのレジスターで構成されるシフトレジスターを内部に備えている。シフトレジスターの左側のレジスターは、現在の転送先アドレスを格納し、中央のレジスターは、次の転送先アドレスを格納し、右側のレジスターは、次の次の転送先アドレスを格納する。このシフトレジスターは、各レジスターのデータを左のレジスターに移動(シフト)することができるようになっている。
転送先アドレス生成部22Eは、画像データの転送を開始する際において、図10Aに示すように、画像データを転送する1番目の転送先アドレスを生成して中央のレジスターに格納し、次に画像データを転送する2番目の転送先アドレスを生成して右側のレジスターに格納する。そして、転送先アドレス生成部22Eは、左側のレジスターの値(初期値0)を現在の転送先アドレスとして、中央のレジスターの値(2番目の転送先アドレス)を次の転送先アドレスとしてデータ転送部22Fに送信する。これにより、1番目の転送先アドレスに対応する転送先についてのビジー信号の確認が行なわれることとなる。
次いで、図10Bに示すように、転送先アドレス生成部22Eは、シフトレジスターの値を左にシフトさせ、次の次の転送先アドレス(3番目の転送先アドレス)を生成して右側のレジスターに格納し、左側のレジスターの値(1番目の転送先アドレス)を現在の転送先アドレスとして、中央のレジスターの値(2番目の転送先アドレス)を次転送先アドレスとしてデータ転送部22Fに送信する。これにより、1番目の転送先への画像データの転送が行なわれ、2番目の転送先についてのビジー信号の確認が行なわれる。
次いで、図10Cに示すように、転送先アドレス生成部22Eは、シフトレジスターの値を左にシフトさせ、次の次の転送先アドレスを生成して右側のレジスターに格納し、左側のレジスターの値を現在の転送先アドレスとして、中央のレジスターの値を次の転送先アドレスとしてデータ転送部22Fに送信する。以降は、転送先アドレス生成部22Eは、この処理を繰り返し実行する。
データ転送部22Fは、FIFO(First In First Out)又はダブルバッファ構造の内部メモリー(一時記憶部)を有しており、データ読出処理部22Dからの画像データを一時的に格納する。
データ転送部22Fは、Busy管理部22Gから転送を開始する転送先が画像データを受入可能であるとの通知を受け取った場合に、内部メモリーの対応する転送先への画像データと、当該データの転送先として受け取った転送先アドレスと、次の転送先として受け取った次転送先アドレスとをコネクター21を介して分配ボード部11−1に送信する。なお、本実施形態では、分配ボード部11−1に、画像データと、転送先アドレスと、次転送先アドレスとを送信すると、下位の分配ボード部11−2、11−3までこれらデータが送信される。本実施形態では、データ転送部22Fは、FPGA22が発生する1クロックに合わせて、転送対象の画像データの1クロック分のデータをデータバスにより送信し、また、転送先アドレス及び次転送先アドレスをアドレスバスにより送信する。なお、このように、1クロック分のデータと、転送先アドレスとを、1クロックに合わせて送信するようにしているので、例えば、1クロック毎に転送先アドレスを替えて送信することもできる。また、データ転送部22Fは、画像データを送信する際には、送信している画像データが有効であることを示す信号、すなわちH(ハイ)状態のValid信号を送信する。
Busy管理部22Gは、分配ボード部11−1から送信されるビジー信号に基づいて、次の転送先がデータの受入可能であるか否かを判定し、その結果をデータ転送部22Fに通知する。本実施形態では、転送先がデータ受入可能な場合には、ビジー信号はH(ハイ)状態にされ、転送先がデータ受入可能でない場合には、ビジー信号はL(ロー)状態にされるようになっている。
図11は、本発明の第1実施形態に係る分配ボード部の機能構成図である。
分配ボード部11のFPGA26には、次転送先受信手段及び画像データ受信手段の一例としての受信部26Aと、受入判断手段、下位判断結果受信手段、及び判断結果送信手段の一例としてのBusy判定部26Bと、自身データ判定部26Cと、転送先判定部26Dと、複数のヘッドコン転送部(配信手段)26Eとが構築されている。
受信部26Aは、上位側のコネクター25Aから送信されるクロック、画像データ、転送先アドレス、次転送先アドレス、及びValid信号を受信する。また、受信部26Aは、Valid信号がデータが有効であることを示している場合(Valid信号がH状態である場合)には、画像データと、転送先アドレスとを自身データ判定部26Cに渡し、Valid信号がデータが有効でないことを示している場合(Valid信号がL状態である場合)には、画像データ、転送先アドレスを破棄する。また、受信部26Aは、次転送先アドレスをBusy判定部26Bに渡す。また、受信部26Aは、自身の分配ボード部11で生成したクロックを下位の分配ボード部11に送信するとともに、当該クロックに合わせて、受信した画像データ、転送先アドレス、及び次転送先アドレスを送信し、また、Valid信号も送信する。ここで、分配ボード部11が自身で生成したクロックに合わせて、画像データ、転送先アドレス、及び次転送先アドレスを送信するので、当該分配ボード部11に送信された際に発生していたクロックと各データとのずれを排除して下位の分配ボード部11に送信することができる。従って、下位の分配ボード部11においては、適切に各データを受信することができる。
自身データ判定部26Cは、受信部26Aから受け取った転送先アドレスが、自身の分配ボード部11に接続されたヘッドコントローラー7を示している否かを判定する。ここで、自身の分配ボード部11に接続されたヘッドコントローラー7を示している否かは、転送先アドレスに自身の識別情報(分配ボード部ID)が格納されているか否かにより判定することができる。ここで、分配ボード部11自身の識別情報は、例えば、図示しないディップスイッチによって設定されている。また、自身データ判定部26Cは、自身の分配ボード部11に接続されたヘッドコントローラー7を示していると判定した場合には、受信部26Aから受けとった画像データと、転送先アドレスとを転送先判定部26Dに渡す一方、自身の分配ボード部11に接続されたヘッドコントローラー7を示していないと判定した場合には、画像データ、転送先アドレスを破棄する。
転送先判定部26Dは、自身データ判定部26Cから受け取った転送先アドレスから、送信すべきスロット27を特定する。本実施形態では、転送先アドレスの内のスロット27のIDによりスロット27を特定することができる。転送先判定部26Dは、特定したスロット27に接続されているヘッドコン転送部26Eに画像データを送信する。
ヘッドコン転送部26Eは、ヘッドコントローラー7に送信する画像データを一時的に記憶するためのFIFOの内部メモリーを有している。ヘッドコン転送部26Eは、転送先判定部26Dから送信された画像データを内部メモリーに格納し、内部メモリーから画像データを取り出して、スロット27を介してヘッドコントローラー7に画像データを送信する。また、ヘッドコン転送部26Eは、FIFOの内部メモリーに格納されている画像データの記憶量が所定の閾値を超えた場合には、画像データを受入不可能であることを示す信号(H状態のビジー信号)をBusy判定部26Bに出力し、それ以外の場合には、画像データを受入可能であることを示す信号(H状態のビジー信号)をBusy判定部26Bに送信する。閾値としては、例えば、送信単位であるNライン分の画像データを格納する容量が残されていない場合における記憶量であってもよい。
Busy判定部26Bは、受信部26Aから受け取った次転送先アドレスが自身の分配ボード部11に接続されたヘッドコントローラー7を示している否かを判定する。Busy判定部26Bは、次転送先アドレスが自身の分配ボード部11に接続されたヘッドコントローラー7を示している場合には、次転送先アドレスに対応するスロット27に接続されているヘッドコン転送部26Eを特定し、当該ヘッドコン転送部26Eから送信されるビジー信号を選択して、上位の部位(受信ボード部10又は分配ボード部11)に送信する。一方、Busy判定部26Bは、次転送先アドレスが自身の分配ボード部11に接続されたヘッドコントローラー7を示していない場合には、下位の部位(分配ボード部11)から送信されているビジー信号を受け取り、上位の部位(受信ボード部10又は分配ボード部11)に送信する。
次に、プリンター3の受信ボード部10による画像データの送信処理について説明する。
図12は、本発明の第1実施形態に係る受信ボード部による画像データの送信処理のフローチャートである。
この画像データの送信処理は、受信ボード部10の受信部22Aが転送部5から画像データを受信し、データ格納処理部22Bがメモリー23に画像データを格納した後に開始される。
まず、転送先アドレス生成部22Eが画像データを最初に送信する転送先のヘッドコントローラー7を示す転送先アドレスを次転送先アドレスとして、データ転送部22Fに渡す。データ転送部22Fは、次転送先アドレスを、コネクター21を介して分配ボード部11−1に送信する(ステップS1)。これによって、分配ボード部11−1から次転送先アドレスに対応する分配ボード部11から画像データが受入可能か否かを示すビジー信号が戻ってくることとなる。
これと並行して、読出アドレス生成部22Cは、次に転送する画像データを読み出すメモリー23のアドレスを生成して、データ読出し処理部22Dに渡す。データ読出処理部22Dは、渡されたアドレスに格納されている画像データをメモリー23から読み出して、データ転送部22Fに渡す。これにより、データ転送部22Fに画像データが格納されることとなる。一方、転送先アドレス生成部22Eは、画像データを転送する転送先アドレスと、その次の画像データを転送する次転送先アドレスとを生成し、データ転送部22Fに出力する。
Busy管理部22Gは、コネクター21を介して受信したビジー信号をチェックし(ステップS2)、ビジー信号が受入不可能であること(ビジーであること)を示している場合(ステップS3:YES)には、ステップS2に戻る。一方、ビジー信号が受入不可能でないことを示している場合(ステップS3:NO)には、その旨をデータ転送部22Fに通知する。
データ転送部22Fは、内部メモリーに記憶している画像データと、転送先アドレスと、次転送先アドレスとを分配ボード部11−1に送信するとともに、Valid信号をH状態にして送信する(ステップS4)。これによって、分配ボード部11−1から次転送先アドレスに対応する分配ボード部11から画像データが受入可能か否かを示すビジー信号が戻ってくることとなる。
これと並行して、読出アドレス生成部22Cは、次に転送する画像データを読み出すメモリー23のアドレスを生成して、データ読出処理部22Dに渡す。データ読出処理部22Dは、渡されたアドレスに格納されている画像データをメモリー23から読み出して、データ転送部22Fに渡す。これにより、データ転送部22Fの内部メモリーに画像データが格納されることとなる。一方、転送先アドレス生成部22Eは、画像データを転送する転送先アドレスと、その次の画像データを転送する次転送先アドレスとを生成し、データ転送部22Fに出力する。
データ転送部22Fは、ステップS4のデータ送信が完了したか否かを判断し(ステップS5)、データ送信が完了していない場合(ステップS5:NO)には、データ送信が完了するまで待つ。
一方、データ送信が完了した場合(ステップS5:YES)には、Busy管理部22Gは、コネクター21を介して受信したビジー信号をチェックし(ステップS6)、ビジー信号が受入不可能であること(ビジーであること)を示している場合(ステップS7:YES)には、ステップS6に戻る。一方、ビジー信号が受入不可能でないことを示している場合(ステップS7:NO)には、その旨をデータ転送部22Fに通知する。これにより、ステップS4以降の処理が実行されることとなり、次の順番の転送先への画像データが送信されることとなる。
次に、上記した画像データの送信処理の具体的な例を、図13を参照して説明する。
図13は、本発明の第1実施形態に係る画像データの送信に関わる各種信号のタイミングチャートである。
図12のステップS3で最初の転送先が受入可能であると判定された場合には、データ転送部22Fは、図14の時刻T0以降に示すように、クロック信号CLKの各クロックに合わせて、転送先”1”(最初の転送先)への画像データの1クロック分のデータDATAと、転送先アドレス(”1”)と、次の転送先アドレス(”2”)とを繰り返して送信し、また、Valid信号をH状態として送信する。
この転送先”1”への画像データの送信が完了する前までには、次の転送先”2”からのビジー信号が戻ってくる。ここで、転送先”1”への画像データの送信が完了した時刻T1においては、ビジー信号がH状態であるので、次の転送先”2”は、画像データの受入が可能であることを示している。
転送先”1”への画像データの送信が完了した後に、データ転送部22Fは、時刻T1以降に示すように、クロック信号CLKの各クロックに合わせて、転送先”2”への画像データの1クロック分のデータDATAと、転送先アドレス(”2”)と、次の転送先アドレス(”3”)とを繰り返して送信し、また、Valid信号をH状態として送信する。
この転送先”2”への画像データの送信が完了する前までには、次の転送先”3”からのビジー信号が戻ってくる。ここで、時刻T2よりも前において、ビジー信号がL状態となっているので、次の転送先”3”は、画像データの受入が不可能であることを示している。
転送先”2”への画像データの送信が完了した時刻T2においても、ビジー信号がL状態のままであり、次の転送先”3”は、画像データの受入が不可能であることを示しているので、データ転送部22Fは、転送先”3”への画像データの転送を行なわない。なお、この場合には、データ転送部22Fは、クロック信号CLKの各クロックに合わせて、転送先アドレス(”2”)と、次の転送先アドレス(”3”)とを送信し、また、Valid信号をデータが有効でないことを示すL状態として送信する。
そして、ビジー信号がH状態に変わったときは、次の転送先”3”は、画像データの受入が可能であることを示しているので、その後の時刻T3以降に示すように、データ転送部22Fは、クロック信号CLKの各クロックに合わせて、転送先”3”への画像データの1クロック分のデータDATAと、転送先アドレス(”3”)と、次の転送先アドレス(”4”)とを繰り返して送信し、また、Valid信号をH状態として送信する。
図14は、本発明の第1実施形態に係る分配ボード部による画像データの受信処理のフローチャートである。
分配ボード部11の受信部26Aは、上記の部位(受信ボード部10又は上位の分配ボード部11)からデータ、転送先アドレス、次転送先アドレス、及びValid信号を受信する(ステップS11)。
受信部26Aは、下位の分配ボード部11があれば、下位の分配ボード部11に対して、自身のクロックに合わせて、受信したデータ、転送先アドレス及び次転送先アドレスを転送するとともに、受信したValid信号を転送する(ステップS12)。
また、これと並行して、受信部26Aは、Valid信号が、データが有効であることを示しているか否かを判定し(ステップS13)、データが有効でない場合には、データを破棄し(ステップS14)、処理を終了する。
一方、Valid信号が、データが有効であることを示している場合(ステップS13:YES)には、データ、転送先アドレスを自身データ判定部26Cに渡す。自身データ判定部26Cは、転送先アドレスが自身の分配ボード部11に接続されたヘッドコントローラー7を示している否か、すなわち、転送先アドレスに自身の分配ボード部11の識別情報が含まれているか否かを判定し(ステップS15)、自身の分配ボード部11の識別情報が含まれていない場合(ステップS15:NO)には、データを破棄し(ステップS14)、処理を終了する。
一方、自身の分配ボード部11の識別情報が含まれている場合(ステップS15:YES)には、自身データ判定部26Cは、データと、転送先アドレスとを取り込んで、転送先判定部26Dに渡す(ステップS16)、転送先判定部26Dは、転送先アドレスに対応するヘッドコン転送部26Eを特定し(ステップS17)、特定したヘッドコン転送部26Eに画像データを転送する。ヘッドコン転送部26Eは、スロット27を介して、転送された画像データをヘッドコントローラー7に送信する(ステップS18)。これによって、ヘッドコントローラー7は、画像データに基づいて自身に接続されたヘッド8を制御することとなる。
次に、本発明の第2実施形態に係る画像形成システムについて説明する。
図15は、本発明の第2実施形態に係る画像形成システムの構成図である。なお、第1実施形態に係る画像形成システムと同様な部分については同一符号を付すこととする。
第2実施形態に係るプリンター3は、第1実施形態に係るプリンター3において、複数のヘッド列9−1、9−2を備えるようにしたものであり、それに伴って、ヘッドコントローラー7−13〜7−24と、分配部6−2とを更に備えるようにしたものである。
第2実施形態に係る画像形成システム1においては、転送部5と、分配部6−1と、下位の分配部6−2とによってリング型のネットワークが形成されている。すなわち、転送部5と分配部6−1の受信ボード部10とが通信可能に接続され、分配部6−1の受信ボード部10と下位の分配部6−2の受信ボード部10とが通信可能に接続され、分配部6−2の受信ボード部10と転送部5とが通信可能に接続されている。
図16は、本発明の第2実施形態に係るヘッドの配置及び構成を説明する図である。図16Aは、ヘッドの配置を示すプリンター3の上面図であり、図16Bは、ヘッドの上面図である。なお、図16A、図16Bにおいては、各ノズルについては、上面から透視した様子を示している。
プリンター3においては、複数のヘッド列9−1、9−2が配置されている。ヘッド列9−1、9−2のそれぞれにおけるヘッド8の構成及びヘッド8の配列については、第1実施形態のヘッド列9のヘッド8の構成及びヘッド8の配列とほぼ同様である。
本実施形態においては、ヘッド列9−1の各ヘッド8と、ヘッド列9−2の対応する各ヘッド8(ノズル列内における対応する位置に配置されているヘッド8)とのノズル80C、80M、80Y、80Kの幅方向における配置位置が異なっている。
すなわち、図16Bに示すように、ノズル列9−1のヘッド8−1におけるノズル80C、80M、80Y、80Kの幅方向における配置位置は、ノズル列9−2の対応するヘッド8−13のノズル80C、80M、80Y、80Kの幅方向における配置位置とは、ノズルピッチの半分だけずれている。このように、2つのヘッド列の対応するヘッド同士のノズルの幅方向の配置位置が、ノズルピッチの半分だけずれているので、2つのヘッド列により画像を形成すると、1つのヘッド列で形成できる画像の倍の解像度の画像を形成することができる。
図17は、本発明の第2実施形態に係る画像データ及びヘッドに送信される画像データを説明する図である。
本実施形態においては、複数のヘッド列9−1、9−2で幅方向の解像度を第1実施形態の2倍の解像度として画像を形成することとなるので、同一のサイズの画像を印刷する場合には、画像データとしては、幅方向に2倍の解像度が必要である。また、幅方向に隣り合う画素を形成するノズルが属するヘッド列が異なっているので、画像データにおける各ラインのデータは、各ヘッド列で使用されるデータが交互に並んでいることとなる。
例えば、図17に示すように、画像データにおいては、ヘッド列9−1のヘッド8−1用のデータと、ヘッド列9−2のヘッド8−13用のデータとが交互に並び、また、同様に、ヘッド列9−1のヘッド8−2用のデータと、ヘッド列9−2のヘッド8−14用のデータとが交互に並んでいる。
図18は、本発明の第2実施形態に係る受信ボード部の機能構成図である。
第2実施形態に係る受信ボード部10は、第1実施形態に係る受信ボード部10において、更に、スロット24Bと、フィルタリング部22Hとを備えると共に、受信部22Aに新たな機能を追加したものである。
スロット24Bは、次の順番の部位(他の受信ボード部10又は転送部5)との間の通信回線が接続可能となっている。
受信部22Aは、上位側のスロット24から送信される画像データ等を受信する。また、受信部22Aは、受信した画像データ等を次の部位(下位の受信ボード部10又は転送部5)にスロット24Bを介して送信する。
フィルタリング部22Hは、受信部22Aが受信した画像データから自身に接続された分配ボード部11に接続されているヘッドコントローラー7で必要なデータのみを取り込んで、データ格納処理部22Bに渡す。本実施形態では、フィルタリング部22Hには、予め画像データ中の取込対象となるラインが設定されており、当該設定に基づいて、画像データから必要なラインの画像データのみを取り込んでいる。
例えば、図17に示す画像データを受信部22Aから受け取った場合には、受信ボード部6−1のフィルタリング部22Hであれば、画像データ中のヘッド列9−1のヘッド8−1〜8−12用のデータであるラインのみの画像データを取り込む一方、受信ボード部6−2のフィルタリング部22Hであれば、画像データ中のヘッド列9−2のヘッド8−13〜8−24用のデータであるラインのみの画像データを取り込む。
図19は、本発明の第2実施形態に係る分配部設定情報を説明する図である。
本実施形態においては、分配部6−1、6−2が必要とする情報の一部について、配信部5から送信される分配部設定情報に基づいて、分配部6自身が内部の図示しないレジスターに設定できるようになっている。分配部設定情報は、設定する分配部6を特定する分配部IDに対して、画像データの色数と、搬送方向の画像サイズと、幅方向の画像サイズと、分配部6が取り込むべき画像データの色(取込対象色)と、分配部6が取り込むべき画像データのライン(取込対象ライン)と、ヘッドコントローラー接続状態とを対応付けた情報となっている。
ここで、ヘッドコントローラー接続状態情報とは、対応する分配部6の分配ボード部11のスロット27に対するヘッドコントローラー7の接続状態(接続有無)を示す情報であり、例えば、各スロット27における接続状態を示すデータとしてそれぞれ1ビットずつ割り当て、対応するスロット27にヘッドコントローラー7が接続されている場合には、ビットを”1”とし、接続されていない場合には、ビットを”0”とするようにしている。このヘッドコントローラー接続状態を参照することにより、一部のスロット27に対してヘッドコントローラー7が接続されていない場合であっても、転送先アドレス生成部22Eが画像データを転送すべきヘッドコントローラー7の接続されているスロット27を特定し、対応する転送先アドレスを生成することができる。
次に、本発明の第3実施形態に係るプリンターについて説明する。
本発明の第3実施形態に係るプリンターは、図15に示す第2実施形態に係るプリンターとは、使用しているヘッドの構成及び配置が異なるとともに、受信ボード部10のフィルタリング部22Hの機能が異なっているのみであり、その他の構成については同様である。
図20は、本発明の第3実施形態に係るヘッドの配置及び構成を説明する図である。図20Aは、ヘッドの配置を示すプリンター3の上面図であり、図20Bは、ヘッドの上面図である。なお、図20A、図20Bにおいては、各ノズルについては、上面から透視した様子を示している。
本実施形態のプリンター3においては、複数のヘッド列9−1、9−2が配置されている。ヘッド列9−1は、シアン及びマゼンタの印刷を担当し、ヘッド列9−2は、イエロー及びブラックの印刷を担当するようになっている。
本実施形態のヘッド15(15−1〜15−24)は、図20Bに示すように幅方向にノズル80C、80M、80Y,80Kが並んでいる4つのノズル列を有する。上流側の2つのノズル列と、下流側の2つのノズル列とは、それぞれ異なる1色のインクを吐出するためのノズル列である。すなわち、ヘッド15−1〜15−12については、上流側の2つのノズル列がシアンを吐出するためのノズル列であり、下流側の2つのノズル列がマゼンタを吐出するためのノズル列である。また、ヘッド15−13〜15−24については、上流側の2つのノズル列がイエローを吐出するためのノズル列であり、下流側の2つのノズル列がブラックを吐出するためのノズル列である。各色のインクを吐出するための2つのノズル列のノズルの幅方向Yの位置は、互いにノズルピッチの半分だけずれている。
本実施形態では、ヘッド列9−1におけるヘッド15−1〜15−12のノズル80C、80Mの幅方向における配置位置は、ヘッド列9−2のヘッド15−13〜15−24のノズル80Y、80Kの幅方向における配置位置と同じ位置となっている。
本実施形態では、受信ボード部10のハードウエア構成は第2実施形態の受信ボード部10と同様であり、第2実施形態とは、受信ボード部10における設定情報を異ならせることにより、フィルタリング部22Hが異なる機能を有するようになっている。
フィルタリング部22Hには、画像データ中の取込対象となるカラーが設定されている。フィルタリング部22Hは、当該設定に基づいて、画像データから必要なカラーの画像データのみを取り込んでいる。例えば、分配部6−1の受信ボード部10のフィルタリング部22Hには、シアンとマゼンタの画像データを取り込むように設定され、分配部6−2の受信ボード部10のフィルタリング部22Hには、イエローとブラックの画像データを取り込むように設定されている。なお、フィルタリング部22Hの設定については、図18に示す分配部設定情報中の取込対象色に基づいて設定することができる。
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は上述した実施の形態に限られず、他の様々な態様に適用可能である。
例えば、上記実施形態では、ヘッド列は、最大印刷可能幅の全体を印刷可能にするために、最大印刷可能幅の一部のみを印刷可能なヘッドを複数備えるとともに、これらヘッドを最大印刷可能幅の全体の印刷を可能にするように配置していたが、本発明はこれに限られず、最大印刷可能幅の全体を印刷可能な1つのヘッド、すなわち、最大印刷可能幅の全体を印刷できるように複数のノズルが配置されている1つのヘッドを備えるようにしてもよい。また、上記実施形態では、複数のノズルが幅方向に並ぶようにしていたが、本発明はこれに限られず、複数のノズルが幅方向とは異なる、搬送方向と交差する方向に並ぶようにしてもよく、要は、幅方向の全体に亘ってノズルが配置されるようにすればよい。
また、上記実施形態では、ヘッド全体の複数のノズル(ノズル群)を最小の単位として制御するヘッドコントローラーを備えるようにしていたが、本発明はこれに限られず、例えば、ヘッドの一部のノズル群を単位として制御するコントローラーを備えるようにし、分配ボード部は、1以上のコントローラーに対して対応する画像データを送信するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、画像データと、転送先アドレスと、次転送先アドレスとを組として、1クロックに合わせて別の信号線で送信するようにしていたが、これに限られず、画像データと、転送先アドレスと、次転送先アドレスとを組としたデータを同一の信号線により送信するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、受信ボード部10と複数の分配ボード部11−1〜11−3とは、カスケード接続していたが、これに限られず、例えば、受信ボード部10と、複数の分配ボード部11−1〜11−3とをバス型のネットワークで接続するようにしてもよく、要は、受信ボード部10から分配ボード部に対して直接又は、間接的にデータを送信できればよい。
また、上記実施形態では、転送先アドレスと、次転送先アドレスとを同時に送信するようにしていたが、これに限られず、少なくとも転送先への画像データの転送が終了する前に、次転送先アドレスを送信するようにすればよい。このようにすると、転送先への画像データの送信が完了した後に、次の転送先の状態の問い合わせを開始する場合に比して、迅速に判断結果が返ってくるので、迅速に次の転送先への画像データの送信を開始することができ、通信効率を向上することができる。
また、上記実施形態では、搬送方向に2列のヘッド列を備えるようにしていたが、本発明はこれに限られず、搬送方向に3列以上のヘッド列を備えるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、画像形成装置としてラインインクジェットプリンターを例に説明していたが、本発明はこれに限られず、インク以外の液体を噴射させる画像形成装置や、トナー等の粉状体を飛翔させる画像形成装置にも適用できる。
1 画像形成システム、2 PC、3 ラインインクジェットプリンター PC本体部、5 転送部、6 分配部、7(7−1〜7−12) ヘッドコントローラー、8(8−1〜8−24) ヘッド、9 ヘッド列、10 受信ボード部、11 分配ボード部、12 ベルト、21 コネクター、22 FPGA、22A 受信部、22B データ格納処理部、22C 読出アドレス生成部、22D データ読出処理部、22E 転送先アドレス生成部、22F データ転送部、22G Busy管理部、23 メモリー、24 スロット、25 コネクター、26 FPGA、26A 受信部、26B Busy判定部、26C 自身データ判定部、26D 転送先判定部、26E ヘッドコン転送部、27 スロット。